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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F21V |
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管理番号 | 1273261 |
審判番号 | 不服2012-11499 |
総通号数 | 162 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-06-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-06-20 |
確定日 | 2013-04-22 |
事件の表示 | 特願2007-551297号「液晶ディスプレイのバックライティングのための固体コロイド分散体」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 7月20日国際公開、WO2006/076218、平成20年 7月24日国内公表、特表2008-527672号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯、本願発明 本願は、平成18年1月6日(パリ条約による優先権主張 2005年1月12日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成24年2月17日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成24年6月20日に拒絶査定に対する不服の審判が請求されたものである。 そして、本願の各請求項に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1?13に記載された事項により特定されるものと認められるところ、そのうちの請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。 「【請求項1】 フラットパネルディスプレイ用のディスプレイパネルであって、 液晶ディスプレイ(LCD)デバイスの平面型アレイと、 前記LCDデバイスの平面型アレイ上でバックライティングを実現するために、前記LCDデバイスの平面型アレイに入射する光路に光を放射するように構成されている複数の発光ダイオード(LED)デバイスと、 前記光路内の、エアロゲルを備える固体フォーム構造体と を備えることを特徴とするディスプレイパネル。」 2.刊行物記載事項 (1)本願の優先権主張日よりも前に頒布された刊行物である、原査定において引用文献1として引用された刊行物である特開2003-331604号公報(以下「引用例」という。)には、例えば液晶表示素子(LCD)で形成される表示面部を背後から照明するバックライトユニットに関して図面とともに次の技術事項が記載されている。 ・「【0006】本発明の目的は、表示面部の均斉度を向上させることができると共に、表示面部を見る角度方向に対して適切に光を出射できるバックライトユニットを提供することである。」 ・「【0022】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の実施の形態に係るバックライトユニットの説明図であり、図1(a)は側面図、図1(b)は発光ダイオードを実装した基板の平面図である。 【0023】図1(a)に示すように、筐体11の内部に基板12が収納されている。基板12には発光ダイオード13が実装されており、この発光ダイオード13の光は拡散板14で拡散され図示省略の表示面部を背部から照射する。拡散板14は、発光ダイオード13からの光を拡散して表示面部に均等に光が照射されるようにするものであり、ガラス板または樹脂板で形成される。なお、基板12および拡散板14は、図示省略の係止部やスペーサにより筐体11の内部側面に保持される。 【0024】また、基板12の背面には金属板15が張り付けられており、基板12に実装された発光ダイオード13の発熱の放熱面積を大きくする。これにより、複数個の発光ダイオード13からの熱を容易に放熱できるようにしている。 【0025】次に、図1(b)に示すように、基板12には複数個の発光ダイオードが実装されている。図1(b)では、基板12の中央部付近の発光ダイオード12の配置を疎とし、基板12の端部付近を密とした配置を示している。この疎密は、基板12全体として発光ダイオード13の配置位置が上下左右対称になるように配置されている。このような配置とすることによって、基板12全体としての均斉度を向上させている。 【0026】すなわち、基板12上での発光ダイオード12を均一に配置した場合には、基板の中央部付近の明るさが相対的に明るくなるので、その中央部付近の発光ダイオード12の配置を疎とし、相対的に暗くなる基板12の端部付近を密として配置する。これにより、基板端部付近の輝度を向上させることができ、表示面部を所定の均斉度に保つことができる。」 ・「【0032】このように、発光ダイオード13を配置を施した基板12に、発光ダイオードの配置ピッチと同寸法もしくは大きい寸法の位置に、拡散板14を配置するので、発光ダイオード13を光源とする光が拡散板14で適正に拡散できる。従って、均斉度が向上する。」 上記の記載事項及び図の記載事項から、以下の事項が明らかである。 ・図1の記載からみて、液晶表示素子(LCD)で形成される表示面部と、その表示面部を背後から照明するバックライトユニットとで、ディスプレイパネルを構成し、表示面部及びバックライトユニットはフラットタイプであるからディスプレイパネルはフラットパネルディスプレイ用であることが明らかである。 上記記載事項及び図面の記載事項を総合すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が実質的に記載されていると認められる。 「フラットパネルディスプレイ用のディスプレイパネルであって、 表示面部と、 前記表示面部上でバックライティングを実現するために、前記表示面部に入射する光路に光を放射するように構成されている複数の発光ダイオード13と、 前記光路内の、拡散板14と を備えることを特徴とするディスプレイパネル。」 (2)同じく、原査定において周知例として引用された刊行物である特開2000-294021号公報(以下「周知例」という。)には、平面照明装置、表示装置、液晶パネルのバックライトやフロントライトなどとして用いられる面発光体に関して、以下の技術事項が記載されている。 「【0039】図7は請求項10に係る発明の実施の形態の一例を示すものであり、アクリル樹脂など透明樹脂にシリカエアロゲル8の粒子を混練し、シリカエアロゲル8を均一に分散混合したこの透明樹脂で拡散板9を形成するようにしたものである。またこの実施の形態では、拡散板9の背面側にのみエアロゲル層3を設け、拡散板9の前面側にはエアロゲル層3を設けずにプリズムシート13が配置してある。その他の構成は図6のものと同じである。このように拡散板9内にシリカエアロゲル8の粒子を分散させることによって、拡散板9内にその背面から入射された光は、拡散板9内においてシリカエアロゲル8で拡散されるものであり、しかもシリカエアロゲル8は透明であって、光強度がロスされることなく適度に拡散させることができるものであり、発光効率を低下させることなく面発光体の拡散板9の前面側での発光の均一性を得ることができるものである。」 上記の記載事項及び図6、図7から次の技術事項が記載されているといえる。 「液晶パネルのバックライトとして用いられる面発光体において、アクリル樹脂など透明樹脂内でシリカエアロゲル8の粒子を分散混合して拡散板9を形成する」点。(以下「周知の技術}という。) (3)対比 本願発明と引用発明とを対比すると、本願発明の「ディスプレイパネル」も引用発明の「ディスプレイパネル」もともに液晶表示素子(LCD)で形成される表示面部を背後から照明するものでフラットパネルディスプレイ用であるから、引用発明の「ディスプレイパネル」は本願発明の「ディスプレイパネル」に相当している。 以下同様に、「表示面部」は「液晶ディスプレイ(LCD)デバイスの平面型アレイ」に、「発光ダイオード13」は「発光ダイオード(LED)デバイス」に相当している。 また、引用発明の「拡散板14」と本願発明の「エアロゲルを備える固体フォーム構造体」とは、ともに「拡散体」で共通する。 すると、両者は本願発明の表現によると次の点で一致する。 (一致点) 「フラットパネルディスプレイ用のディスプレイパネルであって、 液晶ディスプレイ(LCD)デバイスの平面型アレイと、 前記LCDデバイスの平面型アレイ上でバックライティングを実現するために、前記LCDデバイスの平面型アレイに入射する光路に光を放射するように構成されている複数の発光ダイオード(LED)デバイスと、 前記光路内の、拡散体と を備えることを特徴とするディスプレイパネル。」 一方で、両者は、次の点で相違する。 (相違点) 拡散体は、本願発明では「エアロゲルを備える固体フォーム構造体」であるのに対して、引用発明では「拡散板14」である点。 (4)相違点についての判断 上記の周知例には「液晶パネルのバックライトとして用いられる面発光体において、アクリル樹脂など透明樹脂内でシリカエアロゲル8の粒子を分散混合して拡散板9を形成する」点(上記の「周知の技術」参照)が記載されている。 ここで、拡散板9はアクリル樹脂など透明樹脂内でシリカエアロゲル8の粒子を分散混合して形成されていることから、「エアロゲルを備える固体フォーム構造体」といえ、したがって、液晶パネルのバックライトとして用いられる面発光体において、拡散体として「エアロゲルを備える固体フォーム構造体」を用いることは周知の技術といえる。 そうすると、上記の周知の技術を適用して、引用発明の拡散板14をエアロゲルを備える固体フォーム構造体することにより、本願発明の上記相違点に係る構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たものということができる。 そして、本願発明により得られる作用効果も、引用発明及び周知の技術から当業者であれば予測できる範囲のものであって、格別とはいえない。 したがって、本願発明は、引用発明及び周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (5)むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 そうすると、このような特許を受けることができない発明を包含する本願は、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-11-19 |
結審通知日 | 2012-11-20 |
審決日 | 2012-12-11 |
出願番号 | 特願2007-551297(P2007-551297) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(F21V)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 渡邊 豊英 |
特許庁審判長 |
川向 和実 |
特許庁審判官 |
小関 峰夫 杉浦 貴之 |
発明の名称 | 液晶ディスプレイのバックライティングのための固体コロイド分散体 |
代理人 | 畑中 孝之 |
代理人 | 大日方 和幸 |
代理人 | 特許業務法人浅村特許事務所 |
代理人 | 浅村 皓 |
代理人 | 浅村 肇 |