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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A61B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B
管理番号 1273257
審判番号 不服2011-27488  
総通号数 162 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-12-05 
確定日 2013-04-22 
事件の表示 特願2005-367083「光ファイバを用いた睡眠時無呼吸センサー」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 6月14日出願公開、特開2007-144070〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成17年11月24日を出願日とする出願であって,平成23年5月20日付けで拒絶理由が通知され,同年7月26日付けで手続補正がなされ,同年9月2日付けで拒絶査定がなされ,同年12月5日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1?6に係る発明は,明細書の特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定されたものであって,その請求項1に係る発明は,平成23年7月26日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたものであり,「[削除]」とは,補正前の「または反射光の変化」を削除したことを意味することを考慮すると次のとおりのものであると認める。
「【請求項1】
光ファイバに加わる側圧により発生する過剰損失による伝送信号光の変化を計測することを特徴とする睡眠時無呼吸センサー。」(以下,「本願発明」という。)

第3 引用刊行物記載の発明
(1)本願出願前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である国際公開第2004/046869号公報(以下「刊行物1」という。)には,「摂動検出システム,装置及び方法」について,図面とともに次の事項が記載されている。(なお引用刊行物1のファミリー文献である特表2008-500839号公報を日本語訳として使用している。)
(1-ア) 「[66] Certain exemplary embodiments provide a patient bed with integrated sensing, which can be useful for patient monitoring. The integrated monitoring bed can automatically monitor patient movement, respiration rate, and/or pulse rate, etc. 」
「日本語訳:【0005】 本発明は,検知機能が組み込まれており患者を観察するのに有用な患者用ベッドとして実施できる。この検知機能組込型観察ベッドを用いれば,患者の動き,呼吸数,脈拍数又はそれらの任意の組合せ等を,自動観察できる。」

(1-イ) 「[73] Certain exemplary embodiments relate to an integrated monitoring bed for monitoring patient vital signs and/or activity level, and/or to an integrated monitoring carpet/pad for monitoring patient vital signs and/or activity level.

[74] In certain exemplary embodiments, the bed can utilize a sensing technique comprising a multimode fiber optic sensor. Optical energy transmitted through the core of an optical fiber, either a single or multi-mode core, can be affected by physical perturbations of the fiber. The physical perturbation can alter the index of refraction of the core " material and/or the differential indices between the cladding and the core in such a way that the optical energy transmitted through the core can be changed. The physical perturbation can be caused by tension- or compression-induced strain and/or strain induced by bending the fiber about a small radius (i.e., micro-bending) or large radius bending (i.e., macro-bending). Accordingly, an optical fiber can be used as a sensor to measure a physical parameter by correlating changes in the output energy with the environmental perturbations.

[75] The energy output from the sensing fiber can be analyzed, for example, in terms of quantitative changes in intensity, wavelength, and/or polarization states. 」
「日本語訳:【0012】本発明は,患者の生命表示,活動レベル又はその双方を観察できる組込型観察ベッド,カーペット又はパッドとして実施できる。
【0013】
本発明は,検知技術を利用するベッド,特にマルチモードファイバ式光センサを利用するベッドとして実施できる。ここに,光ファイバのコアを通る光エネルギは,そのコアがシングルモードコアかマルチモードコアかによらず,その光ファイバにおける物理的摂動の影響を受け得る。即ち,引っ張りによる歪,圧縮による歪,小半径での曲げ(マイクロベンディング)による歪,大半径での曲げ(マクロベンディング)による歪又はそれらの任意の組合せによって光ファイバに物理的摂動が生じると,コア素材屈折率やコアクラッド間屈折率差分又は微分が変化し,光ファイバのコアを通る光エネルギが変化する。従って,光ファイバをセンサとして用い,光ファイバの出射エネルギを環境的摂動と関連付けることにより,物理的パラメータを計測できる。
【0014】
検知用光ファイバからの出射エネルギについては,例えば,強度,波長,分極状態又はそれらの任意の組合せについて,量的変化を解析することができる。」

上記(1-ア)?(1-イ)の記載と図1?29を参照すると,上記引用刊行物1には,
「ファイバを利用するベッドに備えられた装置 であって,
光ファイバにおける圧縮による歪等の物理的摂動の影響を受け,光ファイバのコアを通る光エネルギが変化するので,
検知用光ファイバからの出射エネルギの 強度の量的変化を解析することで
患者の呼吸数が自動観察できる検知機能組込型観察ベッドに備えられた装置。」の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認める。

(2)本願出願前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開2003-135432号公報(以下「刊行物2」という。)には,「生体モニタ装置」について,図面とともに次の事項が記載されている。
(2-ア) 「【0028】かかる構成によれば,複数の寝ている人の状態を離れた場所で集中監視でき,異常があれば直ちに知らせることができるようになる。また,第5実施形態の場合と同様に,通報の有無によって生体モニタ装置の動作チェックが可能である。尚,上記各実施形態では,OTDR装置を用いて光ファイバの歪み検出を行う構成としたが,光ファイバの一端側に光信号の送信装置を接続し光ファイバの他端側に光信号の受信装置を接続し,光ファイバの一端側から例えば連続的な光信号を送信し他端側で光信号を受信し,光信号の受信状態により光ファイバの歪みを検出する構成でもよい。この場合も,所定範囲の周波数信号が受信信号に含まれているか否かにより呼吸の有無を判定すればよく,記憶した正常時の信号変化パターンと検出信号変化パターンとの比較により呼吸状態の正常/異常を判定すればよい。」
上記(2-ア)の記載と図1?10を参照すると,上記引用刊行物2には,
「光ファイバの一端側に光信号の送信装置を接続し光ファイバの他端側に光信号の受信装置を接続し,光ファイバの一端側から例えば連続的な光信号を送信し他端側で光信号を受信し,光信号の受信状態により光ファイバの歪みを検出し,所定範囲の周波数信号が受信信号に含まれているか否かにより呼吸の有無を判定する,寝ている人の状態を監視する装置。」の発明(以下,「刊行物2発明」という。)が記載されていると認める。

第4 対比・判断
(4-1)本願発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「光ファイバにおける圧縮による歪等の物理的摂動の影響を受け,光ファイバのコアを通る光エネルギが変化する」ことは,本願発明の「光ファイバに加わる側圧により発生する過剰損失による伝送信号光の変化」に相当する。
また,引用発明の「検知用光ファイバからの出射エネルギの 強度の量的変化を解析すること」は本願発明の「伝送信号光の変化を計測すること」に相当する。

イ 「呼吸数」も「無呼吸」も「呼吸の状態」であるから,引用発明の「睡眠時無呼吸センサー」と本願発明の「患者の呼吸数が自動観察できる検知機能組込型観察ベッドに備えられた装置」とは呼吸の状態センサーの点で共通する。

そうすると,本願発明と引用発明とは,
「光ファイバに加わる側圧により発生する過剰損失による伝送信号光の変化を計測する呼吸の状態センサー。」である点で一致し,次の点で相違している。

(相違点)
呼吸の状態センサーが測定する呼吸の状態について,本願発明では睡眠時の「無呼吸」であるのに対して,引用発明では,「呼吸数」である点。

(1)相違点についての検討
上記摘記事項(2-ア)には,「【0028】・・・複数の寝ている人の状態を離れた場所で集中監視でき,・・・光ファイバの一端側に光信号の送信装置を接続し光ファイバの他端側に光信号の受信装置を接続し,光ファイバの一端側から例えば連続的な光信号を送信し他端側で光信号を受信し,光信号の受信状態により光ファイバの歪みを検出する構成でもよい。この場合も,所定範囲の周波数信号が受信信号に含まれているか否かにより呼吸の有無を判定すればよく,」と測定する呼吸の状態として睡眠時の「無呼吸」が記載されており,本願の出願前に頒布された特開2001-190526号公報には,「【0082】図15に示すような呼吸検出部4における抵抗値の変化の周期T5に基づき単位時間当りの呼吸数または無呼吸状態の継続時間を算出する。」と記載され,本願の出願前に頒布された特開2001-70526号公報には,「【0071】c.呼吸回数が正常域を外れた場合(無呼吸状態等)には,モニタ装置4から警報音が出る様にしても良い。」と記載されているように,呼吸数と無呼吸を同時に測定することも周知技術である。
してみると,引用発明の測定する呼吸の状態として,呼吸数に代えて刊行物2記載の睡眠時の「無呼吸」を採用して本願発明を構成することは,呼吸数と無呼吸を同時に測定することが周知の技術事項であり,睡眠時無呼吸症候群を判別することが呼吸に関する医療においては常に考慮されることであり,引用発明においても,当然考慮されるべきことであるといえるから,十分動機付けがあり,当業者が容易に想到するものといえる。

そして,本願発明の作用効果は,引用発明,刊行物2の記載事項および周知の技術事項から当業者が予測し得る範囲内のものにすぎない。

したがって,本願発明は,引用発明,刊行物2の記載事項および周知の技術事項に基づき当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4-2)本願発明と刊行物2発明とを対比する。
請求人は,意見書及び審判請求書において,本願発明を引用刊行物2とも対比し意見を述べているので,以下に判断する。
ア 刊行物2発明の「光ファイバの一端側に光信号の送信装置を接続し光ファイバの他端側に光信号の受信装置を接続し,光ファイバの一端側から例えば連続的な光信号を送信し他端側で光信号を受信」することは,「光ファイバに加わる側圧により発生する過剰損失による伝送信号光の変化」が物理現象であるから,刊行物2発明でも生じる現象であることを考慮すると,本願発明の「光ファイバに加わる側圧により発生する過剰損失による伝送信号光の変化」を計測していることに相当する。

イ 引用発明の「呼吸の有無を判定する,寝ている人の状態を監視する装置」は,本願発明の「睡眠時無呼吸センサー」に相当する。

そうすると,本願発明と刊行物2発明とは,
「光ファイバに加わる側圧により発生する過剰損失による伝送信号光の変化を計測する 睡眠時無呼吸センサー。」である点で一致し,相違点はない。

したがって,本願発明は,刊行物2に記載された発明である。

第5 むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明,刊行物2の記載事項および周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
また,本願発明は,刊行物2に記載された発明であるから,特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。
したがって,その他の請求項について言及するまでもなく,本願出願は拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-02-04 
結審通知日 2013-02-12 
審決日 2013-02-27 
出願番号 特願2005-367083(P2005-367083)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (A61B)
P 1 8・ 121- Z (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮澤 浩  
特許庁審判長 岡田 孝博
特許庁審判官 信田 昌男
後藤 時男
発明の名称 光ファイバを用いた睡眠時無呼吸センサー  
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