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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 補正却下を取り消す 原査定を取り消し、特許すべきものとする G01S 審判 査定不服 5項独立特許用件 補正却下を取り消す 原査定を取り消し、特許すべきものとする G01S |
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管理番号 | 1275950 |
審判番号 | 不服2012-4807 |
総通号数 | 164 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-08-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-03-13 |
確定日 | 2013-07-09 |
事件の表示 | 特願2006- 31078「電波発射源可視化装置及びその方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 8月23日出願公開、特開2007-212229、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成18年2月8日の出願であって、平成22年9月13日付けで、特許請求の範囲についての補正がなされ、平成23年7月15日付けで、特許請求の範囲についての補正がなされ(以下、「補正1」という。)、平成23年12月6日付けで、補正1について補正却下の決定(以下、単に「補正却下の決定」という。)がなされ、同年同月同日付け(送達:同年同月13日)で拒絶査定がなされ、これに対し、平成24年3月13日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。 2.補正却下の決定について [結論] 補正却下の決定を取り消す。 [理由] (1)補正の内容 補正1は、特許請求の範囲を次のように補正するものである。 (補正1前) 「 【請求項1】 互いに同一周波数帯の到来電波を受信するリファレンスアンテナ及び複数のアンテナ素子を平面上に配列してなるアレーアンテナを備えるアンテナ装置と、 前記アンテナ装置から前記アレーアンテナの各素子の受信出力を順次切り替えて、前記リファレンスアンテナの受信出力と同時に導出するアンテナ切替手段と、 前記アレーアンテナの個々の素子出力と前記リファレンスアンテナとの同時出力から電波の到来方向を推定し、二次元画像化した到来方向推定結果を出力する到来方向推定処理手段と、 前記到来方向推定処理手段で得られた到来方向を撮像する撮像カメラと、 前記撮像カメラの撮像画像の、前記アレーアンテナの位相中心に対する視差を補正して、前記到来方向推定結果と画像合成する画像合成手段と、 前記画像合成手段で生成された合成画像を表示する表示手段と を具備することを特徴とする電波発射源可視化装置。 【請求項2】 前記到来方向推定処理手段は、電波ホログラフィ法を処理アルゴリズムとして採用することを特徴する請求項1記載の電波発射源可視化装置。 【請求項3】 前記リファレンスアンテナは、前記アレーアンテナの一部のアンテナ素子であることを特徴とする請求項1記載の電波発射源可視化装置。 【請求項4】 互いに同一周波数帯の到来電波を受信するリファレンスアンテナ及び複数のアンテナ素子を平面上に配列してなるアレーアンテナを備えるアンテナ装置から前記アレーアンテナの各素子の受信出力を順次切り替えて、前記リファレンスアンテナの受信出力と同時に導出する過程と、 前記アレーアンテナの個々の素子出力と前記リファレンスアンテナとの同時出力から電波の到来方向を推定し、二次元画像化した到来方向推定結果を出力する過程と、 前記到来方向推定処理で得られた到来方向を撮像する過程と、 前記撮像された画像の、前記アレーアンテナの位相中心に対する視差を補正して、前記到来方向推定結果と画像合成する過程と、 前記画像合成で生成された合成画像を表示する過程と を具備することを特徴とする電波発射源可視化方法。」 (補正1後) 「 【請求項1】 互いに同一周波数帯の到来電波を受信するリファレンスアンテナ及び複数のアンテナ素子を平面上に配列してなるアレーアンテナを備えるアンテナ装置と、 前記アンテナ装置から前記アレーアンテナの各素子の受信出力を順次切り替えて、前記リファレンスアンテナの受信出力と同時に導出するアンテナ切替手段と、 前記アレーアンテナの個々の素子出力と前記リファレンスアンテナとの同時出力から電波の到来方向を推定し、二次元画像化した到来方向推定結果を出力する到来方向推定処理手段と、 前記到来方向推定処理手段で得られた到来方向を撮像する撮像カメラと、 前記撮像カメラの撮像画像の、前記アレーアンテナの位相中心に対する視差を補正すると共に、前記撮像画像のピクセルごとに対応する方位角及び仰角を測定しておき、この測定結果に前記方位方向推定結果の方位角及び仰角を合わせて、前記到来方向推定結果及び撮像画像を画像合成する画像合成手段と、 前記画像合成手段で生成された合成画像を表示する表示手段と を具備することを特徴とする電波発射源可視化装置。 【請求項2】 前記到来方向推定処理手段は、電波ホログラフィ法を処理アルゴリズムとして採用することを特徴する請求項1記載の電波発射源可視化装置。 【請求項3】 前記リファレンスアンテナは、前記アレーアンテナの一部のアンテナ素子であることを特徴とする請求項1記載の電波発射源可視化装置。 【請求項4】 互いに同一周波数帯の到来電波を受信するリファレンスアンテナ及び複数のアンテナ素子を平面上に配列してなるアレーアンテナを備えるアンテナ装置から前記アレーアンテナの各素子の受信出力を順次切り替えて、前記リファレンスアンテナの受信出力と同時に導出する過程と、 前記アレーアンテナの個々の素子出力と前記リファレンスアンテナとの同時出力から電波の到来方向を推定し、二次元画像化した到来方向推定結果を出力する過程と、 前記到来方向推定処理で得られた到来方向を撮像する過程と、 前記撮像された画像の、前記アレーアンテナの位相中心に対する視差を補正すると共に、前記撮像画像のピクセルごとに対応する方位角及び仰角を測定しておき、この測定結果に前記方位方向推定結果の方位角及び仰角を合わせて、前記到来方向推定結果及び撮像画像を画像合成する過程と、 前記画像合成で生成された合成画像を表示する過程と を具備することを特徴とする電波発射源可視化方法。」 なお、請求項1および4に記載の「前記方位方向推定結果」は、「前記到来方向推定結果」の明らかな誤記であると認める。 補正1は、請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「画像合成手段」に関して、「前記撮像画像のピクセルごとに対応する方位角及び仰角を測定しておき、この測定結果に前記方位方向推定結果の方位角及び仰角を合わせて、前記到来方向推定結果及び撮像画像を画像合成する」(以下、技術事項1という。)とさらに限定するものであり、また、請求項4に記載された発明を特定するために必要な事項である「画像合成する過程」に関して、「前記撮像画像のピクセルごとに対応する方位角及び仰角を測定しておき、この測定結果に前記方位方向推定結果の方位角及び仰角を合わせて、前記到来方向推定結果及び撮像画像を画像合成する」(以下、技術事項2という。)とさらに限定するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、補正却下の決定の理由となった、補正1後の請求項1?4に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下に検討する。 (2)判断 補正1後の請求項1の技術事項1や補正1後の請求項4の技術事項2について、補正却下の決定の主たる理由は、「撮像画像のピクセルごとに対応する方位角及び仰角を予め把握しておくことも、画像を合成するにあたって座標系を合わせるために当業者が適宜採り得る手法の一つに過ぎない(撮影画像においては方位角および仰角に関する情報はピクセルの位置にしか現れず、到来方向推定結果の画像と撮影画像を重ね合わせるには方位角および仰角で対応付けるしかないから、撮影画像を形成する各ピクセルの位置と方位角および仰角とを対応付けるべく、各ピクセルの方位角および仰角を予め測定しておくことは、当業者が通常考えることである。)。撮像画像のピクセルごとに対応する方位角及び仰角を予め測定しておくこと自体も格別なことではない(必要であれば例えば引用文献5の段落0167等を参照)。」というものである。 しかしながら、その根拠となった引用文献5(特開平11-232484号公報)の段落【0167】等には、画素ごとに予め角度を測定しておくことは記載されているものの、画像合成に関する技術事項1、技術事項2についての記載や示唆はなく、また、同じく引用文献1(特開平10-239364号公報)、引用文献2(特開2005-24439号公報)、引用文献3(特開2004-212129号公報)、引用文献4(特開平9-134113号公報)にも技術事項1、技術事項2についての記載や示唆はない。 そうすると、「撮像画像のピクセルごとに対応する方位角及び仰角を予め把握しておくことも、画像を合成するにあたって座標系を合わせるために当業者が適宜採り得る手法の一つに過ぎない」ということはできないから、補正1後の請求項1?4に記載された発明は、引用文献1?5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである、ということはできない。 また、補正1後の請求項1?4に記載された発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである、とする他の理由も発見しない。 よって、上記のとおり、補正却下の決定を取り消す。 3.本願発明について 以上のように、補正却下の決定は取り消されたので、本願の請求項1ないし4に係る発明は、補正1によって補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものと認められる。 そして、請求項1ないし4に係る発明については、上記「2.補正却下の決定について」で述べたとおり、独立して特許を受けることができるものであるから、本願について、原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-06-05 |
結審通知日 | 2013-06-11 |
審決日 | 2013-06-24 |
出願番号 | 特願2006-31078(P2006-31078) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WYA
(G01S)
P 1 8・ 575- WYA (G01S) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 中村 説志 |
特許庁審判長 |
飯野 茂 |
特許庁審判官 |
小林 紀史 関根 洋之 |
発明の名称 | 電波発射源可視化装置及びその方法 |
代理人 | 峰 隆司 |
代理人 | 河野 哲 |
代理人 | 村松 貞男 |
代理人 | 蔵田 昌俊 |
代理人 | 村松 貞男 |
代理人 | 蔵田 昌俊 |
代理人 | 中村 誠 |
代理人 | 峰 隆司 |
代理人 | 河野 哲 |
代理人 | 福原 淑弘 |
代理人 | 福原 淑弘 |
代理人 | 中村 誠 |