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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1277215
審判番号 不服2012-8681  
総通号数 165 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-05-11 
確定日 2013-07-24 
事件の表示 特願2004-280823「イメージセンサー及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成17年4月21日出願公開、特開2005-109490〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成16年9月28日(パリ条約による優先権主張 2003年9月29日、大韓民国)の特許出願であって、平成22年6月29日付けの拒絶理由通知に対して、同年11月1日に意見書及び手続補正書が提出され、さらに、同年11月29日付けの拒絶理由通知に対して平成23年4月28日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成24年1月5日付けで拒絶査定がなされた。
それに対して、同年5月11日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正書が提出され、その後、同年10月18日付けで審尋がなされ、平成25年1月18日に回答書が提出された。

第2.補正の却下の決定
【補正の却下の決定の結論】
平成24年5月11日に提出された手続補正書による補正を却下する。

【理由】
1.補正の内容
平成24年5月11日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)は、補正前の特許請求の範囲の請求項1?14を補正して、補正後の特許請求の範囲の請求項1?14とするものであり、補正前後の請求項1は、各々次のとおりである。

(補正前)
「【請求項1】
半導体基板に形成された少なくとも一つのフォトダイオード;
前記フォトダイオード上に形成されるとともに、異なる密度及び異なる屈折率を有する少なくとも2層の酸化膜で積層され、下部から上部に行くほど層間絶縁膜の屈折率が減少するように、下部より上部の前記酸化膜の密度が低くなる多層の層間絶縁膜;
前記多層の層間絶縁膜内に形成された遮光膜;
前記多層の層間絶縁膜上に積層された素子保護膜;
前記素子保護膜上に順次に積層されたカラーフィルターアレイ及び平坦化膜;及び
前記平坦化膜上の各カラーフィルターに対向する位置に配列されるマイクロレンズ;を含むことを特徴とするイメージセンサー。」

(補正後)
「【請求項1】
半導体基板に形成された少なくとも一つのフォトダイオード;
前記フォトダイオード上に形成されるとともに、異なる密度及び異なる屈折率を有する少なくとも2層の酸化膜で積層され、下部から上部に行くほど層間絶縁膜の屈折率が減少するように、下部より上部の前記酸化膜の密度が低くなる多層の層間絶縁膜であって、蒸着温度及び前記酸化膜に添加する不純物の濃度を調節して、下部より上部の酸化膜の密度を下げる、多層の層間絶縁膜;
前記多層の層間絶縁膜内に形成された遮光膜;
前記多層の層間絶縁膜上に積層された素子保護膜;
前記素子保護膜上に順次に積層されたカラーフィルターアレイ及び平坦化膜;及び
前記平坦化膜上の各カラーフィルターに対向する位置に配列されるマイクロレンズ;を含むことを特徴とするイメージセンサー。」

2.補正事項の整理
本件補正による補正事項を整理すると、次のとおりである。

(1)補正事項1
補正前の請求項1の「前記フォトダイオード上に形成されるとともに、異なる密度及び異なる屈折率を有する少なくとも2層の酸化膜で積層され、下部から上部に行くほど層間絶縁膜の屈折率が減少するように、下部より上部の前記酸化膜の密度が低くなる多層の層間絶縁膜;」を、「前記フォトダイオード上に形成されるとともに、異なる密度及び異なる屈折率を有する少なくとも2層の酸化膜で積層され、下部から上部に行くほど層間絶縁膜の屈折率が減少するように、下部より上部の前記酸化膜の密度が低くなる多層の層間絶縁膜であって、蒸着温度及び前記酸化膜に添加する不純物の濃度を調節して、下部より上部の酸化膜の密度を下げる、多層の層間絶縁膜;」と補正して、補正後の請求項1とすること。

(2)補正事項2
補正前の請求項6の「蒸着工程と蒸着温度及び前記酸化膜に添加する不純物の濃度を調節して、下部より上部の酸化膜の密度を下げることを特徴とする請求項4または5に記載のイメージセンサー。」を、「蒸着工程をさらに調節して、下部より上部の酸化膜の密度を下げることを特徴とする請求項4に記載のイメージセンサー。」と補正して、補正後の請求項6とすること。

(3)補正事項3
補正前の請求項8の「前記フォトダイオード上に、異なる密度及び異なる屈折率を有する少なくとも2層の酸化膜を積層して、下部から上部に行くほど層間絶縁膜の屈折率が減少するように、下部より上部の前記酸化膜の密度が低くなる多層の層間絶縁膜を形成する段階;」を、「前記フォトダイオード上に、異なる密度及び異なる屈折率を有する少なくとも2層の酸化膜を積層して、下部から上部に行くほど層間絶縁膜の屈折率が減少するように、下部より上部の前記酸化膜の密度が低くなる多層の層間絶縁膜を形成する段階であって、蒸着温度及び前記酸化膜に添加する不純物の濃度を調節して、下部より上部の酸化膜の密度を下げる、多層の層間絶縁膜を形成する段階;」と補正して、補正後の請求項8とすること。

(4)補正事項4
補正前の請求項13の「蒸着工程と蒸着温度及び前記酸化膜に添加する不純物の濃度を調節して、下部より上部の酸化膜の密度を下げることを特徴とする請求項11または12に記載のイメージセンサーの製造方法。」を、「蒸着工程をさらに調節して、下部より上部の酸化膜の密度を下げることを特徴とする請求項11に記載のイメージセンサーの製造方法。」と補正して、補正後の請求項13とすること。

3.新規事項の追加の有無、及び補正目的の適否について
(1)補正事項1について
補正事項1により補正された部分は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)における特許請求の範囲の請求項6、明細書の0027段落及び0048段落並びに図面の図2及び4等に記載されているものと認められるから、補正事項1は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、補正事項1は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてなされたものであるから、特許法第17条の2第3項(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項をいう。以下同じ。)に規定する要件を満たす。
また、補正事項1は、補正前の請求項1に係る発明の発明特定事項である「多層の層間絶縁膜」に対して技術的限定を加えるものであるから、特許法第17条の2第4項(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項をいう。以下同じ。)第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
したがって、補正事項1は、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たす。

(2)補正事項2について
補正事項2は、補正前の請求項6の記載を、補正事項1と整合するように修正するとともに、補正前の請求項4又は5に係る発明を択一的に引用する発明であった補正前の請求項6に係る発明を、請求項4に係る発明のみを引用する発明に変更するものであるから、当該補正事項2は、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮、及び同第4号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
したがって、補正事項2は、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たす。
また、補正事項2が、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たすことは明らかである。

(3)補正事項3について
補正事項3により補正された部分は、当初明細書等における特許請求の範囲の請求項6、明細書の0027段落及び0048段落並びに図面の図2及び4等に記載されているものと認められるから、補正事項3は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、補正事項3は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてなされたものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
また、補正事項3は、補正前の請求項8に係る発明の発明特定事項である「多層の層間絶縁膜を形成する段階」に対して技術的限定を加えるものであるから、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
したがって、補正事項3は、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たす。

(4)補正事項4について
補正事項4は、補正前の請求項13の記載を、補正事項3と整合するように修正するとともに、補正前の請求項11又は12に係る発明を択一的に引用する発明であった補正前の請求項13に係る発明を、請求項11に係る発明のみを引用する発明に変更するものであるから、当該補正事項4は、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮、及び同第4号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
したがって、補正事項4は、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たす。
また、補正事項4が、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たすことは明らかである。

(5)新規事項の追加の有無、及び補正の目的の適否についてのまとめ
以上検討したとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第3項及び第4項に規定する要件を満たすものである。
そして、本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものであるから、本件補正による補正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、本件補正がいわゆる独立特許要件を満たすものであるか否かについて、以下において更に検討する。

4.独立特許要件について
(1)補正後の発明
本願の本件補正による補正後の請求項1?14に係る発明は、本件補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?14に記載されている事項により特定されるとおりのものであり、そのうちの請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)は、請求項1に記載されている事項により特定される、上記1.の「(補正後)」の箇所に記載したとおりのものであって、再掲すると次のとおりである。

「【請求項1】
半導体基板に形成された少なくとも一つのフォトダイオード;
前記フォトダイオード上に形成されるとともに、異なる密度及び異なる屈折率を有する少なくとも2層の酸化膜で積層され、下部から上部に行くほど層間絶縁膜の屈折率が減少するように、下部より上部の前記酸化膜の密度が低くなる多層の層間絶縁膜であって、蒸着温度及び前記酸化膜に添加する不純物の濃度を調節して、下部より上部の酸化膜の密度を下げる、多層の層間絶縁膜;
前記多層の層間絶縁膜内に形成された遮光膜;
前記多層の層間絶縁膜上に積層された素子保護膜;
前記素子保護膜上に順次に積層されたカラーフィルターアレイ及び平坦化膜;及び
前記平坦化膜上の各カラーフィルターに対向する位置に配列されるマイクロレンズ;を含むことを特徴とするイメージセンサー。」

(2)引用刊行物に記載された発明
(2-1)本願の優先権主張の日前に日本国内において頒布され、原査定の根拠となった拒絶の理由において引用された刊行物である特開平4-343470号公報(以下「引用例」という。)には、図1?3とともに次の記載がある(ここにおいて、下線は当合議体が付加したものである。)。

a.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は固体撮像装置に関し、特に撮像装置の高感化に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に固体撮像装置は半導体基板主面に光電変換部および信号読み出し部を有しているため、有効な光電変換領域としてわずか30?50%程度しか利用できない。この欠点を解決する手段として固体撮像装置上に透明なレンズを配置し、入射光を光電変換部に集光する方法が提案されている(特願昭56-10399,特願昭57-229039)。また具体的に固体撮像装置上に凸レンズアレーを形成する方法は本願発明者によって“A High Photosensitivity IL-CCD Image Sensor withMonolithic Resin Lens Array”と題してProceeding of the IEEE International ElectronDevice Meeting,pp.497-500.December1983.で発表された。
【0003】次に上記の従来例について説明す。図3は通常のインターライン方式CCDの断面を模式的に示したもので半導体基板10の主面には例えばフォトダイオードからなる光電変換領域11が配置されている。11(審決注:「12」の誤記)は光電変換領域11で光電変換した信号を読み出すCCDレジスタで、図3には図示していないが、光電変換領域11とCCDレジスタ12の間には信号電荷の読み出しを制御するトランスファゲートが配置されている。また、CCDレジスタおよびトランスファゲート領域は、例えば、Alのような光を通さない層13で遮光されている。14は例えばカゼイン,ゼラチンのような可染色性樹脂層で、フォトリソグラフィの技術を用いて例えば赤15,緑16,青17の染料を染め分けた色フィルターを模式的に示したものである。樹脂層18は樹脂レンズアレー19に入射した光20を有効に光電変換領域11へ集光させるように焦点距離を調整する役目をしている。」

b.「【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の構造では固体撮像装置を用いたカメラレンズの絞りが開放に近ずくと斜め入射の光成分が多くなり破線21のように光電変換領域に集光できない成分が増加し、光電感度の向上率が低下する欠点があった。すなわち光電感度の絞り依存性があった。
【0005】本発明は上述した欠点をなくした高感度な固体撮像装置を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の固体撮像装置は、同一半導体基板上にモザイク状に形成された光電変換素子群に対応して、この主面に色フィルタアレーが形成されており、さらにこの色フィルタアレー上に異る屈折率をもつ複数の樹脂層が積層されており、前記樹脂の積層上に感光性樹脂を用いて前記光電変換素子に入射光を集光させるためのレンズが形成されていることを特徴とする固体撮像装置が得られる。
【0007】前記複数の樹脂層の屈折率を下層から順に小さくすれば斜め入射の光は各層間で屈折し光電変換部主面に対して垂直な光線に近づく。」

c.「【0008】
【実施例】次に本発明について図面を用いて説明する。
【0009】図1は本発明の一実施例の固体撮像装置の断面図で、図3の従来例に対応している。また従来例と同一機能部は同一記号で示してある。すなわち、10は半導体基板でその主面には例えばフォトダイオードから成る光電変換領域11,CCDレジスタ12,遮膜13が形成されている。14は色フィルタアレーを形成する染色性樹脂で赤15,緑16,青17の色フィルターが作られている。従来例と異る点は入射光20を有効に光電変換領域11へ集光させる焦点距離調整用の樹脂層が異る屈折率をもつ第1の樹脂層22と第2樹脂層23の積層で構成されていることにある。
【0010】次に本実施例の機能について説明する。
【0011】第1の樹脂層22の屈折率n_(1)を第2の樹脂層23の屈折率n_(2)より小さい材料を用いれば、樹脂層22,23の境界24で斜め入射光は屈折する。例えば斜め入射光25はレンズ19で屈折する。もし樹脂層が第1の樹脂層22だけで構成されている場合、この斜め入射光は光電変換部11に集光せず遮光膜13上の点26に達する。しかしながら本実施例のように第1の樹脂層22の屈折率より大きい第2の樹脂層23を設けることにより、斜め入射光25は樹脂層の境界24で屈折し、矢印27のように光電変換領域11に集光される。
【0012】図2は本発明の第2の実施例の断面図を示す。第1の実施例と異る点はレンズ19の焦点距離調整の樹脂層が多層(4層)になっている事である。第1の樹脂層22,第2の樹脂層23の上に、第3,第4の樹脂層27,28が積層され、その最上面にレンズ19が形成されている。最下層の第1の樹脂層から上層にゆくに従って屈折率の小さな樹脂を選ぶことにより斜め入射光30は各樹脂層の境界で屈折し光電変換領域11に集光される。」

d.「【0013】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は固体撮像装置にレンズアレーを形成する際、焦点距離を調整する樹脂層を多層に積層し、且つ、各樹脂層の屈折率を下層から上層に向けて除々に小さくなるように樹脂を選択することにより、従来問題となった光電感度の絞り依存性がない固体撮像装置が得られる。」

(2-2)ここにおいて、0012段落及び図2に記載された「本発明の第2の実施例」に係る固体撮像装置(以下「引用例の固体撮像装置」という。)に注目すると、0009段落及び0012段落の記載及び図2の記載から、引用例の固体撮像装置においては、「半導体基板10」の主面に「フォトダイオードから成る光電変換領域11」が形成され、当該「フォトダイオードから成る光電変換領域11」上に「『色フィルタアレー』『14』」が形成されていること、及び「フォトダイオードから成る光電変換領域11」が形成されていない「半導体基板10」の主面上に「遮膜13」が形成されていることが明らかである。
また、0009段落及び0012段落の記載及び図2の記載から、引用例の固体撮像装置においては、「『色フィルタアレー』『14』」上に、下層から上層に行くにしたがって屈折率の小さな第1?4の樹脂層が積層されて構成された「焦点距離調整の樹脂層」が形成されていることが明らかである。
さらに、0009段落及び0012段落の記載及び図2の記載から、引用例の固体撮像装置においては、「焦点距離調整の樹脂層」上の各「色フィルタ」に対向する位置に「マイクロレンズ」が形成されていることも明らかである。

(2-3)以上を総合すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「半導体基板10の主面に形成されたフォトダイオードからなる光電変換領域11、
前記フォトダイオードから成る光電変換領域11上に形成された色フィルタアレー14、
前記フォトダイオードから成る光電変換領域11が形成されていない前記半導体基板10の主面上に形成された遮膜13、
前記色フィルタアレー14上に形成され、下層から上層に行くにしたがって屈折率の小さな第1?4の樹脂層が積層されて構成された焦点距離調整の樹脂層、
前記焦点距離調整の樹脂層上の各色フィルタに対向する位置に形成されたマイクロレンズ、
を備えた固体撮像装置。」

(3)補正発明と引用発明との対比
(3-1)補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「半導体基板10」が、補正発明の「半導体基板」に相当することは明らかであるから、補正発明と引用発明とは、「半導体基板に形成された少なくとも一つのフォトダイオード」を含む点で一致する。

(3-2)引用発明は、「色フィルタアレー14」が「前記フォトダイオードから成る光電変換領域11」上に形成され、「前記色フィルタアレー14」上に「焦点距離調整の樹脂層」が形成される構成となっているから、引用発明の「焦点距離調整の樹脂層」が、「前記フォトダイオード」の上方に形成されていることは明らかである。
したがって、引用発明の「前記色フィルタアレー14上に形成され、下層から上層に行くにしたがって屈折率の小さな第1?4の樹脂層が積層されて構成された焦点距離調整の樹脂層」と、補正発明の「前記フォトダイオード上に形成されるとともに、異なる密度及び異なる屈折率を有する少なくとも2層の酸化膜で積層され、下部から上部に行くほど層間絶縁膜の屈折率が減少するように、下部より上部の前記酸化膜の密度が低くなる多層の層間絶縁膜であって、蒸着温度及び前記酸化膜に添加する不純物の濃度を調節して、下部より上部の酸化膜の密度を下げる、多層の層間絶縁膜」とは、「『前記フォトダイオード』の上方に『形成されるとともに、』『異なる屈折率を有する少なくとも2層の』透光性の『膜で積層され、下部から上部に行くほど』透光性の『膜の屈折率が減少する』『多層の』透光性の『膜』」である点で一致する。

(3-3)引用発明の「前記フォトダイオードから成る光電変換領域11が形成されていない前記半導体基板10の主面上に形成された遮膜13」と、補正発明の「前記多層の層間絶縁膜内に形成された遮光膜」とは、「『半導体基板』の上方に『形成された遮光膜』」である点で一致する。

(3-4)引用発明の「前記フォトダイオードから成る光電変換領域11上に形成された色フィルタアレー14」と、補正発明の「前記素子保護膜上に順次に積層されたカラーフィルターアレイ」とは、「『半導体基板』の上方に形成された『カラーフィルターアレイ』」である点で一致する。

(3-5)引用発明の「前記焦点距離調整の樹脂層上の各色フィルタに対向する位置に形成されたマイクロレンズ」と、補正発明の「前記平坦化膜上の各カラーフィルターに対向する位置に配列されるマイクロレンズ」とは、「各カラーフィルターに対向する位置に配列されるマイクロレンズ」である点で一致する。

(3-6)引用発明の「固体撮像装置」が、補正発明の「イメージセンサー」に相当することは明らかである。

(3-7)したがって、補正発明と引用発明とは、

「半導体基板に形成された少なくとも一つのフォトダイオード;
前記フォトダイオードの上方に形成されるとともに、異なる屈折率を有する少なくとも2層の透光性の膜で積層され、下部から上部に行くほど透光性の膜の屈折率が減少する多層の透光性の膜;
前記半導体基板の上方に形成された遮光膜;
前記半導体基板の上方に形成されたカラーフィルターアレイ;及び
各カラーフィルターに対向する位置に配列されるマイクロレンズ;を含むことを特徴とするイメージセンサー。」

である点で一致し、次の点で相違する。

(相違点1)
「前記フォトダイオードの上方に形成されるとともに、異なる屈折率を有する少なくとも2層の透光性の膜で積層され、下部から上部に行くほど透光性の膜の屈折率が減少する多層の透光性の膜」についての相違点であって、補正発明は、当該「多層の透光性の膜」が、「異なる密度」を有する「酸化膜」で構成され、「下部より上部の前記酸化膜の密度が低くなる多層の層間絶縁膜であって、蒸着温度及び前記酸化膜に添加する不純物の濃度を調節して、下部より上部の酸化膜の密度を下げる」ものであるのに対して、引用発明は、当該「多層の透光性の膜」が「第1?4の樹脂層」で構成され、「下部より上部の前記酸化膜の密度が低くなる多層の層間絶縁膜であって、蒸着温度及び前記酸化膜に添加する不純物の濃度を調節して、下部より上部の酸化膜の密度を下げる」ものであることが特定されていない点。

(相違点2)
「フォトダイオード」上に設けられる各要素の配置についての相違点であり、補正発明は、「前記フォトダイオード上」に形成された「多層の層間絶縁膜」、「前記多層の層間絶縁膜内に形成された遮光膜」、「前記多層の層間絶縁膜上に積層された素子保護膜」、「前記素子保護膜上に順次に積層されたカラーフィルターアレイ及び平坦化膜」及び「前記平坦化膜上の各カラーフィルターに対向する位置に配列されるマイクロレンズ」を備える構成となっているのに対して、引用発明は、「素子保護膜」及び「平坦化膜」を備えておらず、また、「第1?4の樹脂層が積層されて構成された焦点距離調整の樹脂層」、「遮膜13」、「色フィルタアレー14」及び「マイクロレンズ」の配置も補正発明とは異なる点。

(4)相違点についての当審の判断
(4-1)相違点1について
(4-1-1)一般に、イメージセンサにおいて、光を屈折させるための膜として、シリコン酸化膜から成る層間絶縁膜を用いることは、例えば、本願の優先権主張の日前に日本国内において頒布された刊行物である周知例1及び2にも記載されているように、当業者における周知技術であるところ、蒸着温度や添加する不純物を変化させることにより屈折率の異なるシリコン酸化膜が得られること、及びシリコン酸化膜の密度と屈折率とが正の相関関係を有することは、例えば、前者については、本願の優先権主張の日前に日本国内において頒布された刊行物である周知例1及び3?5にも記載されているように、後者については、周知例3及び4にも記載されているように、いずれも当業者における技術常識である。

a.周知例1:特開平11-274443号公報
周知例1には、図1及び2とともに次の記載がある。

「【0014】
【発明の実施の形態】[第1の実施形態]図1に本発明による第1の実施形態の概略断面図を示す。図の固体撮像装置において、10はp型、又はn型の半導体基板、11は半導体基板10内に形成した光電変換素子で、例えば基板10と反対導電型の領域であり、基板10との間でPNダイオードが形成される。また、12は光電変換素子11及びその余の半導体基板10上に形成した表面保護層、13はその余の半導体基板10の表面保護層上に形成し光電変換素子11の光電荷を転送等する導電膜、14は導電膜13上と表面保護膜12上に形成する第1の層間膜、15は第1の層間膜14上の凹レンズを形成する第2の層間膜、16は透明高分子樹脂からなる樹脂層、17は光電変換素子11の上方で樹脂層16上に形成される凸型マイクロレンズである。かかる構成中、光電変換素子11の上方に形成される各層は透明であり、上方から入射する光を集束して光電変換素子11に電子と正孔とを励起し、導電膜13を通して外部に画像信号として出力される。
(途中略)
【0016】また、図2(b)に示すように構成された固体撮像装置の場合の各屈折率の関係を、
N1<N2,N3
N3<N4
N4<N5
とすることにより、第1の層間膜14間に存在する障害物20、例えば導電膜13を回避して入射した光線を光電変換素子11に集光することができる。ここで、第1の層間膜をSiOFとし、第2の層間膜をTEOS(Tetra-Ethyl-Ortho-Silicate)-SiO_(2)とすることで上記条件を満足する。SiO_(2)よりも屈折率の低いSiOFの層間膜材を積層することで、より効果の高いマイクロレンズを形成することができる。
【0017】さらに、上記図2(a),(b)において、第1及び第2の層間膜を共にTEOS(Tetra-Ethyl-Ortho-Silicate)-SiO_(2)で形成し、互いに密度が異ならせることも可能である。」

ここにおいて、「SiOFの層間膜材」が、SiO_(2)にF(フッ素)を添加した層間膜材料、すなわち、不純物としてフッ素を加えたシリコン酸化膜からなる層間膜材料を意味することは当業者の技術常識であるから、周知例1には、光を屈折するための膜として、不純物としてフッ素を加えたシリコン酸化膜及びTEOSシリコン酸化膜から成る層間膜(層間絶縁膜)を用いることが記載されているものと認められる。
また、周知例1には、フッ素という不純物を添加することにより異なる(低い)屈折率のシリコン酸化膜を得ること、及びシリコン酸化膜の密度を異ならせることにより異なる屈折率のシリコン酸化膜を得ることが記載されているものと認められる。

b.周知例2:特開2001-156279号公報
周知例2には、図2とともに次の記載がある。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体撮像素子に関し、特に、その分光感度特性を改善した固体撮像素子およびその製造方法に関する。」
「【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図2を参照して、具体的に説明する。ここでの固体撮像素子は、半導体基板1上に光電変換素子2を形成し、その上部にシリコン酸化膜からなる第1の絶縁膜3と、第1の絶縁膜とは光の屈折率が異なるシリコン窒化膜からなる第2の絶縁膜4を備えている。なお、ここでの第2の絶縁膜は表面保護の役割を果たす膜である。
【0010】そして、本発明の第1の実施の形態としては、これら絶縁膜3、4の層間に、第3の絶縁膜5を設ける。この絶縁膜5は、その光の屈折率が、シリコン酸化膜(第1の絶縁膜)の光の屈折率からシリコン窒化膜(第2の絶縁膜)の光の屈折利率へと連続的に変化する領域を構成している。」

ここにおいて、「第1の絶縁膜3」等の絶縁膜が層間絶縁膜として機能していることは図2から明らかであるから、周知例2には、固体撮像装置(イメージセンサー)において、光を屈折させるための膜として、シリコン酸化膜からなる層間絶縁膜を用いることが記載されているものと認められる。

c.周知例3:特開平6-310504号公報
周知例3には、図1及び2とともに次の記載がある。

「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体装置などに用いる絶縁膜の構造およびその製造方法に関するものである。」
「【0012】
【実施例】図1は本発明の絶縁膜の構造の一実施例を示す断面図である。この実施例では、基板1上に膜厚300nmで屈折率が1.42の二酸化珪素膜2と、膜厚200nmで屈折率が1.45の二酸化珪素膜3、膜厚200nmの屈折率が1.42の二酸化珪素膜4が積層されている。本実施例では配線溝形成に本発明の絶縁膜の構造を応用した例として、さらに、配線溝5がそれらの二酸化珪素膜に形成されている。
【0013】絶縁膜の密度Pは組成一定という条件が満たされる場合屈折率nとの間に次の関係が成立する。(Kは比例定数)
P=K(n-1)
グラッドストーン-デイルの式(Gladstone-Dale equation)(J.H.Gladstone and T.P.Dale)、トランザクション オブ ロイヤル ソサエティ(Trans. Roy. Soc.London)153、317、337(1863)。
【0014】従って、屈折率1.45の二酸化珪素膜3を高密度膜、屈折率1.42のそれ2、4は低密度膜といえる。
【0015】図1の絶縁膜の構造は、例えば、図2に示す方法によって製造する。
【0016】まず、図2(a)に示しているように基板1上に、モノシランガス(SiH_(4))と酸素ガス(O_(2))を原料として、窒素をキャリアガスとして、常圧で、基板温度450℃の条件で、O_(2)/SiH_(4)流量比を10として、基板1上に屈折率1.42の二酸化珪素膜を膜厚300nm堆積とした。連続して、O_(2)/SiH_(4)流量比のみを、10から0.3に変化させて、他は同じ条件で、膜厚200nmの二酸化珪素膜3(屈折率1.45)を堆積した。さらに連続して、流量比を再び0.3から10に変化させ、他は同じ条件で、屈折率1.42の二酸化珪素膜を膜厚200nmだけ堆積して、図2(a)に示している本発明の絶縁膜の構造の例が完成する。」

上記記載並びに図1及び2の記載から、周知例3には、製造方法を異ならせることにより、異なる密度及び屈折率のシリコン酸化膜を得ることが記載されているものと認められる。
また、周知例3には、二酸化珪素膜(シリコン酸化膜)等の絶縁膜の密度Pと屈折率nとの関係が「P=K(n-1)」で表されること、すなわち、絶縁膜の密度と屈折率とが正の相関関係を有することが古くから知られていたことも記載されているものと認められる。

d.周知例4:特開平6-148446号公報
周知例4には、次の記載がある。

「【0009】以下本発明を詳細に説明する。本発明においては、真空蒸着によりSiO_(2)膜を基板に形成する条件を変えることにより、形成されるSiO_(2)膜の密度、ひいては屈折率を制御するものである。真空蒸着で形成されるSiO_(2)膜の性質を支配する主な因子として蒸着速度、蒸着圧力、基板温度が挙げられる。SiO_(2)の真空蒸着では、一般に蒸着圧力は1×10^(-3)?1×10^(-5)Torrの範囲に設定されるが、蒸着圧力が低いほど緻密で高密度、高屈折率の膜が形成される。また、蒸着速度は毎秒1?60オングストローム程度の範囲で実施され、蒸着速度が速いほど緻密な膜が形成される。さらに、基板温度は室温?300℃程度の範囲に設定され、基板温度が高いほど緻密な膜が形成される。」

上記記載から、周知例4には、SiO_(2)膜(シリコン酸化膜)を形成するに際し、基板温度(蒸着温度)が高いほど、緻密で高屈折率の膜が得られること(逆に言えば、蒸着温度が低いほど、密度が低く低屈折率の膜が得られること)が記載されているものと認められる。

e.周知例5:特開平1-269903号公報
周知例5には、第1図とともに次の記載がある。

「第1図は本発明の一実施例を切断して示す斜視図である。多層配線層1は石英ガラス基板2上に設けられた厚さ数十ミクロンのSiO_(2)(二酸化ケイ素)で形成されている。多層配線層1には、光絶縁部4中に光伝送部3が直径10μm、ピッチ30μmで形成さるれ(審決注:「形成され」の誤記)、必要に応じて曲部が設けられている。
光伝送部3と光絶縁部4は、SiO_(2)中に含まれる不純物濃度による光の屈折率の違いにより分けられ、光伝送部3の方が光絶縁部4より屈折率が大きくなるようにSiO_(2)中の不純物濃度を調整してある。それにより、光は光伝送部3と光絶縁部4の境界面で全反射し、光伝送部3の内部を進行していく。」(2ページ左上欄6行?19行)

上記記載から、周知例5には、不純物濃度を調整することにより、SiO_(2)からなる多層配線層(シリコン酸化膜)の屈折率を変化させることが記載されているものと認められる。

(4-1-2)したがって、上に述べたような技術常識を参酌すれば、引用発明の「下層から上層に行くにしたがって屈折率の小さな第1?4の樹脂層が積層されて構成された焦点距離調整の樹脂層」に換えて、蒸着温度や添加する不純物を変化させることにより形成した、下部から上部に行くほど密度及び屈折率の低いシリコン酸化膜から構成される多層の層間絶縁膜とすること、すなわち、補正発明のように、「多層の膜」が、「異なる密度」を有する「酸化膜」で構成され、「下部より上部の前記酸化膜の密度が低くなる多層の層間絶縁膜であって、蒸着温度及び前記酸化膜に添加する不純物の濃度を調節して、下部より上部の酸化膜の密度を下げる」ものとすることは、当業者が適宜なし得たことであり、また、そのようにすることにより、当業者の予測を超えた効果が奏されているとも認められない。
よって、相違点1は、当業者が容易になし得た範囲に含まれる程度のものである。

(4-2)相違点2について
(4-2-1)上記(4-1)において検討したとおり、引用発明の「下層から上層に行くにしたがって屈折率の小さな第1?4の樹脂層が積層されて構成された焦点距離調整の樹脂層」に換えて、下部から上部に行くほど屈折率の低いシリコン酸化膜から構成される多層の層間絶縁膜とすることは、当業者が容易になし得たことである。
また、一般に、イメージセンサを構成するに当たり、層間絶縁膜、遮光膜、カラーフィルタアレイ及びマイクロレンズをどのような順番で配置するかということ、また、素子保護膜や平坦化膜等の付随物を設けるか設けないかということは、当該イメージセンサの用途やコスト、さらには他に製造する集積回路装置とのプロセスの共通化等の種々の観点を考慮して当業者が適宜選択し得る設計的事項であり、例えば、フォトダイオード上に層間絶縁膜を設けること、層間絶縁膜内に遮光膜を配置すること、カラーフィルタ上に平坦化膜を設けること、及び平坦化膜上の各カラーフィルタに対向する位置にマイクロレンズを配列することは、本願の優先権主張の日前に日本国内において頒布された刊行物である周知例6に記載されているように、また、層間絶縁膜上に保護膜を設けることは、周知例7に記載されているように、いずれも当業者において普通に行われてきている周知技術である。

a.周知例6:特開2000-228513号公報
周知例6には、図3とともに次の記載がある。

「【0008】図3は、従来のカラーイメージセンサの断面図である。
【0009】図3に示すように、従来のカラーイメージセンサは多数のピクセルユニットを備え、各ピクセルユニットはそれぞれフォトダイオードを備えている。また、フォトダイオード102a、102b及び102cは、カラーイメージセンサにおいて形成されている。非感光性領域(non-photosensing regions)103は、フォトダイオード102a、102b及び102c間に形成される。層間絶縁層105aは、フォトダイオード102a、102b及び102c及び非感光性領域103上に形成される。遮光層104は、非感光性領域103に入射される光を遮蔽するために層間絶縁層105a上に形成される。また、層間絶縁層105bは、遮光層104を覆うようにして形成される。
【0010】さらに、レッド(赤色)、グリーン(緑色)及びブルー(青色)フィルタ106a、106b及び106cは、層間絶縁層105b上に形成される。さらに、バッファ層107が、レッド、グリーン及びブルーフィルタ106a、106b及び106cの上部の平坦化及び光の透過度を改善させるためにレッド、グリーン及びブルーフィルタ106a、106b及び106c上に形成される。
【0011】フォトダイオード102aは、物体からの光を吸収して、マイクロレンズ108a及びレッドフィルタ106aを通過した光からの光電荷を集積する。フォトダイオード102bは、物体からの光を吸収して、マイクロレンズ108b及びグリーンフィルタ106bを通過した光からの光電荷を集積する。フォトダイオード102cは、物体からの光を吸収して、マイクロレンズ108c及びブルーフィルタ106cを通過した光からの光電荷を集積する。ピクセルユニットは、物体からのレッド、グリーン及びブルー成分のカラー信号を出力するためにレッド、グリーン及びブルーピクセルユニットで構成される。」

ここにおいて、0010段落の「バッファ層107が、レッド、グリーン及びブルーフィルタ106a、106b及び106cの上部の平坦化及び光の透過度を改善させるためにレッド、グリーン及びブルーフィルタ106a、106b及び106c上に形成される。」という記載から、「バッファ層107」が平坦化膜として機能していることは明らかである。
したがって、上記記載及び図3の記載から、周知例6には、カラーイメージセンサにおいて、フォトダイオード102a?102c上に2層の層間絶縁層105a及び105bを設けること、これらの層間絶縁層内に遮光層104を配置すること、カラーフィルタ106a?106c上に平坦化膜を設けること、及び平坦化膜上の各カラーフィルタ106a?106cに対向する位置にマイクロレンズ108a?108cを配列することが記載されているものと認められる。

b.周知例7:特開2002-125239号公報
周知例7には、図7及び9とともに次の記載がある。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被写体像を撮像する撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の光電変換部を有する画素を2次元状に配列した固体撮像素子の構成の一例を図7に示す。同図において、101は、フォトダイオード等の光電変換部を有する画素であり、この画素を2次元状に配列することのよって、被写体像を撮像する画素領域100を形成している。」
「【0006】一般的に、図9に示すように固体撮像素子の高感度化を実現さるために画素個々に対応したマイクロレンズが用いられる。マイクロレンズが形成された固体撮像素子の単位画素の断面構造を図中に示す。単位画素は300(図7の一つの画素101に対応)で示される。単位画素は、光電変換部301、絶縁層302、配線層303、304、遮光層305、保護膜306、平坦化層307、309、カラーフィルタ層308、マイクロレンズ310から成っている。aがレンズ径であり、bがレンズ厚である。このマイクロレンズにより、入射光の集光効率を高め、高感度化を実現している。」

ここにおいて、「絶縁層302」が層間絶縁膜として機能していることは明らかである。
したがって、上記記載及び図9の記載から、周知例7には、被写体像を撮像する撮像装置、すなわちイメージセンサにおいて、層間絶縁膜上に保護膜306を設けることが記載されているものと認められる。

(4-2-2)したがって、引用発明に接した当業者であれば、引用発明の「下層から上層に行くにしたがって屈折率の小さな第1?4の樹脂層が積層されて構成された焦点距離調整の樹脂層」に換えて、下部から上部に行くほど屈折率の低いシリコン酸化膜から構成される多層の層間絶縁膜とするに際して、補正発明のように、「前記フォトダイオード上」に形成された「多層の層間絶縁膜」、「前記多層の層間絶縁膜内に形成された遮光膜」、「前記多層の層間絶縁膜上に積層された素子保護膜」、「前記素子保護膜上に順次に積層されたカラーフィルターアレイ及び平坦化膜」及び「前記平坦化膜上の各カラーフィルターに対向する位置に配列されるマイクロレンズ」を備える構成とすることは、適宜なし得たことであり、また、そのようにすることにより、当業者の予測を超えた効果が奏されているとも認められない。
よって、相違点2は、当業者が容易になし得た範囲に含まれる程度のものである。

(4-3)相違点についての判断のまとめ
補正発明と引用発明との相違点1及び2については以上のとおりであるから、補正発明は、周知技術を勘案することにより引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)独立特許要件についてのまとめ
以上検討したとおり、補正発明は、周知技術を勘案することにより引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
したがって、本件補正は、補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項をいう。以下同じ。)の規定に適合しない。

5.補正の却下の決定のむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合しないものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
平成24年5月11日に提出された手続補正書による補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?14に係る発明は、平成23年4月28日に提出された手続補正書により補正された明細書、特許請求に範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?14に記載されている事項により特定されるとおりのものであり、そのうちの請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、請求項1に記載されている事項により特定される、上記第2.1.の「(補正前)」の箇所に記載したとおりのものである。
一方、本願の優先権主張の日前に日本国内において頒布され、原査定の根拠となった拒絶の理由において引用された刊行物である特開平4-343470号公報(引用例)には、各々上記第2.4.(2)に記載したとおりの事項及び発明(引用発明)が記載されているものと認められる。
そして、本願発明に対して技術的事項を加えた発明である補正発明は、上記第2.4.において検討したとおり、周知技術を勘案することにより引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も当然に、周知技術を勘案することにより引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4.むすび
以上のとおりであるから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-02-25 
結審通知日 2013-02-26 
審決日 2013-03-14 
出願番号 特願2004-280823(P2004-280823)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H01L)
P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柴山 将隆  
特許庁審判長 北島 健次
特許庁審判官 西脇 博志
近藤 幸浩
発明の名称 イメージセンサー及びその製造方法  
代理人 奥山 尚一  
代理人 河村 英文  
代理人 有原 幸一  
代理人 松島 鉄男  
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