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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q
管理番号 1276810
審判番号 不服2011-27851  
総通号数 165 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-12-26 
確定日 2013-07-18 
事件の表示 特願2001-135258「注文商品の所在追跡のための識別情報を送信する方法、受注者端末、および、プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成14年11月15日出願公開、特開2002-328983〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は,平成13年5月2日の出願であって,平成22年9月7日付けの拒絶理由通知に対して同年11月15日付けで手続補正がなされたが,平成23年9月13日付けで拒絶査定がなされ,同年12月26日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正がなされ,平成24年10月10日付けの審尋に対して同年12月12日付けで回答書が提出され,平成25年1月28日付けの当審の拒絶理由通知に対して同年4月1日付けで意見書が提出されたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成23年12月26日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
注文商品を配送する際の送付伝票に付された,配送途中における所在を追跡するために用いる識別情報を,記憶装置に格納したコンピュータ端末が実行する,注文商品の所在追跡のための識別情報を送信する方法であって,
前記コンピュータ端末は,
発注者端末からネットワークを介して送られた注文商品を特定するための情報と注文個数とを含む電子メールを受信した場合に,その電子メールから注文商品を特定するための情報と注文個数とを抽出し,商品の在庫数を管理する在庫数管理システムに対して前記抽出された注文商品を特定するための情報と注文個数を通知することによって,注文商品の在庫数の有無を問い合わせ,
在庫数管理システムから在庫数がある旨の応答が得られた場合に,前記識別情報を前記記憶装置から読み出し,注文商品の配送先に付与されている電子メールアドレスに対して,注文商品の配送途中における所在を追跡するために用いられる該識別情報であって,該注文商品に貼り付けられる送付伝票に印刷されている識別情報と同一の識別情報を含む電子メールを送信する,
注文商品の所在追跡のための識別情報を送信する方法。」

3.引用例
(1)引用例1の記載事項及び引用例1発明
当審で通知した拒絶理由において引用した「木村岳史 外1名,流行る電子商店 ECで成功した40社のノウハウを集大成 -Part3[受発注・物流]電話やFAXよりずっと便利 早くて簡単に商品が届く-,日経マルチメディア,日経BP社,1998年 3月15日,第33号,pp.52-57」(以下,「引用例1」という。)には,図面とともに,次の(ア)?(ウ)の事項が記載されている。(下線は関連する箇所を示すために当審において付加したものである。)

(ア)「貨物追跡サービスが威力を発揮
一方で,国内でも物流会社による貨物追跡サービスが次々に始まった(前ぺージの画面3-3)。このサービスを活用すれば,個人商店であっても,デルと同様,ユーザーのサポート体制を強化することが可能になる。
物流各社の貨物追跡サービスは,各社のホームページでユーザーが宅配便の送り状の伝票番号を入力すると,その荷物が出荷済みか,配送中か,到着したのかが瞬時にわかるというもの。この種のサービスは96年に西濃運輸が開始したのに続き,98年に入ってヤマト運輸,日本通運などの大手物流会社が相次いだ。」(第54頁左欄第4行?同頁中欄第3行)

(イ)「日通のサービスを活用しているのが,傘屋の「心斎橋みや竹」である。同店は以前からホームページ上で誕生日プレゼントなどの期日指定の注文に対して「発送準備」「発送済み」といった簡単な状況を知らせていた。これに日通のサービスを組み合わせることで,ギフトとして傘を送った相手に商品が届いたかどうかまでをユーザー側で確認できるようになった。
心斎橋みや竹では,注文を受けた際に,あらかじめ用意した送り状の伝票番号を電子メールでユーザーに通知している。あとはユーザーが日通のホームページで検索すれば結果がわかるという仕組みである。」(第54頁中欄第4行?同頁右欄第2行)

(ウ)「漢方薬などを販売する「三牧ファミリー薬局」でも,ヤマト運輸の貨物追跡サービスを利用して,同様のユーザー・サポート体制を作り上げた。」(第54頁右欄第3行?同欄第6行)

上記摘記事項(イ)によれば,「心斎橋みや竹では,注文を受けた際に,あらかじめ用意した送り状の伝票番号を電子メールでユーザーに通知している」から,引用例1には,「伝票番号を電子メールでユーザーに通知する方法」が記載されているということができる。

この点をふまえて,引用例1の上記(ア)?(ウ)の記載及び図面の記載を総合すれば,引用例1には,次の発明(以下,「引用例1発明」という。)が記載されていると認められる。

「日通の貨物追跡サービスを活用している傘屋の「心斎橋みや竹」において,注文を受けた際に,あらかじめ用意した送り状の伝票番号を電子メールでユーザーに通知する方法であって,
通知された伝票番号をユーザーが日通のホームページで入力すると,その荷物が出荷済みか,配送中か,到着したのかが瞬時にわかり,ギフトとして傘を送った相手に商品が届いたかどうかをユーザー側で確認できる,
方法。」

(2)引用例2の記載事項
当審で通知した拒絶理由において引用した「小林暢子,強い企業のシステム戦略 トリンプ・インターナショナル・ジャパン-ワークフロー活用で機動力アップ 効率化を極めワコールに挑む-,日経コンピュータ,日経BP社,2001年 1月29日,第514号,pp.204-209」(以下,「引用例2」という。)には,図面とともに,次の(エ)の事項が記載されている。(下線は関連する箇所を示すために当審において付加したものである。)

(エ)「電子商取引にもワークフロ-を適用
ワークフロー・システムは,ぺーパーレスによる業務改善だけを狙ったものではない。トリンプは,インターネットを利用した電子商取引(EC)にもワークフロー・システムを適用し,同社のWebサイトを使った受注,在庫引き当て,配送指示といった一連の業務プロセスの効率化に役立てている。このように,ワークフロー・システムをEC関連の業務にまで適用しているケースはまだ珍しい。
トリンプは,こうした先進的な取り組みをさらに一歩進め,2000年2月末にはインターネット・モールの「楽天」で販売している同社商品の受注処理や出荷処理にも,ワークフロー・システムを利用する予定である(図2)。
仕組みはこうだ。モールにあるトリンプの店舗で商品を受注すると,注文内容を記したデータが楽天から電子メールでトリンプに届く。ワークフロー・システムは5分おきにメール・ボックスをチェックする。メールが届いていたら注文内容を参照し,顧客の住所や商品名,個数などのデータを抜き出して,受注データを自動生成する(図3)。ワークフロー・システムはさらに,在庫管理システムのデータベースにアクセスして,在庫の有無を確認する。
在庫がある場合は,静岡の物流センターに出荷指示データを送り,これを基に物流センターのスタッフが商品のピッキングやこん包を行う。在庫が切れている場合は,その知らせが,電話で顧客に対応するカスタマー・センターに自動的に送られる。カスタマー・センターのスタッフは顧客に電話をかけて状況を説明する。改めて注文内容が確定すると,物流センターに出荷指示が出される。こうした一連の作業が,ワークフロー・システムによってスムーズに流れていくようにする。」(第206頁右欄第5行?第206頁左欄末行)

引用例2の上記(エ)の記載及び図面の記載を総合すれば,引用例2には,次の事項(以下,「引用例2記載事項」という。)が記載されていると認められる。

「楽天のモールにあるトリンプの店舗で商品を受注すると,注文内容を記したデータが楽天から電子メールでトリンプに届き,ワークフロー・システムは,メールから顧客の住所や商品名,個数などのデータを抜き出して受注データを自動生成するとともに,在庫管理システムのデータベースにアクセスして,在庫の有無を確認する。」

(3)引用例3の記載事項
当審で通知した拒絶理由において引用した「坂口裕一,顧客満足度の向上や販促活動に威力 メール返信支援ソフトが登場,日経コンピュータ,日経BP社,2000年 6月 5日,第497号,pp.42-44」(以下,「引用例3」という。)には,図面とともに,次の(オ)の事項が記載されている。(下線は関連する箇所を示すために当審において付加したものである。)

(オ)「送受信するメールを,受発注システムや在庫管理システムと連携させることができる。例えば,注文のメールを受け取って在庫を検索し,納期のメールを自動返信することが可能」(第42頁「表1」の「日本ユニシス(米Kana)」の「特徴」の欄)

引用例3の上記(オ)の記載及び図面の記載を総合すれば,引用例3には,次の事項(以下,「引用例3記載事項」という。)が記載されていると認められる。

「メールで注文を受け取ると在庫管理システムで在庫を検索し,納期のメールを自動返信する。」

4.対比
本願発明と引用例1発明とを対比する。

(a)引用例1発明の「荷物」は,注文を受けて出荷されるものであるから,本願発明の「注文商品」に相当する。
引用例1発明の「伝票番号」は,ユーザーが日通のホームページで入力すると,その荷物が出荷済みか,配送中か,到着したのかが瞬時にわかるものであるから,本願発明の「注文商品の所在追跡のための識別情報」に相当する。
また,引用例1発明の「ユーザに通知する」ことが本願発明の「送信する」ことに相当する。
してみれば,引用例1発明と本願発明とは,後記する点で相違するものの,「注文商品の所在追跡のための識別情報を送信する方法」の点で共通している。

(b)引用例1発明において,「電子メール」が,所定の「電子メールアドレスに対して」送信されることは自明のことであり,また,引用例1発明では,注文を受けた際に,あらかじめ用意した送り状の伝票番号を電子メールでユーザーに通知し,通知された伝票番号をユーザーが日通のホームページで入力すると,ギフトとして傘を送った相手に商品が届いたかどうかをユーザー側で確認できるものであるから,「電子メールアドレス」は,注文商品を発注したユーザである「注文商品の発注者」に「付与されている」ものである。
また,引用例1発明の「伝票番号」は,ユーザーが日通のホームページで入力すると,その荷物が出荷済みか,配送中か,到着したのかが瞬時にわかるものであるから,本願発明の「注文商品の配送途中における所在を追跡するために用いられる識別情報」に相当する。
また,引用例1発明の「送り状」が本願発明の「注文商品に貼り付けられる送付伝票」に相当するから,引用例1発明の「送り状の伝票番号」が本願発明の「注文商品に貼り付けられる送付伝票に印刷されている識別情報」に相当する。
そして,引用例1発明では,送り状の伝票番号を電子メールでユーザに通知しているから,「注文商品に貼り付けられる送付伝票に印刷されている識別情報と同一の識別情報を含む電子メールを送信」していることは明らかである。
してみれば,引用例1発明と本願発明とは,後記する点で相違するものの,「注文商品の発注者に付与されている電子メールアドレスに対して,注文商品の配送途中における所在を追跡するために用いられる識別情報であって,該注文商品に貼り付けられる送付伝票に印刷されている識別情報と同一の識別情報を含む電子メールを送信する」点で共通している。

そうすると,本願発明と引用例1発明とは,

「注文商品の所在追跡のための識別情報を送信する方法であって,
注文商品の発注者に付与されている電子メールアドレスに対して,注文商品の配送途中における所在を追跡するために用いられる識別情報であって,該注文商品に貼り付けられる送付伝票に印刷されている識別情報と同一の識別情報を含む電子メールを送信する,
注文商品の所在追跡のための識別情報を送信する方法。」

の点で一致し,次の点で相違する。

[相違点1]
本願発明は,「注文商品を配送する際の送付伝票に付された,配送途中における所在を追跡するために用いる識別情報を,記憶装置に格納したコンピュータ端末が実行する」方法であって,「コンピュータ端末」が,「識別情報を記憶装置から読み出し」て送信しているのに対して,引用例1発明は,伝票番号を電子メールで送信しているものの,当該伝票番号がコンピュータ端末の記憶装置に格納されているか否かは不明である点。

[相違点2]
本願発明では,「発注者端末からネットワークを介して送られた注文商品を特定するための情報と注文個数とを含む電子メールを受信した場合に,その電子メールから注文商品を特定するための情報と注文個数とを抽出し,商品の在庫数を管理する在庫数管理システムに対して前記抽出された注文商品を特定するための情報と注文個数を通知することによって,注文商品の在庫数の有無を問い合わせ」,「在庫数管理システムから在庫数がある旨の応答が得られた場合に」,識別情報を含む電子メールを送信しているのに対して,引用例1発明はそのようにはなっていない点。

[相違点3]
本願発明では,「注文商品の配送先」に付与されている電子メールアドレスに対して識別情報を含む電子メールを送信しているのに対して,引用例1発明では,「注文商品の発注者」に付与されている電子メールアドレスに対して伝票番号を通知している点。

5.当審の判断
上記相違点について検討する。

[相違点1]について
引用例1発明は,電子メールを送信するものであるから,何らかのコンピュータ端末を使用していることは自明のことであり,引用例1発明において,あらかじめ用意した送り状の伝票番号を電子メールで通知する際に,当該伝票番号をコンピュータ端末の記憶装置に格納しておき,それを読み出して送信するように構成することは,当業者であれば容易に想到し得ることである。

[相違点2]について
例えば引用例2には,「楽天のモールにあるトリンプの店舗で商品を受注すると,注文内容を記したデータが楽天から電子メールでトリンプに届き,ワークフロー・システムは,メールから顧客の住所や商品名,個数などのデータを抜き出して受注データを自動生成するとともに,在庫管理システムのデータベースにアクセスして,在庫の有無を確認する。」との事項(引用例2記載事項)が記載され,また,引用例3には,「メールで注文を受け取ると在庫管理システムで在庫を検索し,納期のメールを自動返信する。」との事項(引用例3記載事項)が記載されている。
これらの記載にみられるように,「商品名(注文商品を特定するための情報)と個数(注文個数)とを含む電子メールで商品の注文を受けると,電子メールから商品名(注文商品を特定するための情報)と個数(注文個数)とを抜き出し(抽出し)て受注データを自動生成し,在庫管理システムのデータベースにアクセスして,在庫の有無を確認すること」や,在庫がある場合にその旨をメールで自動的に連絡することは常套手段である。
ここで,商品の注文をウェブサイトから行うか,電子メールで行うかは,適宜選択し得ることである。
例えば引用例2記載事項においては,発注者が,「楽天のモールにあるトリンプの店舗」から商品を注文しており,引用例3記載事項においては,発注者が,電子メールで商品を注文している。
してみれば,発注者端末から電子メールで商品を注文するように構成することが適宜選択し得るものであることを考慮すれば,引用例1発明において,「発注者端末からネットワークを介して送られた注文商品を特定するための情報と注文個数とを含む電子メールを受信した場合に,その電子メールから注文商品を特定するための情報と注文個数とを抽出し,商品の在庫数を管理する在庫数管理システムに対して前記抽出された注文商品を特定するための情報と注文個数を通知することによって,注文商品の在庫数の有無を問い合わせ」るように構成し,さらに「在庫数管理システムから在庫数がある旨の応答が得られた場合に」,識別情報を含む電子メールを送信するように構成することには何ら困難性がなく,当業者が容易に想到し得たことである。

[相違点3]について
引用例1には,「一方で,国内でも物流会社による貨物追跡サービスが次々に始まった(前ぺージの画面3-3)。このサービスを活用すれば,個人商店であっても,デルと同様,ユーザーのサポート体制を強化することが可能になる。」(摘記事項(ア))との記載や,『漢方薬などを販売する「三牧ファミリー薬局」でも,ヤマト運輸の貨物追跡サービスを利用して,同様のユーザー・サポート体制を作り上げた。』(摘記事項(ウ))との記載もあり,引用例1では,「ユーザー」が自分で購入して,自分を「配送先」とする場合も想定されていることは明らかであるから,引用例1発明において,ユーザーが自分を配送先とする通常の購入注文の場合に,「注文商品の配送先に付与されている電子メールアドレス」に対して電子メールを送信するように構成することにも何ら困難性はなく,当業者が容易に想到し得たことである。

そして,本願発明の作用効果も,引用例1発明及び引用例1?3の記載事項から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって,本願発明は,引用例1発明及び引用例1?3の記載事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.審判請求人の主張について
審判請求人は平成25年4月1日付けの意見書において,次のとおり主張している。

「2,拒絶理由に対する出願人の主張
本願請求項1に係る発明は,商品の注文を受けると在庫数の有無を問い合わせ,在庫がある場合に,注文商品を配送する際の送付伝票に付される,配送途中における所在を追跡するために用いる識別情報を含む電子メールを注文商品の配送先に送信する方法です。
これに対し,引用文献1には,注文を受けると,送り状の伝票番号を電子メールで通知するシステムが開示されています。また,引用文献2には,電子メールで届いた注文内容のデータに基づいて在庫確認を行い,在庫があれば出荷処理を行うシステムが開示されています。また,引用文献3には,送受信するメールを,受発注システムや在庫管理システムと連携させ,例えば,注文のメールを受け取って在庫を検索し,納期のメールを自動返信することが開示されています。
ここで,引用文献1を詳細に検討しますと,「心斎橋みや竹」の例で挙げられているシステムは,受注すると送り状の伝票番号を電子メールでユーザに通知しているものの,在庫の確認を行っているか否か定かでありません。また,引用文献1の「三牧ファミリー薬局」の例で挙げられているシステムは,いわゆるネットショップであると推察され,通常ですと,商品一覧の中から購入希望商品をクリックして支払手続きを踏むという流れになるかと思われます。
すなわち,引用文献1に開示されているシステムは,「心斎橋みや竹」と「三牧ファミリー薬局」の何れの例におきましても,ユーザに対して購入可能な商品の一覧がウェブサイトの画面上に表示されているものと思われます。よって,購入可能な商品を一覧表示していると推察される引用文献1のシステムに,引用文献2,3にあるような在庫確認処理を組み合わせる動機付けがありません。
本願請求項1に係る発明は,ウェブサイトの表示画面を通じてではなく,電子メールによる商品の注文を受けると在庫数の有無を問い合わせ,在庫がある場合に,注文商品を配送する際の送付伝票に付された,配送途中における所在を追跡するために用いる識別情報を含む電子メールを送信することにより,配送が開始されているか否かに関わらず,在庫数管理システムから応答があれば,当該注文商品の配送途中における所在を追跡するために用いる識別情報を顧客に提供するものです。よって,顧客は,商品の注文後,商品の配送開始前に当該商品の配送状態を調べることができます。
一方,引用文献1には伝票番号を通知する旨が記載されているものの,伝票番号の通知を在庫の有無を確認してから行う旨の記載は無く,また,引用文献2-3に至っては伝票番号を顧客に提供する旨の記載すらありません。
本願請求項1に係る発明は,注文に関する電子メールを受けると在庫の有無をただちに確認し,在庫があれば送付伝票に印刷されている識別情報を発注者である配送先に速やかに通知するものであるが故に,例えば,自動車修理のように,ウェブサイトの画面上に掲載するような商品ではない新品部品や中古部品であり,必ずしも在庫があるとは限らない自動車修理用部品の流通分野において有用であり,受注があると在庫確認を行い,その後に伝票番号を配送先に通知することで,自動車修理の作業スケジュール等を立てることができるものです。このような多大な効果は,単なるショッピングのように物が届けば良いというだけでなく,例示したような自動車修理の場合のように,部品到着後の作業予定が組まれている場合などに有効なのであり,引用文献1のように,在庫の有無に関する情報とは関係なく単に送付の準備が整えば伝票番号の通知が行われるものとは一線を画すものであると思料いたします。請求項2-3についても同様です。
よって,各引用文献に開示された発明に基づいて,本願各請求項に係る発明に想到することは当業者であっても困難であり,本願各請求項に係る発明が特許法第29条第2項の規定に該当することはないと思料いたします。」

しかしながら,この点については,上記「[相違点2]について」で判断したとおりであるから,審判請求人の上記主張は採用することができない。

7.むすび
以上のとおり,本願発明は,引用例1発明及び引用例1?3の記載事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,本願は当審で通知した上記拒絶理由によって拒絶されるべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-05-15 
結審通知日 2013-05-21 
審決日 2013-06-03 
出願番号 特願2001-135258(P2001-135258)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 唐橋 拓史  
特許庁審判長 清田 健一
特許庁審判官 須田 勝巳
石川 正二
発明の名称 注文商品の所在追跡のための識別情報を送信する方法、受注者端末、および、プログラム  
代理人 川口 嘉之  
代理人 和久田 純一  
代理人 高田 大輔  
代理人 平川 明  
代理人 今堀 克彦  

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