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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する H04W 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する H04Q 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する H04L 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する H04B |
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管理番号 | 1277993 |
審判番号 | 訂正2013-390087 |
総通号数 | 166 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-10-25 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2013-06-07 |
確定日 | 2013-07-12 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第4480727号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第4480727号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり請求ごとに訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第4480727号(以下「本件特許」という。)は,平成18年1月11日(優先権主張 平成17年1月11日 日本国)を国際出願日とする出願であって,平成22年3月26日に特許請求の範囲の請求項1乃至3に係る発明について,特許権の設定の登録(平成22年6月16日特許掲載公報発行)がなされ,平成25年6月7日に訂正審判の請求がなされたものである。 第2 請求の趣旨及び訂正の内容 1.請求の趣旨 本件訂正審判請求の趣旨は,特許第4480727号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり請求ごとに訂正することを認める,との審決を求めるものである。 2.訂正の内容 請求人が求める訂正の内容は次のとおりである(下線は請求人が付与。)。 (1)訂正事項1 本件特許の特許請求の範囲の請求項2において,「無線基地局から,第1のステップと第2のステップとを切り替える切替伝送速度を取得するように構成されている取得部」を,「無線回線制御局から無線基地局を介して,第1のステップと第2のステップとを切り替える切替伝送速度を取得するように構成されている取得部」に訂正すること。 (2)訂正事項2 本件特許の特許請求の範囲の請求項2において,「前記伝送速度が前記切替伝送速度よりも小さい場合に,前記第1のステップで前記伝送速度を増加し,」を,「前記ユーザデータの伝送速度が前記切替伝送速度よりも小さい場合に,前記第1のステップで前記伝送速度を増加し,」に訂正すること。 第3 当審の判断 1.訂正の目的 (1)訂正事項1について 本件特許の明細書には,次の記載(下線は当審が付与。)がある。 ア 「【0075】 また、E-TFC選択部33c1は、決定した送信フォーマットについての送信フォーマット情報(送信データブロックサイズや、エンハンスト個別物理データチャネル(E-DPDCH)と個別物理制御チャネル(DPCCH)との送信電力比等)をレイヤ1処理部33dに送信すると共に、決定した送信データブロックサイズ又は送信電力比をHARQ処理部33c2に送信する。 【0076】 ここで、スケジューリング信号は、当該移動局UEにおけるユーザデータの最大許容伝送速度(例えば、最大許容送信データブロックサイズや、エンハンスト個別物理データチャネル(E-DPDCH)と個別物理制御チャネル(DPCCH)との送信電力比の最大値(最大許容送信電力比)等)、又は、当該最大許容伝送速度に関するパラメータを含むものである。本明細書において、特段の断りがない場合、最大許容伝送速度には、最大許容伝送速度に関するパラメータが含まれるものとする。 【0077】 かかるスケジューリング信号は、当該移動局UEが在圏しているセルにおいて報知されている情報であり、当該セルに在圏している全ての移動局、又は、当該セルに在圏している特定グループの移動局に対する制御情報を含む。 【0078】 ここで、E-TFC選択部33c1は、無線基地局NodeBからスケジュール信号によって通知された最大許容伝送速度に到達するまで、上りリンクにおけるユーザデータの伝送速度を増加させていくように構成されている。 【0079】 すなわち、E-TFC選択部33c1は、無線基地局NodeBからスケジュール信号によって通知された最大許容伝送速度に基づいて、上りリンクにおけるユーザデータの伝送速度を決定するように構成されている。 【0080】 また、E-TFC選択部33c1は、無線回線制御局RNCから、上りユーザデータの伝送速度と時間との関数を取得するように構成されている。図9に、かかる関数の一例を示す。 【0081】 具体的には、E-TFC選択部33c1は、無線回線制御局RNCから、初期許容伝送速度(例えば、初期許容送信データブロックサイズや初期許容送信電力比等)Riniや、dBステップ(第1のステップ)と線形ステップ(第2のステップ)との切り替え時点(所定時間)tchにおける伝送速度Rchや、dBステップにおける直線の傾きや、線形ステップにおける直線の傾き等を取得するように構成されている。」 イ 「【0088】 図10に示すように、本実施形態に係る無線基地局NodeBは、HWYインターフェース11と、ベースバンド信号処理部12と、呼制御部13と、1つ又は複数の送受信部14と、1つ又は複数のアンプ部15と、1つ又は複数の送受信アンテナ16とを備える。」 ウ 「【0097】 アンプ部15は、送受信部14から取得した下りリンク信号を増幅して、送受信アンテナ16を介して移動局UEに送信するように構成されている。また、アンプ部15は、送受信アンテナ16によって受信された上りリンク信号を増幅して、送受信部14に送信するように構成されている。」 上記明細書の記載によれば,「E-TFC選択部33c1」が「無線回線制御局RNC」から取得する「初期許容伝送速度(例えば、初期許容送信データブロックサイズや初期許容送信電力比等)Riniや、dBステップ(第1のステップ)と線形ステップ(第2のステップ)との切り替え時点(所定時間)tchにおける伝送速度Rchや、dBステップにおける直線の傾きや、線形ステップにおける直線の傾き等」は,「無線基地局NodeB」から,送受信アンテナ16を介して,通知されるものであることは明らかである。 エ 訂正前の請求項2における「無線基地局から,第1のステップと第2のステップとを切り替える切替伝送速度を取得するように構成されている取得部」との記載において,前記「切替伝送速度」は,「第1のステップと第2のステップとを切り替える」ものである。 このことは,前記「切替伝送速度」が,上記【0081】記載の「dBステップ(第1のステップ)と線形ステップ(第2のステップ)との切り替え時点(所定時間)tch」における「伝送速度Rch」に対応するものであること意味する。 つまり,本件特許の明細書の記載によれば,「切替伝送速度」は,無線回線制御局から取得されるものである。 しかし,訂正前の請求項2の記載によれば,「切替伝送速度」の取得は,「無線基地局NodeBから」であって,「無線回線制御局RNCから」ではないともと解することができ,この解釈では,上記明細書の記載と整合しない。 したがって,特許請求の範囲の請求項2における「無線基地局から,第1のステップと第2のステップとを切り替える切替伝送速度を取得するように構成されている取得部」との記載を,「無線回線制御局から無線基地局を介して,第1のステップと第2のステップとを切り替える切替伝送速度を取得するように構成されている取得部」と訂正することは,本件特許の明細書の記載と整合させるものであることは,明らかである。 よって,訂正事項1は,明瞭でない記載の釈明に相当し,特許法第126条第1項ただし書第3号に該当する。 (2)訂正事項2について 請求項2の記載によれば,「前記伝送速度」における「前記」に当たる「伝送速度」の記載がないことは明らかである。 ここで,「前記伝送速度」は,「前記切替伝送速度」の誤記と仮定できる。しかし,このように仮定すると,請求項2における「伝送速度制御部」の構成は,「前記切替伝送速度が前記切替伝送速度よりも小さい場合に,前記第1のステップで前記切替伝送速度を増加し,前記切替伝送速度が前記切替伝送速度よりも大きい場合に,前記第2のステップで前記切替伝送速度を増加するように構成されている伝送速度制御部」となり,該「伝送速度制御部」の構成は,明らかに不明となる。 よって,「前記伝送速度」を「前記切替伝送速度」の誤記と解することはできない。 次に,本件特許の明細書の記載を参照すると,次の記載がある。 「【0082】 そして、E-TFC選択部33c1は、取得した関数に従って、上りユーザデータの伝送速度を自動的に上げていくように構成されている。 【0083】 すなわち、E-TFC選択部33c1は、取得した関数に従って、上りユーザデータの伝送速度を決定するように構成されている。 【0084】 図9の例では、E-TFC選択部33c1は、dBステップ(第1のステップ)と線形ステップ(第2のステップ)との切り替え時点(所定時間)tchまでは、上りユーザデータの伝送速度をdBステップ(第1のステップ)で増加させていき、dBステップ(第1のステップ)と線形ステップ(第2のステップ)との切り替え時点(所定時間)tch後は、上りユーザデータの伝送速度を線形ステップ(第2のステップ)で増加させていくように構成されている。 【0085】 ただし、E-TFC選択部33c1は、接続中のセルから報知されている最大許容伝送速度を超えない範囲で、上りユーザデータの伝送速度を増加させていくように構成されている。」 上記明細書の記載によれば,「第1のステップ(dBステップ)」または「第2のステップ(線型ステップ)」で増加する「伝送速度」が,「ユーザデータの伝送速度」であることは明白である。 そして,特許請求の範囲の請求項2における「前記伝送速度が前記切替伝送速度よりも小さい場合に,前記第1のステップで前記伝送速度を増加し,」を,「前記ユーザデータの伝送速度が前記切替伝送速度よりも小さい場合に,前記第1のステップで前記伝送速度を増加し,」に訂正することは,本件特許の明細書の記載と整合するものである。 よって,訂正事項2は,誤記の訂正に相当し,特許法第126条第1項ただし書第2号に該当する。 2.訂正の可否 訂正事項1及び訂正事項2が,いずれも,願書に添付された特許請求の範囲,明細書又は図面の範囲内においてなされた訂正であり,実質上特許請求の範囲を拡張又は変更に該当しない訂正であることは,明らかである。 よって,訂正事項1及び訂正事項2に係る訂正は,特許法第126条第5項及び第6項に規定する要件を満たしている。 また, 上記「1.」に記載のとおり,訂正事項2は,誤記の訂正を目的としたものである。そこで,訂正後の請求項2に記載された事項により特定される発明(以下「訂正特許発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるか検討するに,該訂正特許発明を,特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を発見しない。 よって,訂正特許発明は,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであって,特許法第126条第7項に規定する要件を満たしている。 第4 むすび 以上のとおりであるから,本件訂正審判に係る訂正事項1は,特許法第126条第1項ただし書第3号の「明瞭でない記載の釈明」,同じく訂正事項2は,同項ただし書第2号の「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものに,それぞれ該当し,かつ,同条第5項ないし第7項に規定する要件を満たしている。 よって,結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 伝送速度制御方法、移動局及び無線回線制御局 【技術分野】 【0001】 本発明は、移動局によって上りリンクを介して送信されるユーザデータの伝送速度を制御する伝送速度制御方法、移動局及び無線回線制御局に関する。 【背景技術】 【0002】 従来の移動通信システムでは、無線回線制御局RNCが、移動局UEから無線基地局NodeBに対する上りリンクにおいて、無線基地局NodeBの無線リソースや、上りリンクにおける干渉量や、移動局UEの送信電力や、移動局UEの送信処理性能や、上位のアプリケーションが必要とする伝送速度等を鑑みて、個別チャネルの伝送速度を決定し、レイヤ3(Radio Resource Control Layer)のメッセージによって、移動局UE及び無線基地局NodeBのそれぞれに対して、決定した個別チャネルの伝送速度を通知するように構成されている。 【0003】 ここで、無線回線制御局RNCは、無線基地局NodeBの上位に存在し、無線基地局NodeBや移動局UEを制御する装置である。 【0004】 一般的に、データ通信は、音声通話やTV通話と比べて、トラヒックがバースト的に発生することが多く、本来は、データ通信に用いられるチャネルの伝送速度を高速に変更することが望ましい。 【0005】 しかしながら、無線回線制御局RNCは、図1に示すように、通常、多くの無線基地局NodeBを統括して制御しているため、従来の移動通信システムでは、処理負荷や処理遅延等の理由により、高速な(例えば、1?100ms程度の)チャネルの伝送速度の変更制御を行うことは困難であるという問題点があった。 【0006】 また、従来の移動通信システムでは、高速なチャネルの伝送速度の変更制御を行うことができたとしても、装置の実装コストやネットワークの運用コストが大幅に高くなるという問題点があった。 【0007】 そのため、従来の移動通信システムでは、数100ms?数sオーダーでのチャネルの伝送速度の変更制御を行うのが通例である。 【0008】 したがって、従来の移動通信システムでは、図2(a)に示すように、バースト的なデータ送信を行う場合、図2(b)に示すように、低速、高遅延及び低伝送効率を許容してデータを送信するか、又は、図2(c)に示すように、高速通信用の無線リソースを確保して、空き時間の無線帯域リソースや無線基地局NodeBにおけるハードウエアリソースが無駄になるのを許容してデータを送信することとなる。 【0009】 ただし、図2(a)乃至(c)において、縦軸の無線リソースには、上述の無線帯域リソース及びハードウエアリソースの両方が当てはめられるものとする。 【0010】 そこで、第3世代移動通信システムの国際標準化団体である「3GPP」及び「3GPP2」において、無線リソースを有効利用するために、無線基地局NodeBと移動局UEとの間のレイヤ1及びMACサブレイヤ(レイヤ2)における高速な無線リソース制御方法が検討されてきた。以下、かかる検討又は検討された機能を総称して「上り回線エンハンスメント(EUL:Enhanced Uplink)」と呼ぶこととする。 【0011】 従来から「上り回線エンハンスメント」の中で検討されてきた無線リソース制御方法は、以下のように大きく3つに分類され得る。以下、かかる無線リソース制御方法について概説する。 【0012】 第1に、「Time & Rate Control」と呼ばれる無線リソース制御方法が検討されている。 【0013】 かかる無線リソース制御方法では、無線基地局NodeBが、所定のタイミング毎に、ユーザデータの送信を許可する移動局UE及びユーザデータの伝送速度を決定し、移動局IDと共に、ユーザデータの伝送速度(又は、ユーザデータの最大許容伝送速度)に係る情報を報知する。 【0014】 そして、無線基地局NodeBによって指定された移動局UEは、指定されたタイミング及び伝送速度(又は、最大許容伝送速度の範囲内)で、ユーザデータの送信を行う。 【0015】 第2に、「Rate Control per UE」と呼ばれる無線リソース制御方法が検討されている。 【0016】 かかる無線リソース制御方法では、各移動局UEが、無線基地局NodeBに対して送信すべきユーザデータがあれば当該ユーザデータを送信できるが、当該ユーザデータの最大許容伝送速度に関しては、送信フレーム毎又は複数の送信フレーム毎に、無線基地局NodeBによって決定されて各移動局UEに通知されたものを用いる。 【0017】 ここで、無線基地局NodeBは、当該最大許容伝送速度を通知する際は、そのタイミングにおける最大許容伝送速度そのもの、若しくは、当該最大許容伝送速度の相対値(例えば、Upコマンド/Downコマンドの2値)を通知する。 【0018】 第3に、「Rate Control per Cell」と呼ばれる無線リソース制御方法が検討されている。 【0019】 かかる無線リソース制御方法では、無線基地局NodeBが、通信中の移動局UEに共通なユーザデータの伝送速度、又は、当該伝送速度を計算するために必要な情報を報知し、各移動局が、受信した情報に基づいて、ユーザデータの伝送速度を決定する。 【0020】 「Time & Rate Control」及び「Rate Control per UE」は、理想的には、上りリンクにおける無線容量を改善させるために最も良い制御方法となり得るが、移動局UEのバッファに滞留しているデータ量や移動局UEにおける送信電力等を把握した上で、ユーザデータの伝送速度を割り当てする必要があるため、無線基地局NodeBによる制御負荷が増大するという問題点があった。 【0021】 また、これらの無線リソース制御方法では、制御信号のやりとりによるオーバーヘッドが大きくなるという問題点があった。 【0022】 一方、「Rate Control per Cell」は、無線基地局NodeBが、セルに共通した情報を報知し、各移動局UEが、受信した情報に基づいて、ユーザデータの伝送速度を自律的に求めるため、無線基地局NodeBによる制御負荷が少ないという利点がある。 【0023】 しかしながら、無線基地局NodeBは、どの移動局UEが、上りリンクにおけるユーザデータを送信してきても受信できるように構成される必要があるため、上りリンクにおける無線容量を有効に利用するためには、無線基地局NodeBの装置規模が増大するという問題点があった。 【0024】 そこで、例えば、非特許文献1に示すように、移動局UEが、予め通知された初期伝送速度から、所定のルールに従ってユーザデータの伝送速度を増加させていくことで、無線基地局NodeBによる過度な無線容量の割当を防ぎ、結果的に、無線基地局の装置規模の増大を防ぐ方式(Autonomous ramping法)が提案されている。 【0025】 かかる方式では、無線基地局が、各セルにおけるハードウエアリソースや無線リソース(例えば、上りリンクにおける干渉量)に基づいて、最大許容伝送速度を決定し、通信中の移動局におけるユーザデータの伝送速度を制御する。以下、ハードウエアリソースに基づく制御方式及び上りリンクにおける干渉量に基づく制御方式について具体的に説明する。 【0026】 ハードウエアリソースに基づく制御方式では、無線基地局が、配下のセルに接続している移動局に対して、最大許容伝送速度を報知するように構成されている。 【0027】 無線基地局は、配下のセルに接続している移動局におけるユーザデータの伝送速度が高くなり、ハードウエアリソースが足りなくなってきた場合には、最大許容伝送速度を低く設定し、ハードウエアリソース不足が生じないようにしている。 【0028】 一方、無線基地局は、配下のセルに接続している移動局におけるユーザデータ伝送が終了した場合等、ハードウエアリソースに余裕が出てきた場合には、再び最大許容伝送速度を高く設定する。 【0029】 また、上りリンクにおける干渉量に基づく制御方式では、無線基地局が、配下のセルに接続している移動局に対して、最大許容伝送速度を報知するように構成されている。 【0030】 無線基地局は、配下のセルに接続している移動局におけるユーザデータの伝送速度が高くなり、上りリンクにおける測定干渉量(例えば、ノイズライズ)が許容値(例えば、最大許容ノイズライズ)を超えた場合には、最大許容伝送速度を低く設定し、上りリンクにおける干渉量が許容値内に収まるようにしている(図3参照)。 【0031】 一方、無線基地局は、配下のセルに接続している移動局におけるユーザデータ伝送が終了した場合等、上りリンクにおける干渉量(例えば、ノイズライズ)が許容値(例えば、最大許容ノイズライズ)内に収まっており余裕が出ている場合には、再び最大許容伝送速度を高く設定する(図3参照)。 【0032】 また、かかる方式では、非特許文献2に示すように、移動局は、設定されたステップ(例えば、dBステップや線形ステップ等)で、ユーザデータの伝送速度を上昇させていくように構成されている。 【0033】 図4に、dBステップでユーザデータの伝送速度を上昇させていく場合の所定の送信時間間隔(TTI:Transmission Time Interval)におけるユーザデータの伝送速度と時間との関数を示す。 【0034】 図5に、線形ステップでユーザデータの伝送速度を上昇させていく場合の所定の送信時間間隔におけるユーザデータの伝送速度と時間との関数を示す。 【0035】 ここで、無線回線制御局は、図4又は図5に示す直線の傾きを指定することで、ユーザデータの伝送速度の増加方法を決めることができる。 【0036】 しかしながら、dBステップでユーザデータの伝送速度を上昇させていく場合、直線の傾きを鋭くすると、ユーザデータの伝送速度が速くなったときに、1送信時間間隔単位で、大きなリソースを追加して割り当てる必要があり、直線の傾きを鈍くすると、ユーザデータの伝送速度が低い場合に、ユーザデータの伝送速度の上昇が遅いという問題点があった。 【0037】 また、線形ステップでユーザデータの伝送速度を上昇させていく場合、直線の傾きを鋭くすると、ユーザデータの伝送速度が低い場合に、ユーザデータの伝送速度の上昇が早くなりすぎ、直線の傾きを鈍くすると、ユーザデータの伝送速度が高くなるまでに時間がかかるという問題点があった。 【非特許文献1】3GPP TSG-RAN R1-040773 【非特許文献2】3GPP TSG-RAN RP-040486 【発明の開示】 【0038】 そこで、本発明は、以上の点に鑑みてなされたもので、ユーザデータの伝送速度の増加方法をフレキシブルに決定することができる伝送速度制御方法、移動局及び無線回線制御局を提供することを目的とする。 【0039】 本発明の第1の特徴は、移動局によって上りリンクを介して送信されるユーザデータの伝送速度を制御する伝送速度制御方法であって、前記移動局が、無線回線制御局から、前記ユーザデータの伝送速度と時間との関数を取得する工程と、前記移動局が、取得した前記関数に従って、前記ユーザデータの伝送速度を自動的に上げていく工程とを有することを要旨とする。 【0040】 本発明の第1の特徴において、前記関数が、所定時間までは、前記ユーザデータの伝送速度が第1のステップで増加していき、該所定時間後は、前記ユーザデータの伝送速度が第2のステップで増加していくように構成されていてもよい。 【0041】 本発明の第2の特徴は、上りリンクを介してユーザデータを送信する移動局であって、無線回線制御局から、前記ユーザデータの伝送速度と時間との関数を取得するように構成されている関数取得部と、取得した前記関数に従って、前記ユーザデータの伝送速度を自動的に上げていくように構成されている伝送速度制御部とを具備することを要旨とする。 【0042】 本発明の第2の特徴において、前記関数が、所定時間までは、前記ユーザデータの伝送速度が第1のステップで増加していき、該所定時間後は、前記ユーザデータの伝送速度が第2のステップで増加していくように構成されていてもよい。 【0043】 本発明の第3の特徴は、移動局によって上りリンクを介して送信されるユーザデータの伝送速度を制御する移動通信システムで用いられる無線回線制御局であって、前記移動局に対して、該移動局において前記ユーザデータの伝送速度を自動的に上げていくために、前記ユーザデータの伝送速度と時間との関数を送信するように構成されている関数送信部を具備することを要旨とする。 【0044】 本発明の第3の特徴において、前記関数が、所定時間までは、前記ユーザデータの伝送速度が第1のステップで増加していき、該所定時間後は、前記ユーザデータの伝送速度が第2のステップで増加していくように構成されていてもよい。 【0045】 本発明の第4の特徴は、移動局によって上りリンクを介して送信されるユーザデータの伝送速度を制御する伝送速度制御方法であって、前記移動局が、前記ユーザデータの伝送速度と時間との関数を取得する工程と、前記移動局が、取得した前記関数に従って、前記ユーザデータの伝送速度を決定する工程とを有することを要旨とする。 【0046】 本発明の第4の特徴において、前記関数が、所定時間までは、前記ユーザデータの伝送速度が第1のステップで増加し、該所定時間後は、前記ユーザデータの伝送速度が第2のステップで増加するように構成されていてもよい。 【0047】 本発明の第5の特徴は、上りリンクを介してユーザデータを送信する移動局であって、前記ユーザデータの伝送速度と時間との関数を取得するように構成されている関数取得部と、取得した前記関数に従って、前記ユーザデータの伝送速度を決定するように構成されている伝送速度制御部とを具備することを要旨とする。 【0048】 本発明の第5の特徴において、前記関数が、所定時間までは、前記ユーザデータの伝送速度が第1のステップで増加し、該所定時間後は、前記ユーザデータの伝送速度が第2のステップで増加するように構成されていてもよい。 【0049】 本発明の第6の特徴は、移動局によって上りリンクを介して送信されるユーザデータの伝送速度を制御する移動通信システムで用いられる無線回線制御局であって、前記移動局に対して、該移動局において前記ユーザデータの伝送速度を決定するために、前記ユーザデータの伝送速度と時間との関数を送信するように構成されている関数送信部を具備することを要旨とする。 【0050】 本発明の第6の特徴において、前記関数が、所定時間までは、前記ユーザデータの伝送速度が第1のステップで増加し、該所定時間後は、前記ユーザデータの伝送速度が第2のステップで増加するように構成されていてもよい。 【図面の簡単な説明】 【0051】 【図1】図1は、一般的な移動通信システムの全体構成図である。 【図2】図2(a)乃至(c)は、従来の移動通信システムにおいて、バースト的なデータを送信する際の動作を説明するための図である。 【図3】図3は、従来の移動通信システムにおいて、上りリンクにおける伝送速度を制御する際の動作を説明するための図である。 【図4】図4は、従来の移動通信システムにおいて、上りユーザデータの伝送速度を制御する際に用いる関数の一例を示す図である。 【図5】図5は、従来の移動通信システムにおいて、上りユーザデータの伝送速度を制御する際に用いる関数の一例を示す図である。 【図6】図6は、本発明の一実施形態に係る移動通信システムの移動局の機能ブロック図である。 【図7】図7は、本発明の一実施形態に係る移動通信システムの移動局におけるベースバンド信号処理部の機能ブロック図である。 【図8】図8は、本発明の一実施形態に係る移動通信システムの移動局におけるベースバンド信号処理部のMAC-e処理部の機能ブロック図である。 【図9】図9は、本発明の一実施形態に係る移動通信システムの移動局におけるベースバンド信号処理部のMAC-e処理部のE-TFC部が上りユーザデータの伝送速度を制御する際に用いる関数の一例を示す図である。 【図10】図10は、本発明の一実施形態に係る移動通信システムの無線基地局の機能ブロック図である。 【図11】図11は、本発明の一実施形態に係る移動通信システムの無線基地局におけるベースバンド信号処理部の機能ブロック図である。 【図12】図12は、本発明の一実施形態に係る移動通信システムの無線基地局のベースバンド信号処理部におけるMAC-e及びレイヤ1処理部(上りリンク用構成)の機能ブロック図である。 【図13】図13は、本発明の一実施形態に係る移動通信システムの無線基地局のベースバンド信号処理部におけるMAC-e及びレイヤ1処理部(上りリンク用構成)のMAC-e機能部の機能ブロック図である。 【図14】図14は、本発明の一実施形態に係る移動通信システムの無線回線制御局の機能ブロック図である。 【発明を実施するための最良の形態】 【0052】 (本発明の第1の実施形態に係る移動通信システム) 図6乃至図14を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの構成について説明する。なお、本実施形態に係る移動通信システムは、図1に示すように、複数の無線基地局NodeB#1乃至#5と、無線回線制御局RNCとを具備している。 【0053】 本実施形態に係る移動通信システムは、移動局UEによって上りリンクを介して送信されるユーザデータの伝送速度を制御するように構成されている。 【0054】 また、本実施形態に係る移動通信システムでは、下りリンクにおいて「HSDPA」が用いられており、上りリンクにおいて「EUL(上り回線エンハンスメント)」が用いられている。なお、「HSDPA」及び「EUL」の両者において、HARQによる再送制御(Nプロセスストップアンドウエイト)が行われるものとする。 【0055】 したがって、上りリンクにおいて、エンハンスト個別物理データチャネル(E-DPDCH:Enhanced Dedicated Physical Data Channel)及びエンハンスト個別物理制御チャネル(E-DPCCH:Enhanced Dedicated Physical Control Channel)から構成されるエンハンスト個別物理チャネル(E-DPCH:Enhanced Dedicated Physical Channel)と、個別物理データチャネル(DPDCH:Dedicated Physical Data Channel)及び個別物理制御チャネル(DPCCH:Dedicated Physical Control Channel)から構成される個別物理チャネル(DPCH:Dedicated Physical Channel)とが用いられている。 【0056】 ここで、エンハンスト個別物理制御チャネル(E-DPCCH)は、E-DPDCHの送信フォーマット(送信ブロックサイズ等)を規定するための送信フォーマット番号や、HARQに関する情報(再送回数等)や、スケジューリングに関する情報(移動局UEにおける送信電力やバッファ滞留量等)等のEUL用制御データを送信する。 【0057】 また、エンハンスト個別物理データチャネル(E-DPDCH)は、エンハンスト個別物理制御チャネル(E-DPCCH)にマッピングされており、当該エンハンスト個別物理制御チャネル(E-DPCCH)で送信されるEUL用制御データに基づいて、移動局UE用のユーザデータを送信する。 【0058】 個別物理制御チャネル(DPCCH)はRAKE合成やSIR測定等に用いられるパイロットシンボルや、上り個別物理データチャネル(DPDCH)の送信フォーマットを識別するためのTFCI(Transport Format Combination Indicator)や、下りリンクにおける送信電力制御ビット等の制御データを送信する。 【0059】 また、個別物理データチャネル(DPDCH)は、個別物理制御チャネル(DPCCH)にマッピングされており、当該個別物理制御チャネル(DPCCH)で送信される制御データに基づいて、移動局UE用のユーザデータを送信する。ただし、移動局UEにおいて送信すべきユーザデータが存在しない場合には、個別物理データチャネル(DPDCH)は送信されないように構成されていてもよい。 【0060】 また、上りリンクでは、HSPDAが適用されている場合に必要な高速個別物理制御チャネル(HS-DPCCH:High Speed Dedicated Physical Control Channel)や、ランダムアクセスチャネル(RACH)も用いられている。 【0061】 高速個別物理制御チャネル(HS-DPCCH)は、下り品質識別子(CQI:Channel Quality Indicator)や、高速個別物理データチャネル用送達確認信号(Ack又はNack)を送信する。 【0062】 図6に示すように、本実施形態に係る移動局UEは、バスインターフェース31と、呼処理部32と、ベースバンド処理部33と、RF部34と、送受信アンテナ35とを具備している。 【0063】 ただし、かかる機能は、ハードウエアとして独立して存在していてもよいし、一部又は全部が一体化していてもよいし、ソフトウエアのプロセスによって構成されていてもよい。 【0064】 バスインターフェース31は、呼処理部32から出力されたユーザデータを他の機能部(例えば、アプリケーションに関する機能部)に転送するように構成されている。また、バスインターフェース31は、他の機能部(例えば、アプリケーションに関する機能部)から送信されたユーザデータを呼処理部32に転送するように構成されている。 【0065】 呼処理部32は、ユーザデータを送受信するための呼制御処理を行うように構成されている。 【0066】 ベースバンド信号処理部33は、RF部34から送信されたベースバンド信号に対して、逆拡散処理やRAKE合成処理やFEC復号処理を含むレイヤ1処理と、MAC-e処理やMAC-d処理を含むMAC処理と、RLC処理とを施して取得したユーザデータを呼処理部32に送信するように構成されている。 【0067】 また、ベースバンド信号処理部33は、呼処理部32から送信されたユーザデータに対してRLC処理やMAC処理やレイヤ1処理を施してベースバンド信号を生成してRF部34に送信するように構成されている。 【0068】 なお、ベースバンド信号処理部33の具体的な機能については後述する。RF部34は、送受信アンテナ35を介して受信した無線周波数帯の信号に対して、検波処理やフィルタリング処理や量子化処理等を施してベースバンド信号を生成して、ベースバンド信号処理部33に送信するように構成されている。また、RF部34は、ベースバンド信号処理部33から送信されたベースバンド信号を無線周波数帯の信号に変換するように構成されている。 【0069】 図7に示すように、ベースバンド信号処理部33は、RLC処理部33aと、MAC-d処理部33bと、MAC-e処理部33cと、レイヤ1処理部33dとを具備している。 【0070】 RLC処理部33aは、呼処理部32から送信されたユーザデータに対して、レイヤ2の上位レイヤにおける処理(RLC処理)を施して、MAC-d処理部33bに送信するように構成されている。 【0071】 MAC-d処理部33bは、チャネル識別子ヘッダを付与し、上りリンクにおける送信電力の限度に基づいて、上りリンクにおける送信フォーマットを作成するように構成されている。 【0072】 図8に示すように、MAC-e処理部33cは、E-TFC選択部33c1と、HARQ処理部33c2とを具備している。 【0073】 E-TFC選択部33c1は、無線基地局NodeBから送信されたスケジューリング信号に基づいて、エンハンスト個別物理データチャネル(E-DPDCH)及びエンハンスト個別物理制御チャネル(E-DPCCH)の送信フォーマット(E-TFC)を決定するように構成されている。 【0074】 すなわち、E-TFC選択部33c1は、上りリンクにおけるユーザデータの伝送速度を決定するように構成されている。 【0075】 また、E-TFC選択部33c1は、決定した送信フォーマットについての送信フォーマット情報(送信データブロックサイズや、エンハンスト個別物理データチャネル(E-DPDCH)と個別物理制御チャネル(DPCCH)との送信電力比等)をレイヤ1処理部33dに送信すると共に、決定した送信データブロックサイズ又は送信電力比をHARQ処理部33c2に送信する。 【0076】 ここで、スケジューリング信号は、当該移動局UEにおけるユーザデータの最大許容伝送速度(例えば、最大許容送信データブロックサイズや、エンハンスト個別物理データチャネル(E-DPDCH)と個別物理制御チャネル(DPCCH)との送信電力比の最大値(最大許容送信電力比)等)、又は、当該最大許容伝送速度に関するパラメータを含むものである。本明細書において、特段の断りがない場合、最大許容伝送速度には、最大許容伝送速度に関するパラメータが含まれるものとする。 【0077】 かかるスケジューリング信号は、当該移動局UEが在圏しているセルにおいて報知されている情報であり、当該セルに在圏している全ての移動局、又は、当該セルに在圏している特定グループの移動局に対する制御情報を含む。 【0078】 ここで、E-TFC選択部33c1は、無線基地局NodeBからスケジュール信号によって通知された最大許容伝送速度に到達するまで、上りリンクにおけるユーザデータの伝送速度を増加させていくように構成されている。 【0079】 すなわち、E-TFC選択部33c1は、無線基地局NodeBからスケジュール信号によって通知された最大許容伝送速度に基づいて、上りリンクにおけるユーザデータの伝送速度を決定するように構成されている。 【0080】 また、E-TFC選択部33c1は、無線回線制御局RNCから、上りユーザデータの伝送速度と時間との関数を取得するように構成されている。図9に、かかる関数の一例を示す。 【0081】 具体的には、E-TFC選択部33c1は、無線回線制御局RNCから、初期許容伝送速度(例えば、初期許容送信データブロックサイズや初期許容送信電力比等)R_(ini)や、dBステップ(第1のステップ)と線形ステップ(第2のステップ)との切り替え時点(所定時間)t_(ch)における伝送速度R_(ch)や、dBステップにおける直線の傾きや、線形ステップにおける直線の傾き等を取得するように構成されている。 【0082】 そして、E-TFC選択部33c1は、取得した関数に従って、上りユーザデータの伝送速度を自動的に上げていくように構成されている。 【0083】 すなわち、E-TFC選択部33c1は、取得した関数に従って、上りユーザデータの伝送速度を決定するように構成されている。 【0084】 図9の例では、E-TFC選択部33c1は、dBステップ(第1のステップ)と線形ステップ(第2のステップ)との切り替え時点(所定時間)t_(ch)までは、上りユーザデータの伝送速度をdBステップ(第1のステップ)で増加させていき、dBステップ(第1のステップ)と線形ステップ(第2のステップ)との切り替え時点(所定時間)t_(ch)後は、上りユーザデータの伝送速度を線形ステップ(第2のステップ)で増加させていくように構成されている。 【0085】 ただし、E-TFC選択部33c1は、接続中のセルから報知されている最大許容伝送速度を超えない範囲で、上りユーザデータの伝送速度を増加させていくように構成されている。 【0086】 HARQ処理部33c2は、「Nプロセスのストップアンドウエイト」のプロセス管理を行い、無線基地局NodeBから受信される送達確認信号(上りデータ用のAck/Nack)に基づいて、上りリンクにおけるユーザデータの伝送を行うように構成されている。 【0087】 具体的には、HARQ処理部33c2は、レイヤ1処理部33dから入力されたCRC結果に基づいて下りユーザデータの受信処理が成功したか否かについて判定する。そして、HARQ処理部33c2は、かかる判定結果に基づいて送達確認信号(下りユーザデータ用のAck又はNack)を生成して、レイヤ1処理部33dに送信する。また、HARQ処理部33c2は、上述の判定結果がOKであった場合、レイヤ1処理部33dから入力された下りユーザデータをMAC-d処理部33dに送信する。 【0088】 図10に示すように、本実施形態に係る無線基地局NodeBは、HWYインターフェース11と、ベースバンド信号処理部12と、呼制御部13と、1つ又は複数の送受信部14と、1つ又は複数のアンプ部15と、1つ又は複数の送受信アンテナ16とを備える。 【0089】 HWYインターフェース11は、無線回線制御局RNCとのインターフェースである。具体的には、HWYインターフェース11は、無線回線制御局RNCから、下りリンクを介して移動局UEに送信するユーザデータを受信して、ベースバンド信号処理部12に入力するように構成されている。また、HWYインターフェース11は、無線回線制御局RNCから、無線基地局NodeBに対する制御データを受信して、呼制御部13に入力するように構成されている。 【0090】 また、HWYインターフェース11は、ベースバンド信号処理部12から、上りリンクを介して移動局UEから受信した上りリンク信号に含まれるユーザデータを取得して、無線回線制御局RNCに送信するように構成されている。さらに、HWYインターフェース11は、無線回線制御局RNCに対する制御データを呼制御部13から取得して、無線回線制御局RNCに送信するように構成されている。 【0091】 ベースバンド信号処理部12は、HWYインターフェース11から取得したユーザデータに対して、RLC処理やMAC処理(MAC-d処理やMAC-e処理)やレイヤ1処理を施してベースバンド信号を生成して、送受信部14に転送するように構成されている。 【0092】 ここで、下りリンクにおけるMAC処理には、HARQ処理やスケジューリング処理や伝送速度制御処理等が含まれる。また、下りリンクにおけるレイヤ1処理には、ユーザデータのチャネル符号化処理や拡散処理等が含まれる。 【0093】 また、ベースバンド信号処理部12は、送受信部14から取得したベースバンド信号に対して、レイヤ1処理やMAC処理(MAC-e処理やMAC-d処理)やRLC処理を施してユーザデータを抽出して、HWYインターフェース11に転送するように構成されている。 【0094】 ここで、上りリンクにおけるMAC処理には、HARQ処理やスケジューリング処理や伝送速度制御処理やヘッダ廃棄処理等が含まれる。また、上りリンクにおけるレイヤ1処理には、逆拡散処理やRAKE合成処理や誤り訂正復号処理等が含まれる。 【0095】 なお、ベースバンド信号処理部12の具体的な機能については後述する。また、呼制御部13は、HWYインターフェース11から取得した制御データに基づいて呼制御処理を行うものである。 【0096】 送受信部14は、ベースバンド信号処理部12から取得したベースバンド信号を無線周波数帯の信号(下りリンク信号)に変換する処理を施してアンプ部15に送信するように構成されている。また、送受信部14は、アンプ部15から取得した無線周波数帯の信号(上りリンク信号)をベースバンド信号に変換する処理を施してベースバンド信号処理部12に送信するように構成されている。 【0097】 アンプ部15は、送受信部14から取得した下りリンク信号を増幅して、送受信アンテナ16を介して移動局UEに送信するように構成されている。また、アンプ部15は、送受信アンテナ16によって受信された上りリンク信号を増幅して、送受信部14に送信するように構成されている。 【0098】 図11に示すように、ベースバンド信号処理部12は、RLC処理部121と、MAC-d処理部122と、MAC-e及びレイヤ1処理部123とを具備している。 【0099】 MAC-e及びレイヤ1処理部123は、送受信部14から取得したベースバンド信号に対して、逆拡散処理やRAKE合成処理や誤り訂正復号処理やHARQ処理等を行うように構成されている。 【0100】 MAC-d処理部122は、MAC-e及びレイヤ1処理部123からの出力信号に対して、ヘッダの廃棄処理等を行うように構成されている。 【0101】 RLC処理部121は、MAC-d処理部122からの出力信号に対して、RLCレイヤにおける再送制御処理やRLC-SDUの再構築処理等を行うように構成されている。 【0102】 ただし、これらの機能は、ハードウエアで明確に分けられておらず、ソフトウエアによって実現されていてもよい。 【0103】 図12に示すように、MAC-e及びレイヤ1処理部(上りリンク用構成)123は、DPCCH RAKE部123aと、DPDCH RAKE部123bと、E-DPCCH RAKE部123cと、E-DPDCH RAKE部123dと、HS-DPCCH RAKE部123eと、RACH処理部123fと、TFCIデコーダ部123gと、バッファ123h、123mと、再逆拡散部123i、123nと、FECデコーダ部123j、123pと、E-DPCCHデコーダ部123kと、MAC-e機能部123lと、HARQバッファ123oと、MAC-hs機能部123qと、干渉電力測定部123rとを具備している。 【0104】 E-DPCCH RAKE部123cは、送受信部14から送信されたベースバンド信号内のエンハンスト個別物理制御チャネル(E-DPCCH)に対して、逆拡散処理と、個別物理制御チャネル(DPCCH)に含まれているパイロットシンボルを用いたRAKE合成処理を施すように構成されている。 【0105】 E-DPCCHデコーダ部123kは、E-DPCCH RAKE部123cのRAKE合成出力に対して復号処理を施して、送信フォーマット番号やHARQに関する情報やスケジューリングに関する情報等を取得してMAC-e機能部123lに入力するように構成されている。 【0106】 E-DPDCH RAKE部123dは、送受信部14から送信されたベースバンド信号内のエンハンスト個別物理データチャネル(E-DPDCH)に対して、MAC-e機能部123lから送信された送信フォーマット情報(コード数)を用いた逆拡散処理と、個別物理制御チャネル(DPCCH)に含まれているパイロットシンボルを用いたRAKE合成処理を施すように構成されている。 【0107】 バッファ123mは、MAC-e機能部123lから送信された送信フォーマット情報(シンボル数)に基づいて、E-DPDCH RAKE部123dのRAKE合成出力を蓄積するように構成されている。 【0108】 再逆拡散部123nは、MAC-e機能部123lから送信された送信フォーマット情報(拡散率)に基づいて、バッファ123mに蓄積されているE-DPDCH RAKE部123dのRAKE合成出力に対して、逆拡散処理を施すように構成されている。 【0109】 HARQバッファ123oは、MAC-e機能部123lから送信された送信フォーマット情報に基づいて、再逆拡散部123nの逆拡散処理出力を蓄積するように構成されている。 【0110】 FECデコーダ部123pは、MAC-e機能部123lから送信された送信フォーマット情報(送信データブロックサイズ)に基づいて、HARQバッファ123oに蓄積されている再逆拡散部123nの逆拡散処理出力に対して、誤り訂正復号処理(FEC復号処理)を施すように構成されている。 【0111】 MAC-e機能部123lは、E-DPCCHデコーダ部123kから取得した送信フォーマット番号やHARQに関する情報やスケジューリングに関する情報等に基づいて、送信フォーマット情報(コード数やシンボル数や拡散率や送信データブロックサイズ等)を算出して出力するように構成されている。 【0112】 また、MAC-e機能部123lは、図13に示すように、受信処理命令部123l1と、HARQ管理部123l2と、スケジューリング部123l3とを具備している。 【0113】 受信処理命令部123l1は、E-DPCCHデコーダ部123kから入力された送信フォーマット番号やHARQに関する情報やスケジューリングに関する情報を、HARQ管理部123l2に送信するように構成されている。 【0114】 また、受信処理命令部123l1は、E-DPCCHデコーダ部123kから入力されたスケジューリングに関する情報を、スケジューリング部123l3に送信するように構成されている。 【0115】 さらに、受信処理命令部123l1は、E-DPCCHデコーダ部123kから入力された送信フォーマット番号に対応する送信フォーマット情報を出力するように構成されている。 【0116】 HARQ管理部123l2は、FECデコーダ部123pから入力されたCRC結果に基づいて、上りユーザデータの受信処理が成功したか否かについて判定する。そして、HARQ管理部123l2は、かかる判定結果に基づいて送達確認信号(Ack又はNack)を生成して、ベースバンド信号処理部12の下りリンク用構成に送信する。また、HARQ管理部123l2は、上述の判定結果がOKであった場合、FECデコーダ部123pから入力された上りユーザデータを無線回線制御局RNCに送信する。 【0117】 また、HARQ管理部123l2は、上述の判定結果がOKである場合には、HARQバッファ123oに蓄積されている軟判定情報をクリアする。一方、HARQ管理部123l2は、上述の判定結果がNGである場合には、HARQバッファ123oに、上りユーザデータを蓄積する。 【0118】 また、HARQ管理部123l2は、上述の判定結果を受信処理命令部123l1に転送し、受信処理命令部123l1は、受信した判定結果に基づいて、次のTTIに備えるべきハードウエアリソースをE-DPDCH RAKE部123d及びバッファ123mに通知し、HARQバッファ123oにおけるリソース確保のための通知を行う。 【0119】 また、受信処理命令部123l1は、バッファ123m及びFECデコーダ部123pに対して、TTI毎に、バッファ123mに蓄積されている上りユーザデータがある場合には、HARQバッファ123oに蓄積されている当該TTIに該当するプロセスにおける上りユーザデータと新規に受信した上りユーザデータとを加算した後に、FEC復号処理を行うように、HARQバッファ123o及びFECデコーダ部123pに指示する。 【0120】 また、スケジューリング部123l3は、無線基地局NodeBの上りリンクにおける無線リソースや、上りリンクにおける干渉量(ノイズライズ)等に基づいて、最大許容伝送速度(最大許容送信データブロックサイズや最大許容送信電力比等)を含むスケジューリング信号を通知するように、ベースバンド信号処理部12の下りリンク用構成に指示する。 【0121】 以下、ハードウエアリソースに基づく制御方式及び上りリンクにおける干渉量に基づく制御方式について具体的に説明する。 【0122】 ハードウエアリソースに基づく制御方式では、スケジューリング部123l3は、配下のセルに接続している移動局UEに対して、絶対速度割当チャネル(AGCH)によって最大許容伝送速度を報知するように構成されている。 【0123】 スケジューリング部123l3は、配下のセルに接続している移動局UEにおけるユーザデータの伝送速度が高くなり、ハードウエアリソースが足りなくなってきた場合には、最大許容伝送速度を低く設定し、ハードウエアリソース不足が生じないようにしている。 【0124】 一方、スケジューリング部123l3は、配下のセルに接続している移動局におけるユーザデータ伝送が終了した場合等、ハードウエアリソースに余裕が出てきた場合には、再び最大許容伝送速度を高く設定する。 【0125】 また、上りリンクにおける干渉量に基づく制御方式では、スケジューリング部123l3は、配下のセルに接続している移動局UEに対して、絶対速度割当チャネル(AGCH)によって最大許容伝送速度を報知するように構成されている。 【0126】 スケジューリング部123l3は、配下のセルに接続している移動局UEにおけるユーザデータの伝送速度が高くなり、上りリンクにおける干渉量(例えば、ノイズライズ)が許容値(例えば、最大許容ノイズライズ)を超えた場合には、最大許容伝送速度を低く設定し、上りリンクにおける干渉量が許容値内に収まるようにしている(図3参照)。 【0127】 一方、スケジューリング部123l3は、配下のセルに接続している移動局UEにおけるユーザデータ伝送が終了した場合等、上りリンクにおける干渉量(例えば、ノイズライズ)が許容値(例えば、最大許容ノイズライズ)内に収まっており余裕が出ている場合には、再び最大許容伝送速度を高く設定する(図3参照)。 【0128】 本実施形態に係る無線回線制御局RNCは、無線基地局NodeBの上位に位置する装置であり、無線基地局NodeBと移動局UEとの間の無線通信を制御するように構成されている。 【0129】 図14に示すように、本実施形態に係る無線回線制御局RNCは、交換局インターフェース51と、LLCレイヤ処理部52と、MACレイヤ処理部53と、メディア信号処理部54と、基地局インターフェース55と、呼制御部56とを具備している。 【0130】 交換局インターフェース51は、交換局1とのインターフェースである。交換局インターフェース51は、交換局1から送信された下りリンク信号をLLCレイヤ処理部52に転送し、LLCレイヤ処理部52から送信された上りリンク信号を交換局1に転送するように構成されている。 【0131】 LLCレイヤ処理部52は、シーケンス番号等のヘッダ又はトレーラの合成処理等のLLC(論理リンク制御:Logical Link Control)サブレイヤ処理を施すように構成されている。LLCレイヤ処理部52は、LLCサブレイヤ処理を施した後、上りリンク信号については交換局インターフェース51に送信し、下りリンク信号についてはMACレイヤ処理部53に送信するように構成されている。 【0132】 MACレイヤ処理部53は、優先制御処理やヘッダ付与処理等のMACレイヤ処理を施すように構成されている。MACレイヤ処理部53は、MACレイヤ処理を施した後、上りリンク信号についてはLLCレイヤ処理部52に送信し、下りリンク信号については基地局インターフェース55(又は、メディア信号処理部54)に送信するように構成されている。 【0133】 メディア信号処理部54は、音声信号やリアルタイムの画像信号に対して、メディア信号処理を施すように構成されている。メディア信号処理部54は、メディア信号処理を施した後、上りリンク信号についてはMACレイヤ処理部53に送信し、下りリンク信号については基地局インターフェース55に送信するように構成されている。 【0134】 基地局インターフェース55は、無線基地局NodeBとのインターフェースである。基地局インターフェース55は、無線基地局NodeBから送信された上りリンク信号をMACレイヤ処理部53(又は、メディア信号処理部54)に転送し、MACレイヤ処理部53(又は、メディア信号処理部54)から送信された下りリンク信号を無線基地局NodeBに転送するように構成されている。 【0135】 呼制御部56は、無線リソース管理処理や、レイヤ3シグナリングによるチャネルの設定及び開放処理等を施すように構成されている。ここで、無線リソース管理処理には、呼受付制御処理や、ハンドオーバー処理等が含まれる。 【0136】 具体的には、呼制御部56は、移動局UEに対して、当該移動局UEにおいてユーザデータの伝送速度を自動的に上げていくために、上りユーザデータの伝送速度と時間との関数(図9参照)を送信するように構成されている。 【0137】 本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムによれば、無線回線制御局RNCが、移動局UEに対して、上りユーザデータの伝送速度の増加方法を示す関数を通知することによって、QoSや優先度や混雑度に応じて、適切に、かつ、フレキシブルに上りユーザデータの伝送速度の上昇を制御することができるので、無線通信品質の向上及びスループットの増大に資することができる。 【0138】 また、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムによれば、関数は、dBステップにおける直線の傾きや、線形ステップにおける直線の傾きや、dBステップが適用される範囲や、線形ステップが適用される範囲や、初期伝送速度等の所定のパラメータによって構成されているため、簡易に生成されることができる。 【産業上の利用可能性】 【0139】 以上説明したように、本発明によれば、ユーザデータの伝送速度の増加方法をフレキシブルに決定することができる伝送速度制御方法、移動局及び無線回線制御局を提供することができる。 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 移動局によって上りリンクを介して送信されるユーザデータの伝送速度を制御する伝送速度制御方法であって、 前記移動局が、無線回線制御局から、第1のステップと第2のステップとを切り替える切替伝送速度を取得する工程と、 前記移動局が、前記伝送速度が前記切替伝送速度よりも小さい場合に、前記第1のステップで前記伝送速度を増加する工程と、 前記移動局が、前記伝送速度が前記切替伝送速度よりも大きい場合に、前記第2のステップで前記伝送速度を増加する工程とを有することを特徴とする伝送速度制御方法。 【請求項2】 上りリンクを介してユーザデータを送信する移動局であって、 無線回線制御局から無線基地局を介して、第1のステップと第2のステップとを切り替える切替伝送速度を取得するように構成されている取得部と、 前記ユーザデータの伝送速度が前記切替伝送速度よりも小さい場合に、前記第1のステップで前記伝送速度を増加し、前記伝送速度が前記切替伝送速度よりも大きい場合に、前記第2のステップで前記伝送速度を増加するように構成されている伝送速度制御部とを具備することを特徴とする移動局。 【請求項3】 移動局によって上りリンクを介して送信されるユーザデータの伝送速度を制御する移動通信システムで用いられる無線回線制御局であって、 第1のステップと第2のステップとを切り替える切替伝送速度を前記移動局に送信するように構成されている送信部を具備しており、 前記切替伝送速度の送信によって、前記伝送速度が前記切替伝送速度よりも小さい場合に、前記第1のステップで前記伝送速度を前記移動局に増加させ、前記伝送速度が前記切替伝送速度よりも大きい場合に、前記第2のステップで前記伝送速度を前記移動局に増加させることを特徴とする無線回線制御局。 【図面】 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審決日 | 2013-07-04 |
出願番号 | 特願2006-552944(P2006-552944) |
審決分類 |
P
1
41・
853-
Y
(H04Q)
P 1 41・ 852- Y (H04W) P 1 41・ 853- Y (H04L) P 1 41・ 853- Y (H04B) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 安藤 一道 |
特許庁審判長 |
近藤 聡 |
特許庁審判官 |
加藤 恵一 佐藤 聡史 |
登録日 | 2010-03-26 |
登録番号 | 特許第4480727号(P4480727) |
発明の名称 | 伝送速度制御方法、移動局及び無線回線制御局 |
代理人 | 三好 秀和 |
代理人 | 三好 秀和 |