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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A23L
管理番号 1276850
審判番号 不服2010-20545  
総通号数 165 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-09-13 
確定日 2013-07-17 
事件の表示 特願2003-573962「プロバイオティック送達システム」拒絶査定不服審判事件〔平成15年9月18日国際公開、WO03/75676、平成17年7月7日国内公表、特表2005-519600〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯・本願発明
本願は、平成15年3月12日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 平成14年3月12日 欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、その請求項1ないし11に係る発明は、平成25年1月22日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないしに11記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、その請求項1に係る発明は次のとおりのものである。

「0.7以上の水分活性を有する湿り食品、0.5?0.7の水分活性を有する半湿り食品または0.3?0.5の水分活性を有する半乾燥食品の中にペッレトを含む長期保存可能な食品であって、ペレットは圧縮インナーマトリックスと少なくとも一つのコーティングを含み、インナーマトリックスが生存微生物と、ペットフード、マルトデキストリン、チコリ粉、およびそれらの混合物からなる群から選ばれた構成成分と、可塑剤とを含み、そしてコーティングが食品級モイスチャーバリアを含み、ペレットが0.3?8cm^(3)の体積を有すること、及び、コーティング前の又は後間もなくのインナーマトリックスが0.3未満の水分活性を特徴とする、前記食品。」(以下、「本願発明」という。)

2 引用刊行物とその記載事項
当審の拒絶の理由に引用された、本願優先日前に頒布された刊行物1には、以下の事項が記載されている。

(1)刊行物1:国際公開第01/25414号の記載事項の抄訳(訳は対応日本公報である特表2003-511024号公報により、段落番号も併せて付した。)
(1a)第50?60頁のクレーム1、6、7、17、19、37、38、68
「【請求項1】a) 成型可能混合物を、少なくとも1種の可塑化性マトリックス材料、液体可塑剤、封入剤、封入剤の分解温度よりも低い温度では実質的に非可塑化性であるマトリックス成分、および封入剤の放出速度を調節するための少なくとも1種の成分を含む諸成分を混合することよって得ること、上記可塑化性マトリックス材料が、上記封入剤を実質的に破壊しない温度で上記液体可塑剤によって可塑化可能であること、上記の混合を低剪断および低温度条件で行って、上記可塑化性材料を、上記封入剤を実質的に破壊することなく且つ上記可塑化性材料を実質的にα化または煮沸することなく可塑化して、実質的に均質な成型可能混合物を得ること;
b) 得られた成型可能混合物を成型品として成型すること;および、
c) 得られた成型品を乾燥させること;
を含むことを特徴とするマトリックス中への成分のカプセル化または埋封方法。
・・・
【請求項6】上記実質的に非可塑化であるマトリックス成分が、少なくとも実質的に未α化の澱粉、澱粉類よりも低分子量を有する炭水化物、繊維、セルロースおよびヘミセルロースからなる群から選ばれる請求の範囲第1項記載の方法。
【請求項7】上記実質的に非可塑化性であるマトリックス成分が、マトリックスからの封入剤の放出速度を増大させる固形の不活性材料である請求の範囲第1項記載の方法。
・・・
【請求項17】上記封入剤が、酵素、ビタミン、微細栄養素および活性微生物からなる群から選ばれた少なくとも1員を含む請求の範囲第1項記載の方法。
・・・
【請求項19】上記可塑化性マトリックス材料が、高グルテン含有量の小麦粉、小麦由来のグルテン、ジュラム小麦、ジュラムセモリナ、α化澱粉、ペントサン類、および親水コロイド類からなる群から選ばれた少なくとも1員を含む請求の範囲第1項記載の方法。
・・・
【請求項37】カプセル化製品を含み;このカプセル化製品が、少なくとも1種の可塑化性マトリックス材料、液体可塑剤、封入剤、封入剤の分解温度よりも低い温度では実質的に非可塑化性であるマトリックス成分、および封入剤の放出速度を調節するための少なくとも1種の成分を混合することによって得られ;上記実質的に非可塑化性であるマトリックス成分が、マトリックスの多孔性を増大させてマトリックスからの封入剤のより迅速な放出を可能にする不活性材料を含み;上記可塑化性マトリックス材料が、高グルテン含有量の小麦粉、小麦由来のグルテン、ジュラム小麦、ジュラムセモリナ、α化澱粉、ペントサン、および親水コロイドからなる群から選ばれた少なくとも1員を含み;上記封入剤が、酵素、ビタミン、微細栄養素、および活性微生物からなる群から選ばれた少なくとも1員を含むことを特徴とする人または動物摂取用の食用品。
【請求項38】ベーキング用混合物、顆粒系スナック、ヨーグルト、ポップコーン、シリアル食品、ペットフードおよび動物飼料である請求の範囲第37項記載の食用品。

(1b)第7頁15行?第8頁2行
「【0011】
(発明の開示)
本発明は、粉末のような固形物から、或いは封入成分の溶液または分散液からこれら溶液または分散液を予備乾燥させることなく、離散性で粒状の貯蔵安定性カプセル化感熱性成分の製造方法を提供する。当該粒状物は、実質的に加熱することなく或いは澱粉を実質的にα化させることなく低温で製造して、感熱性成分の熱分解を回避し、さらに実質的な発泡を回避できる。押出可能、成型可能、切断可能な混合物またはドウは、押出または成型前に液体可塑剤を除去または蒸発させる必要なく連続的に得ることができる。本発明の方法は、酵素または活性微生物のような製薬上または栄養学上の活性成分伝達用の服用組成物の連続生産において・・・使用できる。」

(1c)第10頁17?27行
「【0014】
・・・
本発明の方法によれば、約50℃よりも低い温度で液体可塑剤または液体封入剤成分によって少なくとも実質的に可塑化可能であるジュラム(durum;マカロニ)小麦またはセモリナ、活性小麦グルテン、事前α化澱粉、小麦粉、クッキーもしくはクラッカーからの小麦粉、クッキーもしくはクラッカータイプの製品からの小麦粉、ペントサン類、または親水コロイドのような少なくとも1種の可塑化性マトリックス形成性材料を、固形封入剤および/または液体封入剤成分と混合して、成型可能混合物を得る。固形の実質的に非可塑化性であるマトリックス成分は、可塑化性マトリックス材料、固形封入剤、および上記可塑剤との混合物用の他の乾燥または粉末成分と予備混合または乾式混合させてもよく、或いはこれらを別々に加えてもよい。」

(1d)第11頁5?21行
「【0015】
・・・
封入剤は、可塑化性マトリックス材料と低温度、低剪断混合条件下で混合して、可塑化マトリックス材料中に加えた活性成分を分布させ、コーティングし、埋封しまたはカプセル化する。混合は、十分に成型可能にするために必要に応じて製品温度を調整しながら、押出機ダイに向けて続ける。
混合物は、押出機ダイにより押出して、押出物の発泡がない或いは実質的にない成型品またはペレットとして切断するか成型する。その後、押出物または成型品は、乾燥させ、さらにフィルム構成性物質で表面処理して押出ペレットまたは成型品をコーティングする。フィルム構成性物質は、光、酸素および/または水のマトリックスへの受容を遅延させるか或いは防止するさらなる成分も含有し得る。本発明の各実施態様においては、1種以上の固形の製薬上、栄養学上、生物学上または化学上の活性成分を可塑化性マトリックス材料および1種以上の液体封入剤成分と混合できる。本発明において使用する固形封入剤は、セラック、ゼイン、キトサン、キチン、または乳化剤等のコーティング材料で事前コーティングしてマトリックス材料からの封入剤の放出特性をさらに調節できる。」

(1e)第11頁22行?第12頁2行
「【0016】
本発明の製品は、離散性の粒子、ペレットまたはタブレットの形であり得る。本発明の製品は、球形、曲線またはレンズ形状、平らなディスク、卵形状等であり得る。粒子径は、約7 mmまで、例えば、約0.3 mm?約7 mmの範囲であり得、l/d比は約0.1?約10であり得る。本発明の各実施態様においては、粒子径は、約0.15 mm?約4 mm、好ましくは約0.25 mm?約1.0 mmであり得る。ペレットまたは粒子の比密度は、約800 g/l?約1500 g/lであり得る。」

(1f)第15頁16行?第16頁10行
「【0021】
低温度において液体可塑剤によってまたは液体封入剤成分の液体によって可塑化可能である可塑化性マトリックス材料は、変性または事前α化澱粉またはシクロデキストリンのような炭水化物のような可塑化性バイオポリマー;ポリビニルピロリドンまたはN-ビニルピロリドン(NVP)と酢酸ビニルとのコポリマーのような他の非疎水性ポリマー;ポリビニルアルコール、セルロースエステル類、セルロースエーテル類、ポリエチレングリコール、ペントサン類、カラゲナンのような親水コロイド類、アルギン酸塩、またはアラビアゴム;活性小麦粉グルテンまたは分離グルテンのような小麦グルテン;大豆または牛乳からのたんぱく質のような植物または牛乳たんぱく質;およびこれらの混合物であり得る。本発明において使用できる澱粉の例は、とうもろこし、小麦、米、ポテト、タピオカからの変性澱粉または事前α化澱粉、または高アミロース澱粉である。また、使用できる澱粉源としては、とうもろこし、小麦、ジュラム小麦、米、大麦、オート麦、ライ麦のような穀類からの粉類およびこれらの混合物もある。
【0022】
本発明の食用製品用の好ましい可塑化性マトリックス材料は、高グルテン含有量の小麦粉、小麦由来のグルテン、ジュラム小麦またはセモリナ、事前α化澱粉、ペントサン類、親水コロイド類、およびこれらの混合物である。水および油のような液体中でのより容易な分布および分散のためには、微細に粉砕したまたは粉末化したクッキーもしくはクラッカー、またはクッキー様もしくはクラッカー様製品をマトリックス材料として使用できる。粉砕クッキーまたはクラッカー製品は、クッキーまたはクラッカーを粉砕またはミリングして小麦粉の粒度分布と同じような粒度分布を得ることによって得ることができる。」

(1g)第16頁23行?第17頁15行
「【0023】
使用できる追加のマトリックス成分は、感熱性封入剤の分解温度よりも低い温度では実質的に非可塑化性である固形成分を含む。実質的に非可塑化性であるマトリックス成分は、マトリックスからの封入剤の放出速度を増大させるのに使用できる。そのような実質的に非可塑化性であるマトリックス成分の例は、少なくとも実質的に未α化澱粉、澱粉類よりも低分子量を有する炭水化物、増量剤、繊維、またはセルロースもしくはヘミセルロースのような他の不活性材料である。低分子量マトリックス成分は、澱粉よりも容易に溶解または分散する傾向を有し、マトリックスの浸透性、多孔性または微多孔性を増大させる。結果として、水または酸のような溶解媒体の封入剤への受容が増大され、それによってマトリックス材料からの封入剤のより速い放出を可能にする。使用できる澱粉以外の炭水化物の例は、単糖類または二糖類のような砂糖類、約2?約99または約5?98の範囲のデキストロース当量値(DE値)を有するデキストリンまたはシロップ類のような澱粉加水分解生成物、およびこれらの混合物である。放出速度増大成分は、水のような可塑剤中で不溶性または実質的に不溶性であるか或いは不活性であり得、可塑化性材料によって形成されたマトリックスを破壊してその多孔性または微多孔性を増大させるように作用し、それによって浸透溶媒の封入剤に対する受容性を増大させる。」

(1h)第20頁4?13行
「【0027】
本発明において使用する可塑剤は、実質的に均質で凝集性の可塑化された粘弾性の成型可能な混合物、ドウまたは脆性素材の調製を可能にする任意の液体であり得る。この液体可塑剤は、一般に水であるが、砂糖溶液のような水性組成物、アルコール、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、シリコーン、ヘキサノール、ペンタノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサン、油、よびこれらの混合物であり得る。使用し得る食用即ち摂取用可塑剤の例は、水、砂糖溶液のような水性組成物、ジュース、アルコール、グリセリン、ソルビトール、油類、溶融ショートニングまたは油脂、およびこれらの混合物がある。」

(1i)第25頁3?18行、同27行?第26頁4行
「【0034】
封入剤は、本発明のマトリックス組成物およびカプセル化製品中に含ませるのに固形および/または液体形であり得る。本発明の各実施態様においては、固形封入剤は、可塑化性マトリックス成分および実質的に非可塑化性であるマトリックス成分との乾式混合用の粉末、粒状、顆粒状、結晶または細片形であり得る。また、固形封入剤は、液体封入剤成分の液体可塑剤中に懸濁または分散させてもよい。他の実施態様においては、封入剤は、液体封入剤成分の液体可塑剤中に溶解させることができる。また、封入剤は、液体封入剤成分によっても与えることができ、乾燥粉末のような追加の固形封入剤を本発明のカプセル化製品中に含ませ得る。
本発明に従ってマトリックス中にカプセル化または埋封させ得る活性成分としては、製薬組成物または化合物、ニュトラセチカル(nutraceutical)組成物または化合物、栄養成分、生物学的活性成分、風味料、芳香剤、清浄剤、または界面活性組成物がある。
・・・
【0035】
ニュトラセチカル成分は、酸化防止剤;植物薬品;ホルモン類;ビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、D、E、Kのようなビタミン類;パントテン酸塩;葉酸;プロ-ビタミン類;カルシウム、セレン、マグネシウム塩、有効鉄および鉄塩のようなミネラル類;活性乳酸菌、真菌のような細菌、および酵母のような微生物;前生物剤;プロ生物剤」(当審注:「プロ生物剤」は「probiotics(プロバイオティックス)」の訳として記載されている。)

(1j)第36頁7?8行、第36頁27行?第37頁3行
「【0049】
得られる混合物は、ダイからの押出により、ペレットまたは成型品として切断可能な凝集ドウとして圧縮することができる。・・・
本発明の各実施態様においては、成型可能な混合物またはドウを調製できる圧力は、約1?約150バール、好ましくは約2?約100バールの範囲であり得る。本発明の各実施態様においては、得られた混合物は、約5?約60バールの圧力で個々の形状に成型できる。」

(1k)第39頁22行?第40頁3行
「【0053】
・・・
ドウ即ちもろい素材または混合物は、約0.10 mm?約4 mm、一般に約1 mm未満、好ましくは約0.25?約1.0 mmの開口直径を有するダイにより押出し、加圧し、または圧縮し得る。押出紐状物および製品の直径は、組成物がダイを出るときの変形または膨張によってダイ開口の直径よりも大であり得る。ダイを出る時の直系の増大は、発泡し膨張した発泡性または細胞状構造を実質的に発現させないで、起り得る。押出紐状物は、約0.15 mm?約5 mm、好ましくは約0.15 mm?約4 mm、最も好ましくは約0.25?約1.0 mmの断面直径を有する。」

(1l)第40頁10?14行
「【0054】
・・・
押出紐状物は、回転カッター、ペレタイザーまたは回転ナイフを使用してダイ面で切断できる。他の実施態様においては、押出紐状物は、ペレットまたはタブレット製造用の通常の切断または成型手段を使用してダイから切断できる。切断片、ペレットまたは錠剤は、約0.5?10、好ましくは約1の長さ:直径比(l/d比)を有し得る。」

(1m)第40頁27行?第41頁26行
「【0055】
人または動物摂取用の製品を製造するに当っては、ペレットの表面対容積比を調節する粒度変更は、口、胃および腸へのペレットまたは粒子の通過中の封入剤の調節された放出を達成するのに重要である。粒度の変更は、胃内部でのペレットの滞留時間を調節ためにも重要である。例えば、1 mmよりも小さい粒度は、例えば、2.5 mmよりも大きい粒子よりも速く胃または腸を通過する。
切断後、得られた成型片またはペレットは、十分に長時間の貯蔵安定性または貯蔵寿命を確実にする十分に低い水分含有量に乾燥させることができる。例えば、ペレットは、少なくとも約6ヶ月、好ましくは少なくとも約12ヶ月、最も好ましくは少なくとも36ヶ月の貯蔵安定性または貯蔵寿命を達成するように乾燥させ得る。本発明の各実施態様においては、乾燥は、封入剤の熱安定性に悪影響を与えない乾燥温度を使用する通常の乾燥装置を使用して実施できる。一般に、乾燥条件は、澱粉のα化が乾燥中に生じないまたは実質的に生じないで、乾燥により部分的ガラス状マトリックスおよび部分的ガラス状外観を生ずるような条件である。乾燥温度の例は、約10℃?約50℃、例えば、約20℃?約30℃の範囲であり得る。乾燥を実施して、約30質量%未満、好ましくは約12質量%未満、最も好ましくは約10質量%未満、例えば、約8質量%未満の水分含有量を達成できる。澱粉をマトリックス材料として使用しないまたは実質的に使用しない実施態様においては、水分含有量は、約6質量%未満であり得る。
本発明の製品は、通常の流動床または他の通常の乾燥手段を使用して乾燥させることができる。本発明の製品は、乾燥後、コーティング用パン、コーティング用ドラムまたはスプレー装置のような通常のコーティング装置を使用して、必要に応じコーティングし得る。」

(1n)第43頁13?25行
「【0058】
本発明のカプセル化製品は、例えば、パン、ウェーハ、クッキー、クラッカー、プレッツェル、ピザおよびロールのようなベーキング食品;インスタント朝食用シリアル、ホットシリアル、パスタ製品;フルーツスナック、塩味スナック、粒状スナックおよび電子レンジポップコーンのようなスナック類;ヨーグルト、チーズおよびアイスクリームのような乳製品;ハードキャンデー、ソフトキャンデーおよびチョコレートのような甘味食品;飲料;動物飼料;ドッグフードおよびキャットフードのようなペットフード;魚用飼料およびエビ用飼料のような養殖飼料;ベビーフード、乳児用調合物、病院食、治療食、スポーツ食、精力(performance)食または栄養捧のような特別目的食;または栄養強化食、スープまたはグレービー用混合物、デザート混合物、ディナー混合物、パン用混合物のようなベーキング用混合物およびケーキ混合物のような家庭用または食品サービス用の食品事前ブレンドまたは混合物、ベーキング用粉のような人または動物摂取用に意図された食品中に、粉砕しまたは粉砕しないで混入できる。」

3 対比・判断
刊行物1(上記(1a)の【請求項37】)には、「可塑化性マトリックス材料」(上記(1a)の【請求項19】)、「実質的に非可塑化性であるマトリックス成分」(上記(1a)の【請求項6】)、液体可塑剤、封入剤として「活性微生物」等を含有するカプセル化製品を含む、人または動物摂取用の食用品が記載され、カプセル化製品の構成材料を混合して成型可能混合物とし、圧縮成型してペレットとし、長時間の貯蔵安定性や寿命を確実にするために十分に低い水分含有量に乾燥させること(上記(1a)の【請求項1】、(1j)、(1m))、ペレットをマトリックスへの水の受容を防止する成分を含むフィルム構成性物質でコーティングすること(上記(1d))が記載されている。

上記記載事項から、刊行物1には、
「カプセル化製品を含む、人または動物摂取用の食用品であって、
このカプセル化製品が、
少なくとも1種の可塑化性マトリックス材料、液体可塑剤、活性微生物、活性微生物の分解温度よりも低い温度では実質的に非可塑化性であるマトリックス成分、および活性微生物の放出速度を調節するための少なくとも1種の成分を混合することによって得られる実質的に均質な成型可能混合物を、ペレットとして圧縮成型し、十分に長時間の貯蔵安定性または貯蔵寿命を確実にする十分に低い水分含有量に乾燥させ、水のマトリックスへの受容を防止する成分を含有したフィルム構成性物質で表面処理して、ペレットをコーティングしたものであって、
上記実質的に非可塑化性であるマトリックス成分が、少なくとも実質的に未α化の澱粉、澱粉類よりも低分子量を有する炭水化物、繊維、セルロースおよびヘミセルロースからなる群から選ばれたもの含み、
上記可塑化性マトリックス材料が、高グルテン含有量の小麦粉、小麦由来のグルテン、ジュラム小麦、ジュラムセモリナ、α化澱粉、ペントサン、および親水コロイドからなる群から選ばれたものを含むものである、
人または動物摂取用の食用品」の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。

そこで、本願発明と刊行物1発明とを比較する。
(ア)刊行物1発明の「カプセル化製品」はペレットとして圧縮成形されたものをコーティングしたものであるから、本願発明の「ペレット」に相当する。

(イ)刊行物1発明の「人または動物摂取用の食用品」は、十分に長時間の貯蔵安定性または貯蔵寿命を確実にする十分に低い水分含有量に乾燥させコーティングしたカプセル化製品を含むものであり、本願発明の「0.7以上の水分活性を有する湿り食品、0.5?0.7の水分活性を有する半湿り食品または0.3?0.5の水分活性を有する半乾燥食品の中にペレットを含む長期保存可能な食品」とは、ペレットを含む食品である点で共通する。

(ウ)刊行物1発明の「実質的に非可塑化性であるマトリックス成分」であって「少なくとも実質的に未α化の澱粉、澱粉類よりも低分子量を有する炭水化物、繊維、セルロースおよびヘミセルロースからなる群から選ばれたもの」のうち、「澱粉類よりも低分子量を有する炭水化物」について、刊行物1(上記(1g))には、「約2?約99または約5?98の範囲のデキストロース当量値(DE値)を有するデキストリンまたはシロップ類のような澱粉加水分解生成物」と記載されている。そして、本願発明の「マルトデキストリン」は、澱粉の加水分解物(DE値3?20)であることは技術常識から明らかである。
そうすると、刊行物1発明の「実質的に非可塑化性であるマトリックス成分」であって「少なくとも実質的に未α化の澱粉、澱粉類よりも低分子量を有する炭水化物、繊維、セルロースおよびヘミセルロースからなる群から選ばれたもの」と、本願発明の「インナーマトリックス」に含まれる「ペットフード、マルトデキストリン、チコリ粉、およびそれらの混合物からなる群から選ばれた構成成分」とは、インナーマトリックスに含まれる、澱粉類よりも低分子量を有する炭水化物を含む構成成分である点で共通する。
また、刊行物1発明の「活性微生物の放出速度を調節するための少なくとも1種の成分」について、刊行物1(上記(1g)、(1a)の請求項7)には、非可塑化性成分のうち、低分子マトリックス成分であることが記載されており、刊行物1発明は、刊行物1発明の「実質的に非可塑化性であるマトリックス成分」であって「澱粉類よりも低分子量を有する炭水化物」を含有すれば足りるものである。

(エ)刊行物1発明の「高グルテン含有量の小麦粉、小麦由来のグルテン、ジュラム小麦、ジュラムセモリナ、α化澱粉、ペントサン、および親水コロイドからなる群から選ばれた」ものである「可塑化性マトリックス材料」について、本願明細書段落【0070】、【0082】には、賦形剤や結合剤として、澱粉類、グルテン蛋白質、ヒドロコロイド類等を含んでよいことが記載されており、本願発明は、可塑化性マトリックス材料を含むことを排除していない。

(オ)刊行物1発明の「液体可塑剤」について、刊行物1(上記(1h))には、液体可塑剤として、水、アルコール、グリセリン、ソルビトール等が記載されている。一方、本願発明の「可塑剤」について、本願明細書段落【0081】には、可塑剤の例として、グリセロール(グリセリンと同義)、ソルビトール、アルコール類が記載されているから、
刊行物1発明の「液体可塑剤」は、本願発明の「可塑剤」に相当する。

(カ)刊行物1発明の「ペレット」は、圧縮成型後「十分に長時間の貯蔵安定性または貯蔵寿命を確実にする十分に低い水分含有量に乾燥させ」たものであるから、本願発明の「圧縮インナーマトリックス」であり「0.3未満の水分活性」のものとは、インナーマトリックスが貯蔵に安定な水分含量まで乾燥しているものである点で共通する。

(キ)刊行物1発明の「活性微生物」は、本願補正発明の「生存微生物」に相当する。

(ク)刊行物1発明の「水のマトリックスへの受容を防止する成分を含有したフィルム構成性物質」を含む「コーテイング」は、水の侵入を防止し、食品に用いられるものであるから、本願補正発明の「食品級モイスチャーバリア」を含む「コーテイング」に相当する。

そうすると、両者の間には、以下の一致点及び相違点がある。
(一致点)
ペレットを含む食品であって、
ペレットは圧縮インナーマトリックスと少なくとも一つのコーティングを含み、
インナーマトリックスが、生存微生物と、澱粉類よりも低分子量を有する炭水化物を含む構成成分と、可塑剤とを含み、
コーティングが食品級モイスチャーバリアを含み、
コーティング前の又は後間もなくのインナーマトリックスが貯蔵に安定な水分含量まで乾燥している、前記食品。」

(相違点1)
貯蔵に安定な水分含量まで乾燥されているインナーマトリックスが、本願発明では、コーティング前の又は後間もなくの水分活性が0.3未満であるのに対して、刊行物1発明では、水分活性の値を特定していない点。

(相違点2)
ペレットを含む食品が、本願発明では、「0.7以上の水分活性を有する湿り食品、または0.5?0.7の水分活性を有する半湿り食品または0.3?0.5の水分活性を有する半乾燥食品の中にペレットを含む長期保存可能な食品」であるのに対して、刊行物1発明では、食品の水分活性の値を特定せず、長期保存可能であるか明らかでない点。

(相違点3)
澱粉類よりも低分子量を有する炭水化物が、本願発明では「マルトデキストリン」であり、また、これと併せて選択可能な構成成分として、ペットフード及びチコリ粉があげられているのに対して、刊行物1発明では、「少なくとも実質的に未α化の澱粉、澱粉類よりも低分子量を有する炭水化物、繊維、セルロースおよびヘミセルロースからなる群から選ばれたもの」である「実質的に非可塑化性であるマトリックス成分」である点。

(相違点4)
ペレットが、本願発明では、0.3?8cm^(3)の体積を有するのに対して、刊行物1発明では、体積を特定していない点。

そこで、上記各相違点について検討する。
(相違点1について)
刊行物1(上記(1m))には、成型されたペレットは、好ましくは36ヶ月という十分長い保存安定性や在庫寿命を確保するために、8重量%未満或いは6重量%以下という十分低い水分含量まで乾燥することが記載され、刊行物1発明では、封入剤が活性微生物であることから、活性微生物が長期に安定な含水量を、ペレットの水分活性として決定し、ペレット、つまり圧縮インナーマトリックスの、コーティング前の又は後間もなくの水分活性を0.3未満とすることに、格別の困難性があるとはいえない。

(相違点2について)
刊行物1(上記(1n))には、カプセル化製品を含有させることができる食品として、半湿り食品あるいは半乾燥食品といえる、インスタントシリアル類、スナック類、ソフトキャンディー、ペットフード、栄養棒、等が記載されているが、これらのものは、通常、工場等で製品として製造され、流通販売され、そのまま食されるものであり、カプセル化製品を含有させた状態で長期保存が可能であることが求められるものである。
そして、刊行物1(上記(1d))には、コーティングについて、封入剤のマトリックスからの放出特性を調節できるだけでなく、光、酸素、水のマトリックスへの受容を遅延させるか防止する成分を含有し得ることが記載されており、カプセル化製品の周囲からの光、酸素、水影響を防止する機能を有するものといえるから、マトリックスへの水分の受容を防止する成分を含有させたコーティングを設けたカプセル化製品を用い、上記のような長期保存が求められる半湿り食品、半乾燥食品に含有させて、長期保存可能食品とすることは、当業者が容易になし得たことといえる。
そして、食品の水分活性の値については、例えば、特開平11-60407号公報の【表8】には、ビスケットが0.33、キャラメル、乾燥穀類、小麦粉が0.60程度であることが記載されており、半湿り食品の水分活性を0.5?0.7、半乾燥食品の水分活性を0.3?0.5とすることに格別の困難性はない。

(相違点3について)
刊行物1には、非可塑化性であるマトリックス成分の選択肢のうち「澱粉類よりも低分子量を有する炭水化物」が、「約2?約99または約5?98の範囲のデキストロース当量値(DE値)を有するデキストリンまたはシロップ類のような澱粉加水分解生成物」(上記(1g))であることが記載されている。そして、マルトデキストリンは、DE値3?20であることは技術常識であり、さらに、活性微生物を含有した食品に、マルトデキストリンを保護剤として添加することは、例えば、特開平10-191916号公報(【特許請求の範囲】、【0029】)、特開平10-57031号公報(【特許請求の範囲】、【0021】)にも記載されるように本願優先日前の周知技術であるから、刊行物1発明において、「約2?約99または約5?98の範囲のデキストロース当量値(DE値)を有するデキストリンまたはシロップ類のような澱粉加水分解生成物」として、マルトデキストリンを用いることに格別の困難性があるとはいえいない。
また、刊行物1(上記(1n))には、カプセル化製品を含有させる食品として、ペットフードが記載されており、刊行物1発明の「非可塑化性であるマトリックス成分」あるいは「可塑化性マトリックス材料」の構成成分として、ペットフードの成分のうちこれらに該当するものを含有させることは当業者が容易になし得たことといえる。

(相違点4について)
刊行物1には、ペレットの粒度変更が重要であること(上記(1m))が記載され、ペレットの大きさとして、直径が約0.3 mm?約7 mm(上記(1e))、或いは直径が約0.15?5mm(好ましくは0.15?4mm)程度であり、長さ:直径が約0.5?10(好ましくは約1)であることが記載されており(上記(1k)(1l))、直径7mm、長さ:直径を10として計算すると、約2.7cm^(3)(0.35cm×0.35cm×3.14×7cm)の体積を包含しており、食品の種類や用途に応じて、これに含有されるカプセル化製品の好ましい体積を選択し、0.3?8cm^(3)の体積を有するものとすることに格別に困難性ない。

(本願補正発明の効果について)
そして、湿り食品や半湿り食品の中で、プロバイオティクスの寿命期間を延長させるという本願発明の効果(段落【0012】)は、刊行物1の記載事項及び周知技術から予測し得たものであり、格別顕著なものとはいえない。

4 むすび
以上のとおり、本願請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その他の請求項に係る発明についての判断を示すまでもなく本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-02-18 
結審通知日 2013-02-19 
審決日 2013-03-04 
出願番号 特願2003-573962(P2003-573962)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A23L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉森 晃▲高▼ 美葉子  
特許庁審判長 秋月 美紀子
特許庁審判官 菅野 智子
齊藤 真由美
発明の名称 プロバイオティック送達システム  
代理人 渡辺 欣乃  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 池田 成人  
代理人 黒川 朋也  
代理人 池田 正人  
代理人 城戸 博兒  
代理人 清水 義憲  
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