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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B60K 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B60K |
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管理番号 | 1275759 |
審判番号 | 不服2012-5423 |
総通号数 | 164 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-08-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-03-22 |
確定日 | 2013-06-19 |
事件の表示 | 特願2009-268942「エンジンをアシスト可能な動力発生装置及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 7月 8日出願公開、特開2010-149843〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成21年11月26日(パリ条約による優先権主張2008年11月28日、台湾)の出願であって、平成23年4月15日付けで拒絶理由が通知され、平成23年7月11日付けで意見書が提出され、さらに、平成23年7月27日付けで再び拒絶理由が通知され、平成23年11月1日付けで意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成23年11月15日付けで(平成23年7月27日付け拒絶理由通知書に記載した理由によって)拒絶査定がなされ、これに対し、平成24年3月22日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされると同時に、同日付けの手続補正書によって明細書及び特許請求の範囲を補正する手続補正がなされ、その後、当審において平成24年7月6日付けで審尋がなされ、これに対して平成24年10月9日付けで回答書が提出されたものである。 第2 平成24年3月22日付けの手続補正についての補正却下の決定 〔補正却下の決定の結論〕 平成24年3月22日付けの手続補正を却下する。 〔理由〕 1 本件補正について (1)本件補正の内容 平成24年3月22日付けの手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲に関して、本件補正により補正される前の(すなわち、平成23年11月1日付けで提出された手続補正書により補正された)下記(ア)を、下記(イ)と補正するものである。 (ア)本件補正前の特許請求の範囲 「【請求項1】 エンジンが動力をギヤボックスによってエンジン伝動軸に伝えるときに、前記エンジン伝動軸にアシスト動力を供給することができる動力発生装置であって、前記動力発生装置が、 高電圧の電源を供給するための電源供給器と、 高電圧の電源を駆動電源に変換してこれを伝えるための駆動機と、 前記駆動機が伝える駆動電源をアシスト動力に変換してエンジン伝動軸に伝えるための電気エネルギー・機械エネルギー変換装置と、 を有し、前記電気エネルギー・機械エネルギー変換装置により、前記エンジンが駆動する前記エンジン伝動軸の回転速よりも速く前記エンジン伝動軸を回転させることで、前記エンジン伝動軸にアシスト動力を提供し、 前記電気エネルギー・機械エネルギー変換装置が直流モーターであり、前記電源供給器が、 バッテリー、或いは前記エンジンにより駆動される発電機と、 前記バッテリー或いは前記発電機の低電圧を高電圧の電源に変換して前記駆動機に供給するためのコンバーターと、 を有する、エンジンをアシスト可能な動力発生装置。 【請求項2】 前記駆動機への制御信号を生成し、前記駆動機の駆動電源を制御することで前記電気エネルギー・機械エネルギー変換装置が駆動する前記エンジン伝動軸の回転速を設定するための制御器と、 前記電気エネルギー・機械エネルギー変換装置が伝えるアシスト動力を伝えるための第1動力伝達機構と、 前記第1動力伝達機構が伝えるアシスト動力を伝えるための無段変速機と、 前記無段変速機が伝えるアシスト動力を前記エンジン伝動軸に伝えるための第2動力伝達機構と、 をさらに有する請求項1に記載の動力発生装置。 【請求項3】 前記第1動力伝達機構が、 前記電気エネルギー・機械エネルギー変換装置に設置された第1タイミングプーリと、 前記無段変速機に設置された第2タイミングプーリと、 前記第1タイミングプーリと前記第2タイミングプーリとの間に設けられたタイミングベルトと、 からなり、前記第2動力伝達機構が、 前記無段変速機に設置されたワンウェイ駆動プーリと、 前記エンジン伝動軸に設置された駆動プーリと、 前記ワンウェイ駆動プーリと前記駆動プーリとの間に設けられた伝動ベルトと、 からなる請求項2に記載の動力発生装置。 【請求項4】 前記駆動機への制御信号を生成し、前記駆動機の駆動電源を制御することで前記電気エネルギー・機械エネルギー変換装置が駆動する前記エンジン伝動軸の回転速を設定するための制御器と、 前記電気エネルギー・機械エネルギー変換装置が伝えるアシスト動力を前記エンジン伝動軸に伝えるための動力伝達機構と、 をさらに有する請求項1に記載の動力発生装置。 【請求項5】 前記動力伝達機構が、 前記電気エネルギー・機械エネルギー変換装置に設置された第1タイミングプーリと、 回転軸に設置された第2タイミングプーリと、 前記第1タイミングプーリと前記第2タイミングプーリとの間に設けられたタイミングベルトと、 回転軸と、 前記回転軸に設置されたワンウェイ駆動プーリと、 前記エンジン伝動軸に設置された駆動プーリと、 前記ワンウェイ駆動プーリと前記駆動プーリとの間に設けられた伝動ベルトと、 からなる請求項4に記載の動力発生装置。 【請求項6】 エンジンがギヤボックスによって動力をエンジン伝動軸に伝えるときに、動力発生装置から前記エンジン伝動軸にアシスト動力を提供するための動力発生方法であって、 前記動力発生装置の電源供給器によって高電圧の電源を供給するステップと、 前記動力発生装置の駆動機によって高電圧の電源を駆動電源に変換して前記動力発生装置の電気エネルギー・機械エネルギー変換装置に伝えるステップと、 前記動力発生装置の電気エネルギー・機械エネルギー変換装置によって駆動電源をアシスト動力に変換して前記エンジン伝動軸に伝えるステップと、 前記電気エネルギー・機械エネルギー変換装置により、前記エンジンが駆動する前記エンジン伝動軸の回転速よりも速く前記エンジン伝動軸を回転させることで、前記エンジン伝動軸にアシスト動力を提供するステップと、 を含み、 前記電気エネルギー・機械エネルギー変換装置が直流モーターであり、前記電源供給器が、 バッテリー、或いは前記エンジンにより駆動される発電機と、 前記バッテリー或いは前記発電機の低電圧を高電圧の電源に変換して前記駆動機に供給するためのコンバーターと、 を有するエンジンをアシスト可能な動力発生方法。 【請求項7】 前記動力発生装置の制御器により前記駆動機への制御信号を生成し、前記駆動機の駆動電源を制御することで前記電気エネルギー・機械エネルギー変換装置が駆動する前記エンジン伝動軸の回転速を設定するステップと、 前記動力発生装置の第1動力伝達機構によって、前記電気エネルギー・機械エネルギー変換装置が伝えるアシスト動力を伝えるステップと、 前記動力発生装置の無段変速機によって、前記第1動力伝達機構が伝えるアシスト動力を伝えるステップと、 前記動力生産装置の第2動力伝達機構によって、前記無段変速機が伝えるアシスト動力を前記エンジン伝動軸に伝えるステップと、 を含む請求項6に記載の動力発生方法。 【請求項8】 前記第1動力伝達機構が、 前記電気エネルギー・機械エネルギー変換装置に設置された第1タイミングプーリと、 前記無段変速機に設置された第2タイミングプーリと、 前記第1タイミングプーリと前記第2タイミングプーリとの間に設けられたタイミングベルトと、 からなり、前記第2動力伝達機構が、 前記無段変速機に設置されたワンウェイ駆動プーリと、前記エンジン伝動軸に設置された駆動プーリと、 前記ワンウェイ駆動プーリと前記駆動プーリとの間に設けられた伝動ベルトと、 からなる請求項7に記載の動力発生方法。 【請求項9】 動力発生装置の制御器により前記駆動機への制御信号を生成し、前記駆動機の駆動電源を制御することで前記電気エネルギー・機械エネルギー変換装置が駆動する前記エンジン伝動軸の回転速を設定するステップと、 前記動力発生装置の動力伝達機構によって、前記電気エネルギー・機械エネルギー変換装置が伝えるアシスト動力を前記エンジン伝動軸に伝えるステップと、 をさらに有する請求項6に記載の動力発生方法。 【請求項10】 前記動力伝達機構が、 前記電気エネルギー・機械エネルギー変換装置に設置された第1タイミングプーリと、 回転軸に設置された第2タイミングプーリと、 前記第1タイミングプーリと前記第2タイミングプーリとの間に設けられたタイミングベルトと、 回転軸と、 前記回転軸に設置されたワンウェイ駆動プーリと、 前記エンジン伝動軸に設置された駆動プーリと、 前記ワンウェイ駆動プーリと前記駆動プーリとの間に設けられた伝動ベルトと、 からなる請求項9に記載の動力発生方法。」 (イ)本件補正後の特許請求の範囲 「【請求項1】 エンジンが動力をギヤボックスによってエンジン伝動軸に伝えるときに、前記エンジン伝動軸にアシスト動力を供給することができる動力発生装置であって、前記動力発生装置が、 高電圧の電源を供給するための電源供給器と、 高電圧の電源を駆動電源に変換してこれを伝えるための駆動機と、 前記駆動機が伝える駆動電源をアシスト動力に変換してエンジン伝動軸に伝えるための電気エネルギー・機械エネルギー変換装置と、 を有し、 前記電気エネルギー・機械エネルギー変換装置が直流モーターであり、 前記直流モーターの回転速が、前記エンジンにより駆動されるエンジン伝動軸の回転速を下回るとき、前記直流モーターは空転状態になり、前記エンジン伝動軸上で前記直流モーターによるアシスト動力は発生せず、 前記直流モーターの回転速が、前記エンジンにより駆動されるエンジン伝動軸の回転速を上回るとき、前記エンジン伝動軸にアシスト動力を提供し、 前記電源供給器が、 バッテリー、或いは前記エンジンにより駆動される発電機と、 前記バッテリー或いは前記発電機の低電圧を高電圧の電源に変換して前記駆動機に供給するためのコンバーターと、 を有する、エンジンをアシスト可能な動力発生装置。 【請求項2】 前記駆動機への制御信号を生成し、前記駆動機の駆動電源を制御することで前記電気エネルギー・機械エネルギー変換装置が駆動する前記エンジン伝動軸の回転速を設定するための制御器と、 前記電気エネルギー・機械エネルギー変換装置が伝えるアシスト動力を伝えるための第1動力伝達機構と、 前記第1動力伝達機構が伝えるアシスト動力を伝えるための無段変速機と、 前記無段変速機が伝えるアシスト動力を前記エンジン伝動軸に伝えるための第2動力伝達機構と、 をさらに有する請求項1に記載の動力発生装置。 【請求項3】 前記第1動力伝達機構が、 前記電気エネルギー・機械エネルギー変換装置に設置された第1タイミングプーリと、 前記無段変速機に設置された第2タイミングプーリと、 前記第1タイミングプーリと前記第2タイミングプーリとの間に設けられたタイミングベルトと、 からなり、前記第2動力伝達機構が、 前記無段変速機に設置されたワンウェイ駆動プーリと、 前記エンジン伝動軸に設置された駆動プーリと、 前記ワンウェイ駆動プーリと前記駆動プーリとの間に設けられた伝動ベルトと、 からなる請求項2に記載の動力発生装置。 【請求項4】 前記駆動機への制御信号を生成し、前記駆動機の駆動電源を制御することで前記電気エネルギー・機械エネルギー変換装置が駆動する前記エンジン伝動軸の回転速を設定するための制御器と、 前記電気エネルギー・機械エネルギー変換装置が伝えるアシスト動力を前記エンジン伝動軸に伝えるための動力伝達機構と、 をさらに有する請求項1に記載の動力発生装置。 【請求項5】 前記動力伝達機構が、 前記電気エネルギー・機械エネルギー変換装置に設置された第1タイミングプーリと、 回転軸に設置された第2タイミングプーリと、 前記第1タイミングプーリと前記第2タイミングプーリとの間に設けられたタイミングベルトと、 回転軸と、 前記回転軸に設置されたワンウェイ駆動プーリと、 前記エンジン伝動軸に設置された駆動プーリと、 前記ワンウェイ駆動プーリと前記駆動プーリとの間に設けられた伝動ベルトと、 からなる請求項4に記載の動力発生装置。 【請求項6】 エンジンがギヤボックスによって動力をエンジン伝動軸に伝えるときに、動力発生装置から前記エンジン伝動軸にアシスト動力を提供するための動力発生方法であって、 前記動力発生装置の電源供給器によって高電圧の電源を供給するステップと、 前記動力発生装置の駆動機によって高電圧の電源を駆動電源に変換して前記動力発生装置の電気エネルギー・機械エネルギー変換装置に伝えるステップと、 前記動力発生装置の電気エネルギー・機械エネルギー変換装置によって駆動電源をアシスト動力に変換して前記エンジン伝動軸に伝えるステップと、 を有し、 前記電気エネルギー・機械エネルギー変換装置が直流モーターであり、 前記直流モーターの回転速が、前記エンジンにより駆動されるエンジン伝動軸の回転速を下回るとき、前記直流モーターは空転状態になり、前記エンジン伝動軸上で前記直流モーターによるアシスト動力は発生せず、 前記直流モーターの回転速が、前記エンジンにより駆動されるエンジン伝動軸の回転速を上回るとき、前記エンジン伝動軸にアシスト動力を提供し、 前記電源供給器が、 バッテリー、或いは前記エンジンにより駆動される発電機と、 前記バッテリー或いは前記発電機の低電圧を高電圧の電源に変換して前記駆動機に供給するためのコンバーターと、 を有するエンジンをアシスト可能な動力発生方法。 【請求項7】 前記動力発生装置の制御器により前記駆動機への制御信号を生成し、前記駆動機の駆動電源を制御することで前記電気エネルギー・機械エネルギー変換装置が駆動する前記エンジン伝動軸の回転速を設定するステップと、 前記動力発生装置の第1動力伝達機構によって、前記電気エネルギー・機械エネルギー変換装置が伝えるアシスト動力を伝えるステップと、 前記動力発生装置の無段変速機によって、前記第1動力伝達機構が伝えるアシスト動力を伝えるステップと、 前記動力生産装置の第2動力伝達機構によって、前記無段変速機が伝えるアシスト動力を前記エンジン伝動軸に伝えるステップと、 を含む請求項6に記載の動力発生方法。 【請求項8】 前記第1動力伝達機構が、 前記電気エネルギー・機械エネルギー変換装置に設置された第1タイミングプーリと、 前記無段変速機に設置された第2タイミングプーリと、 前記第1タイミングプーリと前記第2タイミングプーリとの間に設けられたタイミングベルトと、 からなり、前記第2動力伝達機構が、 前記無段変速機に設置されたワンウェイ駆動プーリと、前記エンジン伝動軸に設置された駆動プーリと、 前記ワンウェイ駆動プーリと前記駆動プーリとの間に設けられた伝動ベルトと、 からなる請求項7に記載の動力発生方法。 【請求項9】 動力発生装置の制御器により前記駆動機への制御信号を生成し、前記駆動機の駆動電源を制御することで前記電気エネルギー・機械エネルギー変換装置が駆動する前記エンジン伝動軸の回転速を設定するステップと、 前記動力発生装置の動力伝達機構によって、前記電気エネルギー・機械エネルギー変換装置が伝えるアシスト動力を前記エンジン伝動軸に伝えるステップと、 をさらに有する請求項6に記載の動力発生方法。 【請求項10】 前記動力伝達機構が、 前記電気エネルギー・機械エネルギー変換装置に設置された第1タイミングプーリと、 回転軸に設置された第2タイミングプーリと、 前記第1タイミングプーリと前記第2タイミングプーリとの間に設けられたタイミングベルトと、 回転軸と、 前記回転軸に設置されたワンウェイ駆動プーリと、 前記エンジン伝動軸に設置された駆動プーリと、 前記ワンウェイ駆動プーリと前記駆動プーリとの間に設けられた伝動ベルトと、 からなる請求項9に記載の動力発生方法。」(なお、上記の下線は審判請求人が補正箇所を明示するために付したものである。) (2)本件補正の目的について 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に対応するものであるところ、本件補正は、特許請求の範囲の請求項1に関して、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の「電気エネルギー・機械エネルギー変換装置により、前記エンジンが駆動する前記エンジン伝動軸の回転速よりも速く前記エンジン伝動軸を回転させることで、前記エンジン伝動軸にアシスト動力を提供し、前記電気エネルギー・機械エネルギー変換装置が直流モーターであり」との記載を、「電気エネルギー・機械エネルギー変換装置が直流モーターであり、前記直流モーターの回転速が、前記エンジンにより駆動されるエンジン伝動軸の回転速を下回るとき、前記直流モーターは空転状態になり、前記エンジン伝動軸上で前記直流モーターによるアシスト動力は発生せず、前記直流モーターの回転速が、前記エンジンにより駆動されるエンジン伝動軸の回転速を上回るとき、前記エンジン伝動軸にアシスト動力を提供し」とするものである。 そして、本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明の「電気エネルギー・機械エネルギー変換装置により、前記エンジンが駆動する前記エンジン伝動軸の回転速よりも速く前記エンジン伝動軸を回転させることで、前記エンジン伝動軸にアシスト動力を提供」することについて、「直流モーターの回転速が、前記エンジンにより駆動されるエンジン伝動軸の回転速を下回るとき、前記直流モーターは空転状態になり、前記エンジン伝動軸上で前記直流モーターによるアシスト動力は発生せず」との態様を追加し発明特定事項を限定することを含むものといえる。 よって、特許請求の範囲の請求項1についての本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明の発明特定事項に限定を付加したものといえるので、本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 2 独立特許要件についての検討 本件補正における特許請求の範囲の補正は、前述したように、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するので、本件補正後の請求項1に記載された事項により特定される発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下に検討する。 2-1 刊行物に記載された発明 (1)刊行物の記載事項 原査定の拒絶理由に引用された本件出願の優先日前に頒布された刊行物である特開2008-239041号公報(以下、「刊行物」という。)には、図面とともに、例えば、次の記載がある。 a)「【0001】 本発明は、動力源としてエンジンとモータとを併用するハイブリッド車両に関する。」(段落【0001】) b)「【0018】 本実施形態に係るハイブリッド車両Hは、図1に示すように、車両走行のためのトルクを発生するとともに図示しないオイルポンプを駆動するエンジン1と、車両走行のためのトルクの発生及び余剰トルクの回生を行うモータ2と、エンジン1及び前記モータ2のトルクを制御するためのアクセルペダルAと、前記エンジン1及びモータ2のトルクを駆動輪Tに伝達する駆動軸3とを具備する。 【0019】 また、電力制御装置Iは、モータ2と電池Bとの間に電気的に接続され、モータ2に電力を供給するとともに、モータ2が発電した電力により電池Bを充電するように構成されている。この電力制御装置Iは、モータ2の種類によりインバータあるいはDC-DCコンバータを備えている。なお、電力制御装置Iは、家庭などの電力線(電灯線、配電線など)から供給される交流を直流に変えて電池Bに供給する充電回路を含んでいてもよい。 【0020】 エンジン1は、始動用モータ8を備えており、始動用モータ8により運転を開始したエンジン1のトルクは、CVTのようなトランスミッション7を介して駆動軸3に伝達される。エンジン1は車両制御コンピュータVC及びトランスミッションコンピュータTCに関連づけて設けられたエンジンコンピュータECにより、トルクコントロール等の所定の制御を受ける。 」(段落【0018】ないし【0020】) c)「【0023】 クラッチ機構6は、図2に示すように、モータの出力軸21と接続する伝達ギア60と、モータ2と駆動軸3とを油圧によって接続及び接続解除する油圧クラッチ4と、車両走行において少なくともエンジン1及びモータ2が停止する車両停車状態から走行を開始する場合にモータ2のトルクを駆動側に伝えるためのワンウェイクラッチ5と、トルク伝達軸61を具備し、かつ、油圧クラッチ4及びワンウェイクラッチ5を駆動軸3に並列に配置したものである。」(段落【0023】) d)「【0025】 油圧クラッチ4は、接続制御機構41の制御を受け、モータ2と駆動軸3とを断続する機能を行うものである。 【0026】 ワンウェイクラッチ5は、例えば、アイドリングストップ機構を有するような車両において、ドライバの発進要求に対する車両の動作の遅れを回避するために設けられている。 【0027】 具体的には、エンジン1及びモータ2が停止する車両Hの停車状態から走行を開始する場合において、モータ1のトルクがワンウェイクラッチ5を介して駆動軸3に伝達される。このような構成であれば、油圧クラッチ4の作動油圧が発生するまでの所定ステップであるエンジン1の起動、図示しないオイルポンプによる作動油圧の確保、そして、油圧クラッチ4の接続という諸動作を待つことなく、モータ1のトルクをワンウェイクラッチ5を介して駆動軸3に伝達することができるため、ドライバの意思に沿ったレスポンス性の高い車両の走行が可能となる。」(段落【0025】ないし【0027】) e)「【0043】 エンジン1及びモータ2が停止する車両停車状態から車両走行を開始する場合は、図4に示すように、モータ2のトルクがワンウェイクラッチ5を介して駆動軸3に伝達される。エンジン1が起動し、図示しないオイルポンプによって油圧クラッチ4を作動させる作動油圧が確保されるまでは、油圧クラッチ4が作動しないため、モータ2のトルク伝達はワンウェイクラッチ5に依存することになる。 【0044】 エンジン1の起動後の所定時間経過後はオイルポンプにより作動油圧が確保されるため、油圧クラッチ4を作動させることができる。ワンウェイクラッチ5とともに、油圧クラッチ4を介してモータ2と駆動軸3とを接続することにより、車両速度の減速時における回生作用を行うことや、再加速時においてモータ2のトルクを油圧クラッチ4を介して駆動軸3に伝達することができる。 【0045】 その後、車両の走行速度がモータ2の許容回転数を超えない範囲において所定の速度以上となった場合は、駆動手段であるエンジン1のトルクを駆動軸3に伝達する。このため、モータ2とともに、エンジン1のトルクが駆動軸3に伝達されることになり、エンジン1のトルクがモータ2のトルクを補助する機能を行う。 【0046】 次に、車両の走行速度が上がり、モータ2の許容回転数を超える場合には、車両走行のための動力源をエンジン1のみに移行する。このため、接続制御機構41が油圧クラッチ4によりモータ2と駆動軸3とを切り離す制御を行う。また、駆動手段がエンジン1のみに移行した場合、ワンウェイクラッチ5はモータ2が停止するために空転する。」(段落【0043】ないし【0046】) (2)上記例示した記載箇所a)ないしe)及び図面の記載から分かる技術的事項 ア)上記(1)a)及びb)並びに図2の記載によれば、エンジン1が動力をトランスミッション7によって駆動軸3に伝えることが分かる。 イ)上記(1)e)及び図4の記載によれば、動力源は、車両走行を開始する場合に、エンジン1が起動しているときに、モータ2により補助的に動力を供給することから、駆動軸3にアシスト動力を供給することができることが分かる。 ウ)上記(1)b)の記載によれば、電力制御装置Iは、電池Bと接続され、DC-DCコンバータを備え、電池Bの電圧を変換し、電力をモータ2に供給するものであるから、DC-DCコンバーターは、電池Bの電圧を変換しており、電力制御装置Iは、電源を駆動電源に変換するためのものであることが分かる。 エ)上記(1)b)ないしe)の記載によれば、モータ2が、電力制御装置Iが伝える駆動電源をアシスト動力に変換して駆動軸3に伝えることが分かる。 オ)上記(1)b)ないしe)及び図4の記載によれば、動力源の動作について、ワンウェイクラッチ5の作用に着目すると、モータ2が停止に向かいワンウェイクラッチ5に入力される回転速がエンジンによりワンウェイクラッチ5に入力される回転速を下回るとワンウェイクラッチ5の作用によりモータが空転し(特に、図4において、駆動手段として「エンジン」の列参照。)、一方、モータ2により入力されるワンウェイクラッチ5の回転速が、エンジンにより入力されるワンウェイクラッチ5の回転速を上回るとき、ワンウェイクラッチ5の作用によりモータ2のトルクが駆動軸3に伝達される(特に、図4において、駆動手段として「モータ(走行開始)」の列参照。)ものとして理解される。 ところで、上記の動力源の動作は、現実にはワンウェイクラッチ5の作用として達成されるものの、設計上は如何なる部材に入力される回転速に着目するかは任意であるところ、駆動軸3の回転速に着目してみれば、上記の動力源の動作は、(仮にモータ2のみで駆動したときに)モータ2により駆動される駆動軸3の回転速が、エンジン1により駆動される駆動軸3を下回るとき、モータ2は空転状態になり、駆動軸3上でモータ2によるアシスト動力は発生せず(上記同様、特に、図4において、駆動手段として「エンジン」の列参照。)、一方、モータ2により駆動される駆動軸3の回転速が、エンジンにより駆動される駆動軸3の回転速を上回るとき、駆動軸3にアシスト動力を提供するもの(上記同様、特に、図4において、駆動手段として「モータ(走行開始)」の列参照。)であることが分かる。 なお、刊行物に記載された発明は、クラッチとして、ワンウェイクラッチ5に加えて、油圧クラッチ4を備えるものであるが、上記(1)e)及び図4の記載を踏まえれば、当業者が、ワンウェイクラッチ5の動作のみを理解することに特段の支障は認められない。 (3)刊行物に記載された発明 したがって、上記(1)及び(2)を総合すると、刊行物には次の発明(以下、「刊行物に記載された発明」という。)が記載されていると認められる。 <刊行物に記載された発明> 「エンジン1が動力をトランスミッション7によって駆動軸3に伝えるときに、駆動軸3にアシスト動力を供給することができる動力源であって、動力源が、 電池B及びコンバーターと、 電源を駆動電源に変換するための電力制御装置Iと、 電力制御装置Iが伝える駆動電源をアシスト動力に変換して駆動軸3に伝えるためのモータ2と、 を有し、 モータ2により駆動される駆動軸3の回転速が、エンジン1により駆動される駆動軸3の回転速を下回るとき、モータ2は空転状態になり、駆動軸3上でモータ2によるアシスト動力は発生せず、 モータ1により駆動される駆動軸3の回転速が、エンジンにより駆動される駆動軸3の回転速を上回るとき、駆動軸3にアシスト動力を提供し、 電池Bと、 電池Bの電圧を変換して駆動機に供給するためのコンバーターと、 を有する、エンジンをアシスト可能な動力源。」 2-2 対比・判断 本願補正発明と刊行物に記載された発明とを対比すると、刊行物に記載された発明における「エンジン1」は、その機能及び作用又は技術的意義からみて、本願補正発明における「エンジン」に相当し、以下同様に、「トランスミッション7」は「ギヤボックス」に、「駆動軸3」は「エンジン駆動軸」に、「動力源」は「動力発生装置」に、「電力制御装置I」は「駆動器」に、「モータ2」は「電気エネルギー・機械エネルギー変換装置」に、「電池B」は「バッテリー」に、それぞれ相当する。 また、刊行物に記載された発明における「電池B及びコンバーター」は、その機能及び作用又は技術的意義からみて、本願補正発明における「電源供給器」に相当する。 そうすると、本願補正発明と刊行物に記載された発明とは、 「エンジンが動力をギヤボックスによってエンジン伝動軸に伝えるときに、エンジン伝動軸にアシスト動力を供給することができる動力発生装置であって、動力発生装置が、 電源供給器と、 電源を駆動電源に変換するための駆動器と、 駆動器Iが伝える駆動電源をアシスト動力に変換してエンジン伝動軸に伝えるための電気エネルギー・機械エネルギー変換装置と、 を有し、 電気エネルギー・機械エネルギー変換装置がモーターであり、 電源供給器が、 バッテリーと、 バッテリーの電圧を変換して駆動機に供給するためのコンバーターと、 を有する、エンジンをアシスト可能な動力源。」の点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点> (1)相違点1 本願補正発明においては「高電圧の電源を供給するための電源供給器と、高電圧の電源を駆動電源に変換してこれを伝えるための駆動機」及び「バッテリー・・・(中略)・・・の低電圧を高電圧の電源に変換して前記駆動機に供給するためのコンバーター」を有するのに対して、刊行物に記載された発明においては、「電池B」(本願補正発明における「バッテリー」に相当する。)、「電力制御装置I」(本願補正発明における「駆動機」に相当する。)及び「コンバーター」を有するものの、そのような「電源供給器」、「駆動機」及び「コンバーター」であるか否か不明である点(以下、「相違点1」という。)。 (2)相違点2 本願補正発明においては「電気エネルギー・機械エネルギー変換装置が直流モーター」であるのに対して、刊行物に記載された発明においては、「モータ2」が直流モーターであるか否か不明である点(以下、「相違点2」という。)。 (3)相違点3 本願補正発明においては「直流モーターの回転速が、前記エンジンにより駆動されるエンジン伝動軸の回転速を下回るとき、前記直流モーターは空転状態になり、前記エンジン伝動軸上で前記直流モーターによるアシスト動力は発生せず、前記直流モーターの回転速が、前記エンジンにより駆動されるエンジン伝動軸の回転速を上回るとき、前記エンジン伝動軸にアシスト動力を提供」し、「直流モーターの回転速」と「エンジン伝動軸の回転速」との比較によって「エンジン伝動軸にアシスト動力」を「提供」するか否かを切り替えるものであるのに対して、刊行物1に記載された発明においては、「モータ2により駆動される駆動軸3の回転速」と「エンジン1により駆動される駆動軸3の回転速」との比較によって「駆動軸3にアシスト動力」を「提供」するか否かを切り替えるものであり一応相違する点(以下、「相違点3」という。)。 上記相違点1について検討する。 動力発生装置において、バッテリーの低電圧を、コンバータにより高電圧に変換し、電源供給器の電源を駆動電源に変換して伝える駆動機を有するものは周知である(以下、「周知技術1」という。例えば、特開2008-289313号公報(平成20年11月27日公開) [特に、段落【0019】ないし【0021】]及び特開2007-336715号公報[特に、段落【0012】及び【0013】]等参照。)。 してみると、刊行物1に記載された発明において、周知技術1を適用することにより、刊行物1に記載された発明における「電池B」(本願補正発明における「バッテリー」に相当する。)、「電力制御装置I」(本願補正発明における「駆動機」に相当する。)及び「コンバーター」を、上記相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項のようにすることは、当業者であれば、容易に想到できたことである。 上記相違点2について検討する。 刊行物には「この電力制御装置Iは、モータ2の種類によりインバータあるいはDC-DCコンバータを備えている。」(段落【0019】)と記載されており、DC-DCコンバータは直流を供給するものであることを考慮すれば、刊行物には、モーターとして直流モーターを用いる技術(以下、「刊行物の技術」という。)が記載されているといえる。 また、動力発生装置において、モーターとして直流モーターを用いるものは周知である(以下、「周知技術2」という。例えば、特開2008-254677号公報(平成20年10月23日公開)[特に、段落【0019】ないし【0021】]及び特開2005-295777号公報[特に、段落【0010】及び【0011】]等参照。)。 してみると、刊行物に記載された発明において、刊行物の技術又は周知技術2を適用することにより、直流モーターを選択し、上記相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば、容易に想到できたことである。 上記相違点3について検討する。 本願補正発明は、「前記直流モーターの回転速が、前記エンジンにより駆動されるエンジン伝動軸の回転速を下回るとき、前記直流モーターは空転状態になり、前記エンジン伝動軸上で前記直流モーターによるアシスト動力は発生せず、 前記直流モーターの回転速が、前記エンジンにより駆動されるエンジン伝動軸の回転速を上回るとき、前記エンジン伝動軸にアシスト動力を提供」するものであり、「直流モーターの回転速」と「エンジン伝動軸の回転速」が比較されている。 ここで、本願補正発明における「直流モーターの回転速」の意義についてみると、本願の明細書には「【0020】制御器209により制御される駆動機208が直流モーター201に駆動電源を伝えると、直流モーター201は、制御器が設定する回転速で回転する。直流モータ201の回転速(すなわち無段変速機203により駆動されるエンジン伝動軸10の回転速)が、エンジンにより駆動されるエンジン伝動軸10の回転速を下回るとき、ワンウェイプーリ205は一方向のみに回転するため、直流モーター201が空転状態になる。つまり、エンジン伝動軸10上で直流モーター201によるアシスト動力は発生せず、この時、エンジン伝動軸10における動力はすべてエンジンの燃料燃焼により発生した動力となる。」(段落【0020】)と記載されており、「直流モータの回転速」とは「エンジン伝動軸10の回転速」と解される。 しかしながら、エンジン伝動軸という一つの剛体軸が、2つの回転速を持つことは技術常識に反することから、直流モータの回転速としての「エンジン伝動軸の回転速」と、エンジンにより駆動されるエンジン伝動軸の回転速とは、直流モータとエンジンのそれぞれが個別にエンジン伝動軸を駆動する状況を仮定した上で、比較されていると解するのが技術常識に適う。 すなわち、「直流モータの回転速」とは、仮に、直流モータのみで駆動したときのエンジン伝動軸の回転速であり、「エンジンにより駆動されるエンジン伝動軸の回転速」とは、エンジンのみで駆動したときのエンジン伝動軸の回転速であると、解するのが相当である。 なお、この点について、平成24年12月11日付けのFAXによる審判官からの質問書における「(1)「直流モーターの回転速」、「エンジンにより駆動されるエンジン伝動軸の回転速」それぞれの定義・意味」に関する質問に対して、審判請求人は、平成24年12月25日付けのFAXにおいて「「直流モータの回転速」とは、仮に、直流モータのみで駆動したときのエンジン伝動軸の回転速のことです(明細書段落0020の「直流モーター201の回転速(すなわち無段変速機203により駆動されるエンジン伝動軸10の回転速)」との記載参照)。「エンジンにより駆動されるエンジン伝動軸の回転速」とは、エンジンのみで駆動したときのエンジン伝動軸の回転速のことです。」と回答があったところである。 してみると、刊行物に記載された発明は「モータ2により駆動される駆動軸3の回転速が、エンジン1により駆動される駆動軸3の回転速を下回るとき、モータ2は空転状態になり、駆動軸3上でモータ2によるアシスト動力は発生せず、モータ1により駆動される駆動軸3の回転速が、エンジンにより駆動される駆動軸3の回転速を上回るとき、駆動軸3にアシスト動力を提供」するものであるから、上記相違点3は、刊行物において記載されているといえる。 なお、エンジンとモータを有する動力源において、それぞれ入力される相対的な回転速に応じたワンウェイクラッチ動作により、動力の提供を切り替えるものは既に広く知られている(例えば、特開平8-266012号公報[特に、段落【0061】]及び特開2005-20911号公報[特に、段落【0021】及び【0022】]等参照。)。 そして、本願補正発明は全体としてみても、刊行物に記載された発明及び刊行物の技術並びに周知技術1及び2から当業者が予測される以上の格別な効果を奏するものではない。 以上のように、本願補正発明は、刊行物に記載された発明及び刊行物の技術並びに周知技術1及び2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。 3 むすび 以上のとおり、本件補正は、平成23年法律第63号改正附則第2条第18項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 手続の経緯及び本願発明 平成24年2月17日付けの手続補正は前述したとおり却下されたので、本件出願の請求項1ないし10に係る発明は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、前記第2〔理由〕1(1)(ア)の請求項1に記載したとおりのものである。 2 刊行物に記載された発明 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物(特開2008-239041号公報)に記載された発明は、前記第2〔理由〕2 2-1に記載したとおりである。 3 対比・判断 本願発明は、前記第2〔理由〕2 2-2において検討した本願補正発明における発明特定事項を全て含むものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含む本願補正発明が、前記第2〔理由〕2 2-2に記載したとおり、刊行物に記載された発明及び刊行物の技術並びに周知技術1及び2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物に記載された発明及び刊行物の技術並びに周知技術1及び2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 そして、本願発明は全体としてみても、刊行物に記載された発明及び刊行物の技術並びに周知技術1及び2から当業者が予測される以上の格別な効果を奏するものではない。 4 むすび 以上のとおり、本願発明は、刊行物に記載された発明及び刊行物の技術並びに周知技術1及び2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 |
審理終結日 | 2013-01-17 |
結審通知日 | 2013-01-22 |
審決日 | 2013-02-06 |
出願番号 | 特願2009-268942(P2009-268942) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(B60K)
P 1 8・ 121- Z (B60K) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 畔津 圭介 |
特許庁審判長 |
伊藤 元人 |
特許庁審判官 |
金澤 俊郎 中野 宏和 |
発明の名称 | エンジンをアシスト可能な動力発生装置及び方法 |
代理人 | 前田 厚司 |
代理人 | 山崎 宏 |
代理人 | 田中 光雄 |