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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F02M |
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管理番号 | 1274949 |
審判番号 | 不服2012-2625 |
総通号数 | 163 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-07-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-02-10 |
確定日 | 2013-06-06 |
事件の表示 | 特願2009-280688「キャニスタ、燃焼システム及び自動推進車両」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 3月11日出願公開、特開2010- 53873〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本件出願は、平成16年9月7日に出願した特願2004-259946号の一部を平成21年12月10日に新たな特許出願としたものであって、平成21年12月10日付けで上申書が提出され、平成23年8月4日付けで拒絶理由が通知され、平成23年9月20日付けで意見書が提出されたが、同年11月10日付けで拒絶の査定がなされ、これに対し、平成24年2月10日付けで拒絶査定に対する審判の請求がなされ、その後、同年11月29日付けで当審により拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成25年2月4日付けで意見書及び特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出されたものである。 第2.本願発明 本件出願の請求項1ないし8に係る発明は、平成25年2月4日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲並びに願書に添付した明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりである。 「 【請求項1】 粒状の活性炭を含んだ吸着剤層と、この吸着剤層を収容した容器と、前記吸着剤層を挟んだ一対の電極とを具備し、前記一対の電極の少なくとも一方は、前記吸着剤層側の面に凹凸が設けられた金属層を含んだことを特徴とするキャニスタ。」 第3.当審拒絶理由に引用された引用文献 (1)特開平11-93783号公報(以下、「引用文献」という。)の記載事項 ア.「【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は、活性炭として低電気抵抗のものを用いることにより、燃料蒸発ガスの離脱時において、低電圧にも拘らず両電極間の通電量を増大させ、これにより活性炭を必要温度まで迅速に抵抗発熱させることができるようにした前記キャニスタを提供することを目的とする。」(段落【0006】) イ.「【0016】 【発明の実施の形態】図1?3は燃料蒸発ガス発散防止用キャニスタ1を示す。キャニスタ1は、ポリアミド66よりなる容器2を有し、その容器2は、有底の円筒状本体3と、その開口を閉じる蓋板4とよりなる。蓋板4は、その中心部に外方へ突出する中空筒部5を有し、その中空筒部5により燃料蒸発ガスの導入口6が形成される。したがってその中空筒部5は図示しない燃料タンクに接続される。本体3は、その底壁7の中心部に外方へ突出する中空筒部8を有し、その中空筒部8により燃料蒸発ガスの導出口9が形成される。したがってその中空筒部8は図示しないエンジンの吸気系統に接続される。 【0017】容器2内において、蓋板4および底壁7にそれぞれ接触させてガラスウールよりなるフィルタ層10,11が設けられ、両フィルタ層10,11間の空間に、燃料蒸発ガスを吸着するペレット状活性炭12の集合物13が充填される。 【0018】集合物13内に埋込まれるように、少なくとも一対、実施例では一対のアルミニウム製板状電極14,15が相対向して本体3の周壁16内面に取付けられている。各電極14,15のリード線17,18は周壁16を貫通して外部に引出され、直流電源装置に接続される。両電極17,18は活性炭12を抵抗発熱させるために用いられる。また本体3に、その周壁16を貫通するように熱電対19が設けられ、その熱電対19は、活性炭12の温度が所定の温度を超えないように制御する。」(段落【0016】ないし【0018】) (2)上記(1)及び図面から分かること カ.上記(1)ア.及びイ.並びに図2から、ペレット状活性炭12の集合物13は、燃料蒸発ガスの吸着部材となることが分かる。 キ.上記(1)イ.並びに図2及び3から、電極14,15は、アルミニウム製であって、板状体であることが分かる。 3.引用文献記載の発明 上記(1)及び(2)並びに図面によると、引用文献には、 「ペレット状活性炭12の集合物13からなる燃料蒸発ガスの吸着部材と、この燃料蒸発ガスの吸着部材を収容した容器2と、前記燃料蒸発ガスの吸着部材を挟んだ一対の電極14、15とを具備し、一対の電極14、15はアルミニウム製板状体からなるキャニスタ1。」(以下、「引用文献記載の発明」という。)が記載されている。 第4.対比 本願発明と引用文献記載の発明を対比すると、引用文献記載の発明における「ペレット状活性炭12の集合物13からなる」、「燃料蒸発ガスの吸着部材」及び「アルミニウム製板状体」は、それぞれの機能や技術的意義からみて、本願発明における「粒状の活性炭を含んだ」、「吸着剤層」及び「金属層」に、それぞれ相当する。 したがって、本願発明と引用文献記載の発明は、 「粒状の活性炭を含んだ吸着剤層と、この吸着剤層を収容した容器と、前記吸着剤層を挟んだ一対の電極とを具備し、前記一対の電極は金属層からなるキャニスタ。」 という点で一致し、以下の点で相違している。 本願発明においては、一対の電極の少なくとも一方は、吸着剤層側の面に凹凸が設けられた金属層を含んでいるのに対して、引用文献記載の発明においては、アルミニウム製板状の集合物13側の面に凹凸を含んでいるかどうかが明らかでない点(以下、「相違点」という。)。 第5.当審の判断 上記相違点について、以下に検討する。 電極において、加熱の対象となる部材側の面に「凹凸」を設けることは周知の技術(例えば、特開2002-124366号公報の段落【0015】、並びに、特開平11-135235号公報の段落【0061】、【0062】、【図13】及び【図14】等参照。以下、「周知技術」という。)である。 また、本願発明は、金属層の凹凸の大小と活性炭の大小との関係が必ずしも明らかとはいえず、金属層と活性炭との接触面積を大きくすることができるかどうかが必ずしも明らかではないが、上記周知技術は、電極に凹凸を設けることにより電極と加熱の対象となる部材との間、すなわち通電部材間の接触面積を増加させるものである。そして、通電部材間の接触面積を増加させれば、火花放電が防止されることは技術常識(必要であれば、特開平11-73053号公報の段落【0027】、及び、特開平8-157951号公報の段落【0010】等参照。)でもある。 そして、引用文献記載の発明及び上記周知技術は、いずれも通電により部材を加熱する技術に属するものであることから、引用文献記載の発明における電極の吸着部材側の面に、上記技術常識を参酌しつつ上記周知技術を適用することにより、相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 また、本願発明は、全体として検討しても、引用文献記載の発明及び上記周知技術から予測される以上の格別な効果を奏するものものとは認められない。 よって、本願発明は、引用文献記載の発明及び上記周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第6.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用文献記載の発明及び上記周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-03-29 |
結審通知日 | 2013-04-02 |
審決日 | 2013-04-23 |
出願番号 | 特願2009-280688(P2009-280688) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(F02M)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 島倉 理 |
特許庁審判長 |
中村 達之 |
特許庁審判官 |
中川 隆司 藤原 直欣 |
発明の名称 | キャニスタ、燃焼システム及び自動推進車両 |
代理人 | 堀内 美保子 |
代理人 | 蔵田 昌俊 |
代理人 | 村松 貞男 |
代理人 | 砂川 克 |
代理人 | 佐藤 立志 |
代理人 | 高倉 成男 |
代理人 | 幸長 保次郎 |
代理人 | 福原 淑弘 |
代理人 | 竹内 将訓 |
代理人 | 河野 直樹 |
代理人 | 岡田 貴志 |
代理人 | 白根 俊郎 |
代理人 | 井関 守三 |
代理人 | 野河 信久 |
代理人 | 中村 誠 |
代理人 | 峰 隆司 |
代理人 | 河野 哲 |