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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04N |
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管理番号 | 1274782 |
審判番号 | 不服2012-21387 |
総通号数 | 163 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-07-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-10-30 |
確定日 | 2013-06-18 |
事件の表示 | 特願2010-210207「デジタルコンテンツ受信機及びデジタルコンテンツ受信方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 2月10日出願公開、特開2011- 30256、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、1999年(平成11)年5月5日(パリ条約による優先権主張1998年(平成10年)5月6日 (GB)グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国)を国際出願日とする出願(特願2000-547742号)の一部を平成22年9月17日に新たな特許出願としたものであって、平成24年4月10日付けの拒絶理由通知に対し、平成24年6月13日付けで手続補正がなされたが、平成24年7月23日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成24年10月30日に審判請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2.平成24年10月30日付けの手続補正(以下、「本件補正」ともいう)についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成24年10月30日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.補正の内容 本件補正による補正前及び補正後の特許請求の範囲(請求項1ないし5)の記載はそれぞれ次のとおりである。 (1)補正前の特許請求の範囲 「【請求項1】 AV/C限定受信コマンドを限定受信サブユニットに送信するコマンド送信手段と、 スクランブルされたデジタルコンテンツ信号を受信する受信手段と、 上記スクランブルされたデジタルコンテンツ信号を上記限定受信サブユニットに出力するとともに、該限定受信サブユニットからローカルスクランブルデジタルコンテンツ信号を入力するインタフェース手段と、 上記限定受信サブユニットから入力された上記ローカルスクランブルデジタルコンテンツ信号をローカルデスクランブルして、デジタルコンテンツ信号を生成するローカルデスクランブル手段とを備え、 上記限定受信サブユニットから入力されるローカルスクランブルデジタルコンテンツ信号は、該限定受信サブユニットにおいて受信されたAV/C限定受信コマンドによって上記受信されたスクランブルされたデジタルコンテンツ信号をデスクランブルし、更に、ローカルスクランブルした信号であることを特徴とするデジタルコンテンツ受信機。 【請求項2】 上記限定受信サブユニットは、上記スクランブルされたデジタルコンテンツ信号をデスクランブルして、デジタルコンテンツ信号を生成し、該生成されたデジタルコンテンツ信号をローカルスクランブルして、上記ローカルスクランブルデジタルコンテンツ信号を生成することを特徴とする請求項1記載のデジタルコンテンツ受信機。 【請求項3】 当該デジタルコンテンツ受信機が認証されたときだけ、上記ローカルスクランブルデジタルコンテンツ信号をローカルデスクランブルすることを特徴とする請求項1記載のデジタルコンテンツ受信機。 【請求項4】 上記限定受信サブユニットは、該限定受信サブユニット内に格納されている権限管理メッセージを更新するのに十分な期間、上記受信手段から上記スクランブルされたデジタルコンテンツ信号を受信することを特徴とする請求項1記載のデジタルコンテンツ受信機。 【請求項5】 受信機がAV/C限定受信コマンドを限定受信サブユニットに送信するステップと、 上記受信機がスクランブルされたデジタルコンテンツ信号を受信するステップと、 上記受信機が上記受信されたスクランブルされたデジタルコンテンツ信号を上記限定受信サブユニットに出力するステップと、 上記限定受信サブユニットが該限定受信サブユニットにおいて受信されたAV/C限定受信コマンドによって上記スクランブルされたデジタルコンテンツ信号をデスクランブルして、デジタルコンテンツ信号を生成し、該生成されたデジタルコンテンツ信号をローカルスクランブルして、ローカルスクランブルデジタルコンテンツ信号を生成するステップと、 上記限定受信サブユニットがローカルスクランブルデジタルコンテンツ信号を上記受信機に入力するステップと、 上記受信機が上記入力されたローカルスクランブルデジタルコンテンツ信号をローカルデスクランブルして、デジタルコンテンツ信号を生成するステップとを有するデジタルコンテンツ受信方法。」 (2)補正後の特許請求の範囲 「【請求項1】 限定受信イネーブルコマンドを限定受信サブユニットに送信するコマンド送信手段と、 スクランブルされたデジタルコンテンツ信号を受信する受信手段と、 上記スクランブルされたデジタルコンテンツ信号を上記限定受信サブユニットに出力するとともに、該限定受信サブユニットからローカルスクランブルデジタルコンテンツ信号を入力するインタフェース手段と、 上記限定受信サブユニットから入力された上記ローカルスクランブルデジタルコンテンツ信号をローカルデスクランブルして、デジタルコンテンツ信号を生成するローカルデスクランブル手段とを備え、 上記限定受信サブユニットから入力されるローカルスクランブルデジタルコンテンツ信号は、該限定受信サブユニットにおいて受信された限定受信イネーブルコマンドによって上記受信されたスクランブルされたデジタルコンテンツ信号をデスクランブルし、更に、ローカルスクランブルした信号であり、 上記限定受信サブユニットは、同時に複数の個別のストリーム又はサービスをデスクランブルすることを特徴とするデジタルコンテンツ受信機。 【請求項2】 上記限定受信サブユニットは、上記スクランブルされたデジタルコンテンツ信号をデスクランブルして、デジタルコンテンツ信号を生成し、該生成されたデジタルコンテンツ信号をローカルスクランブルして、上記ローカルスクランブルデジタルコンテンツ信号を生成することを特徴とする請求項1記載のデジタルコンテンツ受信機。 【請求項3】 当該デジタルコンテンツ受信機が認証されたときだけ、上記ローカルスクランブルデジタルコンテンツ信号をローカルデスクランブルすることを特徴とする請求項1記載のデジタルコンテンツ受信機。 【請求項4】 上記限定受信サブユニットは、該限定受信サブユニット内に格納されている権限管理メッセージを更新するのに十分な期間、上記受信手段から上記スクランブルされたデジタルコンテンツ信号を受信することを特徴とする請求項1記載のデジタルコンテンツ受信機。 【請求項5】 受信機が限定受信イネーブルコマンドを限定受信サブユニットに送信するステップと、 上記受信機がスクランブルされたデジタルコンテンツ信号を受信するステップと、 上記受信機が上記受信されたスクランブルされたデジタルコンテンツ信号を上記限定受信サブユニットに出力するステップと、 上記限定受信サブユニットが該限定受信サブユニットにおいて受信された限定受信イネーブルコマンドによって上記スクランブルされたデジタルコンテンツ信号をデスクランブルして、デジタルコンテンツ信号を生成し、該生成されたデジタルコンテンツ信号をローカルスクランブルして、ローカルスクランブルデジタルコンテンツ信号を生成するステップと、 上記限定受信サブユニットがローカルスクランブルデジタルコンテンツ信号を上記受信機に入力するステップと、 上記受信機が上記入力されたローカルスクランブルデジタルコンテンツ信号をローカルデスクランブルして、デジタルコンテンツ信号を生成するステップとを有し、 上記限定受信サブユニットにおいて同時に複数の個別のストリーム又はサービスをデスクランブルするデジタルコンテンツ受信方法。」 2.補正の適否 補正後の請求項1は、補正前の請求項1を補正したものであり、その補正は、「AV/C限定受信コマンド」を「限定受信イネーブルコマンド」とする補正事項を含んでいる。 この補正事項は、コマンドに関して、「AV/C」コマンドであるという限定を省くとともに「イネーブル」コマンドであることを限定するものであるから、この補正事項全体としては、補正前の発明特定事項である「AV/C限定受信コマンド」を限定するものではない。 したがって、この補正事項を含む本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。また、本件補正が請求項の削除、誤記の訂正、明りようでない釈明、の何れを目的とするものでないことは明らかである。 3.まとめ 以上のとおりであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3.本願発明について 1.本願発明 平成24年10月30日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし5に係る発明は、平成24年6月13日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるとおりのもの(上記第2.1.(2)を参照)である。 2.刊行物の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用した国際公開第96/07267号、及び、特開平2-31290号公報には、それぞれ、概略、次の発明が記載されている。 ・国際公開第96/07267号(以下、「刊行物1」という) 受信したスクランブルされたビデオ番組の信号を、カードリーダを介して接続したスマートカードに入力し、スマートカードにデスクランブルを指示するコマンドを与えて、デスクランブルされたビデオ番組の信号をスマートカードから受け取るビデオ信号処理システム。 ・特開平2-31290号公報(以下、「刊行物2」という) ICカードをカード端末に装着して、ICカードとカード端末との間で情報の交換をするものにおいて、ICカードからカード端末にデータを送信するとき、カード端末からICカードにデータを送信するときの何れのときにも、送信側でデータを暗号化して送信し、受信側で受信した暗号化されたデータを複合するICカード装置。 3.対比・判断 請求項1ないし4に係る発明は、「上記スクランブルされたデジタルコンテンツ信号を上記限定受信サブユニットに出力するとともに、該限定受信サブユニットからローカルスクランブルデジタルコンテンツ信号を入力するインタフェース手段」を備えている。 すなわち、限定受信サブユニットに出力するときは、既にスクランブルされている信号をローカルスクランブルしないで出力し、限定受信サブユニットから入力するときは、限定受信サブユニットでローカルスクランブルされた信号を入力するものである。 これに対し、刊行物1には、ローカルスクランブルについて記載されていない。 刊行物2の暗号化は、本願発明の「ローカルスクランブル」に対応するものと考えられるが、ICカードとカード端末との間で情報の交換をするときには常に暗号化を行うものであるから、この技術を刊行物1のスマートカードとカードリーダに適用したとしても、カードリーダからスマートカードへ信号を入力するときには、既にスクランブルされている信号に対してさらにローカルスクランブルを行い、カードリーダがスマートカードから信号を受け取るときには、ローカルスクランブルされた信号を受け取る構成となり、本願発明の、限定受信サブユニットに出力するときは、既にスクランブルされている信号をローカルスクランブルしないで出力し、限定受信サブユニットから入力するときは、限定受信サブユニットでローカルスクランブルされた信号を入力するという構成を導くことができないし、自明であるともいえない。 このことは、請求項1に係るものの発明のカテゴリーを変えて方法の発明とした請求項5に係る発明についても同様にいえるから、請求項1ないし5に係る発明は、刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとすることはできない。 第4.むすび したがって、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2013-06-05 |
出願番号 | 特願2010-210207(P2010-210207) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H04N)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 久保 光宏 |
特許庁審判長 |
奥村 元宏 |
特許庁審判官 |
千葉 輝久 小池 正彦 |
発明の名称 | デジタルコンテンツ受信機及びデジタルコンテンツ受信方法 |
代理人 | 小池 晃 |
代理人 | 伊賀 誠司 |