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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B31B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B31B
管理番号 1278022
審判番号 不服2012-1191  
総通号数 166 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-10-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-01-20 
確定日 2013-08-13 
事件の表示 特願2006-534670「袋製造機の操作卓」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 5月12日国際公開、WO2005/042238、平成19年 4月12日国内公表、特表2007-508960〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本件出願は、平成16年10月12日(優先権主張、平成15年10月20日ドイツ連邦共和国)を国際出願日とする出願であって、平成18年5月15日に手続補正がなされ、平成21年11月17日付けで拒絶理由が通知され、平成22年5月21日に手続補正がなされ、平成22年9月16日付けで最後の拒絶理由が通知され、平成23年3月18日に手続補正がなされたが、平成23年9月14日付けで平成23年3月18日付け手続補正を却下するとともに拒絶をすべき旨の査定がされた。
これに対し、平成24年1月20日に本件審判の請求とともに手続補正(以下「本件補正」という。)がなされ、当審において平成24年8月16日付けで審尋がなされ、平成25年2月20日に回答書が提出されたものである。

第2.本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1.補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲について補正をするものであって、特許請求の範囲の請求項1について補正前後の記載を補正箇所に下線を付して示すと以下のとおりである。

(1)補正前
「操作卓を備えた袋(2、123)製造機(135)であって、前記製造機(135)の設定を、前記操作卓において、前記袋(2、123)の製造パラメータが変化するように変更することができる袋製造機において、
前記操作卓が、袋(2、123)を図解表現することができる表示装置(1)を有し、
前記表示装置は、異なる製造パラメータと共に表示される袋の図解表現図を選択可能な選択画面を有することを特徴とする袋製造機。」

(2)補正後
「操作卓を備えた袋(2、123)製造機(135)であって、前記製造機(135)の設定を、前記操作卓において、前記袋(2、123)の製造パラメータが変化するように変更することができる袋製造機において、
前記操作卓が、袋(2、123)を図解表現することができる表示装置(1)を有し、
前記表示装置は、異なる製造パラメータを有する複数の袋の図解表現図を表示し且つ袋の図解表現図の1つを選択可能な選択画面を有し、前記選択画面における前記袋の図解表現図の各々は、前記製造パラメータの1つである糊付けすべき面の図解表現図を含むことを特徴とする袋製造機。」

2.補正の適否
本件補正の特許請求の範囲の請求項1についての補正は、「表示装置」について、「異なる製造パラメータと共に表示される袋の図解表現図を選択可能な選択画面を有する」を「異なる製造パラメータを有する複数の袋の図解表現図を表示し且つ袋の図解表現図の1つを選択可能な選択画面を有し、前記選択画面における前記袋の図解表現図の各々は、前記製造パラメータの1つである糊付けすべき面の図解表現図を含む」とするものであり、請求人が審判請求理由の(3)(イ)で主張するとおり、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下「改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)が、改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか否か(いわゆる独立特許要件)について検討する。

(1)補正発明
補正発明は、本件補正により補正された明細書、特許請求の範囲、図面の記載からみて、上記1.(2)のとおりのものと認める。

(2)刊行物に記載された発明
これに対し、原査定の拒絶理由で引用され、本件優先日前に頒布された刊行物である特開平10-129629号公報(以下「刊行物1」という。)には、以下の事項が記載されている。

「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、包装機の各作動部に対する作動データ等を入力設定、表示可能な入力表示手段としてタッチパネルディスプレーを有する制御データ設定入力装置に関するものである。」

「【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記技術課題を解決するため、第1の発明は、包装機のタッチパネルディスプレーに選択された品種毎にその包装機で得られる包装体の包装体画像を表示し、かつ包装体仕上りに対応した包装機による包装体の成形に関わる各制御部の制御データ設定項目とそのデータ値とをデータ表示部に表示し、この包装体画像には、制御データ設定項目に対応する主要素として表示された複数指標部の内のいずれかの指標部に指をタッチして移動操作することで、指の移動方向とその移動量に応じて包装体画像を変形表示するとともに、その設定値または補正値を変更表示して作動部の制御データを設定変更する制御部を備える構成としたことであり、第2の発明は、横型製袋充填機において、前記タッチパネルディスプレーはカラーディスプレーであって、同画面上には設定品種毎に包装の仕上りに関して操作頻度の高い包装機の作動データ補正項目について包装体画像を表示するとともに、その作動データ項目名とデータ値とを表示し、シール温度設定データ変更に関し、包装体画像のエンドシール部およびセンターシール部の指標部への指のタッチ操作により、包装体画像のシール部の一部または全部の色が温度の高低で色彩変化するように構成したことにより、データ設定内容を包装体の仕上がり状態の表示の変化として視覚に訴えることができ、操作性が著しく改善されて誤操作等を防止することができる。・・・。」

「【0010】包装機1の制御部25は図3に示すように、演算手段26、記憶手段27および表示変更手段28とを基本的に備え、包装機1の各駆動機構の駆動モータM1およびサーボモータM2,M3 を制御するモータ制御手段29と、対をなすセンターシールローラ18、上下のエンドシーラ21の各シーラ毎に所望値に設定されたシール温度に温度制御されるように温度センサによる温度検出値に対してヒータ温度を所定値に保つシール温度制御手段30とを備えるとともに、日付捺印装置8の信号は制御部に取込まれ、また、レジマークセンサ9、エンドシーラ原点センサSの各信号もセンサー入力部を介して制御部25に取込まれるように設けられている。そして、この制御部25には包装機1の作動に必要な各種データの入力設定、表示を行うカラー液晶式のタッチパネルディスプレー31が接続されている。このタッチパネルディスプレー31の画面32は包装される品種に応じた品種名入力、機械の各部の作動タイミング等について入力する作動データ入力、包装機1が運転中に表示される運転状態表示等複数の画面に切換え選択されるようになっている。包装機1の運転に際して、包装体FA の仕上り良好なものとするために、包装機1の各作動部の制御データの補正を行わなくてはならない場合には、データ補正画面への切換操作により図4に示すように、タッチパネルディスプレー31の画面32上に選択された品種毎に包装機1で得られる包装体FA の包装体画像34を表示し、かつ包装体仕上りに対応した包装機1による包装体FA の成形に関わる各制御部の制御データ設定項目とそのデータ値とをデータ表示部39A,40A,45,46,47,48に表示し、この包装体画像34には、制御データ設定項目に対応する主要素として表示された複数指標部39,40,41,42,43,44の内のいずれかの指標部に指をタッチして移動操作することで、指の移動方向とその移動量に応じて包装体画像34を変形表示するとともに、その設定値または補正値を変更表示して作動部の制御データを設定変更する制御部25を備えている。・・・。
【0011】すなわち、包装体画像34はピロー包装袋における包体部35とセンターシール部36および前後のエンドシール部37,38が斜視図で表示され、このいずれか一方の(本例では後部側)エンドシール部38とセンターシール部36上には略四角状の温度指標部(温度設定変更釦)39,40が表示され、この温度指標部39,40の表示位置は現在設定されている温度データに応じた位置に表示されるとともに、エンドシール部38とセンターシール部36は現在設定温度に応じた色彩で表示され、包装体画像34の外側の所定位置に表示されるエンドシール温度表示部39Aにはデータ設定項目名と上下のエンドシーラ20,21の色分け表示とその現在設定温度値が表示され、また、包装体画像34の外側の所定位置に表示されるセンターシール温度表示部40Aにはデータ設定項目名と対をなすセンターシールローラ18において、包装機1の操作側を基準として呼称される奥側シールローラと手前側シールローラ18の区分け表示とその現在設定温度値が表示されるようになっている。・・・。」

「【0025】このように包装機1のタッチパネルディスプレー31に選択された品種毎にその包装機1で得られる包装体FA の包装体画像34を表示し、かつ包装体仕上りに関するデータ設定項目を表示するもので、この画面32には包装しようとする品種での補正頻度の高い設定項目名とその基準データ値がエンドシール温度表示部39A、センターシール温度表示部40A、エンドシール位置補正表示部45、レジマーク位置補正表示部46、エンドシーラ周速補正表示部47、印字位置表示部48に各々表示され、実包装に際し、これらのデータ補正を必要とした場合、包装体画像34の各部に表示された温度指標部39,40、物品指標部41、レジマーク指標部42、空間指標部43、捺印指標部44のそれぞれについて指をタッチしてずらす操作によって、タッチパネルディスプレー31の各指標部への指のタッチとその移動方向、移動量に関し、タッチパネルディスプレー31からの信号が制御部25に入力され、表示変更手段28により指の移動位置に応じて各指標部が変形、移動または変色表示されるとともに、各表示部39A,40A,45,46,47,48に補正値を表示し、この補正値に基いて各作動機構が動作制御される。
【0026】このようにデータ設定内容を包装体FW の仕上り状態の表示の変化として視覚に訴えることができ、操作性が著しく改善されて誤操作等を防止することができる。・・・。」

【図4】
タッチパネルディスプレー31に、製品番号と製品名が表示される品種表示部33とともに、包装体FAを図解表現した包装体画像34が表示されること。

これらの記載事項を、図面を参照しつつ、技術常識を考慮しながら補正発明に照らして整理すると、刊行物1には以下の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されていると認める。

「制御データ設定入力装置を備えた包装体FA包装機1であって、前記包装機1の設定を、前記制御データ設定入力装置において、前記包装体FAの制御データが変化するように変更することができる包装機1において、
前記制御データ設定入力装置が、包装体FAを図解表現することができるタッチパネルディスプレー31を有し、
前記タッチパネルディスプレー31は、選択された品種毎にその包装機1で得られる包装体FAの、エンドシール部38とセンターシール部36とを含む包装体画像34を表示する包装機1。」

(3)対比
補正発明と刊行物1発明とを対比する。
刊行物1発明の「制御データ設定入力装置」は、補正発明の「操作卓」に相当し、同様に、「包装機1」は「製造機(135)」に、「制御データ」は「製造パラメータ」に、「タッチパネルディスプレー31」は「表示装置(1)」に、それぞれ相当する。
刊行物1発明の「包装体FA」と、補正発明の「袋(2、123)」とは、「袋状物品」である限りにおいて、一致する。
刊行物1発明の「選択された品種毎にその包装機1で得られる包装体FAの包装体画像34」と、補正発明の「異なる製造パラメータを有する複数の袋の図解表現図」とは、「袋状物品の図解表現図」である限りにおいて、一致する。
刊行物1発明の「エンドシール部38とセンターシール部36」と、補正発明の「糊付けすべき面」とは、「接合面」である限りにおいて、一致する。
したがって、補正発明と刊行物1発明とは、次の点で一致している。
「操作卓を備えた袋状物品製造機であって、前記製造機の設定を、前記操作卓において、前記袋状物品の製造パラメータが変化するように変更することができる袋状物品製造機において、
前記操作卓が、袋状物品を図解表現することができる表示装置を有し、
前記表示装置は、袋状物品の、接合面を含む図解表現図を表示する袋状物品製造機。」

そして、補正発明と刊行物1発明とは、以下の点で相違している。
相違点1:製造対象について、補正発明では、「袋」であるが、刊行物1発明では、「包装体」である点。
相違点2:表示装置について、補正発明では「異なる製造パラメータを有する複数の袋の図解表現図」を表示し、且つ「袋の図解表現図の1つを選択可能な選択画面を有し、前記選択画面における前記袋の図解表現図の各々は、前記製造パラメータの1つである糊付けすべき面の図解表現図を含む」ものであるが、刊行物1発明では「選択された品種毎にその包装機1で得られる包装体FAのエンドシール部38とセンターシール部36とを含む包装体画像34」を表示するものである点。

(4)相違点の検討
相違点1について検討する。
袋そのものは、一般の商店で利用されているように周知であり、刊行物1発明の「包装体」における物品を入れる前の状態が「袋」ともいえ、技術的にも共通することから、この点は、単なる用途の差違にすぎない。

相違点2について検討する。
刊行物1発明は「選択された品種」を表示するものであるから、その前提として「品種」を選択する必要がある。
物品の製造工程において、物品に複数種類がある場合に、選択の便のため、複数の物品を画面表示し、選択することは、審尋において引用した特開平10-74107号公報の段落0166、0168、図8、図9、同じく特開平11-143516号公報の段落0016?0020、図2にみられるごとく周知である。
刊行物1発明において、相違点1を踏まえ、「袋」を製造する際、「袋」にも大きさ等、製造パラメータが異なる複数の種類があるから、選択の便のため、「異なる製造パラメータを有する複数の袋の図解表現図」を表示し、且つ「袋の図解表現図の1つを選択可能な選択画面」とすることに困難性は認められない。
「袋の図解表現図」の各々は、当然「製造パラメータの1つ」である「接合面」の図解表現図を含む。
ここで、「袋」を製造する際の「接合」の手法には、ヒートシール、糊付け等、種々の手法があり、適宜選択されている。
よって、接合手法として「糊付け」を採用し、「接合面」を「糊付け面」とすることは、適宜選択しうる設計的事項にすぎず、その結果、相違点2に係るものとなる。
請求人は、回答書で、補正発明の「糊付けすべき面」は「位置を補正するような製造パラメータではなく、糊付けすべき面のパターンを・・・変えるような製造パラメータ」である旨、主張する。
しかし、かかる主張は請求項1の記載に基づくものではないから、請求人の主張は根拠がない。
仮に、請求人の主張が、請求項1の記載に基づくものであるとしても、袋の種類・形態が変われば、「糊付けすべき面のパターン」が変わることは当然に想定されるから、この点は、設計的事項にすぎない。

さらに、これら相違点を総合しても、格別な技術的意義が生じるとは認められない。

以上のことから、補正発明は、刊行物1発明、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際、独立して特許を受けることができないものである。

3.むすび
したがって、本件補正は、改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本件出願の請求項に係る発明は、平成22年5月21日に補正された明細書、特許請求の範囲、図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2.1.(1)に記載されたとおりである。

2.刊行物等
これに対して、原査定の拒絶理由に引用された刊行物及びその記載内容は、上記第2.2.(2)に示したとおりである。

3.対比・検討
本願発明は、上記第2.2.で検討した補正発明において、付加された限定事項を削除するものである。
そうすると、本願発明を構成する事項のすべてを含み、さらに他の事項を付加する補正発明が、上記第2.2.(4)で示したとおり、刊行物1発明、周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないことから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-03-13 
結審通知日 2013-03-18 
審決日 2013-03-29 
出願番号 特願2006-534670(P2006-534670)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (B31B)
P 1 8・ 121- Z (B31B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 白川 敬寛  
特許庁審判長 千葉 成就
特許庁審判官 ▲高▼辻 将人
河原 英雄
発明の名称 袋製造機の操作卓  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 井野 砂里  
代理人 弟子丸 健  
代理人 渡邊 徹  
代理人 大塚 文昭  

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