ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード![]() |
審決分類 |
審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 G11B 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G11B 審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 G11B 審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 G11B 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B |
---|---|
管理番号 | 1276870 |
審判番号 | 不服2012-5811 |
総通号数 | 165 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-09-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-03-29 |
確定日 | 2013-07-17 |
事件の表示 | 特願2007-537794「情報記録媒体、記録/再生装置及び記録/再生方法」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 8月 3日国際公開、WO2006/080736、平成20年 5月29日国内公表、特表2008-518375〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成17年10月10日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2004年10月22日、韓国(KR))を国際出願日とする出願であって、平成23年6月9日付けの拒絶理由通知(最後)に対する応答期間内の同年9月14日付けで意見書が提出されたが、同年11月21日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成24年3月29日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに同日付けで手続補正がなされた。 その後、平成24年8月2日付けで前置報告書の内容に基づく審尋がなされ、同年11月7日付けで回答書が提出されたものである。 第2 平成24年3月29日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成24年3月29日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.本件補正 平成24年3月29日付け手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について、本件補正前(平成23年3月14日付け手続補正書)に、 「【請求項1】 情報記録媒体において、 前記媒体に適用された所定機能を認識できない記録/再生装置であっても、前記媒体へのアクセスを制御できるように設定される共通情報を有するアクセス制御データ(ACD)を記録するためのアクセス制御領域が前記媒体に設けられ、 前記共通情報は、前記媒体に適用された所定機能に関する設定情報に依存する対応情報に基づいて設定され、 前記アクセス制御データは、 前記所定機能を認識する記録/再生装置により設定される前記設定情報を示す個別情報をさらに含み、 前記共通情報は、欠陥管理領域記録可否情報、スペア領域記録可否情報、ユーザデータ領域記録可否情報のうち少なくとも一つ以上を含むことを特徴とする情報記録媒体。 【請求項2】 前記個別情報の記録防止状態情報が記録防止に設定されていれば、前記共通情報のうち、欠陥管理領域記録可否情報、スペア領域記録可否情報、ユーザデータ領域記録可否情報のうち少なくとも一つ以上が記録不可状態に設定され、 前記個別情報の記録防止状態情報が記録防止解除に設定されていれば、前記共通情報のうち、欠陥管理領域記録可否情報、スペア領域記録可否情報、ユーザデータ領域記録可否情報のうち少なくとも一つ以上が記録可能状態に設定されることを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体。 【請求項3】 情報記録媒体において、 前記媒体に適用された所定機能を認識できない記録/再生装置であっても、前記媒体へのアクセスを制御できるように設定される共通情報を有するアクセス制御データ(ACD)を記録するためのアクセス制御領域が前記媒体に設けられ、 前記共通情報は、前記媒体に適用された所定機能に関する設定情報に依存する対応情報に基づいて設定され、 前記アクセス制御データは、 前記所定機能を認識する記録/再生装置により設定される前記設定情報を示す個別情報をさらに含み、 前記所定機能は、再生防止機能であり、 前記個別情報は、再生防止状態情報であり、 前記共通情報は、ユーザデータ領域再生可否情報のうち少なくとも一つ以上を含むことを特徴とする情報記録媒体。 【請求項4】 前記個別情報の再生防止状態情報が再生防止に設定されていれば、前記共通情報の前記ユーザデータ領域再生可否情報は、再生不可状態に設定され、 前記個別情報の再生防止状態情報が再生防止解除に設定されていれば、前記共通情報の前記ユーザデータ領域再生可否情報は、再生可能状態に設定されることを特徴とする請求項3に記載の情報記録媒体。 【請求項5】 記録/再生装置において、 情報記録媒体に適用された所定機能を認識できない記録/再生装置であっても、前記媒体へのアクセスを制御できるように設定される共通情報を有するアクセス制御データ(ACD)を記録するためのアクセス制御領域が設けられた前記媒体にデータを記録するか、または前記媒体からデータを読み出す記録/読み出し部と、 前記共通情報を前記媒体に適用された所定機能に関する設定情報に依存する対応情報に基づいて設定し、前記共通情報を前記媒体に記録するように前記記録/読み出し部を制御する制御部とを備え、 前記アクセス制御データは、 前記所定機能を認識する記録/再生装置により設定される前記設定情報を示す個別情報をさらに含み、 前記共通情報は、欠陥管理領域記録可否情報、スペア領域記録可否情報、ユーザデータ領域記録可否情報のうち少なくとも一つ以上を含むことを特徴とする記録/再生装置。 【請求項6】 前記制御部は、 前記個別情報の記録防止状態情報を記録防止に設定すれば、前記共通情報のうち、欠陥管理領域記録可否情報、スペア領域記録可否情報、ユーザデータ領域記録可否情報のうち少なくとも一つ以上は、記録不可状態に設定し、 前記個別情報の記録防止状態情報を記録防止解除に設定すれば、前記共通情報のうち、欠陥管理領域記録可否情報、スペア領域記録可否情報、ユーザデータ領域記録不可情報のうち少なくとも一つ以上は、記録可能状態に設定することを特徴とする請求項5に記載の記録/再生装置。 【請求項7】 記録/再生装置において、 情報記録媒体に適用された所定機能を認識できない記録/再生装置であっても、前記媒体へのアクセスを制御できるように設定される共通情報を有するアクセス制御データ(ACD)を記録するためのアクセス制御領域が設けられた前記媒体にデータを記録するか、または前記媒体からデータを読み出す記録/読み出し部と、 前記共通情報を前記媒体に適用された所定機能に関する設定情報に依存する対応情報に基づいて設定し、前記共通情報を前記媒体に記録するように前記記録/読み出し部を制御する制御部とを備え、 前記アクセス制御データは、 前記所定機能を認識する記録/再生装置により設定される前記設定情報を示す個別情報をさらに含み、 前記所定機能は、再生防止機能であり、 前記個別情報は、再生防止状態情報であり、 前記共通情報は、ユーザデータ領域再生可否情報のうち少なくとも一つ以上を含むことを特徴とする記録/再生装置。 【請求項8】 前記制御部は、 前記個別情報の再生防止状態情報を再生防止に設定すれば、前記共通情報の前記ユーザデータ領域再生可否情報は、再生不可状態に設定し、 前記個別情報の再生防止状態情報を再生防止解除に設定すれば、前記共通情報の前記ユーザデータ領域再生可否情報は、再生可能状態に設定することを特徴とする請求項7に記載の記録/再生装置。 【請求項9】 記録/再生方法において、 情報記録媒体に適用された所定機能を認識できない記録/再生装置であっても、前記媒体へのアクセスを制御できるように設定される共通情報を有するアクセス制御データ(ACD)を記録するためのアクセス制御領域が設けられた前記媒体にデータを記録するか、または前記媒体からデータを読み出す段階と、 前記共通情報を前記媒体に適用された所定機能に関する設定情報に依存する対応情報に基づいて設定し、 前記アクセス制御データは、 前記所定機能を認識する記録/再生装置により設定される前記設定情報を示す個別情報をさらに含み、 前記共通情報は、欠陥管理領域記録可否情報、スペア領域記録可否情報、ユーザデータ領域記録可否情報のうち少なくとも一つ以上を含むことを特徴とする記録/再生方法。 【請求項10】 前記設定段階は、 前記個別情報の記録防止状態情報を記録防止に設定すれば、前記共通情報のうち、欠陥管理領域記録可否情報、スペア領域記録可否情報、ユーザデータ領域記録可否情報のうち少なくとも一つ以上は、記録不可状態に設定する段階と、 前記個別情報の記録防止状態情報を記録防止解除に設定すれば、前記共通情報のうち、欠陥管理領域記録可否情報、スペア領域記録可否情報、ユーザデータ領域記録可否情報のうち少なくとも一つ以上は、記録可能状態に設定する段階とを含むことを特徴とする特徴とする請求項9に記載の記録/再生方法。 【請求項11】 記録/再生方法において、 情報記録媒体に適用された所定機能を認識できない記録/再生装置であっても、前記媒体へのアクセスを制御できるように設定される共通情報を有するアクセス制御データ(ACD)を記録するためのアクセス制御領域が設けられた前記媒体にデータを記録するか、または前記媒体からデータを読み出す段階と、 前記共通情報を前記媒体に適用された所定機能に関する設定情報に依存する対応情報に基づいて設定し、 前記アクセス制御データは、 前記所定機能を認識する記録/再生装置により設定される前記設定情報を示す個別情報をさらに含み、 前記所定機能は、再生防止機能であり、 前記個別情報は、再生防止状態情報であり、 前記共通情報は、ユーザデータ領域再生可否情報のうち少なくとも一つ以上を含むことを特徴とする記録/再生方法。 【請求項12】 前記設定段階は、 前記個別情報の再生防止状態情報を再生防止に設定すれば、前記共通情報の前記ユーザデータ領域再生可否情報は、記録不可状態に設定する段階と、 前記個別情報の再生防止状態情報を再生防止解除に設定すれば、前記共通情報の前記ユーザデータ領域再生可否情報は、再生可能状態に設定する段階とを含むことを特徴とする請求項11に記載の記録/再生方法。」 とあったところ、 本件補正後、 「【請求項1】 情報記録媒体において、 前記媒体に適用された所定機能を認識できない記録/再生装置であっても、前記媒体へのアクセスを制御できるように設定される共通情報を有するアクセス制御データ(ACD)を記録するためのアクセス制御領域が前記媒体に設けられ、 前記共通情報は、前記媒体に適用された所定機能に関する設定情報に依存する対応情報に基づいて設定され、 前記アクセス制御データは、 前記所定機能を認識する記録/再生装置により設定される前記設定情報を示す個別情報をさらに含み、 前記共通情報は、欠陥管理領域記録可否情報、及びユーザデータ領域記録可否情報を含むことを特徴とする情報記録媒体。 【請求項2】 前記個別情報の記録防止状態情報が記録防止に設定されていれば、前記共通情報のうち、欠陥管理領域記録可否情報、スペア領域記録可否情報、ユーザデータ領域記録可否情報のうち少なくとも一つ以上が記録不可状態に設定され、 前記個別情報の記録防止状態情報が記録防止解除に設定されていれば、前記共通情報のうち、欠陥管理領域記録可否情報、スペア領域記録可否情報、ユーザデータ領域記録可否情報のうち少なくとも一つ以上が記録可能状態に設定されることを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体。 【請求項3】 情報記録媒体において、 前記媒体に適用された所定機能を認識できない記録/再生装置であっても、前記媒体へのアクセスを制御できるように設定される共通情報を有するアクセス制御データ(ACD)を記録するためのアクセス制御領域が前記媒体に設けられ、 前記共通情報は、前記媒体に適用された所定機能に関する設定情報に依存する対応情報に基づいて設定され、 前記アクセス制御データは、 前記所定機能を認識する記録/再生装置により設定される前記設定情報を示す個別情報をさらに含み、 前記共通情報は、欠陥管理領域記録可否情報、及びユーザデータ領域記録可否情報を含むことを特徴とする情報記録媒体。 【請求項4】 前記個別情報の再生防止状態情報が再生防止に設定されていれば、前記共通情報の前記ユーザデータ領域再生可否情報は、再生不可状態に設定され、 前記個別情報の再生防止状態情報が再生防止解除に設定されていれば、前記共通情報の前記ユーザデータ領域再生可否情報は、再生可能状態に設定されることを特徴とする請求項3に記載の情報記録媒体。 【請求項5】 記録/再生装置において、 情報記録媒体に適用された所定機能を認識できない記録/再生装置であっても、前記媒体へのアクセスを制御できるように設定される共通情報を有するアクセス制御データ(ACD)を記録するためのアクセス制御領域が設けられた前記媒体にデータを記録するか、または前記媒体からデータを読み出す記録/読み出し部と、 前記共通情報を前記媒体に適用された所定機能に関する設定情報に依存する対応情報に基づいて設定し、前記共通情報を前記媒体に記録するように前記記録/読み出し部を制御する制御部とを備え、 前記アクセス制御データは、 前記所定機能を認識する記録/再生装置により設定される前記設定情報を示す個別情報をさらに含み、 前記共通情報は、欠陥管理領域記録可否情報、及びユーザデータ領域記録可否情報を含むことを特徴とする記録/再生装置。 【請求項6】 前記制御部は、 前記個別情報の記録防止状態情報を記録防止に設定すれば、前記共通情報のうち、欠陥管理領域記録可否情報、スペア領域記録可否情報、ユーザデータ領域記録可否情報のうち少なくとも一つ以上は、記録不可状態に設定し、 前記個別情報の記録防止状態情報を記録防止解除に設定すれば、前記共通情報のうち、欠陥管理領域記録可否情報、スペア領域記録可否情報、ユーザデータ領域記録不可情報のうち少なくとも一つ以上は、記録可能状態に設定することを特徴とする請求項5に記載の記録/再生装置。 【請求項7】 記録/再生装置において、 情報記録媒体に適用された所定機能を認識できない記録/再生装置であっても、前記媒体へのアクセスを制御できるように設定される共通情報を有するアクセス制御データ(ACD)を記録するためのアクセス制御領域が設けられた前記媒体にデータを記録するか、または前記媒体からデータを読み出す記録/読み出し部と、 前記共通情報を前記媒体に適用された所定機能に関する設定情報に依存する対応情報に基づいて設定し、前記共通情報を前記媒体に記録するように前記記録/読み出し部を制御する制御部とを備え、 前記アクセス制御データは、 前記所定機能を認識する記録/再生装置により設定される前記設定情報を示す個別情報をさらに含み、 前記所定機能は、再生防止機能であり、 前記個別情報は、再生防止状態情報であり、 前記共通情報は、欠陥管理領域記録可否情報、及びユーザデータ領域再生可否情報を含むことを特徴とする記録/再生装置。 【請求項8】 前記制御部は、 前記個別情報の再生防止状態情報を再生防止に設定すれば、前記共通情報の前記ユーザデータ領域再生可否情報は、再生不可状態に設定し、 前記個別情報の再生防止状態情報を再生防止解除に設定すれば、前記共通情報の前記ユーザデータ領域再生可否情報は、再生可能状態に設定することを特徴とする請求項7に記載の記録/再生装置。 【請求項9】 記録/再生方法において、 情報記録媒体に適用された所定機能を認識できない記録/再生装置であっても、前記媒体へのアクセスを制御できるように設定される共通情報を有するアクセス制御データ(ACD)を記録するためのアクセス制御領域が設けられた前記媒体にデータを記録するか、または前記媒体からデータを読み出す段階と、 前記共通情報を前記媒体に適用された所定機能に関する設定情報に依存する対応情報に基づいて設定する設定段階と、 を含み、 前記アクセス制御データは、 前記所定機能を認識する記録/再生装置により設定される前記設定情報を示す個別情報をさらに含み、 前記共通情報は、欠陥管理領域記録可否情報、及びユーザデータ領域記録可否情報を含むことを特徴とする記録/再生方法。 【請求項10】 前記設定段階は、 前記個別情報の記録防止状態情報を記録防止に設定すれば、前記共通情報のうち、欠陥管理領域記録可否情報、スペア領域記録可否情報、ユーザデータ領域記録可否情報のうち少なくとも一つ以上は、記録不可状態に設定する段階と、 前記個別情報の記録防止状態情報を記録防止解除に設定すれば、前記共通情報のうち、欠陥管理領域記録可否情報、スペア領域記録可否情報、ユーザデータ領域記録可否情報のうち少なくとも一つ以上は、記録可能状態に設定する段階とを含むことを特徴とする特徴とする請求項9に記載の記録/再生方法。 【請求項11】 記録/再生方法において、 情報記録媒体に適用された所定機能を認識できない記録/再生装置であっても、前記媒体へのアクセスを制御できるように設定される共通情報を有するアクセス制御データ(ACD)を記録するためのアクセス制御領域が設けられた前記媒体にデータを記録するか、または前記媒体からデータを読み出す段階と、 前記共通情報を前記媒体に適用された所定機能に関する設定情報に依存する対応情報に基づいて設定する設定段階と、 を含み、 前記アクセス制御データは、 前記所定機能を認識する記録/再生装置により設定される前記設定情報を示す個別情報をさらに含み、 前記所定機能は、再生防止機能であり、 前記個別情報は、再生防止状態情報であり、 前記共通情報は、欠陥管理領域記録可否情報、及びユーザデータ領域再生可否情報を含むことを特徴とする記録/再生方法。 【請求項12】 前記設定段階は、 前記個別情報の再生防止状態情報を再生防止に設定すれば、前記共通情報の前記ユーザデータ領域再生可否情報は、記録不可状態に設定する段階と、 前記個別情報の再生防止状態情報を再生防止解除に設定すれば、前記共通情報の前記ユーザデータ領域再生可否情報は、再生可能状態に設定する段階とを含むことを特徴とする請求項11に記載の記録/再生方法。」 とするものである。 2.本件補正の適否 本件補正前の請求項1ないし12に記載された発明は、本件補正後の請求項1ないし12に記載された発明にそれぞれ対応している。 そこで、請求項3,7及び11について本件補正の適否について、以下検討する。 (1)請求項3については、本件補正前の請求項3における発明特定事項である「前記所定機能は、再生防止機能であり」及び「前記個別情報は、再生防止状態情報であり」を削除し、そして「前記共通情報は、ユーザデータ領域再生可否情報のうち少なくとも一つ以上を含む」を「前記共通情報は、欠陥管理領域記録可否情報、及びユーザデータ領域記録可否情報を含む」と共通情報の内容を変更するものであり、発明特定事項を限定したものと認めることができない。 また、請求項3についての補正は、不明瞭な記載の釈明、又は誤記の訂正に当たらないことも明らかである。 (2)請求項7および11については、本件補正前の請求項7および11における発明特定事項の「前記共通情報は、ユーザデータ領域再生可否情報のうち少なくとも一つ以上を含む」を「前記共通情報は、欠陥管理領域記録可否情報、及びユーザデータ領域再生可否情報を含む」とする補正は、共通情報が所定機能である再生防止機能に関する設定情報に依存する対応情報に基づいて設定されるものであるところ、共通情報として、「ユーザデータ領域再生可否情報」にさらに所定機能を異にする「欠陥管理領域記録可否情報」を追加してたものであるから、発明特定事項を限定したものと認めることができない。なお、共通情報を限定したものと解されるとしても、本願の発明の詳細な説明には、再生防止機能を認識できない記録/再生装置のために、再生防止ACDの共通情報710にユーザデータ領域/再生可否情報712のようなユーザデータ領域の再生と関連した情報フィールドを、再生不可状態、又は、再生可能状態に設定することしか記載されておらず(段落【0060】?【0065】)、請求項7および11に記載された発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。 また、請求項7および11についての補正は、不明瞭な記載の釈明、又は誤記の訂正に当たらないことも明らかである。 以上のことから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項を目的とするものと認めることができない。 3.本件補正についてのむすび 以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 平成24年3月29日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし12に係る発明は、平成23年3月14日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定されるものであるところ、請求項3に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記「第2[理由]1.」の本件補正前の「請求項3」として記載したとおりのものである。 2.引用例 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開2000-322841号公報(以下「引用例」という。)には、図面と共に、以下の記載がある。(なお、下線は、当審で付与した。) (1)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、一般にデータ記憶媒体に関し、特に書き換え可能な(以下リライタブルと称す)媒体の各種の識別及び制御属性に使用されるデータ構造に関する。」 (2)「【0005】本発明の別の目的は、ドライブが、認識されないDCBに直面した場合に、認識されないDCB中の重要な標準的な制御パラメータセットをデコードすることができ、これにより、該ドライブの挙動が、認識されないDCBの要件と矛盾することがなくなる、データ構造を提供することである。各DCBは、DCBの機能を指定する制御ブロック識別子を含む。各DCBはまた、不明内容記述動作(UCDA:Unknown content descriptor Actions)と呼ばれる領域を含み、該領域は、ドライブがDCBの識別子を認識しない場合に該ドライブが行わなければならない所定動作を指定する。」 (3)「【0009】本提案の光ディスク媒体は、複数セクタへとフォーマットされ、それらセクタは、複数ブロックへ論理的にグループ化される。本規格案では、各セクタは2kbyte(2,048byte)であり、各ブロックは16セクタである。1ブロックは、書き込むことのできるデータの最小単位である。エラー訂正はブロック単位で行われる。本規格案では、1つのDCBは1ブロックとなる。特定の実施例では、DCBは、光ディスクのリードイン領域及びリードアウト領域内にある。 【0010】図1は、本提案のディスク媒体を示している。本提案のディスク100は、単一のらせん状のトラック102を有しており、内径から出発して外径で終了する。該らせん状トラックは、少なくとも1つのリードイン領域104と少なくとも1つのリードアウト領域106とを有する。該リードイン領域には各DCBの1つのコピー(108)が書き込まれ、リードアウト領域には冗長コピー(110)が書き込まれる。本規格案では、リードイン領域又はリードアウト領域の各々は、最大で16の異なるDCBを収容することが可能である(但し16を上回るDCBが規定される場合もある)。GM DCBは、ディスクが最初にフォーマットされた際に書き込まれ、その後、その他のあらゆるDCBを追加することが可能となる。 【0011】図2は、本発明によるDCB200を示している。本規格案では、標準ヘッダが指定される。該ヘッダは、3つの情報項目を含み、即ち、(1)DCB ID番号(202)、(2)不明内容記述動作(UCDA)領域(204)、及び(3)ベンダID(206)を含む。該DCB200の残りの部分208は、DCB ID番号により識別されたDCBのタイプに固有のものである。該DCB ID番号は、規格の一部として登録されなければならない番号である。しかし、以下で詳述するように、新たなDCB IDを該規格の寿命中に追加することが可能であり、ドライブ毎に全てのDCB IDを認識する必要はない。本規格案は、DCB IDのために1つの16ビットワードをリザーブする。本規格案は、全てのDCBブロックが最初に全てゼロとしてフォーマットされることを指定する。したがって、DCB ID0000(16進)は、未使用(使用可能)ブロックを示す。例えば媒体不良に起因してドライブがDCBを書き込むことができない場合には、DCB IDは全て1(FFFF(16進))に設定される。DCBがもはや必要でなくなった場合には、該ブロックを全てゼロで書き換えるのではなく、DCB IDをFFFF(16進)に設定し、これにより該ブロックが再利用可能であることを示す。なお、考え得る媒体不良に起因して、リードイン領域中の一連のDCBがリードアウト領域中の一連のDCBと異なる可能性がある。例えば、リードイン領域中の最初のDCBブロックに欠陥がある場合には、GM DCBがリードイン領域中の2番目のブロックとなる一方、リードアウト領域中の最初のブロックとなる可能性がある。 【0012】DCBの1つの重要な特徴は、第2のヘッダ項目、即ち、不明内容記述動作(UCDA)204である。UCDAは、ドライブがDCB IDを認識しない場合であっても当該未知のDCBのアクセス制御要件と矛盾するディスクアクセス動作を該ドライブが許可しないことを確実にするために使用される。これは、後方互換性、即ち、現在提案されている多くの規格に欠如している能力を提供するものとなる。UCDAについては以下で一層詳細に説明する。DCBヘッダ中の第3及び最後の項目はベンダID(206)である。」 (4)「【0015】オペレーティングシステムは、ユーザがファイルを読み書きすることが可能であるか否かを制御することが可能である。ファイルによってはオペレーティングシステムによりパスワード保護することが可能である。代替的には、媒体全体の書き込み保護を機械的に制御することが可能である。例えば、フレキシブルディスクカートリッジのスライディングタグ又はテープリールに挿入されたリングを使用して、媒体への書き込みを防止することが可能である。一般に、交換可能な媒体が、互換性のないオペレーティングシステムを使用したコンピュータシステム中に配置された場合には、該オペレーティングシステムにより指定されるアクセス制御をバイパスすることができる。例えば、或るオペレーティングシステムが或るファイルの書き込み保護を行う場合に、別のオペレーティングシステムが該ファイルがの上書きを許可する可能性がある。アクセスの制御をドライブ内へと移すことにより追加の保護が提供される。ドライブ内でのアクセス制御は新規なものではない。例えば、米国特許第5,233,576号(Curtis等)には、媒体を異なる部分へと区画化し、その各部分を書き込み可能又は読み出し専用として規定することが可能な、光ディスク媒体が記載されている。Curtis等の興味深い特徴は、その書き込み保護の方法が、新たなアクセス制御方法が利用可能となる前に製造された旧式のドライブにも有効に作用することである。本発明により使用されるDCBの一例では、この一般的な概念をさらに詳細に取り上げる。随意選択によるDCBの一例がアクセス制御(AC)DCBである。アクセス制御DCBは、開始及び終了論理ブロックアドレスを指定することにより、又は開始ブロックアドレス及びブロック数を指定することにより、ディスクを複数の領域へと分割する。その各領域は、オペレーティングシステムから見た場合には、ファイル、ディレクトリ、ディスク全体、又はその他の任意の論理記憶構造を表すものとなる。各領域は、関連づけられたアクセス制御仕様を有し、該アクセス制御仕様の例としては下記のようなものが挙げられる。 【0016】制限なし 読み取りなし 書き込みなし フォーマットなし 追記型 パスワードを伴う読み出し パスワードを伴う書き込み パスワードを伴うフォーマット パスワードを伴う追記可能 上記リストは単なる一例であり、他のアクセス制御が望ましい場合もある。例えば、1つの問題として、追記型領域を指定する制御属性を常に反転させることができるか否かが挙げられる。本規格案では、制御を変更することができることを規定しており、このため制御についての制御が存在する。例えば、AC DCB内のアクセス制御は、それ自体がパスワードにより保護されることが可能である。 【0017】ここでUCDA(図2の符合204)に戻る。UCDAは、複数の1ビットフィールドを含み、その各ビットによりアクセス制御属性が指定される。UCDAは、ドライブがDCB IDを認識せず、このため如何なる情報をも解釈できず、また特定的にはDCBのDCB特定領域内のアクセス制御情報を解釈することができない、という場合のみ使用される。ドライブがDCB IDを認識しない場合には、認識されないDCBのためのUCDAは、全てのDCBにおける他の全てのアクセス制御を優先するものとなる。例えば、新たに規定されたDCBが、所定のディスク領域が書き込み保護されなければならないことを規定しているものと想定する。書き込み保護領域を規定する新たなDCBもまた、そのUCDA領域内に「書き込みなし」を規定するビットセットを有している。この新たなDCB IDをドライブが認識しない場合、該ドライブは依然として該UCDAが「書き込みなし」を規定するものと理解し、よって該ドライブは、ディスクの如何なる部分に対する書き込みをも許可しない。これにより、ドライブが、認識されないDCBのアクセス条件と矛盾する如何なるアクセス動作をも実行しないことが確実になる。更なる一例として、未知のDCBは、DCBのDCB特定領域の読み出しを不能にして、不許可ドライブがDCB中のパスワードを読み出すことができないようにすることが可能である。特定のUDCAビットは、例えば、リードイン領域及びリードアウト領域のDCB領域内の書き込みを不能にし、ディスクのデータ領域の書き込みを不能にし、ディスクのあらゆる部分に対する書き込みを不能にし、データ領域の上書きを不能にし、再フォーマットを不能にし、及びデータ領域の読み出しを不能にする、といったことが可能なものである。 【0018】図4は、UCDAと共に使用する方法を示している。ドライブは最初にDCBIDを読み出す(ステップ400)、ドライブがIDを認識した場合(ステップ402)、該ドライブはDCB特定データ領域を使用する(ステップ404)。またIDが認識されない場合(ステップ402)には、ドライブは、ヘッダ中のUCDAアクセス制御情報を使用しなければならない(ステップ406)。」 (5)図2には、DCB200の残りの部分208として「DCB特定内容」が示されている。 上記摘示事項及び図面の記載を総合勘案すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。 「ディスク媒体において、 前記ディスク媒体は、少なくとも1つのリードイン領域を有し、該リードイン領域にはディスク制御ブロック(DCB)が書き込まれ、 前記DCBには、標準ヘッダが指定され、該ヘッダは、DCB ID番号、ドライブがDCB ID番号を認識しない場合に該ドライブが行わなければならない所定動作を指定する不明内容記述動作(UCDA)及びベンダIDの3つの情報項目を含み、DCBの残りの部分は、DCB ID番号により識別されたDCB特定内容であり、 前記UCDAは、ドライブがDCB IDを認識しない場合であっても当該未知のDCBのアクセス制御要件と矛盾するディスクアクセス動作を該ドライブが許可しないことを確実にするために使用されるものであって、ビットフィールドを含み、そのビットによりアクセス制御属性が指定され、DCBのDCB特定内容の読み出しを不能とするDCBの場合、データ領域の読み出しを不能とする読み取りなしを規定するビットであるディスク媒体。」 3.対比 そこで、本願発明と引用発明とを対比する。 (1)引用発明の「ディスク媒体」は、本願発明の「情報記録媒体」に相当する。 (2)引用発明の「ドライブ」及び「DCB」は、本願発明の「記録/再生装置」及び「ACD」に相当し、そして、引用発明の「UCDA」は、「ドライブがDCB ID番号を認識しない場合に該ドライブが行わなければならない所定動作を指定する」ものであるから、引用発明は、本願発明の「前記媒体に適用された所定機能を認識できない記録/再生装置であっても、前記媒体へのアクセスを制御できるように設定される共通情報を有するアクセス制御データ(ACD)を記録するためのアクセス制御領域が前記媒体に設けられ」に相当する構成を備えている。 (3)引用発明の「UCDA」は、「ドライブがDCB IDを認識しない場合であっても当該未知のDCBのアクセス制御要件と矛盾するディスクアクセス動作を該ドライブが許可しないことを確実にするために使用されるもの」であり、「未知のDCBのアクセス制御要件」に依存する情報といえるから、引用発明は、本願発明の「前記共通情報は、前記媒体に適用された所定機能に関する設定情報に依存する対応情報に基づいて設定され」に相当する構成を備えている。 (4)引用発明の「DCB特定内容」は、本願発明の「個別情報」であるから、引用発明は、本願発明の「前記アクセス制御データは、前記所定機能を認識する記録/再生装置により設定される前記設定情報を示す個別情報をさらに含み」に相当する構成を備えている。 (5)引用発明の「DCBのDCB特定内容の読み出しを不能とする」という機能は、「再生防止機能」といえる。 (6)引用発明の「読み取りなしを規定するビット」は、本願発明の「再生防止状態情報」に相当する。 ところで、本願発明における発明特定事項である「前記共通情報は、ユーザデータ領域再生可否情報のうち少なくとも一つ以上」は、「ユーザデータ領域再生可否情報のうち一つ」を含むものであるから、当該事項について引用発明との対比を行うこととする。 そうすると、本願補正発明と引用発明とは、次の点で一致する。 <一致点> 「情報記録媒体において、 前記媒体に適用された所定機能を認識できない記録/再生装置であって、前記媒体へのアクセスを制御できるように設定される共通情報を有するアクセス制御データ(ACD)を記録するためのアクセス制御領域が前記媒体に設けられ、 前記共通情報は、前記媒体に適用された所定機能に関する設定情報に依存する対応情報に基づいて設定され、 前記アクセス制御データは、 前記所定機能を認識する記録/再生装置により設定される前記設定情報を示す個別情報をさらに含み、 前記所定機能は、再生防止機能であり、 前記個別情報は、再生防止状態情報である情報記録媒体。」 そして、次の点で相違する。 <相違点> 「共通情報」について、本願発明は、「ユーザデータ領域再生可否情報のうち一つ」であるのに対し、引用発明はそのような限定がなされていない(読み取りなしビット)である点。 4.判断 そこで、上記相違点について検討する。 引用発明は、UCDA(共通情報)としてデータ領域の読み出しを不能とする読み取りなしを規定するビットを設定している。そして、引用例には、ディスク制御を変更してもよいことが記載され(摘示事項(4))、また、引用発明の「データ領域」は、本願発明の「ユーザデータ領域」に相当することも踏まえると、引用発明において、UCDAとして読み取りなしを規定するビットに代えて、読み取りなしか否かを規定する情報のうち一つ、即ち「ユーザデータ領域再生可否情報のうち一つ」とすることは引用例から当業者が容易に想到できたものである。 そして、上記相違点を総合的に判断しても、本願発明が奏する効果は引用例から当業者が十分に予測できたものであって格別なものとはいえない。 したがって、本件発明は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 5.むすび 以上のとおり、本願の請求項3に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-02-14 |
結審通知日 | 2013-02-19 |
審決日 | 2013-03-04 |
出願番号 | 特願2007-537794(P2007-537794) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G11B)
P 1 8・ 572- Z (G11B) P 1 8・ 574- Z (G11B) P 1 8・ 571- Z (G11B) P 1 8・ 573- Z (G11B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小林 大介 |
特許庁審判長 |
小松 正 |
特許庁審判官 |
関谷 隆一 山田 洋一 |
発明の名称 | 情報記録媒体、記録/再生装置及び記録/再生方法 |
代理人 | 伊東 忠彦 |
代理人 | 大貫 進介 |
代理人 | 伊東 忠重 |