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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04M 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M |
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管理番号 | 1274531 |
審判番号 | 不服2012-6367 |
総通号数 | 163 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-07-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-04-09 |
確定日 | 2013-05-23 |
事件の表示 | 特願2007- 46222「携帯端末および携帯端末のポイント情報生成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 9月11日出願公開、特開2008-211523〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成19年2月26日の出願であって、平成24年1月5日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月9日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付けで審判請求時の手続補正がなされたものである。 第2.補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成24年4月9日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.本願発明と補正後の発明 上記手続補正(以下、「本件補正」という。)は平成23年12月13日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項6に記載された 「筐体の内部に配置された複数の磁力センサによって、磁力源の磁力を検出し、 前記複数の磁力センサの検出値に基づいて、前記筐体の外面にある前記磁力源の位置に関する情報または該位置の変化に関する情報を生成することを特徴とする携帯端末のポイント情報生成方法。」 という発明(以下、「本願発明」という。)を、補正後の特許請求の範囲の請求項5に記載された 「筐体の内部において操作部に対応する位置に配置された複数の磁力センサによって、磁力源の磁力を検出し、 前記筐体の内部において操作部に対応する位置に配置された前記複数の磁力センサの検出値に基づいて、前記筐体の外面にある前記磁力源の位置に関する情報または該位置の変化に関する情報を生成することを特徴とする携帯端末のポイント情報生成方法。」 という発明(以下、「補正後の発明」という。)に補正することを含むものである。 2.新規事項の有無、補正の目的要件について 本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において、複数の磁力センサの配置位置について、補正前の「筐体の内部」という構成を「筐体の内部において操作部に対応する位置」に補正することにより特許請求の範囲を減縮するものである。 したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項(新規事項)及び平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号(補正の目的)の規定に適合している。 3.独立特許要件について 本件補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、上記補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのかどうかについて以下に検討する。 (1)補正後の発明 上記「1.本願発明と補正後の発明」の項で「補正後の発明」として認定したとおりである。 (2)引用発明 A.原審の拒絶理由に引用された特開平8-320758号公報(以下、「引用例」という。)には、「ポインティング装置」の発明に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。 イ.「【請求項1】 磁石と、 該磁石に対して固定して配置され、前記磁石の磁力を検出する複数の磁気センサーと、 該磁気センサーの出力に接続され、前記磁石と前記磁気センサーとの距離を算定する距離算定手段と、 該距離算定手段から出力されるそれぞれの距離から各磁気センサーを中心とする円の交点のうちの、前記磁石の移動に許容される移動範囲内における前記磁石の位置を算定する位置算定手段と、 前記磁石が移動したときの前記磁石の位置間の相対的距離を表示装置のカーソルの移動距離に変換する変換手段とを設けたことを特徴とするポインティング装置。 【請求項2】 請求項1記載のポインティング装置において、 前記磁力は、前記磁石の移動面に垂直な磁界成分であり、前記移動範囲は、前記移動面内であることを特徴とするポインティング装置。 【請求項3】 請求項1、又は請求項2記載のポインティング装置において、 前記磁気センサー、前記距離算定手段、前記位置算定手段、及び前記変換手段は、1つの筐体内に収容したことを特徴とするポインティング装置。 【請求項4】 請求項1乃至請求項3記載のポインティング装置において、 前記磁石を筐体上に形成された平坦な面上で操作することを特徴とするポインティング装置。」(2頁1欄、請求項1?4) ロ.「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、磁石を用いたポインティング装置に関する。情報処理装置等で用いられるマンマシンインタフェースとして、ポインティングデバイスがある。このようなポインティングデバイスは、特にノートブック型パーソナルコンピュータ(以下、パソコンという。)ではその軽量化、小型化の要求に伴ってポインティングデバイス自体の軽量化、小型化も要求されるに至っている。ノートブック型パソコンの技術は、なお改善の余地が残されており、ポインティングデバイスについてだけでも各べンダーは今もなお様々な趣向を凝らした開発が進められている。」(2頁1欄、段落1) ハ.「【0019】 【実施例】図2は、請求項1乃至請求項3記載の発明の一実施例を示す。この実施例は、パソコンにおいて実施した例を示す。図2において、20はパソコン本体を示し、22はパソコン本体に設けられた2個の磁気センサーである。24は磁石である。磁石24は、パソコン本体内部の適宜の位置に収納し得るように構成されている。磁石24は、パソコン本体が置かれる平面上で指、又は手で移動可能にされており、該平面に垂直な方向26に磁界は走っている。磁石24は任意の方向に移動させることができる。 【0020】磁気センサー22は、図3に示すように、それぞれ各別に距離算定手段30,32に接続されている。磁気センサー22は、磁石24から発生する磁力(例えば、磁界の強さ。以下これについて説明する。)を測定する。距離算定手段30,32は、それぞれ磁気センサー22で測定された磁界の強さから磁石24と磁気センサー22との間の距離を算定する。距離算定手段30,32の出力は、位置算定手段34に接続されている。位置算定手段34は、前記距離からそれぞれの磁気センサー22を中心として円の交点、つまり磁石の位置を求める。位置算定手段34の出力は、変換手段36に接続されている。変換手段36は、磁石が移動したときの磁石の位置間の相対的距離を表示装置の表示画面上に表示されるカーソルの移動量に変換する。変換手段36の出力は、表示装置38に接続されている。 【0021】図2及び図3において、磁石24は、図1の磁石24に対応し、磁気センサー22は、図1の磁気センサー4に対応する。距離算定手段30,32は、図1の距離算定手段6に対応し、位置算定手段34は、図1の位置算定手段8に対応する。変換手段36は、図1の変換手段10に対応する。前述のように構成される前記実施例の動作を以下に説明する。 【0022】今、或る位置Aに磁石24が置かれた状態にあるとする。そのときの磁石24と磁気センサー22との間の距離が、磁気センサー22から磁界の強さを示す信号を受ける距離算定手段30,32によって算定される。その距離は、位置算定手段34へ送られてそこで各距離の磁気センサー22を中心とする円が位置算定手段34で算定されて各円の交点が算定される。その交点のxy座標上の位置A(XA,YA)が算定される。そのときの表示装置の画面上のカーソルの座標位置aは、画面上において(xa,yb)であったとする。 【0023】そして、磁石24がある距離Lだけ移動されたとする。このときにも、磁界の強さを示す信号が磁気センサー22から距離算定手段30,32へ送られて磁石24と磁気センサー22との間の距離が距離算定手段30,32によって算定される。その各距離は、位置算定手段34へ送られてそこで各距離の磁気センサー22を中心とする円が位置算定手段34で算定されて各円の交点が算定される。その交点のxy座標上の位置B(XB,YB)が算定される。 【0024】この位置Aから位置Bへ移動された距離が、変換手段36で算定される。即ち、移動された距離は、X座標成分でXB-XAとなり、Y座標成分でYB-YAとなる。これらX座標成分(XB-XA)、及びY座標成分(YB-YA)は、表示装置の表示画面上でのカーソルの移動距離のx座標成分(xb-xa)及びy座標成分(yb-ya)に変換される。ここで、xb及びybは、表示装置の画面上の前記カーソルが移動されるべき座標位置bのx座標成分及びy座標成分である。 【0025】このようにして変換された移動距離のx座標成分(xb-xa)及びy座標成分(yb-ya)の信号が、変換手段36から表示装置38へ供給されてカーソルの表示に用いられる。従って、表示装置の表示画面上のカーソルは、磁石24が移動される前の座標位置aから座標位置bへ移動される。なお、前記実施例においては、磁石24をパソコン本体の外部で操作する構成としたが、パソコン本体に磁石24を操作し得る平坦な平面を設けて該平面上で操作するようにしてもよい。又、磁気センサー22を3つ等にしてもよい。」(3頁4欄?4頁6欄、段落19?25) 上記引用例の記載及び関連する図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、上記「ポインティング装置」は例えば図2に開示されているような「ノートブック型パーソナルコンピュータ(以下、パソコンという。)」に用いられるものであり、上記「磁気センサ22」は請求項1,3の記載によれば「筐体内(即ち、筐体の内部)」に複数個収容(即ち、配置)されるものであり、また当該「複数の磁気センサ」は「磁石24から発生する磁力を測定(即ち、検出)」するのであるから、当該「磁気センサ」及び「磁石」はそれぞれいわゆる「磁力センサ」及び「磁力源」である。 また上記「距離算定手段30,32」及び「変換手段36」は複数の磁気センサと磁石間の距離を算定し該距離をパラメータとして移動前の位置Aと移動後の位置Bの位置情報を算出し、また該位置AとBの位置情報からAB間の移動距離及び移動方向を算出するものであり、結果としてこれらの距離算定手段や変換手段はA点及びB点の位置情報及び/又は位置の変化に関する情報(即ち、ポイント情報)を算出(即ち、生成)する手段であり、その算出方法はいわゆる「ポイント情報生成方法」である。 また上記「磁石」が操作される上記請求項4でいう「筐体上に形成された平坦な面」はいわゆる「筐体の外面」である。 したがって、上記引用例には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されている。 (引用発明) 「筐体の内部に配置された複数の磁力センサによって、磁力源の磁力を検出し、 前記筐体の内部に配置された前記複数の磁力センサの検出値に基づいて、前記筐体の外面にある前記磁力源の位置に関する情報または該位置の変化に関する情報を生成するノートブック型パーソナルコンピュータのポイント情報生成方法。」 (3)対比・検討 補正後の発明と引用発明を対比するに、本願発明にかかる「携帯端末」は本願明細書の段落54の記載によれば携帯電話のような移動通信端末ばかりでなく例えば「ノートブック型コンピュータなどのさまざまな情報端末」を含むものであるから、補正後の発明の「携帯端末」と引用発明の「ノートブック型パーソナルコンピュータ」の間に実質的な差異はない。 また補正後の発明の「筐体の内部において操作部に対応する位置」と引用発明の「筐体の内部」はいずれも「筐体内の所定位置」である点で一致している。 したがって、補正後の発明と引用発明は、以下の点で一致し、また、相違している。 (一致点) 「筐体の内部の所定位置に配置された複数の磁力センサによって、磁力源の磁力を検出し、 前記筐体の内部の所定位置に配置された前記複数の磁力センサの検出値に基づいて、前記筐体の外面にある前記磁力源の位置に関する情報または該位置の変化に関する情報を生成する携帯端末のポイント情報生成方法。」 (相違点)「筐体内の所定位置」に関し、補正後の発明は「筐体の内部において操作部に対応する位置」であるのに対し、引用発明は単に「筐体の内部」である点。 (4)判断 ついで上記相違点について検討するに、補正後の発明にかかる「操作部」と「磁力センサ」の関係は、磁力センサの検出領域の大きさと携帯機器の主操作部の配置場所及びその大きさの関係により、単に「その検出領域の一部」が「主操作部の内側にかかっている」程度のこと(本願明細書段落28参照)である。 一方、引用例の段落25には「磁気センサー22を3つ等にしてもよい」と記載されているのであるから、当該技術手段に基づいて、検出領域が例えば引用例の図2に図示されている二つの磁気センサー間を一辺とする三角形や四角形を形成するように第3、第4の磁気センサーをキーボード中央寄りに配置すればその検出領域の一部は例えば隣接する4行2列からなる操作部の内側にかかるものとなる。 したがって、引用例に記載された「磁気センサー22を3つ等にしてもよい」という技術手段に基づいてその検出領域の一部を例えば隣接する4行2列からなる操作部の内側にかかるものとすることにより、引用発明の「筐体の内部」という構成を、補正後の発明のような「筐体の内部において操作部に対応する位置」という構成とする程度のことは当業者であれば適宜なし得ることである。 またこのような構成とすることによりキー操作とポイント入力は同じキーボード上のほぼ同じ領域で行われることになるから、当該構成が「キー操作の手を離すことなくポイント入力を行うことができる」(本願明細書段落19参照)ものとなることも当業者であれば自明のことである。 以上のとおりであるから、補正後の発明は、引用発明及び引用例に記載された技術手段に基づいて容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4.結語 以上のとおり、本件補正は、補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に適合していない。 したがって、本件補正は、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3.本願発明について 1.本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願発明は、上記「第2.補正却下の決定」の「1.本願発明と補正後の発明」の項で「本願発明」として認定したとおりである。 2.引用発明 引用発明は、上記「第2.補正却下の決定」の項中の「3.独立特許要件について」の項中の「(2)引用発明」の項で認定したとおりである。 3.対比・判断 そこで、本願発明と引用発明とを対比するに、本願発明は上記補正後の発明から当該補正に係る限定を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成に当該補正に係る限定を付加した補正後の発明が、上記「第2.補正却下の決定」の項中の「3.独立特許要件について」の項で検討したとおり、引用発明及び引用例に記載された技術手段に基づいて容易に発明できたものであるから、上記補正後の発明から当該補正に係る限定を省いた本願発明も、同様の理由により、容易に発明できたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用例に記載された技術手段に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-03-25 |
結審通知日 | 2013-03-26 |
審決日 | 2013-04-08 |
出願番号 | 特願2007-46222(P2007-46222) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(H04M)
P 1 8・ 121- Z (H04M) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 角張 亜希子、高野 洋 |
特許庁審判長 |
竹井 文雄 |
特許庁審判官 |
新川 圭二 山中 実 |
発明の名称 | 携帯端末および携帯端末のポイント情報生成方法 |
代理人 | 特許業務法人 アクア特許事務所 |