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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65G
管理番号 1275468
審判番号 不服2012-15256  
総通号数 164 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-08-07 
確定日 2013-06-13 
事件の表示 特願2009-507287「搬送装置」拒絶査定不服審判事件〔平成20年10月 9日国際公開、WO2008/120294〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、平成19年3月2日を国際出願日とする特許出願であって、同24年5月10日付けで拒絶をすべき旨の査定がなされた。
これに対し、平成24年8月7日に該査定の取消を求めて本件審判の請求がされるとともに手続補正書が提出され、同25年1月29日付けで当審から拒絶の理由が通知され、同25年3月1日に意見書とともに特許請求の範囲及び明細書について手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成25年3月1日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認めるところ、その記載は以下のとおりである。
「 【請求項1】
真空室内に配置され、固定ベースと、この固定ベースに対して垂直軸を中心として旋回可能に保持された旋回ベースと、この旋回ベースに支持された直線移動機構と、この直線移動機構に支持されたハンドとを備え、
上記旋回ベースの所望の旋回位置において上記直線移動機構の作動により上記ハンドに載置したワークを水平に保持しながら搬送する搬送装置であって、
上記旋回ベースの下面側の適部に設けられた熱輻射面と、
上記真空室を形成する壁のうち、上記旋回ベースの下面側と対向する壁の少なくとも一部に設けられ、かつ、平面視において上記旋回ベースの平面的な旋回領域を含む広さを有する熱吸収面と、
上記熱吸収面によって吸収された熱を外部に放出するための冷却手段と、を備え、
上記冷却手段は、上記垂直軸を中心として略同心円状に所定の間隔を隔てて設けられ、かつ、上記熱吸収面に接しつつ当該熱吸収面の所定領域に満遍なく面状に配置された部分を有する、冷媒を通すための配管、を含んで構成されていることを特徴とする、搬送装置。」(以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。)

第3 引用刊行物記載の発明
これに対して、当審での平成25年1月29日付けの拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された下記刊行物には、以下の発明、あるいは事項が記載されていると認められる。

刊行物1:国際公開第2006/062183号
刊行物3:特開2004-29314号公報
刊行物4:特開平9-92613号公報

1 刊行物1
(1)刊行物1記載の事項
刊行物1には、「搬送ロボット及び搬送装置」に関して、図面とともに、以下の事項が記載されている。

ア 特許請求の範囲の請求項1
「[1]
台座部と、
支持軸によって前記台座部に支持されたアームとを有し、
前記アームを移動させ、基板を搬送する搬送ロボットであって、
前記台座部は、前記基板と対面可能な第一面と、前記第一面とは反対側の第二面とを有し、
前記第二面には、表面処理によって、表面処理前の状態よりも輻射比が高くされた放熱側高輻射比部が配置され、
前記放熱側高輻射比部と表面が対向して配置され、前記放熱側高輻射比部から放射される熱を受熱する受熱板とを有する搬送ロボット。」

イ 段落[0021]?[0022]
「[0021]
図1の符号1は本発明の搬送装置の一例を示しており、この搬送装置1は搬送ロボット2と、真空槽7とを有してる。
搬送ロボット2は、板状のベースフランジ15と、ベースフランジ15の一面側に位置し、駆動力を発生させるモータ部19(駆動系)と、ベースフランジ15の他面側に位置し、モータ部19の駆動力を受けて後述する基板を移動させる搬送系3とを有している。
[0022]
真空槽7の底壁にはベースフランジ15の平面形状よりも小径の貫通孔が設けられており、搬送ロボット2は搬送系3が真空槽7内部に配置され、モータ部19が真空槽7の外部に配置された状態で、ベースフランジ15の縁部分が貫通孔の周囲に密着して取り付けられている。従って、貫通孔はベースフランジ15で塞がれた状態になっている。」

ウ 段落[0027]
「[0027]
搬送系3は台座部30と、支持軸35と、アーム20とを有している。台座部30は中空であって、その底壁が内筒13の上端に固定されており、内筒13が回転すると、内筒13と一緒に台座部30も中心軸線Bを中心として回転する。」

エ 段落[0033]?[0034]
「[0033]
アーム20は不図示のリンク機構を有しており、支持軸35が回転するとそのリンク機構が動作し、アーム20が伸縮する。
図3は搬送ロボット2の真空槽7側に配置された部分の斜視図を示している。アーム20の先端上にはハンド25が取り付けられており、搬送対象物である基板9はこのハンド25上に載置される。
[0034]
ハンド25はアーム20と一緒に移動するようになっているので、アーム20の伸縮と台座部30の回転によって、ハンド25上の基板9が所望位置に搬送される。」

オ 段落[0039]?[0040]
「 [0039]
本発明の搬送ロボット2では、台座部30はベースフランジ15上に位置するため、台座部30の下側の面(第二面)と、ベースフランジ15の上側の面が対面している。
台座部30の下側の面と、ベースフランジ15の上側の面に後述する表面処理が施され、放熱側高輻射比部41と受熱側高輻射比部42が形成されている。台座部30の表面処理される前の平坦な表面の輻射比を前処理輻射比とすると、前処理輻射比は台座部30がステンレス製の場合は0.4以下、台座部30がアルミニウム製の場合は0.05以上0.2以下であるのに対し、表面処理によって放熱側高輻射比部41の輻射比と、受熱側高輻射比部42の輻射比は0.4を超え、台座部30の前処理輻射比よりも高くなっている。
[0040]
上述したように、台座部30の下側の面とベースフランジ15の上側の面は対面しているから、放熱側高輻射比部41と受熱側高輻射比部42は対向しており、台座部30の熱は電磁波(例えば赤外線)に変換されて放熱側高輻射比部41から放射され、その赤外線は受熱側高輻射比部42に入射する。」

(2)刊行物1記載の発明
まず、上記摘記事項エに「アーム20は不図示のリンク機構を有しており、支持軸35が回転するとそのリンク機構が動作し、アーム20が伸縮する」とあることから、これらをまとめて、支持軸35、アーム20及びリンク機構からなる移動機構、ということができる。
次に、上記認定事項オの「台座部30の下側の面」に「表面処理が施され、放熱側高輻射比部41」「が形成されている。」との記載に関し、適部配置は設計の常識であることを踏まえ、台座部30の下側の面の適部に設けられた放熱側高輻射比部41、といえる。
また、上記摘記事項オの「受熱側高輻射比部42」は、「ベースフランジ15の上側の面に」形成されたものであるところ、(i)ベースフランジ15は真空槽7の壁面の一部を構成しており、(ii)また、ベースフランジ15の上側の面は台座部30の下側の面の対向しているものであり、(iii)さらに、図2の記載を合理的に解釈すれば、受熱側高輻射比部42は平面視において台座部30の平面的な旋回領域を含む広さを有するものと認められる。したがって、該受熱側高輻射比部42は、真空槽7を形成する壁のうち、台座部30の下側の面の対向する壁の少なくとも一部に設けられ、かつ、平面視において台座部30の平面的な旋回領域を含む広さを有する受熱側高輻射比部42、ということができる。

そこで、刊行物1の上記摘記事項アないしオを図面を参照しつつ、技術常識を踏まえて本願発明に照らして整理すると、刊行物1には以下の発明が記載されていると認められる。
「真空槽7内に配置され、ベースフランジ15と、このベースフランジ15に対して中心軸線Bを中心として旋回可能に保持された台座部30と、この台座部30に支持された支持軸35、アーム20及びリンク機構からなる移動機構と、この移動機構に支持されたハンド25とを備え、
上記台座部30の所望の旋回位置において上記移動機構の作動により上記ハンド25に載置した基板9を水平に保持しながら搬送する搬送装置であって、
上記台座部30の下側の面の適部に設けられた放熱側高輻射比部41と、
上記真空槽7を形成する壁のうち、上記台座部30の下側の面と対向する壁の少なくとも一部に設けられ、かつ、平面視において上記台座部30の平面的な旋回領域を含む広さを有する受熱側高輻射比部42と、を備える、搬送装置。」(以下「刊行物1発明」という。)

2 刊行物3
(1)刊行物3記載の事項
刊行物3には、「光学素子冷却装置、光学素子冷却方法及び露光装置」に関して、図面とともに、以下の事項が記載されている。

ア 特許請求の範囲の請求項1
「【請求項1】
光学素子の光の入射・出射しない面に沿って近接配置された、該光学素子から熱輻射を受ける受熱板と、
該受熱板を冷却する冷却手段と、
を具備することを特徴とする光学素子冷却装置。」

イ 段落【0031】?【0032】
「【0031】
受熱板(第1受熱板)3は、ミラー1の裏面1b及び側周面(反射面1a以外の部分)に沿って非接触で近接配置されている。この受熱板3は、ミラー1だけではなくミラー保持機構(図示されず)とも機械的に干渉しないように配置されている。受熱板3は、入射したEUV光の一部を吸収して熱エネルギの蓄積したミラー1から熱輻射を受ける。
【0032】
受熱板3は、高輻射率・高熱伝導率の金属又はセラミックス製(例えばAl_(2)O_(3)等)の薄板から形成されている。受熱板3を薄板状とすることで、ミラー1裏面側のスペースが確保し易くなり、ミラー1の厚さを薄くしなくて済む。そのため、ミラー1の剛性が低下せず、変形の可能性が低減されている。さらに、この薄板状の受熱板3の表面(ミラー1側を向いた面)又は表面の一部には、ミラー1から受熱板3への熱輻射率を高めるための加工が施されている。」

ウ 段落【0035】
「【0035】
図1に示すように、受熱板3には冷却機構5が接続されている。図2に示すように、冷却機構5は、受熱板3の反ミラー側の面に貼り付けられたヒートパイプ4と、このヒートパイプ4の端部に設けられた水冷ジャケット6からなる。冷却機構5は、図2に示す例では受熱板3の周方向に離れて計8個設けられている。各ヒートパイプ4の固定端4aは受熱板3の中心に集められて固定されている。一方、各ヒートパイプ4の延出端4bは受熱板3の外方に延び出ており、端部に水冷ジャケット6が固定されている。ヒートパイプ4は、断面径(あるいは幅)が数mm以下のものを用いることができるので、小さなスペースに収納でき、真空中での使用が容易であり、通常の熱伝導よりも効率よく熱を伝えることができる。このような冷却機構5は、受熱板3の熱がヒートパイプ4の固定端4aから吸収されて延出端4b側へ高速で移動する。ヒートパイプ4の延出端4bの熱は、水冷ジャケット6で冷却される。」

エ 段落【0036】
「【0036】
なお、図1に示す受熱板3は、ミラー1の裏面1b及び側周面に沿う形状を有しているが、これ以外に単なる平盤状(円盤状等)や半月状等、ミラー1の形状に合わせて熱移動効率が高くなる形状を採用することができる。その場合、冷却機構5のヒートパイプ4も、受熱板の形状に合わせて所望温度が得易い位置に配置する。あるいは、受熱板を複数の薄板で構成し、各々の受熱板にヒートパイプ等の冷却機構を設けてもよい。」

(3)刊行物3事項
刊行物3の上記摘記事項アないしエを、図面を参照しつつ技術常識を踏まえて整理すると、刊行物3には以下の技術的事項が記載されていると認められる。
「ミラー1の裏面側の熱輻射面と、
上記ミラー1の裏面側と対向する位置に設けられ、かつ、ミラー1の裏面側及び側周面に沿う形状を有する受熱板3と、
上記受熱板3によって吸収された熱を外部に放出するための冷却機構5と、を備え、
上記冷却機構5は、受熱板3の中心から外方に延び出す周方向に離れて複数個設けられたヒートパイプ4とその端部に固定された水冷ジャケット6、を含んで構成されていること。」(以下「刊行物3事項」という。)

3 刊行物4記載の事項
(1)刊行物4記載の事項
刊行物4には、「温調装置及び走査型露光装置」に関して、図面とともに、以下の事項が記載されている。

ア 特許請求の範囲の請求項1
「【請求項1】 基板の温度を調整する温調装置であって、
前記基板に対向配置可能で温度制御可能な輻射プレートと;前記輻射プレートに所定の真空層を介して対向配置された赤外線透過窓と;前記輻射プレートと前記窓とを一体的に支持するとともに当該両者間及び前記真空層を断熱する断熱支持体とを有する温調装置。」

イ 段落【0039】?【0041】
「【0039】図3には、一方の温調装置19aの構成が示されている。この温調装置19aは、マスクパターン面PAに対向して配置された輻射プレートとしての輻射冷却プレート23と、この輻射冷却プレート23に対向してレチクルR寄りに配置された赤外線透過窓21と、これら両者23、21を一体的に保持すると共に、両者間及び両者間の空間22を断熱する断熱支持体25とを備えている。輻射冷却プレート23と赤外線透過窓21との間の空間22は、真空断熱層とされている。すなわち、温調装置19aでは、輻射冷却プレート23、真空断熱層22、赤外線透過窓21から成る層構造が採用されている。これは、このような層構造を採用することによって雰囲気気体への伝熱を少なくし、輻射冷却プレート23の温度制御性を向上させるためである。・・・(中略)・・・
【0041】前記輻射冷却プレート23は、冷却配管24の内部を通る冷媒との熱交換によって冷却されるようになっている。この輻射冷却プレート23の温度は、温度センサ26でモニタされ、その温度信号は図1に示される温調装置コントローラ16に伝えられ、後述するようにして目標値に制御されるようになっている。輻射冷却プレート23の温度制御は、前記冷媒の温度を変えることでも達成できるし、・・・(後略)」

(2)刊行物4事項
刊行物4の上記摘記事項ア及びイを、図面(特に図3)を参照しつつ技術常識を踏まえて整理すると、刊行物4には以下の技術的事項が記載されていると認められる。
「マスクパターン面PAと、
上記マスクパターン面PAと対向する位置に設けられた輻射冷却プレート23と、
上記輻射冷却プレート23によって吸収された熱を外部に放出するための冷却手段と、を備え、
上記冷却手段は、冷却配管24の内部を通る冷媒との熱交換によって冷却するものであること。」(以下「刊行物4事項」という。)

第4 対比
本願発明と刊行物1発明とを対比すると以下のとおりである。
刊行物1発明の「真空槽7」が本願発明の「真空室」に相当することは、技術常識に照らして明らかであり、以下同様に、「ベースフランジ15」は「固定ベース」に、「中心軸線B」は「垂直軸」に、「台座部30」は「旋回ベース」に、「ハンド25」は「ハンド」に、「基板9」は「ワーク」に、「下側の面」は「下面側」に、「放熱側高輻射比部41」は「熱輻射面」に、「受熱側高輻射比部42」は「熱吸収面」にそれぞれ相当することも明らかである。
次に、刊行物1発明の「支持軸35、アーム20及びリンク機構からなる」「移動機構」と本願発明の「直線移動機構」は、移動機構、である限りにおいて共通する。

したがって、本願発明と刊行物1発明とは、以下の点で一致しているということができる。
<一致点>
「真空室内に配置され、固定ベースと、この固定ベースに対して垂直軸を中心として旋回可能に保持された旋回ベースと、この旋回ベースに支持された移動機構と、この移動機構に支持されたハンドとを備え、
上記旋回ベースの所望の旋回位置において上記移動機構の作動により上記ハンドに載置したワークを水平に保持しながら搬送する搬送装置であって、
上記旋回ベースの下面側の適部に設けられた熱輻射面と、
上記真空室を形成する壁のうち、上記旋回ベースの下面側と対向する壁の少なくとも一部に設けられ、かつ、平面視において上記旋回ベースの平面的な旋回領域を含む広さを有する熱吸収面と、を備える、搬送装置。」

そして、本願発明と刊行物1発明とは、以下の2点で相違している。
1 <相違点1>
移動機構について、本願発明は、「直線移動機構」であるのに対し、刊行物1発明の「移動機構」は、そのようなものか不明である点。
2 <相違点2>
本願発明は、「熱吸収面によって吸収された熱を外部に放出するための冷却手段」「を備え、上記冷却手段は、垂直軸を中心として略同心円状に所定の間隔を隔てて設けられ、かつ、上記熱吸収面に接しつつ当該熱吸収面の所定領域に満遍なく面状に配置された部分を有する、冷媒を通すための配管、を含んで構成されている」のに対し、刊行物1発明は、特にそのような(積極的な)冷却手段を有していない点。

第5 相違点の検討
1 <相違点1>について
旋回ベースの所望の旋回位置において直線移動機構の作動によりワークを水平に保持しながら搬送する搬送装置は、当審の拒絶理由通知にて示した、特開2005-125479号公報(段落【0083】、図17等参照)に示されるように、従来周知の技術であり、かかる従来周知の直線移動機構を、同じ旋回ベースに支持された移動機構を備えた搬送装置たる刊行物1発明の移動機構に適用して、相違点1に係る本願発明の特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。

2 <相違点2>について
上記第3の2(3)にて指摘したように、刊行物3事項は、
「ミラー1の裏面側の熱輻射面と、
上記ミラー1の裏面側と対向する位置に設けられ、かつ、ミラー1の裏面側及び側周面に沿う形状を有する受熱板3と、
上記受熱板3によって吸収された熱を外部に放出するための冷却機構5と、を備え、
上記冷却機構5は、受熱板3の中心から外方に延び出す周方向に離れて複数個設けられたヒートパイプ4とその端部に固定された水冷ジャケット6、を含んで構成されていること。」というものであるところ、これを本願発明の用語に倣って表現すれば、刊行物3事項の「裏面側」は「下面側」と表現でき、以下同様に、「受熱板3」は「熱吸収面」と、「冷却機構5」は「冷却手段」と表現できる。また、刊行物3事項の「ミラー1」と本願発明の「旋回ベース」は、発熱体である限りにおいて共通する。
したがって、刊行物3事項は、
「発熱体の下面側の熱輻射面と、
上記発熱体の下面側と対向する位置に設けられ、かつ、発熱体の下面側及び側周面に沿う形状を有する熱吸収面と、
上記熱吸収面によって吸収された熱を外部に放出するための冷却手段と、を備え、
上記冷却手段は、熱吸収面の中心から外方に延び出す周方向に離れて複数個設けられたヒートパイプ4とその端部に固定された水冷ジャケット6、を含んで構成されていること。」と言い換えることができる。
ここで、刊行物1発明と刊行物3事項は、いずれも、熱輻射を利用して冷却を行うものである点で共通しており、刊行物3に接した当業者が刊行物1発明に刊行物3事項を適用することを試みることに困難性はない。そうすると、刊行物1発明に刊行物3事項を適用して、受熱側高輻射比部42(熱吸収面)によって吸収された熱を外部に放出するための冷却手段を備えることも、当業者が容易に推考し得るものというべきである。

そして、そのように刊行物1発明に刊行物3事項を適用するにあたり、冷却手段として冷媒を通すための配管を用いることも、例えば上記第3の3(2)にて指摘した刊行物4事項も備えるように従来周知の事項であり、かかる従来周知の事項を刊行物3事項に併せて刊行物1発明に適用することに何ら困難性はない。
次に、上記第3の2(1)エにて摘記したように、刊行物3には「その場合、冷却機構5のヒートパイプ4も、受熱板の形状に合わせて所望温度が得易い位置に配置する。」と記載されており、刊行物3には、冷却パイプを受熱体の形状に合わせて配置することの示唆があるといえる。さらに、同心円状の冷却配管は、例えば、特開平7-278627号公報(図1(b)等を参照)に示されるように、ごく一般的なものである。
これらを併せ考えると、刊行物3事項における、受熱板3の中心から外方に延び出す周方向に離れて複数個設けられたヒートパイプ4等からなる冷却手段の構成を刊行物1発明に適用するに際し、(軸対称円形の)受熱側高輻射比部42(すなわち熱吸収面)の形状に合わせて冷却のためのパイプを配置すべく、軸対称円形形状のごく一般的な一態様である、軸中心の同心円状に間隔を隔てたパイプの配置とすることも、当業者が通常の創作能力の発揮によりなし得たことと解するのが相当である。

以上から、刊行物1発明に刊行物3事項及び従来周知の事項を適用して相違点2に係る本願発明の特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。

3 本願発明の効果について
上記相違点1及び相違点2を総合的に勘案しても、刊行物1発明、刊行物3事項及び上記従来周知の事項から当業者であれば予測できない格別な効果が生じるとは考えられない。

4 小括
したがって、本願発明は、刊行物1発明、刊行物3事項及び上記従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1発明、刊行物3事項及び従来周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることがないものである。
したがって、本願はその余の請求項2ないし5に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-04-09 
結審通知日 2013-04-16 
審決日 2013-04-30 
出願番号 特願2009-507287(P2009-507287)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B65G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 金丸 治之  
特許庁審判長 豊原 邦雄
特許庁審判官 刈間 宏信
長屋 陽二郎
発明の名称 搬送装置  
代理人 鈴木 泰光  
代理人 吉田 稔  
代理人 臼井 尚  
代理人 仙波 司  
代理人 田中 達也  

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