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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04W
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04W
管理番号 1277112
審判番号 不服2012-15860  
総通号数 165 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-08-15 
確定日 2013-07-25 
事件の表示 特願2009- 54344「測位サービスシステム、ゲートウェイ装置及びそれらに用いる測位方法」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 6月 4日出願公開、特開2009-124756〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成14年2月13日に出願した特願2002-34796号の一部を新たに特許出願した、特願2006-124597号の一部を平成21年3月9日に新たに特許出願したものであって、平成24年5月11日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年8月15日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、手続補正がなされたものである。

2.平成24年8月15日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成24年8月15日付けの手続補正を却下する。

[理由]
2-1.補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「測位対象の移動機と、
前記測位対象の移動機に対しかつ自装置の識別情報が含まれた測位要求を第一のゲートウェイ装置へ送信するクライアント装置と、
前記測位対象の移動機に対する測位結果を前記クライアント装置へ送信する第一のゲートウェイ装置と、
前記測位対象の移動機に対する測位結果を前記第一のゲートウェイ装置へ送信する第二のゲートウェイ装置と、
を有し、
前記第二のゲートウェイ装置は、前記識別情報による前記クライアント装置の認証がOKである場合に前記第一のゲートウェイ装置から送られてくる周期測位の要求を受け取り、周期タイマを開始し、前記測位対象の移動機の測位処理を行うことを特徴とする測位サービスシステム。」
と補正された。(この記載の事項により特定される発明を以下、「本願補正発明」という。)
上記補正は、補正前の発明を特定する事項である「測位対象の移動機に対する測位要求」を「測位対象の移動機に対しかつ自装置の識別情報が含まれた測位要求」と限定するものであるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで、本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2-2.引用例
2-2-1.引用例1
原査定の拒絶の理由に引用された
NEC,“Proposed update to TR23.871 v1.0.0”,3GPP TSG-SA-WG2 Meeting #22, S2-020206,2002年1月18日,pp.1-4,URL,http://www.
3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG2_Arch/TSGS2_22/tdocs/s2-020206.zip
(以下、引用例1という。)には、図面とともに以下の記載がなされてい
る。

(1)「7.3.1 Architecture
In order to support the enhanced privacy settings for location
services the HLR/HSS may indicate that the subscribers' additional
privacy information for location services is available in a
particular GMLC, i.e. Home GMLC of the subscriber. The Home GMLC
may contain additional privacy settings of the subscriber, e.g.
according to time of day, day of week and according to the location of the target UE. The HLR/HSS sends the Home GMLC address per
subscriber in the SRI response. The Home PLMN operator defines what is the physical address of the logical entity Home GMLC. In case a
GMLC, (original GMLC), which receives a location request from an
external LCS client received the Home GMLC address of the target UE from the HLR/HSS and the address is not the same as its own address, the original GMLC forwards the location request received from the
external LCS client to the Home GMLC via Lr interface. Then the
Home GMLC performs the enhanced privacy check. In case positive
result the Home GMLC sends Provide Subscriber Location message to
MSC/SGSN as specified in 23.271 and forwards the location report
received from the SGSN/MSC to the original GMLC. In case negative
result of the enhanced privacy check, the Home GMLC immediately
returns the response back to the original GMLC. The Home GMLC
communicates with other GMLCs via the Lr interface. This
architecture is illustrated in figure 7.3.」(第3ページ)
(当審訳
7.3.1アーキテクチャ
位置サービスのための拡張プライバシ設定をサポートするために、HLR/HSS装置は、加入者の位置サービスのための付加的なプライバシ情報が特定のGMLC装置、例えば加入者のホームGMLC装置で得られることを、示すことができる。ホームGMLC装置は、加入者の付加的なプライバシ設定、例えば、一日のうち何時であるか、一週間のうち何曜日であるのかに応じた、または対象とするUE装置の位置に応じた設定を含むことができる。HLR/HSS装置は、加入者ごとのホームGMLC装置のアドレスを、SRI応答により送信できる。ホームPLMNオペレータは、ホームGMLC装置の論理的存在としての物理アドレスを定義する。外部のLCSクライアント装置から位置要求を受信するGMLC装置(もともとのGMLC装置)が、対象とするUE装置のホームGMLC装置のアドレスをHLR/HSS装置から受信し、それがそれ自身のアドレスと同じでない場合には、もともとのGMLC装置は、外部のLCSクライアント装置から受信した位置要求を、ホームGMLC装置へLrインタフェース経由で転送する。それによりホームGMLC装置は拡張プライバシチェックを実行できる。拡張プライバシチェックの結果OKなら、ホームGMLC装置は、23.271に示されるようにSGSN/MSC装置に、「加入者位置の送信」メッセージを送信する。そして、SGSN/MSC装置から受信した位置報告を、もともとのGMLC装置に転送する。拡張プライバシチェックの結果NGなら、ホームGMLC装置はすぐに、もともとのGMLC装置に応答を返す。ホームGMLC装置は、Lrインタフェース経由で他のGMLC装置と通信できる。このアーキテクチャを図7.3に図示する。)

(2)「Figure 7.3.1: General information flow for the architectural alternative with the Home GMLC」には、
(2-1)「Client」から「GMLC」に「2.LCS Service Request(Parameter for sdditional privacy check)」を送信し、
(2-2)「GMLC」から「HLR/HSS」に「3.Send Routing Info for LCS
(with notification of enhanced privacy check capability)」を送信し、
(2-3)「HLR/HSS」から「GMLC」に「4.Send Routing Info for LCS ack(with address of Home GMLC for the target UE)」を送信し、
(2-4)「GMLC」から「Home GMLC」に「5.LCS Service Request
(Parameter for sdditional privacy check)」を送信し、
(2-5)「Home GMLC」等で「6.Normal procedures for CS and PS
MT-LR」を実行し、
(2-6)「Home GMLC」から「GMLC」に「8.LCS Service Response」を送信し、
(2-7)「GMLC」から「Client」に「8.LCS Service Response」を送信す
ることが記載されている。

したがって、引用例1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているといえる。

対象とするUE装置と、
外部のLCSクライアント装置から対象とするUE装置の位置要求を受信するもともとのGMLC装置と、
もともとのGMLC装置は、外部のLCSクライアント装置から受信した位置要求を、ホームGMLC装置へ転送し、
ホームGMLC装置は、SGSN/MSC装置に、「加入者位置の送信」メッセージを送信して、SGSN/MSC装置から受信した位置報告を、もともとのGMLC装置に転送し、
もともとのGMLC装置は、ホームGMLC装置から受信した位置報告
を、外部のLCSクライアント装置へ送信する、位置サービスのためのアーキテクチャ。

2-2-2.引用例2
原査定の拒絶の理由に引用された
Nortel Networks,“Combined 'Periodic' and 'Deferred' location
request handled as a Periodic location request in the GMLC”,3GPP
TSG-SA-WG2 Meeting #20, S2-012759,2001年11月,URL,http://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG2_Arch/TSGS2_20/tdocs/S2-012759.zip
(以下、引用例2という。)には、図面とともに以下の記載がなされてい
る。

(3)「1.2.Proposal 1
The GMLC keeps the periodic timer running and the GMLC repeats the "Provide Subscriber Location" request to the MSC/SGSN even if it has already sent it one time and the UE location has not changed.」
(当審訳
1.2.提案1
GMLC装置は、周期タイマの動作を維持して、既に一度送信されUE装置の位置が変わっていなくても、「加入者位置の送信」をSGSN/MSC装置に繰り返し要求する。)

(4)「Figure 1:Proposal 1」には、
(4-1)「GMLC」が「Client」から、「1.LCS Service Request…」を受信し、
(4-2)「GMLC」が「4.Set periodical timer」を行い、
(4-3)「GMLC」が「SGSN/MSC」へ、「5.Provide Subscriber
Location」を送信し、
(4-4)「GMLC」が「SGSN/MSC」から、「7.Provide Subscriber
Location ack」を受信し,
(4-5)「GMLC」が「Client」へ、「8.LCS Service Response」を送信
し、
(4-6)「GMLC」で「9.Periodical timer expired」となり、
(4-7)「GMLC」が「SGSN/MSC」へ、「13.Provide Subscriber
Location」を送信し、
(4-8)「GMLC」が「SGSN/MSC」から、「15.Provide Subscriber
Location ack」を受信し,
(4-9)「GMLC」が「Client」へ、「16.LCS Service Response」を送信
し、
(4-10)「GMLC」が「16.Restart periodical timer」を行い、
(4-11)「GMLC」が「SGSN/MSC」から、「18.Provide Subscriber
Location ack」を受信し,
(4-12)「GMLC」が「Client」へ、「19.LCS Service Response」を送信し、
(4-13)「GMLC」が「20.Restart periodical timer」を行うことが記載されている。

したがって、引用例2には次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているといえる。

周期タイマの動作を維持して、UE装置の位置をSGSN/MSC装置に繰り返し要求するGMLC装置。

2-3.対比
引用発明1の「対象とするUE装置」、「外部のLCSクライアント装
置」、「もともとのGMLC装置」、及び「ホームGMLC装置」は、それぞれ本願補正発明の「測位対象の移動機」、「クライアント装置」、「第一のゲートウェイ装置」、及び「第二のゲートウェイ装置」に対応する。
引用発明1において、「ホームGMLC装置は、SGSN/MSC装置
に、「加入者位置の送信」メッセージを送信して、SGSN/MSC装置から受信した位置報告を、…」とすることは、測位対象の移動機の測位処理を行うことといえる。
引用発明1は、位置サービスのためのアーキテクチャであるから、測位
サービスシステムが実質的に示されている。
したがって、本願補正発明と引用発明とを対比すると、次の点で一致す
る。

測位対象の移動機と、
前記測位対象の移動機に対する測位要求を第一のゲートウェイ装置へ送信するクライアント装置と、
前記測位対象の移動機に対する測位結果を前記クライアント装置へ送信する第一のゲートウェイ装置と、
前記測位対象の移動機に対する測位結果を前記第一のゲートウェイ装置へ送信する第二のゲートウェイ装置と、
を有し、
前記第二のゲートウェイ装置は、前記第一のゲートウェイ装置から送られてくる測位の要求を受け取り、前記測位対象の移動機の測位処理を行うことを特徴とする測位サービスシステム。

また次の点で相違する。

相違点1
本願補正発明は、「前記測位対象の移動機に対しかつ自装置の識別情報が含まれた測位要求を第一のゲートウェイ装置へ送信するクライアント装置
と」及び「前記第二のゲートウェイ装置は、前記識別情報による前記クライアント装置の認証がOKである場合に前記第一のゲートウェイ装置から送られてくる周期測位の要求を受け取り」とあるように、「クライアント装置」の認証を行うものであるのに対して、引用発明1では「クライアント装置」の認証について特定がない点。

相違点2
本願補正発明は、「前記第二のゲートウェイ装置は、前記識別情報による前記クライアント装置の認証がOKである場合に前記第一のゲートウェイ装置から送られてくる周期測位の要求を受け取り、周期タイマを開始し、前記測位対象の移動機の測位処理を行うこと」とあるように、「周期タイマ」により周期測位を行うものであるのに対して、引用発明1では周期測位について特定がない点。

2-4.相違点に対する判断
相違点1について
クライアント装置の認証を行うことは、例えば、前置報告書で引用された特開2002-27516号公報(段落【0008】等、前置報告書の記載内容は、平成25年1月17日付けの審尋に提示)に示されているように周知のことであり、引用発明1において、本願補正発明のようにクライアント装置の認証を行うことに困難な点はない。

相違点2について
上記した引用発明2のように、GMLC装置が、周期タイマにより、UE装置の位置をSGSN/MSC装置に繰り返し要求することが知られてお
り、引用発明1の「ホームGMLC装置」の測位処理を、このような周期タイマによるものとして、本願補正発明のように周期測位を行うことに困難な点はない。
なお、この点について請求人は、審判請求書において、
「4.本願発明と引用文献との対比
……
しかしながら、本願発明では、測定遅延や報告遅延等を考慮して、測定対象のUEにより近いゲートウェイ(GMLC102)で周期管理を行うようにしています。また、GMLC102は、UEのプライバシ情報を管理し
(明細書の段落「0092」等に記載)、測定を実行しているentityでもあり、周期管理の主体として好ましいものです。したがって、いずれのゲートウェイで周期管理を行うかは単なる設計事項とはいえません。」
等と主張している。
しかし、いずれのゲートウェイ装置で周期タイマによる処理を行うようにしても、周期測位が可能なことは、当業者にとって明らかなことである。
(例えば、測定対象のUEにより近いゲートウェイ装置とは異なるゲート
ウェイ装置で周期タイマによる処理を行うことは、本件補正による請求項8に係る発明に示されている。)
また、通信経路が長くなるほど、遅延の問題が生じることは、当業者の技術常識であり、遅延の観点から見た場合には、引用発明1の「ホームGMLC装置」に引用発明2を適用するほうが、「もともとのGMLC装置」に適用するよりも好ましいことは、当業者が何の困難もなく予測可能なことであるから、上記審判請求書の主張は採用できず、上記のとおり引用発明1の
「ホームGMLC装置」に引用発明2を適用することに困難な点はない。

上記のとおり、引用発明1において各相違点を本願補正発明のようにすることに困難な点はないから、本願補正発明は引用発明1及び引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

2-5.むすび
したがって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成24年8月15日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成23年11月14日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「測位対象の移動機と、
前記測位対象の移動機に対する測位要求を第一のゲートウェイ装置へ送信するクライアント装置と、
前記測位対象の移動機に対する測位結果を前記クライアント装置へ送信する第一のゲートウェイ装置と、
前記測位対象の移動機に対する測位結果を前記第一のゲートウェイ装置へ送信する第二のゲートウェイ装置と、
を有し、
前記第二のゲートウェイ装置は、前記第一のゲートウェイ装置から周期測位の要求を受け取り、周期タイマを開始し、前記測位対象の移動機の測位処理を行うことを特徴とする測位サービスシステム。」

原査定の拒絶の理由に引用された引用例1及び引用例2の記載事項は、前記のとおりである。
そして、本願発明は、本願補正発明のようなクライアント装置の認証に関する特定がないものであるから、本願補正発明と同様、引用発明1及び引用発明2に基づき当業者が容易に発明をすることができたものである。

以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-05-24 
結審通知日 2013-05-28 
審決日 2013-06-11 
出願番号 特願2009-54344(P2009-54344)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04W)
P 1 8・ 121- Z (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 東 昌秋  
特許庁審判長 加藤 恵一
特許庁審判官 吉村 博之
近藤 聡
発明の名称 測位サービスシステム、ゲートウェイ装置及びそれらに用いる測位方法  
代理人 家入 健  
代理人 ▲柳▼川 信  

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