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審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する B01D
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する B01D
管理番号 1274146
審判番号 訂正2013-390014  
総通号数 163 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-07-26 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2013-01-23 
確定日 2013-05-09 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3763996号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3763996号に係る明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり一群の請求項ごとに訂正することを認める。 
理由 1.請求の要旨
本件審判の請求の要旨は、特許第3763996号(特許出願 平成11年5月7日(パリ条約による優先権主張 平成10年5月8日)、設定登録 平成18年1月27日)の明細書及び特許請求の範囲を、審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり一群の請求項ごとに訂正すること、すなわち、下記の訂正事項1ないし9のとおり訂正することを求めるものである。(なお、下線部は当審で訂正箇所を示したものである。)
・訂正事項1
訂正前の特許請求の範囲の請求項1の「巻かれる熱固化重合体ステープルファイバーとを有し、」を、「巻かれるステープルファイバーとを有し、該ステープルファイバーがPTFE、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアクリルニトリル、またはアラミドから構成され、」に訂正する。

・訂正事項2
訂正前の明細書の段落【0001】の「ガラス繊維から成る濾過組織が、熱固化、重合体、ステープルファイバーで縫合わせることによって覆われ、」を、「ガラス繊維から成る濾過組織が、下記特定のステープルファイバーで縫合わせることによって覆われ、」に訂正し、当該段落【0001】の末尾に「ステープルファイバーがPTFE、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアクリルニトリル、またはアラミドから構成される。」を付加して訂正する。

・訂正事項3
訂正前の明細書の段落【0016】の「縫い付けられる温度固化重合体ステープルファイバーが、」を、「縫い付けられる上記特定のステープルファイバーが、」に訂正する。

・訂正事項4
訂正前の特許請求の範囲の請求項1の「40%以下」を、「40%未満」に訂正する。

・訂正事項5
訂正前の明細書の段落【0001】の「40%以下」を、「40%未満」に訂正する。

・訂正事項6
訂正前の特許請求の範囲の請求項1の「350g/m^(2)以上」を、「350g/m^(2)超」に訂正する。

・訂正事項7
訂正前の明細書の段落【0006】及び【0019】の「350g/m^(2)以上」を、「350g/m^(2)超」に訂正する。

・訂正事項8
訂正前の特許請求の範囲の請求項3の「150℃以上の」を、「150℃を超える」に訂正する。

・訂正事項9
訂正前の明細書の段落【0012】及び【0019】の「150℃以上の」を、それぞれ、「150℃を超える」及び「150℃を超える温度」に訂正する。

2.当審の判断
(1)そこで、これらの訂正事項の、訂正の目的について検討する。
ア 訂正事項1について
ステープルファイバーを特定する「熱固化重合体」との事項は、技術用語として一般的なものではなく、訂正前の明細書においても、「熱固化重合体」なる用語を明確に定義した記載は存在しない。
また、「熱固化重合体」が特定するステープルファイバーについて、訂正前の明細書では、段落【0001】に「ガラス繊維から成る濾過組織が、熱固化、重合体、ステープルファイバーで縫合わせることによって覆われ、」と、段落【0012】に「150℃以上の温度で熱処理することによって収縮すると、特にステープルファイバーが確実に、濾過組織と結合される。」と、段落【0015】に「ステープルファイバーは、PTFEから構成され、繊度がせいぜい3.5dtexであれば、濾過媒体は、高温で強まる化学的な影響に対して特に充分耐える。」と、段落【0016】に「縫い付けられる温度固化重合体ステープルファイバーが、ポリイミド、ポリアクリルニトル、ポリフェニレンスルフィドまたはアラミドから構成されていると、濾過媒体の濾過特性及び、そのコストに対する利益率を更に改善することができる。」と、それぞれ説明されているが、いずれの記載からも「熱固化重合体」の技術的な意味を把握することができない。
一方、ステープルファイバーが、「PTFE、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアクリルニトリル、またはアラミドから構成され」ると訂正することは、訂正前の特許請求の範囲の請求項1において、ステープルファイバーの具体的な材料を特定して限定するものである。
よって、ステープルファイバーを特定するにあたり、技術的に明瞭な記載ではなく、「ステープルファイバー」の技術的範囲を不明確とする「熱固化重合体」との事項を削除し、ステープルファイバーの材料を「PTFE、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアクリルニトリル、またはアラミドから構成され」ると限定する訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とし、さらに、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

イ 訂正事項2について
「熱固化、重合体」とは、上記「熱固化重合体」と同様に技術用語として一般的なものではなく、明細書中の記載を参酌しても、技術的に明瞭な記載であるとはいえない。
また、段落【0001】の末尾に「ステープルファイバーがPTFE、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアクリルニトリル、またはアラミドから構成される。」を付加する訂正は、上記訂正事項1で、請求項1についてステープルファイバーの材料を限定したことに伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、特許請求の範囲の請求項1の記載に合わせて訂正したものである。
よって、訂正前の明細書の段落【0001】の「ガラス繊維から成る濾過組織が、熱固化、重合体、ステープルファイバーで縫合わせることによって覆われ、」を、「ガラス繊維から成る濾過組織が、下記特定のステープルファイバーで縫合わせることによって覆われ、」とし、当該段落【0001】の末尾に「ステープルファイバーがPTFE、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアクリルニトリル、またはアラミドから構成される。」を付加する訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。

ウ 訂正事項3について
「温度固化重合体」とは、上記「熱固化重合体」及び上記「熱固化、重合体」と同様に技術用語として一般的なものではなく、明細書中の記載を参酌しても、技術的に明瞭な記載であるとはいえない。
よって、 訂正前の明細書の段落【0016】の「縫い付けられる温度固化重合体ステープルファイバーが、」を、「縫い付けられる上記特定のステープルファイバーが、」とする訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。

エ 訂正事項4について
訂正事項4に係る請求項1の「40%以下」を「40%未満」とする訂正は、「40%」が除かれ、数値範囲が減縮されるものである。
よって、訂正前の特許請求の範囲の請求項1の「40%以下」を、「40%未満」とする訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

オ 訂正事項5について
訂正事項5は、上記訂正事項4に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、請求項1の記載に合わせて訂正したものである。
よって、訂正前の明細書の段落【0001】の「40%以下」を、「40%未満」とする訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。

カ 訂正事項6について
訂正事項6に係る請求項1の「350g/m^(2)以上」を「350g/m^(2)超」とする訂正は、「350g/m^(2)」が除かれ、数値範囲が減縮されるものである。
よって、訂正前の特許請求の範囲の請求項1の「350g/m^(2)以上」を、「350g/m^(2)超」とする訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

キ 訂正事項7について
訂正事項7は、上記訂正事項6に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、請求項1の記載に合わせて訂正したものである。
よって、訂正前の明細書の段落【0006】及び【0019】の「350g/m^(2)以上」を、「350g/m^(2)超」とする訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。

ク 訂正事項8について
訂正事項8に係る請求項3の「150℃以上」を「150℃を超える」とする訂正は、「150℃」が除かれ、数値範囲が減縮されるものである。
よって、訂正前の特許請求の範囲の請求項3の「150℃以上」を、「150℃を超える」とする訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

ケ 訂正事項9について
訂正事項9は、上記訂正事項8に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、請求項3の記載に合わせて訂正したものである。
よって、訂正前の明細書の段落【0012】及び【0019】の「150℃以上の」を、それぞれ、「150℃を超える温度」とする訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。

(2)次に、上記訂正事項が、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでないかどうか検討する。
ア 訂正事項1について
訂正事項1に係る「巻かれるステープルファイバー」との事項は、願書に最初に添付した明細書の段落【0012】に「この収縮工程によって、スーテープファイバーは、特に濾過組織に対して堅く且つ互いに巻き付く。」と記載され、同じく訂正事項1に係るステープルファイバーが「PTFE、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアクリルニトリル、またはアラミドから構成され」るとの事項は、願書に最初に添付した明細書の段落【0015】に「・・・・ステープルファイバーは、PTFEから構成され、・・・・」と、同じく【0016】に「・・・・縫い付けられる温度固化重合体ステープルファイバーが、ポリイミド、ポリアクリルニトル、ポリフェニレンスルフィドまたはアラミドから構成されていると、・・・・」と記載されており、それぞれ、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内のものである。
また、訂正事項1の「熱固化重合体」との事項を削除する訂正は、ステープルファイバーを特定するにあたり、技術的に明瞭でない記載を削除するものであって、それによって、「ステープルファイバー」の解釈が実質的に変わらないと認められるから、「熱固化重合体」との事項を削除し、ステープルファイバーの材料を限定する訂正事項1に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでないといえる。
よって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第5項及び同条第6項に規定された各要件を満たすものである。

イ 訂正事項2及び3について
訂正事項2及び3に係る各訂正も、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでなく、特許法第126条第5項及び同条第6項に規定された各要件を満たすものである。

ウ 訂正事項4について
本件特許のパリ条約による優先権主張に係るドイツ国出願(出願番号:198 20 560.0)において、訂正事項4に係る箇所の記載は「unter 40%」であり、本来、「40%未満」と翻訳されるべきところ、訂正前の特許請求の範囲の請求項1では「40%以下」と記載されていたものである。また、「40%未満」と訂正することにより、「40%」が除かれることになるものである。
そうであるから、訂正事項4に係る訂正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでなく、特許法第126条第5項及び同条第6項に規定された各要件を満たすものである。

エ 訂正事項6について
本件特許のパリ条約による優先権主張に係るドイツ国出願(出願番号:198 20 560.0)において、訂正事項6に係る箇所の記載は「u(原文ではウムラウト記号を付したu)ber 350 g/m^(2)」であり、本来、「350g/m^(2)超」と翻訳されるべきところ、訂正前の特許請求の範囲の請求項1では「350g/m^(2)以上」と記載されていたものである。また、「350g/m^(2)超」と訂正することにより、「350g/m^(2)」が除かれることになるものである。
そうであるから、訂正事項6に係る訂正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでなく、特許法第126条第5項及び同条第6項に規定された各要件を満たすものである。

オ 訂正事項8について
本件特許のパリ条約による優先権主張に係るドイツ国出願(出願番号:198 20 560.0)において、訂正事項8に係る箇所の記載は「u(原文ではウムラウト記号を付したu)ber 150℃」であり、本来、「150℃を超える」と翻訳されるべきところ、訂正前の特許請求の範囲の請求項3では「150℃以上」と記載されていたものである。また、「150℃を超える」と訂正することにより、「150℃」が除かれることになるものである。
そうであるから、訂正事項8に係る訂正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでなく、特許法第126条第5項及び同条第6項に規定された各要件を満たすものである。

カ 訂正事項5、7及び9について
訂正事項5、7及び9に係る各訂正も、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでなく、特許法第126条第5項及び同条第6項に規定された各要件を満たすものである。

(3)さらに、訂正後の特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下、「本件訂正発明1」という。)と、特開平2-135106号公報(本件の審査過程における平成16年3月10日付けの拒絶理由通知の引用文献1。以下、「引用文献1」という。)、特開昭58-214313号公報(同様に、「引用文献2」という。)に記載された発明を対比すると、本件訂正発明1と引用文献1及び2に記載された各発明は、少なくとも下記の点で相違する。

相違点:本件訂正発明1が、ガラス繊維から成る濾過組織(1)と、濾過組織と縫い合わされて、巻かれるステープルファイバーとを有し、巻かれたステープルファイバーの重量割合が、総重量に対して40%未満であり、濾過組織(1)は、その面積重量が350g/m^(2)超で、厚さが少なくとも0.5mmであり、ステープルファイバー(2)の繊度が0.80dtex?8dtexで、カットの長さが少なくとも20mmであり、ステープルファイバー(2)が、直径が非常に小さく、長さが少なくとも20mmであり、単一のステープルファイバーがその状態で縫い合わされる際に、ガラス繊維から成る濾過組織を介して多重に通るように案内され、それによって堅く固定されるのに対し、引用文献1及び2に記載された各発明は、そのようなものではない点。

本件訂正発明1は、上記の相違点に係る事項を備えることにより、明細書に記載されるように「その様な濾過媒体の場合、機械的負荷が大きいことにより生じる縫合わせの危険性が、相互に補助する特性によって、確実に取り除かれる。ステープルファイバーは、直径が非常に小さく、長さが少なくとも20mmであるので、単一のステープルファイバーがその状態で縫合わされる際、濾過組織のメッシュ寸法が小さくても、ガラス繊維から成る濾過組織を介して多重に通るように案内され、それによって堅く固定される。ステープルファイバーの表面は、加えてステープルファイバーの支持するためガラス繊維に保持され、ステープルファイバーを堅く固定するように作用する。」(段落【0007】)との効果を奏するものである。

したがって、本件訂正発明1は、引用文献1及び2に記載された各発明から、容易に発明をすることができたものとはいえない。
また、他に、本件訂正発明1が、特許を受けることができないとする理由
も見いだせない。
よって、訂正後の特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができる発明である。

さらに、訂正後の特許請求の範囲の請求項2ないし7に記載されている事項により特定される各発明も、上記の相違点に係る事項を含んでおり、本件訂正発明1と同様に、特許出願の際独立して特許を受けることができる発明である。

以上のことから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載されている事項により特定される各発明は、特許法第126条第7項に規定された要件を満たすものである。

3.むすび
したがって、本件審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するので、適法な訂正と認める。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
濾過媒体
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス繊維から成る濾過組織(1)と、濾過組織と縫い合わされて、巻かれるステープルファイバーとを有し、該ステープルファイバーがPTFE、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアクリルニトリル、またはアラミドから構成され、巻かれたステープルファイバーの重量割合が、総重量に対して40%未満であり、
濾過組織(1)は、その面積重量が350g/m^(2)超で、厚さが少なくとも0.5mmであり、
ステープルファイバー(2)の繊度が0.80dtex?8dtexで、カットの長さが少なくとも20mmであり、
ステープルファイバー(2)が、直径が非常に小さく、長さが少なくとも20mmであり、単一のステープルファイバーがその状態で縫い合わされる際に、ガラス繊維から成る濾過組織を介して多重に通るように案内され、それによって堅く固定されることを特徴とする濾過媒体。
【請求項2】
ステープルファイバーの表面が、縫合わせ後に、取り付けられる重合体コーティングによって、覆われることを特徴とする請求の範囲1に記載の濾過媒体。
【請求項3】
ステープルファイバー(2)を、縫合わせた後に150℃を超える温度で熱処理することによって、収縮させることを特徴とする請求の範囲1に記載の濾過媒体。
【請求項4】
前記重合体コーティングが、無機充填物を含むPTFEから構成されることを特徴とする請求の範囲1?3のいずれか一つに記載の濾過媒体。
【請求項5】
無機充填物として人工のフッカ珪素酸が利用されることを特徴とする請求の範囲4に記載の濾過媒体。
【請求項6】
ステープルファイバー(2)が、ポリ・テトラ・フルオロ・エチレン(PTFE)から成り、せいぜい3.5dtexの繊度を有することを特徴とする請求の範囲1に記載の濾過媒体。
【請求項7】
ステープルファイバー(2)が、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアクリルニトリル、またはアラミドから構成されていることを特徴とする請求の範囲1または2に記載の濾過媒体。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は濾過媒体に関するものであり、ガラス繊維から成る濾過組織が、下記特定のステープルファイバーで縫合わせることによって覆われ、ステープルファイバーの重量割合が、濾過媒体の総重量の40%未満である。ステープルファイバーがPTFE、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアクリルニトリル、またはアラミドから構成される。
【0002】
【従来の技術】
従来の濾過媒体は、ドイツ国特許DE 169 15 022号に開示されている。その記載による濾過媒体は、先ず第一に以前から知られている濾過媒体とは異なり、ガラス繊維が、保護組織として作用するように備えられるだけでなく、ガラス繊維により形成された組織の密度を基に、濾過作業を行っている。更に、ステープルファイバーは、濾過媒体が横割れするのを防ぐものであり、ステープルファイバーでガラス繊維の屈曲角度を制限することによって、亀裂が入らないようにしている。
【0003】
ポリ・テトラ・フルオロ・エチレン(PTFE)により構成された約40重量パーセントのステープルファイバーから成る保護組織で覆われた濾過媒体は、例えばフランス国特許FR 2 584 942号に記載されている。その記載によるガラス繊維組織は、350g/m^(2)までの面積重量を有し、そのメッシュの大きさのため、本質的に濾過作用は行われない。
【0004】
濾過媒体には、しばしば機械的な強さが必要になる。例えば管状濾過器の場合、圧縮空気の衝力により濾過管を洗浄する時である。従来の濾過媒体の場合、不利な条件下で、個々の領域を圧縮空気衝力によって洗浄すると、横割れに対して保護できなくなる。またステープルファイバーに弱い部分があると、その様な危険性が特に大きくなる。なぜなら単にステープルファイバーの相互接合が比較的弱く、その平坦な表面がガラス繊維に堅固に固定されていないからである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、機械的負荷が大きいと、上記の従来技術の濾過媒体を縫合わせ部分にリスクを負うので、それをできるだけ少なくするように、更に改善させるということである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この課題は、本発明によると、濾過組織が350g/m2超の面積重量と少なくとも0.5mmの厚さを有し、ステープルファイバーが0.80dtex?8dtexの繊度と、少なくとも20mmのカットの長さがあり、直径が非常に小さく、単一のステープルファイバーがその状態で縫い合わされる際に、ガラス繊維から成る濾過組織を介して多重に通るように案内され、それによって堅く固定されることによって解決される。
【0007】
【本発明の実施の形態】
その様な濾過媒体の場合、機械的負荷が大きいことにより生じる縫合わせの危険性が、相互に補助する特性によって、確実に取り除かれる。ステープルファイバーは、直径が非常に小さく、長さが少なくとも20mmであるので、単一のステープルファイバーがその状態で縫合わされる際、濾過組織のメッシュ寸法が小さくても、ガラス繊維から成る濾過組織を介して多重に通るように案内され、それによって堅く固定される。ステープルファイバーの表面は、加えてステープルファイバーの支持するためガラス繊維に保持され、ステープルファイバーを堅く固定するように作用する。
【0008】
本発明による濾過組織の場合、ステープルファイバーによる敷設が少なくても、横割れを確実に防ぐ。なぜなら、縫合わせしないでも、横方向の亀裂を防ぐようになっており、ステープルファイバーが横方向に固定するのに必要な最小値を下回ることがないからである。
【0009】
本発明による濾過媒体は、圧縮空気の衝力手段の方向に洗浄される管状濾過装置に装着されており、支持かご状部分のより糸空間は、その上に濾過管が配置されているが、純粋なガラス組織のところと同様に小さくなることはない。また多数の長手方向のより糸は支持かご状部分と一体であることではなく、本発明に関する濾過媒体を、圧縮空気の衝力によって洗浄される濾過装置に利用することによって、支持かごを節約することができる。
【0010】
ガラス繊維が、各従来の剛性重合体よりも相当微細(平均的に0.1?0.3μm)で、既に高い面積重量を有しており、重合体と結合すると、濾過材料に分離作用が上がるのと同時に、純粋なガラス材料の周知で不充分な横方向の剛性を改善する。
【0011】
本発明の更なる実施形態によると、ステープルファイバーの表面が、縫い合わせ後に取り付けられる重合体コーティングによって覆われる時に、ステープルファイバーのように本来、非常に平坦な表面を備えた重合体を利用することができる。
【0012】
本発明の別の実施形態によると、ステープルファイバーが縫い合わされた後に、150℃を超える温度で熱処理することによって収縮すると、特にステープルファイバーが確実に、濾過組織と結合される。この収縮工程によって、ステープルファイバーは、特に濾過組織に関して堅く且つ互いに巻き付く。
【0013】
カバーが無機充填物を有するPTFEから成っていると、カバーは特に製造する原価が安い。充填物として、その様な粉末が問題として大きく表面化する。
【0014】
特に、無機充填物として人工のフッ素珪素酸が効果的であることは明らかである。
【0015】
本発明の更なる実施形態に関して、ステープルファイバーは、PTFEから構成され、繊度がせいぜい3.5dtexであれば、濾過媒体は、高温で強まる化学的な影響に対して特に充分耐える。
【0016】
本発明の別の実施形態によると、縫い付けられる上記特定のステープルファイバーが、ポリイミド、ポリアクリルニトル、ポリフェニレンスルフィドまたはアラミドから構成されていると、濾過媒体の濾過特性及び、そのコストに対する利益率を更に改善することができる。
【0017】
【実施例】
以下添付図面を参照して、本発明を更に明確に説明する。それらの図面は、本発明による濾過媒体の横断面を示している。
【0018】
図示された濾過媒体は、互いに絡み合ったガラス繊維から成る濾過組織1を備え、その重量の割合が濾過媒体の総重量の70?85%であり、高さが例えば0.9mmである。濾過組織1は既に単独で濾過作業を行う状態にあり、その縦方向に充分堅固な厚さがあるため、従来の保護組織は不要である。濾過組織1は、少量のステープルファイバー2により覆われ、それによって、濾過媒体が例えば1.4mmの厚さを維持する。人が濾過媒体を折ろうとしても、その様に縫い合わされた重合体ステープルファイバー2が、濾過組織をガラスファイバーで形成しているので、屈曲角度が狭くならず、横割れしないようになっている。
【0019】
濾過組織1は、ゆえに目をつむようにして編まれており、面積重量が350g/m^(2)超であり、厚さが少なくとも0.5mmである。ガラス繊維は、繊度がせいぜい0.80dtex?8dtexで、カットの長さが少なくとも20mmである。編合わせた後、濾過媒体は、150℃を超える温度で熱処理にされ、それによってステープルファイバー2が、収縮し得て、相互に且つ濾過組織1に対して固定する。更に濾過媒体は、PTFEステープルファイバーで編合わせた後に有利には、PTFE-ステープルファイバーの表面に利用するコーティングを液槽で行う。
【図面の簡単な説明】
【図1】濾過媒体の断面図
【符号の説明】
1 濾過組織
2 ステープルファイバー
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2013-04-26 
出願番号 特願平11-127434
審決分類 P 1 41・ 853- Y (B01D)
P 1 41・ 851- Y (B01D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 新居田 知生  
特許庁審判長 石川 好文
特許庁審判官 鈴木 正紀
井上 茂夫
登録日 2006-01-27 
登録番号 特許第3763996号(P3763996)
発明の名称 濾過媒体  
代理人 加藤 朝道  
代理人 加藤 朝道  
代理人 内田 潔人  
代理人 内田 潔人  

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