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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05B
管理番号 1276212
審判番号 不服2011-27844  
総通号数 164 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-12-26 
確定日 2013-07-03 
事件の表示 特願2009- 64402「有機発光素子及びこれを備える有機発光表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成21年10月 1日出願公開、特開2009-224331〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成21年(2009年)3月17日(パリ条約による優先権主張 平成20年3月18日 大韓民国)の出願(特願2009-64402号)であって、平成23年4月21日付けで拒絶理由が通知され、同年7月25日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされ、同年8月12日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年12月26日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。
その後、平成24年9月18日付けで前置報告書の内容について請求人の意見を求める審尋がなされ、同年12月25日付けで回答書が提出された。

第2 本願の請求項1に係る発明
平成23年12月26日付けの手続補正による特許請求の範囲の補正は、請求項の削除を目的とする補正であり、適法な補正である。
よって、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成23年12月26日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「酸化インジウムタングステン(IWO)を含む第1電極と、
前記第1電極上に形成される有機発光層と、
前記有機発光層上に形成される第2電極と、を備え、
前記第1電極は、第1層、前記第1層上に形成された第2層、前記第2層上に形成された第3層を備え、前記第1層は、IWOを含み、前記第2層は、前記第1層の前記有機発光層に向かう方向に形成され、前記有機発光層で発生した光を反射できるように反射層として備えられ、前記第3層は、前記第2層と前記有機発光層との間に配置されてIWOを含む有機発光素子。」

第3 引用例
1 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2007-188895号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。(下記「2 引用例1に記載された発明の認定」において直接引用した記載に下線を付した。)

「【0001】
本発明は、有機発光層を備えて構成される有機エレクトロルミネッセンス素子を有する表示装置及びその製造方法に関する。」

「【0017】
<表示装置-1>
図1は第1実施形態の表示装置における表示領域の概略構成を示す要部断面図である。この図に示す表示装置1は、有機EL素子を発光素子として配列形成したアクティブマトリックス型の表示装置である。
【0018】
この表示装置1は、基板3上の各画素に薄膜トランジスタ(thin film transistor:以下、TFTと記す)4を備えている。TFT4が形成された基板3上には、TFT4のソース・ドレインに接続された配線5が形成され、この配線5を覆う状態で平坦化絶縁膜7が設けられている。尚、TFT4は、図示したボトムゲート型に限定されることはなく、トップゲート型であっても良く、そのゲート電極は走査回路に接続されていることとする。
【0019】
そして、この平坦化絶縁膜7上の各画素開口A部分に、下部電極9、有機層11、および上部電極13を積層してなる有機EL素子15が設けられた構成となっている。また特に、本実施形態の表示装置1においては、有機EL素子15が設けられた画素開口A間に、下部電極9と同一層で構成された補助配線9aが設けられた構成となっている。尚、画素開口Aは、下部電極9を覆う絶縁膜17に形成された開口部であることとする。」

「【0026】
また、表示装置1が上面発光型である場合、下部電極9には、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、銀(Ag)を主成分とする銀合金、クロム(Cr)等の光反射性の良好な金属材料を用いることで、上部電極13側に発光光を反射させることが好ましい。特に、銀(Ag)または銀合金を用いることにより、より多くの発光光を反射させることができるため、好ましい。
【0027】
また、この場合、下部電極9の表面を平坦化することを目的として、表面平坦性に優れた光透過性の導電性酸化材料層を、上述した金属材料層上に設けた2層構造としても良い。この導電性酸化材料層は、特に銀(Ag)などの反射性の良好な金属材料層の酸化を防止するためのバリア層ともなる。
【0028】
さらに、金属材料層の下部には、下地となる平坦化絶縁膜7との密着層として導電性酸化材料層を設け、金属材料層を導電性酸化材料層で狭持してなる3層構造としても良い。
【0029】
尚、この下部電極9は、陽極または陰極として用いられ、どちらとして用いられるかによって適切な仕事関数を備えた材料が選択して用いられることとする。例えば、この下部電極9が陽極として用いられる場合には、有機層11に接する最上層には、仕事関数が大きい材料をホール注入層として用いることとする。このため、上述した2層構造または3層構造で下部電極9を構成する場合、仕事関数が大きく光透過性の良好なITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)等の酸化インジウムが、最上層の導電性酸化材料層として用いられる。また、金属材料層と平坦化絶縁膜7との密着層として設けられる導電性酸化材料層としても、ITOやIZOが用いられる。
【0030】
以上から、陽極として用いられる下部電極9および補助配線9aの構成として、ITOからなる導電性酸化材料層の間に銀(Ag)からなる金属材料層を狭持してなる3層構造が例示される。」

2 引用例1に記載された発明の認定
上記記載を総合すれば、引用例1には、
「下部電極9、有機層11、および上部電極13を積層してなる有機EL素子15であって、
下部電極9は、反射性の良好な金属材料層の上に表面を平坦化することを目的として、表面平坦性に優れた光透過性の導電性酸化材料層を設け、さらに、金属材料層の下には、下地層との密着層として導電性酸化材料層を設け、金属材料層を導電性酸化材料層で狭持してなる3層構造とし
導電性酸化材料として、ITOやIZOが用いられる有機EL素子15。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

1 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2002-231054号公報(以下「引用例2」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。(下線は、当審において付した。)

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は透明電極材料、この透明電極材料を用いた電子素子、および前記透明電極材料を用いた透明電極の製造方法に係り、特に、金属酸化物系の透明電極材料、この透明電極材料と電荷輸送層とを利用した電子素子、および金属酸化物系の透明電極の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】複写機やプリンタに使用される感光体、あるいは有機EL素子等においては、電極上に直接、または電荷発生層を介して、電荷輸送層が設けられている。この電荷輸送層は、従来より、固体の有機材料によって形成されている。
【0003】近年、電荷輸送材料であると共に液晶材料でもある材料(以下、この材料を「電荷輸送液晶材料」という。)や、電荷輸送液晶材料であると共に蛍光材料でもある材料が開発され、これらの電荷輸送材料を利用した光センサ、画像表示素子、画像記録素子、空間光変調素子、トランジスタ、発光素子等の電子素子が提案されている(例えば特開平11-144526号公報、特開平11-199871号公報、特開平9-316442号公報参照)。
【0004】例えば液晶表示装置で使用されるセル容器の製造技術を利用して平板状の容器を作製し、この容器内に電荷輸送液晶材料を充填することにより、機械的強度および対環境安定性が比較的高く、均質で大面積の電荷輸送層を比較的容易に形成することができる。
【0005】ところで、電荷輸送層を利用した光センサ、画像表示素子、画像記録素子、情報記録素子、空間光変調素子、発光素子等においては、透明電極と電荷輸送層とが直接または電荷発生層を介して隣接する。
【0006】透明電極は、例えば金(Au)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)等の金属の薄膜によって形成することもできるが、一般には金属酸化物によって形成される。
【0007】透明電極に利用される金属酸化物としては、In_(2)O_(3)系酸化物、SnO_(2)系酸化物、ZnO系酸化物等が知られている。なかでもIn_(2)O_(3)系酸化物の1つであるITO(インジウム・錫酸化物)は、抵抗率(シート抵抗)が低く可視光の透過率が高い透明電極を形成することが可能なことから、透明電極材料として広く利用されている。
【0008】
透明電極と電荷輸送層とを利用した電子素子においても、一般にはITOによって透明電極が形成される。ただし、電荷輸送層を固体材料によって形成したタイプの有機エレクトロルミネッセンス素子においては、通常、陽極材料としてのみITOが利用され、陰極材料としては4eV程度以下の仕事関数を有する金属材料もしくは合金材料が利用される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】電極と電荷輸送層とが直接または電荷発生層を介して隣接される電子素子において、電極から電荷発生層または電荷輸送層への電荷注入特性を向上させることができれば、より低電圧での駆動が可能になる。また、印加電圧に対する電子素子の応答性を向上させることが可能になる。
【0010】本発明の目的は、電荷注入特性の高い透明電極材料を提供することである。
【0011】本発明の他の目的は、電荷輸送層と電荷注入特性の高い透明電極とを備えた電子素子を提供することである。
【0012】本発明の更に他の目的は、電荷注入特性の高い透明電極の製造方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の一観点によれば、インジウム(In)およびモリブデン(Mo)を含有する酸化物であり、ITOよりも高い仕事関数を有する透明電極材が提供される。
【0014】本発明の他の観点によれば、インジウム(In)およびタングステン(W)を含有する酸化物であり、ITOよりも低い仕事関数を有する透明電極材料が提供される。
【0015】本発明の更に他の観点によれば、基板と、前記基板上に、インジウム(In)およびモリブデン(Mo)を含有する酸化物によって形成され、ITOよりも高い仕事関数を有する透明電極と、前記透明電極に直接または電荷発生層を介して隣接する電荷輸送層とを有する電子素子が提供される。
【0016】本発明の更に他の観点によれば、基板と、前記基板上に、インジウム(In)およびタングステン(W)を含有する酸化物によって形成され、ITOよりも低い仕事関数を有する透明電極と、前記透明電極に直接または電荷発生層を介して隣接する電荷輸送層とを有する電子素子が提供される。
【0017】本発明の更に他の観点によれば、中空の板状を呈する容器であって、互いに間隔をあけて対向配置された2枚の基板と、該2枚の基板のうちの一方の基板の内側面上にインジウム(In)およびモリブデン(Mo)を含有する酸化物によって形成され、ITOよりも高い仕事関数を有する第1の透明電極と、前記2枚の基板のうちの他方の基板の内側面上にインジウム(In)およびタングステン(W)を含有する酸化物によって形成され、ITOよりも低い仕事関数を有する第2の透明電極とを有する容器と、前記容器内に形成された電荷輸送層とを備えた電子素子が提供される。
【0018】本発明の更に他の観点によれば、電圧印加手段を有する基板ホルダを備えたアーク放電イオンプレーティング装置の真空槽内に、インジウム(In)およびモリブデン(Mo)を含有する蒸発源を配置すると共に、前記基板ホルダに基板を装着する工程と、前記真空槽内を減圧雰囲気にし、前記蒸発源の近傍でアーク放電を生じさせて前記蒸発源を蒸発、イオン化させると共に、前記イオン化で生じたイオンを前記電圧印加手段に負バイアスを印加することで前記基板ホルダ側に電気的に吸引し、該電気的な吸引によって、インジウム(In)およびモリブデン(Mo)を含有し、ITOよりも高い仕事関数を有する酸化物によって構成される透明導電層を前記基板上に堆積させる工程とを含む透明電極の製造方法が提供される。
【0019】本発明の更に他の観点によれば、電圧印加手段を有する基板ホルダを備えたアーク放電イオンプレーティング装置の真空槽内に、インジウム(In)およびタングステン(W)を含有する蒸発源を配置すると共に、前記基板ホルダに基板を装着する工程と、前記真空槽内を減圧雰囲気にし、前記蒸発源の近傍でアーク放電を生じさせて前記蒸発源を蒸発、イオン化させると共に、前記イオン化で生じたイオンを前記電圧印加手段に負バイアスを印加することで前記基板ホルダ側に電気的に吸引し、該電気的な吸引により、インジウム(In)およびタングステン(W)を含有し、ITOよりも低い仕事関数を有する酸化物によって構成される透明導電層を前記基板上に堆積させる工程とを含む透明電極の製造方法が提供される。
【0020】インジウム(In)およびモリブデン(Mo)を含有し、ITOよりも高い仕事関数を有する酸化物(以下、この酸化物を「IMO」と略記する。)を透明電極材料として用いることにより、電荷注入特性の高い透明電極を得ることが可能になる。
【0021】また、インジウム(In)およびタングステン(W)を含有し、ITOよりも低い仕事関数を有する酸化物(以下、この酸化物を「IWO」と略記する。)を透明電極材料として用いることによっても、電荷注入特性の高い透明電極を得ることが可能になる。
【0022】IMOまたはIWOを用いて電荷注入特性の高い透明電極を得るにあたっては、その表面の平滑性を高めることが好ましい。例えばアーク放電イオンプレーティングによれば、表面の平滑性が高いIMO膜またはIWO膜を成膜することができる。
【0023】電荷輸送層を利用した電子素子を得るにあたって、電荷輸送層に直接または電荷発生層を介して隣接する透明電極をIMOまたはIWOによって形成することにより、IMOまたはIWOから電荷輸送層へ効率よく電荷を注入することが可能になる。電極から電荷輸送層へ効率よく電荷が注入されれば、例えば、より低電圧で電子素子を駆動させることが可能になると共に、印加電圧に対する電子素子の応答性を向上させることができる。」

第4 本願発明と引用発明の対比、及び、当審の判断
1 ここで、本願発明と引用発明を対比する。

(1)引用発明における「金属材料層」の「上」及び「下」に「導電性酸化材料層」を設けた「下部電極9」と、本願発明の「酸化インジウムタングステン(IWO)を含む第1電極」とは、「導電性酸化材料を含む第1電極」である点で一致する。
また、引用発明の「下部電極9、有機層11、および上部電極13を積層してなる有機EL素子15」における「有機層11」及び「上部電極13」が、それぞれ、本願発明の「前記第1電極上に形成される有機発光層」及び「前記有機発光層上に形成される第2電極」に相当する。

(2)引用発明の「金属材料層」の「下」の「導電性酸化材料層」と、本願発明の「IWOを含」む「第1層」とは、「導電性酸化材料を含」む「第1層」である点で一致する。
引用発明の「反射性の良好な金属材料層」が、本願発明の「有機発光層で発生した光を反射できるように」「備えられ」た「反射層」に相当する。
引用発明の「金属材料層」の「上」の「導電性酸化材料層」と、本願発明の「前記第2層と前記有機発光層との間に配置されてIWOを含む」「第3層」とは、「前記第2層と前記有機発光層との間に配置されて導電性酸化材料を含む」「第3層」である点で一致する。
よって、引用発明の「下部電極9は、反射性の良好な金属材料層の上に表面を平坦化することを目的として、表面平坦性に優れた光透過性の導電性酸化材料層を設け、さらに、金属材料層の下には、下地層との密着層として導電性酸化材料層を設け、金属材料層を導電性酸化材料層で狭持してなる3層構造とした」ことと、本願発明の「前記第1電極は、第1層、前記第1層上に形成された第2層、前記第2層上に形成された第3層を備え、前記第1層は、IWOを含み、前記第2層は、前記第1層の前記有機発光層に向かう方向に形成され、前記有機発光層で発生した光を反射できるように反射層として備えられ、前記第3層は、前記第2層と前記有機発光層との間に配置されてIWOを含む」こととは、「前記第1電極は、第1層、前記第1層上に形成された第2層、前記第2層上に形成された第3層を備え、前記第1層は、導電性酸化材料を含み、前記第2層は、前記第1層の前記有機発光層に向かう方向に形成され、前記有機発光層で発生した光を反射できるように反射層として備えられ、前記第3層は、前記第2層と前記有機発光層との間に配置されて導電性酸化材料を含む」点で一致する。

(3)引用発明の「有機EL素子15」が、本願発明の「有機発光素子」に相当する。

2 一致点
したがって、本願発明と引用発明とは、
「導電性酸化材料を含む第1電極と、
前記第1電極上に形成される有機発光層と、
前記有機発光層上に形成される第2電極と、を備え、
前記第1電極は、第1層、前記第1層上に形成された第2層、前記第2層上に形成された第3層を備え、前記第1層は、導電性酸化材料を含み、前記第2層は、前記第1層の前記有機発光層に向かう方向に形成され、前記有機発光層で発生した光を反射できるように反射層として備えられ、前記第3層は、前記第2層と前記有機発光層との間に配置されて導電性酸化材料を含む有機発光素子。」の発明である点で一致し、次の点で相違する。

3 相違点
第1電極の第1,3層に用いられている「導電性酸化材料」が、本願発明においては「IWO」であるのに対して、引用発明にいては「ITO」や「IZO」である点。

4 当審の判断
(1)相違点の検討
有機発光素子の透明電極に用いられる導電性酸化材料として、「ITO」や「IZO」の他に、引用例2にも記載されているように「IWO」も周知である。
そして、透明電極の導電性酸化材料として具体的にどのような材料を採用するかは、各材料が備える特性(仕事関数、透明性、平滑性、電気抵抗、電荷注入性など)を勘案して当業者が適宜選択し得るものであるから、引用発明においても、導電性材料として「ITO」や「IZO」に換えて上記周知の「IWO」を採用し、上記の相違点に係る本願発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(2)そして、本願発明によってもたらされる効果は、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得る程度のものである。
本願発明の効果に関し、請求人が主張する「IWOを使用することによる、他部材との接着力の改善及びエッチング速度の向上」という効果についても、「他部材との接着力の改善」については、「下地層との密着層として導電性酸化材料層を設け」たことが特定されている引用発明が備えている作用効果以上のものではなく、また、「エッチング速度の向上」については、「IWOがエッチングに優れている」ことは、例えば、原査定において提示され、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2007-258445号公報(【0024】)にも記載されているように周知の技術的事項であることに鑑みれば,当業者が予測し得る範囲内のものにすぎない。

(3)まとめ
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第5 結言
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-01-30 
結審通知日 2013-02-05 
審決日 2013-02-19 
出願番号 特願2009-64402(P2009-64402)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H05B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西岡 貴央  
特許庁審判長 森林 克郎
特許庁審判官 北川 清伸
伊藤 昌哉
発明の名称 有機発光素子及びこれを備える有機発光表示装置  
代理人 佐伯 義文  
代理人 渡邊 隆  

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