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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B65D
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D
管理番号 1276035
審判番号 不服2012-16547  
総通号数 164 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-08-24 
確定日 2013-06-27 
事件の表示 特願2000-241908「自立性袋」拒絶査定不服審判事件〔平成13年12月11日出願公開、特開2001-341755〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年8月9日(優先権主張平成12年2月18日、平成12年3月31日)の出願であって、平成21年12月3日付けで拒絶理由が通知され、平成22年2月8日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成23年9月5日付けで拒絶理由が通知され、平成23年11月8日に意見書及び手続補正書が提出され、平成24年5月23日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成24年8月24日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同時に同日付けで手続補正がなされ、当審における平成25年1月18日付けの審尋に対し、平成25年3月25日付けで回答書が提出されたものである。

2.平成24年8月24日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成24年8月24日付けの手続補正を却下する。
[理由]
2-1.本件補正
平成24年8月24日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、補正前の明細書の【特許請求の範囲】の【請求項1】に記載された「先端部と両側部がヒートシールされてなる先細り形状の注出口部」、「通液路の上下前記両側部のシールライン」及び「注出口部の両側のヒートシール部」を、それぞれ、「先端部と両側部が注出口ヒートシール部でヒートシールされてなる先細り形状の注出口部」、「通液路の上下前記両側部のヒートシール部の内側に沿ったシールライン」及び「注出口部の両側の注出口ヒートシール部」とする補正を含んでいる。
上記請求項1に係る補正は、補正前の請求項1に記載された注出口部のヒートシール部に係る事項をさらに限定して特定するものである。そして、補正前の請求項1に係る発明と補正後の請求項1に係る発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であると認められる。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号に規定される特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものである。
そこで、本件補正による補正後の請求項1に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について検討する。

2-2.本願補正発明
本件補正による補正後の本願の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)は、補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された以下の事項により特定されるとおりのものと認める。
「前後両側の壁面フィルムと底面フィルムとで形成され、周囲の端縁部が袋状にヒートシールされてなる袋において、該袋の底部が、前後の壁面フィルムの下部の間に、底面フィルムを内側に折り込んで挿入してなるガセット部を有する形式で形成され、内側に折り込まれた底面フィルムの両側下端近傍に切り欠き部が設けられると共に、該ガセット部が、内側が両側から中央部にかけて凹状となるシールパターンでヒートシールされて形成され、胴部が、前後の壁面フィルムの両側部の端縁部をヒートシールして形成され、該袋の上部のコーナー部に、先端部と両側部が注出口ヒートシール部でヒートシールされてなる先細り形状の注出口部が設けられ、且つ、該注出口部の通液路の上下前記両側部のヒートシール部の内側に沿ったシールラインが直線状に形成されると共に、該上側のシールラインが横方向の直線状に形成され、前記通液路の前記両側部の前記シールラインのなす角度が35°?85°の角度で収束に向かう先細り形状であり、更に、該注出口部の両側の注出口ヒートシール部に切り欠き部が設けられていることを特徴とする自立性袋。」

2-3.引用文献
原査定の拒絶の理由に引用した特開平7-300146号公報(以下、「引用文献1」という)には、「詰め替え用パウチ」の発明に関して以下の事項が図面とともに記載されている。
(ア)「【請求項1】 容器の開口部から容器内に補充されるべき内容物が充填された詰め替え用パウチであって、
袋状に密封するため周囲に形成されるシール部と、
注ぎ口を形成するため切断されるコーナー部近傍の前記シール部に形成され、前記注ぎ口から前記容器内に内容物を注ぐ際、前記容器の開口部の壁部上方に嵌まり得る寸法形状の溝状部分を有した切欠部とを備える詰め替え用パウチ。
…(中略)…
【請求項6】 パウチ自身が立置する手段をさらに備える請求項1?5のいずれか1項に記載の詰め替え用パウチ。」(【特許請求の範囲】)
(イ)「【産業上の利用分野】本発明は、液体、粉体等を包装する容器に、液体、粉体等の内容物を詰め替えるのに用いることができる詰め替え用パウチに関するものである。」(【0001】)
(ウ)「図1は、本発明に従う一実施例の詰め替え用パウチを示す正面図である。図1を参照して、詰め替え用パウチ1は、2枚のラミネートフィルムをシール部2(ハッチングを付して図示している)でヒートシールすることにより形成されている。」(【0011】)
(エ)「図1において、一点鎖線6より下の部分は、外側の一対のラミネートフィルムの間に、一点鎖線6の部分で折り返した別体のラミネートフィルムを挿入して貼り合わせることにより形成されている。挿入するラミネートフィルムの左右両端部には、半円状の切欠部が形成され、これによって外側の一対のラミネートフィルムのL-LDPEフィルム同士が融着し、融着部2aを形成している。従って、この部分が詰め替え用パウチの底部を構成している。」(【0014】)
(オ)「詰め替え用パウチ1の側部上方のシール部2には、切欠部3が形成されている。この切欠部3には溝状部分3aが形成されている。」(【0015】)
(カ)「切欠部3からは、斜め上方に向かってミシン目線5が印刷されている。このミシン目線5と切欠部3の溝状部分3aが接する部分には、線状のノッチ7が形成されている。…(中略)…このノッチ7を始点として切断を開始し、ミシン目線5に沿って切断していき、詰め替え用パウチ1の上方のコーナー部分を切取り、注ぎ口を形成する。」(【0016】)
(キ)「図5は、このようにして注ぎ口を形成した詰め替え用パウチ1から、その内容物を容器10内に補充している状態を示す側面図である。図5を参照して、切欠部3の溝状部分3aを、容器10の開口部11の壁部に嵌めた状態で、注ぎ口9を開口部11に対して位置合わせし、詰め替え用パウチ1内の内容物を容器10内に注いでいる。」(【0020】)
(ク)「また、内容物を移し替える際の詰め替え用パウチの傾きの角度は、図1を参照して、溝状部分3aの形成角度θにより、ある程度設定することができる。θは詰め替え用パウチ1のシール部2の側辺と溝状部分3aのなす角度として定義される。図5に示すように、溝状部分3が容器の開口部の壁部に沿うように嵌め合わされるため、詰め替え用パウチ1はその上方端辺が水平方向に対してなす角度がほぼθとなるように傾けられる。従って、溝状部分3aの形成角度θにより、詰め替え用パウチ1の移し替えの際の角度を決めることができる。通常、この角度θは20?70度、より好ましくは30?60度の範囲内で設定される。本実施例では約50度に設定されている。角度θをこのような範囲内に設定することにより、パウチから容器へ内容物が注ぎ易くなり、また内容物のより完全な排出が可能となる。」(【0022】)
(ケ)上記(ウ)ないし(カ)及び【図1】により、詰め替え用パウチ1において、周囲の端縁部が袋状にヒートシールされていること、底部が、2枚のラミネートフィルムの下部の間に、折り返した別体のラミネートフィルムが折り返し線を上側にして挿入されることにより形成されていること、折り返した前記別体のラミネートフィルムが挿入された部分が、内側が両側から中央部にかけて凹状となるシールパターンでヒートシールされていること、折り返した前記別体のラミネートフィルムの両側下端近傍に融着部2aである切欠部が設けられていること、側部上方のコーナー部に、先端部と上下両側がヒートシールされてなる先細り形状の注ぎ口部が設けられていること、、前記注ぎ口部の上下両側のヒートシール部の内縁が直線状に形成され、上側の前記ヒートシール部の内縁は横方向の直線状に形成され、上下両側の前記ヒートシール部の内縁のなす角度が、収束に向かう先細り形状であること、及び注ぎ口部の下側の前記ヒートシール部に切欠部が形成されていることが示されている。

以上の記載から、引用文献1には、下記の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「2枚のラミネートフィルムと、別体のラミネートフィルムとで形成され、周囲の端縁部が袋状にヒートシールされてなる詰め替え用パウチにおいて、該詰め替え用パウチの底部が、前記2枚のラミネートフィルムの下部の間に折り返した前記別体のラミネートフィルムを折り返し線を上側にして挿入して形成され、折り返した前記別体のラミネートフィルムの両側下端近傍に切欠部が設けられると共に、前記別体のラミネートフィルムが挿入された部分が、内側が両側から中央部にかけて凹状となるシールパターンでヒートシールされており、側部上方のコーナー部に先端部と両側部がヒートシールされてなる先細り形状の注ぎ口部が設けられ、前記注ぎ口部の上下両側のヒートシール部の内縁が直線状に形成され、上側の前記ヒートシール部の内縁は横方向の直線状に形成され、上下両側の前記ヒートシール部の内縁のなす角度が収束に向かう先細り形状であり、下側の前記ヒートシール部に切欠部が形成されている詰め替え用パウチ。」

2-4.対比
本願補正発明と上記引用発明を対比する。
引用発明の詰め替え用パウチにおいて、2枚のラミネートフィルムは、パウチの前後両側の壁面を形成し、別体のラミネートフィルムはパウチの底面を形成することは明らかである。したがって、引用発明における「2枚のラミネートフィルム」及び「別体のラミネートフィルム」は、それぞれ本願補正発明における「前後両側の壁面フィルム」及び「底面フィルム」に相当する。
引用発明において、底部が、2枚のラミネートフィルムの下部の間に、折り返した別体のラミネートフィルムが折り返し線を上側にして挿入して形成されることから、前記底部は、ガセット部を有する形式で形成されることは明らかである。したがって、引用発明における「折り返した前記別体のラミネートフィルム」は、本願補正発明における「内側に折り込まれた底面フィルム」に相当し、引用発明における「底部が、前記2枚のラミネートフィルムの下部の間に、折り返した前記別体のラミネートフィルムを折り返し線を上側にして挿入して形成され」という事項は、本願補正発明における「底部が、前後の壁面フィルムの下部の間に、底面フィルムを内側に折り込んで挿入してなるガセット部を有する形式で形成され」という事項に相当する。
引用発明の詰め替え用パウチは、周囲の端縁部が袋状にヒートシールされているので、当然、胴部は、2枚のラミネートフィルムの「両側部の端縁部をヒートシールして形成され」ているということができる。
引用発明において、注ぎ口部は「先端部と両側部がヒートシールされてなる」ものであり、この注ぎ口部をなすためにヒートシールされた部分は、本願補正発明における「注出口ヒートシール部」に相当する。したがって、引用発明における「側部上方のコーナー部に先端部と両側部がヒートシールされてなる先細り形状の注ぎ口部が設けられ」という事項は、本願補正発明における「袋の上部のコーナー部に、先端部と両側部が注出口ヒートシール部でヒートシールされてなる先細り形状の注出口部が設けられ」という事項に相当する。
引用発明における注ぎ口部の上下両側のヒートシール部の「内縁」は、内容物を注出する際の「通液路」を画成していることは明らかであり、本願補正発明における「該注出口部の通液路の上下前記両側部のヒートシール部の内側に沿ったシールライン」に相当する。
引用発明において、「上下両側の前記ヒートシール部の内縁のなす角度が収束に向かう先細り形状であり」という事項は、通液路の両側部のシールラインのなす角度が収束に向かう先細り形状である限りにおいて、本願補正発明における「前記通液路の前記両側部の前記シールラインのなす角度が35°?85°の角度で収束に向かう先細り形状であり」という事項に相当する。
引用発明における「下側の前記ヒートシール部」に形成されている「切欠部」は、本願補正発明における、注出口ヒートシール部に設けられる「切り欠き部」のうち、下側のヒートシール部に設けられる「切り欠き部」に相当する。
引用発明の詰め替え用パウチは、ガセット部が形成されていることから自立性であることは明らかであり、自立性の袋である点で、本願補正発明における「自立性袋」と共通する。

してみれば、両発明の一致点及び相違点は下記のとおりである。
[一致点]
「前後両側の壁面フィルムと底面フィルムとで形成され、周囲の端縁部が袋状にヒートシールされてなる袋において、該袋の底部が、前後の壁面フィルムの下部の間に、底面フィルムを内側に折り込んで挿入してなるガセット部を有する形式で形成され、内側に折り込まれた底面フィルムの両側下端近傍に切り欠き部が設けられると共に、該ガセット部が、内側が両側から中央部にかけて凹状となるシールパターンでヒートシールされて形成され、胴部が、前後の壁面フィルムの両側部の端縁部をヒートシールして形成され、該袋の上部のコーナー部に、先端部と両側部が注出口ヒートシール部でヒートシールされてなる先細り形状の注出口部が設けられ、且つ、該注出口部の通液路の上下前記両側部のヒートシール部の内側に沿ったシールラインが直線状に形成されると共に、該上側のシールラインが横方向の直線状に形成され、前記通液路の前記両側部の前記シールラインのなす角度が収束に向かう先細り形状であり、更に、該注出口部近傍のヒートシール部に切り欠き部が設けられていることを特徴とする自立性袋。」
[相違点1]
通液路の両側部のシールラインのなす角度について、本願補正発明においては、「35°?85°の角度」との限定がされているのに対し、引用発明においては、そのような限定はされていない点。
[相違点2]
注出口部近傍のヒートシール部に設けられている切り欠き部について、本願補正発明においては、前記切り欠き部は注出口部の両側の注出口ヒートシール部に設けられるのに対し、引用発明においては、注ぎ口部の下側のヒートシール部には切り欠き部が形成されているが、上側のヒートシール部には切り欠き部が形成されていない点。

2-5.判断
上記相違点について検討する。
[相違点1]について
引用発明の詰め替え用パウチは、液体、粉体等を包装する容器に、液体、粉体等の内容物を詰め替えるのに用いる詰め替え用パウチである(上記2-3.(イ)参照)。このような用途に用いられる詰め替え用パウチにおいて、詰め替える容器の開口部の形状や大きさを考慮しつつ、内容物の注出の速度や方向等を好適化して、前記容器への移し替えが円滑に行えるようにすることは当業者にとって自明の課題である。そして、注ぎ口部の上下両側のヒートシール部の内縁のなす角度や間隔及び注ぎ口の大きさ等が、内容物の注出の速度や注出の方向等に影響することは当業者にとって明らかである。したがって、前記角度について好適範囲を設定することは当業者が普通に行い得ることである。
引用文献1には、通液路の両側部のシールラインのなす角度、すなわち、注ぎ口部の上下両側のヒートシール部の内縁のなす角度について具体的な数値は明記されていないが、引用文献1の図1によれば、上下両側のヒートシール部の内縁のなす角度は、本願補正発明において限定された「35°?85°」の範囲内の数値またはそれに近い角度であると認められる。また、対面するフィルムの周辺部をヒートシールして袋状とする際に、特段の事情がない限り、必要なヒートシール部の幅が確保されるように、ヒートシール部は、その内縁がフィルムの外形に倣うように設定されるのが普通であるところ(例えば、引用文献1の図1、特開2000-43902号公報の図1ないし図7、及び特開平11-321883号公報の図1及び図2参照)、引用発明の詰め替え用パウチにおいて、袋の側辺と注ぎ口部の下側のヒートシール部に形成された切欠部の溝状部分とのなす角度をθとしたとき、前記切欠部におけるヒートシール部の外縁及び内縁は、いずれも、袋の側辺となす角度が前記θと等しいか又はθに近い角度となるように傾斜して形成されることが普通であるといる。そして、引用文献1において、前記切欠部に対応するヒートシール部の内縁の角度を前記θと等しいか又はθに近い角度とすることについて、これを阻害する特段の事情は認められない。
さらに、引用文献1には、上記θについて、「通常、この角度θは20?70度、より好ましくは30?60度の範囲内で設定される。本実施例では約50度に設定されている。角度θをこのような範囲内に設定することにより、パウチから容器へ内容物が注ぎ易くなり、また内容物のより完全な排出が可能となる。」(上記2-3.(ク)参照)と記載されているところ、上記θが例えば引用文献1に記載された20?70度、30?60度又は約50度である場合、引用発明における注ぎ口部の上下両側のヒートシール部の内縁のなす角度(=90°-θ)は、それぞれ70?20°、60?30°又は約40°程度とすることが普通であるといえるから、本願補正発明における通液路の両側部のシールラインのなす角度の「35°?85°」という数値範囲は格別のものとはいえない。
本願補正発明において、通液路の両側部のシールラインのなす角度を「35°?85°」と規定したことの意義について、本願明細書の段落番号【0011】に記載されている事項、及び請求人が平成25年3月25日付け回答書(「2)b)本願請求項1に係る発明と引用文献3の発明との対比」)において主張している事項は、注出容器の注出口の通液路の角度についての一般的傾向として当業者が容易に推測しうる技術常識的な事項であり、格別なものとはいえない。
以上のことから、引用発明において、注ぎ口部の上下両側のヒートシール部の内縁のなす角度、すなわち通液路の両側部のシールラインのなす角度を35°?85°として、上記相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得ることである。

[相違点2]について
周縁部をヒートシールされ、上部のコーナー部に注出口部を設けた自立性袋において、注出口部の両側のヒートシール部に切り欠き部を形成することは、例えば前記特開2000-43902号公報(図1ないし図7)や前記特開平11-321883号公報(図1、図2)に示されるように本願出願前に周知の技術である。引用発明において、上記周知の技術を適用して、注ぎ口の上部側のヒートシール部にも切り欠き部を形成することは、当業者が適宜なし得ることである。

そして、本願補正発明により、当業者が予期し得ない格別顕著な効果が奏されるとは認められない。

2-6.むすび
上記のとおりであるので、本願補正発明は、引用発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際に独立して特許を受けることのできないものである。
したがって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
3-1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし4に係る発明は、平成23年11月8日付けで補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1の記載は以下のとおりである(以下、これによって特定される発明を「本願発明」という。)。
「前後両側の壁面フィルムと底面フィルムとで形成され、周囲の端縁部が袋状にヒートシールされてなる袋において、該袋の底部が、前後の壁面フィルムの下部の間に、底面フィルムを内側に折り込んで挿入してなるガセット部を有する形式で形成され、内側に折り込まれた底面フィルムの両側下端近傍に切り欠き部が設けられると共に、該ガセット部が、内側が両側から中央部にかけて凹状となるシールパターンでヒートシールされて形成され、胴部が、前後の壁面フィルムの両側部の端縁部をヒートシールして形成され、該袋の上部のコーナー部に、先端部と両側部がヒートシールされてなる先細り形状の注出口部が設けられ、且つ、該注出口部の通液路の上下前記両側部のシールラインが直線状に形成されると共に、該上側のシールラインが横方向の直線状に形成され、前記通液路の前記両側部の前記シールラインのなす角度が35°?85°の角度で収束に向かう先細り形状であり、更に、該注出口部の両側のヒートシール部に切り欠き部が設けられていることを特徴とする自立性袋。」

3-2.引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-300146号公報(引用文献1)の記載事項は、前記「2-3.引用文献」に記載したとおりである。

3-3.対比・判断
本願発明は、前記「2-2.本願補正発明」に記載した本願補正発明を特定する事項のうち、平成24年8月24日付け補正によって追加された注出口部のヒートシール部に関する特定事項を欠くもので、他の構成については本願補正発明と差異がない。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、注出口部のヒートシール部に関する特定事項をさらに限定したものに相当する本願補正発明が、前記「2-4.対比」及び「2-5.判断」に記載したように引用発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

3-4.むすび
以上のとおり、本願請求項1に係る発明は、引用発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-04-24 
結審通知日 2013-04-30 
審決日 2013-05-13 
出願番号 特願2000-241908(P2000-241908)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (B65D)
P 1 8・ 121- Z (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐々木 正章戸田 耕太郎  
特許庁審判長 河原 英雄
特許庁審判官 栗林 敏彦
渡邊 真
発明の名称 自立性袋  
代理人 金山 聡  

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