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審決分類 審判 一部無効 1項3号刊行物記載  G02C
審判 一部無効 2項進歩性  G02C
管理番号 1275680
審判番号 無効2012-800090  
総通号数 164 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-08-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2012-05-30 
確定日 2013-06-17 
事件の表示 上記当事者間の特許第4900743号発明「テンプル及びそのテンプルを備えたメガネ」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4900743号の請求項1ないし2、9ないし11に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第1 本件特許第4900743号に係る手続の概要
本件特許第4900743号(以下「本件特許」ともいう。)に係る手続の経緯は、概略以下のとおりである。

平成20年10月10日 先の出願(特願2008-264679号)
平成21年10月 9日 本件出願(特願2010-532828号、優先権主張平成20年10月10日)(以下「本願」という。)
平成23年 4月 1日 手続補正書
平成23年11月25日 手続補正書
平成23年12月14日 特許査定
平成24年 1月13日 特許第4900743号の設定登録(請求項1?11)
平成24年 3月21日 特許公報発行

第2 本件審判の経緯
本件無効2012-800090号に係る手続の経緯は、概略以下のとおりである。

平成24年 5月30日 特許無効審判請求
平成24年 8月23日 審判事件答弁書
平成24年11月 5日 審理事項通知書(合議体)
平成24年11月29日 口頭審理陳述要領書(1)(請求人)
平成24年11月29日 口頭審理陳述要領書(被請求人)
平成24年12月13日 口頭審理陳述要領書(2)(請求人)
平成24年12月13日 口頭審理陳述要領書(2)(被請求人)
平成24年12月13日 口頭審理(補正許否の決定、書面審理通知)
平成25年 1月18日 上申書(請求人)
平成25年 1月18日 上申書(被請求人)
平成25年 2月 5日 審決予告

請求人が平成24年11月29日付けで提出した口頭審理陳述要領書(1)(7頁18行目から8頁1行目、19頁3行目から同頁6行目)、及び平成24年12月13日受付口頭審理陳述要領書(2)2頁10行目から5頁末行)による請求の理由の補正については、同年12月13日の口頭審理において、特許法第131条の2第2項の規定に基づき、許可しないと決定した(第1回口頭審理調書参照。)。

第3 本件特許発明
本件無効審判の対象である本件特許第4900743号の請求項1及び2、請求項9ないし11に係る発明は、本件特許請求の範囲、本件特許明細書及び本件図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1及び2、請求項9ないし11に記載された事項により特定されるとおりの次のものである。

「【請求項1】
レンズ部に対する枢着部と耳当て部との間に弾圧部を有するメガネ用のテンプルであって、該弾圧部が複数の線状アーチ部を備えており、これら複数の線状アーチ部が互いに間隔を置いて並んで配設されていることを特徴とするテンプル。
【請求項2】
前記複数の線状アーチ部が、テンプルの回動方向に湾曲していることを特徴とする、請求項1記載のテンプル。」

「【請求項9】
前記線状アーチ部の断面の形状が円形、または矩形であることを特徴とする請求項1記載のテンプル。
【請求項10】
前記複数の線状アーチ部が中央部で一体に結合されていることを特徴とする請求項1記載のテンプル。
【請求項11】
上記請求項1?10のいずれか一項に記載されているテンプルを備えるメガネ。」

第4 両当事者の主張の概要
1 請求人の主張の概要
請求人は、「特許第4900743号の請求項1、請求項2、請求項9、請求項10及び請求項11に係る発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、本件特許は次の理由により無効とすべきものであると主張している。

(1)無効理由
本件特許の請求項1及び2、請求項9ないし11に係る発明は、甲第3号証、甲第4号証、甲第5号証、甲第6号証、甲第7号証、甲第8号証、甲第9号証、甲第10号証、甲第11号証、甲第12号証、甲第13号証、甲第14号証、甲第16号証に記載された発明と同一であるか、又は上記甲各号証に記載された発明及び慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許の請求項1及び2、請求項9ないし11に係る発明は、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、又は同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号の規定により、無効とすべきである。

(2)証拠方法
請求人が提出した甲第1号証ないし甲第14号証、甲第16号証ないし甲第22号証(以下、それぞれ「甲1」?「甲14」、「甲16」?「甲22」という。)は次のとおりである。

甲1:特許第4900743号の登録原簿の写し
甲2:特許第4900743号公報(本件特許公報)
甲3:実願平3-108401号(実開平5-50420号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を記録したCD-ROM(平成5年7月2日特許庁発行)
甲4:実願平3-109538号(実開平5-50419号公報)の願書に添付した明細書及び図面の内容を記録したCD-ROM(平成5年7月2日特許庁発行)
甲5:特開2004-101844号公報
甲6:特開昭61-173216号公報
甲7:特開昭55-59424号公報
甲8:MODE OPTIQUE vol.23、株式会社ワールドフォトプレス、平成19年7月15日
甲8の1:139頁、上から3個目掲載のメガネ
甲8の2:139頁、上から4個目掲載のメガネ
甲8の3:139頁、上から5個目掲載のメガネ
甲8の4:139頁、上から6個目掲載のメガネ
甲8の5:裏表紙、中央部右掲載のメガネ
甲9:MODE OPTIQUE vol.23、株式会社ワールドフォトプレス、平成19年7月15日
甲9の1:92頁、中央部掲載のメガネ
甲10:MODE OPTIQUE vol.24、株式会社ワールドフォトプレス、平成20年1月15日
甲10の1:129頁、上から3個目掲載のメガネ
甲10の2:129頁、上から4個目掲載のメガネ
甲10の3:129頁、上から5個目掲載のメガネ
甲10の4:129頁、上から6個目掲載のメガネ
甲10の5:129頁、上から7個目掲載のメガネ
甲10の6:129頁、上から8個目左側掲載のメガネ
甲10の7:裏表紙、上から1個目右欄掲載のメガネ
甲10の8:裏表紙、上から2個目左欄掲載のメガネ
甲11:MODE OPTIQUE vol.24、株式会社ワールドフォトプレス、平成20年1月15日
甲11の1:135頁、上から6個目掲載のメガネ
甲11の2:135頁、上から7個目掲載のメガネ
甲11の3:135頁、上から8個目掲載のメガネ
甲11の4:135頁、上から9個目掲載のメガネ
甲11の5:135頁、下から3個目掲載のメガネ
甲11の6:135頁、下から2個目掲載のメガネ
甲11の7:135頁、下から1個目掲載のメガネ
甲12:MODE OPTIQUE vol.26、株式会社ワールドフォトプレス、平成20年8月15日
甲12の1:89頁、左欄上から1個目掲載のメガネ
甲12の2:89頁、左欄上から2個目掲載のメガネ
甲12の3:89頁、右欄上から2個目掲載のメガネ
甲13:MODE OPTIQUE vol.13、株式会社ワールドフォトプレス、平成14年6月15日
甲13の1:129頁、上段右側掲載のメガネ
甲13の2:129頁、中段左側掲載のメガネ
甲13の3:129頁、中段中央掲載のメガネ
甲13の4:129頁、中段右側掲載のメガネ
甲14:月刊「眼鏡」 2008年2月号、眼鏡光学出版株式会社、平成20年2月15日
甲14の1:88頁、下から1個目掲載のメガネ
甲14の2:88頁、下から2個目掲載のメガネ
甲16:MURAI SPRING & SUMMER COLLECTION 1997、株式会社村井、平成8年10月15日公証人小梛和美確定日付
甲16の1:17頁、上段掲載の品番32-6609のメガネ
甲16の2:17頁、中段掲載の品番32-6610のメガネ
甲16の3:17頁、下段掲載の品番32-6611のメガネ
甲16の4:18頁、上段掲載の品番32-6612のメガネ
甲16の5:18頁、下段掲載の品番32-7609のメガネ
甲16の6:19頁、下段掲載の品番33-6697のメガネ
甲16の7:20頁、下段掲載の品番34-7901のメガネ
甲16の8:表紙
甲16の9:見返し
甲16の10:6頁
甲17:株式会社オンビート 代表取締役 高田政和による証明書
甲18:株式会社三共社 営業部アドバイザー 濱田裕康による証明書
甲19:株式会社三共社 営業部本部長 八木善行による証明書
甲20:株式会社三共社 商品センター部長 本郷利夫による証明書
甲21:株式会社三共社 商品センター 菅伸弘による証明書
甲22:株式会社三共社 営業部部長 大坪裕明による証明書

なお、請求人は、口頭審理陳述要領書(2)において、甲9号証の2、甲11号証の8及び9、甲15号証の1ないし9を撤回した。

2 被請求人の主張の概要
(1)被請求人は、「本件無効審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、次のアないしウのとおりであるから、請求人が主張する無効理由はいずれも存在しないと主張している(下線は審決で付した。以下同じ。また、丸付き数字の1ないし8は便宜上(丸1)ないし(丸8)と表記する。)。

ア 「(1)審判請求人の主張に対する反論
・・・請求項1、請求項2、請求項9、請求項10及び請求項11が、どの証拠を根拠に、新規性欠如なのか或いは進歩性欠如なのか主張に一貫性がない・・・
(1-1)審判請求人は、・・・「甲第3号証に係る『眼鏡枠のテンプル』の図1、図2記載、図示の実施例の構成を対比するため、本件特許発明の各構成要件を、甲第3号証記載の文言で対比するならば、?(略)?線状アーチ部(線材12,12)を備えており」と述べており、また、・・・「甲第3号証記載図3の実施例文言と対比するならば、?(略)?線状アーチ部(線材28,28,28)を備えており、これら複数の線状アーチ部(線材28,28,28)が互いに間隔を置いて並んで配設されている」と述べているが、本件特許発明の「線状アーチ部」はアーチ状であるのに対し、甲第3号証に記載の発明の「線材12,12」及び「線材28,28,28」は、図からも明確なように直線状であるので、両者は明らかに構成が異なるものである。
ここで、アーチ状とは、ある曲率で湾曲している状態をいうことは技術常識であり、図面を含む明細書の全主旨からも明らかである。
また、甲第3号証の図3(b)に示されるように、線材28,28,28は、明らかに間隔を置かずに並んで配設されたものである。なお、図3(a)は、単に個々の線材28,28,28が直線状であることを示す図に過ぎない。
したがって、これらは明らかに、甲第3号証の記載事実の認定を誤ったものである。
(1-2)審判請求人は、・・・「テンプルの目的は違っているが、テンプルの弾圧部の構成は同じである為、甲第3号証に係る『眼鏡枠のテンプル』は本発明と同じように、丁番23や22にも無理な力が加わることがないように捩れ対応が可能となる」と述べているが、上述したように、両者では目的は言うまでもなく構成要件が異なっているのであるから、審判請求人がいう構成が同じであることを前提とした主張は到底受け入れられない。
また、甲第3号証に係る「眼鏡枠のテンプル」が、丁番23やち22にも無理な力が加わることがないように捩れ対応が可能となるという審判請求人の主張は、全く根拠がない。すなわち、本願特許発明の捻れ対応が可能であるという作用効果に合わせるべく、テンプルの上下方向の剛性を水平方向の剛性よりも高められるという甲第3号証に記載の作用効果を、独断的に歪曲したものである。
(1-3)審判請求人は、「(H)請求項2記載の『テンプル』の構成」(審判請求書第10頁第6行目?第8行目)において、「メガネのテンプルは一般に真っ直ぐではなく、テンプルの回動方向(折畳み方向)に湾曲しているもので、テンプルを構成する線状アーチ部が湾曲することは当然である」と述べているが、真っ直ぐなテンプルも多くあり、たとえテンプル全体が湾曲しているとしても、本件特許発明は、テンプルではなく、弾圧部がアーチ状であることを特徴としているのである。
そして、審判請求人は、「図面作成上の問題で、線状アーチ部に相当する部位はストレートと成っているに過ぎない」(審判請求書第10頁第9行目?第10行目)と述べているが、これも全く根拠がなく、牽強付会な詭弁である。
(1-4)審判請求人は、・・・「甲第3号証の図1(B)及び図3(A)?(略)?甲第7号証図1?図3に断面形状が矩形の線状アーチ部が記載されている」と述べているが、上述したように、甲第3号証の図1(B)、図3(A)及び甲第7号証の図1に示された線状アーチ部に相当するとされる部位は直線状であり、甲第7号証図2及び図3に示された線状アーチ部に相当するとされる部位は屈折したものであり、いずれもアーチ状ではない。
(1-5)審判請求人は、・・・「線材(線状アーチ部)28,28,28」と述べているが、上述したように、甲第3号証の図3(B)に示された線状アーチ部に相当するとされる部位は直線状であり、アーチ状ではなく、しかも、間隔を置いて並んだものではない。・・・
(1-6)・・・甲第4号証?甲第16号証4に示されるメガネの線状アーチ部に相当するとされる部位は、いずれもアーチ状とはいえない。しかも、アーチ状の部位が複数あるわけでもなく、それらが互いに間隔を置いて並んで配設されているわけでもない。
したがって、本件特許発明の弾圧部と同一とする主張は、誤りである。」(審判事件答弁書3頁15行?5頁30行)

イ 「(2)被請求人の主張
(2-1)本件特許発明の説明
(A)請求項1記載の発明(以下「本件特許発明1」という。)は、符号を付して分説すると、以下の発明特定事項(構成要件)を備えるものである。
(丸1)レンズ部に対する枢着部と耳当て部との間に弾圧部を有するメガネ用のテンプルであって、
(丸2)該弾圧部が複数の線状アーチ部を備えており、
(丸3)これら複数の線状アーチ部が互いに間隔を置いて並んで配設されている
(丸4)ことを特徴とするテンプル
(B)請求項2記載の特許発明(以下「本件特許発明2」という。)は、本件特許発明1の引用形式であることから、上述した発明特定事項(丸1)-(丸4)を備えると共に、以下の発明特定事項を更に備えるものである。
(丸5)前記複数の線状アーチ部が、テンプルの回動方向に湾曲している
(C)請求項9記載の特許発明(以下「本件特許発明9」という。)は、本件特許発明1の引用形式であることから、上述した発明特定事項(丸1)-(丸4)を備えると共に、以下の発明特定事項を更に備えるものである。
(丸6)前記線状アーチ部の断面の形状が円形、または矩形である
(D)請求項10記載の特許発明(以下「本件特許発明10」という。)は、本件特許発明1の引用形式であることから、上述した発明特定事項(丸1)-(丸4)を備えると共に、以下の発明特定事項を更に備えるものである。
(丸7)前記複数の線状アーチ部が中央部で一体に結合されている
(E)請求項11記載の特許発明(以下「本件特許発明11」という。)は、少なくとも本件特許発明1の引用形式であることから、上述した発明特定事項(丸1)-(丸4)を必ず備えると共に、以下の発明特定事項を更に備えるものである。
(丸8)(上記テンプル)を備えるメガネ
(2-2)本件特許発明の目的
着用した場合、十分な弾力性を有する上、枢着部やレンズ部側のブラケットにも無理な力が加わることがないように捻れ対応できるテンプル、及びそのテンプルを備えるメガネを提供することを目的とする(本件特許【0010】欄)。
(2-3)本件特許発明の作用効果
(A)本発明のメガネ用テンプルが備える弾圧部は、複数の線状アーチ部を備えており、これらが互いに並んでいる。そのためテンプルの捻れ方向に弾力性が発現し、テンプルに発生する捻り方向の無理な力が吸収され?(略)?そのため捻れ力はテンプルの枢着部やレンズ部側のブラケットに伝わらない(本件特許【0023】欄参照)。
(B)テンプルAはこの弾圧部1を備えることにより、テンプルAと側頭面との接触面(具体的には耳当て部2と側頭面のこめかみ周辺)に圧を加えてメガネの位置を的確に固定することができる(本件特許【0028】欄参照)。
(C)弾圧部1が複数本の線材で構成されることによって各線材の全体が束となり、捻れ方向の大きな弾力性が生まれる(本件特許【0031】欄参照)。
(D)捻れ方向の弾力性が高くなることによって、テンプルAは側頭面の形状に的確に対応することができる。このため、テンプルAが着用者の側頭面に当接した際に発生する捻じれ方向の無理な力が、この屈曲変形によって吸収される。従って、テンプルAとブラケットB1との結合部である枢着部3や、ブラケットB1には無理な力が伝わり難い。また、テンプルA(詳しくは弾圧部1)が捻れて変形すると、変形後の形状は着用者の側頭面の形状にほぼ沿ったものとなるため、側頭面に対して均等に側圧が加わる。その結果、メガネの装着感が良くなる(本件特許【0032】欄参照)。
(E)曲げ方向の弾力性が高くなることで、メガネが装着されたときに、図5に示すように、弾圧部1は容易にアーチ状に大きく湾曲することが可能となる〔図5(A)→図5(B)〕。側頭面にソフトにタッチすることができる(本件特許【0033】欄参照)。
(3)甲第3号証の記載事項
甲第3号証の図1(A)には、テンプルを含む第一実施例の側面図が記載されており、図2には、眼鏡枠の平面図が記載されており、図3(B)には、第二実施例のテンプルが記載されており、図5(A)には、従来例の眼鏡が記載されている。
また、「上下方向に並べた複数のテンプル構成材を有することを特徴とするテンプル」(請求項1)と記載されている。
また、「断面形状のプレス成形を行うことなく上下方向の剛性を水平方向の剛性より高く設定することのできる眼鏡枠のテンプルを提供することを目的としている」(甲第3号証【0006】欄)と記載されている。
また、「ばね部9は二本のテンプル構成材としての線材12を上下に二本並べた構成となっている」(甲第3号証【0011】欄)と記載されている。
また、「線材12は上下に二本並んでおり、水平方向の曲げ剛性よりも上下方向の曲げ剛性が高い。このため、テンプル8は水平方向には比較的容易に弾性変形し、その反力によって顔面へフィットする」(甲第3号証【0012】欄)と記載されている。
また、「本実施例ではリム2、線材12が側面から見て丁度三角形のトラス構造となっている」(甲第3号証【0013】【0021】欄)と記載されている。
(4)甲第4号証-甲第16号証の記載事項
(4-1)甲第4号証の図4には、甲第3号証図1の(A)と同じトラス構造の眼鏡枠の右側面図が記載されている。
(4-2)甲第5号証の図4には、直線状の主体部材2と、湾曲した装飾部材3とを備えるテンプルが記載されており、図6には、主体部材2と装飾部材3とを捻った構造としたテンプルが記載されている。
(4-3)甲第6号証の図9には、直線状の線材からなるテンプルが記載されている。
(4-4)甲第7号証の図1-6には、直線状の又は屈折した腕部材からなるテンプルが記載されている。
(4-5)甲第8号証-甲第16号証には、弾性を有するテンプルらしきものが記載されている。
(5)本件特許発明と甲第3号証に記載された発明との対比
(5-1)本件特許発明1について
(A)目的
本件特許発明1は、着用した場合、十分な弾力性を有する上、枢着部やレンズ部側のブラケットにも無理な力が加わることがないように捻れ対応できるテンプル、及びそのテンプルを備えるメガネを提供することを目的としている(本件特許【0010】欄)のに対し、甲第3号証は、断面形状のプレス成形を行うことなく上下方向の剛性を水平方向の剛性より高く設定することのできる眼鏡枠のテンプルを提供することを目的としている(甲第3号証【0006】欄)点で両者は全く異なる。
(B)構成
本件特許発明1と甲第3号証に記載の発明とを比較すると、甲第3号証に記載の発明には、少なくとも、本件特許発明1の発明特定事項(構成要件)のうち、「(丸2)、(丸3)」の構成を共に備える点については全く記載がない。
すなわち、甲第3号証の図1(A)及び図2に示されるばね部は、トラス構造となっており、アーチ状ではない。
ここで、「トラス構造」とは、「いくつかの直線棒状の部材の端部を回転自由なヒンジで互いに結合し、適当な形に組み上げた骨組構造」を意味する(乙第1号証)。
また、甲第3号証の図3(B)に示されるばね部は、直線棒状の線材が上下に三本並んでいるので、アーチ状ではなく、しかも、側面から見て間隔を置かずに接した状態で並んで配設されている。
したがって、本件特許発明1と甲第3号証に記載の発明とは、構成が全く異なるものである。
なお、甲第4号証-甲第16号証に記載された発明のテンプルを構成する線材も、上記「(丸2)、(丸3)」の構成を共に備える点については全く記載がない。すなわち、いずれもアーチ状ではなく、複数のアーチ状の部位が互いに間隔を置いて並んで配設されたものでもない。
(C)作用効果
本件特許発明1は、弾性部を構成する複数の線状アーチ部がアーチ状となっているので、弾性部を備えるテンプルは、捻れ方向に弾力性が発現し、テンプルに発生する捻り方向の無理な力を吸収することができる(本件特許【0023】【0031】欄参照)。特に、これらの線状アーチ部が互いに間隔を置いて並んで配設されることにより、捻れ方向の弾力性は更に向上するものとなっている。
また、当該テンプルは、着用者の側頭面に当接させた際に発生する捻じれ方向の無理な力を、屈曲変形によって吸収するので、テンプルとブラケットとの結合部である枢着部や、ブラケットには無理な力が伝わり難く、且つ、変形後の形状を着用者の側頭面の形状(一般に、人間の側頭面は平坦ではなく、上下方向及び前後方向にある角度を有している)にほぼ沿ったものとすることができる。
このため、側頭面に対して均等に側圧が加わることとなり、その結果、メガネの位置を的確に固定することができると共に、メガネの装着感が良くなる(本件特許【0028】【0032】欄参照)。
それに対し、甲第3号証に記載の発明は、水平方向の曲げ剛性よりも上下方向の曲げ剛性が高いので、テンプルは水平方向には比較的容易に弾性変形し、その反力によって顔面へフィットする(甲第3号証【0012】欄)ものの、トラス構造となっている、若しくは直線状の線材が上下に接するように複数本並べて配設されているので、捻れ方向への弾力性は極めて小さい。このため、甲第3号証に記載の発明においては、テンプルに対する捻れ力は、そのままテンプルの枢着部やレンズ部側のブラケットに伝わり易くなる。
また、本件特許発明1は、弾性部を構成する複数の線状アーチ部がアーチ状となっているので、本件特許の図5に示すように、水平方向に弾圧部1を更に大きく湾曲させることも容易に可能であり、眼鏡をかけた場合、テンプルの後側であっても、側頭部を巻き込むように側頭部にフィットさせることができる。
それに対し、甲第3号証に記載の発明は、上述したように、水平方向に弾性変形するものの、本件特許発明1と比べると、変形の度合いは小さく、眼鏡をかけた場合、テンプルの後側を、側頭部を巻き込むように側頭部にフィットさせることができない。
これらのことから、本件特許発明1は、甲第3号証に記載の発明と比べ、メガネが装着されたときに、側頭面に、極めてソフトにタッチすることが可能となっている(本件特許【0033】欄参照)。
ここで、甲第4号証-甲第16号証に記載されたテンプルを見ても、本件特許発明1のような捻れ方向に弾力性が発現し、且つ水平方向に弾圧部を大きく湾曲させることも可能という作用効果を奏するものは、いずれにも存在しない。
したがって、本件特許発明1は、甲第3-16号証に記載の発明と比べて、構成が異なっており、その相違点から格別顕著な効果を奏するものであるといえる。
(5-2)本件特許発明2、本件特許発明9、本件特許発明10及び本件特許発明11について
本件特許発明2、本件特許発明9、本件特許発明10及び本件特許発明11はいずれも、本件特許発明1にさらに技術的限定を加えたものであるから、上記同様に、甲第3-16号証に記載の発明とは構成が異なり、目的及び作用効果も含めて異なるものである。」(審判事件答弁書6頁1行?11頁20行)

ウ 「(6)結論
以上述べたように、本件特許発明1、本件特許発明2、本件特許発明9、本件特許発明10及び本件特許発明11は、いずれも甲第3号証-甲第16号証に記載の発明とは同一ではなく、甲第3号証-甲第16号証に記載の発明を互いに組合わせても、容易に想到することはできない。
したがって、本件特許発明1、本件特許発明2、本件特許発明9、本件特許発明10及び本件特許発明11は、特許法第29条第1項第3号及び特許法第29条第2項に規定する要件を満たしているので、特許法第123条第1項第1号には該当しない。」(審判事件答弁書11頁21行?29行)

(2)証拠方法
被請求人が提出した乙第1号証(以下「乙1」という。)は次のとおりである。

乙1:大百科事典10、平凡社、1985年3月25日、第1016頁

(3)被請求人は、口頭審理において、「甲第1号証ないし甲第14号証の成立を認める。甲第16号証の成立は争う。」とした。

第5 当審の判断
1 甲16の成立性について
(1)口頭審理において請求人が合議体及び被請求人に提示した甲16のカタログの原本の表紙には、平成8年10月15日付けの公証人役場小梛和美の印及び「平成8年確定日付登簿第6043号」のスタンプが捺された紙が貼付され、貼付箇所には割り印が捺されていた。

(2)甲17の証明書には、平成24年12月27日の日付、福井県福井市板垣3丁目1333番地、株式会社オンビート、代表取締役高田政和の氏名の記載及び捺印とともに、下記の事項が記載されている。
「私は、1996年から2001年まで、福井県福井市問屋町1丁目10番地所在、株式会社村井で企画・開発部門担当常務取締役を勤めておりました。
その間、1996年(平成8年)10月に添付の、株式会社村井製眼鏡の1997年版総合カタログ『MURAI SPRING & SUMMER COLLECTION 1997』を発行し、問屋、小売店に配布して、小売店の店頭で需要者の閲覧に供するよう依頼するとともに、平成8年10月15日には、株式会社村井、代表取締役村井勝が同カタログについて公証人から確定日付を取得したことに間違いありません。」

(3)甲18の証明書には、平成25年1月7日の日付、東京都文京区湯島3丁目45-11、株式会社三共社、営業部アドバイザー濱田裕康の署名、捺印とともに、下記の事項が記載されている。
「私は、1949年から現在年まで、メガネの卸売り業をおこなう東京都文京区所在、株式会社 三共社で、営業部門を担当しておりました。
その間、1997年(平成9年)(審決注:原文では「(平成8年)」と記載されているが、明らかな誤記と認められるので訂正して摘記した。以下甲19?甲22についても同様。)1月頃に添付の、株式会社村井製眼鏡の1997年版カタログ『MURAI SPRING & SUMMER COLLECTION 1997』を株式会社村井より受領し、自ら閲覧するとともに、カタログを小売店に配布し、品番 イブサンローラン ジュリーヌシリーズ 32-6609,32-6610,32-6611,32-6612,34-7901,30-7689を小売店に卸したことに間違いありません。」

(4)甲19の証明書には、平成25年1月7日の日付、東京都文京区湯島3丁目45-11、株式会社三共社、営業部本部長八木善行の署名、捺印とともに、下記の事項が記載されている。
「私は、1995年から現在年まで、メガネの卸売り業をおこなう東京都文京区所在、株式会社 三共社で、営業部門を担当しておりました。
その間、1997年(平成9年)1月頃に添付の、株式会社村井製眼鏡の1997年版カタログ『MURAI SPRING & SUMMER COLLECTION 1997』を株式会社村井より受領し、自ら閲覧するとともに、カタログを小売店に配布し、品番 イブサンローラン ジュリーヌシリーズ 32-6609,32-6610,32-6611,32-6612,34-7901,30-7689を小売店に卸したことに間違いありません。」

(5)甲20の証明書には、平成25年1月7日の日付、東京都文京区湯島3丁目45-11、株式会社三共社、商品センター部長本郷利夫の署名、捺印とともに、下記の事項が記載されている。
「私は、1985年から2007年まで、メガネの卸売り業をおこなう東京都文京区所在、株式会社 三共社で、営業部門を担当しておりました。
その間、1997年(平成9年)1月頃に添付の、株式会社村井製眼鏡の1997年版カタログ『MURAI SPRING & SUMMER COLLECTION 1997』を株式会社村井より受領し、自ら閲覧するとともに、カタログを小売店に配布し、品番 イブサンローラン ジュリーヌシリーズ 32-6609,32-6610,32-6611,32-6612,34-7901,30-7689を小売店に卸したことに間違いありません。」

(6)甲21の証明書には、平成25年1月7日の日付、東京都文京区湯島3丁目45-11、株式会社三共社、商品センター菅伸弘の署名、捺印とともに、下記の事項が記載されている。
「私は、1982年から2005年まで、メガネの卸売り業をおこなう東京都文京区所在、株式会社 三共社で、営業部門を担当しておりました。
その間、1997年(平成9年)1月頃に添付の、株式会社村井製眼鏡の1997年版カタログ『MURAI SPRING & SUMMER COLLECTION 1997』を株式会社村井より受領し、自ら閲覧するとともに、カタログを小売店に配布し、品番 イブサンローラン ジュリーヌシリーズ 32-6609,32-6610,32-6611,32-6612,34-7901,30-7689を小売店に卸したことに間違いありません。」

(7)甲22の証明書には、平成25年1月7日の日付、東京都文京区湯島3丁目45-11、株式会社三共社、営業部部長大坪裕明の署名、捺印とともに、下記の事項が記載されている。
「私は、1995年から現在年まで、メガネの卸売り業をおこなう東京都文京区所在、株式会社 三共社で、営業部門を担当しておりました。
その間、1997年(平成9年)1月頃に添付の、株式会社村井製眼鏡の1997年版カタログ『MURAI SPRING & SUMMER COLLECTION 1997』を株式会社村井より受領し、自ら閲覧するとともに、カタログを小売店に配布し、品番 イブサンローラン ジュリーヌシリーズ 32-6609,32-6610,32-6611,32-6612,34-7901,30-7689を小売店に卸したことに間違いありません。」

(8)上記(1)及び(2)より、遅くとも平成8年10月15日までに甲16のカタログが作成されていたことが認められ、上記(3)ないし(7)より、遅くとも平成9年1月末までに甲16のカタログが不特定者に対して配布されていたことが認められる。

(9)上記(1)ないし(8)からみて、甲16のカタログは本件特許の優先日前に頒布された刊行物であると認める。

2 甲各号証に記載された発明
(1)甲16の2及び甲16の4に記載された発明
ア 甲16の2及び甲16の4の記載事項
甲16の2及び甲16の4には、それぞれ、品番32-6610及び品番32-6612のメガネの全体を向かって右斜め前方から撮影した写真1点が掲載され、その右方又は左方に上記メガネのヨロイ周辺を拡大撮影した写真3点が掲載され、その下方に該メガネの「ターゲット」、「シーン」及び「特長」が記載されている。そのうち、「特長」の欄には、「繊細な3本のラインが織り成す軽快感が、ツーポイントフレームの美しさを一層引き立てます。」(32-6610)及び「シャープで繊細な3本のラインがポイント。リング丁番が愛らしさを引き立てます。」(32-6612)との記載があり、さらに、上記4点の写真からは、以下の(ア)ないし(オ)のことが見てとれる。
(ア)品番32-6610及び品番32-6612のメガネのテンプルは、丁番とモダンとの間が、3本の線状部材からなっていること。
(イ)前記3本の線状部材は、いずれもほぼ直線状の部材であること。
(ウ)前記3本の線状部材は、互いに間隔を置いて並んで配置されていること。
(エ)前記3本の線状部材は、その長さがテンプルの長さのほとんどを占めるとともに、丁番側の一端及びモダン側の他端で、それぞれ一体に結合されていること。
(オ)前記3本の線状部材は、さらに、前記一端と前記他端の中間の2箇所で一体に結合されていること。

イ 上記アより、甲16の2及び甲16の4には、次の2つの発明が記載されていると認められる。

「丁番とモダンとの間が、3本のほぼ直線状の線状部材からなるテンプルであって、
前記3本の線状部材は、互いに間隔を置いて並んで配置されており、
前記3本の線状部材は、その長さがテンプルの長さのほとんどを占めるとともに、丁番側の一端及びモダン側の他端で、それぞれ一体に結合されており、
前記3本の線状部材は、さらに、前記一端と前記他端の中間の2箇所で一体に結合されているテンプル。」(以下「引用発明1」という。)

「丁番とモダンとの間が、3本のほぼ直線状の線状部材からなるテンプルであって、
前記3本の線状部材は、互いに間隔を置いて並んで配置されており、
前記3本の線状部材は、その長さがテンプルの長さのほとんどを占めるとともに、丁番側の一端及びモダン側の他端で、それぞれ一体に結合されているテンプルを備えるメガネ。」(以下「引用発明2」という。)

(2)甲3及び甲4に記載された発明
ア 甲3には、図とともに、次の事項が記載されている。
「 【0009】
【実施例】
次に、本考案を図面に基づいて説明する。図1,図2は本考案の第一実施例を示している。1は一対のリムで、該リム1の内周側には図1(C)に示す溝3を設けてあり、溝3でレンズ2を保持している。リム1の上下後側には平面形状を弓形に成形したNi-Ti系合金製のブローバー4を設けてあり、一対のリム1を接続している。このブローバー4には止め具5をカシメにより固定してあり、止め具5はリム1にろう付け固定してある。図2では便宜上上側のブローバー4のみ示している。
【0010】
ブローバー4の両端には丁番6を介してベース部7を設けてある。また、ベース部7の両端にはテンプル8を取り付けてある。テンプル8は前側のばね部9と後側のモダン10、ばね部9とモダン10とを接合した口金11とを有する。
【0011】
ばね部9は二本のテンプル構成材としての線材12を上下に二本並べた構成となっている。なお、ばね部9は一本の線材をV字形に曲げ、その曲げ部を口金11に挿入してもよい。線材12は図1(B)のように断面略楕円形状をしており、その前側をベース部7の挿入口に挿入し、ベース部7をかしめることにより、ベース部7と線材12とを固定している。」

イ 図1、2より、丁番とモダンの間が2本の直線状の線状部材からなるテンプルであって、前記2本の線状部材の間隔は丁番側が広く、モダン側が狭いトラス状の形状であるテンプル及び該テンプルを備えるメガネが見てとれる。

ウ 上記ア及びイより、甲3には、「丁番とモダンの間が2本の直線状の線状部材からなるテンプルであって、前記2本の線状部材の間隔は丁番側が広く、モダン側が狭いトラス状の形状であり、前記線状部材の断面が略楕円形状をしているメガネのテンプル及び該テンプルを備えるメガネ。」の発明が記載されていると認められる。

エ 甲4にも、甲3に記載された発明と同様の発明が記載されていると認められる(【0012】、【0013】及び図4参照。)。

(3)甲7に記載された発明
ア 甲7には、図とともに、次の(ア)及び(イ)の事項が記載されている。
(ア)「レンズを包囲し且つ保持するための2つの枠部材を有し、これら枠部材は眼鏡使用者の鼻の上に支持される連結部材によって互いに連結されており、各枠部材は腕部材を備え、この腕部材の先端部は枠部材に枢着され、その後部は外耳の根本の上部に保持され、枠部材は外側すなわち前記連結部材の側と反対の側で開いており、各枠部材の前記開いた端部は半径方向に曲げられていて各々側部舌部を形成しているような形式の眼鏡フレームにおいて、眼鏡の各腕が弾性変形可能な半硬質材料によって作られた2つの腕部材を有し、この腕部材は固着点の所から前方すなわち枠部材の方向に向かって互いに離反されており、前記2つの腕部材は使用者が使用する通常の使用位置ではレンズ面とほぼ垂直な面内にあり、各腕部材の先端には枠部材の対応する側部舌部の外側表面と接触する部分を有し、腕部材の先端と側部舌部とには枠部材に対して腕部材を固定かつ枢着する共同部材が設けられており、各腕部材は固定用スライダーを有し、このスライダーを1方向に動かすと2つの腕部材は弾性変形して互いに固定方向に接近し且つ2つの腕部材は対応する側部舌部に枢着され且つ枠部材がレンズ締付け位置に保持され、スライダーを逆方向に動かすと弾性反発力によって腕部材そして外側側部舌部が互いに離反し、それによって眼鏡からからレンズが解放できるようになっていることを特徴とする眼鏡フレーム。」(特許請求の範囲1))
(イ)第1図より、腕部材5、6の断面が矩形をしていることが見てとれる。

イ 上記ア(ア)及び(イ)より、甲7には、「枠部材に枢着される先端部と後部の固着点との間に、該固着点から枠部材の方向に向かって互いに離反されて直線状に延び、弾性変形可能な半硬質材料によって作られ、その断面が矩形をしている2つの眼鏡の腕部材及び該腕部材を備える眼鏡。」の発明が記載されていると認められる。

(4)甲8の1に記載された発明
甲8の1からは、1本の板状のテンプルであって、その回動方向に湾曲したテンプル及び該テンプルを備えるメガネが見てとれる。

(5)甲8の2ないし4及び甲14の1に記載された発明
ア 甲8の2からは、丁番とモダンとの間が、2本のほぼ直線状の線状部材からなるテンプルであって、前記2本の線状部材は、互いに間隔を置いて並んで配置されており、前記2本の線状部材は、その長さがテンプルの長さのほとんどを占めるとともに、丁番側の一端及びモダン側の他端で、それぞれ一体に結合されているテンプル及び該テンプルを備えるメガネが見てとれる。

イ 甲8の3からは、甲8の2のものと同様のテンプル及びメガネが見てとれる。

ウ 甲8の4からは、甲8の2のものと同様のテンプル及びメガネが見てとれる。

エ 甲14の1からは、丁番とモダンとの間が、2本のほぼ直線状の線状部材からなるテンプルであって、前記2本の線状部材は、互いに間隔を置いて並んで配置されており、前記2本の線状部材は、その長さがテンプルの長さのほとんどを占めるとともに、丁番側の一端及びモダン側の他端で、それぞれ一体に結合されているテンプル及び該テンプルを備えるメガネが見てとれる。

オ 上記アないしエより、甲8には甲8の2ないし4として、甲14には甲14の1として、それぞれ、「丁番とモダンとの間が、2本のほぼ直線状の線状部材からなるテンプルであって、前記2本の線状部材は、互いに間隔を置いて並んで配置されており、前記2本の線状部材は、その長さがテンプルの長さのほとんどを占めるとともに、丁番側の一端及びモダン側の他端で、それぞれ一体に結合されているテンプル」の発明(以下「引用発明3」という。)、及び、「丁番とモダンとの間が、2本のほぼ直線状の線状部材からなるテンプルであって、前記2本の線状部材は、互いに間隔を置いて並んで配置されており、前記2本の線状部材は、その長さがテンプルの長さのほとんどを占めるとともに、丁番側の一端及びモダン側の他端で、それぞれ一体に結合されているテンプルを備えるメガネ」の発明(以下「引用発明4」という。)が記載されている。

(6)甲10の7に記載された発明
甲10の7からは、1本の板状のテンプルであって、その回動方向に湾曲したテンプル及び該テンプルを備えるメガネが見てとれる。

(7)その他の甲各号証に記載された発明
ア 甲5には、「1本の線状のテンプル主体部材と該テンプル主体部材のヨロイ側の端部から中間部にかけて該テンプル主体部材に沿う装飾部材が延在するテンプル及び該テンプルを備える眼鏡。」が記載されていると認められる(【0015】?【0022】、図1?図12参照。)。

イ 甲6には、「レンズの縁に回転可能に固定されためがねの弦にスライディングできる筒状のものがついており、更にこのスライドできる筒状のものとメガネの縁の他の部分が回転可能なような方法で、バーにより結ばれており、スライドできる筒状のものを弦の希望する位置にねじのようなもので止めることができるめがねの弦及び該弦を備えるめがね。」が記載されていると認められる(4頁左下欄7?17行、図9参照。)。

ウ 甲8の5からは、丁番に近い側が板状で、モダンに近い側が線状のテンプル及び該テンプルを備えるメガネが見てとれる。テンプルが回動方向に湾曲しているか否かは不明である。

エ 甲9の1からは、丁番側の幅が広く、モダン側の幅が狭い三角形状の板状部材に透かし彫りを施したテンプル及び該テンプルを備えるメガネが見てとれる。テンプルが回動方向に湾曲しているか否かは不明である。

オ 甲10の1からは、1本の板状のテンプル及び該テンプルを備えるメガネが見てとれる。テンプルが回動方向に湾曲しているか否かは不明である。

カ 甲10の2からは、甲10の1のものと同様のテンプル及びメガネが見てとれる。

キ 甲10の3からは、1本の線状のテンプル及び該テンプルを備えるメガネが見てとれる。テンプルが回動方向に湾曲しているか否かは不明である。

ク 甲10の4からは、1本の線状のテンプル及び該テンプルを備えるメガネが見てとれる。テンプルが回動方向に湾曲しているか否かは不明である。

ケ 甲10の5からは、丁番とモダンの間が2本の直線状の線状部材からなるテンプルであって、前記2本の線状部材の間隔は丁番側が広く、モダン側が狭いトラス状の形状であるテンプル及び該テンプルを備えるメガネが見てとれる。テンプルが回動方向に湾曲しているか否かは不明である。

コ 甲10の6からは、1本の線状のテンプル及び該テンプルを備えるメガネが見てとれる。テンプルが回動方向に湾曲しているか否かは不明である。

サ 甲10の8からは、丁番の近傍で大、中、小の3つのU字型が横に連なった波形に湾曲されたテンプル及び該テンプルを備えるメガネが見てとれる。テンプルは、上記波形以外の部分では回動方向に湾曲している。

シ 甲11の1からは、1本の線状のテンプル及び該テンプルを備えるメガネが見てとれる。テンプルが回動方向に湾曲しているか否かは不明である。

ス 甲11の2からは、1本の板状のテンプル及び該テンプルを備えるメガネが見てとれる。テンプルが回動方向に湾曲しているか否かは不明である。

セ 甲11の3からは、1本の板状のテンプル及び該テンプルを備えるメガネが見てとれる。テンプルが回動方向に湾曲しているか否かは不明である。

ソ 甲11の4からは、1本の板状のテンプル及び該テンプルを備えるメガネが見てとれる。テンプルが回動方向に湾曲しているか否かは不明である。

タ 甲11の5からは、2本の線状部材からなるモダンと一体となったテンプルであって、前記2本の線状部材のうち上側の1本がクランク状に曲がって下側の1本と2箇所で交差しているテンプル及び該テンプルを備えるメガネが見てとれる。テンプルが回動方向に湾曲しているか否かは不明である。

チ 甲11の6からは、甲11の5のものと同様のテンプル及びメガネが見てとれる。

ツ 甲11の7からは、甲11の5のものと同様のテンプル及びメガネが見てとれる。

テ 甲12の1からは、丁番とモダンの間が2本の直線状の線状部材からなるテンプルであって、前記2本の線状部材の間隔は丁番側が広く、モダン側が狭いトラス状の形状であるテンプル及び該テンプルを備えるメガネが見てとれる。テンプルが回動方向に湾曲しているか否かは不明である。

ト 甲12の2からは、甲12の1のものと同様のテンプル及びメガネが見て取れる。

ナ 甲12の3からは、1本の線状のテンプル及び該テンプルを備えるメガネが見てとれる。テンプルが回動方向に湾曲しているか否かは不明である。

ニ 甲13の1からは、1本の線状のテンプルであって、該テンプルの丁番側の端部から中間部にかけて該テンプルに沿う別の線状部材が延在するテンプル及び該テンプルを備えるメガネが見てとれる。テンプルが回動方向に湾曲しているか否かは不明である。

ヌ 甲13の2からは、1本の線状のテンプル及び該テンプルを備えるメガネが見てとれる。テンプルが回動方向に湾曲しているか否かは不明である。

ネ 甲13の3からは、甲13の2のものと同様のテンプル及びメガネが見てとれる。

ノ 甲13の4からは、甲13の2のものと同様のテンプル及びメガネが見てとれる。

ハ 甲14の2からは、丁番とモダンとの間が、2本の線状部材からなるテンプルであって、前記2本の線状部材の間隔は丁番側が広く、モダン側が狭いトラス状の形状であるテンプル及び該テンプルを備えるメガネが見てとれる。テンプルが回動方向に湾曲しているか否かは不明である。

ヒ 甲16の1からは、丁番とモダンとの間が、2本の線状部材からなるテンプルであって、前記2本の線状部材は、丁番側の一端及びモダン側の他端で間隔を置かずに一体に結合されており、その中間で最も間隔が開いているテンプル及び該テンプルを備えるメガネが見てとれる。テンプルが回動方向に湾曲しているか否かは不明である。

フ 甲16の3からは、丁番とモダンとの間が、3本のほぼ直線状の線状部材からなるテンプルであって、前記3本の線状部材は、互いに間隔を置いて並んで配置されており、前記3本の線状部材は、丁番側の一端、モダン側の他端、及び前記一端と前記他端の中間で、それぞれ一体に結合されているテンプル及び該テンプルを備えるメガネが見て取れる。

へ 甲16の5からは、丁番とモダンとの間が、2本のほぼ直線状の線状部材からなるテンプルであって、前記2本の線状部材は、互いに間隔を置いて並んで配置されており、前記2本の線状部材は、丁番側の一端及びモダン側の他端で、それぞれ一体に結合されているテンプル及び該テンプルを備えるメガネが見てとれる。

ホ 甲16の6からは、丁番とモダンとの間が、3本のほぼ直線状の線状部材からなるテンプルであって、前記3本の線状部材の間隔は丁番側が広く、モダン側が狭い形状であるテンプル及び該テンプルを備えるメガネが見てとれる。

マ 甲16の7からは、丁番とモダンとの間が、2本のほぼ直線状の線状部材からなるテンプルであって、前記2本の線状部材の間隔は丁番側が広く、モダン側が狭い形状であるテンプル及び該テンプルを備えるメガネが見てとれる。

3 対比・判断
以下、本件特許の請求項1、請求項2、請求項9、請求項10及び請求項11に係る発明をそれぞれ「本件特許発明1」、「本件特許発明2」、「本件特許発明9」、「本件特許発明10」及び「本件特許発明11」という。
(1)本件特許発明1と引用発明1との対比・判断
ア 引用発明1の「丁番」、「モダン」及び「テンプル」は、それぞれ、本件特許発明1の「枢着部」、「耳当て部」及び「テンプル」に相当する。

イ 引用発明1の「枢着部(丁番)」はレンズ部とテンプルとの間にあって、レンズ部にテンプルを回動可能に接続するものであり、テンプル側から見ればレンズ部に対する「枢着部」であることは明らかであるから、引用発明1の「枢着部」と本件特許発明1の「枢着部」とは、「レンズ部に対する枢着部」である点で一致する。

ウ 一般に、着用者がメガネを着用しているとき、メガネのテンプルが回動方向外方に僅かに弾性変形することにより、着用者の側頭面に圧を加え、これにより、メガネがずり落ちにくくされていることは技術常識である(例.甲3(【0004】の「テンプル・・・が水平方向に弾性変形し、その反力によりフィッティング性を確保する」との記載を参照。)、特開2002-31784号公報(【0002】の「つるの挟持力・・・で固定力を補っている」との記載を参照。)、特開2002-328342号公報(【0002】の「テンプルは、・・・圧接により顔側面への保持力を得るためにも極めて重要な部分である」との記載を参照。))。
上記技術常識に照らして、引用発明1の「その長さがテンプルの長さのほとんどを占め」ている「3本のほぼ直線状の線状部材」は、着用者が引用発明1のテンプルを採用したメガネを着用しているとき弾性変形していることは明らかであるから、引用発明1の「3本のほぼ直線状の線状部材」は本件特許発明1の「弾圧部」に相当する。
したがって、引用発明1の「3本のほぼ直線状の線状部材」が「弾圧部」であることと、本件特許発明1の「弾圧部が複数の線状アーチ部を備えて」いることとは、「弾圧部が複数の線状部を備えて」いる点で一致する。

エ 上記ウに記載したとおり、引用発明1の「3本のほぼ直線状の線状部材」は本件特許発明1の「弾圧部」に相当するから、引用発明1の「枢着部(丁番)」と「耳当て部(モダン)」との間の「3本のほぼ直線状の線状部材からなるテンプル」と、本件特許発明1の「レンズ部に対する枢着部と耳当て部との間に弾圧部を有」し「該弾圧部が複数の線状アーチ部を備えて」いる「メガネ用のテンプル」とは、「レンズ部に対する枢着部と耳当て部との間に弾圧部を有」し、「該弾圧部が複数の線状部を備えて」いる「メガネ用のテンプル」の点で一致する。

オ 引用発明1の「3本の線状部材は、互いに間隔を置いて並んで配置されて」いることと、本件特許発明1の「複数の線状アーチ部が互いに間隔を置いて並んで配設されている」こととは、「複数の線状部が互いに間隔を置いて並んで配設されている」点で一致する。

カ 上記アないしオより、本件特許発明1と引用発明1とは、
「レンズ部に対する枢着部と耳当て部との間に弾圧部を有するメガネ用のテンプルであって、該弾圧部が複数の線状部を備えており、これら複数の線状部が互いに間隔を置いて並んで配設されているテンプル。」の点において一致し、次の点において相違する。

相違点1:
本件特許発明1では、前記「線状部」が「アーチ」であるのに対し、引用発明1では、「線状部」が「アーチ」でない点。

キ 上記カのとおり、本件特許発明1と引用発明1(甲16の2又は甲16の4に記載された発明)とを対比すると相違点1が存在し、かつ相違点1は形式的なものではないから、本件特許発明1は、甲16の2又は甲16の4に記載された発明と同一であるとはいえない。

ク メガネの装用感やフィット性をよくするため、あるいは、見た目の体裁やファッション性をよくするために、その回動方向に湾曲したアーチを備えるメガネ用のテンプルは、本件特許の優先日前に周知である(以下「周知技術1」という。例.甲8の1、甲10の7、特開2002-31784号公報(【請求項1】、【0004】の「発明が解決しようとする課題・・・装用感が良好なものとはならない・・・見た目の体裁が悪くなる」との記載、【0013】の「テンプル部3・・・外側に膨らむ形で湾曲しており」との記載、【0016】?【0017】の「発明の効果・・・ 装用感が良好である」との記載、図1参照。)、特開2002-328342号公報(【請求項2】、【0003】?【0005】の「発明が解決しようとする課題・・・長期間使用しているうちに使用者が太って顔幅が以前より広くなることもあり、そのような場合等には、テンプル部分の・・・フィット性は必然的に窮屈になってくる・・・顔17の肉付きが増して顔幅がテンプル幅より大きくなった場合・・・テンプル11は頭部側面部に沿わず・・・こめかみ部・・・で顔側面17の皮膚に食い込みが生じ・・・顔側面のテンプル食込み部分に強い圧迫力が作用して掛け心地が悪くなり・・・そのテンプルの食込み状態は、着用者の顔を実際より太って見せる、あるいは、あたかも太っていることを強調するかのような現象を呈し、ファッション性の点からも・・・嫌われる」との記載、【0019】の「上記テンプル1の基端部(ブラケット側の端部)側には、外側へ湾曲する湾曲容易部1aが設けられており」との記載、【0029】?【0030】の「発明の効果・・・本発明の・・・眼鏡は・・・着用者の顔幅がテンプル幅より広くなっても・・・顔側面、特にこめかみ部にテンプルの食い込みが防止され・・・着用者の顔を実際より太って見せることもなくなり、ファション性も損ねない」との記載、図1参照。))。

ケ 上記クからみて、引用発明1において、メガネの装用感やフィット性をよくするため、あるいは、見た目の体裁やファッション性をよくするために、テンプルの「3本のほぼ直線状の線状部材」を湾曲させてアーチ状にすることは、当業者が周知技術1に基づいて適宜なし得たことである。ここで、引用発明1の「3本のほぼ直線状の線状部材」は「弾圧部」に相当する(上記ウ参照。)から、引用発明1において、弾圧部が複数の線状アーチ部を備えているようにすること、すなわち、上記相違点1に係る本件特許発明1の構成を採用することは、当業者が周知技術1に基づいて適宜なし得たことである。

コ 本件特許発明1の奏する効果は、引用発明1の奏する効果及び周知技術1の奏する効果から当業者が予測することができた程度のものである。

サ 上記クないしコから、本件特許発明1は、甲16の2又は甲16の4に記載された発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2)本件特許発明1と引用発明3との対比・判断
ア 引用発明3は、「ほぼ直線状の線状部材」が3本でなく2本である点、及び、2本の線状部材は、丁番側の一端とモダン側の他端以外では一体に結合されていない点を除き、引用発明1と同じ構成を備える。したがって、本件特許発明1と引用発明3とを対比すると、その一致点、相違点(以下「相違点2」という。)は、本件特許発明1と引用発明1とを対比した場合の一致点、相違点(上記(1)カの相違点1)と同じとなる。

イ 上記アのとおり、本件特許発明1と引用発明3(甲8の2ないし4、甲14の1のいずれかに記載された発明)とを対比すると相違点2が存在し、かつ相違点2は形式的なものではないから、本件特許発明1は、甲8の2ないし4、甲14の1のいずれに記載された発明とも同一であるとはいえない。

ウ 相違点2は相違点1と同じ内容であるから、相違点2についての判断は、上記(1)ケに記載した相違点1についての判断と同じ内容である。

エ 本件特許発明1の奏する効果は、引用発明3の奏する効果及び周知技術1の奏する効果から当業者が予測することができた程度のものである。

オ 上記ウ及びエから、本件特許発明1は、甲8の2ないし4、甲14の1のいずれかに記載された発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)本件特許発明1と、甲3、甲4、甲5、甲6、甲7、甲8の1、甲8の5、甲9の1、甲10の1ないし8、甲11の1ないし7、甲12の1ないし3、甲13の1ないし4、甲14の2、甲16の1、甲16の3、甲16の5ないし7(以下「他の甲号証」ともいう。)のいずれかに記載された発明との対比・判断
ア 甲3、甲4、甲10の5、甲12の1ないし2、甲14の2に記載された発明においては、テンプルの2本の線状部材の間隔は、モダン側が狭く、丁番側が広くされており、したがって、線状部材が「並んで」配設されていないから、本件特許発明1と甲3、甲4、甲10の5、甲12の1ないし2、甲14の2に記載された発明とを対比すると相違点が存在し、かつ該相違点は形式的なものではないから、本件特許発明1は、甲3、甲4、甲10の5、甲12の1ないし2、甲14の2のいずれに記載された発明とも同一であるとはいえない。
また、甲各号証からは、当業者が線状部材を「並んで」配設させるようにするための動機は見出せないから、本件特許発明1は、甲3、甲4、甲10の5、甲12の1ないし2、甲14の2のいずれかに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

イ 甲5又は甲13の1に記載された発明においては、線状のテンプル主体部材又はテンプルと装飾部材又は別の線状部材が並んで配設されている部分が「弾圧部」か否か不明であるから、本件特許発明1と甲5又は甲13の1に記載された発明とを対比すると相違点が存在し、かつ該相違点は形式的なものではないから、本件特許発明1は、甲5又は甲13の1に記載された発明と同一であるとはいえない。
また、甲各号証からは、当業者が線状のテンプル主体部材又はテンプルと装飾部材又は別の線状部材が並んで配設されている部分を「弾圧部」にするための動機は見出せないから、本件特許発明1は、甲5又は甲13の1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

ウ 甲6に記載された発明においては、弦とバーは「並んで」配設されていないから、本件特許発明1と甲6に記載された発明とを対比すると相違点が存在し、かつ該相違点は形式的なものではないから、本件特許発明1は、甲6に記載された発明と同一であるとはいえない。
また、甲各号証からは、当業者が弦とバーを「並んで」配設させるようにするための動機は見出せないから、本件特許発明1は、甲6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

エ 甲7に記載された発明においては、2つの腕部材は枠部材の方向に向かって互いに離反されており、「並んで」配設されていないから、本件特許発明1と甲7に記載された発明とを対比すると相違点が存在し、かつ該相違点は形式的なものではないから、本件特許発明1は、甲7に記載された発明と同一であるとはいえない。
また、甲各号証からは、当業者が2つの腕部材を「並んで」配設させるようにするための動機は見出せないから、本件特許発明1は、甲7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

オ 甲8の1、甲8の5、甲10の1ないし4、甲10の6ないし8、甲11の1ないし4、甲12の3、甲13の2ないし4に記載された発明においては、テンプルが1本の板状又は線状の部材からなるものであり、複数本の線状部を備えていないから、本件特許発明1と甲8の1、甲8の5、甲10の1ないし4、甲10の6ないし8、甲11の1ないし4、甲12の3、甲13の2ないし4に記載された発明とを対比すると相違点が存在し、かつ該相違点は形式的なものではないから、本件特許発明1は、甲8の1、甲8の5、甲10の1ないし4、甲10の6ないし8、甲11の1ないし4、甲12の3、甲13の2ないし4のいずれに記載された発明とも同一であるとはいえない。
また、甲各号証からは、当業者が1本の板状又は線状の部材を複数本の線状部にするための動機は見出せないから、本件特許発明1は、甲8の1、甲8の5、甲10の1ないし4、甲10の6ないし8、甲11の1ないし4、甲12の3、甲13の2ないし4のいずれかに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

カ 甲9の1に記載された発明においては、透かし彫り施したテンプルは線状部を備えているとはいえないから、本件特許発明1と甲9の1に記載された発明とを対比すると相違点が存在し、かつ該相違点は形式的なものではないから、本件特許発明1は、甲9の1に記載された発明と同一であるとはいえない。
また、甲各号証からは、当業者が甲9の1の透かし彫りを施したテンプルを線状部を備えたものとするための動機は見出せないから、本件特許発明1は、甲9の1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

キ 甲11の5ないし7に記載された発明においては、テンプルの2本の線状部材同士が2箇所で交差しており、線状部材が「間隔を置いて並んで」配設されているとはいえないから、本件特許発明1と甲11の5ないし7に記載された発明とを対比すると相違点が存在し、かつ該相違点は形式的なものではないから、本件特許発明1は、甲11の5ないし7のいずれにに記載された発明とも同一であるとはいえない。
また、甲各号証からは、当業者が甲11の5ないし7の2本の線状部を「間隔を置いて並んで」配設させるようにするための動機は見出せないから、本件特許発明1は、甲11の5ないし7のいずれかに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

ク 甲16の1、甲16の3、甲16の5ないし7に記載された発明においては、線状部材が並んで配設されている部分が「弾圧部」か否か不明であるから、本件特許発明1と甲16の1、甲16の3、甲16の5ないし7に記載された発明とを対比すると相違点が存在し、かつ該相違点は形式的なものではないから、本件特許発明1は、甲16の1、甲16の3、甲16の5ないし7のいずれに記載された発明とも同一であるとはいえない。
また、甲各号証からは、当業者が線状部材が並んで配設されている部分を「弾圧部」にするための動機は見出せないから、本件特許発明1は、甲16の1、甲16の3、甲16の5ないし7のいずれかに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

ケ 上記アないしクより、本件特許発明1は、甲3、甲4、甲5、甲6、甲7、甲8の1、甲8の5、甲9の1、甲10の1ないし8、甲11の1ないし7、甲12の1ないし3、甲13の1ないし4、甲14の2、甲16の1、甲16の3、甲16の5ないし7のいずれに記載された発明とも同一であるとはいえない。
また、本件特許発明1は、甲3、甲4、甲5、甲6、甲7、甲8の1、甲8の5、甲9の1、甲10の1ないし8、甲11の1ないし7、甲12の1ないし3、甲13の1ないし4、甲14の2、甲16の1、甲16の3、甲16の5ないし7のいずれかに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(4)本件特許発明2と引用発明1との対比・判断
ア 本件特許発明2の発明特定事項は、本件特許発明1のすべての発明特定事項に、「前記複数の線状アーチ部が、テンプルの回動方向に湾曲していること」(以下「請求項2に係る発明特定事項)という。)を付加したものであるから、本件特許発明2と引用発明1とは、上記(1)カの相違点1と同じ点で相違するとともに、さらに、引用発明1が請求項2に係る発明特定事項を備えない点でも相違する(以下「相違点3」という。)。

イ 上記アのとおり、本件特許発明2と引用発明1(甲16の2又は甲16の4に記載された発明)とを対比すると相違点が存在し、かつ該相違点は形式的なものではないから、本件特許発明2は、甲16の2又は甲16の4に記載された発明と同一であるとはいえない。

ウ 相違点1についての判断は上記(1)ケに記載したとおりである。

エ 本件特許の優先日前、その回動方向に湾曲したメガネ用のテンプルは周知である(上記(1)ク参照。)から、請求項2に係る発明特定事項は、本件特許の優先日前に周知である。引用発明1において、請求項2に係る発明特定事項を採用することは、当業者が周知技術1(上記(1)ク参照。)に基づいて適宜なし得たことである。

オ 本件特許発明2の奏する効果は、引用発明1の奏する効果及び周知技術1の奏する効果から当業者が予測することができた程度のものである。

カ 上記ア、ウないしオから、本件特許発明2は、甲16の2又は甲16の4に記載された発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)本件特許発明2と引用発明3との対比・判断
ア 本件特許発明2と引用発明3とは、上記(2)アの相違点2と同じ点で相違するとともに、さらに、引用発明3が請求項2に係る発明特定事項を備えない点でも相違する(以下「相違点4」という)。

イ 上記アのとおり、本件特許発明2と引用発明3(甲8の2ないし4、甲14の1のいずれかに記載された発明)とを対比すると相違点が存在し、かつ該相違点は形式的なものではないから、本件特許発明2は、甲8の2ないし4、甲14の1のいずれに記載された発明とも同一であるとはいえない。

ウ 相違点2についての判断は上記(2)ウに記載したとおりであり、相違点4(請求項2に係る発明特定事項)についての判断は上記(4)エに記載したものと同じ内容である。

エ 本件特許発明2の奏する効果は、引用発明3の奏する効果及び周知技術1の奏する効果から当業者が予測することができた程度のものである。

オ 上記ア、ウ及びエから、本件特許発明2は、甲8の2ないし4、甲14の1のいずれかに記載された発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(6)本件特許発明2と他の甲号証のいずれかに記載された発明との対比・判断
ア 本件特許発明1が、他の甲号証のいずれに記載された発明とも同一であるとはいえず、また、他の甲号証のいずれかに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえないのであるから(上記(3)ケ参照。)、本件特許発明1に他の発明特定事項を付加したものに相当する本件特許発明2も、他の甲号証のいずれに記載された発明とも同一であるとはいえず、また、他の甲号証のいずれかに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

(7)本件特許発明9と引用発明1との対比・判断
ア 本件特許発明9の発明特定事項は、本件特許発明1のすべての発明特定事項に、「前記線状アーチ部の断面の形状が円形、または矩形であること」(以下「請求項9に係る発明特定事項)という。)を加えたものであるから、本件特許発明9と引用発明1とは、上記(1)カの相違点1と同じ点で相違するとともに、さらに、引用発明1においては、線状アーチ部の断面の形状が不明である点でも相違する(以下「相違点5」という。)。

イ 上記アのとおり、本件特許発明9と引用発明1(甲16の2又は甲16の4に記載された発明)とを対比すると相違点が存在し、かつ該相違点は形式的なものではないから、本件特許発明9は、甲16の2又は甲16の4に記載された発明と同一であるとはいえない。

ウ 本件特許の優先日前、その構成材としての線材の断面が円形又は矩形をしているメガネのテンプルは周知である(以下「周知技術2」という。例.甲3(上記3(2)参照。)、甲4(上記3(2)参照。)、甲7(上記3(3)参照。))。引用発明1に周知技術1を適用した発明において、線状アーチ部の断面の形状を円形又は矩形とすること、すなわち請求項9に係る発明特定事項を採用することは、当業者が周知技術2に基づいて適宜なし得た程度のことである。

エ 本件特許発明9の奏する効果は、引用発明1の奏する効果、周知技術1の奏する効果及び周知技術2の奏する効果から当業者が予測することができた程度のものである。

オ 上記ア、ウ及びエから、本件特許発明9は、甲16の2又は甲16の4に記載された発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(8)本件特許発明9と引用発明3との対比・判断
ア 本件特許発明9と引用発明3とは、上記(2)アの相違点2と同じ点で相違するとともに、さらに、引用発明3においては、線状アーチ部の断面の形状が不明である点でも相違する(以下「相違点6」という。)。

イ 上記アのとおり、本件特許発明9と引用発明3(甲8の2ないし4、甲14の1のいずれかに記載された発明)とを対比すると相違点が存在し、かつ該相違点は形式的なものではないから、本件特許発明9は、甲8の2ないし4、甲14の1のいずれに記載された発明とも同一であるとはいえない。

ウ 上記(2)アの相違点2についての判断は上記(2)ウに記載したとおりである。相違点6は相違点5と同じ内容であるから、相違点6についての判断は上記(7)ウに記載した相違点5についての判断と同じ内容である。

エ 本件特許発明9の奏する効果は、引用発明1の奏する効果、周知技術1の奏する効果及び周知技術2の奏する効果から当業者が予測することができた程度のものである。

オ 上記ア、ウ及びエから、本件特許発明9は、甲8の2ないし4、甲14の1のいずれかに記載された発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(9)本件特許発明9と他の甲号証のいずれかに記載された発明との対比・判断
ア 本件特許発明1が、他の甲号証のいずれに記載された発明とも同一であるとはいえず、また、他の甲号証のいずれかに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえないのであるから(上記(3)ケ参照。)、本件特許発明1に他の発明特定事項を付加したものに相当する本件特許発明9も、他の甲号証のいずれに記載された発明とも同一であるとはいえず、また、他の甲号証のいずれかに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

(10)本件特許発明10と引用発明1との対比・判断
ア 本件特許発明10の発明特定事項は、本件特許発明1のすべての発明特定事項に、「前記複数の線状アーチ部が中央部で一体に結合されていること」(以下「請求項10に係る発明特定事項」という。)を加えたものである。

イ 引用発明1の「前記3本の線状部材は、さらに、前記一端と前記他端の中間の2箇所で一体に結合されている」ことと、請求項10に係る発明特定事項の「前記複数の線状アーチ部が中央部で一体に結合されていること」とは、「前記複数の線状部が中央部で一体に結合されている」点において一致する。

ウ してみれば、本件特許発明10と引用発明1との相違点(以下「相違点7」という。)は、本件特許発明10では、前記「線状部」が「アーチ」であるのに対し、引用発明1では、「線状部」が「アーチ」でない点、であり、相違点1と同じである。

エ 上記ウのとおり、本件特許発明10と引用発明1(甲16の2又は甲16の4に記載された発明)とを対比すると相違点7が存在し、かつ相違点7は形式的なものではないから、本件特許発明10は、甲16の2又は甲16の4に記載された発明と同一であるとはいえない。

オ 上記ウのとおり、相違点7は相違点1と同じ内容であるから、相違点7についての判断は、上記(1)ケに記載した相違点1についての判断と同じ内容である。

カ 本件特許発明10の奏する効果は、引用発明1の奏する効果及び周知技術1の奏する効果から当業者が予測することができた程度のものである。

キ 上記アないしウ、オ及びカから、本件特許発明10は、甲16の2又は甲16の4に記載された発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(11)本件特許発明10と引用発明3との対比・判断
ア 引用発明3においては、2本の線状部材は、丁番側の一端とモダン側の他端との中間では一体に結合されていないから、本件特許発明10と引用発明3とは、上記(2)アの相違点2と同じ点で相違するとともに、さらに、引用発明3が、請求項10に係る発明特定事項を備えない点でも相違する(以下「相違点8」という。)。

イ 上記アのとおり、本件特許発明10と引用発明3(甲8の2ないし4、甲14の1のいずれかに記載された発明)とを対比すると相違点が存在し、かつ該相違点は形式的なものではないから、本件特許発明10は、甲8の2ないし4、甲14の1のいずれに記載された発明とも同一であるとはいえない。

ウ 上記(2)アの相違点2についての判断は上記(2)ウに記載したとおりである。

エ 枢着部と耳当て部との間に複数の線状部材が互いに間隔を置いて並んで配設されたテンプルにおいて、線状部材が枢着部側の一端と耳当て部側の他端との中間で一体に連結されているものは、本件特許の優先日前に周知である(以下「周知技術3」という。例.甲16の2、甲16の3、甲16の4)。引用発明3に周知技術1を適用した発明において、2本の線状部材を枢着部側の一端と耳当て部側の他端の中間で一体に結合することは、当業者が周知技術3に基づいて適宜なし得たことである。

オ 本件特許発明10の奏する効果は、引用発明3の奏する効果、周知技術1の奏する効果及び周知技術3の奏する効果から当業者が予測することができた程度のものである。

カ 上記ア、ウないしオから、本件特許発明10は、甲8の2ないし4、甲14の1のいずれかに記載された発明、周知技術1及び周知技術3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(12)本件特許発明10と他の甲号証のいずれかに記載された発明との対比・判断
ア 本件特許発明1が、他の甲号証のいずれに記載された発明とも同一であるとはいえず、また、他の甲号証のいずれかに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえないのであるから(上記(3)ケ参照。)、本件特許発明1に他の発明特定事項を付加したものに相当する本件特許発明10も、他の甲号証のいずれに記載された発明とも同一であるとはいえず、また、他の甲号証のいずれかに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

(13)本件特許発明11と引用発明2との対比・判断
ア 本件特許発明11は、本件特許発明1又は本件特許発明2のテンプルを備えるメガネである。

イ 本件特許発明11と引用発明2との相違点(以下「相違点9」という。)は、本件特許発明11では、前記「線状部」が「アーチ」であるのに対し、引用発明1では、「線状部」が「アーチ」でない点であり、相違点1と同じ内容である。

ウ 上記イのとおり、本件特許発明11と引用発明2(甲16の2又は甲16の4に記載された発明)とを対比すると相違点が存在し、かつ該相違点は形式的なものではないから、本件特許発明10は、甲16の2又は甲16の4に記載された発明と同一であるとはいえない。

エ 上記イのとおり、相違点9は相違点1と同じ内容であるから、相違点9についての判断は、上記(1)ケに記載した相違点1についての判断と同じ内容である。

オ 本件特許発明11の奏する効果は、引用発明2の奏する効果及び周知技術1の奏する効果から当業者が予測することができた程度のものである。

カ 上記ア、イ、エ及びオから、本件特許発明11は、甲16の2又は甲16の4に記載された発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(14)本件特許発明11と引用発明4との対比・判断
ア 本件特許発明11と引用発明4との相違点(以下「相違点10」という。)は、上記(2)アの相違点2と同じ内容である。

イ 上記アのとおり、本件特許発明11と引用発明4(甲8の2ないし4、甲14の1のいずれかに記載された発明)とを対比すると相違点が存在し、かつ該相違点は形式的なものではないから、本件特許発明11は、甲8の2ないし4、甲14の1のいずれに記載された発明とも同一であるとはいえない。

ウ 上記アのとおり、相違点10は相違点2と同じ内容であるから、相違点10についての判断は、上記(2)ウに記載した相違点2についての判断と同じ内容である。

エ 本件特許発明11の奏する効果は、引用発明4の奏する効果及び周知技術1の奏する効果から当業者が予測することができた程度のものである。

オ 上記ア、ウ及びエから、本件特許発明11は、甲8の2ないし4、甲14の1のいずれかに記載された発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(15)本件特許発明11と他の甲号証のいずれかに記載された発明との対比・判断
ア 本件特許発明1又は本件特許発明2が、他の甲号証のいずれに記載された発明とも同一であるとはいえず、また、他の甲号証のいずれかに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえないのであるから(上記(3)ケ、上記(6)ア参照。)、本件特許発明1又は本件特許発明2のテンプルを備えるメガネである本件特許発明11も、他の甲号証のいずれに記載された発明とも同一であるとはいえず、また、他の甲号証のいずれかに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、本件特許第4900743号の請求項1及び2、請求項9ないし11に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきものである。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-04-19 
結審通知日 2013-04-23 
審決日 2013-05-08 
出願番号 特願2010-532828(P2010-532828)
審決分類 P 1 123・ 121- Z (G02C)
P 1 123・ 113- Z (G02C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中田 誠  
特許庁審判長 西村 仁志
特許庁審判官 清水 康司
住田 秀弘
登録日 2012-01-13 
登録番号 特許第4900743号(P4900743)
発明の名称 テンプル及びそのテンプルを備えたメガネ  
代理人 安原 正義  
代理人 勝木 俊晴  
代理人 白崎 真二  
代理人 安原 正之  
代理人 平崎 彦治  
代理人 阿部 綽勝  

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