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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A01C
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A01C
管理番号 1274176
審判番号 不服2012-1151  
総通号数 163 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-01-20 
確定日 2013-05-16 
事件の表示 特願2006-112149号「水性ゲル体製造装置、及び、水性ゲル体製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年11月 1日出願公開、特開2007-282545号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成18年4月14日の出願であって、平成23年10月17日付けで拒絶査定がされ、この査定に対し、平成24年1月20日に本件審判請求されるとともに、審判請求と同時に手続補正がなされたものである。
その後、平成24年7月4日付けで、審判請求人に前置報告書の内容を示し意見を求めるための審尋を行ったところ、同年9月10日に回答書が提出された。

第2 平成24年1月20日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成24年1月20日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正後の請求項1に記載された発明
本件補正により、特許請求の範囲の【請求項1】は、
「【請求項1】
ゲル形成性水溶液を、該ゲル形成性水溶液を凝固させて水性ゲルを形成させる凝固液中に連続的に導入させるゲル形成性水溶液供給部、該凝固液を容れるための凝固液槽、及び、該凝固液槽内で形成された連続形状の水性ゲル体を該凝固液槽外へ連続的に取り出す水性ゲル体取り出し手段を有することを特徴とする紐状ないし帯状の水性ゲル体連続製造装置。」
と補正された。

上記補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である水性ゲル体連続製造装置について、「紐状ないし帯状の水性ゲル体連続製造装置」と限定するものであり、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

2.引用刊行物とその記載事項
(1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開平2-128611号公報(以下「刊行物1」という。)には、種子のゲル被覆装置に関し、図面とともに、次の技術的事項が記載されている。
(ア)「(2)円筒状の周壁に種子吸着用の小孔を有し種子貯留槽内に収容された種子に接して回転するドラムと該ドラム内部に連通する負圧源と上記小孔が下方位置に至ったときに該小孔を上記ドラム内部より遮断する閉鎖部材とを備えた種子供給部と、ノズル本体の内部に設けられたゲル流路を開閉する筒状の切断プランジャーを有し該切断プランジャーの開弁により上記種子供給部の下方にゲル膜を形成し閉弁によってゲル被覆した種子を落下するゲル被覆部と、該ゲル被覆部の下方に配設され硬化剤を入口より出口ヘ流動する流路を有し入口寄りに種子受入部を有する硬化槽と、該硬化槽の出口より排出されたゲル被覆種子を搬送するコンベアと該コンベア上のゲル被覆種子を水洗する洗浄ノズルとを有する洗浄部とにより構成される種子のゲル被覆装置。」(特許請求の範囲)
(イ)「ゲル被覆部Bの下方には、硬化槽C及び洗浄部Dが配設される。
硬化槽Cは、第6図の平面図、第7図の正面図に示すように、上部が開口し流路がU字形に形成された槽48の入口側に硬化剤受入部49が設けられ、硬化剤受入部49の下流側に幅広の種子受入部50が設けられ、出口側端部に中央部が開口した出口フランジ51が設けられる。・・・
出口フランジ51の下方には、底面が網によって構成され外方に向って低くなる傾斜シュート65が設けられ、傾斜シュート65の出口側の下方には、洗浄部Dのコンベア66が配設される。」(第4頁左上欄第4行?左下欄第7行)
(ウ)「以上のように構成された種子のゲル被覆装置による種子のゲル被覆方法を第1図及び第11図を参照しながら説明する。・・・
ゲル被覆種子は硬化剤中に所定時間浸漬されてコンベア66上に排出されるため、表層のみが所定の深さだけ硬化された種子コーティングが施される。
次に、コンベア66上で洗浄ノズルから噴出する水によって洗浄され、コンベア66の搬出端より排出される。」(第4頁右下欄第7行?第5頁右上欄第10行)
(エ)「〔発明の効果〕・・・
(1)種子のゲル被覆、被覆層表面のみの硬化並びに水洗がすべて連続的に、自動的に、高能率で行われ、安定した品質のゲル被覆種子を安価に大量に生産することができる。」(第5頁右上欄第11?17行)
(オ)記載事項(ア)の「硬化槽」は、記載事項(イ)の様に構成され、その出口のフランジ51の下方の傾斜シュート65は、ゲル被覆種子がその後、記載事項(ウ)の様に「コンベア66上に排出される」ものであるので、硬化槽内で硬化されたゲル被覆種子をコンベア66上に排出する傾斜シュート65といえる。

すると、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が開示されているものということができる。
「種子供給部、
ノズル本体の内部に設けられたゲル流路を開閉する筒状の切断プランジャーを有し該切断プランジャーの開弁により上記種子供給部の下方にゲル膜を形成し閉弁によってゲル被覆した種子を落下するゲル被覆部、
該ゲル被覆部の下方に配設され硬化剤を入口より出口ヘ流動する流路を有し入口寄りに種子受入部を有する硬化槽、
硬化槽内で硬化されたゲル被覆種子をコンベア66上に排出する傾斜シュート65、
該硬化槽の出口より排出されたゲル被覆種子を搬送するコンベア及び、
該コンベア上のゲル被覆種子を水洗する洗浄ノズル
を有する種子のゲル被覆装置。」

(2)原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開平3-4706号公報(以下「刊行物2」という。)には、人工種子作成方法に関し、図面とともに、次の技術的事項が記載されている。
(ア)「[発明が解決しようとする課題]
従来、人工種子が粒状にしかならなくて植付けに手間が掛かるとか、ゲル化剤として比較的急速にゲル化するところの高価なものしか使用できなくて、必要費用面で不利になる不都合があった。」(第1頁右欄第5?10行)
(イ)「[課題を解決するための手段]
本発明による人工種子作成方法にあっては、目的達成のために、分裂組織とゲル化剤の混合物を押出し成型ノズルから固定液内に連続的に押出し、前記ゲル化剤を紐状にゲル化させて人工種子を作成する。
紐状にできた人工種子を必要長さに切断するに際し、紐状種子を固定液内から取出して液外でする方法を採用してもよい・・・」(第1頁右欄第15行?第2頁左上欄第3行)
(ウ)「[作 用]
・・人工種子が紐状にでき上る。そして、この紐状種子を必要長さに切断することにより、例えば植付けを必要とする分裂組織数の割には従来より少ない手間でもって植付けができる等の形状に仕上げることができる。」(第2頁左上欄第5?15行)

すると、刊行物2には、次の発明(以下「刊行物2記載の発明」という。)が開示されているものということができる。
「分裂組織とゲル化剤の混合物を押出し成型ノズルから固定液内に連続的に押出し、前記ゲル化剤を紐状にゲル化させて人工種子を作成し、
紐状種子を固定液内から取出して液外で切断する
方法」

3.本願補正発明と引用発明との対比
(1)両発明の対応関係
(a)引用発明の「ゲル膜」等の硬化前の「ゲル」は、本願補正発明の「ゲル形成性水溶液」に相当し、以下同様に、
「硬化されたゲル被覆種子」は、本願補正発明の「水性ゲル体」に、
「種子受入部を有する硬化槽」の「硬化剤」は、「ゲル形成性水溶液を凝固させて水性ゲルを形成させる凝固液」に、
「ゲル被覆部の下方に配設され硬化剤を入口より出口ヘ流動する流路を有し入口寄りに種子受入部を有する硬化槽」は、「凝固液を容れるための凝固液槽」に、
「種子のゲル被覆装置」は、刊行物1記載事項(エ)の「種子のゲル被覆・・硬化並びに水洗が・・連続的に・・行われ」るものであるので、「水性ゲル体連続製造装置」に相当する。
(b)引用発明の「ノズル本体の内部に設けられたゲル流路を開閉する筒状の切断プランジャーを有し該切断プランジャーの開弁により上記種子供給部の下方にゲル膜を形成し閉弁によってゲル被覆した種子を落下するゲル被覆部」と、本願補正発明の「ゲル形成性水溶液を、該ゲル形成性水溶液を凝固させて水性ゲルを形成させる凝固液中に連続的に導入させるゲル形成性水溶液供給部」とは、「ゲル形成性水溶液を、該ゲル形成性水溶液を凝固させて水性ゲルを形成させる凝固液中に導入させるゲル形成性水溶液供給部」で共通する。
(c)引用発明の「硬化槽内で硬化されたゲル被覆種子をコンベア66上に排出する傾斜シュート65」と、本願補正発明の「凝固液槽内で形成された連続形状の水性ゲル体を該凝固液槽外へ連続的に取り出す水性ゲル体取り出し手段」とは、「凝固液槽内で形成された水性ゲル体を該凝固液槽外へ取り出す水性ゲル体取り出し手段」で共通する。

(2)両発明の一致点
「ゲル形成性水溶液を、該ゲル形成性水溶液を凝固させて水性ゲルを形成させる凝固液中に導入させるゲル形成性水溶液供給部、該凝固液を容れるための凝固液槽、及び、該凝固液槽内で形成された水性ゲル体を該凝固液槽外へ取り出す水性ゲル体取り出し手段を有する水性ゲル体連続製造装置。」

(3)両発明の相違点
ア.水性ゲル体が、本願補正発明は「紐状ないし帯状」なのに対して、引用発明はそうではない点。
イ.ゲル形成性水溶液供給部の凝固液中に導入させる態様が、本願補正発明は「連続的に」導入させるのに対して、引用発明は「切断プランジャー・・閉弁によって」切断された「ゲル被覆した種子を落下する」点。
ウ.水性ゲル体取り出し手段が、本願補正発明は「連続形状の」水性ゲル体を凝固液槽外へ「連続的に」取り出すのに対して、引用発明は切断済みの「硬化槽内で硬化されたゲル被覆種子」を「傾斜シュート65」で「コンベア66上に排出する」点。

4.本願補正発明の容易推考性の検討
(a)まず、刊行物2記載の発明の「ゲル化剤」は、本願補正発明の「ゲル形成性水溶液」に相当し、以下同様に、
「固定液」は、「凝固液」に、
「分裂組織とゲル化剤の混合物を押出し成型ノズルから固定液内に連続的に押出し、前記ゲル化剤を紐状にゲル化させ」ることは、「ゲル形成性水溶液を凝固させて水性ゲルを形成させる凝固液中に連続的に導入させ」ることに、
「紐状にゲル化させ」た「人工種子」は、「紐状ないし帯状の水性ゲル体」に相当する。
また、刊行物2記載の発明の「紐状種子を固定液内から取出して液外で切断する」ことと、本願補正発明の「固液槽内で形成された連続形状の水性ゲル体を該凝固液槽外へ連続的に取り出す」こととは、紐状にできた人工種子が固定液内から取出して液外で切断される以上、紐状にできた人工種子が、切断する前の連続形状の状態で固定液内からとり出されることが自明であるので、「固液槽内で形成された連続形状の水性ゲル体を該凝固液槽外へ取り出す」点で共通するものである。
(b)そして、刊行物2記載の発明は、刊行物2記載事項(ア)の「従来、人工種子が粒状にしかならなくて植付けに手間が掛かる」ことを課題として、「紐状」にすることで、刊行物2記載事項(ウ)の「従来より少ない手間でもって植付けができる」ものであって、その「少ない手間でもって植付けができる」ことは、引用発明のゲル被覆種子においても望ましいことであるので、引用発明を、刊行物2記載の発明の様に「分裂組織とゲル化剤の混合物を押出し成型ノズルから固定液内に連続的に押出」し、切断する前の連続形状の状態の「紐状種子を固定液内から取出して液外で切断する」方法で、ゲル被覆種子を「紐状」とすることは、当業者が容易になし得ることである。
また、引用発明は、刊行物1記載事項(エ)の「種子のゲル被覆・・硬化並びに水洗が・・連続的に・・行われ」るものであり、引用発明の「硬化槽内で硬化されたゲル被覆種子をコンベア66上に排出する傾斜シュート65」が、順次硬化槽の出口に到達するゲル被覆種子を、順次水洗工程に排出して、硬化と水洗とを連続的に行うものであることを考慮すると、上記、切断する前の連続形状の状態の「紐状種子を固定液内から取出して液外で切断する」ものとすることに伴って、引用発明の「硬化槽内で硬化されたゲル被覆種子をコンベア66上に排出する傾斜シュート65」が、連続形状のゲル被覆種子(本願補正発明の「水性ゲル体」に相当)を硬化槽(本願補正発明の「凝固液槽」に相当)外へ連続的に排出する(本願補正発明の「取り出す」に相当)ものとなることは自明である。
(c)そうすると、引用発明の種子のゲル被覆装置を、刊行物2記載の発明の方法で紐状種子を製造するものとして、本願の相違点ア.?ウ.に係る構成とすることは、当業者にとって容易想到の範囲というべきである。
(d)そして、本願補正発明の作用効果は、引用発明、刊行物2記載の事項から当業者であれば予測できた範囲のものである。
したがって、本願補正発明は、引用発明、刊行物2記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成24年1月20日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?8に係る発明は、平成23年7月22日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項によって特定されるものと認められるところ、そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである。
「【請求項1】
ゲル形成性水溶液を、該ゲル形成性水溶液を凝固させて水性ゲルを形成させる凝固液中に連続的に導入させるゲル形成性水溶液供給部、該凝固液を容れるための凝固液槽、及び、該凝固液槽内で形成された連続形状の水性ゲル体を該凝固液槽外へ連続的に取り出す水性ゲル体取り出し手段を有することを特徴とする水性ゲル体製造装置。」

2.引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1?2とその記載事項は、前記の「第2 2.」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明の構成を全て含むとともに、本願発明の構成に更に限定を付加した本願補正発明が、前記「第2」の「3.」、「4.」に記載したとおり、引用発明、刊行物2記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も本願補正発明と同様の理由により、引用発明、刊行物2記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
したがって、本願発明については、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そうすると、このような特許を受けることができない発明を包含する本願は、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-03-08 
結審通知日 2013-03-12 
審決日 2013-03-29 
出願番号 特願2006-112149(P2006-112149)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A01C)
P 1 8・ 575- Z (A01C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 村田 泰利小野 郁磨  
特許庁審判長 高橋 三成
特許庁審判官 中川 真一
筑波 茂樹
発明の名称 水性ゲル体製造装置、及び、水性ゲル体製造方法  
代理人 津田 俊明  
代理人 瀧野 秀雄  
代理人 瀧野 文雄  
代理人 川崎 隆夫  
代理人 鳥野 正司  
代理人 朴 志恩  
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