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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04L
管理番号 1274486
審判番号 不服2012-3939  
総通号数 163 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-02-29 
確定日 2013-05-22 
事件の表示 特願2005-354387「受動光ネットワークにおけるインターネットプロトコルビデオ配信」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 6月22日出願公開、特開2006-166464〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は,平成17年12月8日(パリ条約による優先権主張 2004年12月8日 米国,2005年12月7日 米国)の出願であって,平成23年10月24日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成24年2月29日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。
その請求項1に係る発明は,明細書,特許請求の範囲及び図面の記載からみて,平成23年6月17日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める(以下,「本願発明」という。)。
「【請求項1】
インターネットプロトコル(IP)フォーマットビデオコンテンツを軽減されたチャネルセットアップ待ち時間で受動光ネットワーク(PON)を介する配信を提供する方法であって,該方法は,
光ネットワーク端末(ONT)から1つまたは複数のメッセージを光ラインターミネータ(OLT)で受信するステップを含み,メッセージの1つは,加入者ビデオコンテンツチャネル要求を含み,前記方法は,
前記要求に応答して,OLTからPONを通してONTへ物理レイヤオペレーション管理および維持(PLOAM)プロトコルメッセージを送信するステップを含み,PLOAMメッセージは,要求されたIPフォーマットビデオコンテンツを含む選択された仮想チャネルをONTに示す,方法。」


2.引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された特開平8-32601号公報(以下,「引用例」という。)には,「画像情報分配システム」として図面とともに以下の事項が記載されている。

(1)「【0008】
【実施例】本発明による画像情報分配システムの実施例について,以下図面を参照しながら詳細に説明する。
<実施例1>
(1)システム構成
図1は,本発明の画像情報分配システムの構成と論理的な接続を示すシステムの全体構成図である。画像情報分配システムは,画像情報を蓄積しておき,加入者からの要求に対応した画像情報を提供する画像情報提供ノード1(本実施例では,後述の画像提供サービスに対応する2つのノードA(1a)およびノードB(1b)で構成した)と,画像提供サービスを受ける加入者5(本実施例では,加入者A?H(5a?5h)で構成した)と,加入者5を収容し,加入者5が要求した画像情報を送出する加入者収容ノード4(本実施例では,加入者数に対応する2つのノードA(4a)およびノードB(4b)で構成した),および,画像情報提供ノード1からの画像情報を加入者収容ノード4に分配する画像情報分配ノード3とからなり,3種類のノードおよび各加入者の間を,非同期転送モードの伝送路(以下ATM回線)で接続し,加入者からの要求に対応した画像情報を,画像情報提供ノード1から加入者5にATMセルにより分配提供するものである。尚,同図において,画像情報分配ネットワーク6は,画像情報分配ノード3からの画像情報を,全ての加入者収容ノード4に分配するためのATM回線網である。また,中継ノード2は,画像情報の分配距離等に応じて情報を中継するもので,本実施例では,画像情報提供ノード1と画像情報分配ノード3との間に設けたが,画像情報分配システムの規模により,他のノード間に設けたり,無しの構成としてもよい。
(中略)
【0010】図3および図4は,それぞれ画像情報分配装置3の構成例を示すブロック構成図であり,いづれの装置も,ATMセルを分配するATM分離多重化装置32と,ATM回線とのインタフェースである回線終端装置31ならびに33a,および,画像情報分配装置3全体の制御を行なう制御装置34とで構成した。 (中略) また,図4の画像情報分配装置3は,全ての加入者収容ノード4a?4bにATMセルを分配する場合に,画像情報分配ネットワーク6がATMセルを分配するもので,回線終端装置33aに受動素子である光スプリッタ35を設置したものであり,本発明の画像情報分配システムにおいては,いづれの画像情報分配装置3を用いてもよい。
【0011】図5および図6は,加入者収容ノード4の構成例を示すブロック構成図であり,いづれの装置も,ATMセルを分配するATM分離多重化装置42と,ATM回線とのインタフェースである回線終端装置41,44a,44bと,加入者対応に,加入者が要求した画像情報を含んだATMセルのみを抽出するセルフィルタ43a?43b,および,加入者収容ノード4全体の制御を行なう制御装置45とで構成した。」(4頁5?6欄)

(2)「【0012】図7は,加入者5の加入者端末の構成例を示すブロック構成図であり,ATM回線とのインタフェースである回線終端装置51と,ATMセルを画像情報の形に変換するCLAD52と,画像情報をモニタ57に表示可能なフォーマットに変換するチューナー53(本実施例では,MPEG2等の方式で圧縮された情報を伸長し,NTSC信号等モニタの入力信号に変換した)と,モニタ57とのインタフェースであるケーブルドライバ54と,インタフェース55を介して加入者からシステムへの要求を入力するコントロールパッド58,加入者端末全体の制御を行なう制御装置56とで構成した。各加入者A?H(5a?5h)は,画像情報の検索などの操作を,それぞれの加入者端末に接続されたコントロールパッド58から行ない,加入者端末で制御信号に変換後,システムに制御信号を送出し,画像情報提供ノード1から,要求に応じて受信した画像情報をモニタ57に表示することで,本発明の画像情報分配システムによる画像提供サービスが実現される。
【0013】図8は,加入者収容ノード4に設けたセルフィルタ43の構成例を示すブロック構成図であり,ATM分離多重化装置42からATMセルを受信するハイウェイ68と,ATMセル中の仮想パス識別子(Virtual Path Identifier:VPI)と仮想チャネル識別子(Virtual Channel Identifier:VCI)を検出するVPI/VCI検出器63と,加入者が要求した画像情報を含むATMセルのVPIとVCIの値を登録するVPI/VCIテーブル64と,検出器63およびテーブル64のVPIとVCIの値を比較する比較器65と,ATMセルを比較器65の動作時間に対応した時間遅延させる遅延器61と,加入者に空きのATMセルを送出する空きセル発生器62,および,比較器65の比較結果に対応して,ハイウェイ69に,加入者が要求した画像情報を含むATMセルもしくは空きのATMセルを選択送出するセレクタ66とからなり,制御線67を介して加入者収容ノード4に設けた制御装置45に制御される構成とした。このセルフィルタは,加入者が要求した画像情報を含むATMセルのVPIとVCIの値を,制御装置45がテーブル64に設定し,設定値以外のVPI/VCIを持つATMセルを廃棄することで,加入者が要求した画像情報のみ加入者に分配されるようにしたものである。尚,テーブル64に設定するVPI/VCIの値は単数でも複数でも良い。複数設定した場合は,加入者には複数種類のATMセルが送出されるが,この場合には加入者側ではこれらを認識し適当に振り分ける装置,例えばATM交換機を設ければよい。」(4頁6欄?5頁7欄)

(3)「【0015】(b)画像情報の提供と分配
(i)画像情報提供ノード1a?1bの制御装置17が,入力された制御信号より,加入者A?H(5a?5h)からの画像情報送出要求を認識すると,各加入者A?H(5a?5h)が要求する画像情報を画像情報蓄積装置11a?11bからセレクタ12a?12bで選択する。 (中略) さらに,画像情報提供サービスの種類に対応したVPIと,提供される画像情報の種類(例えば,番組のチャネル)に対応したVCIが定められ,CLAD14a?14bにより画像情報はATMセルの形に変換され,多重化装置15で他の画像情報を運ぶATMセルと共に多重される。ここで,制御装置17が他のノードや加入者に制御信号を送出する必要がある場合には,制御信号が多重化装置15で挿入され,回線終端装置16から図1で示したATM回線の下り回線(画像情報提供ノードから加入者へ情報を伝達する回線)に送出される。 (中略)
【0016】(ii)画像情報分配ノード3から,それにつながる加入者収容ノード4aまたは4bにATMセルを分配する方法としては,前述した2種類の画像情報分配ノード3を選択し,次のいづれかの方法で行なう。
(中略) <2> 画像情報分配ネットワーク6で全加入者収容ノード4a?4bにATMセルを分配する(この場合,画像情報分配ネットワーク6内で,図4の画像情報分配ノード3に示した光スプリッタ35が,受動的にATMセルを分配する)。」(5頁8欄)
(当審注:【0016】中の丸囲いの2は,表記上の理由で「<2> 」と示した。)

(4)「【0021】(2)一般放送サービス2
図9は,本発明の画像情報分配システムが提供する一般放送サービスの実施例を示す動作シーケンス図であり,加入者が一般放送αを視聴後に,一般放送α+1を視聴する場合の画像情報と制御情報の送受信関係を示したものである。以下,同図を用いて動作を説明する。
(a)加入者A(5a)が,加入者端末(図7,50)の電源スイッチ(図示せず)を投入(100)後,コントロールパッド(図7,58)を操作して一般放送のテレビチャネルαを選択する(101)と,加入者端末(図7,50)は,加入者収容ノードA(4a)にテレビチャネルα用のATMコネクションの設定を要求する(102)。そして,加入者収容ノードA(4a)は,加入者A用のセルフィルタ(図5もしくは図6,43a)にテレビチャネルαを運んでいるATMセルのVPI/VCI値を設定する(103)。これで,加入者Aの端末と加入者収容ノードAとの間に,テレビチャネルα用のATMコネクションが確立される(104)。
【0022】(b)加入者収容ノードA(4a)は,画像情報分配ノード3にATMコネクションの設定を要求する(105)。それに続き,画像情報分配ノード3は,画像情報提供ノードA(1a)に,ATMコネクションの設定を要求する(106)。画像情報提供ノードA(1a)では,VPIとVCIを設定し,画像情報提供ノードA(1a)と画像情報分配ノード3との間にATMコネクションを確立する(107)。続いて,画像情報分配ノード3では,VPIとVCIを設定し,画像情報分配ノード3と加入者収容ノードA(4a)との間にATMコネクションを確立する(108)。このように,画像情報提供ノードA(1a)から加入者A(5a)の加入者端末(図7,50)との間にATMコネクションが確立され,画像情報提供ノードA(1a)から加入者端末(図7,50)に,テレビチャネルαの番組(画像情報)が送出される(109)ので,加入者A(5a)はモニタ(図7,57)でテレビチャネルαの番組を視聴することができる。」(7頁11欄)

上記記載及び図面の記載並びに当該技術分野の技術常識を考慮すると,
ア.上記(1)の【0008】の記載によれば,画像情報分配ネットワーク6は,加入者からの要求に対応した画像情報に係るATMセルを画像情報分配ノード3から加入者収容ノード4に分配するためのATM回線網であり,上記(1)の【0010】,上記(3)の【0016】及び図1,4,5の記載によれば,画像情報分配ネットワーク6では受動素子である光スプリッタ35が受動的にATMセルを分配するから,前記画像情報分配ネットワーク6は受動光ネットワーク(PON)といえる。
したがって,引用例には,「画像情報の受動光ネットワーク(PON)を介する分配を提供する方法」が記載されているといえる。

イ.上記(2)の【0012】,上記(4)及び図9の記載によれば,加入者が加入者端末に接続されたコントロールパッドを操作して一般放送のテレビチャネルαを選択する(101)と,加入者端末は加入者収容ノードA(4a)にテレビチャネルα用のATMコネクションの設定を要求(102)し,加入者収容ノードA(4a)は,加入者A用のセルフィルタにテレビチャネルαを運んでいるATMセルのVPI/VCI値を設定(103)するとともに,画像情報分配ノード3にATMコネクションの設定を要求する(105)ものであるから,画像情報分配ノード3は加入者収容ノードAからのATMコネクションの設定要求を受信するといえる。そして,上記(3)の【0015】の記載も参酌すれば,当該設定要求は,結局,加入者がテレビチャネルαを視聴するための配信要求であると認められるから,加入者のテレビチャネルαの配信要求を含むといえる。
したがって,引用例には,「加入者収容ノードからATMコネクションの設定要求を画像情報分配ノードで受信するステップを含み,当該設定要求は,加入者のテレビチャネルαの配信要求を含む」ことが記載されているといえる。

ウ.上記(4)の及び図9の記載によれば,加入者収容ノードA(4a)が画像情報分配ノード3にATMコネクションの設定を要求したことに起因して,画像情報分配ノード3では,VPIとVCIを設定し,画像情報分配ノード3と加入者収容ノードA(4a)との間にATMコネクションを確立する(108)ことにより,加入者端末にテレビチャネルαの番組(画像情報)が送出され(109),加入者A(5a)はモニタでテレビチャネルαの番組を視聴することができるのであるから,結局,加入者収容ノードA(4a)から画像情報分配ノード3へのATMコネクションの設定要求(105)に応答して画像情報分配ノード3と加入者収容ノードA(4a)との間のATMコネクションを確立したといえる。
したがって,引用例には,「前記設定要求に応答して,画像情報分配ノードと加入者収容ノードとの間のATMコネクションを確立する」ことが記載されているといえる。

したがって,引用例には以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「画像情報の受動光ネットワーク(PON)を介する分配を提供する方法であって,該方法は,
加入者収容ノードからATMコネクションの設定要求を画像情報分配ノードで受信するステップを含み,当該設定要求は,加入者のテレビチャネルαの配信要求を含み,前記方法は,
前記設定要求に応答して,画像情報分配ノードと加入者収容ノードとの間のATMコネクションを確立する,方法。」


3.対比・判断
(1)引用発明の「画像情報」,「分配」と本願発明の「ビデオコンテンツ」,「配信」とは表現が異なるのみであって実質的な相違はないから,本願発明と引用発明とは「ビデオコンテンツを受動光ネットワーク(PON)を介する配信を提供する方法」である点で一致している。

(2)上記2.アのとおり画像情報分配ネットワーク6は受動光ネットワーク(PON)といえるから,引用発明の「加入者収容ノード」,「画像情報分配ノード」は,それぞれ本願発明の「光ネットワーク端末(ONT)」,「光ラインターミネータ(OLT)」に相当する。また,引用発明の「ATMコネクションの設定要求」を「メッセージ」と称するのは任意である。
また,本願明細書の【0012】の「(「TVチャネル」という用語は,本明細書でその口語の意味において,コンテンツのソースを意味するために使用され,通信理論の意味における周波数バンドまたは類似の「チャネル」を指すのではない。)」の記載に照らせば,本願発明の「加入者ビデオコンテンツチャネル要求」と引用発明の「加入者のテレビチャネルαの配信要求」とには実質的な差異はない。
したがって,本願発明と引用発明とは「光ネットワーク端末(ONT)からメッセージを光ラインターミネータ(OLT)で受信するステップを含み,メッセージは,加入者ビデオコンテンツチャネル要求を含」む点で一致している。

(3)本願明細書の【0029】及び図2Bの記載に照らせば,本願発明のPLOAMメッセージはOLTからPONを通してONTとの間でコネクションを確立するためのものであることは明らかである。したがって,引用発明の「前記要求に応答して,画像情報分配ノードと加入者収容ノードとの間のATMコネクションを確立する」と本願発明の「前記要求に応答して,OLTからPONを通してONTへ物理レイヤオペレーション管理および維持(PLOAM)プロトコルメッセージを送信するステップを含み,PLOAMメッセージは,要求されたIPフォーマットビデオコンテンツを含む選択された仮想チャネルをONTに示す」とは,下記の相違点3は別として,「前記要求に応答して,OLTからPONを通してONTとの間でコネクションを確立する」点で差異はない。

したがって,本願発明と引用発明とを対比すると,両者は,以下の点で一致し,また,相違している。
(一致点)
「ビデオコンテンツを受動光ネットワーク(PON)を介する配信を提供する方法であって,該方法は,
光ネットワーク端末(ONT)からメッセージを光ラインターミネータ(OLT)で受信するステップを含み,メッセージは,加入者ビデオコンテンツチャネル要求を含み,前記方法は,
前記要求に応答して,OLTからPONを通してONTとの間でコネクションを確立する,方法。」

(相違点1)
ビデオコンテンツに関して,本願発明は「インターネットプロトコル(IP)フォーマットビデオコンテンツ」であるのに対し,引用発明はフォーマットを明らかにしていない点。

(相違点2)
メッセージに関し,本願発明はメッセージが「1つまたは複数」であり,「メッセージの1つは,加入者ビデオコンテンツチャネル要求を含」むものであるのに対し,引用発明はメッセージの数を明らかにしていない点。

(相違点3)
コネクションの確立に関して,本願発明は「OLTからPONを通してONTへ物理レイヤオペレーション管理および維持(PLOAM)プロトコルメッセージを送信するステップを含み,PLOAMメッセージは,要求されたIPフォーマットビデオコンテンツを含む選択された仮想チャネルをONTに示す」のに対し,引用発明には当該事項が明らかにされていない点。

(相違点4)
本願発明は「軽減されたチャネルセットアップ待ち時間で」受動光ネットワーク(PON)を介する配信を提供する方法であるのに対して,引用発明は当該事項を明らかにしていない点。

以下,上記各相違点についての検討する。
(相違点1について)
PONを介して配信されるデータのフォーマットは,PON(OLT)がいかなるネットワートと接続されているか等に依る設計上の事項であるところ,インターネットから得た情報をOLTがPONを介してONTに提供することは普通に行われていること(例えば,特開2004-96737号公報の図3参照。)であるから,PONを介して配信するコンテンツを「インターネットプロトコル(IP)フォーマットビデオコンテンツ」とすることは格別ではない。

(相違点2について)
引用発明のメッセージは少なくとも1つあるから,相違点2は実質的な相違ではない。

(相違点3,4について)
まず,引用例に実施例として記載されているものは,上記2.(4)の【0021】及び図9の記載の記載に照らせば,加入者端末からのテレビチャネルα用のATMコネクションの設定要求(102)に応じて,加入者収容ノードは加入者A用のセルフィルタにテレビチャネルαを運んでいるATMセルのVPI/VCI値を設定する(103)ことから,VPI/VCI値が予めテレビチャネルに対応しているものと推察されるが,一般に要求に応じて使用可能な(空き)仮想チャネル(VC)を割り当てる(選択する)ことは普通に行われていることであり格別なことではない。そして,引用例には明記されていないが,図9の108にて画像情報分配ノード3は,VPIとVCIを設定し,画像情報分配ノード3と加入者収容ノードA(4a)との間にATMコネクションを確立するのであるから,図9の画像情報分配ノード3から加入者収容ノードA(4a)への細実線の矢印108はα用コネクション確立のためのシグナリングであると解するのが自然であるところ,一般にATMコネクション確立のためのシグナリングには送信側が設定したVPI/VCI値が含まれるから,結局,引用発明は画像情報分配ノードと加入者収容ノードとの間のATMコネクションを確立する際に画像情報分配ノードが設定したVPIとVCIを加入者収容ノードに示していると解するのが自然である。また,上述のように要求に応じて空き仮想チャネル(VC)を割り当てた場合には,コネクション確立に係るシグナリングには割り当てられたVPI/VCI値が当然に含まれることは当業者に自明である。したがって,要求に応答して,要求されたIPフォーマットビデオコンテンツを含む選択された仮想チャネルをONTに示すメッセージを,OLTからPONを通してONTへ送信することは格別ではない。
そして,OLTがONTとのコネクションを設定又は解除する際に活動化・非活動化するVP/VCを示すメッセージをPLOAMメッセージにて送信することは,本願明細書にて当業者によく知られているとされるG984.xの1つであるITU-T Recommendation G984.3(02/2004)「Gigabit-capable Passive Optical Networks (G-PON): Transmission convergence layer specification」(http://www.itu.int/rec/T-REC-G.984.3-200402-S/en (Posted:2004-07-20))(「9 GTC message」の特に「9.1 PLOAM message format」,「9.2.1 Downstream Message definition」の「7 configure VP/VC」,「9.2.3.7 Configure VP/VC message」,「14 OMCI transport mechnism」の特に「14.2 Transport modes」参照。)にも勧告されているように普通に行われることであるから,相違点3の点は上記勧告に従い当然に採用されること,あるいは当業者が容易になし得ることに過ぎない。
そして,本願明細書の【0013】の記載に照らせば,TCレイヤ上で使用されるPLOAMメッセージにより「軽減されたチャネルセットアップ待ち時間で」受動光ネットワーク(PON)を介する配信を提供されることになるから,相違点4の点は上述のPLOAMメッセージの採用により自ずと導出されることに過ぎない。

そして,本願発明の作用効果も,引用発明及び周知技術に基づいて当業者が予測し得る範囲のものであり,格別なものではない。


4.むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-12-12 
結審通知日 2012-12-18 
審決日 2013-01-04 
出願番号 特願2005-354387(P2005-354387)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中木 努  
特許庁審判長 菅原 道晴
特許庁審判官 新川 圭二
田中 庸介
発明の名称 受動光ネットワークにおけるインターネットプロトコルビデオ配信  
代理人 渡邉 千尋  
代理人 特許業務法人川口國際特許事務所  
代理人 大崎 勝真  
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