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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01N
管理番号 1276297
審判番号 不服2011-27072  
総通号数 164 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-12-15 
確定日 2013-07-02 
事件の表示 特願2005-230289「接触式画像センサを備えているウェブ検査モジュール」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 3月23日出願公開、特開2006- 78473〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成17年8月9日(パリ条約による優先権主張2004年8月9日、米国(US))を国際出願日とする出願であって、平成22年12月17日付けで拒絶理由が通知され、平成23年4月21日付けで手続補正がなされ、同年8月10日付けで拒絶査定がなされ、同年12月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1?20に係る発明は、明細書の特許請求の範囲の請求項1?20に記載された事項により特定されたものであって、その請求項1に係る発明は、平成23年4月21日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものであると認める。
「【請求項1】
印刷機上の印刷済み基材を検査するための検査システムであって、
前記印刷機の複数の印刷ユニットで異なる色で印刷された基材の一部分を照射するための光源と、
複数の検出要素を有する接触式画像センサであって、前記基材上に印刷された対応領域を示すデータを生成するために、各検出要素が前記基材上の対応する領域から反射する光を検出する接触式画像センサと、
印刷済み基材を示すデータを受け取り、基材上の印刷された対応領域を示すデータと記憶された基準データとを比較するように構成された処理器と、を備え、
前記検出要素は、測定される前記基材上の対応する領域の寸法と等しい寸法を有していることを特徴とする基材検査システム。」(以下、「本願発明」という。)

第3 引用刊行物記載の発明 (下線は当審で付与した。)
(1)本願の優先権主張の日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開2008-164411号公報(以下「刊行物1」という。)には、「印刷物検査装置」について、図面とともに次の事項が記載されている。
(1-ア) 「2.特許請求の範囲
1) 印刷物を照明し、印刷物からの反射光を利用してその良否を検査する印刷物検査装置において,印刷物の流れ方向に沿ってB検出部、G検出部、R検出部を各々設け、各検出部は印刷紙の巾方向に延在する比検査領域に対して,一様な照明を施す照明手段と,比検査領域において印刷紙に対接して設けられる密着型アレイセンサ-と、印刷紙と密着型アレイセンサーとの間に介在する色フィルターとを具備し、さらに各検出部からの信号に基づき印刷不良の検出を行なう信号処理手段とを設けたことを特徴とする印刷物検査装置。」(第1頁左下欄4行?17行)

(1-イ) 「[発明の技術分野]
本発明は枚様印刷機、輪転印刷機、リワインド機等における印刷物特に多色印刷物の品質を検査するための検査装置に関する。」(第1頁右下欄2行?5行)

(1-ウ) 「[発明の実施例]
・・・
巻取ロールより繰り出された帯状の印刷紙2は各印刷ブロックで黄(Y)、赤(M)、藍(C)、墨(B)の4色印刷が連続的に表裏に施されて排出される。」(第2頁右下欄8行?16行)

(1-エ) 「G検出部202において、2本の棒状の光源212a、2 12bが印刷紙2の巾方向他設置され、光源間に設定される印刷紙2表面の巾方向に延びる検査ラインを照明する。」(第3頁右上欄3行?6行)

(1-オ) 「232は密着型アレイセンサーであり、第4図に拡大かつ分解して示されるようにアレイセンサー本体422の印刷紙2に対向する面425の受光面432がアレイ状に並接されている。」(第3頁左下欄13行?17行)

(1-カ) 「単純比較検出回路811はFIFOバッファ31からの濃度信号とリファレンスメモリ761から順次とり出される基準濃度信号の差分をとり、この差分が予め設定してある許容範囲にあるかどうかの検査を行なう。」(第5頁右上欄5行?9行)

上記(1-ア)?(1-カ)の記載と図1?7を参照すると、上記引用刊行物1には、
「各印刷ブロックで黄(Y)、赤(M)、藍(C)、墨(B)の4色印刷が連続的に表裏に施されて排出された多色印刷物を照明し、多色印刷物からの反射光を利用してその良否を検査する印刷物検査装置において,
多色印刷物の流れ方向に沿ってB検出部、G検出部、R検出部を各々設け、各検出部は多色印刷物の巾方向に延在する被検査領域に対して,一様な照明を施す2本の棒状の光源212a、2 12bと,
被検査領域において多色印刷物に対接して設けられる、アレイセンサー本体422の多色印刷物に対向する面425の受光面432がアレイ状に並接されている密着型アレイセンサー232と、
多色印刷物と密着型アレイセンサーとの間に介在する色フィルターとを具備し、
さらに各検出部からの濃度信号とリファレンスメモリ761から順次とり出される基準濃度信号の差分をとり、この差分が予め設定してある許容範囲にあるかどうかの印刷不良の検出を行なう信号処理手段とを設けたことを特徴とする印刷物検査装置。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。

第4 対比・判断
本願発明と引用発明とを対比する。
ア その構造・機能からみて、引用発明の「多色印刷物」は本願発明の「基材」に相当することは明らかであり、引用発明の「印刷物検査装置」は「多色印刷物を照明し、印刷物からの反射光を利用してその良否を検査する」ものであるから、引用発明の「印刷物検査装置」は、本願発明の「印刷機上の印刷済み基材を検査するための検査システム」に相当することは明らかである。

イ 引用発明の「多色印刷物」は「各印刷ブロックで黄(Y)、赤(M)、藍(C)、墨(B)の4色印刷が連続的に表裏に施されて排出された」ものであるから、本願発明の「前記印刷機の複数の印刷ユニットで異なる色で印刷された基材」に相当する。

ウ 引用発明の「2本の棒状の光源212a、2 12b」は「多色印刷物の巾方向に延在する被検査領域に対して,一様な照明を施す」ものであるから、本願発明の「光源」に相当する。

エ 本願発明の「接触式画像センサ」の原文は「contact image sinsor」であるから、引用発明の「密着型アレイセンサー232」に相当する。
そうすると、引用発明の「被検査領域において多色印刷物に対接して設けられる、アレイセンサー本体422の多色印刷物に対向する面425の受光面432がアレイ状に並接されている密着型アレイセンサー232」と本願発明の「複数の検出要素を有する接触式画像センサであって、前記基材上に印刷された対応領域を示すデータを生成するために、各検出要素が前記基材上の対応する領域から反射する光を検出する接触式画像センサ」であって「前記検出要素は、測定される前記基材上の対応する領域の寸法と等しい寸法を有している」とは、「複数の検出要素を有する接触式画像センサであって、前記基材上に印刷された対応領域を示すデータを生成するために、各検出要素が前記基材上の対応する領域から反射する光を検出する接触式画像センサ」である点で共通する。

オ 引用発明の「濃度信号」、「基準濃度信号」が、それぞれ本願発明の「印刷済み基材を示すデータ」、「記憶された基準データ」に相当することは明らかである。
したがって、引用発明の「信号処理手段」は、「各検出部からの濃度信号とリファレンスメモリ761から順次とり出される基準濃度信号の差分をとり、この差分が予め設定してある許容範囲にあるかどうかの印刷不良の検出を行なう」ものであるから、本願発明の「印刷済み基材を示すデータを受け取り、基材上の印刷された対応領域を示すデータと記憶された基準データとを比較するように構成された処理器」に相当する。

そうすると、本願発明と引用発明とは、
「印刷機上の印刷済み基材を検査するための検査システムであって、
前記印刷機の複数の印刷ユニットで異なる色で印刷された基材の一部分を照射するための光源と、
複数の検出要素を有する接触式画像センサであって、前記基材上に印刷された対応領域を示すデータを生成するために、各検出要素が前記基材上の対応する領域から反射する光を検出する接触式画像センサと、
印刷済み基材を示すデータを受け取り、基材上の印刷された対応領域を示すデータと記憶された基準データとを比較するように構成された処理器と、を備える基材検査システム。」である点で一致し、次の点で相違している。

(相違点1)
接触式画像センサについて、本願発明では「測定される前記基材上の対応する領域の寸法と等しい寸法を有している」のに対して、引用発明では、そのような特定がなされていない点。

(1)相違点についての検討
本願の優先権主張の日前に頒布された実願昭62-185965号(実開平1-91962号)のマイクロフィルムには、「ラインカメラの代わりに印刷物の幅方向に密着型イメージセンサを配置すれば光学系を縮小することができる。密着型イメージセンサは、マイクロレンズと対で使用することにより、原稿を縮小せず、1:1で読み取り、光学系の縮小を可能にしたイメージセンサである。」(第4頁11行?14行)と記載され、同じく本願の出願前に頒布された特開昭64-41372号公報には、「〔従来の技術〕
従来より、文字・画像情報の読み取りには、CCDセンサやMO3型センサなどの縮小結像型イメージセンサが用いられている。・・・近年では、上述のような縮小結像型イメージセンサに対し、原稿幅と同幅の長尺イメージセンサとオプティカルファイバーレンズアレイとを用い、等倍結像させて読み取る密着型イメージセンサの開発が活発化している。」(第1頁右下欄9行?13行)と記載されているように、密着型イメージセンサの定義が原稿を縮小せず、1:1で読み取る、つまり等倍結像させて読み取るイメージセンサであることは、画像読み取りにおいて技術常識である。
そして、等倍結像させて読み取るのであるから、センサの寸法と、原稿上のセンサに読み取られる部分の寸法は等しい。
してみると、引用発明の密着型アレイセンサーにつて、密着型アレイセンサーによって自ずと達成される「前記検出要素は、測定される前記基材上の対応する領域の寸法と等しい寸法を有している」との特定事項を付加することは、当業者が容易に想到するものといえる。

そして、本願発明の作用効果は、引用発明、および技術常識から当業者が予測し得る範囲内のものにすぎない。

したがって、本願発明は、引用発明、および技術常識に基づき当業者が容易に発明をすることができたものである。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、および技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その他の請求項について言及するまでもなく、本願出願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-02-06 
結審通知日 2013-02-07 
審決日 2013-02-20 
出願番号 特願2005-230289(P2005-230289)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 越柴 洋哉  
特許庁審判長 岡田 孝博
特許庁審判官 信田 昌男
後藤 時男
発明の名称 接触式画像センサを備えているウェブ検査モジュール  
代理人 富田 博行  
代理人 千葉 昭男  
代理人 山崎 幸作  
代理人 小林 泰  
代理人 小野 新次郎  

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