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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04J
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04J
管理番号 1276691
審判番号 不服2011-25964  
総通号数 165 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-12-01 
確定日 2013-07-10 
事件の表示 特願2005-174274「一定の全持続時間を有するフレームを生成する方法、装置およびシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 1月 5日出願公開、特開2006- 5932〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成17年6月14日(パリ条約による優先権主張2004年6月17日 欧州特許庁)の出願であって、平成23年7月26日に拒絶査定がなされ、これに対し、平成23年12月1日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに同日付けで手続補正がなされたものである。

第2.補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成23年12月1日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本願発明と補正後の発明
上記手続補正(以下、「本件補正」という。)は、本件補正前の平成23年4月11日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、

「【請求項1】
一定の全持続時間を有するフレームを生成する方法であって、
前記フレームは、双方向通信チャネルにおいて情報を送信するために用いられることを意図するものであり、
前記フレームは、所定の数のタイムスロットに分割され、
前記タイムスロットのそれぞれは、前記双方向通信チャネルによって提供される第1または第2の通信方向に割り当てられる
方法において、前記方法は、
前記フレームに含まれる2つの連続するタイムスロットが互いに逆の通信方向に割り当てられている場合に、前記2つの連続するタイムスロットの間にのみガードインターバルを配置するステップと、
前記ガードインターバルの持続時間を、複数のシンボルを送信するための全持続時間に調整するステップと
を含む、方法。」

という発明(以下、「本願発明」という。)を、平成23年12月1日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、

「【請求項1】
一定の全持続時間を有するフレームを生成する方法であって、
前記フレームは、双方向通信チャネルにおいて情報を送信するために用いられることを意図するものであり、
前記フレームは、所定の数のタイムスロットに分割され、
前記タイムスロットのそれぞれは、前記双方向通信チャネルによって提供される第1または第2の通信方向に割り当てられる
方法において、前記方法は、
前記フレームに含まれる2つの連続するタイムスロットが互いに逆の通信方向に割り当てられている場合に、前記2つの連続するタイムスロットの間にのみガードインターバルを配置するステップと、
前記ガードインターバルの持続時間を、複数のシンボルを送信するための全持続時間に調整するステップであって、調整された前記ガードインターバルの前記持続時間は、1つの前記シンボルの持続時間の整数倍である、持続時間を調整するステップと
を含む、方法。」

という発明(以下、「補正後の発明」という。)に補正することを含むものである。

2.新規事項の有無、補正の目的要件について
本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において、本願発明の「ガードインターバルの持続時間」に関し、「調整された前記ガードインターバルの前記持続時間は、1つの前記シンボルの持続時間の整数倍である、」という構成を付加して限定し、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項(新規事項)及び平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項(補正の目的)の規定に適合している。

3.独立特許要件について
上記本件補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、上記補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのかどうかについて以下に検討する。

(1)補正後の発明
上記「1.本願発明と補正後の発明」の項で「補正後の発明」として認定したとおりである。

(2)引用発明
原審の拒絶理由に引用例1として引用された、特開平11-234242号公報(以下、「引用例」という。)には「時分割複信CDMA移動体通信システム及び方法」として図面とともに以下の事項が記載されている。

イ.「【請求項15】 移動無線端末装置からの上り回線の総情報量と前記移動無線端末装置へ向かう下り回線の総情報量との比に応じて、前記上り回線に割り当てるタイムスロット数と前記下り回線に割り当てるタイムスロット数の比を調節し、複数の通信チャネルに対して、要求される情報速度と情報量とに応じて、前記上り回線と前記下り回線とに、拡散率、多重コード数及び使用するタイムスロットをそれぞれ個別に設定し、前記上り回線と前記下り回線とに割り当てられたタイムスロットに応じて、送信と受信とを切り替えることを特徴とする時分割複信CDMA移動体通信方法。
(中略)
【請求項19】 連続する複数のタイムスロットが割り当てられた通信チャネルにおける前記タイムスロット間に存在するガードタイムシンボルを、制御用シンボル又はユーザーデータシンボルに置き換えることを特徴とする請求項15乃至請求項18のいずれかに記載の時分割複信CDMA移動体通信方法。」(2頁2欄?3頁3欄)

ロ.「【0209】(実施の形態7)図13は、本発明の実施の形態7に係る時分割複信CDMA移動体通信システムにおけるタイムスロットのシンボル構成図である。本実施の形態7を説明するに当たって、図1に示した実施の形態1の構成を適用する。
【0210】図13(a)に示すように、1タイムスロットは、パイロットシンボル(同期検波用シンボル)PL、情報シンボルDATA、ガードタイムシンボルGTで構成されている。
【0211】パイロットシンボルPLは、予め定められた位相でシンボルを送信して、同期検波における基準位相とするためのシンボルである。情報シンボルDATAは、ユーザー情報や、回線制御用の制御情報を伝送するシンボルである。ガードタイムシンボルGTは、基地局と移動局の同期誤差や、伝搬遅延によって、上り回線の信号と下り回線の信号が衝突するのを避けるために設けられるものであり、この区間は信号を送信しないようになっているまた、図13(b)は、(a)のガードタイムシンボルGTをパイロットシンボルPLで置き換えたものである。
【0212】ここで、図1に示した制御手段112は、システム内の各移動局との間の通信チャネルについて上り回線の情報量と下り回線の情報量を調査し、集計する。下り回線の情報量の総和と上り回線の情報量の総和を比較して、下り回線の情報量の総和が上り回線の情報量の総和よりも大きければ下り回線に割り当てるスロット数を上り回線に割り当てるスロット数よりも多く設定し、上り回線の情報量の総和が下り回線の情報量の総和よりも大きければ上り回線に割り当てるスロット数を下り回線に割り当てるスロット数よりも多く設定する。4つのタイムスロットを、下り回線に3タイムスロット、上り回線に1タイムスロットを割り当てた場合を例に説明する。
【0213】図14(a)は、タイムスロット1、タイムスロット2、タイムスロット3を下り回線に割り当て、タイムスロット4を上り回線に割り当てた場合の、1フレームのシンボル系列を示す。
【0214】図14(a)では、どのタイムスロットも図13(a)に示すシンボル構成で構成されおり、パイロットシンボルPL、情報シンボルDATA及びガードタイムシンボルGTが順々に繰り返されている。
【0215】しかし、タイムスロット1とタイムスロット2は、ともに下り回線に割り当てられており、原理的に同期誤差や伝搬遅延に差はなく、タイムスロット1のガードタイムシンボルGTは必要ない。タイムスロット2とタイムスロット3についても同様で、ともに下り回線に割り当てられており、原理的に同期誤差や伝搬遅延に差はなく、タイムスロット2のガードタイムシンボルGTは必要ない。そこで、タイムスロット1とタイムスロット2のシンボル構成を図13(b)に示すシンボル構成に変更してパイロットシンボルPLを増やしたものが、図14(b)である。タイムスロット1とタイムスロット2にはガードタイムシンボルGTは必要ないので、ガードタイムシンボルGTをパイロットシンボルPLに置き換えて、パイロットシンボルPLを増やすと、同期検波に用いる基準位相の精度を高めることができる。これにより、同期検波の性能が向上し、通信チャネルの通信品質が向上する。
【0216】図13(b)において、ガードタイムシンボルGTを置き換えるだけでなく、情報シンボルDATAとパイロットシンボルPLの位置を入れ替えて、ガードタイムシンボルGTがなくパイロットシンボルPLが並ぶように、シンボル構成を変更しても、同様に通信品質を向上させることができる。
【0217】また、ガードタイムシンボルGTを置き換えるのは、パイロットシンボルPLではなく、その他の制御用のシンボルとしてもいいし、情報シンボルDATAを繰り返してもよい。
【0218】また、下り回線に割り当てられたスロットが連続する場合について説明したが、ある通信チャネルで上り回線に割り当てられたタイムスロットが連続する場合についても同様である。
【0219】また、下り回線に割り当てられたタイムスロットが連続したり、ある通信チャネルについて上り回線に割り当てられたタイムスロットが連続した場合には、自動的に間に存在するガードタイムシンボルGTのガードタイムスロットをパイロットシンボルPLで置き換えたり、ガードタイムシンボルGTのないシンボル構成に変更したりすることを、予め定めておけば、タイムスロットのシンボル構成が変更になったかどうかを基地局と移動局の間で通知したりする必要は生じない。
【0220】また、ガードシンボルをパイロットシンボルPLに置き換えるだけであれば、誤り訂正符号化手段や誤り訂正復号手段の処理に影響を及ぼすことはない。
【0221】このように、実施の形態7によれば、システム内の上り回線の総情報量と下り回線の総情報量の比に応じて、上り回線に割り当てるタイムスロット数と下り回線に割り当てるタイムスロット数の比を調節して、各通信チャネルに対して、要求される情報速度と情報量に応じて、上り回線と下り回線に、拡散率と多重コード数及び使用するタイムスロットとをそれぞれ個別に設定し、上り回線と下り回線に割り当てられたタイムスロットに応じて送信と受信とを切り替えて、上下回線の情報量が非対称な通信を含むさまざまな通信を効率的に収容できる通信システムにおいて、不要なガードタイムシンボルGTを取り除いて、通信品質を向上させることができる。」(16頁29欄?17頁31欄)

上記イ.?上記ロ.の記載及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、
引用例には、上記イ.にあるように、上り回線の信号と下り回線から構成される通信チャネルにおいて、上り回線に割り当てるタイムスロットと下り回線に割り当てられるタイムスロットにより行われる時分割複信通信について記載がある。
上記ロ.の記載によれば、各タイムスロットは情報シンボルDATA区間とガードタイムシンボル区間を含んでおり、前記情報シンボルDATA区間は、ユーザー情報を送信するシンボル(ユーザデータシンボル)から構成されている。また、前記ガードタイムシンボル区間は、段落【0211】に記載のように「上り回線の信号と下り回線の信号が衝突するのを避けるために設けられる」ものであり、【図13】(a)に示されるように各タイムスロットの最後尾に位置しており、ガードタイムシンボルから構成されている。
そして、【図14】(a)に示されるように、所定の数(図では4個)のタイムスロットから1フレームが構成されている。ここで、フレームからみれば、所定の数のタイムスロットに分割されているということができる。
このようなフレーム構成において、上記イ.の【請求項19】、上記ロ.の段落【0213】?【0219】及び【図14】(a)に記載されるように、連続するタイムスロット(タイムスロット1(第1タイムスロット)及びタイムスロット2(第2タイムスロット))が同じ通信方向に割り当てられる場合、原理的にガードタイムシンボルが必要ないため、先行するタイムスロット(タイムスロット1)の最後尾に位置するガードタイムシンボル区間のガードタイムシンボルはユーザデータシンボルに置き換えられる。ここで、連続するタイムスロット(第3タイムスロット及び第4タイムスロット)が異なる通信方向に割り当てられる場合、ガードタイムシンボルが必要であるから、【図14】(a)の図示のとおりに各タイムスロットの最後尾の位置にガードタイムシンボル区間が設けられることになる。
このように、引用例では、割り当てられる通信方向に応じて各タイムスロットの構成を変えたフレームが生成されている。

したがって、上記引用例には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されていると認める。

(引用発明)
「フレームを生成する方法であって、
前記フレームは、上り回線及び下り回線から構成される通信チャネルにおいてユーザデータシンボルを送信するためのものであり、
前記フレームは、所定の数のタイムスロットに分割され、
前記タイムスロットのそれぞれは、前記上り回線または下り回線に割り当てられる
方法において、前記方法は、
前記フレームに含まれる2つの連続するタイムスロットが互いに逆の通信方向に割り当てられている場合に、前記2つの連続するタイムスロットの先行するタイムスロットの最後尾にガードタイムシンボル区間を配置する手段と、前記フレームに含まれる2つの連続するタイムスロットが同じ通信方向に割り当てられている場合に、前記2つの連続するタイムスロットの先行するタイムスロットの最後尾のガードタイムシンボル区間におけるガードタイムシンボルをユーザデータシンボルで置き換える手段と
を含む、方法。」

(3)対比・判断
引用発明の「フレーム」は、所定の数(【図14】(a)では4個)のタイムスロットから構成されており、各タイムスロットが一定の時間長を有するものであることは図等より明らかであるから、補正後の発明の「一定の全持続時間を有するフレーム」に相当する。
引用発明の「上り回線及び下り回線から構成される通信チャネル」については、「上り回線」及び「下り回線」が通信方向を逆方向とするものであることから、補正後の発明の「双方向通信チャネル」に相当する。
引用発明の「ユーザデータシンボル」は、ユーザ情報のシンボルであるから、補正後の発明の「情報」に相当する。
引用発明の「上り回線または下り回線に割り当てられる」については、「上り回線」及び「下り回線」が通信方向を逆方向とするものであることから、補正後の発明の「双方向通信チャネルによって提供される第1または第2の通信方向に割り当てられる」に相当する。
引用発明の「ガードタイムシンボル区間」は、上り回線の信号と下り回線の信号が衝突するのを避けるために設けられるものであることから、補正後の発明の「ガードインターバル」に相当する。ここで、引用発明の「ガードタイムシンボル区間」は、「前記2つの連続するタイムスロットの先行するタイムスロットの最後尾」に配置されているのに対し、補正後の発明の「ガードインターバル」は、「前記2つの連続するタイムスロットの間にのみ」配置されている点で相違するが、両発明は、「前記2つの連続するタイムスロットの間の特定の位置にのみ」配置されている点で共通する。

したがって、補正後の発明と引用発明は、以下の点で一致ないし相違している。

(一致点)
「一定の全持続時間を有するフレームを生成する方法であって、
前記フレームは、双方向通信チャネルにおいて情報を送信するために用いられることを意図するものであり、
前記フレームは、所定の数のタイムスロットに分割され、
前記タイムスロットのそれぞれは、前記双方向通信チャネルによって提供される第1または第2の通信方向に割り当てられる
方法において、前記方法は、
前記フレームに含まれる2つの連続するタイムスロットが互いに逆の通信方向に割り当てられている場合に、前記2つの連続するタイムスロットの間の特定の位置にのみガードインターバルを配置するステップと、
を含む、方法。」

(相違点)
(1)「前記2つの連続するタイムスロットの間の特定の位置」に関し、補正後の発明は、「前記2つの連続するタイムスロットの間」であるのに対し、引用発明では、「前記2つの連続するタイムスロットの先行するタイムスロットの最後尾」である点。
(2)補正後の発明では、「前記ガードインターバルの持続時間を、複数のシンボルを送信するための全持続時間に調整するステップであって、調整された前記ガードインターバルの前記持続時間は、1つの前記シンボルの持続時間の整数倍である、持続時間を調整するステップ」を有しているのに対し、引用発明の「ガードタイムシンボル区間」に関してはそのような構成がない点。

そこで、上記相違点について検討する。
まず、上記相違点(1)について検討する。
引用例に記載されるような時分割複信、すなわち、時分割多重通信において、連続するタイムスロットの間にガードインターバルを設けるフレーム構成は、特開平2-203632号公報(第2頁下段左欄10行?下段右欄10行、第7図の記載)や特開平7-30509号公報(段落【0009】、【図3】の記載)等に記載されるように周知の構成であり、引用発明のタイムスロットの最後尾にガードインターバル(ガードタイムシンボル区間)を設けるフレーム構成を、前記周知のフレーム構成に替えることは当業者が容易に想到し得るものであり、そのように為せば、補正後の発明のように「前記フレームに含まれる2つの連続するタイムスロットが互いに逆の通信方向に割り当てられている場合に、前記2つの連続するタイムスロットの間にのみガードインターバルを配置する」ことになる。
よって、相違点(1)は格別なものでない。

ついで、上記相違点(2)について検討する。
引用発明では、「前記フレームに含まれる2つの連続するタイムスロットが互いに逆の通信方向に割り当てられている場合に、前記2つの連続するタイムスロットの先行するタイムスロットの最後尾にガードタイムシンボル区間を配置」し、「前記2つの連続するタイムスロットが同じ通信方向に割り当てられている場合に、前記2つの連続するタイムスロットの先行するタイムスロットの最後尾のガードタイムシンボル区間におけるガードタイムシンボルをユーザデータシンボルで置き換え」ようにしている。
このことから、引用発明のフレームを生成するにあたり、ガードタイムシンボル区間については、ガードタイムシンボルをユーザーデータシンボルで置き換えることを前提にその構成を設計しておく必要があることは当業者に自明のことである。
一方、フレームにデータを格納する際にデータのない余剰の領域が生じてしまうと帯域利用効率が下がってしまうので、できる限り余剰の領域が生じないようにフレームを設計することは技術常識にすぎない。
してみれば、当業者であれば、ガードタイムシンボル区間のガードタイムシンボルをユーザデータシンボルで置き換えることを予め考慮して、ガードタイムシンボル区間の持続時間を、ユーザデータシンボルのない余剰領域が生じないように、ユーザデータシンボルを送信するための全持続時間に調整しておくこと、具体的にユーザデータシンボルの整数倍となるようにガードタイムシンボル区間の前記持続時間を調整しておくことを容易に為し得るものである。そして、そのように為せば、補正後の発明のように「前記ガードインターバルの持続時間を、複数のシンボルを送信するための全持続時間に調整するステップであって、調整された前記ガードインターバルの前記持続時間は、1つの前記シンボルの持続時間の整数倍である、持続時間を調整するステップ」を有することになる。
よって、相違点(2)も格別なものでない。

このように、各相違点は格別なものでなく、そして、補正後の発明に関する作用・効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

以上のとおりであるから、補正後の発明は引用発明及び周知技術に基いて容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.結語
以上のとおり、本件補正は、補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、平成18年法律第55号附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に適合していない。
したがって、本件補正は、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願発明は、上記「第2.補正却下の決定」の「1.本願発明と補正後の発明」の項で「本願発明」として認定したとおりである。

2.引用発明及び周知技術
引用発明及び周知技術は、上記「第2.補正却下の決定」の項中の「3.独立特許要件について」の「(2)引用発明」及び「(3)対比・判断」の項で認定したとおりである。

3.対比・判断
そこで、本願発明と引用発明とを対比するに、本願発明は補正後の発明から、本件補正に係る構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成に本件補正に係る限定を付加した補正後の発明が、上記「第2.補正却下の決定」の項中の「3.独立特許要件について」の項で検討したとおり、引用発明及び周知技術に基いて容易に発明することができたものであるから、上記補正後の発明から本件補正に係る限定を省いた本願発明も、同様の理由により、容易に発明できたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-02-08 
結審通知日 2013-02-12 
審決日 2013-02-26 
出願番号 特願2005-174274(P2005-174274)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04J)
P 1 8・ 121- Z (H04J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉田 隆之  
特許庁審判長 藤井 浩
特許庁審判官 菅原 道晴
山中 実
発明の名称 一定の全持続時間を有するフレームを生成する方法、装置およびシステム  
代理人 田口 雅啓  
代理人 曾我 道治  
代理人 梶並 順  
代理人 大井 一郎  

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