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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01S
管理番号 1273663
審判番号 不服2012-5268  
総通号数 162 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-03-21 
確定日 2013-05-09 
事件の表示 特願2009-189408「超音波センサ」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 2月24日出願公開、特開2011- 39003〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・原査定の拒絶の理由
本願は、平成21年8月18日の出願であって、明細書及び特許請求の範囲について、平成23年8月1日付けで補正がなされ(以下、「補正1」という。)、同年11月28日付けで補正がなされ(以下、「補正2」という。)、同年12月13日付け(送達は、同年同月20日である。)で拒絶査定がなされ、これに対し、平成24年3月21日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。
そして、原査定の拒絶の理由は、特許請求の範囲に記載の発明は、本願出願前に国内又は外国において頒布された刊行物である特開平10-70784号公報(以下、「引用例1」という。)に記載された発明、及び特開2003-163995号公報(以下、「引用例2」という。)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた、というものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明は、補正1、補正2によって補正された特許請求の範囲に記載の、次のとおりのものである。
「車両側面の設置面に設けられ、超音波を送受波することで検知エリア内の障害物の存在を検知する車両用障害物検知器に用いられ、
圧電基板が振動することにより超音波を送受波する圧電素子と、当該圧電素子が一面側に接合される板状の音響整合層と、音響整合層を一面側から支持し、内部に充填材を注入して圧電素子を封止して収納する振動ケースとを有する超音波マイクと、
超音波マイクを保持する保持ゴムと、
超音波マイクと保持ゴムとを収納し、設置面に穿孔された取付孔に挿設されるハウジングとを備え、
音響整合層の他面は、圧電素子と接合している一面側に対して、車両の水平方向および上下方向に傾斜した傾斜面で構成され、
音響整合層の他面を露出させるために形成された保持ゴムおよびハウジングの各開口部の周縁は、音響整合層の他面と連続する傾斜面で構成され、
音響整合層の他面と保持ゴムおよびハウジングの各開口部の周縁とは、設置面と平行に形成されることを特徴とする超音波センサ。」(以下、「本願発明」という。)

3.引用例記載の事項・引用発明
(1)引用例1
これに対して、引用例1には、次の事項(a)ないし(d)が図面とともに記載されている。
ア 記載事項
(a)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉢状のケーシングを有し、該ケーシングの底部に振動素子が設けられており、該振動素子によって振動ダイヤフラムが形成されており、さらに該振動ダイヤフラムの領域において、内壁の壁厚部を少なくとも一カ所有する、例えば超音波領域の音響信号を送信及び/又は受信するためのセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】超音波信号(US信号)の送受信のために、すでに鉢状のセンサが公知である。このセンサにおいては、その底部の内側にピエゾ素子が設けられている。このようなセンサは、優先方向を持たずに円対称に放射する。所定の適用事例に対しては、例えば車間距離測定においては、水平方向及び/又は垂直方向におけるセンサ感度を変えることが望ましい。ヨーロッパ特許第75302B1号明細書から、伝播ローブ乃至は受信ローブを形成するために、円の切片の形状の、2つの超音波制動体を、向かい合わせにして変換器ケーシングの中に格納することが公知である。この制動体によって、変換器ケーシングの音波発生/受波ダイヤフラム面の所定の領域が制動される。このことによって、所定の放射角度の高調波に対してセンサ感度がはっきりと低下しうることが示された。これに対して、ドイツ特許第4120681号公開公報では、基本波だけに振動し、制動されるべき高調波が発生しないように、異なる厚さを有する振動ダイヤフラムを形成することが提案されている。この場合、制動体は必要ない。ドイツ特許第3441684号公開公報からは、同様に、楕円形の振動ダイヤフラムが設けられている基本波振動子が提案されている。
【0003】公知のセンサでは、提案された手段によって、超音波信号の伝播ローブ乃至は受信ローブは、実質的に主軸に対して対称に形成される。しかし、このような超音波センサを例えば自動車のバンパーの領域に配置する場合には、次のことが望ましい。すなわち、放射ローブ乃至は受信ローブの形が、放射軸に対して非対称に形成され、この結果、自動車の部分又は舗装路面からの望ましくない反射又は隣のセンサの結合を抑制することが望ましい。また、いわゆる自動車の死角におけるセンサ感度をとりわけ向上させ、できるだけ早めに小さな障害物も検出することが望ましい。このことによって、例えば、駐車又は駐車場所から車両を出す際の破損事故の危険が確実に回避される。」
(b)「【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、例えば自動車のバンパーに音響信号の送受信センサを配置する場合、放射ローブ乃至は受信ローブの形が、放射軸に対して非対称に形成され、この結果、自動車の部分又は舗装路面からの望ましくない反射又は隣のセンサの結合を抑制し、さらに、いわゆる自動車の死角におけるセンサ感度を向上させ、できるだけ早めに小さな障害物も検出する、音響信号の送受信センサを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題は、音響信号の送受信センサの内壁の所定の箇所の厚さが、前記内壁の他の箇所の厚さよりも大きいことによって解決される。」
(c)「【0011】振動ダイヤフラムをくさび形に形成すれば、全ての送信ローブ乃至は受信ローブを、1つの優先方向へ配向することができる。このことによって、センサが車体部分の表面から浮き上がってしまうことなしに、簡単なやり方で、傾斜した車体部分に適合させることができる。従って、センサは、比較的目立つことなく車体部分に取り付けることができる。」
(d)「【0019】図6a、6b、7a、7b及び7cに図示された第6及び第7の実施例では、振動ダイヤフラム3はくさび形に形成されている。このくさび形の形成は、特に図6b、7b及び7cからよく識別できる。図6aから見て取れるように、くさび形の振動ダイヤフラム3は、図1aの実施例に相応している。ここでは、このくさび形の振動ダイヤフラム3は、この振動ダイヤフラム3の非対称な形によって、ピエゾ素子4に対して垂直に作用し、変換器ケーシング5の中心軸方向からそれた向きの、有利な放射方向が付加的に作り出されている。2つの軸の間には角度αが形成されている。このくさび形は、この場合、変換器ケーシング5の内側に傾斜面が設けられるように形成されており、これに対して外側は内壁6に対して直角のままである。図7bは、類似の実施例を示しているが、ただ内壁全体の周面が、図7aに図示されているように、均一な厚さであるという差違を有している実施例である。
【0020】図7cの実施例においては、変換器ケーシング5の内側の面が直角に形成されおり、これに対して外側に傾斜面が設けられている。この実施形態であれば、有利には、とりわけ自動車の外側部分、例えばバンパーにある傾斜面に適合させることができる。」

イ 引用発明
上記記載(c)や(d)の段落【0020】の記載によれば、引用例1に記載の音響信号を送受信するセンサは、自動車のバンパーに設けられた取付孔に挿設されるものであり、振動ダイヤフラム3の他面を傾斜面で構成することにより、該他面は、自動車のバンパーと平行に形成されることとなるものと解される。
以上の点を踏まえ、上記記載(a)ないし(d)、及び図7cの記載を総合すると、引用例1には、次の発明が記載されているものと認める。
「自動車のバンパーに設けられ、超音波を送受波することで検知エリア内の障害物の存在を検知する自動車用障害物検知器に用いられ、
圧電基板が振動することにより超音波を送受波するピエゾ素子4と、当該ピエゾ素子4が一面側に接合される板状の振動ダイヤフラム3と、振動ダイヤフラム3を一面側から支持し、内部にピエゾ素子4を収納する変換器ケーシング5とを有する音響信号を送受信するセンサであって、
音響信号を送受信するセンサは、自動車のバンパーに設けられた取付孔に挿設され、
振動ダイヤフラム3の他面は、ピエゾ素子4と接合している一面側に対して傾斜した傾斜面で構成され、
振動ダイヤフラム3の他面は、自動車のバンパーと平行に形成される音響信号を送受信するセンサ。」(以下、「引用発明1」という。)

(2)引用例2
また、引用例2には、次の事項(e)ないし(g)が図面とともに記載されている。
ア 記載事項
(e)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両等に搭載され、超音波を利用して周囲の物体を検出する超音波検知器に使用する空中超音波マイクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の空中超音波マイクとして、例えば図14に示すような、特許第2651140号として開示されている空中超音波マイク100がある。
【0003】図14において、(a)、(b)、(c)は、それぞれ空中超音波マイク100の上面図、同図(a)のA-A方向から見た側面の説明図、同図(a)のB-B方向から見た側面の説明図である。
【0004】この空中超音波マイク100は、数100kHz乃至数MHzの周波数の超音波を利用しておよそ10m程度までの距離に存在する物体を検出する超音波検知器に使用するものであって、広がり振動を行なう円筒形状の圧電素子2の一方の主面に、この圧電素子2の振動の空中への放射率を高めるための音響整合層3が接着され、この音響整合層3の周縁部に、圧電素子2を取り囲むように、リング状の振動ケース4を接合し、圧電素子2の両主面と端子7との間をリード線6a,6bを介して接続し、更に振動ケース4を樹脂等の充填材にて封止されてなる。
【0005】次に、図15に示すように、上記空中超音波マイク100が、車両8に搭載され車両8後方の障害物を検知する超音波検知器101に使用された場合について説明する。
【0006】図15において、(a)、(b)は、それぞれ車両8後部及び超音波検知器101による検知範囲を示す上面図、側面図である。
【0007】この超音波検知器101は、車両8後方のバンパー8aに装着されて、車両8後方の障害物を検知するものであって、上記空中超音波マイク100にて形成したセンサ部110と、センサ部110の超音波信号の送受信を制御するコントローラーユニット部120と、コントローラーユニット部120から送信される制御信号を受信して、ブザーを鳴動させたり、LEDを点滅させたりする表示部130とから構成される。
【0008】コントローラーユニット部120からセンサ部110へ間欠的に制御信号が送られると、センサ部110が増幅された超音波パルスを発信させる。検知範囲内に障害物が存在するとき、この超音波パルスが障害物に当たって反射波が発生する。そして、その反射波をセンサ部110が受信すると、コントローラーユニット部120へ検知信号が送られる。すると、コントローラーユニット部120が表示部130へ制御信号を送り、表示部130のブザーが鳴動すると共に、LEDが点滅して物体の検知がなされる。」
(f)「【0022】
【発明の実施の形態】本発明の空中超音波マイク及びこれを備えた超音波検知器は、発信される超音波パルスの指向特性が、水平方向には広く、垂直方向には狭くなるようにするという目的を、下記のように実現した。
【0023】以下、図面に沿って、本発明の空中超音波マイク及びこれを備えた超音波検知器の構成等について説明する。なお、以下に述べる説明では、圧電素子2乃至端子7等、従来の技術において説明したものと基本的機能が実質的に同様の部分には同じ符号を付している。
【0024】図1は、本発明の空中超音波マイクの第1の実施の形態を示した図である。図1において、(a)、(b)、(c)は、それぞれ空中超音波マイク1の上面図、同図(a)のA-A方向から見た側面の説明図、同図(a)のB-B方向から見た側面の説明図である。
【0025】この空中超音波マイク1は、超音波を利用しておよそ10m程度までの距離に存在する物体を検出する超音波検知器に使用するものであって、圧電基板の広がり振動モードあるいは厚み振動モードを利用する略円筒形状の圧電素子2と、この圧電素子2が一方の主表面に接着される音響整合層3と、圧電素子2を内側にして音響整合層3を支持するリング状の振動ケース4と、圧電素子2の両主面と端子7との間を接続するリード線6a,6bとを有し、更に振動ケース4を樹脂等の充填材にて封止して構成している。
【0026】この第1の実施の形態に係る空中超音波マイク1は、従来の技術の項にて述べたものとは、音響整合層3の構造が異なっている。すなわち、音響整合層3は図1(a)のB-Bに沿う方向の両端部3b,3bの厚さが中央部3aより薄くなるようにして形成している。詳しくは、音響整合層3は、そのB-Bに沿う方向の両端部3b,3bを、段差部の平面視が図1(a)に示すようなA-Aに沿う略直線形状であって、その段差部の断面が同図(c)に示すような略階段状をなすように形成し、更に中央部3aと両端部3b,3bとの間には、中央部3aから両端部3b,3bに向かって徐々に厚みが変化するように同図(c)に示すような断面が略円弧形状をしたテーパ3c,3cを設けてある。」
(g)「【0027】図2は、上述した空中超音波マイク1を用いて構成した後述する超音波検知器10のセンサ部20を示す図である。図2において、(a)、(b)は、それぞれセンサ部20の上面図、同図(a)のA-A方向から見た側面の説明図である。
【0028】このセンサ部20は、上述した空中超音波マイク1と、この空中超音波マイク1を固定する保持ゴム21と、これらを収納して後述する車両8後方のバンパー8aに固定されるハウジング22と、後述するコントローラーユニット部30から間欠的に送られる制御信号の処理等を行う電子回路部23と、この電子回路部23とコントローラーユニット部30とを接続する信号線24及びコネクタ25とから構成している。
【0029】次に、図3に示すように、上記空中超音波マイク1を用いて構成したセンサ部20が、車両8に搭載され車両8後方の障害物を検知する超音波検知器10として使用される場合について説明する。
【0030】図3において、(a)、(b)は、それぞれ車両8後部及び超音波検知器10による検知範囲を示す上面図、側面図である。
【0031】この超音波検知器10は、車両8後方のバンパー8aに装着されて、車両8後方の障害物を検知するものであって、上記空中超音波マイク1にて形成したセンサ部20と、センサ部20の超音波信号の送受信を制御するコントローラーユニット部30と、コントローラーユニット部30から送信される制御信号を受信して、ブザーを鳴動させたり、LEDを点滅させたりする表示部40とから構成される。
【0032】コントローラーユニット部30からセンサ部20へ間欠的に制御信号が送られると、センサ部20が増幅された超音波パルスを発信させる。検知範囲内に障害物が存在するとき、この超音波パルスが障害物に当たって反射波を発生する。そして、その反射波をセンサ部20が受信すると、コントローラーユニット部30へ検知信号が送られる。すると、コントローラーユニット部30が表示部40へ制御信号を送り、表示部40のブザーが鳴動すると共に、LEDが点滅する。」

イ 引用発明
上記記載(e)ないし(g)、及び図1ないし3、図14,15の記載を総合すると、引用例2には、次の発明が記載されているものと認める。
「車両側面の設置面に設けられ、超音波を送受波することで検知エリア内の障害物の存在を検知する車両用障害物検知器に用いられ、
圧電基板が振動することにより超音波を送受波する圧電素子2と、当該圧電素子2が一面側に接合される板状の音響整合層3と、音響整合層3を一面側から支持し、内部に充填材を注入して圧電素子2を封止して収納する振動ケース4とを有する空中超音波マイク1,100と、
空中超音波マイク1,100を保持する保持ゴム21と、
空中超音波マイク1,100と保持ゴム21とを収納し、設置面8aに穿孔された取付孔に挿設されるハウジング22とを備え、
音響整合層3の他面を露出させるために形成された保持ゴム21及びハウジング22の各開口部の周縁は、音響整合層3の他面と連続する面で構成され、
音響整合層3の他面と保持ゴム21及びハウジング22の各開口部の周縁とは、設置面8aと平行に形成される超音波センサ部20。」(以下、「引用発明2」という。)

4.対比
(1)まず、本願発明と引用発明1とを、主たる構成要素毎に対比する。
引用発明1における「自動車のバンパー」は、本願発明における「車両側面の設置面」に相当し、「ピエゾ素子4」は、「圧電素子」に相当し、以下、同様に、「変換器ケーシング5」は「振動ケース」に、「音響信号を送受信するセンサ」は「超音波マイク」に、それぞれ相当する。
また、引用発明1における「振動ダイヤフラム3」は、その作用からみて、本願発明における「音響整合層」に相当するといえる。
以上の相当関係を踏まえると、引用発明1における「圧電基板が振動することにより超音波を送受波するピエゾ素子4と、当該ピエゾ素子4が一面側に接合される板状の振動ダイヤフラム3と、振動ダイヤフラム3を一面側から支持し、内部にピエゾ素子4を収納する変換器ケーシング5とを有する音響信号を送受信するセンサ」も、本願発明における「圧電基板が振動することにより超音波を送受波する圧電素子と、当該圧電素子が一面側に接合される板状の音響整合層と、音響整合層を一面側から支持し、内部に充填材を注入して圧電素子を封止して収納する振動ケースとを有する超音波マイク」も、共に、「圧電基板が振動することにより超音波を送受波する圧電素子と、当該圧電素子が一面側に接合される板状の音響整合層と、音響整合層を一面側から支持し、内部に圧電素子を収納する振動ケースとを有する超音波マイク」である点で共通する。
さらに、引用発明1における「音響信号を送受信するセンサは、自動車のバンパーに設けられた取付孔に挿設され、振動ダイヤフラム3の他面は、ピエゾ素子4と接合している一面側に対して傾斜した傾斜面で構成され、」ていることも、本願発明における「超音波マイクを保持する保持ゴムと、超音波マイクと保持ゴムとを収納し、設置面に穿孔された取付孔に挿設されるハウジングとを備え、音響整合層の他面は、圧電素子と接合している一面側に対して、車両の水平方向および上下方向に傾斜した傾斜面で構成され、」ていることも、共に、「設置面に穿孔された取付孔に挿設され、音響整合層の他面は、圧電素子と接合している一面側に対して傾斜した傾斜面で構成され、」ている点で共通する。

(2)以上を総合すると、両者の一致点及び相違点は、以下のとおりである。
(一致点)
「車両側面の設置面に設けられ、超音波を送受波することで検知エリア内の障害物の存在を検知する車両用障害物検知器に用いられ、
圧電基板が振動することにより超音波を送受波する圧電素子と、当該圧電素子が一面側に接合される板状の音響整合層と、音響整合層を一面側から支持し、内部に圧電素子を収納する振動ケースとを有する超音波マイクを備え、
設置面に穿孔された取付孔に挿設され、音響整合層の他面は、圧電素子と接合している一面側に対して傾斜した傾斜面で構成され、
音響整合層の他面は、設置面と平行に形成されることを特徴とする超音波センサ。」
(相違点)
ア 超音波マイクの構成に関し、本願発明は、「内部に充填材を注入して圧電素子を封止して収納する振動ケース」とあるように、その内部に充填材を注入して圧電素子を封止しているのに対し、引用発明1では、その点が明らかではない点。
イ 本願発明に係る超音波センサは、「超音波マイクと、超音波マイクを保持する保持ゴムと、超音波マイクと保持ゴムとを収納し、設置面に穿孔された取付孔に挿設されるハウジングとを備え、」ており、「音響整合層の他面を露出させるために形成された保持ゴムおよびハウジングの各開口部の周縁は、音響整合層の他面と連続する傾斜面で構成され、音響整合層の他面と保持ゴムおよびハウジングの各開口部の周縁とは、設置面と平行に形成される」のに対し、引用発明1においては、「音響信号を送受信するセンサは、車両のバンパーに設けられた取付孔に挿設され、振動ダイヤフラム3の他面は、ピエゾ素子4と接合している一面側に対して傾斜した傾斜面で構成され、振動ダイヤフラム3の他面は、自動車のバンパーと平行に形成される」ものの、音響信号を送受信するセンサ(本願発明における「超音波マイク」に相当する。以下、同様。)を保持する保持ゴムや、これらを収納するハウジングを備えているかどうかが明らかでない点。
ウ 傾斜面の方向に関し、本願発明は、「車両の水平方向および上下方向に傾斜した傾斜面」であるとしているのに対し、引用発明1は、「傾斜した傾斜面」であるとしているにとどまる点。

5.判断
(1)相違点ア、イについて
相違点ア、イを併せて検討する。
相違点アに相当する、内部に充填材を注入して圧電素子を封止している超音波マイクは、引用発明2として公知なものであり、また、相違点イに相当する、空中超音波マイク(超音波マイク)と、空中超音波マイクを保持する保持ゴムと、空中超音波マイクと保持ゴムとを収納し、設置面に穿孔された取付孔に挿設されるハウジングとを備えており、音響整合層の他面を露出させるために形成された保持ゴムおよびハウジングの各開口部の周縁は、音響整合層の他面と連続する傾斜面で構成され、音響整合層の他面と保持ゴムおよびハウジングの各開口部の周縁とは、設置面と平行に形成される超音波センサ部(超音波センサ)も、引用発明2として公知なものである。
引用発明1も、引用発明2も、共に、車両用障害物検知器に用いられる超音波センサであり、いずれも、車両のバンパー等の設置面に設けられるものであるから、引用発明1に係る「音響信号を送受信するセンサ」として引用発明2に係る超音波センサを採用することで本願発明の如き構成とすることは、当業者ならば容易に想到し得たことである。

(2)相違点ウについて
引用発明1における振動ダイヤフラム3(音響整合層)に係る「傾斜面」は、「自動車の外側部分、例えばバンパーにある傾斜面に適合させることができる」(「3.(1)」(c)の段落【0020】)のであり、一般に、自動車のバンパーは、自動車の水平方向だけでなく、上下方向にも傾斜している箇所があるものであるから、引用発明1に係る「傾斜面」を、本願発明の如く、「車両の水平方向および上下方向に傾斜した傾斜面」とすることは、当業者ならば容易に想到し得たことである。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明1や引用発明2から当業者が予測可能なものであって、格別のものでもない。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-03-06 
結審通知日 2013-03-12 
審決日 2013-03-25 
出願番号 特願2009-189408(P2009-189408)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01S)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 戸次 一夫  
特許庁審判長 飯野 茂
特許庁審判官 山川 雅也
森 雅之
発明の名称 超音波センサ  
代理人 仲石 晴樹  
代理人 西川 惠清  
代理人 北出 英敏  
代理人 坂口 武  
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