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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F16B
管理番号 1277092
審判番号 不服2012-3485  
総通号数 165 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-02-23 
確定日 2013-07-25 
事件の表示 特願2007-183968号「配管連結部材」拒絶査定不服審判事件〔平成21年1月29日出願公開、特開2009-19724号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成19年7月13日の出願であって、平成23年12月20日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同年12月27日)、これに対し、平成24年2月23日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、その審判の請求と同時に手続補正がなされたものである。
そして、当審において、平成25年2月7日付けで、平成24年2月23日付けの手続補正が却下されるとともに拒絶の理由が通知され、それに対して平成25年4月10日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成25年4月10日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「対称な2本の略棒状で、一部に配管の外形に沿うように外方に向かって突出させ形成したR形状部を有する弾性体なる脚部と前記脚部と連なる胴部とを有する平板状かつ略コ形状の抜け止めピンと、複数の連結穴を有する連結穴部材とを備え、前記抜け止めピンの2本の略棒状の脚部を前記複数の連結穴に挿入することで、前記2本の脚部のそれぞれのR形状部が前記配管に嵌まり、前記配管と前記連結穴部材とを連結するとともに、前記脚部を前記複数の連結穴に挿入するときの変形時の前記脚部の先端部間の最大寸法は、前記脚部の先端部が挿入される前記複数の連結穴間の最大寸法より小さく、かつ、前記配管と前記連結穴部材とを連結したときに、前記2本の脚部の先端部間の距離となる前記複数の連結穴間の最小寸法は、前記配管の外直径よりも小さいことを特徴とする配管連結部材。」

第3 刊行物
1.刊行物1
当審で通知した拒絶の理由に引用された刊行物である、特表昭58-502161号公報(以下「引用例1」という。)には、「流体カプリングおよびその製造方法」に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。(なお、拗音及び促音は小書きで表記した。また、下線は当審で付与。以下、同様。)

ア 第2頁右上欄第4?8行
「本発明は、2つのカプリング部材から成る迅速連結・切離しカプリングに関する。該2つのカプリング部材の一方は、流体搬送導管に付設することができ、他方のカプリング部材は流体搬送管系統の他の部分に付設することができる。」
イ 第3頁右上欄第20行?第4頁左上欄第20行
「添付図を参照して説明すると、符号11で示された本発明のカプリングは、第1カプリング部材12と、第2カプリング部材13と、保持ピン14とから成っている。このカプリングは、流体搬送管系統内に接続されるが、そのような管系統は、本発明の部分を構成するものではないから、ここには図示しない。
第1カプリング部材12は、ほぼ円筒形であり、軸方向に整列した主本体部分15と減径本体部分16とから成っている。本体部分15の一部分には、スパナなどによって掴むことができる一連の平坦な表面17が形成されている。主本体部分15には大きな周溝18が設けられている。溝18は、断面長方形であり、主本体部分15に切込まれた内側面19と側面20,21によって形成されている。ただし、この溝の形状は、単に例として示したものであり、所望ならば、円形、三角形または他の任意の形状とすることができる。主本体部分15と減径本体部分16とは壁22によって連接されており、減径本体部分16は端部23に終端している。減径本体部分16には2つの周溝24,25が間隔をおいて設けられている。溝24は壁22と減径本体部分16との交差部にあり、断面ほぼ半円形である。他方の溝25は、減径本体部分16上の、溝24よりは端部23に近い位置にあり、断面長方形である。カプリング部材12は、一端23から他端27まで貫通した中央開口26を有している。図示の実施例では、開口26に、端部27のところで導管(図示せず)の対応部分を受容するためにねじ28が刻設されている。
カプリング部材13も、ほぼ円筒形ではあるが、その外径寸法は臨界的な重要性を有するものではなく、平行六面体であってもよく、その他の好適な形状とすることができる。カプリング部材13は、図示のように、減径本体部分16とほぼ隣接する直径を有する円筒形の主孔29と、主本体部分15とほぼ隣接する円筒形の拡径孔30を備えている。孔29は、ねじ32を備えた減径部分31を有している。孔は、ねじ付端33から他端34まで連続している。孔29と30とを連接する壁35は、カプリング部材12の壁22とほぼ隣接する。壁35と孔29との交差によって肩部36が形成されている。肩部36は、斜切面37を有しており、その大径縁が壁35と隣接している。大径孔30の壁には、カプリング12の溝18と対向し、それと隣接するように半円形の溝38が形成されている。部材13の本体には、部材12との組立状態では溝18および溝38と半径方向に整する開口39,40が穿設されている。
・・・略・・・
カプリングを組立てる場合、本体部15,16がそれぞれ孔30,29と隣接するように部材12を部材13に挿入する。次いで、保持ピン14の脚部44,45を開口39,40を通して溝18,38へ挿通し、それによってカプリング部材12と13を連結状態に掛止する。脚部44,45は、所定位置へ容易に滑入させるのに十分な、そして溝18,38の側面と緊密に摩擦接触するのに十分な弾性を有している。脚部44,45は正方形の断面形状を有するものとして示されているが、その形状は、円形またはその他の任意の好適な形状であってよい。流体は、第2図に示される方向に孔29,26を含むカプリング組立体内を通って流れる。流体の漏れは、シール部材41,42,43によって防止されるが、Oリング41最も大きな密封力を発揮する。」
ウ FIG1,3から、保持ピン14は、対称な2本の略棒状の脚部44,45と脚部44,45と連なる胴部とからなり、平板状で略コ形状であることが看取できる。

上記記載事項及び図示内容を総合して、本願発明の記載ぶりに則って整理すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「対称な2本の略棒状で、第1カプリング部材12の溝18の側面と摩擦接触する弾性を有する脚部44,45と前記脚部44,45と連なる胴部とを有する平板状かつ略コ形状の保持ピン14と、複数の開口39,40を有する第2カプリング部材13とを備え、前記保持ピン14の2本の略棒状の脚部44,45を前記複数の開口39,40に挿入することで、前記2本の脚部44,45が第1カプリング部材12の溝18に嵌まり、前記第1カプリング部材12と前記第2カプリング部材13とを連結するカプリング11。」

2.刊行物2
同じく、引用された刊行物である、特表平10-509232号公報(以下「引用例2」という。)には、「スナップ・オン保持具付き急速連結具」に関して、図面(特に、図2、図7?9を参照。)とともに以下の事項が記載されている。

ア 第10頁第5?7行
「この発明は、概略的には急速連結具に関係しており、より詳細には、内部保持具及び急速連結具の雄部材と雌部材との間の完全な連結の表示器を提供する手段とを含む急速連結具に関係している。」
イ 第18頁第7?20行
「以下、図面を参照しながら本発明の実施例について説明する。第1図?第10図は本発明の第1の実施例を示している。第1図および第2図に示すように、本実施例のクイックコネクタ16は雌コネクタ部材(雌要素)12と雄コネクタ部材(雄要素)14とからなり、これらの部材12,14にはスナップオンリテーナ10(以下、単にリテーナ(保持手段)10という。)が係脱可能に係合する。なお、雌コネクタ部材12は、クイックコネクタにおいて典型的に見られるどんな形状を成していても良いが、以下では、その一例を挙げて説明することとする。
雌コネクタ部材12はハウジング20を有している。ハウジング20には、その軸方向に延びる細長い段付きの軸穴22が形成されている。軸穴22は、大径の第1の端部24から小径の第2の端部26に向かって連続的に延びている。図示しないフレキシブル管もしくはホースと確実に係合するために、軸穴22の第2の端部26に隣接するハウジング20の一端部位には、立ち上がるように形成された環状の隆起部またはフランジ部28が複数設けられている。」
ウ 第19頁第7?19行
「ハウジング20の大径端部44には、ハウジング20を通じて延びる軸穴22と連通する横穴45が形成されている。この横穴45は、好ましくは、ハウジング20の大径端部44の両側に互いに対向して形成された同一形状の2つの開口46,48によって、ハウジング20に形成されている。各開口46,48は、ハウジング20の大径端部44の両面に、互いに対向する一対の円弧状の側壁50,52を形成している。ハウジング20の大径端部44に形成された横穴45内にリテーナ10をスライドして挿入できるように(後述する)、側壁50,52は、リテーナ10の幅よりも僅かに大きい所定の距離だけ互いに離間している。ハウジング20に設けられた横穴45と軸穴22とが交差することにより、ハウジング20の大径端部44に一対の対向面54,56が形成される。これらの対向面54,56は、第7図?第10図に示すように、略平面形状を有している。」
エ 第20頁第5?18行
「第1および第2の脚部64,66は互いに同一形状に形成されている。したがって、以下では、第1の脚部64についてのみ説明する。第1の脚部64は、端部壁62から延びて、外側端部72で終端している。好ましくは円弧状の面74として形成されるカム面手段は、第1の脚部64の外側端部72から対向する第2の脚部66の方に向かって内側に延び、平面76で終端している。第1の脚部64の平面76は、第1の脚部64の外面に対して角度を成すように方向付けられるとともに、リテーナ10が雄コネクタ部材14を乗り越えるように押し込まれた時に、第1および第2の脚部64,66が外側に押し開かれるように、対向する第2の脚部66の平面76から離間される。第2の脚部66と対向する第1の脚部64の内面は、平面76から端部壁62に向かって延びて、円形もしくは弓形(円弧形状)の面78を形成している。この面78は、後述する第9図に示すようにリテーナ10が雌コネクタ部材12の大径端部44内に挿入される際に、雄コネクタ部材14の周面と正確に係合するようにその寸法が設定されている。」
オ 第23頁第3?13行
「このように雄コネクタ部材14が雌コネクタ部材12に完全に連結された状態で、リテーナ10が大径端部44の内側へとスライドされると、脚部66,68の円弧状のカム面74は、雄コネクタ部材14の外面とスライド可能に係合しながら、互いに対向する脚部64,66を外側に押し広げるように変形させる(第8図参照)。そして、雄コネクタ部材14のO.D.を乗り越えることができるに十分な量だけ脚部64,66が変形して、脚部64,66が雄コネクタ部材14のO.D.を乗り越えると、各脚部64,66は元の状態に戻って互いに平行となる。この平行状態では、各脚部64,66の円弧状の面78が雄コネクタ部材14の外面に極めて接近するように配置される。」

上記記載事項及び図示内容を総合すると、引用例2には、次の事項(以下「引用例2に記載された事項」という。)が記載されている。

「管の接続に用いられるクイックコネクタ16において、リテーナ10の脚部64,66が、一部に雄コネクタ部材14の外形に沿うように外方に向かって円弧状の面78を有するとともに、2本の脚部64,66のそれぞれの円弧状の面78が雄コネクタ部材14に嵌まるクイックコネクタ16。」

第4 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、その機能又は作用からみて、
引用発明の「脚部44,45」は本願発明の「脚部」に相当し、以下同様に、
「保持ピン14」は「抜け止めピン」に、
「開口39,40」は「連結穴」に、
「第2カプリング部材13」は「連結穴部材」に、それぞれ相当する。
そして、「第1カプリング部材12」は配管系統に接続される部材であるから、「第1カプリング部材12の溝18」を含めて「配管」に相当するといえ、「カプリング11」は「配管連結部材」に、相当する。

したがって、両者は、次の一致点及び相違点を有する。

[一致点]
対称な2本の略棒状で、脚部と前記脚部と連なる胴部とを有する平板状かつ略コ形状の抜け止めピンと、複数の連結穴を有する連結穴部材とを備え、前記抜け止めピンの2本の略棒状の脚部を前記複数の連結穴に挿入することで、前記2本の脚部が配管に嵌まり、前記配管と前記連結穴部材とを連結する配管連結部材。

[相違点]
本願発明は、抜け止めピンの脚部が、「一部に配管の外形に沿うように外方に向かって突出させ形成したR形状部を有する弾性体」であるとともに、前記2本の脚部「のそれぞれのR形状部」が前記配管に嵌まるものであり、「前記脚部を前記複数の連結穴に挿入するときの変形時の前記脚部の先端部間の最大寸法は、前記脚部の先端部が挿入される前記複数の連結穴間の最大寸法より小さく、かつ、前記配管と前記連結穴部材とを連結したときに、前記2本の脚部の先端部間の距離となる前記複数の連結穴間の最小寸法は、前記配管の外直径よりも小さい」のに対し、引用発明は、脚部が、第1カプリング部材12の溝18の側面と摩擦接触する弾性を有するものであるとともに、第1カプリング部材12の溝18に嵌まるものであり、脚部及び連結穴(開口)の寸法関係が不明な点。

第5 当審の判断
引用例2に記載された事項(管の接続に用いられるクイックコネクタ16において、リテーナ10の脚部64,66が、一部に雄コネクタ部材14の外形に沿うように外方に向かって円弧状の面78を有するとともに、2本の脚部64,66のそれぞれの円弧状の面78が雄コネクタ部材14に嵌まるクイックコネクタ16)についてみると、その機能、作用からみて、引用例2に記載された事項の「リテーナ10の脚部64,66」は、本願発明の「抜け止めピンの脚部」に相当し、同様に、「一部に雄コネクタ部材14の外形に沿うように外方に向かって円弧状の面78」は「一部に配管の外形に沿うように」「形成したR形状部」に相当する。そして、「2本の脚部64,66のそれぞれの円弧状の面78が雄コネクタ部材14に嵌まること」は、「2本の脚部のそれぞれのR形状部が前記配管に嵌まること」に相当する。
そうすると、引用例2に記載された事項は、配管の接続に用いられる抜け止めピンの脚部に関するものであって、当該脚部の形状として「配管の外形に沿うように形成したR形状部とすること」を開示しているということができる。また、引用例2に記載された脚部は変形方向に幅を有するものであるから外方に向かって突出するようには形成されていないが、引用発明のような脚部の幅が狭いものでは、強度を確保する必要性から配管の外形に沿うように外方に突出することになることは明らかである。(必要ならば、実願昭49-72152号(実開昭51-2734号のマイクロフィルム(ばね体6、第5図参照。))
そして、引用発明及び引用例2に記載された事項は、ともに配管連結部材に関する技術に関するものであって、引用例2には、「リテーナ10が大径端部44の内側へとスライドされると、脚部66,68の円弧状のカム面74は、雄コネクタ部材14の外面とスライド可能に係合しながら、互いに対向する脚部64,66を外側に押し広げるように変形させる(第8図参照)。そして、雄コネクタ部材14のO.D.を乗り越えることができるに十分な量だけ脚部64,66が変形して、脚部64,66が雄コネクタ部材14のO.D.を乗り越えると、各脚部64,66は元の状態に戻って互いに平行となる。」(記載事項オ参照。)と記載されているとともに、図8から、脚部64,66を大径端部44の対向面54、56間の穴に挿入するときの変形時の脚部64,66の先端部間の最大寸法は、脚部64,66の先端部が挿入される大径端部44の対向面54、56間の穴の最大寸法より小さくなっている構成が看取でき、図9から、雄コネクタ部材14とリテーナ10とを連結したときに、前記2本の脚部64,66の先端部間の距離は、雄コネクタ部材14の外直径よりも小さいことが看取できる。
してみれば、引用発明の保持ピン14に、引用例2に記載された事項を適用して、脚部44,45が、一部に第1カプリング部材12の外形に沿うように外方に向かって突出させ形成したR形状部を有するようにし、2本の脚部44,45のそれぞれのR形状部を第1カプリング部材12に嵌める際に、脚部44,45を複数の開口39,40に挿入するときの変形時の脚部44,45の先端部間の最大寸法は、脚部44,45の先端部が挿入される複数の開口39,40間の最大寸法より小さくし、第1カプリング部材12と第2カプリング部材13とを連結したときに、2本の脚部44,45の先端部間の距離となる複数の連開口39,40の最小寸法は、前記第1カプリング部材12の外直径よりも小さくして相違点に係る構成とすることは、技術的に格別の困難性を有することなく当業者が容易に想到できるものであって、これを妨げる格別の事情は見出せない。
本願発明が奏する効果についてみても、引用発明、引用例2に記載された事項が奏するそれぞれの効果の総和以上の格別顕著な効果を奏するものとは認められない。
したがって、本願発明は、引用発明、引用例2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 まとめ
以上のとおり、本願発明(請求項1に係る発明)は、引用発明、引用例2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-05-27 
結審通知日 2013-05-28 
審決日 2013-06-10 
出願番号 特願2007-183968(P2007-183968)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (F16B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 塚原 一久  
特許庁審判長 森川 元嗣
特許庁審判官 冨岡 和人
島田 信一
発明の名称 配管連結部材  
代理人 藤井 兼太郎  
代理人 寺内 伊久郎  
代理人 内藤 浩樹  

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