• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 C07D
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 C07D
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 C07D
管理番号 1276682
審判番号 不服2010-27762  
総通号数 165 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-12-07 
確定日 2013-07-10 
事件の表示 特願2006-509070「置換アゼチジノン化合物、置換アゼチジノン化合物を調製するためのプロセス、それらの処方物および使用」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 9月23日国際公開、WO2004/081004、平成18年 8月31日国内公表、特表2006-519869〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
この出願(以下「本願」という。)は、2004年 3月 3日(優先権主張 外国庁受理 2003年 3月 7日 アメリカ合衆国(US))を国際出願日とする出願であって、以降の手続の経緯は概略以下のとおりである。
平成17年 9月 5日 翻訳文提出書
平成19年 2月28日 手続補正書
平成22年 4月13日付け 拒絶理由通知書
平成22年 7月15日 意見書・補正書
平成22年 8月12日付け 拒絶査定
平成22年12月 7日 審判請求書・手続補正書
平成24年 2月27日付け 審尋
平成24年 5月17日 回答書
平成24年10月10日付け 審尋
なお、平成24年10月10日付けの審尋に対して、指定した期間内に回答書の提出はなかった。

第2 平成22年12月 7日付けの手続補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成22年12月 7日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
平成22年12月 7日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の記載を以下のとおりに補正するものである。

「【請求項1】式(II)である、化合物。
【化16】

【請求項2】被験体において、高コレステロール血症およびシトステロール血症を処置し、および/または哺乳動物の血漿中のコレステロール、フィトステロールまたは5α-スタノール(stanol)の濃度を低下させるための薬学的組成物であって、薬学的に受容可能なキャリア中に、治療有効量の請求項1に記載の化合物を含む、薬学的組成物。
【請求項3】コレステロールを低下させる有効量の請求項1に記載の化合物を薬学的に受容可能なキャリア中に含む、薬学的組成物。
【請求項4】処置が必要な被験体において、高コレステロール血症およびシトステロール血症の処置のため、および/または哺乳動物の血漿中のコレステロール、フィトステロールまたは5α-スタノールの濃度を低下させるための医薬の製造のための請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項5】処置が必要な哺乳動物の血漿中のコレステロールレベルを低下させるための医薬の製造のための請求項1に記載の化合物の使用。」

本件補正前の特許請求の範囲は、平成22年 7月15日付の手続補正により補正されたものであって、その記載は以下のとおりである。

「【請求項1】構造式(IA):
【化7】

によって表される化合物、または式(IA)の化合物の薬学的に受容可能な鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ラセミ化合物、幾何異性体、塩もしくは溶媒和物であって、
ここで、上式(IA)において:
X、YおよびZは、同じであっても異なっていてもよく、そして各々は、独立して-CH_(2)-、-CH(アルキル)-および-C(アルキル)_(2)-からなる群より選択され;
Q^(1)およびQ^(2)は、同じであっても異なっていてもよく、そして各々は、独立してH、-G、-(C_(1)?C_(30)アルキレン)-G、-OR^(6)、-OC(O)R^(6)、-OC(O)OR^(9)、-OC(O)NR^(6)R^(7)、および-L-Mからなる群より選択され;
Q^(3)は、1?5個の置換基であり、該置換基は、独立してアルキル、アルケニル、アルキニル、-G、-(C_(1)?C_(30)アルキレン)-G、-OR^(6)、-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-OR^(6)、-C(O)R^(6)、-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-C(O)R^(6)、-C(O)OR^(6)、-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-C(O)OR^(6)、-OC(O)R^(6)、-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-OC(O)R^(6)、-OC(O)OR^(9)、-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-OC(O)OR^(9)、-CH=CH-C(O)R^(6)、-CH=CH-C(O)OR^(6)、-C≡C-C(O)OR^(6)、-C≡C-C(O)R^(6)、-O-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-OR^(6)、-O-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-C(O)R^(6)、-O-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-C(O)OR^(6)、-CN、-O-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-C(O)NR^(6)R^(7)、-O-C(O)NR^(6)NR^(7)C(O)OR^(6)、-O-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-C(O)NR^(6)NR^(7)C(O)OR^(6)、-O-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-C(O)(アリール)-N_(3)、-OC(O)-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-C(O)OR^(6)、-C(O)NR^(6)R^(7)、-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-C(O)NR^(6)R^(7)、-OC(O)NR^(6)R^(7)、-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-OC(O)NR^(6)R^(7)、-NO_(2)、-NR^(6)R^(7)、-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-NR^(6)R^(7)、-O-(C_(2)?C_(10)アルキレン)-NR^(6)R^(7)、-NR^(6)C(O)R^(7)、-NR^(6)C(O)OR^(9)、-NR^(6)C(O)NR^(7)R^(8)、-NR^(6)S(O)_(0?2)R^(9)、-N(S(O)_(0?2)R^(9))_(2)、-CHNOR^(6)、-C(O)NR^(6)R^(7)、-C(O)NR^(6)NR^(6)R^(7)、-S(O)_(0?2)NR^(6)R^(7)、-S(O)_(0?2)R^(9)、-O-C(O)-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-C(O)NR^(6)R^(7)、-OC(O)-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-NR^(6)C(O)O-(アルキルアリール)、-P(O)(OR^(10))_(2)、-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-OSi(アルキル)_(3)、-CF_(3)、-OCF_(3)、ハロ、アルコキシアルコキシ、アルコキシアルコキシアルコキシ、アルコキシカルボニルアルコキシ、アルコキシアリールアルコキシ、アルコキシイミノアルキル、アルキルジオイル(alkyldioyl)、アリルオキシ、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アロイル、アロイルオキシ、アロイルアロイルオキシ、アリールアルコキシカルボニル、ベンゾイルベンゾイルオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルコキシ、ジオキソラニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、へテロシクリルカルボニル、へテロシクリルカルボニルアルコキシおよび-L-Mからなる群より選択され;
Q^(4)は、1?5個の置換基であり、該置換基は、独立してアルキル、アルケニル、アルキニル、-G、-(C_(1)?C_(30)アルキレン)-G、-OR^(6)、-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-OR^(6)、-C(O)R^(6)、-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-C(O)R^(6)、-C(O)OR^(6)、-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-C(O)OR^(6)、-OC(O)R^(6)、-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-OC(O)R^(6)、-OC(O)OR^(9)、-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-OC(O)OR^(9)、-CH=CH-C(O)R^(6)、-CH=CH-C(O)OR^(6)、-C≡C-C(O)OR^(6)、-C≡C-C(O)R^(6)、-O-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-OR^(6)、-O-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-C(O)R^(6)、-O-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-C(O)OR^(6)、-CN、-O-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-C(O)NR^(6)R^(7)、-O-C(O)NR^(6)NR^(7)C(O)OR^(6)、-O-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-C(O)NR^(6)NR^(7)C(O)OR^(6)、-O-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-C(O)(アリール)-N_(3)、-OC(O)-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-C(O)OR^(6)、-C(O)NR^(6)R^(7)、-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-C(O)NR^(6)R^(7)、-OC(O)NR^(6)R^(7)、-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-OC(O)NR^(6)R^(7)、-NO_(2)、-NR^(6)R^(7)、-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-NR^(6)R^(7)、-O-(C_(2)?C_(10)アルキレン)-NR^(6)R^(7)、-NR^(6)C(O)R^(7)、-NR^(6)C(O)OR^(9)、-NR^(6)C(O)NR^(7)R^(8)、-NR^(6)S(O)_(0?2)R^(9)、-N(S(O)_(0?2)R^(9))_(2)、-CHNOR^(6)、-C(O)NR^(6)R^(7)、-C(O)NR^(6)NR^(6)R^(7)、-S(O)_(0?2)NR^(6)R^(7)、-S(O)_(0?2)R^(9)、-O-C(O)-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-C(O)NR^(6)R^(7)R^(7)、-OC(O)-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-NR^(6)C(O)O-(アルキルアリール)、-P(O)(OR^(10))_(2)、-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-OSi(アルキル)_(3)、-CF_(3)、-OCF_(3)、ハロ、アルコキシアルコキシ、アルコキシアルコキシアルコキシ、アルコキシカルボニルアルコキシ、アルコキシアリールアルコキシ、アルコキシイミノアルキル、アルキルジオイル、アリルオキシ、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アロイル、アロイルオキシ、アロイルアロイルオキシ、アリールアルコキシカルボニル、ベンゾイルベンゾイルオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルコキシ、ジオキソラニル、へテロシクリル、へテロシクリルアルキル、へテロシクリルカルボニル、へテロシクリルカルボニルアルコキシおよび-L-Mからなる群より選択され;
Q^(5)は、1?5個の置換基であり、該置換基は、独立してアルキル、アルケニル、アルキニル、-G、-(C_(1)?C_(30)アルキレン)-G、-OR^(6)、-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-OR^(6)、-C(O)R^(6)、-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-C(O)R^(6)、-C(O)OR^(6)、-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-C(O)OR^(6)、-OC(O)R^(6)、-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-OC(O)R^(6)、-OC(O)OR^(9)、-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-OC(O)OR^(9)、-CH=CH-C(O)R^(6)、-CH=CH-C(O)OR^(6)、-C≡C-C(O)OR^(6)、-C≡C-C(O)R^(6)、-O-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-OR^(6)、-O-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-C(O)R^(6)、-O-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-C(O)OR^(6)、-CN、-O-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-C(O)NR^(6)R^(7)、-O-C(O)NR^(6)NR^(7)C(O)OR^(6)、-O-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-C(O)NR^(6)NR^(7)C(O)OR^(6)、-O-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-C(O)(アリール)-N_(3)、-OC(O)-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-C(O)OR^(6)、-C(O)NR^(6)R^(7)、-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-C(O)NR^(6)R^(7)、-OC(O)NR^(6)R^(7)、-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-OC(O)NR^(6)R^(7)、-NO_(2)、-NR^(6)R^(7)、-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-NR^(6)R^(7)、-O-(C_(2)?C_(10)アルキレン)-NR^(6)R^(7)、-NR^(6)C(O)R^(7)、-NR^(6)C(O)OR^(9)、-NR^(6)C(O)NR^(7)R^(8)、-NR^(6)S(O)_(0?2)R^(9)、-N(S(O)_(0?2)R^(9))_(2)、-CHNOR^(6)、-C(O)NR^(6)R^(7)、-C(O)NR^(6)NR^(6)R^(7)、-S(O)_(0?2)NR^(6)R^(7)、-S(O)_(0?2)R^(9)、-O-C(O)-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-C(O)NR^(6)R^(7)、-OC(O)-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-NR^(6)C(O)O-(アルキルアリール)、-P(O)(OR^(10))_(2)、-(C_(1)?C_(10)アルキレン)-OSi(アルキル)_(3)、-CF_(3)、-OCF_(3)、ハロ、アルコキシアルコキシ、アルコキシアルコキシアルコキシ、アルコキシカルボニルアルコキシ、アルコキシアリールアルコキシ、アルコキシイミノアルキル、アルキルジオイル、アリルオキシ、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アロイル、アロイルオキシ、アロイルアロイルオキシ、アリールアルコキシカルボニル、ベンゾイルベンゾイルオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルコキシ、ジオキソラニル、へテロシクリル、へテロシクリルアルキル、へテロシクリルカルボニル、へテロシクリルカルボニルアルコキシおよび-L-Mからなる群より選択され;
ここで、必要に応じて、Q^(1)、Q^(2)、Q^(3)、Q^(4)およびQ^(5)の-(C_(1)?C_(30)アルキレン)-ラジカルの1つ以上の炭素原子は、独立して-O-、-C(O)-、-CH=CH-、-C≡C-、N(アルキル)-、-N(アルキルアリール)-または-NH-により置換され;
Gは、糖残基、二糖残基、三糖残基、四糖残基、糖酸、アミノ糖、アミノ酸残基、2?9個のアミノ酸を含むオリゴペプチド残基、トリアルキルアンモニウムアルキルラジカルおよび-S(O)_(2)-OHからなる群より選択され、ここで必要に応じて、Gの該糖残基、二糖残基、三糖残基、四糖残基、糖酸、アミノ糖、アミノ酸残基またはオリゴペプチド残基は、-L-Mで置換され;
Lは、
【化8】

からなる群より選択され;
ここで、Meはメチルであり;
Mは、以下:
【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

ならびに、部分(M11)?(M33)の薬学的に受容可能な塩からなる部分の群より選択され;
R^(2)およびR^(3)は、同じであっても異なっていてもよく、各々は、独立して水素、アルキルおよびアリールからなる群より選択され;
R^(6)、R^(7)およびR^(8)は、同じであっても異なっていてもよく、各々は、独立して水素、アルキル、アリールおよびアリールアルキルからなる群より選択され;
ならびに 各R^(9)は、独立してアルキル、アリール、またはアリールアルキルであり、
各R^(10)は、独立してHまたはアルキルであり;
qは、0または1であり;
rは、0または1であり;
m、nおよびpは、独立して0、1、2、3または4から選択され;ただし、qおよびrのうちの少なくとも1つは1であり、そしてm、n、p、qおよびrの合計は、1、2、3、4、5または6であり;
そして、pが0でありそしてrが1である場合、m、qおよびnの合計は、1、2、3、4または5であり;
x8は、1?10であり;
x9は、1?10であり;
x10は、1?10であり;
x11は、1?10であり;
x12は、1?10であり;
x13は、1?10であり;
x14は、1?10であり;
x15は、1?10であり;および
x16は、1?10であり;
x17は、1?10であり;ならびに
x18は、1?10であり;
ただし、Q^(1)、Q^(2)、Q^(3)、Q^(4)およびQ^(5)のうちの少なくとも1つは-L-Mであるか、またはQ^(1)、Q^(2)、Q^(3)、Q^(4)およびQ^(5)のうちの少なくとも1つはGであり、ここで、該Gの糖残基、二糖残基、三糖残基、四糖残基、糖酸、アミノ糖、アミノ酸残基もしくはオリゴペプチド残基は、-L-Mで置換され、そして
上記のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、アルコキシアルコキシ、アルコキシアルコキシアルコキシ、アルコキシカルボニルアルコキシ、アルコキシアリールアルコキシ、アルコキシイミノアルキル、アルキルジオイル、アリルオキシ、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アロイル、アロイルオキシ、アロイルアロイルオキシ、アリールアルコキシカルボニル、ベンゾイルベンゾイルオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルコキシ、ジオキソラニル(dioxolanyl)、へテロシクリル、へテロシクリルアルキル、へテロシクリルカルボニル、へテロシクリルカルボニルアルコキシ基の各々は、存在する場合、独立して置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい、化合物。
【請求項2】m、nおよびrは各々0であり、qは1であり、pは2であり、そしてZは-CH_(2)-である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】m、nおよびrは各々0であり、qは1であり、pは2であり、そしてZは-CH_(2)-であり、Q^(1)は-OR^(6)であり、ここで、R^(6)は水素であり、かつQ^(5)はフッ素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】R^(2)およびR^(3)が、各々、水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】Q^(1)およびQ^(2)が、各々、独立して-OR^(6)、-O(CO)R^(6)、-O(CO)OR^(9)、および-O(CO)NR^(6)R^(7)からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】Q^(4)が、ハロまたは-OR^(6)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】Q^(1)が、-OR^(6)であり、ここで、R^(6)がHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】Q^(1)、Q^(2)、Q^(3)、Q^(4)またはQ^(5)が、-L-Mである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】Q^(1)、Q^(2)、Q^(3)、Q^(4)またはQ^(5)が、-(C_(1)?C_(30)アルキレン)-Gである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】請求項1に記載の化合物であって、ここでGが、以下:
【化13】

からなる群より選択され、 ここで、R、R^(a)およびR^(b)は、同じであっても異なっていてもよく、各々は、独立してH、-OH、ハロ、-NH_(2)、アジド、アルコキシアルコキシまたは-W-R^(30)からなる群より選択され;
Wは、独立して-NH-C(O)-、-O-C(O)-、-O-C(O)-N(R^(31))-、-NH-C(O)-N(R^(31))-および-O-C(S)-N(R^(31))-からなる群より選択され;
R^(2a)およびR^(6a)は、同じであっても異なっていてもよく、各々は、独立してH、アルキル、アセチル、アリールおよびアリールアルキルからなる群より選択され;
R^(3a)、R^(4a)、R^(5a)、R^(7a)、R^(3b)およびR^(4b)は、同じであっても異なっていてもよく、各々は、独立してH、アルキル、アセチル、アリールアルキル、-C(O)アルキルおよび-C(O)アリールからなる群より選択され;
R^(30)は、独立して、R^(32)置換T、R^(32)置換T-アルキル、R^(32)置換アルケニル、R^(32)置換アルキル、R^(32)置換シクロアルキルおよびR^(32)置換シクロアルキルアルキルからなる群より選択され;
R^(31)は、独立してHおよびアルキルからなる群より選択され;
Tは、独立してフェニル、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ベンゾチアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリルおよびピリジルからなる群より選択され;
R^(32)は、1?3個の置換基であって、各々、独立してH、ハロ、アルキル、-OH、フェノキシ、-CF_(3)、-NO_(2)、アルコキシ、メチレンジオキシ、オキソ、アルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、-N(CH_(3))_(2)、-C(O)-NHアルキル、-C(O)-N(アルキル)_(2)、-C(O)-アルキル、-C(O)-アルコキシおよびピロリジニルカルボニルからなる群より選択される、置換基であるか;
あるいは、R^(32)は共有結合であり、かつR^(31)、それが結合する窒素およびR^(32)は、ピロリジニル基、ピペリジニル基、N-メチル-ピペラジニル基、インドリニル基もしくはモルホリニル基、または、アルコキシカルボニル置換ピロリジニル基、アルコキシカルボニル置換ピペリジニル基、アルコキシカルボニル置換N-メチル-ピペラジニル基、アルコキシカルボニル置換インドリニル基もしくはアルコキシカルボニル置換モルホリニル基を形成する、化合物。
【請求項11】請求項10に記載の化合物であって、ここで、Gが、以下:
【化14】

【化15】

から選択され、ここで、Acはアセチルであり、そしてPhはフェニルである、化合物。
【請求項12】請求項1に記載の化合物であって、必要に応じて、Q^(1)、Q^(2)、Q^(3),Q^(4)およびQ^(5)の-(C_(1)?C_(30)アルキレン)-ラジカルの1つ以上の炭素原子が、独立して-O-で置換される、化合物。
【請求項13】被験体において、アテローム性硬化症、高コレステロール血症およびシトステロール血症、糖尿病、肥満、発作を処置し、哺乳動物の血漿中のコレステロール、フィトステロールまたは5α-スタノール(stanol)の濃度を低下させ、脱髄を処置し、またはアルツハイマー病を処置し、かつ/あるいはアミロイドβペプチドのレベルを調節するための薬学的組成物であって、薬学的に受容可能なキャリア中に、治療有効量の請求項1に記載の化合物を含む、薬学的組成物。
【請求項14】コレステロールを低下させる有効量の請求項1に記載の化合物を薬学的に受容可能なキャリア中に含む、薬学的組成物。
【請求項15】被験体において、アテローム性硬化症、高コレステロール血症およびシトステロール血症、糖尿病、肥満、発作の処置のため、哺乳動物の血漿中のコレステロール、フィトステロールまたは5α-スタノールの濃度を低下させるため、脱髄を処置するため、またはアルツハイマー病を処置するため、あるいはアミロイドβペプチドのレベルを調節するための医薬の製造のための請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項16】処置が必要な哺乳動物の血漿中のコレステロールレベルを低下させるための医薬の製造のための請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項17】請求項1に記載の化合物であって、該化合物が式(II)である、化合物。
【化16】



そうすると、本件補正は、以下の補正を含むものであると認められる。
(補正事項1)
本件補正前の請求項1?12を削除し、本件補正前の請求項17を本件補正後の請求項1にする補正
(補正事項2)
本件補正前の請求項13?16に記載された発明について、その有効成分を本件補正前の請求項1の構造式(IA)で表される化合物から、その下位概念である補正前の請求項17に記載された式(II)で表される化合物へと変更し、本件補正前の医薬用途からアテローム性硬化症、糖尿病、肥満、発作、脱髄、アルツハイマー病、アミロイドβペプチドに関する用途を削除し、これを本件補正後の請求項2?5に記載する補正

2 補正の適否
(1)目的要件
上記補正のうち、(補正事項1)は、請求項の削除を目的とする補正であると認められ、(補正事項2)は、本件補正前の請求項13?16に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の請求項13?16に記載された発明とその補正後の請求項2?5に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であると認められるから、それぞれ、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第1号及び同第2号に掲げる事項を目的とするものに該当する。
そこで、後者の補正が平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に規定する要件を満たすものであるか、すなわち、本件補正後の特許請求の範囲に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかを、以下で検討する。

(2)独立特許要件
本件補正後の請求項2に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)についての発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1項に適合するものであるとはいえないから、本件補正発明は、出願の際独立して特許を受けることができるものであるとはいえない。その理由は、以下のとおりである。

実施可能要件について
請求項1及び2の記載からみて、本件補正発明は、本件補正後の請求項1に記載された式(II)の化合物の薬理作用を利用して、高コレステロール血症、シトステロール血症の処置、血漿中のコレステロール、フィトステロールまたは5α-スタノール(stanol)の濃度を低下させるための薬学的組成物とする点に技術的特徴を有する医薬用途発明であると認められる。医薬用途発明である本件補正発明の実施をするためには、まず、有効成分である式(II)の化合物を入手し、実際にこの化合物の薬理作用が高コレステロール血症、シトステロール血症の処置、血漿中のコレステロール、フィトステロールまたは5α-スタノール(stanol)の濃度を低下させることできるものであることが必要である。そこで、以下、それぞれの観点から検討する。

(ア)有効成分の入手について
本件補正後の請求項1において、式(II)の化合物の発明について特許を受けようとしていることからみて、本件補正発明は、有効成分である式(II)の化合物が、新規化合物であることを前提とするものであると認められ、この化合物が公知化合物であるという事実の存在も認められない。したがって、本件補正発明の実施をするには、有効成分である式(II)の化合物を製造することによって入手する必要がある。
発明の詳細な説明における、有効成分である本件補正後の請求項1の式(II)の化合物の入手に関する記載として、【0122】?【0126】に以下の記載がある。
「【0122】 一般に、式(I)および(IA)の化合物は、以下のスキーム1に記載される一般的経路を通して調製され得る。その分子のアゼチジノン部分およびその分子の-M部分は、例えば、以下のスキーム1に示されるように、リンカー-Lにより連結され得る。リンカー
【0123】
【化46】

を調製するための適切な化合物の非限定的な例は、以下:
【0124】
【化47】

【0125】
【化48】

に示すような様式で、それぞれ、N-Boc-β-アラニン、N-Boc-β-グリシンおよびN-Boc-6-アミノカプロン酸に由来する。
【0126】 一般に、スキーム1において、出発アゼチジノン(例えば、アセトキシで保護されたエゼチミブ6)の、アミン官能性が適正な保護基(例えば、ブトキシカルボニル(Boc))でブロックされ得るアミノ酸およびアミドカップリング試薬(例えば、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドによる処理は、上記保護されたアミノエステルを与え、そのアミノエステルは穏和な酸(例えば、トリフルオロ酢酸)の処理の際に、所望のアミン置換アゼチジノン7を与える。アミドカップリング反応のための溶媒および添加剤の選択は、様々であり得、そして当業者に明らかである。アミン置換アゼチジン7は、カルボキシ置換スタチン8(例えば、シンバスタチン)およびピリジンと反応し、本発明の化合物9を生成する。」

上記スキーム1には、当該化合物と化学構造が一致する化合物である化合物15についての合成経路と主な試薬名が記載されている。しかし、実際の合成反応の操作についての具体的記載はなく、「アミドカップリング反応のための溶媒及び添加剤の選択は、様々であり得、そして当業者に明らかである。」と記載されるにとどまり、反応溶媒、各試薬の添加量、反応温度、後処理の方法、目的物の単離生成の手順についても、具体的に説明する記載はない。上記スキーム1の合成経路は、化合物7と化合物8とを反応させて、化合物7のアミノ基と化合物8の縮合炭素環に直接結合した遊離のカルボキシ基との間でアミド結合を形成することによって、目的物である化合物15を得るものと認められる。

これに対し、本願と同一の出願人による特願2006-509068号(以下、「関連出願」という。特表2006-520822号公報を参照。)の【0173】?【0178】には、以下の記載がある。

「【0173】 (スキーム1.結合体1の合成)
【0174】
【化69】

(方法の記載:)
(方法A:)
ADDP(0.1g、0.39mmol)を、0℃の1mLのTHF中のアゼチジニルフェノール1(0.1g、0.28mmol)、トリブチルホスフィン(0.08g、0.39mmol)、および3-ベンジルオキシ-プロパン-1-オール(42mg、0.255mmol)の溶液に添加した。この反応物を室温まで温めた。さらに0.5mLのTHFを添加して、粘度を低下させた。3.5時間後、この混合物をヘキサン中の20%酢酸エチルで希釈し、そしてCeliteを通して濾過し、濃縮後に、0.078gのエーテル2を無色オイルとして得た。【0175】
【化70】

(方法B:)
エーテル2(0.07g、0.134mmol)を3mLの酢酸エチル中に溶解し、そして7mgの5%炭素担持パラジウムで処理した。この混合物を1atmの水素ガス下で3時間、室温にて攪拌した。Celiteを通して触媒を濾過し、そして溶出物を濃縮して、定量的収率の所望のアルコールを得た。
【0176】
(方法C:)
THF中のアルコール(0.36g、0.83mmol)の溶液に、0.272gのトリフェニルホスフィン(1.04mmol)を添加した。この混合物を-20℃まで冷却し、そして0.20mLのジエチルアゾジカルボキシレート(0.27g、1.04mmol)を滴下した。この混合物に、0.22mLのジフェニルホスホリルアジド(0.29g、1.04mmol)を添加し、そして反応物を一晩、室温まで温めた。この混合物を減圧下で濃縮し、そしてSiO_(2)でのクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン中15?20%酢酸エチルで溶出させて、0.263gの所望のアジ化合物を無色オイルとして得た。
【0177】
(方法D:)
12mLの1:1のメタノール-酢酸エチル中のアジ化合物(0.263g、0.58mmol)の溶液に、26mgの10%炭素担持パラジウムを添加した。この混合物を1atmの水素ガス下で5時間攪拌した。Celiteを通して触媒を濾過し、そして溶媒の濃縮によって、0.246gの所望のアミン3を得た。
【0178】
(方法E:)
19mgのピリジン中のロバスタチン4(Merck & Co.からMEVACOR(登録商標)として市販される)(0.039g、0.1mmol)および0.045gのアミン3(0.11mmol)の混合物を、室温にて24時間攪拌した。この反応物をSiO_(2)でのクロマトグラフィーに2回かけ、ジクロロメタン中の2?5%のメタノールで溶出させて、0.028gの所望の生成物5(m.p.=67?68℃)を得た。」

関連出願の上記記載は、方法Eの化合物3と化合物4のピリジン中での反応により、化合物3のアミノ基と化合物4の6員環ラクトンのカルボキシ基とが反応してアミド基が形成されることを示している。このことから、上記スキーム1における化合物8は、遊離のカルボキシ基の他に、関連出願における化合物3と同様に、6員環ラクトンを形成しているカルボキシ基を有するから、アミノ基と反応し得る基として、複数の置換基を有するものであると認められる。このような状況において、スキーム1に記載された合成反応を行う際に、どのように反応条件を設定すれば、化合物7のアミノ基を化合物8の遊離のカルボキシ基とのみ反応させられるのか、発明の詳細な説明には何ら説明もなく、手掛かりとなる記載もない。

そうすると、発明の詳細な説明の記載に基づき、式(II)の化合物を製造しようとする場合には、所望の目的物が得られるような反応溶媒、各試薬の添加量、反応温度、後処理の方法、目的物の単離生成の手順を試行錯誤により決定して化合物を製造する必要があり、当業者に過度の負担を強いるものである。
したがって、発明の詳細な説明の記載は、当業者が式(II)の化合物を入手することができる程度に記載したものであるとはいえない。

(イ)有効成分の薬理作用について
本件補正発明の医薬について、【0127】に以下の記載がある。
「【0127】 式(I)の化合物の毎日の用量は、1回の用量で、または2?4回に分けられた用量で与えられる、一日につき約0.1?約1000mg、好ましくは約0.25?約100mg/日、そしてより好ましくは一日につき約5、10、20、30、40、50、60、70、80、90または100mgの範囲であり得る。しかし、正確な用量は、担当臨床医によって決定され、投与される化合物の効力、患者の年齢、体重、状態および応答に依存する。語句「有効な量」および「治療的に有効な量」は、処置される状態もしくは疾患の症状の軽減、および1つ以上の状態(例えば、高脂血症(例えば、アテローム硬化症、高コレステロール血症もしくはシトステロール血症)のような血管状態、血管炎症、脳卒中、糖尿病、肥満)の予防、その進行の緩徐化または停止および/または被験体の血漿中のステロール(例えば、コレステロール)もしくはスタノールのレベルを減少させることを含む、投与者(例えば、研究者、医者または獣医)によって求められる組織、系、動物または哺乳動物の生物学的応答また医学的応答を惹起させる、式Iの化合物、および以下に記載の他の薬理剤または治療剤の量を意味する。本明細書で使用される場合、「血管」は、心臓血管、脳血管、末梢血管、およびそれらの組み合わせを包含する。本発明の処方物または組成物、組み合わせおよび処置は、これらの化合物と身体の中(例えば、哺乳動物またはヒトの血漿、肝臓または小腸)の作用部位との接触を生じる、任意の適切な手段によって投与され得る。」
この記載は、式(II)の化合物を包含する式(I)の化合物の用量や投与部位に関する一般的な説明であると認められる。

【0157】には、以下の記載がある。
「【0157】 本発明の処置組成物および治療的組み合わせは、以下の実施例で示されるように、哺乳動物において、コレステロールの腸での吸収を阻害し得、そして状態、例えば血管状態(例えば、アテローム性硬化症、高コレステロール血症およびシトステロール血症)、発作、肥満の処置および/または予防ならびに哺乳動物、特に哺乳動物においてコレステロールの血漿レベルの低下において有用であり得る。」
この記載は、式(II)の化合物がステロール吸収の阻害、フィトステロール等の血中濃度を低下させ得ることについての一般的な記載であると認められる。

また、【0160】?【0161】には、以下の記載がある。
「【0160】(仮想的インビボ評価)
高コレステロール血症のゴールデンシリアンハムスターをインビボモデルとして使用して、コレステロール吸収インヒビターの経口効力およびインビボでの有効性を評価し得る。ハムスターに7日間、コレステロール含有食餌を与え、これにより肝臓のコレステリルエステルの増加を引き起こす。腸でのコレステロール吸収をブロックする化合物は、肝臓のコレステリルエステルレベルの蓄積を低下させる。
【0161】
雄性のゴールデンシリアンハムスター(Charles River Labs,Wilmington,MA)に、研究の開始まで、Wayneげっ歯類食餌を与えた。研究の開始(1日目)において、動物をいくつかのグループ(1グループあたり4?6匹)に分け、0.5重量%のコレステロール(Research Diets Inc.,New Brunswick,NJ)を補充した食餌を与えた。1つのグループのハムスターは、体重1kgあたり3mgの式(II)、(III)、(IV)または(V)の化合物のいずれか1種の投与量を、1日目に始まり、7日間、毎日1回、0.2mlのトウモロコシ油中の経口栄養を介して受取った。コントロールグループのハムスターは、偽薬のトウモロコシ油を、同量、同スケジュールで受取った。7日目に、肝臓試料を中性脂質分析のために採取する。肝臓の試料を脂質抽出する。脂質抽出物を、窒素下で乾燥して、HPLC試料バイアル中へ入れ、ヘキサンに再懸濁し、Zorbax Sil(4.6×25cm)シリカカラムへ注入する。クロマトグラフィーを、98.8%ヘキサンおよび1.2%イソプロパノールを含む無勾配(isocratic)移動相を、毎分2mlの流速で用いて実施した。脂質を、206nmでの吸光度で検出し、溶出プロフィールのコンピューター積分(System Gold,Beckman)により定量し得る。コレステロール濃度を、既知量のコレステロールを用いる標準曲線から誘導される応答係数の使用により決定し得る。肝臓由来の試料のコレステリルエステル含量は、既知量のオレイン酸コレステリルを用いて構築された標準曲線から導出され得る。オレイン酸コレステリルを標準として使用し得る。なぜなら、これは、肝臓に存在する主要なコレステリルエステル種であり、この特定のコレステリルエステルは、肝臓に存在するすべてのコレステリルエステルに対する荷重平均に近い吸光係数を有するからである。」
この記載は、式(II)の化合物の薬理作用について、ハムスターをインビボモデルとした試験の実施方法を説明する記載であると認められる。しかし、発明の詳細な説明には、「肝臓のコレステリルエステル蓄積の低下を、コレステロール吸収阻害のマーカーとして利用する。」と記載されるにとどまり、試験結果は記載されておらず、実際に試験を行ったとの記載もない。そして、発明の詳細な説明の他の箇所にも、式(II)の化合物が実際にコレステロール吸収阻害作用を示すものであると当業者が客観的に判断し得るような記載はない。

そうすると、発明の詳細な説明には、本件補正発明における有効成分である式(II)の化合物のステロール吸収の阻害、フィトステロール等の血中濃度を低下の作用について、漠然とした記載があるにとどまり、当該化合物のコレステロール吸収阻害の程度についての情報が発明の詳細な説明に記載されていないから、発明の詳細な説明の記載から、当業者が本件補正発明を実施する場合には、改めて実際に化合物が活性を有することを確認し、用量を決定するための活性試験を試行錯誤により繰り返す必要がある。
また、【0160】に「仮想的インビボ評価」と記載されているように、発明の詳細な説明に記載されている薬効の評価はあくまで「仮想的」なものにとどまり、実際に当該化合物がコレステロール吸収阻害を有すること自体、現実に確認されたことであるとはいえない。
したがって、発明の詳細な説明の記載は、当業者が式(II)の化合物のコレステロール吸収阻害を利用することができる程度に記載したものであるとはいえない。

実施可能要件についてのまとめ
以上のとおり、発明の詳細な説明の記載は、本件補正発明における有効成分である式(II)の化合物を当業者が入手して、その薬理作用を利用することができる程度に記載したものとはいえないのであるから、このような発明の詳細な説明の記載は、本件補正発明について、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえない。

ウ 独立特許要件についてのむすび
発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に適合するものでないから、本件補正発明は、出願の際独立して特許を受けることができるものであるとはいえない。

3 補正却下についてのむすび
上記のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、[補正の却下の決定の結論]のとおり、決定する。

第3 本願の特許請求の範囲の記載
上記のとおり、本件補正は却下されたから、本願において特許を受けようとする発明は、本件補正前の平成22年 7月15日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲(以下「本願の特許請求の範囲」という。)の請求項1?17に記載されたとおりの事項により特定されるものと認められ、特許請求の範囲の請求項1?17には、上記第2 1に示したとおりの記載がある(以下、その発明を請求項に記載された順に「本願発明1」などといい、まとめて「本願発明」ともいう。)。また、本願についてなされた手続補正は、いずれも、明細書についての補正を含んでいないから、発明の詳細な説明の記載は、上記第2で検討したものと同じである。

第4 原査定の拒絶の理由
平成22年 8月12日付けの拒絶査定には「この出願については、平成22年 4月13日付け拒絶理由通知書に記載した理由1、2によって、拒絶をすべきものです。と記載されている。また、平成22年 4月13日付けの拒絶理由通知書には、「理 由」の欄に「1.この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
2.この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。」との記載があり、「記」には、以下の記載がある。
「理由1,2について
本願請求項に係る発明は、化合物、医薬に関するものであるが、発明の詳細な説明には、請求項1、請求項18に記載の化合物を具体的に製造し、その活性を確認した実施例等は記載されていない。しかし、通常、化学物質はその化学構造から反応性や、活性等の性質を予測することは困難であるから、かかる発明の詳細な説明の記載によっては、当業者が本願請求項に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものということはできず、また、本願請求項に係る発明は発明の詳細な説明に記載したものということはできない。」
この拒絶理由通知がされた時点での特許請求の範囲は、平成19年 2月28日付の手続補正により補正された特許請求の範囲であって、その請求項2?17に記載された発明は、請求項1に記載された発明に包含されるものであり、請求項19?33に記載された発明は、請求項18に包含されるものであった。そして、平成22年 7月15日付けの手続補正について、請求人は同日付の意見書において、
「1.1 補正後の請求項と補正前の請求項の対応関係は、以下の如くであります。
補正後 補正前
1?17
1?16 18?33
17 ・・・
1.7 新請求項として請求項17を追加しました。[0065]?[0067]および補正前の請求項13に支持されています。」
と述べているように、拒絶査定時の特許請求の範囲、すなわち、本願の特許請求の範囲に記載された請求項1?17は、上記拒絶理由が通知された時点での請求項18?33、13に対応する。
したがって、原査定の理由は、「発明の詳細な説明の記載は、本願発明1?17について、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでないから、特許法第36条第4項第1号に適合せず、本願は、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない。」という理由と、「本願発明1?17は、発明の詳細な説明に記載したものでないから、特許法第36条第6項第1号に適合せず、本願は、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない。」という理由を含むものであると認められる。

第5 当審の判断
1 実施可能要件について
上記第2 2(1)で指摘したように、本件補正発明は、本件補正前の請求項13に記載された発明である本願発明13を限定して特定したものであると認められるから、本願発明13は、本件補正発明を包含するものである。
そして、上記第2 2(2)で検討したとおり、発明の詳細な説明の記載は、本件補正発明について、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえず、また、上記第3で指摘したとおり、本願においては明細書は補正されていないのであるから、本件補正発明を包含する本願発明13についても、同様の理由で発明の詳細な説明に当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえない。
発明の詳細な説明の記載は、本願発明13における化合物を当業者が製造して、当該発明を当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえないから、本願発明13に包含される本願発明1?12及び14?17についても、上記と同様の理由で、発明の詳細な説明に当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえない。
したがって、発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に適合するものであるとはいえない。

2 サポート要件について
本願発明1及び17は、それぞれ、請求項1及び17に記載された構造式(IA)で表される化合物の発明であって、発明の詳細な説明の記載からみて、これら発明の課題は、コレステロール吸収抑制剤としての有用性が期待される新規化合物を提供することであると認められる。本願においてこれら化合物の発明について特許を受けようとしているのは、当該化合物が新規化合物であることを前提としているといえる。そして、これら化合物が新規化合物であるということは、これら化合物は、本願優先日前に知られていなかった化合物であるから、製造する他に入手する手段がないものであると認められる。そうすると、本願発明1及び17の課題が解決できるということは、発明の詳細な説明の記載及び技術常識を考慮した場合に、本願発明1及び17の化合物は、当業者がこれらを製造して提供できる化合物であると認識できる範囲のものであるかどうかを検討する必要があるといえる。そこで、上記観点に立って、以下検討する。
本願発明1の化合物について、発明の詳細な説明には、その化学構造式は記載されているということはできる。また、【0123】?【0126】のスキーム1には、本件補正前の請求項17に記載された化合物と化学構造が一致するものである化合物15について、合成経路と主な試薬名が記載されている。しかし、発明の詳細な説明の上記記載に基づき化合物15である式(II)の化合物を得ようとする場合には、所望の目的物が得られるような反応溶媒、各試薬の添加量、反応温度、後処理の方法、目的物の単離精製の手順を試行錯誤により決定して化合物を製造する必要があり、当該化合物の入手について当業者に過度の負担を強いるものである点は、既に上記(1)において指摘したとおりである。発明の詳細な説明には、当該化合物を含め、本願発明1のいずれについても、当該化合物の実在を裏付けるような物性値に関する記載がないだけでなく、発明の詳細な説明において、唯一、その製造について言及された化合物15すなわち本願発明17の化合物についてすら、発明の詳細な説明の記載に基づいて、当業者が製造し得るとはいえない点からみて、化合物が実在するものとして記載されているとはいえない。また、化合物の活性の評価について、発明の詳細な説明には「仮想的インビボ評価」と記載され、現実に当該評価を行った旨の記載もないことからみても、化合物が実際に入手されていたとは言い難い。
このように、本願発明1及び17の化合物は、発明の詳細な説明の記載及び技術常識を考慮した場合に、当業者がこれらを製造して提供できると認識できる範囲のものであるとはいえないから、本願発明1及び17は、発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえない。そして、有効成分として用いる化合物が提供できるものと認識し得る範囲内のものでないのであるから、本願発明2?16についても、本願発明1及び17について上記で述べたのと同様の理由で、発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえない。
したがって、本願の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に適合するものであるとはいえない。

3 請求人の主張について
原査定の理由に対して、請求人は、審判請求書及び審尋に対する回答書で、概略以下の主張をしている。

(1)「 4.2.1 補正後の本願発明は、本願明細書に記載のスキーム1(段落[0122]?[0126])を見れば、当業者は過度の実験や間違いをすることなく本願発明の化合物を製造し、使用することができます。式(II)の化合物(段落[0125]においては、化合物15として示されています)は、当業者および商業的によく知られたエゼチミブとシンバスタチンの化合物からなり、リンカーL(酸不安定連結基:β-アラニン由来)によって連結されており、身体において代謝され得ます。段落[0126]には、「アミドカップリング反応のための溶媒および添加剤の選択は、様々であり得、そして当業者に明らかである。」とあるように、スキーム1の反応条件は、当業者により容易に決定できるものです。以上のように式(II)の化合物を得るために用いる特定の物質は、本願のスキーム1に明確に開示されています。当業者はスキーム1を見れば、式(II)の化合物を得るために過度の実験や間違いをすることなく適正な条件を容易に決めることができるものと思料いたします。」(審判請求書5頁3段落)

(2)「4.2.2 本願明細書、特に段落[0157]の詳細な記述を読み込めば、本願発明の化合物が顕著な効果(例えば、高コレステロール解消)を有している事を予期する事ができるものと思料いたします。本願発明の疾病はすべて高いコレステロール濃度に関係しています。また、上記のように、本願発明の化合物は、エゼチミブとシンバスタチンからなり、代謝されると、エゼチミブとシンバスタチンに相当する化合物を生成します。これらは、本願発明の疾患を処置するために利用され得ます。よって、本願発明は実施可能要件およびサポート要件を十分に満たしていると思料いたします。」(審判請求書5頁4段落)

(3)「請求項1に規定される式(II)の化合物は、本願の段落[0125]のスキーム1において化合物15としてその合成方法が示されています。以下にスキーム1を示します。・・・
このスキーム1は、以下の2つの工程を含みます:
(1)化合物6から化合物7:アミノ保護基(例えば、Boc)を使用するエステル化によるアミンの形成。
(2)化合物7から化合物15:アミン部分とカルボン酸との反応によるペプチド構造の形成。
ステップ(1)について
甲第1号証の第1159頁第1段落は、以下のように記載しています:
「アミノ基は、幅広い種々の試薬、特に、酸化試薬、アルキル化試薬および多くのカルボニル化合物との反応に感受性である。従って、私たちが分子内のその他の場所において化学変化を生じながら、アミノ基が望ましくない反応を受けることを妨げることを望む場合、適切に保護されなければならない。任意の他の官能基よりもアミノ基を保護する方法についてより多くの文書化された化学がある。これは、ペプチド合成が非常に重要になっており、第25章に見られるように、アミノ基が適切に保護され得ない場合、その構成アミノ酸から特定の構造のペプチドを合成することは不可能であるからである。」
さらに、甲第1号証の第1159頁は、アミンの有用な保護基がR-O-C(=O)-であることを記載し、アルキルカルボニル構造ではなく、アルコキシカルボニル構造を有する点で、通常のR-C(=O)-のアシル基とは異なることが記載されています。ここで、Bocが最も使用される保護基の1つであることが記載されています。
甲第1号証の第1160頁は、ペプチド構造を有するアミノ調製についての具体例を示しています:
ステップ(2)について
甲第1号証は、カルボン酸誘導体からアミドを形成する条件を記載しています(1177頁、表24-1)。以下に一部を抜粋します。
ステップ(2)について
甲第1号証は、カルボン酸誘導体からアミドを形成する条件を記載しています(1177頁、表24-1)。以下に一部を抜粋します。

「表24-1
アミド形成において一般的に使用されるカルボン酸の誘導体および反応性


a通常の温度において、カップリング剤による活性化を必要とするが、強い加熱は、直接的にアミドを与え得る。」
従って、上記のように、カルボン酸誘導体を使用することによるアミドの形成の一般的な知識に基づいて、当業者は、この反応を実施するために選択される適切な条件がどのようなものであるかを明確に理解し得、本願発明の化合物が実際に得られていることを明確に理解し得ます。 ・・・
本願明細書の記載および出願時における技術常識を考慮すれば、本願発明の化合物について、当業者は、作製することが可能であり、使用することができます。特許法第36条第4項第1号および第6項第1号の要件を満たしています。 」(回答書4頁最終段落?7頁下から4行)

請求人の上記主張について、検討する。

請求人の主張(1)について
請求人の主張する(1)の点は、本願においては、段落【0122】?【0126】の記載と、商業的に入手可能な原料から、過度の実験や間違いをすることなく当業者は目的物を得る適正な条件を容易に決めて、本願発明の化合物を製造することができるので、発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に適合するものである旨を主張するものである。
しかし、既に第2 2(2)ア(ア)で述べたとおり、【0122】?【0126】の記載を検討しても、発明の詳細な説明の記載は、本件補正発明の有効成分である式(II)の化合物を製造して入手することができる程度に記載されたものとはいえないのであって、当該化合物を包含する本願発明の化合物についても、同じ理由で、発明の詳細な説明の記載は、技術常識を考慮しても、当業者が製造することができる程度に記載されたものとはいえない。
したがって、請求人の主張する(1)の点によって、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に適合するものであるということはできない。

請求人の主張(2)について
請求人の主張する(2)の点は、【0157】の記載から、本願発明の化合物が高コレステロール解消等の効果を有していると予期することができ、また、上記のように、本願発明の化合物は、代謝されると、エゼチミブとシンバスタチンに相当する化合物を生成するから、本願発明の疾患を処置するために利用され得るので、本願の特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に適合する旨を主張するものである。
しかし、【0157】の記載は、一般的な記載によって、本願発明の化合物に請求人が期待した薬効を漠然と記載したものであって、発明の詳細な説明には、本願発明の化合物が実際にコレステロール吸収阻害の作用を示すと当業者が客観的に理解するような記載がないことは、既に第2 2(2)ア(イ)で述べたとおりである。
請求人が主張する、本願発明の化合物は、代謝されると、エゼチミブとシンバスタチンに相当する化合物を生成するという点についても、実際に確認されていないので、請求人の憶測に過ぎないから、このことを根拠に本願発明の化合物が実際にコレステロール吸収阻害の作用を示すと当業者が客観的に理解するような事項でもない。
したがって、請求人の主張する(2)の点によって、本願の特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に適合するものであるということはできない。

請求人の主張(3)について
請求人の主張する(3)の点は、甲第1号証に記載されたような、カルボン酸誘導体を使用することによるアミドの形成の一般的な知識に基づいて、当業者は、この反応を実施するために選択される適切な条件がどのようなものであるかを明確に理解し得、本願発明の化合物が実際に得られていることを明確に理解し得るので、発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に適合するものであり、本願の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に適合するものである旨を主張するものである。
しかし、関連出願において6員環ラクトンは、反応してアミド基を形成することが確認されていることから、本願のスキーム1中の化合物8には、アミノ基と反応し得る基として、遊離のカルボキシ基の他に、6員環ラクトンを形成しているカルボキシ基が存在すると認められることは、上記第2 2(2)ア(ア)において既に指摘したとおりである。そして、請求人が回答書で提示した甲第1号証には、遊離のカルボキシ基の「アミド形成における反応性」は「低い」ことが示されているから、化合物8中に存在する、アミノ基と反応し得る基である、遊離のカルボキシ基及び6員環ラクトンを形成しているカルボキシ基のうち、反応性の低い方であると認められる遊離のカルボキシ基のみが反応するようにするには、何らかの工夫が必要であると考えられるにもかかわらず、発明の詳細な説明には、そのような手段について何ら説明がなく、その手掛かりとなる記載もない。
したがって、甲第1号証の記載を含め、技術常識を考慮しても、発明の詳細な説明の記載から、当業者が本願発明の化合物を製造し、入手することができるとはいえないから、請求人の主張する(3)の点によって、発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に適合するものであるということはできず、また、本願の特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に適合するものであるということもできない。

4 まとめ
以上によれば、発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に適合するものではなく、また、本願の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に適合するものではないから、本願は、特許法第36条第4項及び同第6項に規定する要件を満たしていない。

第6 むすび
以上のとおり、本願は、特許法第36条第4項及び同第6項に規定する要件を満たしていないから、その余について検討するまでもなく、本願は、特許法第49条第4号に該当し、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-01-29 
結審通知日 2013-01-30 
審決日 2013-02-28 
出願番号 特願2006-509070(P2006-509070)
審決分類 P 1 8・ 537- Z (C07D)
P 1 8・ 536- Z (C07D)
P 1 8・ 575- Z (C07D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 冨永 保  
特許庁審判長 柳 和子
特許庁審判官 齋藤 恵
中田 とし子
発明の名称 置換アゼチジノン化合物、置換アゼチジノン化合物を調製するためのプロセス、それらの処方物および使用  
代理人 森下 夏樹  
代理人 安村 高明  
代理人 山本 秀策  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ