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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  E04H
管理番号 1277999
審判番号 無効2008-800245  
総通号数 166 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-10-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2008-11-06 
確定日 2013-07-09 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第2625255号「非圧縮性ピボットを備えたシザー端部が捕獲された折畳み可能なキャノピー骨組構造体」の特許無効審判事件についてされた平成23年11月 7日付け審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の判決(平成23年(行ケ)第10432号平成24年10月25日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1.手続の経緯
・平成3年12月23日に出願(優先権主張平成3年1月4日)
・平成9年4月11日に特許権の設定登録
・平成20年11月6日に請求人(富士見産業株式会社)よりその請求項1?13に係る発明について特許無効審判請求
・平成21年3月3日に被請求人(ケーディー キャノピー,インク外1名)より答弁書提出及び訂正請求(請求項2の削除,ほか)
・同年4月16日に請求人より弁駁書(1)提出
・同年6月30日に請求人より口頭審理陳述要領書及び上申書が,同日に被請求人より口頭審理陳述要領書及び上申書それぞれ提出
・同日に第1回口頭審理
・平成21年7月14日付けで被請求人より,また,同年月30日付けで請求人より,それぞれ再度,上申書提出
・同年9月7日付けで,特許無効の審決(1次審決,訂正は認容)
(この時点で,本件特許明細書は,平成21年3月3日付けの訂正請求のうち「請求項2を削除する」という訂正が,部分的に確定)
・被請求人が審決取消し訴訟(平成22年(行ケ)第10011号)提起後,平成22年3月4日付けで訂正審判請求
・同年3月29日付けで審判差し戻し決定
・同年8月30日付けで被請求人が訂正請求(請求項4,5,10,11,12,及び13の削除,ほか)
・同年10月13日付けで請求人より弁駁書(2)提出
・同年10月29日付けで当審より訂正拒絶理由通知
・同年12月22日付けで被請求人が意見書提出及び訂正請求書を補正する旨の手続補正
・平成23年2月10日付けで,特許無効の審決(2次審決,請求項の削除に係る訂正認容,その他の訂正は不認容)
(この時点で,本件特許明細書は,平成22年8月30日付けの訂正請求のうち訂正事項3乃至4及び9乃至12についての訂正,すなわち,「請求項4,5,10,11,12,及び13を削除する」という訂正が,さらに部分的に確定)
・被請求人が審決取消し訴訟(平成23年(行ケ)第10117号)提起後,平成23年4月12日付けで訂正審判請求
・同年6月23日付けで審判差し戻し決定
・同年7月19日付けで被請求人が訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)
・同年7月25日付けで被請求人が訂正請求書を補正する手続補正
・同年8月30日に請求人より弁駁書(3)提出
・同年11月7日付けで,特許無効の審決(3次審決,訂正認容)
・被請求人が審決取消し訴訟(平成23年(行ケ)第10432号)を提起し,知的財産高等裁判所は,平成24年10月25日付けで,平成23年11月7日付けでした審決を取り消す旨の判決言渡し

第2.本件訂正請求について

1.本件訂正請求
請求人は,本件訂正請求により,特許第2625255号(以下「本件特許」という。)の明細書(以下「本件特許明細書」という。)を,本件訂正請求の訂正請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを求めた。
そのうちの請求項1,3及び6?9について訂正を求めた内容は,以下のとおりである。
なお,本件特許明細書は,請求項2,4?5及び10?13を削除する訂正が,部分的に確定している。

2.訂正内容

(1)請求項1についての訂正
【請求項1】を,
「折畳まれ,そして折畳まれた状態で保管され,そして支持面上に展開された状態で組みたてられるようになった展開可能な骨組構造体であり,前記支持面の上方にキャノピーカバーを支持することができる骨組構造体において,
(a)各々が支持面上に配置可能な下端部と,前記下端部と反対側の上端部とを有する複数個の直立した支持部材を備え,前記支持部材は折畳まれた状態で相互に相並ぶように向けられ,そして展開状態に向かって相互に離れて外方に移動可能であり,各支持部材は断面矩形状であり,さらに,
(b)複数個の端縁シザー組立体を備え,一つの端縁シザー組立体が前記支持部材のうちの隣接した支持部材を相互に連結し,各々の前記端縁シザー組立体が1対の外側上端部および1対の外側下端部を有し,前記端縁シザー組立体は開閉するように作用可能であり,それにより前記骨組構造体は展開状態と収縮状態との間を移動することができ,展開状態において前記端縁シザー組立体の外側側面全体が前記キャノピーカバーで覆われ,各々の前記端縁シザー組立体は上端部及び下端部において相互に連結されたシザーユニットにより構成され,前記シザーユニット間の連結部は構造を補強するための更なる直立した支持部材により前記支持面上に支持されておらず,前記骨組構造体全体が展開状態において4個の直立した支持部材によってのみ支持されており,さらに,
(c)前記の直立した支持部材上に配置されかつ前記端縁シザー組立体を前記支持部材に締め付けるように作用する複数個のマウントを備え,該各マウントは前記支持部材が嵌合される断面矩形状の中空部が形成された収容部を備え,前記マウントの各々は,隔置された平行な側壁部分により形成され,互いに直交する一対のソケットを有し,該一対のソケットの側壁部分はそれぞれ前記収容部の前記中空部を囲う側壁に平行であり,前記端縁シザー組立体の各々はその平行な向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合されるように前記ソケットのうちのそれぞれの1個のソケット内に受け入れられる長方形横断面の外側端部を有し,それにより前記の平行な側壁部分と共に平面状の接触面を形成し,さらに,
(d)前記端縁シザー組立体の各々の外側端部をそれぞれのソケット内に枢動可能に固定する締付ピンを備え,前記平行な側壁部分と接触する前記外側端部表面に突起が存在せず,前記端縁シザー組立体を構成するシザーバーは中空部を備える管状構造であり,
(e)1対の前記マウントが前記の直立した支持部材の各々の上に配置され,前記の1対のマウントの一方が固定マウントであり,そして前記の1対のマウントの他方がスライドマウントであり,前記スライドマウントが前記の直立した支持部材に滑動可能に固定されかつそれぞれの前記端縁シザー組立体が開閉するときに前記支持部材に沿って前記固定マウントに近い位置と前記固定マウントから遠い位置との間に移動可能であり,
(f)前記固定マウントに一対のソケットが直交して形成され,該一対のソケットの各々において平行な側壁部分は,その上端部において水平な壁部で相互に連結され,前記スライドマウントに一対のソケットが直交して形成され,該一対のソケットの各々において平行な側壁部分は,その下端部において水平な壁部で相互に連結され,
(g)前記固定マウントの各々は,それぞれ直交する一対のソケットの中央部に,隔置された平行な側壁部分により形成される中央部のソケットを有し,該中央部のソケットは前記側壁部分を連結する水平な壁部を有さず,
(h)前記マウントは前記骨組構造体が展開し,そして収縮するときに前記端縁シザー組立体を開閉させるように相互に関して相対移動可能であり,一方ソケットの平行な側壁部が平面状の接触面に沿って外側端部に作用して前記端縁シザー組立体の横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止し,
(i)前記の固定マウントの前記収容部が,前記支持部材に沿って前記スライドマウントの方向に向かってすべての前記ソケットを超えて延び出しており,
(j)骨組構造体が展開状態にあるときに前記の直立した支持部材により支持面の上方に支持されるルーフ支持組立体を含み,前記ルーフ支持組立体が前記キャノピーカバーを支持するように作用し,前記ルーフ支持組立体が頂点を形成するためにその近位置端部において相互に枢動可能に連結され,かつ展開状態にあるとき相互に離れて半径方向に外方に延びる複数個のルーフ支持部材を含み,各々のルーフ支持部材がその遠位置端部において前記の直立した支持部材上の前記固定マウントの中央部ソケットに枢動可能に連結されており,
(k)支持部材の前記下端部各々が,前記固定マウント及び前記スライドマウントとは別部材であり,貫通孔を有して前記支持面と係合するプレート状部材を備える骨組構造体。」と訂正する。(以下「訂正事項1」という。)

(2)請求項3についての訂正
【請求項3】を【請求項2】に繰り上げ,引用する請求項を請求項1に訂正する。(以下「訂正事項2」という。)

(3)請求項6についての訂正
【請求項6】を【請求項3】に繰り上げ,引用する請求項を請求項1に訂正する。(以下「訂正事項3」という。)

(4)請求項7についての訂正
【請求項7】を【請求項4】に繰り上げ,引用する請求項を請求項1に訂正する。(以下「訂正事項4」という。)

(5)請求項8についての訂正
【請求項8】を【請求項5】に繰り上げる。(以下「訂正事項5」という。)

(6)請求項9についての訂正
【請求項9】を【請求項6】に繰り上げ,引用する請求項を請求項5に訂正する。(以下「訂正事項6」という。)

3.本件訂正請求の適否

訂正事項1
上記訂正事項1は,訂正前の請求項1に記載された発明を下位概念化又は構成要件の直列的付加により,その内容を限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして,上記訂正事項1は,本件特許明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものではない。
また,上記訂正事項1は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。

訂正事項2?6
訂正事項2?6は,訂正前の請求項の番号を繰り上げるものであって,請求項に付す番号を記載する順序により連続番号とするものであるから,明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。

4.結論
以上のとおりであるから,本件訂正は,平成6年改正前特許法第134条第2項ただし書に適合し,特許法134条の2第5項において準用する平成6年改正前第126条第2項の規定に適合するので,当該訂正を認める。

第3.請求人の主張
請求人は,本件特許の請求項1?6に係る発明についての特許を無効とする,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由として,本件特許の請求項1?6に係る発明は,本件優先権主張日前に頒布された甲第1号証?甲第12号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである,本件特許の訂正前の請求項13について,特許を受けようとする発明が不明確であるとの理由から,本件特許は無効とすべきものであると主張し,証拠方法として甲第1号証ないし甲第13号証を提出している。

甲第1号証:実願昭62-157952号(実開平1-61370号)のマイクロフィルム
甲第2号証:特開平1-142183号公報
甲第3号証:米国特許第4641676号公報
甲第4号証:実願昭57-91580号(実開昭58-195553号)のマイクロフィルム
甲第5号証:特開昭48-29212号公報
甲第6号証:実公昭17-13415号公報
甲第7号証:特開昭52-46616号公報
甲第8号証:実願昭63-145489号(実開平2-66141号)のマイクロフィルム
甲第9号証:実願平1-5510号(実開平2-96933号)のマイクロフィルム
甲第10号証:実公昭38-2860号公報
甲第11号証:実公昭38-1674号公報
甲第12号証:特開昭57-80967号公報
甲第13号証(弁駁書(2)と同時に提出):米国特許第4779635号公報
(以下,「甲1」,「甲2」・・・という。)

第4.被請求人の主張
一方,被請求人は,訂正請求をするとともに,本件無効審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め,訂正した本件特許の請求項1?6に係る発明は,甲1ないし甲13に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない等,請求人の主張にはいずれも理由がないと主張し,証拠方法として乙第1号証?乙第4号証を提出している。

乙第1号証:「モールド一覧表」と題する製品リスト,2009年2月2日,白石徳宏作成
乙第2号証:株式会社ロゴスコーポレーションのカタログの写し
乙第3号証(平成22年12月22日付けの意見書と同時に提出):イージーアップ・テント総合カタログVol.8 2010年1月1日。第05,18頁
乙第4号証(本件訂正請求と同時に提出):株式会社ニューテックジャパンの「パーツ交換 価格表」の写し

第5.本件特許発明
本件特許の各請求項に係る発明(以下「本件特許発明1」等という。)は,上記のとおり訂正が認められたため,特許明細書(訂正明細書)の特許請求の範囲の,以下の各請求項に記載された事項により特定される,次のとおりのものと認める。

【請求項1】
折畳まれ,そして折畳まれた状態で保管され,そして支持面上に展開された状態で組みたてられるようになった展開可能な骨組構造体であり,前記支持面の上方にキャノピーカバーを支持することができる骨組構造体において,
(a)各々が支持面上に配置可能な下端部と,前記下端部と反対側の上端部とを有する複数個の直立した支持部材を備え,前記支持部材は折畳まれた状態で相互に相並ぶように向けられ,そして展開状態に向かって相互に離れて外方に移動可能であり,各支持部材は断面矩形状であり,さらに,
(b)複数個の端縁シザー組立体を備え,一つの端縁シザー組立体が前記支持部材のうちの隣接した支持部材を相互に連結し,各々の前記端縁シザー組立体が1対の外側上端部および1対の外側下端部を有し,前記端縁シザー組立体は開閉するように作用可能であり,それにより前記骨組構造体は展開状態と収縮状態との間を移動することができ,展開状態において前記端縁シザー組立体の外側側面全体が前記キャノピーカバーで覆われ,各々の前記端縁シザー組立体は上端部及び下端部において相互に連結されたシザーユニットにより構成され,前記シザーユニット間の連結部は構造を補強するための更なる直立した支持部材により前記支持面上に支持されておらず,前記骨組構造体全体が展開状態において4個の直立した支持部材によってのみ支持されており,さらに,
(c)前記の直立した支持部材上に配置されかつ前記端縁シザー組立体を前記支持部材に締め付けるように作用する複数個のマウントを備え,該各マウントは前記支持部材が嵌合される断面矩形状の中空部が形成された収容部を備え,前記マウントの各々は,隔置された平行な側壁部分により形成され,互いに直交する一対のソケットを有し,該一対のソケットの側壁部分はそれぞれ前記収容部の前記中空部を囲う側壁に平行であり,前記端縁シザー組立体の各々はその平行な向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合されるように前記ソケットのうちのそれぞれの1個のソケット内に受け入れられる長方形横断面の外側端部を有し,それにより前記の平行な側壁部分と共に平面状の接触面を形成し,さらに,
(d)前記端縁シザー組立体の各々の外側端部をそれぞれのソケット内に枢動可能に固定する締付ピンを備え,前記平行な側壁部分と接触する前記外側端部表面に突起が存在せず,前記端縁シザー組立体を構成するシザーバーは中空部を備える管状構造であり,
(e)1対の前記マウントが前記の直立した支持部材の各々の上に配置され,前記の1対のマウントの一方が固定マウントであり,そして前記の1対のマウントの他方がスライドマウントであり,前記スライドマウントが前記の直立した支持部材に滑動可能に固定されかつそれぞれの前記端縁シザー組立体が開閉するときに前記支持部材に沿って前記固定マウントに近い位置と前記固定マウントから遠い位置との間に移動可能であり,
(f)前記固定マウントに一対のソケットが直交して形成され,該一対のソケットの各々において平行な側壁部分は,その上端部において水平な壁部で相互に連結され,前記スライドマウントに一対のソケットが直交して形成され,該一対のソケットの各々において平行な側壁部分は,その下端部において水平な壁部で相互に連結され,
(g)前記固定マウントの各々は,それぞれ直交する一対のソケットの中央部に,隔置された平行な側壁部分により形成される中央部のソケットを有し,該中央部のソケットは前記側壁部分を連結する水平な壁部を有さず,
(h)前記マウントは前記骨組構造体が展開し,そして収縮するときに前記端縁シザー組立体を開閉させるように相互に関して相対移動可能であり,一方ソケットの平行な側壁部が平面状の接触面に沿って外側端部に作用して前記端縁シザー組立体の横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止し,
(i)前記の固定マウントの前記収容部が,前記支持部材に沿って前記スライドマウントの方向に向かってすべての前記ソケットを超えて延び出しており,
(j)骨組構造体が展開状態にあるときに前記の直立した支持部材により支持面の上方に支持されるルーフ支持組立体を含み,前記ルーフ支持組立体が前記キャノピーカバーを支持するように作用し,前記ルーフ支持組立体が頂点を形成するためにその近位置端部において相互に枢動可能に連結され,かつ展開状態にあるとき相互に離れて半径方向に外方に延びる複数個のルーフ支持部材を含み,各々のルーフ支持部材がその遠位置端部において前記の直立した支持部材上の前記固定マウントの中央部ソケットに枢動可能に連結されており,
(k)支持部材の前記下端部各々が,前記固定マウント及び前記スライドマウントとは別部材であり,貫通孔を有して前記支持面と係合するプレート状部材を備える骨組構造体。

【請求項2】
請求の範囲第1項に記載の展開可能な骨組構造体において,それぞれの前記スライドマウントをそのそれぞれの前記固定マウントに近い位置において釈放可能に締め付けるために前記の直立した支持部材と組み合わされたラッチ装置を含む骨組構造体。

【請求項3】
請求の範囲第1項に記載の展開可能な骨組構造体において,各々の前記ルーフ支持部材が前記骨組構造体が折畳まれた状態にあるときの引っ込められた状態と前記骨組構造体が展開された状態にあるときの伸張した状態との間に移動可能な1対の伸張可能な部分を含み,そして前記の伸張可能な部分を伸張した状態に釈放可能に保持するルーフ支持部材ラッチ装置を含む骨組構造体。

【請求項4】
請求の範囲第1項に記載の展開可能な骨組構造体において,1対の前記マウントが前記の直立した支持部材の各々の上に配置され,前記の1対のマウントの一方が固定マウントであり,そして前記の1対のマウントの他方がスライドマウントであり,前記スライドマウントが前記の直立した支持部材に滑動可能に固定されかつそれぞれの前記端縁シザー組立体が開閉するときに前記支持部材に沿って前記固定マウントに近い位置と前記固定マウントから遠い位置との間に移動可能であり,そして前記ルーフ支持部材の各々がそれぞれの固定マウントに枢動可能に連結され,そして第1片持端部において前記伸張可能な部分の一方と枢動可能に連結されかつ前記第1片持端部と反対側の第2片持端部においてそれぞれの前記の隅の支持部材上のスライドマウントと枢動可能に連結された片持部分を含む骨組構造体。

【請求項5】
請求の範囲第1項に記載の展開可能な骨組構造体において,前記端縁シザー組立体の各々が端と端とをつなぐ関係で内側の上端部および下端部において連結された1対のシザーユニットを含み,前記端縁シザー組立体の各々がそれぞれのシザーユニットの内側の上端部および下端部を枢動可能に連結するためにそれぞれ作用する上側浮動マウントおよび下側浮動マウントを含み,前記上側浮動マウントおよび下側浮動マウントの各々が隔置された平行な側壁部分によりそれらの内部に形成された複数個のソケットを有し,前記シザーユニットの内側端部の各々がその向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合するように前記ソケットのうちのそれぞれのソケット内に受け入れられた長方形横断面を有し,かつソケットの平行な側壁部分が前記シザーユニットの横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止する間に前記シザーユニットの各々の内側端部をそれぞれのソケット内に枢動可能に固定する締付ピンを含む骨組構造体。

【請求項6】
請求の範囲第5項に記載の展開可能な骨組構造体において,骨組構造体が展開状態にあるときに前記の直立した支持部材により支持面の上方に支持されるルーフ支持組立体を含み,前記ルーフ支持組立体が前記キャノピーカバーを支持する作用をする骨組構造体。

第6.甲各号証の記載事項
1.甲1:実願昭62-157952号(実開平1-61370号)のマイクロフィルム
甲1には,「伸縮瞬間わく組立家屋結構」に関する発明が記載されており,図面とともに以下の記載がある。
(1-1)明細書第5頁第12行?第6頁第3行
「サイドバーの巧妙な設計により交互に交叉式または取揃支え式を組合わせ,必要により入口のところを揃えて上昇し,その上昇面をして単面から四面全部に及び,製造時に先ず人々の出入り及び本考案の適用対象をプラスするように設定することができる,それには次のような優点がある:
1.一体成型で,運搬携帯に便利。
2.わく組立と折畳み操作が簡易で省時省力。
・・・
4.任意に移位可能で定位できる。
5.風に吹き倒されるおそれがない。」
(1-2)明細書第6頁第10行?第7頁第10行
「第4図で示すように,本考案は数本の主支柱(1),サイドバー(5),下活動支えバー軸体(3),上固定支えバー軸体(4),屋根支えバー(7),槽鉄関節(6),屋根フレーム押上バー(9)及び屋根受梁軸(8)により組成される,主支柱(1)は角型または円型柱体で,上端に一つの上止め孔(12)を設けて活動挿ピン(13)を主体(1)の上止め孔に挿入するのに提供し,並びにそれにより下活動支えバー軸体(3)を滑り下りないように固定する(第16図参照),その主支柱(1)の下端に数ヶの下止め孔(11)を設け,その主支柱(1)の空心のところに一本の伸縮支柱(2)を設けている,上方も同じように数ヶの止め孔(22)を設け,その止め孔の作用は伸縮支柱(2)が主支柱(1)内から適当な長さに伸出した時に活動挿ピンを挿入して主支体(1)上の下止め孔(11)に固定し,全体の高度を上昇し並びに固定する,その伸縮支柱(2)下端は一つの底台片(21)を溶接固定して全体の安定を強化している(第11,12図参照);」
(1-3)明細書第7頁第11行?第8頁第7行
「主支柱(1)上にはめている下活動支えバー軸体(3)は一本の角型または円型の空心柱(第15,16図)で兩端は開き口であり,下端には二つの下サイドバー固定軸片(32)を設け,その兩軸はサイドバー(5)の一端と互いに結合し,別途にその兩軸片(32)夾角の中央上方に一つの屋根押上バー固定軸片(31)を設けている,その軸片と屋根押上バーの一端を結合し,その下活動支えバー軸体(3)の中間の空心部分を主支柱(1)上にはめて,サイドバー(5)の伸張及び収縮が上下滑動をなすように配慮し,本体が最大まで伸張した時に活動挿ピン(13)を支柱上の止め孔(12)まで挿入して,而して下活動支えバー軸体(3)をくい止め固定し,並びに下活動支えバー軸体(3)が滑り下ち,全体が変形または収縮(第17図参照)するのを防止している;」
(1-4)明細書第8頁第8?16行
「上固定支えバー軸体(4)は一角型または円型空心柱(第14図参照)で,上方に二つの上サイドバー固定軸片(42)を設け,その兩軸片とサイドバー(5)の一端を結合している,その兩軸片(42)の夾角中央の下方に一つの屋根支えバー固定軸片(41)を設け,その軸片と屋根支えバー(76)の一端を互いに結合し,その上固定支えバー軸体(4)を主柱(1)上端に固定している;」
(1-5)明細書第8頁第17行?第9頁第8行
「サイドバー(5)は交叉式または取揃式で混合使用し(第4,5,6図参照),その巧みな設計はその需要によりそれを揃って上昇し,こうすることにより人々の出入りを尚更便利にしている,交叉式は(5a)(5b)で組合せ,取揃式は(5c)(5d)を一つの槽鉄(6)を利用して一水平状になように連接し,一本の押上バー(51)を加えて組成している,兩端はそれぞれ上固定支えバー軸体(4)の上サイドバー固定軸片(42)及び下活動支えバー軸体(3)の下サイドバー固定軸片(32)上に固定している;」
(1-6)明細書第9頁第9?18行
「屋根部分は屋根支えバー(7a)(7b)及び屋根フレーム押上バー(9)で組成し,屋根支えバー(7a)(7b)は一つの槽鉄(6)で連結して,前後端をそれぞれ中心の屋根梁受軸(8)の屋根フレーム固定軸片(81)に固定している,他端は上固定支えバー軸体(4)の屋根支えバー固定軸片(41)上に固定され,その屋根梁受軸(8)の中心は円型またはその他の形状で,その周囲に数個の屋根支軸固定軸片(81)を設け(第18図参照)ている;」
(1-7)明細書第9頁第19行?第10頁第7行
「屋根フレーム押上バー(9)の兩端はそれぞれ下活動支えバー軸体(3)の屋根押上バー固定軸片(31)及び屋根支えバー(76)の中間の適当な位置(91)に固定され,その押上バー(9)の目的は屋根支えバーを支える外に,更に全体の伸張及び収縮にプラスしている,全体を連結したところはボルトまたはリベットにワシヤーを加えて連結し,各連結点は角回転できるようになっている。」
(1-8)明細書第12頁第2行?第14頁第9行
「4.図面の詳細な説明
第1図は本考案実施例にテントをかぶせた立体外観図。
第2図は本考案実施例に屋根だけをはめた立体外観図。
第3図は本考案実施例の一部分のサイドバーを取揃えて上昇し,屋根をはめた立体外観図。
第4図は本考案実施例のサイドバー全部が交叉式で組合せた展開立体外観図。
第5図は本考案実施例のサイドバー全部が取揃え上昇式で組み合わせて展開立体外観図。
第6図は本考案実施例のサイドバーを交叉と取揃え上昇式で混合組成した展開立体外観図。
・・・
第11図は本考案実施例の下伸縮支柱分解立体外観図。
第12図は本考案実施例の第11図における伸縮支柱活動挿ピンの部分解剖面立体図。
・・・
第14図は本考案実施例の主支柱上方に固定された固定フレーム捻り軸の立体外観図。
第15図は本考案実施例を主支柱上の下活動フレーム捻り軸にはめた立体外観図。
第16図は本考案実施例の主支柱上活動挿ピン及び下活動フレーム捻り軸分解立体外観図。
第17図は本考案実施例第16図の中,主柱の活動挿ピン及び下活動フレーム捻り軸組合せ立体外観図。
第18図は本考案実施例第4,5,6,10図の中屋根フレームの中心を梁受軸に連接した立体外観図。」
(1-9)図面に記載された事項
(a)明細書の上記各記載を参酌して第4図を見ると,わく組立家屋構造が,主支柱1とその下部に固定された伸縮支柱2からなる4本の支柱により支持されていることがわかる。同じく,2つの交叉式サイドバー5a,5bの上端部及び下端部がそれぞれ連結され,連結された2つの交叉式サイドバーが支柱を相互に連結しているが,2つの交叉式サイドバーの連結部分は支柱には支持されていないことがわかる。
(b)同様に第2図及び第4図を見ると,テントをかぶせた状態で,連結された2つの交叉式サイドバー全体がテントに覆われていることがわかる。
(c)同様に第11,12図を見ると,伸縮支柱2の下端に設けられた底台片21が貫通孔を有するプレート状の部材であることがわかる。また,底台片21が,上固定支えバー軸体4及び下活動支えバー軸体3と別部材であることは明らかである。
(d)同様に第14図を見ると,互いに直角な2つの上サイドバー固定軸片42が長方形の横断面を有し,それぞれが,角型空心柱状の上固定支えバー軸体4の側壁に平行に突出した突出片であり,該上サイドバー固定軸片42とボルトまたはリベットで固定される交叉式サイドバーの端部が隔置された平行な側壁部分を有し,上サイドバー固定軸片42が該隔置された平行な側壁部分に挿入されることにより両部材が面接触していることがわかる。同じく,屋根支えバーの端部が隔置された平行な側壁部分を有するとともに該側壁部分を連結する水平な壁部を有さず,屋根支えバー固定軸片41が該隔置された平行な側壁部分に挿入されることにより両部材が面接触していることがわかる。
(e)同様に第15図を見ると,互いに直角な2つの下サイドバー固定軸片32が長方形の横断面を有し,それぞれが,角型空心柱状の下活動支えバー軸体3の側壁に平行に突出した突出片であり,該下サイドバー固定軸片32とボルトまたはリベットで固定される交叉式サイドバーの端部が隔置された平行な側壁部分を有し,下サイドバー固定軸片32が該隔置された平行な側壁部分に挿入されることにより両部材が面接触していることがわかる。

2.甲2:特開平1-142183号公報
甲2には,「天蓋構造物」に関する発明が記載されており,図面とともに以下の記載がある。
(2-1)第5頁左下欄第16行?右下欄第4行
「本発明は迅速に組立てられる天蓋構造物であつて天蓋カバー及び天蓋カバーを臨時遮蔽物として取付けて位置決めする天蓋骨組ユニツトを有するものに指向される。従つて,本発明は,コンパクトな折畳まれた状態で保管され,しかも,天蓋カバーが日陰及び/または雨に対する保護を提供する大きい表面積を遮蔽するように迅速且つ容易に拡張状態に組立てられる天蓋組立体を形成するのに有用である。」
(2-2)第5頁右下欄第5?13行
「第1図において,天蓋構造物10は拡張状態で図示され,そしてその主要素として天蓋カバー12と天蓋骨組ユニツト20とを有する。天蓋カバー12は中心頂片14を有し,そして天蓋カバー12は複数の上パネル16と複数の側パネル18とを有する。天蓋カバー12は複数のコーナー支持部材22を有する天蓋骨組ユニツト20によつて支持される。第1図において,天蓋構造物10はその拡張状態で示されている。」
(2-3)第5頁右下欄第14行?第6頁左上欄第14行
「天蓋骨組ユニツト20の構造は第2図及び第3図を参照すると最も明快に理解される。これら図面において示されるように,天蓋骨組ユニツト20は4本のコーナー支持部材22を有し,各コーナー支持部材は上伸線部材24と下伸縮部材26とを有し,これら上下伸縮部材は,当業者によつて知られているように,第4図に図示されるごときボタンラツチ27によつて選択相対伸縮位置に固定され得る。各伸縮部材24,26は方形横断面を有する管であることが好ましい。かくして,コーナー支持部材22は天蓋構造物10の幾何学的形状の端縁を画成する。従つて,第1図-第6図は概ね立方形の構造を有する天蓋構造体10を説明するが,その他の幾何学的形状のそれも本発明の範囲内に包含されると理解さるべきである。天蓋骨組ユニツト20は支持面上に静止するようにされる。従つて,各コーナー支持部材22は下端28に配置される足30において終端する。足30は各コーナー支持部材22が支持面に対して概ね直立する垂直位置に定向されるようにして支持面上に静止する。」
(2-4)第6頁左上欄第15行?右上欄第14行
「複数の屋根支持部材40が設けられ,各屋根支持部材40は各コーナーポスト即ちコーナー支持部材22の上端32から延びて頂点部分50において終端する。各隣接コーナー支持部材22はシザース交差組立体60の形式にされた束縛支持手段によつて相互連結され,シザース交差組立体60は垂直面に定向されておりそして接端関係に結合された1対のシザースユニツト62を有する。各シザースユニツト62は第1と第2の交差片64,66によつて形成される。交差片64,66はそれらの中点において互いに枢動自在に結合されている。各シザース交差組立体60の上部分は,そのコーナー支持部材22のおのおのにその上端32において結合されている。さらに,各シザース交差組立体60の下部分は各コーナー支持部材22に摺動自在に嵌合されたすべりブラケツト34と結合されている。カンチレバー部材70が,後にさらに詳細に説明されるように,各すべりブラケツト34と関連屋根支持部材40との間に延在する。」
(2-5)第6頁右上欄第15行?左下欄第13行
「コーナー支持部材22及び対応する屋根支持部材40から構成される各セツトは,全く同一のものとして組立てられる。従つて,説明目的のため,単に一つのそのような組立体に関する説明が第3図を参照して詳細に為される。第3図において,コーナー支持部材22の上端32は,プラスチツクから成る端キヤツプ33によつて閉鎖されて図示される。U形ブラケツト36がコーナー支持部材22にその上端32において取付けられ,そして第1のL形ブラケツト38が前記U形ブラケツト36に隣接してコーナー支持部材22に結合されている。すべりブラケツト34が摺動自在にコーナー支持部材22に嵌装されており,そして第2のU形ブラケツト37及び第2のL形ブラケツト39がともにすべりブラケツト34に結合されている。既に述べたように,シザースユニツト62の交差片64,66はそれぞれピン65,67によつてL形ブラケツト38,39に枢動自在に結合されている。」
(2-6)第6頁左下欄第14行?右下欄第6行
「屋根支持部材40は1対の伸縮部材から構成されており,該伸縮部材は好ましくは内伸縮部材42と,内伸縮部材42を伸縮可能に受容する該伸縮部材44との形式にされている。屋根支持部材40は頂点部分50へ向かつて半径方向内方へ突出し,それにより,屋根支持部材40の内端即ち第1端は後に説明されるように頂点部分50に枢動自在に結合され得る。屋根支持部材40の外端即ち第2端は前記外伸縮部材44内に嵌合されてそれに固定される下ドグレグ腕46によつて形成される。下ドグレグ腕46の他端はピン47によつてU形ブラケツト36に枢動自在に結合されている。」
(2-7)第6頁右下欄第7行?第7頁左上欄第10行
「下ドグレグ腕46とは反対位置のその端において該伸縮部材44は下方へ突出するU形ブラケツト48を有する。カンチレバー部材70が一端においてピン49によつてU形ブラケツト48に枢動自在に結合され,そして他端においてピン41によつてU形ブラケツト37に枢動自在に結合されている。従つて,屋根支持部材40はピン47を中心としてコーナー支持部材22に対して下方へ枢動することが理解さるべきである。かくのごとき枢動が生じたときは,すべりブラケツト47は下方へ運動し,従つて,カンチレバー部材70は,屋根支持部材40がコーナー支持部材22の側腹に沿う至近離間平行関係に定向されるように枢動する。下ドグレグ腕46はU形ブラケツト37の幅及びカンチレバー部材70の幅を屋根支持部材40とコーナー支持部材22との間に収容するための片寄りを確立するために設置されることが理解されるであろう。内及び外伸縮部材42,44を第3図に図示されるごとき伸張位置に確保するため,ボタンラツチ・嵌合穴装置45の形式にされたラツチ手段が設けられる。ボタンラツチが内及び外伸縮部材の一方に配置され,そして嵌合穴が他方の伸縮部材に配置されることは,当業者に既知である標準装置の場合と同じである。」
(2-8)第7頁左上欄第11行?右上欄第5行
「既に言及されたように,頂点部分50はコーナー支持部材22から遠い屋根支持部材40の端に配置される。頂点部分50は中心柱組立体52を有し,中心柱組立体52は4対の耳55を提供する交差ブラケツト54を有する。かくして,屋根支持部材40の内伸縮部材42の端部はピン56によつて1対の耳55の間に枢動自在に結合される。前記端部は上ドグレグ部分43において終端する。中心柱組立体52はドーム形のヘツド59を有する上部材58を有する。上部材58はばね74によつて上外方へ偏圧される上部材58のためのハウジングを形成する下部材72内に伸縮自在に嵌合されている。しかし,上部材58は下部材72からのその脱出を防止するためにスロツト77内に収容されたポスト76を有する。」
(2-9)第7頁左下欄第13行?右下欄第17行
「次に天外蓋構造物10の拡張並びに収縮は,第2図-第5図を参照することによつてより十分に理解され得る。第2図及び第3図に示される直立状態即ち拡張状態においては,シザース交差組立体60のおのおのは最大開放位置に在りそして内及び外伸縮部材42,44は最大伸長位置に在つてボタンラツチ45によつてラツチ止めされている。この位置において,屋根支持部材40は共通平面Pに対して鋭角φを以て定向されている。使用者が天蓋構造物10を折畳むことを欲するならば,使用者はボタンラツチ45のおのおのを押圧し,その結果,内収縮部材42のおのおのは外収縮部材44内に摺動進入する。釈放されると同時に各屋根支持部材40はそれぞれのコーナー支持部材22へ向かつて下方へ枢動する。すべりブラケツト34に対するカンチレバー部材70の内部結合の故にすべりブラケツト34はコーナー支持部材22の下端28へ向かつて下方へ運動する。すべりブラケツト34はシザース交差組立体60の下部分にL形ブラケツト39において結合されているから,これによつて各シザース交差組立体60は閉じさせられる。これを容易にするために,各シザースユニツト62は,第2図に示されるように,それらの中心において互いにそれぞれ結合点68,69において枢動自在に結合されている。」
(2-10)第7頁右下欄第18行?第8頁左上欄第15行
「この下降運動即ち”折畳み”運動が続くのにともなつて,天叢構造物10は第4図に示される位置へ移動される。この中間位置において,中心柱組立体52はコーナー支持部材22の下端28の平面Qに隣接し,各コーナー支持部材22,その関連する屋根支持部材40及びカンチレバー部材70は折畳み位置に在る。次いで,コーナー支持部材22は互いに接近するごとく運動されて天蓋構造物10をさらに折り畳み,遂に各コーナー支持部材22と屋根支持部材40との対は第5図に示される位置に達する。この位置において,各コーナー支持部材22及びそのそれぞれの屋根支持部材40及びカンチレバー部材70は,互いに側腹に沿う至近離隔平行関係に在る。第5図と第6図とを参照すると,各上収縮部材42の上ドグレグ部材43は中心柱組立体52,特にドーム形のヘツド59を収容する開放区域80を画成するように折り畳まれることが理解されるであろう。」
(2-11)第8頁左上欄第16行?右上欄第15行
「前記過程を逆転して天蓋構造物10を組立てるためには,使用者は単にコーナー支持部材22のおのおのを互いに離れるように運動させ,次に中心柱組立体52をそれが共通平面Pを通過して屋根支持部材40が部分的に延伸された完全拡張位置に上昇され得るまで持上げる。次いで,天蓋カバー12が,中心頂片14がヘツド59上に定向されそして側パネル18が各シザース交差組立体60の垂直面に沿つて定向されるように,天蓋構造物10上に位置される。この目的のために,側パネル18及び上パネル16は,各コーナー支持部材22の上端32を受容する複数のポケツト区域を形成することが理解さるべきである。側パネル18のこれらポケツト区域のおのおのの内側に位置されるベルクロフアスナが,それらと組合うベルクロフアスナ35に対して結合される。天蓋カバー12を固定した後,次いで使用者は各屋根支持部材40を完全に延伸しそしてその関連ボタンラツチ45をラツチ係合させて屋根支持部材40を完全延伸位置に確保する。」
(2-12)第9頁右上欄第9?18行
「第1図は本発明の好適実施例に従つた天蓋構造物の斜視図,第2図は第1図に示される天蓋構造物のための天蓋骨組ユニツトの斜視図,第3図は第2図に示される天蓋骨組ユニツトを構成する典型的コーナー支持部材及び屋根支持部材の上部分を示す側面図,第4図は拡張状態と折畳み状態との概ね中間状態における第2図に示される天蓋骨組ユニツトの側面図,第5図は折畳み状態における単一のコーナー支持部材及び屋根支持部材を示す側面図」
(2-13)図面に記載された事項
(a)明細書の上記各記載を参酌して第2図(FIG.2)を見ると,シザース交差組立体を構成する1対のシザースユニット62は,それぞれの上端部及び下端部にある結合点69で相互に連結されていること,シザースユニットの結合点69はコーナー支持部材22で支持されていないことがわかる。
(b)同様に第2図(FIG.2)及び第3図(FIG.3)を見ると,シザース交差組立体60の上部分及び下部分は,その端部でピン65,67によって第1及び第2のL形ブラケツト38,39にそれぞれ取り付けられていることがわかり,第1及び第2のL形ブラケツト38,39のそれぞれにはシザース交差組立体を枢動自在に結合する部分が一対設けられていることは明らかである。
(c)同様に第1図(FIG.1)を見ると,天蓋骨組ユニットの拡張状態において,天蓋カバー12がシザース交差組立体60の全体を覆っていることがわかる。

3.甲3:米国特許第4641676号公報
(訳文は,請求人提出のものを採用する。)
甲3には,「COLLAPSIBLE CANOPY STRUCTURE」((訳)「折り畳み可能なキャノピー構造体」)に関する発明が記載されており,図面とともに以下の記載がある。
(3-1)明細書第1欄第26?39行
「SUMMARY OF THE INVENTION
It is therefore an object of the present invention to provide a novel, useful and nonobvious portable shelter which may be stored in a relatively, compact state yet which is expandable to cover a large surface area.
It is another object of the present invention to provide an inexpensive collapsible canopy shelter that may easily be erected by a single person.
Yet another object of the present invention is to provide a portable canopy structure which is light in weight yet which can resist strong winds when erected.
A further object of the present invention is to provide a portable canopy structure that is adjustable in height and which is designed for stability.」
(訳)「発明の概略
従って本発明の目的は,比較的小型の状態で保管できるけれども広い地表を覆うために展開可能な,新規かつ有益で非自明な携帯用シェルターを提供することである。
本発明の別の目的は,一人で容易に組立てられる安価な折畳み可能なキャノピーを提供することである。
本発明のさらに別の目的は,軽量にもかかわらず組立時に強風に耐えうる携帯用キャノピー構造体を提供することである。
本発明のさらなる目的は,高さ調節可能でしかも安定に設計された携帯用キャノピー構造体を提供することである。」
(3-2)明細書第2欄第31?53行
「FIG. 1 is a perspective view of the preferred embodiment of the present invention shown in its expanded, upright position;
FIG. 2 is a perspective view of the preferred embodiment of the present invention shown in its collapsed position;
FIG. 3 is a perspective view of the support framework of the preferred embodiment of the present invention shown in an intermediate position between the expanded and collapsed positions;
FIG. 3A is a top plan view of the framework shown in FIG. 3;
FIG. 4 is a perspective view, partially broken away, of one corner of the preferred embodiment of the present invention in the expanded state;
FIG. 5 is an exploded view of a portion of the scissor assembly connections according to the preferred embodiment of the present invention;
FIG. 6 is a side view in elevation of the center support pole according to the preferred embodiment of the present invention;
FIG. 7 is a cross-sectional view taken about lines 7-7 of FIG. 6;」
(訳)「図1は,本発明の展開垂直姿勢を示す好ましい実施例の斜視図;
図2は,本発明の折り畳まれた状態を示す好ましい実施例の斜視図;
図3は,本発明の展開状態と折り畳まれた状態の中間の状態を示す,好ましい実施例の支持フレームワークの斜視図;
図3Aは,図3に示すフレームワークの平面図;
図4は,本発明を展開した状態の好ましい実施例のコーナー1か所を部分的に切断除去した斜視図;
図5は,本発明の好ましい実施例に従ったシザー組立体の部分の分解組立図;
図6は,本発明の好ましい実施例に従った中心支持柱の上昇時の側面図;
図7は,図6の7-7線の断面図;」
(3-3)明細書第2欄第60行?第3欄第36行
「DETAILED DESCRIPTION OF THE PREFERRED EMBODIMENT
The present invention is directed to a collapsible, portable canopy shelter that is adapted to be stored in a compact, collapsed state yet which may be easily transported and erected by a single person at a desired location to provide a sturdy shelter against rain, sun and other elements. To this end, the preferred embodiment of the collapsible canopy shelter 10 is shown in its expanded state in FIG. 1 and in its collapsed state in FIG. 2. As is apparent in these figures, canopy shelter 10 generally comprises a support framework 12 constructed of a lightweight, rigid material, such as aluminum, and a flexible, dome-like canopy covering 14 which is held in spaced relation to a surface, such as the ground by support framework 12. As is shown in FIG. 1, canopy shelter 10, when expanded, defines a configuration in the form of a generally cubic user space, but it should be understood that other parallelepiped user spacers are contemplated by the scope of this invention. Support framework 12, without covering 14, is best shown in FIGS. 3 and 3A in an expansion state that is approximately half-way between the collapsed state shown in FIG. 2 and the fully expanded state shown in FIG. 1. As is shown in FIG. 3, support framework 12 includes plurality of upright support members or legs 16,18,20, and 22 which form part of the support frame- work 12 and which are interconnected by scissor assemblies, described below. Specifically, leg 16 is interconnected to its adjacent legs 18 and 22 by means of a pair of scissor assemblies 24 and 26, respectively. Leg 20 is interconnected to its adjacent legs 18 and 22 by means of a third and fourth pairs of scissor assemblies 28 and 30, respectively. In the preferred embodiment, shown in FIG. 3, scissor assemblies 26 and 28, which form opposite sides of support structure 12, are interconnected by a fifth or internal scissor assembly 32. Scissor assemblies 24,26,28 and 30 have the same construction so that, for purposes of explanation, only scissor assembly 24 is fully described. However, it should be appreciated that the general structure of each scisor assembly 26,28 and 30 is the same.」
(訳)「好ましい実施例の詳細な説明
本発明は,小型の折り畳まれた状態での保管に適応するにもかかわらず,輸送が容易で雨,日光その他の要素に対して頑丈なシェルターを提供するために所望の場所に一人で組立てられる,折畳み可能な携帯用キャノピーの提供を目的とする。この目的のため,図1に折り畳み可能なキャノピーシェルター10の好ましい実施例の展開状態を,図2にその折り畳まれた状態を示す。これらの図で明らかなように,キャノピーシェルター10は一般に,アルミニウムなどの軽量で剛質の材料で構成された支持フレームワーク12及び柔軟なドーム状キャノピーカバー14からなる。キャノピーカバー14は,支持フレームワーク12による地面のようなある表面に対して間隔をおいた関係に保持される。キャノピーシェルター10は,図1に示すように,展開されると一般的に立方体の使用者空間の形状を構成する。しかし,他の平行六面体の使用者空間も本発明の範囲により意図されていることを理解されたい。図3及び図3Aは,図2で示す折り畳まれた状態と図1で示す完全に展開された状態のほぼ中間の展開状態で,カバー14を取除いた支持フレーム12を最もよく示す。図3で示すように,支持フレーム12には,複数の垂直支持構成体としての脚16,18,20,及び22がある。脚16,18,20,及び22は,支持フレームワークの一部を構成し,以下で説明するシザー組立体によって相互接続されている。具体的に言うと脚16は,それぞれ一対のシザー組立体24及び26によって,隣接する脚18及び22に対し相互接続されている。脚20は,それぞれ第三,第四の対のシザー組立体28及び30によって,隣接する脚18及び22に対し相互接続されている。図3に示す好ましい実施例では,シザー組立体26及び28が支持構造体12の反対側を構成し,第五の即ち内部シザー組立体32によって相互接続されている。シザー組立体24,26,28,及び30は同様の構造のため,シザー組立体24のみを説明のために,十分に記述する。しかし,各シザー組立体26,28,及び30の通常の構造は同様であると理解されたい。」
(3-4)明細書第3欄第37?54行
「Scissor assembly 24, as is shown in FIG. 3, is defined by a pair of X-shaped scissor units 34 and 36, each of which is formed by a pair of tubular cross arms of square-shaped cross-section. Scissor unit 34 is formed by first elongated arms 38 and 40 which are pivotally attached to one another at a midpoint Arm 38 is pivotally secured at a first end 42 to a slide bracket 44 that is slidably received on leg 16. A first end 46 of elongated arm 40 is pivotally secured to top 48 of leg 16. Similarly, scissor unit 36 is formed of a pair of elongated arms 50 and 52 which are pivotally attached to one another at their midpoint. A first end 54 of arm 50 is pivotally secured to a slide bracket 56 which is slideably received on leg 18, and a first end 58 of arm 52 is pivotally secured to the top 60 of leg 18. A second end 62 of arm 38 is pivotally connected to a second end 66 of arm 50, and the second end 64 of arm 40 is pivotally connected to second end 68 of arm 52.」
(訳)「シザー組立体24は,図3に示すように,一対のX状シザーユニット34及び36により構成されている。そして,各シザーユニット34及び36は,一対の矩形状断面の中空のクロスアームにより構成されている。シザーユニット34は,中間点で互いに枢動可能に取り付けられた第一の細長いアーム38及び40により形成されている。アーム38は,第一端42が,脚16にスライド可能に受けられたスライドブラケット44に枢動可能に取り付けられている。細長いアーム40の第一端46は,脚16の上端48に枢動可能に取り付けられている。同様に,シザーユニット36は,中間点で互いに枢動可能に取り付けられた一対の細長いアーム50及び52により形成されている。アーム50の第一端54は,脚18にスライド可能に受けられたスライドブラケット56に枢動可能に取り付けられている。そして,アーム52の第一端58は,脚18の上端60に枢動可能に取り付けられている。アーム38の第二端62は,アーム50の第二端66に枢動可能に接続され,そして,アーム40の第二端64は,アーム52の第二端68に枢動可能に接続されている。」
(3-5)明細書第3欄第55行?第4欄第3行
「Internal scissor assembly 32 is formed by a pair of X-shaped scissor units 70 and 72, as is shown in FIGS. 3 and 3A. The construction of internal scissor assembly 32 is similar to that described above with respect to scissor assembly 24, with the differences in construction best shown in FIGS. 5, 6, and 7. As is shown in those figures, scissor unit 70 is formed by pair of elongated tubular arms 74 and 76 which are hinged together at their mid-sections. Similarly, the scissor unit 72 is formed by a pair of elongated tubular arms 78 and 80 also hinged together at their mid-sections. Scissor units 70 and 72 are connected to one another and to a sleeve 82 and a socket 92. Particularly, sleeve 82 is provided with a tab 84 projecting therefrom. Elongated arms 76 and 78 are pivotally connected to tab 84 by means of a bolt or rivet 88, with a low-friction washer 86 placed between arms 76 and 78.」
(訳)「内部シザー組立体32は,図3及び3Aに示されているように,一対のX状シザーユニット70及び72により形成されている。内部シザー組立体32の構造は,図5,6及び7に最もよく示されている構造状の相違があるものの,上述したシザー組立体24に関するものと同様である。これらの図に示されているように,シザーユニット70は,中間点で互いに枢動可能に取り付けられた一対の細長い中空アーム74及び76により形成されている。同様に,シザーユニット72は,中間点で互いに枢動可能に取り付けられた一対の細長い中空アーム78及び80により形成されている。シザーユニット70及び72は互いに接続されるとともに,スリーブ82及びソケット92に接続されている。特に,スリーブ82はそこから突出するタブ84を備えている。細長いアーム76及び78は,アーム76及び78の間に配設された低摩擦ワッシャー86とともに,ボルト又はリベット88によって,タブ84に枢動可能に接続されている。」
(3-6)明細書第4欄第4?10行
「Socket 92 is cup-shaped in configuration and is defined by surrounding sidewall 94 and a bottom wall 96. Socket 92 includes a tab 98 projecting therefrom which serves to interconnect scissor units 70 and 72. Particularly, elongated arms 74 and 80 are pivotally secured to tab 98 by means of a bolt or rivet 102, with a low-friction washer 100 placed between arms 74 and 80.」
(訳)「ソケット92はカップ状に形成されており,周囲の側壁94と底壁96とを備えている。ソケット92はそこから突出するタブ98を含んでいる。タブ98はシザーユニット70及び72の相互接続を受け持っている。特に,細長いアーム74及び80は,アーム74及び80の間に配設された低摩擦ワッシャー100とともに,ボルト又はリベット102によって,タブ98に枢動可能に接続されている。」
(3-7)明細書第4欄第11?27行
「Sleeve 82 and socket 92 mount a central or interior post 106 which has a lower end 108 and a cap 110 located on an end thereof opposite end 108. Post 106 extends through sleeve 82 so that end 108 may be mateably and releaseably received by socket 92. When the canopy shelter is moved into the collapsed state, socket 92 disengages from end 108 of post 106, as is shown in phantom in FIG. 6. However, when the canopy shelter is moved into the expanded position, end 108 is positively engaged and supported by socket 92 so that cap 110 is pressed against a reinforcement pad 112 secured to a central portion of covering 14. Preferably, post 106 has a length which is sized to elevate the center of covering 14 slightly higher than the tops of legs 16,18, 20 and22 so that water may run off canopy covering 14. In this manner, then, the central portion of covering 14 is supported by post 106 of internal scissor assembly 32.」
(訳)「スリーブ82及びソケット92は,下端108と,該下端108の他端に配設されたキャップ110とを有する中央又は内側のポスト106に乗っている。ポスト106は,下端108が着脱可能にソケット92に受けられるように,スリーブ82を介して延設されている。キャノピーシェルターが折り畳まれた状態にされたとき,図6に仮想的に示されているように,ソケット92はポスト106の下端108からの連結が解除される。しかしながら,キャノピーシェルターが展開された状態にされたとき,キャップ110がカバー14の中央部分に設けられる補強パッド112に対して押圧されるように,下端108はソケット92により積極的に連結支持される。キャノピーカバー14から水を流下させるため,ポスト106は,脚16,18,20,及び22の上端よりも若干高めにカバー14の中央を持ち上げる長さを備えていることが好ましい。このように,カバー14の中央部分は内部シザー組立体32のポスト106で支持される。」
(3-8)明細書第4欄第28?47行
「A representative connection of internal scissor assembly 32 to a side scissor assembly 28, is shown in FIG. 5. In this figure, an L-shaped bracket 114 is pivotally connected to the end of tubular elongated arm 78 that is opposite the end connected to tab 84 of sleeve 82. Arm 78 is provided with a hole 118 extending therethrough, and L bracket 114 has a complimentary hole 120. A bolt or rivet 116 is then passed through holes 118 and 120, and a bushing may be used to prevent the collapse of the sidewalk of arm 78. Scissor assembly 28 includes elongated tubular arms 122 and 124 which are provided, at adjacent ends, with holes 126 and 128, respectively. L bracket 114 has a second hole 130 which is alignable with holes 126 and 128, and a bolt or rivet 132 extends through these holes so that arms 122 and 124 are pivotally secured to bracket 114 and to each other. A low-friction washer 125 is positioned between arms 122 and 124 on rivet 132. Thus, any scissor movement of scissor assembly 28 causes a corresponding movement to scissor assembly 32.」
(訳)「内部シザー組立体32のサイドシザー組立体28への代表的な接続は,図5に示されている。この図において,L形ブラケット114は,細長い中空アーム78の端部に枢動可能に接続されている。この中空アーム78の端部は,スリーブ82のタブ84に接続された端部の反対側の端部である。アーム78は貫通した孔118を備え,L形ブラケット114は対応する孔120を備えている。ボルト又はリベット116は孔118及び120に挿通され,アーム78の側壁の摩耗を防止するためにブッシュを用いてもよい。シザー組立体28は隣接する端部に孔126及び128をそれぞれ備えた細長い中空アーム122及び124を含んでいる。L形ブラケット114は,孔126及び128により整列できる第二孔130を備えている。そして,アーム122及び124がブラケット114に対し,互いに枢動可能に取り付けられるように,ボルト又はリベット132がこれらの孔を挿通する。低摩擦ワッシャー125は,リベット132におけるアーム122及び124の間に配設される。このように,シザー組立体28のあらゆるハサミ状の動作は,シザー組立体32に対応する動作を引き起す。」
(3-9)明細書第4欄第48?65行
「The construction of the upright supports or legs, and their interconnection to the scissor assemblies is best shown in FIG. 4 where upright support or leg 16 is shown. It should be appreciated that the structure shown in FIG. 4 and described herein corresponds to legs 18, 20 and 22 as well. In FIG. 4, leg 16 comprises a hollow, tubular inner telescoping member 134 and a hollow, tubular outer telescoping member 136 which slideably receives an internal end portion of member 134. The internal end portion of member 134 is provided with a button latch 138, and member 134 terminates in a ground engaging foot or end 140 opposite its internal end. Member 136 is provided with a plurality of holes 142 at its end which receives member 134. Holes 142 are adapted to engage with button latch 138 thereby allowing selective adjustment of the relative positions of telescoping members 134 and 136, as is known in the art.」
(訳)「垂直支持体としての脚16を示す図4は,垂直支持体としての脚の構造,及びシザー組立体に対する脚の相互接続を最もよく示す。図4で示しここで説明する構造は,脚18,20,及び22にも該当することが理解されよう。図4において脚16は,中空の管状内部入れ子式部材134及び中空の管状外部入れ子式部材136からなる。外部入れ子式部材136は,部材134の内端の部分をスライド可能に収納する。部材134の内端の部分にはボタンラッチ138があり,部材134は,足即ちその内端の反対側にある端140が接する地面にて終端している。部材136は末端に複数の穴142を備え,部材134を受け入れる。穴142は,ボタンラッチ138とかみ合うように適合されており,これにより,当該技術分野で周知であるように,入れ子式部材134及び136の相対的位置の選択的調節ができる。」
(3-10)明細書第4頁第66行?第5欄第4行
「A second button latch 144 is mounted on a top section of telescoping member 136, and latch 144 is adapted to releaseably retain slide bracket 44 in a locked position with respect to leg 16, this locked position corresponding to the expanded position for canopy shelter 10. A corner bracket 146 is attached to leg 16 at a top end 148 opposite end 140.」
(訳)「第二ボタンラッチ144は,入れ子式部材136の上端部にあり,脚16の固定位置でスライドブラケット44を開放可能に保持するよう適合されている。この固定位置は,キャノピーシェルター10の展開状態に対応している。コーナーブラケット146は,端部140の反対の上端部148で脚16に取り付けられている。」
(3-11)明細書第5欄第5?18行
「Slide bracket 44 and corner bracket 146 are mounted to scissor assemblies 24 and 26. To this end, slide bracket 44 includes a pair of tabs 150 and 152 which project laterally of bracket 44 and at right angles to each other. Elongated arm 38 is pivotally secured to tab 150 by means of bolt or rivet 154, and elongated arm 39 of scissor assembly 26 is pivotally secured to tab 152 in a similar manner. Corner bracket 146 is also provided with a pair of tabs 156 and 158 which laterally project therefrom at right angles to each other. Elongated arm 40 of scissor assembly 24 is pivotally secured to tab 156 by means of a bolt or rivet 160, and elongated arm 41 of scissor assembly 26 is pivotally secured to tab 158 in a like manner.」
(訳)「スライドブラケット44及びコーナーブラケット146は,シザー組立体24及び26に取り付けられている。この目的のためスライドブラケット44は,横へ突出し互いに直角をなす,一対のタブ150及び152を持つ。細長いアーム38は,ボルト又はリベット154によってタブ150に枢動可能に取り付けられている。シザー組立体26の細長いアーム39は,同様の方法でタブ152に枢動可能に取り付けられている。コーナーブラケット146も,横へ突出し互いに直角をなす,一対のタブ156及び158を備えている。シザー組立体24の細長いアーム40は,ボルト又はリベット160によりタブ156に枢動可能に取り付けられており,シザー組立体26の細長いアーム41は,同様にタブ158に枢動可能に取り付けられている。」
(3-12)明細書第5欄第19行?30行
「Covering 14, as is shown in FIG. 4, is defined by a top panel 162 and surrounding side panels 164 are connected to top panel 162 around its perimeter and extend downwardly alongside support framework 12. Thus, top panel 162 and side panels 164 define a dome-liked covering which encases the upper portion of framework 12. A reinforcement panel 166 is provided at each corner bracket 146 to help absorb any stress or tearing forces on covering 14 when canopy shelter 10 is in its expanded position. Preferably, covering 14 is constructed of a flexible, lightweight canvas, nylon or other tent material, as are available in the art.」
(訳)「カバー14は図4に示すとおり,頂部パネル162で構成され,周囲を囲むサイドパネル164が頂部パネル162の周囲を囲んで接続され,支持フレームワーク12に沿って下方へ伸びている。このように頂部パネル162及びサイドパネル164がドームのようなカバーを構成し,フレームワーク12の上部を覆う。補強パネル166が各コーナーブラケット146に備えられ,キャノピーシェルター10が展開状態の場合に,カバー14に対する一切の張力即ち引き裂く力の吸収を助ける。カバー14は,当該技術分野で利用可能な,柔軟性のある軽量な帆布,ナイロン又は他のテント用材料で構成されることが好ましい。」
(3-13)明細書第5欄第51?68行
「Referring back to FIG. 1, an optional screen 176, such as a mosquito netting, may be releasably retained around the parallelepiped volume defined by support framework 12. Preferably, screen 176 is mounted to a plurality of mateable metal snaps 178 located at its top edge and along its bottom edge of side panels 164, but other fastening devices could be used to connect screen 176 to covering 14. To further stabilize canopy shelter 10, especially on windy days, each leg, such as leg 16, is provided with a locking ring 180 that mounts a guy cord 182 that may be staked into the ground, as is shown in FIG. 1. Locking ring 180 is slideable along leg 16 to its desired position, but, when tension is placed on cord 182, locking ring 180 becomes jammed at the desired location on leg 16, and is known in the art. Slits may be provided at the corner edges of screen 176 so that guy cords 182 may extend therethrough when screen 76 encircles support frame 12.」
(訳)「図1を再び参照すると,蚊よけの網など任意のスクリーン176が支持フレームワーク12で構成される平行六面体の周囲に着脱可能に保持できる。スクリーン176は,その上端と,サイドパネル164の底部の端に位置する,複数の結合可能な金属スナップに取り付けられることが好ましい。しかし,スクリーン176は,他の留め具を使用してカバー14に接続してもよい。特に強風の日にキャノピーシェルター10をさらに安定させるため,脚16など各脚は,固定リング180を備えている。固定リング180には,図1で示すように,地面にくいで固定できる張り綱182を取り付ける。固定リング180は,所望の位置に脚16に沿ってスライド可能であるが,コード182に張力がかかると,当該技術分野において周知であるように,固定リング180は脚16上の所望の場所に固定される。スクリーン76が支持フレーム12を取り囲む場合,張り綱182がこれを通って延び得るように,スクリーン176のコーナー端にスリットを入れてもよい。」
(3-14)明細書第6欄第1?23行
「From the foregoing description, it should be appreciated that the canopy shelter 10 may be moved from a collapsed state, shown in FIG. 2, to the expanded state, shown in FIG. 1, and back again with relative ease. To accomplish this, the user of the present invention simply moves a pair of adjacent legs, such as legs 16 and 18, apart from one another. When this occurs, scissor assembly 24 begins to expand in a lateral direction and, since all of the scissor assemblies are interconnected with one another, scissor assemblies 26, 28 and 30 also move apart from one another, thus separating legs 16, 18, 20 and 22. Each respective side bracket, such as slide bracket 44, is then moved along its support leg until it is adjacent the top sections of its leg where it may be latched into position by means of button latches 144.
As scissor assemblies 24, 26, 28 and 30 move into the expanded position, it should also be appreciated that scissor assembly 32 is forced to expand so that socket 92 is moved toward sleeve 82. As this takes place, lower end 108 of post 106 is positioned in socket 92 so that bottom wall 96 positively supports cap 110 against covering 14. Thus, the central portion of covering 14 is supported by post 106.」
(訳)「前述の説明から,キャノピーシェルター10は,比較的容易に図2で示す折り畳まれた状態から図1で示す展開状態にし,再度折り畳まれた状態に戻すことが認められたはずである。本発明の使用者はこれを遂行するため,脚16と18などの一対の隣接する脚を互いが離れるように単に動かす。こうすることにより,シザー組立体24は横方向へ展開し,すべてのシザー組立体が互いに相互接続しているため,シザー組立体26,28,及び30も互いに離れるように移動する。こうして脚16,18,20,及び22が離れる。次にスライドブラケット44などそれぞれのサイドブラケットが支持脚に沿って動き,脚の上端部に近接してボタンラッチ144によって固定される。
シザー組立体24,26,28,及び30が展開状態になる際,シザー組立体32は,ソケット92がスリーブ82のほうへ移動するために強制的に展開されることも理解されよう。これにより,底壁96がカバー14に接するキャップ110を積極的に支持するために,ポスト106の下端108が,ソケット92に配置される。このように,カバー14の中央部は,ポスト106によって支持される。」
(3-15)図面に記載された事項
(a)上記記載を参酌して,FIG.3Aを見ると脚16,18,20,22は断面矩形状であること,また,同様にFIG.4を見ると,スライドブラケット44等のスライドブラケットは脚が嵌合される断面矩形状の中空部が形成された収容部を備えることがわかる。
(b)同様にFIG.3,FIG.3A,FIG.4を見ると,シザー組立体の1対の上側の端部及び下側の端部である第一端42,46,54,58で脚に枢動可能に取り付けられること,シザー組立体はシザーユニットの上端部及び下端部である第二端62,64,66,68で相互に連結されるように構成され,該シザーユニット間の連結部である第二端は脚により支持されていないことがわかる。
(c)同様にFIG.3A,FIG.4を見ると,シザー組立体を構成する矩形状断面のクロスアーム38,39,40,41の端部42等とタブ150,152,156,158とは平面状の接触面を形成し,端部の表面には突起が存在しないことがわかる。
(d)同様にFIG.4を見ると,展開状態においてシザー組立体の外側側面全体がキャノピーカバー14に覆われることがわかる。

4.甲4:実願昭57-91580号(実開昭58-195553号)のマイクロフィルム
甲4には,「折畳み式ベンチ」に関する発明が記載されており,図面とともに以下の記載がある。
(4-1)明細書第2頁第3?8行
「本考案は数人で腰掛けせられるベンチを横方向にワンタツチで開展折畳みせられると共に体積も最小限に縮小せられて携行収蔵に至便であり然も部材の種類が少なく且組立て作製も容易にして安価堅牢なこの種折畳み式ベンチを提供するものである。」
(4-2)明細書第3頁第4行?第4頁第8行
「即ち実施例の図面に示したように2本の同径等長の金属製脚管1,2の各中央部を開閉自在に枢着Pしたクロス脚Xの多数本を設け,且これらクロス脚を順次横平行に配すると共に各クロス脚Xの前後端間毎にそれぞれクロス脚Xを介設してその交錯状に集交した各脚管1,2の上下端口に,中央部に円形の挿孔Rを穿ち且該挿孔の片面外周に平面巴状に各軸受けWを立設した一体のナイロン又は合成樹脂製軸受け盤3における対角的に該当する各軸受けWに介装軸支tされたナイロン又は合成樹脂製の各軸継ぎ手4の基部4′を嵌着し然して後列側の上下各軸受け盤3の挿孔Rに各長尺な背もたれ管5を串通してその各下端を各下部軸受け盤3の挿孔Rに固着し又前列左右側端の上下各軸受け盤3の挿孔Rには,縮小極限においてクロス脚Xの所要開き角度一杯即ち腰掛け高さ相応の高さとなる各伸縮管6の内管a上端と外管b下端をそれぞれ固着してベンチの骨格を構成し,然して各クロス脚X上端の軸受け盤3の上面に細幅長尺の座布7の長手両端を順次止め金Tにて着脱自在に取着けすると共に各背もたれ管5の上端には細幅長尺の背もたれ布8に等間隔に縫着した皮製等の強靱な各袋筒部8′を抜き差し自在に嵌着して成るものである。」
(4-3)明細書第4頁第9行?第5ページ第1行
「本案は以上のように同形多数のクロス脚Xを前後及び横方向に配し且その各脚管1,2上下端の交錯状集交部毎軸受け盤3における軸受けWに軸支せしめたので各クロス脚Xはその各中央枢着部Pを軸として前後及び横方向自在に開閉し従つてベンチ全体を横方向に挟圧又は拡開すれば自ら縦方向にも開閉するのでベンチ使用時には前後のクロス脚Xの所要開き角度に座布7及び背もたれ布8を伴つて最大限開展せられると共に不使用時には前後及び横方向の両面よりこれ又座布7及び背もたれ布8を伴つて折畳まれるので最小限に縮小せられ然もワンタツチで迅速容易に操作せられる。」
(4-4)明細書第5頁第2?10行
「従つて本案は携行収蔵に至便なことは勿論であるが更に本案においては前列両側端の各上下軸受け盤3間にはクロス脚Xの所要開き角度と高さを縮小限度とする各伸縮脚6を介設したので座布7面を腰掛けに快適な程よい凹曲面に保持せしめるのと緊張による該座布の寿命を短かゝらしめることがない利点とベンチ両側を安定的に支持し傾倒破損を防止する効果を具有するものである。」
(4-5)明細書第6頁第2?13行
「図は実施例であつて,第1図は本案におけるベンチ骨格の斜面図であつて座布及び背もたれ布の装着状態を想像示する。第2図は本案におけるベンチ骨格の前列左右の伸縮脚上下端及びクロス脚端を上下の軸受け盤にそれぞれ装架した状態を示す各一部欠截拡大正面図,第3図は背もたれ管の上部及びクロス脚の脚管の上端を後列の上部軸受け盤に装架した各部欠截拡大正面図,第4図は軸受け盤の拡大図であつて(A)は平面図,(B)は同上の側面図,第5図は軸継ぎ手の拡大図であつて(C)は側面図,(D)は正面図,(E)は俯瞰平面図である。」
(4-6)図面に記載された事項
(a)上記記載を参酌して第2?4図を見ると,軸受け盤3は,隔置された平行な側壁部分により形成され互いに直交する軸受けWを有し,下側の軸受け盤は,その平行な壁部がその下端部において水平な壁部で相互に連結され,上側の軸受け盤は,その平行な壁部がその上端部において水平な壁部で相互に連結されていることがわかる。
(b)同様に第5図を見ると,(C),(D)に示された軸継ぎ手4の図示上部の部分において,軸受けに介装軸支される外側端部は,平行な側壁部分に接する面((D)の左右の面,(E)の上下の面)は平面で,平行な側壁部分に接しない面((C)の左右の面,(E)の左右の面))が丸みを帯びた略長方形断面であり,軸受け盤3に軸受けされる箇所は突部とされていることがわかる。
(c)同様に第1図を見ると,ベンチの骨格は4本の背もたれ管5及び2本の伸縮管6で支持されていることがわかる。

5.甲5:特開昭48-29212号公報
甲5には,「折畳み仮設建物」に関する発明が記載されており,図面とともに以下の記載がある。
(5-1)第2頁左上欄第3行?右上欄第9行
「先づ第1図立面図 第2図側面図に示したように 第1図及び 第2図の各2は通常建物の場合の土台に類するものである 第1図及び 第2図の3は 桁 4は 合掌及び 角合掌 5は 棟木に相当する これを図のように幾何学的構造にして 折畳みを可能にし 又柱を上下に伸縮出来るよう 柱に軽金属 鉄 又は合成樹脂のパイプ等を利用して 三重構造とした 第3図の 6は外柱として 7の中柱を外柱内部に差し込み 土台及び 桁 合掌等を 9の取付プレートに 10の取付ボルトにて接続し 8の芯柱を 7の中柱内部を通して 建物上下(土台部分 小屋部分 桁部分) を組合せる 又8の芯柱は 6の外柱最上部及び 最下部の各内部に固定金具を設け 芯柱が外柱最上部以上 又は最下部以下に抜け出さないようにする これにて建物上下の最低の間隔を保ち なほ開閉時には 土台 桁 合掌等が横に連繋的に作動する為 7の中柱のみが 反動伸縮性により上下運動をおこす これにより芯柱は 土台部分と小屋部分の連繋を保ち折畳時の高さを維持出来る 第4図は 合掌及び 角合掌 棟木取付プレート 第5図は 小屋伸縮及び 上下作動部分 第4図の取付プレートを 正方形建物の場合は上下に各1箇づゝ計2箇を使用 長方形建物の場合には上下に各2箇づゝ計4箇を使用し これに合掌及び 角合掌 棟木等を接続し小屋構造とする」
(5-2)第2頁左下欄第1?4行
「なほ 第7図に示した開き止め装置を小屋中央部に取り付け 小屋部分の下降を止めると同時に小屋全体の強度をこれにてさゝえる」
(5-3)第3図に示された取付プレート9は断面コ字状の部材で,その平行な向き合った側壁部分間に角パイプが配置され,取付ボルト10がそれらを貫通して接続されているのがわかる。第4図に示された取付プレートも同様の構造を有し,第7図にも同様の構造が見て取れる。

6.甲6:実公昭17-13415号公報
甲6には,「半球形天幕」に関する発明が記載されており,図面とともに以下の記載がある。(当審注:一部について旧漢字を新漢字とした。)
(6-1)第1頁下欄第5?11行
「中央ニ眞束(10)及支柱ヲ挿入シ得ル孔(9)ヲ有スル金屬製轆轤ノ周圍ニ切込(13)ヲ設ケ其ノ切込ニ第三圖ニ示ス如クコ字形ニ形成セル縁金(14)ヲ熔著シ之ニ竹又ハ其ノ他ノ彈力ヲ有スル資材ニテ製セル方杖(15)ノ一端ニ第七圖ニ示ス如ク金屬製端部(16)ヲ冠著シ端部(16)ニ止穴(17)ヲ穿設シ軸(11)ヲ通シ縁金(14)ニ關著ス」

7.甲7:特開昭52-46616号公報
甲7には,「アンブレラ テント」に関する発明が記載されており,図面とともに以下の記載がある。
(7-1)第4頁左上欄第14?17行
「図示の実施態様においては,テント骨組は相互に90゜離間した4個のリブ22を含む。 したがつて,フランジ10は90゜間隔で配置された4対の横に延在するラグ14を備えている。」
(7-2)第4頁右上欄第2?14行
「各リブ22の端部の中間にはピボツト ブラケツト26が固着されている。 第11図にもつともよく示されているように,このブラケツトは断面がほぼC字形である。 ブラケツトの閉端はリブの中間部分を受入れるために縦グループを備えている。 リブは前述したねじと同様にねじのような手段でブラケツトに固着されている。 ブラケツトの離間した端部はそれらの間にカプリング部品の外部部分28を自由に受入れている。ブラケツトの離間した端部とカプリング部品にある整合開口はピボツト ピン30を受入れ,それによりカプリング部品はブラケツトに回動可能に固着されている。」
(7-3)第9頁右下欄第3?11行
「図示の実施形態(第21図)では,これを達成するために,フラツプ材料に,リブ セクシヨン22に設けられたねじ付き開口と重なり合う開口152が,好適にはブラケツト26とピボツト ボルト30’を担持するカプリング部品とに隣接して設けられ,アンカー ボルト154を受け入れるようになつている。 このようにして,シールド フラツプは着脱可能であるが,実質的に永久的に定位置に保持してもよい。」
(7-4)第21図に示されたブラケット26の平行な向き合った側壁部分間に外部部品28が配置され,ピボツト ボルト30’がそれらを貫通して接続されているのがかわる。

8.甲8:実願昭63-145489号(実開平2-66141号)のマイクロフィルム
甲8には,「折り畳み式腰掛け」に関する発明が記載されており,図面とともに以下の記載がある。
(8-1)明細書第10頁第15行?第11頁第16行
「脚部13は,上記筒体11の下部でこの筒体11の内部に上下方向に摺動可能に嵌挿された脚部保持体31と,この脚部保持体31に対して半径方向外側に互いに開脚可能に例えば図示のようにピンにより枢支された三本の脚32,33,34と,・・・を含んでいる。」
(8-2)明細書第15頁第8?13行
「第5図は本考案による他の実施例を示しており,この折り畳み式腰掛け40は,第1図の実施例と同様に・・・構成されている。」
(8-3)明細書第17頁第11?17行
「脚部43は,筒体41の下部で筒体41の内部に上下方向に摺動可能に嵌挿され・・・た脚部保持体47と,この脚部保持体47に対して半径方向外側に互いに開脚可能に例えば図示のようにピンにより枢支された三本の脚32,33,34とを含んでいる。」
(8-4)第1図には一実施例を示す概略斜視図が示され,脚32,33が,平行な向き合った側壁部分を有する部材の間にピンにより枢支されているのが見て取れる。
(8-5)第5図,第7図及び第8図にはそれぞれ,他の実施例を示す概略斜視図,一部破断拡大斜視図及び折り畳んだ状態を示す概略斜視図が示され,脚32,33が,平行な向き合った側壁部分を有しその上端部において水平な壁部分で相互に連結された部材,の間にピンにより枢支されているのが見て取れる。

9.甲9:実願平1-5510号(実開平2-96933号)のマイクロフィルム
甲9には,「折畳み椅子」に関する発明が記載されており,図面とともに以下の記載がある。
(9-1)明細書第2頁第2?17行
「[従来の技術]
従来から携帯用の折畳み椅子には,木材や金属パイプ等で作られた枠材に腰掛け布材を張設した種々の形式のものが知られている。
[考案が解決しようとする課題]
しかしながら,これらの折畳み椅子は一般に折畳んでもあまり小さくならないために,鞄やケース等に収納し難いという欠点がある。
また,組み立てた状態では機械的強度及び安定度が弱く,体重の重い人が不用意に腰掛けた場合には,損壊し易いという欠点もある。
本考案の目的は,組立てた状態では機械的強度及び安定度が良く,また折畳んだ状態では鞄やケース等に容易に収納し易いように,小型に束ねることができる折畳み椅子を提供することにある。」
(9-2)明細書第5頁第5?16行
「第3図は上述の実施例に用いられているかなめ金具8a,8b,第4図は鈎型金具4aを示している。第3図に示すように,かなめ金具8a,8bは左右対称の2つの金具M1とM2を組合わせて構成され,この2つの金具M1とM2は孔P1を通る枢軸7a,7b及び孔P2,P3を通る取付用ピン11によって相互に組合わされている。また,鈎型金具4a及び4bも第4図に示すように,左右対称の2つの金具N1とN2を組合わせて構成され,これらの2つの金具N1とN2は孔S1を通る軸12及び孔S2を通る取付用ピン11によって相互に結合されている。」

10.甲10:実公昭38-2860号公報
甲10には,「傘骨」に関する発明が記載されており,図面とともに以下の記載がある。
(10-1)第1頁左欄第6?10行
「本案は骨杆1をプラスチツク等の資材により断面肉厚樋状に形成すると共に内側に突出軸部2を有する突堤枢着部3を一体的に形成し,この突堤枢着部3に嵌合する貫孔4を先端に穿設した連結骨杆5を枢着してなる傘骨に関するものである。」

11.甲11:実公昭38-1674号公報
甲11には,「傘骨」に関する発明が記載されており,図面とともに以下の記載がある。
(11-1)第1頁左欄第6?12行
「本案は骨杆1をプラスチック等の資材により断面肉厚樋形に形成すると共に両側に枢軸2を突出せしめた突堤枢着部3を一体的に形成し,また貫孔4を穿設した双脚部5を一体的に形成した連結骨杆6をその双脚部5を突堤枢着部3に挟持せしめ枢軸2に貫孔4を嵌合せしめることにより両杆1,6を枢着してなる傘骨に関するものである。」

12.甲12:特開昭57-80967号公報
甲12には,「荷物運搬用トロリー」に関する発明が記載されており,図面とともに以下の記載がある。
(12-1)第5頁左下欄第1?12行
「ブラケツト8及び9が,ブリツジの側方片5及び6から外方へと突き出るように,側方片5及び6の他端部に溶接されている。これらのブラケツトはチヤネル形状であつてそしてその側方梁2及び3は管状のヒンジピン10及び11によつてそこに枢軸状に接続されている。第1図での矢印にて示されている如く,これらのヒンジ接続は,それら側方梁が,第1図に示されているそれらの平行位置から,それらが第2図において代表されている如きそのブリツジの側方片に密に沿つて横たわる互いに近寄る位置へと内方に向けて揺動されるのを可能にしている。」

第7.無効理由についての判断
1.甲1に記載された発明に基づく容易性
(1)引用発明1の認定(甲1に記載された発明)
上記記載事項(1-1)?(1-9)及び各図面の記載からみて,甲1には,
「わく組立と折畳み操作が簡易な伸縮瞬間わく組立家屋結構であり,地面の上方にテントを支持することができる伸縮瞬間わく組立家屋結構において,
(a)各々が地面上に配置可能な底台片と,前記底台片と反対側の上端部とを有する複数個の直立した角型柱体の,主支柱とその下部に固定された伸縮支柱からなる4本の支柱を備え,前記支柱は折畳まれた状態で相互に相並ぶように向けられ,そして展開状態に向かって相互に離れて外方に移動可能であり,さらに,
(b)2つの交叉式サイドバーの上端部と下端部を相互に連結した,「連結された2つの交叉式サイドバー」を複数個備え,連結された2つの交叉式サイドバーが支柱を相互に連結しているが,2つの交叉式サイドバーの連結部分は支柱には支持されておらず,テントをかぶせた状態で,連結された2つの交叉式サイドバー全体がテントに覆われ,各々の前記連結された2つの交叉式サイドバーが1対の支柱に締め付けられる上側の端部および1対の支柱に締め付けられる下側の端部を有し,前記交叉式サイドバーは開閉するように作用可能であり,それにより前記伸縮瞬間わく組立家屋結構は展開状態と収縮状態との間を移動することができ,さらに,
(c)前記の直立した支柱上に配置されかつ前記連結された2つの交叉式サイドバーを前記支柱に締め付けるように作用する複数個の角型空心柱状の支えバー軸体を備え,該空心部分に支柱をはめ,支えバー軸体の各々は,互いに直交しそれぞれが前記角型空心柱の側壁に平行なサイドバー固定軸片を有し,前記サイドバーの端部の各々は隔置された平行な側壁部分を有し,該平行な側壁部分間に長方形横断面を有するサイドバー固定軸片が挿入されることにより,該平行な側壁部分とサイドバー固定軸片が接触面を形成し,さらに,
(d)前記連結された2つの交叉式サイドバーの各々の前記端部をそれぞれの支えバー軸体のサイドバー固定軸片に枢動可能に固定するボルトまたはリベットを備え,サイドバー固定軸片表面には突起が存在せず,
(e)1対の前記支えバー軸体が前記の直立した支柱の各々の上に配置され,前記の1対の支えバー軸体の一方が上固定支えバー軸体であり,そして前記の1対の支えバー軸体の他方が下活動支えバー軸体であり,前記下活動支えバー軸体が前記の直立した支柱に滑動可能に固定されかつそれぞれの前記連結された2つの交叉式サイドバーが開閉するときに前記支柱に沿って前記上固定支えバー軸体に近い位置と前記上固定支えバー軸体から遠い位置との間に移動可能であり,
(f)前記上固定支えバー軸体に一対の上サイドバー固定軸片が直交して形成され,前記下活動支えバー軸体に一対の下サイドバー固定軸片が直交して形成され
(g)前記上固定支えバー軸体の各々は,それぞれ直交する一対の上サイドバー固定軸片の中央部に,屋根押上バー固定軸片を有し,
(h)前記支えバー軸体は前記伸縮瞬間わく組立家屋結構が展開し,そして収縮するときに前記連結された2つの交叉式サイドバーを開閉させるように相互に関して相対移動可能であり,
(j)テントの屋根部分を支える4本の屋根支えバー及び屋根フレーム押上バーが支柱上に支持され,屋根フレーム押上バーの両端はそれぞれ下活動支えバー軸体の屋根押上バー固定軸片及び屋根支えバーの中間の適当な位置に固定され,屋根支えバーの両端部は隔置された平行な側壁部分を有し,その前端部をそれぞれ中心の屋根梁受軸の屋根フレーム固定軸片に枢動固定され,他端部は上固定支えバー軸体に設けた屋根支えバー固定軸片が該隔置された平行な側壁部分に挿入されることにより両部材が面接触し枢動固定されており,
(k)支柱の伸縮支柱下端に設けられた地面と接する底台片は,上固定支えバー軸体及び下活動支えバー軸体とは別部材であり,貫通孔を有するプレート状の部材である伸縮瞬間わく組立家屋結構であって,
(l)活動挿ピンを支柱上の止め孔まで挿入して下活動支えバー軸体をくい止め固定し,全体が変形または収縮するのを防止する活動挿ピン及び止め孔を備えた伸縮瞬間わく組立家屋結構。」が記載されているものと認められる(以下「引用発明1」という)。

(2)本件特許発明1について
ア 対比
本件特許発明1と引用発明1を対比する。
引用発明1の「伸縮瞬間わく組立家屋結構」は,本件特許発明1の「骨組構造体」に相当する。
以下同様に,「地面」は「支持面」に,
「テント」は「キャノピーカバー」に,
「底台片」は「下端部」に,
「角型柱体の・・・の支柱」は「断面矩形状」の「支持部材」に,
「交叉式サイドバー」は「シザーユニット」に,
「連結された2つの交叉式サイドバー」は「端縁シザー組立体」に,
連結された2つの交叉式サイドバーの「主支柱に締め付けられる上側の端部」及び「主支柱に締め付けられる下側の端部」は端縁シザー組立体の「外側上端部」及び「外側下端部」に,
「支えバー軸体」は「マウント」に,
「角型空心柱状の支えバー軸体」の「空心部分」は「マウント」の「断面矩形状の中空部が形成された収容部」に,
「ボルトまたはリベット」は「締結ピン」に,
「上固定支えバー軸体」及び「下活動支えバー軸体」は「固定マウント」及び「スライドマウント」に,
「屋根支えバー及び屋根フレーム押上バー」及び「屋根支えバー」は「ルーフ支持組立体」及び「ルーフ支持部材」に,それぞれ相当する。
引用発明1の,サイドバーの端部の隔置された平行な側壁部分にはサイドバー固定軸片が挿入されることから,当該部分はソケットを構成し,サイドバー固定軸片がサイドバーの端部の隔置された平行な側壁部分の間に締り嵌め係合しているといえる。
同様に,引用発明1の屋根支えバーの両端部の隔置された平行な側壁部分もソケットを構成している。このソケットが側壁部分を連結する水平な壁部を有しないことは明らかである。
また,引用発明1の「バー固定軸片」,「フレーム固定軸片」及び「屋根押上バー固定軸片」と本件特許発明1の「ソケット」とは,ともに,「枢軸部材」である点で共通する。
さらに,引用発明1の「屋根支えバー・・・の前端をそれぞれ中心の屋根梁受軸の屋根フレーム固定軸片に枢動固定され」及び「他端は屋根支えバー固定軸片が該隔置された平行な側壁部分に挿入されることにより両部材が面接触し枢動固定されており」はそれぞれ,本件特許発明1の「その近位置端部において相互に枢動可能に連結され・・・る複数個のルーフ支持部材」及び「ルーフ支持部材がその遠位置端部において前記の直立した支持部材上の前記固定マウントの中央部の枢軸部材に枢動可能に連結されており」に対応する。
そして,引用発明1の「伸縮瞬間わく組立家屋結構」が「折畳まれ,そして折畳まれた状態で保管され,そして支持面上に展開された状態で組みたてられるようになった展開可能な骨組構造体」であることは明らかである。

したがって,本件特許発明1と引用発明1は,
「折畳まれ,そして折畳まれた状態で保管され,そして支持面上に展開された状態で組みたてられるようになった展開可能な骨組構造体であり,前記支持面の上方にキャノピーカバーを支持することができる骨組構造体において,
(a)各々が支持面上に配置可能な下端部と,前記下端部と反対側の上端部とを有する複数個の直立した支持部材を備え,前記支持部材は折畳まれた状態で相互に相並ぶように向けられ,そして展開状態に向かって相互に離れて外方に移動可能であり,各支持部材は断面矩形状であり,さらに,
(b)複数個の端縁シザー組立体を備え,一つの端縁シザー組立体が前記支持部材のうちの隣接した支持部材を相互に連結し,各々の前記端縁シザー組立体が1対の外側上端部および1対の外側下端部を有し,前記端縁シザー組立体は開閉するように作用可能であり,それにより前記骨組構造体は展開状態と収縮状態との間を移動することができ,展開状態において前記端縁シザー組立体の外側側面全体が前記キャノピーカバーで覆われ,各々の前記端縁シザー組立体は上端部及び下端部において相互に連結されたシザーユニットにより構成され,前記シザーユニット間の連結部は構造を補強するための更なる直立した支持部材により前記支持面上に支持されておらず,前記骨組構造体全体が展開状態において4個の直立した支持部材によってのみ支持されており,さらに,
(c)前記の直立した支持部材上に配置されかつ前記端縁シザー組立体を前記支持部材に締め付けるように作用する複数個のマウントを備え,該各マウントは前記支持部材が嵌合される断面矩形状の中空部が形成された収容部を備え,互いに直交する一対の枢軸部材を有し,該一対の枢軸部材はそれぞれ前記収容部の前記中空部を囲う側壁に平行であり,前記端縁シザー組立体の各々と枢軸部材は締り嵌め係合されるように,マウントまたは端縁シザー組立体の端部の一方が隔置された平行な側壁部分を有するソケットにより形成され,他方が該ソケット内に受け入れられる長方形横断面の端部を有し,それにより前記の平行な側壁部分と共に平面状の接触面を形成し,さらに,
(d)前記端縁シザー組立体の各々の外側端部と枢軸部材とを枢動可能に固定する締付ピンを備え,前記平行な側壁部分と接触する前記端部表面に突起が存在せず,
(e)1対の前記マウントが前記の直立した支持部材の各々の上に配置され,前記の1対のマウントの一方が固定マウントであり,そして前記の1対のマウントの他方がスライドマウントであり,前記スライドマウントが前記の直立した支持部材に滑動可能に固定されかつそれぞれの前記端縁シザー組立体が開閉するときに前記支持部材に沿って前記固定マウントに近い位置と前記固定マウントから遠い位置との間に移動可能であり,
(f)前記固定マウントに一対の枢軸部材が直交して形成され,前記スライドマウントに一対の枢軸部材が直交して形成され,
(g)前記固定マウントの各々は,それぞれ直交する一対の枢軸部材の中央部に,中央部の枢軸部材を有し,
(h)前記マウントは前記骨組構造体が展開し,そして収縮するときに前記端縁シザー組立体を開閉させるように相互に関して相対移動可能であり,
(j)骨組構造体が展開状態にあるときに前記の直立した支持部材により支持面の上方に支持されるルーフ支持組立体を含み,前記ルーフ支持組立体が前記キャノピーカバーを支持するように作用し,前記ルーフ支持組立体が頂点を形成するためにその近位置端部において相互に枢動可能に連結され,かつ展開状態にあるとき相互に離れて半径方向に外方に延びる複数個のルーフ支持部材を含み,各々のルーフ支持部材がその遠位置端部において前記の直立した支持部材上の前記固定マウントの中央部の枢軸部材に枢動可能に連結されており,
(k)支持部材の前記下端部各々が,前記固定マウント及び前記スライドマウントとは別部材であり,貫通孔を有して前記支持面と係合するプレート状部材を備える骨組構造体。」
の点で一致し,以下の各点で相違する。

[相違点1-1]
本件特許発明1では,マウントがソケットを有し,ソケットの平行な側壁部分は上端部又は下端部において水平な壁部分で相互に連結されており,中空部を備える管状構造のシザーバーから構成される端縁シザー組立体の外側端部が該ソケット内に受け入れられて,平行な側壁部分が平面状の接触面に沿って外側端部に作用して前記端縁シザー組立体の横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止するのに対して,引用発明1では,端縁シザー組立体の外側端部がソケットを有し,マウントもシザー組立体も中空部を備える管状構造の部材ではなく,マウントが該ソケット内に受け入れられて,平行な側壁部分が平面状の接触面を形成するものの,その平行な側壁部分は上端部又は下端部において水平な壁部分で相互に連結されておらず,たわみを阻止するかどうか不明な点。

[相違点1-2]
本件特許発明1では,中央の枢軸部材が隔置された平行な側壁部分により形成され前記側壁部分を連結する水平な壁部を有しない中央部ソケットからなり,ルーフ支持部材の遠位置端部が中央部ソケットに枢動可能に連結されているのに対して,引用発明1では,中央の枢軸部材が,隔置された平行な側壁部分により形成され前記側壁部分を連結する水平な壁部を有しないソケットを有するルーフ支持部材(屋根支えバー)の端部に枢動可能に結合されている点。

[相違点1-3]
本件特許発明1では,固定マウントの収容部が,支持部材に沿って前記スライドマウントの方向に向かってすべてのソケットを超えて延び出しているのに対して,引用発明1は,そのような構成を有しない点。

イ 相違点についての判断
[相違点1-1についての判断]
(ア)本件特許発明1は,特に,シザー組立体を相互に連結しかつシザー組立体の端部を捕獲するソケットを有する非圧縮性のマウントの形態の構造用装置に関するものであり,また,支持面の上方にキャノピーカバーを支持することができ,展開状態において4個の直立した支持部材のみによって支持され,支持部材の下端部各々がプレート状部材により支持面と係合する構成を有していること,隣接した支持部材の間に延びる端縁シザー組立体が横方向の力をしばしば受けるが,シザー組立体が相互にかつ隅の支持部材と連結されている場合,締め付けられれば,シザーの作用を阻止し,横方向にたわむときに剪断力をうけるため,連結ボルトが過大な横方向のたわみにより曲り,又は破断し得ること,そのため,本発明の目的は,「トラス組立体のシザー要素のための連結装置であって,シザー構成要素を自由に枢動させると共に,シザー要素の横方向の変形およびねじりによる変形を阻止するように非圧縮性の連結装置を提供すること」や,「構造体を構成する要素を相互に連結するための新規の有用なマウントを設け,そしてさらに複雑な構造体に統合することができる最小限の異なる部品を有する連結装置を使用することにより,折畳み可能なキャノピー構造体を簡単にすること」,「構造上の結合性または強度を有意に損なうことなく重量がより軽い隅の支持部材およびシザーバーを使用することができるキャノピーのための折畳み可能でありかつ展開可能な骨組構造体を提供すること」であること,端縁シザー組立体を直立支持部材に留めるために,支持部材に配置された複数個の新規のマウントは,隔置された向き合う側壁部分によりソケットが形成され,それにより端縁シザー組立体の外側端部を向き合う側壁部分の間に締り嵌め係合するようにソケットのそれぞれ内に捕獲することができ,マウントの平行な側壁部は,平面状の接触面に沿って外側端部に作用し,シザー組立体自体の横方向のたわみ及びねじりによるたわみを阻止する作用をすることが認められる。すなわち,本件特許発明1は,支持部材の下端部が支持面である地面に係合され,上端付近(支持面の上方)にキャノピーカバー等が配置される骨組構造体であることから,風力等によりシザー要素の横方向の変形及びねじりによる変形を生じ得るという課題を有するものであり,マウント(連結装置)の「平行な側壁部分は上端部又は下端部において水平な壁部分で相互に連結されて」いる構成は,シザー要素の上記の変形を阻止する作用を有するものであり,連結部分の構造を改良・強化することにより,課題を解決する手段であるといえる。
(イ)一方,甲1には,引用発明1の「優点」として,「任意に移位可能で定位できる」,「風に吹き倒されるおそれがない」ことが記載され,伸縮支柱(2)下端が一つの底台片(21)に溶接固定されること,第12図には底台片(21)に孔があることが記載されている。そうすると,引用発明1は,止め孔を通じて支持面に定位され,風圧等による横方向の力の影響を受けやすい構造体の上部に屋根等が配置される(第1図?第6図)ことから,風圧等によるシザー要素の横方向の変形及びねじりによる変形をも考慮して,構造体の補強を指向するものと一応認められる。しかし,引用発明1の上固定支えバー軸体,下活動支えバー軸体(本件特許発明1のマウントに相当すると認められる。)は,端縁シザー組立体の外側端部がソケットを有し,上記バー軸体が当該ソケット内に受け入れられるものとなっており,かつ,ソケットの平行な側壁部分は上端部又は下端部において水平な壁部分で相互に連結されていない構成であるところ,甲1には,かかる構成が,シザー要素の上記の変形を阻止する作用を有すること及びそのために連結部分の構造を改良・強化するものであること(本件特許発明1の課題と解決)については,記載も示唆もされていないというべきである。
(ウ)また,甲2,甲3,甲5?甲7,甲9?甲12には,ソケットの平行な側壁部分が上端部又は下端部において水平な壁部分で相互に連結されている構成が示されておらず,また,シザー要素の横方向の変形及びねじりによる変形を生じさせるような力に対する考慮も示唆されていない。また,甲4及び甲8には上記構成と同様の構成が示されているが,以下のとおり,本件特許発明1や引用発明1において想定される,シザー要素の上記の変形を生じさせるような力の作用を考慮した連結装置を開示するものとはいえない。
(エ)すなわち,甲4記載の折畳み式ベンチは,交錯状に集交した脚管の端部の連結器具として軸受け盤の軸受けは平行な向き合った側壁部分を有し,その下端部が相互に連結されているが(第4図),携行収蔵に至便,組立て作製も容易なように,脚の下端が接地面(支持面)に固定される構成は有さず,脚の上下端に脚管が連結されて骨格を構成してベンチに作用する力を支持し,傾倒破損を防止する効果を有するものといえる。
(オ)また,甲8記載の折り畳み式腰掛けは,その脚部が,筒体の下部で筒体の内部に上下に摺動可能に嵌挿された脚部保持体を有し,脚部保持体は,平行な向き合った側壁部分の下端部が相互に連結されているが(第7図),より一層軽量且つ小型に構成され,簡便に携帯可能なようにしたものである。
(カ)そうすると,上記ベンチ及び上記腰掛けは,上記の構成,目的及び用途からして,シザー要素の横方向の変形及びねじりによる変形を生じさせるような態様の力が作用することは想定しがたいものであって,甲4及び甲8に,そのような作用を想定した連結装置が開示ないし示唆されているとは認められない。
(キ)以上によれば,甲1には,本件特許発明1のマウントに相当する上固定支えバー軸体,下活動支えバー軸体の構成により,シザー要素の横方向の変形およびねじりによる変形を阻止する作用を有することは格別記載も示唆もされていないから,甲1に接した当業者が,かかる変形を阻止するために,さらに,上記軸体の構成を,相違点1-1に係る本件特許発明1の構成とすることに容易に想到するとは言い難い。また,仮に,甲1の記載から,引用発明1における上記軸体の構成を変更することの示唆を得たとしても,上記のとおり,甲2?甲12は,ソケットの平行な側壁部分は上端部又は下端部において水平な壁部分で相互に連結された構成は示されていないか,シザー要素の上記の変形を阻止する作用を考慮したものではないから,これらに記載された技術を引用発明1に適用することが容易とはいえない。
(ク)したがって,甲2?甲12には,骨組み構造のたわみやねじりに対する強度を向上するための枢軸構造として「ソケットの平行な側壁部分の一端を水平な壁部で相互に連結」された構造は開示されていないから,引用発明1において,連結装置を,側壁部分が水平な壁部で相互に連結される構成に置換して,相違点1-1に係る本件特許発明1の構成とすることは困難である。
(ケ)これに対し,(a)折り畳み可能な骨組構造体の技術分野における通常の知識を有する当業者にとって,折り畳み可能な椅子の骨組構造体に関する技術知識を有していたと合理的に判断でき,その技術知識に基づけば,甲4及び甲8記載の水平な壁部での連結構造を引用発明1に適用するのは容易であるか否か,(b)「側壁部分が水平な壁部で相互に連結される構成」は,たわみを阻止するという作用効果を発揮させる上で特段の意味を持つとはいえず,引用発明1において,強度の向上を図るため当業者により適宜採用される設計事項にすぎないか否かについて検討する。
(コ)上記(a)の点につき,甲4及び甲8には,ソケットの平行な側壁部分は上端部又は下端部において水平な壁部分で相互に連結された構成が記載されているとしても,シザー要素の横方向の変形及びねじりによる変形を阻止する作用を考慮したものではないから,当業者が,甲4及び甲8記載の技術知識を有していたとしても,それを引用発明1に適用することを容易に想到し得たとは認められない。また,上記(b)の点につき,本件特許発明1において,連結装置に関する「側壁部分が水平な壁部で相互に連結される構成」は,平行な側壁部分を連結してこれを補強するものであることは当業者にとって明らかであるから,シザー要素の横方向の変形及びねじりによる変形を阻止するという課題の解決手段であり,発明の特徴点といえる。甲1?甲12において,構造体の強度の向上を図るとの課題は示唆されるとしても,かかる一般的な課題から,シザー要素の上記の変形を阻止するとの課題が当然に発想され得ることを裏付ける証拠はないから,連結装置に関して上記構成を採用することを,当業者が適宜採用する設計事項と認めることはできない。

[相違点1-2についての判断]
互いに対応する形状を有し,組み合わされることにより係合される2つの部材は,お互いに補完する関係にあり,両部材の配置を任意に交換できるのが普通である。そして,本件特許発明1の中央部のソケットとルーフ支持部材及び引用発明1の屋根フレーム固定軸片と屋根支えバーは,ともにこのような関係にあるから,これらの部材の対応する構成を入れ替えることにより相違点1-2に係る構成を採用することは,当業者が容易になし得る事項である。

[相違点1-3についての判断]
柱状の部材(本件特許発明1においては「支持部材」)に,該柱状部材を収納するブラケット状の部材(同「固定マウント」)を配置し,該ブラケット部材に突出部(同「ソケット」)を設け,当該突出部に他の部材(同「シザーバー」)を支持する構成において,ブラケット部材の形状や厚み等をどのようなものにするかは,用いる各部材との関係や用途,求められる強度等を総合的に参酌して,当業者が適宜決定しうる事項である。(甲3,FIG.4中の44(Slide bracket44)参照)
したがって,引用発明1に上記相違点1-3に係る構成を採用することに,格別の困難性はない。

ウ 小括
以上のとおり,本件特許発明1の相違点1-1に係る構成は,引用発明1及び甲2?甲12に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
よって,本件特許発明1は,引用発明1及び甲2?甲12に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(3)本件特許発明2?6について
上記のとおり,本件特許発明1が引用発明1及び甲2?甲12に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない以上,本件特許発明1の構成をすべて含みさらに他の構成要件を付加した本件特許発明2?6についても,引用発明1及び甲2?甲12に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

2.甲2に記載された発明に基づく容易性
(1)引用発明2の認定(甲2に記載された発明)
上記記載事項(2-1)?(2-13)及び各図面の記載からみて,甲2には,
「折畳まれた状態で保管され,支持面上に拡張状態に組立てられるようになった拡張可能な天蓋構造物は天蓋カバー及び天蓋骨組ユニツトを有し,天蓋カバーが天蓋骨組ユニツトによって支持面の上方に支持され,
(a)各々が支持面上に配置可能な足と,前記足の反対側の上端部とを有する複数個の直立したコーナー支持部材を備え,前記コーナー支持部材は,折畳まれた状態で相互に相並ぶように向けられ,拡張状態に向かって相互に離れて外方に移動可能であり,各コーナー支持部材は,方形横断面を有し
(b)複数個のシザース交差組立体を備え,一つのシザース交差組立体が前記コーナー支持部材のうちの隣接したコーナー支持部材を相互に連結し,各々の前記シザース交差組立体が1対のコーナー支持部材に結合される上部分の端部及び1対のコーナー支持部材に結合される下部分の端部を有し,前記シザース交差組立体は開閉するように作用可能であり,それにより前記天蓋骨組ユニツトは折畳まれた状態と拡張状態との間を移動することができ,拡張状態において前記シザース交差組立体の全体が前記天蓋カバーに覆われ,各々の前記シザース交差組立体は上端部及び下端部にある結合点において相互に連結されたシザースユニツトにより構成され,前記シザースユニツトの結合点は直立したコーナー支持部材により前記支持面上に支持されておらず,前記天蓋骨組ユニツト全体が拡張状態において4本の直立したコーナー支持部材によって支持されており,
(c)前記の直立したコーナー支持部材の上端に第1のU形ブラケツトが取り付けられ,第1のL形ブラケツトが前記第1のU形ブラケツトに隣接してコーナー支持部材に結合され,すべりブラケツトが摺動自在にコーナー支持部材に嵌装され,第2のU形ブラケツト及び第2のL形ブラケツトがともにすべりブラケツトに結合されており,シザース交差組立体の上部分及び下部分の端部はそれぞれピンによって第1及び第2のL形ブラケツトに枢動自在に結合され,第1及び第2のL形ブラケツトのそれぞれにシザース交差組立体を枢動自在に結合する一対の部分が設けられており,
(d)前記シザース交差組立体の上部分の端部を第1のL形ブラケツトにピンによって枢動自在に結合し,前記シザース交差組立体の下部分の端部を第2のL形ブラケツトにピンによって枢動自在に結合し,
(e)コーナー支持部材には,第1のU形ブラケツト及び第1のL形ブラケツトが結合されるとともに,すべりブラケツトが摺動自在に嵌装されかつそれぞれのシザース交差組立体が開閉するときに前記コーナー支持部材に沿って前記第1のU形ブラケツト及び第1のL形ブラケツトに近い位置と遠い位置との間に移動可能であり,
(g)第1のU形ブラケツトは屋根支持部材を枢動自在に結合する部分を有し,
(h)前記第1のU形ブラケツト及び第1のL形ブラケツトとすべりブラケツトとは,前記天蓋骨組ユニツトが拡張し,そして折畳まれるときに前記シザース交差組立体を開閉させるように相互に関して相対移動可能であり,
(j)天蓋骨組ユニツトが拡張状態にあるときに前記の直立したコーナー支持部材により支持面の上方に支持される屋根支持部材,頂点部分及びカンチレバー部材を含み,それらが前記天蓋カバーを支持するように作用し,その内端において頂点部分に相互に枢動自在に結合され,かつ拡張状態にあるときに伸張状態に確保される複数個の屋根支持部材を含み,各々の屋根支持部材はその外端でピンによって前記の第1のU形ブラケツトに枢動自在に結合されており,
(k)コーナー支持部材の足は,第1のL形ブラケツト,第1のU形ブラケツト及びすべりブラケツトとは別部材であり,支持面上に静止される部材を備える天蓋骨組ユニツト」
が記載されていると認められる(以下「引用発明2」という)。
なお,記載事項(2-5)における「U形ブラケツト」(参照符号36)は,「第2のU形ブラケツト」(参照符号37)との混同を防ぐために「第1のU形ブラケツト」として認定した。

(2)本件特許発明1について
ア 対比
本件特許発明1と引用発明2を対比する。
引用発明2における「天蓋骨組ユニット」は,本件特許発明1の「骨組構造体」に相当する。
以下同様に,「天蓋カバー」は「キャノピーカバー」に,
「足」は「下端部」に,
「方形横断面」の「コーナー支持部材」は,「断面矩形状」の「支持部材」に,
「シザース交差組立体」は「端縁シザー組立体」に,
「シザースユニツト」は「シザーユニット」に,
「ピン」は「締結ピン」に,
「第1のL形ブラケツト」は「固定マウント」に,
「すべりブラケツト」は「スライドマウント」に,
「屋根支持部材」は「ルーフ支持部材」に,
「屋根支持部材,頂点部分及びカンチレバー部材」は「ルーフ支持組立体」に,それぞれ相当する。
また,引用発明2のシザース交差組立体がコーナー支持部材に連結される「上部分の端部」及び「下部分の端部」は,本件特許発明1の「外側上端部」及び「外側下端部」に相当し,同様にシザースユニツトの「結合点」は,シザーユニットの「連結部分」に相当する。
また,引用発明2の屋根支持部材の「内端において頂点部分に相互に枢動自在に結合」及び「拡張状態にあるとき伸張位置に確保される」は,本件特許発明1における頂点の「近傍位置端部において相互に枢動可能に連結」及び「展開上にあるとき相互に離れて半径方向に外方に延びる」にそれぞれ相当する。
引用発明2の「第1のU形ブラケツト」は屋根支持部材(本件特許発明1の「ルーフ支持部材」)の外端を,「第1のL形ブラケツト」及び「第2のL形ブラケツト」は,シザース交差組立体(同「端縁シザー組立体」)の端部を枢動可能に支持しているから,それらの枢動可能に支持する部分は本件特許発明の「ソケット」と,「枢動部分」である点で共通する。そして,記載事項(2-3)の「第1図-第6図は,概ね立方形の構造を有する天蓋構造体」との記載を参酌しつつ,第1図,第2図の全体の斜視図及び第4図の側面図における骨組みの構造を見れば,引用発明2の天蓋構造体は平面視で正方形で,その中心に屋根の頂点が存在するものといえるから,引用発明2の各コーナー支持部材及び各すべりブラケツトに設けられる第1,第2のL形ブラケツト38,39のシザース交差組立体を枢動自在に結合する部分は互いに直交方向に形成され,それら直交方向に形成される枢動自在に結合される部分の中間に屋根支持部材を枢動する第1のU形ブラケツト36の枢動部分を有するものといえる。してみれば,引用発明2の第1,第2のL形ブラケツトの「枢動部分」は,本件特許発明1と同様に「互いに直交する」ものであり,引用発明2の第1のU形ブラケツトの枢動部分は,本件特許発明1の中央部のソケットと同様にそれら一対の枢動部分の「中央部」に形成されるものである。
引用発明2の「すべりブラケツト」は,方形横断面のコーナー支持部材に摺動自在に嵌装されているから,「支持部材が嵌合される」「中空部が形成された収容部を備え」ることは明らかである。

したがって,本件特許発明1と引用発明2は,
「折畳まれ,そして折畳まれた状態で保管され,そして支持面上に展開された状態で組みたてられるようになった展開可能な骨組構造体であり,前記支持面の上方にキャノピーカバーを支持することができる骨組構造体において,
(a)各々が支持面上に配置可能な下端部と,前記下端部と反対側の上端部とを有する複数個の直立した支持部材を備え,前記支持部材は折畳まれた状態で相互に相並ぶように向けられ,そして展開状態に向かって相互に離れて外方に移動可能であり,各支持部材は断面矩形状であり,さらに,
(b)複数個の端縁シザー組立体を備え,一つの端縁シザー組立体が前記支持部材のうちの隣接した支持部材を相互に連結し,各々の前記端縁シザー組立体が1対の外側上端部および1対の外側下端部を有し,前記端縁シザー組立体は開閉するように作用可能であり,それにより前記骨組構造体は展開状態と収縮状態との間を移動することができ,展開状態において前記端縁シザー組立体の外側側面全体が前記キャノピーカバーで覆われ,各々の前記端縁シザー組立体は上端部及び下端部において相互に連結されたシザーユニットにより構成され,前記シザーユニット間の連結部は構造を補強するための更なる直立した支持部材により前記支持面上に支持されておらず,前記骨組構造体全体が展開状態において4個の直立した支持部材によってのみ支持されており,さらに,
(c)前記の直立した支持部材上に配置されかつ前記端縁シザー組立体を前記支持部材に締め付けるように作用する複数個のマウントを備え,該マウントの各々は,互いに直交する一対の枢動部分を有し,
(d)前記端縁シザー組立体の各々の外側端部をそれぞれの枢動部分に枢動可能に固定する締付ピンを備え,
(e)1対の前記マウントが前記の直立した支持部材の各々の上に配置され,前記の1対のマウントの一方が固定マウントであり,そして前記の1対のマウントの他方がスライドマウントであり,前記スライドマウントが前記の直立した支持部材に滑動可能に固定されかつそれぞれの前記端縁シザー組立体が開閉するときに前記支持部材に沿って前記固定マウントに近い位置と前記固定マウントから遠い位置との間に移動可能であり,
(g)前記固定マウントのそれぞれ直交する一対の枢動部分の中央に位置する箇所に,ルーフ支持部材の枢動部分が位置し,
(h)前記マウントは前記骨組構造体が展開し,そして収縮するときに前記端縁シザー組立体を開閉させるように相互に関して相対移動可能であり,
(j)骨組構造体が展開状態にあるときに前記の直立した支持部材により支持面の上方に支持されるルーフ支持組立体を含み,前記ルーフ支持組立体が前記キャノピーカバーを支持するように作用し,前記ルーフ支持組立体が頂点を形成するためにその近位置端部において相互に枢動可能に連結され,かつ展開状態にあるとき相互に離れて半径方向に外方に延びる複数個のルーフ支持部材を含み,各々のルーフ支持部材がその遠位置端部において前記の直立した支持部材上の前記ルーフ支持部材の枢動部分に枢動可能に連結されており,
(k)支持部材の前記下端部各々が,前記固定マウント及び前記スライドマウントとは別部材であり,前記支持面と係合する部材を備える骨組構造体。」
の点で一致し,以下の各点で相違する。

[相違点2-1]
本件特許発明1では,マウントが,隔置された平行な側壁部分により形成され該一対の側壁部分はそれぞれ前記収容部の前記中空部を囲う側壁に平行であるソケットを有し,ソケットの平行な側壁部分は上端部又は下端部において水平な壁部分で相互に連結されており,中空部を備える管状構造のシザーバーから構成される端縁シザー組立体の外側端部がソケットの側壁部分の間に締り嵌め係合されるように該ソケット内に受け入れられて,平行な側壁部分が平面状の接触面に沿って外側端部に作用して前記端縁シザー組立体の横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止するのに対して,引用発明2では,マウントは隔置された側壁部分により形成されるソケットを有するかどうか不明で,マウントの平行な側壁部分は上端部又は下端部において水平な壁部分で相互に連結されているかどうか不明で,端縁シザー組立体は中空部を備える管状構造の部材かどうか不明で,端縁シザー組立体の外側端部はソケットの側壁部分の間に締り嵌め係合されるようにソケット内に受け入れられるかどうか不明で,たわみを阻止するかどうか不明である点。

[相違点2-2]
本件特許発明1では,固定マウントには,直交する一対の枢動部分(ソケット)とその中央に位置する枢動部分(中央部ソケット)を有するのに対し,引用発明2では第1のL形ブラケツト(本件特許発明1の「固定マウント」)と第1のU形ブラケツトは別体である点。

[相違点2-3]
本件特許発明1では,固定マウントの中央部ソケットは,隔置された平行な側壁部分により形成され前記側壁部分を連結する水平な壁部を有しないものであるのに対し,引用発明2の第1のU形ブラケツトの枢動部分はそのように特定されていない点。

[相違点2-4]
本件特許発明1では,マウントは前記支持部材が嵌合される断面矩形状の中空部が形成された収容部を備え,固定マウントの収容部は,支持部材に沿って前記スライドマウントの方向に向かってすべてのソケットを超えて延び出しているのに対して,引用発明2では,すべりブラケツト(本件特許発明1の「スライドマウント」)は,支持部材が嵌合される中空部が形成された収容部を有するものの断面矩形状であるとは特定されず,第1のL形ブラケツト(同「固定マウント」)は,支持部材が嵌合される断面矩形状の中空部が形成された収容部を有するかどうか不明である点。

[相違点2-5]
本件特許発明1では,支持部材の下端部各々の部材が「貫通孔を有して」いる「プレート状」の部材であるのに対し,引用発明2ではそのような構成を有するか不明である点。

イ 相違点についての判断
[相違点2-1についての判断]
上記「相違点1-1についての判断」(ア)で検討したとおり,本件特許発明1は,支持部材の下端部が支持面である地面に係合され,上端付近(支持面の上方)にキャノピーカバー等が配置される骨組構造体であることから,風力等によりシザー要素の横方向の変形及びねじりによる変形を生じ得るという課題を有するものであり,マウント(連結装置)の「平行な側壁部分は上端部又は下端部において水平な壁部分で相互に連結されて」いる構成は,シザー要素の上記の変形を阻止する作用を有するものであり,連結部分の構造を改良・強化することにより,課題を解決する手段であるといえる。
一方,甲2には,風圧等によるシザー要素の横方向の変形及びねじりによる変形を生じさせるような力に対する考慮も示唆もされていない。また,枢動部分の構成について「シザースユニツト62の交差片64,66はそれぞれピン65,67によってL形ブラケツト38,39に枢動自在に結合されている」と記載されているものの,平行な側壁部分により形成されるソケットとすることは記載も示唆もされていないのであるから,甲2には,ソケットの平行な側壁部分が上端部又は下端部において水平な壁部分で相互に連結される構成が,シザー要素の上記変形を阻止する作用を有すること及びそのために連結部分の構造を改良・強化するものであること(本件特許発明1の課題と解決)については,記載も示唆もされていないというべきである。
また,甲1,甲3,甲5?甲7,甲9?甲12には,ソケットの平行な側壁部分が上端部又は下端部において水平な壁部分で相互に連結されている構成が示されておらず,また,シザー要素の横方向の変形及びねじりによる変形を生じさせるような力に対する考慮も示唆されていない。また,甲4及び甲8には上記構成と同様の構成が示されているが,上記「相違点1-1についての判断](エ)?(カ)で検討したとおり,本件特許発明1や引用発明2において想定される,シザー要素の上記の変形を生じさせるような力の作用を考慮した連結装置を開示するものとはいえない。
以上によれば,甲2には,本件特許発明1のマウントに相当する第1のL形ブラケツト,すべりブラケツトの構成により,シザー要素の横方向の変形およびねじりによる変形を阻止する作用を有することは格別記載も示唆もされていないから,甲2に接した当業者が,かかる変形を阻止するために,さらに,上記第1のL形ブラケツト,すべりブラケツトの構成を,相違点2-1に係る本件特許発明1の構成とすることに容易に想到するとは言い難い。また,仮に,甲2の記載から,引用発明2における上記第1のL形ブラケツト,すべりブラケツトの構成を変更することの示唆を得たとしても,上記のとおり,甲1,甲3?甲12は,ソケットの平行な側壁部分は上端部又は下端部において水平な壁部分で相互に連結された構成は示されていないか,シザー要素の上記の変形を阻止する作用を考慮したものではないから,これらに記載された技術を引用発明2に適用することが容易とはいえない。
したがって,甲1,甲3?甲12には,骨組み構造のたわみやねじりに対する強度を向上するための枢軸構造として「ソケットの平行な側壁部分の一端を水平な壁部で相互に連結」された構造は開示されていないから,引用発明2において,連結装置を,側壁部分が水平な壁部で相互に連結される構成に置換して,相違点2-1に係る本件特許発明1の構成とすることは困難である。
これに対し,(a)折り畳み可能な骨組構造体の技術分野における通常の知識を有する当業者にとって,折り畳み可能な椅子の骨組構造体に関する技術知識を有していたと合理的に判断でき,その技術知識に基づけば,甲4及び甲8記載の水平な壁部での連結構造を引用発明2に適用するのは容易であるか否か,(b)「側壁部分が水平な壁部で相互に連結される構成」は,たわみを阻止するという作用効果を発揮させる上で特段の意味を持つとはいえず,引用発明2において,強度の向上を図るため当業者により適宜採用される設計事項にすぎないか否かについても,上記[相違点1-1についての判断](コ)で検討したのと同様に,(a)の点につき,当業者が,甲4及び甲8記載の技術知識を有していたとしても,それを引用発明2に適用することを容易に想到し得たとは認められないし,(b)の点につき,連結装置に関して上記構成を採用することを,当業者が適宜採用する設計事項と認めることはできない。

[相違点2-2についての判断]
引用発明2における第1のL形ブラケツト及び第1のU形ブラケツトは,両者とも支柱部材の上端部付近に固定して設けられるものである。そして,このような近接して設けられる複数の部品について,部品点数や組立工数を減らすなどの観点から,これらを一体としてひとつの部品とすることは当業者が適宜なし得ることであるし,支柱部材の上端部に端縁シザー組立体及びルーフ支持組立体を枢動可能に保持する枢動部分を一体の部品とすることも,甲1(第14図,上固定支えバー軸体4参照)に記載された技術的事項であるところ,引用発明2において第1のL形ブラケツトと第1のU形ブラケツトとを一体とすることは,当業者が容易になし得たことである。
よって,引用発明2に上記相違点2-2に係る構成を採用することは,当業者が適宜になし得たことである。

[相違点2-3についての判断]
棒状の部材を枢動可能に連結する構成として,平行な側壁で形成されるソケットとこれに枢動可能に連結される棒状の部材とすることは,甲4?甲10,甲12に記載されるように周知の技術である。そして,平行な側壁で構成されるソケットを用いることで棒状の部材を両側から挟み込むこととなるから,この構成により棒状の部材を枢動支持する際に棒状体端部における2側面で両端支持することが可能になり,枢動部分の強度の向上に資することは当業者において自明のことである。さらに,製品に求められる一般的課題として強度を向上させるという課題は引用発明2においても当然に内包されることに鑑みれば,甲2には平行な側壁部分により形成されるソケットとすることの示唆等は明示されてなくとも,引用発明2の第1のU形ブラケツトにおいて,上記周知の技術である平行な側壁で形成されたソケットとする構成を採用することは,当業者が容易になし得たことである。
よって,引用発明2に上記相違点2-3に係る構成を採用することは,当業者が適宜になし得たことである。

[相違点2-4についての判断]
引用発明2のコーナー支持部材は方形横断面の形状であるから,これに嵌合するすべりブラケツトの収容部を断面矩形状とすることは当業者が当然に考えることである。
支柱部材の上端部に端縁シザー組立体及びルーフ支持組立体を枢動可能に保持する枢動部分を取り付けるにあたって,中空の収容部を備えたものとすることも,甲1(第14図,上固定支えバー軸体4参照)に記載された技術的事項であるところ,引用発明2において第1のL形ブラケツトと第1のU形ブラケツトとを一体として,中空の収容部を備えるものとすることは,当業者が容易になし得たことである。
その際に,一体とした部材の形状や厚み等をどのようなものにするかは,用いる各部材との関係や用途,求められる強度等を総合的に参酌して,当業者が適宜決定しうる事項に過ぎず,スライドマウントの方向に向かってソケットを超えて延び出すようにすることも設計的事項に過ぎない(甲3のFIG.4中の44(Slide bracket44)参照)。
よって,引用発明2に上記相違点2-4に係る構成を採用することは,当業者が容易になし得たことである。

[相違点2-5についての判断]
支持部材の下端部が支持面である地面に係合され,上端付近にキャノピーカバー等が配置される骨組構造物において,支持部材の下端部に配置するプレート状部材に貫通孔を設けることは周知技術に過ぎない。(甲1の第11図及び第12図参照)
よって,引用発明2に上記相違点2-5に係る構成を採用することは,当業者が適宜になし得たことである。

ウ 小括
以上のとおり,本件特許発明1の相違点2-1に係る構成は,引用発明2及び甲1,甲3?甲12に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
よって,本件特許発明1は,引用発明2及び甲1,甲3?甲12に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(3)本件特許発明2?6について
上記のとおり,本件特許発明1が引用発明2及び甲1,甲3?甲12に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない以上,本件特許発明1の構成をすべて含みさらに他の構成要件を付加した本件特許発明2?6についても,引用発明2及び甲1,甲3?甲12に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

3.甲3に記載された発明に基づく容易性
(1)引用発明3の認定(甲3に記載された発明)
上記記載事項(3-1)?(3-15)及び各図面の記載からみて,甲3には,
「保管のため比較的小さい体積に折り畳み可能であるが,広い表面積を構成するために展開可能なキャノピーシェルターは支持フレームワーク及びキャノピーカバーからなり,キャノピーカバーは地面のようなある表面に対して間隔をおいた関係に保持され,
(a)垂直支持体としての脚は,足即ち端部が接する地面にて終端し,端部の反対の上端部を有し,脚は折り畳まれた状態で相互に相並ぶように向けられ,キャノピーシェルターを展開状態にするため,隣接する脚を互いが離れるように動かすものであり,脚は断面矩形状であり,
(b)複数個のシザー組立体を備え,一つのシザー組立体が隣接する脚を相互接続し,各々のシザー組立体が1対の上側にある第一端及び下側にある第一端を有し,隣接する脚を互いが離れるように動かすことにより,シザー組立体は開閉し,それにより支持フレームワークは折り畳まれた状態と展開状態の間を移動することができ,展開状態においてシザー組立体の外側側面全体がキャノピーカバーに覆われ,各々のシザー組立体は,上側の第二端及び下側の第二端において相互に連結されたシザーユニットにより構成され,各シザーユニット間の第二端は脚により支持されておらず,支持フレームワークは展開状態において4個の脚によって支持されており,
(c)脚にスライド可能に受けられたスライドブラケット及び脚の上端部に取り付けられるコーナーブラケットは,横方向へ突出し互いに直角をなす一対のタブを持ち,シザー組立体を構成する矩形状断面のクロスアームの端部が,タブに枢動可能に接続され,タブと平面状の接触面を形成し,
(d)シザー組立体のクロスアームの端部はボルト又はリベットによってタブに枢動可能に取り付けられており,クロスアームの端部の表面には突起が存在せず,シザー組立体のクロスアームは中空であり,
(e)脚にスライド可能に受けられたスライドブラケット及び脚の上端部に取り付けられるコーナーブラケットを有し,スライドブラケットはシザー組立体が開閉するときに脚に沿ってコーナーブラケットに近い位置と遠い位置との間で移動可能であり,
(h)支持フレームワークを折り畳まれた状態から展開状態にし,再度折り畳まれた状態に戻すため,隣接する脚を互いが離れるように動かすことにより,シザー組立体が横方向に展開するときに,スライドブラケットが支持脚に沿って動き,シザー組立体は,端部が矩形状断面の中空のクロスアームにより構成され,タブと平面状の接触面を形成し,
(j)支持フレームワークは内部シザー組立体を含み,内部シザー組立体はシザー組立体へ接続され,内部シザー組立体のポストは脚の上端よりも若干高めにキャノピーカバーの中央を持ち上げる長さを備えて,キャノピーカバーの中央部分は内部シザー組立体のポストで支持され,内部シザー組立体のシザーユニットの端部はポストの上端近傍のタブに枢動可能に接続され,内部シザー組立体のシザーユニットの反対の端部は,シザー組立体に枢動可能に接続され,
(k)脚は,スライドブラケット及びコーナーブラケットと別部材であり,端が接する地面にて終端している支持フレームワーク。」
が記載されていると認められる(以下「引用発明3」という)。

(2)本件特許発明1について
ア 対比
本件特許発明1と引用発明3を対比する。
引用発明3における「支持フレームワーク」は,本件特許発明1の「骨組構造体」に相当する。
以下同様に,「垂直支持体として」の「脚」は「直立した」「支持部材」に,
「地面」は「支持面」に,
「シザー組立体」は「端縁シザー組立体」に,
「シザーユニット」は「シザーユニット」に,
「中空」の「クロスアーム」は「中空部を備える管状構造の」「シザーバー」に,
「スライドブラケット」は「スライドマウント」に,
「コーナーブラケット」は「固定マウント」に,
「ボルト又はリベット」は「締付ピン」に,
「内部シザー組立体」は「ルーフ支持組立体」に,
「内部シザー組立体のシザーユニット」は「ルーフ支持部材」に,それぞれ相当する。
引用発明3におけるシザー組立体の「1対の上側の第一端」及び「1対の下側の第一端」は,本件特許発明1における「外側上端部」及び「外側下端部」にそれぞれ相当し,引用発明3におけるクロスアームの「上側の第二端」,「下側の第二端」及びシザーユニット間の「第二端」は,本件特許発明1におけるシザーユニットの「上端部」,「下端部」及びシザーユニット間の「連結部」に相当する。
また,引用発明3のタブはシザー組立体の端部を枢動可能に支持しているから,この枢動可能に支持する部分は本件特許発明1の「ソケット」と,「枢動部分」である点で共通する。
引用発明3の「内部シザー組立体のシザーユニットの端部はポストの上端近傍のタブに枢動可能に接続され」る点は,本件特許発明1の頂点の「近傍位置において相互に枢動可能に連結され」に相当する。
引用発明3の「内部シザー組立体のシザーユニットの反対の端部は,シザー組立体に枢動可能に接続され」る点は,本件特許発明1における「各々のルーフ支持部材がその遠位置端部において前記の直立した支持部材上の前記固定マウントの中央部ソケットに枢動可能に連結され」る点と,「ルーフ支持部材がその遠位置端部において枢動可能に連結され」る点で共通する。
引用発明3の内部シザー組立体のシザーユニットは,ハサミ状の動作をするものであるから,本件特許発明1と同様に「展開状態にあるとき相互に離れて半径方向に外方に延びる」ものである。
引用発明3の脚の地面にて終端している「端」は,本件特許発明1の支持部材の「下端部」に相当する。

してみれば,本件特許発明1と引用発明3とは,
「折畳まれ,そして折畳まれた状態で保管され,そして支持面上に展開された状態で組みたてられるようになった展開可能な骨組構造体であり,前記支持面の上方にキャノピーカバーを支持することができる骨組構造体において,
(a)各々が支持面上に配置可能な下端部と,前記下端部と反対側の上端部とを有する複数個の直立した支持部材を備え,前記支持部材は折畳まれた状態で相互に相並ぶように向けられ,そして展開状態に向かって相互に離れて外方に移動可能であり,各支持部材は断面矩形状であり,さらに,
(b)複数個の端縁シザー組立体を備え,一つの端縁シザー組立体が前記支持部材のうちの隣接した支持部材を相互に連結し,各々の前記端縁シザー組立体が1対の外側上端部および1対の外側下端部を有し,前記端縁シザー組立体は開閉するように作用可能であり,それにより前記骨組構造体は展開状態と収縮状態との間を移動することができ,展開状態において前記端縁シザー組立体の外側側面全体が前記キャノピーカバーで覆われ,各々の前記端縁シザー組立体は上端部及び下端部において相互に連結されたシザーユニットにより構成され,前記シザーユニット間の連結部は構造を補強するための更なる直立した支持部材により前記支持面上に支持されておらず,前記骨組構造体全体が展開状態において4個の直立した支持部材によってのみ支持されており,さらに,
(c)前記の直立した支持部材上に配置されかつ前記端縁シザー組立体を前記支持部材に締め付けるように作用する複数個のマウントを備え,前記マウントは枢動部分を有し,前記端縁シザー組立体の各々は枢動部分に連結される長方形横断面の外側端部を有し,それにより前記の枢動部分と共に平面状の接触面を形成し,さらに,
(d)前記端縁シザー組立体の各々の外側端部をそれぞれの枢動部分に枢動可能に固定する締付ピンを備え,前記枢動部分と接触する前記外側端部表面に突起が存在せず,前記端縁シザー組立体を構成するシザーバーは中空部を備える管状構造であり,
(e)1対の前記マウントが前記の直立した支持部材の各々の上に配置され,前記の1対のマウントの一方が固定マウントであり,そして前記の1対のマウントの他方がスライドマウントであり,前記スライドマウントが前記の直立した支持部材に滑動可能に固定されかつそれぞれの前記端縁シザー組立体が開閉するときに前記支持部材に沿って前記固定マウントに近い位置と前記固定マウントから遠い位置との間に移動可能であり,
(f)前記固定マウントに一対の枢動部分が直交して形成され,前記スライドマウントに一対の枢動部分が直交して形成され,
(h)前記マウントは前記骨組構造体が展開し,そして収縮するときに前記端縁シザー組立体を開閉させるように相互に関して相対移動可能であり,
(j)骨組構造体が展開状態にあるときに支持面の上方に支持されるルーフ支持組立体を含み,前記ルーフ支持組立体が前記キャノピーカバーを支持するように作用し,前記ルーフ支持組立体が頂点を形成するためにその近位置端部において相互に枢動可能に連結され,かつ展開状態にあるとき相互に離れて半径方向に外方に延びる複数個のルーフ支持部材を含み,各々のルーフ支持部材がその遠位置端部において枢動可能に連結されており,
(k)支持部材の前記下端部各々が,前記支持面と係合する骨組構造体。」
の点で一致し,以下の各点で相違する。

[相違点3-1]
本件特許発明1では,マウントが,隔置された平行な側壁部分により形成され該一対の側壁部分はそれぞれ前記収容部の前記中空部を囲う側壁に平行であるソケットを有し,ソケットの平行な側壁部分は上端部又は下端部において水平な壁部分で相互に連結されており,端縁シザー組立体の外側端部がソケットの側壁部分の間に締り嵌め係合されるように該ソケット内に受け入れられて,平行な側壁部分が平面状の接触面に沿って外側端部に作用して前記端縁シザー組立体の横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止するのに対して,引用発明3では,マウントは隔置された側壁部分により形成されるソケットを有しておらず,よって,平行な側壁部分は上端部又は下端部において水平な壁部分で相互に連結されておらず,端縁シザー組立体の外側端部はソケットの側壁部分の間に締り嵌め係合されるように前記ソケットのうちのそれぞれの1個のソケット内に受け入れられていないものであり,たわみを阻止するかどうか不明な点。

[相違点3-2]
本件特許発明1では,ルーフ支持組立体は,直立した支持部材により支持されるルーフ支持部材を含み,ルーフ支持部材が固定マウントの中央部に設けた枢動部分に枢動可能に連結されているのに対し,引用発明3では内部シザー組立体のシザーユニット(本件特許発明1の「ルーフ支持部材」)は,コーナーブラケット(同「固定マウント」)に連結されていない点。

[相違点3-3]
ルーフ支持部材を枢動可能に連結する部分が,本件特許発明1では,隔置された平行な側壁部分により形成され前記側壁部分を連結する水平な壁部を有しないソケットであるのに対し,引用発明3では,そのような構成ではない点。

[相違点3-4]
本件特許発明1では,固定マウントが前記支持部材が嵌合される断面矩形状の中空部が形成された収容部を備え,固定マウントの収容部は,支持部材に沿って前記スライドマウントの方向に向かってすべてのソケットを超えて延び出しているのに対して,引用発明3では,コーナーブラケット(本件特許発明1の「固定マウント」)は,支持部材が嵌合される断面矩形状の中空部が形成された収容部を有するかどうか不明である点。

[相違点3-5]
支持部材の下端部の支持面と係合するのが,本件特許発明1では,前記固定マウント及び前記スライドマウントとは別部材であり貫通孔を有するプレート状部材であるのに対し,引用発明3では,どのような部材か特定されていない点。

イ 相違点についての判断
[相違点3-1についての判断]
上記「相違点1-1についての判断」(ア)で検討したとおり,本件特許発明1は,支持部材の下端部が支持面である地面に係合され,上端付近(支持面の上方)にキャノピーカバー等が配置される骨組構造体であることから,風力等によりシザー要素の横方向の変形及びねじりによる変形を生じ得るという課題を有するものであり,マウント(連結装置)の「平行な側壁部分は上端部又は下端部において水平な壁部分で相互に連結されて」いる構成は,シザー要素の上記の変形を阻止する作用を有するものであり,連結部分の構造を改良・強化することにより,課題を解決する手段であるといえる。
一方,甲3には,発明の目的として「組立時に強風に耐えうる携帯用キャノピー構造体を提供することにある」ことが記載され,「特に強風の日にキャノピーシェルター10をさらに安定させるため,脚16などの各脚は,固定リング180を備えている。固定リング180には,図1で示すように,地面にくいで固定できる張り綱182を取り付ける」ことが記載されている。そうすると,引用発明3は,風圧等によるシザー要素の横方向の変形及びねじりによる変形をも考慮して,構造体の補強を指向するものと一応認められる。しかし,引用発明3の枢動部分は,タブの一側面にクロスアームの側面が接触して枢動可能にされており,平行な側壁部分により形成されるソケットとすることは記載も示唆もされていないところ,甲3には,ソケットの平行な側壁部分が上端部又は下端部において水平な壁部分で相互に連結される構成が,シザー要素の上記変形を阻止する作用を有すること及びそのために連結部分の構造を改良・強化するものであること(本件特許発明1の課題と解決)については,記載も示唆もされていないというべきである。
また,甲1,甲2,甲5?甲7,甲9?甲12には,ソケットの平行な側壁部分が上端部又は下端部において水平な壁部分で相互に連結されている構成が示されておらず,また,シザー要素の横方向の変形及びねじりによる変形を生じさせるような力に対する考慮も示唆されていない。また,甲4及び甲8には上記構成と同様の構成が示されているが,上記「相違点1-1についての判断](エ)?(カ)で検討したとおり,本件特許発明1や引用発明3において想定される,シザー要素の上記の変形を生じさせるような力の作用を考慮した連結装置を開示するものとはいえない。
以上によれば,甲3には,本件特許発明1のマウントに相当するスライドブラケット,コーナーブラケットの構成により,シザー要素の横方向の変形およびねじりによる変形を阻止する作用を有することは格別記載も示唆もされていないから,甲3に接した当業者が,かかる変形を阻止するために,さらに,上記スライドブラケット,コーナーブラケットの構成を,相違点3-1に係る本件特許発明1の構成とすることに容易に想到するとは言い難い。また,仮に,甲3の記載から,引用発明3における上記スライドブラケット,コーナーブラケットの構成を変更することの示唆を得たとしても,上記のとおり,甲1,甲2,甲4?甲12は,ソケットの平行な側壁部分は上端部又は下端部において水平な壁部分で相互に連結された構成は示されていないか,シザー要素の上記の変形を阻止する作用を考慮したものではないから,これらに記載された技術を引用発明3に適用することが容易とはいえない。
したがって,甲1,甲2,甲4?甲12には,骨組み構造のたわみやねじりに対する強度を向上するための枢軸構造として「ソケットの平行な側壁部分の一端を水平な壁部で相互に連結」された構造は開示されていないから,引用発明3において,連結装置を,側壁部分が水平な壁部で相互に連結される構成に置換して,相違点3-1に係る本件特許発明1の構成とすることは困難である。
これに対し,(a)折り畳み可能な骨組構造体の技術分野における通常の知識を有する当業者にとって,折り畳み可能な椅子の骨組構造体に関する技術知識を有していたと合理的に判断でき,その技術知識に基づけば,甲4及び甲8記載の水平な壁部での連結構造を引用発明3に適用するのは容易であるか否か,(b)「側壁部分が水平な壁部で相互に連結される構成」は,たわみを阻止するという作用効果を発揮させる上で特段の意味を持つとはいえず,引用発明3において,強度の向上を図るため当業者により適宜採用される設計事項にすぎないか否かについても,上記[相違点1-1についての判断](コ)で検討したのと同様に,(a)の点につき,当業者が,甲4及び甲8記載の技術知識を有していたとしても,それを引用発明3に適用することを容易に想到し得たとは認められないし,(b)の点につき,連結装置に関して上記構成を採用することを,当業者が適宜採用する設計事項と認めることはできない。

[相違点3-2についての判断]
ルーフ支持組立体を直立した支持部材で枢動可能に支持する形式の骨組構造体は,甲1及び甲2のそれぞれに記載されており,引用発明3及び甲1,甲2はいずれもキャノピーカバーを支持する折り畳み及び展開可能な骨組み構造体に関するものであって技術分野が関連し,キャノピーカバーを支持するものとして機能も共通するものであるから,引用発明3において甲1,甲2のように直立した支持部材でルーフ支持組立体を支持する形式を採用することは,当業者が容易になし得ることである。その際に,固定マウントの端縁シザー組立体を枢動可能に支持する一対の枢動部分の中央に枢動部分を設けることについても,甲1(第14図,上固定支えバー軸体4参照)に記載された技術的事項であるし,甲2のものは,第1のU形ブラケットと第1のL形ブラケットは別体の部材ではあるものの,部品を一体に形成することは当業者が適宜行うことに過ぎないから,これらを一体とした固定マウントで枢動可能にする点に困難性を見いだすこともできない。
よって,引用発明3に上記相違点3-2に係る構成を採用することは,当業者が容易になし得たことである。

[相違点3-3についての判断]
棒状の部材を枢動可能に連結する構成として,平行な側壁で形成されるソケットとこれに枢動可能に連結される棒状の部材とすることは,甲4?甲10,甲12に記載されるように周知の技術である。そして,平行な側壁で構成されるソケットを用いることで棒状の部材を両側から挟み込むこととなるから,この構成により棒状の部材を枢動支持する際に棒状体端部における2側面で両端支持することが可能になり,枢動部分の強度の向上に資することは当業者において自明である。さらに,製品に求められる一般的課題として強度を向上させるという課題は引用発明3においても当然に内包されることに鑑みれば,ルーフ支持組立体を支持する箇所を,上記周知技術である平行な側壁で形成されたソケットとする構成を採用することは,当業者が容易になし得たことである。
よって,引用発明3に上記相違点3-3に係る構成を採用することは,当業者が容易になし得たことである。

[相違点3-4についての判断]
支柱部材の上端部に設ける支持組立体を枢動可能に保持する枢動部分を取り付けるにあたって,中空の収容部を備えたマウントを用いることは,甲1(第14図,上固定支えバー軸体4参照)に記載された技術的事項であり,さらに甲3にはポスト106の上部ではあるが断面矩形状の中空部を備えた(図6,図7参照)キャップ110を設けることが記載されているところ,引用発明3のコーナーブラケットについて,断面矩形状の中空の収容部を備えるものとすることは,当業者が容易になし得たことである。その際,部材の形状や厚み等をどのようなものにするかは,用いる各部材との関係や用途,求められる強度等を総合的に参酌して,当業者が適宜決定しうる事項に過ぎず,スライドマウントの方向に向かってソケットを超えて延び出すようにすることも設計的事項に過ぎない(甲3のFIG.4中の44(Slide bracket44)参照)。
よって,引用発明3に上記相違点3-4に係る構成を採用することは,当業者が容易になし得たことである。

[相違点3-5についての判断]
支持部材の下端部が支持面である地面に係合され,上端付近にキャノピーカバー等が配置される骨組構造物において,支持部材の下端部に貫通孔を設けたプレート状部材を配置することは周知技術に過ぎない(甲1の第11図及び第12図参照)。当該部材が,スライドブラケット及びコーナーブラケットと別部材となることは当然である。
よって,引用発明3に上記相違点3-5に係る構成を採用することは,当業者が適宜になし得たことである。

ウ 小括
以上のとおり,本件特許発明1の相違点3-1に係る構成は,引用発明3及び甲1,甲2,甲4?甲12に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
よって,本件特許発明1は,引用発明3及び甲1,甲2,甲4?甲12に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(3)本件特許発明2?6について
上記のとおり,本件特許発明1が引用発明3及び甲1,甲2,甲4?甲12に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない以上,本件特許発明1の構成をすべて含みさらに他の構成要件を付加した本件特許発明2?6についても,引用発明3及び甲1,甲2,甲4?甲12に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

4.甲4に記載された発明に基づく容易性
(1)引用発明4の認定(甲4に記載された発明)
上記記載事項(4-1)?(4-6)及び各図面の記載から見て,甲4には,
「開展折畳みせられると共に体積も最小限に縮小せられて携行収蔵に至便である,支持面の上方に座布及び背もたれ布を支持している折畳み式ベンチの骨格であって,
(a)各々が支持面上に配置可能な下端と,前記下端の反対側の上端を有する複数の背もたれ管及び伸縮管を備え,背もたれ管及び伸縮管は,折畳み状態で相互に相並ぶように向けられ,そして開展せられるときに相互に離れて外方に移動し,
(b)複数個のクロス脚を備え,ベンチ後側に配置されたクロス脚及びベンチ両側に配置されたクロス脚は,隣接した背もたれ管及び伸縮管を相互に連結するのであり,クロス脚は前後及び横方向自在に開閉し,ベンチ全体を開展折畳みされるようにし,折畳み式ベンチの骨格は4個の背もたれ管及び2個の伸縮管によって支持されており,
(c)後列側の軸受け盤は上下軸受け盤の円形の挿孔に背もたれ管を串通し,その下端を下部軸受け盤の挿孔に固着し,前列左右側端の上下各軸受け盤の挿孔には,伸縮管の上端と下端をそれぞれ固着し,軸受け盤は,隔置された平行な側壁部分により形成された互いに直交する4つの軸受けを有し,クロス脚の各々は軸受けに介装軸支される平行な側壁部分に接する面が平面で平行な側壁部分に接しない面が丸みを帯びた略長方形断面の外側端部を有する軸継ぎ手を嵌着し,
(d)クロス脚の各々の外側端部の軸継ぎ手の突部が軸受け盤に軸受けされ,クロス脚は金属製脚管を枢着したものであり,
(e)後列側の軸受け盤は上下軸受け盤の円形の挿孔に背もたれ管を串通し,その下端を下部軸受け盤の挿孔に固着し,前列左右側端の上下各軸受け盤の挿孔には,伸縮管の上端と下端をそれぞれ固着し,後列側の上側の軸受け盤はクロス脚が開閉するときに背もたれ管に沿って後列側の下側の軸受け盤に近い位置と遠い位置との間に移動可能であり
(f)軸受け盤は,隔置された平行な側壁部分により形成された互いに直交する軸受けを有し,後列下側の軸受け盤は側壁部分の各々の平行な側壁部分が下端部において水平な壁部で相互に連結され,後列上側の軸受け盤は側壁部分の各々の平行な側壁部分が上端部において水平な壁部で相互に連結され,
(h)ベンチを展開折畳みするとき,クロス脚が開閉するよう軸受け盤は相互に対して相対移動可能であり,クロス脚の各々は軸受けの平行な側壁部分に接する面が平面の軸継ぎ手を嵌着する,
(k)折畳み式ベンチの骨格」
の発明が記載されていると認められる(以下「引用発明4」という)。

(2)本件特許発明1について
ア 対比
本件特許発明1と引用発明4を対比する。
引用発明4の「背もたれ管」及び「伸縮管」は,本件特許発明1の「支持部材」に相当する。
以下同様に,「クロス脚」は「端縁シザー組立体」に,
「金属製脚管」は「中空部を備える管状」の「シザーバー」に,
「軸受け盤」は「マウント」に,
「軸受け」は「ソケット」に,
「挿孔」は「収容部」に,
軸受け盤のうち後列の下側のものは「固定マウント」に,後列の上側のものは「スライドマウント」に,それぞれ相当する。
また,引用発明4の折畳み式ベンチの「骨格」は,「骨組構造体」の点で本件特許発明1と共通し,引用発明4の「座布及び背もたれ布」は,「カバー」である点で本件特許発明1の「キャノピーカバー」と共通する。
引用発明4の軸受け盤の直交する4つの軸受けのうち隣り合う2つが,本件特許発明1の「互いに直交する一対のソケット」に相当する。
引用発明4の軸受けに介装軸支される軸継ぎ手は,その平行な向き合った側壁部分の間に軸継ぎ手の略長方形断面の外側端部が受け入れられており側壁部分と接触する部分は平面状の接触面を形成しているから,本件特許発明1のように「ソケットのうちのそれぞれの1個のソケット内に受け入れられ」「平行な側壁部分と接触する前記外側端部表面に突起が存在せず」「平行な側壁部分と共に平面状の接触面を形成」するものである。

したがって,本件特許発明1と引用発明4は,
「折畳まれ,そして折畳まれた状態で保管され,そして支持面上に展開された状態で組みたてられるようになった展開可能な骨組構造体であり,前記支持面の上方にカバーを支持することができる骨組構造体において,
(a)各々が支持面上に配置可能な下端部と,前記下端部と反対側の上端部とを有する複数個の支持部材を備え,前記支持部材は折畳まれた状態で相互に相並ぶように向けられ,そして展開状態に向かって相互に離れて外方に移動可能であり,さらに,
(b)複数個の端縁シザー組立体を備え,一つの端縁シザー組立体が前記支持部材のうちの隣接した支持部材を相互に連結し,各々の前記端縁シザー組立体が1対の外側上端部および1対の外側下端部を有し,前記端縁シザー組立体は開閉するように作用可能であり,それにより前記骨組構造体は展開状態と収縮状態との間を移動することができ,
(c)前記の支持部材上に配置されかつ前記端縁シザー組立体を前記支持部材に締め付けるように作用する複数個のマウントを備え,該各マウントは前記支持部材が嵌合される中空部が形成された収容部を備え,前記マウントの各々は,隔置された平行な側壁部分により形成され,互いに直交する一対のソケットを有し,前記端縁シザー組立体の各々はその平行な向き合った側壁部分の間に係合されるように前記ソケットのうちのそれぞれの1個のソケット内に受け入れられる外側端部を有し,それにより前記の平行な側壁部分と共に平面状の接触面を形成し,さらに,
(d)前記端縁シザー組立体の各々の外側端部はそれぞれのソケット内に枢動可能に固定され,前記平行な側壁部分と接触する前記外側端部表面に突起が存在せず,前記端縁シザー組立体を構成するシザーバーは中空部を備える管状構造であり,
(e)前記マウントが前記の直立した支持部材の各々の上に配置され,固定マウント及びスライドマウントを含み,前記スライドマウントが前記の直立した支持部材に滑動可能に固定されかつそれぞれの前記端縁シザー組立体が開閉するときに前記支持部材に沿って前記固定マウントに近い位置と前記固定マウントから遠い位置との間に移動可能であり,
(f)前記固定マウントに一対のソケットが直交して形成され,該一対のソケットの各々において平行な側壁部分は水平な壁部で相互に連結され,前記スライドマウントに一対のソケットが直交して形成され,該一対のソケットの各々において平行な側壁部分は,水平な壁部で相互に連結され,
(h)前記マウントは前記骨組構造体が展開し,そして収縮するときに前記端縁シザー組立体を開閉させるように相互に関して相対移動可能であり,一方ソケットの平行な側壁部が平面状の接触面に沿って外側端部に作用する
(k)骨組構造体。」
の点で一致し,以下の各点で相違する。

[相違点4-1]
本件特許発明1の骨組構造体は,キャノピーカバーを支持し,展開状態において前記端縁シザー組立体の外側側面全体が前記キャノピーカバーで覆われているものであるのに対し,引用発明4は,折畳みベンチの骨格であり,座布及び背もたれ布を取り付けるものであり,
これに関連して,本件特許発明1は,支持部材が4個であり,各々の前記端縁シザー組立体はシザーユニットにより構成され,前記シザーユニット間の連結部は直立した支持部材により前記支持面上に支持されていないものであるのに対し,引用発明4では,支持部材は6個であり,各々のクロス脚は相互に連結されたシザーユニットではなく,シザーユニット間の連結部も有しないものであり,
さらに,本件特許発明1は,直立した支持部材の各々の上に固定マウント及びスライドマウントが配置され,固定マウントのソケットは平行な側壁部分の上端部において水平な壁部で相互に連結され,スライドマウントのソケットは平行な側壁部分の下端部において水平な壁部で相互に連結され,ソケットの平行な側壁部が平面状の接触面に沿って外側端部に作用し,前記端縁シザー組立体の横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止するものであるのに対し,引用発明4では,背もたれ管及び伸縮管(本件特許発明1の「支持部材」)は直立しているか否か不明で,背もたれ管に配置された1対の軸受け盤は固定された軸受け盤とスライドする軸受け盤であるが,伸縮管に固定されたものは,両者とも固定された軸受け盤で管が伸縮することで,両軸受け盤が近い位置と遠い位置との間に移動可能なものであり,後列下側の軸受け盤(本件特許発明1の「固定マウント」)は側壁部分の平行な側壁部分の下端部で水平な壁部で連結され,後列上側の軸受け盤(同「スライドマウント」)は側壁部分の平行な側壁部分の上端部で水平な壁部で連結されており,たわみを阻止するものであるか不明であり,
さらに,本件特許発明1のキャノピーカバーを支持するルーフ支持組立体等の構成を有し,固定マウントの各々は中央部のソケットを有して,各々のルーフ支持部材が固定マウントの中央部ソケットに枢動可能に連結されているのに対し,引用発明4は,ルーフ支持組立体及び中央部ソケットの構成を有しておらず,
さらに,本件特許発明1では,支持部材の前記下端部各々が,前記固定マウント及び前記スライドマウントとは別部材であり,貫通孔を有して前記支持面と係合するプレート状部材を備えるのに対し,引用発明4ではそのような構成を備えていない点。

[相違点4-2]
本件特許発明1は,支持部材は断面矩形状であり,マウントの収容部は収容部が断面矩形状であり,該一対のソケットの側壁部分はそれぞれ前記収容部の前記中空部を囲う側壁に平行であり,前記の固定マウントの前記収容部が,前記支持部材に沿って前記スライドマウントの方向に向かってすべての前記ソケットを超えて延び出しているのに対し,引用発明4では,支持部材は断面矩形状ではなく,軸受け盤の挿孔は円形であり,軸受けの側壁部分は中空部を囲う側壁に対して平行ではなく,軸受け盤の挿孔はソケットを超えて延び出していない点。

[相違点4-3]
本件特許発明1は,端縁シザー組立体の端部が長方形横断面であり,端縁シザー組立体の端部を枢動可能に固定するのは締付ピンで平行な側壁部分の間に締り嵌め係合されるのに対し,引用発明4ではクロス脚の軸継ぎ手の側壁部分に接しない箇所が丸みを帯びた略長方形断面であり,クロス脚は軸継ぎ手の突部で枢動可能に固定される点。

イ 相違点についての判断
[相違点4-1について判断]
引用発明4は,折畳み式ベンチの骨格,より具体的には記載事項(4-1)に記載されるように「数人で腰掛けせられるベンチ」に関する折畳み式ベンチの骨格に係るものであり,本件特許発明1が対象とするようなキャノピーカバーやルーフ支持組立体を含むいわゆるテントの骨組構造体とは,その根本的な構造を異にするものである。これに伴い,両者の間には種々の構造上の相違が存在するのであり,以下に示すように引用発明4において,相違点4-1に係る構成とすることは困難である。
すなわち,引用発明4において,上側の軸受け盤はベンチの座布を支持するもので,ベンチ後ろ側の背もたれ管の上側の軸受け盤は背もたれ管に対してスライド可能になっているが,ベンチ前側の伸縮管の軸受け盤は伸縮管の上端及び下端に固定されて伸縮管自身が,折畳み状態には伸張し,展開状態では縮小することで,軸受け盤が相対的に近い位置と遠い位置に移動可能になっている。これは,ベンチ前側の伸縮管については,ベンチの使用時において管が突出してベンチ使用の妨げにならないように配慮する一方,ベンチ後ろ側の背もたれ管についてはベンチ使用時に背もたれ布を支持する必要があるため管自身を伸縮することはせず,座布を支持する背もたれ管の上側の軸受け盤はその位置を移動させるためにスライドされるようにしたきわめて合理的な構成である。してみれば,引用発明4の伸縮する伸縮管(本件特許発明1の「支持部材」)に固定した上側の軸受け盤と背もたれ管にスライド可能にした上側の軸受け盤とする構成を,伸縮管の軸受け盤についてもスライド可能として,本件特許発明1のように支持部材の各々の上に配置される一対のマウントの一方を固定マウントとし,他方をスライドマウントとするような構成にすることはおよそ想定できないものである。
また,引用発明4では,背もたれ管については,上述のようにスライドされる軸受け盤が座布を支持されるようになっているから,一対のマウントの一方を固定マウントとして他方をスライドマウントとする構成を含んでいるものの,固定マウントに相当する構成を下側に,スライドマウントに相当する構成を上側にする構成であり,ソケットの平行な側壁部分を連結する水平な壁部は,上側の軸受け盤(本件特許発明1の「スライドマウント」)については上端部に,下側の軸受け盤(同「固定マウント」)については下端部に設けられている。これは,引用発明4のクロス脚を枢動可能とするために,下側の固定マウントでは上方向に,上側のスライドマウントでは下方向に移動可能な空間を設ける必要があるためであり,本件特許発明1のように固定マウントの上端部,スライドマウントの下端部において水平な壁部を設ける構成とすることは,クロス脚の枢動運動を妨害することとなるから,およそ想定できないものである。
また,本件発明では支持部材は4本のみで,端縁シザー組立体はシザーユニットが連結したもので構成され隣接する支持部材を相互に連結するものであるが,引用発明4のクロス脚は1つユニットを連結して構成されたものではなく,また支持部材も背もたれ管が4本,伸縮管が2本の6本の支持部材となっている。このように背もたれ管が4本となっているのは,引用発明4では「数人で腰掛けせられるベンチ」を前提として,背もたれ管の位置で背もたれ布を区画可能として隣接して腰掛ける使用者同士の境界を明確化することや,背もたれ管を複数として背もたれ布の支持間隔を短くすることで,使用者が背もたれ布にもたれかかった際の強度の確保等の作用を有するものと考えられ,引用発明4における4本の背もたれ管を,あえて2本とすることは考え難いものである。仮に引用発明4のものを一人掛けの折畳みベンチとすることは着想し得るものであり,その際には支持部材を4本とすることは想定できるとしても,引用発明4のクロス脚はひとつのユニットで隣接する支持部材を相互に連結するものとなり,本件特許発明1のように隣接する支持部材を連結する端縁シザー組立体をシザーユニットが連結する構成とすることは想定できないものである。
また,引用発明4は折畳み式ベンチであるところ,本件特許発明1のようなルーフ(屋根)支持組立体を必要としないものであるから,引用発明4においてルーフ支持組立体を設ける動機付けは見いだせないものである。仮に引用発明4においてルーフ支持組立体を設けるという動機付けがあったとしても,上述のように固定マウントは下方に位置し,その上方にはベンチの骨格構造や座布等が配置されているのであるから,本件特許発明1のように固定マウントに中央部ソケットを設け,当該中央部ソケットにルーフ支持部材を枢動可能に連結することは想定できないものである。
また,引用発明4の背もたれ管及び伸縮管の下端部は軸受け盤(本件特許発明1の「固定マウント」)で終端しており,これとは別体の貫通孔を有するプレート状部材とすることについて,記載も示唆もされていないし,甲1?3,甲5?甲12にも引用発明4の折畳み式ベンチの下端部の軸受け盤を,軸受け盤とは別体の貫通孔を有するプレート状部材とすることについての示唆を見いだすことはできない。
よって,引用発明4において相違点4-1の構成を採用することはできない。

[相違点4-2についての判断]
引用発明4における軸受け盤の挿孔(本件特許発明1の「収容部」)は丸形とされているが,軸受け盤はクロス脚の金属製脚管に対して周方向の運動を必要としないものであることを勘案すれば,特に挿孔及び金属製脚管を断面丸形とする理由はないから,矩形形状とすることも当業者が適宜なし得ることであり,その際に軸受け盤の平行な側壁部分を軸受け盤の挿孔を囲う側壁に平行とすることは,単なる設計的事項に過ぎない。
部材の形状や厚み等をどのようなものにするかは,用いる各部材との関係や用途,求められる強度等を総合的に参酌して,当業者が適宜決定しうる事項に過ぎず,軸受け盤の挿孔をソケットを超えて延び出すようにすることも設計的事項に過ぎない(甲3のFIG.4中の44(Slide bracket44)参照)。
よって,引用発明4に上記相違点4-2に係る構成を採用することは,当業者が容易になし得たことである。

[相違点4-3についての判断]
引用発明4ではクロス脚Xの軸継ぎ手の側壁部分に接しない丸みを帯びた面について,平面とすることは単なる設計的な事項に過ぎない。また,1対の平行な側壁部分の間に枢動される部材を固定するにあたり,締付ピンで固定することは甲1(第13図,第14図,第18図),甲7(第21図)に示されており,引用発明4における軸継ぎ手の軸部分をこれら締付ピンとして締り嵌め係合とすることに何ら困難性は見いだせない。
よって,引用発明4において,相違点4-3に係る構成を採用することは当業者が容易になし得たことである。

ウ 小括
以上のとおり,本件特許発明1の相違点4-1に係る構成は,引用発明4及び甲1?甲3,甲5?甲12に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
よって,本件特許発明1は,引用発明4及び甲1?甲3,甲5?甲12に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(3)本件特許発明2?6について
上記のとおり,本件特許発明1が引用発明4及び甲1?甲3,甲5?甲12に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない以上,本件特許発明1の構成をすべて含みさらに他の構成要件を付加した本件特許発明2?6についても,引用発明4及び甲1?甲3,甲5?甲12に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

5.記載不備
記載不備について請求人が主張する点は,訂正前の請求項13について,「前記の上側中央ソケットおよび下側中央ソケット」と記載されているが,上側中央ソケット及び下側ソケットに関して,請求項のいずれにも記載がないから,特許を受けようとする発明が不明確であるというものである。
しかしながら,訂正により請求項13は削除されており,さらに訂正後の請求項1?6にも「前記の上側中央ソケットおよび下側中央ソケット」との記載はないので,請求人の上記主張は理由がない。なお,訂正前の請求項13の記載不備は解消されたとの点については,当事者において争いはない(第1回口頭審理調書 請求人の陳述の要領の4参照)。

第8.むすび
以上のとおりであるから,請求人の主張及び証拠方法によっては,本件特許を無効とすることができない。
審判に関する費用については,特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により,請求人が負担すべきものとする。

よって,結論のとおり審決する。
 
別掲




(参考)
無効2008-800245号 1次審決

上記当事者間の特許第2625255号発明「非圧縮性ピボットを備えたシザー端部が捕獲された折畳み可能なキャノピー骨組構造体」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。

結 論
訂正を認める。
特許第2625255号の請求項1?12に係る発明についての特許を無効とする。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理 由
第1.手続の経緯
本件特許第2625255号は、平成3年12月23日に出願(優先権主張平成3年1月4日)され、平成9年4月11日に特許権の設定登録がなされたものである。
これに対して、平成20年11月6日に請求人(富士見産業株式会社)よりその請求項1?13に係る発明について特許無効審判が請求され、これに対して、平成21年3月3日に被請求人(ケーディー キャノピー、インク外1名)より答弁書及び訂正請求書が提出され、これに対して、同年4月16日に請求人より弁駁書が提出されるとともに、同年6月30日に請求人より口頭審理陳述要領書及び上申書が、同日に被請求人より口頭審理陳述要領書及び上申書がそれぞれ提出され、同日に第1回口頭審理が行われた。その後、平成21年7月14日付けで被請求人から、また、同年7月30日付けで請求人から、それぞれ再度、上申書が提出された。

第2.訂正の請求について
1.訂正の請求の内容
被請求人の平成21年3月3日付けの訂正請求は、本件特許明細書を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正すること(以下「本件訂正」という。)を求めるものであり、その内容は以下のとおりである。

訂正事項1
特許第2625255号として設定登録された明細書(以下、特許明細書という。)の【特許請求の範囲】【請求項1】である
「折畳まれ、そして折畳まれた状態で保管され、そして支持面上に展開された状態で組みたてられるようになった展開可能な骨組構造体であり、前記支持面の上方にキャノピーカバーを支持することができる骨組構造体において、
(a)各々が支持面上に配置可能な下端部と、前記下端部と反対側の上端部とを有する複数個の直立した支持部材を備え、前記支持部材は折畳まれた状態で相互に相並ぶように向けられ、そして展開状態に向かって相互に離れて外方に移動可能であり、さらに、
(b)複数個の端縁シザー組立体を備え、一つの端縁シザー組立体が前記支持部材のうちの隣接した支持部材を相互に連結し、各々の前記端縁シザー組立体が1対の外側上端部および1対の外側下端部を有し、前記端縁シザー組立体は開閉するように作用可能であり、それにより前記骨組構造体は展開状態と収縮状態との間を移動することができ、さらに、
(c)前記の直立した支持部材上に配置されかつ前記端縁シザー組立体を前記支持部材に締め付けるように作用する複数個のマウントを備え、前記マウントの各々は隔置された平行な側壁部分により形成されたソケットを有し、前記端縁シザー組立体の各々はその平行な向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合されるように前記ソケットのうちのそれぞれの1個のソケット内に受け入れられる長方形横断面の外側端部を有し、それにより前記の平行な側壁部分と共に平面状の接触面を形成し、さらに、
(d)前記端縁シザー組立体の各々の外側端部をそれぞれのソケット内に枢動可能に固定する締付ピンを備え、前記マウントは前記骨組構造体が展開し、そして収縮するときに前記端縁シザー組立体を開閉させるように相互に関して相対移動可能であり、一方ソケットの平行な側壁部が平面状の接触面に沿って外側端部に作用して前記端縁シザー組立体の横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止する骨組構造体。」を、

「折畳まれ、そして折畳まれた状態で保管され、そして支持面上に展開された状態で組みたてられるようになった展開可能な骨組構造体であり、前記支持面の上方にキャノピーカバーを支持することができる骨組構造体において、
(a)各々が支持面上に配置可能な下端部と、前記下端部と反対側の上端部とを有する複数個の直立した支持部材を備え、前記支持部材は折畳まれた状態で相互に相並ぶように向けられ、そして展開状態に向かって相互に離れて外方に移動可能であり、さらに、
(b)複数個の端縁シザー組立体を備え、一つの端縁シザー組立体が前記支持部材のうちの隣接した支持部材を相互に連結し、各々の前記端縁シザー組立体が1対の外側上端部および1対の外側下端部を有し、前記端縁シザー組立体は開閉するように作用可能であり、それにより前記骨組構造体は展開状態と収縮状態との間を移動することができ、さらに、
(c)前記の直立した支持部材上に配置されかつ前記端縁シザー組立体を前記支持部材に締め付けるように作用する複数個のマウントを備え、前記マウントの各々は隔置された平行な側壁部分により形成されたソケットを有し、前記端縁シザー組立体の各々はその平行な向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合されるように前記ソケットのうちのそれぞれの1個のソケット内に受け入れられる長方形横断面の外側端部を有し、それにより前記の平行な側壁部分と共に平面状の接触面を形成し、さらに、
(d)前記端縁シザー組立体の各々の外側端部をそれぞれのソケット内に枢動可能に固定する締付ピンを備え、
(e)1対の前記マウントが前記の直立した支持部材の各々の上に配置され、前記の1対のマウントの一方が固定マウントであり、そして前記の1対のマウントの他方がスライドマウントであり、前記スライドマウントが前記の直立した支持部材に滑動可能に固定されかつそれぞれの前記端縁シザー組立体が開閉するときに前記支持部材に沿って前記固定マウントに近い位置と前記固定マウントから遠い位置との間に移動可能であり、
(f)前記固定マウントに一対のソケットが直交して形成され、該一対のソケットの各々において平行な側壁部分は、その上端部において水平な壁部分で相互に連結され、前記スライドマウントに一対のソケットが直交して形成され、該一対のソケットの各々において平行な側壁部分は、その下端部において水平な壁部で相互に連結され、
(g)前記マウントは前記骨組構造体が展開し、そして収縮するときに前記端縁シザー組立体を開閉させるように相互に関して相対移動可能であり、一方ソケットの平行な側壁部が平面状の接触面に沿って外側端部に作用して前記端縁シザー組立体の横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止する骨組構造体。」と訂正する。

訂正事項2
特許明細書の【特許請求の範囲】【請求項2】 を削除する。

訂正事項3
特許明細書の【特許請求の範囲】【請求項3】を【請求項2】に繰り上げ、
「請求の範囲第1項に記載の展開可能な骨組構造体において、それぞれの前記スライドマウントをそのそれぞれの前記固定マウントに近い位置において釈放可能に締め付けるために前記の直立した支持部材と組み合わされたラッチ装置を含む骨組構造体。」と訂正する。

訂正事項4
特許明細書の【特許請求の範囲】【請求項4】を【請求項3】に繰り上げ、
「請求の範囲第1項に記載の展開可能な骨組構造体において、骨組構造体が展開状態にあるときに前記の直立した支持部材により支持面の上方に支持されたルーフ支持組立体を含み、前記ルーフ支持組立体が前記キャノピーカバーを支持する作用をする骨組構造体。」と訂正する。

訂正事項5
特許明細書の【特許請求の範囲】【請求項5】 を【請求項4】に繰り上げ
訂正前の
「請求の範囲第4項に記載の展開可能な骨組構造体において、前記ルーフ支持組立体が頂点を形成するためにその近位端部において相互に枢動可能に連結されかつ展開状態にあるときに相互に離れて半径方向に外方に延びる複数個のルーフ支持部材を含み、各々のルーフ支持部材がその遠位端部においてそれぞれの直立した支持部材上の前記マウントのうちの1個のマウントに枢動可能に連結されている骨組構造体。」を、
「請求の範囲第3項に記載の展開可能な骨組構造体において、前記ルーフ支持組立体が頂点を形成するためにその近位端部において相互に枢動可能に連結されかつ展開状態にあるとき相互に離れて半径方向に外方に延びる複数個のルーフ支持部材を含み、前記固定マウント及びスライドマウントが、互いに直交する一対のソケットの中央部に、隔置された平行な壁部により形成される中央部のソケットを有し、各々のルーフ支持部材がその遠位端部においてそれぞれの直立した支持部材上の前記マウントのうちの1個のマウントの中央部のソケットに枢動可能に連結されている骨組構造体。」と訂正する。

訂正事項6
特許明細書の【特許請求の範囲】【請求項6】を【請求項5】に繰り上げ、
「請求の範囲第4項に記載の展開可能な骨組構造体において、各々の前記ルーフ支持部材が前記骨組構造体が折畳まれた状態にあるときの引っ込められた状態と前記骨組構造体が展開された状態にあるときの伸張した状態との間に移動可能な1対の伸張可能な部分を含み、そして前記の伸張可能な部分を伸張した状態に釈放可能に保持するルーフ支持部材ラッチ装置を含む骨組構造体。」と訂正する。

訂正事項7
特許明細書の【特許請求の範囲】【請求項7】を【請求項6】に繰り上げ、
「請求の範囲第4項に記載の展開可能な骨組構造体において、1対の前記マウントが前記の直立した支持部材の各々の上に配置され、前記の1対のマウントの一方が固定マウントであり、そして前記の1対のマウントの他方がスライドマウントであり、前記スライドマウントが前記の直立した支持部材に滑動可能に固定されかつそれぞれの前記端縁シザー組立体が開閉するときに前記支持部材に沿って前記固定マウントに近い位置と前記固定マウントから遠い位置との間に移動可能であり、そして前記ルーフ支持部材の各々がそれぞれの固定マウントに枢動可能に連結され、そして第1片持端部において前記伸張可能な部分の一方と枢動可能に連結されかつ前記第1片持端部と反対側の第2片持端部においてそれぞれの前記の隅の支持部材上のスライドマウントと枢動可能に連結された片持部分を含む骨組構造体。」と訂正する。

訂正事項8
特許明細書の【特許請求の範囲】【請求項8】を【請求項7】に繰り上げ、
「請求の範囲第1項に記載の展開可能な骨組構造体において、前記端縁シザー組立体の各々が端と端とをつなぐ関係で内側の上端部および下端部において連結された1対のシザーユニットを含み、前記端縁シザー組立体の各々がそれぞれのシザーユニットの内側の上端部および下端部を枢動可能に連結するためにそれぞれ作用する上側浮動マウントおよび下側浮動マウントを含み、前記上側浮動マウントおよび下側浮動マウントの各々が隔置された平行な側壁部分によりそれらの内部に形成された複数個のソケットを有し、前記シザーユニットの内側端部の各々がその向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合するように前記ソケットのうちのそれぞれのソケット内に受け入れられた長方形横断面を有し、かつソケットの平行な側壁部分が前記シザーユニットの横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止する間に前記シザーユニットの各々の内側端部をそれぞれのソケット内に枢動可能に固定する締付ピンを含む骨組構造体。」と訂正する。

訂正事項9
特許明細書の【特許請求の範囲】【請求項9】を【請求項8】に繰り上げ、
「請求の範囲第7項に記載の展開可能な骨組構造体において、骨組構造体が展開状態にあるときに前記の直立した支持部材により支持面の上方に支持されるルーフ支持組立体を含み、前記ルーフ支持組立体が前記キャノピーカバーを支持する作用をする骨組構造体。」と訂正する。

訂正事項10
特許明細書の【特許請求の範囲】【請求項10】を【請求項9】に繰り上げ、
「請求の範囲第8項に記載の展開可能な骨組構造体において、前記ルーフ支持組立体が少なくとも1対の向き合った端縁シザー組立体の間に延びかつ該端縁シザー組立体と連結され、そして前記の1対の向き合った端縁シザー組立体の展開および収縮に応じて展開し、そして収縮するように作用する内側シザー組立体を含み、前記内側シザー組立体が前記の上側浮動マウントおよび下側浮動マウントにそれぞれ形成されたそれぞれのソケット内に収納されかつそれぞれの前記締付ピンにより該ソケット内に枢動可能に締め付けられた内側シザーの長方形横断面の外側の上端部および下端部を有する骨組構造体。」と訂正する。

訂正事項11
特許明細書の【特許請求の範囲】【請求項11】を【請求項10】に繰り上げ、
「請求の範囲第9項に記載の展開可能な骨組構造体において、向き合った端縁シザー組立体の各々の組がそれらの間に延びる内側シザー組立体を有する骨組構造体。」と訂正する。

訂正事項12
特許明細書の【特許請求の範囲】【請求項12】を【請求項11】に繰り上げ、
「請求の範囲第9項に記載の展開可能な骨組構造体において、前記内側シザー組立体が端と端とをつなぐ関係にその内側の上端部および下端部において一緒に連結された1対の内側シザーユニットにより構成され、そして各々がそれぞれの締付ピン上に枢動可能に軸支された前記内側シザーユニットのそれぞれの内側の上端部および下端部を受け入れるために隔置された平行な側壁部分の間に形成されたソケットおよび該ソケットと組み合わされた締付ピンとを有する上側中央マウントおよび下側中央マウントを含む骨組構造体。」と訂正する。

訂正事項13
特許明細書の【特許請求の範囲】【請求項13】を【請求項12】に繰り上げ、
訂正前の
「請求の範囲第12項に記載の展開可能な骨組構造体において、前記キャノピーカバーの頂部を支持する作用をする中央柱組立体を含み、そして前記の上側中央ソケットおよび下側中央ソケットが前記中央柱組立体を支持する装置を含む骨組構造体。」を
「請求の範囲第11項に記載の展開可能な骨組構造体において、前記キャノピーカバーの頂部を支持する作用をする中央柱組立体を含み、そして前記の上側中央マウントおよび下側中央マウントが前記中央柱組立体を支持する装置を含む骨組構造体。」と訂正する。

2.訂正の適否
訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された発明に、同請求項2に記載された発明を含めるとともに、発明特定事項である「固定マウント」及び「スライドマウント」について、「前記固定マウントに一対のソケットが直交して形成され、該一対のソケットの各々において平行な側壁部分は、その上端部において水平な壁部分で相互に連結され、前記スライドマウントに一対のソケットが直交して形成され、該一対のソケットの各々において平行な側壁部分は、その下端部において水平な壁部で相互に連結され、」との限定を付加するものである。
上記訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された発明を下位概念化又は構成要件の直列的付加により、その内容を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、上記訂正事項1は、本件特許明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。

訂正事項2について
訂正事項2は、訂正事項1によって実質的に請求項1に含まれることとなった請求項2を削除するものでるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

訂正事項3及び4について
訂正事項3及び4は、訂正事項2によって請求項2が削除されたのに伴い、訂正前の請求項3及び4をそれぞれ請求項2及び3に繰り上げるものであって、請求項に付す番号を記載する順序により連続番号とするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。

訂正事項5について
訂正事項5は、訂正前の請求項5に記載された発明に、発明特定事項である「固定マウント」及び「スライドマウント」について、「互いに直交する一対のソケットの中央部に、隔置された平行な壁部により形成される中央部のソケットを有し」との限定を付加し、同じく「ルーフ支持部材」について「中央部のソケット」に連結されているという限定を付加するとともに、請求項の番号を4に繰り上げるものである。
上記訂正事項5は、限定を付加する訂正については、訂正前の請求項5に記載された発明を下位概念化又は構成要件の直列的付加により、その内容を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 また、請求項の番号を繰り上げる訂正については、請求項に付す番号を記載する順序により連続番号とするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
そして、上記訂正事項5は、本件特許明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。

訂正事項6?12について
訂正事項6?12は、訂正事項2によって請求項2が削除されたのに伴い、訂正前の請求項6?12を請求項5?11に繰り上げるものであって、請求項に付す番号を記載する順序により連続番号とするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
訂正事項13について
訂正事項13は、本件特許明細書等の記載から明らかな誤記と認められる、訂正前の請求項13の発明特定事項である「上側中央ソケット」及び「下側中央ソケット」をそれぞれ「上側中央マウント」及び「下側中央マウント」に訂正し、請求項の番号を繰り上げるものであって、誤記または誤訳の訂正及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。

3.むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き、並びに、同条第5項において準用する同法第126条第3項及び第4項の規定に適合するので、結論のとおり訂正を認める。

第3.請求人の主張
請求人は、本件特許の請求項1?13に係る発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由として、本件特許の請求項1?13に係る発明は、本件優先権主張日前に頒布された甲1号証?甲第12号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである、これは訂正後の請求項1?12に係る発明に対しても同様である(以下「無効理由1」という。)、また、請求項13には、「前記の上側中央ソケットおよび下側中央ソケット」と記載されているが、上側中央ソケット及び下側中央ソケットに関し、同請求項及び同請求項が従属する請求項1、8、9、10、及び12のいずれにも記載がなく、特許請求の範囲に記載された特許を受けようとする発明が不明確であるから、本件特許に係る特許出願は、特許法第36条第6項第第2号に規定する要件を満たすものではない(以下「無効理由2」という。)から、本件特許は無効とすべきものであると主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証を提出している。なお参考資料1?9が添付されている。

甲第1号証:実願昭62-157952号(実開平1-61370号)のマイクロフィルム
甲第2号証:特開平1-142183号公報
甲第3号証:米国特許第4641676号公報
甲第4号証:実願昭57-91580(実開昭58-195553号)のマイクロフィルム
甲第5号証:特開昭48-29212号公報
甲第6号証:実公昭17-13415号公報
甲第7号証:特開昭52-46616号公報
甲第8号証:実願昭63-145489(実開平2-66141号)のマイクロフィルム
甲第9号証:実願平1-5510号(実開平2-96933号)のマイクロフィルム
甲第10号証:実公昭38-2860号公報
甲第11号証:実公昭38-1674号公報
甲第12号証:特開昭57-80967号公報

第4.被請求人の主張
一方、被請求人は、訂正請求をするとともに、本件無効審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、訂正した本件特許の請求項1?12に係る発明は、甲第1号証ないし甲第12号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない、また、訂正請求により無効理由2は解消した、から、請求人の主張にはいずれも理由がないと主張し、証拠方法として乙第1号証及び乙第2号証を提出している。なお、参考資料1?11及び参考図1?4が添付されている。

乙第1号証:「モールド一覧表」と題する製品リスト、2009年2月2日、白石徳宏作成
乙第2号証:株式会社ロゴスコーポレーションのカタログの写し

第5.本件特許発明
本件特許の請求項1?12に係る発明(以下「本件特許発明1」?「本件特許発明12」という。)は、上記のとおり本件訂正が認められたため、訂正請求書に添付された訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1?12に記載された事項により特定される、次のとおりのものと認める。

「【請求項1】
折畳まれ、そして折畳まれた状態で保管され、そして支持面上に展開された状態で組みたてられるようになった展開可能な骨組構造体であり、前記支持面の上方にキャノピーカバーを支持することができる骨組構造体において、
(a)各々が支持面上に配置可能な下端部と、前記下端部と反対側の上端部とを有する複数個の直立した支持部材を備え、前記支持部材は折畳まれた状態で相互に相並ぶように向けられ、そして展開状態に向かって相互に離れて外方に移動可能であり、さらに、
(b)複数個の端縁シザー組立体を備え、一つの端縁シザー組立体が前記支持部材のうちの隣接した支持部材を相互に連結し、各々の前記端縁シザー組立体が1対の外側上端部および1対の外側下端部を有し、前記端縁シザー組立体は開閉するように作用可能であり、それにより前記骨組構造体は展開状態と収縮状態との間を移動することができ、さらに、
(c)前記の直立した支持部材上に配置されかつ前記端縁シザー組立体を前記支持部材に締め付けるように作用する複数個のマウントを備え、前記マウントの各々は隔置された平行な側壁部分により形成されたソケットを有し、前記端縁シザー組立体の各々はその平行な向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合されるように前記ソケットのうちのそれぞれの1個のソケット内に受け入れられる長方形横断面の外側端部を有し、それにより前記の平行な側壁部分と共に平面状の接触面を形成し、さらに、
(d)前記端縁シザー組立体の各々の外側端部をそれぞれのソケット内に枢動可能に固定する締付ピンを備え、
(e)1対の前記マウントが前記の直立した支持部材の各々の上に配置され、前記の1対のマウントの一方が固定マウントであり、そして前記の1対のマウントの他方がスライドマウントであり、前記スライドマウントが前記の直立した支持部材に滑動可能に固定されかつそれぞれの前記端縁シザー組立体が開閉するときに前記支持部材に沿って前記固定マウントに近い位置と前記固定マウントから遠い位置との間に移動可能であり、
(f)前記固定マウントに一対のソケットが直交して形成され、該一対のソケットの各々において平行な側壁部分は、その上端部において水平な壁部分で相互に連結され、前記スライドマウントに一対のソケットが直交して形成され、該一対のソケットの各々において平行な側壁部分は、その下端部において水平な壁部で相互に連結され、
(g)前記マウントは前記骨組構造体が展開し、そして収縮するときに前記端縁シザー組立体を開閉させるように相互に関して相対移動可能であり、一方ソケットの平行な側壁部が平面状の接触面に沿って外側端部に作用して前記端縁シザー組立体の横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止する骨組構造体。
【請求項2】
請求の範囲第1項に記載の展開可能な骨組構造体において、それぞれの前記スライドマウントをそのそれぞれの前記固定マウントに近い位置において釈放可能に締め付けるために前記の直立した支持部材と組み合わされたラッチ装置を含む骨組構造体。
【請求項3】
請求の範囲第1項に記載の展開可能な骨組構造体において、骨組構造体が展開状態にあるときに前記の直立した支持部材により支持面の上方に支持されたルーフ支持組立体を含み、前記ルーフ支持組立体が前記キャノピーカバーを支持する作用をする骨組構造体。
【請求項4】
請求の範囲第3項に記載の展開可能な骨組構造体において、前記ルーフ支持組立体が頂点を形成するためにその近位端部において相互に枢動可能に連結されかつ展開状態にあるとき相互に離れて半径方向に外方に延びる複数個のルーフ支持部材を含み、前記固定マウント及びスライドマウントが、互いに直交する一対のソケットの中央部に、隔置された平行な壁部により形成される中央部のソケットを有し、各々のルーフ支持部材がその遠位端部においてそれぞれの直立した支持部材上の前記マウントのうちの1個のマウントの中央部のソケットに枢動可能に連結されている骨組構造体。
【請求項5】
請求の範囲第4項に記載の展開可能な骨組構造体において、各々の前記ルーフ支持部材が前記骨組構造体が折畳まれた状態にあるときの引っ込められた状態と前記骨組構造体が展開された状態にあるときの伸張した状態との間に移動可能な1対の伸張可能な部分を含み、そして前記の伸張可能な部分を伸張した状態に釈放可能に保持するルーフ支持部材ラッチ装置を含む骨組構造体。
【請求項6】
請求の範囲第4項に記載の展開可能な骨組構造体において、1対の前記マウントが前記の直立した支持部材の各々の上に配置され、前記の1対のマウントの一方が固定マウントであり、そして前記の1対のマウントの他方がスライドマウントであり、前記スライドマウントが前記の直立した支持部材に滑動可能に固定されかつそれぞれの前記端縁シザー組立体が開閉するときに前記支持部材に沿って前記固定マウントに近い位置と前記固定マウントから遠い位置との間に移動可能であり、そして前記ルーフ支持部材の各々がそれぞれの固定マウントに枢動可能に連結され、そして第1片持端部において前記伸張可能な部分の一方と枢動可能に連結されかつ前記第1片持端部と反対側の第2片持端部においてそれぞれの前記の隅の支持部材上のスライドマウントと枢動可能に連結された片持部分を含む骨組構造体。
【請求項7】
請求の範囲第1項に記載の展開可能な骨組構造体において、前記端縁シザー組立体の各々が端と端とをつなぐ関係で内側の上端部および下端部において連結された1対のシザーユニットを含み、前記端縁シザー組立体の各々がそれぞれのシザーユニットの内側の上端部および下端部を枢動可能に連結するためにそれぞれ作用する上側浮動マウントおよび下側浮動マウントを含み、前記上側浮動マウントおよび下側浮動マウントの各々が隔置された平行な側壁部分によりそれらの内部に形成された複数個のソケットを有し、前記シザーユニットの内側端部の各々がその向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合するように前記ソケットのうちのそれぞれのソケット内に受け入れられた長方形横断面を有し、かつソケットの平行な側壁部分が前記シザーユニットの横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止する間に前記シザーユニットの各々の内側端部をそれぞれのソケット内に枢動可能に固定する締付ピンを含む骨組構造体。
【請求項8】
請求の範囲第7項に記載の展開可能な骨組構造体において、骨組構造体が展開状態にあるときに前記の直立した支持部材により支持面の上方に支持されるルーフ支持組立体を含み、前記ルーフ支持組立体が前記キャノピーカバーを支持する作用をする骨組構造体。
【請求項9】
請求の範囲第8項に記載の展開可能な骨組構造体において、前記ルーフ支持組立体が少なくとも1対の向き合った端縁シザー組立体の間に延びかつ該端縁シザー組立体と連結され、そして前記の1対の向き合った端縁シザー組立体の展開および収縮に応じて展開し、そして収縮するように作用する内側シザー組立体を含み、前記内側シザー組立体が前記の上側浮動マウントおよび下側浮動マウントにそれぞれ形成されたそれぞれのソケット内に収納されかつそれぞれの前記締付ピンにより該ソケット内に枢動可能に締め付けられた内側シザーの長方形横断面の外側の上端部および下端部を有する骨組構造体。
【請求項10】
請求の範囲第9項に記載の展開可能な骨組構造体において、向き合った端縁シザー組立体の各々の組がそれらの間に延びる内側シザー組立体を有する骨組構造体。
【請求項11】
請求の範囲第9項に記載の展開可能な骨組構造体において、前記内側シザー組立体が端と端とをつなぐ関係にその内側の上端部および下端部において一緒に連結された1対の内側シザーユニットにより構成され、そして各々がそれぞれの締付ピン上に枢動可能に軸支された前記内側シザーユニットのそれぞれの内側の上端部および下端部を受け入れるために隔置された平行な側壁部分の間に形成されたソケットおよび該ソケットと組み合わされた締付ピンとを有する上側中央マウントおよび下側中央マウントを含む骨組構造体。
【請求項12】
請求の範囲第11項に記載の展開可能な骨組構造体において、前記キャノピーカバーの頂部を支持する作用をする中央柱組立体を含み、そして前記の上側中央マウントおよび下側中央マウントが前記中央柱組立体を支持する装置を含む骨組構造体。」

第6.甲第1号証ないし甲第12号証の記載事項
1.甲第1号証:実願昭62-157952号(実開平1-61370号)のマイクロフィルム
甲第1号証には、「伸縮瞬間わく組立家屋結構」に関する発明が記載されており、図面とともに以下の記載がある。
(1-1)明細書第5頁第12行?第6頁第3行
「サイドバーの巧妙な設計により交互に交叉式または取揃支え式を組合わせ、必要により入口のところを揃えて上昇し、その上昇面をして単面から四面全部に及び、製造時に先ず人々の出入り及び本考案の適用対象をプラスするように設定することができる、それには次のような優点がある:
1.一体成型で、運搬携帯に便利。
2.わく組立と折畳み操作が簡易で省時省力。
・・・
5.風に吹き倒されるおそれがない。」
(1-2)明細書第6頁第10行?第7頁第10行
「第4図で示すように、本考案は数本の主支柱(1)、サイドバー(5)、下活動支えバー軸体(3)、上固定支えバー軸体(4)、屋根支えバー(7)、槽鉄関節(6)、屋根フレーム押上バー(9)及び屋根受梁軸(8)により組成される、主支柱(1)は角型または円型柱体で、上端に一つの上止め孔(12)を設けて活動挿ピン(13)を主体(1)の上止め孔に挿入するのに提供し、並びにそれにより下活動支えバー軸体(3)を滑り下りないように固定する(第16図参照)、その主支柱(1)の下端に数ヶの下止め孔(11)を設け、その主支柱(1)の空心のところに一本の伸縮支柱(2)を設けている、上方も同じように数ヶの止め孔(22)を設け、その止め孔の作用は伸縮支柱(2)が主支柱(1)内から適当な長さに伸出した時に活動挿ピンを挿入して主支柱(1)上の下止め孔(11)に固定し、全体の高度を上昇し並びに固定する、その伸縮支柱(2)下端は一つの底台片(21)を溶接固定して全体の安定を強化している(第11、12図参照);」

(1-3)明細書第7頁第11行?第8頁第7行
「主支柱(1)上にはめている下活動支えバー軸体(3)は一本の角型または円型の空心柱(第15、16図)で兩端は開き口であり、下端には二つの下サイドバー固定軸片(32)を設け、その兩軸はサイドバー(5)の一端と互いに結合し、別途にその兩軸片(32)夾角の中央上方に一つの屋根押上バー固定軸片(31)を設けている、その軸片と屋根押上バーの一端を結合し、その下活動支えバー軸体(3)の中間の空心部分を主支柱(1)上にはめて、サイドバー(5)の伸張及び収縮が上下滑動をなすように配慮し、本体が最大まで伸張したときに活動挿ピン(13)を支柱上の止め孔(12)まで挿入して、而して下活動支えバー軸体(3)をくい止め固定し、並びに下活動支えバー軸体(3)が滑り下ち、全体が変形または収縮(第17図参照)するのを防止している;」

(1-4)明細書第8頁第8?16行
「上固定支えバー軸体(4)は一角型または円型空心柱(第14図参照)で、上方に二つの上サイドバー固定軸片(42)を設け、その兩軸片とサイドバー(5)の一端を結合している、その兩軸片(42)の夾角中央の下方に一つの屋根支えバー固定軸片(41)を設け、その軸片と屋根支えバー(76)の一端を互いに結合し、その上固定支えバー軸体(4)を主柱(1)上端に固定している;」

(1-5)明細書第8頁第17行?第9頁第8行
「サイドバー(5)は交叉式または取揃式で混合使用し(第4、5、6図参照)、その巧みな設計はその需要によりそれを揃って上昇し、こうすることにより人々の出入りを尚更便利にしている、交叉式は(5a)(5b)で組合せ、取揃式は(5c)(5d)を一つの槽鉄(6)を利用して一水平状になように連接し、一本の押上バー(51)を加えて組成している、兩端はそれぞれ上固定支えバー軸体(4)の上サイドバー固定軸片(42)及び下活動支えバー軸体(3)の下サイドバー固定軸片(32)上に固定している;」

(1-6)明細書第9頁第9?18行
「屋根部分は屋根支えバー(7a)(7b)及び屋根フレーム押上バー(9)で組成し、屋根支えバー(7a)(7b)は一つの槽鉄(6)で連結して、前後端をそれぞれ中心の屋根梁受軸(8)の屋根フレーム固定軸片(81)に固定している、他端は上固定支えバー軸体(4)の屋根支えバー固定軸片(41)上に固定され、その屋根梁受軸(8)の中心は円型またはその他の形状で、その周囲に数個の屋根支軸固定軸片(81)を設け(第18図参照)ている;」

(1-7)明細書第9頁第19行?第10頁第7行
「屋根フレーム押上バー(9)の兩端はそれぞれ下活動支えバー軸体(3)の屋根押上バー固定軸片(31)及び屋根支えバー(76)の中間の適当な位置(91)に固定され、その押上バー(9)の目的は屋根支えバーを支える外に、更に全体の伸張及び収縮にプラスしている、全体を連結したところはボルトまたはリベットにワシヤーを加えて連結し、各連結点は角回転できるようになっている。」

(1-8)第14?15図
明細書の上記各記載を参酌して第14図を見ると、上サイドバー固定軸片42が長方形の横断面を有する突出片であり、該上サイドバー固定軸片42とボルトまたはリベットで固定される交叉式サイドバーの端部が隔置された平行な側壁部分を有し、上サイドバー固定軸片42が該隔置された平行な側壁部分間に挿入されることにより両部材が面接触していることがわかる。
同じく第15図を見ると、下サイドバー固定軸片32が長方形の横断面を有する突出片であり、該下サイドバー固定軸片32とボルトまたはリベットで固定される交叉式サイドバーの端部が隔置された平行な側壁部分を有し、下サイドバー固定軸片32が該隔置された平行な側壁部分間に挿入されることにより両部材が面接触していることがわかる。

2.甲第2号証:特開平1-142183号公報
甲第2号証には、「天蓋構造物」に関する発明が記載されており、図面とともに以下の記載がある。

(2-1)第6頁右上欄第15行?左下欄第13行
「コーナー支持部材22及び対応する屋根支持部材40から構成される各セツトは、全く同一のものとして組立てられる。従つて、説明目的のため、単に一つのそのような組立体に関する説明が第3図を参照して詳細に為される。第3図において、コーナー支持部材22の上端32は、プラスチツクから成る端キヤツプ33によつて閉鎖されて図示される。U形ブラケツト36がコーナー支持部材22にその上端32において取付けられ、そして第1のL形ブラケツト38が前記U形ブラケツト36に隣接してコーナー支持部材22に結合されている。すべりブラケツト34が摺動自在にコーナー支持部材22に嵌装されており、そして第2のU形ブラケツト37及び第2のL形ブラケツト39がともにすべりブラケツト34に結合されている。既に述べたように、シザースユニツト62の交差片64,66はそれぞれピン65,67によつてL形ブラケツト38,39に枢動自在に結合されている。」

(2-2)第6頁左下欄第14行?右下欄第6行
「屋根支持部材40は1対の伸縮部材から構成されており、該伸縮部材は好ましくは内伸縮部材42と、内伸縮部材42を伸縮可能に受容する該伸縮部材44との形式にされている。屋根支持部材40は頂点部分50へ向かつて半径方向内方へ突出し、それにより、屋根支持部材40の内端即ち第1端は後に説明されるように頂点部分50に枢動自在に結合され得る。屋根支持部材40の外端即ち第2端は前記外伸縮部材44内に嵌合されてそれに固定される下ドグレグ腕46によつて形成される。下ドグレグ腕46の他端はピン47によつてU形ブラケツト36にす枢動自在に結合されている。」

(2-3)第6頁右下欄第7行?第7頁左上欄第10行
「下ドグレグ腕46とは反対位置のその端において該伸縮部材44は下方へ突出するU形ブラケツト48を有する。カンチレバー部材70が一端においてピン49によつてU形ブラケツト48に枢動自在に結合され、そして他端においてピン41によつてU形ブラケツト37に枢動自在に結合されている。従つて、屋根支持部材40はピン47を中心としてコーナー支持部材22に対して下方へ枢動することが理解されるべきである。かくのごとき枢動が生じたときは、すべりブラケツト47は下方へ運動し、従って、カンチレバー部材70は、屋根支持部材40がコーナー支持部材22の側腹に沿う至近離間平行関係に定向されるように枢動する。下ドグレグ腕46はU形ブラケツト37の幅及びカンチレバー部材70の幅を屋根支持部材40とコーナー支持部材22との間に収容するための片寄りを確立するために設置されることが理解されるであろう。内及び外伸縮部材42,44を第3図に図示されるごとき伸張位置に確保するため、ボタンラツチ・嵌合穴装置45の形式にされたラツチ手段が設けられる。ボタンラツチが内及び外伸縮部材の一方に配置され、そして嵌合穴が他方の伸縮部材に配置されることは、当業者に既知である標準装置の場合と同じである」

3.甲第3号証:米国特許第4641676号公報
(訳文は、請求人提出のもの採用する。)
甲第3号証には、「COLLAPSIBLE CANOPY STRUCTURE」((訳)「折り畳み可能なキャノピー構造体」)に関する発明が記載されており、図面とともに以下の記載がある。

(3-1)明細書第3欄第15?36行
「Support framework 12, without covering 14, is best shown in FIGS. 3 and 3A in an expansion state that is approximately half-way between the collapsed state shown in FIG. 2 and the fully expanded state shown in FIG. 1. As is shown in FIG. 3, support framework 12 includes plurality of upright support members or legs 16,18,20, and 22 which form part of the support frame- work 12 and which are interconnected by scissor assemblies, described below. Specifically, leg 16 is interconnected to its adjacent legs 18 and 22 by means of a pair of scissor assemblies 24 and 26, respectively. Leg 20 is interconnected to its adjacent legs 18 and 22 by means of a third and fourth pairs of scissor assemblies 28 and 30, respectively. In the preferred embodiment, shown in FIG. 3, scissor assemblies 26 and 28, which form opposite sides of support structure 12, are interconnected by a fifth or internal scissor assembly 32. Scissor assemblies 24,26,28 and 30 have the same construction so that, for purposes of explanation, only scissor assembly 24 is fully described. However, it should be appreciated that the general structure of each scisor assembly 26,28 and 30 is the same.」
(訳)「図3及び図3Aは、図2で示す折り畳まれた状態と図1で示す完全に展開された状態のほぼ中間の展開状態で、カバー14を取除いた支持フレーム12を最もよく示す。図3で示すように、支持フレーム12には、複数の垂直支持構成体としての脚16、18、20、及び22がある。脚16、18、20、及び22は、支持フレームワークの一部を構成し、以下で説明するシザー組立体によって相互接続されている。具体的に言うと脚16は、それぞれ一対のシザー組立体24及び26によって、隣接する脚18及び22に対し相互接続されている。脚20は、それぞれ第三、第四の対のシザー組立体28及び30によって、隣接する脚18及び22に対し相互接続されている。図3に示す好ましい実施例では、シザー組立体26及び28が支持構造体12の反対側を構成し、第五の即ち内部シザー組立体32によって相互接続されている。シザー組立体24、26、28、及び30は同様の構造のため、シザー組立体24のみを説明のために、十分に記述する。しかし、各シザー組立体26、28、及び30の通常の構造は同様であると理解されたい。」
(3-2)明細書第3欄第37?54行
「Scissor assembly 24, as is shown in FIG. 3, is defined by a pair of X-shaped scissor units 34 and 36, each of which is formed by a pair of tubular cross arms of square-shaped cross-section. Scissor unit 34 is formed by first elongated arms 38 and 40 which are pivotally attached to one another at a midpoint Arm 38 is pivotally secured at a first end 42 to a slide bracket 44 that is slidably received on leg 16. A first end 46 of elongated arm 40 is pivotally secured to top 48 of leg 16. Similarly, scissor unit 36 is formed of a pair of elongated arms 50 and 52 which are pivotally attached to one another at their midpoint. A first end 54 of arm 50 is pivotally secured to a slide bracket 56 which is slideably received on leg 18, and a first end 58 of arm 52 is pivotally secured to the top 60 of leg 18. A second end 62 of arm 38 is pivotally connected to a second end 66 of arm 50, and the second end 64 of arm 40 is pivotally connected to second end 68 of arm 52.」
(訳)「シザー組立体24は、図3に示すように、一対のX状シザーユニット34及び36により構成されている。そして、各シザーユニット34及び36は、一対の矩形状断面の中空のクロスアームにより構成されている。シザーユニット34は、中間点で互いに枢動可能に取り付けられた第一の細長いアーム38及び40により形成されている。アーム38は、第一端42が、脚16にスライド可能に受けられたスライドブラケット44に枢動可能に取り付けられている。細長いアーム40の第一端46は、脚16の上端48に枢動可能に取り付けられている。同様に、シザーユニット36は、中間点で互いに枢動可能に取り付けられた一対の細長いアーム50及び52により形成されている。アーム50の第一端54は、脚18にスライド可能に受けられたスライドブラケット56に枢動可能に取り付けられている。そして、アーム52の第一端58は、脚18の上端60に枢動可能に取り付けられている。アーム38の第二端62は、アーム50の第二端66に枢動可能に接続され、そして、アーム40の第二端64は、アーム52の第二端68に枢動可能に接続されている。」

(3-3)明細書第3欄第55行?第4欄第3行
「Internal scissor assembly 32 is formed by a pair of X-shaped scissor units 70 and 72, as is shown in FIGS. 3 and 3A. The construction of internal scissor assembly 32 is similar to that described above with respect to scissor assembly 24, with the differences in construction best shown in FIGS. 5, 6, and 7. As is shown in those figures, scissor unit 70 is formed by pair of elongated tubular arms 74 and 76 which are hinged together at their mid-sections. Similarly, the scissor unit 72 is formed by a pair of elongated tubular arms 78 and 80 also hinged together at their mid-sections. Scissor units 70 and 72 are connected to one another and to a sleeve 82 and a socket 92. Particularly, sleeve 82 is provided with a tab 84 projecting therefrom. Elongated arms 76 and 78 are pivotally connected to tab 84 by means of a bolt or rivet 88, with a low-friction washer 86 placed between arms 76 and 78.」
(訳)「内部シザー組立体32は、図3及び3Aに示されているように、一対のX状シザーユニット70及び72により形成されている。内部シザー組立体32の構造は、図5、6及び7に最もよく示されている構造状の相違があるものの、上述したシザー組立体24に関するものと同様である。これらの図に示されているように、シザーユニット70は、中間点で互いに枢動可能に取り付けられた一対の細長い中空アーム74及び76により形成されている。同様に、シザーユニット72は、中間点で互いに枢動可能に取り付けられた一対の細長い中空アーム78及び80により形成されている。シザーユニット70及び72は互いに接続されるとともに、スリーブ82及びソケット92に接続されている。特に、スリーブ82はそこから突出するタブ84を備えている。細長いアーム76及び78は、アーム76及び78の間に配設された低摩擦ワッシャー86とともに、ボルト又はリベット88によって、タブ84に枢動可能に接続されている。」

(3-4)明細書第4欄第4?10行
「Socket 92 is cup-shaped in configuration and is defined by surrounding sidewall 94 and a bottom wall 96. Socket 92 includes a tab 98 projecting therefrom which serves to interconnect scissor units 70 and 72. Particularly, elongated arms 74 and 80 are pivotally secured to tab 98 by means of a bolt or rivet 102, with a low-friction washer 100 placed between arms 74 and 80.」
(訳)「 ソケット92はカップ状に形成されており、周囲の側壁94と底壁96とを備えている。ソケット92はそこから突出するタブ98を含んでいる。タブ98はシザーユニット70及び72の相互接続を受け持っている。特に、細長いアーム74及び80は、アーム74及び80の間に配設された低摩擦ワッシャー100とともに、ボルト又はリベット102によって、タブ98に枢動可能に接続されている。」

(3-5)明細書第4欄第11?27行
「Sleeve 82 and socket 92 mount a central or interior post 106 which has a lower end 108 and a cap 110 located on an end thereof opposite end 108. Post 106 extends through sleeve 82 so that end 108 may be mateably and releaseably received by socket 92. When the canopy shelter is moved into the collapsed state, socket 92 disengages from end 108 of post 106, as is shown in phantom in FIG. 6. However, when the canopy shelter is moved into the expanded position, end 108 is positively engaged and supported by socket 92 so that cap 110 is pressed against a reinforcement pad 112 secured to a central portion of covering 14. Preferably, post 106 has a length which is sized to elevate the center of covering 14 slightly higher than the tops of legs 16,18, 20 and22 so that water may run off canopy covering 14. In this manner, then, the central portion of covering 14 is supported by post 106 of internal scissor assembly 32.」
(訳)「 スリーブ82及びソケット92は、下端108と、該下端108の他端に配設されたキャップ110とを有する中央又は内側のポスト106に乗っている。ポスト106は、下端108が着脱可能にソケット92に受けられるように、スリーブ82を介して延設されている。キャノピーシェルターが折り畳まれた状態にされたとき、図6に仮想的にヽ示されているように、ソケット92はポスト106の下端108からの連結が解除される。しかしながら、キャノピーシェルターが展開された状態にされたとき、キャップ110がカバー14の中央部分に設けられる補強パッド112に対して押圧されるように、下端108はソケット92により積極的に連結支持される。キャノピーカバー14から水を流下させるため、ポスト106は、脚16、18、20、及び22の上端よりも若干高めにカバー14の中央を持ち上げる長さを備えていることが好ましい。このように、カバー14の中央部分は内部シザー組立体32のポスト106で支持される。」

(3-6)明細書第4欄第8?47行
「A representative connection of internal scissor assembly 32 to a side scissor assembly 28, is shown in FIG. 5. In this figure, an L-shaped bracket 114 is pivotally connected to the end of tubular elongated arm 78 that is opposite the end connected to tab 84 of sleeve 82. Arm 78 is provided with a hole 118 extending therethrough, and L bracket 114 has a complimentary hole 120. A bolt or rivet 116 is then passed through holes 118 and 120, and a bushing may be used to prevent the collapse of the sidewalk of arm 78. Scissor assembly 28 includes elongated tubular arms 122 and 124 which are provided, at adjacent ends, with holes 126 and 128, respectively. L bracket 114 has a second hole 130 which is alignable with holes 126 and 128, and a bolt or rivet 132 extends through these holes so that arms 122 and 124 are pivotally secured to bracket 114 and to each other. A low-friction washer 125 is positioned between arms 122 and 124 on rivet 132. Thus, any scissor movement of scissor assembly 28 causes a corresponding movement to scissor assembly 32.」
(訳)「内部シザー組立体32のサイドシザー組立体28への代表的な接続は、図5に示されている。この図において、L形ブラケット114は、細長い中空アーム78の端部に枢動可能に接続されている。この中空アーム78の端部は、スリーブ82のタブ84に接続された端部の反対側の端部である。アーム78は貫通した孔118を備え、L形ブラケット114は対応する孔120を備えている。ボルト又はリベット116は孔118及び120に挿通され、アーム78の側壁の摩耗を防止するためにブッシュを用いてもよい。シザー組立体28は隣接する端部に孔126及び128をそれぞれ備えた細長い中空アーム122及び124を含んでいる。L形ブラケット114は、孔126及び128により整列できる第二孔130を備えている。そして、アーム122及び124がブラケット114に対し、互いに枢動可能に取り付けられるように、ボルト又はリベット132がこれらの孔を挿通する。低摩擦ワッシャー125は、リベット132におけるアーム122及び124の間に配設される。このように、シザー組立体28のあらゆるハサミ状の動作は、シザー組立体32に対応する動作を引き起す。」

(3-7)明細書第5欄第5?18行
「Slide bracket 44 and corner bracket 146 are mounted to scissor assemblies 24 and 26. To this end, slide bracket 44 includes a pair of tabs 150 and 152 which project laterally of bracket 44 and at right angles to each other. Elongated arm 38 is pivotally secured to tab 150 by means of bolt or rivet 154, and elongated arm 39 of scissor assembly 26 is pivotally secured to tab 152 in a similar manner. Corner bracket 146 is also provided with a pair of tabs 156 and 158 which laterally project therefrom at right angles to each other. Elongated arm 40 of scissor assembly 24 is pivotally secured to tab 156 by means of a bolt or rivet 160, and elongated arm 41 of scissor assembly 26 is pivotally secured to tab 158 in a like manner.」
(訳)「スライドブラケット44及びコーナーブラケット146は、シザー組立体24及び26に取り付けられている。この目的のためスライドブラケット44は、横へ突出し互いに直角をなす、一対のタブ150及び152を持つ。細長いアーム38は、ボルト又はリベット154によってタブ150に枢動可能に取り付けられている。シザー組立体26の細長いアーム39は、同様の方法でタブ152に枢動可能に取り付けられている。コーナーブラケット146も、横へ突出し互いに直角をなす、一対のタブ156及び158を備えている。シザー組立体24の細長いアーム40は、ボルト又はリベット160によりタブ156に枢動可能に取り付けられており、シザー祖立体26の細長いアーム41は、同様にタブ158に枢動可能に取り付けられている。」

4.甲第4号証:実願昭57-91580(実開昭58-195553号)のマイクロフィルム
甲第4号証には、「折畳み式ベンチ」に関する発明が記載されており、図面とともに以下の記載がある。
(4-1)明細書第2頁第3?8行
「本考案は数人で腰掛けせられるベンチを横方向にワンタツチで開展折畳みせられると共に体積も最小限に縮小せられて携行収蔵に至便であり然も部材の種類が少なく且組立て制作も容易にして安価堅牢なこの種折畳み式ベンチを提供するものである。」

(4-2)明細書第3頁第4行?第4頁第8行
「即ち実施例の図面に示したように2本の同径等長の金属製脚管1,2の各中央部を開閉自在に枢着Pしたクロス脚Xの多数本を設け、且これらクロス脚を順次横平行に配すると共に各クロス脚Xの前後端間毎にそれぞれクロス脚Xを介設してその交錯状に集交した各脚管1,2の上下端口に、中央部に円形の挿孔Rを穿ち且該挿孔の片面外周に平面巴状に各軸受けWを立設した一体のナイロンまたは合成樹脂製軸受け盤3における対角的に該当する各軸受けWに介挿軸支tされたナイロン又は合成樹脂製の各軸継ぎ手4の基部4′を嵌着し然して後列側の上下各軸受け盤3の挿孔Rに各長尺な背もたれ管5を串通してその各下端を各下部軸受け盤3の挿孔Rに固着し又前列左右側端の上下各軸受け盤3の挿孔Rにには、縮小極限においてクロス脚Xの所要開き角度一杯即ち腰掛け高さ相応の高さとなる各伸縮管6の内管a上端と外管b下端をそれぞれ固着してベンチの骨格を構成し、然して各クロス脚X上端の軸受け盤3の上面に細幅長尺の座布7の長手両端を順次止め金Tにて着脱自在に取着けすると共に各背もたれ管5の上端には細幅長尺の背もたれ布8に等間隔に縫着した皮製等の強靱な各袋筒部8′を抜き差し自在に嵌着して成るものである。」

(4-3)明細書第5頁第2行?第10行
「従つて本案は携行収蔵に至便なことは勿論であるが更に本案においては前列両側端の各上下軸受け盤3間にはクロス脚Xの所要開き角度と高さを縮小限度とする各伸縮脚6を介設したので座布7面を腰掛けに快適な程よい凹曲面に保持せしめるのと緊張による該座布の寿命を短かゝらしめることがない利点とベンチ両側を安定的に支持し傾倒破損を防止する効果を具有するものである。」

(4-4)第4図(B)には軸受け盤の拡大図側面図が示されており、 軸受け盤が平行な向き合った側壁部分を有し、その下端部が相互に連結されていることが見て取れる。

5.甲第5号証:特開昭48-29212号公報
甲第5号証には、「折畳み仮設建物」に関する発明が記載されており、図面とともに以下の記載がある。
(5-1)第2頁左上欄第3行?右上欄第9行
「先づ第1図立面図 第2図側面図に示したように 第1図及び 第2図の各2は通常建物の場合の土台に類するものである 第1図及び 第2図の3は 桁 4は 合掌及び 角合掌 5は 棟木に相当する これを図のように幾何学的構造にして 折畳みを可能にし 又柱を上下に伸縮出来るよう 柱に軽金属 鉄 又は合成樹脂のパイプ等を利用して 三重構造とした 第3図の 6は外柱として 7の中柱を外柱内部に差し込み 土台及び 桁 合掌等を 9の取付プレートに 10の取付ボルトにて接続し 8の芯柱を 7の中柱内部を通して 建物上下(土台部分 小屋部分 桁部分) を組合せる 又8の芯柱は 6の外柱最上部及び 最下部の各内部に固定金具を設け 芯柱が外柱最上部以上 又は最下部以下に抜け出さないようにする これにて建物上下の最低の間隔を保ち なほ開閉時には 土台 桁 合掌等が横に連繋的に作動する為 7の中柱のみが 反動伸縮性により上下運動をおこす これにより芯柱は 土台部分と小屋部分の連繋を保ち折畳時の高さを維持出来る 第4図は 合掌及び 角合掌 棟木取付プレート 第5図は 小屋伸縮及び 上下動作部分 第4図の取付プレートを 正方形建物の場合は上下に各1箇づゝ計2箇を使用 長方形建物の場合には上下に各2箇づゝ計4箇を使用し これに合掌及び 角合掌 棟木等を接続し小屋構造とする」

(5-2)第2頁左下欄第1?4行
「なほ 第7図に示した開き止め装置を小屋中央部に取り付け 小屋部分の下降を止めると同時に小屋全体の強度をこれにてさゝえる」

(5-3)第3図に示された取付プレート9は断面コ字状の部材で、その平行な向き合った側壁部分間に角パイプが配置され、取付ボルト10がそれらを貫通して接続されているのがわかる。第4図に示された取付プレートも同様の構造を有し、第7図にも同様の構造が見て取れる。

6.甲第6号証:実公昭17-13415号公報
甲第6号証には、「半球形天幕」に関する発明が記載されている。

7.甲第7号証:特開昭52-46616号公報
甲第7号証には、「アンブレラ テント」に関する発明が記載されており、図面とともに以下の記載がある。
(7-1)第4頁左上欄第14?17行
「図示の実施態様においては、テント骨組は相互に90゜離間した4個のリブ22を含む。したがつて、フランジ10は90゜間隔で配置された4対の横に延在するラグ14を備えている。」

(7-2)第4頁右上欄第2?14行
「各リブ22の端部の中間にはピボツト ブラケツト26が固着されている。第11図にもつともよく示されているように、このブラケツトは断面がほぼC字形である。ブラケツトの閉端はリブの中間部分を受入れるために縦グループを備えている。リブは前述したねじと同様にねじのような手段でブラケツトに固着されている。ブラケツトの離間した端部はそれらの間にカプリング部品の外部部分28を自由に受入れている。ブラケツトの離間した端部とカプリング部品にある整合開口はピボツト ピン30を受入れ、それによりカプリング部品はブラケツトに回動可能に固着されている。」

8.甲第8号証:実願昭63-145489(実開平2-66141号)のマイクロフィルム
甲第8号証には、「折り畳み式腰掛け」に関する発明が記載されており、図面とともに以下の記載がある。
(8-1)明細書第10頁第15行?第11頁第16行
「脚部13は、上記筒体11の下部でこの筒体11の内部に上下方向に摺動可能に嵌挿された脚部保持体31と、この脚部保持体31に対して半径方向外側に互いに開脚可能に例えば図示のようにピンにより枢支された三本の脚32,33,34と、・・・を含んでいる。」

(8-2)明細書第15頁第8?13行
「第5図は本考案による他の実施例を示しており、この折り畳み式腰掛け40は,第1図の実施例と同様に・・・構成されている。」

(8-3)明細書第17頁第11?17行
「脚部43は,筒体41の下部で筒体41の内部に上下方向に摺動可能に嵌挿され・・・た脚部保持体47と,この脚部保持体47に対して半径方向外側に互いに開脚可能に例えば図示のようにピンにより枢支された三本の脚32,33,34とを含んでいる。」

(8-4)第1図には一実施例を示す概略斜視図が示され、脚32,33が、平行な向き合った側壁部分を有する部材の間にピンにより枢支されているのが見て取れる。

(8-5)第5図、第7図及び第8図にはそれぞれ、他の実施例を示す概略斜視図、一部破断拡大斜視図及び折り畳んだ状態を示す概略斜視図が示され、脚32,33が、平行な向き合った側壁部分を有しその上端部において水平な壁部分で相互に連結された部材、の間にピンにより枢支されているのが見て取れる。

9.甲第9号証:実願平1-5510号(実開平2-96933号)のマイクロフィルム
甲第9号証には、「折畳み椅子」に関する発明が記載されており、図面とともに以下の記載がある。
(9-1)明細書第2頁第2?17行
「[従来の技術]従来から携帯用の折畳み椅子には、木材や金属パイプ等で作られた枠材に腰掛け布材を張設した種々の形式のものが知られている。
[考案が解決しようとする課題]しかしながら、これらの折畳み椅子は一般に折畳んでもあまり小さくならないために、鞄やケース等に収納し難いという欠点がある。
また、組み立てた状態では機械的強度及び安定度が弱く,体重の重い人が不用意に腰掛けた場合には、損壊し易いという欠点もある。
本考案の目的は、組立てた状態では機械的強度及び安定度が良く、また折畳んだ状態では鞄やケース等に容易に収納し易いように,小型に束ねることができる折畳み椅子を提供することである。」

(9-2)明細書第5頁第5?16行
「第3図は上述の実施例に用いられているかなめ金具8a、8b、第4図は鈎型金具4aを示している。第3図に示すように、かなめ金具8a、8bは左右対称の2つの金具M1とM2を組合わせて構成され、この2つの金具M1とM2は孔P1を通る枢軸7a、7b及び孔P2、P3を通る取付用ピン11によって相互に組合わされている。また、鈎型金具4a及び4bも第4図に示すように、左右対称の2つの金具N1とN2を組合わせて構成され、これらの2つの金具N1とN2は孔S1を通る軸12及び孔S2を通る取付用ピン11によって相互に結合されている。」

10.甲第10号証:実公昭38-2860号公報
甲第10号証には、「傘骨」に関する発明が記載されている。

11.甲第11号証:実公昭38-1674号公報
甲第11号証には、「傘骨」に関する発明が記載されている。

12.甲第12号証:特開昭57-80967号公報
甲第12号証には、「荷物運搬用トロリー」に関する発明が記載されている。

第7.無効理由についての判断(無効理由1について)
1.引用発明の認定(甲第1号証に記載された発明)
上記記載事項(1-1)?(1-7)及び第1?19図の記載からみて、甲第1号証には、
「わく組立と折畳み操作が簡易な伸縮瞬間わく組立家屋結構であり、上方に屋根を支持することができる伸縮瞬間わく組立家屋結構において、
(a)各々が地面上に配置可能な底台片と、前記底台片と反対側の上端部とを有する複数個の直立した主支柱を備え、前記主支柱は折畳まれた状態で相互に相並ぶように向けられ、そして展開状態に向かって相互に離れて外方に移動可能であり、さらに、
(b)複数個の交叉式サイドバーを備え、一つの交叉式サイドバーが前記主支柱のうちの隣接した主支柱を相互に連結し、各々の前記交叉式サイドバーが1対の主支柱に締め付けられる上側の端部および1対の主支柱に締め付けられる下側の端部を有し、前記交叉式サイドバーは開閉するように作用可能であり、それにより前記伸縮瞬間わく組立家屋結構は展開状態と収縮状態との間を移動することができ、さらに、
(c)前記の直立した主支柱上に配置されかつ前記交叉式サイドバーを前記主支柱に締め付けるように作用する複数個の支えバー軸体を備え、支えバー軸体の各々はサイドバー固定軸片を有し、前記主支柱に締め付けられる上側及び下側の端部の各々は隔置された平行な側壁部分を有し、該平行な側壁部分間に長方形横断面を有するサイドバー固定軸片が挿入され締り嵌め係合されることにより、該平行な側壁部分とサイドバー固定軸片が接触面を形成し、さらに、
(d)前記交叉式サイドバーの各々の前記主支柱に締め付けられる上側及び下側の端部をそれぞれの支えバー軸体のサイドバー固定軸片に枢動可能に固定するボルトまたはリベットを備え、
(e)1対の前記支えバー軸体が前記の直立した主支柱の各々の上に配置され、前記の1対の支えバー軸体の一方が上固定支えバー軸体であり、そして前記の1対の支えバー軸体の他方が下活動支えバー軸体であり、前記下活動支えバー軸体が前記の直立した主支柱に滑動可能に固定されかつそれぞれの前記交叉式サイドバーが開閉するときに前記主支柱に沿って前記上固定支えバー軸体に近い位置と前記上固定支えバー軸体から遠い位置との間に移動可能であり、
(f)前記上固定支えバー軸体に一対の上サイドバー固定軸片が直交して形成され、前記下活動支えバー軸体に一対の下サイドバー固定軸片が直交して形成され、
(g)前記バー支え軸体は前記伸縮瞬間わく組立家屋結構が展開し、そして収縮するときに前記交叉式サイドバーを開閉させるように相互に関して相対移動可能である伸縮瞬間わく組立家屋結構。」
が記載されているものと認められる(以下「引用発明」という)。

2.本件特許発明1について
(1)対比
本件特許発明1と引用発明を対比すると、引用発明の「伸縮瞬間わく組立家屋結構」、「地面」、「屋根」、「地面上に配置可能な底台片」、「主支柱」、「交叉式サイドバー」、「主支柱に締め付けられる上側の端部」、「主支柱に締め付けられる下側の端部」、「バー支え軸体」、「ボルトまたはリベット」、「上固定支えバー軸体」及び「下活動支えバー軸体」は、それぞれ、本件特許発明1の「骨組構造体」、「支持面」、「キャノピーカバー」、「支持面上に配置可能な下端部」、「支持部材」、「端縁シザー組立体」、「外側上端部」、「外側下端部」、「マウント」、「締結ピン」、「固定マウント」及び「スライドマウント」に相当する。
また、引用発明の「伸縮瞬間わく組立家屋結構」が「折畳まれ、そして折畳まれた状態で保管され、そして支持面上に展開された状態で組みたてられるようになった展開可能な骨組構造体」であることは明らかである。
さらに、引用発明の「主支柱に締め付けられる上側及び下側の端部の各々は隔置された平行な側壁部分」は、その側壁部分間にサイドバー固定軸片が挿入されることから本件特許発明1の「ソケット」と同様の作用を有するものである。
したがって、本件特許発明1と引用発明は、
「折畳まれ、そして折畳まれた状態で保管され、そして支持面上に展開された状態で組みたてられるようになった展開可能な骨組構造体であり、前記支持面の上方にキャノピーカバーを支持することができる骨組構造体において、
(a)各々が支持面上に配置可能な下端部と、前記下端部と反対側の上端部とを有する複数個の直立した支持部材を備え、前記支持部材は折畳まれた状態で相互に相並ぶように向けられ、そして展開状態に向かって相互に離れて外方に移動可能であり、さらに、
(b)複数個の端縁シザー組立体を備え、一つの端縁シザー組立体が前記支持部材のうちの隣接した支持部材を相互に連結し、各々の前記端縁シザー組立体が1対の外側上端部および1対の外側下端部を有し、前記端縁シザー組立体は開閉するように作用可能であり、それにより前記骨組構造体は展開状態と収縮状態との間を移動することができ、さらに、
(c)前記の直立した支持部材上に配置されかつ前記端縁シザー組立体を前記支持部材に締め付けるように作用する複数個のマウントを備え、マウントと端縁シザー組立体の外側端部とはソケット内で平面状の接触面を形成し、さらに、
(d)前記端縁シザー組立体の各々の外側端部をそれぞれの枢軸部材に枢動可能に固定する締付ピンを備え、
(e)1対の前記マウントが前記の直立した支持部材の各々の上に配置され、前記の1対のマウントの一方が固定マウントであり、そして前記の1対のマウントの他方がスライドマウントであり、前記スライドマウントが前記の直立した支持部材に滑動可能に固定されかつそれぞれの前記端縁シザー組立体が開閉するときに前記支持部材に沿って前記固定マウントに近い位置と前記固定マウントから遠い位置との間に移動可能であり、
(f)前記固定マウントに一対の枢軸部材が直交して形成され、前記スライドマウントに一対の枢軸部材が直交して形成され、
(g)前記マウントは前記骨組構造体が展開し、そして収縮するときに前記端縁シザー組立体を開閉させるように相互に関して相対移動可能である骨組構造体。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点]
本件特許発明1では、マウントが隔置された平行な側壁部分により形成されたソケットを有し、その平行な側壁部分は上端部又は下端部において水平な壁部分で相互に連結されており、端縁シザー組立体の外側端部が該ソケット内に受け入れられて、平行な側壁部分が平面状の接触面に沿って外側端部に作用して前記端縁シザー組立体の横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止するのに対して、引用発明では、端縁シザー組立体の外側端部が隔置された平行な側壁部分により形成されたソケットを有し、マウントが該ソケット内に受け入れられて、平行な側壁部分が平面状の接触面を形成するものの、その平行な側壁部分は上端部又は下端部において水平な壁部分で相互に連結されておらず、たわみを阻止するかどうか不明な点。

(2)相違点についての判断
(課題の予測性)
本件特許発明1は、テント等の骨組構造において、風などの外力によるたわみ、ねじりを阻止することをその解決すべき課題としている。
一方、従来からテントのように野外で用いる構造物に風などの外力が作用すること、及びそのための対策を取る必要があることは、当業者に広く知られた事実である。(上記摘記事項(1-1)参照。)
また、テントに限らず、展開・収納可能な骨組構造は、その枢軸部や可動部の構造上、風やその他の外力に対して、骨組みの結合部分の強度を確保する必要があることも、当業者が広く認識している事項である。
これは、例えば、上記摘記事項の(4-3)「ベンチ両側を安定的に支持し傾倒破損を防止する効果を具備するものである。」、(9-1)「また、組み立てた状態では機械的強度及び安定度が弱く,体重の重い人が不用意に腰掛けた場合には、損壊しやすいという欠点もある。本考案の目的は、組み立てた状態では機械的強度及び安定度がよく、また折畳んだ状態では鞄やケース等に容易に収納しやすいように,小型に束ねることができる折畳み椅子を提供することである。」の記載や、甲第4号証の(4-4)、甲第5号証の(5-3)、甲第7号証の(7-2)、甲第8号証の(8-4)(8-5)、甲第9号証の(9-2)の各記載に見られるとおり、骨組みの結合部分の構造を補強することがごく普通に行われていることからもわかる。
すなわち、上記各甲号証に見られる骨組みの結合部分の枢軸構造は、どれも「隔置された平行な側壁部分により形成されたソケットを有し、その平行な向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合されるようにソケット内に受け入れられる長方形横断面の外側端部を有し、それにより前記の平行な側壁部分と共に平面状の接触面を形成し」ているが、このような構造が、例えば甲第1号証のサイドバー固定軸片(第14図?16図)や、甲第3号証の第4図及び第5図に見られるような、側壁部分が1枚の枢軸構造に比べて機械的強度、特にたわみやねじりに対する強度が優れていることは、当業者であれば容易に理解できる事項である。
(構成の周知性)
本件特許発明1は、上記の課題を達成するために「枢軸部材を各々が隔置された平行な側壁部分により形成されたソケットで構成し、そのうちの固定マウントのソケットは平行な側壁部分の上端部において水平な壁部分で相互に連結され、可動マウントのソケットは平行な側壁部分の下端部において水平な壁部で相互に連結され、前記端縁シザー組立体の各々はその平行な向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合されるように前記ソケットのうちのそれぞれの1個のソケット内に受け入れられる長方形横断面の外側端部を有し、それにより前記の平行な側壁部分と共に平面状の接触面を形成している」という構成を採用している。
しかしながら、骨組構造のたわみやねじりに対する強度を向上させるための枢軸構造として「隔置された平行な側壁部分により形成されたソケットを有し、その平行な向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合されるようにソケット内に受け入れられる長方形横断面の外側端部を有し、それにより前記の平行な側壁部分と共に平面状の接触面を形成」し、さらに「ソケットの平行な側壁部分の一端を水平な壁部で相互に連結」することは、上記各甲号証の骨組みに見られるとおり、当業者によく知られた事項である。
また、互いに対応する形状を有し、組み合わされることにより係合される2つの部材は、お互いに補完する関係にあり、両部材の配置を任意に交換できるのが普通である。
本件特許発明1と引用発明においても、マウントと端縁シザー組立体の外側端部とはこのような関係にあるから、引用発明のマウントのソケットと端縁シザー組立体の外側端部との構成を入れ替えることにより本件特許発明1に係る構成を採用することは、当業者が容易になし得る事項である。
したがって、引用発明に当該周知の事項を適用することにより、上記相違点に係る事項を採用することは、当業者が容易になし得る事項である。

よって、本件特許発明1は、引用発明及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3.本件特許発明2について
本件特許発明2は、本件特許発明1に「それぞれの前記スライドマウントをそのそれぞれの前記固定マウントに近い位置において釈放可能に締め付けるために前記の直立した支持部材と組み合わされたラッチ装置」という事項を付加するものである。
甲第1号証の「活動挿ピン及び止め孔」(摘記事項(1-3)及び第17図参照)は、本件補正発明2の「ラッチ装置」に相当する。したがって、上記付加事項は、実質的に、甲第1号証に記載されたものである。
よって、本件特許発明2は、引用発明及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.本件特許発明3について
本件特許発明3は、本件特許発明1に「骨組構造体が展開状態にあるときに前記の直立した支持部材により支持面の上方に支持されたルーフ支持組立体を含み、前記ルーフ支持組立体が前記キャノピーカバーを支持する作用をする」という事項を付加するものである。
甲第1号証の「屋根支えバー」は、本件特許発明3の「ルーフ支持組立体」に相当する(摘記事項(1-6)参照)。したがって、上記付加事項は、実質的に、甲第1号証に記載されたものである。
してみれば、本件特許発明3は、本件特許発明2についての判断と同様に、引用発明及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.本件特許発明4について
本件特許発明4は、本件特許発明3に「ルーフ支持組立体が頂点を形成するためにその近位端部において相互に枢動可能に連結されかつ展開状態にあるとき相互に離れて半径方向に外方に延びる複数個のルーフ支持部材を含み、前記固定マウント及びスライドマウントが、互いに直交する一対のソケットの中央部に、隔置された平行な壁部により形成される中央部のソケットを有し、各々のルーフ支持部材がその遠位端部においてそれぞれの直立した支持部材上の前記マウントのうちの1個のマウントの中央部のソケットに枢動可能に連結されている」という事項を付加するものである。
甲第1号証の「屋根支えバー及び屋根フレーム押上バー」は本件特許発明4の「ルーフ支持部材」に相当する。また、本件特許発明4の「中央部のソケット」と甲第1号証の「屋根押上バー固定軸片及び屋根支えバー固定軸片」は、ともに、ルーフ支持部材を枢動可能に連結する「枢軸部材」である点で共通(摘記事項(1-6)?(1-7)及び第18図参照)する。そして、枢軸部材を「隔置された平行な壁部により形成されたソケット」とすることは、上記2.(2)で検討したとおり、当業者が容易になし得る事項である。
したがって、本件特許発明3は、引用発明及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.本件特許発明5について
本件特許発明5は、本件特許発明4に「各々の前記ルーフ支持部材が前記骨組構造体が折畳まれた状態にあるときの引っ込められた状態と前記骨組構造体が展開された状態にあるときの伸張した状態との間に移動可能な1対の伸張可能な部分を含み、そして前記の伸張可能な部分を伸張した状態に釈放可能に保持するルーフ支持部材ラッチ装置を含む」という事項を付加するものである。
甲第2号証には、「各々のルーフ支持部材(屋根支持部材40)が骨組構造体が折畳まれた状態にあるときの引っ込められた状態と骨組構造体が展開された状態にあるときの伸張した状態との間に移動可能な1対の伸張可能な部分(内伸縮部材42と外伸縮部材44)を含み、そして前記の伸張可能な部分を伸張した状態に釈放可能に保持するルーフ支持部材ラッチ装置(ボタンラッチ・嵌合穴装置45)を含む」骨組構造体(摘記事項(2-2)?(2-3)及び第3図参照)が記載されている。
引用発明のルーフ支持構造として、甲第2号証に記載のものを用いることは、当業者が容易になし得る事項である。
よって、本件特許発明5は、引用発明、甲第2号証の記載事項及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

7.本件特許発明6について
本件特許発明6は、本件特許発明4に「1対の前記マウントが前記の直立した支持部材の各々の上に配置され、前記の1対のマウントの一方が固定マウントであり、そして前記の1対のマウントの他方がスライドマウントであり、前記スライドマウントが前記の直立した支持部材に滑動可能に固定されかつそれぞれの前記端縁シザー組立体が開閉するときに前記支持部材に沿って前記固定マウントに近い位置と前記固定マウントから遠い位置との間に移動可能であり、そして前記ルーフ支持部材の各々がそれぞれの固定マウントに枢動可能に連結され、そして第1片持端部において前記伸張可能な部分の一方と枢動可能に連結されかつ前記第1片持端部と反対側の第2片持端部においてそれぞれの前記の隅の支持部材上のスライドマウントと枢動可能に連結された片持部分を含む」という事項を付加するものである。
甲第2号証の「U形ブラケツト48」、「U形ブラケツト37」、「すべりブラケツト34」及び「カンチレバー部材70」はそれぞれ、本件特許発明2の「第1片持端部」、「第2片持端部」、「スライドマウント」及び「片持部分」に相当する。したがって、上記付加事項は甲第2号証に記載されている。
よって、本件特許発明6は、引用発明、甲第2号証の記載事項及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

8.本件特許発明7について
本件特許発明7は、本件特許発明1に「端縁シザー組立体の各々が端と端とをつなぐ関係で内側の上端部および下端部において連結された1対のシザーユニットを含み、前記端縁シザー組立体の各々がそれぞれのシザーユニットの内側の上端部および下端部を枢動可能に連結するためにそれぞれ作用する上側浮動マウントおよび下側浮動マウントを含み、前記上側浮動マウントおよび下側浮動マウントの各々が隔置された平行な側壁部分によりそれらの内部に形成された複数個のソケットを有し、前記シザーユニットの内側端部の各々がその向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合するように前記ソケットのうちのそれぞれのソケット内に受け入れられた長方形横断面を有し、かつソケットの平行な側壁部分が前記シザーユニットの横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止する間に前記シザーユニットの各々の内側端部をそれぞれのソケット内に枢動可能に固定する締付ピンを含む」という事項を付加するものである。
一方、甲第3号証には、「端縁シザー組立体の各々が端と端とをつなぐ関係で内側の上端部および下端部において連結された1対のシザーユニット(シザー組立体26及び28:上記摘記事項(3-1)?(3-2)、図3及び図3A参照)を含み、前記端縁シザー組立体の各々がそれぞれのシザーユニットの内側の上端部および下端部を枢動可能に連結するためにそれぞれ作用する上側浮動マウント(各シザーユニットの上側連結部分)および下側浮動マウント(各シザーユニットの下側連結部分)を含」んだ骨組構造体が記載されている。
また、「隔置された平行な側壁部分によりそれらの内部に形成された複数個のソケットを有し、前記シザーユニットの内側端部の各々がその向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合するように前記ソケットのうちのそれぞれのソケット内に受け入れられた長方形横断面を有し、かつソケットの平行な側壁部分が前記シザーユニットの横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止する間に前記シザーユニットの各々の内側端部をそれぞれのソケット内に枢動可能に固定する締付ピンを含む」という事項は、上記2.(2)で検討したとおり、当業者が容易になし得る事項である。
よって、本件特許発明7は、引用発明、及び甲第3号証の記載事項並びに周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

9.本件特許発明8について
本件特許発明8は、本件特許発明7に「骨組構造体が展開状態にあるときに前記の直立した支持部材により支持面の上方に支持されるルーフ支持組立体を含み、前記ルーフ支持組立体が前記キャノピーカバーを支持する作用をする」という事項を付加するものである。
甲第3号証の「シザーユニット70、72及びポスト106」は、本件特許発明8の「ルーフ支持組立体」に相当する。(各シザーユニットは、シザー組立体26及び28を介して垂直支持構成体(本件特許発明8の直立した支持部材に相当)に支持されている。上記摘記事項(3-4)?(3-6)及び図3、図3A、図6参照)したがって、上記付加事項は甲第3号証に記載されている。
してみれば、本件特許発明8は、引用発明、及び甲第3号証の記載事項並びに周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

10.本件特許発明9について
本件特許発明9は、本件特許発明8に「前記ルーフ支持組立体が少なくとも1対の向き合った端縁シザー組立体の間に延びかつ該端縁シザー組立体と連結され、そして前記の1対の向き合った端縁シザー組立体の展開および収縮に応じて展開し、そして収縮するように作用する内側シザー組立体を含み、前記内側シザー組立体が前記の上側浮動マウントおよび下側浮動マウントにそれぞれ形成されたそれぞれのソケット内に収納されかつそれぞれの前記締付ピンにより該ソケット内に枢動可能に締め付けられた内側シザーの長方形横断面の外側の上端部および下端部を有する」という事項を付加するものである。
甲第3号証の「シザーユニット70、72」は、本件特許発明9の「内側シザー組立体」に相当する。したがって、上記付加事項は甲第3号証に記載されている。
そして、「内側シザー組立体が前記の上側浮動マウントおよび下側浮動マウントにそれぞれ形成されたそれぞれのソケット内に収納されかつそれぞれの前記締付ピンにより該ソケット内に枢動可能に締め付けられた内側シザーの長方形横断面の外側の上端部および下端部を有する」という事項は、上記8.で検討したとおり、引用発明に当該周知の事項を適用することにより、当業者が容易になし得る事項である。
よって、本件特許発明9は、引用発明、及び甲第3号証の記載事項並びに周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

11.本件特許発明10について
本件特許発明10は、本件特許発明9に「向き合った端縁シザー組立体の各々の組がそれらの間に延びる内側シザー組立体を有する」という事項を付加するものである。
展開可能な骨組構造体において、同等な構造を有する骨組みを、どの程度・どこに配置するかは、構造体の強度や重量を勘案しながら、当業者が適宜決定しうる事項であり、梁状の骨組を向き合って各々設けることも、甲第1号証(第7図、第18図参照)や甲第5号証(摘記事項(5-1)、第4図、第7図参照)に見られるとおり、ごく普通に行われている事項である。
したがって、甲第3号証に記載のものの内側シザー組立体を端縁シザー組立体の各々組に設けることは、当業者が容易になし得る事項である。
よって、本件特許発明10は、引用発明、及び甲第3号証の記載事項並びに周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

12.本件特許発明11について
本件特許発明11は、本件特許発明9に「前記内側シザー組立体が端と端とをつなぐ関係にその内側の上端部および下端部において一緒に連結された1対の内側シザーユニットにより構成され、そして各々がそれぞれの締付ピン上に枢動可能に軸支された前記内側シザーユニットのそれぞれの内側の上端部および下端部を受け入れるために隔置された平行な側壁部分の間に形成されたソケットおよび該ソケットと組み合わされた締付ピンとを有する上側中央マウントおよび下側中央マウントを含む」という事項を付加するものである。
甲第3号証の「内部シザー組立体32」、「スリ-ブ82」及び「ソケット92」はそれぞれ、本件特許発明11の「内側シザーユニット」、「上側中央マウント」及び「下側中央マウント」に相当する。(上記摘記事項(3-5)及び図6参照)
そして、マウント部分に「隔置された平行な側壁部分の間に形成されたソケットおよび該ソケットと組み合わされた締付ピンとを有する」構成を採用することは、上記2.(2)で検討したとおり、当業者が容易になし得る事項である。
してみると、本件特許発明11は、引用発明、及び甲第3号証の記載事項並びに周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

13.本件特許発明12について
本件特許発明12は、本件特許発明11に「前記キャノピーカバーの頂部を支持する作用をする中央柱組立体を含み、そして前記の上側中央マウントおよび下側中央マウントが前記中央柱組立体を支持する装置を含む」という事項を付加するものである。
甲第3号証の「ポスト106」は、本件特許発明11の「中央柱組立体」に相当する。したがって、上記付加事項は甲第3号証に記載されている。
よって、本件特許発明12は、引用発明、及び甲第3号証の記載事項並びに周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第8.むすび
以上のとおり、本件特許発明1?12は、引用発明、甲第2及び3号証の記載事項並びに周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、請求人が主張する無効理由2について判断するまでもなく、無効とすべきものである。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

平成21年 9月 7日

審判長 特許庁審判官 山口 由木
特許庁審判官 神 悦彦
特許庁審判官 宮崎 恭



無効2008-800245号 2次審決

上記当事者間の特許第2625255号「非圧縮性ピボットを備えたシザー端部が捕獲された折畳み可能なキャノピー骨組構造体」の特許無効審判事件についてされた平成21年 9月 7日付け審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の決定(平成22年(行ヶ)第10011号平成22年3月29日決定)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。
結 論
平成22年8月30日付けの訂正請求のうち、訂正事項3乃至4及び9乃至12については、訂正を認める。訂正事項1乃至2及び5乃至8については訂正を認めない。
特許第2625255号の請求項1、3、6?9に係る発明についての特許を無効とする。
理 由
第1.手続の経緯
・平成3年12月23日に出願(優先権主張平成3年1月4日)
・平成9年4月11日に特許権の設定登録
・平成20年11月6日に請求人(富士見産業株式会社)よりその請求項1?13に係る発明について特許無効審判請求
・平成21年3月3日に被請求人(ケーディー キャノピー、インク外1名)より答弁書提出及び訂正請求
・同年4月16日に請求人より弁駁書が提出
・同年6月30日に請求人より口頭審理陳述要領書及び上申書が、同日に被請求人より口頭審理陳述要領書及び上申書がそれぞれ提出
・同日に第1回口頭審理
・平成21年7月14日付けで被請求人から、また、同年月30日付けで請求人から、それぞれ再度、上申書が提出
・同年9月7日付けで、特許無効の審決
・被請求人が審決取消し訴訟提起後、平成22年3月4日付けで訂正審判請求
・同年3月29日付けで審判差し戻し決定
(この時点で、本件特許明細書は、平成21年3月3日付けの訂正請求のうち「請求項2を削除する」という訂正が、部分的に確定)
・同年8月30日付けで被請求人が訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)
・同年10月29日付けで当審より訂正拒絶理由通知
・同年12月22日付けで被請求人が意見書提出及び訂正請求書を補正する旨の手続補正(以下「訂正補正」という。)

第2.本件訂正請求について

1.訂正補正の適否
本件訂正請求については、上記のとおり、訂正補正がなされているので、訂正補正の適否について検討する。

2.訂正補正の内容

(1)訂正事項1について
訂正する請求項1の記載を
「折畳まれ、そして折畳まれた状態で保管され、そして支持面上に展開された状態で組みたてられるようになった展開可能な骨組構造体と、キャノピーカバーとを備え、前記骨組構造体が前記キャノピーカバーを前記支持面の上方で支持する、折り畳み可能なキャノピー構造体であって、
(a)各々が支持面上に配置可能な下端部と、前記下端部と反対側の上端部とを有する複数個の直立した支持部材を備え、前記支持部材は折畳まれた状態で相互に相並ぶように向けられ、そして展開状態に向かって相互に離れて外方に移動可能であり、各支持部材は断面矩形状であり、さらに、
(b)複数個の端縁シザー組立体を備え、一つの端縁シザー組立体が前記支持部材のうちの隣接した支持部材を相互に連結し、各々の前記端縁シザー組立体が1対の外側上端部および1対の外側下端部を有し、前記端縁シザー組立体は開閉するように作用可能であり、それにより前記骨組構造体は展開状態と収縮状態との間を移動することができ、各々の前記端縁シザー組立体は上端部及び下端部において連結されたシザーユニットにより構成され、前記シザーユニット間の連結部は構造を補強するための更なる直立した支持部材により前記支持面上に支持されておらず、前記骨組構造体全体が展開状態において4個の直立した支持部材によってのみ支持されており、さらに、
(c)前記の直立した支持部材上に配置されかつ前記端縁シザー組立体を前記支持部材に締め付けるように作用する複数個のマウントを備え、該各マウントは前記支持部材が嵌合される断面矩形状の中空部が形成された収容部を備え、前記マウントの各々は、隔置された平行な側壁部分により形成され、互いに直行する一対のソケットを有し、該一対のソケットの側壁部分はそれぞれ前記収容部の前記中空部を囲う側壁に平行であり、前記端縁シザー組立体の各々はその平行な向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合されるように前記ソケットのうちのそれぞれの1個のソケット内に受け入れられる長方形横断面の外側端部を有し、それにより前記の平行な側壁部分と共に平面状の接触面を形成し、さらに、
(d)前記端縁シザー組立体の各々の外側端部をそれぞれのソケット内に枢動可能に固定する締付ピンを備え、前記平行な側壁部分と接触する前記外側端部表面に突起が存在せず、前記端縁シザー組立体を構成するシザーバーは中空部を備える管状構造であり、
(e)1対の前記マウントが前記の直立した支持部材の各々の上に配置され、前記の1対のマウントの一方が固定マウントであり、そして前記の1対のマウントの他方がスライドマウントであり、前記スライドマウントが前記の直立した支持部材に滑動可能に固定されかつそれぞれの前記端縁シザー組立体が開閉するときに前記支持部材に沿って前記固定マウントに近い位置と前記固定マウントから遠い位置との間に移動可能であり、
(f)前記固定マウントに一対のソケットが直交して形成され、該一対のソケットの各々において平行な側壁部分は、その上端部において水平な壁部分で相互に連結され、前記スライドマウントに一対のソケットが直交して形成され、該一対のソケットの各々において平行な側壁部分は、その下端部において水平な壁部で相互に連結され、
(g)前記固定マウントの各々は、それぞれ直交する一対のソケットの中央部に、隔置された平行は側壁部分により形成される中央部のソケットを有し、該中央部のソケットは前記側壁部分を連結する水平な壁部を有さず、
(h)前記マウントは前記骨組構造体が展開し、そして収縮するときに前記端縁シザー組立体を開閉させるように相互に関して相対移動可能であり、一方ソケットの平行な側壁部が平面状の接触面に沿って外側端部に作用して前記端縁シザー組立体の横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止し、
(i)前記の固定マウントの前記収容部が、前記支持部材に沿って前記スライドマウントの方向に向かってすべての前記ソケットを超えて延び出しており、
(j)骨組構造体が展開状態にあるときに前記の直立した支持部材により支持面の上方に支持されるルーフ支持組立体を含み、前記ルーフ支持組立体が前記キャノピーカバーを支持するように作用し、前記ルーフ支持組立体が頂点を形成するためにその近位置端部において相互に枢動可能に連結され、かつ展開状態にあるとき相互に離れて半径方向に外方に延びる複数個のルーフ支持部材を含み、各々のルーフ支持部材がその遠位置端部において前記の直立した支持部材上の前記固定マウントの中央部ソケットに枢動可能に連結されており、
(k)前記キャノピーカバーは、前記ルーフ支持組立体を超えて延在して、展開状態において前記シザー組立体全体を覆うマージンを有し、
(l)支持部材の前記下端部各々が、前記固定マウント及び前記スライドマウントとは別部材であり、貫通孔を有して前記支持面と係合するプレート状部材を備える、折り畳み可能なキャノピー構造体。」
から、
「折畳まれ、そして折畳まれた状態で保管され、そして支持面上に展開された状態で組みたてられるようになった展開可能な骨組構造体と、キャノピーカバーとを備え、前記骨組構造体が前記キャノピーカバーを前記支持面の上方で支持する、折り畳み可能なキャノピー骨組み構造体であって、
(a)各々が支持面上に配置可能な下端部と、前記下端部と反対側の上端部とを有する複数個の直立した支持部材を備え、前記支持部材は折畳まれた状態で相互に相並ぶように向けられ、そして展開状態に向かって相互に離れて外方に移動可能であり、各支持部材は断面矩形状であり、さらに、
(b)複数個の端縁シザー組立体を備え、一つの端縁シザー組立体が前記支持部材のうちの隣接した支持部材を相互に連結し、各々の前記端縁シザー組立体が1対の外側上端部および1対の外側下端部を有し、前記端縁シザー組立体は開閉するように作用可能であり、それにより前記骨組構造体は展開状態と収縮状態との間を移動することができ、各々の前記端縁シザー組立体は上端部及び下端部において連結されたシザーユニットにより構成され、前記シザーユニット間の連結部は構造を補強するための更なる直立した支持部材により前記支持面上に支持されておらず、前記骨組構造体全体が展開状態において4個の直立した支持部材によってのみ支持されており、さらに、
(c)前記の直立した支持部材上に配置されかつ前記端縁シザー組立体を前記支持部材に締め付けるように作用する複数個のマウントを備え、該各マウントは前記支持部材が嵌合される断権矩形状の中空部が形成された収容部を備え、前記マウントの各々は、隔置された平行な側壁部分により形成され、互いに直行する一対のソケットを有し、該一対のソケットの側壁部分はそれぞれ前記収容部の前記中空部を囲う側壁に平行であり、前記端縁シザー組立体の各々はその平行な向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合されるように前記ソケットのうちのそれぞれの1個のソケット内に受け入れられる長方形横断面の外側端部を有し、それにより前記の平行な側壁部分と共に平面状の接触面を形成し、さらに、
(d)前記端縁シザー組立体の各々の外側端部をそれぞれのソケット内に枢動可能に固定する締付ピンを備え、前記平行な側壁部分と接触する前記外側端部表面に突起が存在せず、前記端縁シザー組立体を構成するシザーバーは中空部を備える管状構造であり、
(e)1対の前記マウントが前記の直立した支持部材の各々の上に配置され、前記の1対のマウントの一方が固定マウントであり、そして前記の1対のマウントの他方がスライドマウントであり、前記スライドマウントが前記の直立した支持部材に滑動可能に固定されかつそれぞれの前記端縁シザー組立体が開閉するときに前記支持部材に沿って前記固定マウントに近い位置と前記固定マウントから遠い位置との間に移動可能であり、
(f)前記固定マウントに一対のソケットが直交して形成され、該一対のソケットの各々において平行な側壁部分は、その上端部において水平な壁部分で相互に連結され、前記スライドマウントに一対のソケットが直交して形成され、該一対のソケットの各々において平行な側壁部分は、その下端部において水平な壁部で相互に連結され、
(g)前記固定マウントの各々は、それぞれ直交する一対のソケットの中央部に、隔置された平行は側壁部分により形成される中央部のソケットを有し、該中央部のソケットは前記側壁部分を連結する水平な壁部を有さず、
(h)前記マウントは前記骨組構造体が展開し、そして収縮するときに前記端縁シザー組立体を開閉させるように相互に関して相対移動可能であり、一方ソケットの平行な側壁部が平面状の接触面に沿って外側端部に作用して前記端縁シザー組立体の横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止し、
(i)前記の固定マウントの前記収容部が、前記支持部材に沿って前記スライドマウントの方向に向かってすべての前記ソケットを超えて延び出しており、
(j)骨組構造体が展開状態にあるときに前記の直立した支持部材により支持面の上方に支持されるルーフ支持組立体を含み、前記ルーフ支持組立体が前記キャノピーカバーを支持するように作用し、前記ルーフ支持組立体が頂点を形成するためにその近位置端部において相互に枢動可能に連結され、かつ展開状態にあるとき相互に離れて半径方向に外方に延びる複数個のルーフ支持部材を含み、各々のルーフ支持部材がその遠位置端部において前記の直立した支持部材上の前記固定マウントの中央部ソケットに枢動可能に連結されており、
(k)前記キャノピーカバーは、前記ルーフ支持組立体を超えて延在して、展開状態において前記シザー組立体全体を覆うマージンを有し、
(l)支持部材の前記か端部各々が、前記固定マウント及び前記スライドマウントとは別部材であり、貫通孔を有して前記支持面と係合するプレート状部材を備える、折り畳み可能なキャノピー骨組み構造体。」と補正する。

(2)訂正事項9について
訂正の内容を「特許請求の範囲の【請求項10】を削除する。」と補正する。

(3)訂正事項10について
訂正の内容を「特許請求の範囲の【請求項11】を削除する。」と補正する。

(4)訂正事項11について
訂正の内容を「特許請求の範囲の【請求項12】を削除する。」と補正する。

(5)訂正事項12について
訂正の内容を「特許請求の範囲の【請求項13】を削除する。」と補正する。

3.訂正補正の適否の判断
上記「2.訂正補正の内容」の(1)の補正事項は、補正前の「折り畳み可能なキャノピー構造体」を「折り畳み可能なキャノピー骨組み構造体」と補正するものである。
補正前のキャノピー構造体は、補正前の請求項1の「展開可能な骨組構造体と、キャノピーカバーとを備え、前記骨組構造体が前記キャノピーカバーを前記支持面の上方で支持する、折り畳み可能なキャノピー構造体であって」の記載からも明らかなとおり、キャノピーカバーと骨組構造体を備える構成を有する。
補正後のキャノピー骨組み構造体が、同様に、キャノピーカバーと骨組構造体を備える構成を有することは明らかであるから、補正前の「折り畳み可能なキャノピー構造体」の有する技術的事項と補正後の「折り畳み可能なキャノピー骨組み構造体」の有する技術的事項とは、実質的に同一であって、当該補正事項は、単にその呼称を変更する補正であると認められる。
したがって、当該補正事項は、訂正事項を変更するものではないから、請求書の要旨の変更に該当しない。
次に、「2.訂正補正の内容」の(2)?(5)の補正事項は、各請求項の訂正事項を当該請求項の削除という訂正事項に変更する補正であるから、請求書の要旨を変更するものではない。

4.小括
以上のとおりであるから、訂正補正は、請求書の要旨を変更するものではなく、適法な補正である。

5.本件訂正請求の内容
上記のとおり、本件訂正請求は訂正補正により適法に補正されたものであり、その内容は以下のとおりである。

訂正事項1
特許第2625255号として設定登録された明細書(以下、特許明細書という。)の【特許請求の範囲】【請求項1】である
「折畳まれ、そして折畳まれた状態で保管され、そして支持面上に展開された状態で組みたてられるようになった展開可能な骨組構造体であり、前記支持面の上方にキャノピーカバーを支持することができる骨組構造体において、
(a)各々が支持面上に配置可能な下端部と、前記下端部と反対側の上端部とを有する複数個の直立した支持部材を備え、前記支持部材は折畳まれた状態で相互に相並ぶように向けられ、そして展開状態に向かって相互に離れて外方に移動可能であり、さらに、
(b)複数個の端縁シザー組立体を備え、一つの端縁シザー組立体が前記支持部材のうちの隣接した支持部材を相互に連結し、各々の前記端縁シザー組立体が1対の外側上端部および1対の外側下端部を有し、前記端縁シザー組立体は開閉するように作用可能であり、それにより前記骨組構造体は展開状態と収縮状態との間を移動することができ、さらに、 (c)前記の直立した支持部材上に配置されかつ前記端縁シザー組立体を前記支持部材に締め付けるように作用する複数個のマウントを備え、前記マウントの各々は隔置された平行な側壁部分により形成されたソケットを有し、前記端縁シザー組立体の各々はその平行な向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合されるように前記ソケットのうちのそれぞれの1個のソケット内に受け入れられる長方形横断面の外側端部を有し、それにより前記の平行な側壁部分と共に平面状の接触面を形成し、さらに、
(d)前記端縁シザー組立体の各々の外側端部をそれぞれのソケット内に枢動可能に固定する締付ピンを備え、前記マウントは前記骨組構造体が展開し、そして収縮するときに前記端縁シザー組立体を開閉させるように相互に関して相対移動可能であり、一方ソケットの平行な側壁部が平面状の接触面に沿って外側端部に作用して前記端縁シザー組立体の横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止する骨組構造体。」を、

「折畳まれ、そして折畳まれた状態で保管され、そして支持面上に展開された状態で組みたてられるようになった展開可能な骨組構造体と、キャノピーカバーとを備え、前記骨組構造体が前記キャノピーカバーを前記支持面の上方で支持する、折り畳み可能なキャノピー骨組み構造体であって、
(a)各々が支持面上に配置可能な下端部と、前記下端部と反対側の上端部とを有する複数個の直立した支持部材を備え、前記支持部材は折畳まれた状態で相互に相並ぶように向けられ、そして展開状態に向かって相互に離れて外方に移動可能であり、各支持部材は断面矩形状であり、さらに、
(b)複数個の端縁シザー組立体を備え、一つの端縁シザー組立体が前記支持部材のうちの隣接した支持部材を相互に連結し、各々の前記端縁シザー組立体が1対の外側上端部および1対の外側下端部を有し、前記端縁シザー組立体は開閉するように作用可能であり、それにより前記骨組構造体は展開状態と収縮状態との間を移動することができ、各々の前記端縁シザー組立体は上端部及び下端部において連結されたシザーユニットにより構成され、前記シザーユニット間の連結部は構造を補強するための更なる直立した支持部材により前記支持面上に支持されておらず、前記骨組構造体全体が展開状態において4個の直立した支持部材によってのみ支持されており、さらに、
(c)前記の直立した支持部材上に配置されかつ前記端縁シザー組立体を前記支持部材に締め付けるように作用する複数個のマウントを備え、該各マウントは前記支持部材が嵌合される断権矩形状の中空部が形成された収容部を備え、前記マウントの各々は、隔置された平行な側壁部分により形成され、互いに直行する一対のソケットを有し、該一対のソケットの側壁部分はそれぞれ前記収容部の前記中空部を囲う側壁に平行であり、前記端縁シザー組立体の各々はその平行な向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合されるように前記ソケットのうちのそれぞれの1個のソケット内に受け入れられる長方形横断面の外側端部を有し、それにより前記の平行な側壁部分と共に平面状の接触面を形成し、さらに、
(d)前記端縁シザー組立体の各々の外側端部をそれぞれのソケット内に枢動可能に固定する締付ピンを備え、前記平行な側壁部分と接触する前記外側端部表面に突起が存在せず、前記端縁シザー組立体を構成するシザーバーは中空部を備える管状構造であり、
(e)1対の前記マウントが前記の直立した支持部材の各々の上に配置され、前記の1対のマウントの一方が固定マウントであり、そして前記の1対のマウントの他方がスライドマウントであり、前記スライドマウントが前記の直立した支持部材に滑動可能に固定されかつそれぞれの前記端縁シザー組立体が開閉するときに前記支持部材に沿って前記固定マウントに近い位置と前記固定マウントから遠い位置との間に移動可能であり、
(f)前記固定マウントに一対のソケットが直交して形成され、該一対のソケットの各々において平行な側壁部分は、その上端部において水平な壁部分で相互に連結され、前記スライドマウントに一対のソケットが直交して形成され、該一対のソケットの各々において平行な側壁部分は、その下端部において水平な壁部で相互に連結され、
(g)前記固定マウントの各々は、それぞれ直交する一対のソケットの中央部に、隔置された平行は側壁部分により形成される中央部のソケットを有し、該中央部のソケットは前記側壁部分を連結する水平な壁部を有さず、
(h)前記マウントは前記骨組構造体が展開し、そして収縮するときに前記端縁シザー組立体を開閉させるように相互に関して相対移動可能であり、一方ソケットの平行な側壁部が平面状の接触面に沿って外側端部に作用して前記端縁シザー組立体の横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止し、
(i)前記の固定マウントの前記収容部が、前記支持部材に沿って前記スライドマウントの方向に向かってすべての前記ソケットを超えて延び出しており、
(j)骨組構造体が展開状態にあるときに前記の直立した支持部材により支持面の上方に支持されるルーフ支持組立体を含み、前記ルーフ支持組立体が前記キャノピーカバーを支持するように作用し、前記ルーフ支持組立体が頂点を形成するためにその近位置端部において相互に枢動可能に連結され、かつ展開状態にあるとき相互に離れて半径方向に外方に延びる複数個のルーフ支持部材を含み、各々のルーフ支持部材がその遠位置端部において前記の直立した支持部材上の前記固定マウントの中央部ソケットに枢動可能に連結されており、
(k)前記キャノピーカバーは、前記ルーフ支持組立体を超えて延在して、展開状態において前記シザー組立体全体を覆うマージンを有し、
(l)支持部材の前記か端部各々が、前記固定マウント及び前記スライドマウントとは別部材であり、貫通孔を有して前記支持面と係合するプレート状部材を備える、折り畳み可能なキャノピー骨組み構造体。」と訂正する。

訂正事項2
特許明細書の【特許請求の範囲】【請求項3】を【請求項2】に繰り上げ、 「請求の範囲第1項に記載の展開可能な骨組構造体において、それぞれの前記スライドマウントをそのそれぞれの前記固定マウントに近い位置において釈放可能に締め付けるために前記の直立した支持部材と組み合わされたラッチ装置を含む骨組構造体。」と訂正する。

訂正事項3
特許明細書の【特許請求の範囲】【請求項4】を削除する。

訂正事項4
特許明細書の【特許請求の範囲】【請求項5】を削除する。

訂正事項5
特許明細書の【特許請求の範囲】【請求項6】 を【請求項3】に繰り上げ
「請求の範囲第1項に記載の展開可能な骨組構造体において、各々の前記ルーフ支持部材が前記骨組構造体が折畳まれた状態にあるときの引っ込められた状態と前記骨組構造体が展開された状態にあるときの伸張した状態との間に移動可能な1対の伸張可能な部分を含み、そして前記の伸張可能な部分を伸張した状態に釈放可能に保持するルーフ支持部材ラッチ装置を含む骨組構造体。」と訂正する。

訂正事項6
特許明細書の【特許請求の範囲】【請求項7】を【請求項4】に繰り上げ、
「請求の範囲第1項に記載の展開可能な骨組構造体において、1対の前記マウントが前記の直立した支持部材の各々の上に配置され、前記の1対のマウントの一方が固定マウントであり、そして前記の1対のマウントの他方がスライドマウントであり、前記スライドマウントが前記の直立した支持部材に滑動可能に固定されかつそれぞれの前記端縁シザー組立体が開閉するときに前記支持部材に沿って前記固定マウントに近い位置と前記固定マウントから遠い位置との間に移動可能であり、そして前記ルーフ支持部材の各々がそれぞれの固定マウントに枢動可能に連結され、そして第1片持端部において前記伸張可能な部分の一方と枢動可能に連結されかつ前記第1片持端部と反対側の第2片持端部においてそれぞれの前記の隅の支持部材上のスライドマウントと枢動可能に連結された片持部分を含む骨組構造体。」と訂正する。

訂正事項7
特許明細書の【特許請求の範囲】【請求項8】を【請求項5】に繰り上げ、
「請求の範囲第1項に記載の展開可能な骨組構造体において、前記端縁シザー組立体の各々が端と端とをつなぐ関係で内側の上端部および下端部において連結された1対のシザーユニットを含み、前記端縁シザー組立体の各々がそれぞれのシザーユニットの内側の上端部および下端部を枢動可能に連結するためにそれぞれ作用する上側浮動マウントおよび下側浮動マウントを含み、前記上側浮動マウントおよび下側浮動マウントの各々が隔置された平行な側壁部分によりそれらの内部に形成された複数個のソケットを有し、前記シザーユニットの内側端部の各々がその向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合するように前記ソケットのうちのそれぞれのソケット内に受け入れられた長方形横断面を有し、かつソケットの平行な側壁部分が前記シザーユニットの横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止する間に前記シザーユニットの各々の内側端部をそれぞれのソケット内に枢動可能に固定する締付ピンを含む骨組構造体。」と訂正する。

訂正事項8
特許明細書の【特許請求の範囲】【請求項9】を【請求項6】に繰り上げ、
「請求の範囲第5項に記載の展開可能な骨組構造体において、骨組構造体が展開状態にあるときに前記の直立した支持部材により支持面の上方に支持されるルーフ支持組立体を含み、前記ルーフ支持組立体が前記キャノピーカバーを支持する作用をする骨組構造体。」と訂正する。

訂正事項9
特許請求の範囲の【請求項10】を削除する。

訂正事項10
特許請求の範囲の【請求項11】を削除する。

訂正事項11
特許請求の範囲の【請求項12】を削除する。

訂正事項12
特許請求の範囲の【請求項13】を削除する。

6.本件訂正の適否

訂正事項1
訂正事項1によって、請求項1は、特許請求の対象が 訂正前では「骨組構造体」であったものが、「キャノピー骨組み構造体」に変更される。
また、訂正前のいずれの請求項にも「キャノピー骨組み構造体」を請求の対象とするものは存在しない。したがって、訂正事項1が、訂正前の請求項1に係る発明を訂正しようとするものであることは明らかである。
そして、キャノピーカバーを支持するための、訂正前の「骨組構造体」と、キャノピーカバーを含む、訂正後の「キャノピー骨組み構造体」が、特許の対象物として異なることは明らかである。
なお、この点について被請求人は、上記意見書で「「キャノピーカバーを支持する組立構造体」から「キャノピーカバーを含むキャノピー構造体」に変更する本件訂正は、本件発明の目的の範囲内における技術的事項の減縮的変更に相当し、実質上特許請求の範囲の変更をするものとは言えない」と主張する。
しかしながら、訂正前の発明の骨組構造体が「キャノピーカバーを支持する」ことを前提とするものであるとしても、キャノピーカバー自体は訂正前の発明を特定する事項ではない。そして、訂正前の発明は任意のキャノピーカバーに適用可能であることから、(キャノピーカバーという事項がなくても、)骨組構造体という発明として完結していることも明らかである。すなわち、キャノピーカバーは、訂正前の発明の構成として内在していた事項ではなく、本件訂正請求で初めて、外的に付加されたのであるから、本件訂正請求が訂正前の発明を減縮したものとすることはできない。
してみると、訂正事項1は、請求項1に係る発明を変更するものであるから、実質上特許請求の範囲を変更するものであり、特許法第134条の2第5項によって準用する特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるものとされた同法第1条の規定による改正前の特許法(以下「平成6年改正前特許法」という。)第126条第2項の規定に適合しない。

訂正事項2、5?8
訂正事項2及び5乃至8は、いずれも請求項1を直接又は間接に引用する請求項に関する訂正であるから、訂正事項1と同様に、各請求項に係る発明を変更するものであるから、実質上特許請求の範囲を変更するものであり、特許法第134条の2第5項によって準用する特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるものとされた同法第1条の規定による改正前の特許法(以下「平成6年改正前特許法」という。)第126条第2項の規定に適合しない。

訂正事項3?4、9?12
訂正事項3乃至4及び9乃至12は、いずれも、請求項を削除する訂正であり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。また、上記訂正は新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項3乃至4及び9乃至12は、平成6年改正前特許法第126条第2-3項の規定に適合する。

7.結論
以上のとおりであるから、本件訂正のうち、訂正事項3乃至4及び9乃至12については、訂正を認める。訂正事項1乃至2及び5乃至8については訂正を認めない。

第3.請求人の主張
請求人は、本件特許の請求項1?12に係る発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由として、本件特許の請求項1?12に係る発明は、本件優先権主張日前に頒布された甲1号証?甲第12号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである(以下「無効理由1」という。)、また、請求項12には、「前記の上側中央ソケットおよび下側中央ソケット」と記載されているが、上側中央ソケット及び下側中央ソケットに関し、同請求項及び同請求項が従属する請求項1、7、8、9、及び11のいずれにも記載がなく、特許請求の範囲に記載された特許を受けようとする発明が不明確であるから、本件特許に係る特許出願は、特許法第36条第6項第第2号に規定する要件を満たすものではない(以下「無効理由2」という。)から、本件特許は無効とすべきものであると主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証を提出している。なお参考資料1?9が添付されている。

甲第1号証:実願昭62-157952号(実開平1-61370号)のマイクロフィルム
甲第2号証:特開平1-142183号公報
甲第3号証:米国特許第4641676号公報
甲第4号証:実願昭57-91580(実開昭58-195553号)のマイクロフィルム
甲第5号証:特開昭48-29212号公報
甲第6号証:実公昭17-13415号公報
甲第7号証:特開昭52-46616号公報
甲第8号証:実願昭63-145489(実開平2-66141号)のマイクロフィルム
甲第9号証:実願平1-5510号(実開平2-96933号)のマイクロフィルム
甲第10号証:実公昭38-2860号公報
甲第11号証:実公昭38-1674号公報
甲第12号証:特開昭57-80967号公報

第4.被請求人の主張
一方、被請求人は、訂正請求をするとともに、本件無効審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、訂正した本件特許の請求項1?12に係る発明は、甲第1号証ないし甲第12号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない、また、訂正請求により無効理由2は解消した、から、請求人の主張にはいずれも理由がないと主張し、証拠方法として乙第1号証及び乙第2号証を提出している。なお、参考資料1?11及び参考図1?4が添付されている。

乙第1号証:「モールド一覧表」と題する製品リスト、2009年2月2日、白石徳宏作成
乙第2号証:株式会社ロゴスコーポレーションのカタログの写し

第5.本件特許発明
本件特許の各請求項に係る発明(以下「本件特許発明1」等という。)は、上記のとおり、訂正事項3?4及び9?12については訂正が認められ、訂正事項1?2及び5?8については訂正が認められない(請求項2の削除は確定)ため、特許明細書の特許請求の範囲の、以下の各請求項に記載された事項により特定される、次のとおりのものと認める。

【請求項1】
折畳まれ、そして折畳まれた状態で保管され、そして支持面上に展開された状態で組みたてられるようになった展開可能な骨組構造体であり、前記支持面の上方にキャノピーカバーを支持することができる骨組構造体において、
(a)各々が支持面上に配置可能な下端部と、前記下端部と反対側の上端部とを有する複数個の直立した支持部材を備え、前記支持部材は折畳まれた状態で相互に相並ぶように向けられ、そして展開状態に向かって相互に離れて外方に移動可能であり、さらに、
(b)複数個の端縁シザー組立体を備え、一つの端縁シザー組立体が前記支持部材のうちの隣接した支持部材を相互に連結し、各々の前記端縁シザー組立体が1対の外側上端部および1対の外側下端部を有し、前記端縁シザー組立体は開閉するように作用可能であり、それにより前記骨組構造体は展開状態と収縮状態との間を移動することができ、さらに、 (c)前記の直立した支持部材上に配置されかつ前記端縁シザー組立体を前記支持部材に締め付けるように作用する複数個のマウントを備え、前記マウントの各々は隔置された平行な側壁部分により形成されたソケットを有し、前記端縁シザー組立体の各々はその平行な向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合されるように前記ソケットのうちのそれぞれの1個のソケット内に受け入れられる長方形横断面の外側端部を有し、それにより前記の平行な側壁部分と共に平面状の接触面を形成し、さらに、
(d)前記端縁シザー組立体の各々の外側端部をそれぞれのソケット内に枢動可能に固定する締付ピンを備え、前記マウントは前記骨組構造体が展開し、そして収縮するときに前記端縁シザー組立体を開閉させるように相互に関して相対移動可能であり、一方ソケットの平行な側壁部が平面状の接触面に沿って外側端部に作用して前記端縁シザー組立体の横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止する骨組構造体。
【請求項3】
請求の範囲第1項に記載の展開可能な骨組構造体において、骨組構造体が展開状態にあるときに前記の直立した支持部材により支持面の上方に支持されたルーフ支持組立体を含み、前記ルーフ支持組立体が前記キャノピーカバーを支持する作用をする骨組構造体。
【請求項6】
請求の範囲第4項に記載の展開可能な骨組構造体において、1対の前記マウントが前記の直立した支持部材の各々の上に配置され、前記の1対のマウントの一方が固定マウントであり、そして前記の1対のマウントの他方がスライドマウントであり、前記スライドマウントが前記の直立した支持部材に滑動可能に固定されかつそれぞれの前記端縁シザー組立体が開閉するときに前記支持部材に沿って前記固定マウントに近い位置と前記固定マウントから遠い位置との間に移動可能であり、そして前記ルーフ支持部材の各々がそれぞれの固定マウントに枢動可能に連結され、そして第1片持端部において前記伸張可能な部分の一方と枢動可能に連結されかつ前記第1片持端部と反対側の第2片持端部においてそれぞれの前記の隅の支持部材上のスライドマウントと枢動可能に連結された片持部分を含む骨組構造体。
【請求項7】
請求の範囲第1項に記載の展開可能な骨組構造体において、前記端縁シザー組立体の各々が端と端とをつなぐ関係で内側の上端部および下端部において連結された1対のシザーユニットを含み、前記端縁シザー組立体の各々がそれぞれのシザーユニットの内側の上端部および下端部を枢動可能に連結するためにそれぞれ作用する上側浮動マウントおよび下側浮動マウントを含み、前記上側浮動マウントおよび下側浮動マウントの各々が隔置された平行な側壁部分によりそれらの内部に形成された複数個のソケットを有し、前記シザーユニットの内側端部の各々がその向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合するように前記ソケットのうちのそれぞれのソケット内に受け入れられた長方形横断面を有し、かつソケットの平行な側壁部分が前記シザーユニットの横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止する間に前記シザーユニットの各々の内側端部をそれぞれのソケット内に枢動可能に固定する締付ピンを含む骨組構造体。
【請求項8】
請求の範囲第7項に記載の展開可能な骨組構造体において、骨組構造体が展開状態にあるときに前記の直立した支持部材により支持面の上方に支持されるルーフ支持組立体を含み、前記ルーフ支持組立体が前記キャノピーカバーを支持する作用をする骨組構造体。
【請求項9】
請求の範囲第8項に記載の展開可能な骨組構造体において、前記ルーフ支持組立体が少なくとも1対の向き合った端縁シザー組立体の間に延びかつ該端縁シザー組立体と連結され、そして前記の1対の向き合った端縁シザー組立体の展開および収縮に応じて展開し、そして収縮するように作用する内側シザー組立体を含み、前記内側シザー組立体が前記の上側浮動マウントおよび下側浮動マウントにそれぞれ形成されたそれぞれのソケット内に収納されかつそれぞれの前記締付ピンにより該ソケット内に枢動可能に締め付けられた内側シザーの長方形横断面の外側の上端部および下端部を有する骨組構造体。

第6.甲第1号証ないし甲第12号証の記載事項
1.甲第1号証:実願昭62-157952号(実開平1-61370号)のマイクロフィルム
甲第1号証には、「伸縮瞬間わく組立家屋結構」に関する発明が記載されており、図面とともに以下の記載がある。
(1-1)明細書第5頁第12行?第6頁第3行
「サイドバーの巧妙な設計により交互に交叉式または取揃支え式を組合わせ、必要により入口のところを揃えて上昇し、その上昇面をして単面から四面全部に及び、製造時に先ず人々の出入り及び本考案の適用対象をプラスするように設定することができる、それには次のような優点がある:
1.一体成型で、運搬携帯に便利。
2.わく組立と折畳み操作が簡易で省時省力。
・・・
5.風に吹き倒されるおそれがない。」
(1-2)明細書第6頁第10行?第7頁第10行
「第4図で示すように、本考案は数本の主支柱(1)、サイドバー(5)、下活動支えバー軸体(3)、上固定支えバー軸体(4)、屋根支えバー(7)、槽鉄関節(6)、屋根フレーム押上バー(9)及び屋根受梁軸(8)により組成される、主支柱(1)は角型または円型柱体で、上端に一つの上止め孔(12)を設けて活動挿ピン(13)を主体(1)の上止め孔に挿入するのに提供し、並びにそれにより下活動支えバー軸体(3)を滑り下りないように固定する(第16図参照)、その主支柱(1)の下端に数ヶの下止め孔(11)を設け、その主支柱(1)の空心のところに一本の伸縮支柱(2)を設けている、上方も同じように数ヶの止め孔(22)を設け、その止め孔の作用は伸縮支柱(2)が主支柱(1)内から適当な長さに伸出した時に活動挿ピンを挿入して主支柱(1)上の下止め孔(11)に固定し、全体の高度を上昇し並びに固定する、その伸縮支柱(2)下端は一つの底台片(21)を溶接固定して全体の安定を強化している(第11、12図参照);」

(1-3)明細書第7頁第11行?第8頁第7行
「主支柱(1)上にはめている下活動支えバー軸体(3)は一本の角型または円型の空心柱(第15、16図)で兩端は開き口であり、下端には二つの下サイドバー固定軸片(32)を設け、その兩軸はサイドバー(5)の一端と互いに結合し、別途にその兩軸片(32)夾角の中央上方に一つの屋根押上バー固定軸片(31)を設けている、その軸片と屋根押上バーの一端を結合し、その下活動支えバー軸体(3)の中間の空心部分を主支柱(1)上にはめて、サイドバー(5)の伸張及び収縮が上下滑動をなすように配慮し、本体が最大まで伸張したときに活動挿ピン(13)を支柱上の止め孔(12)まで挿入して、而して下活動支えバー軸体(3)をくい止め固定し、並びに下活動支えバー軸体(3)が滑り下ち、全体が変形または収縮(第17図参照)するのを防止している;」

(1-4)明細書第8頁第8?16行
「上固定支えバー軸体(4)は一角型または円型空心柱(第14図参照)で、上方に二つの上サイドバー固定軸片(42)を設け、その兩軸片とサイドバー(5)の一端を結合している、その兩軸片(42)の夾角中央の下方に一つの屋根支えバー固定軸片(41)を設け、その軸片と屋根支えバー(76)の一端を互いに結合し、その上固定支えバー軸体(4)を主柱(1)上端に固定している;」

(1-5)明細書第8頁第17行?第9頁第8行
「サイドバー(5)は交叉式または取揃式で混合使用し(第4、5、6図参照)、その巧みな設計はその需要によりそれを揃って上昇し、こうすることにより人々の出入りを尚更便利にしている、交叉式は(5a)(5b)で組合せ、取揃式は(5c)(5d)を一つの槽鉄(6)を利用して一水平状になように連接し、一本の押上バー(51)を加えて組成している、兩端はそれぞれ上固定支えバー軸体(4)の上サイドバー固定軸片(42)及び下活動支えバー軸体(3)の下サイドバー固定軸片(32)上に固定している;」

(1-6)明細書第9頁第9?18行
「屋根部分は屋根支えバー(7a)(7b)及び屋根フレーム押上バー(9)で組成し、屋根支えバー(7a)(7b)は一つの槽鉄(6)で連結して、前後端をそれぞれ中心の屋根梁受軸(8)の屋根フレーム固定軸片(81)に固定している、他端は上固定支えバー軸体(4)の屋根支えバー固定軸片(41)上に固定され、その屋根梁受軸(8)の中心は円型またはその他の形状で、その周囲に数個の屋根支軸固定軸片(81)を設け(第18図参照)ている;」

(1-7)明細書第9頁第19行?第10頁第7行
「屋根フレーム押上バー(9)の兩端はそれぞれ下活動支えバー軸体(3)の屋根押上バー固定軸片(31)及び屋根支えバー(76)の中間の適当な位置(91)に固定され、その押上バー(9)の目的は屋根支えバーを支える外に、更に全体の伸張及び収縮にプラスしている、全体を連結したところはボルトまたはリベットにワシヤーを加えて連結し、各連結点は角回転できるようになっている。」

(1-8)第14?15図
明細書の上記各記載を参酌して第14図を見ると、上サイドバー固定軸片42が長方形の横断面を有する突出片であり、該上サイドバー固定軸片42とボルトまたはリベットで固定される交叉式サイドバーの端部が隔置された平行な側壁部分を有し、上サイドバー固定軸片42が該隔置された平行な側壁部分に挿入されることにより両部材が面接触していることがわかる。
同じく第15図を見ると、下サイドバー固定軸片32が長方形の横断面を有する突出片であり、該下サイドバー固定軸片32とボルトまたはリベットで固定される交叉式サイドバーの端部が隔置された平行な側壁部分を有し、下サイドバー固定軸片32が該隔置された平行な側壁部分に挿入されることにより両部材が面接触していることがわかる。

2.甲第2号証:特開平1-142183号公報
甲第2号証には、「天蓋構造物」に関する発明が記載されており、図面とともに以下の記載がある。

(2-1)第6頁右上欄第15行?左下欄第13行
「コーナー支持部材22及び対応する屋根支持部材40から構成される各セツトは、全く同一のものとして組立てられる。従つて、説明目的のため、単に一つのそのような組立体に関する説明が第3図を参照して詳細に為される。第3図において、コーナー支持部材22の上端32は、プラスチツクから成る端キヤツプ33によつて閉鎖されて図示される。U形ブラケツト36がコーナー支持部材22にその上端32において取付けられ、そして第1のL形ブラケツト38が前記U形ブラケツト36に隣接してコーナー支持部材22に結合されている。すべりブラケツト34が摺動自在にコーナー支持部材22に嵌装されており、そして第2のU形ブラケツト37及び第2のL形ブラケツト39がともにすべりブラケツト34に結合されている。既に述べたように、シザースユニツト62の交差片64,66はそれぞれピン65,67によつてL形ブラケツト38,39に枢動自在に結合されている。」

(2-2)第6頁左下欄第14行?右下欄第6行
「屋根支持部材40は1対の伸縮部材から構成されており、該伸縮部材は好ましくは内伸縮部材42と、内伸縮部材42を伸縮可能に受容する該伸縮部材44との形式にされている。屋根支持部材40は頂点部分50へ向かつて半径方向内方へ突出し、それにより、屋根支持部材40の内端即ち第1端は後に説明されるように頂点部分50に枢動自在に結合され得る。屋根支持部材40の外端即ち第2端は前記外伸縮部材44内に嵌合されてそれに固定される下ドグレグ腕46によつて形成される。下ドグレグ腕46の他端はピン47によつてU形ブラケツト36にす枢動自在に結合されている。」

(2-3)第6頁右下欄第7行?第7頁左上欄第10行
「下ドグレグ腕46とは反対位置のその端において該伸縮部材44は下方へ突出するU形ブラケツト48を有する。カンチレバー部材70が一端においてピン49によつてU形ブラケツト48に枢動自在に結合され、そして他端においてピン41によつてU形ブラケツト37に枢動自在に結合されている。従つて、屋根支持部材40はピン47を中心としてコーナー支持部材22に対して下方へ枢動することが理解されるべきである。かくのごとき枢動が生じたときは、すべりブラケツト47は下方へ運動し、従って、カンチレバー部材70は、屋根支持部材40がコーナー支持部材22の側腹に沿う至近離間平行関係に定向されるように枢動する。下ドグレグ腕46はU形ブラケツト37の幅及びカンチレバー部材70の幅を屋根支持部材40とコーナー支持部材22との間に収容するための片寄りを確立するために設置されることが理解されるであろう。内及び外伸縮部材42,44を第3図に図示されるごとき伸張位置に確保するため、ボタンラツチ・嵌合穴装置45の形式にされたラツチ手段が設けられる。ボタンラツチが内及び外伸縮部材の一方に配置され、そして嵌合穴が他方の伸縮部材に配置されることは、当業者に既知である標準装置の場合と同じである」

3.甲第3号証:米国特許第4641676号公報
(訳文は、請求人提出のもの採用する。)
甲第3号証には、「COLLAPSIBLE CANOPY STRUCTURE」((訳)「折り畳み可能なキャノピー構造体」)に関する発明が記載されており、図面とともに以下の記載がある。

(3-1)明細書第3欄第15?36行
「Support framework 12, without covering 14, is best shown in FIGS. 3 and 3A in an expansion state that is approximately half-way between the collapsed state shown in FIG. 2 and the fully expanded state shown in FIG. 1. As is shown in FIG. 3, support framework 12 includes plurality of upright support members or legs 16,18,20, and 22 which form part of the support frame- work 12 and which are interconnected by scissor assemblies, described below. Specifically, leg 16 is interconnected to its adjacent legs 18 and 22 by means of a pair of scissor assemblies 24 and 26, respectively. Leg 20 is interconnected to its adjacent legs 18 and 22 by means of a third and fourth pairs of scissor assemblies 28 and 30, respectively. In the preferred embodiment, shown in FIG. 3, scissor assemblies 26 and 28, which form opposite sides of support structure 12, are interconnected by a fifth or internal scissor assembly 32. Scissor assemblies 24,26,28 and 30 have the same construction so that, for purposes of explanation, only scissor assembly 24 is fully described. However, it should be appreciated that the general structure of each scisor assembly 26,28 and 30 is the same.」
(訳)「図3及び図3Aは、図2で示す折り畳まれた状態と図1で示す完全に展開された状態のほぼ中間の展開状態で、カバー14を取除いた支持フレーム12を最もよく示す。図3で示すように、支持フレーム12には、複数の垂直支持構成体としての脚16、18、20、及び22がある。脚16、18、20、及び22は、支持フレームワークの一部を構成し、以下で説明するシザー組立体によって相互接続されている。具体的に言うと脚16は、それぞれ一対のシザー組立体24及び26によって、隣接する脚18及び22に対し相互接続されている。脚20は、それぞれ第三、第四の対のシザー組立体28及び30によって、隣接する脚18及び22に対し相互接続されている。図3に示す好ましい実施例では、シザー組立体26及び28が支持構造体12の反対側を構成し、第五の即ち内部シザー組立体32によって相互接続されている。シザー組立体24、26、28、及び30は同様の構造のため、シザー組立体24のみを説明のために、十分に記述する。しかし、各シザー組立体26、28、及び30の通常の構造は同様であると理解されたい。」
(3-2)明細書第3欄第37?54行
「Scissor assembly 24, as is shown in FIG. 3, is defined by a pair of X-shaped scissor units 34 and 36, each of'which is formed by a pair of tubular cross arms of square-shaped cross-section. Scissor unit 34 is formed by first elongated arms 38 and 40 which are pivotally attached to one another at a midpoint Arm 38 is pivotally secured at a first end 42 to a slide bracket 44 that is slidably received on leg 16. A first end 46 of elongated arm 40 is pivotally secured to top 48 of leg 16. Similarly, scissor unit 36 is formed of a pair of elongated arms 50 and 52 which are pivotally attached to one another at their midpoint. A first end 54 of arm 50 is pivotally secured to a slide bracket 56 which is slideably received on leg 18, and a first end 58 of arm 52 is pivotally secured to the top 60 of leg 18. A second end 62 of arm 38 is pivotally connected to a second end 66 of arm 50, and the second end 64 of arm 40 is pivotally connected to second end 68 of arm 52.」
(訳)「シザー組立体24は、図3に示すように、一対のX状シザーユニット34及び36により構成されている。そして、各シザーユニット34及び36は、一対の矩形状断面の中空のクロスアームにより構成されている。シザーユニット34は、中間点で互いに枢動可能に取り付けられた第一の細長いアーム38及び40により形成されている。アーム38は、第一端42が、脚16にスライド可能に受けられたスライドブラケット44に枢動可能に取り付けられている。細長いアーム40の第一端46は、脚16の上端48に枢動可能に取り付けられている。同様に、シザーユニット36は、中間点で互いに枢動可能に取り付けられた一対の細長いアーム50及び52により形成されている。アーム50の第一端54は、脚18にスライド可能に受けられたスライドブラケット56に枢動可能に取り付けられている。そして、アーム52の第一端58は、脚18の上端60に枢動可能に取り付けられている。アーム38の第二端62は、アーム50の第二端66に枢動可能に接続され、そして、アーム40の第二端64は、アーム52の第二端68に枢動可能に接続されている。」

(3-3)明細書第3欄第55行?第4欄第3行
「Internal scissor assembly 32 is formed by a pair of X-shaped scissor units 70 and 72, as is shown in FIGS. 3 and 3A. The construction of internal scissor assembly 32 is similar to that described above with respect to scissor assembly 24, with the differences in construction best shown in FIGS. 5, 6, and 7. As is shown in those figures, scissor unit 70 is formed by pair of elongated tubular arms 74 and 76 which are hinged together at their mid-sections. Similarly, the scissor unit 72 is formed by a pair of elongated tubular arms 78 and 80 also hinged together at their mid-sections. Scissor units 70 and 72 are connected to one another and to a sleeve 82 and a socket 92. Particularly, sleeve 82 is provided with a tab 84 projecting therefrom. Elongated arms 76 and 78 are pivotally connected to tab 84 by means of a bolt or rivet 88, with a low-friction washer 86 placed between arms 76 and 78.」
(訳)「内部シザー組立体32は、図3及び3Aに示されているように、一対のX状シザーユニット70及び72により形成されている。内部シザー組立体32の構造は、図5、6及び7に最もよく示されている構造状の相違があるものの、上述したシザー組立体24に関するものと同様である。これらの図に示されているように、シザーユニット70は、中間点で互いに枢動可能に取り付けられた一対の細長い中空アーム74及び76により形成されている。同様に、シザーユニット72は、中間点で互いに枢動可能に取り付けられた一対の細長い中空アーム78及び80により形成されている。シザーユニット70及び72は互いに接続されるとともに、スリーブ82及びソケット92に接続されている。特に、スリーブ82はそこから突出するタブ84を備えている。細長いアーム76及び78は、アーム76及び78の間に配設された低摩擦ワッシャー86とともに、ボルト又はリベット88によって、タブ84に枢動可能に接続されている。」

(3-4)明細書第4欄第4?10行
「Socket 92 is cup-shaped in configuration and is defined by surrounding sidewall 94 and a bottom wall 96. Socket 92 includes a tab 98 projecting therefrom which serves to interconnect scissor units 70 and 72. Particularly, elongated arms 74 and 80 are pivotally secured to tab 98 by means of a bolt or rivet 102, with a low-friction washer 100 placed between arms 74 and 80.」
(訳)「 ソケット92はカップ状に形成されており、周囲の側壁94と底壁96とを備えている。ソケット92はそこから突出するタブ98を含んでいる。タブ98はシザーユニット70及び72の相互接続を受け持っている。特に、細長いアーム74及び80は、アーム74及び80の間に配設された低摩擦ワッシャー100とともに、ボルト又はリベット102によって、タブ98に枢動可能に接続されている。」

(3-5)明細書第4欄第11?27行
「Sleeve 82 and socket 92 mount a central or interior post 106 which has a lower end 108 and a cap 110 located on an end thereof opposite end 108. Post 106 extends through sleeve 82 so that end 108 may be mateably and releaseably received by socket 92. When the canopy shelter is moved into the collapsed state, socket 92 disengages from end 108 of post 106, as is shown in phantom in FIG. 6. However, when the canopy shelter is moved into the expanded position, end 108 is positively engaged and supported by socket 92 so that cap 110 is pressed against a reinforcement pad 112 secured to a central portion of covering 14. Preferably, post 106 has a length which is sized to elevate the center of covering 14 slightly higher than the tops of legs 16,18, 20 and22 so that water may run off canopy covering 14. In this manner, then, the central portion of covering 14 is supported by post 106 of internal scissor assembly 32.」
(訳)「 スリーブ82及びソケット92は、下端108と、該下端108の他端に配設されたキャップ110とを有する中央又は内側のポスト106に乗っている。ポスト106は、下端108が着脱可能にソケット92に受けられるように、スリーブ82を介して延設されている。キャノピーシェルターが折り畳まれた状態にされたとき、図6に仮想的にヽ示されているように、ソケット92はポスト106の下端108からの連結が解除される。しかしながら、キャノピーシェルターが展開された状態にされたとき、キャップ110がカバー14の中央部分に設けられる補強パッド112に対して押圧されるように、下端108はソケット92により積極的に連結支持される。キャノピーカバー14から水を流下させるため、ポスト106は、脚16、18、20、及び22の上端よりも若干高めにカバー14の中央を持ち上げる長さを備えていることが好ましい。このように、カバー14の中央部分は内部シザー組立体32のポスト106で支持される。」

(3-6)明細書第4欄第8?47行
「A representative connection of internal scissor assembly 32 to a side scissor assembly 28, is shown in FIG. 5. In this figure, an L-shaped bracket 114 is pivotally connected to the end of tubular elongated arm 78 that is opposite the end connected to tab 84 of sleeve 82. Arm 78 is provided with a hole 118 extending therethrough, and L bracket 114 has a complimentary hole 120. A bolt or rivet 116 is then passed through holes 118 and 120, and a bushing may be used to prevent the collapse of the sidewalk of arm 78. Scissor assembly 28 includes elongated tubular arms 122 and 124 which are provided, at adjacent ends, with holes 126 and 128, respectively. L bracket 114 has a second hole 130 which is alignable with holes 126 and 128, and a bolt or rivet 132 extends through these holes so that arms 122 and 124 are pivotally secured to bracket 114 and to each other. A low-friction washer 125 is positioned between arms 122 and 124 on rivet 132. Thus, any scissor movement of scissor assembly 28 causes a corresponding movement to scissor assembly 32.」
(訳)「内部シザー組立体32のサイドシザー組立体28への代表的な接続は、図5に示されている。この図において、L形ブラケット114は、細長い中空アーム78の端部に枢動可能に接続されている。この中空アーム78の端部は、スリーブ82のタブ84に接続された端部の反対側の端部である。アーム78は貫通した孔118を備え、L形ブラケット114は対応する孔120を備えている。ボルト又はリベット116は孔118及び120に挿通され、アーム78の側壁の摩耗を防止するためにブッシュを用いてもよい。シザー組立体28は隣接する端部に孔126及び128をそれぞれ備えた細長い中空アーム122及び124を含んでいる。L形ブラケット114は、孔126及び128により整列できる第二孔130を備えている。そして、アーム122及び124がブラケット114に対し、互いに枢動可能に取り付けられるように、ボルト又はリベット132がこれらの孔を挿通する。低摩擦ワッシャー125は、リベット132におけるアーム122及び124の間に配設される。このように、シザー組立体28のあらゆるハサミ状の動作は、シザー組立体32に対応する動作を引き起す。」

(3-7)明細書第5欄第5?18行
「Slide bracket 44 and corner bracket 146 are mounted to scissor assemblies 24 and 26. To this end, slide bracket 44 includes a pair of tabs 150 and 152 which project laterally of bracket 44 and at right angles to each other. Elongated arm 38 is pivotally secured to tab 150 by means of bolt or rivet 154, and elongated arm 39 of scissor assembly 26 is pivotally secured to tab 152 in a similar manner. Corner bracket 146 is also provided with a pair of tabs 156 and 158 which laterally project therefrom at right angles to each other. Elongated arm 40 of scissor assembly 24 is pivotally secured to tab 156 by means of a bolt or rivet 160, and elongated arm 41 of scissor assembly 26 is pivotally secured to tab 158 in a like manner.」
(訳)「スライドブラケット44及びコーナーブラケット146は、シザー組立体24及び26に取り付けられている。この目的のためスライドブラケット44は、横へ突出し互いに直角をなす、一対のタブ150及び152を持つ。細長いアーム38は、ボルト又はリベット154によってタブ150に枢動可能に取り付けられている。シザー組立体26の細長いアーム39は、同様の方法でタブ152に枢動可能に取り付けられている。コーナーブラケット146も、横へ突出し互いに直角をなす、一対のタブ156及び158を備えている。シザー組立体24の細長いアーム40は、ボルト又はリベット160によりタブ156に枢動可能に取り付けられており、シザー祖立体26の細長いアーム41は、同様にタブ158に枢動可能に取り付けられている。」

4.甲第4号証:実願昭57-91580(実開昭58-195553号)のマイクロフィルム
甲第4号証には、「折畳み式ベンチ」に関する発明が記載されており、図面とともに以下の記載がある。
(4-1)明細書第2頁第3?8行
「本考案は数人で腰掛けせられるベンチを横方向にワンタツチで開展折畳みせられると共に体積も最小限に縮小せられて携行収蔵に至便であり然も部材の種類が少なく且組立て制作も容易にして安価堅牢なこの種折畳み式ベンチを提供するものである。」

(4-2)明細書第3頁第4行?第4頁第8行
「即ち実施例の図面に示したように2本の同径等長の金属製脚管1,2の各中央部を開閉自在に枢着Pしたクロス脚Xの多数本を設け、且これらクロス脚を順次横平行に配すると共に各クロス脚Xの前後端間毎にそれぞれクロス脚Xを介設してその交錯状に集交した各脚管1,2の上下端口に、中央部に円形の挿孔Rを穿ち且該挿孔の片面外周に平面巴状に各軸受けWを立設した一体のナイロンまたは合成樹脂製軸受け盤3における対角的に該当する各軸受けWに介挿軸支tされたナイロン又は合成樹脂製の各軸継ぎ手4の基部4′を嵌着し然して後列側の上下各軸受け盤3の挿孔Rに各長尺な背もたれ管5を串通してその各下端を各下部軸受け盤3の挿孔Rに固着し又前列左右側端の上下各軸受け盤3の挿孔Rにには、縮小極限においてクロス脚Xの所要開き角度一杯即ち腰掛け高さ相応の高さとなる各伸縮管6の内管a上端と外管b下端をそれぞれ固着してベンチの骨格を構成し、然して各クロス脚X上端の軸受け盤3の上面に細幅長尺の座布7の長手両端を順次止め金Tにて着脱自在に取着けすると共に各背もたれ管5の上端には細幅長尺の背もたれ布8に等間隔に縫着した皮製等の強靱な各袋筒部8′を抜き差し自在に嵌着して成るものである。」

(4-3)明細書第5頁第2行?第10行
「従つて本案は携行収蔵に至便なことは勿論であるが更に本案においては前列両側端の各上下軸受け盤3間にはクロス脚Xの所要開き角度と高さを縮小限度とする各伸縮脚6を介設したので座布7面を腰掛けに快適な程よい凹曲面に保持せしめるのと緊張による該座布の寿命を短かゝらしめることがない利点とベンチ両側を安定的に支持し傾倒破損を防止する効果を具有するものである。」

(4-4)第4図(B)には軸受け盤の拡大図側面図が示されており、 軸受け盤が平行な向き合った側壁部分を有し、その下端部が相互に連結されていることが見て取れる。
5.甲第5号証:特開昭48-29212号公報
甲第5号証には、「折畳み仮設建物」に関する発明が記載されており、図面とともに以下の記載がある。
(5-1)第2頁左上欄第3行?右上欄第9行
「先づ第1図立面図 第2図側面図に示したように 第1図及び 第2図の各2は通常建物の場合の土台に類するものである 第1図及び 第2図の3は 桁 4は 合掌及び 角合掌 5は 棟木に相当する これを図のように幾何学的構造にして 折畳みを可能にし 又柱を上下に伸縮出来るよう 柱に軽金属 鉄 又は合成樹脂のパイプ等を利用して 三重構造とした 第3図の 6は外柱として 7の中柱を外柱内部に差し込み 土台及び 桁 合掌等を 9の取付プレートに 10の取付ボルトにて接続し 8の芯柱を 7の中柱内部を通して 建物上下(土台部分 小屋部分 桁部分) を組合せる 又8の芯柱は 6の外柱最上部及び 最下部の各内部に固定金具を設け 芯柱が外柱最上部以上 又は最下部以下に抜け出さないようにする これにて建物上下の最低の間隔を保ち なほ開閉時には 土台 桁 合掌等が横に連繋的に作動する為 7の中柱のみが 反動伸縮性により上下運動をおこす これにより芯柱は 土台部分と小屋部分の連繋を保ち折畳時の高さを維持出来る 第4図は 合掌及び 角合掌 棟木取付プレート 第5図は 小屋伸縮及び 上下動作部分 第4図の取付プレートを 正方形建物の場合は上下に各1箇づゝ計2箇を使用 長方形建物の場合には上下に各2箇づゝ計4箇を使用し これに合掌及び 角合掌 棟木等を接続し小屋構造とする」
(5-2)第2頁左下欄第1?4行
「なほ 第7図に示した開き止め装置を小屋中央部に取り付け 小屋部分の下降を止めると同時に小屋全体の強度をこれにてさゝえる」
(5-3)第3図に示された取付プレート9は断面コ字状の部材で、その平行な向き合った側壁部分間に角パイプが配置され、取付ボルト10がそれらを貫通して接続されているのがわかる。第4図に示された取付プレートも同様の構造を有し、第7図にも同様の構造が見て取れる。
6.甲第6号証:実公昭17-13415号公報
甲第6号証には、「半球形天幕」に関する発明が記載されている。
7.甲第7号証:特開昭52-46616号公報
甲第7号証には、「アンブレラ テント」に関する発明が記載されており、図面とともに以下の記載がある。
(7-1)第4頁左上欄第14?17行
「図示の実施態様においては、テント骨組は相互に90゜離間した4個のリブ22を含む。したがつて、フランジ10は90゜間隔で配置された4対の横に延在するラグ14を備えている。」
(7-2)第4頁右上欄第2?14行
「各リブ22の端部の中間にはピボツト ブラケツト26が固着されている。第11図にもつともよく示されているように、このブラケツトは断面がほぼC字形である。ブラケツトの閉端はリブの中間部分を受入れるために縦グループを備えている。リブは前述したねじと同様にねじのような手段でブラケツトに固着されている。ブラケツトの離間した端部はそれらの間にカプリング部品の外部部分28を自由に受入れている。ブラケツトの離間した端部とカプリング部品にある整合開口はピボツト ピン30を受入れ、それによりカプリング部品はブラケツトに回動可能に固着されている。」
8.甲第8号証:実願昭63-145489(実開平2-66141号)のマイクロフィルム
甲第8号証には、「折り畳み式腰掛け」に関する発明が記載されており、図面とともに以下の記載がある。
(8-1)明細書第10頁第15行?第11頁第16行
「脚部13は、上記筒体11の下部でこの筒体11の内部に上下方向に摺動可能に嵌挿された脚部保持体31と、この脚部保持体31に対して半径方向外側に互いに開脚可能に例えば図示のようにピンにより枢支された三本の脚32,33,34と、・・・を含んでいる。」
(8-2)明細書第15頁第8?13行
「第5図は本考案による他の実施例を示しており、この折り畳み式腰掛け40は,第1図の実施例と同様に・・・構成されている。」
(8-3)明細書第17頁第11?17行
「脚部43は,筒体41の下部で筒体41の内部に上下方向に摺動可能に嵌挿され・・・た脚部保持体47と,この脚部保持体47に対して半径方向外側に互いに開脚可能に例えば図示のようにピンにより枢支された三本の脚32,33,34とを含んでいる。」
(8-4)第1図には一実施例を示す概略斜視図が示され、脚32,33が、平行な向き合った側壁部分を有する部材の間にピンにより枢支されているのが見て取れる。
(8-5)第5図、第7図及び第8図にはそれぞれ、他の実施例を示す概略斜視図、一部破断拡大斜視図及び折り畳んだ状態を示す概略斜視図が示され、脚32,33が、平行な向き合った側壁部分を有しその上端部において水平な壁部分で相互に連結された部材、の間にピンにより枢支されているのが見て取れる。
9.甲第9号証:実願平1-5510号(実開平2-96933号)のマイクロフィルム
甲第9号証には、「折畳み椅子」に関する発明が記載されており、図面とともに以下の記載がある。
(9-1)明細書第2頁第2?17行
「[従来の技術]従来から携帯用の折畳み椅子には、木材や金属パイプ等で作られた枠材に腰掛け布材を張設した種々の形式のものが知られている。
[考案が解決しようとする課題]しかしながら、これらの折畳み椅子は一般に折畳んでもあまり小さくならないために、鞄やケース等に収納し難いという欠点がある。
また、組み立てた状態では機械的強度及び安定度が弱く,体重の重い人が不用意に腰掛けた場合には、損壊し易いという欠点もある。
本考案の目的は、組立てた状態では機械的強度及び安定度が良く、また折畳んだ状態では鞄やケース等に容易に収納し易いように,小型に束ねることができる折畳み椅子を提供することである。」
(9-2)明細書第5頁第5?16行
「第3図は上述の実施例に用いられているかなめ金具8a、8b、第4図は鈎型金具4aを示している。第3図に示すように、かなめ金具8a、8bは左右対称の2つの金具M1とM2を組合わせて構成され、この2つの金具M1とM2は孔P1を通る枢軸7a、7b及び孔P2、P3を通る取付用ピン11によって相互に組合わされている。また、鈎型金具4a及び4bも第4図に示すように、左右対称の2つの金具N1とN2を組合わせて構成され、これらの2つの金具N1とN2は孔S1を通る軸12及び孔S2を通る取付用ピン11によって相互に結合されている。」
10.甲第10号証:実公昭38-2860号公報
甲第10号証には、「傘骨」に関する発明が記載されている。
11.甲第11号証:実公昭38-1674号公報
甲第11号証には、「傘骨」に関する発明が記載されている。
12.甲第12号証:特開昭57-80967号公報
甲第12号証には、「荷物運搬用トロリー」に関する発明が記載されている。

第7.無効理由についての判断(無効理由1について)

1.引用発明の認定(甲第1号証に記載された発明)
上記記載事項(1-1)?(1-7)及び第1?19図の記載からみて、甲第1号証には、
「わく組立と折畳み操作が簡易な伸縮瞬間わく組立家屋結構であり、上方に屋根を支持することができる伸縮瞬間わく組立家屋結構において、
(a)各々が地面上に配置可能な底台片と、前記底台片と反対側の上端部とを有する複数個の直立した主支柱を備え、前記主支柱は折畳まれた状態で相互に相並ぶように向けられ、そして展開状態に向かって相互に離れて外方に移動可能であり、さらに、
(b)複数個の交叉式サイドバーを備え、一つの交叉式サイドバーが前記主支柱のうちの隣接した主支柱を相互に連結し、各々の前記交叉式サイドバーが1対の主支柱に締め付けられる上側の端部および1対の主支柱に締め付けられる下側の端部を有し、前記交叉式サイドバーは開閉するように作用可能であり、それにより前記伸縮瞬間わく組立家屋結構は展開状態と収縮状態との間を移動することができ、さらに、
(c)前記の直立した主支柱上に配置されかつ前記交叉式サイドバーを前記主支柱に締め付けるように作用する複数個の支えバー軸体を備え、支えバー軸体の各々サイドバー固定軸片を有し、前記端部の各々は隔置された平行な側壁部分を有し、該平行は側壁部分間に長方形横断面を有するサイドバー固定軸片が挿入されることにより、該平行は側壁部分とサイドバー固定軸片が接触面を形成し、
(d)前記交叉式サイドバーの各々の前記端部をそれぞれの支えバー軸体のサイドバー固定軸片に枢動可能に固定するボルトまたはリベットを備え、
前記バー支え軸体は前記伸縮瞬間わく組立家屋結構が展開し、そして収縮するときに前記交叉式サイドバーを開閉させるように相互に関して相対移動可能である伸縮瞬間わく組立家屋結構。」
が記載されているものと認められる(以下「引用発明」という)。

2.本件特許発明1について

(1)対比
本件特許発明1と引用発明を対比すると、引用発明の「伸縮瞬間わく組立家屋結構」、「地面」、「屋根」、「地面上に配置可能な底台片」、「主支柱」、「交叉式サイドバー」、「主支柱に締め付けられる上側の端部」、「主支柱に締め付けられる下側の端部」、「支えバー軸体」及び「ボルトまたはリベット」は、それぞれ、本件特許発明1の「骨組構造体」、「支持面」、「キャノピーカバー」、「支持面上に配置可能な下端部」、「支持部材」、「端縁シザー組立体」、「外側上端部」、「外側下端部」、「マウント」及び「締結ピン」に相当する。

また、引用発明の「伸縮瞬間わく組立家屋結構」が「折畳まれ、そして折畳まれた状態で保管され、そして支持面上に展開された状態で組みたてられるようになった展開可能な骨組構造体」であることは明らかである。


したがって、本件特許発明1と引用発明は、
「折畳まれ、そして折畳まれた状態で保管され、そして支持面上に展開された状態で組みたてられるようになった展開可能な骨組構造体であり、前記支持面の上方にキャノピーカバーを支持することができる骨組構造体において、
(a)各々が支持面上に配置可能な下端部と、前記下端部と反対側の上端部とを有する複数個の直立した支持部材を備え、前記支持部材は折畳まれた状態で相互に相並ぶように向けられ、そして展開状態に向かって相互に離れて外方に移動可能であり、さらに、
(b)複数個の端縁シザー組立体を備え、一つの端縁シザー組立体が前記支持部材のうちの隣接した支持部材を相互に連結し、各々の前記端縁シザー組立体が1対の外側上端部および1対の外側下端部を有し、前記端縁シザー組立体は開閉するように作用可能であり、それにより前記骨組構造体は展開状態と収縮状態との間を移動することができ、さらに、
(c)前記の直立した支持部材上に配置されかつ前記端縁シザー組立体を前記支持部材に締め付けるように作用する複数個のマウントを備え、マウントと端縁シザー組立体の外側端部とは平面状の接触面を形成し、さらに、
(d)前記端縁シザー組立体の各々の外側端部をそれぞれの枢軸部材に枢動可能に固定する締付ピンを備え、
前記マウントは前記骨組構造体が展開し、そして収縮するときに前記端縁シザー組立体を開閉させるように相互に関して相対移動可能である骨組構造体。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点]
本件特許発明1では、マウントが隔置された平行な側壁部分により形成されたソケットを有し、端縁シザー組立体の外側端部が該ソケット内に受け入れられて、平行な側壁部分が平面状の接触面に沿って外側端部に作用して前記端縁シザー組立体の横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止するのに対して、引用発明では、端縁シザー組立体の外側端部が隔置された平行な側壁部分により形成されたソケットを有し、マウントが該ソケット内に受け入れられて、平行な側壁部分が平面状の接触面を形成するものの、たわみを阻止するかどうか不明な点。

(2)相違点についての判断
(課題の予測性)
本件特許発明1は、テント等の骨組構造において、風などの外力によるたわみ、ねじりを阻止することをその解決すべき課題としている。
一方、従来からテントのように野外で用いる構造物に風などの外力が作用すること、及びそのための対策を取る必要があることは、当業者に広く知られた事実である。(上記摘記事項(1-1)参照。)
また、テントに限らず、展開・収納可能な骨組構造は、その枢軸部や可動部の構造上、風やその他の外力に対して、骨組みの結合部分の強度を確保する必要があることも、当業者が広く認識している事項である。
これは、例えば、上記摘記事項の(4-3)「ベンチ両側を安定的に支持し傾倒破損を防止する効果を具備するものである。」、(9-1)「また、組み立てた状態では機械的強度及び安定度が弱く,体重の重い人が不用意に腰掛けた場合には、損壊しやすいという欠点もある。本考案の目的は、組み立てた状態では機械的強度及び安定度がよく、また折畳んだ状態では鞄やケース等に容易に収納しやすいように,小型に束ねることができる折畳み椅子を提供することである。」の記載や、甲第4号証の(4-4)、甲第5号証の(5-3)、甲第7号証の(7-2)、甲第8号証の(8-4)(8-5)、甲第9号証の(9-2)の各記載に見られるとおり、骨組みの結合部分の構造を補強することがごく普通に行われていることからもわかる。
すなわち、上記各甲号証に見られる骨組みの結合部分の枢軸構造は、どれも「隔置された平行な側壁部分により形成されたソケットを有し、その平行な向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合されるようにソケット内に受け入れられる長方形横断面の外側端部を有し、それにより前記の平行な側壁部分と共に平面状の接触面を形成し」ているが、このような構造が、例えば甲第1号証のサイドバー固定軸片(第14図?16図)や、甲第3号証の第4図及び第5図に見られるような、側壁部分が1枚の枢軸構造に比べて機械的強度、特にたわみやねじりに対する強度が優れていることは、当業者であれば容易に理解できる事項である。
(構成の周知性)
本件特許発明1は、上記の課題を達成するために「枢軸部材を各々が隔置された平行な側壁部分により形成されたソケットで構成し、前記端縁シザー組立体の各々はその平行な向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合されるように前記ソケットのうちのそれぞれの1個のソケット内に受け入れられる長方形横断面の外側端部を有し、それにより前記の平行な側壁部分と共に平面状の接触面を形成している」という構成を採用している。
しかしながら、骨組構造のたわみやねじりに対する強度を向上させるための枢軸構造として「隔置された平行な側壁部分により形成されたソケットを有し、その平行な向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合されるようにソケット内に受け入れられる長方形横断面の外側端部を有し、それにより前記の平行な側壁部分と共に平面状の接触面を形成」することは、上記各甲号証の骨組みに見られるとおり、当業者によく知られた事項である。
また、互いに対応する形状を有し、組み合わされることにより係合される2つの部材は、お互いに補完する関係にあり、両部材の配置を任意に交換できるのが普通である。
本件特許発明1と引用発明においても、マウントと端縁シザー組立体の外側端部とはこのような関係にあるから、引用発明のマウントのソケットと端縁シザー組立体の外側端部との構成を入れ替えることにより本件特許発明1に係る構成を採用することは、当業者が容易になし得る事項である。
したがって、引用発明に当該周知の事項を適用することにより、上記相違点に係る事項を採用することは、当業者が容易になし得る事項である。

よって、本件特許発明1は、引用発明及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3.本件特許発明3について
本件特許発明3は、本件特許発明1に「骨組構造体が展開状態にあるときに前記の直立した支持部材により支持面の上方に支持されたルーフ支持組立体を含み、前記ルーフ支持組立体が前記キャノピーカバーを支持する作用をする」という事項を付加するものである。
甲第1号証の「屋根支えバー」は、本件特許発明3の「ルーフ支持組立体」に相当する(摘記事項(1-6)参照)。したがって、上記付加事項は、実質的に、甲第1号証に記載されたものである。
してみれば、本件特許発明3は、本件特許発明2についての判断と同様に、引用発明及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.本件特許発明6について
本件特許発明6は、本件特許発明4に「1対の前記マウントが前記の直立した支持部材の各々の上に配置され、前記の1対のマウントの一方が固定マウントであり、そして前記の1対のマウントの他方がスライドマウントであり、前記スライドマウントが前記の直立した支持部材に滑動可能に固定されかつそれぞれの前記端縁シザー組立体が開閉するときに前記支持部材に沿って前記固定マウントに近い位置と前記固定マウントから遠い位置との間に移動可能であり、そして前記ルーフ支持部材の各々がそれぞれの固定マウントに枢動可能に連結され、そして第1片持端部において前記伸張可能な部分の一方と枢動可能に連結されかつ前記第1片持端部と反対側の第2片持端部においてそれぞれの前記の隅の支持部材上のスライドマウントと枢動可能に連結された片持部分を含む」という事項を付加するものである。
甲第2号証の「U形ブラケツト48」、「U形ブラケツト22」、「すべりブラケツト34」及び「カンチレバー部材70」はそれぞれ、本件特許発明6の「第1片持端部」、「第2片持端部」、「スライドマウント」及び「片持部分」に相当する。したがって、上記付加事項は甲第2号証に記載されており、この構成を引用発明の相互に移動可能なマウントに適用することは、当業者が容易になし得ることである。
よって、本件特許発明6は、引用発明、甲第2号証の記載事項及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.本件特許発明7について
本件特許発明7は、本件特許発明1に「端縁シザー組立体の各々が端と端とをつなぐ関係で内側の上端部および下端部において連結された1対のシザーユニットを含み、前記端縁シザー組立体の各々がそれぞれのシザーユニットの内側の上端部および下端部を枢動可能に連結するためにそれぞれ作用する上側浮動マウントおよび下側浮動マウントを含み、前記上側浮動マウントおよび下側浮動マウントの各々が隔置された平行な側壁部分によりそれらの内部に形成された複数個のソケットを有し、前記シザーユニットの内側端部の各々がその向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合するように前記ソケットのうちのそれぞれのソケット内に受け入れられた長方形横断面を有し、かつソケットの平行な側壁部分が前記シザーユニットの横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止する間に前記シザーユニットの各々の内側端部をそれぞれのソケット内に枢動可能に固定する締付ピンを含む」という事項を付加するものである。
一方、甲第3号証には、「端縁シザー組立体の各々が端と端とをつなぐ関係で内側の上端部および下端部において連結された1対のシザーユニット(シザー組立体26及び28:上記摘記事項(3-1)?(3-2)、図3及び図3A参照)を含み、前記端縁シザー組立体の各々がそれぞれのシザーユニットの内側の上端部および下端部を枢動可能に連結するためにそれぞれ作用する上側浮動マウント(各シザーユニットの上側連結部分)および下側浮動マウント(各シザーユニットの下側連結部分)を含」んだ骨組構造体が記載されており、この構造を引用発明に適用することは、当業者が容易になし得る事項である。
また、「隔置された平行な側壁部分によりそれらの内部に形成された複数個のソケットを有し、前記シザーユニットの内側端部の各々がその向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合するように前記ソケットのうちのそれぞれのソケット内に受け入れられた長方形横断面を有し、かつソケットの平行な側壁部分が前記シザーユニットの横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止する間に前記シザーユニットの各々の内側端部をそれぞれのソケット内に枢動可能に固定する締付ピンを含む」という事項は、上記2.(2)で検討したとおり、当業者が容易になし得る事項である。
よって、本件特許発明7は、引用発明、及び甲第3号証の記載事項並びに周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.本件特許発明8について
本件特許発明8は、本件特許発明7に「骨組構造体が展開状態にあるときに前記の直立した支持部材により支持面の上方に支持されるルーフ支持組立体を含み、前記ルーフ支持組立体が前記キャノピーカバーを支持する作用をする」という事項を付加するものである。
甲第3号証の「シザーユニット70、72及びポスト106」は、本件特許発明8の「ルーフ支持組立体」に相当する。(各シザーユニットは、シザー組立体26及び28を介して垂直支持構成体(本件特許発明8の直立した支持部材に相当)に支持されている。上記摘記事項(3-4)?(3-6)及び図3、図3A、図6参照)したがって、上記付加事項は甲第3号証に記載されている。
してみれば、本件特許発明8は、引用発明、及び甲第3号証の記載事項並びに周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

7.本件特許発明9について
本件特許発明9は、本件特許発明8に「前記ルーフ支持組立体が少なくとも1対の向き合った端縁シザー組立体の間に延びかつ該端縁シザー組立体と連結され、そして前記の1対の向き合った端縁シザー組立体の展開および収縮に応じて展開し、そして収縮するように作用する内側シザー組立体を含み、前記内側シザー組立体が前記の上側浮動マウントおよび下側浮動マウントにそれぞれ形成されたそれぞれのソケット内に収納されかつそれぞれの前記締付ピンにより該ソケット内に枢動可能に締め付けられた内側シザーの長方形横断面の外側の上端部および下端部を有する」という事項を付加するものである。
甲第3号証の「シザーユニット70、72」は、本件特許発明9の「内側シザー組立体」に相当する。したがって、上記付加事項は甲第3号証に記載されている。
そして、「内側シザー組立体が前記の上側浮動マウントおよび下側浮動マウントにそれぞれ形成されたそれぞれのソケット内に収納されかつそれぞれの前記締付ピンにより該ソケット内に枢動可能に締め付けられた内側シザーの長方形横断面の外側の上端部および下端部を有する」という事項は、上記8.で検討したとおり、引用発明に当該周知の事項を適用することにより、当業者が容易になし得る事項である。
よって、本件特許発明9は、引用発明、及び甲第3号証の記載事項並びに周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第8.むすび
以上のとおり、本件特許発明1、3、6?9は、引用発明、甲第2及び3号証の記載事項並びに周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、請求人が主張する無効理由2について判断するまでもなく、無効とすべきものである。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

平成23年 2月10日

審判長 特許庁審判官 神 悦彦
特許庁審判官 宮崎 恭
特許庁審判官 山口 由木



無効2008-800245号 3次審決

上記当事者間の特許第2625255号「非圧縮性ピボットを備えたシザー端部が捕獲された折畳み可能なキャノピー骨組構造体」の特許無効審判事件についてされた平成23年 2月10日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の決定(平成23年(行ヶ)第10117号 平成23年6月23日決定)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。
結 論
訂正を認める。
特許第2625255号の請求項1?6に係る発明についての特許を無効とする。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理 由
第1.手続の経緯
・平成3年12月23日に出願(優先権主張平成3年1月4日)
・平成9年4月11日に特許権の設定登録
・平成20年11月6日に請求人(富士見産業株式会社)よりその請求項1?13に係る発明について特許無効審判請求
・平成21年3月3日に被請求人(ケーディー キャノピー、インク外1名)より答弁書提出及び訂正請求(請求項2の削除、ほか)
・同年4月16日に請求人より弁駁書(1)提出
・同年6月30日に請求人より口頭審理陳述要領書及び上申書が、同日に被請求人より口頭審理陳述要領書及び上申書それぞれ提出
・同日に第1回口頭審理
・平成21年7月14日付けで被請求人より、また、同年月30日付けで請求人より、それぞれ再度、上申書提出
・同年9月7日付けで、特許無効の審決(1次審決、訂正は認容)
(この時点で、本件特許明細書は、平成21年3月3日付けの訂正請求のうち「請求項2を削除する」という訂正が、部分的に確定)
・被請求人が審決取消し訴訟(平成22年(行ヶ)第10011号)提起後、平成22年3月4日付けで訂正審判請求
・同年3月29日付けで審判差し戻し決定
・同年8月30日付けで被請求人が訂正請求(請求項4、5、10、11、12、及び13の削除、ほか)
・同年10月13日付けで請求人より弁駁書(2)提出
・同年10月29日付けで当審より訂正拒絶理由通知
・同年12月22日付けで被請求人が意見書提出及び訂正請求書を補正する旨の手続補正
・平成23年2月10日付けで、特許無効の審決(2次審決、請求項の削除に係る訂正認容、その他の訂正は不認容)
(この時点で、本件特許明細書は、平成22年8月30日付けの訂正請求のうち訂正事項3乃至4及び9乃至12についての訂正、すなわち、「請求項4、5、10、11、12、及び13を削除する」という訂正が、さらに部分的に確定)
・被請求人が審決取消し訴訟(平成23年(行ヶ)第10117号)提起後、平成23年4月12日付けで訂正審判請求
・同年6月23日付けで審判差し戻し決定
・同年7月19日付けで被請求人が訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)
・同年7月25日付けで被請求人が訂正請求書を補正する手続補正
・同年8月30日に請求人より弁駁書(3)提出

第2.本件訂正請求について

1.本件訂正請求
請求人は、本件訂正請求により、特許第2625255号(以下「本件特許」という。)の明細書(以下「本件特許明細書」という。)を、本件訂正請求の訂正請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを求めた。
そのうちの請求項1、3及び6?9について訂正を求めた内容は、以下のとおりである。
なお、本件特許明細書は、請求項2、4?5及び10?13を削除する訂正が、部分的に確定している。

2.訂正内容

(1)請求項1についての訂正
【請求項1】を、
「折畳まれ、そして折畳まれた状態で保管され、そして支持面上に展開された状態で組みたてられるようになった展開可能な骨組構造体であり、前記支持面の上方にキャノピーカバーを支持することができる骨組構造体において、
(a)各々が支持面上に配置可能な下端部と、前記下端部と反対側の上端部とを有する複数個の直立した支持部材を備え、前記支持部材は折畳まれた状態で相互に相並ぶように向けられ、そして展開状態に向かって相互に離れて外方に移動可能であり、各支持部材は断面矩形状であり、さらに、
(b)複数個の端縁シザー組立体を備え、一つの端縁シザー組立体が前記支持部材のうちの隣接した支持部材を相互に連結し、各々の前記端縁シザー組立体が1対の外側上端部および1対の外側下端部を有し、前記端縁シザー組立体は開閉するように作用可能であり、それにより前記骨組構造体は展開状態と収縮状態との間を移動することができ、展開状態において前記端縁シザー組立体の外側側面全体が前記キャノピーカバーに覆われ、各々の前記端縁シザー組立体は上端部及び下端部において相互に連結されたシザーユニットにより構成され、前記シザーユニット間の連結部は構造を補強するための更なる直立した支持部材により前記支持面上に支持されておらず、前記骨組構造体全体が展開状態において4個の直立した支持部材によってのみ支持されており、さらに、
(c)前記の直立した支持部材上に配置されかつ前記端縁シザー組立体を前記支持部材に締め付けるように作用する複数個のマウントを備え、該各マウントは前記支持部材が嵌合される断面矩形状の中空部が形成された収容部を備え、前記マウントの各々は、隔置された平行な側壁部分により形成され、互いに直交する一対のソケットを有し、該一対のソケットの側壁部分はそれぞれ前記収容部の前記中空部を囲う側壁に平行であり、前記端縁シザー組立体の各々はその平行な向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合されるように前記ソケットのうちのそれぞれの1個のソケット内に受け入れられる長方形横断面の外側端部を有し、それにより前記の平行な側壁部分と共に平面状の接触面を形成し、さらに、
(d)前記端縁シザー組立体の各々の外側端部をそれぞれのソケット内に枢動可能に固定する締付ピンを備え、前記平行な側壁部分と接触する前記外側端部表面に突起が存在せず、前記端縁シザー組立体を構成するシザーバーは中空部を備える管状構造であり、
(e)1対の前記マウントが前記の直立した支持部材の各々の上に配置され、前記の1対のマウントの一方が固定マウントであり、そして前記の1対のマウントの他方がスライドマウントであり、前記スライドマウントが前記の直立した支持部材に滑動可能に固定されかつそれぞれの前記端縁シザー組立体が開閉するときに前記支持部材に沿って前記固定マウントに近い位置と前記固定マウントから遠い位置との間に移動可能であり、
(f)前記固定マウントに一対のソケットが直交して形成され、該一対のソケットの各々において平行な側壁部分は、その上端部において水平な壁部で相互に連結され、前記スライドマウントに一対のソケットが直交して形成され、該一対のソケットの各々において平行な側壁部分は、その下端部において水平な壁部で相互に連結され、
(g)前記固定マウントの各々は、それぞれ直交する一対のソケットの中央部に、隔置された平行な側壁部分により形成される中央部のソケットを有し、該中央部のソケットは前記側壁部分を連結する水平な壁部を有さず、
(h)前記マウントは前記骨組構造体が展開し、そして収縮するときに前記端縁シザー組立体を開閉させるように相互に関して相対移動可能であり、一方ソケットの平行な側壁部が平面状の接触面に沿って外側端部に作用して前記端縁シザー組立体の横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止し、
(i)前記の固定マウントの前記収容部が、前記支持部材に沿って前記スライドマウントの方向に向かってすべての前記ソケットを超えて延び出しており、
(j)骨組構造体が展開状態にあるときに前記の直立した支持部材により支持面の上方に支持されるルーフ支持組立体を含み、前記ルーフ支持組立体が前記キャノピーカバーを支持するように作用し、前記ルーフ支持組立体が頂点を形成するためにその近位置端部において相互に枢動可能に連結され、かつ展開状態にあるとき相互に離れて半径方向に外方に延びる複数個のルーフ支持部材を含み、各々のルーフ支持部材がその遠位置端部において前記の直立した支持部材上の前記固定マウントの中央部ソケットに枢動可能に連結されており、
(k)支持部材の前記下端部各々が、前記固定マウント及び前記スライドマウントとは別部材であり、貫通孔を有して前記支持面と係合するプレート状部材を備える骨組構造体。」と訂正する。(以下「訂正事項1」という。)

(2)請求項3についての訂正
【請求項3】を【請求項2】に繰り上げ、引用する請求項を請求項1に訂正する。(以下「訂正事項2」という。)

(3)請求項6についての訂正
【請求項6】を【請求項3】に繰り上げ、引用する請求項を請求項1に訂正する。(以下「訂正事項3」という。)

(4)請求項7についての訂正
【請求項7】を【請求項4】に繰り上げ、引用する請求項を請求項1に訂正する。(以下「訂正事項4」という。)

(5)求項8についての訂正
【請求項8】を【請求項5】に繰り上げ、引用する請求項を請求項1に訂正する。(以下「訂正事項5」という。)

(6)請求項9についての訂正
【請求項9】を【請求項6】に繰り上げ、引用する請求項を請求項5に訂正する。(以下「訂正事項6」という。)

3.本件訂正請求の適否

訂正事項1
上記訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された発明を下位概念化又は構成要件の直列的付加により、その内容を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、上記訂正事項1は、本件特許明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
また、上記訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

訂正事項2?6
訂正事項2?6は、訂正前の請求項の番号を繰り上げるものであって、請求項に付す番号を記載する順序により連続番号とするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。

4.結論
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き、並びに、同条第5項において準用する同法第126条第3項及び第4項の規定に適合するので、訂正を認める。

第3.請求人の主張
請求人は、本件特許の請求項1?6に係る発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由として、本件特許の請求項1?6に係る発明は、本件優先権主張日前に頒布された甲1号証?甲第12号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである等の理由から、本件特許は無効とすべきものであると主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第13号証を提出している。

甲第1号証:実願昭62-157952号(実開平1-61370号)のマイクロフィルム
甲第2号証:特開平1-142183号公報
甲第3号証:米国特許第4641676号公報
甲第4号証:実願昭57-91580(実開昭58-195553号)のマイクロフィルム
甲第5号証:特開昭48-29212号公報
甲第6号証:実公昭17-13415号公報
甲第7号証:特開昭52-46616号公報
甲第8号証:実願昭63-145489(実開平2-66141号)のマイクロフィルム
甲第9号証:実願平1-5510号(実開平2-96933号)のマイクロフィルム
甲第10号証:実公昭38-2860号公報
甲第11号証:実公昭38-1674号公報
甲第12号証:特開昭57-80967号公報
甲第13号証(弁駁書(2)と同時に提出):米国特許第4779635号公報

第4.被請求人の主張
一方、被請求人は、訂正請求をするとともに、本件無効審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、訂正した本件特許の請求項1?6に係る発明は、甲第1号証ないし甲第13号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない等、請求人の主張にはいずれも理由がないと主張し、証拠方法として乙第1号証?乙第4号証を提出している。

乙第1号証:「モールド一覧表」と題する製品リスト、2009年2月2日、白石徳宏作成
乙第2号証:株式会社ロゴスコーポレーションのカタログの写し
乙第3号証(平成22年12月22日付けの意見書と同時に提出):イージーアップ・テント総合カタログVol.8 2010年1月1日。第05、18頁
乙第4号証(本件訂正請求と同時に提出):株式会社ニューテックジャパンの「パーツ交換 価格表」の写し

第5.本件特許発明
本件特許の各請求項に係る発明(以下「本件特許発明1」等という。)は、上記のとおり訂正が認められたため、特許明細書(訂正明細書)の特許請求の範囲の、以下の各請求項に記載された事項により特定される、次のとおりのものと認める。

【請求項1】
折畳まれ、そして折畳まれた状態で保管され、そして支持面上に展開された状態で組みたてられるようになった展開可能な骨組構造体であり、前記支持面の上方にキャノピーカバーを支持することができる骨組構造体において、
(a)各々が支持面上に配置可能な下端部と、前記下端部と反対側の上端部とを有する複数個の直立した支持部材を備え、前記支持部材は折畳まれた状態で相互に相並ぶように向けられ、そして展開状態に向かって相互に離れて外方に移動可能であり、各支持部材は断面矩形状であり、さらに、
(b)複数個の端縁シザー組立体を備え、一つの端縁シザー組立体が前記支持部材のうちの隣接した支持部材を相互に連結し、各々の前記端縁シザー組立体が1対の外側上端部および1対の外側下端部を有し、前記端縁シザー組立体は開閉するように作用可能であり、それにより前記骨組構造体は展開状態と収縮状態との間を移動することができ、展開状態において前記端縁シザー組立体の外側側面全体が前記キャノピーカバーに覆われ、各々の前記端縁シザー組立体は上端部及び下端部において相互に連結されたシザーユニットにより構成され、前記シザーユニット間の連結部は構造を補強するための更なる直立した支持部材により前記支持面上に支持されておらず、前記骨組構造体全体が展開状態において4個の直立した支持部材によってのみ支持されており、さらに、
(c)前記の直立した支持部材上に配置されかつ前記端縁シザー組立体を前記支持部材に締め付けるように作用する複数個のマウントを備え、該各マウントは前記支持部材が嵌合される断面矩形状の中空部が形成された収容部を備え、前記マウントの各々は、隔置された平行な側壁部分により形成され、互いに直交する一対のソケットを有し、該一対のソケットの側壁部分はそれぞれ前記収容部の前記中空部を囲う側壁に平行であり、前記端縁シザー組立体の各々はその平行な向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合されるように前記ソケットのうちのそれぞれの1個のソケット内に受け入れられる長方形横断面の外側端部を有し、それにより前記の平行な側壁部分と共に平面状の接触面を形成し、さらに、
(d)前記端縁シザー組立体の各々の外側端部をそれぞれのソケット内に枢動可能に固定する締付ピンを備え、前記平行な側壁部分と接触する前記外側端部表面に突起が存在せず、前記端縁シザー組立体を構成するシザーバーは中空部を備える管状構造であり、
(e)1対の前記マウントが前記の直立した支持部材の各々の上に配置され、前記の1対のマウントの一方が固定マウントであり、そして前記の1対のマウントの他方がスライドマウントであり、前記スライドマウントが前記の直立した支持部材に滑動可能に固定されかつそれぞれの前記端縁シザー組立体が開閉するときに前記支持部材に沿って前記固定マウントに近い位置と前記固定マウントから遠い位置との間に移動可能であり、
(f)前記固定マウントに一対のソケットが直交して形成され、該一対のソケットの各々において平行な側壁部分は、その上端部において水平な壁部で相互に連結され、前記スライドマウントに一対のソケットが直交して形成され、該一対のソケットの各々において平行な側壁部分は、その下端部において水平な壁部で相互に連結され、
(g)前記固定マウントの各々は、それぞれ直交する一対のソケットの中央部に、隔置された平行な側壁部分により形成される中央部のソケットを有し、該中央部のソケットは前記側壁部分を連結する水平な壁部を有さず、
(h)前記マウントは前記骨組構造体が展開し、そして収縮するときに前記端縁シザー組立体を開閉させるように相互に関して相対移動可能であり、一方ソケットの平行な側壁部が平面状の接触面に沿って外側端部に作用して前記端縁シザー組立体の横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止し、
(i)前記の固定マウントの前記収容部が、前記支持部材に沿って前記スライドマウントの方向に向かってすべての前記ソケットを超えて延び出しており、
(j)骨組構造体が展開状態にあるときに前記の直立した支持部材により支持面の上方に支持されるルーフ支持組立体を含み、前記ルーフ支持組立体が前記キャノピーカバーを支持するように作用し、前記ルーフ支持組立体が頂点を形成するためにその近位置端部において相互に枢動可能に連結され、かつ展開状態にあるとき相互に離れて半径方向に外方に延びる複数個のルーフ支持部材を含み、各々のルーフ支持部材がその遠位置端部において前記の直立した支持部材上の前記固定マウントの中央部ソケットに枢動可能に連結されており、
(k)支持部材の前記下端部各々が、前記固定マウント及び前記スライドマウントとは別部材であり、貫通孔を有して前記支持面と係合するプレート状部材を備える骨組構造体。

【請求項2】
請求の範囲第1項に記載の展開可能な骨組構造体において、それぞれの前記スライドマウントをそのそれぞれの前記固定マウントに近い位置において釈放可能に締め付けるために前記の直立した支持部材と組み合わされたラッチ装置を含む骨組構造体。

【請求項3】
請求の範囲第1項に記載の展開可能な骨組構造体において、各々の前記ルーフ支持部材が前記骨組構造体が折畳まれた状態にあるときの引っ込められた状態と前記骨組構造体が展開された状態にあるときの伸張した状態との間に移動可能な1対の伸張可能な部分を含み、そして前記の伸張可能な部分を伸張した状態に釈放可能に保持するルーフ支持部材ラッチ装置を含む骨組構造体。

【請求項4】
請求の範囲第1項に記載の展開可能な骨組構造体において、1対の前記マウントが前記の直立した支持部材の各々の上に配置され、前記の1対のマウントの一方が固定マウントであり、そして前記の1対のマウントの他方がスライドマウントであり、前記スライドマウントが前記の直立した支持部材に滑動可能に固定されかつそれぞれの前記端縁シザー組立体が開閉するときに前記支持部材に沿って前記固定マウントに近い位置と前記固定マウントから遠い位置との間に移動可能であり、そして前記ルーフ支持部材の各々がそれぞれの固定マウントに枢動可能に連結され、そして第1片持端部において前記伸張可能な部分の一方と枢動可能に連結されかつ前記第1片持端部と反対側の第2片持端部においてそれぞれの前記の隅の支持部材上のスライドマウントと枢動可能に連結された片持部分を含む骨組構造体。

【請求項5】
請求の範囲第1項に記載の展開可能な骨組構造体において、前記端縁シザー組立体の各々が端と端とをつなぐ関係で内側の上端部および下端部において連結された1対のシザーユニットを含み、前記端縁シザー組立体の各々がそれぞれのシザーユニットの内側の上端部および下端部を枢動可能に連結するためにそれぞれ作用する上側浮動マウントおよび下側浮動マウントを含み、前記上側浮動マウントおよび下側浮動マウントの各々が隔置された平行な側壁部分によりそれらの内部に形成された複数個のソケットを有し、前記シザーユニットの内側端部の各々がその向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合するように前記ソケットのうちのそれぞれのソケット内に受け入れられた長方形横断面を有し、かつソケットの平行な側壁部分が前記シザーユニットの横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止する間に前記シザーユニットの各々の内側端部をそれぞれのソケット内に枢動可能に固定する締付ピンを含む骨組構造体。

【請求項6】
請求の範囲第5項に記載の展開可能な骨組構造体において、骨組構造体が展開状態にあるときに前記の直立した支持部材により支持面の上方に支持されるルーフ支持組立体を含み、前記ルーフ支持組立体が前記キャノピーカバーを支持する作用をする骨組構造体。

第6.甲各号証の記載事項
1.甲第1号証:実願昭62-157952号(実開平1-61370号)のマイクロフィルム
甲第1号証には、「伸縮瞬間わく組立家屋結構」に関する発明が記載されており、図面とともに以下の記載がある。
(1-1)明細書第5頁第12行?第6頁第3行
「サイドバーの巧妙な設計により交互に交叉式または取揃支え式を組合わせ、必要により入口のところを揃えて上昇し、その上昇面をして単面から四面全部に及び、製造時に先ず人々の出入り及び本考案の適用対象をプラスするように設定することができる、それには次のような優点がある:
1.一体成型で、運搬携帯に便利。
2.わく組立と折畳み操作が簡易で省時省力。
・・・
5.風に吹き倒されるおそれがない。」
(1-2)明細書第6頁第10行?第7頁第10行
「第4図で示すように、本考案は数本の主支柱(1)、サイドバー(5)、下活動支えバー軸体(3)、上固定支えバー軸体(4)、屋根支えバー(7)、槽鉄関節(6)、屋根フレーム押上バー(9)及び屋根受梁軸(8)により組成される、主支柱(1)は角型または円型柱体で、上端に一つの上止め孔(12)を設けて活動挿ピン(13)を主体(1)の上止め孔に挿入するのに提供し、並びにそれにより下活動支えバー軸体(3)を滑り下りないように固定する(第16図参照)、その主支柱(1)の下端に数ヶの下止め孔(11)を設け、その主支柱(1)の空心のところに一本の伸縮支柱(2)を設けている、上方も同じように数ヶの止め孔(22)を設け、その止め孔の作用は伸縮支柱(2)が主支柱(1)内から適当な長さに伸出した時に活動挿ピンを挿入して主支体(1)上の下止め孔(11)に固定し、全体の高度を上昇し並びに固定する、その伸縮支柱(2)下端は一つの底台片(21)を溶接固定して全体の安定を強化している(第11、12図参照);」
(1-3)明細書第7頁第11行?第8頁第7行
「主支柱(1)上にはめている下活動支えバー軸体(3)は一本の角型または円型の空心柱(第15、16図)で兩端は開き口であり、下端には二つの下サイドバー固定軸片(32)を設け、その兩軸はサイドバー(5)の一端と互いに結合し、別途にその兩軸片(32)夾角の中央上方に一つの屋根押上バー固定軸片(31)を設けている、その軸片と屋根押上バーの一端を結合し、その下活動支えバー軸体(3)の中間の空心部分を主支柱(1)上にはめて、サイドバー(5)の伸張及び収縮が上下滑動をなすように配慮し、本体が最大まで伸張した時に活動挿ピン(13)を支柱上の止め孔(12)まで挿入して、而して下活動支えバー軸体(3)をくい止め固定し、並びに下活動支えバー軸体(3)が滑り下ち、全体が変形または収縮(第17図参照)するのを防止している;」
(1-4)明細書第8頁第8?16行
「上固定支えバー軸体(4)は一角型または円型空心柱(第14図参照)で、上方に二つの上サイドバー固定軸片(42)を設け、その兩軸片とサイドバー(5)の一端を結合している、その兩軸片(42)の夾角中央の下方に一つの屋根支えバー固定軸片(41)を設け、その軸片と屋根支えバー(76)の一端を互いに結合し、その上固定支えバー軸体(4)を主柱(1)上端に固定している;」
(1-5)明細書第8頁第17行?第9頁第8行
「サイドバー(5)は交叉式または取揃式で混合使用し(第4、5、6図参照)、その巧みな設計はその需要によりそれを揃って上昇し、こうすることにより人々の出入りを尚更便利にしている、交叉式は(5a)(5b)で組合せ、取揃式は(5c)(5d)を一つの槽鉄(6)を利用して一水平状になように連接し、一本の押上バー(51)を加えて組成している、兩端はそれぞれ上固定支えバー軸体(4)の上サイドバー固定軸片(42)及び下活動支えバー軸体(3)の下サイドバー固定軸片(32)上に固定している;」
(1-6)明細書第9頁第9?18行
「屋根部分は屋根支えバー(7a)(7b)及び屋根フレーム押上バー(9)で組成し、屋根支えバー(7a)(7b)は一つの槽鉄(6)で連結して、前後端をそれぞれ中心の屋根梁受軸(8)の屋根フレーム固定軸片(81)に固定している、他端は上固定支えバー軸体(4)の屋根支えバー固定軸片(41)上に固定され、その屋根梁受軸(8)の中心は円型またはその他の形状で、その周囲に数個の屋根支軸固定軸片(81)を設け(第18図参照)ている;」
(1-7)明細書第9頁第19行?第10頁第7行
「屋根フレーム押上バー(9)の兩端はそれぞれ下活動支えバー軸体(3)の屋根押上バー固定軸片(31)及び屋根支えバー(76)の中間の適当な位置(91)に固定され、その押上バー(9)の目的は屋根支えバーを支える外に、更に全体の伸張及び収縮にプラスしている、全体を連結したところはボルトまたはリベットにワシヤーを加えて連結し、各連結点は角回転できるようになっている。」
(1-8)明細書第12頁第2行?第13頁第20行
「4.図面の詳細な説明
第1図は本考案実施例にテントをかぶせた立体外観図。
第2図は本考案実施例に屋根だけをはめた立体外観図。
・・・
第4図は本考案実施例のサイドバー全部が交叉式で組合せた展開立体外観図。
・・・
第11図は本考案実施例の下伸縮支柱分解立体外観図。
第12図は本考案実施例の第11図における伸縮支柱活動挿ピンの分解解剖面立体図。
・・・
第14図は本考案実施例の主支柱上方に固定された固定フレーム捻り軸の立体外観図。
第15図は本考案実施例を主支柱上の下活動フレーム捻り軸にはめた立体外観図。」
(1-9)図面に記載された事項
(a)明細書の上記各記載を参酌して第4図を見ると、わく組立家屋構造が、主支柱1とその下部に固定された伸縮支柱2からなる4本の支柱により支持されていることがわかる。同じく、2つの交叉式サイドバー5a、5bの上端部及び下端部がそれぞれ連結され、連結された2つの交叉式サイドバーが支柱を相互に連結しているが、2つの交叉式サイドバーの連結部分は支柱には支持されていないことがわかる。
(b)同様に第2図及び第4図を見ると、テントをかぶせた状態で、連結された2つの交叉式サイドバー全体がテントに覆われていることがわかる。
(c)同様に第11、12図を見ると、伸縮支柱2の下端に設けられた底台片21が貫通孔を有するプレート状の部材であることがわかる。また、底台片21が、上固定支えバー軸体4及び下活動支えバー軸体3と別部材であることは明らかである。
(d)同様に第14図を見ると、互いに直角な2つの上サイドバー固定軸片42が長方形の横断面を有し、それぞれが、角型空心柱状の上固定支えバー軸体4の側壁に平行に突出した突出片であり、該上サイドバー固定軸片42とボルトまたはリベットで固定される交叉式サイドバーの端部が隔置された平行な側壁部分を有し、上サイドバー固定軸片42が該隔置された平行な側壁部分に挿入されることにより両部材が面接触していることがわかる。同じく、屋根支えバーの端部が隔置された平行な側壁部分を有するとともに該側壁部分を連結する水平な壁部を有さず、屋根支えバー固定軸片41が該隔置された平行な側壁部分に挿入されることにより両部材が面接触していることがわかる。
(e)同様に第15図を見ると、互いに直角な2つの下サイドバー固定軸片32が長方形の横断面を有し、それぞれが、角型空心柱状の下活動支えバー軸体3の側壁に平行に突出した突出片であり、該下サイドバー固定軸片32とボルトまたはリベットで固定される交叉式サイドバーの端部が隔置された平行な側壁部分を有し、下サイドバー固定軸片32が該隔置された平行な側壁部分に挿入されることにより両部材が面接触していることがわかる。

2.甲第2号証:特開平1-142183号公報
甲第2号証には、「天蓋構造物」に関する発明が記載されており、図面とともに以下の記載がある。
(2-1)第6頁右上欄第15行?左下欄第13行
「コーナー支持部材22及び対応する屋根支持部材40から構成される各セツトは、全く同一のものとして組立てられる。従つて、説明目的のため、単に一つのそのような組立体に関する説明が第3図を参照して詳細に為される。第3図において、コーナー支持部材22の上端32は、プラスチツクから成る端キヤツプ33によつて閉鎖されて図示される。U形ブラケツト36がコーナー支持部材22にその上端32において取付けられ、そして第1のL形ブラケツト38が前記U形ブラケツト36に隣接してコーナー支持部材22に結合されている。すべりブラケツト34が摺動自在にコーナー支持部材22に嵌装されており、そして第2のU形ブラケツト37及び第2のL形ブラケツト39がともにすべりブラケツト34に結合されている。既に述べたように、シザースユニツト62の交差片64,66はそれぞれピン65,67によつてL形ブラケツト38,39に枢動自在に結合されている。」
(2-2)第6頁左下欄第14行?右下欄第6行
「屋根支持部材40は1対の伸縮部材から構成されており、該伸縮部材は好ましくは内伸縮部材42と、内伸縮部材42を伸縮可能に受容する該伸縮部材44との形式にされている。屋根支持部材40は頂点部分50へ向かつて半径方向内方へ突出し、それにより、屋根支持部材40の内端即ち第1端は後に説明されるように頂点部分50に枢動自在に結合され得る。屋根支持部材40の外端即ち第2端は前記外伸縮部材44内に嵌合されてそれに固定される下ドグレグ腕46によつて形成される。下ドグレグ腕46の他端はピン47によつてU形ブラケツト36に枢動自在に結合されている。」
(2-3)第6頁右下欄第7行?第7頁左上欄第10行
「下ドグレグ腕46とは反対位置のその端において該伸縮部材44は下方へ突出するU形ブラケツト48を有する。カンチレバー部材70が一端においてピン49によつてU形ブラケツト48に枢動自在に結合され、そして他端においてピン41によつてU形ブラケツト37に枢動自在に結合されている。従つて、屋根支持部材40はピン47を中心としてコーナー支持部材22に対して下方へ枢動することが理解さるべきである。かくのごとき枢動が生じたときは、すべりブラケツト47は下方へ運動し、従つて、カンチレバー部材70は、屋根支持部材40がコーナー支持部材22の側腹に沿う至近離間平行関係に定向されるように枢動する。下ドグレグ腕46はU形ブラケツト37の幅及びカンチレバー部材70の幅を屋根支持部材40とコーナー支持部材22との間に収容するための片寄りを確立するために設置されることが理解されるであろう。内及び外伸縮部材42,44を第3図に図示されるごとき伸張位置に確保するため、ボタンラツチ・嵌合穴装置45の形式にされたラツチ手段が設けられる。ボタンラツチが内及び外伸縮部材の一方に配置され、そして嵌合穴が他方の伸縮部材に配置されることは、当業者に既知である標準装置の場合と同じである。」

3.甲第4号証:実願昭57-91580号(実開昭58-195553号)のマイクロフィルム
甲第4号証には、「折畳み式ベンチ」に関する発明が記載されており、図面とともに以下の記載がある。
(3-1)明細書第2頁第3?8行
「本考案は数人で腰掛けせられるベンチを横方向にワンタツチで開展折畳みせられると共に体積も最小限に縮小せられて携行収蔵に至便であり然も部材の種類が少なく且組立て作製も容易にして安価堅牢なこの種折畳み式ベンチを提供するものである。」
(3-2)明細書第3頁第4行?第4頁第8行
「即ち実施例の図面に示したように2本の同径等長の金属製脚管1,2の各中央部を開閉自在に枢着Pしたクロス脚Xの多数本を設け、且これらクロス脚を順次横平行に配すると共に各クロス脚Xの前後端間毎にそれぞれクロス脚Xを介設してその交錯状に集交した各脚管1,2の上下端口に、中央部に円形の挿孔Rを穿ち且該挿孔の片面外周に平面巴状に各軸受けWを立設した一体のナイロン又は合成樹脂製軸受け盤3における対角的に該当する各軸受けWに介装軸支tされたナイロン又は合成樹脂製の各軸継ぎ手4の基部4′を嵌着し然して後列側の上下各軸受け盤3の挿孔Rに各長尺な背もたれ管5を串通してその各下端を各下部軸受け盤3の挿孔Rに固着し又前列左右側端の上下各軸受け盤3の挿孔Rには、縮小極限においてクロス脚Xの所要開き角度一杯即ち腰掛け高さ相応の高さとなる各伸縮管6の内管a上端と外管b下端をそれぞれ固着してベンチの骨格を構成し、然して各クロス脚X上端の軸受け盤3の上面に細幅長尺の座布7の長手両端を順次止め金Tにて着脱自在に取着けすると共に各背もたれ管5の上端には細幅長尺の背もたれ布8に等間隔に縫着した皮製等の強靱な各袋筒部8′を抜き差し自在に嵌着して成るものである。」
(3-3)明細書第5頁第2行?第10行
「従つて本案は携行収蔵に至便なことは勿論であるが更に本案においては前列両側端の各上下軸受け盤3間にはクロス脚Xの所要開き角度と高さを縮小限度とする各伸縮脚6を介設したので座布7面を腰掛けに快適な程よい凹曲面に保持せしめるのと緊張による該座布の寿命を短かゝらしめることがない利点とベンチ両側を安定的に支持し傾倒破損を防止する効果を具有するものである。」
(3-4)第4図(B)には軸受け盤3の拡大図側面図が示されており、軸受け盤3の軸受けWは平行な向き合った側壁部分を有し、その下端部が相互に連結されていることが見て取れる。

4.甲第5号証:特開昭48-29212号公報
甲第5号証には、「折畳み仮設建物」に関する発明が記載されており、図面とともに以下の記載がある。
(4-1)第2頁左上欄第3行?右上欄第9行
「先づ第1図立面図 第2図側面図に示したように 第1図及び 第2図の各2は通常建物の場合の土台に類するものである 第1図及び 第2図の3は 桁 4は 合掌及び 角合掌 5は 棟木に相当する これを図のように幾何学的構造にして 折畳みを可能にし 又柱を上下に伸縮出来るよう 柱に軽金属 鉄 又は合成樹脂のパイプ等を利用して 三重構造とした 第3図の 6は外柱として 7の中柱を外柱内部に差し込み 土台及び 桁 合掌等を 9の取付プレートに 10の取付ボルトにて接続し 8の芯柱を 7の中柱内部を通して 建物上下(土台部分 小屋部分 桁部分) を組合せる 又8の芯柱は 6の外柱最上部及び 最下部の各内部に固定金具を設け 芯柱が外柱最上部以上 又は最下部以下に抜け出さないようにする これにて建物上下の最低の間隔を保ち なほ開閉時には 土台 桁 合掌等が横に連繋的に作動する為 7の中柱のみが 反動伸縮性により上下運動をおこす これにより芯柱は 土台部分と小屋部分の連繋を保ち折畳時の高さを維持出来る 第4図は 合掌及び 角合掌 棟木取付プレート 第5図は 小屋伸縮及び 上下作動部分 第4図の取付プレートを 正方形建物の場合は上下に各1箇づゝ計2箇を使用 長方形建物の場合には上下に各2箇づゝ計4箇を使用し これに合掌及び 角合掌 棟木等を接続し小屋構造とする」
(4-2)第2頁左下欄第1?4行
「なほ 第7図に示した開き止め装置を小屋中央部に取り付け 小屋部分の下降を止めると同時に小屋全体の強度をこれにてさゝえる」
(4-3)第3図に示された取付プレート9は断面コ字状の部材で、その平行な向き合った側壁部分間に角パイプが配置され、取付ボルト10がそれらを貫通して接続されているのがわかる。第4図に示された取付プレートも同様の構造を有し、第7図にも同様の構造が見て取れる。

5.甲第7号証:特開昭52-46616号公報
甲第7号証には、「アンブレラ テント」に関する発明が記載されており、図面とともに以下の記載がある。
(5-1)第4頁左上欄第14?17行
「図示の実施態様においては、テント骨組は相互に90゜離間した4個のリブ22を含む。 したがつて、フランジ10は90゜間隔で配置された4対の横に延在するラグ14を備えている。」
(5-2)第4頁右上欄第2?14行
「各リブ22の端部の中間にはピボツト ブラケツト26が固着されている。 第11図にもつともよく示されているように、このブラケツトは断面がほぼC字形である。 ブラケツトの閉端はリブの中間部分を受入れるために縦グループを備えている。 リブは前述したねじと同様にねじのような手段でブラケツトに固着されている。 ブラケツトの離間した端部はそれらの間にカプリング部品の外部部分28を自由に受入れている。ブラケツトの離間した端部とカプリング部品にある整合開口はピボツト ピン30を受入れ、それによりカプリング部品はブラケツトに回動可能に固着されている。」

6.甲第8号証:実願昭63-145489号(実開平2-66141号)のマイクロフィルム
引用例6には、「折り畳み式腰掛け」に関する発明が記載されており、図面とともに以下の記載がある。
(6-1)明細書第10頁第15行?第11頁第16行
「脚部13は、上記筒体11の下部でこの筒体11の内部に上下方向に摺動可能に嵌挿された脚部保持体31と、この脚部保持体31に対して半径方向外側に互いに開脚可能に例えば図示のようにピンにより枢支された三本の脚32,33,34と、・・・を含んでいる。」
(6-2)明細書第15頁第8?13行
「第5図は本考案による他の実施例を示しており、この折り畳み式腰掛け40は,第1図の実施例と同様に・・・構成されている。」
(6-3)明細書第17頁第11?17行
「脚部43は、筒体41の下部で筒体41の内部に上下方向に摺動可能に嵌挿され・・・た脚部保持体47と、この脚部保持体47に対して半径方向外側に互いに開脚可能に例えば図示のようにピンにより枢支された三本の脚32,33,34とを含んでいる。」
(6-4)第1図には一実施例を示す概略斜視図が示され、脚32,33が、平行な向き合った側壁部分を有する部材の間にピンにより枢支されているのが見て取れる。
(6-5)第5図、第7図及び第8図にはそれぞれ、他の実施例を示す概略斜視図、一部破断拡大斜視図及び折り畳んだ状態を示す概略斜視図が示され、脚32,33が、平行な向き合った側壁部分を有しその上端部において水平な壁部分で相互に連結された部材、の間にピンにより枢支されているのが見て取れる。

7.甲第9号証:実願平1-5510号(実開平2-96933号)のマイクロフィルム
甲第9号証には、「折畳み椅子」に関する発明が記載されており、図面とともに以下の記載がある。
(7-1)明細書第2頁第2?17行
「[従来の技術]
従来から携帯用の折畳み椅子には、木材や金属パイプ等で作られた枠材に腰掛け布材を張設した種々の形式のものが知られている。
[考案が解決しようとする課題]
しかしながら、これらの折畳み椅子は一般に折畳んでもあまり小さくならないために、鞄やケース等に収納し難いという欠点がある。
また、組み立てた状態では機械的強度及び安定度が弱く,体重の重い人が不用意に腰掛けた場合には、損壊し易いという欠点もある。
本考案の目的は、組立てた状態では機械的強度及び安定度が良く、また折畳んだ状態では鞄やケース等に容易に収納し易いように,小型に束ねることができる折畳み椅子を提供することにある。」
(7-2)明細書第5頁第5?16行
「第3図は上述の実施例に用いられているかなめ金具8a、8b、第4図は鈎型金具4aを示している。第3図に示すように、かなめ金具8a、8bは左右対称の2つの金具M1とM2を組合わせて構成され、この2つの金具M1とM2は孔P1を通る枢軸7a、7b及び孔P2、P3を通る取付用ピン11によって相互に組合わされている。また、鈎型金具4a及び4bも第4図に示すように、左右対称の2つの金具N1とN2を組合わせて構成され、これらの2つの金具N1とN2は孔S1を通る軸12及び孔S2を通る取付用ピン11によって相互に結合されている。」

第7.無効理由についての判断

1.引用発明の認定(甲第1号証に記載された発明)
上記記載事項(1-1)?(1-9)及び各図面の記載からみて、甲第1号証には、
「わく組立と折畳み操作が簡易な伸縮瞬間わく組立家屋結構であり、地面の上方にテントを支持することができる伸縮瞬間わく組立家屋結構において、
(a)各々が地面上に配置可能な底台片と、前記底台片と反対側の上端部とを有する複数個の直立した角型柱体の、主支柱とその下部に固定された伸縮支柱からなる4本の支柱を備え、前記支柱は折畳まれた状態で相互に相並ぶように向けられ、そして展開状態に向かって相互に離れて外方に移動可能であり、さらに、
(b)2つの交叉式サイドバーの上端部と下端部を相互に連結した、「連結された2つの交叉式サイドバー」を複数個備え、連結された2つの交叉式サイドバーが支柱を相互に連結しているが、2つの交叉式サイドバーの連結部分は支柱には支持されておらず、テントをかぶせた状態で、連結された2つの交叉式サイドバー全体がテントに覆われ、各々の前記連結された2つの交叉式サイドバーが1対の支柱に締め付けられる上側の端部および1対の支柱に締め付けられる下側の端部を有し、前記交叉式サイドバーは開閉するように作用可能であり、それにより前記伸縮瞬間わく組立家屋結構は展開状態と収縮状態との間を移動することができ、さらに、
(c)前記の直立した支柱上に配置されかつ前記連結された2つの交叉式サイドバーを前記支柱に締め付けるように作用する複数個の角型空心柱状の支えバー軸体を備え、該空心部分に支柱をはめ、支えバー軸体の各々は、互いに直交しそれぞれが前記角型空心柱の側壁に平行なサイドバー固定軸片を有し、前記サイドバーの端部の各々は隔置された平行な側壁部分を有し、該平行な側壁部分間に長方形横断面を有するサイドバー固定軸片が挿入されることにより、該平行な側壁部分とサイドバー固定軸片が接触面を形成し、さらに、
(d)前記連結された2つの交叉式サイドバーの各々の前記端部をそれぞれの支えバー軸体のサイドバー固定軸片に枢動可能に固定するボルトまたはリベットを備え、サイドバー固定軸片表面には突起が存在せず、
(e)1対の前記支えバー軸体が前記の直立した支柱の各々の上に配置され、前記の1対の支えバー軸体の一方が上固定支えバー軸体であり、そして前記の1対の支えバー軸体の他方が下活動支えバー軸体であり、前記下活動支えバー軸体が前記の直立した支柱に滑動可能に固定されかつそれぞれの前記連結された2つの交叉式サイドバーが開閉するときに前記支柱に沿って前記上固定支えバー軸体に近い位置と前記上固定支えバー軸体から遠い位置との間に移動可能であり、
(f)前記上固定支えバー軸体に一対の上サイドバー固定軸片が直交して形成され、前記下活動支えバー軸体に一対の下サイドバー固定軸片が直交して形成され
(g)前記上固定支えバー軸体の各々は、それぞれ直交する一対の上サイドバー固定軸片の中央部に、屋根押上バー固定軸片を有し、
(h)前記支えバー軸体は前記伸縮瞬間わく組立家屋結構が展開し、そして収縮するときに前記連結された2つの交叉式サイドバーを開閉させるように相互に関して相対移動可能であり、
(j)テントの屋根部分を支える4本の屋根支えバー及び屋根フレーム押上バーが支柱上に支持され、屋根フレーム押上バーの両端はそれぞれ下活動支えバー軸体の屋根押上バー固定軸片及び屋根支えバーの中間の適当な位置に固定され、屋根支えバーの両端部は隔置された平行な側壁部分を有し、その前端部をそれぞれ中心の屋根梁受軸の屋根フレーム固定軸片に枢動固定され、他端部は上固定支えバー軸体に設けた屋根支えバー固定軸片が該隔置された平行な側壁部分に挿入されることにより両部材が面接触し枢動固定されており、
(k)支柱の伸縮支柱下端に設けられた地面と接する底台片は、上固定支えバー軸体及び下活動支えバー軸体とは別部材であり、貫通孔を有するプレート状の部材である伸縮瞬間わく組立家屋結構であって、
(l)活動挿ピンを支柱上の止め孔まで挿入して下活動支えバー軸体をくい止め固定し、全体が変形または収縮するのを防止する活動挿ピン及び止め孔を備えた伸縮瞬間わく組立家屋結構。」が記載されているものと認められる(以下「引用発明」という)。

2.本件特許発明1について

(1)対比
本件特許発明1と引用発明を対比する。
引用発明の「伸縮瞬間わく組立家屋結構」は、本件特許発明1の「骨組構造体」に相当する。
以下同様に、「地面」は「支持面」に、
「テント」は「キャノピーカバー」に、
「底台片」は「下端部」に、
「角型柱体の・・・の支柱」は「断面矩形状」の「支持部材」に、
「交叉式サイドバー」は「シザーユニット」に、
「連結された2つの交叉式サイドバー」は「端縁シザー組立体」に、
連結された2つの交叉式サイドバーの「主支柱に締め付けられる上側の端部」及び「主支柱に締め付けられる下側の端部」は端縁シザー組立体の「外側上端部」及び「外側下端部」に、
「支えバー軸体」は「マウント」に、
「角型空心柱状の支えバー軸体」の「空心部分」は「マウント」の「断面矩形状の中空部が形成された収容部」に、
「ボルトまたはリベット」は「締結ピン」に、
「上固定支えバー軸体」及び「下活動支えバー軸体」は「固定マウント」及び「スライドマウント」に、
「屋根支えバー及び屋根フレーム押上バー」及び「屋根支えバー」は「ルーフ支持組立体」及び「ルーフ支持部材」に、それぞれ相当する。
引用発明の、サイドバーの端部の隔置された平行な側壁部分にはサイドバー固定軸片が挿入されることから、当該部分はソケットを構成し、サイドバー固定軸片がサイドバーの端部の隔置された平行な側壁部分の間に締り嵌め係合しているといえる。
同様に、引用発明の屋根支えバーの両端部の隔置された平行な側壁部分もソケットを構成している。このソケットが側壁部分を連結する水平な壁部を有しないことは明らかである。
また、引用発明の「バー固定軸片」、「フレーム固定軸片」及び「屋根押上バー固定軸片」と本件特許発明1の「ソケット」とは、ともに、「枢軸部材」である点で共通する。
さらに、引用発明の「屋根支えバー・・・の前端をそれぞれ中心の屋根梁受軸の屋根フレーム固定軸片に枢動固定され」及び「他端は屋根支えバー固定軸片が該隔置された平行な側壁部分に挿入されることにより両部材が面接触し枢動固定されており」はそれぞれ、本件特許発明1の「その近位置端部において相互に枢動可能に連結され・・・る複数個のルーフ支持部材」及び「ルーフ支持部材がその遠位置端部において前記の直立した支持部材上の前記固定マウントの中央部の枢軸部材に枢動可能に連結されており」に対応する。
そして、引用発明の「伸縮瞬間わく組立家屋結構」が「折畳まれ、そして折畳まれた状態で保管され、そして支持面上に展開された状態で組みたてられるようになった展開可能な骨組構造体」であることは明らかである。

したがって、本件特許発明1と引用発明は、
「折畳まれ、そして折畳まれた状態で保管され、そして支持面上に展開された状態で組みたてられるようになった展開可能な骨組構造体であり、前記支持面の上方にキャノピーカバーを支持することができる骨組構造体において、
(a)各々が支持面上に配置可能な下端部と、前記下端部と反対側の上端部とを有する複数個の直立した支持部材を備え、前記支持部材は折畳まれた状態で相互に相並ぶように向けられ、そして展開状態に向かって相互に離れて外方に移動可能であり、各支持部材は断面矩形状であり、さらに、
(b)複数個の端縁シザー組立体を備え、一つの端縁シザー組立体が前記支持部材のうちの隣接した支持部材を相互に連結し、各々の前記端縁シザー組立体が1対の外側上端部および1対の外側下端部を有し、前記端縁シザー組立体は開閉するように作用可能であり、それにより前記骨組構造体は展開状態と収縮状態との間を移動することができ、展開状態において前記端縁シザー組立体の外側側面全体が前記キャノピーカバーに覆われ、各々の前記端縁シザー組立体は上端部及び下端部において相互に連結されたシザーユニットにより構成され、前記シザーユニット間の連結部は構造を補強するための更なる直立した支持部材により前記支持面上に支持されておらず、前記骨組構造体全体が展開状態において4個の直立した支持部材によってのみ支持されており、さらに、
(c)前記の直立した支持部材上に配置されかつ前記端縁シザー組立体を前記支持部材に締め付けるように作用する複数個のマウントを備え、該各マウントは前記支持部材が嵌合される断面矩形状の中空部が形成された収容部を備え、互いに直交する一対の枢軸部材を有し、該一対の枢軸部材はそれぞれ前記収容部の前記中空部を囲う側壁に平行であり、前記端縁シザー組立体の各々と枢軸部材は締り嵌め係合されるように、マウントまたは端縁シザー組立体の端部の一方が隔置された平行な側壁部分を有するソケットにより形成され、他方が該ソケット内に受け入れられる長方形横断面の端部を有し、それにより前記の平行な側壁部分と共に平面状の接触面を形成し、さらに、
(d)前記端縁シザー組立体の各々の外側端部と枢軸部材とを枢動可能に固定する締付ピンを備え、前記平行な側壁部分と接触する前記端部表面に突起が存在せず、
(e)1対の前記マウントが前記の直立した支持部材の各々の上に配置され、前記の1対のマウントの一方が固定マウントであり、そして前記の1対のマウントの他方がスライドマウントであり、前記スライドマウントが前記の直立した支持部材に滑動可能に固定されかつそれぞれの前記端縁シザー組立体が開閉するときに前記支持部材に沿って前記固定マウントに近い位置と前記固定マウントから遠い位置との間に移動可能であり、
(f)前記固定マウントに一対の枢軸部材が直交して形成され、前記スライドマウントに一対の枢軸部材が直交して形成され、
(g)前記固定マウントの各々は、それぞれ直交する一対の枢軸部材の中央部に、中央部の枢軸部材を有し、
(h)前記マウントは前記骨組構造体が展開し、そして収縮するときに前記端縁シザー組立体を開閉させるように相互に関して相対移動可能であり、
(j)骨組構造体が展開状態にあるときに前記の直立した支持部材により支持面の上方に支持されるルーフ支持組立体を含み、前記ルーフ支持組立体が前記キャノピーカバーを支持するように作用し、前記ルーフ支持組立体が頂点を形成するためにその近位置端部において相互に枢動可能に連結され、かつ展開状態にあるとき相互に離れて半径方向に外方に延びる複数個のルーフ支持部材を含み、各々のルーフ支持部材がその遠位置端部において前記の直立した支持部材上の前記固定マウントの中央部の枢軸部材に枢動可能に連結されており、
(k)支持部材の前記下端部各々が、前記固定マウント及び前記スライドマウントとは別部材であり、貫通孔を有して前記支持面と係合するプレート状部材を備える骨組構造体。」
の点で一致し、以下の各点で相違する。

[相違点1]
本件特許発明1では、マウントがソケットを有し、ソケットの平行な側壁部分は上端部又は下端部において水平な壁部分で相互に連結されており、中空部を備える管状構造のシザーバーから構成される端縁シザー組立体の外側端部が該ソケット内に受け入れられて、平行な側壁部分が平面状の接触面に沿って外側端部に作用して前記端縁シザー組立体の横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止するのに対して、引用発明では、端縁シザー組立体の外側端部がソケットを有し、マウントもシザー組立体も中空部を備える管状構造の部材ではなく、マウントが該ソケット内に受け入れられて、平行な側壁部分が平面状の接触面を形成するものの、その平行な側壁部分は上端部又は下端部において水平な壁部分で相互に連結されておらず、たわみを阻止するかどうか不明な点。

[相違点2]
本件特許発明1では、中央の枢軸部材が隔置された平行な側壁部分により形成され前記側壁部分を連結する水平な壁部を有しない中央部ソケットからなり、ルーフ支持部材の遠位置端部が中央部ソケットに枢動可能に連結されているのに対して、引用発明では、中央の枢軸部材が、隔置された平行な側壁部分により形成され前記側壁部分を連結する水平な壁部を有しないソケット有するルーフ支持部材(屋根支えバー)の端部に枢動可能に結合されている点。

[相違点3]
本件特許発明1では、固定マウントの収容部が、支持部材に沿って前記スライドマウントの方向に向かってすべてのソケットを超えて延び出しているのに対して、引用発明は、そのような構成を有しない点。

(2)相違点についての判断
[相違点1]について
(課題の予測性)
本件特許発明1は、テント等の骨組構造において、風などの外力によるたわみ、ねじりを阻止することをその解決すべき課題としている。
一方、従来からテントのように野外で用いる構造物に風などの外力が作用すること、及びそのための対策を取る必要があることは、当業者に広く知られた事実である。(上記摘記事項(1-1)参照。)
また、テントに限らず、展開・収納可能な骨組構造は、その枢軸部や可動部の構造上、風やその他の外力に対して、骨組みの結合部分の強度を確保する必要があることも、当業者が広く認識している事項である。
これは、例えば、上記摘記事項の(3-3)「ベンチ両側を安定的に支持し傾倒破損を防止する効果を具備するものである。」、(7-1)「また、組み立てた状態では機械的強度及び安定度が弱く,体重の重い人が不用意に腰掛けた場合には、損壊しやすいという欠点もある。本考案の目的は、組み立てた状態では機械的強度及び安定度がよく、また折畳んだ状態では鞄やケース等に容易に収納しやすいように,小型に束ねることができる折畳み椅子を提供することである。」の記載や、甲第4号証の(3-4)、甲第5号証の(4-3)、甲第7号証の(5-2)、甲第8号証の(6-4)(6-5)、甲第9号証の(7-2)の各記載に見られるとおり、骨組みの結合部分の構造を補強することがごく普通に行われていることからもわかる。
すなわち、上記各引用例に見られる骨組みの結合部分の枢軸構造は、どれも「隔置された平行な側壁部分により形成されたソケットを有し、その平行な向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合されるようにソケット内に受け入れられる長方形横断面の外側端部を有し、それにより前記の平行な側壁部分と共に平面状の接触面を形成し」ているが、このような構造が、例えば甲第1号証のサイドバー固定軸片(第14図?第16図)に見られるような、側壁部分が1枚の枢軸構造に比べて機械的強度、特にたわみやねじりに対する強度が優れていることは、当業者であれば容易に理解できる事項である。
(構成の周知性)
本件特許発明1は、上記の課題を達成するために「枢軸部材を各々が隔置された平行な側壁部分により形成されたソケットで構成し、そのうちの固定マウントのソケットは平行な側壁部分の上端部において水平な壁部分で相互に連結され、可動マウントのソケットは平行な側壁部分の下端部において水平な壁部で相互に連結され、前記端縁シザー組立体の各々はその平行な向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合されるように前記ソケットのうちのそれぞれの1個のソケット内に受け入れられる長方形横断面の外側端部を有し、それにより前記の平行な側壁部分と共に平面状の接触面を形成している」という構成を採用している。
しかしながら、骨組構造のたわみやねじりに対する強度を向上させるための枢軸構造として「隔置された平行な側壁部分により形成されたソケットを有し、その平行な向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合されるようにソケット内に受け入れられる長方形横断面の外側端部を有し、それにより前記の平行な側壁部分と共に平面状の接触面を形成」し、しかも「ソケットの平行な側壁部分の一端を水平な壁部で相互に連結」することは、上記各甲号証の骨組みに見られるとおり、当業者によく知られた事項である。
(置換の容易性)
互いに対応する形状を有し、組み合わされることにより係合される2つの部材は、お互いに補完する関係にあり、両部材の配置を任意に交換できるのが普通である。
本件特許発明1と引用発明においても、マウントと端縁シザー組立体の外側端部とは、ともにこのような関係にあるから、これらの部材の対応する構成を入れ替えることにより本件特許発明1に係る構成を採用することは、当業者が容易になし得る事項である。
そして、平行な向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合されるようにソケット内に受け入れられる長方形横断面の外側端部を中空部を備える管状構造とすることは、ごく普通に行われている周知技術(甲第5号証の第7図参照)である。
したがって、引用発明に周知技術を適用することにより、上記相違点1に係る事項を採用することは、当業者が容易になし得る事項である。

[相違点2]について
上記「[相違点1]について」で述べたとおり、互いに対応する形状を有し、組み合わされることにより係合される2つの部材は、お互いに補完する関係にあり、両部材の配置を任意に交換できるのが普通である。そして、本件特許発明1の中央部のソケットとルーフ支持部材及び引用発明の屋根フレーム固定軸片と屋根支えバーは、ともにこのような関係にあるから、これらの部材の対応する構成を入れ替えることにより相違点2に係る構成を採用することは、当業者が容易になし得る事項である。

[相違点3]について
柱状の部材(本件特許発明1においては「支持部材」)に、該柱状部材を収納するブラケット状の部材(同「固定マウント」)を配置し、該ブラケット部材に突出部(同「ソケット」)を設け、当該突出部に他の部材(同「シザーバー」)を支持する構成において、ブラケット部材の形状や厚み等をどのようなものにするかは、用いる各部材との関係や用途、求められる強度等を総合的に参酌して、当業者が適宜決定しうる事項である。(甲第3号証、FIG.4中の44(Slide bracket44)参照)
したがって、引用発明に上記相違点3に係る構成を採用することに、格別の困難性はない。

よって、本件特許発明1は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3.本件特許発明2について
本件特許発明2は、本件特許発明1に「それぞれの前記スライドマウントをそのそれぞれの前記固定マウントに近い位置において釈放可能に締め付けるために前記の直立した支持部材と組み合わされたラッチ装置」という事項を付加するものである。
引用発明の(l)の「活動挿ピン及び止め孔」は、本件特許発明2の「ラッチ装置」に相当する。したがって、上記付加事項は引用発明が有する事項である。
よって、本件特許発明2は、引用発明及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.本件特許発明3について
本件特許発明3は、本件特許発明1に「各々の前記ルーフ支持部材が前記骨組構造体が折畳まれた状態にあるときの引っ込められた状態と前記骨組構造体が展開された状態にあるときの伸張した状態との間に移動可能な1対の伸張可能な部分を含み、そして前記の伸張可能な部分を伸張した状態に釈放可能に保持するルーフ支持部材ラッチ装置を含む」という事項を付加するものである。
甲第2号証には、「各々のルーフ支持部材(屋根支持部材40)が骨組構造体が折畳まれた状態にあるときの引っ込められた状態と骨組構造体が展開された状態にあるときの伸張した状態との間に移動可能な1対の伸張可能な部分(内伸縮部材42と外伸縮部材44)を含み、そして前記の伸張可能な部分を伸張した状態に釈放可能に保持するルーフ支持部材ラッチ装置(ボタンラッチ・嵌合穴装置45)を含む」骨組構造体(摘記事項(2-2)?(2-3)及び第3図参照)が記載されている。
引用発明のルーフ支持部材として、甲第2号証に記載の伸張可能なものを採用し、ラッチ装置を設けることは、当業者が容易になし得る事項である。
よって、本件特許発明3は、引用発明、甲第2号証記載の発明及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.本件特許発明4について
本件特許発明4は、本件特許発明1に「1対の前記マウントが前記の直立した支持部材の各々の上に配置され、前記の1対のマウントの一方が固定マウントであり、そして前記の1対のマウントの他方がスライドマウントであり、前記スライドマウントが前記の直立した支持部材に滑動可能に固定されかつそれぞれの前記端縁シザー組立体が開閉するときに前記支持部材に沿って前記固定マウントに近い位置と前記固定マウントから遠い位置との間に移動可能であり、そして前記ルーフ支持部材の各々がそれぞれの固定マウントに枢動可能に連結され、そして第1片持端部において前記伸張可能な部分の一方と枢動可能に連結されかつ前記第1片持端部と反対側の第2片持端部においてそれぞれの前記の隅の支持部材上のスライドマウントと枢動可能に連結された片持部分を含む」という事項を付加するものである。
引用発明の「屋根支えバーの中間の適当な位置」、「下活動支えバー軸体の屋根押上バー固定軸片」、「下活動支えバー軸体」及び「屋根フレーム押上バー」はそれぞれ、本件特許発明4の「第1片持端部」、「第2片持端部」、「スライドマウント」及び「片持部分」に相当する。そして、伸張可能なルーフ支持部材は上記「4.本件特許発明3について」に記載したとおり、甲第2号証に記載されている。
よって、本件特許発明4は、引用発明、甲第2号証の記載事項及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.本件特許発明5について
本件特許発明5は、本件特許発明1に「端縁シザー組立体の各々が端と端とをつなぐ関係で内側の上端部および下端部において連結された1対のシザーユニットを含み、前記端縁シザー組立体の各々がそれぞれのシザーユニットの内側の上端部および下端部を枢動可能に連結するためにそれぞれ作用する上側浮動マウントおよび下側浮動マウントを含み、前記上側浮動マウントおよび下側浮動マウントの各々が隔置された平行な側壁部分によりそれらの内部に形成された複数個のソケットを有し、前記シザーユニットの内側端部の各々がその向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合するように前記ソケットのうちのそれぞれのソケット内に受け入れられた長方形横断面を有し、かつソケットの平行な側壁部分が前記シザーユニットの横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止する間に前記シザーユニットの各々の内側端部をそれぞれのソケット内に枢動可能に固定する締付ピンを含む」という事項を付加するものである。
引用発明の(b)の「2つの交叉式サイドバーの上端部及び下端部がそれぞれ連結」された構成は、本件特許発明5の「上側浮動マウントおよび下側浮動マウント」に相当する。
したがって、引用発明は、本件特許発明5の「端縁シザー組立体の各々が端と端とをつなぐ関係で内側の上端部および下端部において連結された1対のシザーユニットを含み、前記端縁シザー組立体の各々がそれぞれのシザーユニットの内側の上端部および下端部を枢動可能に連結するためにそれぞれ作用する上側浮動マウントおよび下側浮動マウントを含み、」という構成を有している。
また、「隔置された平行な側壁部分によりそれらの内部に形成された複数個のソケットを有し、前記シザーユニットの内側端部の各々がその向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合するように前記ソケットのうちのそれぞれのソケット内に受け入れられた長方形横断面を有し、かつソケットの平行な側壁部分が前記シザーユニットの横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止する間に前記シザーユニットの各々の内側端部をそれぞれのソケット内に枢動可能に固定する締付ピンを含む」という事項は、上記「2.」「(2)」「[相違点1]について」で述べたとおり、当業者が容易になし得る事項である
よって、本件特許発明5は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

7.本件特許発明6について
本件特許発明6は、本件特許発明5に「骨組構造体が展開状態にあるときに前記の直立した支持部材により支持面の上方に支持されるルーフ支持組立体を含み、前記ルーフ支持組立体が前記キャノピーカバーを支持する作用をする」という事項を付加するものである。
当該付加事項は、上記「2.」「(1)」に記載したとおり、引用発明が(j)として有する構成である。
してみれば、本件特許発明6は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第8.むすび
以上のとおり、本件特許発明1?6は、引用発明、甲第2号証記載の発明及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、請求人が主張する他の無効理由について判断するまでもなく、無効とすべきものである。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

平成23年11月 7日

審判長 特許庁審判官 神 悦彦
特許庁審判官 宮崎 恭
特許庁審判官 山口 由木
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
非圧縮性ピボットを備えたシザー端部が捕獲された折り畳み可能なキャノピー骨組み構造体
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】折畳まれ、そして折畳まれた状態で保管され、そして支持面上に展開された状態で組みたてられるようになった展開可能な骨組構造体であり、前記支持面の上方にキャノピーカバーを支持することができる骨組構造体において、
(a)各々が支持面上に配置可能な下端部と、前記下端部と反対側の上端部とを有する複数個の直立した支持部材を備え、前記支持部材は折畳まれた状態で相互に相並ぶように向けられ、そして展開状態に向かって相互に離れて外方に移動可能であり、各支持部材は断面矩形状であり、さらに、
(b)複数個の端縁シザー組立体を備え、一つの端縁シザー組立体が前記支持部材のうちの隣接した支持部材を相互に連結し、各々の前記端縁シザー組立体が1対の外側上端部および1対の外側下端部を有し、前記端縁シザー組立体は開閉するように作用可能であり、それにより前記骨組構造体は展開状態と収縮状態との間を移動することができ、展開状態において前記端縁シザー組立体の外側側面全体が前記キャノピーカバーで覆われ、各々の前記端縁シザー組立体は上端部及び下端部において相互に連結されたシザーユニットにより構成され、前記シザーユニット間の連結部は構造を補強するための更なる直立した支持部材により前記支持面上に支持されておらず、前記骨組構造体全体が展開状態において4個の直立した支持部材によってのみ支持されており、さらに、
(c)前記の直立した支持部材上に配置されかつ前記端縁シザー組立体を前記支持部材に締め付けるように作用する複数個のマウントを備え、該各マウントは前記支持部材が嵌合される断面矩形状の中空部が形成された収容部を備え、前記マウントの各々は、隔置された平行な側壁部分により形成され、互いに直交する一対のソケットを有し、該一対のソケットの側壁部分はそれぞれ前記収容部の前記中空部を囲う側壁に平行であり、前記端縁シザー組立体の各々はその平行な向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合されるように前記ソケットのうちのそれぞれの1個のソケット内に受け入れられる長方形横断面の外側端部を有し、それにより前記の平行な側壁部分と共に平面状の接触面を形成し、さらに、
(d)前記端縁シザー組立体の各々の外側端部をそれぞれのソケット内に枢動可能に固定する締付ピンを備え、前記平行な側壁部分と接触する前記外側端部表面に突起が存在せず、前記端縁シザー組立体を構成するシザーバーは中空部を備える管状構造であり、
(e)1対の前記マウントが前記の直立した支持部材の各々の上に配置され、前記の1対のマウントの一方が固定マウントであり、そして前記の1対のマウントの他方がスライドマウントであり、前記スライドマウントが前記の直立した支持部材に滑動可能に固定されかつそれぞれの前記端縁シザー組立体が開閉するときに前記支持部材に沿って前記固定マウントに近い位置と前記固定マウントから遠い位置との間に移動可能であり、
(f)前記固定マウントに一対のソケットが直交して形成され、該一対のソケットの各々において平行な側壁部分は、その上端部において水平な壁部で相互に連結され、前記スライドマウントに一対のソケットが直交して形成され、該一対のソケットの各々において平行な側壁部分は、その下端部において水平な壁部で相互に連結され、
(g)前記固定マウントの各々は、それぞれ直交する一対のソケットの中央部に、隔置された平行な側壁部分により形成される中央部のソケットを有し、該中央部のソケットは前記側壁部分を連結する水平な壁部を有さず、
(h)前記マウントは前記骨組構造体が展開し、そして収縮するときに前記端縁シザー組立体を開閉させるように相互に関して相対移動可能であり、一方ソケットの平行な側壁部が平面状の接触面に沿って外側端部に作用して前記端縁シザー組立体の横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止し、
(i)前記の固定マウントの前記収容部が、前記支持部材に沿って前記スライドマウントの方向に向かってすべての前記ソケットを超えて延び出しており、
(j)骨組構造体が展開状態にあるときに前記の直立した支持部材により支持面の上方に支持されるルーフ支持組立体を含み、前記ルーフ支持組立体が前記キャノピーカバーを支持するように作用し、前記ルーフ支持組立体が頂点を形成するためにその近位置端部において相互に枢動可能に連結され、かつ展開状態にあるとき相互に離れて半径方向に外方に延びる複数個のルーフ支持部材を含み、各々のルーフ支持部材がその遠位置端部において前記の直立した支持部材上の前記固定マウントの中央部のソケットに枢動可能に連結されており、
(k)支持部材の前記下端部各々が、前記固定マウント及び前記スライドマウントとは別部材であり、貫通孔を有して前記支持面と係合するプレート状部材を備える骨組構造体。
【請求項2】請求の範囲第1項に記載の展開可能な骨組構造体において、それぞれの前記スライドマウントをそのそれぞれの前記固定マウントに近い位置において釈放可能に締め付けるために前記の直立した支持部材と組み合わされたラッチ装置を含む骨組構造体。
【請求項3】請求の範囲第1項に記載の展開可能な骨組構造体において、各々の前記ルーフ支持部材が前記骨組構造体が折畳まれた状態にあるときの引っ込められた状態と前記骨組構造体が展開された状態にあるときの伸張した状態との間に移動可能な1対の伸張可能な部分を含み、そして前記の伸張可能な部分を伸張した状態に釈放可能に保持するルーフ支持部材ラッチ装置を含む骨組構造体。
【請求項4】請求の範囲第1項に記載の展開可能な骨組構造体において、1対の前記マウントが前記の直立した支持部材の各々の上に配置され、前記の1対のマウントの一方が固定マウントであり、そして前記の1対のマウントの他方がスライドマウントであり、前記スライドマウントが前記の直立した支持部材に滑動可能に固定されかつそれぞれの前記端縁シザー組立体が開閉するときに前記支持部材に沿って前記固定マウントに近い位置と前記固定マウントから遠い位置との間に移動可能であり、そして前記ルーフ支持部材の各々がそれぞれの固定マウントに枢動可能に連結され、そして第1片持端部において前記伸張可能な部分の一方と枢動可能に連結されかつ前記第1片持端部と反対側の第2片持端部においてそれぞれの前記の隅の支持部材上のスライドマウントと枢動可能に連結された片持部分を含む骨組構造体。
【請求項5】請求の範囲第1項に記載の展開可能な骨組構造体において、前記端縁シザー組立体の各々が端と端とをつなぐ関係で内側の上端部および下端部において連結された1対のシザーユニットを含み、前記端縁シザー組立体の各々がそれぞれのシザーユニットの内側の上端部および下端部を枢動可能に連結するためにそれぞれ作用する上側浮動マウントおよび下側浮動マウントを含み、前記上側浮動マウントおよび下側浮動マウントの各々が隔置された平行な側壁部分によりそれらの内部に形成された複数個のソケットを有し、前記シザーユニットの内側端部の各々がその向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合するように前記ソケットのうちのそれぞれのソケット内に受け入れられた長方形横断面を有し、かつソケットの平行な側壁部分が前記シザーユニットの横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止する間に前記シザーユニットの各々の内側端部をそれぞれのソケット内に枢動可能に固定する締付ピンを含む骨組構造体。
【請求項6】請求の範囲第5項に記載の展開可能な骨組構造体において、骨組構造体が展開状態にあるときに前記の直立した支持部材により支持面の上方に支持されるルーフ支持組立体を含み、前記ルーフ支持組立体が前記キャノピーカバーを支持する作用をする骨組構造体。
【発明の詳細な説明】
関連特許
本願は、1987年2月10日に発行された米国特許第4,641,676号、1988年10月25日に発行された米国特許第4,779,635号および1990年8月14日に発行された米国特許第4,947,884号の各明細書に開示された発明の構造体に関する。
発明の分野
本発明は、以前に開示された本出願人の上記に引用したシザー(scissor)キャノピー構造に記載されたシェルターのような折畳み可能なシェルターの改良に関する。本発明は、特に、シザー組立体を相互に連結しかつキャノピー構造体のその他の構成部分と連結するようにシザー組立体の端部を捕獲するソケットを有する非圧縮性のマウントの形態の構造用装置に関する。これらのマウントは、自由に枢動すると共に横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止するように構成されている。従って、本発明は、一般に、一体構成のキャノピー装置における枢動する構造用部材の取付けに関する。
発明の背景
ポータブルシェルターは、有史以降存在していた。最近、ポータブル構造用装置の精巧化、品質および構造の改良が行われてきた。
ポータブルシェルタの必要性の一つの応答が米国特許第4,641,676号明細書に示されている。この特許は、保管される状態に折畳み可能であり、しかも使用するために展開し、そして組み立てることができる骨組を有するポータブルキャノピー構造体を開示している。この骨組は、複数個の直立した支持部材を含み、該支持部材のうち、隣接した支持部材は、端と端とをつなぐ関係に連結された単一または2個のシザーユニットを備えたシザー組立体により連結されている。可撓性のカバーがこの骨組上に延びている。これらの実施例のうちのいくつかの実施例においては、カバーがドームのような態様で支持されるように、中央の柱の形態のカバーのための中央支持部材が設けられている。別の実施例においては、中央柱構造は示されていない。また、本発明は、1986年8月26日にカーター氏に発行された米国特許第4,607,656号明細書に示されているようなその他の構造体にも有用である。
米国特許第4,641,676号(リンチ)および第4,607,656号(カーター)の明細書に示された構造体において経験された問題は、隣接した支持部材の間に延びる端縁シザー組立体がそれらの安定性を低下させる傾向がある横方向の力をしばしば受けることである。シザー組立体が相互にかつ隅の支持部材と連結されている場合には、圧縮マウントが使用され、これらのマウントは、もしも締め付けられれば、シザーの作用を阻止し、そして横方向にたわむときに剪断力をうける。連結ボルトが過大な横方向のたわみにより曲り、または破断することがしばしば発見された。
本出願人の米国特許第4,641,676号明細書に記載の構造体は、1988年10月25日に発行された本出願人の米国特許第4,779,635号により大きく改良された。この米国特許においては、キャノピー構造体は、隣接した隅の支持部材を相互に連結する骨組が本出願人の特許第4,641,676号の場合に受ける圧縮とは対照的に、張力を受けるようにその隅の支持部材を外向きに片寄らせている。それにも拘らず、本出願人の特許第4,779,735号明細書に示された組立体については、依然として、シザーバー(scissor bar)の相互連結部の改良が行われた。同様に、自動的に組み立てられる特徴を有する非常に有用なキャノピーを提供する米国特許第4,947,884号明細書に示された構造体は、確実に作用するが、上記の不利点を有する同様なシザーバーを相互に連結するボルトに依存していた。
本出願人は、本出願人の折畳み可能なキャノピー構造体をさらに安定させ、そして上記の問題を処理するために、これらのシザー組立体に使用するための安定用バーを開発した。この安定用バーの構造および取付けは、1989年12月12日に発行された本出願人の米国特許第4,885,891号明細書に展開可能なシザートラスのための補強部材として綿密に記載されている。
本出願人の特許第4,885,891号に記載の構造体は、全く良好に機能するが、該構造体が取り付けられる折畳み可能なユニットの構造をさらに複雑化させて、製造コストおよび重量を増大させる。それゆえ、特に、これらのトラス組立体が折畳み可能なキャノピー構造体に組み込まれる場合には、トラス組立体を依然としてさらに改良し、安定化させる必要があった。さらに、製品が本出願人の上記の米国特許により製造されるときに、シザーバー組立体を相互にシザーユニットに取り付け、そしてその結果得られたシザーユニットを相互に連結されたシザー組立体またはトラス組立体に取付け、そしてこのようなトラス組立体をそれぞれの隅の支持部材および中間支持部材に枢動により展開可能でありかつ折畳み可能な態様で連結する構造を簡単にする必要性が認識された。さらに、剪断および曲げモーメントにさらに耐える相互連結部が必要であることが認識された。
発明の要約
本発明の一つの目的は、トラス組立体のシザー要素のための連結装置であって、シザー構成要素を自由に枢動させると共に、シザー要素の横方向の変形およびねじりによる変形を阻止するように非圧縮性の連結装置を提供することにある。
本発明のさらに別の一つの目的は、構造体を構成する要素を相互に連結するための新規の有用なマウントを設け、そしてさらに複雑な構造体に統合することができる最小限の異なる部品を有する連結装置を使用することにより、折畳み可能なキャノピー構造体を簡単にすることにある。
本発明のさらに一つの目的は、構造上の結合性または強度を有意に損なうことなく重量がより軽い隅の支持部材およびシザーバーを使用することができるキャノピーのための折畳み可能でありかつ展開可能な骨組構造体を提供することにある。
本発明によれば、展開可能な骨組構造体が提供される。この骨組構造体は、支持面の上方にキャノピーカバーを支持するために、折畳まれ、折畳まれた状態で倉庫に保管され、そして支持面上に展開された状態で架設されるようになっている。この展開可能な骨組は、概説すると、各々が支持面上に配置可能な下端部と該下端部の反対側の上端部とを有する複数個の直立した支持部材を含む。折畳まれた状態では、支持部材は相互に相並ぶように向けられるが、展開状態に向かって相互に離れて外方に移動可能である。
複数個の端縁シザー組立体が展開可能な骨組のためのトラス部材を構成し、一つの端縁シザー組立体が支持部材のうちの隣接する支持部材を相互に連結している。各々の端縁シザー組立体は、1対の外側上端部と、1対の外側下端部とを有し、そして端縁シザー組立体を直立支持部材に留めるために、複数個の新規のマウントが該支持部材に配置されている。この目的のために、マウントの各々には、隔置された向き合う側壁部分によりソケットが形成されており、それにより端縁シザー組立体の外側端部を向き合う側壁部分の間に締り嵌め係合するようにソケットのそれぞれ内に捕獲することができる。締付ピンが各々の端縁シザー組立体の各々の外側端部をそのそれぞれのソケット内に枢動可能に固定している。
これらのマウントは、端縁シザー組立体が開閉するように作用して、それにより骨組構造体を展開状態と収縮状態との間に移動することができるように、相互に相対移動可能である。従って、1対のマウントが直立した支持部材上に配置されている場合には、一方のマウントは固定され、一方、他方のマウントは滑動可能である。従って、ソケットおよびマウントは、シザーユニットを構成するシザーバーのための枢動連結部を提供する。シザーユニットは、圧縮付属具でないシザー組立体を備えている。それにも拘らず、側壁部は、端縁シザー組立体の外側端部、従って、シザー組立体自体の横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止する作用をする。
好ましい構造体においては、ルーフ支持組立体が設けられている。このルーフ支持組立体は、種々の型式に構成することができる。一つの構造体においては、側縁シザー組立体の各々は、複数個のシザーユニットにより構成されており、これらのシザーユニットの隣接した内側端部は、同様に、ソケットと、該ソケット内のシザーバーの内側端部を枢動可能に固定するピンとを備えた浮動マウントにより一緒に連結されている。その場合には、ルーフ支持組立体は、外側端部が浮動ソケットに取り付けられるように向き合う側縁シザー組立体の間に延びる一つまたはそれ以上の内側シザー組立体として構成することができる。これらの内側シザー組立体の各々は、複数個のシザーユニットにより構成され、そして中央のマウントは、内側シザー組立体を構成するシザーユニットの内側端部を受け入れるソケットを備えることができる。この構造においては、中央柱構造体を設けることができる。
別の一つの構造においては、ルーフ支持組立体は、直立した支持部材の上端部において固定マウントに枢着された伸張可能なルーフ部材であっても良く、これらのルーフ部材はキャノピーカバーを支持するための一つまたはそれ以上の頂点を形成するために半径方向に内方に突出している。別の態様として、ルーフ支持部材は、このような頂点を構成するために、スライドマウントから半径方向に内方に延びることができる。
これらの構造体においては、この骨組を組み立てられかつ展開された状態に維持するために、好適なラッチが設けられることが望ましい。この骨組構造体は、折畳まれた状態にあるときに、骨組ユニットの端部が対向した閉ざされた骨組ユニットを形成する。固定マウントおよび浮動マウントは、折畳まれた状態において、骨組ユニットの第1端部における固定マウントと、浮動マウントのいくつかがその端部のまわりにとぎれていない第1リムを形成し、一方その骨組ユニットの第2端部におけるスライドマウントおよびその他の浮動マウントがとぎれていない第2リムを形成するように相互に衝接するように構成されている。いずれにせよ、シザーユニットの各各は、同様に非圧縮性継手である枢動車軸上の共通の中点において相互に枢動可能に連結されている。シザーバーは、好ましくは、アルミニウムまたはその他の構造用材料、例えば、スチール、プラスチックまたはファイバーグラスから製造され、そして選択された幅および高さの長方形の横断面を有する管状部材であり、幅を高さよりも小さく形成されている。シザーユニットが連結されたときに、枢動車軸はシザーバーのそれぞれの幅を横切って延びる。枢動車軸は、好ましくは、1対の協働する車軸ピンにより構成される。これらの車軸ピンは、相互に嵌合可能に連結され、それらの頭部が隔置される。これらの頭部の間には、シザーバーが配置されている。これらの協働する車軸ピンは、頭部の間の最小距離を少なくともシザーバーの組合わされた幅と等しい距離に制限して、それにより車軸ピンがそれらの間の1対のシザーバーを圧縮しないように構成されている。
このキャノピー構造体により大きい領域を保護しようとする場合には、直立した支持部材のうちのいくつかの支持部材が隅の支持部材を形成し、一方その他の支持部材が中間の支持部材を形成する。中間支持部材は、それぞれの固定マウントおよびスライドマウントを有している。従って、所望どおりの大きい領域のための骨組構造体を形成するために、シザー組立体の種々の組合わせを一緒に結合することができる。
本発明のこれらの目的およびその他の目的は、添付図面に関する好ましい実施例の以下の説明からさらに容易に理解されよう。
図面の簡単な説明
第1(a)図、第1(b)図および第1(c)図は、本発明の教旨により製造された三つの特定の実施例のキャノピーユニットを示した斜視図、
第2(a)図、第2(b)図および第2(c)図は、第1(a)図、第1(b)図および第1(c)図のキャノピーユニットに使用される骨組組立体を示した図、
第3図は組み立てられかつ閉錠された状態の隅の支持部材の上端部の斜視図、
第4(a)図は本発明の実施例によるシザーユニットを示した側面図、そして第4(b)図はシザーまたはトラス組立体を形成するために端と端とをつなぐ関係に相互に連結された第4(a)図の2個のシザーユニットを示した側面図、
第5図は第4(a)図を6-6線に関して裁った横断面図、
第6図は第4(a)図を6-6線で裁った横断面図、
第7図は一対のシザーユニットを相互に連結して第4(a)図に示したシザーユニットを形成するために使用される連結ピン組立体を示した分解斜視図、
第8図は隅の直立した支持部材の上側部分に使用される本発明の実施例による固定マウントの斜視図、
第9図は第7図を9-9線に関して裁った横断面図であり、軸線方向のピンが装着された状態を示した図、
第10図はそれぞれのシザー組立体の2個のシザー要素が取り付けられた第8図および第9図に示した固定マウントの底面平面図、
第11図は本発明の実施例によるスライドマウントの斜視図、
第12図は本発明の実施例による浮動マウントの斜視図、
第13図は第12図に示した浮動マウントの底面平面図、
第14図は本発明の実施例による中央柱組立体を示した側面図、
第15図は第14図に示した上側中央マウントの斜視図、
第16図は第14図に示した下側中央マウントの斜視図、
第17図は第2(b)図に示した型式の完全に折り畳まれたキャノピーの骨組を示した斜視図、
第18図は第17図の折畳まれたキャノピーの骨組の上面図であり、中央の柱を仮想線で示した図、
第19図は本発明の実施例による中間支持固定マウントの斜視図、
第20図は第19図を20-20線に関して裁った横断面図、
第21図は本発明の実施例による中間スライドマウントの斜視図、
第22(a)図および第22(b)図は本発明の実施例に使用することができるルーフ支持構造体の別の第1実施例および第2実施例を示した側面図、
第23図は第22(a)図および第22(b)図のルーフ支持構造体に使用することができる固定マウントの斜視図、
第24図は第22(a)図および第22(b)図のルーフ支持構造体に使用することができるスライドマウントの斜視図、
第25図は本発明の実施例による三角形の骨組構造体に使用することができる固定マウントの底面図である。
好ましい実施例の詳細な説明
本発明は、コンパクトなサイズで保管することができ、しかも要素に対するシェルターを提供する直立した構造体に展開することができ、または種々の用途のためのプライバシーを提供するキャノピー構造体の形態の可動型または一時的なシェルターに関する。本発明の構造体は、なんら、組立または分解を必要としない。このような構造体は、例を挙げると、本出願人の発行された米国特許第4,641,676号、第4,779,635号および第4,947,884号の明細書に記載されているが、これらに限定されるものではない。本発明は、特に、これらの発行された特許に記載された骨組構成要素、例えば、直立した隅の支持部材、中間脚支持部材、シザー組立体およびルーフ支持構造体を相互に連結するために使用することができる新規のマウントに関する。これらの構造体の詳細な説明は、この明細書に再び述べないが、これらの発行された特許に開示された構造体および技術は参考のためにこの明細書に包含してある。
第1(a)図ないし第1(c)図、第2(a)図ないし第2(c)図および第3図を参照すると、一時的なキャノピーのために使用される骨組構造体は、図示したような米国特許第4,641,676号に記載の型式である。第1(a)図および第2(a)図においては、骨組構造体11は、展開した状態で示してあり、布製のカバー12を支持してキャノピーユニット10を構成している。骨組構造体11は、直立した隅の支持部材14の形態の4個の直立した支持部材により構成されている。支持部材14の各々は、下側脚部16が滑動可能に受け入れられた上側脚部15のような1対の入れ子式の構造体を備えている。各各の直立した支持部材14は、支持面と係合し、すなわち、支持面上に支えられる下端部17と、下端部17と反対側の上端部18とを有している。本発明の実施例による固定マウント60は、各々の上端部18に配置されている。スライドマウント62が上側脚部15に滑動可能に受け入れられ、それにより各々のスライドマウント62がそれぞれの固定マウント15から遠い位置から第2(a)図に示したような固定マウント60に近い位置まで移動することができる。各々のスライドマウントは、第2(a)図および第3図に示したように、マウント60に近い位置に配置されたときに、好適なラッチ構造、例えば、押下げ可能なボタンラッチ13により所定位置に閉錠することができる。各々の直立した支持部材14は、シザー組立体19により隣接した直立した隅の支持部材と相互に連結されている。シザー組立体19の向き合った外側の上端部および下端部は、以下にさらに詳細に説明するように、マウント60および62に形成されたソケット内に捕獲されている。
同様に、第1(b)図および第2(b)図についても、キャノピー20は、カバー22を支持する骨組構造体21により構成されている。骨組構造体21は、その隅に配置された複数個の直立した支持部材24を有している。各々の直立した支持部材24は下側脚部26を入れ子式に受け入れる上側脚部25を有している。直立した支持部材24の下端部27は支持面と係合し、一方その上端部28は固定マウント60を備えている。シザー組立体29は直立した支持部材24のうちの隣接した支持部材を相互に連結し、そして上側浮動マウント64および下側浮動マウント65により相互に端と端とをつなぐ関係に連結されたシザーユニット40により構成されている。シザー組立体29の向き合った外側上端部はマウント60に固定され、一方シザー組立体29の外側下端部は上側脚部25に滑動可能に受け入れられたスライドマウント62に固定されている。ルーフ支持構造体50は、相互にかつ内側端部が上側中央マウント66および下側中央マウント67により連結されかつ外側の上端部および下端部において浮動ブラケット64,65により連結されたシザーユニット52の形態の内側シザー組立体52を含むが、これらのすべては以下にさらに詳細に説明するとおりである。中央マウント66,67は、同様に以下に説明するように中央柱構造体90を支持している。
最後に、第1(c)図および第2(c)図については、キャノピー30がカバー32を支持する骨組31を有する大きい領域を覆う装置であることは理解できよう。骨組31は、隅の支持部材34および中間支持部材34′の形態の複数個の直立した支持部材を有している。支持部材34および34′は、下側脚部36,36′が入れ子式に受け入れられる上側脚部35,35′をそれぞれ有している。下端部37,37′は支持面と係合し、一方上端部38,38′は、固定マウント60,60′をそれぞれ装着している。スライドマウント62,62′が上側脚部35,35′上に滑動可能に受け入れられ、そして隣接した直立した支持部材34,34′は、シザー組立体39により相互に連結されている。1対のルーフ支持構造体50が相互に向き合うシザー組立体39を相互に連結している。各々のルーフ支持構造体50は、シザー組立体52および第2(b)図について前述したように上側中央マウント66および下側中央マウント67を有する中央柱構造体90のような内側シザー組立体を含む。
第2(a)図および第4(a)図を参照すると、シザー組立体19(第2(a)図)が単一のシザーユニット40(第4(a)図)の形態であることが理解できよう。シザーユニット40は、その共通の中央部分43において相互に枢動可能に連結された1対のシザーバー41および42により構成されている。シザーユニット40は、貫通した穴45を備えた1対の外側上端部44と、穴47を備えた1対の外側下端部46とを有している。1対のシザーユニット40を第4(b)図に示したように一緒に連結することができ、それにより得られたシザー組立体は穴45′および47′をそれぞれ備えた外側上端部44′および外側下端部45′を有している。内側上端部48は上側浮動マウント64により相互に連結され、一方シザーユニット40の内側下端部49は下側浮動マウント66により連結されている。
シザーバー41および42の各々は、好ましくは、長方形の横断面を有する中空の押出し成形されたアルミニウムの管状材料であり、そして相互に全く同じである。また、別の態様として、シザーバー40は任意の好適な構造材料、例えば、スチール、プラスチック、ファイバーグラスおよび同様な材料で構成することができる。従って、シザーバー42は、第5図に示すように、例えば、側壁部72および74により構成された中空の内部70を有している。側壁部はシザーバー42のようなシザーバーの高さ「h」の垂直方向の寸法を形成し、一方側壁部74は水平方向の寸法、すなわち、幅「W1」を形成している。
シザーバー41および42は、前述したように、共通の中央部43において連結されている。この目的のために、ピボットファスナ構体76が第6図および第7図に最良に示したように設けられている。これらの図においては、ピボットファスナ構体76は、1対の協働する車軸ピン、例えば、めすピン77およびおすピン78により構成された非圧縮性要素であるピボット車軸を形成する1対の協働するかみ合うピボットファスナ構体を含む。おすピン78は、縮小した横断面を有するねじを切った端部80に終端する細長い軸部79を有している。また、端部80は、めすピン77の軸部81のねじを切った穴82内にねじ込み可能に受け入れられる。ピン77、78が結合されたときに、軸部79の肩部83が軸部81のリム84と衝接し、それによりめす車軸ピン77およびおす車軸ピン78のそれぞれの頭部85および86が軸部79および81の長さにより規制された最小の距離に隔置される。頭部85と頭部86との間の間隔のための最小の距離は、第6図に示したように、少なくとも、シザーバー41および42の横断面幅を組み合わせた幅に相当する。さらに、頭部85および86は、それらの間にスペーサ座金88を収容するための最小距離隔離されることが好ましい。頭部84および85はテーパがつけられ、そしてさら穴座金89が第6図に示したようにシザーバー41および42の最も外側に取り付けられるように設けられることが好ましい。
本願の序文に記載したように、本発明は、特に、シザーユニット40を端と端とをつなぐ関係に相互に連結すると共に、それぞれの直立した支持部材に対する単一または複数個のシザーユニットトラスの形態のシザー組立体を連結するための新規のマウントに関する。この目的のために、本発明の実施例は、第8図ないし第10図に示したような固定マウントと、第11図に示したようなスライドマウントと、第12図および第13図に示したような浮動マウントと、第14図および第15図に示したような上側中央マウントおよび下側中央マウントのそれぞれを含む。これらの図において、それぞれのマウントの各々がそれぞれのシザーバー41および42の端部を受け入れるようになった複数個のソケット開口部を有する連結要素を形成していることが理解できよう。
第8図ないし第10図について述べると、空洞部114が形成された中央部分112を有する固定マウント60を示してある。空洞部114は、直立した支持部材、例えば、隅の支持部材14,24または34の上端部を結合可能に受け入れるサイズに形成されている。1対のローブ116および118が中央部112の外方に相互に直角に突出している。ローブ116,118の各々は、1対の隔置された側壁部121および122の間に形成された溝形のソケット120を備えている。側壁部121および122はウエブ124により連結されている。側壁部121,122は、各々のシザーバー41,42の幅「W1」よりも僅か大きい幅「W2」だけ隔置されている。さら穴126が各々のローブ116,118の狭い壁部128を貫通して延びている。従って、さら穴126は側壁部121に開口している。ねじを切った穴130が各々のローブ116,118の大きい壁部132に形成され、そしてさら穴126と共軸をなしている。さら穴126およびねじを切った穴130は、前述したおすピン78と全く同じ構造を有する車軸ピン140の形態の締付ピンを取り付けるサイズに形成されている。従って、ピン78およびピン140は、互換性を有し、それによりこの骨組組立体の構造を大幅に簡単にしている。車軸ピン140は外側上端部、例えば上端部44,44′においてそれぞれのシザーバー41,42をそれぞれの穴45,45′を通して枢動可能に締め付ける作用をする。(第4(a)図および第4(b)図に示してある)それぞれのシザーバー41および42の端部は、第10図に示したように、ソケット120内で相対的に自由に枢動運動するために締り嵌めかみ合い係合するサイズに形成されている。この締り嵌めされた構造のために、側壁部121および122は、それらのそれぞれのシザーバー41、42の横方向のたわみおよび部分的なたわみを阻止する。
スライドマウント62は第11図に最良に示してある。第11図から、スライドマウント62が貫通して延びる方形の通路154を形成する中央部分152を有していることが理解できよう。直立した支持部材の上側脚部は通路154を通して入れ子式に受け入れることができ、従って、スライドマウントは上側脚部に沿って容易に滑動することができる。1対のローブ156および158が中央部分152から外方に相互に直角に突出している。ローブ156および158の各々は、ウエブ164により相互に連結された小さい壁部168および大きい壁部170を含む。ローブ116,118の各々には、1対の隔置された向き合った側壁部161および162の間に溝形のソケット160が形成されている。小さい壁部168は、同様に、さら穴、例えば、穴166を備え、そして大きい壁部130は穴130と類似の共軸方向に形成されたねじ穴を備えている。ソケット120は、軸線方向の締付ピン、例えば、ピン140によりその内部に枢着するためにそれぞれのシザー組立体の外側下端部を嵌合可能に受け入れるサイズに形成されている。第11図から、中央部分152がランプを形成するリップ構体155を備えた上側リム153を有しており、それによりスライドマウント62を固定マウント60から遠い位置から滑動させるときに、リップ構体155がボタンラッチ13上を滑って、ボタンラッチ13を押し下げることは理解できよう。
シザー組立体をトラスセルを構成する複数個のシザーユニットを備えた端縁シザー組立体を有するように構成されることがしばしば望まれるので、これらのシザーユニットを端と端とをつなぐ関係に連結することが必要である。従って、前述したように、浮動マウント64および65が設けられている。これらのマウント64,65は相互に全く同じであり、従って、第12図および第13図に示したように、代表的な浮動マウント64は複数個のローブ204,206および208により構成されている。これらのローブの各々は、隔置された平行な側壁部211および212を有する溝形ソケット210を備えている。側壁部211は小さい壁部220の内側に形成され、一方側壁部212は大きい壁部222の内側に形成されている。さら穴、例えば、穴216が小さい壁部220を貫通して設けられ、一方軸線方向に整列したねじを切った穴218が大きい壁部222に形成されている。従って、浮動マウント220は、1対のシザーユニット40を一緒に連結しかつ内側シザー組立体、例えば、第2(b)図および第2(c)図に示したシザー組立体52の外側の上端部および下端部のためのソケットマウントを構成するT字形コネクタである。
上記に簡単に述べたように、ルーフ支持構造体50の各々は、内側シザー組立体52のみならず、また第13図に最良に示した中央構造体90をも含む。中央柱構造体90は遠位端部がドーム状キャップ96において終端したばね負荷されたルーフ支柱94を入れ子式に受け入れるスリーブ92を含む。スリーブ92は上側中央マウント66と下側中央マウント67との間に延びている。マウント66および67は第14図および第15図に最良に示してある。第2(b)図、第2(c)図および第13図を参照すると、中央柱構造体90がその内側の上端部および下端部において一群の内側シザーユニット54を相互に連結することを理解すべきである。第2(c)図を参照すると、付加的な上側中央マウント69および下側中央マウント68が中央柱構造体90を備えていない位置における内側シザーユニット52を連結するために設けられていることが理解できよう。
さて、第15図を参照すると、上側中央マウント66が中央部分232を有し、そして中央部分232を通してばね負荷された要素、例えば、第14図に示した柱98を収納するサイズのキー溝236を備えた通路234が延びていることが理解できよう。通路234はスリーブ92を滑動可能に受け入れるサイズに形成されており、そして複数個のローブ238が中央部分232から相互に90°の角度をなして突出している。各々のローブ238は、小さい壁部243と大きい壁部244との間に形成された平行に隔置された向き合った側壁部241および242の間に形成されたソケット240を有している。また、ソケット240の各々内に嵌合可能に受け入れることができるシザーバー要素、例えば、シザーバー要素41および42のための枢動車軸を構成する締付ピンを受け入れる役目をする対応したねじを切った穴と組み合わせるためにさら穴246が設けられている。
同様に、第16図に示した下側中央マウント67は、貫通して延びた通路254を備えた中央部分252を含む、複数個のローブ258が中央部分252から外方に突出し、そして固定マウント110、スライドマウント150および浮動マウント200について説明した同じ一般的な構造である第15図について説明した型式のソケット260を備えている。従って、この構造は当業者により容易に理解されるので、第16図に示した構造を説明するための詳細な説明は不必要であると考えられる。また、再び第2(c)図について述べると、中央マウント68および69が通路234および254をなくしたことと、骨組構造体を折畳まれた状態と展開された状態との間に移動させるときのシザーの作用を許容するためのこのようなマウントのサイズ決めとを除いて、中央マウント66および67と実質的に同じであることに留意すべきである。
さて、上記の種々のマウントの別の利点は、代表的な骨組構造体21を保管のための折畳まれた状態で示した第17図および第18図を参照することにより理解できよう。この向きにおいて、種々のシザーバーおよび直立した隅の支持部材が相互に並行するように向けられ、下側脚部16が上側脚部15内に受け入れられている。折畳まれた状態において、固定マウント60は、上側浮動マウント64と共に、折畳まれた状態の骨組ユニットの上端部を包囲するとぎれないリムを形成する。上側中央マウント66はこのリム内に嵌合されるサイズに形成されている。同様に、スライドマウント62および下側浮動マウント65は、折畳まれた状態の骨組ユニットの反対側の端部のまわりに比較的にとぎれないリムを形成している。図示していないが、下側中央マウント67が第18図の上側リムについて示した態様と同様な態様でこの下側リム内に嵌合されることを理解すべきである。種種のマウントにより形成された保護用リムは、この骨組構造が折畳まれ、そして保管されるときにシザーユニットの端部の損傷を阻止する作用をする。第2(c)図と類似の骨組構造体が使用されるときに、直立した支持部材のうちのある支持部材が隅の支持部材の中間に配置される。従って、この図に示すように、直立した中間支持部材34′が設けられ、固定マウント60′およびスライドマウント62′を含み、これらのマウントは第19図ないし第21図に示してある。第19図および第20図においては、固定マウント60′は中央部分300を有し、この中央部分から三つのローブ302、304および306が突出している。ローブ302および304は整列しているが、相互に反対方向に突出しており、一方ローブ306はローブ302、304に対して垂直に突出している。ローブ302、304および306の各々は、前述した種々のローブと同様な形態に形成され、そしてソケット310が形成されている。従って、説明を繰り返す必要はないと考える。直立した支持部材34′の上端部を嵌合可能に受け入れるために、中央空洞部312が設けられている。同様に、第21図に示したスライドブラケット62′はスライドブラケット52と類似しているが、中央部分320から外方に突出した三つのローブ322、324および326を含む。通路322は中央部分320に形成され、それによりスライドマウント62を直立した中間支持部材34′の上側脚部35′に沿って滑動させることができるようになっている。直立した中間支持部材34′のそれぞれのラッチボタンを収容するために、中央部分320のリム328上にリップ329の形態のランプ構造が設けられている。ローブ322、324および326の各々は、それぞれのシザーユニットの端部を枢動運動可能に受け入れるソケット330を備えている。この構造については既に説明した。
第22(a)図および第22(b)図には、別のルーフ支持構造体を示してある。これらのルーフ支持構造体は、本出願人の前記米国特許第4,779,635号および第4,947,884号の明細書に開示されたルーフ支持構造体に相当しており、従って、詳細な説明を再び繰り返さないことにする。第22(a)図については、ルーフ支持構造体400が中央支柱構体401を含み、中央支柱構体401から複数個のルーフ支持部材402が半径方向に延びていることは理解できよう。中央支柱401は、キャノピーカバーを支持するための頂点を形成している。各々のルーフ支持部材402は、伸張状態においてボタンラッチ408により閉錠することができる1対の伸張可能な部分404および406として構成されている。ルーフ支持部材402の遠位端部410は固定マウント420に枢着され、一方片持アーム412がルーフ支持部材402の中央に配置されたピボットブラケット414から延び、スライドマウント422に枢動可能に連結されている。固定マウント420およびスライドマウント422が直立した支持部材430上に支承され、スライドブラケット422が支持部材430に沿って滑動可能である。
第22(b)図においては、ルーフ支持構造体500は、中央柱組立体501を含み、中央柱組立体501から複数個のルーフ支持部材502が半径方向に延びている。しかしながら、この場合には、ルーフ支持部材502は、スライドマウント、例えば、直立した支持部材530上に滑動可能に支承されるスライドマウント522と直接に連結された遠位端部において終端している。直立した支持部材530の上端部には、固定マウント520が配置されている。第23図および第24図には、第22(a)図および第22(b)図に使用されたソケットマウントの変型を示してある。固定マウント420は第23図に示してあり、そしてルーフ支持部材402の遠位端部を枢動可能に受け入れるソケット424を形成するために1対の隔置された壁部423が設けられていることを除いて、マウンド110と全く同じである。ルーフ支持部材402は、好適な締付ピン425により枢動可能に取り付けられている。
第24図には、スライドブラケット422を示してあり、そしてスライドマウント422はスライドマウント522と同じである。これらのスライドマウントの各々は、第11図に示したスライドマウント150と実質的に同じであるが、ルーフ支持部材502の遠位端部またはそれらの間の片持アーム412の外側端部を枢動可能に受け入れるためにそれらの間にソケット434を形成する1対の隔置された壁部433を含む。この目的のために、締付ピン435が設けられている。
最後に、第25図を参照すると、本発明の実施例による装着用ローブは必ずしも相互に直角に形成する必要はない。第25図においては、相互に関して60°に向けられた1対のローブ602を有する固定マウント602を示してあり、従って、ソケット604も同様に相互に関して60°の角度に向けられている。固定マウント600は直立した支持部材の上端部を受け入れるための空洞部606を含み、そして当業者により、マウント、例えば、固定マウント600により構成された構造体が本出願人の米国特許第4,641,676号明細書の第9図に示された形状と類似の三角形の形状を有することを理解すべきである。この目的のために、このような構造体のための相応したスライドマウントは第25図の固定マウントと同様な形状に構成されるが、スライドの連続した通路は空洞部606のかわりにスライドマウントを貫通して延びることになろう。
従って、以上本発明を特に本発明の好ましい実施例についてある程度説明した。しかし、本発明が先行技術の観点から解釈される次の請求の範囲により限定され、従って、本発明の好ましい実施例の変型または変更をこの明細書に包含された発明の概念から逸脱することなく実施しうることを理解すべきである。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2013-02-14 
結審通知日 2013-02-18 
審決日 2013-03-01 
出願番号 特願平4-504391
審決分類 P 1 113・ 121- YA (E04H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 伊波 猛  
特許庁審判長 高橋 三成
特許庁審判官 鈴野 幹夫
筑波 茂樹
登録日 1997-04-11 
登録番号 特許第2625255号(P2625255)
発明の名称 非圧縮性ピボットを備えたシザー端部が捕獲された折畳み可能なキャノピー骨組構造体  
代理人 鰺坂 和浩  
代理人 竹内 裕  
代理人 須田 英一  
代理人 鯵坂 和浩  
代理人 竹内 裕  
代理人 小長井 雅晴  
代理人 尾関 孝彰  
代理人 小長井 雅晴  
代理人 岡本 健二  
代理人 尾関 孝彰  

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