• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1273577
審判番号 不服2011-24386  
総通号数 162 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-11-11 
確定日 2013-05-08 
事件の表示 特願2008-531070「立体視フォーマット・コンバータ」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 4月12日国際公開、WO2007/040472、平成21年 3月 5日国内公表、特表2009-509398〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第一 経緯
1.手続
本願は、平成17年9月16日を国際出願日とする出願であって、平成20年5月20日付けで手続補正がなされた後、平成23年2月4日付けで拒絶理由が通知され、これに対して平成23年5月9日付けで手続補正がなされたが、平成23年7月7日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成23年11月11日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。

2.査定
査定の理由は、概略、以下のとおりである。

補正後の各請求項にかかる発明は、下記の引用文献1乃至3及び周知技術(下記の文献4及び5を引用)から容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


1.特開2000-197074号公報
2.特開平8-205201号公報号
3.特開2004-274125号公報
4.特開平9-191475号公報
5.特開2003-348537号公報

第二 本願発明
本願の請求項1から18までに係る各発明は、本願明細書及び図面(平成23年5月9日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面)の記載からみて、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1から18までに記載した事項により特定されるとおりのものであるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものである。

「【請求項1】
入力画像フォーマットを有する入力画像データを受け取るステップと、
前記入力画像フォーマットから立体出力フォーマットへの変換がサポートされているか否かを決定するステップと、
前記変換がサポートされていることが決定された場合に、前記入力画像フォーマットとサポートされた前記立体出力フォーマットとのあらかじめ定義済みの関係に従って、前記入力画像フォーマットをサポートされた前記立体出力フォーマットに変換するステップであって、この変換により、サポートされた前記立体出力フォーマットを有する出力画像をディスプレイに表示するための出力画像データを作り出すステップと、
前記出力画像データを提供するステップと、
を包含するフォーマット変換方法。」

第三 当審の判断
1.引用刊行物
1-1.引用刊行物の記載
上記査定の理由で刊行物1として引用された特開2000-197074号公報(平成12年7月14日公開、以下「引用例」ともいう)には、図面(図1?図9)と共に次の記載がある。

「【請求項4】 圧縮ステレオ画像データを入力する入力工程と入力したステレオ画像データを復元する復元工程と、
表示デバイスのタイプを判断する判断工程と、
該判断工程の判断結果に基づいて、前記復元工程で復元されたステレオ画像データを、表示デバイスに対応する形式に変換する変換工程と、
該変換工程で変換されたステレオ画像データを表示デバイスに出力する出力工程とを備えることを特徴とする立体映像再生装置の制御方法。」

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は立体映像再生装置及び出力装置及びその制御方法及び記憶媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】本願出願人は、入力された映像情報や音声情報などのリアルタイムデータを、情報ネットワークを介して複数のクライアントに受け渡し、クライアント側で再生する映像伝送表示システムを既にいくつか提案した。また、いくつかは既に実在している。」

「【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従来の映像伝送表示システムは2次元による平面映像でなされ、奥行き感を表示することができないため、迫力、臨場感などに欠けるという問題点があった。そのため、立体的な表示をなし得る映像伝送表示システムが求められていた。
【0006】現在、立体映像カメラや立体映像表示装置は既にいくつか実用されている。これらを映像伝送表示システムに組み込むことによって立体映像伝送表示システムを構築することが技術的には可能ではあるものの、立体映像カメラと立体映像表示装置は必ずしも対応して開発されているわけではない。従って、複数種類の立体映像表示装置へ対応した映像伝送表示システムが望まれる。」

「【0008】
【課題を解決するための手段】本発明はかかる点に鑑みなされたものであり、異なる表示デバイスが接続されていても、それに適応したステレオ画像データにして再生する立体映像再生装置及びその制御方法及び記憶媒体を提供しようとするものである。」

「【0011】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に従って本発明に係る実施形態を詳細に説明する。
【0012】図1は本システムの構成を概略的に表わした図である。本立体映像伝送表示システムは立体映像を送信するサーバ1と、立体映像を表示するビューワ(クラインと)4をネットワーク3でつないだ構成となっている。ビューワー4には立体映像表示装置が接続されている。
【0013】次に映像データの流れを説明する。サーバー1が送り出す立体映像データ2は左目側の映像と右目側の映像を同期を取って一つの映像に落とし、ネットワーク3を流すために圧縮したものである。サーバー1はその立体映像データ2をネットワーク3に送信する。
【0014】ネットワーク3を流れたデータはビューワー4が受信する。ビューワー4はデータ受信部5、映像再構築部6、立体映像構成部7の三つのソフトウェアモジュールで構成されている。データ受信部5はネットワーク3から立体映像データ2を受信してそれを映像再構築部6に渡す。映像再構築部6はそのデータを元の左右混合の映像に再構築する。
【0015】図3は再構築された立体映像の一例である。サーバーから送信されてきたデータ中に立体映像フォーマットが信号に含まれている場合は自動的にそのフォーマットで再構築する。フォーマット情報が含まれていない場合はあらかじめ定められたフォーマットに再構築する。再構築された映像は立体映像構成部7に渡される。
【0016】立体映像構成部7は各種類の立体映像表示装置に対応したフォーマットに映像を構成して出力する。サーバ側から送られてくる立体映像フォーマットと、ビューワー側の表示装置が扱うフォーマットが同じである場合は、そのまま表示することができる。ビューワー側での映像処理の負荷は少なくて済む。一方、フォーマットが異なる場合は、ビューワー側のフォーマットへ変換する。
【0017】実施形態では以下の三つの立体映像表示フォーマットを採用した。以下、これについて説明する。
【0018】side-by-side split-screenフォーマット8とは図4のように左目の映像は画面出力左側に、右目の映像は画面出力右側に出力するフォーマットである。構成方法は図2の元の立体映像を元にした場合、左目映像、右目映像をそれぞれ切り出して横方向に二分の一に変倍し、左目映像は画面出力左側に配置し、右目映像は左目映像に対応した位置の画面出力右側に配置する。この映像をside-by-sidesplit-screen立体映像表示装置11に送り立体映像表示を行う。
【0019】top-down split-screenフォーマット9とは図5のように左目の映像は画面出力上側に右目の映像は画面出力下側に出力するフォーマットである。構成方法は図3の元の立体映像を元にした場合、左目映像、右目映像をそれぞれ切り出して縦方向に二分の一に圧縮し、左目映像は画面出力上側に配置し、右目映像は左目映像に対応した位置の画面出力下側に配置する。この映像をtop-down split-screen立体映像表示装置12に送り立体映像表示を行う。
【0020】line sequentialフォーマット10とは図6のように左目右目の映像を一水平ライン毎に偶奇に出力するフォーマットである。構成方法は図3の元の立体映像を元にした場合、左目映像、右目映像をそれぞれ切り出して縦方向に二分の一に圧縮し、さらにそれぞれ水平に一ラインずつ取り出して左目映像、右目映像を偶奇に一水平ライン毎に配置する。この映像をline sequential立体映像表示装置13に送り立体映像表示を行う。」

1-2.引用例記載の技術
引用例には、上記【請求項4】に、
「圧縮ステレオ画像データを入力する入力工程と入力したステレオ画像データを復元する復元工程と、
表示デバイスのタイプを判断する判断工程と、
該判断工程の判断結果に基づいて、前記復元工程で復元されたステレオ画像データを、表示デバイスに対応する形式に変換する変換工程と、
該変換工程で変換されたステレオ画像データを表示デバイスに出力する出力工程とを備えることを特徴とする立体映像再生装置の制御方法。」
(以下「請求項4の制御方法」という)が記載されている。
上記請求項4の制御方法は、その実施態様を示す引用例の上記【0011】?【0016】の記載および図1に照らすと、具体的には、サーバ1から圧縮されて送信される立体映像データ2(上記ステレオ画像データ)をビュワー4(上記立体映像再生装置)で立体表示するための制御方法であって、ビュワー4は、データ受信部5、映像再構築部6および立体映像構成部7を有し(図1参照)、データ受信部5で上記立体映像データ2を受信し、受信した立体映像データ2を映像再構築部7で元の左右混合の映像に再構築し(すなわち、上記制御方法での復元工程を実行し)、再構築した(復元した)映像を立体映像構成部7で各種類の立体映像表示装置(上記表示デバイス)に対応したフォーマットの映像に変換して当該立体映像表示装置に出力する(すなわち、上記制御方法での変換工程と出力工程を実行する)ものといえる。
ここで、上記映像再構築部6での映像の再構築に関し、引用例の上記【0015】の記載中には、「サーバーから送信されてきたデータ中に立体映像フォーマットが信号に含まれている場合は自動的にそのフォーマットで再構築する。フォーマット情報が含まれていない場合はあらかじめ定められたフォーマットに再構築する。再構築された映像は立体映像構成部7に渡される。」とあるから、上記映像再構築部6で再構築された映像の映像データは立体映像フォーマットを有する映像データであり、上記立体映像構成部7は、この立体映像フォーマットを有する映像データを受け取っていることが明らかである。
そして、この点を踏まえると、上記立体映像構成部7は、立体映像フォーマットを有する映像データを受け取り、受け取った映像データを上記のように立体映像表示装置に対応したフォーマットに変換して当該立体映像表示装置に出力するものといえ、当該立体映像構成部7についてみると、引用例には、上記請求項4の制御方法の一部として、
「立体映像フォーマットを有する映像データを受け取り、受け取った映像データを立体映像表示装置に対応したフォーマットに変換する変換工程と、変換された映像データを上記立体映像表示装置に出力する出力工程とを備える方法」の発明(以下、引用発明ともいう。)が記載されているといえる。

2.対比
上記引用発明と、本願発明とを対比する。

(1)「入力画像フォーマットを有する入力画像データを受け取るステップ」について

引用発明(その上記変換工程)でも、上記のとおり立体映像フォーマットを有する映像データを受け取っているところ、当該受け取っている映像データは、上記「入力画像データ」といえるものであり、また当該映像データが有する「立体映像フォーマット」は、上記「入力画像フォーマット」といえるものであるから、引用発明も、本願発明と同じく「入力画像フォーマットを有する入力画像データを受け取るステップ」を備えているといえ、この点で両者は一致している。

(2)「前記入力画像フォーマットから立体出力フォーマットへの変換がサポートされているか否かを決定するステップ」について

引用発明は特にそのようなステップを有しておらず、この点では本願発明と相違する。

(3)「前記変換がサポートされていることが決定された場合に、前記入力画像フォーマットとサポートされた前記立体出力フォーマットとのあらかじめ定義済みの関係に従って、前記入力画像フォーマットをサポートされた前記立体出力フォーマットに変換するステップ」について

引用発明は、上記(2)で認定したとおり、本願発明の「前記入力画像フォーマットから立体出力フォーマットへの変換がサポートされているか否かを決定するステップ」を有しておらず、したがって、本願発明の上記ステップにおける、「前記変換がサポートされていることが決定された場合に、」前記入力画像フォーマットと「サポートされた」前記立体出力フォーマットとの関係に従って、上記入力画像フォーマットを「サポートされた」立体出力フォーマットに変換するとの要件を欠くものであり、この点では本願発明と相違する。
しかしながら、その点を別にすれば、引用発明も、次のとおり、本願発明の上記変換するステップと同様のステップといえる前記の変換工程を有するものである。
すなわち、引用発明の前記変換工程は、「立体映像フォーマットを有する映像データを受け取り、受け取った映像データを立体映像表示装置に対応したフォーマットに変換する」もの、つまり上記の受け取った映像データについて、その立体映像フォーマットを立体映像表示装置に対応したフォーマットに変換するものであるが、上記「立体映像フォーマット」は、上記(1)で認定したとおり「入力画像フォーマット」といえるもので、また上記「立体映像表示装置に対応したフォーマット」は「立体出力フォーマット」といえるものであるから、上記変換工程は、「前記入力画像フォーマットを前記立体出力フォーマットに変換する」工程(ステップ)であるといえる。
また、上記変換工程を実行する上記ビュワー4(その立体映像構成部7)に関し、引用例には、「ビューワー4はデータ受信部5、映像再構築部6、立体映像構成部7の三つのソフトウェアモジュールで構成されている。」(【0014】)、「ビュワーは、パーソナルコンピュータ等の汎用情報処理装置でもって実現できるものである。」(【0022】)と記載されていることからみて、上記変換工程はソフトウェア処理により実行されるものと理解されるところ、そのようなソフトウェア処理による変換を行う上で、引用発明での上記入力画像フォーマットの立体出力フォーマットへの変換が、本願発明でいうのと同様「前記入力画像フォーマットと立体出力フォーマットとのあらかじめ定義済みの関係に従って」行われているといえることは明らかである。
よって、引用発明も、「前記入力画像フォーマットと立体出力フォーマットとのあらかじめ定義済みの関係に従って、前記入力画像フォーマットを前記立体出力フォーマットに変換するステップ」を有しているといえ、この点で本願発明と一致している。

(4)「この変換により、サポートされた前記立体出力フォーマットを有する出力画像をディスプレイに表示するための出力画像データを作り出すステップ」について

このステップは、基本的には、上記入力画像フォーマットの立体出力フォーマットへの変換を前提として、「この変換により、」「出力画像データを作り出す」ものであるが、
引用発明でも、上記(3)で認定したとおり上記の変換が行われており、この変換により変換された映像データを前記の出力工程で出力しているのであるから、上記変換により、上記変換された映像データすなわち上記出力工程で出力する出力画像データを作り出しているといえる。
また、上記ステップでの上記出力画像データは、「前記立体出力フォーマットを有する出力画像をディスプレイに表示するための」画像データであるが、引用発明での上記出力画像データも、上記(3)で認定したように「立体出力フォーマットを有する」もので、また、前記のとおり立体映像表示装置に出力されているのであるから、「立体出力フォーマットを有する出力画像をディスプレイに表示するための」画像データであるといえる。
以上をまとめると、引用発明も本願発明と同様、「この変換により、前記立体出力フォーマットを有する出力画像をディスプレイに表示するための出力画像データを作り出すステップ」を有しているといえ、この点で両者は一致している。
もっとも、引用発明は、上記(2)で認定したとおり、本願発明における「前記入力画像フォーマットから立体出力フォーマットへの変換がサポートされているか否かを決定するステップ」を有しておらず、したがって、上記「立体出力フォーマット」が本願発明のような「サポートされた」(サポートされていると決定された)ものであるとはいえなから、この点では本願発明と相違する。

(5)「前記出力画像データを提供するステップ」について

引用発明も、上記のとおり、上記出力工程において出力画像データを立体映像表示装置に出力しているのであるから、「前記出力画像データを提供するステップ」を有しているといえ、この点では本願発明との違いはない。

(6)「フォーマット変換方法」について

引用発明の方法でも、上記(3)で認定したように、上記入力画像フォーマットを出力立体フォーマットに変換しているのであるから、当該方法は、本願発明でいう上記「フォーマット変換方法」ともいえ、よってこの点では両者に違いはない。

3.一致点、相違点
本願発明と引用発明との上記2.での対比結果をまとめると、本願発明と引用発明との一致点と相違点は次のとおりである。

[一致点]
入力画像フォーマットを有する入力画像データを受け取るステップと、
前記入力画像フォーマットと立体出力フォーマットとのあらかじめ定義済みの関係に従って、前記入力画像フォーマットを前記立体出力フォーマットに変換するステップであって、この変換により、前記立体出力フォーマットを有する出力画像をディスプレイに表示するための出力画像データを作り出すステップと、
前記出力画像データを提供するステップと、
を包含するフォーマット変換方法。

[相違点]
本願発明は、「前記入力画像フォーマットから立体出力フォーマットへの変換がサポートされているか否かを決定するステップ」を包含し、「前記変換がサポートされていることが決定された場合に、」上記入力画像フォーマットを立体出力フォーマットに変換するステップ、上記出力画像データを作り出すステップを実行する(これに伴い、これらステップでの「立体出力フォーマット」が「サポートされた」ものである)ようにしているのに対し、引用発明は、本願発明の「前記入力画像フォーマットから立体出力フォーマットへの変換がサポートされているか否かを決定するステップ」を包含しておらず、したがって「前記変換がサポートされていることが決定された場合に、」上記の各ステップを実行するようにはしていない点。

4.判断
上記相違点について検討する。
本願発明の上記相違点に係る要件は、上記立体出力フォーマットを有する出力画像をディスプレイに表示する上で、当該表示に必要な上記入力画像フォーマットから立体出力フォーマットへの変換(以下「フォーマット変換」ともいう)がサポートされていない場合があることを前提とするものである。
然るに、上記入力画像フォーマットと立体出力フォーマットには、それぞれ多数の種類があり、両者の各フォーマットは、所要の選択に応じて種々の組合わせで用いられていることは本願の出願前に周知の事項であり、また、上記フォーマット変換は、上記各フォーマットの組合わせ毎に、対応する入力画像フォーマットから立体出力フォーマットへの変換を行うものであるから、上記種々の組合わせの全てに対応させるには、組合せの数に相当する多くのフォーマット変換をサポートしておく必要があるが、実際上は、費用対効果等を考慮し、比較的使用頻度の高いフォーマットの組合わせ等に対応するものに制限してフォーマット変換をサポートしておくのが通常である。
この点につき、引用発明のフォーマット変換を見ると、当該フォーマット変換は、その実施形態として引用例に示されているように、例えば特定の1種類の入力画像フォーマット(図3参照)を特定の3種類の立体出力フォーマット(【0017】?【0020】、図4?図6参照)の何れかに変換するようにしたもの、つまり上記1種類の入力画像フォーマットと3種類の立体出力フォーマットの各々との組合わせに対応するフォーマット変換のみをサポートするようにしたものである。したがって引用発明でも、特定のフォーマットの組合わせに対応するものに制限してフォーマット変換をサポートしており、それ故、上記のような多数の入力画像フォーマットと立体出力フォーマットとの種々の組合わせに対しては、フォーマット変換がサポートされていない場合が生ずることは明らかである。
一方、一般に情報処理の分野において、処理の開始前に当該処理がサポートされているか否かを判定し、サポートされていると判定された場合に、当該処理を実行することは周知の技術である。〔例えば前記査定の理由で文献4,文献5として引用する特開平9-191475号公報(段落【0014】?【0016】、図1)、特開2003-348537号公報(段落【0081】,【0084】、図9)等参照。〕
そうすると、引用発明において、上記のようにフォーマット変換がサポートされていない場合に、本願発明の上記相違点に係る要件のように、「前記入力画像フォーマットから立体出力フォーマットへの変換がサポートされているか否かを決定」し、「前記変換がサポートされていることが決定された場合に、」上記フォーマット変換を行う(当該フォーマット変換により出力画像データを作り出す)ようにすることは、上記周知技術から当業者が容易に想到し得たというべきことである。
なお、そのようにするのに伴い、上記フォーマット変換を行うステップ、上記出力画像データを作り出すステップでの「立体出力フォーマット」が上記のように「サポートされた」ものとなるのは当然のことにすぎない。

以上のように、上記相違点に係る本願発明の要件は、当業者が容易に想到し得たものと認められ、本願発明を全体としてみても格別のものはなく、その作用効果も、上記要件の採用に伴って当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。

5.まとめ
したがって、本願発明は、上記引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第四 むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に日本国内で頒布された刊行物である上記刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、したがって特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
それ故、本願の請求項2から請求項18までの各請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-11-28 
結審通知日 2012-12-04 
審決日 2012-12-17 
出願番号 特願2008-531070(P2008-531070)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 益戸 宏  
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 千葉 輝久
藤内 光武
発明の名称 立体視フォーマット・コンバータ  
代理人 龍華国際特許業務法人  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ