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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1274628
審判番号 不服2012-14973  
総通号数 163 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-08-03 
確定日 2013-05-24 
事件の表示 特願2005-190279「撮像装置及びそのプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 1月18日出願公開、特開2007- 10898〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成17年(2005年)6月29日の出願(特願2005-190279号)であって、平成22年8月18日付けで拒絶理由が通知され、同年10月8日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされ、同年11月29日付けで拒絶理由が通知され、平成23年1月28日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされ、同年6月17日付けで拒絶理由が通知され、同年8月11日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされ、同年12月5日付けで拒絶理由が通知され、平成24年2月7日付けで意見書が提出され、同年5月8日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年8月3日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
その後、当審において、平成25年1月25日付けでファクシミリにより審尋がなされ、同年1月29日付けでファクシミリにより回答書が提出された。

第2 本願の請求項1に係る発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成23年8月11日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおり次のように特定されるものである。

「被写体を撮像する撮像手段と、
被写体に対して所定のフォーカス動作を行なう第1のフォーカス制御手段と、
前記第1のフォーカス制御手段による所定のフォーカス動作が行なわれた後に、前記撮像手段により得られた画像データに基づいて、被写体位置を認識する第1の画像認識手段と、
前記第1の画像認識手段により認識された被写体位置の画像のピントが合う合焦レンズ位置にフォーカスレンズを移動させる第2のフォーカス制御手段と、
前記第2のフォーカス制御手段によるフォーカス動作が行なわれた後に、前記撮像手段により得られた画像データに基づいて、被写体の種類を認識する第2の画像認識手段と、
を備え、
前記第1の画像認識手段は、
前記第2の画像認識手段による画像認識よりも簡易な画像認識であることを特徴とする撮像装置。」

第3 引用例
1 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2005-140851号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。(下線は当審において付した。)

「【0001】
本発明は、被写体が存在する位置に精度よく撮影レンズのピントを合わせるためのオートフォーカスカメラに関する。」

「【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るカメラの電気回路構成を示すブロック図である。即ち、撮影レンズ1を介して入射した被写体100の像は、第1の撮像手段である撮像素子(イメージャ)2において第1の撮像信号としての電気信号(以下、単に撮像信号と称する)に変換される。ここで、撮影レンズ1は、簡単のために1つのみを図示しているが複数のレンズから構成されるものも含まれる。
【0011】
撮像素子2で得られた撮像信号は、アナログ/デジタル(A/D)変換部3においてデジタル信号に変換され、画像処理部4に出力される。そして、このデジタル信号は、画像処理部4においてホワイトバランス処理やコントラスト補正処理等の画像処理が施された後、圧縮されて画像データが生成される。その後、この画像データが記録部7に記録される。これが基本的なデジタルカメラの構成である。」

「【0015】
ここで、第1の実施形態におけるピント合わせの手法としては、2つの手法を想定している。
【0016】
第1の実施形態で想定しているピント合わせの1つ目の手法は、三角測距方式である。即ち、この三角測距方式では、撮影レンズ1の光路とは異なる光路上に、それぞれ視差Bを持つように配置された1対の受光レンズ14a,14bを介して第2の撮像手段であるラインセンサ15a,15bに入射した1対の被写体像の位相差(以下、相対位相差と称する)xから、三角測距の原理に基づいて被写体距離Lを算出する。即ち、1対のラインセンサ15a,15bからは1対の第2の撮像信号が出力される。これら1対の第2の撮像信号は、A/D変換部16を介して距離検出部17に入力される。そして、距離検出部17において、1対の第2の撮像信号の比較、所謂相関演算が行われて相対位相差xが検出される。また、三角測距の原理は、受光レンズとラインセンサとの間の距離を焦点距離fとするとき、
L=B・f/x
の式で表されるものである。このような被写体距離演算も距離検出部17にて行われる。ここで、図1の例では、距離検出部17とCPU10とを別々に設けているが、距離検出部17をCPU10内部に設けるようにしてもよい。
【0017】
このように、三角測距方式は、被写体までの距離を測定してピント合わせを行うAF方式である。しかし、三角測距方式における測距ポイント102とユーザが実際にピント合わせしたいと思っているポイントとは必ずしも一致しない。多くの場合、ユーザは、人物100の眼101にピント合わせを行いたいと感じるケースが多い。特に、ポートレート撮影等では、人物100の眼101にピントを合わせることが作品作りにおいて非常に重要な要素となる。」

「【0021】
そこで第1の実施形態では、図4に示すフローチャートでこれらのAF方式を組み合わせてピント合わせを行う。また、第1の実施形態では、画像判定や連写などのデジタルカメラならではの機能を応用して、単純な構成ながら高速に正しくピント合わせを行うことを可能としている。
【0022】
撮影レンズ1の種類によって絞りや焦点距離が変わり、被写界深度が変化するので、まず、CPU10は、レンズ情報出力部13から撮影レンズ1のレンズ情報を読み出して(ステップS1)、このレンズ情報に基づいて微小繰り出し時の繰り出しピッチを決定する(ステップS2)。このとき、絞りが被写体の明るさによって制御されるプログラム式のシャッタの場合には、これに先立って測光動作を行って露出条件を決定した結果を反映させる。しかし、ここでは説明の単純化のために、測光回路や露出演算に関しては説明を省略する。これらは、従来周知のものである。次に、CPU10は、三角測距方式を用いて測距を行う(ステップS3)。ここで、3点測距を行うときは、得られた測距結果の中で、最も近い距離をL_(N)(ステップS4)、最も遠い距離L_(F)とする(ステップS5)。
【0023】
この後、CPU10は、LD部12を介して撮影レンズ1のピントをL_(F)に合わせる(ステップS6)。ここで、予め、CPU10は、距離と繰り出し位置との関係を図示しないメモリに記憶しているものとする。続いて撮像回数を示す変数nを0にリセットし(ステップS7)、撮像素子2による撮像を行う(ステップS8)。そして、得られた画像データより主被写体部(例えば、人物頭部の中央や眼の部分)の検出を行う(ステップS9)。この被写体部検出は、画像データから人物の肌の色が存在する部分を検出する方式や、被写体の輪郭を判定することで頭部を検出する方式等を用いることにより実現できる。
【0024】
次に、このようにして検出された主被写体部のコントラストCnを検出する(ステップS10)。そして、このコントラストCnが最も大きくなるピント位置の画像を得るために、以後の処理を行う。即ち、撮影レンズ1の微小量繰り出し(これはステップS2で決定された繰り出しピッチによる)を行い(ステップS11)、そのときのピント位置が3点測距の近い距離L_(N)相当のピント位置であるか否かを判定する(ステップS12)。このステップS12の判定において、距離L_(N)相当のピント位置でないと判定した場合には、上記nをインクリメントして(ステップS13)、撮像を行う(ステップS14)。その後、ステップS10に戻る。即ち、ピント位置が距離L_(N)相当のピント位置になるまで、ステップS14の撮像を繰り返す。
【0025】
ステップS12の判定において、ピント位置が距離L_(N)相当のピント位置になったと判定した場合には、ステップS10からステップS14までの複数回に撮像により得られた画像データの中で、主被写体部のコントラストCnが最も大きかったときのnを選択する(ステップS15)。また、このときの撮像信号から画像データInを生成し、この画像をモニタ部9に表示させる(ステップS16)。この表示の際、表示画面20上に、図5に示すようにして全体像表示21aとステップS9にて検出した主被写体部の拡大表示21bとを同時に行うようにすれば、ユーザは、これらの画像を見ながら、撮影された画像が良いか悪いかを判定できる。この後、ユーザが、例えばスイッチ操作等によりOK指示をすれば、CPU10は、それを判定してステップS17からステップS18に分岐して、そのときの画像データを記録部7に記録させる(ステップS18)。一方、ステップS17の判定において、ユーザからOKの指示がなされていないと判定した場合には、ステップS17からステップS19に分岐して、別の画像を表示させるようにnの切り換えを行う(ステップS19)。これにより、連写した結果のうち、最もふさわしい画像データを選択できる。ここで、連写の時には、多くの画像データが取得されるが、このように最も適切な画像データのみを記録部7に記録させるようにしたので、記録部7の容量オーバーとなって撮影続行が不能となる事はない。なお、第1の実施形態では1つの画像データのみを選択して表示・記録させる例を説明しているが、複数の画像データを表示・記録させるようにしても良いことは言うまでもない。
【0026】
また、連写の場合、1回の撮影時に複数回の撮像を行うことになるが、この回数が多すぎる時には、デジタルカメラならではの感度切替機能、所謂増感処理を有効利用することによって、1回の撮影におけるシャッタスピードを短くするようにしてもよい。
【0027】
次に、図4の手法を図6に示すタイミングチャートを参照して更に説明する。撮影時には、まず、測距が行われ、その結果に従ってレンズ繰り出しが開始される。このレンズ繰り出しにおいては、距離L_(F)相当の繰り出しまでは撮像を行わず、距離L_(F)以降は微小駆動ごとに撮像を行う。この図6の例では、最初の撮像時に得られた画像データをパターン認識し、主被写体位置を判定するようにしている。その後、その主被写体位置の像について、逐次コントラストチェックを行いながら、最も近い距離L_(N)になるまで、この繰り出しと撮像とを繰り返す。最後に、複数回の撮像の結果得られた主被写体部分のコントラストが最も良好なコントラストとなる画像データを選択し、それを表示、記録するようにしている。
【0028】
このように、第1の実施形態によれば、撮影時間の短縮、高精度化を図ることができるばかりでなく、撮影レンズの駆動が1方向(繰り出し方向)のみになされるので、逆転などがなくピント合わせスピードを速くできる上、バックラッシュの影響などもなくすことができ、ピント精度も向上する。」

「【図1】



「【図4】



2 引用例1に記載された発明の認定
上記記載を総合すれば、引用例1には、
「撮影レンズ1を介して入射した被写体100の像を電気信号に変換する撮像素子2を備えるオートフォーカスカメラであって、
三角測距方式を用いて被写体100までの距離の測距を行い、得られた測距結果の中で、最も近い距離をL_(N)、最も遠い距離L_(F)とし、撮影レンズ1のピントを最も遠い距離L_(F)に合わせた後、撮像素子2による撮像を行い、
そして、得られた画像データより、画像データから人物の肌の色が存在する部分を検出する方式や、被写体の輪郭を判定することで頭部を検出する方式等を用いることにより、主被写体部の検出を行い、
このようにして検出された主被写体部のコントラストCnを検出し、そして、このコントラストCnが最も大きくなるピント位置の画像を得るために、以後、撮影レンズ1の微小量繰り出しを行い、そのときのピント位置が3点測距の近い距離L_(N)相当のピント位置であるか否かを判定し、ピント位置が3点測距の近い距離L_(N)相当のピント位置になるまで、ステップS14の撮像を繰り返し、ピント位置が3点測距の近い距離L_(N)相当のピント位置になったと判定した場合には、複数回の撮像により得られた画像データの中で、主被写体部のコントラストCnが最も大きかったときのピント位置を選択するオートフォーカスカメラ。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

3 審査過程で拒絶の理由に引用され、また、平成25年1月25日付けの審尋において上記の拒絶の理由に引用されたことが確認された刊行物であって、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2004-356984号公報(以下「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。(下線は当審において付した。)

「【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数の撮影画像を分類別に管理したり、複数の撮影画像の中から特定の画像を抽出して出力する撮影画像処理装置およびプログラムに関する。」

「【0022】
次に、この第1実施形態における撮影画像処理装置の動作概念を図4および図5に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作を逐次実行する。また、伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードにしたがった動作を逐次実行することもできる。このことは後述する他の実施形態においても同様であり、記録媒体の他、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用してこの実施形態特有の動作を実行することもできる。
【0023】
図4および図5は、画像自動分類処理を示したフローチャートである。
先ず、CPU1は、複数の撮影画像フォルダ13の中から任意の撮影画像フォルダ13が分類対象として選択指定されると(ステップA1)、分類限定メニューを表示出力させる(ステップA2)。この分類限定メニュー画面は、「1:人物限定」、「2:限定なし」の各メニュー項目を表示するもので、「1:人物限定」は、人物別に撮影画像を分類すべきことを指示する処理メニューであり、「2:限定なし」は、人物に限らず、ペット、物品等、全ての被写体を対象として撮影画像を被写体別に分類すべきことを指示する処理メニューである。この限定メニュー画面の中から任意の項目が選択指定されると、CPU1は、選択されたメニュー項目を一時記憶保持しておく(ステップA3)。
【0024】
そして、CPU1は、分類対象として選択指定されている撮影画像フォルダ13をアクセスし、その中から1画像分の画像ファイルを読み出し(ステップA4)、この撮影画像の解析を行い(ステップA5)、その中に写っている被写体部分の画像を抽出する(ステップA6)。この場合、被写体が人物であれば、顔を中心とした部分画像を抽出し、ペットや物品等であれば、その全体画像を抽出する。ここで、選択メニュー項目として「人物限定」が指定されているかをチェックし(ステップA7)、「人物限定」が指定されていれば、この抽出画像(被写体画像)を解析し、人物の固有の特徴を有しているか、つまり、被写体は人物であるかを調べ(ステップA8)、ペットや物品等であれば、当該被写体画像をキャンセルする為に、ステップA12に移って再度、撮影画像を解析し、他の被写体部分が含まれているかをチェックする。ここで、他の被写体部分が有れば、ステップA6に戻って当該被写体画像を抽出し、被写体は人物であるかを調べる(ステップA8)。
【0025】
これによって人物画像が抽出された場合には(ステップA8でYES)、各登録レコード11をアクセスして登録画像(キー画像)を順次読み出し、この被写体画像と登録画像との特徴比較を行う(ステップA9)。その際、画像の顔の向き、大きさにを補正した後、顔の輪郭、目、口、鼻、額等の形、位置、大きさ、髪型、メガネの有無と種類等を個別に比較する他、それらを総合比較することによって画像比較を行う(以下、同様)。この結果、両画像が特徴的に一致するか否かを調べるが(ステップA10)、最初は、全てのキー画像は未登録の為、ステップA10で不一致が検出されてステップ14A以降の処理に移る。すなわち、登録レコード11を新規に作成する為に、被写体IDを生成発行した後に(ステップA14)、この被写体IDを含む登録レコード11および被写体別分類レコード12を新規作成する(ステップA15)。そして、撮影画像から抽出した被写体画像を新規作成の登録レコード11内にキー画像として登録した後(ステップA16)、新規作成の被写体別分類レコード12内に当該「画像No」をセットすることにより、この撮影画像を当該被写体に対応する分類の画像として分類管理する(ステップA11)。
【0026】
その後、再度、撮影画像を解析し、他の被写体部分が含まれているかをチェックし(ステップ12)、他の被写体部分が有れば、ステップA6に戻って当該被写体画像を抽出した後、以下、上述の動作を繰り返す。したがって、1枚分の撮影画像内に複数の被写体が写っている場合には、被写体数に対応した数(人数分)の登録レコード11および被写体別分類レコード12が新規作成される。
なお、選択メニュー項目の「限定なし」が指定されている場合には、上述のステップA8がキャンセルされてステップA9に移り、以下、上述の動作が繰り返される。
【0027】
このようにして撮影画像1枚分の分類処理が終了すると(ステップA12でNO)、分類対象の撮影画像フォルダ13から全ての画像ファイルを読み出したかを調べるが(ステップA13)、最初は、1枚目の画像ファイルを読み出した場合であるからステップA4に戻り、次の2枚目の画像ファイルを読み出して画像解析を行い(ステップA5)、その中に写っている被写体部分の画像を抽出した後(ステップA6)、キー画像(登録画像)との比較を行う(ステップA9)。
いま、1枚目に写っていた被写体が2枚目にも写っている場合には、当該被写体に対応する登録レコード11は、既に存在している為、ステップA10での画像比較の結果、特徴一致する登録画像の有りが検出される。この場合、ステップA11に移り、2枚目の画像Noが当該被写体別分類レコード12内にセットされて分類管理される。」

「【図4】



第4 本願発明と引用発明の対比
1 ここで、本願発明と引用発明を対比する。

引用発明の「撮影レンズ1を介して入射した被写体100の像を電気信号に変換する撮像素子2」が、本願発明の「被写体を撮像する撮像手段」に相当する。

引用発明の「三角測距方式を用いて被写体100までの距離の測距を行い、得られた測距結果の中で、最も近い距離をL_(N)、最も遠い距離L_(F)とし、撮影レンズ1のピントを最も遠い距離L_(F)に合わせ」る手段が、本願発明の「被写体に対して所定のフォーカス動作を行なう第1のフォーカス制御手段」に相当する。

引用発明の「撮影レンズ1のピントを最も遠い距離L_(F)に合わせた後、撮像素子2による撮像を行い、得られた画像データより、画像データから人物の肌の色が存在する部分を検出する方式や、被写体の輪郭を判定することで頭部を検出する方式等を用いることにより、主被写体部の検出を行」う手段が、本願発明の「前記第1のフォーカス制御手段による所定のフォーカス動作が行なわれた後に、前記撮像手段により得られた画像データに基づいて、被写体位置を認識する第1の画像認識手段」に相当する。

引用発明の「検出された主被写体部のコントラストCnを検出し、そして、このコントラストCnが最も大きくなるピント位置の画像を得るために、以後、撮影レンズ1の微小量繰り出しを行い、そのときのピント位置が3点測距の近い距離L_(N)相当のピント位置であるか否かを判定し、ピント位置が3点測距の近い距離L_(N)相当のピント位置になるまで、ステップS14の撮像を繰り返し、ピント位置が3点測距の近い距離L_(N)相当のピント位置になったと判定した場合には、複数回の撮像により得られた画像データの中で、主被写体部のコントラストCnが最も大きかったときのピント位置を選択する」手段が、本願発明の「前記第1の画像認識手段により認識された被写体位置の画像のピントが合う合焦レンズ位置にフォーカスレンズを移動させる第2のフォーカス制御手段」に相当する。

引用発明の「オートフォーカスカメラ」が、本願発明の「撮像装置」に相当する。

2 一致点
したがって、本願発明と引用発明とは、
「被写体を撮像する撮像手段と、
被写体に対して所定のフォーカス動作を行なう第1のフォーカス制御手段と、
前記第1のフォーカス制御手段による所定のフォーカス動作が行なわれた後に、前記撮像手段により得られた画像データに基づいて、被写体位置を認識する第1の画像認識手段と、
前記第1の画像認識手段により認識された被写体位置の画像のピントが合う合焦レンズ位置にフォーカスレンズを移動させる第2のフォーカス制御手段と、
を備える撮像装置。」の発明である点で一致し、次の点で相違する。

3 相違点
本願発明においては「第2のフォーカス制御手段によるフォーカス動作が行なわれた後に、前記撮像手段により得られた画像データに基づいて、被写体の種類を認識する第2の画像認識手段」を備え、そして、第1,2の画像認識手段の関係が「前記第1の画像認識手段は、前記第2の画像認識手段による画像認識よりも簡易な画像認識である」という関係にあるのに対し、引用発明においてはそのような特定事項がない点。

第5 当審の判断
1 相違点の検討
引用例2の【0001】【0024】【0025】【図4】の記載から、引用例2には、撮像画像(人物画像)を分類し、管理するために、「被写体画像と登録画像との特徴比較」、より具体的には「顔の輪郭、目、口、鼻、額等の形、位置、大きさ、髪型、メガネの有無と種類等を個別に比較する他、それらを総合比較」することによって「画像比較を行」い、この結果、「量画像が特徴的に一致するか否かを調べる」という解析をすることが記載されており、引用例2には、本願発明における「撮像手段により得られた画像データに基づいて、被写体の種類を認識する第2の画像認識手段」に相当する手段が記載されている。
近年のフォーカスカメラ等の撮影装置においては、撮像機能に加えて、撮像後の編集を行なう機能等、種々の機能を付加することは周知の技術であることを鑑みれば、引用発明においても、引用例2に記載された発明を採用し、「撮像後の画像について分類を行うために、引用例撮像手段により得られた画像データに基づいて、被写体の種類を認識する第2の画像認識手段」を備えて、撮像画像の分類、管理を容易に行えるようにすることは当業者が容易になし得たことである。
そして、引用発明に引用例2に記載の発明を採用した際に、引用発明が備えていた「第1の画像認識手段」と、上記の付加した「第2の画像認識手段」の精度(簡易さ)の関係については、単に、「画像データから人物の肌の色が存在する部分を検出」したり、「被写体の輪郭を判定することで頭部を検出」して人物の存在と位置を認識するだけの「第1の画像認識手段」が、人物の存在と位置を認識した上でさらに「顔の輪郭、目、口、鼻、額等の形、位置、大きさ、髪型、メガネの有無と種類等を個別に比較する他、それらを総合比較」することによって「画像比較を行」い、この結果、「量画像が特徴的に一致するか否か」を認識する「第2の画像認識手段」よりも、簡易なもので必要な認識をすることが可能であることは、当業者にとって当然の事項であるから、「第1の画像認識手段」による画像認識を「第2の画像認識手段」による画像認識よりも簡易な画像認識とした点は、単なる設計的事項にすぎない。
すなわち、引用発明において、引用例2に記載された発明を採用し、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項を得ることに格別の困難性は認められない。

2 そして、本願発明によってもたらされる効果は、引用発明及び引用例2に記載された発明から当業者が予測し得る程度のものである。

3 まとめ
したがって、本願発明は、引用発明及び引用例2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 結言
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用例2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-02-19 
結審通知日 2013-03-12 
審決日 2013-03-26 
出願番号 特願2005-190279(P2005-190279)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 清水 靖記齋藤 卓司  
特許庁審判長 森林 克郎
特許庁審判官 神 悦彦
伊藤 昌哉
発明の名称 撮像装置及びそのプログラム  

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