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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1278809 |
審判番号 | 不服2011-24424 |
総通号数 | 166 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-10-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-11-11 |
確定日 | 2013-09-04 |
事件の表示 | 特願2008- 43586「情報表示端末機及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 9月18日出願公開、特開2008-217790〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成20年2月25日(パリ条約による優先権主張2007年3月2日、大韓民国)の出願であって、平成22年6月14日付けで拒絶理由通知がなされ、同年9月15日付けで手続補正がなされ、平成23年7月8日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年11月11日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 平成23年11月11日付けの手続補正についての補正却下の決定 〔結論〕 平成23年11月11日付けの手続補正を却下する。 〔理由〕 1.補正内容 平成23年11月11日付けの手続補正(以下、「本件補正」と呼ぶ。)は、補正前の特許請求の範囲の請求項1を、補正後の請求項1に変更する補正事項を含むものである。 そして、補正前の請求項1及び補正後の請求項1の各記載は、それぞれ、以下のとおりである。 <補正前の請求項1> 「 【請求項1】 サーバーから移動通信網を通じてブロードキャスティングされた情報をブロードキャスト情報として受信してバッファリングすることと、 タッチスクリーンのあらかじめ定義された領域を横切って前記情報をスクロールすることと、 前記タッチスクリーンでスライディングタッチを検出することと、 前記スライディングタッチの方向によって、前記スクロールされる情報の以後情報を表示することであって、前記表示することは、前記スライディングタッチの方向が前記情報のスクロール方向に対応する場合に、前記情報のスクロール速度を速めることを含む、ことと を含む、タッチスクリーンを含む移動端末機上に情報を表示する方法。」 <補正後の請求項1> 「 【請求項1】 サーバーから移動通信網を通じてブロードキャスティングされた情報をブロードキャスト情報として受信してバッファリングすることと、 タッチスクリーンのあらかじめ定義された領域を横切って前記情報をスクロールすることと、 前記タッチスクリーンでスライディングタッチを検出することと、 前記スライディングタッチの方向によって、前記タッチスクリーンの前記あらかじめ定義された領域に前記スクロールされる情報の以後情報を表示することであって、前記表示することは、前記スライディングタッチの方向が前記情報の現在のスクロール方向に対応する場合に、前記情報のスクロール速度を速めることを含む、ことと を含む、タッチスクリーンを含む移動端末機上に情報を表示する方法。」 2.本件補正に対する判断 本件補正の内の上記補正事項は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の上記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」と呼ぶ。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成23年法律第63号改正附則第2条第18項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下検討する。 2-1.本願補正発明 本願補正発明は、上記「1.」の<補正後の請求項1>の欄に転記したとおりのものである。 2-2.引用例 原査定の拒絶の理由に引用された、特表2003-512668号公報(以下、「引用例」と呼ぶ。)には、以下の記載がある。 「 【0001】 [発明の分野] 本発明はユーザによって選択可能であるように情報を提示する情報処理装置に関する。本発明は更にユーザによって選択可能であるように情報を提示するコンピュータプログラム製品及びシステムに関する。 【0002】 [発明の背景] ワールドワイドウェブが発達するにつれ、オンラインでアクセス可能な情報の量が増えている。インターネット端末は、家庭だけでなく、学校、図書館、ショッピングセンター、カフェといった公共的な場所でも利用可能である。インターネット技術は、主に、情報源の場所とは関係なく世界中のどこからでも情報にアクセスするための手段として使用される。それだけでなく、地域社会で使用するためにインターネット技術を適用することについての関心が高まっている。例えば、インターネット技術は、地域の他の人を助け、興味を持たせ、楽しませるような情報を投稿し、それにより地域社会のメンバー間のつながりや活動を強めることを可能としうる。地域社会でのこのような情報交換を支援し、地域活動への人々の参加を促進させるよう、オンライン情報を探すための利用が容易で人をひきつけるようなユーザインタフェースが必要とされる。 【0003】 [発明の目的及び概要] 本発明は、利用が容易でユーザによるオンライン情報の探索を促進させるような改善されたユーザインタフェースを提供する冒頭の段落に定義される種類の情報処理装置及びシステムを提供することを目的とする及びシステムを提供することを目的とする。そのために、本発明による情報処理装置は、夫々の情報ユニットへの流れるリンクを含むフローゾーンを表示するフローゾーン手段と、ユーザがフローゾーン内のリンクを選択するとそれに応じて選択された情報ユニットを提示する情報選択手段とを含む。フローゾーンは、例えば境界の近くの狭い帯部といった表示画面上に任意の領域でありうる。流れるリンクは、情報の特定のトピックを示すテキストストリング又はかかるトピックを表わすグラフィックアイコンでありうる。リンクの数がフローゾーン中で表示されうるリンクの数よりも多ければ、流れるリンクはフローゾーンの終わりに達すると消え、しばらくするとフローゾーンの始まりに現れる。このようにして、リンクが自動的にユーザの注意を引くことが達成される。ユーザはどのリンクが利用可能であるかを明示的に示し続いてかかるリンクの大きな組をブラウズすることは要求されない。情報処理装置は、カフェといった公共の場所での使用のためにテーブルに内蔵されえ、その場合は、人々が多数の方向から情報リンクを認識することを可能とするために、フローゾーンは表示画面の全ての境界に沿って流れうる。 【0004】 本発明による情報処理装置の実施例は、フローゾーンが、流れるリンク(103)の流れの速度及び/又は流れの方向を制御するユーザによって操作可能な流れ制御手段(202)を含むことを特徴とする。これは、ユーザが流れの速度を自分の個人的な好みに適応させうるという利点がある。例えば、照明条件が悪いために読み取りが困難である場合、流れの速度は遅くされうる。流れ制御手段は、例えば流れの速度を遅くするため及び速くするための専用の制御部を含みうる。 【0005】 ユーザは直接的な操作により流れの速度を制御することが可能であることが望ましい。本発明による情報処理装置の実施例は、流れ制御手段(203)が、フローゾーン内で場所を選択するためのユーザ操作可能なポインティング及び選択手段(204)を含み、流れ制御手段はユーザがフローゾーン内で場所を静的に選択することに応じて流れを止めるよう配置されることを特徴とする。ポインティング及び選択手段は、表示画面上でカーソルを再配置し、例えばボタンをクリックすることにより新しい場所での操作を確認するためのコンピュータマウス、ジョイスティックを含みうる。或いは、装置は、ユーザがフローゾーンの中の場所で画面を触ることにより流れを止めることを可能とするタッチスクリーンを含みうる。 【0006】 本発明による情報処理装置の実施例は、流れ制御手段(203)が、ユーザが場所を選択し、場所を流れの方向にドラッグするとそれに応じて流れの速度を高めるよう配置されることを特徴とする。これは、流れの速度を高めるための直感的な方法を与える。ユーザは、流れがホイールを回転させるように前方に加速されうるという印象を得る。結果としての速度は、カーソル又はタッチ場所がフローゾーンの内側で終わるか外側で終わるかに依存する。前者の場合は、加速は一時的であり、続いて減速され、最終的には流れが停止される。流れ制御手段は、ユーザがフローゾーンを触るとそれに応じて、流れを瞬間的に止めるのではなく、例えば流れの速度を徐々に低下させることによって、慣性及び摩擦をシミュレートしうる。同様に、速度を高めることも徐々に行なうことにより、ホイールを回転させているという印象を強めうる。 【0007】 本発明による情報処理装置の実施例は、流れ制御手段(203)が、ユーザが場所を選択し場所を流れの方向に対抗してドラッグするとそれに応じて流れの方向を逆にするよう配置されることを特徴とする。このようにして、ユーザは、例えば画面から消える前に注意を引いたリンクへ戻ろうとする場合、流れの方向を反対にすることができる。反転は、流れの速度の加速のために用いられたのと同じストロークジェスチャーを逆の方向で用いることによって行なわれうる。」 「 【0015】 ・・・(略)・・・望ましい実施例では、装置は携帯型装置である。例えば、装置は、可能であれば移動型コンピュータ又は電話機と一体化されるハンドヘルド式装置であり得る。・・・(略)・・・」 「 【0017】 [実施例の説明] 本発明の上述及び他の面は、以下説明される実施例を参照して非制限的な例を用いて明らかとなろう。図1は、内蔵型情報処理装置と本発明によるタッチスクリーン101とを有する例えばコーヒーコーナーテーブルといったテーブルの上面の部分100を示す図である。テーブルは円形又は楕円形であり、タッチスクリーンはテーブル上面100の半分を占める。タッチスクリーン101の境界はテーブル上面100の縁に沿う。或いは、タッチスクリーン101を矩形とし、湾曲した形状であるという印象を与えるため部分的に覆われるようにしてもよい。タッチスクリーン101は、フローゾーン102、提示ゾーン106、エージェントゾーン105、モードゾーン107、トークンゾーン110、及び、注釈ゾーン115を含む。 【0018】 タッチスクリーン101の最も外側の領域は、デフォルトで左から右へ現在の速度で流れる情報リンク103を提示するフローゾーン102を含む。各リンクは、関連する情報ユニットを表わすテキストストリング又はグラフィックアイコンを含む。より進んだ実施例では、リンクは動画及び/又はサウンドを提示しうる。各対をなすリンク103の間には、ユーザが流れの速度及び/又は流れの方向を制御することを可能とする流れ制御領域104が表示される。ユーザが流れ制御領域104のうちのいずれか1つにおいてタッチスクリーン101に触ると、流れは止まり、ユーザが現在表示されているリンクをより入念に調べることを可能とする。他のモードでは、流れ制御領域104に触ることにより、流れは減速し、最終的には停止し、それにより摩擦の印象を与える。より進んだ実施例では、タッチスクリーンは更にユーザの指によって与えられた圧力を測定する手段を含み、流れ制御領域104を触ることにより測定された圧力に応じた減速が生ずる。ユーザが流れ制御領域104を触り、流れ方向へのストロークジェスチャーによってこれをドラッグすると、流れの速度は増加し、加速はストロークジェスチャーの速度に依存する。ストロークジェスチャーがフローゾーン102の外側で終わる場合、流れの速度はより高いレベルに維持され、他の実施例では、元のレベルまで徐々に低下する。ストロークジェスチャーがフローゾーン102の内側で終わる場合、流れは摩擦がシミュレートされるかどうかに依存して止まるか減速する。 【0019】 流れの方向に対抗するストロークジェスチャーは流れの方向を変化させ、流れの速度はストロークジェスチャーの速度に依存する。 【0020】 ユーザが情報リンク103に触ると、リンクは関連する情報ユニットの最大化された提示108まで拡がり、これは提示ゾーン106において行なわれる。他の実施例では、ユーザはリンク103を提示ゾーン106まで明示的にドラッグする必要があり、これは別々の流れ制御領域を設ける必要性をなくす。提示ゾーン106は、タッチスクリーン101の大部分の中央の領域を占めることが望ましい。実際の提示108は、提示ゾーン106の中で固定の位置及び向きを有する。他の実施例では、位置及び向きはドラッグされたリンク103の開始及び/又は終了位置に依存しうる。例えば、リンク103が図1の提示ゾーン106の左側へドラッグされると、提示108の向きはテーブル上面100の左側に座っている観察者に対して最適化されうる。提示ゾーン106の中で提示108をドラッグすることは同じ効果を有しうる。提示108は、テキスト、グラフィック、動画、及び、サウンドといった任意のタイプの情報を含みうる。特定の内容にリンクされる関連情報109もまた提示ゾーン106に示され、それらに触ることにより最大化された提示まで拡げられる。」 そして、上記記載を引用例の関連図面と技術常識に照らせば、以下のことがいえる。 (1)段落【0001】?【0003】、【0015】等の記載を踏まえると、引用例の「情報処理装置」は、「サーバから移動通信網を通じて送信された情報を受信して表示する移動端末機」といい得る装置を当然に含んでいる。 (2)段落【0003】にあるように、引用例の「流れるリンク」は、リンクの数がフローゾーン中で表示されうるリンクの数よりも多ければ、フローゾーンの終わりに達すると消え、しばらくするとフローゾーンの始まりに現れるように表示されるものであるが、該「流れるリンク」をそのように表示することは、「タッチスクリーンのフローゾーンを横切ってリンクをスクロールすること」に他ならない。また、そこでいう「リンク」は「情報」の一種である。 (3)段落【0006】や【0018】の記載から明らかなように、上記「流れるリンク」の流れの速度は、流れ方向へのストロークジェスチャーによって増加させられるものであるが、そのような動作のためにタッチスクリーンでストロークジェスチャーを検出していることは明らかである。 また、そのように速度が増加させられた際にフローゾーンに表示される情報は、上記「ストロークジェスチャー」がなされなかった場合に「フローゾーンにスクロールされる情報」に対する「以後情報」といい得るものである。 以上を踏まえ、上記「情報処理装置」において実行される方法に着目すると、引用例には、次の発明(以下、「引用例記載発明」と呼ぶ。)が記載されているといえる。 「サーバーから移動通信網を通じて送信された情報を受信することと、 タッチスクリーンのフローゾーンを横切って前記情報をスクロールすることと、 前記タッチスクリーンでストロークジェスチャーを検出することと、 前記ストロークジェスチャーの方向によって、前記タッチスクリーンの前記フローゾーンに前記スクロールされる情報の以後情報を表示することであって、前記表示することは、前記ストロークジェスチャーの方向が前記情報の現在のスクロール方向に対応する場合に、前記情報のスクロール速度を速めることを含む、ことと を含む、タッチスクリーンを含む移動端末機上に情報を表示する方法。」 2-3.対比 本願補正発明と引用例記載発明とを対比すると、次のことがいえる。 (1)引用例記載発明の「サーバーから移動通信網を通じて送信された情報を受信すること」と本願補正発明の「サーバーから移動通信網を通じてブロードキャスティングされた情報をブロードキャスト情報として受信してバッファリングすること」は、「サーバーから移動通信網を通じて送信された情報を受信すること」である点で共通する。 (2)引用例記載発明の「タッチスクリーンのフローゾーン」は、本願補正発明の「タッチスクリーンのあらかじめ定義された領域」に相当する。 (3)引用例記載発明の「ストロークジェスチャー」は、本願補正発明の「スライディングタッチ」に相当する。 したがって、本願補正発明と引用例記載発明の間には、以下の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「サーバーから移動通信網を通じて送信された情報を受信することと、 タッチスクリーンのあらかじめ定義された領域を横切って前記情報をスクロールすることと、 前記タッチスクリーンでスライディングタッチを検出することと、 前記スライディングタッチの方向によって、前記タッチスクリーンの前記あらかじめ定義された領域に前記スクロールされる情報の以後情報を表示することであって、前記表示することは、前記スライディングタッチの方向が前記情報の現在のスクロール方向に対応する場合に、前記情報のスクロール速度を速めることを含む、ことと を含む、タッチスクリーンを含む移動端末機上に情報を表示する方法。」である点。 (相違点1) 本願補正発明の方法において受信する「サーバーから移動通信網を通じて送信された情報」は、「サーバーから移動通信網を通じてブロードキャスティングされたブロードキャスト情報」であるのに対し、引用例記載発明の方法において受信する「サーバーから移動通信網を通じて送信された情報」は、「サーバーから移動通信網を通じてブロードキャスティングされたブロードキャスト情報」であるとは限らない(引用例には、引用例記載発明の方法において受信する「サーバーから移動通信網を通じて送信された情報」についての具体的記載がない。)点。 (相違点2) 本願補正発明は、「サーバーから移動通信網を通じて送信された情報を受信してバッファリングすること」という工程を有するのに対し、引用例記載発明は、「サーバーから移動通信網を通じて送信された情報を受信してバッファリングすること」という工程を有するとは限らない(引用例には、「バッファリング」に関する記載がない。)点。 2-4.判断 (1)(相違点1)について 以下の事情を勘案すると、引用例記載発明の方法において受信する「サーバーから移動通信網を通じて送信された情報」を、「サーバーから移動通信網を通じてブロードキャスティングされたブロードキャスト情報」とすることは、当業者が容易に推考し得たことというべきである。 ア.一般に、用途ないし応用分野が特定のものに限定されない発明、すなわち、はん用性を有する発明を、当該発明が有用な範囲で、特定の用途ないし応用分野に適用することは、当業者が普通に試みることである。 イ.これを引用例記載発明についてみるに、引用例には、引用例記載発明の用途ないし応用分野が特定のものに限定される旨の記載はないから、引用例記載発明は、上記はん用性を有する発明である。 したがって、引用例記載発明を、引用例記載発明が有用な範囲で、特定の用途ないし応用分野に適用することは、当業者が容易に推考し得たことである。 ウ.一方、「移動端末機上に情報を表示する方法」といい得る方法の用途ないし応用分野として、「『サーバーから移動通信網を通じてブロードキャスティングされたブロードキャスト情報』の移動端末機上への表示」は、特開2005-73026号公報の【技術分野】及び【背景技術】の欄等にも示されるように本願出願前に周知であり、そのような周知の用途ないし応用分野においても、引用例記載発明が有用であることは、当業者に自明のことである。 エ.以上によれば、引用例記載発明の方法を、「『サーバーから移動通信網を通じてブロードキャスティングされたブロードキャスト情報』の移動端末機上への表示」に適用することは、当業者が容易に推考し得たことである。 オ.以上のことは、引用例記載発明の方法において受信する「サーバーから移動通信網を通じて送信された情報」を、「サーバーから移動通信網を通じてブロードキャスティングされたブロードキャスト情報」とすることが、当業者にとって容易であったことを意味している。 (2)(相違点2)について 上記平成22年6月14日付けで拒絶理由通知の請求項2及び10についての備考欄で言及されている上記特開2004-213512号公報の段落【0050】等にも示されるようにように、受信した情報をバッファリングすることも本願出願前に周知であり、該周知の技術が引用例記載発明においても有用かつ採用可能であることは当業者に自明である。 してみれば、引用例記載発明を、「サーバーから移動通信網を通じて送信された情報を受信してバッファリングすること」という工程を有するものとすることも、当業者が容易に推考し得たことというべきである。 (3)本願補正発明の効果について 本願補正発明の構成によってもたらされる効果は、引用例に記載された事項及び周知の事項から当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。 (4)まとめ 以上によれば、本願補正発明は、引用例記載発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3.むすび したがって、本件補正は、平成23年法律第63号改正附則第2条第18項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」と呼ぶ。)は、平成22年9月15日付けの手続補正書の請求項1に記載されたとおりのものであり、上記「第2」の「1.」の<補正前の請求項1>の欄に転記したとおりのものである。 2.引用例 原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及びその記載事項は、上記「第2」の「2.」の「2-2.」の欄に記載したとおりである。 3.対比・判断 本願発明は、上記「第2」で検討した本願補正発明から、限定事項の一部を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに特定の限定を施したものに相当する本願補正発明が、上記「第2」の「2.」の欄に記載したとおり、引用例記載発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用例記載発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例記載発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-04-10 |
結審通知日 | 2013-04-11 |
審決日 | 2013-04-23 |
出願番号 | 特願2008-43586(P2008-43586) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 円子 英紀 |
特許庁審判長 |
小曳 満昭 |
特許庁審判官 |
五十嵐 努 山田 正文 |
発明の名称 | 情報表示端末機及び方法 |
代理人 | 安村 高明 |
代理人 | 山本 秀策 |
代理人 | 森下 夏樹 |