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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B01J
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B01J
管理番号 1275455
審判番号 不服2012-4276  
総通号数 164 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-03-06 
確定日 2013-06-13 
事件の表示 特願2005- 45741「光触媒の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 9月 7日出願公開、特開2006-231113〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
この出願は、平成17年2月22日の出願であって、平成22年10月28日付けで拒絶理由が通知され、同年12月28日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成23年11月30日に拒絶査定がされ、これに対し、平成24年3月6日に審判が請求されるとともに、手続補正書が提出され、前置審査において、同年5月25日付けで拒絶理由(最後)が通知され、同年7月30日に意見書及び手続補正書が提出され、同年10月25日に前置報告がされた後、平成25年1月15日に審尋がされ、これに対し同年3月15日に回答書が提出されたものである。

第2 平成24年7月30日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成24年7月30日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
平成24年7月30日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、平成24年3月6日付けの手続補正後の特許請求の範囲の請求項1である
「発泡済みの有機ポリマービーズを混合した光触媒含有塗布液を基材に塗布した後に、当該基材を加熱処理することにより、光触媒に対して光触媒反応に必要な波長の光を透過する細孔を付与することを特徴とする光触媒の製造方法。」
を、
「平均粒子径が0.3?5μmの発泡済みの有機ポリマービーズと、平均粒子径が5nm?2μmの酸化チタンと、バインダと、を混合した光触媒含有塗布液を基材に塗布した後に、当該基材を加熱処理することにより、光触媒に対して光触媒反応に必要な波長の光を透過する細孔を付与することを特徴とする光触媒の製造方法。」
とする補正を含むものである。

2 補正の適否
(1)目的要件
上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項(以下、「発明特定事項」という。)である「発泡済みの有機ポリマービーズを混合した光触媒含有塗布液」を「平均粒子径が0.3?5μmの発泡済みの有機ポリマービーズと、平均粒子径が5nm?2μmの酸化チタンと、バインダと、を混合した光触媒含有塗布液」と限定するものであって、その補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。

(2)独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下、「本件補正発明」という。また、本件補正後の明細書を「本件補正明細書」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(請求項1についての補正が、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものであるか)について、検討する。

ア 刊行物及び刊行物に記載された事項
(ア)刊行物
特開2001-070802号公報
(平成24年5月25日付けの拒絶理由における引用例1である。以下、同様に「引用例1」という。)

(イ)引用例1に記載された事項
1a 「【特許請求の範囲】
【請求項1】 基材の表面に、開気孔率40%以上80%以下の光触媒膜が形成されていることを特徴とする光触媒膜。

【請求項7】 光触媒粒子に加熱処理により消失する物質を配合し、これを基材にコーティングした後、前記物質の加熱消失温度より高い温度にて加熱処理することにより、光触媒膜に形成することを特徴とする光触媒膜の製造方法。

【請求項9】 請求項7記載の光触媒膜の製造方法において、前記物質は溶媒に不溶の樹脂であることを特徴とする光触媒膜の製造方法。
【請求項10】 請求項7ないし請求項9記載のいずれかの光触媒膜の製造方法において、前記物質は平均粒径が6nm以上1000nm以下であることを特徴とする光触媒膜の製造方法。」
1b 「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高い光触媒性能を有する光触媒膜の構造、およびその製造方法に係わり、特に空気浄化、水浄化等の環境浄化型装置へ適用可能な光触媒膜およびその製造方法に関する。」
1c 「【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のように効率向上のための様々な検討がなされているにも拘らず、いずれの場合もいまだ効率が十分とは言い難く、さらに効率向上のための有効な施策が求められていた。
【0008】本発明は、上記状況に鑑みてなされたもので、さらにより大きな効率向上を達成するための光触媒膜の構造、およびその実用的な製造方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、光触媒膜の効率向上に関し、鋭意研究を重ねた結果、光触媒膜を多孔質化し、比表面積を増加させた場合、特定の開気孔率以上の範囲で、見かけ上光触媒性能が急激に向上すること、また、このような膜の気孔率、および気孔径を再現性良く、かつ自由にコントロールする方法を見出し、本発明を完成したものである。すなわち、本発明の請求項1は、基材の表面に、開気孔率40%以上80%以下の光触媒膜が形成されていることを特徴とする。」
1d 「【0021】請求項7において、本発明の光触媒膜を得るためには、例えば次のような製造方法によって作製される。すなわち、まず、酸化チタン等の光触媒粒子を水、または有機溶媒に分散したスラリーを作製する。この際スラリーとしてゾルを用いることにより微細で活性な粉末を担持できるという点で有利である。このスラリー中に不溶の樹脂、またはカーボンの粉末を添加し、成分が均一になるように良く混合する。この際、樹脂やカーボンの粉末を均一に分散させるために、分散剤,湿潤剤、あるいはバインダーを添加することが好ましい。次に基材をこのスラリー中にディッピングすることにより光触媒粒子および添加物(樹脂、またはカーボン粉末等)を基材表面にコーティングする。基材に光触媒粒子をコーティングする方法としては、ディッピングの他にスプレー、スピンコート等が挙げられる。スラリー中の溶媒(水、または有機溶媒)を乾燥させた後、例えば50℃/hの昇温速度で600℃、2時間程度熱処理することにより、本発明の光触媒膜が得られる。」
1e 「【0023】本発明の請求項9は、請求項7記載の光触媒膜の製造方法において、前記物質は溶媒に不溶の樹脂であることを特徴とする。請求項9において、樹脂は溶媒に不溶のものであれば、特にその種類を限定しない。溶媒に不溶でなければならない理由は、この添加樹脂が溶媒に溶けた場合には、樹脂が加熱消失後に形成される気孔の径が著しく小さくなるため、光触媒効率向上に寄与しないからである。溶媒に不溶の樹脂としては、例えばメラミン・ホルムアルデヒド縮合物、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物、ポリスチレン、PMMA、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル等が挙げられる。酸化チタンの場合、基材への焼き付け温度は一般に500℃-700℃でなされ、これ以上の温度で熱処理を行った場合には、酸化チタンの結晶形がアナターゼ型からルチル型へ転移するため、触媒活性が落ちると言われている。大部分の樹脂は上記600℃-700℃以下で分散消失するため、好適である。また、カーボンについても同様にその種類を限定しない。空気中で熱処理した場合、ほとんどすべてのカーボンは600℃以下で完全に酸化消失する。」
1f 「【0025】請求項10において、加熱処理により分散消失する物質の平均粒径を6nm以上1000nm以下と規定することにより、光触媒効率と膜強度の両立した優れた光触媒膜が得られる。すなわち、6nm以下では光触媒効率を向上させるための好適な気孔を形成することができず、また、1000nm以上では、十分な膜強度が得られない。さらに好ましくは平均粒子径10nm以上500nm以下の範囲でより優れた光触媒膜の形成が可能となる。」
1g 「【0032】第6の実施の形態(請求項2,7,9,10対応)
結晶粒子径6nmの酸化チタンゾル(硫酸および塩酸で解こうした水系ゾル)に粒子径5,10,50,100,500,1000,2000nmの溶媒に樹脂(メラミン・ホルムアルデヒド縮合物)を混合し、酸化チタンと樹脂が均一に混合されたスラリーを得た。このときの樹脂添加量は、酸化チタンと樹脂の総体積を100としたときの体積比率が50となるように配合した。次に、3次元網目構造を有する開気孔率85%のコーディエライト焼結体(外径120mm、内径40mm、高さ150mm)をこのスラリーにディップして、コーディエライト焼結体の表面に酸化チタンおよび樹脂からなる混合粉末粒子をコーティングした。これを常温にて1昼夜乾燥した後、600℃で2時間熱処理した。次に、これらの担持体について光触媒効率を評価した。評価装置、および評価方法は第1の実施の形態と同じである。その結果を図7に示す。」
1h 「図7



イ 引用例1に記載された発明
引用例1は、「高い光触媒性能を有する光触媒膜の構造、およびその製造方法に係わり、特に空気浄化、水浄化等の環境浄化型装置へ適用可能な光触媒膜およびその製造方法に関する」(摘示1b)に関するものであって、具体的に以下の「光触媒膜の構造」及び「その製造方法」、すなわち、
「基材の表面に、開気孔率40%以上80%以下の光触媒膜が形成されていることを特徴とする光触媒膜。」(摘示1a【請求項1】)
及び
「光触媒粒子に加熱処理により消失する物質を配合し、これを基材にコーティングした後、前記物質の加熱消失温度より高い温度にて加熱処理することにより、光触媒膜に形成することを特徴とする光触媒膜の製造方法。」(摘示1a【請求項7】)
に関して記載するものである。
その製造方法における「光触媒粒子」、「加熱処理により消失する物質」は、具体例を示す「実施の形態6」(摘示1g)においては、前者は「結晶粒子径6nmの酸化チタン」が、後者は「粒子径5,10,50,100,500,1000,2000nm」のいずれか、例えば、粒子径が500nmや1000nmの「樹脂(メラミン・ホルムアルデヒド縮合物)」が、それぞれ用いられていることが認められる(摘示1g,1f)。
また、「請求項7において、本発明の光触媒膜を得るためには、」「バインダーを添加することが好ましい。」と記載されている(摘示1d)
そして、製造された「光触媒膜」は、「開気孔率40%以上80%以下の光触媒膜」(摘示1a【請求項1】)であると認められる。
そうすると、引用例1には、以下の光触媒膜の製造方法、
「結晶粒子径6nmの酸化チタン光触媒粒子に加熱処理により消失する物質である粒子径500nm又は1000nmの樹脂(メラミン・ホルムアルデヒド縮合物)を配合し、バインダーを添加し、これを基材にコーティングした後、前記物質の加熱消失温度より高い温度にて加熱処理することにより、開気孔率40%以上80%以下の光触媒膜に形成する、光触媒膜の製造方法。」
の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

ウ 本件補正発明と引用発明との対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明における、「粒子径500nm又は1000nm」の「樹脂(メラミン・ホルムアルデヒド縮合物)」の、500nm、1000nmは、それぞれ0.5μm、1μmで、本件補正発明における「平均粒子径が0.3?5μm」に包含されるものであり、また、本件補正発明は、「基材を加熱処理することにより」、「細孔を付与」し、引用発明の「樹脂(メラミン・ホルムアルデヒド縮合物)」は本件補正発明における「有機ポリマー」に包含されるものであると認められるから、引用発明における「加熱処理により消失する物質である粒子径500nm又は1000nmの樹脂(メラミン・ホルムアルデヒド縮合物)」は、本件補正発明における「平均粒子径が0.3?5μm」の「有機ポリマービーズ」に相当する。
また、引用発明における「結晶粒子径6nmの酸化チタン光触媒粒子」は、本件補正発明における「平均粒子径が5nm?2μmの酸化チタン」に包含されるものであり、引用発明における「バインダーを添加し」は、本件補正発明における「バインダと、を混合した」に相当する。
さらに、引用発明における「これを基材にコーティングした後、前記物質の加熱消失温度より高い温度にて加熱処理する」は、本件補正発明における「光触媒含有塗布液を基材に塗布した後に、当該基材を加熱処理する」に相当する。
そして、製造された光触媒は、本件補正発明も引用発明も、ともに細孔が付与されている光触媒であるいうことができる。
そうすると、本件補正発明と引用発明とは、
「平均粒子径が0.3?5μmの有機ポリマービーズと、平均粒子径が5nm?2μmの酸化チタンと、バインダと、を混合した光触媒含有塗布液を基材に塗布した後に、当該基材を加熱処理することにより、細孔を付与することを特徴とする光触媒の製造方法。」
の点において一致し、以下の点A及びBにおいて相違すると認められる。

A 有機ポリマービーズが、本件補正発明は、「発泡済み」のものであるのに対して、引用発明は、「発泡済み」のものではない点(以下、「相違点A」という。)
B 光触媒に対して付与される細孔が、本件補正発明は「光触媒反応に必要な波長の光を透過する」ものであるのに対して、引用発明においては、「開気孔率40%以上80%以下」のものである点(以下、「相違点B」という。)

エ 相違点についての判断
(ア)相違点Aについて
本件補正発明の「有機ポリマービーズ」は、焼成時に焼失してミクロサイズの細孔を有する多孔体を製造するための材料(造孔材)と認められるところ、ミクロサイズの細孔を有する多孔質体を製造するための焼成時に焼失する造孔材として、発泡済みの有機ポリマービーズは、未発泡有機ポリマービーズと同様に周知慣用のものであって、発泡済みのものと未発泡のものは同列に使用に供せられるということができる(例えば、平成24年5月25日付けの拒絶理由における引用例4である特開平7-231127号公報【0016】等参照)。
そして、どのような造孔材を用いるかは、製造する多孔質体やその製造法に応じ、造孔材の特性を勘案して、当業者が適宜選択すべき事項であるところ、引用発明の光触媒膜の製造方法は加圧成形がされない方法であり造孔材の圧壊の恐れが小さいものであること、発泡済みの造孔材は、同径の中実造孔材より材料重量が少なく焼成に必要なエネルギーが小さい等経済的であることなどを考慮すれば、引用発明の光触媒膜の製造方法における加熱処理により消失する粒子として「発泡済み」のもの用いることは、当業者が容易になし得る材料の変換に過ぎないといえる。
そして、本件補正明細書を参照しても、焼成時に焼失する造孔材として「発泡済み」のものを採用したことにより、本件補正発明が予測し得ない顕著な作用効果を奏するとも認められない。

(イ)相違点Bについて
本件補正発明の光触媒に対して付与される細孔についての「光触媒反応に必要な波長の光を透過する」との特定事項は、本件補正明細書を参照すると、ミクロサイズの細孔構造を付与することで細孔がない場合に比して、より「光触媒反応に必要な波長の光」が透過することであると認められる(本件補正明細書【0021】)。
引用発明の「開気孔率40%以上80%以下の光触媒」は、本件補正発明の光触媒と同等の製造方法によって細孔構造を付与されたものであるから、その付与された細孔構造も本件補正発明の光触媒の細孔構造と同等のものであると認められる。
そうすると、引用発明の「開気孔率40%以上80%以下」の光触媒は、本件補正発明の「光触媒反応に必要な波長の光を透過する」細孔が付与された光触媒である、ということができる。
したがって、相違点Bは、両者間の相違点とはいえない。

オ まとめ
以上によれば、本件補正発明は、その出願前頒布された引用例1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正発明は、特許出願の際独立してできるものではない。
よって、請求項1についての補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものとはいえない。

3 むすび
以上のとおり、請求項1についての補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合しないものであるから、その余について検討するまでもなく、本件補正は、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、その補正前の特許請求の範囲は、平成24年3月6日付けの手続補正により補正されたとおりのものであるところ、その請求項1は、上記「第2」の「1」の項に示したとおりの、
「発泡済みの有機ポリマービーズを混合した光触媒含有塗布液を基材に塗布した後に、当該基材を加熱処理することにより、光触媒に対して光触媒反応に必要な波長の光を透過する細孔を付与することを特徴とする光触媒の製造方法。」
である(以下、「本願発明」という。)。

第4 前置審査において通知した拒絶の理由
前置審査において、平成24年5月25日付けで通知した拒絶の理由は、請求項1に係る発明は、引用文献等No.1、すなわち、特開2001-70802号公報、に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。

第5 当審の判断
当審は、上記の拒絶の理由のとおり、本願発明は引用例1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、と判断する。

1 刊行物、刊行物に記載された事項及び刊行物に記載された発明
上記の拒絶の理由に引用された「特開2001-70802号公報」は、「第2」の「2」項の「ア」における「引用例1」である。
引用例1に記載された事項は、同項の「ア」の(イ)に記載したとおりである。
そして、引用例1に記載された発明は、同項の「イ」に記載したとおりのもの(以下、同様に「引用発明」という。)である。

2 対比・相違点についての判断
本願発明は、「第2」の「2」項の(1)において示したとおり、本件補正発明における「平均粒子径が0.3?5μmの発泡済みの有機ポリマービーズと、平均粒子径が5nm?2μmの酸化チタンと、バインダと、を混合した光触媒含有塗布液」との発明特定事項が「発泡済みの有機ポリマービーズを混合した光触媒含有塗布液」となったものである。
そうすると、本願発明と引用発明とを対比すると、両者の一致点は、
「有機ポリマービーズとを混合した光触媒含有塗布液を基材に塗布した後に、当該基材を加熱処理することにより、細孔を付与することを特徴とする光触媒の製造方法。」
となり、相違点は次のとおりとなる。
A’有機ポリマービーズが、本願発明は、「発泡済み」のものであるのに対して、引用発明は、「発泡済み」のものではない点(以下、「相違点A’」という。)
B’光触媒に対して付与される細孔が、本願発明においては「光触媒反応に必要な波長の光を透過する」ものであるのに対して、引用発明においては、「開気孔率40%以上80%以下」のものである点(以下、「相違点B’」という。)

これらの相違点A’、B’は、「第2」の「2」の項(2)ウに示した、本件補正発明と引用発明との相違点A、Bと同じである。
そうすると、これらの相違点A’、B’についても、同項(2)エに記載したのと同様の判断ができる。

3 まとめ
したがって、本願発明は、その出願前頒布された引用例1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は特許を受けることができないものであるから、その余について検討するまでもなく、この出願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-04-11 
結審通知日 2013-04-16 
審決日 2013-04-30 
出願番号 特願2005-45741(P2005-45741)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B01J)
P 1 8・ 575- WZ (B01J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 後藤 政博  
特許庁審判長 松本 貢
特許庁審判官 中澤 登
真々田 忠博
発明の名称 光触媒の製造方法  
代理人 小林 博通  
代理人 小林 博通  
代理人 橋本 剛  
代理人 橋本 剛  
代理人 鵜澤 英久  
代理人 鵜澤 英久  

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