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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A23L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A23L
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 A23L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A23L
管理番号 1276913
審判番号 不服2011-14173  
総通号数 165 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-07-01 
確定日 2013-07-16 
事件の表示 特願2006- 10513「野菜軟化剤」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 1月11日出願公開、特開2007- 139〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

この出願は,平成18年1月18日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2005年6月27日,米国(US))の出願であって,以降の手続の経緯は以下のとおりのものである。

平成21年 1月 5日 手続補正書
平成22年 7月21日付け 拒絶理由通知書
平成22年12月24日 意見書・手続補正書
平成23年 3月 1日付け 拒絶査定
平成23年 7月 1日 審判請求書・手続補正書
平成23年 7月20日 手続補正書(方式)
平成23年 8月24日け 前置報告書
平成24年 9月28日付け 審尋

第2 平成23年7月1日付けの手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

平成23年7月1日付けの手続補正は却下する。

[理由]
1 本件補正

平成23年7月1日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)は,本件補正前の請求項9ないし12を削除し,それにあわせ請求項13ないし23を請求項9ないし19に繰り上げると共に,補正前の

「【請求項18】
生野菜組成物を改変する方法であって,
水と,リパーゼと,カルボヒドラーゼとを含有する酵素組成物を,完全生食用種子に,通常の大気圧下で,2時間と7日間との間の時間にわたって適用する工程であって,該酵素組成物は,2.0と7.0との間の初期pHを有し,そして該酵素組成物が,該生野菜組成物の炭水化物および脂質内容物を加水分解するために効果的である,工程;および
該酵素組成物を不活性化する工程,
を包含する,方法。」を,

「【請求項14】
生野菜組成物を改変する方法であって,
水と,リパーゼと,カルボヒドラーゼとを含有する酵素組成物を,完全生食用種子に,通常の大気圧下で,2時間と24時間との間の時間にわたって適用する工程であって,該酵素組成物は,2.0と7.0との間の初期pHを有し,そして該酵素組成物が,該生野菜組成物の炭水化物および脂質内容物を加水分解するために効果的である,工程;および
該酵素組成物を不活性化する工程,
を包含する,方法。」

とする補正を含むものである。なお,下線は当審で付与した。以下,同様。

2 本件補正の適否

(1)補正の目的の適否

本件補正は,請求項18に係る発明について,請求項18に記載した発明を特定するために必要と認める事項である「リパーゼと,カルボヒドラーゼとを含有する酵素組成物を,完全生食用種子に」「適用する」時間につき,「2時間と7日間との間の時間」を,「2時間と24時間との間の時間」に限定するものであり,その補正前の請求項18に記載された発明と補正後の請求項14に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下,「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(2)独立特許要件について

そこで,本件補正後の前記請求項14に記載されている事項により特定される発明(以下,「本願補正発明」という。なお,本件補正後の明細書を,以下,「本願補正明細書」という。)が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)否かについて,以下検討する。

(2-1)本願補正発明

本願補正発明は,以下のとおりである。

「生野菜組成物を改変する方法であって,
水と,リパーゼと,カルボヒドラーゼとを含有する酵素組成物を,完全生食用種子に,通常の大気圧下で,2時間と24時間との間の時間にわたって適用する工程であって,該酵素組成物は,2.0と7.0との間の初期pHを有し,そして該酵素組成物が,該生野菜組成物の炭水化物および脂質内容物を加水分解するために効果的である,工程;および該酵素組成物を不活性化する工程,
を包含する,方法。」

(2-2)刊行物及びその記載事項

ア 刊行物

国際公開第2004/060072号(原査定における引用文献1。以下,「刊行物1」という。)

イ 刊行物の記載事項

本願優先日前に頒布された刊行物である刊行物1には,以下の事項が記載されている。なお,提示した翻訳は,対応する日本語出願の公表公報である特表2007-525144号公報の記載に基づくものであり,段落番号も告示した。

1a「【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は,概して,従来の加工技術の実行前に,酵素を使用して生野菜を分解および軟化することに関する。より具体的には,本発明は,改善した加工上の特徴および栄養的特徴を有する酵素分解野菜生成物を形成すること,ならびに上記野菜生成物を製造する方法に関する。」(1頁2?7行)

1b「【0011】
水性酵素組成物の一部として含まれ得る酵素は,一般的に,リパーゼとして特徴付けられ得る。本明細書中で使用される場合,用語「リパーゼ」とは,少なくとも,脂肪含有標的基質または脂質含有標的基質の加水分解を触媒し得る,任意の酵素を意味する。「加水分解」とは,脂肪含有標的基質または脂質含有標的基質(トリグリセリド,ジグリセリド,モノグリセリド,クチン,蝋含有基質,化学的に混合された脂肪酸と長鎖アルコール,ホスファチド,セレブロシド,ステロール,テルペン,脂肪アルコール,固体脂質,液体脂質(油),脂肪酸,脂溶性ビタミン,蝋,もしくはこれらのいずれかの任意の組み合わせが挙げられる)の酵素分解を意味する。さらに,用語「脂肪含有」および「脂質含有」は,本明細書を通して交換可能に使用される。 ・・(略)・・
【0014】
リパーゼは,一般的に,脂肪含有分子または脂質含有分子を,遊離脂肪酸,グリセロール,モノグリセリドおよびジグリセリドへと加水分解または分解する。 ・・(略)・・
【0016】
さらにより好ましくは,生野菜組成物の蝋状被覆または脂質含有被覆を加水分解するのに効果的であり,かつ任意の微生物を実質的に必要としないリパーゼが,上記水性酵素組成物の一部として含有される。リパーゼは,多くの異なる供給源(例えば,真菌供給源,植物供給源,微生物供給源,動物供給源,またはこれらのいずれかの任意の組み合わせ)に由来し得る。例として,リパーゼA「Amano」12,リパーゼAY「Amano」30,リパーゼG「Amano」50,リパーゼM「Amano」10(イリノイ州ロンバードのAmano Enzyme Co.Ltdから入手可能)が,本発明を実施する場合,生野菜組成物の蝋状被覆を分解するために使用され得る。
【0017】
水性酵素組成物の一部として含有され得る別の酵素は,一般的にカルボヒドラーゼとして特徴付けられ得る。本明細書中で使用される場合,用語「カルボヒドラーゼ」とは,少なくとも,炭水化物含有標的基質の加水分解を触媒し得る,任意の酵素を意味する。「加水分解」とは,セルロース,ヘミセルロース,ペクチン,ヘミセルロースのキシラン鎖,および/または他の5炭糖のポリマーのような複雑な炭水化物を含有する炭水化物含有標的基質の,ペントースまたはヘキソースのようなその糖成分への酵素分解を意味する。 ・・(略)・・
【0021】
より好ましくは,生野菜組成物を分解し,軟化し,そして/または水,酵素,添加剤などに対してより吸収性にするために,リパーゼ,セルラーゼおよびヘミセルラーゼの混合物が,本発明において使用される。なおより好ましくは,引き続く処理が低下した温度および/または圧力の要件で実行され得るように,生野菜組成物を分解するために,リパーゼ,セルラーゼ,ヘミセルラーゼおよびペクチナーゼの混合物が,本発明において使用される。
【0022】
水性酵素組成物の一部として使用され得るカルボヒドラーゼの好ましい例は,North Carolina,FranklintonのNovozymesから入手可能なViscozyme(登録商標)Lである。水性酵素組成物の一部としての使用のために適切なカルボヒドラーゼの代替の例は,New York,New YorkのEnzyme Development Corporationから入手可能なEconase(登録商標)CE,Indiana,South BendのValley Research Inc.から入手可能なCellulase 4000またはCrystalzyme Cranである。 ・・(略)・・
【0027】
好ましくは,酵素成分の濃度は,生野菜組成物を軟化し,加水分解し,改変し,そして/または分解するのに役立つ量である。なおより好ましくは,酵素成分の濃度は,生野菜組成物の第一の外側層を分解するのに有効な量である。最も好ましくは,本発明に従って使用される酵素成分の濃度は,生野菜組成物の第一の外側層を分解し,生野菜組成物を軟化し,加水分解し,そして/または分解し,そして生野菜組成物の内側部分のさらなる改変を可能にするのに有効な量である。
【0028】
さらに,酵素成分の濃度は,この酵素が生野菜組成物と接触したままである時間に依存して変改し得ることが理解されるべきである。さらに,短い暴露時間が使用される場合,より高い濃度の酵素成分が,生野菜組成物の分解,軟化,加水分解および/または改変の所望の程度を達成するために必要とされる。同様に,より長い暴露時間が使用される場合,酵素成分の濃度は,所望の結果を達するために下げられる。」(4頁1行?8頁末行)

1c「【0047】
この水性酵素組成物は,代表的には,通常の大気圧にて,生野菜組成物に適用される。「通常の大気圧」とは,約14.7psiの大気圧を意味する。さらに,「通常の大気圧」が,たとえ種々の標高,温度,湿度などの下で生じる大気圧でもまた含むことが理解されるべきである。
【0048】
さらに,用語「通常の大気圧」とは,分解,軟化,水和および/または加水分解を容易にする様式で水性酵素組成物を適用する前または適用する間での,陽圧(約14.7psiを超える)または陰圧(約14.7psi未満または減圧条件)の生野菜組成物への適用を含むことは意味しない。
【0049】
本明細書で使用される場合,用語「野菜」とは,植物界の生きている生物として生じる,植物由来の食品を意味する。「野菜」に対する全ての言及は,植物界の生きている生物として生じた植物の任意の遺伝子改変されたコピーを包含すると理解されるものとする。さらに,用語「野菜」は,葉,種子,根,塊茎,球根,花,果実,茎,苗条,堅果,または植物界の生きている生物として生じたこれらのうちのいずれかの任意の組み合わせを包含する。
【0050】
本発明の生野菜組成物は,代表的には,本発明を実施する場合に,第一の外側層を含み,この第一の外側層は,生野菜組成物の第二の内側層を実質的に覆うか,またはこの層に重層されるか,そして/または接着して接触する。この第一の外側層が,第二の内側層と接着して接触した状態にある場合,接着した接触は,ペクチン物質のような接合物質を介する結合を通じて達成され得る。
【0051】
この生野菜組成物の第一の外側層は,非透水層として特徴づけられ得,この非透水層は,代表的には,セルロースの繊維状ネットワーク;ヘミセルロースのキシラン鎖;ヘミセルロース;五炭糖の多糖;リグニン;ペクチン物質(例えば,プロトペクチン,ペクチン酸,ペクチン,またはこれらの任意の組み合わせ);ビタミン;ミネラル;脂肪;抗栄養成分;あるいはこれらのいずれかの任意の組み合わせを含む。第一の外側層のいくつかの非網羅的な例としては,豆果またはレンズ豆の種皮;穎果の糠層;野菜の茎壁(stem wall);根,塊茎,および/または球根野菜の外皮;果物の皮;堅果の種皮または種子の壁が挙げられ得る。
【0052】
この生野菜組成物の第二の内側層は,一般に,澱粉粒の網,脂肪小球,繊維,タンパク質,ビタミン,ミネラル,水,植物化学物質,抗栄養成分,またはこれらのうちのいずれかの任意の組み合わせが挙げられる。さらに,第二の内側層に対する全ての言及はまた,この生野菜組成物の内側部分を包含することが理解され,よって,この第二の内側層はまた,野菜組成物中に埋まっている種子を含み得る。野菜組成物の抗栄養成分のいくつかの非網羅的例としては,膨満惹起糖(例えば,ラフィノース,ベルバスコースおよびスタキオース);レクチン;栄養素結合物質(例えば,フィチン酸);他の難消化性の糖;酵素インヒビター(例えば,トリプシンインヒビター);または毒性化合物(例えば,甲状腺腫誘発物,ソラニン,またはシュウ酸)が挙げられる。
【0053】
本発明の好ましい生野菜組成物は,丈夫な堅い第二の内側層を有する。一例として,レンズ豆は,少なくとも1つの子葉を含み,この少なくとも1つの子葉は,澱粉,タンパク質,抗栄養因子,脂肪,ビタミンおよびミネラルの丈夫な線維網として特徴づけられ得る。同様に,穎果(例えば,全粒小麦またはひき割りトウモロコシ)は,内胚乳を含み,この内胚乳は,澱粉,タンパク質,抗栄養因子,脂肪,ビタミンおよびミネラルの丈夫な繊維網としても特徴づけられ得る。さらに,代表的には,約40重量%未満の水分含有量を有し,好ましくは,約30重量%未満の水分含有量を有する,堅い第二の層を有する生野菜組成物は,本発明を実施する場合に,効率的に軟化され得る。 ・・(略)・・
【0055】
本明細書で使用される場合,用語「生」とは,自然の状態で,調理されていないか,ゆでられていないか,乾燥されているか,食用であるか,天然の条件にあるか,またはこれらのうちのいずれかの任意の組み合わせである野菜組成物に言及する。さらに,用語「生」とは,本発明を実施する場合に,野菜組成物の第一の外側層,第二の内側層,または第一の外側層と第二の内側層の両方の状態に言及するということを理解するべきである。
【0056】
さらに,生野菜組成物は,好ましくは,完全生野菜組成物である。「完全」とは,この生野菜組成物が,侵軟,微粉化,すり下ろし,粉砕などの技術に供されていないことを意味する。例えば,粉末(穀粉)に挽かれていないか,フレークを形成するように挽かれていないか,侵軟されていないか,または微粉化されていない,乾燥の食用豆は,完全生野菜組成物の例である。同様に,挽かれていないか,すり下ろされていないか,侵軟されていないか,または微粉化されていない青菜野菜(コラード,ケールなど)は,本発明に従って使用され得る完全生野菜の好ましい例である。
【0057】
さらに,本発明の好ましい生野菜組成物は,第一の外側層の上にさらなる外側層を含む生野菜組成物を含む。第一の外側層の上のさらなる外側層の例としては,種子,穎果,豆果などの蝋状層(コート)が挙げられる。代表的には,この蝋状コートは,クチン,または他の蝋含有分子および/もしくは脂質含有分子を含む。」(14頁18行?17頁21行)

1d「【0065】
用語「全生野菜組成物」は,(1)第二の層と接着している第一の外側層,または(2)生野菜組成物の曝露された第二の内側層または内部部分を有する砕いた生野菜組成物を包含することを意味することもまた理解されるべきである。例えば,リフライドビーンズの製造において,全豆の砕いた部分はなお,種皮および露出した子葉を含む。約30重量%未満の水分含有量を有するこのような生の全豆の砕いた部分は,種皮を分解するため,およびヒトが消費する前に,子葉を軟化するため,または,リフライドビーンズの製造のために必要である他の残りの加工工程に豆を供するために本発明の水性酵素組成物に浸漬され得るか,または暴露され得る。
【0066】
同様に,生の青菜野菜は,酵素分解を可能にする水性酵素組成物の適用の前に切り刻まれ得,そして,切り刻みの際の生の青菜野菜の後の軟化は,生の青菜野菜に存在する繊維質の網目を除去したり減少させたりしないと考えられる。同様に,缶詰工程の前の葉への熱の適用(しおれ)の一般的な産業的実施は,しおれさせる工程が,葉に存在する繊維質成分を実質的に,例えば,生野菜組成物の総重量に基づいて,約1重量%以上減少させないと考えられるので,本発明を実施する場合に,許容される。むしろ,しおれさせる工程は,後の缶への封入のために葉の圧縮を改良すると考えられる。
【0067】
上で述べたように,水性酵素組成物が,生野菜組成物に適用される時間の長さは代表的に,生野菜組成物,所望の分解の程度,酵素成分の濃度および/または酵素により分解された野菜組成物の所望の特性に依存する。本発明を実施する際に使用される時間の長さは,約1秒間から約24時間以上の範囲であり得る。例として,約30重量%未満の水分含有量を有する生野菜組成物を分解するための時間の長さは,約1秒間?約2時間であるのに対して,生野菜組成物を軟化する時間の長さも約1秒間?約2時間である。
【0068】
理論に束縛されることは望まないが,分解された部位のネットワークを形成するために,リパーゼは,生野菜組成物のさらに外側の蝋状の層または脂質含有層を分解すると考えられる。次に,好ましいセルラーゼ,ヘミセルラーゼおよびペクチナーゼは,分解された部位のネットワークに浸透し,第一の外側層の標的基質を含有する炭水化物の加水分解を開始し得る。炭水化物含有標的基質の加水分解はまた,分解された部位または穴のネットワークを形成すると考えられるので,水性酵素組成物の一部として含まれる酵素は,分解を促進し得るので,生野菜組成物の効率的な軟化が起こり得る。
【0069】
従って,水性酵素組成物は,野菜組成物の蝋状の最上層,第一の外側層および/または第二の内側層を通じる穴を形成し得るので,添加剤または酵素の吸収および標的基質の効率的な加水分解が観察される。水性酵素組成物はまた,生野菜組成物内の広範な基質を標的とし得る。従って,これらの基質の分解が生じ得,酵素により分解された生野菜組成物の調理時間の減少を補助し得る。」(20頁5行?21頁23行)

1e「【実施例】
【0073】
(生野菜組成物を分解および/または軟化する方法)
生野菜組成物を分解および/または軟化するために,一連の実験を行なった。生野菜組成物を軟化する工程は,酵素分解に供さなかった生野菜組成物と比較した場合に,生野菜組成物の調理時間および/または加工時間の減少を観察する工程により測定され得る。
【0074】
一定量の生野菜組成物を,一定量の水,酢,酵素および界面活性剤を含有する水性酵素組成物(以下の表1を参照のこと)と接触させた。Novozymes,Franklinton,North Carolinaから入手可能であるViscozyme L120を,カルボヒドラーゼとして使用した。Viscozyme L120の濃度は,1ミリリットルあたり約1.2gである。従って,小さじ1杯のViscozyme L120は,約6gの酵素を含む。日本のAmano Companyから入手可能であるリパーゼ「A」Amano 12をこれらの実験に使用した。実施する場合,熱湯処理を,約200°Fで約5分間行なった。次に,熱湯処理した野菜を,完了するまで,または(1)生野菜組成物中に糊化していないデンプン部分(または未調理の部分)が見出されなくなるまで,そして/または(2)調理した野菜組成物を噛む場合に,繊維質成分を完全に検出しなくなるまで調理した。 ・・(略)・・
【0076】
【表1】


【0077】
【表2】


【0078】
【表3】


・・(略)・・
【0079】
同様に,約250gの生のコラードに,約12?13gのViscozyme,740gの水および初期pHが約4.0に達するように十分な酢を含有する水性酵素組成物を噴霧した。さらに,水性酵素組成物の初期温度は,約110°Fであった。生のコラードを約60分間浸漬させ,次いで,水性酵素組成物中で調理した。その生の葉を,酵素処理に供していない生の葉を調理するのに必要である2時間以上の時間と比較して,約45分間で調理した。約15分間または約30分間浸漬を可能にする同じ量の葉,酵素および酢の条件を用いるその後の実験もまた,酵素処理に供していない生の葉を調理するのに必要である2時間以上の時間と比較して,約45分間で調理した。」(23頁1行?26頁末行)

1f「(結論)
上記開示および実施形態を考慮すると,本発明に従って生野菜組成物を加工することは,野菜加工の分野におけるかなりの改善であると考えられる。野菜組成物の第一の外側層(これは,代表的に,加工を妨害する)を減少させることによって,野菜製品に関連する複雑さおよび費用を減少させる,効果的なプロセスの開発は,増強された加工特徴を有する野菜製品を生じる。さらに,生野菜組成物を加工および改変するインサイチュでの方法の開発は,食品製造業者が,消費者に対して広範な種々の栄養特徴を与える野菜製品を製造する能力を,大いに増強させる。」(35頁9?19行)

1g「【特許請求の範囲】
【請求項1】 後にヒトが消費するために,生野菜組成物を酵素的に分解する方法であって,該方法は,
約30重量%未満の水分含有量を有する生野菜組成物を提供する工程; 水と,リパーゼとセルラーゼとを含有する水性酵素組成物を,該生野菜組成物に,通常の大気圧下で,該生野菜組成物を分解するために十分な時間にわたって適用する工程であって,該水性酵素組成物は,約2.0と約7.0との間のpHにある,工程;ならびに
該第一の酵素組成物を不活性化する工程,を包含する,方法。
・・(中略)・・
【請求項3】
前記水性酵素組成物は,前記生野菜組成物を軟化するために効果的である,請求項1に記載の方法」(36頁1?17行)

(2-3)刊行物1に記載された発明

刊行物1の特許請求の範囲の請求項1(1g)からみて,刊行物1には,

「後にヒトが消費するために,生野菜組成物を酵素的に分解する方法であって,該方法は,
約30重量%未満の水分含有量を有する生野菜組成物を提供する工程;
水と,リパーゼとセルラーゼとを含有する水性酵素組成物を,該生野菜組成物に,通常の大気圧下で,該生野菜組成物を分解するために十分な時間にわたって適用する工程であって,該水性酵素組成物は,約2.0と約7.0との間のpHにある,工程;ならびに
該第一の酵素組成物を不活性化する工程,
を包含する,方法。」

の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

(2-4)本願補正発明と引用発明との対比

ア 引用発明の「生野菜組成物」について,刊行物1には,「【0049】・・用語「野菜」とは,植物界の生きている生物として生じる,植物由来の食品を意味する・・さらに,用語「野菜」は,葉,種子,根,塊茎,球根,花,果実,茎,苗条,堅果,または植物界の生きている生物として生じたこれらのうちのいずれかの任意の組み合わせを包含する」及び「【0055】・・用語「生」とは,自然の状態で,調理されていないか,ゆでられていないか,乾燥されているか,食用であるか,天然の条件にあるか,またはこれらのうちのいずれかの任意の組み合わせである野菜組成物に言及する」(1c)と記載されている。刊行物1にはさらに,「【0056】・・生野菜組成物は,好ましくは,完全生野菜組成物である。「完全」とは,この生野菜組成物が,侵軟,微粉化,すり下ろし,粉砕などの技術に供されていないことを意味する。例えば,粉末(穀粉)に挽かれていないか,フレークを形成するように挽かれていないか,侵軟されていないか,または微粉化されていない,乾燥の食用豆は,完全生野菜組成物の例である」(1c)と記載されており,乾燥食用豆は,完全生野菜組成物の具体例であることが分かる。

これと全く同じ記載が,本願補正発明の「完全」「生」「野菜」組成物の定義及びその具体例として,本願補正明細書の段落【0054】,【0060】,【0061】に記載されている。そして,乾燥食用豆は,完全生野菜組成物の具体例であることが分かる。
また,本願補正発明の「生野菜組成物」は,該発明の工程から「完全生食用種子」を一貫して処理していることから,実質的に「完全生食用種子」のことを意味すると解する。

そうすると,引用発明の「生野菜組成物」と本願補正発明の「完全生食用種子」とは,生野菜組成物である点で共通する。

イ 本願補正発明の「改変する方法」とは,「酵素組成物を,完全生食用種子に」「適用」し,「該酵素組成物が,該生野菜組成物の炭水化物および脂質内容物を加水分解する」よう,酵素的に処理する方法といえる。
そうすると,引用発明の「酵素的に分解する方法」と,本願補正発明の「改変する方法」とは,酵素的に処理する方法である点で共通する。

ウ 本願補正発明の「カルボヒドラーゼ」に関し,本願補正明細書には「【0020】・・「カルボヒドラーゼ」とは,少なくとも,炭水化物含有標的基質の加水分解を触媒し得る,任意の酵素を意味する。「加水分解」とは,セルロース,ヘミセルロース,ペクチン,ヘミセルロースのキシラン鎖,および/または他の5炭糖のポリマーのような複雑な炭水化物を含有する炭水化物含有標的基質の,ペントースまたはヘキソースのようなその糖成分への酵素分解を意味する」と記載され,セルロースを包含するものである。
そうすると,引用発明の「セルラーゼ」は,本願補正発明の「カルボヒドラーゼ」に包含されるものである。

エ 引用発明の「該生野菜組成物を分解するために十分な時間」と本願補正発明の「2時間と24時間との間の時間」とは,所定の時間である点で共通する。

オ 引用発明の「該水性酵素組成物は,約2.0と約7.0との間のpHにある」について,このpHは水性酵素組成物自体のpHで,生野菜組成物に適用する前のものであり,実施例で示されている初期pHのことといえるから(1e【0076】ないし【0078】の【表1】ないし【表3】,【0079】),実質的に,本願補正発明の「該酵素組成物は,2.0と7.0との間の初期pHを有し」に相当する。

カ 引用発明の水性酵素組成物に含まれている,リパーゼは脂質を,セルラーゼは炭水化物を,それそれ加水分解する酵素であるから(1b【0014】,【0017】),該水性酵素組成物が,生野菜組成物の炭水化物および脂質内容物を加水分解するために効果的であることは,当然のことである。

キ 引用発明の「該第一の酵素組成物を不活性化する工程」につき,引用発明には上記記載以外に「第一の酵素組成物」との記載はなく「水性酵素組成物」に他ならないから,本願補正発明の「該酵素組成物を不活性化する工程」に相当する。

そうすると,両者は,

「生野菜組成物を酵素的に処理する方法であって,
水と,リパーゼと,カルボヒドラーゼとを含有する酵素組成物を,生野菜組成物に,通常の大気圧下で,所定の時間にわたって適用する工程であって,該酵素組成物は,2.0と7.0との間の初期pHを有し,そして該酵素組成物が,該生野菜組成物の炭水化物および脂質内容物を加水分解するために効果的である,工程;および該酵素組成物を不活性化する工程,
を包含する,方法。」

である点で一致し,以下の点で相違するといえる。

(ア)生野菜組成物が,本願補正発明では,完全生食用種子であるのに対し,引用発明では,完全生食用種子かは明らかでない点。(以下,「相違点(ア)」という。)

(イ)生野菜組成物を酵素的に処理する方法が,本願補正発明では,改変する方法であるのに対し,引用発明では,分解する方法である点。(以下,「相違点(イ)」という。)

(ウ)水性酵素組成物を生野菜組成物へ適用する所の時間が,本願補正発明では,2時間と24時間との間の時間であるのに対し,引用発明では,生野菜組成物を分解するために十分な時間である点。(以下,「相違点(ウ)」という。)

(2-5)相違点についての判断

ア 相違点について

相違点(ア)を検討した後,相違点相互の関連性を考慮し,相違点(イ)及び(ウ)をまとめて検討する。

(ア)相違点(ア)について
刊行物1には,生野菜組成物の好ましい態様である完全生野菜組成物の具体例として,乾燥食用豆が記載されている(1c【0056】)。
そうすると,引用発明において,生野菜組成物として,具体例の一つである完全生食用種子を適用することは,当業者が容易になし得たことである。

(イ)相違点(イ),(ウ)について
前提として,「生野菜組成物」に関し,本願補正発明と引用発明とでは相違点(ア)に示した相違点はあるものの,この点については上記(ア)で述べたとおりである。それを踏まえた上で,以下「生野菜組成物」として検討する。

i 本願補正発明の「改変する」ことについて
本願補正明細書の記載を検討すると,定義はなされていないものの,
「【0032】・・本発明に従って使用される酵素成分の濃度は,生野菜組成物の第一の外側層を分解し,生野菜組成物を軟化し,加水分解し,そして/または分解し,そして生野菜組成物の内側部分のさらなる改変を可能にするのに有効な量・・【0028】・・より高い濃度の酵素成分が,生野菜組成物の分解,軟化,加水分解および/または改変の所望の程度を達成するために必要・・」及び「【0055】本発明の生野菜組成物は・・第一の外側層を含み,この第一の外側層は,生野菜組成物の第二の内側層を実質的に覆う・・【0056】・・第一の外側層は・・セルロースの繊維状ネットワーク・・を含む。・・例としては,豆果またはレンズ豆の種皮・・【0057】・・第二の内側層は,一般に,澱粉粒の網,脂肪小球,繊維,タンパク質・・第二の内側層に対する全ての言及は・・生野菜組成物の内側部分を包含する」と記載され,さらに,本願補正明細書には,
「【0073】・・リパーゼは,生野菜組成物のさらに外側の蝋状の層または脂質含有層を分解する・・セルラーゼ・・は,分解された部位のネットワークに浸透し,第一の外側層の・・炭水化物の加水分解を開始し得る。炭水化物含有標的基質の加水分解はまた,分解された部位または穴のネットワークの形成を支持すると考えられるので,存在し得る任意の他の酵素は,分解を促進し得,その結果,生野菜組成物の効率的な軟化が起こり得る。【0074】他の例において,リパーゼが使用されない場合,そのセルラーゼ・・は・・第一の外側層を分解し,分解された部位または穴のネットワークを形成する。その穴は,野菜組成物の内部を分解し得る他の酵素が後で浸透することを可能にする。その結果,生野菜組成物の効率的なもとの場所での改変が起こり得る」と記載されている。

これらの記載より,生野菜組成物を酵素組成物による分解の程度により,「分解」,「軟化」,「改変」と区別しており,「分解」は,生野菜組成物の第一の外側層及びその外側の蝋状層または脂質含有層を酵素で分解すること又は生野菜組成物を酵素により加水分解すること一般を意味し,「軟化」は,第一の外側層の分解を促進すること,「改変」は,さらに生野菜組成物の内側部分を酵素で分解することを意味すると解される。
「軟化」と「改変」につき詳細に説明すると,「軟化」は,リパーゼ等により蝋状層または脂質含有層が分解された部位に,セルラーゼ等が浸透し第一の外側層の炭水化物の加水分解を開始し得る程度で,分解された部位または穴のネットワークの形成を支持する程度の分解で,それにより他の酵素が分解を促進し得る程度に分解すること,「改変」は,セルラーゼ等が第一の外側層を加水分解し,穴等のネットワークを形成する程までに分解するもので,第一の外側層の分解の程度がより大きいものと解され,それにより他の酵素が後で浸透し生野菜組成物の内部を分解し得る程度に分解することを意味すると解される。

この解釈を裏付けるように,酵素組成物の生野菜組成物に適用される時間に関し,本願補正明細書には「【0072】・・水性酵素組成物が,生野菜組成物に適用される時間の長さは・・生野菜組成物,所望の分解の程度,酵素成分の濃度および/または酵素により分解された野菜組成物の所望の特性に依存する。本発明を実施する際に使用される時間の長さは,約1秒間から約24時間以上の範囲であり得る・・生野菜組成物および/または完全野菜組成物を軟化するために要する時間の長さは,一般に,2時間未満である。生の完全野菜の内側脂質画分,タンパク質画分または炭水化物画分を改変および/または分解するために要する時間量は,一般に,約2時間より長い」と記載され,生野菜組成物を「改変」するために要する酵素処理時間は,「軟化」するために要する時間よりも長いことから,「軟化」することは「改変」することより酵素組成物による生野菜組成物の分解の程度を大きくすることを意味しているといえる。

以上より,本願補正発明の「改変する」ことは,生野菜組成物の第一の外側層及びその外側の蝋状層または脂質含有層を酵素で分解し,さらに生野菜組成物の内側部分を酵素で分解することであると解される。

ii 引用発明の「酵素的に分解する」ことについて
刊行物1の記載を検討すると,上記本願補正明細書に記載の事項の内,「改変」の詳細な説明事項である段落【0074】及び【0072】中「生野菜組成物および/または完全野菜組成物を軟化・・改変・・約2時間より長い」の記載事項を除き,全く同じ記載事項が,刊行物1の段落【0027】(1b),【0050】ないし【0052】(1c),【0067】【0068】(1d)に記載されている。
そうすると,刊行物1でも,生野菜組成物を酵素組成物による分解の程度により,「分解」,「軟化」,「改変」と区別しており,「分解」は,生野菜組成物の第一の外側層及びその外側の蝋状層または脂質含有層を酵素で分解すること又は生野菜組成物を酵素により加水分解すること一般を意味し,「軟化」は,第一の外側層の分解を促進すること,「改変」は,さらに生野菜組成物の内側部分を酵素で分解することを意味すると解される。
刊行物1の上記段落【0067】にはさらに「例として,約30重量%未満の水分含有量を有する生野菜組成物を分解するための時間の長さは,約1秒間?約2時間であるのに対して,生野菜組成物を軟化する時間の長さも約1秒間?約2時間である」と記載されており,「分解」するための時間と「軟化」するための時間が同じであるものの,これは「分解」を生野菜組成物を酵素により加水分解すること一般を意味する場合と考えられ,解釈に矛盾はない。なお,刊行物1の段落【0067】の上記記載事項は,本願補正明細書の段落【0067】にも全く同じ事項が記載されている。

そして,刊行物1の請求項3には,引用発明を引用して特定された発明として「前記水性酵素組成物は,前記生野菜組成物を軟化するために効果的である,請求項1に記載の方法」(1g)が記載されており,引用発明の「分解する方法」には「軟化する」ことも含まれているといえる。そうすると,引用発明の「分解する」とは,上記解釈における,生野菜組成物を酵素により加水分解すること一般を意味すると解される。

以上より,引用発明の「酵素的に分解する」こととは,生野菜組成物を酵素により加水分解すること一般を意味すると解される。

iii 容易想到性について
上記iiで述べたように,引用発明の生野菜組成物を「酵素的に分解する」とは,生野菜組成物を酵素により加水分解すること一般を意味するものである。そして,刊行物1において,生野菜組成物を酵素組成物による分解の程度により,「分解」,「軟化」,「改変」することの認識があり,所望の分解の程度に応じ,酵素組成物の濃度やその適用時間等を選択することによって,「分解」,「軟化」,「改変」することができるものである(1b【0027】,1d【0067】)。
そうすると,引用発明において,生野菜組成物を「酵素的に分解する」に際し,その分解の程度を,所望にあわせ「改変」することを選択することは,当業者が容易になし得たことである。

そして,「改変」するため,その分解の程度に応じた酵素組成物の濃度やその適用時間を選択する際,適用時間の長さについては,酵素組成物の濃度や野菜組成物の所望の特性に依存するもので(1d【0067】),当業者が適宜決定し得ることであって,刊行物1には,例として「軟化」する時間の長さは約1秒間?約2時間(1d【0067】)と記載されていることから,「軟化」よりもより分解程度が大きい「改変」する時間の長さとしては,軟化よりも長い約2時間以上とすることや,また,適用時間が長すぎると「改変」の程度が甚だしくなり,所望以上に分解される恐れがあることから,適用時間の上限についても適切な時間を設定することに,格別の困難性はない。

イ 本願補正発明の効果について

本願補正発明の効果として,本願補正明細書の段落【0112】には,「・・本発明に従って生野菜組成物を加工することは,野菜加工の分野におけるかなりの改善であると考えられる。野菜組成物の第一の外側層(これは,代表的に,加工を妨害する)を減少させることによって,野菜製品に関連する複雑さおよび費用を減少させる,効果的なプロセスの開発は,増強された加工特徴を有する野菜製品を生じる。さらに,生野菜組成物を加工および改変するインサイチュでの方法の開発は,食品製造業者が,消費者に対して広範な種々の栄養特徴を与える野菜製品を製造する能力を,大いに増強させる」と記載されている。
これと全く同じことが,刊行物1の段落【0102】(1f)にも記載されている。
したがって,本願補正発明の効果は,刊行物1の記載事項から予測される範囲内のものであり,格別顕著なものではない。

ウ 請求人の主張について

本件請求人は,平成23年7月20日付の審判請求書手続補正書の「【本願発明が特許されるべき理由】」にて,刊行物1には,酵素組成物の適用時間が1秒?24時間以上との記載がなされているが,実証されたのは60分のみであるのに対し,本願補正発明は2時間?24時間であり,本願補正明細書ではその期間での適用が実証されていること,さらに,60分の適用時間対2時間?24時間での抗酸化能の実験データを示し,60分の適用時間では,酵素処理豆の抗酸化活性は実質的減少を生じるのに対し,2時間?24時間の適用時間では,この傾向は逆転し,これはポリフェノール、イソフラボン等が酵素加水分解中の水へ浸出する一方で,セルラーゼ、リパーゼおよび/またはプロテアーゼの組合せを用いた酵素分解によって、抗酸化活性を有するペプチドの形成および遊離脂肪酸の形成が可能となるからであり,顕著な効果を有する旨,主張する。

しかしながら,刊行物1に記載の実施例における酵素組成物の適用時間が60分のみであるとしても,2時間以上適用することを当業者が容易に想到し得ることについては,上記イで述べたとおりである。
また,60分間の適用時間対2時間?24時間での実験データの結果について,抗酸化活性を有するペプチドの形成および遊離脂肪酸の形成が可能となることを,例として詳細に説明していることを検討すると,これは,ダイズのタンパク質分解がなされる場合についての説明で,プロテアーゼの存在下での話といえ,本願補正発明は,酵素組成物としてプロテアーゼは技術的特徴として特定されていないことから,本願補正発明に対応した効果とはいえない。

したがって,請求人の上記主張を採用することはできない。

(2-6)独立特許要件のまとめ

したがって,本願補正発明は,その優先日前に頒布された刊行物1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって,本願補正発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないから,請求項14についての補正は,平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合しない。

3 補正の却下の決定のむすび

以上のとおり,請求項14についての補正は,平成18年改正前特許法第126条第5項の規定に適合しないから,本件補正は,その余の点を検討するまでもなく,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1 本願発明

平成23年7月1日付けの手続補正は,上記のとおり却下されることとなったので,この出願の請求項1ないし23に係る発明は,平成22年12月24日付けの手続補正により補正された明細書の記載からみて,特許請求の範囲の請求項1ないし23に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ,その請求項18に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,次のとおりのものである。

「生野菜組成物を改変する方法であって,
水と,リパーゼと,カルボヒドラーゼとを含有する酵素組成物を,完全生食用種子に,通常の大気圧下で,2時間と7日間との間の時間にわたって適用する工程であって,該酵素組成物は,2.0と7.0との間の初期pHを有し,そして該酵素組成物が,該生野菜組成物の炭水化物および脂質内容物を加水分解するために効果的である,工程;および
該酵素組成物を不活性化する工程,
を包含する,方法。」

2 原査定の拒絶の理由の概要

本願発明についての原査定の拒絶の理由の概要は,本願発明は,その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない,というものである。

国際公開第2004/060072号(「第2 2(2)(2-2)ア」に示した刊行物1と同じ。)
以下,この刊行物を「刊行物1」と続けて用いる。

3 刊行物の記載事項

前記「第2 2(2)(2-2)イ」に記載したとおりである。

4 刊行物1に記載された発明

前記「第2 2(2)(2-3)」に記載したとおりである。

5 対比・判断

本願発明は,上記「第2 2(2)(2-4),(2-5)」で検討した本願補正発明における,「リパーゼと,カルボヒドラーゼとを含有する酵素組成物を,完全生食用種子に」「適用する」時間が,「2時間と24時間との間の時間」を含む「2時間と7日間との間の時間」とする発明であるから,本願補正発明を包含する発明である。
そうすると,本願発明の発明特定事項を全て含み,さらに他の発明特定事項を減縮したものに相当する本願補正発明が,前記「第2 2(2)(2-4),(2-5)」に記載したとおり,この優先日前に頒布された刊行物1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,この優先日前に頒布された刊行物1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび

以上のとおり,本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから,その余について言及するまでもなく,この出願は,拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-02-21 
結審通知日 2013-02-22 
審決日 2013-03-05 
出願番号 特願2006-10513(P2006-10513)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A23L)
P 1 8・ 113- Z (A23L)
P 1 8・ 575- Z (A23L)
P 1 8・ 561- Z (A23L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 冨士 良宏  
特許庁審判長 秋月 美紀子
特許庁審判官 齊藤 真由美
小川 慶子
発明の名称 野菜軟化剤  
代理人 山本 秀策  
代理人 森下 夏樹  
代理人 安村 高明  
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