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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01J
管理番号 1276060
審判番号 不服2011-5713  
総通号数 164 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-03-15 
確定日 2013-06-26 
事件の表示 特願2006-326646「ランプ、バックライトユニット及びそれを用いる液晶表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成19年7月19日出願公開、特開2007-184253〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
この審判事件に関する出願(以下、「本願」という。)は、2005年(平成17年)12月30日に大韓民国でされた特許出願に基づくパリ条約の優先権を主張して、平成18年12月4日にされた特許出願である。そして、平成22年11月10日付けで拒絶査定がされ、同年11月15日に査定の謄本が送達され、平成23年3月15日に拒絶査定不服審判が請求された。
その後、平成24年7月5日付けで当審により拒絶の理由が通知され、これに対して、平成25年1月9日付け手続補正書により特許請求の範囲についての補正がされるとともに、同日付け意見書が提出された。

2.本願に係る発明
本願の請求項1から6までのそれぞれに係る発明は、特許請求の範囲の請求項1から6までのそれぞれに記載された事項によって特定されるとおりのものである。特に、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
放電ガスが密封された、発光部および電極部を有する透明管と;
光を発生する前記発光部内に形成された蛍光体と;
前記透明管の両側に設けられる電極とを備え、
前記発光部と前記電極が設けられた前記電極部とは互いに異形であり、前記発光部の任意の断面形状は互いに略一致し、
前記電極は前記透明管の外部表面に形成され、
前記発光部において、前記透明管の短軸の長さは前記電極部の透明管の直径より短くて、前記透明管の長軸の長さは前記電極部の透明管の直径より長く、前記透明管の長軸の長さは前記透明管の短軸の長さの最少1倍から最大1.6倍以下であり、
非発光部と対応する前記電極部が全体にわたって電極によって取り囲まれていることを特徴とするランプ。」

3.当審が通知した拒絶の理由
当審が通知した拒絶の理由は、概略以下のとおりである。

「本願の請求項1から6までのそれぞれに係る発明は、いずれも、その優先日前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

刊行物1:発明協会公開技報公技番号2005-504232号
(発行日:2005年(平成17年)7月20日)
刊行物2:特開2005-268098号公報
(公開日:平成17年9月29日)
刊行物3:特開2005-243351号公報
(公開日:平成17年9月8日)」

4.刊行物に記載された事項
(1)刊行物1
刊行物1には、以下の記載がある。

ア.「目的」の項
「誘電バリア放電ランプ及びその照明・表示装置において、外部電極部の形状は真円であり、且つ、有効発光部は扁平に形成することにより、給電部と外部電極の接触面積を確保して接触不良を防止し、また、B/Lの板面輝度を上昇させる。」

イ.「構成」の項
「図1は従来技術によるランプ形状と構造概略図を、図2は本技術によるランプ形状と構造概略図を示す。従来、誘電体バリア放電ランプは、図1に示すように、電極部、有効発光部共に真円形状であるか、もしくは扁平形状である。しかし、有効発光部を真円形状から扁平形状にすると、B/Lの板面輝度は、上昇することは知られているが、電極部も扁平形状になれば、給電部と外部電極の接触方法が複雑となり、結果として設置が困難になる。また、寸法精度も高くなければ、接触不良を起こす危険性があるため、使用できない。また、ランプ両端の電極部のガラスを熱加工によって、扁平状態に加工すると電極部のガラスの内表面や肉厚が一定とならず、実使用時に電極にピンホールが形成され、早期に不点灯になる可能性が極めて高い。本技術では、図2に示すように、ガラス管に蛍光体スラリーをコーティングしてベーキングし、発光部のみ扁平加工する。外部電極部は真円形状とする。これにより、給電部と外部電極の接触面積は確保され、接触不良を防止できる。また、発光部を扁平形状にするので、B/Lの板面輝度は上昇する。」

また、刊行物1の図2には、ガラス管の両端の外部電極部が真円形状であり、中央の発光部が扁平形状である誘電体バリア放電ランプが示されている。そして、発光部の短軸の長さは、電極部の直径より短いことが見て取れる。
ガラス管には、蛍光体スラリーをコーティングしてベーキングし、発光部のみ扁平加工している(上記イ.)から、誘電体バリア放電ランプの発光部の内面には蛍光体層が形成されている。
また、誘電体バリア放電ランプである以上、ガラス管の内部に放電ガスが密封されていることは当然である。

以上のことから、刊行物1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。

「放電ガスが密封された、発光部および電極部を有するガラス管と;
前記発光部の内面に形成された蛍光体層と;
前記ガラス管の両端に設けられる電極とを備え、
前記発光部は扁平形状であり、前記電極部は真円形状であり、
前記電極は外部電極であり、
前記発光部はガラス管に蛍光体スラリーをコーティングしてベーキングして扁平加工されたものであり、その横断面形状の短軸の長さは前記電極部における前記ガラス管の直径より短い誘電体バリア放電ランプ。」

(2)刊行物2
刊行物2の段落0025から0027までには、以下の記載がある。

「【0025】
…(略)…
(ガラスバルブの成形方法)
図2は、ランプ100のガラスバルブ10の成形方法を模式的に示すものである。
【0026】
まず、(a)直管状のホウケイ酸ガラス(軟化点765℃)からなるガラスバルブ21を準備して[図2(a)]、(b)上記ガラスバルブ21の横断面の形状を扁平にする予定部分を、ステンレス鋼からなる2枚の成形治具板22a,22bの間に挟むように設置する[図2(b)]。(c)そして、ガラスバルブ21を図示しない加熱炉により軟化点より低い管壁温度(例えば、620?700℃)へと加熱して、成形治具板22aの自重により[図2(c)]、(d)断面を円形から略楕円形へと加工して所望の形状をしたガラスバルブ21を得ることができる[図2(d)]。
【0027】
ガラスバルブの成形方法は、このような方法に限定されるものではない。
本実施の形態のガラスバルブ10は、完成した直管ランプAを(b)?(d)の工程を経て成形されたものである。成形されることで直管ランプAの管外径5.0mmの寸法が略楕円形状の短外径4.0mm、長外径5.8mmとなり、管内径4.0mmの長さが略楕円形状の短内径3.0mm、長内径4.8mmと変化している。なお、管外径5.0mmの直管ランプAを上記成形方法により扁平する場合には、最大でも、長外径boが6.6mm、短外径aoが3.0mmとなるように設定(この場合の扁平率は、ao/bo≒0.45となる。)することが好ましい。過度に扁平にすると、管の肉厚が大幅に変わってしまうことがあり歩留まりの低下につながるからである。
…(略)…」

以上の記載及び図2を参照すると、刊行物2には、

「直管状のガラスバルブを準備し、前記ガラスバルブの横断面の形状を扁平にする予定部分を2枚の成形治具板の間に挟み、前記ガラスバルブを加熱し、前記2枚の成形治具板の自重により前記予定部分の横断面を円形から略楕円形に加工することにより、横断面形状が円形の電極部を両端に備え、横断面形状が略楕円形の発光部を中央に備えるガラスバルブを成形する」

という技術事項(以下、「技術事項2」という。)が記載されている。
そして、外径5.0mmの直管状のガラスバルブに技術事項2を適用した結果、発光部の横断面が短外径4.0mm、長外径5.8mmの略楕円形状になったことが記載されている(段落0027)。ここで、短外径は、直管状のガラスバルブの直径より小さく、長外径は、直管状のガラスバルブの直径より大きい。また、長外径は、短外径の1.45倍である。

5.対比
本願発明と引用発明1とを比較すると、以下のとおりである。

引用発明1の「放電ガスが密封された、発光部および電極部を有するガラス管」、「前記発光部の内面に形成された蛍光体層」、「前記ガラス管の両端に設けられる電極」及び「誘電体バリア放電ランプ」は、それぞれ、本願発明の「放電ガスが密封された、発光部および電極部を有する透明管」、「光を発生する前記発光部内に形成された蛍光体」、「前記透明管の両側に設けられる電極」及び「ランプ」に相当する。
引用発明1の「前記発光部は扁平形状であり、前記電極部は真円形状であり」は、「発光部」と「電極部」とで形が異なることを意味しているから、本願発明の「前記発光部と前記電極が設けられた前記電極部とは互いに異形であり」に相当する。
引用発明1の「前記電極は外部電極であり」は、本願発明の「前記電極は前記透明管の外部表面に形成され」に相当する。
引用発明1の「前記発光部はガラス管に蛍光体スラリーをコーティングしてベーキングして扁平加工されたものであり、その横断面形状の短軸の長さは前記電極部における前記ガラス管の直径より短い」と、本願発明の「前記発光部において、前記透明管の短軸の長さは前記電極部の透明管の直径より短くて、前記透明管の長軸の長さは前記電極部の透明管の直径より長く、前記透明管の長軸の長さは前記透明管の短軸の長さの最少1倍から最大1.6倍以下であり」とは、発光部の横断面が短軸及び長軸を有する扁平形状であり、短軸の長さが電極部における透明管の直径より短い点で共通する。

以上のことをまとめると、本願発明と引用発明1とは、

「放電ガスが密封された、発光部および電極部を有する透明管と;
光を発生する前記発光部内に形成された蛍光体と;
前記透明管の両側に設けられる電極とを備え、
前記発光部と前記電極が設けられた前記電極部とは互いに異形であり、
前記電極は前記透明管の外部表面に形成され、
前記発光部の横断面が短軸及び長軸を有する扁平形状であり、前記短軸の長さは前記電極部における前記透明管の直径より短いランプ。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
本願発明は、発光部の横断面の長軸の長さが電極部における透明管の直径より長いのに対し、引用発明1は、発光部の横断面の長軸の長さと電極部における透明管の直径との関係が不明である点。

(相違点2)
本願発明は、発光部の横断面の短軸の長さに対する長軸の長さが最少1倍から最大1.6倍以下であるのに対し、引用発明1は、発光部の横断面の短軸の長さに対する長軸の長さが特定されていない点。

(相違点3)
本願発明は、発光部の任意の断面形状が互いに略一致にするのに対し、引用発明1は、発光部の断面形状が電極部に近づくにつれて徐々に真円形状に変化している点。

(相違点4)
本願発明は、非発光部に対応する電極部が全体にわたって電極によって取り囲まれているのに対し、引用発明1は、そのようになっていない点。

6.判断
相違点についての判断は、以下のとおりである。

(1)相違点1について
引用発明1は、横断面が扁平形状の発光部を有するガラス管を備える誘電体バリア放電ランプであり、技術事項2は、横断面形状が略楕円形の発光部を有する冷陰極型蛍光ランプ用ガラスバルブの成形についての技術事項である。両者は、横断面が扁平形状の発光部を有する放電ランプ用ガラスバルブに関するものである点で共通するから、引用発明1における扁平加工のために技術事項2を採用することは、当業者が容易に思い付くことである。
上記4.(2)で述べたとおり、刊行物2には、技術事項2を適用した結果、発光部の横断面は略楕円形になり、その短軸の長さは直管状のガラスバルブの直径より短くなり、その長軸の長さは直管状のガラスバルブの直径より長くなったことが記載されている。
したがって、相違点1は、技術事項2を採用したことの単なる結果にすぎない。

(2)相違点2について
本願の明細書の段落0033の「図5を参照すると、現在の製造工程を勘案すると、ガラス管の短軸の長さに対する長軸の長さは1.01?1.6倍程度である。」という記載から判断して、「最少1倍から最大1.6倍以下」という数値範囲は、単に実際に製造可能な範囲を示したものである。そして、上記4.(2)で述べたとおり、刊行物2には、技術事項2を適用した結果、発光部の横断面の短軸の長さに対する長軸の長さが1.45倍になったことが記載されているから、この数値範囲は、これまで知られていなかった特異なものではない。また、本願の明細書、特許請求の範囲及び図面に記載された事項を参酌しても、この数値範囲に何らかの臨界的意義を認めることもできない。
したがって、相違点2は、当業者が適宜決定し得る設計事項にすぎない。

(3)相違点3について
引用発明1の「発光部」は、「ガラス管に蛍光体スラリーをコーティングしてベーキングして扁平加工されたもの」であり、技術事項2は、「ガラスバルブの横断面の形状を扁平にする予定部分…の横断面を円形から略楕円形に加工する」ものであるから、引用発明1における扁平加工のために技術事項2を採用する際、「ガラス管」の「発光部」となるべき部分と、技術事項2の「ガラスバルブの横断面の形状を扁平にする予定部分」とを一致させることは、当業者にとって当然のことである。そして、技術事項2は、「予定部分の横断面を円形から略楕円形に加工する」ものであるから、結果として得られる「発光部」の横断面は、その全長にわたって扁平形状(略楕円形)となると認められる。
したがって、相違点3は、技術事項2を採用したことの単なる結果にすぎない。

(4)相違点4について
引用発明1の電極の位置は、電気的接続を損なわない範囲で変更可能であると認められる。一方、本願の明細書、特許請求の範囲及び図面に記載された事項を参酌しても、非発光部に対応する電極部が全体にわたって電極によって取り囲まれていることには、何の技術的意義も認めることができない。
したがって、相違点4は、当業者が適宜決定し得る設計事項にすぎない。

7.請求人の主張について
請求人は、意見書の(3)で「したがって、引用文献1(当審注:刊行物1)の照明・表示装置に、引用文献2(当審注:刊行物2)に記載の冷陰極型蛍光ランプを組み合わせたとしても、当業者は、本願発明のような、発光部と非発光部に区分され、非発光部が全体にわたって電極によって覆われ、発光部の任意の断面形状が互いに略一致する形状を、想到することが出来ないものと思料します。」と主張する。
しかし、本願発明は、誘電体バリア放電ランプの発明である引用発明1と、横断面形状が略楕円形の発光部を有する冷陰極型蛍光ランプ用ガラスバルブの成形についての技術事項である技術事項2とに基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。刊行物1に記載された照明・表示装置に刊行物2に記載された冷陰極型蛍光ランプを組み合わせても本願発明は得られないという請求人の主張は、当を得ない。

8.むすび
以上に検討したとおり、本願発明は、刊行物1に記載された発明(引用発明1)と刊行物2に記載された技術事項(技術事項2)とに基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-01-30 
結審通知日 2013-01-31 
審決日 2013-02-13 
出願番号 特願2006-326646(P2006-326646)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石田 佳久  
特許庁審判長 小林 紀史
特許庁審判官 飯野 茂
山川 雅也
発明の名称 ランプ、バックライトユニット及びそれを用いる液晶表示装置  
代理人 岡部 正夫  
代理人 岡部 讓  
代理人 朝日 伸光  

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