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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04M
管理番号 1275805
審判番号 不服2012-13555  
総通号数 164 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-07-17 
確定日 2013-06-20 
事件の表示 特願2010- 9928「携帯型電話装置」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 5月20日出願公開、特開2010-114935〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成15年12月5日に出願した特願2003-407408号の一部を平成22年1月20日に新たな特許出願としたものであって、平成23年5月2日付けの拒絶理由通知に対し平成23年7月11日付けで手続補正がなされたところ、平成24年4月10日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年7月17日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

第2.補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成24年7月17日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正
本件補正は、平成23年7月11日付け手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項2について、次のように補正することを含むものである。

(1)補正前
「【請求項2】
少なくとも、テレビ放送に基づく映像を表示するテレビ放送視聴モード、及び電子メールの作成が行える電話モードを備えた携帯型電話装置において、
前記映像又は前記電話モードにおける電子メールの作成に関する画像を表示する表示部と、前記表示部に前記電話モードおける電子メールの作成に関する画像が表示されている場合には、前記表示部の輝度を所定時間経過で低下させる制御手段と、を備えており、
前記制御手段は、前記表示部にテレビ放送視聴モードでの映像が表示されている場合には、前記表示部の輝度を第1の輝度に維持する第1制御と、前記表示部の輝度を第2の輝度からこの第2の輝度よりも低い第3の輝度に切り換える第2制御と、によって前記表示部の輝度を制御することを備えたことを特徴とする携帯型電話装置。」

(2)補正後
「【請求項2】
少なくとも、テレビ放送に基づく映像を表示するテレビ放送視聴モード、及び電子メールの作成が行える電話モードを備えた携帯型電話装置において、
前記映像又は前記電話モードにおける電子メールの作成に関する画像を表示する表示部と、前記表示部に前記電話モードおける電子メールの作成に関する画像が表示されている場合には、前記表示部の輝度を所定時間経過で低下させる制御手段と、を備えており、
前記制御手段は、前記表示部にテレビ放送視聴モードでの映像が表示されている場合には、ユーザーによる設定に基づいて、前記表示部の輝度を一定の輝度に維持する第1制御と、前記表示部の輝度を時間経過により低い輝度に切り換える第2制御と、によって前記表示部の輝度を制御することを備えたことを特徴とする携帯型電話装置。」

2.新規事項の有無、補正の目的要件について
上記補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において、補正前の特許請求の範囲の請求項2に記載された「制御手段」による「表示部の輝度を制御する」構成に関し、「ユーザによる設定に基づいて」との構成を付加し、また、同「制御手段」による「第2の制御」に関し、「時間経過により」との構成を付加し限定することにより、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項(新規事項)及び平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号(補正の目的)の規定に適合している。
なお、上記補正において、「制御手段」による「第1の制御」に関し、「表示部の輝度を第1の輝度に維持する」を「表示部の輝度を一定の輝度に維持する」と補正し、また、同「第2の制御」に関し、「表示部の輝度を第2の輝度からこの第2の輝度よりも低い第3の輝度に切り換える」を「表示部の輝度を・・・低い輝度に切り換える」と補正した点については、明細書の【0031】の記載及び審判請求人の主張(審判請求書第2頁18行?20行)からみて、単なる表現上の変更であって特許請求の範囲を実質的に変更するものではないから、補正の目的要件に違反するものではない。

3.独立特許要件について
上記補正は特許請求の範囲の減縮を含むものであるから、上記補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるか否かについて以下に検討する。

(1)補正後の発明
本願の請求項2に係る発明(以下、「補正後の発明」という。)は、平成24年7月17日付けの手続補正により補正された請求項2に記載されたとおりのものと認められる。
(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開2002-99248号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

イ.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バックライトを備えた表示装置を有する情報処理装置及びバックライト制御方法に関する。」

ロ.「【0002】
【従来の技術】従来、バックライトを備えた液晶ディスプレイ(LCD)を有する携帯型情報端末等においては、省電力の観点から、ユーザによる最後の操作があってから一定時間経過するとバックライトの輝度を低下させるようにしている。
【0003】例えば、特開平11-126118号公報は、オペレーティングシステムの節電機構に基づき、アプリケーションの実行中に入力操作が不要な処理待ち状態となったが否かを判別し、処理待ち状態になったことが検出された場合に、バックライトへ供給する電流の値を下げ、バックライトを低輝度にする技術を開示している。
【0004】上記文献を含む従来技術では、ユーザによる最後の操作があってからバックライトの輝度を低下させるまでの時間は、アプリケーションプログラムの種類にかかわらず、一律となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ユーザの使い勝手と省電力の両面を考慮すると、バックライトの輝度を低下させるまでの時間が動作中のアプリケーションプログラムの種類や動作状態に関係なく一律であることは、必ずしも望ましいとは言えない。例えば、ユーザは表示画面をまだ見続けていたいのにバックライトの輝度が不本意に低下してしまったり、逆に、ユーザはもう表示画面を見る必要がないのにバックライトの輝度がすぐに低下されないために省電力効果を十分に発揮させることができないという問題がある。
【0006】本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、動作中のアプリケーションプログラムの種類や動作状態に応じて適切な時点でバックライトの輝度を低下させるようにし、ユーザの使い勝手と省電力の両方を向上させることが可能な情報処理装置及びバックライト制御方法を提供することを目的とする。」

ハ.「【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。本実施形態における情報処理装置は、電池(バッテリ)により駆動される携帯型情報端末であり、記録媒体に記録されたプログラムを読み込んで実行することによって種々の機能を実現することが可能となっている。ユーザは、本情報処理装置に内蔵される無線通信機能(携帯電話やPHS(Personal Handy-phone System)に相当する機能)を用いることによって、相手側の無線通信装置(携帯電話やPHSなど)と接続し、画像情報や音声情報を送受信するといった使い方ができるようになっている。また、ユーザは、本情報処理装置に搭載されるAV機能を用いることによって、DVD(Digital Versatile Disk)やTVによる画像や音声を視聴したりすることもできるようになっている。
【0011】図1に示すように、本実施形態における情報処理装置は、CPU11、メモリ12、表示制御回路13、LCD14、VRAM15、タブレット16、バックライト駆動回路17、バックライト18、表示入力装置19(上記LCD14、タブレット16、バックライト18を含む)、電源スイッチ20、電源回路21、電池22、通信インタフェース23、DVDドライブ24、TVチューナ25、無線回路部26、及びアンテナ27によって構成されている。
【0012】CPU11は、情報処理装置全体の制御を司るもので、メモリ12に記憶されたプログラムを実行することで各種の機能を実現する。例えば、CPU11は、メモリ12に記憶された画面制御プログラム12aを実行することにより、動作中のアプリケーションプログラム(の種類)やその動作状態(もしくは画面内容)に応じて、適切な時点でバックライトの輝度を低下させる(輝度を小さくするか、もしくは輝度を0にする)ための制御を行なう。
【0013】メモリ12は、CPU11によって実行されるべき各種のプログラムやデータを記憶している。各種のプログラムの一つである画面制御プログラム12aは、本発明に係る画面制御を行なうためのプログラムである。
【0014】画面制御プログラム12aは、アプリケーションプログラム情報12bを参照することにより、現在動作しているアプリケーションプログラムの識別情報、現在の動作状態、ユーザによる入力操作が途絶えた状態を監視すべき監視時間(既定値)、ユーザによる入力操作が途絶えた状態の経過時間(カウント値)を知得することが可能となっている。
【0015】ここで、監視時間は、バックライトの輝度を低下させるにあたり、ユーザによる入力操作が継続して無い状態を確認するための時間であり、各種のアプリケーションプログラム/動作状態ごとに予め定められている。
【0016】また、画面制御プログラム12aは、タイマ11aに基づき、ユーザによる入力操作が途絶えた時点からの経過時間をアプリケーションプログラム情報12b上で計測し、その経過時間が上記監視時間を超えるまで新たな入力操作が無かった場合には、バックライトの輝度を低下させるように制御する。
【0017】(略)
【0018】アプリケーションプログラム情報12bは、現在動作しているアプリケーションプログラムの識別情報、現在の動作状態、対応する監視時間(既定値)、ユーザによる入力操作が途絶えてからの経過時間(カウント値)といった情報を含んでいる。
【0019】アプリケーションプログラム12cは、メモリ12にロードされて現在動作しているアプリケーションプログラムであり、例えばメール,ブラウザ,DVD,TVチューナにそれぞれ対応するアプリケーションプログラムのうちのいずれかである。もちろん、複数のアプリケーションプログラムがメモリ12上で動作していても構わない。
【0020】アプリケーションプログラム12cは、メモリ12にロードされたときには、当該アプリケーションプログラム12cの識別情報と共にその動作状態を示す情報をアプリケーションプログラム情報12bに反映させる。また、アプリケーションプログラム12cは、テーブル12d(後述)を参照することにより、そのアプリケーションプログラム/動作状態に対応する監視時間を取得し、この取得した監視時間と当該アプリケーションプログラム/動作状態とを対応づけてアプリケーションプログラム情報12bに反映させる。なお、これらの処理のいくつかは、画面制御プログラム12aが行うように構成してもよい。
【0021】本実施形態では、メール用のアプリケーションプログラムは、LCD14上でメールを編集したり、通信インタフェース23を介して他の機器へメールを送信したり、他の機器からメールを受信してLCD14に表示したりするために使用される。・・・(中略)・・・TVチューナ用のアプリケーションプログラムは、TVチューナ25により受信された放送内容をLCD14に表示したりするために使用される。
【0022】テーブル12dは、各種のアプリケーションプログラム/動作状態ごとに、入力操作が途絶えた状態を監視すべき時間(監視時間)が定められたものである。なお、テーブル12d内の監視時間は、LCD14上の設定画面でユーザが設定できるように構成してもよい。
【0023】表示制御回路13は、CPU11の制御のもとで、LCD14における画像表示制御を行なう。・・・(中略)・・・。
【0024】バックライト駆動回路17は、バックライト18を駆動して発光させるためのもので、CPU11からの設定レベルの指示に応じてバックライト18の輝度レベルを変更することができる。・・・(中略)・・・。
【0025】・・・(中略)・・・通信インタフェース23は、他の無線通信装置(携帯電話やPHSなど)と接続するためのインタフェースであり、メール等の文字情報や音声/画像情報を無線通信によって外部と送受する場合に使用される。
【0026】(略)
【0027】TVチューナ25は、CPU11の制御のもとで、ユーザが望むテレビ放送局に対応するチャネルを選択して放送内容を取得する。」

ニ.「【0030】図3は、図1に示されるテーブル12dの詳細な内容を示す図である。同図に示されるように、テーブル12dには、各種のアプリケーションプログラム/動作状態ごとに監視すべき時間(監視時間)が定められている。
【0031】例えば、メール用のアプリケーションプログラム及びブラウザ用のアプリケーションプログラムに対しては、送受信中の場合と表示中の場合とでは異なる監視時間が採用されている。すなわち、メール送信中のようにユーザが表示画面を見続けることが求められない状態に対しては比較的短い監視時間(例えば1分)が採用され、メール送信などを行っておらず受信メールの本文表示画面を表示しているような状態に対しては比較的長い監視時間(例えば3分)が採用される。なお、ブラウザ用のアプリケーションプログラムについても同様なことが言える。
【0032】また、DVD用のアプリケーションプログラム及びTVチューナ用のアプリケーションプログラムに対しては、メール用のアプリケーションプログラムやブラウザ用のアプリケーションプログラムに比べ、長めの監視時間が定められている。すなわち、DVDの再生中やTV放送の受信中においては、ユーザは長時間にわたって表示画面を見ていることが考えられるため、十分に長い監視時間(例えば2時間)が採用される。
【0033】図4は、LCD14に表示されるメール送信中の画面と編集内容が表示されている画面とを示す図である。また、図5は、上記2種類の画面にそれぞれ対応するアプリケーション情報12b上の内容を示す図である。
【0034】図4(a)に示されるようにLCD14にメール送信中を示す画面が表示されている状態においては、CPU11又は動作中のアプリケーションプログラムは、図5(a)に示される内容がアプリケーション情報12bに反映されている状態にあることを保証するように制御する。一方、図4(b)に示されるようにLCD14に編集内容が表示されている画面が表示されている状態においては、CPU11又は動作中のアプリケーションプログラムは、図5(b)に示される内容がアプリケーション情報12bに反映されている状態にあることを保証するように制御する。但し、図5(a)及び図5(b)において、CPU11がカウントを開始した場合にはアプリケーションプログラム情報12b中の経過時間の値は変化していくことになり、リセットを行なった場合にはその値が0に戻る。」

ホ.「【0036】次に、図6及び図7のフローチャートを参照して、本実施形態による画面制御の動作を説明する。なお、図6はアプリケーションプログラム12cによる動作を示し、図7は画面制御プログラム12aによる動作を示している。
【0037】図6に示されるように、アプリケーションプログラム12cは、メモリ12にロードされると、当該アプリケーションプログラム12cの識別情報と共にその動作状態を示す情報をアプリケーションプログラム情報12bに反映させる(ステップA1)。この際に、アプリケーションプログラム12cは、テーブル12dを参照することにより、そのアプリケーションプログラム/動作状態に対応する監視時間(規定値)を取得し、この取得した監視時間と当該アプリケーションプログラム/動作状態とを対応づけてアプリケーションプログラム情報12bに反映させる(ステップA2)。
【0038】一方、画面制御プログラム12aは、図7に示されるような定期的監視ルーチンにおいて、ユーザによる入力操作が途絶えた時点からカウントを開始し(ステップB1)、この後にユーザによる新たな入力操作があったか否かを判別する(ステップB2)。
【0039】ユーザによる新たな入力操作がなければ、画面制御プログラム12aは、アプリケーションプログラム情報12bを参照することにより、動作中のアプリケーションプログラム/動作状態を知得し(ステップB3)、経過時間(カウント値)を知得し(ステップB4)、対応する監視時間を知得する(ステップB5)。
【0040】そして、画面制御プログラム12aは、経過時間(カウント値)が監視時間を上回っているか否か(監視時間に達しているか否か)を判別し(ステップB6)、上回っていなければステップB2に戻り、上回っていればバックライト18の輝度を低下させるようにバックライト駆動回路17に指示を送り(ステップB7)、ステップB1に戻る。
【0041】一方、ステップB2において入力操作があった場合には、カウント値をリセットし(ステップB8)、バックライトの輝度の輝度が低下している場合にはその輝度を通常の状態に復旧し(ステップB9)、ステップB1に戻る。」

上記摘記事項ハ.段落【0010】には、「携帯電話等の無線通信機能を有する携帯型情報端末」が開示されている。
また、上記摘記事項ハ.段落【0012】、【0013】、【0019】、【0021】には、上記「携帯型情報端末」に関し、「TVチューナ25により受信された放送内容をLCD14に表示するTVチューナ用のアプリケーションプログラム、前記LCD14上で編集したメールを他の機器へ送信し、他の機器から受信したメールをLCD14上に表示するメール用のアプリケーションプログラム、及び前記LCD14を制御する画面制御プログラムを実行するCPU11」を備えることが開示されている。
また、上記摘記事項ニ.段落【0031】、【0032】、ホ.段落【0038】?【0040】には、上記「携帯型情報端末」に関し、「前記CPU11は、前記画面制御プログラムを実行することにより、前記LCD14に送信メールの編集内容が表示されている状態において、比較的長い監視時間、例えば3分間、入力操作が途絶えた状態が続いた場合には、LCD14の輝度を低下させ、また、TV放送の受信中において、十分に長い監視時間、例えば2時間、入力操作が途絶えた状態が続いた場合には、LCD14の輝度を低下させるように制御する」ことが開示されている。

したがって、引用例には、以下の発明(以下、「引用例発明」という。)が開示されている。
「携帯電話等の無線通信機能を有する携帯型情報端末において、
TVチューナ25により受信された放送内容をLCD14に表示するTVチューナ用のアプリケーションプログラム、前記LCD14上で編集したメールを他の機器へ送信し、他の機器から受信したメールをLCD14上に表示するメール用のアプリケーションプログラム、及び前記LCD14を制御する画面制御プログラムを実行するCPU11を備え、
前記CPU11は、前記画面制御プログラムを実行することにより、前記LCD14に送信メールの編集内容が表示されている状態において、比較的長い監視時間、入力操作が途絶えた状態が続いた場合には、LCD14の輝度を低下させ、また、TV放送の受信中において、十分に長い監視時間、入力操作が途絶えた状態が続いた場合には、LCD14の輝度を低下させるように制御する携帯型情報端末。」

(3)対比・判断
本願発明と引用例発明とを対比する。
引用例発明の「携帯電話等の無線通信機能を有する携帯型情報端末」は、「携帯型電話装置」に含まれるものである。
また、引用例発明は、「TVチューナ25により受信された放送内容をLCD14に表示するTVチューナ用のアプリケーションプログラム、前記LCD14上で編集したメールを他の機器へ送信し、他の機器から受信したメールをLCD14上に表示するメール用のアプリケーションプログラム・・・を実行するCPU11を備え」ているところ、前記CPU11によるTVチューナ用のアプリケーションプログラムを実行する状態は、「テレビ放送に基づく映像を表示する状態」、また、前記CPU11によるメール用のアプリケーションプログラムを実行する状態の内、メールをLCD14上で編集する状態は、「電子メールの作成が行える状態」といえるから、電子メールの作成が行える状態が「電話モード」である点は別として、「少なくとも、テレビ放送に基づく映像を表示する状態、及び電子メールの作成が行える状態を備えた」点で補正後の発明と一致する。
また、引用例発明は、「TVチューナ25により受信された放送内容をLCD14に表示」し、「前記LCD14上で編集したメールを他の機器へ送信し、他の機器から受信したメールをLCD14上に表示する」ものであるところ、前記LCD14は「表示部」といえるから、電子メールが「電話モードにおける電子メール」である点は別として「前記映像又は電子メールの作成に関する画像を表示する表示部」を備えている点で補正後の発明と一致する。
また、引用例発明は、「前記CPU11は、前記画面制御プログラムを実行することにより、前記LCD14に送信メールの編集内容が表示されている状態において、比較的長い監視時間、入力操作が途絶えた状態が続いた場合には、LCD14の輝度を低下させ」るものであるところ、「前記LCD14に送信メールの編集内容が表示されている状態」は、「前記表示部に電子メールの作成に関する画像が表示されている場合」であるといえ、また、「CPU11」は「制御手段」であるといえる。
したがって、引用例発明と補正後の発明は、「前記表示部に電子メールの作成に関する画像が表示されている場合には、前記表示部の輝度を制御する制御手段」を備えている点で共通している。
また、引用例発明は、「前記CPU11は・・・TV放送の受信中において、十分に長い監視時間、入力操作が途絶えた状態が続いた場合には、LCD14の輝度を低下させるように制御する」ものであるから、引用例発明と補正後の発明は、「前記制御手段は、前記表示部にテレビ放送に基づく映像が表示されている場合には、前記表示部の輝度を制御すること」を備えている点で共通している。

以上によれば、補正後の発明と引用例発明は、以下の点で一致し、また相違する。
(一致点)
「少なくとも、テレビ放送に基づく映像を表示する状態、及び電子メールの作成が行える状態を備えた携帯型電話装置において、
前記映像又は電子メールの作成に関する画像を表示する表示部と、前記表示部に電子メールの作成に関する画像が表示されている場合には、前記表示部の輝度を制御する制御手段と、を備えており、
前記制御手段は、前記表示部にテレビ放送に基づく映像が表示されている場合には、前記表示部の輝度を制御することを備えた携帯型電話装置。」

(相違点1)
「テレビ放送に基づく映像を表示する状態」が、補正後の発明は、「テレビ放送に基づく映像を表示するテレビ放送視聴モード」であるのに対して、引用例発明は、そのように特定されていない点。

(相違点2)
「電子メールの作成が行える状態」が、補正後の発明は、「電子メールの作成が行える電話モード」であるのに対して、引用例発明は、そのように特定されていない点。

(相違点3)
「前記表示部に電子メールの作成に関する画像が表示されている場合」の表示部の輝度の制御について、補正後の発明は、「前記表示部の輝度を所定時間経過で低下させる」ものであるのに対して、引用例発明は、「比較的長い監視時間、入力操作が途絶えた状態が続いた場合には、前記表示部の輝度を低下させる」ものである点。

(相違点4)
「前記表示部にテレビ放送に基づく映像が表示されている場合」の表示部の輝度の制御について、補正後の発明は、「ユーザによる設定に基づいて、前記表示部の輝度を一定の輝度に維持する第1制御と、前記表示部の輝度を時間経過により低い輝度に切り換える第2制御と、によって前記表示部の輝度を制御する」のに対して、引用例発明は、「十分に長い監視時間、入力操作が途絶えた状態が続いた場合には、前記表示部の輝度を低下させる」ものである点。

まず、相違点1について検討する。
「テレビ放送に基づく映像を表示する状態」は、ユーザがテレビ放送を視聴するための状態であるから、この状態を「テレビ放送に基づく映像を表示するテレビ放送視聴モード」と表現することは何ら格別のことではない。

次に、相違点2について検討する。
補正後の発明の「電話モード」は、本願明細書の【0023】に「電話モード(TV視聴時以外の、電話待ち受け時、メール作成時、各種設定時を含む)」と記載されていることを考慮すれば、TV視聴時以外の状態を表すものであるといえる。
引用例発明の「電子メールの作成が行える」状態は、TV視聴時以外の状態であり、この状態を「電話モード」と表現することは何ら格別のことではない。

次に、相違点3について検討する。
引用例発明は、「前記表示部に電子メールの作成に関する画像が表示されている場合」には、「比較的長い監視時間、入力操作が途絶えた状態が続いた場合には、前記表示部の輝度を低下させる」ものである。すなわち、電子メールの作成に関する画像を表示してから、所定の時間、入力操作が無いときには表示部の輝度を低下させ、入力操作があったときには表示部の輝度を維持するものである。
入力操作が無いときに表示部の輝度を低下させるのは、省電力のためであり、入力操作があったときに表示部の輝度を維持するのは、入力操作があったことは、ユーザによる電子メールの作成が行われていることを意味しており、そのときに表示部の輝度が低下することは、ユーザの利便性を損なうからである。
したがって、ユーザの利便性よりも省電力を優先するようにして、表示部の輝度を所定時間経過で低下させるように制御することは、当業者が適宜なし得ることである。

次に、相違点4について検討する。
引用例発明は、「前記表示部にテレビ放送に基づく映像が表示されている場合」には、「十分に長い監視時間、入力操作が途絶えた状態が続いた場合には、前記表示部の輝度を低下させる」ものであり、相違点3で検討したように、表示部の輝度を所定時間経過で低下させるように制御することは、当業者が適宜なし得ることである。
そして、電子機器において、省電力機能を付加するときに、省電力機能を有効にするか無効にするかをユーザによる設定に基づいて決定することは、例えば、特開平6-120864号公報、特開平11-126118号公報に示されているように周知技術である。
当該周知技術を引用例発明に適用したときに、省電力機能を無効にするように設定すれば、表示部の輝度を一定の輝度に維持するように制御することになり、また、省電力機能を有効に設定したときは、表示部の輝度を所定時間経過で低下させるように制御することになるわけであるから、相違点4は格別なものではない。

そして、補正後の発明の効果は、引用例発明及び周知技術から当業者が容易に予測し得るものであって、格別のものではない。

(4)まとめ
以上のとおり、補正後の発明は、引用例発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.むすび
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項の規定において準用する特許法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
平成24年7月17日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項2に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成23年7月11日付け手続補正によって補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項2に記載されたとおりのもの(第2.1.(1)補正前、参照)と認められる。

2.引用例発明
引用例発明は、上記第2.3.(2)で認定したとおりである。

3.対比・判断
そこで、本願発明と補正後の発明とを対比すると、本願発明は上記補正後の発明から当該補正に係る限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成に当該補正に係る限定を付加した補正後の発明が、上記第2.3.(3)で検討したとおり、引用例発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、本願発明も同様の理由により、当業者が容易に発明できたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-04-17 
結審通知日 2013-04-23 
審決日 2013-05-08 
出願番号 特願2010-9928(P2010-9928)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04M)
P 1 8・ 575- Z (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松原 徳久梶尾 誠哉  
特許庁審判長 竹井 文雄
特許庁審判官 矢島 伸一
山本 章裕
発明の名称 携帯型電話装置  
代理人 神保 泰三  
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