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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04M
管理番号 1278358
審判番号 不服2012-13017  
総通号数 166 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-10-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-07-09 
確定日 2013-08-22 
事件の表示 特願2007-236063「携帯端末およびその筐体の嵌合構造」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 4月 2日出願公開、特開2009- 71461〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯と本願発明
本願は、平成19年9月12日の出願であって、平成24年5月18日に拒絶査定がなされ、これに対し、同年7月9日に拒絶査定に対する審判請求がなされたが、当審において平成25年3月29日付けで拒絶理由通知がなされ、これに対し、同年6月3日付けで手続補正がなされたものであって、特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成25年6月3日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。

「【請求項1】
嵌合可能な第1筐体および第2筐体を含む携帯端末であって、
前記第2筐体の側壁が前記第1筐体の側壁の内側に嵌合し、かつ前記第1筐体の側壁内部には金属板が挿入され、前記金属板が前記第2筐体の側壁の外側に延在し、前記第2筐体の側壁端部およびこの側壁端部と嵌合する前記第1筐体の側壁の内側部分には段差が設けられており、前記第1筐体の側壁が前記第2筐体の側壁を覆うようにしたことを特徴とする携帯端末。」

2.引用発明
(1)当審の拒絶の理由に引用文献4として引用された国際公開第2007/023846号(以下、「引用例1」という。)には、「表示ユニットを有する携帯機器」として図面とともに以下の事項が記載されている。

イ.「[0001] 本発明は携帯電話等の表示ユニットを有する携帯機器に関し、特に、小型薄型化と共に強度を向上させ、表示ユニットを保護する筐体構造の改良に関する。」(1頁)

ロ.「[0012] 本発明に係る表示ユニットを有する携帯機器は、表示ユニットを保持する連続した側壁を持つ有底凹部形状の金属板の成形体からなる金属構造体と、この金属構造体の表面に射出成形されて前記金属構造体と一体成形された額縁状の樹脂製筐体と、を有し、前記金属構造体と前記樹脂製筐体により筐体が構成されていることを特徴とする。
[0013] この携帯機器において、前記金属構造体は前記有底凹部形状部に沿ってリブ構造を有することが好ましい。これにより、筐体の剛性が高まる。」(2頁?3頁)

ハ.「[0026] 次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図 1は本発明の実施形態に係る表示ユニットを有する携帯機器の筐体構造を示す斜視図、図2はこの図1に示す金属構造体100を分離した分解斜視図、図3は金属構造体100の断面図、図4は表示ユニット組立後の折り畳み型携帯機器の斜視図、図5は図4の分解斜視図、図6は図4の断面図である。
[0027] 図1及び図2に示すように、金属構造体100は、液晶等の表示ユニットを保持する表示ユニット保持部101、表示ユニットのフレキシブルケーブルを通すケーブル孔102、液晶長手方向の曲げ剛性を保つリブ103、並びにスピーカ及びレシーバ用の孔104を有する。金属構造体100は、0.2mm?0.4mm程度の厚さのステンレス鋼の薄板によって、プレス加工にて成形される。この金属構造体100は、実使用時の塑性変形を抑制するために、ばね材といわれる弾性変形量が大きな鋼材を使用して成形することが望ましい。表示ユニット保持部101は絞り加工にて形成されており、曲げ及びねじり剛性が強い。
[0028] 金属構造体100には、額縁形状の樹脂筐体200が一体成形される。即ち、樹脂筐体200は金属構造体100の全体を囲むように、射出成形によって金属構造体100に対して一体成形される。このとき、金属構造体100の金属板と樹脂筐体200の樹脂被覆部とを連結するため、金属構造体100に微小な連結孔105を設け、樹脂がこの連結孔105に食い込むようにする。この一体成形後、樹脂筐体200及び金属構造体100は冷却されるため、熱収縮をおこすが、金属構造体100は樹脂の収縮に比べてはるかに少ない量しか収縮しない。このため、ゆがみが生じることが多い。
[0029] しかし、本発明では、金属構造体100を箱型にしており、単体での剛性が樹脂筐体200に比べ極めて高く更に、金属構造体100の外面を覆う樹脂筐体200の肉厚を均等にすることで、収縮による変形を相殺させることができる。また、荷重の加わりやすい長手方向については、金属構造体100に沿わせた樹脂の両側リブによって、樹脂の弾性力で金属の塑性変形を最小にすることが可能である。また、ヒンジ周辺部に ついては樹脂筐体で構成されるため、衝撃負荷に対して塑性変形することなく衝撃エネルギーの吸収が可能である。
[0030] 樹脂筐体200にはリアカバー300と嵌合固定させるためのリブ201と、スピーカ音孔202が設けられている。また、下部筐体との接続を行うためのヒンジ部203と、リアカバー300と固定するためのねじ孔204が形成されている。リアカバー300には、樹脂筐体200と嵌合するためのリブ301(図5参照)が設けられており、更に背面ディスプレイ孔302が穿孔されている。リアカバー300は、樹脂成形材であっても良いし、薄型化のために金属製でも良く又は両者を一体化したものでも可能である。
[0031] 次に、図5を参照して、本発明の実施形態の表示ユニットを有する携帯機器の組立方法について説明する。先ず、金属構造体100を一体成形した樹脂筐体200に、主表示ユニット400を組み付ける。表示ユニット400の配線は、ケーブル孔102を介して、実装基板500へ接続される。更に、主表示ユニット400の表面には、保護スクリーン600が、樹脂筐体200へ貼り付けられる。また、実装基板500には、背面表示ユニット孔501が設けられており、この背面表示ユニット孔501の位置に、背面表示ユニット700が設置される。リアカバー300には背面表示ユニット700の背面保護スクリーン800が接着される。リアカバー300と樹脂筐体200は、リアカバー300を樹脂筐体200に嵌合した後、固定ねじ900にて固定される。
[0032] 主表示ユニット400がバックライト方式の液晶である場合、ノックライトの導光板の光を効率よく反射させるため、反射板の部品を追加する必要があるが、本発明では反射部分が薄板ステンレス材であるため、予め鏡面に仕上げたステンレス材を使用することで、反射板を不要とできる。
[0033] 本発明の金属構造体100は、通常のプレス用材料では、弾性域が狭いために塑性変形を起こしやすい。一方、ばね性の高い材料は絞り加工を含む精密プレスには、その高いばね性によって成形性が悪いため、不向きである。本発明では金属構造体の形状を単純化することで、通常材よりもばね性をもたせた材料を使用することが可能になる。こうすることで、金属構造体100の弾性領域が増すため、樹脂材料の弾性率の要求値も高い必要がなくなり、樹脂材料の選択の幅が広がる。
[0034] このような携帯機器において、表示部分の装置の厚さは、保護スクリーンの厚さ、保護スクリーンと表示ユニットとの隙間、表示ユニットの厚さ、筐体の厚さ、背面表示ユニットの厚さ、背面保護スクリーンの厚さ、背面保護スクリーンと背面表示ユニットとの隙間の総厚によって最小厚が決まる。しかしながら、個々の厚さを薄くしてしまうと、材質を変更しなければ厚さの3乗に比例して強度は低下する。本発明では、筐体部分の厚さ及び強度が、表示ユニット保持部の面が樹脂の場合と比較して厚さが0.5倍 、強度比が6?8倍となり、マグネシウム合金と比較しても、厚さが0.6倍、強度比が約 1.2倍となる。更に、折り曲げ部分の強度があるため、装置の厚さを1/2にしても 、従来の樹脂構造の筐体と比べて同等以上の強度を確保可能である。」(6頁?8頁)

上記イ.?上記ハ.の記載及び図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、
引用例1には、上記イ.に記載されるように、携帯電話の筐体構造に関して記載がある。
上記ハ.に記載され、図4?図6に示されるように、「樹脂筐体200」と「リアカバー300」が嵌合されて「携帯電話」の筐体が構成されている。
ここで、図6において、リアカバー300の図示の上方向の垂直部、いわば『リアカバーの側壁』というべき部分の上部と、樹脂筐体200の図示の下方向への垂直部、いわば『樹脂筐体の側壁』というべき部分の下部とが嵌合していることが見てとれ、そして、上記ハ.の段落[0030]に記載され、図6に示されるように、樹脂筐体200にはリアカバー300と嵌合固定させるための「リブ201」が設けられており、リアカバー300には樹脂筐体200と嵌合固定させるための「リブ301」が設けられている。
また、上記ロ.及び上記ハ.の段落[0028]等に記載され、図6に示されるように、金属構造体100と樹脂筐体200とは射出成形により一体成形されており、金属構造体100は、『樹脂筐体の側壁』部分の内部であって、『リアカバーの側壁』の内側に設けられる構成となっている。ここで、金属構造体100は、上記ロ.に記載されるように、連続した側壁を持つ有底凹部形状の「金属板」の成型体である。

したがって、引用例1には以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が開示されている。

(引用発明1)
「樹脂筐体およびリアカバーを含む携帯電話であって、
前記リアカバーの側壁の上部が前記樹脂筐体の側壁の下部と嵌合し、かつ前記樹脂筐体の側壁内部には金属板が一体成形され、前記金属板が前記リアカバーの側壁の内側に設けられ、前記リアカバーの側壁及びリアカバーの側壁と嵌合する前記樹脂筐体の側壁にそれぞれリブが設けられている携帯電話。」

(2)当審の拒絶の理由に引用文献1として引用された特開平5-235821号公報(以下、「引用例2」という。)には、「携帯電話機」として図面とともに以下の事項が記載されている。

ニ.「【0001】
【産業上の利用分野】この発明は携帯電話機に関するものである。」(2頁1欄)

ホ.「【0021】また、図1に示した携帯電話機の筐体を製造するには、つぎのようにしてもよい。すなわち、まずドライブレンド法により発泡剤としてアゾダイカルボンアミドを所定量混合したABS樹脂コンパウンドを押出し成形機より押し出し、発泡させながら厚さ0.05cmの平板形状の発泡ABSを成形する。この場合、成形用金型に接した発泡ABS成形品の表面の外観はなめらかであり、木材に似た木理模様を呈しており、硬く、携帯電話機用筐体の表面形状として遜色ないものであった。つぎに、この発泡ABS成形品から所定形状の平板を切り取り、真空成形法により下部発泡筐体6、上部発泡筐体7となり得る形状に加工する。つぎに、このようにして成形加工した下部発泡筐体6、上部発泡筐体7、内部構成部品3を用いて、図1に示すような携帯電話機を構成する。」(3頁4欄)

ヘ.「【0024】図3はこの発明に係る他の携帯電話機を模式的に示した断面概略図である。図において、12はたとえばABSからなる筐体本体、13は発泡部材からなる発泡筐体蓋体で、筐体本体12の裏面と内部構成部品3の表面とが当接しており、発泡筐体蓋体13の裏面と内部構成部品3の表面とが当接している。14は筐体本体12、発泡筐体蓋体13によって構成される筐体の側面と内部構成部品3との間の空間である。」(4頁5欄)

上記ニ.?上記ヘ.の記載及び図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、
引用例2には、上記ニ.に記載されるように、携帯電話機の筐体の構造に関して記載があり、
上記ヘ.の記載及び図3に示されるように、携帯電話機の「筐体」は、ABSからなる「筐体本体」と、上記ホ.に記載される図1の筐体と同じ材料の発泡ABSからなる発泡筐体蓋体、すなわち『筐体蓋体』とから構成されており、
特に、図3に記載されるように、筐体蓋体の筐体本体と当接する図示の垂直部分、いわば『筐体蓋体の側壁』というべき部分は、筐体本体の筐体蓋体と当接する図示の垂直部分、いわば『筐体本体の側壁』というべき部分の内側に位置しており、
また、筐体本体の筐体蓋体と当接する『筐体本体の側壁』の内側部分には、『筐体蓋体の側壁』をその上に位置付ける『段差』が設けられており、
また、『筐体本体の側壁』の図示の上部は、『筐体蓋体の側壁』の図示の上部と面一で、かつ、外側に位置するものであるから、『筐体本体の側壁』は『筐体蓋体の側壁』を『覆うよう』に位置しているものといえる。

したがって、引用例2には以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が開示されている。

(引用発明2)
「筐体本体および筐体蓋体により筐体を構成する携帯電話機であって、
前記筐体蓋体の側壁が前記筐体本体の側壁の内側に位置しており、前記筐体蓋体の側壁を位置付ける前記筐体本体の側壁の内側部分には段差が設けられており、前記筐体本体の側壁が前記筐体蓋体の側壁を覆うようにした携帯電話機。」

3.対比
本願発明と引用発明1とを対比すると、
引用発明1の「携帯電話」は明らかに本願発明の「携帯端末」に相当する。
引用発明1の「樹脂筐体」は、引用発明1の「リアカバー」と嵌合されているから、両者が「嵌合可能」であるのは当然である。ここで、前記「樹脂筐体」、「リアカバー」は、それぞれ本願発明の「第1筐体」、「第2筐体」に相当する。

引用発明1では、「前記リアカバーの側壁の上部が前記樹脂筐体の側壁の下部と嵌合」しているのに対し、本願発明では、「前記第2筐体の側壁が前記第1筐体の側壁の内側に嵌合」している点で、嵌合の位置関係が相違しているものの、両発明は、「前記第2筐体の側壁が前記第1筐体の側壁と特定の位置関係で嵌合」している点で共通する。
引用発明1の「前記樹脂筐体の側壁内部には金属板が一体成形され、」については、引用例1の図6の記載からみて、前記「金属板」は、「樹脂筐体の側壁内部」に「一体成形」されることによって「挿入」されているといえるから、本願発明の「前記第1筐体の側壁内部には金属板が挿入され、」に相当する。
引用発明1では、「金属板」が「リアカバーの側壁の内側に設けられ」ているのに対し、本願発明では、「金属板」が「第2筐体の側壁の外側に延在し、」ている点で、「金属板」の設けられる位置が相違しているが、両発明は、「前記金属板が前記第2筐体の側壁の特定の側に設けられ」ている点で共通する。
引用発明1の「前記リアカバーの側壁及びリアカバーの側壁と嵌合する前記樹脂筐体の側壁にそれぞれリブが設けられている」については、引用例1の図6の記載からみて、それぞれの「リブ」によってそれぞれの側壁の端部に「段差」が設けられているものといえ、ここで、「段差」が設けられている位置は、本願発明の「前記第2筐体の側壁端部およびこの側壁端部と嵌合する前記第1筐体の側壁の内側部分」と相違するものの、両発明は、「前記第2筐体の側壁端部およびこの側壁端部と嵌合する前記第1筐体の側壁の特定の位置には段差が設けられ」ている点で共通する。

したがって、本願発明と引用発明1は、以下の点で一致ないし相違している。

(一致点)
「嵌合可能な第1筐体および第2筐体を含む携帯端末であって、
前記第2筐体の側壁が前記第1筐体の側壁と特定の位置関係で嵌合し、かつ前記第1筐体の側壁内部には金属板が挿入され、前記金属板が前記第2筐体の側壁の特定の側に設けられ、前記第2筐体の側壁端部およびこの側壁端部と嵌合する前記第1筐体の側壁の特定の位置には段差が設けられている携帯端末。」

(相違点)
(1)「前記第2筐体の側壁が前記第1筐体の側壁と特定の位置関係で嵌合し、」における「特定の位置関係」に関し、本願発明が「前記第2筐体の側壁が前記第1筐体の側壁の内側」であるのに対し、引用発明1が「前記リアカバーの側壁の上部が前記樹脂筐体の側壁の下部」である点
(2)「前記金属板が前記第2筐体の側壁の特定の側に設けられ、」の「特定の側に設けられ」関し、本願発明が第2筐体の側壁の「外側に延在」するものであるのに対し、引用発明1がリアカバーの側壁の「内側に設けられ」るものである点。
(3)「段差」が設けられている位置が、本願発明の「前記第2筐体の側壁端部およびこの側壁端部と嵌合する前記第1筐体の側壁の内側部分」であるのに対し、引用発明1では、「前記リアカバーの側壁及びリアカバーの側壁と嵌合する前記樹脂筐体の側壁」である点。
(4)本願発明では、「前記第1筐体の側壁が前記第2筐体の側壁を覆う」構成であるのに対し、引用発明1では、そのような構成となっていない点。

4.当審の判断
上記相違点(1)乃至(4)について検討する。
上記「2.引用発明」の(2)に記載したように、引用例2には、「筐体本体および筐体蓋体により筐体を構成する携帯電話機であって、前記筐体蓋体の側壁が前記筐体本体の側壁の内側に位置しており、前記筐体蓋体の側壁を位置付ける前記筐体本体の側壁の内側部分には段差が設けられており、前記筐体本体の側壁が前記筐体蓋体の側壁を覆うようにした携帯電話機。」という引用発明2が記載されている。
すなわち、引用発明2は、筐体本体(以下「一方の筐体」という。)と筐体蓋体(以下「他方の筐体」という。)からなる携帯電話機の筐体構造に関する発明であり、他方の筐体の側壁が一方の筐体の側壁の内側に位置し、かつ、一方の筐体の側壁が他方の蓋体の側壁を覆うようにした構造を有するものである。
ここで、当業者であれば、上記引用発明1に記載された、リアカバーの側壁の上部が樹脂筐体の側壁の下部と嵌合する携帯電話の筐体構造に対して、上記引用発明2に記載された携帯電話機の筐体構造を、一方の筐体を「樹脂筐体」に、他方の筐体を「リアカバー」として適用し、リアカバーの側壁が樹脂筐体の側壁の内側に嵌合し、かつ、樹脂筐体の側壁がリアカバーの側壁を覆うようにすることを適宜為し得るものである。
そのように為せば、引用発明1において、上記相違点(1)及び相違点(4)に関する構成を有することになる。
さらに、上記のとおり、引用発明1に引用発明2の筐体構造を適用することにより、「リアカバーの側壁が樹脂筐体の側壁の内側に嵌合」し、かつ、「樹脂筐体の側壁がリアカバーの側壁を覆う」構造を有することになれば、引用発明1において樹脂筐体の内側に設けられていた「金属板」は、リアカバーの側壁の外側に設けられることによって、「延在」することになる。また、引用発明1において、樹脂筐体及びリアカバーに設けられたリブによる「段差」は、リアカバーの側壁端部およびこの側壁端部と嵌合する樹脂筐体の側壁の内側部分に設けられることになる。
すなわち、引用発明1に引用発明2の筐体構造を適用すれば、引用発明1において、上記相違点(2)及び相違点(3)に関する構成も有することになる。

このように上記各相違点は格別なものでない。そして、本願発明の作用効果は、引用発明1、2から当業者が予測し得る範囲のものである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1、2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-06-19 
結審通知日 2013-06-25 
審決日 2013-07-09 
出願番号 特願2007-236063(P2007-236063)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 麻生 哲朗  
特許庁審判長 藤井 浩
特許庁審判官 山中 実
山本 章裕
発明の名称 携帯端末およびその筐体の嵌合構造  
代理人 ▲柳▼川 信  

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