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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1278497
審判番号 不服2012-7170  
総通号数 166 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-10-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-04-19 
確定日 2013-08-21 
事件の表示 特願2007-210590「半導体基体中に形成されたスパイラル形状インダクタ及びそのインダクタを形成するための方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年11月15日出願公開、特開2007-300143〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成16年8月20日(パリ条約による優先権主張2003年8月22日、米国)に出願した特願2004-240186号の一部を平成19年8月13日に新たな特許出願としたものであって、平成23年3月4日付けの拒絶理由通知に対して、同年9月9日に手続補正書及び意見書が提出されたが、同年12月13日付けで拒絶査定がなされた。
そして、平成24年4月19日に審判請求がされるとともに、手続補正書が提出され、その後同年8月22日付けで審尋がなされ、平成25年2月25日に回答書が提出された。

第2.平成24年4月19日に提出された手続補正書による補正について
1.本件補正の内容
平成24年4月19日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲を補正するものであり、以下のとおりである。

〈補正事項a〉
補正前の請求項5の「方法、」を、補正後の請求項5の「方法。」と補正する。

2.新規事項の追加の有無及び補正の目的の適否についての検討
補正事項aは、補正前の請求項5の「方法、」を、補正後の請求項5の「方法。」とする補正であり、誤記の訂正を目的とする補正に該当する。
したがって、補正事項aは、特許法第17条の2第4項(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項をいう。以下同じ。)第3号に掲げる誤記の訂正を目的とするものに該当する。

また、補正事項aは、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてなされたものであることは明らかであるから、補正事項aは、特許法第17条の2第3項(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項をいう。以下同じ。)に規定する要件を満たしている。

以上のとおり、補正事項aは特許法第17条の2第3項及び第4項に規定する要件を満たしているから、本件補正は、特許法第17条の2第3項及び第4項に規定する要件を満たすものである。

3.補正についてのむすび
以上検討したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項及び第4項に規定する要件を満たすものであるから、適法になされたものである。

第3.本願発明に対する判断
1.本願発明
上記第2.において検討したとおり、本件補正は適法になされたものであるから、本願の請求項1?6に係る発明は、本件補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?6に記載されている事項により特定されるとおりのものであり、そのうちの請求項1に係る発明は、請求項1に記載されている事項により特定される次のとおりのものである(以下「本願発明」という。)。

【請求項1】
「インダクタを形成する方法であって、
半導体基体を形成するステップ、
前記半導体基体内に能動要素を形成するステップ、
誘電体層を該基体の上層に形成するステップであって、該誘電体層が上表面からなるステップ、
該上表面上の導電線を形成するステップであって、該導電線は誘導効果を持ち、タングステンプラグが前記導電線から前記半導体基体内の少なくともひとつの能動要素へ延伸するステップ、及び、
該半導体基体の該導電線の少なくとも一部分の下方にある領域を除去するステップからなる方法。」

2.引用例の表示
引用例1:特開平6-77407号公報

3.引用例1の記載と、引用発明
(1)引用例1の記載
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張日前に日本国内において頒布された刊行物である、特開平6-77407号公報(以下「引用例1」という。)には、「半導体装置」(発明の名称)に関して、図1とともに、次の記載がある。(ここにおいて、下線は当合議体が付加したものである。以下同様。)

ア.発明の背景等
a.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体装置、特にインダクタを有する半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】シリコン集積回路等の半導体装置では、半導体基板上にインダクタを形成した場合、半導体基板の複素誘電率が無視できないため、供給されたエネルギ?が誘電損や渦電流損等として消費されてしまう。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】したがって、従来のシリコン集積回路等の半導体装置では、インダクタを形成することが困難あった。
【0004】本発明の目的は、インダクタを形成可能な半導体装置を得ることである。」

イ.実施例
b.「【0007】
【実施例】図1は、本発明の第1実施例を示したものであり、図1(A)はその平面形状を模式的に示した図であり、図1(B)はその断面形状を図1(A)のIB-IBに沿って模式的に示した図である。
【0008】シリコン基板11には、通常のシリコン集積回路用のものが用いられる。除去領域12(第1領域)は、シリコン基板11の一部を空洞状に除去したものであり、その大きさ(1辺の長さ)は通常10μm?1mm程度である。この除去領域12は、空洞でもよいし空洞部に酸化シリコン等の複素誘電率が低い絶縁材料を埋込んだものでもよい。絶縁層13(層厚は数10nm?数100nm程度)は、除去領域12およびその周囲に形成されており、窒化シリコン等の絶縁材料を用いて形成されている。配線層14(層厚は数100nm程度)は、インダクタの一方の引出し線となるものであり、モリブデンやアルミニウム等の金属やド?プトポリシリコン等の導電材料を用いて形成される。層間絶縁層15(層厚は数100nm程度)は、酸化シリコン等の絶縁材料を用いて形成されており、その一部には配線層14と配線層16とを接続するためのコンタクトホ?ル15aが形成されている。配線層16(層厚は1μm程度、線幅は1μm?数10μm程度)は、インダクタおよびインダクタの他方の引出し線となるものであり、金属(例えばアルミニウム)等の導電材料を用いて形成される。インダクタとなる部分は図1に示すように渦状に形成されている。保護絶縁層17は、通常のシリコン集積回路におけるパシベ?ション層と同様のものである。
【0009】つぎに、図1に示した第1実施例の製造方法の一例について説明する。まず、シリコン基板11上に所定の絶縁性薄膜を形成し、これを所定の形状にパタ?ニングして絶縁層13を形成する。つぎに、所定の導電性薄膜を形成し、これを所定の形状にパタ?ニングして配線層14を形成する。つぎに、層間絶縁層15を形成し、これを所定の形状にパタ?ニングしてコンタクトホ?ル15aを形成する。つぎに、所定の導電性薄膜を形成し、これを所定の形状にパタ?ニングして配線層16を形成する。つぎに、保護絶縁層17を形成する。最後に、所定のマスクパタ?ンを用いてシリコン基板11を裏面側からエッチングし、除去領域12を形成する。エッチングには水酸化カリウム水溶液、抱水ヒドラジン等を用いる。なお、除去領域12に絶縁材料を埋込む場合には、CVD法等を用いて酸化シリコン等の絶縁材料を空洞部に埋込む。」

ウ.発明の効果
c.「【0018】
【発明の効果】本発明では、半導体基板の一部を空洞状に除去した第1領域に対応してインダクタを形成したので、誘電損や渦電流損等を大幅に低減できる。したがって、良好なインダクタを形成することが可能となる。」

(2)引用発明
したがって、上記a.?c.を総合すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「シリコン集積回路用のシリコン基板11を準備する工程と、
前記シリコン基板11に絶縁層13と層間絶縁層15を形成する工程と、
前記層間絶縁層15上に所定の導電性薄膜を形成し、これを所定の形状にパタ?ニングしてインダクタおよびインダクタの引出し線からなる配線層16を形成する工程と、
前記シリコン基板11を裏面側からエッチングし、前記インダクタに対応した除去領域12を形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。」

4.対比
(1)次に、本願発明と引用発明とを対比する。
ア.引用発明の「半導体装置の製造方法」は、「インダクタ」「を形成」しているので、本願発明の「インダクタを形成する方法」に相当する。

イ.引用発明の「シリコン集積回路用のシリコン基板11を準備する工程」において、引用発明の「シリコン基板11」は、本願発明の「半導体基体」に対応するので、引用発明の「シリコン集積回路用のシリコン基板11を準備する工程」は、本願発明の「半導体基体を形成するステップ」に相当する。

ウ.引用発明の「前記シリコン基板11に絶縁層13と層間絶縁層15を形成する工程」において、引用発明の「絶縁層13」と「層間絶縁層15」は、本願発明の「誘電体層」に対応するので、引用発明の「前記シリコン基板11に絶縁層13と層間絶縁層15を形成する工程」は、本願発明の「誘電体層を該基体の上層に形成するステップであって、該誘電体層が上表面からなるステップ」に相当する。

エ.本願の明細書の段落【0024】には、「図11は、導電線66Aと同じ金属化層において終端76を伸ばすための導電性部材90からなるインダクタ89の実施例を示すものである。」と記載されており、図11とその平面図である図12には、いずれも導電線66Aから形成された、スパイラル状に形成された部分と、終端76を伸ばすための導電性部材90が、一体となってインダクタ89を構成することが示されている。したがって、本願発明において「インダクタ」を構成する「導電線」は、スパイラル状に形成された部分のみでなく、該スパイラル状に形成された部分の終端を伸ばした導電性部材を含みうるものと認められる。
一方、引用例1の段落【0008】には、「配線層16(層厚は1μm程度、線幅は1μm?数10μm程度)は、インダクタおよびインダクタの他方の引出し線となるものであり、金属(例えばアルミニウム)等の導電材料を用いて形成される。インダクタとなる部分は図1に示すように渦状に形成されている。」ことが記載されているから、引用発明における「インダクタ」とは、渦状に形成された配線層16の部分であり、上記「インダクタ」には同じ配線層16から形成された「インダクタの」「引出し線」が一体に形成されるものである。
したがって、引用発明の「インダクタおよびインダクタの引出し線からなる配線層16」は、本願発明の「導電線」に相当する。

オ.引用発明の「配線層16」は「インダクタおよびインダクタの引出し線からなる」ものであるから、「配線層16」が誘導効果を持つことは明らかである。

カ.上記エ.とオ.の検討によれば、引用発明の「前記層間絶縁層15上に所定の導電性薄膜を形成し、これを所定の形状にパタ?ニングしてインダクタおよびインダクタの引出し線からなる配線層16を形成する工程」は、本願発明の「該上表面上の導電線を形成するステップであって、該導電線は誘導効果を持」つ「ステップ」に相当する。

キ.引用発明の「前記シリコン基板11を裏面側からエッチングし、前記インダクタに対応した除去領域12を形成する工程」において、引用発明の「前記インダクタに対応した除去領域12を形成する」ことは、本願発明の「該導電線の少なくとも一部分の下方にある領域を除去する」ことに対応するので、引用発明の「前記シリコン基板11を裏面側からエッチングし、前記インダクタに対応した除去領域12を形成する工程」は、本願発明の「該半導体基体の該導電線の少なくとも一部分の下方にある領域を除去するステップ」に相当する。

(2)そうすると、本願発明と引用発明の一致点と相違点は、次のとおりとなる。

《一致点》
「インダクタを形成する方法であって、
半導体基体を形成するステップ、
誘電体層を該基体の上層に形成するステップであって、該誘電体層が上表面からなるステップ、
該上表面上の導電線を形成するステップであって、該導電線は誘導効果を持つステップ、及び、
該半導体基体の該導電線の少なくとも一部分の下方にある領域を除去するステップからなる方法。」

《相違点》
《相違点1》
本願発明は、「前記半導体基体内に能動要素を形成するステップ」を有するのに対して、引用発明は、「シリコン集積回路用のシリコン基板11を準備する工程」を有するものの、「シリコン集積回路用のシリコン基板11」に能動要素を形成するか否かが、不明である点。

《相違点2》
本願発明は、「タングステンプラグが前記導電線から前記半導体基体内の少なくともひとつの能動要素へ延伸する」のに対して、引用発明は、このような構成を有していない点。

5.相違点1、2についての判断
(1)相違点1について
引用発明の「シリコン集積回路用のシリコン基板11を準備する工程」において、引用発明の「シリコン基板11」は、「シリコン集積回路用」であるので、シリコン集積回路を形成するために、当然ながら、「シリコン基板11」内には能動要素が形成してあるものと認められる。
したがって、引用発明の「シリコン集積回路用のシリコン基板11を準備する工程」は、実際には、本願発明の「前記半導体基体内に能動要素を形成するステップ」を含むものと認められるから、相違点1は実質的なものではない。
また、仮に相違点1が実質的なものであるとしても、「半導体基体内に能動要素を形成する」ことは、半導体技術分野の技術常識であるので、引用発明の「シリコン集積回路用のシリコン基板11を準備する工程」において、本願発明の「前記半導体基体内に能動要素を形成するステップ」を含むようになすことは、当業者が容易になし得たことと認められる。
よって、上記相違点1は、実質的なものではないか、そうではないとしても、当業者が容易になし得た範囲に含まれる程度のものである。

(2)相違点2について
引用例1には、「インダクタの他方の引出し線」をどこに接続するか、その接続先について記載されていないが、「インダクタの他方の引出し線」を、コンタクトホールを介して半導体基体内の能動要素に接続し得ることは、本願の優先権主張日前に日本国内において頒布された刊行物である、以下の周知文献1、2に記載されているように、周知技術と認められる。

周知文献1:特開2002-164512号公報(例えば、段落【0040】、【0041】、及び、図1の記載を参照)には、「平坦化膜28には、ソース/ドレイン拡散層24a、24bに達するコンタクトホール30が形成されている。」(段落【0040】)、「コンタクトホール30が形成された平坦化膜28上には、Alより成る配線32a及びインダクタ32bが形成されている。インダクタ32bは、配線32aを介して、pチャネルMOSFET26aのソース/ドレイン拡散層24aや、nチャネルMOSFET26bのソース/ドレイン拡散層24b等に電気的に接続されている。」(段落【0041】)ことが、記載されている。

周知文献2:特開2001-168288号公報(例えば、段落【0019】、【0020】、及び、図1、図2の記載を参照)には、「次に、図2(b)の状態のシリコン基板1の表面全体に、CVD法により酸化シリコン膜10を形成する。この酸化シリコン膜10に対して、通常のフォトリソグラフィ工程およびエッチング工程を行うことにより、ソース・ドレイン電極用のコンタクトホール11を形成する。図2(c)はこの状態を示す。」(段落【0019】)、「次に、図2(c)の状態のシリコン基板1の表面全体に、スパッタリング法によりアルミニウム合金からなる薄膜を形成する。この薄膜に対して、通常のフォトリソグラフィ工程およびエッチング工程を行うことにより、インダクタ100のパターンおよびソース・ドレイン電極12等の配線を形成する。次に、この状態のシリコン基板1の表面全体に、CVD法により窒化シリコン膜15を保護膜として形成する。図2(d)はこの状態を示す。」(段落【0020】)ことが、記載されている。
なお、周知文献2においては、「インダクタ100のパターンおよびソース・ドレイン電極12等の配線を形成する」ので、必要に応じて、「インダクタ100のパターン」と、「ソース・ドレイン電極12等の配線」は、接続できるものと認められる。

また、インダクタとその下層の導電部材を、コンタクトホールを介して接続するにあたり、上記コンタクトホールにタングステンプラグを形成することは、本願の優先権主張日前に日本国内において頒布された刊行物である、以下の周知文献3、4に記載されているように、周知技術と認められる。

周知文献3:特開2000-22085号公報(例えば、段落【0003】、及び、図9、図10の記載を参照)には、従来の技術として、「第1の金属配線5は、第1の層間絶縁膜4に形成されたコンタクト孔に埋め込まれたタングステンなどの接続プラグ6を介して半導体基板1と電気的に接続されている。」、「第2の層間絶縁膜6(当合議体注:「6」は「7」の誤記と認められる。)は、CMPなどにより表面が平坦化され、この平坦化された表面にアルミニウムなどの金属膜をパターニングしてスパイラル状のインダクタ7(当合議体注:「7」は「8」の誤記と認められる。)が形成されている。インダクタ8は、第2の層間絶縁膜7に形成されたコンタクト孔に埋め込まれたタングステンなどの接続プラグ9を介して半導体基板1と電気的に接続されている。」(いずれも、段落【0003】)ことが、記載されている。

周知文献4:特開2002-9299号公報(例えば、段落【0029】、【0030】、及び、図12?図14の記載を参照)には、「次に、図12に示した構造上の全面に層間絶縁膜15を形成した後、層間絶縁膜15内に、ソース・ドレイン領域14a1,14a2,14b1,14b2にそれぞれ繋がり、タングステン等の金属プラグによって内部が充填されたコンタクトホール16a1,16a2,16b1,16b2を、それぞれ選択的に形成する。次に、層間絶縁膜15上に、アルミ等の金属から成る配線17a?17cを、それぞれ選択的に形成する。配線17aはコンタクトホール16a1に繋がり、配線17bはコンタクトホール16a2,16b1に繋がり、配線17cはコンタクトホール16b2に繋がっている(図13)。」(段落【0029】)、「次に、図13に示した構造上の全面に層間絶縁膜18を形成した後、層間絶縁膜18内に、配線17aに繋がり、金属プラグによって内部が充填されたコンタクトホール19を選択的に形成する。次に、層間絶縁膜18上に、コンタクトホール19に繋がるスパイラルインダクタ20と、スパイラルインダクタ20に繋がる配線21と、配線21に繋がるパッド22とを、それぞれ選択的に形成する(図14)。図14に示すように、スパイラルインダクタ20及びパッド22は、素子分離絶縁膜7aの上方にのみ存在する。」(段落【0030】)ことが、記載されている。

すると、引用発明の「インダクタおよびインダクタの引出し線からなる配線層16を形成する工程」において、「インダクタの引出し線」の接続先として、上記周知文献1、2に記載されているように、コンタクトホールを介して半導体基体内の能動要素を選択し、上記コンタクトホールを介して接続するにあたり、上記周知文献3、4に記載されているように、上記コンタクトホールにタングステンプラグを形成することにより、本願発明の「タングステンプラグが前記導電線から前記半導体基体内の少なくともひとつの能動要素へ延伸する」ようになすことは、当業者が適宜なし得たことと認められる。
よって、上記相違点2は、当業者が適宜になし得た事項の範囲に含まれる程度のものである。

6.判断についてのまとめ
上記5.の(1)、(2)で検討したとおり、引用発明において、上記相違点1、2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。

第4.結言
以上のとおり、本願発明は、周知の技術事項を勘案することにより、引用例1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-03-27 
結審通知日 2013-03-28 
審決日 2013-04-10 
出願番号 特願2007-210590(P2007-210590)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 573- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 今井 聖和須原 宏光  
特許庁審判長 池渕 立
特許庁審判官 早川 朋一
鈴木 匡明
発明の名称 半導体基体中に形成されたスパイラル形状インダクタ及びそのインダクタを形成するための方法  
代理人 岡部 正夫  
代理人 岡部 讓  
代理人 吉澤 弘司  

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