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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  H01L
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H01L
審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  H01L
管理番号 1279058
審判番号 無効2007-800172  
総通号数 167 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-11-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2007-08-24 
確定日 2013-07-31 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3431115号「ケミカルメカニカルポリシングの操作をインシチュウでモニタするための装置及び方法」の特許無効審判事件についてされた平成24年2月21日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において「特許庁が無効2007-800172号事件について平成24年2月21日にした審決中,『特許第3431115号の請求項9,18,19,20,24,25,27,28,29,30,31,32,39,52に係る発明についての特許を無効とする。』との部分を取り消す。」との審決取消の判決(平成24年(行ケ)第10232号平成25年3月13日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第3431115号の請求項9、18、19、20、24、25、27、28、29、30、31、32、39、52に係る発明についての本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、その113分の52を請求人の負担とし、113分の61を被請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
平成 8年 3月28日 出願(パリ条約による優先権主張外国庁受理1995年3月28日、米国、特願平8-74976号)
平成15年 5月23日 設定登録
平成15年 7月28日 特許公報発行(特許第3431115号)
平成15年11月27日 異議申立(1)(異議申立人、北村清隆、審判2003-72913号)
平成15年12月26日 異議申立(2)(異議申立人、松原いづみ、審判2003-72913号)
平成16年 4月22日 取消理由通知
平成16年10月29日 意見書、訂正請求書
平成17年12月14日 異議決定(訂正を認め、維持決定)
平成19年 8月24日 無効審判請求(無効2007-800172号)
平成20年 1月16日 被請求人、答弁書を提出
平成20年 5月16日受付 被請求人、口頭審理陳述要領書を提出
平成20年 5月16日 請求人、口頭審理陳述要領書を提出
平成20年 5月29日 口頭審理
平成20年 6月 5日受付 被請求人、上申書を提出
平成21年 7月16日受付 被請求人、上申書を提出
平成21年10月14日 審決(「特許第3431115号の請求項1、9、18ないし20、24ないし25、27ないし32、39ないし40、42ないし46、48ないし49、51ないし52に係る発明についての特許を無効とする。特許第3431115号の請求項2ないし8、10ないし17、21ないし23、26、33ないし38、41、47、50に係る発明についての審判請求は、成り立たない。」以下、「一次審決」という。)
平成21年11月20日 請求人出訴(平成21年(行ケ)第10370号)
平成22年 2月22日 被請求人出訴(平成22年(行ケ)第10061号)
平成22年 5月24日 被請求人訂正審判請求(訂正2010-390050号)
平成22年 7月30日 平成22年(行ケ)第10061号の決定(「特許第3431115号の請求項1、9、18ないし20、24ないし25、27ないし32、39ないし40、42ないし46、48ないし49、51ないし52に係る発明についての特許を無効とする。」との部分を取り消す。)
平成22年 8月30日 訂正請求期間内の訂正請求書の提出がなかったので、訂正2010-390050号の訂正審判の請求書を本件無効審判の訂正請求とみなす(以下、本訂正請求による訂正を「一次訂正」という。)
平成22年10月12日 請求人、弁駁書を提出
平成22年12月 1日 被請求人、上申書を提出
平成22年12月28日 平成21年(行ケ)第10370号判決(請求棄却)
平成23年 1月24日 審決(「特許第3431115号の請求項1、9、46、18ないし20、24ないし25、27ないし32、39ないし40、42ないし44、48ないし49、51ないし52に係る発明についての特許を無効とする。特許第3431115号の請求項45に係る発明についての審判請求は、成り立たない。」以下、「二次審決」という。)
平成23年 6月 3日 被請求人出訴(平成23年(行ケ)第10177号)
平成23年 9月 1日 被請求人訂正審判請求(訂正2011-390106号)
平成23年 9月14日 平成23年(行ケ)第10177号の決定(「特許第3431115号の請求項1、9、46、18ないし20、24ないし25、27ないし32、39ないし40、42ないし44、48ないし49、51ないし52に係る発明についての特許を無効とする。」との部分を取り消す。)
平成23年10月21日 訂正2011-390106号の却下審決
平成23年12月 8日 被請求人、訂正請求書を提出(以下、本訂正請求による訂正を「二次訂正」という。)
平成24年 1月12日 請求人、弁駁書を提出
平成24年 2月21日 審決(「特許第3431115号の請求項9、18、19、20、24、25、27、28、29、30、31、32、39、52に係る発明についての特許を無効とする。特許第3431115号の請求項1、40、42、43、44、46、48、49、51に係る発明についての審判請求は、成り立たない。」以下、「三次審決」という。)
平成24年 3月29日 請求人出訴(平成24年(行ケ)第10117号)
平成24年 6月27日 被請求人出訴(平成24年(行ケ)第10232号)
平成24年12月20日 平成24年(行ケ)第10117号判決(請求棄却)
平成25年 3月13日 平成24年(行ケ)第10232号判決(「特許第3431115号の請求項9,18,19,20,24,25,27,28,29,30,31,32,39,52に係る発明についての特許を無効とする。」との部分を取り消す審決取消)


第2 訂正の適否について
1.訂正の内容
被請求人の求める平成23年12月8日付けの訂正請求は、本件特許の願書に添付した明細書の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した特許請求の範囲のとおりに訂正することを求めるものであるところ、三次審決のうち、「特許第3431115号の請求項1、40、42、43、44、46、48、49、51に係る発明についての審判請求は、成り立たない」とした部分については、平成24年(行ケ)第10117号判決が確定したことをもって確定したため、残りの請求項9、18、19、20、24、25、27、28、29、30、31、32、39、52に係る発明についての訂正部分につき、その内容を、訂正箇所に下線を付して示すと、以下のとおりである。
(1) 訂正事項1
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項9について、
「【請求項9】 酸化物層の下に半導体基板を備えるウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)のための方法であって、該方法は、
(a)ウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、該回転可能な研磨ヘッドの下の研磨パッドに対して保持するステップであって、該パッドは研磨スラリによってウェットとなっている、該保持するステップと、
(b)CMPが終了した終点を決定するステップであって、該終点を決定するステップは、
(b1)レーザービームをウエハに向けて発するステップであって、該レーザービームは、プラーテン内に形成されたホール(孔)に近接するように配置された該研磨パッドに含まれるウィンドウを通過し、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え、
該ウィンドウは、ウエハが該ウィンドウの上にあるときの時間の一部の間レーザービームのための通路を与える、該発するステップと、
(b2)ウエハから反射する光を検出するステップとを備える前記決定するステップとを備える方法。」とあるのを、
「【請求項9】 酸化物層の下に半導体基板を備えるウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)のための方法であって、該方法は、
(a)ウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、該回転可能な研磨ヘッドの下の研磨パッドに対して保持するステップであって、該パッドは発泡材料からなる表面を有し、研磨スラリによってウェットとなっている、該保持するステップと、
(b)CMPが終了した終点を決定するステップであって、該終点を決定するステップは、
(b1)赤光の範囲を含むレーザービームをウエハに向けて発するステップであって、該レーザービームは、プラーテン内に形成されたホール(孔)に近接するように配置された該研磨パッドに含まれるウィンドウを通過し、
前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え、該ウィンドウは、ウエハが該ウィンドウの上にあるときの時間の一部の間レーザービームのための通路を与える、該発するステップと、
(b2)ウエハから反射する赤光の範囲を含む光を検出するステップとを備える前記決定するステップとを備える方法。」
と訂正する。
(2) 訂正事項2
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項18について、
「【請求項18】 基板上の表面層の状態の均一性を、前記層の研磨の最中に測定するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ光ビームを向けるステップであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記光ビームによって生じる干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するステップとを備える方法。」とあるのを、
「【請求項18】 ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において、基板上の表面層の状態の均一性を、前記層の研磨の最中に測定するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ赤光の範囲を含む光ビームを向けるステップであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記赤光の範囲を含む光ビームによって生じる干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するステップとを備える方法。」
と訂正する。
(3) 訂正事項3
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項19について、請求項19自体、文言の訂正はないものの、請求項19が引用する請求項18の訂正にともなって訂正され、請求項20について、請求項20自体、文言の訂正はないものの、請求項20が引用する請求項19がさらに引用する請求項18の訂正にともなって訂正されている。
(4) 訂正事項4
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項24について、
「【請求項24】 層を自身の上に有する基板を研磨するための研磨プロセスの特性を評価するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ光ビームを向けるステップであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記光ビームによって発生する干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から干渉計波形を抽出するステップと、
(d)前記抽出された干渉計波形を保存されている情報と比較するステップであって、前記保存されている情報は、該研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、前記比較するステップと、
(e)前記抽出された干渉計波形が前記保存されている情報から所定の量以上広がったとき、警告を発するステップとを備える方法。」とあるのを、
「【請求項24】 ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において、層を自身の上に有する基板を研磨するための研磨プロセスの特性を評価するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ赤光の範囲を含む光ビームを向けるステップであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記赤光の範囲を含む光ビームによって発生する干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から干渉計波形を抽出するステップと、
(d)前記抽出された干渉計波形を保存されている情報と比較するステップであって、前記保存されている情報は、該研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、前記比較するステップと、
(e)前記抽出された干渉計波形が前記保存されている情報から所定の量以上広がったとき、警告を発するステップとを備える方法。」
と訂正する。
(5) 訂正事項5
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項25について、請求項25自体、文言の訂正はないものの、請求項25が引用する請求項24の訂正にともなって訂正されている。
(6) 訂正事項6
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項27について、
「【請求項27】 基板研磨システムであって、
(a)処理中に、中実な透明ウィンドウを有する研磨パッドを保持するプラーテンであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は (ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)処理中に、前記研磨パッドの前記ウィンドウを通して、研磨されるべき基板の側部に向けられ且つ入射するコリメートされた光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は干渉信号を発生する、前記干渉計と、
(d)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するようにプログラミングされたデータプロセッサとを備える研磨システム。」とあるのを、
「【請求項27】 ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための基板研磨システムであって、
(a)処理中に、中実な透明ウィンドウを有する発泡材料からなる表面を有する研磨パッドを保持するプラーテンであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)処理中に、前記研磨パッドの前記ウィンドウを通して、研磨されるべき基板の側部に向けられ且つ入射するコリメートされた赤光の範囲を含む光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は干渉信号を発生する、前記干渉計と、
(d)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するようにプログラミングされたデータプロセッサとを備える研磨システム。」
と訂正する。
(7) 訂正事項7
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項28について、請求項28自体、文言の訂正はないものの、請求項28が引用する請求項27の訂正にともなって訂正され、請求項29について、請求項29自体、文言の訂正はないものの、請求項29が引用する請求項28がさらに引用する請求項27の訂正にともなって訂正され、請求項30について、請求項30自体、文言の訂正はないものの、請求項30が引用する請求項29がさらに引用する請求項28がさらに引用する請求項27の訂正にともなって訂正され、請求項31について、請求項31自体、文言の訂正はないものの、請求項31が引用する請求項29がさらに引用する請求項28がさらに引用する請求項27の訂正にともなって訂正され、請求項32について、請求項32自体、文言の訂正はないものの、請求項32が引用する請求項31がさらに引用する請求項29がさらに引用する請求項28がさらに引用する請求項27の訂正にともなって訂正されている。
(8) 訂正事項8
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項39について、
「【請求項39】 基板を研磨するための装置であって、前記装置は、
(a)処理中に研磨パッドを保持するプラーテンであり、前記プラーテンは、中実な透明ウィンドウを有し、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)コリメートされた光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は、少なくとも研磨操作の一部の間に前記光ビームを前記ウィンドウに向け前記基板上に入射するように配置されて、研磨プロセスのインシチュウによるモニタリングを与える、前記干渉計と、
(d)前記干渉計からの周期信号を解析し、該周期信号から研磨の終点を検出するプロセッサとを備える装置。」とあるのを、
「【請求項39】 ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、前記装置は、
(a)処理中に研磨パッドを保持するプラーテンであり、前記パッドは、発泡材料からなる表面と中実な透明ウィンドウを有し、
前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備えて、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)コリメートされた赤光の範囲を含む光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は、少なくとも研磨操作の一部の間に前記光ビームを前記ウィンドウに向け前記基板上に入射するように配置されて、研磨プロセスのインシチュウによるモニタリングを与える、前記干渉計と、
(d)前記干渉計からの周期信号を解析し、該周期信号から研磨の終点を検出するプロセッサとを備える装置。」
と訂正する。
(9) 訂正事項9
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項52について、
「【請求項52】 基板を研磨するための装置であって、
(a)透過性のない研磨面と中実な透過性のウィンドウを有する研磨パッドであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は (ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記研磨パッドと、
(b)基板を研磨面に対して保持するための研磨ヘッドと、
(c)ウィンドウを通過して基板に入射する光ビームを発生するための光源と、基板より反射された光を測定する検出器とを有する終点検出システムとを備える装置。」とあるのを、
「【請求項52】 基板を研磨するための装置であって、
(a)発泡材料からなり透過性のない研磨面と中実な透過性のウィンドウを有する研磨パッドであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、赤光の範囲を含む光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、前記研磨パッドと、
(b)基板を研磨面に対して保持するための研磨ヘッドと、
(c)ウィンドウを通過して基板に入射する赤光の範囲を含む光ビームを発生するための光源と、基板より反射された光を測定する検出器とを有する終点検出システムとを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える装置。」
と訂正する。
(10)訂正前の特許請求の範囲
訂正請求による訂正前の特許請求の範囲における各請求項は以下のとおりである。なお、二次訂正による確定していない訂正請求のある請求項のみを示す。
「 【請求項9】 酸化物層の下に半導体基板を備えるウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)のための方法であって、該方法は、
(a)ウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、該回転可能な研磨ヘッドの下の研磨パッドに対して保持するステップであって、該パッドは研磨スラリによってウェットとなっている、該保持するステップと、
(b)CMPが終了した終点を決定するステップであって、該終点を決定するステップは、
(b1)レーザービームをウエハに向けて発するステップであって、該レーザービームは、プラーテン内に形成されたホール(孔)に近接するように配置された該研磨パッドに含まれるウィンドウを通過し、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え、
該ウィンドウは、ウエハが該ウィンドウの上にあるときの時間の一部の間レーザービームのための通路を与える、該発するステップと、
(b2)ウエハから反射する光を検出するステップとを備える前記決定するステップとを備える方法。
【請求項18】 基板上の表面層の状態の均一性を、前記層の研磨の最中に測定するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ光ビームを向けるステップであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記光ビームによって生じる干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するステップとを備える方法。
【請求項19】 前記計算するステップが、前記干渉信号から特徴情報を抽出するステップと、前記抽出された特徴情報から表面層の状態の均一性の前記尺度を計算するステップとを備える請求項18に記載の方法。
【請求項20】 表面層の状態の均一性の前記尺度を参考値と比較するステップと、表面層の状態の均一性の前記尺度が該参考値から所定の量以上広がったときに警告を発するステップとを更に備える請求項19に記載の方法。
【請求項24】 層を自身の上に有する基板を研磨するための研磨プロセスの特性を評価するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ光ビームを向けるステップであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記光ビームによって発生する干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から干渉計波形を抽出するステップと、
(d)前記抽出された干渉計波形を保存されている情報と比較するステップであって、前記保存されている情報は、該研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、前記比較するステップと、
(e)前記抽出された干渉計波形が前記保存されている情報から所定の量以上広がったとき、警告を発するステップとを備える方法。
【請求項25】 干渉信号を、オペレータが見ることができるように、視覚的なディスプレイ装置上に表示するステップを更に備える請求項24に記載の方法。
【請求項27】 基板研磨システムであって、
(a)処理中に、中実な透明ウィンドウを有する研磨パッドを保持するプラーテンであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)処理中に、前記研磨パッドの前記ウィンドウを通して、研磨されるべき基板の側部に向けられ且つ入射するコリメートされた光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は干渉信号を発生する、前記干渉計と、
(d)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するようにプログラミングされたデータプロセッサとを備える研磨システム。
【請求項28】 前記研磨ヘッドが、処理中に回転できるように、回転可能となっている請求項27に記載の研磨システム。
【請求項29】 前記プラーテンが、処理中に回転できるように、回転可能となっている請求項28に記載の研磨システム。
【請求項30】 前記干渉計が、レーザー干渉計である請求項29に記載の研磨システム。
【請求項31】 前記データプロセッサが更に、前記干渉信号から特徴情報を抽出することと、前記抽出された特徴情報から均一性の前記尺度を計算することと、をプログラミングされている請求項29に記載の研磨システム。
【請求項32】 前記データプロセッサが更に、均一性の前記尺度を参考値と比較することと、均一性の前記尺度が該参考値から所定の量以上広がったときに警告を発することと、をプログラミングされている請求項31に記載の研磨システム。
【請求項39】 基板を研磨するための装置であって、前記装置は、
(a)処理中に研磨パッドを保持するプラーテンであり、前記プラーテンは、中実な透明ウィンドウを有し、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)コリメートされた光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は、少なくとも研磨操作の一部の間に前記光ビームを前記ウィンドウに向け前記基板上に入射するように配置されて、研磨プロセスのインシチュウによるモニタリングを与える、前記干渉計と、
(d)前記干渉計からの周期信号を解析し、該周期信号から研磨の終点を検出するプロセッサとを備える装置。
【請求項52】 基板を研磨するための装置であって、
(a)透過性のない研磨面と中実な透過性のウィンドウを有する研磨パッドであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記研磨パッドと、
(b)基板を研磨面に対して保持するための研磨ヘッドと、
(c)ウィンドウを通過して基板に入射する光ビームを発生するための光源と、基板より反射された光を測定する検出器とを有する終点検出システムとを備える装置。」

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無
(1) 訂正事項1について
請求項9に係る訂正事項1のうち、「パッド」に「発泡材料からなる表面を有し」という限定を加え、かつ、「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え、」を「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え、」に訂正し、レーザービーム及び光を「赤光の範囲を含む」と訂正することは、研磨パッドの構造を特定し、ウィンドウの択一的記載を1つのものと限定し、かつ、プラグを「中実な材料からなる」と材料を特定し、レーザービーム及び光の波長を特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであることは明らかであり、また、特許明細書の段落【0003】に「カバー層22は、通例は、オープンセル発泡ウレタン(例えばRodel IC1000)又はグルーブのある表面を有するポリウレタンシート(例えばRodel EX2000)である。」と通常研磨パッドが発泡材料からなることが記載され、段落【0029】に「この具体例では、プラーテンホール30の上の領域における典型的なパッド材料は、中実な(ソリッドな)ポリウレタンプラグ42に置き換えられる。」と記載され、段落【0053】に「レーザービームの波長に関しては、・・・赤光の範囲のビームを用いることが好ましい。」と記載されていることから、研磨パッド及びプラグを特定する上記訂正は、新たな技術的事項を導入するものではない。
以上のとおり、訂正事項1は、全体として特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新たな技術的事項を導入するものではない。
(2) 訂正事項2について
請求項18に係る訂正事項2のうち、「ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において」という限定を加え、「研磨パッド」を「発泡材料からなる表面を有する研磨パッド」と訂正し、かつ、「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、」を「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え、」に訂正し、光ビームを向けるステップに関して「前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」という限定を加え、光ビームについて「赤光の範囲を含む」という限定を加えることは、方法自体を「ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)」であると特定し、研磨パッドの構造を特定し、ウィンドウの択一的記載を1つのものと限定し、かつ、プラグを「中実な材料からなる」と材料を特定し、光ビームを向けるステップを「ウエハがウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」と限定し、光ビームの波長を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであることは明らかであり、また、特許明細書の段落【0006】に「本発明は、研磨プロセスに関して正確性を向上し更に有用な情報を与えるために用いる事ができる終点の検出器及び方法を目指すものである。本発明の装置及び方法は、CMPプロセスの最中に、除去された材料の厚さ又はウエハ表面の平坦度をインシチュウに決定するための、干渉による技術を採用する。」とウエハのCMPに関する方法であることが記載され、段落【0003】に「カバー層22は、通例は、オープンセル発泡ウレタン(例えばRodel IC1000)又はグルーブのある表面を有するポリウレタンシート(例えばRodel EX2000)である。」と通常研磨パッドが発泡材料からなることが記載され、段落【0029】に「この具体例では、プラーテンホール30の上の領域における典型的なパッド材料は、中実な(ソリッドな)ポリウレタンプラグ42に置き換えられる。」と記載され、段落【0007】に「このウィンドウは、少なくともウエハがウィンドウの上方にある間は、ウエハに入射するレーザー光のための通路の役割を果たす。」と記載され、段落【0053】に「レーザービームの波長に関しては、・・・赤光の範囲のビームを用いることが好ましい。」と記載されていることから、研磨パッド及びプラグを特定し、方法をウエハのCMPであると特定し、光ビームを向けるステップをウエハがウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与えると特定し、光ビームの波長を限定する上記訂正は、新たな技術的事項を導入するものではない。
以上のとおり、訂正事項2は、全体として特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新たな技術的事項を導入するものではない。
(3) 訂正事項3について
請求項19ないし20に係る訂正事項3は、当該請求項自体の文言の変更はないものの、請求項19ないし20が最終的に引用している独立請求項である請求項18が減縮されたものであるから、請求項19ないし20については、それぞれ減縮されたものであることは明らかである。
そして、訂正前の請求項19ないし20については新たな技術的事項を導入するものではないので、新たな技術的事項を導入することなく減縮された請求項18を引用する請求項19ないし20が新たな技術的事項を導入するものではないことは明らかである。
以上のとおり、訂正事項3は、それぞれ、特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新たな技術的事項を導入するものではない。
(4) 訂正事項4について
請求項24に係る訂正事項4のうち、「ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において」という限定を加え、「研磨パッド」を「発泡材料からなる表面を有する研磨パッド」と訂正し、かつ、「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える」を「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」に訂正し、光ビームを向けるステップに関して「前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」という限定を加え、光ビームに対して「赤光の範囲を含む」ものと波長を限定することは、方法自体を「ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)」であると特定し、研磨パッドの構造を特定し、ウィンドウの択一的記載を1つのものと限定し、かつ、プラグを「中実な材料からなる」と材料を特定し、光ビームを向けるステップを「ウエハがウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」と限定し、光ビームについて「赤光の範囲を含む」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであることは明らかであり、また、特許明細書の段落【0006】に「本発明は、研磨プロセスに関して正確性を向上し更に有用な情報を与えるために用いる事ができる終点の検出器及び方法を目指すものである。本発明の装置及び方法は、CMPプロセスの最中に、除去された材料の厚さ又はウエハ表面の平坦度をインシチュウに決定するための、干渉による技術を採用する。」とウエハのCMPに関する方法であることが記載され、段落【0003】に「カバー層22は、通例は、オープンセル発泡ウレタン(例えばRodel IC1000)又はグルーブのある表面を有するポリウレタンシート(例えばRodel EX2000)である。」と通常研磨パッドが発泡材料からなることが記載され、段落【0029】に「この具体例では、プラーテンホール30の上の領域における典型的なパッド材料は、中実な(ソリッドな)ポリウレタンプラグ42に置き換えられる。」と記載され、段落【0007】に「このウィンドウは、少なくともウエハがウィンドウの上方にある間は、ウエハに入射するレーザー光のための通路の役割を果たす。」と記載され、段落【0053】に「レーザービームの波長に関しては、・・・赤光の範囲のビームを用いることが好ましい。」と記載されていることから、研磨パッド及びプラグを特定し、方法をウエハのCMPであると特定し、光ビームを向けるステップをウエハがウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与えると特定し、光ビームの波長を特定する上記訂正は、新たな技術的事項を導入するものではない。
以上のとおり、訂正事項4は、全体として特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新たな技術的事項を導入するものではない。
(5) 訂正事項5について
請求項25に係る訂正事項5は、当該請求項自体の文言の変更はないものの、請求項25が引用している独立請求項である請求項24が減縮されたものであるから、請求項25については、減縮されたものであることは明らかである。
そして、訂正前の請求項25については新たな技術的事項を導入するものではないので、新たな技術的事項を導入することなく減縮された請求項24を引用する請求項25が新たな技術的事項を導入するものではないことは明らかである。
以上のとおり、訂正事項5は、特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新たな技術的事項を導入するものではない。
(6) 訂正事項6について
請求項27に係る訂正事項6のうち、基板研磨システムについて「ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための」という限定を加え、「研磨パッド」を「発泡材料からなる表面を有する研磨パッド」と訂正し、かつ、「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える」を「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」に訂正し、プラーテンに関して「前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」という限定を加え、光ビームについて「赤光の範囲を含む」と限定することは、研磨システム自体を「ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行う」ものであると特定し、研磨パッドの構造を特定し、ウィンドウの択一的記載を1つのものと限定し、かつ、プラグを「中実な材料からなる」と材料を特定し、プラーテンを「ウエハがウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」と限定し、光ビームの波長を特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであることは明らかであり、また、特許明細書の段落【0006】に「本発明は、研磨プロセスに関して正確性を向上し更に有用な情報を与えるために用いる事ができる終点の検出器及び方法を目指すものである。本発明の装置及び方法は、CMPプロセスの最中に、除去された材料の厚さ又はウエハ表面の平坦度をインシチュウに決定するための、干渉による技術を採用する。」とウエハのCMPに関する研磨システムであることが記載され、段落【0003】に「カバー層22は、通例は、オープンセル発泡ウレタン(例えばRodel IC1000)又はグルーブのある表面を有するポリウレタンシート(例えばRodel EX2000)である。」と通常研磨パッドが発泡材料からなることが記載され、段落【0029】に「この具体例では、プラーテンホール30の上の領域における典型的なパッド材料は、中実な(ソリッドな)ポリウレタンプラグ42に置き換えられる。」と記載され、段落【0007】に「このウィンドウは、少なくともウエハがウィンドウの上方にある間は、ウエハに入射するレーザー光のための通路の役割を果たす。」と記載され、段落【0053】に「レーザービームの波長に関しては、・・・赤光の範囲のビームを用いることが好ましい。」と記載されていることから、研磨パッド及びプラグを特定し、基板研磨システムをウエハのCMPであると特定し、プラーテンをウエハがウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与えると特定し、光ビームの波長を特定する上記訂正は、新たな技術的事項を導入するものではない。
以上のとおり、訂正事項6は、全体として特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新たな技術的事項を導入するものではない。
(7) 訂正事項7について
請求項28ないし32に係る訂正事項7は、当該請求項自体の文言の変更はないものの、請求項28ないし32が最終的に引用している独立請求項である請求項27が減縮されたものであるから、請求項28ないし32については、それぞれ減縮されたものであることは明らかである。
そして、訂正前の請求項28ないし32については新たな技術的事項を導入するものではないので、新たな技術的事項を導入することなく減縮された請求項27を引用する請求項28ないし32が新たな技術的事項を導入するものではないことは明らかである。
以上のとおり、訂正事項7は、それぞれ、特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新たな技術的事項を導入するものではない。
(8) 訂正事項8について
請求項39に係る訂正事項8は、「基板を研磨するための装置」を「ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置」と訂正し、かつ、「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える」を「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備えて」に訂正し、プラーテンに関して「ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」という限定を加え、光ビームについて「赤光の範囲を含む」と訂正するものであるが、基板を研磨することを「ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行う」ものであると特定し、パッドの構造を特定し、ウィンドウの択一的記載を1つのものと限定し、かつ、プラグを「中実な材料からなる」と材料を特定し、プラーテンを「ウエハがウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」と限定し、光ビームの波長を特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであることは明らかである。
また、訂正事項8は、「前記プラーテンは、中実な透明ウィンドウを有し」を「前記パッドは、発泡材料からなる表面と中実な透明ウィンドウを有し」と訂正することにより、中実な透明ウィンドウを有する部材をプラーテンからパッドに変更しているが、訂正前には、「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって・・・(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって」とあるように、ウィンドウがパッドに形成されたものであるか、又はパッドの一部であることは特定されており、プラーテンがウィンドウを有するという特定と整合していなかった。してみると、「前記プラーテンは、中実な透明ウィンドウを有し」とあるのを、「前記パッドは、・・・中実な透明ウィンドウを有し」と訂正することは、ウィンドウがパッドに形成されたものであることに整合させたものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的としていることは明らかである。
また、新たな技術的事項を導入しているかどうかに関して、特許明細書の段落【0006】に「本発明は、研磨プロセスに関して正確性を向上し更に有用な情報を与えるために用いる事ができる終点の検出器及び方法を目指すものである。本発明の装置及び方法は、CMPプロセスの最中に、除去された材料の厚さ又はウエハ表面の平坦度をインシチュウに決定するための、干渉による技術を採用する。」とウエハのCMPに関する研磨システムであることが記載され、段落【0003】に「カバー層22は、通例は、オープンセル発泡ウレタン(例えばRodel IC1000)又はグルーブのある表面を有するポリウレタンシート(例えばRodel EX2000)である。」と通常研磨パッドが発泡材料からなることが記載され、段落【0029】に「この具体例では、プラーテンホール30の上の領域における典型的なパッド材料は、中実な(ソリッドな)ポリウレタンプラグ42に置き換えられる。」と記載され、段落【0007】に「このウィンドウは、少なくともウエハがウィンドウの上方にある間は、ウエハに入射するレーザー光のための通路の役割を果たす。」と記載され、段落【0053】に「レーザービームの波長に関しては、・・・赤光の範囲のビームを用いることが好ましい。」と記載されていることから、研磨パッド及びプラグを特定し、基板を研磨するための装置をウエハのCMPであると特定し、プラーテンをウエハがウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与えると特定し、光ビームの波長を特定する上記訂正は、新たな技術的事項を導入するものではない。
以上のとおり、訂正事項8は、全体として特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明に該当するものであって、かつ、新たな技術的事項を導入するものではない。
(9) 訂正事項9について
請求項52に係る訂正事項9のうち、「透過性のない研磨面」を「発泡材料からなり透過性のない研磨面」と訂正し、かつ、ウィンドウに関して「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える」を「前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、赤光の範囲を含む光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える」に訂正し、光源について「赤光の範囲を含む光ビームを発生する」と訂正し、ウィンドウに関してさらに「ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」という限定を加えることは、研磨面の構造を特定し、ウィンドウの択一的記載を1つのものと限定し、さらに、ウィンドウを「ウエハがウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」と限定し、光ビームの波長を特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであることは明らかであり、また、特許明細書の段落【0003】に「カバー層22は、通例は、オープンセル発泡ウレタン(例えばRodel IC1000)又はグルーブのある表面を有するポリウレタンシート(例えばRodel EX2000)である。」と通常研磨面が発泡材料からなることが記載され、段落【0007】に「このウィンドウは、少なくともウエハがウィンドウの上方にある間は、ウエハに入射するレーザー光のための通路の役割を果たす。」と記載され、段落【0053】に「レーザービームの波長に関しては、・・・赤光の範囲のビームを用いることが好ましい。」と記載されていることから、研磨パッド及びプラグを特定し、ウエハがウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与えると特定し、光ビームの波長を特定する上記訂正は、新たな技術的事項を導入するものではない。
以上のとおり、訂正事項9は、全体として特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新たな技術的事項を導入するものではない。
3.特許請求の範囲を実質的に拡張するものであるかについて
訂正事項1ないし9については、いずれも、特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではないことは明らかである。

4.むすび
以上のとおりであるから、実質的に請求項9、18、19、20、24、25、27、28、29、30、31、32、39、52を変更する訂正である訂正事項1ないし9については、平成23年法律第63号による改正前の特許法(以下、「改正前特許法」という。)第134条の2第1項ただし書きに適合し、同法第134条の2第5項の規定により準用する同法第126条第3項及び第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。


第3 本件特許の請求項1ないし52に係る発明
上記「第2」のとおり、平成23年12月8日付け訂正請求による訂正(二次訂正)は認められたので、本件特許の訂正後の請求項1ないし52に係る発明(以下、「本件特許発明1」等という。)は、上記訂正請求による訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし52に記載された次のとおりのものである。
「 【請求項1】 ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、
(a)シャシに回転自在に設置され、ホール(孔)を自身に有する回転可能な研磨プラーテンと、
(b)プラーテンに設置され、研磨スラリによりウェットで、プラーテンのホールと調心されたウィンドウを有する、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え、前記プラグは前記研磨パッドの表面とほぼ共面の上面を有する、前記研磨パッドと、
(c)研磨パッドに対してウエハを保持するための、回転可能な研磨ヘッドであって、このウエハが酸化物層の下の半導体基板を備える、前記研磨ヘッドと、
(d)ウエハへ向けてレーザービームを発生させることが可能であり且つウエハ及びホール(孔)から反射されてくる光を検出することが可能なレーザー干渉計を有する終点検出器とを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間にレーザービームをウエハへ入射させるための通路を与える装置。
【請求項2】 ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、
(a)シャシに回転自在に設置され、ホール(孔)を自身に有する回転可能な研磨プラーテンと、
(b)プラーテンに設置され、研磨スラリによりウェットで、プラーテンのホールと調心されたウィンドウを有する研磨パッドであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備える、前記研磨パッドと、
(c)研磨パッドに対してウエハを保持するための、回転可能な研磨ヘッドであって、このウエハが酸化物層の下の半導体基板を備える、前記研磨ヘッドと、
(d)ウエハへ向けてレーザービームを発生させることが可能であり且つウエハ及びホール(孔)から反射されてくる光を検出することが可能なレーザー干渉計を有する終点検出器とを備え、該プラーテンの中の該ホールと該ウィンドウとが、該プラーテンの回転中心と一致する原点からある半径を有する円弧形状であり、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間にレーザービームをウエハへ入射させるための通路を与える装置。
【請求項3】 ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、
(a)シャシに回転自在に設置され、ホール(孔)を自身に有する回転可能な研磨プラーテンと、
(b)プラーテンに設置され、研磨スラリによりウェットで、プラーテンのホールと調心されたウィンドウを有する、研磨パッドであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備える、前記研磨パッドと、
(c)研磨パッドに対してウエハを保持するための、回転可能な研磨ヘッドであって、このウエハが酸化物層の下の半導体基板を備える、前記研磨ヘッドと、
(d)ウエハへ向けてレーザービームを発生させることが可能であり且つウエハ及びホール(孔)から反射されてくる光を検出することが可能なレーザー干渉計を有する終点検出器とを備え、該終点検出器が更に、レーザー干渉計によって発生するレーザービームが妨害されずに該ウィンドウを通過して該ウエハに入射するように、ウィンドウがウエハに近接しているときを感知するための位置センサを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間にレーザービームをウエハへ入射させるための通路を与える装置。
【請求項4】 (a)該レーザー干渉計が、ウエハから反射される光が検出される毎に検出信号を発生させるための手段を備え、
(b)該位置センサが、該レーザー干渉計によって発生するレーザービームが妨害されずに該ウィンドウを通過して該ウエハに入射できるように、ウィンドウがウエハに近接する毎に感知信号を出力するための手段を備え、
(c)該終点検出器が更に、該位置センサから信号を検知する期間のために該レーザー干渉計からの検出信号をサンプリングするための、該レーザー干渉計と該位置センサとに接続されたデータ取得手段を備え、該データ取得手段はサンプリングされた検出信号を代表するデータ信号を出力するための手段を備える請求項3に記載の装置。
【請求項5】 該データ取得手段が(a)該レーザー干渉計からサンプリングされた検出信号を所定の時間にわたって積分するための手段を備え、(b)該出力するための該手段は該検出信号の積分されたサンプルを代表するデータ信号を出力する請求項4に記載の装置。
【請求項6】 該出力するための該手段によって出力されるデータ信号が、周期的であり、且つ、該終点検出器が更に、
(a)データ信号によって現れるサイクルの数を計数するための手段と、
(b)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、データ信号の1サイクル中に除去される材料の厚さを計算するための手段と、
(c)酸化物層から除去されるべき材料の所望の厚さを、該計数するための該手段によりデータ信号により現れたサイクルの数と、該計算するための該手段から1サイクル中に除去される材料の厚さとの積である、除去厚さと比較するための手段と、
(d)該除去厚さが、除去されるべき材料の所望の厚さ以上になったときにCMPを終了させるための手段とを備える請求項4に記載の装置。
【請求項7】 該出力するための該手段によって出力されるデータ信号が周期的であり、且つ、該終点検出器が更に、
(a)(i)所定のサイクルの数又は(ii)1サイクルの所定の部分の一方のそれぞれが生じた後に、これらの一方を完結するためにデータ信号により要求される時間を測定するための手段と、
(b)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、該測定するための該手段によって測定される時間の間に除去される材料の厚さを計算するための手段と、
(c)除去の速度を算出するための手段であって、該算出するための該手段は、除去される材料の厚さを該測定するための該手段から得られる測定された時間で除する、該算出するための手段と、
(d)残りの除去厚さを確定するための手段であって、該確定するための該手段は、酸化物層から除去されるべき所望の材料の厚さから除去された材料の厚さの累積を減じ、前記除去された材料の厚さの累積は、(i)所定のサイクルの数又は(ii)1サイクルの所定の部分の一方のそれぞれが生じた後に、該計算するための該手段によって計算され、除去された材料の厚さを総和するための手段によって与えられる、前記確定するための手段と、
(e)残りのCMP時間を確立するための手段であって、前記確立するための前記手段は、残りの除去厚さを除去の速度で除する、前記確立するための手段と
(f)残りのCMPの時間がなくなった後CMPを終了させるための手段とを備える請求項4に記載の装置。
【請求項8】 ウエハが最初は不均一な局所構造を有し、CMPの間に平坦化され、該出力するための手段によって出力されるデータ信号がウエハの表面が平坦化された後だけ周期的であり、終点検出器が更に、
(a)データ信号の周期的変化を検出するための手段と、
(b)該検出するための手段がデータ信号の周期的変化を検出したときにCMPを終了させるための手段とを備える請求項4に記載の装置。
【請求項9】 酸化物層の下に半導体基板を備えるウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)のための方法であって、該方法は、
(a)ウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、該回転可能な研磨ヘッドの下の研磨パッドに対して保持するステップであって、該パッドは発泡材料からなる表面を有し、研磨スラリによってウェットとなっている、該保持するステップと、
(b)CMPが終了した終点を決定するステップであって、該終点を決定するステップは、
(b1)赤光の範囲を含むレーザービームをウエハに向けて発するステップであって、該レーザービームは、プラーテン内に形成されたホール(孔)に近接するように配置された該研磨パッドに含まれるウィンドウを通過し、
前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え、
該ウィンドウは、ウエハが該ウィンドウの上にあるときの時間の一部の間レーザービームのための通路を与える、該発するステップと、
(b2)ウエハから反射する赤光の範囲を含む光を検出するステップとを備える前記決定するステップとを備える方法。
【請求項10】 酸化物層の下に半導体基板を備えるウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)のための方法であって、該方法は、
(a)ウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、該回転可能な研磨ヘッドの下の研磨パッドに対して保持するステップであって、該パッドは研磨スラリによってウェットとなっている、該保持するステップと、
(b)CMPが終了した終点を決定するステップであって、該終点を決定するステップは、
(b1)レーザービームをウエハに向けて発するステップであって、該レーザービームは、プラーテン内に形成されたホール(孔)に近接するように配置された該研磨パッドに含まれるウィンドウを通過し、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え、該ウィンドウは、ウエハが該ウィンドウの上にあるときの時間の一部の間レーザービームのための通路を与える、該発するステップと、
(b2)ウエハから反射する光を検出するステップとを備える前記決定するステップとを備え、該決定するステップが、ウィンドウがウエハに近接してレーザービームが妨害されずにウィンドウを通過してウエハに入射するときを感知するステップを備える方法。
【請求項11】 (a)該検出するステップが、ウエハから反射される光が検出される毎に検出信号を発生するステップを備え、
(b)該感知するステップが、該レーザー干渉計によって発生するレーザービームが妨害されずに該ウィンドウを通過して該ウエハに入射できるように、ウィンドウがウエハに近接する毎に感知信号を出力するステップを備え、
(c)該決定するステップが、データ取得のステップを備え、該データ取得のステップが、
(c1)感知信号の期間のためにレーザー干渉計から検出信号をサンプリングするステップと、
(c2)サンプリングされた検出信号を代表するデータ信号を出力するステップとを備える請求項10に記載の方法。
【請求項12】 該データ取得のステップが更に、
(a)所定の期間の間の時間にわたって、サンプリングされた検出信号を積分するステップを備え、
(b)該出力するステップが、検出信号の積分サンプルを代表するデータ信号を出力するステップを備える請求項11に記載の方法。
【請求項13】 データ信号が周期的であり、且つ、該決定のステップが更に、
(a)データ信号によって現れるサイクルの数を計数するステップと、
(b)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、データ信号の1サイクル中に除去される材料の厚さを計算するステップと、
(c)酸化物層から除去されるべき材料の所望の厚さを、該計数するための該手段によりデータ信号により現れたサイクルの数と、該計算するための該手段から1サイクル中に除去される材料の厚さとの積である、除去厚さと比較するステップと、
(d)該除去厚さが、除去されるべき材料の所望の厚さ以上になったときにCMPを終了させるためのステップとを備える請求項11に記載の方法。
【請求項14】 データ信号が周期的であり、且つ、該決定のステップが更に、
(a)(i)所定のサイクルの数又は(ii)1サイクルの所定の部分の一方を完結するためにデータ信号により要求される時間を測定するステップと、
(b)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、該測定するための該手段によって測定される時間の間に除去される材料の厚さを計算するステップと、
(c)除去される材料の厚さを測定された時間で除して除去の速度を算出するステップと、
(d)酸化物層から除去されるべき所望の材料の厚さから、除去された材料の厚さを減じて、残りの除去厚さを確定するステップと、
(e)残りの除去厚さを除去の速度で除して、残りのCMP時間を確立するステップと、
(f)残りのCMPの時間がなくなった後CMPを終了させるステップとを備える請求項11に記載の方法。
【請求項15】 ウエハが最初は不均一な局所構造を有し、CMPの間に平坦化され、該出力するための手段によって出力されるデータ信号がウエハの表面が平坦化された後だけ周期的であり、該決定するステップが更に、
(a)データ信号の周期的変化をサーチするステップと、
(b)データ信号に周期的変化が見つけられたときにCMPを終了させるステップとを備える請求項11に記載の方法。
【請求項16】 ウエハが最初は不均一な局所構造を有し、CMPの間に平坦化され、該出力するための手段によって出力されるデータ信号がウエハの表面が平坦化された後だけ周期的であり、該決定するステップが更に、
(a)データ信号をフィルタにかけて、所定の周波数を有している成分だけを通過させるステップと、
(b)フィルタがかけられたデータ信号によって現れるサイクルの数を計数するステップと、
(c)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、データ信号の1サイクル中に除去される材料の厚さを計算するステップと、
(d)酸化物層から除去されるべき材料の所望の厚さを、フィルタがかけられたデータ信号により現れたサイクルの数と、1サイクルの間に除去される材料の厚さとの積である、除去厚さと比較するステップと、
(e)該除去厚さが、除去されるべき材料の所望の厚さ以上になったときにCMPを終了させるためのステップとを備える請求項11に記載の方法。
【請求項17】 ウエハが最初は不均一な局所構造を有し、CMPの間に平坦化され、該出力するための手段によって出力されるデータ信号がウエハの表面が平坦化された後だけ周期的であり、該決定するステップが更に、
(a)データ信号をフィルタにかけて、所定の周波数を有している成分だけを通過させるステップと、
(b)フィルタがかけられたデータ信号によって現れるサイクルの一部が生じる数を計数するステップと、
(c)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、データ信号のサイクルの一部の間に除去される材料の厚さを計算するステップと、
(d)酸化物層から除去されるべき材料の所望の厚さを、フィルタがかけられたデータ信号により現れたサイクルの一部が生じる数と、サイクルの一部の間に除去される材料の厚さとの積である、除去厚さと比較するステップと、
(e)該除去厚さが、除去されるべき材料の所望の厚さ以上になったときにCMPを終了させるためのステップとを備える請求項11に記載の方法。
【請求項18】 ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において、基板上の表面層の状態の均一性を、前記層の研磨の最中に測定するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ赤光の範囲を含む光ビームを向けるステップであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記赤光の範囲を含む光ビームによって生じる干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するステップとを備える方法。
【請求項19】 前記計算するステップが、前記干渉信号から特徴情報を抽出するステップと、前記抽出された特徴情報から表面層の状態の均一性の前記尺度を計算するステップとを備える請求項18に記載の方法。
【請求項20】 表面層の状態の均一性の前記尺度を参考値と比較するステップと、表面層の状態の均一性の前記尺度が該参考値から所定の量以上広がったときに警告を発するステップとを更に備える請求項19に記載の方法。
【請求項21】 ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において、基板上の表面層の状態の均一性を、前記層の研磨の最中に測定するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ光ビームを向けるステップであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記光ビームによって生じる干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するステップとを備え、
前記計算するステップが、前記干渉信号から特徴情報を抽出するステップと、前記抽出された特徴情報から表面層の状態の均一性の前記尺度を計算するステップとを備え、
前記干渉信号が低周波数成分を含み、前記抽出するステップが、前記低周波数成分の第1の特性を測定するステップと、前記第1の特性から前記抽出された情報を誘導するステップとを備える方法。
【請求項22】 前記干渉計信号が高周波成分を含み、前記抽出するステップが、前記高周波数成分の第2の特性を測定するステップと、前記第1の特性及び前記第2の特性から前記抽出された情報を誘導するステップと、を備える請求項21に記載の方法。
【請求項23】 前記第1の特性が前記低周波数信号の振幅であり、前記第2の特性が前記高周波数信号の振幅であり、前記誘導するステップが、前記高周波信号の振幅と前記低周波信号の振幅との比を計算するステップを備える請求項22に記載の方法。
【請求項24】 ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において、層を自身の上に有する基板を研磨するための研磨プロセスの特性を評価するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ赤光の範囲を含む光ビームを向けるステップであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記赤光の範囲を含む光ビームによって発生する干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から干渉計波形を抽出するステップと、
(d)前記抽出された干渉計波形を保存されている情報と比較するステップであって、前記保存されている情報は、該研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、前記比較するステップと、
(e)前記抽出された干渉計波形が前記保存されている情報から所定の量以上広がったとき、警告を発するステップとを備える方法。
【請求項25】 干渉信号を、オペレータが見ることができるように、視覚的なディスプレイ装置上に表示するステップを更に備える請求項24に記載の方法。
【請求項26】 層を自身の上に有する基板を研磨するための研磨プロセスの特性を評価するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ光ビームを向けるステップであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記光ビームによって発生する干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から干渉計波形を抽出するステップと、
(d)前記抽出された干渉計波形を保存されている情報と比較するステップであって、前記保存されている情報は、該研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、前記比較するステップと、
(e)前記抽出された干渉計波形が前記保存されている情報から所定の量以上広がったとき、警告を発するステップとを備え、前記抽出するステップが、前記干渉信号から研磨速度を決定するステップと、前記干渉信号から均一性の尺度を決定するステップと、を備え、前記比較するステップが、前記研磨速度及び均一性の前記尺度を前記保存されている情報と比較するステップを備える方法。
【請求項27】 ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための基板研磨システムであって、
(a)処理中に、中実な透明ウィンドウを有する発泡材料からなる表面を有する研磨パッドを保持するプラーテンであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、
前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)処理中に、前記研磨パッドの前記ウィンドウを通して、研磨されるべき基板の側部に向けられ且つ入射するコリメートされた赤光の範囲を含む光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は干渉信号を発生する、前記干渉計と、
(d)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するようにプログラミングされたデータプロセッサとを備える研磨システム。
【請求項28】 前記研磨ヘッドが、処理中に回転できるように、回転可能となっている請求項27に記載の研磨システム。
【請求項29】 前記プラーテンが、処理中に回転できるように、回転可能となっている請求項28に記載の研磨システム。
【請求項30】 前記干渉計が、レーザー干渉計である請求項29に記載の研磨システム。
【請求項31】 前記データプロセッサが更に、前記干渉信号から特徴情報を抽出することと、前記抽出された特徴情報から均一性の前記尺度を計算することと、をプログラミングされている請求項29に記載の研磨システム。
【請求項32】 前記データプロセッサが更に、均一性の前記尺度を参考値と比較することと、均一性の前記尺度が該参考値から所定の量以上広がったときに警告を発することと、をプログラミングされている請求項31に記載の研磨システム。
【請求項33】 基板研磨システムであって、
(a)処理中に、中実な透明ウィンドウを有する研磨パッドを保持するプラーテンであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)処理中に、前記研磨パッドの前記ウィンドウを通して、研磨されるべき基板の側部に向けられ且つ入射するコリメートされた光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は干渉信号を発生する、前記干渉計と、
(d)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するようにプログラミングされたデータプロセッサとを備え、
前記研磨ヘッドが、処理中に回転できるように、回転可能となっており、前記プラーテンが、処理中に回転できるように、回転可能となっており、前記データプロセッサが更に、前記干渉信号から特徴情報を抽出することと、前記抽出された特徴情報から均一性の前記尺度を計算することと、をプログラミングされており、前記データプロセッサが更に、均一性の前記尺度を参考値と比較することと、均一性の前記尺度が該参考値から所定の量以上広がったときに警告を発することと、をプログラミングされており、前記干渉信号が低周波数成分を含み、前記データプロセッサが、前記低周波数成分の第1の特性を測定することと、前記第1の特性から前記抽出された情報を誘導することと、により特徴情報を抽出するようにプログラミングされている研磨システム。
【請求項34】 前記干渉信号が高周波数成分を含み、前記データプロセッサが、前記高周波数成分の第2の特性を測定することと、前記第2の特性から前記抽出された情報を誘導することと、により特徴情報を抽出するようにプログラミングされている請求項33に記載の研磨システム。
【請求項35】 前記第1の特性が前記低周波数信号の振幅であり、前記第2の特性が前記高周波数信号の振幅であり、前記データプロセッサが、前記高周波信号の振幅と前記低周波信号の振幅との比を計算することにより特徴情報を抽出するようにプログラミングされている請求項34に記載の研磨システム。
【請求項36】 基板を研磨するための装置であって、前記装置は、
(a)処理中に研磨パッドを保持するプラーテンであって、前記プラーテンは内部に通路を有する、前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)コリメートされた光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は、少なくとも研磨操作の一部の間に前記光ビームを前記通路に向け前記基板上に入射するように、配置される、前記干渉計と、
(d)前記研磨パッドに含まれ、前記ホールないし通路と調心され且つ基板へと通過する光ビームが通るウィンドウであって、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え、
干渉計から到達する光ビームを受容する散乱面を有する、前記ウィンドウとを備える装置。
【請求項37】 前記プラーテン上に載置される研磨パッドを更に備え、前記ウィンドウは、前記研磨パッド内に形成され前記通路と調心される請求項36に記載の装置。
【請求項38】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、干渉計からの光に対して透過性を有し、散乱底面を有すると共に、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備える、
研磨パッド。
【請求項39】 ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、前記装置は、
(a)処理中に研磨パッドを保持するプラーテンであり、前記パッドは、発泡材料からなる表面と中実な透明ウィンドウを有し、
前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備えて、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)コリメートされた赤光の範囲を含む光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は、少なくとも研磨操作の一部の間に前記光ビームを前記ウィンドウに向け前記基板上に入射するように配置されて、研磨プロセスのインシチュウによるモニタリングを与える、前記干渉計と、
(d)前記干渉計からの周期信号を解析し、該周期信号から研磨の終点を検出するプロセッサとを備える装置。
【請求項40】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)発泡材料からなる研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、前記研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、前記プラグは前記研磨パッドの第2の非透過性部分の表面とほぼ共面の上面を有し、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与える研磨パッド。
【請求項41】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、前記研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、該第1の透過性部分が、中実なポリウレタンである研磨パッド。
【請求項42】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)発泡材料からなる研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、該第2の非透過性部分が、添加物を有する発泡ポリウレタンであり、前記プラグは前記研磨パッドの第2の非透過性部分の表面とほぼ共面の上面を有し、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与える研磨パッド。
【請求項43】 該添加物が微粒子を有することで、該第2の部分がマイクロポーラス構造を有するようにする請求項42に記載の研磨パッド。
【請求項44】 該第2の非透過性部分が、オープンセルの構造を有する請求項40に記載の研磨パッド。
【請求項45】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)発泡材料からなる研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、前記研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与える研磨パッドであって、該第1の透過性部分が、該研磨面とほぼ共面の上面を有する研磨パッド。
【請求項46】 該研磨面と反対側に底面を更に有する請求項40に記載の研磨パッド。
【請求項47】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、該第1の透過性部分とほぼ調心されたアパーチャが底面に形成される、研磨パッド。
【請求項48】 研磨パッドが、研磨面を有する第1の層と、研磨面と反対側の第2の層とを有する請求項40に記載の研磨パッド。
【請求項49】 該第1の透過性部分が、第1の層に形成される請求項48に記載の研磨パッド。
【請求項50】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、前記研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、研磨面を有する第1の層と、研磨面と反対側の第2の層とを有し、第1の層の該透過性部分とほぼ調心されたアパーチャが第2の層に形成される研磨パッド。
【請求項51】 研磨パッドが、自身に形成されたアパーチャを有し、透過性部分がアパーチャ内に位置をとるプラグを備える請求項40に記載の研磨パッド。
【請求項52】 基板を研磨するための装置であって、
(a)発泡材料からなり透過性のない研磨面と中実な透過性のウィンドウを有する研磨パッドであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、赤光の範囲を含む光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、前記研磨パッドと、
(b)基板を研磨面に対して保持するための研磨ヘッドと、
(c)ウィンドウを通過して基板に入射する赤光の範囲を含む光ビームを発生するための光源と、基板より反射された光を測定する検出器とを有する終点検出システムとを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える装置。」


第4 請求人が主張する無効理由の概要及び提出した証拠方法
請求人は審判請求書において、本件特許発明は、以下の無効理由1及び2により無効とすべきものである旨主張し、証拠方法として最終的に甲第1?9号証、甲第11?25号証を提出した。

1 無効理由1:特許法第29条第2項違反について
本件の(一次訂正請求前の)独立形式請求項に係る請求項1、9、18、24、27、36、38、39、40、42、47、52に係る発明は、甲第1号証ないし甲第5号証に係る発明に基づいて当業者が容易に想到し得るものであるから、特許法第29条第2項に基づき特許を受けることができない。
また、その余の請求項に係る発明は、各独立形式請求項の従属項であるので、該独立形式請求項に係る各発明が無効とされた場合は、これら各従属形式請求項に係る発明も当然無効とせられるべきである。
なお、請求人は、平成22年10月12日付け弁駁書によって甲第11?25号証を追加提示して訂正後の請求項1ないし52に係る発明は、甲第11?25号証を参照することにより、無効とされるべきものであることを主張している。
ここで、一次審決及び二次審決において、「請求項2ないし8、10ないし17、21ないし23、26、33ないし38、41、45、47、50についての審判請求は成り立たない」ことが確定している。また、三次審決において、「請求項1、40、42、43、44、46、48、49、51に係る発明についての審判請求は、成り立たない」ことが確定している。したがって、本審決においては、確定していない請求項9、18、19、20、24、25、27、28、29、30、31、32、39、52についての請求人の主張のみ言及する。

2 無効理由2:特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反について
請求人は審判請求書において、特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反について、次の主張をしている。
なお、一次審決ないし三次審決により確定した請求項に対する無効理由については除外した。したがって、請求項9、18、19、20、24、25、27、28、29、30、31、32、39、52に対する無効理由2についてのみ、記載することとする。
(1)請求項を特定しない特許法第36条違反について
A レーザー光の透過を許容する透明体から成る合成樹脂製の研磨パッドが本願の原出願の優先日以前には不存在、又は、当業者が容易に想到し得なかったことになり、この限度においても本願発明の詳細な説明には本願発明を当業者が実施し得る程度に十分且つ、明確に記載されていなかったので、特許法第36条第4項違反であり、且つ、本願の各請求項に係る発明も不明確であるから、特許法第36条第6項第2号違反である。(審判請求書第30ページ第15行?第23行。)
B 特許審査過程・成立過程において、公知例と差別化を図る上で、「光」に関する内容を、発明の範囲から意識的に除外し、「レーザー光」に限定しているとみなされるものであるから、「レーザー光」と「光」とを同一視することはできず、本件発明は、特許を受けようとする発明が不明確であるので、特許法第36条第12項(「第6項」の誤記と思われる。)第2号違反であり、各発明を当業者が実施し得る程度に十分、且つ、明確に明細書に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。(審判請求書第30ページ第24行?第37ページ第10行。)
C 本件特許の「レーザー干渉計」は、一般的に認識されている干渉計ではない。「干渉計」という語句の誤用は、軽微な誤りではなく、発明を構成するキーポイントとなった重要な誤りである。(審判請求書第37ページ第11行?第42ページ第5行。)
D 本件特許の対象となるウェハは、パターンウェハ(パターニングされたウェハ)である。ブランク酸化物ウェハの開示は、本件特許における課題を解決するものではなく、意味をなすものではない。(審判請求書第42ページ第6行?第43ページ第22行。)
E 請求項18、39に関し、(1)それぞれの信号の技術的意味および物理量が不明確であるので特許法第36条第6項第2号違反であり、明細書に十分な開示がないので特許法第36条第6項第1号違反である。
また、明細書内において、段落【0012】記載の「出力信号」、段落【0018】記載の「特性信号」、段落【0019】記載の「警告信号」、段落【0022】記載の「特徴信号」、段落【0035】記載の各種「信号」、段落【0036】記載の「検出器信号」、段落【0039】記載の各種「信号」に関し、信号自体の意味そのものが非常に曖昧で、意味不明である。したがって、「信号」を含む請求項に係る発明を当業者は本件特許明細書の記載に基づいて実施することはできない。(審判請求書第43ページ第23行?第45ページ第6行。)
F フィルタに関する記載不備
(i)図9(b)は、図9(a)にフィルタで処理したデータとされるが、図9(a)の横軸と、図9(b)の横軸は一致しない。横軸が記載されていないため、何を示しているか不明である。よって、図9(a)→図9(b)と変換するフィルタが不明である。よって、本件特許明細書には当業者が実施しうる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。
また、フィルタに関する請求項は、参照する明細書部分がないか、不明確であるので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。
(ii)パターンウェハに関するフィルタは原理的に矛盾する。よって、当業者が実施しうる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。
(iii)図13に示すデータは積分値であるので負の値をとることはない。よって、当業者が実施しうる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。
(iv)CMPの対象となるパターンウェハの研磨の終点を検出する方法は明確ではない、もしくは開示されていないとみなされ、請求項に使用される「終点検出」、「終点を検出する」などの語句は不適切であるので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。
本件特許明細書においても、パターンウェハに対する実質的な終点検出方法が示されていないため、当業者が実施しうる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。(審判請求書第45ページ第7行?第48ページ第12行。)
G 終点検出アルゴリズムに関する記載不備
(i)段落【0045】から何が研磨の終点か示されていないので、特許法第36条第4項違反であり、また、「終点」という用語を含む請求項は、特許法第36条第6項第2号違反である。
(ii)段落【0045】では、終点を「検出する方法」に関する内容が不明確であり、当業者が実施しうる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。
(iii)段落【0045】には、「細密な検討」とあるが、細密な検討の内容が記載されていない。
(iv)終点検出の判断基準が曖昧である。よって、「終点検出」自体が不明確であるので、特許法第36条第6項第2号違反である。
(v)何を基準に250秒のところで正弦波状のサイクルが現れているのか不明で、汎用性がない。よって、当業者が実施しうる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。
(vi)In-situで判断する方法を示さない限り、終点を検出する方法として意味をなさない。よって、当業者が実施し得る程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。
(vii)1サイクルで終わることが好ましいとする内容に対して、原理的に不可能であるために、当業者が実施しうる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。(審判請求書第48ページ第13行?第52ページ第8行。)
H 均一性の尺度の記載不備
(i)図17に示す構成では、均一性の尺度を原理的にモニタすることはできない。よって、当業者が実施しうる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。
(ii)均一性の尺度において、明らかに矛盾する事例が存在し、原理的に矛盾した論理である。よって、当業者が実施しうる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。
(iii)様々な光路が多数存在しうるパターンウェハでは、均一性の尺度を原理的に評価できないことは自明である。よって、当業者が実施しうる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。(審判請求書第52ページ第9行?第54ページ第10行。)
(2)請求項を特定する特許法第36条違反について
(i)請求項9
ウエハのケミカルメカニカルポリシングのための方法に対して、各ステップの必要性が不明であり、ウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、の部分の全体の中での必要性が不明であり、何を持って終点を決定するか示されておらず、ウエハから反射する光を検出するステップとは何の光を検出するのか明細書に記載されておらず不明であるので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第57ページ第7行?第16行。)
(ii)請求項18
基板上の層の均一性を測定する方法は、実施不能であるか、開示されていないし、光ビームに関する内容は、明細書中に記載がなく、干渉信号が示す物理量が不明であり、干渉信号と検出信号、データ信号との実質的な差が不明であり、均一性の尺度の計算が開示されないか、原理的に計算できないため、特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第59ページ第23行?第60ページ第7行。)
(iii)請求項19
特徴情報の意味・物理量が不明であり、干渉信号から特徴情報を抽出するステップは開示されておらず意味も不明であり、抽出された特徴情報から均一性の尺度を計算するステップも開示されておらず、均一性尺度を求める上で、段落【0018】に記載の特性信号の技術的意味・物理量と他の信号との差異が不明で均一性尺度が定義できないことから、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第60ページ第8行?第16行。)
(iv)請求項20
均一性の尺度が開示されず、また、原理的に計算できないことから、特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第60ページ第17行?第20行。)
(v)請求項24
プロセスの特性の技術的意味および物理量が不明であり、シグネチャの技術的意味・物理量が不明確であり、光ビームに関する開示はなく、シグネチャを抽出するステップの技術的意味が不明であり、研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、保存されている情報の技術的意味が不明であるので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第61ページ第14行?末行。)
(vi)請求項27
干渉計とあるが、実質的に干渉計ではなく、語句を誤用しており、干渉信号の物理量が不明であり、光ビームに関する開示がなく、干渉信号から均一性の尺度を計算する方法が不明確であり、示されていないので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第62ページ第6行?第14行。)
(vii)請求項30
レーザー干渉計は語句を誤用しているので、特許法第36条第6項第2号違反である。(審判請求書第62ページ第15行?第17行。)
(viii)請求項31
特徴情報の技術的意味・物理量が不明であり、干渉信号から特徴情報を抽出することが示されておらず、段落【0018】記載の「特性信号」の技術的意味・物理量が不明であり、抽出された特徴情報から均一性の尺度を計算する方法が示されていないから、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第62ページ第18行?末行。)
(ix)請求項39
基板を研磨することと、各特徴がどう対応し、また、それが必要機能なのか不明であり、何を行うかも不明であり、光ビームに対する開示はなく、CMPで対象となるパターンウェハは周期信号が現れず、パターンウェハに対して、周期信号から終点を検出する一意の方法が開示されていないし、フィルタは実施不能であるから、特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第64ページ第14行?末行。)
(x)請求項52
光ビームに関する開示はなく、光のどのような物理量を測定するのかが不明であり、光源と検出器を有するだけの終点検出システムは特定できないから、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第65ページ第9行?第16行。)

3 証拠方法
請求人は、証拠方法として、以下の証拠を提出している。なお、甲第11?25号証は、平成22年10月12日付け弁駁書において提出されたものであり、甲第10号証は欠番となっている。
甲第 1号証 特開平7-52032号公報
甲第 2号証 特開平5-309558号公報
甲第 3号証 特開昭63-134162号公報
甲第 4号証 特開昭61-76260号公報
甲第 5号証 特開平4-255218号公報
甲第 6号証 異議2003-72913号異議の決定
甲第 7号証 異議2003-72913号異議事件の資料の写し
甲第 8号証 中川威雄氏の宣誓書
甲第 9号証 本件の特願平8-74976号に関する平成14年4月19日付け意見書の写し
甲第11号証 平成21年(行ケ)第10370号審決取消請求事件に関する平成22年7月5日付け被請求人の上申書の写し
甲第12号証 平成22年(行ケ)第10061号審決取消請求事件決定書の写し
甲第13号証 異議2003-72913号における平成16年4月22日付け取消理由通知書
甲第14号証 特開平5-193991号公報
甲第15号証 特開平5-80201号公報
甲第16号証 無効2006-80075号事件における本件被請求人による平成18年12月7日付け訂正請求書の写し
甲第17号証 平成19年(行ケ)第10250号審決取消請求事件判決の抜粋
甲第18号証 本件特許の審査過程における平成13年10月18日付け拒絶理由通知書
甲第19号証 特表平8-501635号公報(国際公開第94/7110号として)
甲第20号証 本件特許の審査過程における平成14年10月16日付け拒絶査定書
甲第21号証 本件特許の拒絶査定不服審判の前置審査における平成15年3月24日付け拒絶理由通知書
甲第22号証 特開平2-196906号公報
甲第23号証 特表平5-505769号公報
甲第24号証 平成19年(行ケ)第10250号審決取消請求事件判決の抜粋
甲第25号証 平成21年(行ツ)第23号、平成21年(行ヒ)第27号の最高裁判所の決定調書


第5 被請求人の主張の概要

1 被請求人の主張の概要
被請求人の主張は、概略、以下のとおりである。
二次訂正後の訂正された各請求項に記載された発明は、プラグを、「研磨パッドの表面とほぼ共面の上面を有する」と限定し、あるいは、光を、「赤光の範囲を含む」と特定したものである。
甲第1号証?甲第5号証には、ウィンドウまたはプラグを有する構成は甲1発明しか開示されておらず、しかも、甲1発明は、プラグ上面が研磨パッドの上面と共面であってはならないことを積極的に教示しているので、これらに基づいて、研磨パッドにプラグを設け、且つ、プラグの上面と研磨パッドの上面を共面にする技術思想が容易に想到可能であったと考えることはできない。
また、赤光の範囲を含むレーザービームを用いることによって固有の優れた効果が得られることについては、本件明細書には以下のように記載されているが、甲第1?5号証には、赤光の範囲を含むレーザービームを用いることについても、またそのことによって得られる優れた効果についても開示も示唆もされていない。(平成23年12月8日付け訂正請求書の第8ページ第22行?第26行、第10ページ第3行?第6行)

2 証拠方法
被請求人は、証拠方法として、以下の証拠を提出している。
なお、乙第1?49号証は、平成20年1月16日付け審判事件答弁書の段階で、乙第50?79号証は、平成20年5月16日受付口頭審理陳述要領書の段階で、乙第80?81号証は、平成21年7月16日受付上申書の段階で、それぞれ提出されたものである。
乙第 1号証 特許庁ホームページ「資料室(その他の参考情報)」における標準技術集の中の半導体製造装置関連真空・クリーン化技術の「4-4-1CMP装置」
乙第 2号証 インターネットフリー百科事典ウィキペディアの「化学機械研磨」
乙第 3号証 インターネット検索ページ「MIRRA CMPシステムの常識・非常識」
乙第 4号証 次世代CMP用高性能パッド-JSR CMP Pad、JSR Technical Review No.109/2002、35ページないし37ページの写し
乙第 5号証 各種研磨パッドの摩擦特性によるCMP性能の研究、2004年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集、955ページないし956ページの写し
乙第 6号証 当社CMP用研磨パッドの研究結果発表に関するお知らせ、日本ミクロコーティング株式会社、平成17年10月27日の写し
乙第 7号証 インターネット検索ページ「CMP装置用研磨パッドの製造・販売で新会社設立」、東洋ゴム工業株式会社、2004年7月12日、No.775
乙第 8号証 シリコンウエーハ用研磨パッド、ニッタ・ハース株式会社のパンフレットの写し
乙第 9号証 Suba Products(Stock or Primary Polishing Pads)、Rohm-Haas社のパンフレットの写し
乙第10号証 インターネット検索ページ「Silicon Valley」
乙第11号証 半導体平坦化CMP技術、土肥俊郎、河西敏男、中川威雄共著、株式会社工業調査会、1998年7月15日発行、107、114、121、123、128、154?166ページの写し
乙第12号証 CMP用パッド(CMP Pad)、ニッタ・ハース株式会社のパンフレットの写し
乙第13号証 Optical NanoGauge-光干渉式膜厚測定装置C10178、C10323、浜松ホトニクス株式会社のパンフレットの写し
乙第14号証 CCD/CMOSイメージ・センサの基礎と応用、米本和也著、CQ出版株式会社、2007年8月1日第5版発行、36ページないし40ページの写し
乙第15号証 拒絶査定不服審判(2002-2660)特許審決公報
乙第16号証 平成15年(行ケ)第475号審決取消請求事件判決
乙第17号証 CMP用語辞典、グローバルネット株式会社、平成12年5月29日、49ページないし50ページ、151ページないし152ページの写し
乙第18号証 詳説半導体CMP技術、土肥俊郎編著、株式会社工業調査会、2001年1月10日、18ページ、51ページないし54ページの写し
乙第19号証 特開昭59-187456号公報
乙第20号証 屈折率一覧表、株式会社セイシン企業
乙第21号証 ラッピング・ポリシングの基礎と応用-1-、河西敏男、機械と工具、1992年4月、133ページないし142ページの写し
乙第22号証 インターネットにおける研磨ホームページ「研磨の原点」、独立行政法人産業技術総合研究所
乙第23号証 特開平10-50824号公報
乙第24号証 超精密ラッピング加工の実際、進藤 勉、機械と工具、1997年5月、72ページないし76ページの写し
乙第25号証 インターネットにおける研磨ホームページ「ラッピング特性」、独立行政法人産業技術総合研究所
乙第26号証 特開2002-59364号公報
乙第27号証 ジョセフ エル. セクチPH.D.の宣誓書及びその訳文の写し
乙第28号証 スーパースムーズ鏡面研磨とP-MACポリシング、河西敏男、表面科学、Vol.22、No.3、2001年、pp.179-186の写し
乙第29号証 米国特許第5,489,233号明細書及びその訳文
乙第30号証 特表平11-512977号公報
乙第31号証 CMPの実践的基礎技術、渡邊純二著、EDリサーチ社発行、2004年8月23日、4ページないし5ページ、42ページの写し
乙第32号証 シリコン基板の加工技術と加工表面品質、河西敏男、表面科学、Vol.21、No.11、2000年、pp.688-695の写し
乙第33号証 高能率・超平滑化加工法、安永暢男、表面科学、Vol.22、No.3、2001年、pp.187-196の写し
乙第34号証 インターネット検索ページ「CMPスラリーに最適なフィルタを特定する」、Rakesh K. Singh 著、Semiconductor International、2005年10月号、
乙第35号証 精密機械加工の原理、安永暢男、高木純一郎共著、株式会社工業調査会、2002年10月25日、168ページの写し
乙第36号証 インターネットにおける研磨ホームページ「液中ポリシング」、独立行政法人産業技術総合研究所
乙第37号証 特開平8-19943号公報
乙第38号証 特開平7-235520号公報
乙第39号証 インターネットにおける公報テキスト検索結果、IPDL
乙第40号証 無効審判2006-80075号審決
乙第41号証 平成19年(行ケ)第10250号審決取消請求事件 原告準備書面(1)の写し
乙第42号証 無効審判事件2006-80075号第1回口頭審理調書
乙第43号証 半導体プロセスにおける薄膜形成のインプロセス・モニタリング、菅原活郎、吉見武夫、広部嘉道共著、日経エレクトロニクス、1978年7月10日、日経マグロウヒル社、108ページないし127ページの写し
乙第44号証 特開2003-163191号公報
乙第45号証 特開2005-340679号公報
乙第46号証 無効審判事件2006-80075号における平成18年12月7日付け意見書
乙第47号証 マヌーチャー・ビランの宣誓書及びその訳文の写し
乙第48号証 特開平10-83977号公報
乙第49号証 無効審判事件2006-80075号審判請求書の写し
乙第50号証 平成19年(行ケ)第10250号審決取消請求事件 被告準備書面(3)の写し
乙第51号証 CMPのサイエンス、株式会社サイエンスフォーラム発行、1997年8月20日、135ページ、149ページの写し
乙第52号証 インターネット検索ページのシグマ光機ホームページ内「ゲルマニウム」
乙第53号証 インターネット検索ページの株式会社ネオトロンホームページ内「Germanium(Ge)」
乙第54号証 インターネット検索ページの古河電子株式会社ホームページ内「ZnSe・ZnS・Ge・Si・Mo等材料」
乙第55号証 インターネット検索ページのハリックサイエンティフィックプロダクツ、インコーポレイテッドホームページ内「ゲルマニウム、光学的特性情報」
乙第56号証 インターネット検索ページ、「超精密切削によるウエーハ状薄型赤外線フレネルレンズの加工」、日本機械学会誌、2006.11、Vol.109、No.1056、903ページ
乙第57号証 松岡亮次、卒業研究報告、「Geの吸収係数測定」、高知工科大学、平成17年3月17日の写し
乙第58号証 インターネット検索ページの株式会社ネオトロンホームページ内「Quartz Single Crystals(SiO2)」
乙第59号証 インターネット検索ページ、応用光研工業株式会社ホームページ内「SiO_(2)(光学用合成石英ガラス)」
乙第60号証 鈴木康夫等、「高透明性・高屈折率含硫黄ポリイミド[II]-スルホン構造を含むポリイミド」、Polymer Preprints,Japan,Vol.56,No.2,2007,pp.4928-4929の写し
乙第61号証 インターネット検索ページの株式会社オハラホームページ内「光学的性質」、1/3?3/3ページ
乙第62号証 メレスグリオ株式会社パンフレット、2000-2004、「光学材料特性一覧」、w4-2ページの写し
乙第63号証 インターネット検索ページのムロマチテクノス株式会社ホームページ内「エポテック UV硬化型Epoxy樹脂接着剤」、1/2?2/2ページ
乙第64号証 インターネット検索ページの株式会社ネオトロンホームページ内「Silicon(Si)」
乙第65号証 インターネット検索ページ、信越半導体株式会社のSOIウエハ
乙第66号証 インターネット検索ページ、オプトスター社、「SOI基板(シリコンオンインシュレータウェーハ)」
乙第67号証 インターネット検索ページの米国デラウエア大学ホームページ内「シリコンの光学的特性」
乙第68号証 インターネット検索ページの東京農工大学ホームページ内「半導体の反射色」
乙第69号証 津和秀夫、肥田満、「各種ラップによるSi単結晶の鏡面仕上-鏡面ラッピングに関する研究(第1報)-」、精密機械、34巻、10号、1968年10月、666-673ページの写し
乙第70号証 土肥俊郎、河西敏男、中川威雄共著、半導体平坦化CMP技術、株式会社工業調査会、1998年7月15日発行、46ページ、302ページの写し
乙第71号証 特開2005-268424号公報
乙第72号証 渡邊純二著、CMPの実践的基礎技術、EDリサーチ社発行、2004年8月23日、86ページの写し
乙第73号証 精密工学会2007年度春季大会、プラナリゼーションCMPとその応用セッションプログラム
乙第74号証 精密工学会2008年度春季大会、プラナリゼーションCMPとその応用セッションプログラム
乙第75号証 インターネット検索ページの東京大学ホームページ内「中川威雄研究室」、アニュアルレポート、第47号、1998年度
乙第76号証 インターネット検索ページ、精密工学会賞第2回2006年度受賞者業績紹介
乙第77号証 特別対談、部品加工が拓く21世紀の「モノづくり」、デンソーテクニカルレビュー、Vol.6、No.2、2001年、3?10ページの写し
乙第78号証 インターネット検索ページ発明者名「中川威雄」での公報テキスト検索結果リスト
乙第79号証 河西敏雄、「研磨加工技術」、表面技術、Vol.57(2006年),No.11,p.744?751の写し
乙第80号証 マブチヒデオ教授宣誓書及びその訳文の写し
乙第81号証 ユーチェン・ワング宣誓書及びその訳文の写し


第6 甲第1号証ないし甲第5号証に記載された発明、事項の内容

1 甲第1号証
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲第1号証(特開平7-52032号公報)には、以下の記載がある。
ア 特許請求の範囲の請求項1
「回転する定盤の研磨布の張り付けられた面に、研磨液を滴下しつつ、ウエハ支持板に固定したウエハをウエハ支持板により回転させつつ押し付け研磨する方法において、定盤及び研磨布の回転中心と周縁との間に設けた窓からウエハの研磨面の光の反射状態を見て研磨状態を判定するウエハ研磨方法。」
イ 段落【0001】
「【産業上の利用分野】本発明は、半導体ウエハ、特にSOI(Silicon-on-Insulator)ウエハ等の膜付きウエハの研磨方法及び装置に関する。」
ウ 段落【0013】
「【作用】本発明方法において、定盤及び研磨布の回転中心と周縁との間に設けた窓からウエハの研磨面の光の反射状態を見て研磨状態を判定すれば、研磨を中断せずに研磨状態の終点を知ることが出来る・・・」
エ 段落【0015】?【0016】
「本発明の装置において、透明窓材とウエハとの間にできる研磨液の膜を通してウエハの研磨面に照射した光の反射光を観察あるいは評価するのであるが、研磨液は液中に微粒子が懸濁したものであり、光を散乱する性質をもっているので、透明窓材の表面とウエハの研磨面との間の間隔が小さい方が観察あるいは評価に都合がよい。
定盤の中心と周縁との間の研磨布張り付け面に半径方向に延長した溝を設けるのは、研磨布にだけ研磨布窓を設けたのでは、研磨液に空気が混じる恐れがあり、空気が混じると観察が困難となるので、研磨液を十分保持できるようにし、空気が混じらないようにするためである。溝に研磨液を十分保持させるため、この溝や研磨布窓は研磨加工に寄与しない領域となるので、ウエハ面内の加工量分布を乱さない形を選ぶ必要があり、定盤の中心から周辺にウエハの研磨面が同一時間で通過するように、定盤の中心から放射状に伸びる近接した2本の直線に囲まれるようにするのがよい。」
オ 段落【0022】?【0024】
「【実施例】図1、図2に示した実施例について説明する。定盤1は直径300mm、厚さ10mmのアルミニウム製の円盤で、その中心の片面に定盤1を回転するための軸が固定してある。定盤1の軸を固定した面の反対側の面には、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2が設けてある。・・・溝2の長手方向中央には、直径10mmの貫通孔3が設けられ、溝2の反対側では円錐状に拡大している。貫通孔3の溝2側にはパイレックス透明ガラス製の透明窓材4が嵌め込まれ、研磨液が漏れないようにしてある。
定盤1の溝2を有する面には、定盤1と同形の厚さ0.7mmのローデルニッタ社製、商品名suba-500ウレタン含浸ポリエステル不織布からなる研磨布5が張り付けられ、溝2に相当する部分は溝2と同形に切り抜かれて、研磨布窓6が形成されている。透明窓材4は定盤1の表面より約0.5mm突出するが、研磨布5の弾性を考慮しても研磨布5の表面より十分低くなっている。
定盤1の溝2の反対側には透明窓材4の回転路に面して研磨するウエハ7の研磨面に光を照射しその反射光を受光するプローブ9が配置されている。・・・」
カ 段落【0025】?【0026】
「片面に回転用の軸が固定された直径110mm、厚さ10mmの円盤状のアルミニウム製のウエハ支持板8に、表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着し、一方のウエハを平面研削して厚さ15μmのシリコン膜として直径100mmのSOIウエハを、平面研削加工していない面をワックスで張り付けた。
粒径が0.01μm以下のシリカ粉末を含むアルカリ性溶液からなるローデルニッタ社製、商品名NALCO-2350を20倍に希釈した研磨液を定盤1の研磨布5の表面に滴下しつつ、定盤1を毎分50回転させながら、ウエハ支持板8に張り付けたウエハ7を、自転速度毎分40回転で回転させつつ、研磨布5に、回転中心が透明窓材4の上に位置するように、研磨荷重10kgfで押し付けて目標膜厚を1μmにして研磨を開始した。」
キ 段落【0027】
「この条件では、透明窓材4の移動線速度は約500mm/秒なので、直径10mmの透明窓材4を通してウエハ7の中心を測定出来る時間は、1回の通過に付き約10m秒である。この時間は、波長範囲680?800nm、分解能1nmで行う分光反射率測定に対して十分であった。測定の参照基準には、同じ条件に置いたシリコンウエハを用いた。」
ク 上記アの「研磨布の貼り付けられた面に、研磨液を滴下しつつ・・・ウエハを・・・研磨する」の記載から、これがウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)のことであることは明らかである。
ケミカルメカニカルポリシングにおいて、研磨布が研磨液によってウェットになっていることは明らかである。
摘記事項オにおける「パイレックス透明ガラス製の透明窓材4」の記載から、透明窓材4が中実の材料からなるものであることは明らかであり、また、「ロデールニッタ社製、商品名suba-500ウレタン含浸ポリエステル不織布からなる研磨布5」の記載から、研磨布5が発泡材料からなる表面を有するものであることは明らかである。
摘記事項キから、透明窓材4上にウエハ7の中心が存在する時の一部の間には、光をウエハ7に入射する通路が与えられ、測定を行うことは明らかである。
摘記事項ウから、研磨状態の終点は、研磨を中断せずに、すなわち、インシチュウで知るものであることは明らかである。
摘記事項キの「波長範囲680?800nm」において、赤色光の波長が610?750nmであるから、光が赤色の範囲を含むものであることは明らかである。
これら記載事項、及び認定事項を、技術常識を勘案しつつ、本件発明9、18、24、27、39、52に照らして整理すると、甲第1号証には、以下の各発明が記載されている。
「表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着したSOIウエハ7のケミカルメカニカルポリシング(CMP)のための方法であって、該方法は、
(a)ウエハ7を、回転可能なウエハ支持板8内に、該回転可能なウエハ支持板8の下の研磨布5に対して保持するステップであって、該研磨布5は発泡材料からなる表面を有し、研磨液によってウェットとなっている、該保持するステップと、
(b)研磨状態の終点を知るステップであって、該終点を知るステップは、
(b1)赤色の範囲を含む光をウエハ7に向けて照射するステップであって、該光は、定盤1内に形成され、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3における溝2に同形に切り抜かれた該研磨布5に含まれる研磨布窓6を通過し、
前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ、
該研磨布窓6は、ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える、該照射するステップと、
(b2)ウエハ7から反射する赤色の範囲を含む光をプローブ9により受光して検出するステップとを備える前記終点を知るステップとを備える方法。」(以下、「甲1発明1」という。)
「ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において、表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着したSOIウエハ7の研磨状態の終点を、ウエハ7の研磨を中断せずに知るインシチュウの方法であって、
(a)研磨を中断せずに、発泡材料からなる表面を有する研磨布5に含まれる研磨布窓6を通して前記ウエハ7の方へ赤色の範囲を含む光を向けるステップであり、
中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3を自身に有する定盤1の前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ、該研磨布窓6は、ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える、前記向けるステップと、
(b)前記ウエハ7から反射されてくる前記赤色の範囲を含む光をプローブ9により受光して検出するステップとを備える方法。」(以下、「甲1発明2」という。)
「ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において、表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着したSOIウエハ7を研磨するための研磨状態の終点を知るインシチュウの方法であって、
(a)研磨を中断せずに、発泡材料からなる表面を有する研磨布5に含まれる研磨布窓6を通して前記ウエハ7の方へ赤色の範囲を含む光を向けるステップであり、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3を自身に有する定盤1における前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ、該研磨布窓6は、ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える、前記向けるステップと、
(b)前記ウエハ7から反射されてくる赤色の範囲を含む光をプローブ9により受光して検出して前記終点を知るステップとを備える方法。」(「甲1発明3」という。)
「ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うためのウエハ研磨装置であって、
(a)研磨中に、定盤1の溝2と同形に切り抜かれた研磨布窓6を有する発泡材料からなる表面を有する研磨布5を保持する回転可能な定盤1であり、
定盤1には、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3が設けられ、前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ、該研磨布窓6は、ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える、前記定盤1と、
(b)研磨中に表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着したSOIウエハ7を定盤1上の研磨布5に対して保持する回転可能なウエハ支持板8と、
(c)研磨中に、前記透明窓材4、及び研磨布5の研磨布窓6を通して、研磨されるべきウエハ7の中心の研磨面に向けられ且つ入射する赤色の範囲を含む光を照射させることが可能なプローブ9を備えるウエハ研磨装置。」(以下、「甲1発明4」という。)
「ウエハ7に対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための研磨装置であって、前記研磨装置は、
(a)研磨中に研磨布5を保持する定盤1であり、前記研磨布5には、発泡材料からなる表面と定盤1の溝2と同形に切り抜かれた研磨布窓6を有し、前記定盤1は、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3を自身に有する定盤1であり、前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ、該研磨布窓6は、ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える、前記定盤1と、
(b)研磨中にウエハ7を定盤1上の研磨布5に対して保持するウエハ支持板8と、
(c)赤色範囲の光を含む光を照射することが可能なプローブ9であって、前記プローブ9は、研磨中に前記赤色の範囲を含む光を前記研磨布窓6に向け前記ウエハ7上に照射するように、配置されて、研磨中に研磨状態の終点を知る、前記プローブ9とを備える研磨装置。」(以下、「甲1発明5」という。)
「ウエハ7を研磨するための研磨装置であって、
(a)発泡材料からなり研磨面と研磨布窓6を有する研磨布5であり、定盤1は、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3を自身に有する定盤1であり、前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる赤色の範囲を含む光ビームに対して透過性を有する透明窓材4が嵌め込まれ、前記研磨布5には、定盤1の溝2と同形に切り抜かれた研磨布窓6が形成される、
前記研磨布5と、
(b)ウエハ7を定盤1上の研磨布5の研磨面に対して保持するためのウエハ支持板8と、
(c)研磨布窓6を通過してウエハ7に赤色の範囲を含む光を照射しその反射光を受光するプローブ9を有する研磨状態の終点を知るものであって、前記研磨布窓6は、ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光ビームをウエハ7に入射させるための通路を与える研磨装置。」(以下、「甲1発明6」という。)

2 甲第2号証
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲第2号証(特開平5-309558号公報)には、以下の記載がある。
ア 特許請求の範囲の請求項1
「研磨対象ウェーハの所定の厚さに等しい波長の光を研磨対象ウェーハに全反射角で入射し、前記研磨対象ウェーハを光が透過したとき、または研磨対象ウェーハの所定の厚さに等しい波長の光を研磨対象ウェーハに偏光角で入射し、前記研磨対象ウェーハから反射する偏光を遮断するように配設された偏光板を前記偏光が通過したとき、研磨を終了することを特徴とする貼り合わせウェーハの研磨方法。」
イ 段落【0003】
「【発明が解決しようとする課題】上記のような研磨方法で貼り合わせウェーハの一方、すなわちSOIウェーハについて、その厚さの大部分を研磨により除去し、1μmないしそれ以下の層を素子形成層として均一な厚さに残すことは極めて困難である。特に、素子形成層の厚さのばらつきが大きく、±0.5μm程度の精度であるため、SOI半導体基板の製造歩留りが低い。また、貼り合わせウェーハをウェーハ研磨機から取り外してSOIウェーハの厚さを測定する方法では、作業能率を向上させることができない。本発明は上記従来の問題点に着目してなされたもので、SOI半導体基板の製造工程において、素子形成層であるSi層を高精度に、かつ能率よく所望の厚さに研磨するための貼り合わせウェーハの研磨方法を提供することを目的としている。」
ウ 段落【0006】?【0007】
「・・・貼り合わせウェーハをマウントプレートに貼着したままSOIウェーハの厚さを管理することができ、所望の厚さに到達した時点で研磨を終了させることができる。・・・これらの図において、ウェーハ研磨機のポリシングパッド1は透明体で、パッド駆動装置2により回転および昇降する駆動軸2aの先端に固着されている。マウントプレート3は、たとえばSiO2からなる透明体で、前記ポリシングパッド1の上方にレーザ発振器4、波長変換装置5がそれぞれ配設されている。マウントプレート3の下方には光検出器6が設けられ、光検出器6の出力配線は制御装置7に接続されている。・・・」
エ 段落【0008】
「貼り合わせウェーハ11は、2枚の単結晶Siウェーハを絶縁層SiO2を介して貼り合わせたいわゆるSOI基板で、直接接着技術によって形成される貼り合わせ型SOI基板の製造工程に従って、素子形成層の所定の厚さ近くまでSi単結晶層を研磨したものである。・・・レーザ発振器4によって発振されたレーザ光は、波長変換装置5により所定の波長λすなわちSOIウェーハの目標厚さをt1としたとき、λ=t1となるように変換された後、ポリシングパッド1とスラリー10とを透過して貼り合わせウェーハ11に全反射角θで入射される。・・・t=λになると、それまで上部Si層11aの上面で全反射していた光の一部が上部Si層11aを透過し、更にSiO2層11b、下部Si層11c、ワックス層12、マウントプレート3を透過してマウントプレート3の下方に進む。光検出器6はこの透過光を検出すると制御装置7に信号を出力し、制御装置7はパッド駆動装置2に研磨終了指令信号を送る・・・上記研磨作業中に何らかの異常が発生した場合は、制御装置7が警報装置9に指令信号を出力し、警報装置9が作動するとともにパッド駆動装置2の駆動軸2aが上昇して研磨が中止される。」
以上から、甲第2号証には、以下の事項が記載されている。
「ポリシングパッド1による貼り合わせウェーハ11の研磨において、ポリシングパッド1を透明体とし、ポリシングパッド1を透過してレーザ光を照射するもの。」(以下「甲2記載事項」という。)

3 甲第3号証
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲第3号証(特開昭63-134162号公報)には、以下の記載がある。
ア 第1ページ右下欄第4行?第8行
「本発明は、石英、セラミック、結晶材料などの硬質材料よりなり、研磨し難く、しかも高精度の仕上面精度を必要とし、遠紫外線ないしX線領域において用いられる光学部品などの被加工物を研磨する研磨加工法に関するものである。」
イ 第3ページ左上欄第11行?第18行
「次に本発明の第2実施例について説明する。第2図は本発明の第2実施例を示す側面図である。
本実施例においては、第2図に示すように光源として、レーザ光源10を用い、このレーザ光源10からのレーザ光線11をビームエキスパンダ12によって広げ、光学的に透明な材料よりなるポリッシャ3を通過させ、被加工物1の被加工面6を照射するようにしたものであり、」
ウ 第3ページ右下欄第1行?第10行
「上記第1、第4実施例に示す光源9としては水銀ランプを用い、第2、第3実施例の光源10、13としてはNd-YAGレーザ、Arイオンレーザ、エキシマレーザを用いればよい。また被加工物1に対する砥粒7、加工液8の組合わせは目的によって多様であるが、例えばAL_(2)O_(3)・TiCセラミックに対し、ダイヤモンド砥粒の50Wt%KOH懸濁液の使用が可能であり、石英ポリッシャを通過したNd-YAGレーザ、Arイオンレーザの照射によって加工が促進される。」
以上から、甲第3号証には、第2図を参照することにより、以下の事項が記載されている。
「被加工物1の被加工面6をポリッシャ3で研磨するにあたり、石英からなるポリッシャ3を透明なものとし、レーザ光線11を照射し、透明なポリッシャ3を透過してレーザ光線を照射するもの。」(以下、「甲3記載事項」という。)

4 甲第4号証
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲第4号証(特開昭61-76260号公報)には、以下の記載がある。
ア 第2ページ左上欄第12行?右上欄第15行
「第1図は本発明の研摩方法の一実施例を示す概略断面図である。
図において、2は被加工物たとえば光学ガラスであり、その上面が被加工面である。本実施例においては被加工面は平面である。4は研摩加工工具であるポリシャであり、該ポリシャ4としてはたとえば合成樹脂または軟質金属等のシートが用いられる。該ポリシャ4はポリシャ保持手段である平面皿6の下面に貼付固定されている。被加工物2とポリシャ4との間には研摩液8が存在する。該研摩液8中には研摩剤である微粒子が懸濁せしめられている。10はレーザ光をガイドする光ファイバなどのライトガイドである。該ライトガイド10はそれぞれレーザ光源からレーザ光を伝送せしめてその先端から照射せしめる。ライトガイド10は保持手段6の全体にわたって上下方向に多数設けられている貫通孔を通って、該貫通孔に対応する位置にてポリシャ4に設けられている貫通孔中へと延びている。従って、ライトガイド10の先端は被加工面と対向する様な配置となっている。
加工時においては、通常の液中研摩と同様に被加工物2とポリシャ4とは適宜の圧力にて押圧せしめられつつ相対運動を行なう。」
イ 第2ページ左下欄第13行?第18行
「以上の実施例においてはポリシャ4に貫通孔を設けてライトガイド10の先端を該貫通孔中に位置せしめているが、ポリシャ4が透明なものである場合には、第2図に示される様にポリシャ4の貫通孔は設けなくともレーザ光の照射は良好に行なわれる。」
以上から、甲第4号証には、第2図を参照することにより、以下の事項が記載されている。
「被加工物2をポリシャ4で研摩するにあたり、合成樹脂からなるポリシャ4を透明なものとし、レーザ光を照射し、透明なポリシャ4を透過してレーザ光を照射するもの。」(以下、「甲4記載事項」という。)

5 甲第5号証
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲第5号証(特開平4-255218号公報)には、以下の記載がある。
ア 特許請求の範囲の請求項1?3
「【請求項1】 平坦なウェーハを研磨する方法にして、a.研磨プラテンの外周端縁を横断しかつ該外周端縁の上方を動き得るように取り付けられた回転可能な研磨ヘッド内にウェーハを保持する段階と、b.研磨スラリー内のウェーハの一面を研磨プラテンを横断して回転させる段階と、c.ウェーハの一部分を研磨プラテンの外周端縁を横断してオーバーハングさせ、ウェーハの一面を露出させる段階と、d.終点検出手段を使用してウェーハの終点を検出する段階とを備えることを特徴とする方法。
【請求項2】 請求項1に記載の方法にして、終点検出手段がレーザ干渉測定装置を備えることを特徴とする方法。
【請求項3】 請求項2に記載の方法にして、レーザ干渉測定装置が、ウェーハ上のパターン無し金型上に取り付けられたウェーハの酸化物の厚さを検出し得るように配置されることを特徴とする方法。」
イ 段落【0001】
「【産業上の利用分野】本発明は、集積回路の製造方法、特に、半導体ウェーハを物理的に平面化し(planarization)かつ終点(endpoint)を検出するための新規な方法及び装置に関する。」
ウ 段落【0016】
「【実施例】先ず図1を参照すると、本発明による物理的な平面化に適した半導体ウェーハ10及び本発明の研磨装置が図示されている。半導体ウェーハ10は、薄くかつ平坦であり略円形の形状をしており、微細な局部を備えて形成されている。半導体ウェーハは、その上に複数の個々の集積回路金型が形成されるシリコン又は酸化シリコンのような基板を含むことが出来る。これら個々の金型は図1に十字形パターンにて略図で示されている。」
エ 段落【0018】?【0019】
「図5に断面図で示すように、ウェーハ10は、ある領域にてその上に二酸化ケイ素(SiO_(2))14の層(以下に酸化物と称する)が形成されるシリコン基板12を備えることが出来る。一般に、ウェーハ10を物理的に平面化することはウェーハ10の酸化物層14を平面化する段階を含んでいる。ウェーハ10は又、シリコン基板12上に形成して酸化物被覆14で覆った1又は2以上のタングステンのような金属膜のパターン無し金型16を含むことが出来る。
次に、図2を参照すると、本発明により形成された物理的な平面化及びび終点検出装置が全体として符号20で示されている。本発明の研磨装置20は、全体として、アルミナのような研磨性スラリー24が適用される回転する研磨プラテン22の形態による研磨手段と、図3に示すように、半導体ウェーハ10を支持しかつ回転する研磨プラテン22の外端縁を横断しかつ該外端縁を経て動き得るように取り付けられ、回転する研磨プラテン22の半導体ウェーハ10の全体よりも小さい寸法の一部分をオーバーハングさせる回転可能な研磨ヘッド26と、半導体ウェーハ10上に形成された酸化物被覆14等の厚さを検出するためのレーザ干渉測定装置28の形態による終点検出手段とを備えている。」
以上から、甲第5号証には、第2図、及び第5図を参照することにより、以下の事項が記載されている。
「表面に酸化物被覆14を有する半導体ウェーハ10における酸化物被覆14を物理的に平面化するに際して、レーザ干渉測定装置28により酸化物被覆14の厚さを検出する、物理的な平面化及び終点検出装置。」(以下、「甲5記載事項」という。)


第7 当審の判断

1 無効理由2:特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反についての判断
最初に、請求人の主張する無効理由2について検討する。

(1)請求項を特定しない特許法第36条違反について
A 請求人の主張するAの無効理由についての判断
本件特許明細書の段落【0028】には、「図3(b)は、プラーテン16とパッド18の別の具体例である。この具体例では、クオーツインサートは排除され、パッド18には貫通穴は存在しない。その代わりに、プラーテン16のホール30の上の領域では、パッド18の裏張り層20(存在すれば)が除去された。このことにより、ウエハ14とプラーテン16の底部との間には、パッド18のポリウレタンカバー層22だけが残っている。カバー層22に用いられるポリウレタン材料が、レーザー干渉計32からのレーザービームを実質的に透過させるだろうことが、見出されている。」との記載がある。そして、裏張り層を除去することによりパッドのポリウレタンカバー層だけを残し、かつ、このポリウレタンカバー層を透明なものとすれば、レーザー光等の光を透過するものであることは明らかである。また、本件特許明細書の段落【0029】には、「図3(c)に描かれている本発明の具体例において排除される。この具体例では、プラーテンホール30の上の領域における典型的なパッド材料は、中実な(ソリッドな)ポリウレタンプラグ42に置き換えられる。このプラグは、・・・透過性を阻害する添加物を含有していない。」との記載がある。そして、透過性を阻害する添加物を含有していないポリウレタンプラグ42であれば、レーザー光等の光を透過するものであることは明らかである。してみると、レーザー光の透過を許容する透明体から成る合成樹脂製の研磨パッドを当業者が実施し得る程度に十分且つ、明確に記載されていなかったので、特許法第36条第4項違反であるとする無効理由、及び、本願の各請求項に係る発明も不明確であるから、特許法第36条第6項第2号違反であるとの無効理由は成り立たない。
B 請求人の主張するBの無効理由についての判断
レーザー光の反射を利用した終点検出の原理が、レーザー光に限らず通常の可視光、すなわち光にも適用できるものであることは明らかである。したがって、「レーザー光」と「光」とを同一視することはできないから、本件発明は、特許を受けようとする発明が不明確であるので、特許法第36条第6項第2号違反であるとする無効理由、及び、各発明を当業者が実施し得る程度に十分、且つ、明確に明細書に記載されていないので、特許法第36条第4項違反であるとする無効理由は成り立たない。
C 請求人の主張するCの無効理由についての判断
「レーザー干渉計」という用語は、甲第5号証に「レーザ干渉測定装置」と記載され、また、乙44号証、乙45号証においても記載されているように、CMPの終点検出装置として一般的に用いられているものである。したがって、本件特許の「レーザー干渉計」は、一般的に認識されている干渉計ではない、「干渉計」という語句の誤用は、軽微な誤りではなく、発明を構成するキーポイントとなった重要な誤りであるとする無効理由は成り立たない。
D 請求人の主張するDの無効理由についての判断
ブランク酸化膜ウエハの研磨中に干渉の測定を行うことにより、周期的な信号が発生することを検証することは可能で、その様にして検証されたデータをパターンウエハのCMP研磨において参照データとして利用することが可能であることは明らかである。したがって、本件特許の対象となるウェハは、パターンウェハ(パターニングされたウェハ)であり、ブランク酸化物ウェハの開示は、本件特許における課題を解決するものではなく、意味をなすものではないとする無効理由は成り立たない。
E 請求人の主張するEの無効理由についての判断
各請求項に数多く現れるそれぞれの信号の技術的意味および物理量が不明確であるという漠然とした理由では、それが特許法第36条第6項第1号及び第2号違反するのかどうか、また各請求項に係る発明を実施することができるかどうか、すなわち、特許法第36条第6項第4号に違反するかどうか判断することはできない。
なお、各請求項に現れる各種「信号」については、各請求項に対する特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反の無効理由としても挙げられていることから、各種「信号」の上記無効理由については、請求項ごとの判断に委ねることとする。
F 請求人の主張するFの無効理由についての判断
(i)の点に関して、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載では、図9(a)のグラフをどのようにフィルタ処理することにより、図9(b)のグラフのようになるのかは、必ずしも明確ではないが、各請求項中にいくつか存在する「フィルタ」の特定のある請求項については、明確である。
したがって、このことにより、発明を実施することができないとすることも、また、特許請求の範囲の各請求項に記載された発明が発明の詳細な説明に記載されたものでないとすることも、特許請求の範囲の各請求項に記載された発明が明確でないとすることもできない。
(ii)の点に関して、CMPで対象とするパターンウエハにおいても、程度の差こそあれ、平坦化により検出される信号に周期的なサイクルが現れることは明らかであって、これをフィルタ処理することにより、ある程度の研磨に関する情報を得られることは明らかである。
(iii)の点に関して、積分した結果が必ず正の値となるものではない。
(iv)の点に関して、段落【0065】に、フィルタとはバンドパスフィルタであることが記載され、干渉計から検出された信号をバンドパスフィルタにかけて分析することにより研磨終点を検出できることは本件特許の優先権主張日前においても周知の事項であったことは明らかである。
したがって、請求人の主張するFの無効理由では、特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとすることも、特許法第36条第4項違反であるとすることもできない。
G 請求人の主張するGの無効理由についての判断
本件特許の段落【0045】の記載から、検出された信号から認識可能な正弦波状のサイクルが取り出されることが、CMP研磨の終点であるとすることは明らかである。
したがって、請求人の主張するGの無効理由では、特許法第36条第4項違反であるとすることも、特許法第36条第6項第2号違反であるとすることもできない。
H 請求人の主張するHの無効理由についての判断
研磨パッドはウエハに対して半径位置を変更しながら研磨するものであるので、研磨パッドの一部に設けられたウィンドウを通してレーザー反射光等を検出することにより、ある程度、ウエハ表面の均一性を検出できるものであることは明らかであり、それはパターンウエハにも該当するものであることも明らかである。
したがって、請求人の主張するHの無効理由では、特許法第36条第4項違反であるとすることはできない。

(2)請求項を特定する特許法第36条違反について
(i)請求人の主張する請求項9の無効理由についての判断
1)における各ステップの必要性が不明な点、及び2)(a)におけるウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、の部分の全体の中での必要性が不明な点については、必要性が不明というだけの理由で「明確でない」とすることはできない。
また、2)の後半、3)については、CMP研磨において、ウエハからの反射する光を検出して研磨の終点を決定する方法については、種々の方法があり、それぞれ、例示するまでもなく、従来周知のものである。
したがって、ウエハのCMPのための方法に対して、各ステップの必要性が不明であり、ウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、の部分の全体の中での必要性が不明であり、何を持って終点を決定するか示されておらず、ウエハから反射する光を検出するステップとは何の光を検出するのか明細書に記載されておらず不明であるので、請求項9を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は成り立たない。
(ii)請求人の主張する請求項18の無効理由についての判断
1)、5)については、「基板上の表面層の状態の均一性」とは、基板上の表面の平坦化と同様であることは明らかである。そして、平坦化の検出に関しては、平坦化によりデータ信号に周期的なサイクルが現れることは明らかである。また、均一性の判断を平坦化の判断と同様に計算できることも明らかである。
2)については、光ビームもレーザービームも電磁波の一種であって、レーザービームの測定原理を光ビームに応用できることは明らかである。
3)については、「干渉信号」が、レーザー干渉計に相当する光ビームの際の干渉計で検出される信号に相当するものであることは、技術的に明らかである。
4)については、干渉信号が干渉計によって生じる信号であることは明らかで、別の請求項で特定されている検出信号、データ信号との実質的な違いはともかく、表現として異なる信号であることは明らかである。
したがって、基板上の層の均一性を測定する方法は、実施不能であるか、開示されていないし、光ビームに関する内容は、明細書中に記載がなく、干渉信号を示す物理量が不明であり、干渉信号と検出信号、データ信号との実質的な差が不明であり、均一性の尺度の計算が開示されないか、原理的に計算できないため、請求項18を特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(iii)請求人の主張する請求項19の無効理由についての判断
「特徴情報」が、望ましく操作されていることがわかっているシステムに対して干渉計によって得られたシグネチャ波形を意味するものであることは、発明の詳細な説明の段落【0068】?【0070】を参照することにより明らかである。そして、研磨の目標が均一性、すなわち基板上の表面の平坦化であるから、特徴情報は、基板上の表面が均一化された時の干渉計によって得られたシグネチャ波形である。
段落【0018】に示されている「特性信号」は、請求項19中には存在しない。
したがって、特徴情報の意味・物理量が不明であり、干渉信号から特徴情報を抽出するステップは開示されておらず意味も不明であり、抽出された特徴情報から均一性の尺度を計算するステップも開示されておらず、均一性尺度を求める上で、段落【0018】に記載の特性信号の技術的意味・物理量と他の信号との差異が不明で均一性尺度が定義できないことから、請求項19を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるという無効理由は、成り立たない。
(iv)請求人の主張する請求項20の無効理由についての判断
「表面層の状態の均一性」とは、基板上の表面の平坦化と同様であることは明らかである。そして、平坦化の検出に関しては、CMPで対象とするパターンウエハにおいても、程度の差こそあれ、平坦化によりデータ信号に周期的なサイクルが現れることは明らかである。
したがって、均一性の尺度が開示されず、また、原理的に計算できないことから、請求項20を特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反であるという無効理由は、成り立たない。
(v)請求人の主張する請求項24の無効理由についての判断
1)については、「研磨プロセスの特性」とは、研磨プロセスが期待通りに進行しているか否かを示す指標であることは明らかであって、請求項24は、その特性を評価する方法に関する発明である。
2)、4)の「シグネチャ」については、訂正後の請求項24には存在しない。
3)については、光ビームの点は、上記(ii)のとおりである。
5)については、「研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、保存されている情報」とは、研磨プロセスにおいて、なんらかの操作を行なう際の、干渉計波形と比較される情報であることは明らかである。
したがって、プロセスの特性の技術的意味および物理量が不明であり、シグネチャの技術的意味・物理量が不明確であり、光ビームに関する開示はなく、シグネチャを抽出するステップの技術的意味が不明であり、研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、保存されている情報の技術的意味が不明であるので、請求項24を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(vi)請求人の主張する請求項27の無効理由についての判断
1)の干渉計については、前記Cのとおりである。2)の干渉信号、3)の光ビーム、4)の干渉信号から均一性の尺度を計算する方法については、上記(ii)のとおりである。
したがって、干渉計とあるが、実質的に干渉計でなく、語句を誤用しており、干渉信号の物理量が不明であり、光ビームに関する開示がなく、干渉信号から均一性の尺度を計算する方法が不明確であり、示されていないので、請求項27を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(vii)請求人の主張する請求項30の無効理由についての判断
請求項30は、遡っていくと、請求項27を大本として引用しているものであるが、請求項27では、「光ビーム」を対象としたものであり、「レーザービーム」を対象としたものではない。しかしながら、レーザー干渉計を一般の光ビームの干渉検出にも利用できることは既述したとおりである。
したがって、レーザー干渉計は語句を誤用しているので、請求項30を特許法第36条第6項第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(viii)請求人の主張する請求項31の無効理由についての判断
1)の特徴情報、2)の干渉信号から特徴情報の抽出、3)の段落【0018】の特性信号との関係、4)の均一性の尺度の計算については、上記(ii)、(iii)、(v)のとおりである。
したがって、特徴情報の技術的意味・物理量が不明であり、干渉信号から特徴情報を抽出することが示されておらず、段落【0018】記載の「特性信号」の技術的意味・物理量が不明であり、抽出された特徴情報から均一性の尺度を計算する方法が示されていないから、請求項31を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(ix)請求人の主張する請求項39の無効理由についての判断
1)については、「基板を研磨することと、各特徴がどう対応」するかという点は、明確に無効理由を示していない。「それが必要機能なのか」、及び「何を行うか」は、特許請求の範囲の明確性と関係のない事項である。
2)の光ビームについては、上記(ii)のとおりである。
3)のパターンウェハ、周期信号からの終点検出、フィルタについては、CMPで対象とするパターンウエハにおいても、程度の差こそあれ、平坦化によりデータ信号に周期的なサイクルが現れることは明らかである。さらに、請求項39は、「フィルタ」を発明特定事項としていない。
したがって、基板を研磨することと、各特徴がどう対応し、また、それが必要機能なのか不明であり、何を行うかも不明であり、光ビームに対する開示はなく、CMPで対象となるパターンウェハは周期信号が現れず、パターンウェハに対して、周期信号から終点を検出する一意の方法が開示されていないし、フィルタは実施不能であるから、請求項39を特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(x)請求人の主張する請求項52の無効理由についての判断
1)の光ビームの点については、上記(ii)のとおりである。
2)の反射された光の測定については、(1)Aで言及したとおり、レーザー干渉計を用い、反射光を測定することにより研磨の終点を検出することができることは明らかである。
また、3)については、請求項52は、光源と検出器の他に、研磨パッド、研磨ヘッドを有しており、これらにより研磨の終点を検出するシステムは従来周知のものである。
したがって、光ビームに関する開示はなく、光のどのような物理量を測定するのか不明であり、光源と検出器を有するだけの終点検出システムは特定できないから、請求項52を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。

2 無効理由1:特許法第29条第2項違反についての判断

(1)請求項9に対して
ア 対比
本件特許発明9と甲1発明1とを対比すると、後者の「ウエハ支持板8」は前者の「研磨ヘッド」に、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「研磨液」は前者の「研磨スラリ」に、後者の「定盤1」は前者の「プラーテン」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウインドウ」に相当する。
後者における「中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3」は、「開口」という限りで、前者の「ホール(孔)」と共通する。
後者における研磨はCMPであることが明らかなので、後者の「研磨状態の終点を知る」ことは、前者の「CMPが終了した終点を決定する」ことに相当する。
後者における「溝2に同形に切り抜かれた該研磨布5に含まれる研磨布窓6」は、研磨布5が定盤1の上に直接設けられたものであるから、「プラーテン内に形成された開口に近接するように配置された研磨パッドに含まれるウインドウ」という限りで、前者の「プラーテン内に形成されたホール(孔)に近接するように配置された該研磨パッドに含まれるウインドウ」と共通する。
前者における「レーザービーム」は、後者における「光」の下位概念である。
後者における「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ」ることは、「研磨プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設し」である限りにおいて、前者の「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え」ることと共通する。
後者の「照射する」ことは、光を照射するのであるから、「発する」といえるものである。
後者の「該研磨布窓6は、ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える」ことは、ウエハ7の中心のみが透明窓材4の上にある時だけ、光をウエハへ入射させるものであるから、「該ウィンドウは、ウエハが該ウィンドウの上にあるときの時間の一部の間光のための通路を与える」限りにおいて、前者の「該ウィンドウは、ウエハが該ウィンドウの上にあるときの時間の一部の間レーザービームのための通路を与える」ことと共通する。
後者の「赤色の範囲を含む」ことは、前者の「赤光の範囲を含む」ことに相当する。
以上の点から、本件特許発明9と甲1発明1とは、以下の一致点、相違点を有している。
<一致点1>
「ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)のための方法であって、該方法は、
(a)ウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、該回転可能な研磨ヘッドの下の研磨パッドに対して保持するステップであって、該パッドは発泡材料からなる表面を有し、研磨スラリによってウェットとなっている、該保持するステップと、
(b)CMPが終了した終点を決定するステップであって、該終点を決定するステップは、
(b1)赤光の範囲を含む光をウエハに向けて発するステップであって、該光は、プラーテン内に形成された開口に近接するように配置された該研磨パッドに含まれるウィンドウを通過し、
研磨プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設し、
該ウィンドウは、ウエハが該ウィンドウの上にあるときの時間の一部の間光のための通路を与える、該発するステップと、
(b2)ウエハから反射する赤光の範囲を含む光を検出するステップとを備える前記決定するステップとを備える方法。」
<相違点1>
ウエハに関して、本件特許発明9では、「酸化物層の下に半導体基板を備える」ものであると特定しているのに対して、甲1発明1では、SOIウエハではあるものの、酸化物層を表面に有するかどうか不明な点。
<相違点2>
発する光に関して、本件特許発明9では、「レーザービーム」としているのに対して、甲1発明1では、単に光である点。
<相違点3>
開口に関して、本件特許発明9では、「ホール(孔)」としているのに対して、甲1発明1では、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3である点。
<相違点4>
光透過部材の構造に関して、本件特許発明9では、「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え」るとして、研磨パッドに光透過部材が設けられているのに対して、甲1発明1では、光透過部材は、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4である点。
イ 当審の判断
(ア)上記<相違点4>について検討する。
本件特許発明9において、プラグは、「パッドに形成された中実な材料からなるプラグ」であることが認められる。
ここで、本件特許発明9に係る「パッドに形成された中実な材料からなるプラグ」との文言の意義は一義的に明らかでないことから、本件特許明細書を参照すると、本件特許明細書には、本件特許発明9の「ウィンドウ」について、段落【0027】、図3(a)に示される構成(以下「第1の構成」という。)、段落【0028】、図3(b)に示される構成(以下「第2の構成」という。)、及び段落【0029】、図3(c)に示される構成(以下「第3の構成」という。)が開示されていることが認められる。そして,第3の構成において,「プラーテンホール30」の上の領域におけるパッド材料は「中実な(ソリッドな)ポリウレタンプラグ42」に置き換えられ、「中実な(ソリッドな)ポリウレタンプラグ42」は、プラグを通ることによるレーザービームの弱化を最小にし(【0029】)、「プラーテン16」に固定されるように形成されていない(図3(c))。
他方、第1の構成において、「クオーツインサート38」は、「プラーテン16」の上面の上に突出し、部分的に「プラーテンパッド18」の中に入り込み、「レーザービーム34」のためのウィンドウとして機能するとともに、ケミカルスラリ40の一部がプラーテン16の底部から漏出できないようにするものである(【0027】)が、「クオーツインサート38」が「プラーテン16」に固定されている(図3(a))ことから、上記「クオーツインサート38」は、本件特許発明9における「パッドに形成された」プラグとは認められない。また、第2の構成において、「パッド18」の「ポリウレタンカバー層22」は、レーザー干渉計32からのレーザービームを実質的に透過させるとともに、レーザービームの有害な散乱を生じさせる「スラリ40」が殆ど存在しないようにするものである(【0028】)が、中実な材料からなるものではないから、上記「ポリウレタンカバー層22」が、本件特許発明9における「中実な材料からなるプラグ」とは認められない。
そうすると、本件特許明細書の記載を参酌すれば、当業者は、本件特許発明9の「パッドに形成された中実な材料からなるプラグ」とは,第3の構成のように、プラーテンに形成されることなく、「プラーテンホール30」の上の領域におけるパッド材料を「パッドに形成された中実な材料からなるプラグ」に置き換えた態様のものであると理解すると認められる。
(イ)一方、甲1発明1は、「透明窓材とウエハとの間にできる研磨液の膜を通してウエハの研磨面に照射した光の反射光を観察あるいは評価する」(第6 1 エ参照)もので、「研磨布窓6」は、「ウエハ7」の中心が該「研磨布窓6」の上にあるときの一部の間、光のための通路を与えるものであるが、「研磨布にだけ研磨布窓を設けたのでは、研磨液に空気が混じる恐れがあり、空気が混じると観察が困難となるので、研磨液を十分保持できるようにし、空気が混じらないようにするため」に、「定盤1」内に「溝2」が形成され、当該「溝2」には「研磨液を十分保持させる」(第6 1 エ参照)ものであることが認められる。また、「貫通孔3」の「溝2」側には、透明ガラス製の中実な材料からなる「透明窓材4」が嵌め込まれ、「プローブ9」からウエハの研磨面へ照射される照射光とその反射光とを通すとともに、研磨液が漏れないようにしている(第6 1 オ参照)ことも認められる。
そうすると、甲1発明1は、「SOIウエハ7」をケミカルメカニカルポリシング(CMP)により研磨するに際し、赤色の範囲を含む光を「ウエハ7」に向けて照射し、その反射光を観察あるいは評価して、研磨状態の終点を知ることができるようにしたもので、「定盤1」内に「溝2」を形成し、当該「溝2」に研磨液を十分保持させることで、研磨液に空気が混じらないようにして、上記反射光の観察あるいは評価を容易にし、また、「透明窓材4」を上記「溝2」に設けられた「貫通孔3」に嵌め込むことにより、上記「ウエハ7」への照射光とその反射光とを通すとともに、研磨液が漏れないようにしたものといえる。
(ウ)以上のことからすれば、甲1発明1において、上記「溝2」に研磨液を十分保持させ、上記「溝2」に形成された「貫通孔3」に、上記「ウエハ7」への照射光とその反射光とを通すためには、透明ガラス製の中実な材料からなる「透明窓材4」を上記「貫通孔3」に嵌め込む構成とするほかはないから、甲1発明1において、上記「透明窓材4」の設置位置を「研磨布5」に変更する動機付けがあるとはいえず、むしろ阻害要因があるというべきである。
また、甲2記載事項は、「ポリシングパッド1による貼り合わせウェーハ11の研磨において、ポリシングパッド1を透明体とし、ポリシングパッド1を透過してレーザ光を照射するもの。」であり、甲3記載事項は、「被加工物1の被加工面6をポリッシャ3で研磨するにあたり、石英からなるポリッシャ3を透明なものとし、レーザ光線11を照射し、透明なポリッシャ3を透過してレーザ光線を照射するもの。」であり、甲4記載事項は、「被加工物2をポリシャ4で研摩するにあたり、合成樹脂からなるポリシャ4を透明なものとし、レーザ光を照射し、透明なポリシャ4を透過してレーザ光を照射するもの。」であると認められるところ、甲2ないし甲4記載事項は、全体を同じ材料からなる透明な研磨面とすることが示されているにとどまり、本件特許発明9の「パッドに形成された中実な材料からなるプラグ」を備えること、すなわち、プラグが、プラーテンに形成されることなく、プラーテンホールの上の領域におけるパッド材料を置き換えるように形成されることが、甲第2ないし4号証に開示されているとも認められない。なお、甲第5号証は、もとより、プラグを、プラーテンホールの上の領域におけるパッド材料を置き換えるように形成することを開示するものではない。
以上から、平成24年(行ケ)第10232号判決で判示されたとおり、甲1発明1において、上記「透明窓材4」の設置位置を変更する動機付けがあるとはいえず、また、甲第2ないし5号証には、本件特許発明9の「パッドに形成された中実な材料からなるプラグ」について開示されていないから、甲1発明1において、上記「透明窓材4」を、上記「定盤1」に形成されることなく、上記「貫通孔3」の上の領域における「研磨布5」(本件特許発明9における「パッド」に相当する。)材料を置き換えるように形成されたものとすること、すなわち、上記「透明窓材4」を上記「研磨布5」に形成することが、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。また、甲第6ないし25号証を参照しても、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
(エ)請求項9に対するまとめ
したがって、相違点1ないし3について検討するまでもなく、本件特許発明9は、甲1発明1、及び甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項、及び甲第6ないし25号証記載事項から当業者が容易になし得たものとすることはできない。

(2)請求項18に対して
ア 対比
本件特許発明18と甲1発明2とを対比すると、後者の「表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着したSOIウエハ7」は前者の「基板」に、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウインドウ」に、後者の「光」は前者の「光ビーム」に相当する。
後者における「ウエハ7の研磨状態の終点」は、研磨は表面層に対して行うものであるから、「基板上の表面層の研磨状態」という限りで、前者の「基板上の表面層の状態の均一性」と共通する。
後者における「ウエハ7の研磨を中断せずに知る」ことは、研磨は表面層に対して行うものであるから、前者の「層の研磨の最中に測定する」ことに相当する。
後者の「赤色の範囲を含む」ことは、前者の「赤光の範囲を含む」ことに相当する。
後者における「ウエハ7の方へ赤色の範囲を含む光を向ける」ことは、研磨は表面層に対して行うものであるから、前者の「基板上の表面層の方へ赤光の範囲を含む光ビームを向ける」ことに相当する。
後者における「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ」ることは、「研磨プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設」する限りにおいて、前者の「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」ることと共通する。
後者の「ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える」ことは、ウエハ7の中心のみが透明窓材4の上にある時だけ、光をウエハへ入射させるものであるから、前者の「前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」に相当する。
後者の「光をプローブ9により受光して検出する」ことは、「光ビームを受光して検出する」限りにおいて、前者の「光ビームによって生じる干渉信号をモニタする」ことと共通する。
以上の点から、本件特許発明18と甲1発明2とは、以下の一致点、相違点を有している。
<一致点2>
「ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において、基板上の表面層の研磨状態を、前記層の研磨の最中に測定するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ赤光の範囲を含む光ビームを向けるステップであり、研磨プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設し、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記赤光の範囲を含む光ビームを受光して検出するステップとを備える方法。」
<相違点5>
測定する基板上の表面層の研磨状態に関して、本件特許発明18では、「基板上の表面層の状態の均一性」であるとしているのに対して、甲1発明2では、ウエハ7の研磨状態の終点であるとしている点。
<相違点6>
光透過部材の構造に関して、本件特許発明18では、「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」るとして、研磨パッドに光透過部材が設けられているのに対して、甲1発明2では、光透過部材は、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4である点。
<相違点7>
本件特許発明18では、「(b)基板から反射されてくる赤光の範囲を含む光ビームによって生じる干渉信号をモニタするステップと、(c)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するステップとを備える」としているのに対して、甲1発明2では、ウエハ7から反射されてくる赤光の範囲を含む光をプローブ9により受光して検出するステップを備える点。
イ 当審の判断
上記<相違点6>について検討する。
本件特許発明18において、プラグは、「パッドに形成された中実な材料からなるプラグ」であることが認められる。
したがって、平成24年(行ケ)第10232号判決で判示されたとおり、甲1発明2において、上記「透明窓材4」の設置位置を変更する動機付けがあるとはいえず、また、甲第2ないし5号証には、本件特許発明18の「パッドに形成された中実な材料からなるプラグ」について開示されていないから、甲1発明2において、上記「透明窓材4」を、上記「定盤1」に形成されることなく、上記「貫通孔3」の上の領域における「研磨布5」(本件特許発明18における「パッド」に相当する。)材料を置き換えるように形成されたものとすること、すなわち、上記「透明窓材4」を上記「研磨布5」に形成することが、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。また、甲第6ないし25号証を参照しても、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
したがって、相違点5及び相違点7について検討するまでもなく、本件特許発明18は、甲1発明2、及び甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項、及び甲第6ないし25号証記載事項から当業者が容易になし得たものとすることはできない。

(3)請求項19、20に対して
請求項19は請求項18を引用し、請求項20は請求項19を引用しているものである。
ここで、前記(2)において言及したとおり、請求項18は、前記<相違点6>に係る発明特定事項により、甲第1ないし第5号証に記載された発明及び事項、甲第6ないし25号証記載事項から容易になし得たとすることはできないとしたものであるので、当該請求項18による特定事項をすべて含み、さらに、別の特定事項を備える請求項19、20に係る発明も、同様に、前記(2)において言及したとおり、<相違点6>に係る発明特定事項により、甲第1ないし第5号証に記載された発明及び事項、甲第6ないし25号証記載事項から当業者が容易になし得たとすることはできない。

(4)請求項24に対して
ア 対比
本件特許発明24と甲1発明3とを対比すると、後者の「表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着したSOIウエハ7」は前者の「基板」に、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウインドウ」に、後者の「光」は前者の「光ビーム」に相当する。
後者における「研磨状態の終点を知る」ことは、「研磨プロセスの特性を評価する」と言い換えることができる。
後者における「研磨を中断せず」は、前者の「研磨の最中」に相当する。
後者の「赤色の範囲を含む」ことは、前者の「赤光の範囲を含む」ことに相当する。
後者における「ウエハ7の方へ赤色の範囲を含む光を向ける」ことは、研磨は表面層に対して行うものであるから、前者の「層の方へ赤光の範囲を含む光ビームを向ける」ことに相当する。
後者における「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ」ることは、「研磨プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設」する限りにおいて、前者の「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」ることと共通する。
後者の「ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える」ことは、ウエハ7の中心のみが透明窓材4の上にある時だけ、光をウエハへ入射させるものであるから、前者の「前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」ことに相当する。
後者の「光をプローブ9により受光して検出する」ことは、「光ビームを受光して検出する」限りにおいて、前者の「光ビームによって発生する干渉信号をモニタする」ことと共通する。
以上の点から、本件特許発明24と甲1発明3とは、以下の一致点、相違点を有している。
<一致点3>
「ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において、基板を研磨するための研磨プロセスの特性を評価するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ赤光の範囲を含む光ビームを向けるステップであり、研磨プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設し、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記赤光の範囲を含む光ビームを受光して検出するステップとを備える方法。」
<相違点8>
基板に関して、本件特許発明24では、「層を自身の上に有する」としているのに対して、甲1発明3では、SOIウエハではあるものの、層を自身の上に有しているのかどうか不明な点。
<相違点9>
光透過部材の構造に関して、本件特許発明24では、「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」るとして、研磨パッドに光透過部材が設けられているのに対して、甲1発明3では、光透過部材は、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4である点。
<相違点10>
本件特許発明24では、「光ビームによって発生する干渉信号をモニタするステップ」を有しているのに対して、甲1発明3では、ウエハ7から反射されてくる光をプローブ9により受光して検出するステップを備える点。
<相違点11>
本件特許発明24では、「(c)干渉信号から干渉計波形を抽出するステップと、(d)前記抽出された干渉計波形を保存されている情報と比較するステップであって、前記保存されている情報は、研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、前記比較するステップ」を有しているのに対して、甲1発明3では、そのようなステップを有していない点。
<相違点12>
本件特許発明24では、「(e)抽出された干渉計波形が保存されている情報から所定の量以上広がったとき、警告を発するステップ」を備えているのに対して、甲1発明3は、そのようなステップを有していない点。
イ 当審の判断
上記<相違点9>について検討する。
本件特許発明24において、プラグは、「パッドに形成された中実な材料からなるプラグ」であることが認められる。
したがって、平成24年(行ケ)第10232号判決で判示されたとおり、甲1発明3において、上記「透明窓材4」の設置位置を変更する動機付けがあるとはいえず、また、甲第2ないし5号証には、本件特許発明24の「パッドに形成された中実な材料からなるプラグ」について開示されていないから、甲1発明3において、上記「透明窓材4」を、上記「定盤1」に形成されることなく、上記「貫通孔3」の上の領域における「研磨布5」(本件特許発明24における「パッド」に相当する。)材料を置き換えるように形成されたものとすること、すなわち、上記「透明窓材4」を上記「研磨布5」に形成することが、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。また、甲第6ないし25号証を参照しても、当業者が容易になし得たものとはいえない。
したがって、相違点8、及び相違点10ないし12について検討するまでもなく、本件特許発明24は、甲1発明3、及び甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項、及び甲第6ないし25号証記載事項から当業者が容易になし得たものとすることはできない。

(5)請求項25に対して
請求項25は請求項24を引用しているものである。
ここで、前記(4)において言及したとおり、請求項24は、前記<相違点9>に係る発明特定事項により、甲第1ないし第5号証に記載された発明及び事項、甲第6ないし25号証記載事項から容易になし得たとすることはできないとしたものであるので、当該請求項24による特定事項をすべて含み、さらに、別の特定事項を備える請求項25に係る発明も、同様に、前記(4)において言及したとおり、<相違点9>に係る発明特定事項により、甲第1ないし第5号証に記載された発明及び事項、甲第6ないし25号証記載事項から当業者が容易になし得たとすることはできない。

(6)請求項27に対して
ア 対比
本件特許発明27と甲1発明4とを対比すると、後者の「表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着したSOIウエハ7」は前者の「基板」に、後者の「研磨中」は前者の「処理中」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウィンドウ」に、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「光」は前者の「光ビーム」に、後者の「光を照射」は前者の「光ビームを発生」に、後者の「定盤1」は前者の「プラーテン」に、後者の「ウエハ支持板8」は前者の「研磨ヘッド」に相当する。
後者における「ウエハ研磨装置」が、全体的なシステムと捉えることができるから、前者の「基板研磨システム」に相当する。
後者における「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ」は、「プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設」する限りにおいて、前者の「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」ることと共通する。
後者の「ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える」ことは、ウエハ7の中心のみが透明窓材4の上にある時だけ、光をウエハへ入射させるものであるから、前者の「前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」ことに相当する。
後者における「ウエハ7の中心の研磨面」は、前者の「基板の側部」に相当する。
後者における「プローブ9」は、「光ビーム測定装置」という限りで、前者の「干渉計」と共通する。
後者の「赤色の範囲を含む」ことは、前者の「赤光の範囲を含む」ことに相当する。
以上の点から、本件特許発明27と甲1発明4とは、以下の一致点、相違点を有している。
<一致点4>
「ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための基板研磨システムであって、
(a)処理中に、ウィンドウを有する発泡材料からなる表面を有する研磨パッドを保持するプラーテンであり、
プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設し、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)処理中に、前記研磨パッドの前記ウィンドウを通して、研磨されるべき基板の側部に向けられ且つ入射する赤光の範囲を含む光ビームを発生させることが可能な光ビーム測定装置を備える研磨システム。」
<相違点13>
ウィンドウに関して、本件特許発明27では、「中実な透明」と特定し、また、「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」と特定しているのに対して、甲1発明4では、ウィンドウに相当する研磨布窓6が、定盤1の溝2と同形に切り抜かれたものであり、定盤1には、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3が設けられ、前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の透明窓材4が嵌め込まれたものである点。
<相違点14>
光ビームの発生に関して、本件特許発明27では、「コリメートされた」ものとしているのに対して、甲1発明4では、コリメートされているかどうかが不明な点。
<相違点15>
光ビーム測定装置に関して、本件特許発明27では、「干渉計」であるとし、また、「前記干渉計は干渉信号を発生する、前記干渉計と、前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するようにプログラミングされたデータプロセッサとを備える」と特定しているのに対して、甲1発明4では、プローブ9である点。
イ 当審の判断
上記<相違点13>について検討する。
本件特許発明27において、プラグは、「パッドに形成された中実な材料からなるプラグ」であることが認められる。
したがって、平成24年(行ケ)第10232号判決で判示されたとおり、甲1発明4において、上記「透明窓材4」の設置位置を変更する動機付けがあるとはいえず、また、甲第2ないし5号証には、本件特許発明27の「パッドに形成された中実な材料からなるプラグ」について開示されていないから、甲1発明4において、上記「透明窓材4」を、上記「定盤1」に形成されることなく、上記「貫通孔3」の上の領域における「研磨布5」(本件特許発明27における「パッド」に相当する。)材料を置き換えるように形成されたものとすること、すなわち、上記「透明窓材4」を上記「研磨布5」に形成することが、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。また、甲第6ないし25号証を参照しても、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
したがって、相違点14ないし15について検討するまでもなく、本件特許発明27は、甲1発明4、及び甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項、及び甲第6ないし25号証記載事項から当業者が容易になし得たものとすることはできない。

(7)請求項28、29、30、31、32に対して
請求項28は請求項27を引用し、請求項29は請求項28を引用し、請求項30、31は請求項29を引用し、請求項32は請求項31を引用しているものである。
ここで、前記(6)において言及したとおり、請求項27は、前記<相違点13>に係る発明特定事項により、甲第1ないし第5号証に記載された発明及び事項、甲第6ないし25号証記載事項から容易になし得たとすることはできないとしたものであるので、当該請求項27による特定事項をすべて含み、さらに、別の特定事項を備える請求項28、29、30、31、32に係る発明も、同様に、前記(6)において言及したとおり、<相違点13>に係る発明特定事項により、甲第1ないし第5号証に記載された発明及び事項、甲第6ないし25号証記載事項から当業者が容易になし得たとすることはできない。

(8)請求項39に対して
ア 対比
本件特許発明39と甲1発明5とを対比すると、後者の「ウエハ7」は前者の「基板」に、後者の「研磨装置」は前者の「装置」に、後者の「研磨中」は前者の「処理中」に、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「定盤1」は前者の「プラーテン」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウィンドウ」に、後者の「光」は前者の「光ビーム」に、後者の「ウエハ支持板8」は前者の「研磨ヘッド」に相当する。
後者における「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ」ることは、「プラーテン及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設」する限りにおいて、前者の「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」ることと共通する。
後者の「ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える」ことは、ウエハ7の中心のみが透明窓材4の上にある時だけ、光をウエハへ入射させるものであるから、前者の「ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」ことに相当する。
後者における「プローブ9」は、「光測定装置」という限りで、前者の「干渉計」と共通する。
後者における「光を照射する」ことは、前者の「光ビームを発生させる」ことに相当する。
後者における「研磨中」は、「研磨操作の一部の間」と言い換えることができることは明らかである。
後者の「赤色の範囲を含む」ことは、前者の「赤光の範囲を含む」ことに相当する。
後者における「照射する」ことは、前者の「入射する」ことに相当する。
後者における「研磨中に研磨状態の終点を知る、プローブ9を備える」ことは、研磨中が研磨プロセスのインシチュウな状態であるから、「研磨プロセスのインシチュウによるモニタリングを与える、光測定装置を備え、前記光測定装置からの信号を解析し、研磨状態の終点を知るものである」限りにおいて、前者の「研磨プロセスのインシチュウによるモニタリングを与える、干渉計と、前記干渉計からの周期信号を解析し、該周期信号からの研磨の終点を検出するプロセッサとを備える」ことと共通する。
以上の点から、本件特許発明39と甲1発明5とは、以下の一致点、相違点を有している。
<一致点5>
「ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、前記装置は、
(a)処理中に研磨パッドを保持するプラーテンであり、前記パッドは、発泡材料からなる表面を有し、プラーテン及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設し、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)赤光の範囲を含む光ビームを発生させることが可能な光測定装置であって、前記光測定装置は、少なくとも研磨操作の一部の間に前記光ビームを前記ウィンドウに向け前記基板上に入射するように配置されて、研磨プロセスのインシチュウによるモニタリングを与える、光測定装置を備え、前記光測定装置からの信号を解析し、研磨状態の終点を知るものである装置。」
<相違点16>
光透過部材の構造に関して、本件特許発明39では、「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」ているとして、研磨パッドに光透過部材が設けられているのに対して、甲1発明5では、光透過部材は、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4である点。
<相違点17>
光ビームに関して、本件特許発明39では、「コリメートされた」と特定しているのに対して、甲1発明5では、光がコリメートされたものであるのかどうか不明な点。
<相違点18>
光測定装置に関して、本件特許発明39では、「干渉計」と特定しているのに対して、甲1発明5では、プローブ9である点。
<相違点19>
研磨プロセスのインシチュウによるモニタリングを与える、光測定装置を備え、前記光測定装置からの信号を解析し、研磨状態の終点を知るものに関して、本件特許発明39では、「研磨プロセスのインシチュウによるモニタリングを与える、干渉計と、前記干渉計からの周期信号を解析し、該周期信号からの研磨の終点を検出するプロセッサとを備える」としているのに対して、甲1発明5では、光測定装置はプローブ9であり、研磨の終点を知ることに関してプロセッサを用いているのかどうか不明な点。
イ 当審の判断
上記<相違点16>について検討する。
本件特許発明39において、プラグは、「パッドに形成された中実な材料からなるプラグ」であることが認められる。
したがって、平成24年(行ケ)第10232号判決で判示されたとおり、甲1発明5において、上記「透明窓材4」の設置位置を変更する動機付けがあるとはいえず、また、甲第2ないし5号証には、本件特許発明39の「パッドに形成された中実な材料からなるプラグ」について開示されていないから、甲1発明5において、上記「透明窓材4」を、上記「定盤1」に形成されることなく、上記「貫通孔3」の上の領域における「研磨布5」(本件特許発明39における「パッド」に相当する。)材料を置き換えるように形成されたものとすること、すなわち、上記「透明窓材4」を上記「研磨布5」に形成することが、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。また、甲第6ないし25号証を参照しても、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
したがって、相違点17ないし19について検討するまでもなく、本件特許発明39は、甲1発明5、及び甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項、及び甲第6ないし25号証記載事項から当業者が容易になし得たものとすることはできない。

(9)請求項52に対して
ア 対比
本件特許発明52と甲1発明6とを対比すると、後者の「ウエハ7」は前者の「基板」に、後者の「研磨装置」は前者の「装置」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウィンドウ」に、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「光」は前者の「光ビーム」に、後者の「ウエハ支持板8」は前者の「研磨ヘッド」に相当する。
後者の「赤色の範囲を含む」ことは、前者の「赤光の範囲を含む」ことに相当する。
後者における「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる赤色の範囲を含む光ビームに対して透過性を有する透明窓材4が嵌め込まれ」は、「プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる赤光の範囲を含む光ビームに対して透過性を有する光透過部材を配設する」限りにおいて、前者の「該パッドに形成されたプラグであって、赤光の範囲を含む光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える」ることと共通する。
後者における「ウエハ7に光を照射し」は、前者の「基板に入射する光ビームを発生する」ことに相当する。
後者における「プローブ9」は、光を照射し、反射光を受光するものであるので、「光発生兼測定装置」という限りで、前者の「光源と、基板より反射された光を測定する検出器」と共通する。
後者における「研磨状態の終点を知るもの」は、システムであると言えるものであるから、前者の「終点検出システムとを備える装置」に相当する。
後者の「ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光ビームをウエハ7に入射させるための通路を与える」ことは、ウエハ7の中心のみが透明窓材4の上にある時だけ、光ビームをウエハへ入射させるものであるから、前者の「ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」ことに相当する。
以上の点から、本件特許発明52と甲1発明6とは、以下の一致点、相違点を有している。
<一致点6>
「基板を研磨するための装置であって、
(a)発泡材料からなり研磨面とウィンドウを有する研磨パッドであり、
プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる赤光の範囲を含む光ビームに対して透過性を有する光透過部材を配設した、前記研磨パッドと、
(b)基板を研磨面に対して保持するための研磨ヘッドと、
(c)ウィンドウを通過して基板に入射する赤光の範囲を含む光ビームを発生するための光発生兼測定装置を有する終点検出システムとを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える装置。」
<相違点20>
研磨パッド及びウィンドウに関して、本件特許発明52では、「発泡材料からなり透過性のない研磨面と中実な透過性のウィンドウを有する」と特定し、また、「前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、赤光の範囲を含む光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」ているとして、研磨パッドに光透過部材が設けられているのに対して、甲1発明6では、研磨パッドに相当する研磨布5は、発泡材料からなるものの、研磨面と定盤1の溝2と同形に切り抜かれた研磨布窓6を有するものであり、また、赤色の範囲を含む光透過部材は、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4である点。
<相違点21>
光発生兼測定装置に関して、本件特許発明52では、「光源と、基板より反射された光を測定する検出器」としているのに対して、甲1発明6では、光を照射しその反射光を受光するプローブ9である点。
イ 当審の判断
上記<相違点20>について検討する。
本件特許発明52は「パッドに形成されたプラグ」との構成を有し、また、「発泡材料からなり透過性のない研磨面と中実な透過性のウィンドウを有する研磨パッドであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、赤光の範囲を含む光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、前記研磨パッド」との記載からすると、本件特許発明52において、「パッドに形成されたプラグ」は、中実な光透過性のウィンドウであることが認められる。
したがって、平成24年(行ケ)第10232号判決で判示されたとおり、甲1発明6において、上記「透明窓材4」の設置位置を変更する動機付けがあるとはいえず、また、甲第2ないし5号証には、本件特許発明52の「パッドに形成されたプラグ」であって「中実な透過性のウィンドウを有する研磨パッド」について開示されていないから、甲1発明6において、上記「透明窓材4」を、上記「定盤1」に形成されることなく、上記「貫通孔3」の上の領域における「研磨布5」(本件特許発明52における「パッド」に相当する。)材料を置き換えるように形成されたものとすること、すなわち、上記「透明窓材4」を上記「研磨布5」に形成することが、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。また、甲第6ないし25号証を参照しても、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
したがって、相違点21について検討するまでもなく、本件特許発明52は、甲1発明6、及び甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項、及び甲第6ないし25号証記載事項から当業者が容易になし得たものとすることはできない。


第8 むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張する無効理由及び証拠方法によっては、本件特許発明9、18、19、20、24、25、27、28、29、30、31、32、39、52について、無効とすることはできない。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第64条の規定により、その113分の52を請求人の負担とし、113分の61を被請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 ----------------------------------
(参考:本件一次審決)
結 論
特許第3431115号の請求項1、9、18ないし20、24ないし25、27ないし32、39ないし40、42ないし46、48ないし49、51ないし52に係る発明についての特許を無効とする。
特許第3431115号の請求項2ないし8、10ないし17、21ないし23、26、33ないし38、41、47、50に係る発明についての審判請求は、成り立たない。
審判費用は、その13分の7を請求人の負担とし、13分の6を被請求人の負担とする。

理 由
第1 手続の経緯
平成 8年 3月28日 出願(パリ条約による優先権主張外国庁受理1995年3月28日、米国、特願平8-74976号)
平成15年 5月23日 設定登録
平成15年 7月28日 特許公報発行(特許第3431115号)
平成15年11月27日 異議申立(1)(異議申立人、北村清隆)
平成15年12月26日 異議申立(2)(異議申立人、松原いづみ)
平成16年 4月22日付け 取消理由通知
平成16年10月29日付け 意見書、訂正請求書
平成17年12月14日付け 異議決定(訂正を認め、維持決定)
平成19年 8月24日 無効審判請求書(無効2007-800172)
平成20年 1月16日 被請求人、答弁書を提出
平成20年 5月16日受付 被請求人、口頭審理陳述要領書を提出
平成20年 5月16日 請求人、口頭審理陳述要領書を提出
平成20年 5月29日 口頭審理
平成20年 6月 5日受付 被請求人、上申書を提出
平成21年 7月16日受付 被請求人、上申書を提出


第2 本件発明
本件発明は、異議2003-72913号事件における平成16年10月29日付け訂正請求書による訂正後の特許明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし52に記載されたとおりのものであり、次のとおりである。
「 【請求項1】 ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、
(a)シャシに回転自在に設置され、ホール(孔)を自身に有する回転可能な研磨プラーテンと、
(b)プラーテンに設置され、研磨スラリによりウェットで、プラーテンのホールと調心されたウィンドウを有する、研磨パッドであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記研磨パッドと、
(c)研磨パッドに対してウエハを保持するための、回転可能な研磨ヘッドであって、このウエハが酸化物層の下の半導体基板を備える、前記研磨ヘッドと、
(d)ウエハへ向けてレーザービームを発生させることが可能であり且つウエハ及びホール(孔)から反射されてくる光を検出することが可能なレーザー干渉計を有する終点検出器とを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間にレーザービームをウエハへ入射させるための通路を与える装置。
【請求項2】 該プラーテンの中の該ホールと該ウィンドウとが、該プラーテンの回転中心と一致する中心と一致する原点からある半径を有する円弧形状である請求項1に記載の装置。
【請求項3】 該終点検出器が更に、レーザー干渉計によって発生するレーザービームが妨害されずに該ウィンドウを通過して該ウエハに入射するように、ウィンドウがウエハに近接しているときを感知するための位置センサを備える請求項1に記載の装置。
【請求項4】 (a)該レーザー干渉計が、ウエハから反射される光が検出される毎に検出信号を発生させるための手段を備え、
(b)該位置センサが、該レーザー干渉計によって発生するレーザービームが妨害されずに該ウィンドウを通過して該ウエハに入射できるように、ウィンドウがウエハに近接する毎に感知信号を出力するための手段を備え、
(c)該終点検出器が更に、該位置センサから信号を検知する期間のために該レーザー干渉計からの検出信号をサンプリングするための、該レーザー干渉計と該位置センサとに接続されたデータ取得手段を備え、該データ取得手段はサンプリングされた検出信号を代表するデータ信号を出力するための手段を備える請求項3に記載の装置。
【請求項5】 該データ取得手段が(a)該レーザー干渉計からサンプリングされた検出信号を所定の時間にわたって積分するための手段を備え、(b)該出力するための該手段は該検出信号の積分されたサンプルを代表するデータ信号を出力する請求項4に記載の装置。
【請求項6】 該出力するための該手段によって出力されるデータ信号が、周期的であり、且つ、該終点検出器が更に、
(a)データ信号によって現れるサイクルの数を計数するための手段と、
(b)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、データ信号の1サイクル中に除去される材料の厚さを計算するための手段と、
(c)酸化物層から除去されるべき材料の所望の厚さを、該計数するための該手段によりデータ信号により現れたサイクルの数と、該計算するための該手段から1サイクル中に除去される材料の厚さとの積である、除去厚さと比較するための手段と、
(d)該除去厚さが、除去されるべき材料の所望の厚さ以上になったときにCMPを終了させるための手段とを備える請求項4に記載の装置。
【請求項7】 該出力するための該手段によって出力されるデータ信号が周期的であり、且つ、該終点検出器が更に、
(a)(i)所定のサイクルの数又は(ii)1サイクルの所定の部分の一方のそれぞれが生じた後に、これらの一方を完結するためにデータ信号により要求される時間を測定するための手段と、
(b)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、該測定するための該手段によって測定される時間の間に除去される材料の厚さを計算するための手段と、
(c)除去の速度を算出するための手段であって、該算出するための該手段は、除去される材料の厚さを該測定するための該手段から得られる測定された時間で除する、該算出するための手段と、
(d)残りの除去厚さを確定するための手段であって、該確定するための該手段は、酸化物層から除去されるべき所望の材料の厚さから除去された材料の厚さの累積を減じ、前記除去された材料の厚さの累積は、(i)所定のサイクルの数又は(ii)1サイクルの所定の部分の一方のそれぞれが生じた後に、該計算するための該手段によって計算され、除去された材料の厚さを総和するための手段によって与えられる、前記確定するための手段と、
(e)残りのCMP時間を確立するための手段であって、前記確立するための前記手段は、残りの除去厚さを除去の速度で除する、前記確立するための手段と
(f)残りのCMPの時間がなくなった後CMPを終了させるための手段とを備える請求項4に記載の装置。
【請求項8】 ウエハが最初は不均一な局所構造を有し、CMPの間に平坦化され、該出力するための手段によって出力されるデータ信号がウエハの表面が平坦化された後だけ周期的であり、終点検出器が更に、
(a)データ信号の周期的変化を検出するための手段と、
(b)該検出するための手段がデータ信号の周期的変化を検出したときにCMPを終了させるための手段とを備える請求項4に記載の装置。
【請求項9】 酸化物層の下に半導体基板を備えるウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)のための方法であって、該方法は、
(a)ウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、該回転可能な研磨ヘッドの下の研磨パッドに対して保持するステップであって、該パッドは研磨スラリによってウェットとなっている、該保持するステップと、
(b)CMPが終了した終点を決定するステップであって、該終点を決定するステップは、
(b1)レーザービームをウエハに向けて発するステップであって、該レーザービームは、プラーテン内に形成されたホール(孔)に近接するように配置された該研磨パッドに含まれるウィンドウを通過し、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え、
該ウィンドウは、ウエハが該ウィンドウの上にあるときの時間の一部の間レーザービームのための通路を与える、該発するステップと、
(b2)ウエハから反射する光を検出するステップとを備える前記決定するステップとを備える方法。
【請求項10】 該決定するステップが、ウィンドウがウエハに近接してレーザービームが妨害されずにウィンドウを通過してウエハに入射するときを感知するステップを備える請求項9に記載の方法。
【請求項11】 (a)該検出するステップが、ウエハから反射される光が検出される毎に検出信号を発生するステップを備え、
(b)該感知するステップが、該レーザー干渉計によって発生するレーザービームが妨害されずに該ウィンドウを通過して該ウエハに入射できるように、ウィンドウがウエハに近接する毎に感知信号を出力するステップを備え、
(c)該決定するステップが、データ取得のステップを備え、該データ取得のステップが、
(c1)感知信号の期間のためにレーザー干渉計から検出信号をサンプリングするステップと、
(c2)サンプリングされた検出信号を代表するデータ信号を出力するステップとを備える請求項10に記載の方法。
【請求項12】 該データ取得のステップが更に、
(a)所定の期間の間の時間にわたって、サンプリングされた検出信号を積分するステップを備え、
(b)該出力するステップが、検出信号の積分サンプルを代表するデータ信号を出力するステップを備える請求項11に記載の方法。
【請求項13】 データ信号が周期的であり、且つ、該決定のステップが更に、
(a)データ信号によって現れるサイクルの数を計数するステップと、
(b)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、データ信号の1サイクル中に除去される材料の厚さを計算するステップと、
(c)酸化物層から除去されるべき材料の所望の厚さを、該計数するための該手段によりデータ信号により現れたサイクルの数と、該計算するための該手段から1サイクル中に除去される材料の厚さとの積である、除去厚さと比較するステップと、
(d)該除去厚さが、除去されるべき材料の所望の厚さ以上になったときにCMPを終了させるためのステップとを備える請求項11に記載の方法。
【請求項14】 データ信号が周期的であり、且つ、該決定のステップが更に、
(a)(i)所定のサイクルの数又は(ii)1サイクルの所定の部分の一方を完結するためにデータ信号により要求される時間を測定するステップと、
(b)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、該測定するための該手段によって測定される時間の間に除去される材料の厚さを計算するステップと、
(c)除去される材料の厚さを測定された時間で除して除去の速度を算出するステップと、
(d)酸化物層から除去されるべき所望の材料の厚さから、除去された材料の厚さを減じて、残りの除去厚さを確定するステップと、
(e)残りの除去厚さを除去の速度で除して、残りのCMP時間を確立するステップと、
(f)残りのCMPの時間がなくなった後CMPを終了させるステップとを備える請求項11に記載の方法。
【請求項15】 ウエハが最初は不均一な局所構造を有し、CMPの間に平坦化され、該出力するための手段によって出力されるデータ信号がウエハの表面が平坦化された後だけ周期的であり、該決定するステップが更に、
(a)データ信号の周期的変化をサーチするステップと、
(b)データ信号に周期的変化が見つけられたときにCMPを終了させるステップとを備える請求項11に記載の方法。
【請求項16】 ウエハが最初は不均一な局所構造を有し、CMPの間に平坦化され、該出力するための手段によって出力されるデータ信号がウエハの表面が平坦化された後だけ周期的であり、該決定するステップが更に、
(a)データ信号をフィルタにかけて、所定の周波数を有している成分だけを通過させるステップと、
(b)フィルタがかけられたデータ信号によって現れるサイクルの数を計数するステップと、
(c)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、データ信号の1サイクル中に除去される材料の厚さを計算するステップと、
(d)酸化物層から除去されるべき材料の所望の厚さを、フィルタがかけられたデータ信号により現れたサイクルの数と、1サイクルの間に除去される材料の厚さとの積である、除去厚さと比較するステップと、
(e)該除去厚さが、除去されるべき材料の所望の厚さ以上になったときにCMPを終了させるためのステップとを備える請求項11に記載の方法。
【請求項17】 ウエハが最初は不均一な局所構造を有し、CMPの間に平坦化され、該出力するための手段によって出力されるデータ信号がウエハの表面が平坦化された後だけ周期的であり、該決定するステップが更に、
(a)データ信号をフィルタにかけて、所定の周波数を有している成分だけを通過させるステップと、
(b)フィルタがかけられたデータ信号によって現れるサイクルの一部が生じる数を計数するステップと、
(c)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、データ信号のサイクルの一部の間に除去される材料の厚さを計算するステップと、
(d)酸化物層から除去されるべき材料の所望の厚さを、フィルタがかけられたデータ信号により現れたサイクルの一部が生じる数と、サイクルの一部の間に除去される材料の厚さとの積である、除去厚さと比較するステップと、
(e)該除去厚さが、除去されるべき材料の所望の厚さ以上になったときにCMPを終了させるためのステップとを備える請求項11に記載の方法。
【請求項18】 基板上の表面層の状態の均一性を、前記層の研磨の最中に測定するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ光ビームを向けるステップであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記光ビームによって生じる干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するステップとを備える方法。
【請求項19】 前記計算するステップが、前記干渉信号から特徴情報を抽出するステップと、前記抽出された特徴情報から表面層の状態の均一性の前記尺度を計算するステップとを備える請求項18に記載の方法。
【請求項20】 表面層の状態の均一性の前記尺度を参考値と比較するステップと、表面層の状態の均一性の前記尺度が該参考値から所定の量以上広がったときに警告を発するステップとを更に備える請求項19に記載の方法。
【請求項21】 前記干渉信号が低周波数成分を含み、前記抽出するステップが、前記低周波数成分の第1の特性を測定するステップと、前記第1の特性から前記抽出された情報を誘導するステップとを備える請求項19に記載の方法。
【請求項22】 前記干渉計信号が高周波成分を含み、前記抽出するステップが、前記高周波数成分の第2の特性を測定するステップと、前記第1の特性及び前記第2の特性から前記抽出された情報を誘導するステップと、を備える請求項21に記載の方法。
【請求項23】 前記第1の特性が前記低周波数信号の振幅であり、前記第2の特性が前記高周波数信号の振幅であり、前記誘導するステップが、前記高周波信号の振幅と前記低周波信号の振幅との比を計算するステップを備える請求項22に記載の方法。
【請求項24】 層を自身の上に有する基板を研磨するための研磨プロセスの特性を評価するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ光ビームを向けるステップであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記光ビームによって発生する干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から干渉計波形を抽出するステップと、
(d)前記抽出された干渉計波形を保存されている情報と比較するステップであって、前記保存されている情報は、該研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、前記比較するステップと、
(e)前記抽出された干渉計波形が前記保存されている情報から所定の量以上広がったとき、警告を発するステップとを備える方法。
【請求項25】 干渉信号を、オペレータが見ることができるように、視覚的なディスプレイ装置上に表示するステップを更に備える請求項24に記載の方法。
【請求項26】 前記抽出するステップが、前記干渉信号から研磨速度を決定するステップと、前記干渉信号から均一性の尺度を決定するステップと、を備え、前記比較するステップが、前記研磨速度及び均一性の前記尺度を前記保存されている情報と比較するステップを備える請求項24に記載の方法。
【請求項27】 基板研磨システムであって、
(a)処理中に、中実な透明ウィンドウを有する研磨パッドを保持するプラーテンであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)処理中に、前記研磨パッドの前記ウィンドウを通して、研磨されるべき基板の側部に向けられ且つ入射するコリメートされた光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は干渉信号を発生する、前記干渉計と、
(d)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するようにプログラミングされたデータプロセッサとを備える研磨システム。
【請求項28】 前記研磨ヘッドが、処理中に回転できるように、回転可能となっている請求項27に記載の研磨システム。
【請求項29】 前記プラーテンが、処理中に回転できるように、回転可能となっている請求項28に記載の研磨システム。
【請求項30】 前記干渉計が、レーザー干渉計である請求項29に記載の研磨システム。
【請求項31】 前記データプロセッサが更に、前記干渉信号から特徴情報を抽出することと、前記抽出された特徴情報から均一性の前記尺度を計算することと、をプログラミングされている請求項29に記載の研磨システム。
【請求項32】 前記データプロセッサが更に、均一性の前記尺度を参考値と比較することと、均一性の前記尺度が該参考値から所定の量以上広がったときに警告を発することと、をプログラミングされている請求項31に記載の研磨システム。
【請求項33】 前記干渉信号が低周波数成分を含み、前記データプロセッサが、前記低周波数成分の第1の特性を測定することと、前記第1の特性から前記抽出された情報を誘導することと、により特徴情報を抽出するようにプログラミングされている請求項32に記載の研磨システム。
【請求項34】 前記干渉信号が高周波数成分を含み、前記データプロセッサが、前記高周波数成分の第2の特性を測定することと、前記第2の特性から前記抽出された情報を誘導することと、により特徴情報を抽出するようにプログラミングされている請求項33に記載の研磨システム。
【請求項35】 前記第1の特性が前記低周波数信号の振幅であり、前記第2の特性が前記高周波数信号の振幅であり、前記データプロセッサが、前記高周波信号の振幅と前記低周波信号の振幅との比を計算することにより特徴情報を抽出するようにプログラミングされている請求項34に記載の研磨システム。
【請求項36】 基板を研磨するための装置であって、前記装置は、
(a)処理中に研磨パッドを保持するプラーテンであって、前記プラーテンは内部に通路を有する、前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)コリメートされた光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は、少なくとも研磨操作の一部の間に前記光ビームを前記通路に向け前記基板上に入射するように、配置される、前記干渉計と、
(d)前記研磨パッドに含まれ、前記ホールないし通路と調心され且つ基板へと通過する光ビームが通るウィンドウであって、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え、
干渉計から到達する光ビームを受容する散乱面を有する、前記ウィンドウとを備える装置。
【請求項37】 前記プラーテン上に載置される研磨パッドを更に備え、前記ウィンドウは、前記研磨パッド内に形成され前記通路と調心される請求項36に記載の装置。
【請求項38】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、干渉計からの光に対して透過性を有し、散乱底面を有すると共に、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備える、
研磨パッド。
【請求項39】 基板を研磨するための装置であって、前記装置は、
(a)処理中に研磨パッドを保持するプラーテンであり、前記プラーテンは、中実な透明ウィンドウを有し、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)コリメートされた光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は、少なくとも研磨操作の一部の間に前記光ビームを前記ウィンドウに向け前記基板上に入射するように配置されて、研磨プロセスのインシチュウによるモニタリングを与える、前記干渉計と、
(d)前記干渉計からの周期信号を解析し、該周期信号から研磨の終点を検出するプロセッサとを備える装置。
【請求項40】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、前記研磨面を与える第2の非透過性部分とを備える、研磨パッド。
【請求項41】 該第1の透過性部分が、中実なポリウレタンである請求項40に記載の研磨パッド。
【請求項42】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、該第2の非透過性部分が、添加物を有するポリウレタンである、研磨パッド。
【請求項43】 該添加物が微粒子を有することで、該第2の部分がマイクロポーラス構造を有するようにする請求項42に記載の研磨パッド。
【請求項44】 該第2の非透過性部分が、オープンセルの構造を有する請求項40に記載の研磨パッド。
【請求項45】 該第1の透過性部分が、該研磨面とほぼ共面の上面を有する請求項40に記載の研磨パッド。
【請求項46】 該研磨面と反対側に底面を更に有する請求項40に記載の研磨パッド。
【請求項47】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、該第1の透過性部分とほぼ調心されたアパーチャが底面に形成される、研磨パッド。
【請求項48】 研磨パッドが、研磨面を有する第1の層と、研磨面と反対側の第2の層とを有する請求項40に記載の研磨パッド。
【請求項49】 該第1の透過性部分が、第1の層に形成される請求項48に記載の研磨パッド。
【請求項50】 第1の層の該透過性部分とほぼ調心されたアパーチャが第2の層に形成される請求項48に記載の研磨パッド。
【請求項51】 研磨パッドが、自身に形成されたアパーチャを有し、透過性部分がアパーチャ内に位置をとるプラグを備える請求項40に記載の研磨パッド。
【請求項52】 基板を研磨するための装置であって、
(a)透過性のない研磨面と中実な透過性のウィンドウを有する研磨パッドであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記研磨パッドと、
(b)基板を研磨面に対して保持するための研磨ヘッドと、
(c)ウィンドウを通過して基板に入射する光ビームを発生するための光源と、基板より反射された光を測定する検出器とを有する終点検出システムとを備える装置。」(以下、それぞれ、「本件特許発明1」ないし「本件特許発明52」という。)


第3 請求人が主張する無効理由の概要及び提出した証拠方法
請求人は審判請求書において、本件発明は、以下の無効理由1及び2により無効とすべきものである旨主張し、証拠方法として甲第1?9号証を提出した。

1 無効理由1:特許法第29条第2項違反について
本件の独立形式請求項に係る請求項1、9、18、24、27、36、38、39、40、42、47、52に係る発明は、甲第1号証ないし甲第5号証に係る発明に基づいて当業者が容易に想到し得るものであるから、特許法第29条第2項に基づき特許を受けることができない。
また、その余の請求項に係る発明は、各独立形式請求項の従属項であるので、該独立形式請求項に係る各発明が無効とされた場合は、之等各従属形式請求項に係る発明も当然無効とせられるべきである。

2 無効理由2:特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反について
請求人は審判請求書において、特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反について、次の主張をしている。
(1)請求項を特定しない特許法第36条違反について
A レーザー光の透過を許容する透明体から成る合成樹脂製の研磨パッドが本願の原出願の優先日以前には不存在、又は、当業者が容易に想到し得なかったことになり、この限度においても本願発明の詳細な説明には本願発明を当業者が実施し得る程度に十分且つ、明確に記載されていなかったので、特許法第36条第4項違反であり、且つ、本願の各請求項に係る発明も不明確であるから、特許法第36条第6項第2号違反である。(審判請求書第30頁第15行?第23行。)
B 特許審査過程・成立過程において、公知例と差別化を図る上で、「光」に関する内容を、発明の範囲から意識的に除外し、「レーザー光」に限定しているとみなされるものであるから、「レーザー光」と「光」とを同一視することはできないから、本件発明は、特許を受けようとする発明が不明確であるので、特許法第36条第12項第2号違反であり、各発明を当業者が実施し得る程度に十分、且つ、明確に明細書に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。(審判請求書第30頁第24行?第37頁第10行。)
C 本件特許の「レーザー干渉計」は、一般的に認識されている干渉計ではない。「干渉計」という語句の誤用は、軽微な誤りではなく、発明を構成するキーポイントとなった重要な誤りである。(審判請求書第37頁第11行?第42頁第5行。)
D 本件特許の対象となるウェハは、パターンウェハ(パターニングされたウェハ)である。ブランク酸化物ウェハの開示は、本件特許における課題を解決するものではなく、意味をなすものではない。(審判請求書第42頁第6行?第43頁第22行。)
E 請求項4?6、18、22、23、39に関し、(1)それぞれの信号の技術的意味および物理量が不明確であるので特許法第36条第6項第2号違反であり、明細書に十分な開示がないので特許法第36条第6項第1号違反である。
また、明細書内において、段落【0012】記載の「出力信号」、段落【0018】記載の「特性信号」、段落【0019】記載の「警告信号」、段落【0022】記載の「特徴信号」、段落【0035】記載の各種「信号」、段落【0036】記載の「検出器信号」、段落【0039】記載の各種「信号」に関し、信号自体の意味そのものが非常に曖昧で、意味不明である。したがって、「信号」を含む請求項に係る発明を当業者は本件特許明細書の記載に基づいて実施することはできない。(審判請求書第43頁第23行?第45頁第6行。)
F フィルタに関する記載不備
(i)図9(b)は、図9(a)にフィルタで処理したデータとされるが、図9(a)の横軸と、図9(b)の横軸は一致しない。横軸が記載されていないため、何を示しているか不明である。よって、図9(a)→図9(b)と変換するフィルタが不明である。よって、本件特許明細書には当業者が実施しうる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。
また、フィルタに関する請求項は、参照する明細書部分がないか、不明確であるので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。
(ii)パターンウェハに関するフィルタは原理的に矛盾する。よって、当業者が実施しうる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。
(iii)図13に示すデータは積分値であるので負の値をとることはない。よって、当業者が実施しうる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。
(iv)CMPの対象となるパターンウェハの研磨の終点を検出する方法は明確ではない、もしくは開示されていないとみなされ、請求項に使用される「終点検出」、「終点を検出する」などの語句は不適切であるので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。
本件特許明細書においても、パターンウェハに対する実質的な終点検出方法が示されていないため、当業者が実施しうる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項第1号違反である。(審判請求書第45頁第7行?第48頁第12行。)
G 終点検出アルゴリズムに関する記載不備
(i)段落【0045】から何が研磨の終点か示されていないので、特許法第36条第4項違反であり、また、請求項1他「終点」という用語を含む請求項は、特許法第36条第6項第2号違反である。
(ii)段落【0045】には、終点を「検出する方法」に関する内容が不明確であり、当業者が実施しうる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。
(iii)段落【0045】には、「細密な検討」とあるが、細密な検討の内容が記載されていない。
(iv)終点検出の判断基準が曖昧である。よって、「終点検出」自体が不明確であるので、特許法第36条第6項第2号違反である。
(v)何を基準に250秒のところで正弦波状のサイクルが現れているのか不明で、汎用性がない。よって、当業者が実施しうる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。
(vi)In-situで判断する方法を示さない限り、終点を検出する方法として意味をなさない。よって、当業者が実施しうる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。
(vii)1サイクルで終わることが好ましいとする内容に対して、原理的に不可能であるために、当業者が実施しうる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。(審判請求書第48頁第13行?第52頁第8行。)
H 均一性の尺度の記載不備
(i)図17に示す構成では、均一性の尺度を原理的にモニタすることはできない。よって、当業者が実施しうる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項第1号違反である。
(ii)均一性の尺度において、明らかに矛盾する事例が存在し、原理的に矛盾した論理である。よって、当業者が実施しうる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項第1号違反である。
(iii)様々な光路が多数存在しうるパターンウェハでは、均一性の尺度を原理的に評価できないことは自明である。よって、当業者が実施しうる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。(審判請求書第52頁第9行?第54頁第10行。)
(2)請求項を特定する特許法第36条違反について
(i)請求項1
レーザー干渉計の機能が不明であり、「レーザー干渉計を有する終点検出器」で、「レーザービームを発生させる」、「反射されてくる光を検出する」の記載では、終点検出にならず、終点検出器の意義が不明であり、反射されてくる光のどのような物理量を検出するのか不明であるので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第54頁第14行?第55頁第8行。)
(ii)請求項3
終点検出器が不明であり、レーザー干渉計が不明であり、「近接している」とはウエハがウィンドウに近づきつつある状態か、ウィンドウ上にある状態か不明である、又は「近接」が明細書の段落【0028】の記載に徴し意味不明であるので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第55頁第9行?第19行。)
(iii)請求項4
検出信号の示す物理量が不明であり、レーザー干渉計の語句を誤用しており、「近接している」とはウエハがウィンドウに近づきつつある状態か、ウィンドウ上にある状態か不明である、又は「近接」が明細書の段落【0028】の記載に徴し意味不明であり、データ信号の物理量が不明であり、検出信号との違いは何か分からず、「該レーザー干渉計と該位置センサとに接続されたデータ取得手段」は、開示されておらず、「該データ取得手段はサンプリングされた検出信号を代表するデータ信号を出力するための手段」とはいかなる手段か、技術的意味が不明であるので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第55頁第20行?第56頁第3行。)
(iv)請求項5
積分するための手段とあるが、積分方法が示されておらず、積分した結果を示す図13グラフが負になっているので不明であり、積分されたサンプルを代表するデータ信号の技術的意味・物理量が不明であるので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第56頁第4行?第10行。)
(v)請求項6
データ信号の物理量が不明であり、パターンウェハは、データ信号が周期的にならず、また、周期的なデータ信号の処理方法は、パターニングされたウェハには適用できず、検出器信号をフィルタにかける場合のフィルタも不明であって、原理的に実施不能である。よって、特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第56頁第11行?第18行。)
(vi)請求項7
データ信号の物理量が不明であり、パターンウェハは、データ信号が周期的にならないので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第56頁第19行?第23行。)
(vii)請求項8
データ信号の物理量が不明であり、先の検出信号との違いが不明であり、データ信号の周期的変化を検出するための手段が明確に示されておらず、データ信号の周期的変化を検出したとき、CMPを終了させるための手段が明確に示されていないので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第56頁第24行?第57頁第6行。)
(viii)請求項9
ウエハのケミカルメカニカルポリシングのための方法に対して、各ステップの必要性が不明であり、ウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、の部分の全体の中での必要性が不明であり、何を持って終点を決定するか示されておらず、ウエハから反射する光を検出するステップとは何の光を検出するのか明細書に記載されておらず不明であるので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第57頁第7行?第16行。)
(ix)請求項10
該決定するステップと、レーザービームがウィンドウを通過してウエハに入射するときを感知するステップとの技術的関連性が不明であり、「ウィンドウがウエハに近接して」の意味が、段落【0028】の記載と矛盾するので不明であるので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第57頁第17行?第24行。)
(x)請求項11
検出信号の物理量が不明であり、「ウエハから反射される光」の何を検出するのか不明であり、ウィンドウがウエハに近づいている状態を感知する信号は明細書本文に記載されておらず、該決定するステップは、何を決定するのか不明であり、研磨の終了点を決定するとしても、その後の記述は、それとどう関係するのか不明であり、レーザー干渉計は語句を誤用しており、データ信号の物理量が不明であり、データ信号と検出信号と感知信号は、実質的に何が違うか不明であるので、特許法第36条第4項、及び、第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第57頁第25行?第58頁第16行。)
(xi)請求項12
検出信号を積分するステップの詳細が不明であり、積分した結果を示す図13グラフが負になっており不明であるので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第58頁第17行?第21行。)
(xii)請求項13
CMPで対象となるパターンウェハでは干渉波形は周期的にならないことから、特許法第36条第4項、及び、第6項第2号違反である。(審判請求書第58頁第22行?第24行。)
(xiii)請求項15
データ信号の物理量が不明であり、データ信号の周期的変化をサーチするステップが明確に示されておらず、データ信号に周期的変化が見つけられたときにCMPを終了させるステップが明確に示されていないので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第58頁第25行?第59頁第4行。)
(xiv)請求項16
データ信号の物理量が不明であり、「所定の周波数成分を通過させる」ことは、「所定の除去量成分を通過させる」ことと何が違うのか不明であるので、原理的に終点検出不能であって、終点検出の意義も不明であるから、特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第59頁第5行?第13行。)
(xv)請求項17
データ信号の物理量が不明であり、「所定の周波数成分を通過させる」ことは、「所定の除去量成分を通過させる」ことと何が違うのか不明であるので、原理的に終点検出不能であって、終点検出の意義も不明であるから、特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第59頁第14行?第22行。)
(xvi)請求項18
基板上の層の均一性を測定する方法は、実施不能であるか、開示されていないし、光ビームに関する内容は、明細書中に記載がなく、干渉信号が示す物理量が不明であり、干渉信号と検出信号、データ信号との実質的な差が不明であり、均一性の尺度の計算が開示されないか、原理的に計算できないため、特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第59頁第23行?第60頁第7行。)
(xvii)請求項19
特徴情報の意味・物理量が不明であり、干渉信号から特徴情報を抽出するステップは開示されておらず意味も不明であり、抽出された特徴情報から均一性の尺度を計算するステップも開示されておらず、均一性尺度を求める上で、段落【0018】に記載の特性信号の技術的意味・物理量と他の信号との差異が不明で均一性尺度が定義できないことから、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第60頁第8行?第16行。)
(xviii)請求項20
均一性の尺度が開示されず、また、原理的に計算できないことから、特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第60頁第17行?第20行。)
(xix)請求項21
干渉信号違反の物理量が不明であり、抽出するステップが不明であり、第1の特性の意味が不明であり、低周波数成分の第1の特性を測定するステップが不明であり、第1の特性から抽出された情報を誘導するステップが不明であるので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第60頁第21行?第61頁第2行。)
(xx)請求項22
干渉計信号の物理量が不明であり、抽出するステップが不明であり、第1の特性の意味が不明であり、低周波数成分の第1の特性を測定するステップが不明であり、第1の特性から抽出された情報を誘導するステップが不明であるので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第61頁第3行?第9行。)
(xxi)請求項23
低周波信号の振幅と高周波信号の振幅が図16内のどれを意味するのか不明であるので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第61頁第10行?第13行。)
(xxii)請求項24
プロセスの特性の技術的意味および物理量が不明であり、シグネチャの技術的意味・物理量が不明確であり、光ビームに関する開示はなく、シグネチャを抽出するステップの技術的意味が不明であり、研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、保存されている情報の技術的意味が不明であるので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第61頁第14行?末行。)
(xxiii)請求項26
シグネチャを段落【0069】のとおり、干渉計波形を示すとすれば、干渉計波形を抽出するステップが、均一性の尺度を決定するステップとどう関わるのか、整合性がないので、特許法第36条第6項第2号違反である。(審判請求書第62頁第1行?第5行。)
(xxiv)請求項27
干渉計とあるが、実質的に干渉計ではなく、語句を誤用しており、干渉信号の物理量が不明であり、光ビームに関する開示がなく、干渉信号から均一性の尺度を計算する方法が不明確であり、示されていないので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第62頁第6行?第14行。)
(xxv)請求項30
レーザー干渉計は語句を誤用しているので、特許法第36条第6項第2号違反である。(審判請求書第62頁第15行?第17行。)
(xxvi)請求項31
特徴情報の技術的意味・物理量が不明であり、干渉信号から特徴情報を抽出することが示されておらず、段落【0018】記載の「特性信号」の技術的意味・物理量が不明であり、抽出された特徴情報から均一性の尺度を計算する方法が示されていないから、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第62頁第18行?末行。)
(xxvii)請求項33
第1の特性の技術的意味が不明であり、抽出された情報を誘導することの技術的意味が不明であり、図16のどの部分の比をとるのか不明であり、特徴情報を抽出することの技術的意味が不明であるので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第63頁第1行?第9行。)
(xxviii)請求項34
第2の特性の技術的意味が不明であり、図16のどの部分に当たるのか不明であり、抽出された情報を誘導することの技術的意味が不明であり、図16のどの部分の比をとるのか不明であり、特徴情報を抽出することの技術的意味が不明であり、請求項33との技術的違いが不明であるので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第63頁第10行?第20行。)
(xxix)請求項35
高周波成分の振幅に関して、対応する図16のどの部分に当たるのか不明であり、低周波成分の振幅も不明であるため、比を計算することも不明であり、特徴情報の技術的意味・物理量が不明であるので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第63頁第21行?末行。)
(xxx)請求項36
基板を研磨することと、各特徴がどう対応し、また、それが必要機能なのかが不明であり、何を行うかも不明で、光ビームに関する開示がないことから、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第64頁第1行?第7行。)
(xxxi)請求項38
研磨パッドが研磨面と底面を備えることは、当然であり自明であり、ウィンドウがパッド内に形成されるとすれば、それは、研磨パッドの底面と研磨面の中に形成されることは当然であり、自明であるので、特許法第36条第6項第2号違反である。(審判請求書第64頁第8行?第13行。)
(xxxii)請求項39
基板を研磨することと、各特徴がどう対応し、また、それが必要機能なのか不明であり、何を行うかも不明であり、光ビームに対する開示はなく、CMPで対象となるパターンウェハは周期信号が現れず、パターンウェハに対して、周期信号から終点を検出する一意の方法が開示されていないし、フィルタは実施不能であるから、特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第64頁第14行?末行。)
(xxxiii)請求項43
第2の部分が、マイクロポーラス構造を有することと、終点を検出するためのパッド機能との技術的関連がなく、それを説明する記述がないことから、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第65頁第1行?第4行。)
(xxxiv)請求項44
第2の部分が、オープンセルの構造を有することと、終点を検出するためのパッド機能との技術的関連がなく、それを説明する記述がないことから、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第65頁第5行?第8行。)
(xxxv)請求項52
光ビームに関する開示はなく、光のどのような物理量を測定するのかが不明であり、光源と検出器を有するだけの終点検出システムは特定できないから、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第65頁第9行?第16行。)

3 証拠方法
請求人は、証拠方法として、以下の証拠を提出している。
甲第 1号証 特開平7-52032号公報
甲第 2号証 特開平5-309558号公報
甲第 3号証 特開昭63-134162号公報
甲第 4号証 特開昭61-76260号公報
甲第 5号証 特開平4-255218号公報
甲第 6号証 異議2003-72913号異議の決定
甲第 7号証 異議2003-72913号異議事件の資料
甲第 8号証 中川威雄氏の宣誓書
甲第 9号証 本件の特願平8-74976号に関する平成14年4月19日付け意見書


第4 被請求人の主張の概要

1 無効理由1:特許法第29条第2項違反についての反論
甲第1号証記載の発明では、透明窓材4は定盤1の貫通孔3に嵌め込まれて設置されることのみが記載されており、透明窓材4を研磨布5の研磨布窓6に設置することが可能であることを記載するものでも示唆するものでもない。
甲第2号証記載の発明では、スラリー10の屈折率がSi単結晶の屈折率3.42よりも高い屈折率であるとしており、そのようなスラリーはどのようにして製造されるものかが全く不明であるから、甲第2号証記載の発明は、実施可能性どころか成立性自体が疑われる。また、甲第2号証記載の発明において、「ポリシングパッド1」は、実際には透明体からなるプラテンであって、「研磨」はラッピングのことである。
甲第3号証記載の研磨技術は、「メカノケミカルポリシング」というポリシングの中の一種の研磨技術であるとしても、同じくポリシングの中の一種の研磨技術であるCMPとは構成及び動作原理において全く異なるものである。
甲第4号証出願当時には透明な研磨パッドは不存在であった。甲第4号証記載の発明においては、合成樹脂シートをポリシャとして使用する場合には、多数の貫通孔を設けており、このようにわざわざ貫通孔を多数設けているということは、その合成樹脂シートが不透明であるということを前提としているからに他ならない。
甲第5号証においては、レーザ光を使用してウエハ10の酸化物被膜14の厚さの測定は、公知のレーザ技術によって行うことが可能であると記載するのみでその具体的な測定方法については当業者に明らかであるとして詳細に記載していない。
ウィンドウが研磨パッドの一部である構成の場合、甲第2号証も甲第3号証もガラスからなる透明体を記載しているのみであるから、そのような透明体を甲第1号証記載の発明に適用するとウエハを損傷することは必至であるから甲第2号証及び甲第3号証を甲第1号証記載の発明に適用する上で阻害要因がある。更に、甲第4号証の合成樹脂は実際には透明ではない発泡ポリウレタンシートであり、その様なシートを甲第1号証記載の発明のパッドとして採用してもレーザービームを透過させるための穴を開けることが必要である。従って、甲第2乃至甲第4号証を甲第1号証記載の発明に適用することは不可能であるか又は適用したとしても本件発明が得られるわけではない。
ウィンドウが研磨パッドに形成されたプラグの構成の場合、甲第2号証も甲第3号証もガラスからなる透明体を記載しているに過ぎず透明なCMPパッドを記載しているものではない。さらに、甲第4号証の第1図の合成樹脂シートは透明ではない発泡ポリウレタンシートであるから、それをプラグとして甲第1号証記載の発明に適用する動機付けが無い。
たとえ独立請求項が無効であるとしても、その従属項は更なる限定事項を有しているはずであるから、その限定事項が他の構成要素との関係において格別なる作用効果を発揮するものであれば、その従属項の特許性は否定されるべきではない。

2 無効理由2:特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反についての反論
(1)請求人の記載不備の主張は請求人自身の出願の記載内容と矛盾
本件無効審判以前においては、請求人は、請求人の出願に係わる特開2003-163191号公報において、ウィンドウ(窓)を具備する研磨パッドを使用したレーザー干渉計によりCMPの終点検出を行う場合には、自ら検出方法について記載する代わりに、終点検出に関しては本件特許と実質的に同一の記載内容を有する特開平10-83977号公報によればよいとしていたものであり、その際に記載不備があるから実施が困難であることを指摘しているものではない。それにも拘らず、本件無効審判においては、本件特許明細書には記載不備があるので実施が困難である旨主張しており、この様に請求人の記載不備に関する主張は全くご都合主義的な主張であって信憑性は極めて疑わしい。
(2)記載不備の無効理由は請求及び主張の蒸し返し
記載不備についての無効理由については既に結着済みであり単なる請求及び主張の蒸し返しに過ぎない。
(3)「レーザー光」と「一般光」との関係について
本件特許明細書においては、レーザービームは1実施例として記載されており、本件発明がそのような1実施例に限定されるべきものではないことは、当業者に明らかである。
(4)「レーザー干渉計」という用語の誤用について
レーザー干渉計という用語は、甲第5号証において「レーザー干渉測定装置」として、あるいは、特開2003-163161号公報、特開2005-340679号公報において用いられており、一般的に使用されている。
(5)本件特許の対象となるウエハについて
ブランク酸化膜ウエハの研磨はCMPの一つのタイプの研磨である。特に、ブランク酸化膜ウエハの研磨中に干渉の測定を行うことにより、周期的な信号が発生することを検証することが可能である。そして、その様にして検証されたデータはCMP研磨において参照データとして利用することが可能となる。
(6)「信号」に関する記載不備について
請求項において、単に「信号」のみが記載されているのではなく、記載箇所において夫々「検出信号」や「感知信号」のように必要な場合には適宜修飾語をともなって使用されている。従って、請求項において使用されている「信号」の技術的意味は明確である。更に、「信号」という用語を使用する場合には必ずその物理量を特定することが必要なものではない。
(7)フィルタに関する記載不備について
請求人のフィルタに関する記載不備に対して、被請求人は乙第46号証、乙第47号証の記載を引用することにより反論している。
(8)終点アルゴリズムに関する記載不備について
本件発明においては、「終点」は適用場面において適宜決定することが可能なものであり、例えば、1例を挙げれば、平坦化が検出された場合や所定の膜厚が検出された場合などがある。この様に、本件発明は、例えば、平坦化が検知された場合を終点とすることも可能であり、一方膜厚制御、即ち所定の膜厚が得られた場合を終点とすることも可能であることが記載されている。この様に、本件発明においては、「終点」とは特定の一つのものに制限されるべきものではなく、適用場面に応じて適宜決定されるべきものであることは明白である。
(9)均一性の尺度の記載不備について
請求人の均一性の尺度の記載不備に対して、被請求人は乙第46号証、乙第47号証の記載を引用することにより反論している。
(10)各請求項の記載不備
請求人の請求項1ないし請求項52の各々に対する記載不備に対して、被請求人は、それぞれ、反論している。

3 証拠方法
被請求人は、証拠方法として、以下の証拠を提出している。
なお、乙第1?49号証は、平成20年1月16日付け審判事件答弁書の段階で、乙第50?79号証は、平成20年5月16日受付口頭審理陳述要領書の段階で、乙第80?81号証は、平成21年7月16日受付上申書の段階で、それぞれ提出されたものである。
乙第 1号証 特許庁ホームページ「資料室(その他の参考情報)」における標準技術集の中の半導体製造装置関連真空・クリーン化技術の「4-4-1CMP装置」
乙第 2号証 インターネットフリー百科事典ウィキペディアの「化学機械研磨」
乙第 3号証 インターネット検索頁「MIRRA CMPシステムの常識・非常識」
乙第 4号証 次世代CMP用高性能パッド-JSR CMP Pad、JSR Technical Review No.109/2002、35頁ないし37頁
乙第 5号証 各種研磨パッドの摩擦特性によるCMP性能の研究、2004年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集、955頁ないし956頁
乙第 6号証 当社CMP用研磨パッドの研究結果発表に関するお知らせ、日本ミクロコーティング株式会社、平成17年10月27日
乙第 7号証 CMP装置用研磨パッドの製造・販売で新会社設立、インターネット検索頁、東洋ゴム工業株式会社、2004年7月12日、No.775
乙第 8号証 シリコンウエーハ用研磨パッド、ニッタ・ハース株式会社のパンフレット
乙第 9号証 Suba Products(Stock or Primary Polishing Pads)、Rohm-Haas社のパンフレット
乙第10号証 Silicon Valley、インターネット検索頁
乙第11号証 半導体平坦化CMP技術、土肥俊郎、河西敏男、中川威雄共著、107、114、121、123、128、154?166頁、株式会社工業調査会、1998年7月15日発行
乙第12号証 CMP用パッド(CMP Pad)、ニッタ・ハース社のパンフレット
乙第13号証 Optical NanoGauge-光干渉式膜厚測定装置C10178、C10323、浜松ホトニクス株式会社のパンフレット
乙第14号証 CCD/CMOSイメージ・センサの基礎と応用、米本和也著、36頁ないし40頁、CQ出版株式会社、2003年8月10日
乙第15号証 拒絶査定不服審判(2002-2660)特許審決公報
乙第16号証 平成15年(行ケ)第475号審決取消請求事件判決
乙第17号証 CMP用語辞典、49頁ないし50頁、151頁ないし152頁、グローバルネット株式会社、平成12年5月29日
乙第18号証 詳説半導体CMP技術、土肥俊郎編著、18頁、51頁ないし54頁、株式会社工業調査会、2001年1月10日
乙第19号証 特開昭59-187456号公報
乙第20号証 屈折率一覧表、株式会社セイシン企業
乙第21号証 ラッピング・ポリシングの基礎と応用、河西敏男、133頁ないし142頁、機械と工具、1992年4月
乙第22号証 研磨の原点、研磨ホームページ、独立行政法人産業技術総合研究所
乙第23号証 特開平10-50824号公報
乙第24号証 超精密ラッピング加工の実際、進藤 勉、72頁ないし76頁、機械と工具、1997年5月
乙第25号証 ラッピング特性、研磨ホームページ、独立行政法人産業技術総合研究所
乙第26号証 特開2002-59364号公報
乙第27号証 ジョセフ エル. セクチPH.D.の宣誓書及びその訳文
乙第28号証 スーパースムーズ鏡面研磨とP-MACポリシング、河西敏男、表面科学、Vol.22、No.3、pp.179-186、2001年
乙第29号証 米国特許第5,489,233号明細書及びその訳文
乙第30号証 特表平11-512977号公報
乙第31号証 CMPの実践的基礎技術、渡邊純二著、4頁ないし5頁、42頁、EDリサーチ社発行、2004年8月23日
乙第32号証 シリコン基板の加工技術と加工表面品質、河西敏男、表面科学、Vol.21、No.11、pp.688-695、2000年
乙第33号証 高能率・超平滑化加工法、安永暢男、表面科学、Vol.22、No.3、pp.187-196、2001年
乙第34号証 CMPスラリーに最適なフィルタを特定する、Raskesh K. Singh 著、Semiconductor International、2005年10月号、インターネット検索頁
乙第35号証 精密機械加工の原理、安永暢男、高木純一郎共著、168頁、株式会社工業調査会、2002年10月25日
乙第36号証 液中ポリシング、研磨ホームページ、独立行政法人産業技術総合研究所
乙第37号証 特開平8-19943号公報
乙第38号証 特開平7-235520号公報
乙第39号証 公報テキスト検索結果、IPDL
乙第40号証 無効審判2006-80075号審決
乙第41号証 平成19年(行ケ)第10250号審決取消請求事件 原告準備書面(1)
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乙第43号証 半導体プロセスにおける薄膜形成のインプロセス・モニタリング、菅原活郎、吉見武夫、広部嘉道共著、108頁ないし127頁、日経エレクトロニクス、1978年7月10日、日経マグロウヒル社
乙第44号証 特開2003-163191号公報
乙第45号証 特開2005-340679号公報
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乙第47号証 マヌーチャー・ビランの宣誓書及びその訳文
乙第48号証 特開平10-83977号公報
乙第49号証 無効審判事件2006-80075号審判請求書
乙第50号証 平成19年(行ケ)第10250号審決取消請求事件 被告準備書面(3)
乙第51号証 CMPのサイエンス、135頁、149頁、株式会社サイエンスフォーラム発行、1997年8月20日
乙第52号証 インターネット検索頁、シグマ光機ホーム頁内、ゲルマニウム
乙第53号証 インターネット検索頁、株式会社ネオトロンホーム頁内、Germanium(Ge)
乙第54号証 インターネット検索頁、古河電子株式会社ホーム頁内、ZnSe・ZnS・Ge・Si・Mo等材料
乙第55号証 インターネット検索頁、ヒリックサイエンティフィックプロダクツ、インコーポレイテッドホーム頁内、ゲルマニウム、光学的特性情報
乙第56号証 インターネット検索頁、「超精密切削によるウエーハ状薄型赤外線フレネルレンズの加工」、日本機械学会誌、2006.11、Vol.109、No.1056、903頁
乙第57号証 松岡亮次、Geの吸収係数測定、卒業研究報告、高知工科大学、平成17年3月17日
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乙第59号証 インターネット検索頁、応用光研工業株式会社ホーム頁内、SiO2(光学用合成石英ガラス)
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乙第64号証 インターネット検索頁、株式会社ネオトロンホーム頁内、Silicon(Si)
乙第65号証 インターネット検索頁、信越半導体株式会社のSOIウエハ
乙第66号証 インターネット検索頁、オプトスター社、SOI基板
乙第67号証 インターネット検索頁、米国デラウエア大学ホーム頁内、シリコンの光学的特性
乙第68号証 インターネット検索頁、東京農工大学ホームページ内、半導体の反射色
乙第69号証 津和秀夫、肥田満、「各種ラップによるSi単結晶の鏡面仕上-鏡面ラッピングに関する研究(第1報)-」、精密機械、34巻、10号、1968年10月、666-673頁
乙第70号証 土肥俊郎、河西敏男、中川威雄共著、半導体平坦化CMP技術、46頁、302頁、株式会社工業調査会、1998年7月15日発行
乙第71号証 特開2005-268424号公報
乙第72号証 渡邊純二著、CMPの実践的基礎技術、86頁、EDリサーチ社発行、2004年8月23日
乙第73号証 精密工学会2007年度春季大会、プラナリゼーションCMPとその応用セッションプログラム
乙第74号証 精密工学会2008年度春季大会、プラナリゼーションCMPとその応用セッションプログラム
乙第75号証 インターネット検索頁、東京大学ホーム頁内中川威雄研究室、アニュアルレポート、第47号、1998年度
乙第76号証 インターネット検索頁、精密工学会賞第2回2006年度受賞者業績
乙第77号証 特別対談、部品加工が拓く21世紀の「モノづくり」、デンソーテクニカルレビュー、Vol.6、No.2、2001年、3?10頁
乙第78号証 発明者名「中川威雄」での公報テキスト検索結果リスト
乙第79号証 河西敏雄、研磨加工技術、表面技術、Vol.57(2006年),No.11,p.744?751
乙第80号証 マブチヒデオ教授宣誓書及びその訳文
乙第81号証 ユーチェン・ワング宣誓書及びその訳文


第5 甲第1号証ないし甲第5号証に記載された発明、事項の内容

1 甲第1号証
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲第1号証(特開平7-52032号公報)には、以下の記載がある。
ア 特許請求の範囲の請求項1
「回転する定盤の研磨布の張り付けられた面に、研磨液を滴下しつつ、ウエハ支持板に固定したウエハをウエハ支持板により回転させつつ押し付け研磨する方法において、定盤及び研磨布の回転中心と周縁との間に設けた窓からウエハの研磨面の光の反射状態を見て研磨状態を判定するウエハ研磨方法。」
イ 段落【0001】
「【産業上の利用分野】本発明は、半導体ウエハ、特にSOI(Silicon-on-Insulator)ウエハ等の膜付きウエハの研磨方法及び装置に関する。」
ウ 段落【0013】
「【作用】本発明方法において、定盤及び研磨布の回転中心と周縁との間に設けた窓からウエハの研磨面の光の反射状態を見て研磨状態を判定すれば、研磨を中断せずに研磨状態の終点を知ることが出来る・・・」
エ 段落【0022】?【0024】
「【実施例】図1、図2に示した実施例について説明する。定盤1は直径300mm、厚さ10mmのアルミニウム製の円盤で、その中心の片面に定盤1を回転するための軸が固定してある。定盤1の軸を固定した面の反対側の面には、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2が設けてある。・・・溝2の長手方向中央には、直径10mmの貫通孔3が設けられ、溝2の反対側では円錐状に拡大している。貫通孔3の溝2側にはパイレックス透明ガラス製の透明窓材4が嵌め込まれ、研磨液が漏れないようにしてある。
定盤1の溝2を有する面には、・・・ウレタン含浸ポリエステル不織布からなる研磨布5が張り付けられ、溝2に相当する部分は溝2と同形に切り抜かれて、研磨布窓6が形成されている。透明窓材4は定盤1の表面より約0.5mm突出するが、研磨布5の弾性を考慮しても研磨布5の表面より十分低くなっている。
定盤1の溝2の反対側には透明窓材4の回転路に面して研磨するウエハ7の研磨面に光を照射しその反射光を受光するプローブ9が配置されている。・・・」
オ 段落【0025】?【0026】
「片面に回転用の軸が固定された直径110mm、厚さ10mmの円盤状のアルミニウム製のウエハ支持板8に、表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着し、一方のウエハを平面研削して厚さ15μmのシリコン膜として直径100mmのSOIウエハを、平面研削加工していない面をワックスで張り付けた。
粒径が0.01μm以下のシリカ粉末を含むアルカリ性溶液からなるローデルニッタ社製、商品名NALCO-2350を20倍に希釈した研磨液を定盤1の研磨布5の表面に滴下しつつ、定盤1を毎分50回転させながら、ウエハ支持板8に張り付けたウエハ7を、自転速度毎分40回転で回転させつつ、研磨布5に、回転中心が透明窓材4の上に位置するように、研磨荷重10kgfで押し付けて目標膜厚を1μmにして研磨を開始した。」
カ 段落【0027】
「この条件では、透明窓材4の移動線速度は約500mm/秒なので、直径10mmの透明窓材4を通してウエハ7の中心を測定出来る時間は、1回の通過に付き約10m秒である。この時間は、波長範囲680?800nm、分解能1nmで行う分光反射率測定に対して十分であった。測定の参照基準には、同じ条件に置いたシリコンウエハを用いた。」
キ 上記アの「研磨布の貼り付けられた面に、研磨液を滴下しつつ・・・ウエハを・・・研磨する」の記載から、これがウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)のことであることは明らかである。
ケミカルメカニカルポリシングにおいて、研磨布が研磨液によってウェットになっていることは明らかである。
摘記事項カから、透明窓材4上にウエハ7の中心が存在する時の一部の間には、光をウエハ7に入射する通路が与えられ、測定を行うことは明らかである。
摘記事項ウから、研磨状態の終点は、研磨を中断せずに、すなわち、インシチュウで知るものであることは明らかである。
これら記載事項、及び認定事項を、技術常識を勘案しつつ、本件発明1、9、18、24、27、36、38、39、40、42、47、52に照らして整理すると、甲第1号証には、以下の各発明が記載されている。
「ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、
(a)回転自在に設置され、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3を自身に有する回転可能な定盤1と、
(b)定盤1に設置され、研磨液によりウェットで、定盤1の溝2と同形に切り抜かれた研磨布窓6を有する、研磨布5であり、
前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の透明窓材4が嵌め込まれ、
(c)研磨布5に対してウエハ7を保持するための、回転可能なウエハ支持板8であって、このウエハ7が、表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着したSOIウエハ7を備える、ウエハ支持板8と、
(d)ウエハ7へ向けて光を照射させることが可能であり且つウエハ7及び貫通孔3からの反射光を受光するプローブ9を有し、これにより研磨状態の終点を知ることができるものであり、前記貫通孔3、透明窓材4、溝2は、ウエハ7の中心が透明窓材4の上にある時の一部の間、光をウエハ7へ入射させるための通路を与えるウエハ研磨装置。」(以下、「甲1発明1」という。)
「表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着したSOIウエハ7のケミカルメカニカルポリシング(CMP)のための方法であって、該方法は、
(a)ウエハ7を、回転可能なウエハ支持板8内に、該回転可能なウエハ支持板8の下の研磨布5に対して保持するステップであって、該研磨布5は研磨液によってウェットとなっている、該保持するステップと、
(b)研磨状態の終点を知るステップであって、該終点を知るステップは、
(b1)光をウエハ7に向けて照射するステップであって、該光は、定盤1内に形成され、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3における溝2に同形に切り抜かれた該研磨布5に含まれる研磨布窓6を通過し、
前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の透明窓材4が嵌め込まれ、
該研磨布窓6は、ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える、該照射するステップと、
(b2)ウエハ7から反射する光をプローブ9により受光して検出するステップとを備える前記終点を知るステップとを備える方法。」(「甲1発明2」という。)
「表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着したSOIウエハ7の研磨状態の終点を、ウエハ7の研磨を中断せずに知るインシチュウの方法であって、
(a)研磨を中断せずに、研磨布5に含まれる研磨布窓6を通して前記ウエハ7の方へ光を向けるステップであり、
中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3を自身に有する定盤1の前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の透明窓材4が嵌め込まれる、
前記向けるステップと、
(b)前記ウエハ7から反射されてくる前記光をプローブ9により受光して検出するステップとを備える方法。」(「甲1発明3」という。)
「表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着したSOIウエハ7を研磨するための研磨状態の終点を知るインシチュウの方法であって、
(a)研磨を中断せずに、研磨布5に含まれる研磨布窓6を通して前記ウエハ7の方へ光を向けるステップであり、
中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3を自身に有する定盤1における前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の透明窓材4が嵌め込まれる、
前記向けるステップと、
(b)前記ウエハ7から反射されてくる光をプローブ9により受光して検出して前記終点を知るステップとを備える方法。」(「甲1発明4」という。)
「ウエハ研磨装置であって、
(a)研磨中に、定盤1の溝2と同形に切り抜かれた研磨布窓6を有する研磨布5を保持する回転可能な定盤1であり、
定盤1には、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3が設けられ、前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の透明窓材4が嵌め込まれた、
前記定盤1と、
(b)研磨中に表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着したSOIウエハ7を定盤1上の研磨布5に対して保持する回転可能なウエハ支持板8と、
(c)研磨中に、前記透明窓材4、及び研磨布5の研磨布窓6を通して、研磨されるべきウエハ7の中心の研磨面に向けられ且つ入射する光を照射させることが可能なプローブ9を備えるウエハ研磨装置。」(「甲1発明5」という。)
「ウエハ7を研磨するための研磨装置であって、前記研磨装置は、
(a)研磨中に研磨布5を保持する定盤1であって、前記定盤1は、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3を自身に有する、前記定盤1と、
(b)研磨中にウエハ7を定盤1上の研磨布5に対して保持するウエハ支持板8と、
(c)光を照射することが可能なプローブ9であって、前記プローブ9は、研磨中に前記光を前記貫通孔3に向け前記ウエハ7上に照射するように、配置される、前記プローブ9と、
(d)前記研磨布5に含まれ、定盤1の溝2と同形に切り抜かれ、ウエハ7へと通過する光が通る研磨布窓6と、
前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の透明窓材4が嵌め込まれた研磨装置。」(「甲1発明6」という。)
「ケミカルメカニカルポリシングを行う研磨装置において用いるための研磨布5であって、前記研磨布5は、
(a)ウエハ7に押し付けられる面と、
(b)定盤1に支持される面と、
を備え、定盤1には中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3を自身に有し、前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の透明窓材4が嵌め込まれるところ、前記研磨布5には、定盤1の溝2と同形に切り抜かれた研磨布窓6が形成される、研磨布5。」(「甲1発明7」という。)
「ウエハ7を研磨するための研磨装置であって、前記研磨装置は、
(a)研磨中に研磨布5を保持する定盤1であり、前記定盤1は、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3を自身に有する定盤1であり、前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の透明窓材4が嵌め込まれ、前記研磨布5には、定盤1の溝2と同形に切り抜かれた研磨布窓6が形成される、
前記定盤1と、
(b)研磨中にウエハ7を定盤1上の研磨布5に対して保持するウエハ支持板8と、
(c)光を照射することが可能なプローブ9であって、前記プローブ9は、研磨中に前記光を前記研磨布窓6に向け前記ウエハ7上に照射するように、配置されて、研磨中に研磨状態の終点を知る、前記プローブ9とを備える研磨装置。」(「甲1発明8」という。)
「ウエハ7を研磨するための研磨装置であって、
(a)研磨面と研磨布窓6を有する研磨布5であり、定盤1は、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3を自身に有する定盤1であり、前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の透明窓材4が嵌め込まれ、前記研磨布5には、定盤1の溝2と同形に切り抜かれた研磨布窓6が形成される、
前記研磨布5と、
(b)ウエハ7を定盤1上の研磨布5の研磨面に対して保持するためのウエハ支持板8と、
(c)研磨布窓6を通過してウエハ7に光を照射しその反射光を受光するプローブ9を有する研磨状態の終点を知る研磨装置。」(「甲1発明9」という。)

2 甲第2号証
本件出願の原出願の優先日前に頒布された刊行物である甲第2号証(特開平5-309558号公報)には、以下の記載がある。
ア 特許請求の範囲の請求項1
「研磨対象ウェーハの所定の厚さに等しい波長の光を研磨対象ウェーハに全反射角で入射し、前記研磨対象ウェーハを光が透過したとき、または研磨対象ウェーハの所定の厚さに等しい波長の光を研磨対象ウェーハに偏光角で入射し、前記研磨対象ウェーハから反射する偏光を遮断するように配設された偏光板を前記偏光が通過したとき、研磨を終了することを特徴とする貼り合わせウェーハの研磨方法。」
イ 段落【0003】
「【発明が解決しようとする課題】上記のような研磨方法で貼り合わせウェーハの一方、すなわちSOIウェーハについて、その厚さの大部分を研磨により除去し、1μmないしそれ以下の層を素子形成層として均一な厚さに残すことは極めて困難である。特に、素子形成層の厚さのばらつきが大きく、±0.5μm程度の精度であるため、SOI半導体基板の製造歩留りが低い。また、貼り合わせウェーハをウェーハ研磨機から取り外してSOIウェーハの厚さを測定する方法では、作業能率を向上させることができない。本発明は上記従来の問題点に着目してなされたもので、SOI半導体基板の製造工程において、素子形成層であるSi層を高精度に、かつ能率よく所望の厚さに研磨するための貼り合わせウェーハの研磨方法を提供することを目的としている。」
ウ 段落【0006】?【0007】
「・・・貼り合わせウェーハをマウントプレートに貼着したままSOIウェーハの厚さを管理することができ、所望の厚さに到達した時点で研磨を終了させることができる。・・・これらの図において、ウェーハ研磨機のポリシングパッド1は透明体で、パッド駆動装置2により回転および昇降する駆動軸2aの先端に固着されている。マウントプレート3は、たとえばSiO2からなる透明体で、前記ポリシングパッド1の上方にレーザ発振器4、波長変換装置5がそれぞれ配設されている。マウントプレート3の下方には光検出器6が設けられ、光検出器6の出力配線は制御装置7に接続されている。・・・」
エ 段落【0008】
「貼り合わせウェーハ11は、2枚の単結晶Siウェーハを絶縁層SiO2を介して貼り合わせたいわゆるSOI基板で、直接接着技術によって形成される貼り合わせ型SOI基板の製造工程に従って、素子形成層の所定の厚さ近くまでSi単結晶層を研磨したものである。・・・レーザ発振器4によって発振されたレーザ光は、波長変換装置5により所定の波長λすなわちSOIウェーハの目標厚さをt_(1)としたとき、λ=t_(1)となるように変換された後、ポリシングパッド1とスラリー10とを透過して貼り合わせウェーハ11に全反射角θで入射される。・・・t=λになると、それまで上部Si層11aの上面で全反射していた光の一部が上部Si層11aを透過し、更にSiO_(2)層11b、下部Si層11c、ワックス層12、マウントプレート3を透過してマウントプレート3の下方に進む。光検出器6はこの透過光を検出すると制御装置7に信号を出力し、制御装置7はパッド駆動装置2に研磨終了指令信号を送る・・・上記研磨作業中に何らかの異常が発生した場合は、制御装置7が警報装置9に指令信号を出力し、警報装置9が作動するとともにパッド駆動装置2の駆動軸2aが上昇して研磨が中止される。」
以上から、甲第2号証には、以下の事項が記載されている。
「ポリシングパッド1による貼り合わせウェーハ11の研磨において、ポリシングパッド1を透明体とし、ポリシングパッド1を透過してレーザ光を照射するもの。」(以下「甲2記載事項1」という。)
「研磨作業中に何らかの異常が発生した場合、制御装置7が警報装置9に指令信号を出力し、警報装置9が作動すること。」(以下、「甲2記載事項2」という。)

3 甲第3号証
甲第3号証には、以下の記載がある。
ア 第1頁右下欄第4行?第8行
「本発明は、石英、セラミック、結晶材料などの硬質材料よりなり、研磨し難く、しかも高精度の仕上面精度を必要とし、遠紫外線ないしX線領域において用いられる光学部品などの被加工物を研磨する研磨加工法に関するものである。」
イ 第3頁左上欄第11行?第18行
「次に本発明の第2実施例について説明する。第2図は本発明の第2実施例を示す側面図である。
本実施例においては、第2図に示すように光源として、レーザ光源10を用い、このレーザ光源10からのレーザ光線11をビームエキスパンダ12によって広げ、光学的に透明な材料よりなるポリッシャ3を通過させ、被加工物1の被加工面6を照射するようにしたものであり、」
ウ 第3頁右下欄第1行?第10行
「上記第1、第4実施例に示す光源9としては水銀ランプを用い、第2、第3実施例の光源10、13としてはNd-YAGレーザ、Arイオンレーザ、エキシマレーザを用いればよい。また被加工物1に対する砥粒7、加工液8の組合わせは目的によって多様であるが、例えばAL_(2)O_(3)・TiCセラミックに対し、ダイヤモンド砥粒の50Wt%KOH懸濁液の使用が可能であり、石英ポリッシャを通過したNd-YAGレーザ、Arイオンレーザの照射によって加工が促進される。」
以上から、甲第3号証には、第2図を参照することにより、以下の事項が記載されている。
「被加工物1の被加工面6をポリシャ3で研磨するにあたり、石英からなるポリシャ3を透明なものとし、レーザ光線11を照射し、透明なポリシャ3を透過してレーザ光線を照射するもの。」(以下「甲3記載事項」という。)

4 甲第4号証
甲第4号証には、以下の記載がある。
ア 第2頁左上欄第12行?右上欄第15行
「第1図は本発明の研摩方法の一実施例を示す概略断面図である。
図において、2は被加工物たとえば光学ガラスであり、その上面が被加工面である。本実施例においては被加工面は平面である。4は研摩加工工具であるポリシャであり、該ポリシャ4としてはたとえば合成樹脂または軟質金属等のシートが用いられる。該ポリシャ4はポリシャ保持手段である平面皿6の下面に貼付固定されている。被加工物2とポリシャ4との間には研摩液8が存在する。該研摩液8中には研摩剤である微粒子が懸濁せしめられている。10はレーザ光をガイドする光ファイバなどのライトガイドである。該ライトガイド10はそれぞれレーザ光源からレーザ光を伝送せしめてその先端から照射せしめる。ライトガイド10は保持手段6の全体にわたって上下方向に多数設けられている貫通孔を通って、該貫通孔に対応する位置にてポリシャ4に設けられている貫通孔中へと延びている。従って、ライトガイド10の先端は被加工面と対向する様な配置となっている。
加工時においては、通常の液中研摩と同様に被加工物2とポリシャ4とは適宜の圧力にて押圧せしめられつつ相対運動を行なう。」
イ 第2頁左下欄第13行?第18行
「以上の実施例においてはポリシャ4に貫通孔を設けてライトガイド10の先端を該貫通孔中に位置せしめているが、ポリシャ4が透明なものである場合には、第2図に示される様にポリシャ4の貫通孔は設けなくともレーザ光の照射は良好に行なわれる。」
以上から、甲第4号証には、第2図を参照することにより、以下の事項が記載されている。
「被加工物2をポリシャ4で研摩するにあたり、合成樹脂からなるポリシャ4を透明なものとし、レーザ光を照射し、透明なポリシャ4を透過してレーザ光を照射するもの。」(以下「甲4記載事項」という。)

5 甲第5号証
甲第5号証には、以下の記載がある。
ア 特許請求の範囲の請求項1?3
「【請求項1】 平坦なウェーハを研磨する方法にして、a.研磨プラテンの外周端縁を横断しかつ該外周端縁の上方を動き得るように取り付けられた回転可能な研磨ヘッド内にウェーハを保持する段階と、b.研磨スラリー内のウェーハの一面を研磨プラテンを横断して回転させる段階と、c.ウェーハの一部分を研磨プラテンの外周端縁を横断してオーバーハングさせ、ウェーハの一面を露出させる段階と、d.終点検出手段を使用してウェーハの終点を検出する段階とを備えることを特徴とする方法。
【請求項2】 請求項1に記載の方法にして、終点検出手段がレーザ干渉測定装置を備えることを特徴とする方法。
【請求項3】 請求項2に記載の方法にして、レーザ干渉測定装置が、ウェーハ上のパターン無し金型上に取り付けられたウェーハの酸化物の厚さを検出し得るように配置されることを特徴とする方法。」
イ 段落【0001】
「【産業上の利用分野】本発明は、集積回路の製造方法、特に、半導体ウェーハを物理的に平面化し(planarization)かつ終点(endpoint)を検出するための新規な方法及び装置に関する。」
ウ 段落【0016】
「【実施例】先ず図1を参照すると、本発明による物理的な平面化に適した半導体ウェーハ10及び本発明の研磨装置が図示されている。半導体ウェーハ10は、薄くかつ平坦であり略円形の形状をしており、微細な局部を備えて形成されている。半導体ウェーハは、その上に複数の個々の集積回路金型が形成されるシリコン又は酸化シリコンのような基板を含むことが出来る。これら個々の金型は図1に十字形パターンにて略図で示されている。」
エ 段落【0018】?【0019】
「図5に断面図で示すように、ウェーハ10は、ある領域にてその上に二酸化ケイ素(SiO_(2))14の層(以下に酸化物と称する)が形成されるシリコン基板12を備えることが出来る。一般に、ウェーハ10を物理的に平面化することはウェーハ10の酸化物層14を平面化する段階を含んでいる。ウェーハ10は又、シリコン基板12上に形成して酸化物被覆14で覆った1又は2以上のタングステンのような金属膜のパターン無し金型16を含むことが出来る。
次に、図2を参照すると、本発明により形成された物理的な平面化及びび終点検出装置が全体として符号20で示されている。本発明の研磨装置20は、全体として、アルミナのような研磨性スラリー24が適用される回転する研磨プラテン22の形態による研磨手段と、図3に示すように、半導体ウェーハ10を支持しかつ回転する研磨プラテン22の外端縁を横断しかつ該外端縁を経て動き得るように取り付けられ、回転する研磨プラテン22の半導体ウェーハ10の全体よりも小さい寸法の一部分をオーバーハングさせる回転可能な研磨ヘッド26と、半導体ウェーハ10上に形成された酸化物被覆14等の厚さを検出するためのレーザ干渉測定装置28の形態による終点検出手段とを備えている。」
以上から、甲第5号証には、第2図、及び第5図を参照することにより、以下の事項が記載されている。
「表面に酸化物被覆14を有する半導体ウェーハ10における酸化物被覆14を物理的に平面化するに際して、レーザ干渉測定装置28により酸化物被覆14の厚さを検出する、物理的な平面化及び終点検出装置。」(以下「甲5記載事項」という。)


第6 当審の判断

1 無効理由2:特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反についての判断
最初に、請求人の主張する無効理由2について検討する。

(1)請求項を特定しない特許法第36条違反について
A 請求人の主張するAの無効理由についての判断
本件特許明細書の段落【0028】には、「図3(b)は、プラーテン16とパッド18の別の具体例である。この具体例では、クオーツインサートは排除され、パッド18には貫通穴は存在しない。その代わりに、プラーテン16のホール30の上の領域では、パッド18の裏張り層20(存在すれば)が除去された。このことにより、ウエハ14とプラーテン16の底部との間には、パッド18のポリウレタンカバー層22だけが残っている。カバー層22に用いられるポリウレタン材料が、レーザー干渉計32からのレーザービームを実質的に透過させるだろうことが、見出されている。」との記載がある。そして、裏張り層を除去することによりパッドのポリウレタンカバー層だけを残し、かつ、このポリウレタンカバー層を透明なものとすれば、レーザー光等の光を透過するものであることは明らかである。してみると、レーザー光の透過を許容する透明体から成る合成樹脂製の研磨パッドを当業者が実施し得る程度に十分且つ、明確に記載されていなかったので、特許法第36条第4項違反であるとする無効理由、及び、本願の各請求項に係る発明も不明確であるから、特許法第36条第6項第2号違反であるとの無効理由は成り立たない。
B 請求人の主張するBの無効理由についての判断
レーザー光の反射を利用した終点検出の原理が、レーザー光に限らず通常の可視光、すなわち光にも適用できるものであることは明らかである。したがって、「レーザー光」と「光」とを同一視することはできないから、本件発明は、特許を受けようとする発明が不明確であるので、特許法第36条第12項(「第6項」の誤記と思われる。)第2号違反であるとする無効理由、及び、各発明を当業者が実施し得る程度に十分、且つ、明確に明細書に記載されていないので、特許法第36条第4項違反であるとする無効理由は成り立たない。
C 請求人の主張するCの無効理由についての判断
「レーザー干渉計」という用語は、甲第5号証に「レーザ干渉測定装置」と記載され、また、乙44号証、乙45号証においても記載されているように、CMPの終点検出装置として一般的に用いられているものである。したがって、本件特許の「レーザー干渉計」は、一般的に認識されている干渉計ではない、「干渉計」という語句の誤用は、軽微な誤りではなく、発明を構成するキーポイントとなった重要な誤りであるとする無効理由は成り立たない。
D 請求人の主張するDの無効理由についての判断
ブランク酸化膜ウエハの研磨中に干渉の測定を行うことにより、周期的な信号が発生することを検証することは可能で、その様にして検証されたデータをパターンウエハのCMP研磨において参照データとして利用することが可能であることは明らかである。したがって、本件特許の対象となるウェハは、パターンウェハ(パターニングされたウェハ)であり、ブランク酸化物ウェハの開示は、本件特許における課題を解決するものではなく、意味をなすものではないとする無効理由は成り立たない。
E 請求人の主張するEの無効理由についての判断
各請求項に数多く現れるそれぞれの信号の技術的意味および物理量が不明確であるという漠然とした理由では、それが特許法第36条第6項第1号及び第2号違反するのかどうか、また各請求項に係る発明を実施することができるかどうか、すなわち、特許法第36条第6項第4号に違反するかどうか判断することはできない。
なお、各請求項に現れる各種「信号」については、各請求項に対する特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反の無効理由としても挙げられていることから、各種「信号」の上記無効理由については、請求項ごとの判断に委ねることとする。
F 請求人の主張するFの無効理由についての判断
(i)の点に関して、本件出願の発明の詳細な説明の記載では、図9(a)のグラフをどのようにフィルタ処理することにより、図9(b)のグラフのようになるのかは、必ずしも明確ではないが、後述するように各請求項中にいくつか存在する「フィルタ」の特定のある請求項については、明確である。
したがって、このことにより、発明を実施することができないとすることも、また、特許請求の範囲の各請求項に記載された発明が発明の詳細な説明に記載されたものでないとすることも、特許請求の範囲の各請求項に記載された発明が明確でないとすることもできない。
(ii)の点に関して、CMPで対象とするパターンウエハにおいても、程度の差こそあれ、平坦化により検出される信号に周期的なサイクルが現れることは明らかであって、これをフィルタ処理することにより、ある程度の研磨に関する情報を得られることは明らかである。
(iii)の点に関して、積分した結果が必ず正の値となるものではない。
(iv)の点に関して、段落【0065】に、フィルタとはバンドパスフィルタであり、干渉計から検出された信号をバンドパスフィルタにかけて分析することにより研磨終点を検出できることは本件特許の優先権主張日前においても周知の事項であったことは明らかである。
したがって、請求人の主張するFの無効理由では、特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとすることも、特許法第36条第4項違反であるとすることもできない。
G 請求人の主張するGの無効理由についての判断
本件特許の段落【0045】の記載から、検出された信号から認識可能な正弦波状のサイクルが取り出されることが、CMP研磨の終点であるとすることは明らかである。
したがって、請求人の主張するGの無効理由では、特許法第36条第4項違反であるとすることも、特許法第36条第6項第2号違反であるとすることもできない。
H 請求人の主張するHの無効理由についての判断
研磨パッドはウエハに対して半径位置を変更しながら研磨するものであるので、研磨パッドの一部に設けられたウィンドウを通してレーザー反射光等を検出することにより、ある程度、ウエハ表面の均一性を検出できるものであることは明らかであり、それはパターンウエハにも該当するものであることも明らかである。
したがって、請求人の主張するHの無効理由では、特許法第36条第4項違反であるとすることはできない。

(2)請求項を特定する特許法第36条違反について
(i)請求人の主張する請求項1の無効理由についての判断
(1)Aで言及したとおり、レーザー干渉計を用い、反射光を測定することにより研磨の終点を検出することができることは明らかである。
したがって、レーザー干渉計の機能が不明であり、「レーザー干渉計を有する終点検出器」で、「レーザービームを発生させる」、「反射されてくる光を検出する」の記載では、終点検出にならず、終点検出器の意義が不明であり、反射されてくる光のどのような物理量を検出するのか不明であるので、請求項1を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は成り立たない。
(ii)請求人の主張する請求項3の無効理由についての判断
(1)Aで言及したとおり、レーザー干渉計を用い、反射光を検出信号として測定することにより研磨の終点を検出することができることは明らかである。
また、「ウィンドウがウエハに近接しているときを感知」とは、図面の図2、図6、図7を参照することにより、レーザービームがプラーテンや研磨パッドに妨害されずにウィンドウを通過できる位置にある時であることは明らかである。
したがって、終点検出器が不明であり、レーザー干渉計が不明であり、「近接している」とはウエハがウィンドウに近づきつつある状態か、ウィンドウ上にある状態か不明である、又は「近接」が明細書の段落【0028】の記載に徴し意味不明であるので、請求項3を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は成り立たない。
(iii)請求人の主張する請求項4の無効理由についての判断
1)については、「検出信号」とは、「ウエハから反射される光によって検出される」ものであることは明らかである。
2)のレーザー干渉計、3)の近接については、上記(ii)のとおり、明らかである。
4)の「データ信号」については、請求項4において「サンプリングされた検出信号を代表する」ものであると特定しているので、データ信号と検出信号の関係は明らかである。また、6)については、「データ取得手段」が「サンプリングされた検出信号を代表するデータ信号を出力する」ものであるとしているので、技術的意味は明らかである。
5)の「該レーザー干渉計と該位置センサとに接続されたデータ取得手段」については、図6を参照することにより、位置センサである光遮断器タイプのセンサ62とレーザー干渉計32とを関連させたデータ取得手段であることは明らかである。
以上のとおりであるので、請求項4を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は成り立たない。
(iv)請求人の主張する請求項5の無効理由についての判断
1)の「積分するための手段」については、ウィンドウを通してウエハが見えるところにある間の時間にわたって検出信号を積み重ねていくことであることが明らかである。
2)については、積分した結果は必ず正の値となるものではない。
3)については、「データ信号」は、「検出信号の積分されたサンプルを代表する」ものであるとしているので、その技術的意味は明らかである。
以上のとおりであるので、積分するための手段とあるが、積分方法が示されていない、積分した結果を示す図13グラフが負になっているので不明である、積分されたサンプルを代表するデータ信号の技術的意味・物理量が不明であるので、請求項5を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は成り立たない。
(v)請求人の主張する請求項6の無効理由についての判断
1)の「データ信号」については、上記(iii)のとおりである。
2)については、CMPで対象とするパターンウエハにおいても、程度の差こそあれ、平坦化によりデータ信号に周期的なサイクルが現れることは明らかである。
さらに、請求項6は、「フィルタ」を発明特定事項としていない。
したがって、データ信号の物理量が不明であり、パターンウェハは、データ信号が周期的にならず、また、周期的なデータ信号の処理方法は、パターニングされたウェハには適用できず、検出器信号をフィルタにかける場合のフィルタも不明であって、原理的に実施不能である。よって、請求項6を特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は成り立たない。
(vi)請求人の主張する請求項7の無効理由についての判断
1)の「データ信号」については、上記(iii)のとおりである。
2)の、「パターンウエハ」については、上記(v)のとおりである。
したがって、データ信号の物理量が不明であり、パターンウェハは、データ信号が周期的にならないので、請求項7を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は成り立たない。
(vii)請求人の主張する請求項8の無効理由についての判断
1)の「データ信号」、及び2)の先の「検出信号」との違いについては、上記(iii)のとおりである。
3)、4)については、データ信号の周期的変化を検出する手段、及びデータ信号の周期的変化が検出されたときにCMPを終了させる手段については、例示するまでもなく、従来周知のものである。
したがって、データ信号の物理量が不明であり、先の検出信号との違いが不明であり、データ信号の周期的変化を検出するための手段が明確に示されておらず、データ信号の周期的変化を検出したとき、CMPを終了させるための手段が明確に示されていないので、請求項8を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は成り立たない。
(viii)請求人の主張する請求項9の無効理由についての判断
1)における各ステップの必要性が不明な点、及び2)(a)におけるウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、の部分の全体の中での必要性が不明な点については、必要性が不明というだけの理由で「明確でない」とすることはできない。
また、2)の後半、3)については、CMP研磨において、ウエハからの反射する光を検出して研磨の終点を決定する方法については、種々の方法があり、それぞれ、例示するまでもなく、従来周知のものである。
したがって、ウエハのCMPのための方法に対して、各ステップの必要性が不明であり、ウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、の部分の全体の中での必要性が不明であり、何を持って終点を決定するか示されておらず、ウエハから反射する光を検出するステップとは何の光を検出するのか明細書に記載されておらず不明であるので、請求項9を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は成り立たない。
(ix)請求人の主張する請求項10の無効理由についての判断
2)の「近接」については、上記(ii)のとおりである。
また、1)については、決定するステップは、「レーザービームがウィンドウを通過してウエハに入射するときを感知するステップを備える」と特定している。
したがって、該決定するステップと、レーザービームがウィンドウを通過してウエハに入射するときを感知するステップとの技術的関連性が不明であり、「ウィンドウがウエハに近接して」の意味が不明で、段落【0028】の記載と矛盾するため、請求項10を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は成り立たない。
(x)請求人の主張する請求項11の無効理由についての判断
1)の検出信号、ウエハからの反射光については、上記(iii)のとおりである。
2)の「近接」については、上記(ii)のとおりである。
3)の(c)決定するステップについては、請求項9において特定されているとおり、終点を決定するものであり、請求項11の(c)では、決定ステップが、「データ取得のステップを備え、該データ取得のステップが、(c1)感知信号の期間のためにレーザー干渉計から検出信号をサンプリングするステップと、(c2)サンプリングされた検出信号を代表するデータ信号を出力するステップとを備える」と特定していることは明らかである。
4)の「レーザー干渉計」については、上記Cのとおりである。
5)の「データ信号」、6)の「データ信号と検出信号と感知信号の違い」については、請求項11で、検出信号はウエハから反射される光が検出される毎に発生するものであり、感知信号はウィンドウがウエハに近接する毎に出力するものであり、データ信号はサンプリングされた検出信号を代表するものであると特定しており、3つの信号の関係は明らかである。
したがって、検出信号の物理量が不明であり、「ウエハから反射される光」の何を検出するのか不明であり、ウィンドウがウエハに近づいている状態を感知する信号は明細書本文に記載されておらず、該決定するステップは、何を決定するのか不明であり、研磨の終了点を決定するとしても、その後の記述は、それとどう関係するのか不明であり、レーザー干渉計は語句を誤用しており、データ信号の物理量が不明であり、データ信号と検出信号と感知信号は、実質的に何が違うか不明であるので、請求項11を特許法第36条第6項第1号、第2号、及び、第4項違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(xi)請求人の主張する請求項12の無効理由についての判断
積分するステップ、図13グラフが負になっている点については、上記(iv)のとおりである。
したがって、検出信号を積分するステップの詳細が不明であり、積分した結果を示す図13グラフが負になっており不明であるので、請求項12を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(xii)請求人の主張する請求項13の無効理由についての判断
パターンウエハでの干渉波形については、上記(v)のとおりである。
したがって、CMPで対象となるパターンウェハでは干渉波形は周期的にならないことから、請求項13を特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(xiii)請求人の主張する請求項15の無効理由についての判断
1)のデータ信号、2)のデータ信号の周期的変化のサーチ、3)のCMPの終了については、上記(vii)のとおりである。
したがって、データ信号の物理量が不明であり、データ信号の周期的変化をサーチするステップが明確に示されておらず、データ信号に周期的変化が見つけられたときにCMPを終了させるステップが明確に示されていないので、請求項15を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(xiv)請求人の主張する請求項16の無効理由についての判断
1)のデータ信号については、上記(iii)のとおりである。
また、2)については、「所定の周波数成分を通過させる」フィルタは、周知のものであり、「所定の除去量(除去速度)成分を通過させる」ことと違うことは明らかである。
したがって、データ信号の物理量が不明であり、「所定の周波数成分を通過させる」ことは、「所定の除去量成分を通過させる」ことと何が違うのか不明であるので、原理的に終点検出不能であって、終点検出の意義も不明であるから、請求項16を特許法第36条第4項、及び、第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(xv)請求人の主張する請求項17の無効理由についての判断
データ信号、フィルタについては、上記(xiv)のとおりである。
したがって、データ信号の物理量が不明であり、「所定の周波数成分を通過させる」ことは、「所定の除去量成分を通過させる」ことと何が違うのか不明であるので、原理的に終点検出不能であって、終点検出の意義も不明であるから、請求項17を特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(xvi)請求人の主張する請求項18の無効理由についての判断
1)、5)については、「基板上の表面層の状態の均一性」とは、基板上の表面の平坦化と同様であることは明らかである。そして、平坦化の検出に関しては、上記(v)のとおりである。また、均一性の判断を平坦化の判断と同様に計算できることも明らかである。
また、2)については、光ビームもレーザービームも電磁波の一種であって、レーザービームの測定原理を光ビームに応用できることは明らかである。
3)については、「干渉信号」が、レーザー干渉計に相当する光ビームの際の干渉計で検出される信号に相当するものであることは、技術的に明らかである。
4)については、干渉信号が干渉計によって生じる信号であることは明らかで、別の請求項で特定されている検出信号、データ信号との実質的な違いはともかく、表現として異なる信号であることは明らかである。
したがって、基板上の層の均一性を測定する方法は、実施不能であるか、開示されていないし、光ビームに関する内容は、明細書中に記載がなく、干渉信号を示す物理量が不明であり、干渉信号と検出信号、データ信号との実質的な差が不明であり、均一性の尺度の計算が開示されないか、原理的に計算できないため、請求項18を特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(xvii)請求人の主張する請求項19の無効理由についての判断
「特徴情報」が、望ましく操作されていることがわかっているシステムに対して干渉計によって得られたシグネチャ波形を意味するものであることは、発明の詳細な説明の段落【0068】?【0070】を参照することにより明らかである。そして、研磨の目標が均一性、すなわち基板上の表面の平坦化であるから、特徴情報は、基板上の表面が均一化された時の干渉計によって得られたシグネチャ波形である。
段落【0018】に示されている「特性信号」は、請求項19中には存在しない。
したがって、特徴情報の意味・物理量が不明であり、干渉信号から特徴情報を抽出するステップは開示されておらず意味も不明であり、抽出された特徴情報から均一性の尺度を計算するステップも開示されておらず、均一性尺度を求める上で、段落【0018】に記載の特性信号の技術的意味・物理量と他の信号との差異が不明で均一性尺度が定義できないことから、請求項19を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるという無効理由は、成り立たない。
(xviii)請求人の主張する請求項20の無効理由についての判断
均一性については、上記(xvi)のとおりである。
したがって、均一性の尺度が開示されず、また、原理的に計算できないことから、請求項20を特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反であるという無効理由は、成り立たない。
(xix)請求人の主張する請求項21の無効理由についての判断
1)の「干渉信号違反」については、請求項21中に存在しない。なお、「干渉信号」については、上記(xvi)のとおりである。
2)の「前記抽出するステップ」については、請求項21が引用している請求項19で特定されている「抽出するステップ」であることは明らかである。
3)、4)については、「第1の特性」とは、干渉信号の低周波数成分である。
5)の「第1の特性から前記抽出された情報を誘導するステップ」とある点に関して、「抽出された情報」自体は、請求項21が引用する請求項19中にも、また、請求項19がさらに引用する請求項18中にも存在しないが、請求項19中には、「抽出された情報」の代わりに「抽出された特徴情報」は存在する。したがって、「抽出された情報」とは「抽出された特徴情報」の誤記であることは明らかである。そして、「第1の特性から前記抽出された特徴情報を誘導するステップ」とは、第1の特性を用いて特徴情報を誘導することであることは明らかである。
したがって、請求項21中に誤記はあるものの、干渉信号違反の物理量が不明であり、抽出するステップが不明であり、第1の特性の意味が不明であり、低周波数成分の第1の特性を測定するステップが不明であり、第1の特性から抽出された情報を誘導するステップが不明であるので、請求項21を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(xx)請求人の主張する請求項22の無効理由についての判断
請求項22については、上記(xix)のとおりである。
また、請求項22中に「前記干渉計信号」とあるが、請求項22が引用する請求項21において、「干渉計信号」は存在せず、存在するのは「干渉信号」である。したがって、請求項22において、「干渉計信号」は「干渉信号」の誤記であることは明らかである。
したがって、請求項22中に誤記はあるものの、干渉計信号の物理量が不明であり、抽出するステップが不明であり、第1の特性の意味が不明であり、低周波数成分の第1の特性を測定するステップが不明であり、第1の特性から抽出された情報を誘導するステップが不明であるので、請求項22を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(xxi)請求人の主張する請求項23の無効理由についての判断
低周波数信号と高周波数信号とは、干渉信号から抽出されるものであって、図16からは直接、低周波数信号の振幅と高周波数信号の振幅とを見分けられるものではない。
したがって、低周波信号の振幅と高周波信号の振幅が図16内のどれを意味するのか不明であるので、請求項23を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(xxii)請求人の主張する請求項24の無効理由についての判断
1)については、「研磨プロセスの特性」とは、研磨プロセスが期待通りに進行しているか否かを示す指標であることは明らかであって、請求項24は、その特性を評価する方法に関する発明である。
2)、4)の「シグネチャ」については、訂正後の請求項24には存在しない。
3)については、光ビームの点は、上記(xvi)のとおりである。
5)については、「研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、保存されている情報」とは、研磨プロセスにおいて、なんらかの操作を行なう際の、干渉計波形と比較される情報であることは明らかである。
したがって、プロセスの特性の技術的意味および物理量が不明であり、シグネチャの技術的意味・物理量が不明確であり、光ビームに関する開示はなく、シグネチャを抽出するステップの技術的意味が不明であり、研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、保存されている情報の技術的意味が不明であるので、請求項24を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(xxiii)請求人の主張する請求項26の無効理由についての判断
「シグネチャ」については、訂正後の請求項26にも、また、請求項26が引用する請求項24にも存在しない。
また、研磨速度を決定するステップと均一性の尺度を決定するステップとは、干渉計波形の形で比較するものであることは明らかである。
したがって、シグネチャを段落【0069】のとおり、干渉計波形を示すとすれば、干渉計波形を抽出するステップが、均一性の尺度を決定するステップとどう関わるのか、整合性がないので、請求項26を特許法第36条第6項第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(xxiv)請求人の主張する請求項27の無効理由についての判断
1)の干渉計については、前記Cのとおりである。2)の干渉信号、3)の光ビーム、4)の干渉信号から均一性の尺度を計算する方法については、上記(xvi)のとおりである。
したがって、干渉計とあるが、実質的に干渉計でなく、語句を誤用しており、干渉信号の物理量が不明であり、光ビームに関する開示がなく、干渉信号から均一性を計算する方法が不明確であり、示されていないので、請求項27を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(xxv)請求人の主張する請求項30の無効理由についての判断
請求項30は、遡っていくと、請求項27を大本として引用しているものであるが、請求項27では、「光ビーム」を対象としたものであり、「レーザービーム」を対象としたものではない。しかしながら、レーザー干渉計を一般の光ビームの干渉検出にも利用できることは既述したとおりである。
したがって、レーザー干渉計は語句を誤用しているので、請求項30を特許法第36条第6項第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(xxvi)請求人の主張する請求項31の無効理由についての判断
1)の特徴情報、2)の干渉信号から特徴情報の抽出、3)の段落【0018】の特性信号との関係、4)の均一性の尺度の計算については、上記(xvii)のとおりである。
したがって、特徴情報の技術的意味・物理量が不明であり、干渉信号から特徴情報を抽出することが示されておらず、段落【0018】記載の「特性信号」の技術的意味・物理量が不明であり、抽出された特徴情報から均一性の尺度を計算する方法が示されていないから、請求項31を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(xxvii)請求人の主張する請求項33の無効理由についての判断
1)の「第1の特性」については、上記(xix)のとおりである。
また、2)、3)については、請求項33に存在する「前記抽出された情報」に関して、請求項33が引用する請求項27ないし請求項32には、「抽出された情報」は存在しない。存在するのは、請求項31の「抽出された特徴情報」である。したがって、請求項33における「前記抽出された情報」は、「前記抽出された特徴情報」の誤記であることは明らかである。
そして、「抽出された特徴情報を誘導する」こと、及び「特徴情報を抽出する」ことについては、上記(xix)のとおりである。
したがって、請求項33中に誤記はあるものの、第1の特性の技術的意味が不明であり、抽出された情報を誘導することの技術的意味が不明であり、図16のどの部分の比をとるのか不明であり、特徴情報を抽出することの技術的意味が不明であるので、請求項33を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(xxviii)請求人の主張する請求項34の無効理由についての判断
1)について、「第2の特性」とは、干渉信号の高周波数成分である。そして、高周波数信号とは、干渉信号から抽出されるものであって、図16からは直接、高周波数信号の振幅を見分けられるものではない。
また、2)、3)については、請求項34に存在する「前記抽出された情報」に関して、請求項34が引用する請求項33には、「抽出された情報」自体は存在するものの、同様に、「前記抽出された情報」としている。そして、請求項27ないし請求項32には、「抽出された情報」は存在しない。存在するのは、請求項31の「抽出された特徴情報」である。したがって、請求項34における「前記抽出された情報」は、「前記抽出された特徴情報」の誤記であることは明らかである。
そして、「抽出された特徴情報を誘導する」こと、及び「特徴情報を抽出する」ことについては、上記(xix)のとおりである。
また、4)については、請求項34と請求項33の違いは明らかである。
したがって、請求項34中に誤記はあるものの、第2の特性の技術的意味が不明であり、図16のどの部分にあたるのか不明の上、抽出された情報を誘導することの技術的意味が不明であり、図16のどの部分の比をとるのか不明であり、特徴情報を抽出することの技術的意味が不明であり、請求項33との技術的違いが不明であるので、請求項34を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(xxix)請求人の主張する請求項35の無効理由についての判断
1)、2)の低周波信号の振幅と高周波信号の振幅の関係については、上記(xxi)のとおりである。
また、3)の特徴情報については、上記(xvii)のとおりである。
したがって、高周波成分の振幅に関して、対応する図16のどの部分に当たるのか不明であり、低周波成分の振幅も不明であるため、比を計算することも不明であり、特徴情報の技術的意味・物理量が不明であるので、請求項35を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(xxx)請求人の主張する請求項36の無効理由についての判断
1)については、「基板を研磨することと、各特徴がどう対応」するかという点は、明確に無効理由を示していない。「それが必要機能なのか」、及び「何を行うか」は、特許請求の範囲の明確性と関係のない事項である。
2)の光ビームについては、上記(xvi)のとおりである。
したがって、基板を研磨することと、各特徴がどう対応し、また、それが必要機能なのかが不明であり、何を行うかも不明で、光ビームに関する開示がないことから、請求項36を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(xxxi)請求人の主張する請求項38の無効理由についての判断
自明である事項を発明特定事項として特定することにより、特許を受けようとする発明が明確でないとすることはできない。
したがって、研磨パッドが研磨面と底面を備えることは、当然であり自明であり、ウィンドウがパッド内に形成されるとすれば、それは、研磨パッドの底面と研磨面の中に形成されることは当然であり、自明であるので、請求項38を特許法第36条第6項第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(xxxii)請求人の主張する請求項39の無効理由についての判断
1)については、「基板を研磨することと、各特徴がどう対応」するか、及び「それが必要機能なのか」との点については、上記(xxx)のとおりである。
2)の光ビームについては、上記(xvi)のとおりである。
3)のパターンウェハ、周期信号からの終点検出、フィルタについては、上記(v)のとおりである。
したがって、基板を研磨することと、各特徴がどう対応し、また、それが必要機能なのか不明であり、何を行うかも不明であり、光ビームに対する開示はなく、CMPで対象となるパターンウェハは周期信号が現れず、パターンウェハに対して、周期信号から終点を検出する一意の方法が開示されていないし、フィルタは実施不能であるから、請求項39を特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(xxxiii)請求人の主張する請求項43の無効理由についての判断
請求項43に存在する「該第2の部分」に関して、請求項43が引用する請求項42には、「第2の部分」は存在しないものの「第2の非透過性部分」は存在する。したがって、請求項43における「該第2の部分」とは、「該第2の非透過性部分」の誤りであることは明らかである。
そして、第2の非透過性部分がマイクロポーラス構造を有することと、終点を検出するためのパッド機能とに技術的関連性がなくても差し支えない。
したがって、請求項43中に誤記はあるものの、第2の部分が、マイクロポーラス構造を有することと、終点を検出するためのパッド機能との技術的関連がなく、それを説明する記述がないことから、請求項43を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(xxxiv)請求人の主張する請求項44の無効理由についての判断
第2の非透過性部分がオープンセルの構造を有することと、終点を検出するためのパッド機能とに技術的関連性がなくても差し支えない。
したがって、第2の部分が、オープンセルの構造を有することと、終点を検出するためのパッド機能との技術的関連がなく、それを説明する記述がないことから、請求項44を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(xxxv)請求人の主張する請求項52の無効理由についての判断
1)の光ビームの点については、上記(xvi)のとおりである。
2)の反射された光の測定については、上記(i)のとおりである。
また、3)については、請求項52は、光源と検出器の他に、研磨パッド、研磨ヘッドを有しており、これらにより研磨の終点を検出するシステムは従来周知のものである。
したがって、光ビームに関する開示はなく、光のどのような物理量を測定するのか不明であり、光源と検出器を有するだけの終点検出システムは特定できないから、請求項52を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。

2 無効理由1:特許法第29条第2項違反についての判断

(1)請求項1に対して
ア 対比
本件特許発明1と甲1発明1とを対比すると、後者の「定盤1」は前者の「研磨プラーテン」に、後者の「研磨液」は前者の「研磨スラリ」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウインドウ」に、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「ウエハ支持板8」は前者の「研磨ヘッド」に、後者の「ウエハ研磨装置」は前者の「装置」に相当する。
後者において、回転自在な定盤1は、ウエハ研磨装置のシャシに設置されていることは明らかである。
後者における「中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3」は、「開口」という限りで、前者の「ホール(孔)」と共通する。
後者における「定盤1の溝2と同形に切り抜かれた研磨布窓6」は、同形であることは調心されたものとも言えるものであるから、前者の「プラーテンのホールと調心されたウインドウ」に相当する。
前者における「レーザービーム」は、後者における「光」の下位概念である。
後者における「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の透明窓材4が嵌め込まれ」ることは、「研磨プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に光透過部材を配設する」限りにおいて、前者の「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備える」ことと共通する。
後者における「反射光を受光するプローブ9を有し、これにより研磨状態の終点を知ることができるもの」は、前者の「反射されてくる光を検出することが可能な終点検出器とを備え」ることに相当する。
後者の「貫通孔3、透明窓材4、溝2は、ウエハ7の中心が透明窓材4の上にある時の一部の間、光をウエハへ入射させるための通路を与える」ことは、ウエハ7の中心のみが透明窓材4の上にある時だけ、光をウエハへ入射させるものであるから、「ウエハ7が透明窓材4の上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光をウエハ7へ入射させるための通路を与える」と言えるものであることは明らかである。
以上の点から、本件特許発明1と甲1発明1とは、以下の一致点、相違点を有している。
<一致点1>
「ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、
(a)シャシに回転自在に設置され、開口を自身に有する回転可能な研磨プラーテンと、
(b)プラーテンに設置され、研磨スラリによりウェットで、プラーテンの開口と調心されたウィンドウを有する、研磨パッドであり、
研磨プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に光透過部材を配設し、
(c)研磨パッドに対してウエハを保持するための、回転可能な研磨ヘッドと、
(d)ウエハへ向けて光を発生させることが可能であり且つウエハ及び開口から反射されてくる光を検出することが可能な終点検出器とを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光をウエハへ入射させるための通路を与える装置。」
<相違点1>
研磨プラーテンに関して、本件特許発明1では、「ホール(孔)を自身に有する研磨プラーテン」と特定しているのに対して、甲1発明1では、研磨プラーテンに相当する定盤1に設けられる開口は、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた2本の溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3である点。
<相違点2>
光透過部材の構造に関して、本件特許発明1では、「(i)ウィンドウは、研磨パッドの一部であって、レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備える、前記研磨パッド」であるとして、研磨パッドに光透過部材が設けられているのに対して、甲1発明1では、光透過部材は、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4である点。
<相違点3>
ウエハに関して、本件特許発明1では、「酸化物層の下の半導体基板を備える」ものであると特定しているのに対して、甲1発明1では、SOIウエハではあるものの、酸化物層を表面に有するかどうか不明な点。
<相違点4>
終点検出する光及び装置に関して、本件特許発明1では、「レーザービーム」を用いており、また、検出器が「レーザー干渉計」であるのに対して、甲1発明1では、単に光を用いており、検出器がプローブ9である点。
イ 当審の判断
上記相違点について検討する。
(ア)<相違点1>について
開口の形状を「ホール(孔)」と特定することは、そのことにより開口の形状がどのようなものであるか特定されているものではない。してみると、甲1発明1における、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた2本の溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3からなる開口も、「ホール(孔)」と言えるものである。
してみると、相違点1は実質的な相違点ではない。
(イ)<相違点2>について
甲2記載事項1は、「ポリシングパッド1による貼り合わせウェーハ11の研磨において、ポリシングパッド1を透明体とし、ポリシングパッド1を透過してレーザ光を照射するもの。」であり、甲3記載事項は、「被加工物1の被加工面6をポリシャ3で研磨するにあたり、石英からなるポリシャ3を透明なものとし、レーザ光線11を照射し、透明なポリシャ3を透過してレーザ光線を照射するもの。」であり、甲4記載事項は、「被加工物2をポリシャ4で研摩するにあたり、合成樹脂からなるポリシャ4を透明なものとし、レーザ光を照射し、透明なポリシャ4を透過してレーザ光を照射するもの。」である。すなわち、被加工物を研磨部材により研磨するにあたり、研磨部材を透明なものとし、研磨部材を透過してレーザ光を照射することは、甲2記載事項1、甲3記載事項、甲4記載事項に記載されているように周知の事項である。そして、上記甲2ないし甲4記載事項を甲1発明1への適用を阻害する理由も格別存在しないことから、甲1発明1においても、研磨部材である研磨布5を、レーザ光が透過可能な透明なものとすることは、当業者が容易になし得たものと認められる。そして、研磨布5として透明なものを用いた場合には、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4を用いないようにすることは、当然の設計変更にすぎない。
ここで、被請求人は、甲第2号証記載の発明は明らかに自然法則に反するものであることを平成21年7月16日受付上申書において主張し、証拠として乙第80号証、及び乙第81号証を提出している。そして、甲第2号証に記載された発明は、作ることもできないし、使用することもできないから、審査基準に照らしても引用発明とすることはできないと主張している。また、甲第3号証に記載された甲3発明、甲第4号証に記載された甲4発明は光学部品を研磨する「光学ポリシング」に関するものである。光学ポリシングとCMPとは技術的に著しく異なるものであり、光学ポリシングをCMPへ適用しても所望の結果が得られるものではないことは技術常識であると主張している。
しかしながら、以下(i)ないし(iii)の理由により、被請求人の主張は採用できない。
(i)特許出願前に頒布された刊行物に記載された発明というためには、特許出願当時(本件特許の場合、優先権主張日当時。)の技術水準を基礎として、当業者が当該刊行物を見たときに、特許請求の範囲の記載により特定される特許発明等の内容との対比に必要な限度において、その技術的思想を実施し得る程度に技術的思想の内容が開示されていることが必要であり、かつ、それで足りると解するのが相当である。そして、甲第2号証からは、レーザ光を透過するポリシングパッドの発明を把握できるのであるから、甲第2号証に記載された発明におけるポリシングパッドの素材や表面構造あるいはスラリーの構成物質ないし組成を厳密に特定できないからといって、先行技術としての適格に欠けるものではない。
(ii)甲2ないし甲4記載事項として採用している事項は、前記したように、「被加工物を研磨部材により研磨するにあたり、研磨部材を透明なものとし、研磨部材を透過してレーザ光を照射する」ことである。してみると、被加工物を研磨する研磨部材としてレーザ光を透過可能なものが甲第2ないし甲第4号証から認定できることは明らかであるから、甲第2号証に記載された発明が「全反射」を前提とした場合に成立しないという点や、甲第3号証や甲第4号証に記載された発明は、「光学ポリシング」であって「CMP」とは技術的に著しく異なるなどの点は、「研磨部材をレーザ光が透過可能な透明なものとする」という事項の認定を覆すまでの事実とすることはできない。
(iii)本件特許発明の明細書には、CMPにおける研磨パッドを透明なものとすることにつき、特別な工夫をなんら開示するものではない。もし透明なCMPにおける透明な研磨パッドが従来存在しなかったとした場合には、透明な研磨パッドの製造手段等につき、新たな開示がなされるものであるが、本件特許発明の明細書には、段落【0028】に、「プラーテン16のホール30の上の領域では、パッド18の裏張り層20(存在すれば)が除去された。このことにより、ウエハ14とプラーテン16の底部との間には、パッド18のポリウレタンカバー層22だけが残っている。カバー層22に用いられるポリウレタン材料が、レーザー干渉計32からのレーザービームを実質的に透過させるだろうことが、見出されている。」と記載され、また、段落【0029】に、「この具体例では、プラーテンホール30の上の領域における典型的なパッド材料は、中実な(ソリッドな)ポリウレタンプラグ42に置き換えられる。このプラグ42は、レーザービームのウィンドウとして機能し、パッド材料を包囲するグルーブ(又はオープンセル構造)を有しないポリウレタン材料製であり、透過性を阻害する添加物を含有していない。」と記載されている。しかしながら、前者の点につき、本件特許発明1では、ウィンドウにおける研磨パッドの裏張り層を除去することが特定されているものではない。また、後者の点につき、プラーテンにおけるホール上のポリウレタンプラグにつき、中実なものと特定されているものではなく、また、透過性を阻害する添加物を含有しないようにすることは、研磨パッドを透明にするためには当然に考慮されるべき事項にすぎない。そして、その他に、CMPにおける研磨パッドを透明なものとすることにつき、新たな技術における開示は全く存在しない。
してみると、CMPにおける研磨パッドを透明なものとすることは、技術的に困難な事項ではなく、甲第2ないし甲第4号証に記載された事項から、当業者が容易になし得たものと判断せざるを得ない。
また、被請求人は、平成20年1月16日付け答弁書において、「本件発明は、当時の研磨パッドは全て光透過性のものではなかったが、研磨パッド自体に光透過性を持たせることの考え方を追求した最初のものである。その結果、研磨パッドの一部又は該パッドに形成したプラグをウィンドウとして構成することを着想したものである。この様に、本件発明は、一様な研磨性能を得るためにパッドの構造は可及的に均質とすべきであるという技術常識且つ当時の研磨パッドは光透過性のものではないという技術常識を打ち破ってなされたものであり、即ち、そのような技術常識に対して研磨パッドにウィンドウを設けるという発想の転換のみならず、研磨パッドを切り抜いて穴を開けること無しに研磨パッドの一部又は該パッドに形成したプラグでウィンドウを構成するという発想の転換の2段階の発想の転換を経てなされたものである。」(第14頁第19行?第15頁第6行。)と主張している。
しかしながら、前記したとおり、甲2ないし甲4記載事項から、研磨パッドを透明とすることが当業者にとって容易になし得たものである以上、被請求人の主張する研磨パッドの一部又は該パッドに形成したプラグでウィンドウを構成するということが、発想の転換とまで言い得るものとすることはできない。
したがって、被請求人の答弁書における前記主張は採用できない。
(ウ)<相違点3>について
酸化物層の下の半導体基板を備え、酸化物層を物理的に平面化するに際して、レーザ-ビームにより酸化物層の厚さを検出する終点検出装置」は、甲5記載事項に見られるように従来周知の技術である。してみると、甲1発明1においても、ウエハ7を、甲1発明1において用いられているSOIウエハに代えて、表面に酸化物層を有する半導体基板とすることは、当業者が容易になし得たものである。
(エ)<相違点4>について
ウエーハの研磨における終点検知の光としてレーザ光を用いることは、甲2記載事項1に見られるように従来周知の事項であることから、甲1発明1においても、終点検知に用いる光をレーザ光とすることは、当業者が容易になし得たものである。そして、光としてレーザ光を用いた場合、レーザ光の検出にレーザ干渉計を用いることは、当然の設計変更に過ぎない。
(オ)<作用ないし効果>について
本件特許発明1によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明1、及び甲2?甲4記載事項、甲5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(カ)請求項1に対するまとめ
したがって、本件特許発明1は、甲1発明1、及び甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(2)請求項2に対して
ア 対比
本件特許発明2と甲1発明1とを対比すると、両者は、上記<一致点1>で一致し、上記<相違点1>ないし<相違点4>で相違する他、以下の相違点を有している。
<相違点5>
プラーテンの中のホールとウィンドウの形状に関して、本件特許発明2では、「プラーテンの回転中心と一致する中心と一致する原点からある半径を有する円弧形状である」としているのに対して、甲1発明1では、そのような形状ではない点。
イ 当審の判断
上記<相違点5>について検討する。
甲1発明1においては、ホールとウィンドウに相当する溝2と貫通孔3と研磨布窓6とは、溝2が中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた形状、研磨布窓6も溝2と同形のものであって、相違点5で特定されているような円弧形状ではない。また、貫通孔3も、円弧形状となっているものではない。その他、甲第2ないし甲第5号証には、ホールとウィンドウに関する記載はない。
そして、本件特許発明2は、上記相違点5に係る発明特定事項を備えることにより、「プラーテンの各回転に対するデータ取得時間を長くするもの」という、本件特許明細書の段落【0036】に記載されたとおりの効果を奏するものである。
したがって、本件特許発明2は、甲第1ないし第5号証に記載された発明及び事項から当業者が容易になし得たとすることはできない。

(3)請求項3に対して
ア 対比
本件特許発明3と甲1発明1とを対比すると、両者は、上記<一致点1>で一致し、上記<相違点1>ないし<相違点4>で相違する他、以下の相違点を有している。
<相違点6>
終点検出器に関して、本件特許発明3では、「レーザー干渉計によって発生するレーザービームが妨害されずにウィンドウを通過してウエハに入射するように、ウィンドウがウエハに近接しているときを感知するための位置センサを備える」としているのに対して、甲1発明1では、そのような位置センサを備えていない点。
イ 当審の判断
上記<相違点6>について検討する。
甲1発明1においては、透明窓材4上にウエハ7が近接しているときを感知する位置センサは存在しない。その他、甲第2ないし甲第5号証には、近接を感知する位置センサに関する記載はない。
そして、本件特許発明3は、上記相違点6に係る発明特定事項を備えることにより、「干渉計32からの検出信号をサンプリングすべき時を決定する」という、本件特許明細書の段落【0035】に記載されたとおりの効果を奏するものである。
したがって、本件特許発明3は、甲第1ないし第5号証に記載された発明及び事項から当業者が容易になし得たとすることはできない。

(4)請求項4?請求項8に対して
請求項4は請求項3を引用し、請求項5ないし請求項8は請求項4を引用しているものである。
ここで、前記(3)において言及したとおり、請求項3は、前記<相違点6>に係る発明特定事項により、甲第1ないし第5号証に記載された発明及び事項から容易になし得たとすることはできないとしたものであるので、当該請求項3による特定事項をすべて含み、さらに、別の特定事項を備える請求項4ないし請求項8に係る発明も、同様に、前記(3)において言及したとおり、<相違点6>に係る発明特定事項により、甲第1ないし第5号証に記載された発明及び事項から当業者が容易になし得たとすることはできない。

(5)請求項9に対して
ア 対比
本件特許発明9と甲1発明2とを対比すると、後者の「ウエハ支持板8」は前者の「研磨ヘッド」に、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「研磨液」は前者の「研磨スラリ」に、後者の「定盤1」は前者の「プラーテン」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウインドウ」に相当する。
後者における「中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3」は、「開口」という限りで、前者の「ホール(孔)」と共通する。
後者における研磨はCMPであることが明らかなので、後者の「研磨状態の終点を知る」ことは、前者の「CMPが終了した終点を決定する」ことに相当する。
後者における「溝2に同形に切り抜かれた該研磨布5に含まれる研磨布窓6」は、研磨布5が定盤1の上に直接設けられたものであるから、「プラーテン内に形成された開口に近接するように配置された研磨パッドに含まれるウインドウ」という限りで、前者の「プラーテン内に形成されたホール(孔)に近接するように配置された該研磨パッドに含まれるウインドウ」と共通する。
前者における「レーザービーム」は、後者における「光」の下位概念である。
後者における「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の透明窓材4が嵌め込まれ」ることは、「研磨プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に光透過部材を配設し」である限りにおいて、前者の「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え」ることと共通する。
後者の「照射する」ことは、光を照射するのであるから、「発する」と言えるものである。
後者の「該研磨布窓6は、ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える」ことは、ウエハ7の中心のみが透明窓材4の上にある時だけ、光をウエハへ入射させるものであるから、「該ウィンドウは、ウエハが該ウィンドウの上にあるときの時間の一部の間光のための通路を与える」限りにおいて、前者の「該ウィンドウは、ウエハが該ウィンドウの上にあるときの時間の一部の間レーザービームのための通路を与える」とことと共通する。
以上の点から、本件特許発明9と甲1発明2とは、以下の一致点、相違点を有している。
<一致点2>
「ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)のための方法であって、該方法は、
(a)ウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、該回転可能な研磨ヘッドの下の研磨パッドに対して保持するステップであって、該パッドは研磨スラリによってウェットとなっている、該保持するステップと、
(b)CMPが終了した終点を決定するステップであって、該終点を決定するステップは、
(b1)光をウエハに向けて発するステップであって、該光は、プラーテン内に形成された開口に近接するように配置された該研磨パッドに含まれるウィンドウを通過し、
研磨プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に光透過部材を配設し、
該ウィンドウは、ウエハが該ウィンドウの上にあるときの時間の一部の間光のための通路を与える、該発するステップと、
(b2)ウエハから反射する光を検出するステップとを備える前記決定するステップとを備える方法。」
<相違点7>
ウエハに関して、本件特許発明9では、「酸化物層の下の半導体基板を備える」ものであると特定しているのに対して、甲1発明2では、SOIウエハではあるものの、酸化物層を表面に有するかどうか不明な点。
<相違点8>
発する光に関して、本件特許発明9では、「レーザービーム」としているのに対して、甲1発明2では、単に光である点。
<相違点9>
開口に関して、本件特許発明9では、「ホール(孔)」としているのに対して、甲1発明2では、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3である点。
<相違点10>
光透過部材の構造に関して、本件特許発明9では、「(i)ウィンドウは、研磨パッドの一部であって、レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え」るとして、研磨パッドに光透過部材が設けられているのに対して、甲1発明2では、光透過部材は、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4である点。
イ 当審の判断
上記相違点について検討する。
(ア)<相違点7>について
酸化物層の下の半導体基板を備え、酸化物層を物理的に平面化するに際して、レーザ-ビームにより酸化物層の厚さを検出する終点検出装置」は、甲5記載事項に見られるように従来周知の技術である。してみると、甲1発明2においても、ウエハ7を、甲1発明2において用いられているSOIウエハに代えて、表面に酸化物層を有する半導体基板とすることは、当業者が容易になし得たものである。
(イ)<相違点8>について
ウェーハの研磨における終点検知の光としてレーザ光を用いることは、甲2記載事項1に見られるように従来周知の事項であることから、甲1発明2においても、終点検知に用いる光をレーザ光とすることは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<相違点9>について
開口の形状を「ホール(孔)」と特定することは、そのことにより開口の形状がどのようなものであるか特定されているものではない。してみると、甲1発明2における、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた2本の溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3からなる開口も、「ホール(孔)」と言えるものである。
してみると、相違点9は実質的な相違点ではない。
(エ)<相違点10>について
甲2記載事項1は、「ポリシングパッド1による貼り合わせウェーハ11の研磨において、ポリシングパッド1を透明体とし、ポリシングパッド1を透過してレーザ光を照射するもの。」であり、甲3記載事項は、「被加工物1の被加工面6をポリシャ3で研磨するにあたり、石英からなるポリシャ3を透明なものとし、レーザ光線11を照射し、透明なポリシャ3を透過してレーザ光線を照射するもの。」であり、甲4記載事項は、「被加工物2をポリシャ4で研摩するにあたり、合成樹脂からなるポリシャ4を透明なものとし、レーザ光を照射し、透明なポリシャ4を透過してレーザ光を照射するもの。」である。すなわち、被加工物を研磨部材により研磨するにあたり、研磨部材を透明なものとし、研磨部材を透過してレーザ光を照射することは、甲2記載事項1、甲3記載事項、甲4記載事項に記載されているように周知の事項である。そして、上記甲2ないし甲4記載事項を甲1発明2への適用を阻害する理由も格別存在しないことから、甲1発明2においても、研磨部材である研磨布5を、レーザ光が透過可能な透明なものとすることは、当業者が容易になし得たものと認められる。そして、研磨布5として透明なものを用いた場合には、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4を用いないようにすることは、当然の設計変更にすぎない。
(オ)<作用ないし効果>について
本件特許発明9によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明2、及び甲2?甲5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(カ)請求項9に対するまとめ
したがって、本件特許発明9は、甲1発明2、及び甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(6)請求項10に対して
ア 対比
本件特許発明10と甲1発明2とを対比すると、両者は、上記<一致点2>で一致し、上記<相違点7>ないし<相違点10>で相違する他、以下の相違点を有している。
<相違点11>
決定するステップに関して、本件特許発明10では、「ウィンドウがウエハに近接してレーザービームが妨害されずにウィンドウを通過してウエハに入射するときを感知するステップを備える」としているのに対して、甲1発明2では、そのようなステップを備えていない点。
イ 当審の判断
上記<相違点11>について検討する。
甲1発明2においては、研磨布窓6がウエハ7に近接しているときを感知するステップは存在しない。その他、甲第2ないし甲第5号証には、近接を感知するステップに関する記載はない。
そして、本件特許発明は、上記相違点11に係る発明特定事項を備えることにより、「干渉計32からの検出信号をサンプリングすべき時を決定する」という、本件特許明細書の段落【0035】に記載されたとおりの効果を奏するものである。
したがって、本件特許発明10は、甲第1ないし第5号証に記載された発明及び事項から当業者が容易になし得たとすることはできない。

(7)請求項11?請求項17に対して
請求項11は請求項10を引用し、請求項12ないし請求項17は請求項11を引用しているものである。
ここで、前記(6)において言及したとおり、請求項10は、<相違点11>に係る発明特定事項により、甲第1ないし第5号証に記載された発明及び事項から容易になし得たとすることはできないとしたものであるので、当該請求項10による特定事項をすべて含み、さらに、別の特定事項を備える請求項11ないし請求項17に係る発明も、同様に、(6)において言及したとおり、<相違点11>に係る発明特定事項により、甲第1ないし第5号証に記載された発明及び事項から当業者が容易になし得たとすることはできない。

(8)請求項18に対して
ア 対比
本件特許発明18と甲1発明3とを対比すると、後者の「表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着したSOIウエハ7」は前者の「基板」に、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウインドウ」に、後者の「光」は前者の「光ビーム」に相当する。
後者における「ウエハ7の研磨状態の終点」は、研磨は表面層に対して行うものであるから、「基板上の表面層の研磨状態」という限りで、前者の「基板上の表面層の状態の均一性」と共通する。
後者における「ウエハ7の研磨を中断せずに知る」ことは、研磨は表面層に対して行うものであるから、前者の「層の研磨の最中に測定する」ことに相当する。
後者における「ウエハ7の方へ光を向ける」ことは、研磨は表面層に対して行うものであるから、前者の「基板上の表面層の方へ光ビームを向ける」ことに相当する。
後者における「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の透明窓材4が嵌め込まれる」ことは、「研磨プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に光透過部材を配設する」限りにおいて、前者の「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える」ことと共通する。
後者の「光をプローブ9により受光して検出する」ことは、「光ビームを受光して検出する」限りにおいて、前者の「光ビームによって生じる干渉信号をモニタする」ことと共通する。
以上の点から、本件特許発明18と甲1発明3とは、以下の一致点、相違点を有している。
<一致点3>
「基板上の表面層の研磨状態を、前記層の研磨の最中に測定するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ光ビームを向けるステップであり、
研磨プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に光透過部材を配設する、
前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記光ビームを受光して検出するステップとを備える方法。」
<相違点12>
測定する基板上の表面層の研磨状態に関して、本件特許発明18では、「基板上の表面層の状態の均一性」であるとしているのに対して、甲1発明3では、ウエハ7の研磨状態の終点であるとしている点。
<相違点13>
光透過部材の構造に関して、本件特許発明18では、「(i)ウィンドウは、研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える」として、研磨パッドに光透過部材が設けられているのに対して、甲1発明3では、光透過部材は、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4である点。
<相違点14>
本件特許発明14では、「(b)基板から反射されてくる光ビームによって生じる干渉信号をモニタするステップと、(c)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するステップとを備える」としているのに対して、甲1発明3では、ウエハ7から反射されてくる光をプローブ9により受光して検出するステップを備える点。
イ 当審の判断
上記相違点について検討する。
(ア)<相違点12>について
甲5記載事項は、「表面に酸化物被覆14を有する半導体ウェーハ10における酸化物被覆14を物理的に平面化するに際して、レーザ干渉測定装置28により酸化物被覆14の厚さを検出する、物理的な平面化及び終点検出装置。」である。ここで、甲5記載事項における「表面に酸化物被覆14を有する半導体ウェーハ10」は、本件特許発明18の「基板」に相当し、また、甲5記載事項における「酸化物被覆14を物理的に平面化するに際して、酸化物被覆14の厚さを検出する」ことは、「表面層の状態を均一化するに際して、前記表面層の状態の均一性を測定する」ことと言い換えることができる。そして、レーザ干渉測定装置を用いるものであるから、これにより干渉信号をモニタすることは明らかである。したがって、甲5記載事項は、「基板上の表面層の状態を均一化するに際して、前記表面層の状態の均一性を測定し、干渉信号をモニタする装置」と言い換えることができる。してみると、基板の研磨に際して、基板上における表面層の状態の均一性を測定することは甲5記載事項に見られるように周知の事項であることから、甲1発明3においても、基板に相当するウエハ7において、その表面層の状態の均一性を測定するようにすることは、当業者が容易になし得たものである。
(イ)<相違点13>について
甲2記載事項1は、「ポリシングパッド1による貼り合わせウェーハ11の研磨において、ポリシングパッド1を透明体とし、ポリシングパッド1を透過してレーザ光を照射するもの。」であり、甲3記載事項は、「被加工物1の被加工面6をポリシャ3で研磨するにあたり、石英からなるポリシャ3を透明なものとし、レーザ光線11を照射し、透明なポリシャ3を透過してレーザ光線を照射するもの。」であり、甲4記載事項は、「被加工物2をポリシャ4で研摩するにあたり、合成樹脂からなるポリシャ4を透明なものとし、レーザ光を照射し、透明なポリシャ4を透過してレーザ光を照射するもの。」である。すなわち、被加工物を研磨部材により研磨するにあたり、研磨部材を透明なものとし、研磨部材を透過してレーザ光を照射することは、甲2記載事項1、甲3記載事項、甲4記載事項に記載されているように周知の事項である。そして、上記甲2ないし甲4記載事項を甲1発明3への適用を阻害する理由も格別存在しないことから、甲1発明3においても、研磨部材である研磨布5を、レーザ光が透過可能な透明なものとすることは、当業者が容易になし得たものと認められる。そして、研磨布5として透明なものを用いた場合には、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4を用いないようにすることは、当然の設計変更にすぎない。
(ウ)<相違点14>について
甲5記載事項は、前記(ア)<相違点12>についてで言及したとおり、「基板上の表面層の状態を均一化するに際して、前記表面層の状態の均一性を測定し、干渉信号をモニタする装置」である。甲1発明3において、ウエハ7の表面層の状態の均一性を測定するように代えた場合、その均一性を判断するためには、光ビームによって生じる干渉信号をモニタし、これにより、干渉信号からの表面層の状態の均一性の尺度を計算しなければならないことは、当然の設計変更に過ぎない。
(エ)<作用ないし効果>について
本件特許発明18によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明3、及び甲2?甲5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(オ)請求項18に対するまとめ
したがって、本件特許発明18は、甲1発明3、及び甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(9)請求項19に対して
ア 対比
本件特許発明19と甲1発明3とを対比すると、両者は、上記<一致点3>で一致し、上記<相違点12>ないし<相違点14>で相違する他、以下の相違点を有している。
<相違点15>
計算するステップに関して、本件特許発明19では、「干渉信号から特徴情報を抽出するステップと、抽出された特徴情報から表面層の状態の均一性の尺度を計算するステップとを備える」としているのに対して、甲1発明3では、そのようなステップを備えていない点。
イ 当審の判断
上記相違点について検討する。
(ア)<相違点12>ないし<相違点14>について
<相違点12>ないし<相違点14>についての判断は、前記(8)イで言及したとおりである。
(イ)<相違点15>について
干渉信号から表面層の状態の均一性を判断するためには、干渉信号から特徴情報を抽出し、その特徴情報をもとにして表面層の状態の均一性を判断しなければならないことは当然の技術的事項に過ぎない。
してみると、甲1発明3において、ウエハ7の表面層の状態の均一性を測定するように代えた場合には、干渉信号をモニタし、干渉信号から特徴情報を抽出し、抽出された特徴情報から表面層の状態の均一性の尺度を計算するようにすることは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<作用ないし効果>について
本件特許発明19によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明3、及び甲2?甲5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(オ)請求項19に対するまとめ
したがって、本件特許発明19は、甲1発明3、及び甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(10)請求項20に対して
ア 対比
本件特許発明20と甲1発明3とを対比すると、両者は、上記<一致点3>で一致し、上記<相違点12>ないし<相違点15>で相違する他、以下の相違点を有している。
<相違点16>
本件特許発明20では、「表面層の状態の均一性の尺度を参考値と比較するステップと、表面層の状態の均一性の尺度が該参考値から所定の量以上に広がったときに警告を発するステップとを更に備える」としているのに対して、甲1発明3では、そのようなステップを備えていない点。
イ 当審の判断
(ア)<相違点12>ないし<相違点15>について
<相違点12>ないし<相違点14>についての判断は、前記(8)イで、また、<相違点15>についての判断は、前記(9)イ(イ)で言及したとおりである。
(イ)<相違点16>について
一般に、研磨中に異常が発生した場合、警報を発することは、例えば、甲2記載事項2に見られるように周知の事項であり、「異常」と判断するためには何らかの閾値を設定し、その閾値と測定値を比較することにより判定することは通常行われていることであるから、甲1発明3において、ウエハ7の表面層の状態の均一性を測定するように代えた場合には、表面層の状態の均一性の尺度を参考値と比較し、表面層の状態の均一性の尺度が参考値から所定の量以上広がったときに警告を発するようにすることは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<作用ないし効果>について
本件特許発明20によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明3、及び甲2?甲5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(オ)請求項20に対するまとめ
したがって、本件特許発明20は、甲1発明3、及び甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(11)請求項21に対して
ア 対比
本件特許発明21と甲1発明3とを対比すると、両者は、上記<一致点3>で一致し、上記<相違点12>ないし<相違点15>で相違する他、以下の相違点を有している。
<相違点17>
本件特許発明21では、「干渉信号が低周波成分を含み、抽出するステップが、前記低周波成分の第1の特性を測定するステップと、前記第1の特性から前記抽出された情報を誘導するステップとを備える」としているのに対して、甲1発明3では、そのようなステップを備えていない点。
イ 当審の判断
上記<相違点17>について検討する。
甲1発明3においては、干渉信号が低周波成分を含み、低周波成分の特性を測定し、該特性から抽出された情報を誘導していない。また、干渉信号から低周波成分の特性を測定する点は、甲第2ないし甲第5号証にも記載は存在しない。さらに、干渉信号から低周波成分の特性を測定する点が、従来周知であるという証拠も見当たらない。
そして、本件特許発明21は、上記相違点17に係る発明特定事項を備えることにより、本件特許明細書の段落【0060】に記載されたように、「研磨速度の情報を含んでいる低周波信号の周波数」を利用することにより、研磨速度を検出するという効果を奏するものである。
したがって、本件特許発明21は、甲第1ないし第5号証に記載された発明及び事項から当業者が容易になし得たとすることはできない。

(12)請求項22?請求項23に対して
請求項22は請求項21を引用し、請求項23は請求項22を引用しているものである。
ここで、前記(11)において言及したとおり、請求項21は、<相違点17>に係る発明特定事項により、甲第1ないし第5号証に記載された発明及び事項から当業者が容易になし得たとすることはできないとしたものであるので、当該請求項21による特定事項をすべて含み、さらに、別の特定事項を備える請求項22ないし請求項23に係る発明も、同様に、(11)において言及したとおり、<相違点17>に係る発明特定事項により、甲第1ないし第5号証に記載された発明及び事項から当業者が容易になし得たとすることはできない。

(13)請求項24に対して
ア 対比
本件特許発明24と甲1発明4とを対比すると、後者の「表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着したSOIウエハ7」は前者の「基板」に、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウインドウ」に、後者の「光」は前者の「光ビーム」に相当する。
後者における「研磨状態の終点を知る」ことは、「研磨プロセスの特性を評価する」と言い換えることができる。
後者における「研磨を中断せず」は、前者の「研磨の最中」に相当する。
後者における「ウエハ7の方へ光を向ける」ことは、研磨は表面層に対して行うものであるから、前者の「基板上の表面層の方へ光ビームを向ける」ことに相当する。
後者における「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の透明窓材4が嵌め込まれる」ことは、「研磨プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に光透過部材を配設する」限りにおいて、前者の「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える」ことと共通する。
後者の「光をプローブ9により受光して検出する」ことは、「光ビームを受光して検出する」限りにおいて、前者の「光ビームによって発生する干渉信号をモニタする」ことと共通する。
以上の点から、本件特許発明24と甲1発明4とは、以下の一致点、相違点を有している。
<一致点4>
「基板を研磨するための研磨プロセスの特性を評価するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ光ビームを向けるステップであり、
研磨プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に光透過部材を配設する、
前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記光ビームを受光して検出するステップとを備える方法。」
<相違点18>
基板に関して、本件特許発明24では、「層を自身の上に有する」としているのに対して、甲1発明4では、SOIウエハではあるものの、層を自身の上に有しているのかどうか不明な点。
<相違点19>
光透過部材の構造に関して、本件特許発明24では、「(i)ウィンドウは、研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える」として、研磨パッドに光透過部材が設けられているのに対して、甲1発明4では、光透過部材は、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4である点。
<相違点20>
本件特許発明24では、「光ビームによって生じる干渉信号をモニタするステップ」を有しているのに対して、甲1発明4では、ウエハ7から反射されてくる光をプローブ9により受光して検出するステップを備える点。
<相違点21>
本件特許発明24では、「(c)干渉信号から干渉計波形を抽出するステップと、(d)前記抽出された干渉計波形を保存されている情報と比較するステップであって、前記保存されている情報は、研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、前記比較するステップ」を有しているのに対して、甲1発明4では、そのようなステップを有していない点。
<相違点22>
本件特許発明24では、「(d)抽出された干渉計波形が保存されている情報から所定の量以上広がったとき、警告を発するステップ」を備えているのに対して、甲1発明4は、そのようなステップを有していない点。
イ 当審の判断
上記相違点について検討する。
(ア)<相違点18>について
酸化物層の下の半導体基板を備え、酸化物層を物理的に平面化するに際して、レーザ-ビームにより酸化物層の厚さを検出する終点検出装置」は、甲5記載事項に見られるように従来周知の技術である。してみると、甲1発明4においても、ウエハ7を、甲1発明4において用いられているSOIウエハに代えて、層を自身の上に有する基板とすることは、当業者が容易になし得たものである。
(イ)<相違点19>について
甲2記載事項1は、「ポリシングパッド1による貼り合わせウェーハ11の研磨において、ポリシングパッド1を透明体とし、ポリシングパッド1を透過してレーザ光を照射するもの。」であり、甲3記載事項は、「被加工物1の被加工面6をポリシャ3で研磨するにあたり、石英からなるポリシャ3を透明なものとし、レーザ光線11を照射し、透明なポリシャ3を透過してレーザ光線を照射するもの。」であり、甲4記載事項は、「被加工物2をポリシャ4で研摩するにあたり、合成樹脂からなるポリシャ4を透明なものとし、レーザ光を照射し、透明なポリシャ4と透過してレーザ光を照射するもの。」である。すなわち、被加工物を研磨部材により研磨するにあたり、研磨部材を透明なものとし、研磨部材を透過してレーザ光を照射することは、甲2記載事項1、甲3記載事項、甲4記載事項に記載されているように周知の事項である。そして、上記甲2ないし甲4記載事項を甲1発明4への適用を阻害する理由も格別存在しないことから、甲1発明4においても、研磨部材である研磨布5を、レーザ光が透過可能な透明なものとすることは、当業者が容易になし得たものと認められる。そして、研磨布5として透明なものを用いた場合には、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4を用いないようにすることは、当然の設計変更にすぎない。
(ウ)<相違点20>について
甲5記載事項は、前記(8)イ(ア)<相違点12>についてで言及したとおり、「基板上の表面層の状態を均一化するに際して、前記表面層の状態の均一性を測定し、干渉信号をモニタする装置」である。甲1発明4において、ウエハ7の表面層の状態の均一性を測定するように代えた場合、その均一性を判断するためには、光ビームによって生じる干渉信号をモニタし、これにより、干渉信号からの表面層の状態の均一性の尺度を計算しなければならないことは、当然の設計変更に過ぎない。
(エ)<相違点21>について
一般に、測定を行う場合、関連する情報を保存しておき、測定値を保存されている当該情報と比較し、測定の結果に対する操作の指針を与えることは、甲第1号証(特に、段落【0029】参照。)にも見られるように従来周知の事項であるから、甲1発明4においても、甲5記載事項を採用することにより、光ビームによって発生する干渉信号をモニタするようにした場合には、干渉信号から干渉計波形を抽出し、抽出された干渉計波形を保存されている指針である情報と比較し、その際に、当該保存されている情報を、研磨プロセスに対しての操作である望ましい操作のポイントを代表しているものとすることは、当業者が前記周知の事項を採用することにより適宜設定可能な設計事項に過ぎない。
(オ)<相違点22>について
一般に、測定値に対して参考値を設定し、測定値を参考値と比較して設定された閾値を超えた場合、異常と判断して警告を発することは、甲2記載事項2にも見られるように従来周知の事項であるから、甲1発明4において、抽出された干渉計波形が保存されている情報から閾値である所定の量以上広がったとき、警告を発するようにすることは、当業者が容易になし得たものである。
(カ)<作用ないし効果>について
本件特許発明24によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明4、甲2?甲5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(キ)請求項24に対するまとめ
したがって、本件特許発明24は、甲1発明4、及び甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(14)請求項25に対して
ア 対比
本件特許発明25と甲1発明4とを対比すると、両者は、上記<一致点4>で一致し、上記<相違点18>ないし<相違点22>で相違する他、以下の相違点を有している。
<相違点23>
本件特許発明25では、「干渉信号を、オペレータが見ることができるように、視覚的なディスプレイ装置上に表示するステップを更に備える」としているのに対して、甲1発明4では、そのようなステップを備えていない点。
イ 当審の判断
上記<相違点18>ないし<相違点23>について検討する。
(ア)<相違点18>ないし<相違点22>について
<相違点18>ないし<相違点22>についての判断は、前記(13)イで言及したとおりである。
(イ)<相違点23>について
一般に、検出した信号をオペレータが見ることができるように、視覚的なディスプレイ装置上に表示することは通常行われていることであるので、甲1発明4において、検出した信号である干渉信号を、オペレータが見ることができるように、視覚的なディスプレイ装置上に表示するようにすることは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<作用ないし効果>について
本件特許発明25によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明4、甲2?甲5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(エ)請求項25に対するまとめ
したがって、本件特許発明25は、甲1発明4、及び甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(15)請求項26に対して
ア 対比
本件特許発明26と甲1発明4とを対比すると、両者は、上記<一致点4>で一致し、上記<相違点18>ないし<相違点22>で相違する他、以下の相違点を有している。
<相違点24>
本件特許発明26では、「抽出するステップが、干渉信号から研磨速度を決定するステップと、前記干渉信号から均一性の尺度を決定するステップと、を備え、比較するステップが、前記研磨速度及び均一性の前記尺度を保存されている情報と比較するステップを備える」としているのに対して、甲1発明4では、そのようなステップを備えていない点。
イ 当審の判断
上記<相違点18>ないし<相違点22>、及び<相違点24>について検討する。
(ア)<相違点18>ないし<相違点22>について
<相違点18>ないし<相違点22>についての判断は、前記(13)イで言及したとおりである。
(イ)<相違点24>について
干渉信号から均一性の尺度を決定することは、前記(8)イ(ア)で述べたとおり、甲5記載事項を参照することにより、当業者が容易になし得たものであるが、干渉信号から研磨速度を決定することは、甲1発明4には存在せず、また、甲第5号証を含む甲第1ないし甲第5号証のいずれにも記載されておらず、また、周知の事項であるという証拠もない。
そして、本件特許発明26は、上記相違点24に係る発明特定事項を備えることにより、研磨速度を検出するという効果を奏するものである。
(ウ)請求項26に対するまとめ
したがって、本件特許発明26は、甲第1ないし第5号証に記載された発明及び事項から当業者が容易になし得たとすることはできない。

(16)請求項27に対して
ア 対比
本件特許発明27と甲1発明5とを対比すると、後者の「表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着したSOIウエハ7」は前者の「基板」に、後者の「研磨中」は前者の「処理中」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウィンドウ」に、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「光」は前者の「光ビーム」に、後者の「光を照射」は前者の「光ビームを発生」に、後者の「定盤1」は前者の「プラーテン」に、後者の「ウエハ支持板8」は前者の「研磨ヘッド」に相当する。
後者における「ウエハ研磨装置」が、全体的なシステムと捉えることができるから、前者の「基板研磨システム」に相当する。
後者における「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の透明窓材4が嵌め込まれた」は、「プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に光透過部材を配設した」限りにおいて、前者の「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える」ことと共通する。
後者における「ウエハ7の中心の研磨面」は、前者の「基板の側部」に相当する。
後者における「プローブ9」は、「光ビーム測定装置」という限りで、前者の「干渉計」と共通する。
以上の点から、本件特許発明27と甲1発明5とは、以下の一致点、相違点を有している。
<一致点5>
「基板研磨システムであって、
(a)処理中に、ウィンドウを有する研磨パッドを保持するプラーテンであり、
プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に光透過部材を配設した
前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)処理中に、前記研磨パッドの前記ウィンドウを通して、研磨されるべき基板の側部に向けられ且つ入射する光ビームを発生させることが可能な光ビーム測定装置を備える研磨システム。」
<相違点25>
ウィンドウに関して、本件特許発明27では、「中実な透明」と特定し、また、「(i)ウィンドウは、研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える」と特定しているのに対して、甲1発明5では、ウィンドウに相当する研磨布窓6が、定盤1の溝2と同形に切り抜かれたものであり、定盤1には、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3が設けられ、前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の透明窓材4が嵌め込まれたものである点。
<相違点26>
光ビームの発生に関して、本件特許発明27では、「コリメートされた」ものとしているのに対して、甲1発明5では、コリメートされているかどうかが不明な点。
<相違点27>
光ビーム測定装置に関して、本件特許発明27では、「干渉計」であるとし、また、「前記干渉計は干渉信号を発生する、前記干渉計と、前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するようにプログラミングされたデータプロセッサとを備える」と特定しているのに対して、甲1発明5では、プローブ9であるとしている点。
イ 当審の判断
上記相違点について検討する。
(ア)<相違点25>について
甲2記載事項1は、「ポリシングパッド1による貼り合わせウェーハ11の研磨において、ポリシングパッド1を透明体とし、ポリシングパッド1を透過してレーザ光を照射するもの。」であり、甲3記載事項は、「被加工物1の被加工面6をポリシャ3で研磨するにあたり、石英からなるポリシャ3を透明なものとし、レーザ光線11を照射し、透明なポリシャ3を透過してレーザ光線を照射するもの。」であり、甲4記載事項は、「被加工物2をポリシャ4で研摩するにあたり、合成樹脂からなるポリシャ4を透明なものとし、レーザ光を照射し、透明なポリシャ4を透過してレーザ光を照射するもの。」である。すなわち、被加工物を研磨部材により研磨するにあたり、研磨部材を透明なものとし、研磨部材を透過して光ビームを照射することは、甲2記載事項1、甲3記載事項、甲4記載事項に記載されているように周知の事項である。そして、上記甲2ないし甲4記載事項の甲1発明5への適用を阻害する理由も格別存在しないことから、甲1発明5においても、研磨部材である研磨布5を、光ビームが透過可能な透明なものとすることは、当業者が容易になし得たものと認められる。そして、研磨布5として透明なものを用いた場合には、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4を用いないようにすることは、当然の設計変更にすぎない。さらに、研磨布5を透明なものとすれば、ウィンドウに相当する研磨布窓6も当然透明なものとなる。さらに、研磨布5として、中実なものは、例示するまでもなく周知の事項である。
(イ)<相違点26>について
測定のための光ビームをコリメートされたものとすることは通常行われていることであるから、甲1発明5においても、照射される光をコリメートされたものとすることは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<相違点27>について
甲5記載事項は、「表面に酸化物被覆14を有する半導体ウェーハ10における酸化物被覆14を物理的に平面化するに際して、レーザ干渉測定装置28により酸化物被覆14の厚さを検出する、物理的な平面化及び終点検出装置。」である。ここで、甲5記載事項における「表面に酸化物被覆14を有する半導体ウェーハ10」、「レーザ干渉測定装置」は、それぞれ、本件特許発明27の「基板」、「干渉計」に相当し、また、甲5記載事項における「酸化物被覆14を物理的に平面化するに際して、酸化物被覆14の厚さを検出する」ことは、「表面層の状態を均一化するに際して、前記表面層の状態の均一性を測定する」ことである。そして、レーザ干渉測定装置を用いるものであるから、これにより干渉信号をモニタすることは明らかである。したがって、甲5記載事項は、「基板上の表面層の状態を均一化するに際して、前記表面層の状態の均一性を測定し、干渉信号をモニタする干渉計」と言い換えることができる。基板の研磨に際して、基板上における表面層の状態の均一性を測定することは甲5記載事項に見られるように周知の事項であることから、甲1発明5においても、基板に相当するウエハ7において、その表面層の状態の均一性を測定するようにすることは、当業者が容易になし得たものである。そして、測定された信号をプログラミングされたデータプロセッサを用いて計算することは慣用手段であることから、甲1発明5において、甲5記載事項を採用することにより、干渉計を用いて干渉信号を発生させた場合には、当該干渉信号を、研磨の目標である表面層の状態の均一性の尺度を計算するようにプログラミングされたデータプロセッサを用いて計算することは、当業者が通常行いうる設計変更に過ぎない。
(エ)<作用ないし効果>について
本件特許発明27によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明5、甲2?甲4記載事項、甲5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(オ)請求項27に対するまとめ
したがって、本件特許発明27は、甲1発明5、甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(17)請求項28に対して
ア 対比
本件特許発明28は、本件特許発明27を引用している。したがって、前記(16)アを参照することにより、本件特許発明28と甲1発明5とを対比すると、本件特許発明28と甲1発明5とは、以下の一致点を有し、相違点25ないし相違点27を有している。
<一致点6>
「基板研磨システムであって、
(a)処理中に、ウィンドウを有する研磨パッドを保持するプラーテンであり、
プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に光透過部材を配設した
前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)処理中に、前記研磨パッドの前記ウィンドウを通して、研磨されるべき基板の側部に向けられ且つ入射する光ビームを発生させることが可能な光ビーム測定装置を備える研磨システムであって、
前記研磨ヘッドが、処理中に回転できるように、回転可能となっている研磨システム。」
イ 当審の判断
<相違点25>、<相違点26>、<相違点27>についての判断は、前記(16)イのとおりである。
したがって、本件特許発明28は、甲1発明5、甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(18)請求項29に対して
ア 対比
本件特許発明29は、本件特許発明28を引用している。したがって、前記(16)ア、(17)アを参照することにより、本件特許発明29と甲1発明5とを対比すると、本件特許発明29と甲1発明5とは、以下の一致点を有し、相違点25ないし相違点27を有している。
<一致点7>
「基板研磨システムであって、
(a)処理中に、ウィンドウを有する研磨パッドを保持するプラーテンであり、
プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に光透過部材を配設した
前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)処理中に、前記研磨パッドの前記ウィンドウを通して、研磨されるべき基板の側部に向けられ且つ入射する光ビームを発生させることが可能な光ビーム測定装置を備える研磨システムであって、
前記研磨ヘッド、及び前記プラーテンが、処理中に回転できるように、回転可能となっている研磨システム。」
イ 当審の判断
<相違点25>、<相違点26>、<相違点27>についての判断は、前記(16)イのとおりである。
したがって、本件特許発明29は、甲1発明5、甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(19)請求項30に対して
ア 対比
本件特許発明30は、本件特許発明29を引用している。したがって、前記(16)ア、(17)ア、(18)アを参照することにより、本件特許発明30と甲1発明5とを対比すると、本件特許発明30と甲1発明5とは、前記一致点7で一致し、前記相違点25ないし相違点27で相違する他、以下の相違点28を有している。
<相違点28>
干渉計に関して、本件特許発明30では、「レーザー干渉計」であると特定しているのに対して、甲1発明5では、プローブ9である点。
イ 当審の判断
(ア)<相違点25>、<相違点26>、<相違点27>について
<相違点25>、<相違点26>、<相違点27>についての判断は、前記(16)イのとおりである。
(イ)<相違点28>について
前記(16)イ(ウ)で言及したとおり、甲5記載事項は、「表面に酸化物被覆14を有する半導体ウェーハ10における酸化物被覆14を物理的に平面化するに際して、レーザ干渉測定装置28により酸化物被覆14の厚さを検出する、物理的な平面化及び終点検出装置。」である。すなわち、レーザ干渉測定装置を用いるものであるから、干渉計をレーザー干渉計とすることは、当然の事項に過ぎない。
(ウ)<作用ないし効果>について
本件特許発明30によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明5、甲2?甲4記載事項、甲5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(エ)請求項30に対するまとめ
したがって、本件特許発明30は、甲1発明5、甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(20)請求項31に対して
ア 対比
本件特許発明31は、本件特許発明29を引用している。したがって、前記(16)ア、(17)ア、(18)アを参照することにより、本件特許発明31と甲1発明5とを対比すると、本件特許発明31と甲1発明5とは、前記一致点7で一致し、前記相違点25ないし相違点27で相違する他、以下の相違点29を有している。
<相違点29>
データプロセッサに関して、本件特許発明31では、更に、「干渉信号から特徴情報を抽出することと、前記抽出された特徴情報から均一性の前記尺度を計算することと、をプログラミングされている」と特定しているのに対して、甲1発明5では、そのようなことについて不明である点。
イ 当審の判断
(ア)<相違点25>、<相違点26>、<相違点27>について
<相違点25>ないし<相違点27>についての判断は、前記(16)イのとおりである。
(イ)<相違点29>について
干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するためには、干渉信号から特徴情報を抽出し、その特徴情報をもとにして表面層の状態の均一性の尺度を計算しなければならないことは当然の技術的事項に過ぎない。
してみると、甲1発明5において、ウエハ7の表面層の状態の均一性を測定するように代えた場合には、干渉信号から特徴情報を抽出し、抽出された特徴情報から表面層の状態の均一性の尺度を計算するようにすることは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<作用ないし効果>について
本件特許発明31によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明5、甲2?甲4記載事項、甲5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(エ)請求項31に対するまとめ
したがって、本件特許発明31は、甲1発明5、甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(21)請求項32に対して
ア 対比
本件特許発明32は、本件特許発明31を引用している。したがって、前記(16)ア、(17)ア、(18)ア、(20)アを参照することにより、本件特許発明32と甲1発明5とを対比すると、本件特許発明32と甲1発明5とは、前記一致点7で一致し、前記相違点25ないし相違点27、相違点29で相違する他、以下の相違点30を有している。
<相違点30>
データプロセッサに関して、本件特許発明32では、更に、「均一性の尺度を参考値と比較することと、均一性の前記尺度が該参考値から所定の量以上広がったときに警告を発することと、をプログラミングされている」と特定しているのに対して、甲1発明5では、そのようなことについて不明である点。
イ 当審の判断
(ア)<相違点25>、<相違点26>、<相違点27>、<相違点29>について
<相違点25>ないし<相違点27>及び<相違点29>についての判断は、前記(16)イ、(20)イ(イ)のとおりである。
(イ)<相違点30>について
一般に、研磨中に異常が発生した場合、警報を発することは、例えば、甲2記載事項2にも見られるように従来周知の事項であり、「異常」と判断するためには何らかの閾値を設定し、その閾値と測定値を比較することにより判定することは通常行われていることであるから、甲1発明5において、ウエハ7の表面層の状態の均一性を測定するように代えた場合には、表面層の状態の均一性の尺度を参考値と比較し、表面層の状態の均一性の尺度が参考値から所定の量以上広がったときに警告を発するようにすることは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<作用ないし効果>について
本件特許発明32によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明5、甲2?甲4記載事項、甲5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(エ)請求項32に対するまとめ
したがって、本件特許発明32は、甲1発明5、甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(22)請求項33に対して
ア 対比
本件特許発明33は、本件特許発明32を引用している。したがって、前記(16)ア、(17)ア、(18)ア、(20)ア、(21)アを参照することにより、本件特許発明33と甲1発明5とを対比すると、本件特許発明33と甲1発明5とは、前記一致点7で一致し、前記相違点25ないし相違点27、相違点29、相違点30で相違する他、以下の相違点31を有している。
<相違点31>
本件特許発明33では、「干渉信号が低周波成分を含み、データプロセッサが、前記低周波数成分の第1の特性を測定することと、前記第1の特性から抽出された情報を誘導することと、により特徴情報を抽出するようにプログラミングされている」と特定しているのに対して、甲1発明5では、そのようなことについて不明である点。
イ 当審の判断
(ア)<相違点25>、<相違点26>、<相違点27>、<相違点29>、<相違点30>について
<相違点25>ないし<相違点27>及び<相違点29>、<相違点30>についての判断は、前記(16)イ、(20)イ(イ)、(21)イ(イ)のとおりである。
(イ)<相違点31>について
甲1発明5においては、干渉信号が低周波成分を含み、データプロセッサが、前記低周波成分の特性を測定し、該特性から抽出された情報を誘導していない。また、干渉信号から低周波成分の特性を測定する点は、甲第2ないし甲第5号証にも記載は存在しない。さらに、干渉信号から低周波成分の特性を測定する点が、従来周知であるという証拠も見当たらない。
そして、本件特許発明33は、上記相違点31に係る発明特定事項を備えることにより、本件特許明細書の段落【0060】に記載されたように、「研磨速度の情報を含んでいる低周波信号の周波数」を利用することにより、研磨速度を検出するという効果を奏するものである。
(ウ)請求項33に対するまとめ
したがって、本件特許発明33は、甲第1ないし第5号証に記載された発明及び事項から当業者が容易になし得たとすることはできない。

(23)請求項34、請求項35に対して
請求項34は請求項33を引用し、請求項35は請求項34を引用しているものである。
ここで、前記(22)において言及したとおり、請求項33は、<相違点31>に係る発明特定事項により、甲第1ないし第5号証に記載された発明及び事項から当業者が容易になし得たとすることはできないとしたものであるので、当該請求項33による特定事項をすべて含み、さらに、別の特定事項を備える請求項34ないし請求項35に係る発明も、同様に、(22)において言及したとおり、<相違点31>に係る発明特定事項により、甲第1ないし第5号証に記載された発明及び事項から当業者が容易になし得たとすることはできない。

(24)請求項36に対して
ア 対比
本件特許発明36と甲1発明6とを対比すると、後者の「ウエハ7」は前者の「基板」に、後者の「研磨装置」は前者の「装置」に、後者の「研磨中」は前者の「処理中」に、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「定盤1」は前者の「プラーテン」に、後者の「ウエハ支持板8」は前者の「研磨ヘッド」に、後者の「光」は前者の「光ビーム」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウィンドウ」に相当する。
後者における「中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3を自身に有する」ことは、内部の通路と言い得るものであるので、前者の「内部に通路を有する」ことに相当する。
後者における「光」は前者の「光ビーム」に相当する。したがって、後者における「光を照射する」ことは、前者の「光ビームを発生させる」ことに相当する。
後者における「研磨中」は、「研磨操作の一部の間」と言い換えることができることは明らかである。
後者における「光を貫通孔3に向けウエハ7上に照射する」ことは、前者の「光ビームを通路に向け基板上に入射する」ことに相当する。
後者における「プローブ9」は、「光測定装置」という限りで、前者の「干渉計」と共通する。
後者における「定盤1の溝2と同形に切り抜かれ、ウエハ7へと通過する光が通る研磨布窓6」は、同形であることは調心されたものとも言えるものであるから、前者の「通路と調心され且つ基板へと通過する光ビームが通るウインドウ」に相当する。
後者における「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の透明窓材4が嵌め込まれ」ることは、「プラーテン及び研磨パッドのウインドウからなる通路に光透過部材を配設す」る限りにおいて、前者の「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」ることと共通する。
以上の点から、本件特許発明36と甲1発明6とは、以下の一致点、相違点を有している。
<一致点8>
「基板を研磨するための装置であって、前記装置は、
(a)処理中に研磨パッドを保持するプラーテンであって、前記プラーテンは内部に通路を有する、前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)光ビームを発生させることが可能な光測定装置であって、前記光測定装置は、少なくとも研磨操作の一部の間に前記光ビームを前記通路に向け前記基板上に入射するように、配置される、前記光測定装置と、
(d)前記研磨パッドに含まれ、前記通路と調心され且つ基板へと通過する光ビームが通るウィンドウを備え、
プラーテン及び研磨パッドのウインドウからなる通路に光透過部材を配設するものである装置。」
<相違点32>
光ビームに関して、本件特許発明36では、「コリメートされた」と特定しているのに対して、甲1発明6では、光がコリメートされたものであるのかどうか不明な点。
<相違点33>
光測定装置に関して、本件特許発明36では、「干渉計」と特定しているのに対して、甲1発明6では、プローブ9である点。
<相違点34>
光透過部材の構造に関して、本件特許発明36では、「(i)ウィンドウは、研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」ているとして、研磨パッドに光透過部材が設けられているのに対して、甲1発明6では、光透過部材は、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4である点。
<相違点35>
ウィンドウに関して、本件特許発明36では、「干渉計から到達する光ビームを受容する散乱面を有する」と特定しているのに対して、甲1発明6では、研磨布窓6のみならず透明窓材4も、そのような散乱面を有していない点。
イ 当審の判断
上記相違点のうち、相違点35について検討する。
甲1発明6では、ウィンドウに相当する研磨布窓6には当然散乱面は設けられていない。また、透明窓材4についても、散乱面は設けられていない。そして、光の通過部に散乱面を設けることは、甲第1号証を含め、甲第2?甲第5号証のいずれにも記載されておらず、また、周知の事項であるという証拠も見当たらない。そして、本件特許発明36は、当該発明特定事項を備えることにより、「データ信号の不要なDC成分が低減される。」という、本件特許明細書の段落【0078】に記載されたとおりの効果を奏するものである。
したがって、本件特許発明36は、相違点32ないし相違点34について検討するまでもなく、甲第1ないし第5号証に記載された発明及び事項から当業者が容易になし得たとすることはできない。

(25)請求項37に対して
請求項37は請求項36を引用しているものであるが、請求項37で特定している「前記プラーテン上に載置される研磨パッドを更に備え」という発明特定事項は、請求項36において「プラーテン上の研磨パッド」として既に特定されており、また、「前記ウィンドウは、前記研磨パッド内に形成され前記通路と調心される」という発明特定事項は、請求項36において「前記研磨パッドに含まれ、前記ホールないし通路と調心され且つ基板へと通過する光ビームが通るウィンドウ」として既に特定されていることから、請求項37において、別途特定する事項は存在しない。
しかしながら、前記(24)において言及したとおり、請求項36は、<相違点35>に係る発明特定事項により、甲第1ないし第5号証に記載された発明及び事項から当業者が容易になし得たとすることはできないとしたものであるので、当該請求項36による特定事項をすべて含んでいる請求項37に係る発明も、同様に、(24)において言及したとおり、<相違点35>に係る発明特定事項により、甲第1ないし第5号証に記載された発明及び事項から当業者が容易になし得たとすることはできない。

(26)請求項38に対して
ア 対比
本件特許発明38と甲1発明7とを対比すると、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウィンドウ」に相当する。
後者における「ケミカルメカニカルポリシングを行う研磨装置において用いる」ことは、研磨装置はシステムであるとも言い得るので、前者の「ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いる」ことに相当する。
後者における「ウエハ7に押し付けられる面」が前者の「研磨面」に相当し、後者の「定盤1に支持される面」が前者の「底面」に相当することは明らかである。
研磨布窓6は研磨布5を切り抜いて形成されるものであるから、研磨布窓6がウエハ7に押し付けられる面及び定盤1に支持される面の中に形成されるものであって、後者における「研磨布5には、定盤1の溝2と同形に切り抜かれた研磨布窓6が形成され」ることは、前者の「研磨パッドの底面及び研磨面の中にはウィンドウが形成され」ることに相当する。
以上の点から、本件特許発明38と甲1発明7とは、以下の一致点、相違点を有している。
<一致点9>
「ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成される、
研磨パッド。」
<相違点36>
ウィンドウに関して、本件特許発明38では、「干渉計からの光に対して透過性を有し、散乱底面を有すると共に、(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備える」としているのに対して、甲1発明7では、研磨布窓6は、定盤1の溝2と同形に切り抜かれたものである点。
イ 当審の判断
上記相違点36について検討する。
甲1発明7では、ウィンドウに相当する研磨布窓6には当然散乱面は設けられていない。また、透明窓材4についても、散乱面は設けられていない。そして、光の通過部に散乱面を設けることは、甲第1号証を含め、甲第2?甲第5号証のいずれにも記載されておらず、また、周知の事項であるという証拠も見当たらない。そして、本件特許発明38は、当該発明特定事項を備えることにより、「データ信号の不要なDC成分が低減される。」という、本件特許明細書の段落【0078】に記載されたとおりの効果を奏するものである。
したがって、本件特許発明38は、甲第1ないし第5号証に記載された発明及び事項から当業者が容易になし得たとすることはできない。

(27)請求項39に対して
ア 対比
本件特許発明39と甲1発明8とを対比すると、後者の「ウエハ7」は前者の「基板」に、後者の「研磨装置」は前者の「装置」に、後者の「研磨中」は前者の「処理中」に、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「定盤1」は前者の「プラーテン」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウィンドウ」に、後者の「光」は前者の「光ビーム」に、後者の「ウエハ支持板8」は前者の「研磨ヘッド」に相当する。
後者における「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の透明窓材4が嵌め込まれ」ることは、「プラーテン及び研磨パッドのウインドウからなる通路に光透過部材を配設す」る限りにおいて、前者の「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」ることと共通する。
後者における「プローブ9」は、「光測定装置」という限りで、前者の「干渉計」と共通する。
後者における「光を照射する」ことは、前者の「光ビームを発生させる」ことに相当する。
後者における「研磨中」は、「研磨操作の一部の間」と言い換えることができることは明らかである。
後者における「照射する」ことは、前者の「入射する」ことに相当する。
後者における「研磨中に研磨状態の終点を知る、プローブ9を備える」ことは、研磨中が研磨プロセスのインシチュウな状態であるから、「研磨プロセスのインシチュウによるモニタリングを与える、光測定装置を備え、前記光測定装置からの信号を解析し、研磨状態の終点を知るものである」限りにおいて、前者の「研磨プロセスのインシチュウによるモニタリングを与える、干渉計と、前記干渉計からの周期信号を解析し、該周期信号からの研磨の終点を検出するプロセッサとを備える」ことと共通する。
以上の点から、本件特許発明39と甲1発明8とは、以下の一致点、相違点を有している。
<一致点10>
「基板を研磨するための装置であって、前記装置は、
(a)処理中に研磨パッドを保持するプラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)光ビームを発生させることが可能な光測定装置であって、前記光測定装置は、少なくとも研磨操作の一部の間に前記光ビームを前記ウィンドウに向け前記基板上に入射するように配置されて、研磨プロセスのインシチュウによるモニタリングを与える、光測定装置を備え、前記光測定装置からの信号を解析し、研磨状態の終点を知るものである装置。」
<相違点37>
光透過部材の構造に関して、本件特許発明39では、「プラーテンは、中実な透明ウィンドウを有し、(i)前記ウィンドウは、研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」ているとして、研磨パッドに光透過部材が設けられているのに対して、甲1発明8では、光透過部材は、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4である点。
<相違点38>
光ビームに関して、本件特許発明39では、「コリメートされた」と特定しているのに対して、甲1発明8では、光がコリメートされたものであるのかどうか不明な点。
<相違点39>
光測定装置に関して、本件特許発明39では、「干渉計」と特定しているのに対して、甲1発明8では、プローブ9である点。
<相違点40>
研磨プロセスのインシチュウによるモニタリングを与える、光測定装置を備え、前記光測定装置からの信号を解析し、研磨状態の終点を知るものに関して、本件特許発明39では、「研磨プロセスのインシチュウによるモニタリングを与える、干渉計と、前記干渉計からの周期信号を解析し、該周期信号からの研磨の終点を検出するプロセッサとを備える」としているのに対して、甲1発明8では、光測定装置はプローブ9であり、研磨の終点を知ることに関してプロセッサを用いているのかどうか不明な点。
イ 当審の判断
上記相違点について検討する。
(ア)<相違点37>について
甲2記載事項1は、「ポリシングパッド1による貼り合わせウェーハ11の研磨において、ポリシングパッド1を透明体とし、ポリシングパッド1を透過してレーザ光を照射するもの。」であり、甲3記載事項は、「被加工物1の被加工面6をポリシャ3で研磨するにあたり、石英からなるポリシャ3を透明なものとし、レーザ光線11を照射し、透明なポリシャ3を透過してレーザ光線を照射するもの。」であり、甲4記載事項は、「被加工物2をポリシャ4で研摩するにあたり、合成樹脂からなるポリシャ4を透明なものとし、レーザ光を照射し、透明なポリシャ4と透過してレーザ光を照射するもの。」である。すなわち、被加工物を研磨部材により研磨するにあたり、研磨部材を透明なものとし、研磨部材を透過して光ビームを照射することは、甲2記載事項1、甲3記載事項、甲4記載事項に記載されているように周知の事項である。そして、上記甲2ないし甲4記載事項を甲1発明8への適用を阻害する理由も格別存在しないことから、甲1発明8においても、研磨部材である研磨布5を、光ビームが透過可能な透明なものとすることは、当業者が容易になし得たものと認められる。そして、研磨布5として透明なものを用いた場合には、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4を用いないようにすることは、当然の設計変更にすぎない。さらに、研磨布5を透明なものとすれば、ウィンドウに相当する研磨布窓6も当然透明なものとなる。さらに、研磨布5として、中実なものは、例示するまでもなく周知の事項である。
(イ)<相違点38>について
測定のための光ビームをコリメートされたものとすることは通常行われていることであるから、甲1発明8においても、照射される光をコリメートされたものとすることは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<相違点39>について
甲5記載事項は、「表面に酸化物被覆14を有する半導体ウェーハ10における酸化物被覆14を物理的に平面化するに際して、レーザ干渉測定装置28により酸化物被覆14の厚さを検出する、物理的な平面化及び終点検出装置。」である。ここで、甲5記載事項における「表面に酸化物被覆14を有する半導体ウェーハ10」、「レーザ干渉測定装置」は、それぞれ、本件特許発明39の「基板」、「干渉計」に相当し、また、甲5記載事項における「酸化物被覆14を物理的に平面化するに際して、酸化物被覆14の厚さを検出する」ことは、「表面層の状態を均一化するに際して、前記表面層の状態の均一性を測定する」ことである。そして、レーザ干渉測定装置を用いるものであるから、これにより干渉信号をモニタリングすることは明らかである。したがって、甲5記載事項は、「基板上の表面層の状態を均一化するに際して、前記表面層の状態の均一性を測定し、干渉信号をモニタリングする干渉計」と言い換えることができる。基板の研磨に際して、基板上における表面層の状態の均一性を測定することは甲5記載事項に見られるように周知の事項であることから、甲1発明8においても、基板に相当するウエハ7において、その表面層の状態の均一性を測定するようにすること、そして、そのために光測定装置として干渉計を用いることは、当業者が容易になし得たものである。
(エ)<相違点40>について
前記(ウ)で述べたとおり、甲5記載事項は、「基板上の表面層の状態を均一化するに際して、前記表面層の状態の均一性を測定し、干渉信号をモニタする干渉計」である。ここで、干渉計からの信号が周期信号であることは自明の事項であり、それを解析するためにプロセッサを用いることは通常行われていることであるから、甲1発明8においても、光測定装置として干渉計を用いた場合には、プロセッサを用いることにより、干渉計からの周期信号を解析し、該周期信号から、研磨の終点を検出する構成とすることも、<相違点39>についての判断と同様、当業者が容易になし得た程度のものに過ぎない。
(オ)
本件特許発明39によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明8、甲2?甲4記載事項、甲5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(カ)請求項39に対するまとめ
したがって、本件特許発明39は、甲1発明8、甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(28)請求項40に対して
ア 対比
本件特許発明40と甲1発明7とを対比すると、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウィンドウ」に相当する。
後者における「ケミカルメカニカルポリシングを行う研磨装置において用いる」ことは、研磨装置はシステムであるとも言い得るので、前者の「ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いる」ことに相当する。
後者における「ウエハ7に押し付けられる面」が前者の「研磨面」に相当し、後者の「定盤1に支持される面」が前者の「底面」に相当することは明らかである。
研磨布窓6は研磨布5を切り抜いて形成されるものであるから、研磨布窓6がウエハ7に押し付けられる面及び定盤1に支持される面の中に形成されるものであって、後者における「研磨布5には、定盤1の溝2と同形に切り抜かれた研磨布窓6が形成され」ることは、前者の「研磨パッドの底面及び研磨面の中にはウィンドウが形成され」ることに相当する。
以上の点から、本件特許発明40と甲1発明7とは、本件特許発明38に関する一致点と同一である<一致点9>で一致し、以下の相違点を有している。
<相違点41>
ウィンドウに関して、本件特許発明40では、「光に対して透過性を有すると共に、(i)ウィンドウは、研磨パッドの一部であって、光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え」るとしているのに対して、甲1発明7では、研磨布窓6は、定盤1の溝2と同形に切り抜かれたものである点。
<相違点42>
研磨パッドに関して、本件特許発明40では、「第1の透過性部分と、研磨面を与える第2の非透過性部分とを備える」としているのに対して、甲1発明7では、研磨布5の光透過性について不明な点。
イ 当審の判断
上記相違点について検討する。
(ア)<相違点41>について
甲2記載事項1は、「ポリシングパッド1による貼り合わせウェーハ11の研磨において、ポリシングパッド1を透明体とし、ポリシングパッド1を透過してレーザ光を照射するもの。」であり、甲3記載事項は、「被加工物1の被加工面6をポリシャ3で研磨するにあたり、石英からなるポリシャ3を透明なものとし、レーザ光線11を照射し、透明なポリシャ3を透過してレーザ光線を照射するもの。」であり、甲4記載事項は、「被加工物2をポリシャ4で研摩するにあたり、合成樹脂からなるポリシャ4を透明なものとし、レーザ光を照射し、透明なポリシャ4と透過してレーザ光を照射するもの。」である。すなわち、被加工物を研磨部材により研磨するにあたり、研磨部材を透明なものとし、研磨部材を透過して光ビームを照射することは、甲2記載事項1、甲3記載事項、甲4記載事項に記載されているように周知の事項である。そして、上記甲2ないし甲4記載事項を甲1発明7への適用を阻害する理由も格別存在しないことから、甲1発明7においても、研磨部材である研磨布5を、光ビームが透過可能な透明なものとすることは、当業者が容易になし得たものと認められる。そして、研磨布5として透明なものを用いた場合には、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4を用いないようにすることは、当然の設計変更にすぎない。さらに、研磨布5を透明なものとすれば、ウィンドウに相当する研磨布窓6も当然透明なものとなる。
(イ)<相違点42>について
研磨パッドに透過性部分と非透過性部分とを設けるようにしても、透過性部分と非透過性部分とを設けたことだけによる特別な作用ないし効果がなんら見当たらないことからすれば、この点は単なる設計的事項に過ぎない。
また、研磨パッドが研磨面として用いられることは当然のことなので、非透過性の部分を「研磨面を与える」と特定することは、なんら特別な特定ではない。
(ウ)作用ないし効果
本件特許発明40によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明7、甲2?甲4記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(エ)請求項40に対するまとめ
したがって、本件特許発明40は、甲1発明7、甲2ないし甲4記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(29)請求項41に対して
ア 対比
本件特許発明41は本件特許発明40を引用している。したがって、前記(28)アを参照することにより、本件特許発明41と甲1発明7とを対比すると、両者は、上記<一致点9>で一致し、上記<相違点41>ないし<相違点42>で相違する他、以下の相違点を有している。
<相違点43>
研磨パッドの第1の透過性部分に関して、本件特許発明41では、「中実なポリウレタン」としているのに対して、甲1発明7では、研磨布5の材料に関して不明な点。
イ 当審の判断
上記<相違点43>について検討する。
甲第1号証には、研磨パッドに相当する研磨布5にウレタンを含浸することは記載されている(甲第1号証の摘記事項エ)が、研磨布5を中実なポリウレタンで構成することは記載されていない。また、甲第2ないし甲第5号証のいずれにも、研磨パッドを中実なポリウレタンで構成することは記載されていない。さらに、研磨パッドを中実なポリウレタンで構成することが従来周知であったとする証拠は存在しない。
そして、本件特許発明41は、研磨パッドにおける透過性部分を、中実なポリウレタンであると特定しているものであって、当該発明特定事項を備えることにより、「プラグ42を通ることによるレーザービームの弱化は最小になる。」という、本件特許明細書の段落【0029】に記載されたとおりの効果を奏するものである。
したがって、本件特許発明41は、甲第1ないし第5号証に記載された発明及び事項から当業者が容易になし得たとすることはできない。

(30)請求項42に対して
ア 対比
本件特許発明42と甲1発明7とを対比すると、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウィンドウ」に相当する。
後者における「ケミカルメカニカルポリシングを行う研磨装置において用いる」ことは、研磨装置はシステムであるとも言い得るので、前者の「ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いる」ことに相当する。
後者における「ウエハ7に押し付けられる面」が前者の「研磨面」に相当し、後者の「定盤1に支持される面」が前者の「底面」に相当することは明らかである。
研磨布窓6は研磨布5を切り抜いて形成されるものであるから、研磨布窓6がウエハ7に押し付けられる面及び定盤1に支持される面の中に形成されるものであって、後者における「研磨布5には、定盤1の溝2と同形に切り抜かれた研磨布窓6が形成され」ることは、前者の「研磨パッドの底面及び研磨面の中にはウィンドウが形成され」ることに相当する。
以上の点から、本件特許発明42と甲1発明7とは、本件特許発明38に関する一致点と同一である<一致点9>で一致し、以下の相違点を有している。
<相違点44>
ウィンドウに関して、本件特許発明42では、「光に対して透過性を有すると共に、(i)ウィンドウは、研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え」るとしているのに対して、甲1発明7では、研磨布窓6は、定盤1の溝2と同形に切り抜かれたものである点。
<相違点45>
研磨パッドに関して、本件特許発明42では、「第1の透過性部分と、研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、該第2の非透過性部分が、添加物を有するポリウレタンである」としているのに対して、甲1発明7では、研磨布5の光透過性について不明であり、また、添加物を含有するかどうかも不明な点。
イ 当審の判断
上記相違点について検討する。
(ア)<相違点44>について
<相違点44>についての判断は、(28)イ(ア)で前記したように、<相違点41>についての判断のとおりである。
(イ)<相違点45>について
研磨パッドに透過性部分と非透過性部分とを設けるようにしても、透過性部分と非透過性部分とを設けたことだけによる特別な作用ないし効果がなんら見当たらないことからすれば、この点は単なる設計的事項に過ぎない。
また、研磨パッドに添加物を含有させることは周知の事項であるので、甲1発明7においても、研磨パッドである研磨布5に添加物を含有させることは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)作用ないし効果について
本件特許発明42によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明7、甲2?甲4記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(エ)請求項42に対するまとめ
したがって、本件特許発明42は、甲1発明7、甲2ないし甲4記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(31)請求項43に対して
ア 対比
本件特許発明43は、本件特許発明42を引用している。したがって、前記(30)アを参照することにより、本件特許発明43と甲1発明7とを対比すると、本件特許発明43と甲1発明7とは、前記一致点9で一致し、前記相違点44ないし相違点45で相違する他、以下の相違点46を有している。
<相違点46>
研磨パッドに関して、本件特許発明43では、更に、「添加物が微粒子を有することで、第2の部分がマイクロポーラス構造を有するようにする」と特定しているのに対して、甲1発明7では、そのようなことについて不明である点。
イ 当審の判断
(ア)<相違点44>、<相違点45>について
<相違点44>ないし<相違点45>についての判断は、前記(28)イ(ア)、(30)イ(イ)のとおりである。
(イ)<相違点46>について
研磨パッドに含有させる添加物として微粒子は周知の事項であり、これにより研磨パッドがマイクロポーラス構造を有することも周知の事項である。してみると、甲1発明7においても、研磨パッドに相当する研磨布5に添加物として微粒子を含有させ、該研磨布5がマイクロポーラス構造を有するものとすることは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<作用ないし効果>について
本件特許発明43によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明7、甲2?甲4記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(エ)請求項43に対するまとめ
したがって、本件特許発明43は、甲1発明7、甲2ないし甲4記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(32)請求項44に対して
ア 対比
本件特許発明44は、本件特許発明40を引用している。したがって、前記(28)アを参照することにより、本件特許発明44と甲1発明7とを対比すると、本件特許発明44と甲1発明7とは、前記一致点9で一致し、前記相違点41ないし相違点42で相違する他、以下の相違点47を有している。
<相違点47>
研磨パッドの第2の非透過性部分に関して、本件特許発明44では、更に、「オープンセルの構造を有する」と特定しているのに対して、甲1発明7では、そのようなことについて不明である点。
イ 当審の判断
(ア)<相違点41>、<相違点42>について
<相違点41>ないし<相違点42>についての判断は、前記(28)イのとおりである。
(イ)<相違点47>について
研磨パッドをオープンセルの構造を有するものとすることは周知の事項である。してみると、甲1発明7においても、研磨パッドをオープンセルの構造を有するものとすることは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<作用ないし効果>について
本件特許発明44によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明7、甲2?甲4記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(エ)請求項44に対するまとめ
したがって、本件特許発明44は、甲1発明7、甲2ないし甲4記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(33)請求項45に対して
ア 対比
本件特許発明45は、本件特許発明40を引用している。したがって、前記(28)アを参照することにより、本件特許発明45と甲1発明7とを対比すると、本件特許発明45と甲1発明7とは、前記一致点9で一致し、前記相違点41ないし相違点42で相違する他、以下の相違点48を有している。
<相違点48>
研磨パッドの第1の透過性部分に関して、本件特許発明45では、更に、「該研磨面とほぼ共面の上面を有する」と特定しているのに対して、甲1発明7では、そのようなことについて不明である点。
イ 当審の判断
(ア)<相違点41>、<相違点42>について
<相違点41>ないし<相違点42>についての判断は、前記(28)イのとおりである。
(イ)<相違点48>について
研磨パッドを研磨される部材に対して均等な上面を有するものとすることは、研磨パッドにおいて当然に要求される事項であるから、甲1発明7において、研磨パッドに相当する研磨布5に透過性部分と非透過性部分とを設けた場合に、透過性部分を研磨面とほぼ共面の上面を有するものとすることは、当業者が通常行いうる設計事項に過ぎない。
(ウ)<作用ないし効果>について
本件特許発明45によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明7、甲2?甲4記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(エ)請求項45に対するまとめ
したがって、本件特許発明45は、甲1発明7、甲2ないし甲4記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(34)請求項46に対して
請求項46は請求項40を引用しているものであるが、請求項46で特定している「該研磨面と反対側に底面を更に有する」という発明特定事項は、請求項40において「(b)底面と」として既に特定されており、底面が研磨面の反対側に有するものであることは明らかである。
したがって、請求項46は、請求項40において認定したとおりの<一致点9>を有し、<相違点41>、<相違点42>を有している。
よって、請求項46は、(28)イで前記したとおり、甲1発明7、甲2ないし甲4記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(35)請求項47に対して
ア 対比
本件特許発明47と甲1発明7とを対比すると、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウィンドウ」に相当する。
後者における「ケミカルメカニカルポリシングを行う研磨装置において用いる」ことは、研磨装置はシステムであるとも言い得るので、前者の「ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いる」ことに相当する。
後者における「ウエハ7に押し付けられる面」が前者の「研磨面」に相当し、後者の「定盤1に支持される面」が前者の「底面」に相当することは明らかである。
研磨布窓6は研磨布5を切り抜いて形成されるものであるから、研磨布窓6がウエハ7に押し付けられる面及び定盤1に支持される面の中に形成されることが明らかであるから、後者における「研磨布5には、定盤1の溝2と同形に切り抜かれた研磨布窓6が形成され」ることは、前者の「研磨パッドの底面及び研磨面の中にはウィンドウが形成され」ることに相当する。
以上の点から、本件特許発明47と甲1発明7とは、本件特許発明38に関する一致点と同一である<一致点9>で一致し、以下の相違点を有している。
<相違点49>
ウィンドウに関して、本件特許発明47では、「光に対して透過性を有すると共に、(i)ウィンドウは、研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え」るとしているのに対して、甲1発明7では、研磨布窓6は、定盤1の溝2と同形に切り抜かれたものである点。
<相違点50>
研磨パッドに関して、本件特許発明47では、「第1の透過性部分と、研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、該第1の透過性部分とほぼ調心されたアパーチャが底面に形成される」としているのに対して、甲1発明7では、研磨パッドに相当する研磨布5は、定盤1の溝2と同形に切り抜かれた研磨布窓6が形成されるものである点。
イ 当審の判断
上記相違点50について検討する。
甲1発明7では、ウィンドウに相当する研磨布窓6は切り抜かれたものであるので、透過性部分とほぼ調心されたアパーチャを底面に有するものではない。研磨パッドにおいて、透過性部分とほぼ調心されたアパーチャを底面に有する構成は、甲第1号証を含め、甲第2?甲第5号証のいずれにも記載されておらず、また、周知の事項であるという証拠も見当たらない。そして、本件特許発明47は、当該発明特定事項を備えることにより、「カバー層22に用いられるポリウレタン材料が、レーザー干渉計32からのレーザービームを実質的に透過させるだろうことが、見出されている。」という、本件特許明細書の段落【0028】に記載されたとおりの効果を奏するものである。
したがって、本件特許発明47は、甲第1ないし第5号証に記載された発明及び事項から当業者が容易になし得たとすることはできない。

(36)請求項48に対して
ア 対比
本件特許発明48は、本件特許発明40を引用している。したがって、前記(28)アを参照することにより、本件特許発明48と甲1発明7とを対比すると、本件特許発明48と甲1発明7とは、前記一致点9で一致し、前記相違点41ないし相違点42で相違する他、以下の相違点51を有している。
<相違点51>
研磨パッドに関して、本件特許発明48では、更に、「研磨面を有する第1の層と、研磨面と反対側の第2の層とを有する」と特定しているのに対して、甲1発明7では、そのようなことについて不明である点。
イ 当審の判断
(ア)<相違点41>、<相違点42>について
<相違点41>ないし<相違点42>についての判断は、前記(28)イのとおりである。
(イ)<相違点51>について
研磨パッドを多層構造とすることは、例えば、特表平5-505769号公報の第3頁右上欄第22行?第28行及び図面の第2図にも記載されているように周知の事項であるので、甲1発明7においても、研磨パッドに相当する研磨布5を、第1の層と第2の層を有する多層構造とすることは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<作用ないし効果>について
本件特許発明48によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明7、甲2?甲4記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(エ)請求項48に対するまとめ
したがって、本件特許発明48は、甲1発明7、甲2ないし甲4記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(37)請求項49に対して
ア 対比
本件特許発明49は、本件特許発明48を引用している。したがって、前記(28)ア、(36)アを参照することにより、本件特許発明49と甲1発明7とを対比すると、本件特許発明49と甲1発明7とは、前記一致点9で一致し、前記相違点41ないし相違点42、相違点51で相違する他、以下の相違点52を有している。
<相違点52>
研磨パッドの第1の透過性部分に関して、本件特許発明49では、更に、「第1の層に形成される」と特定しているのに対して、甲1発明7では、そのようなものではない点。
イ 当審の判断
(ア)<相違点41>、<相違点42>、<相違点51>について
<相違点41>ないし<相違点42>、<相違点51>についての判断は、前記(28)イ、(36)イ(イ)のとおりである。
(イ)<相違点52>について
研磨布5に研磨布窓6を設けるのは光を透過させるためであるので、甲1発明7において、研磨布5を多層のものとし、かつ透過性のものとした場合には、第1の層のみならず研磨布5を透過性のものとしなければならないことは、当業者にとって明らかである。
(ウ)<作用ないし効果>について
本件特許発明49によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明7、甲2?甲4記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(エ)請求項49に対するまとめ
したがって、本件特許発明49は、甲1発明7、甲2ないし甲4記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(38)請求項50に対して
ア 対比
本件特許発明50は、本件特許発明48を引用している。したがって、前記(28)ア、(36)アを参照することにより、本件特許発明50と甲1発明7とを対比すると、本件特許発明50と甲1発明7とは、前記一致点9で一致し、前記相違点41ないし相違点42、相違点51で相違する他、以下の相違点53を有している。
<相違点53>
研磨パッドに関して、本件特許発明50では、更に、「第1の層の該透過性部分とほぼ調心されたアパーチャが第2の層に形成される」と特定しているのに対して、甲1発明7では、そのようなものではない点。
イ 当審の判断
上記相違点53について検討する。
甲1発明7では、ウィンドウに相当する研磨布窓6は切り抜かれたものであるので、第1の層の透過性部分とほぼ調心されたアパーチャを第2の層に有するものではない。研磨パッドにおいて、第1の層の透過性部分とほぼ調心されたアパーチャを第2の層に有する構成は、甲第1号証を含め、甲第2?甲第5号証のいずれにも記載されておらず、また、周知の事項であるという証拠も見当たらない。そして、本件特許発明50は、当該発明特定事項を備えることにより、「カバー層22に用いられるポリウレタン材料が、レーザー干渉計32からのレーザービームを実質的に透過させるだろうことが、見出されている。」という、本件特許明細書の段落【0028】に記載されたとおりの効果を奏するものである。
したがって、本件特許発明50は、甲第1ないし第5号証に記載された発明及び事項から当業者が容易になし得たとすることはできない。

(39)請求項51に対して
ア 対比
本件特許発明51は、本件特許発明40を引用している。したがって、前記(28)アを参照することにより、本件特許発明51と甲1発明7とを対比すると、本件特許発明51と甲1発明7とは、前記一致点9で一致し、前記相違点41ないし相違点42で相違する他、以下の相違点54を有している。
<相違点54>
研磨パッドに関して、本件特許発明51では、更に、「自身に形成されたアパーチャを有し、透過性部分がアパーチャ内に位置をとるプラグを備える」と特定しているのに対して、甲1発明7では、研磨パッドに相当する研磨布5は、定盤1の溝2と同形に切り抜かれた研磨布窓6が形成されるものである点。
イ 当審の判断
(ア)<相違点41>、<相違点42>について
<相違点41>ないし<相違点42>についての判断は、前記(28)イのとおりである。
(イ)<相違点54>について
研磨パッドにアパーチャが形成され、そのアパーチャ内に透過性のプラグが備えられるものであるから、プラグが研磨パッドの一部であることを否定するものではないので、「研磨パッドが自身に形成されたアパーチャを有し、透過性部分がアパーチャ内に位置をとるプラグを備える」と特定することは、請求項40において、「光に対して透過性を有すると共に、(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え」として既に特定されている。そして、当該特定事項に対する判断は、(28)イ(ア)において<相違点41>についての判断として前記したとおりである。
(ウ)<作用ないし効果>について
本件特許発明51によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明7、甲2?甲4記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(エ)請求項51に対するまとめ
したがって、本件特許発明51は、甲1発明7、甲2ないし甲4記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(40)請求項52に対して
ア 対比
本件特許発明52と甲1発明9とを対比すると、後者の「ウエハ7」は前者の「基板」に、後者の「研磨装置」は前者の「装置」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウィンドウ」に、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「光」は前者の「光ビーム」に、後者の「ウエハ支持板8」は前者の「研磨ヘッド」に相当する。
後者における「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の透明窓材4が嵌め込まれ」ることは、「プラーテン及び研磨パッドのウインドウからなる通路に光透過部材を配設す」る限りにおいて、前者の「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える」ことと共通する。
後者における「ウエハ7に光を照射し」は、前者の「基板に入射する光ビームを発生する」ことに相当する。
後者における「プローブ9」は、光を照射し、反射光を受光するものであるので、「光発生兼測定装置」という限りで、前者の「光源と、基板より反射された光を測定する検出器」と共通する。
後者における「研磨中に研磨状態の終点を知る研磨装置」は、研磨装置はシステムであると言えるものであるから、前者の「終点検出システムとを備える装置」に相当する。
以上の点から、本件特許発明52と甲1発明9とは、以下の一致点、相違点を有している。
<一致点11>
「基板を研磨するための装置であって、前記装置は、
(a)ウィンドウを有する研磨パッドであり、
プラーテン及び研磨パッドのウインドウからなる通路に光透過部材を配設する、
前記研磨パッドと、
(b)基板を研磨面に対して保持するための研磨ヘッドと、
(c)ウィンドウを通過して基板に入射する光ビームを発生するための光発生兼測定装置を有する終点検出システムとを備える装置。」
<相違点55>
研磨パッドに関して、本件特許発明52では、「透過性のない研磨面と中実な透過性のウィンドウを有する」と特定しているのに対して、甲1発明9では、研磨パッドに相当する研磨布5は、研磨面と定盤1の溝2と同形に切り抜かれた研磨布窓6を有するものである点。
<相違点56>
光透過部材の構造に関して、本件特許発明52では、「(i)ウィンドウは、研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える」として、研磨パッドに光透過部材が設けられているのに対して、甲1発明9では、光透過部材は、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4である点。
<相違点57>
光発生兼測定装置に関して、本件特許発明52では、「光源と、基板より反射された光を測定する検出器」としているのに対して、甲1発明9では、光を照射しその反射光を受光するプローブ9である点。
イ 当審の判断
上記相違点について検討する。
(ア)<相違点56>について
甲2記載事項1は、「ポリシングパッド1による貼り合わせウェーハ11の研磨において、ポリシングパッド1を透明体とし、ポリシングパッド1を透過してレーザ光を照射するもの。」であり、甲3記載事項は、「被加工物1の被加工面6をポリシャ3で研磨するにあたり、石英からなるポリシャ3を透明なものとし、レーザ光線11を照射し、透明なポリシャ3を透過してレーザ光線を照射するもの。」であり、甲4記載事項は、「被加工物2をポリシャ4で研摩するにあたり、合成樹脂からなるポリシャ4を透明なものとし、レーザ光を照射し、透明なポリシャ4と透過してレーザ光を照射するもの。」である。すなわち、被加工物を研磨部材により研磨するにあたり、研磨部材を透明なものとし、研磨部材を透過して光ビームを照射することは、甲2記載事項1、甲3記載事項、甲4記載事項に記載されているように周知の事項である。そして、上記甲2ないし甲4記載事項を甲1発明9への適用を阻害する理由も格別存在しないことから、甲1発明9においても、研磨部材である研磨布5を、光ビームが透過可能な透明なものとすることは、当業者が容易になし得たものと認められる。そして、研磨布5として透明なものを用いた場合には、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4を用いないようにすることは、当然の設計変更にすぎない。
(イ)<相違点55>について
研磨布として中実のものは例示するまでもなく周知の事項であるので、研磨布5を透明なものとし、さらに、中実なものとすることは、当業者が容易になし得たものである。
なお、透過性のない研磨面を有する研磨パッドも周知の事項であって、かつ、研磨パッドを、「透過性のない研磨面と中実な透過性のウィンドウを有する」と特定しても、その組み合わせた構成によってのみでは、なんら特別の作用ないし効果が認められないことから、この点は、単なる設計的事項に過ぎない。
(ウ)<相違点57>について
光源と光の測定装置を別の装置とすることは周知の事項であるので、甲1発明9においても、そのプローブ9に代えて、光源と、ウエハ7から反射された光を測定する検出器とを別の装置として設ける構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。
(エ)作用ないし効果について
本件特許発明52によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明9、甲2?甲4記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(オ)請求項52に対するまとめ
したがって、本件特許発明52は、甲1発明9、甲2ないし甲4記載事項から当業者が容易になし得たものである。


第7 平成21年7月16日受付上申書における手続補正書案について
被請求人は、平成21年7月16日受付上申書において、手続補正書案として、特許請求の範囲の訂正を主張している。(上記上申書第21頁末行?第24頁末行。)
しかしながら、上記上申書における訂正は訂正可能な期間を経過した時期に遅れた主張である。
また、訂正内容について検討しても、「プラグについて、『パッドと同一面上』であること」の特定については、請求項45に対する判断で述べたとおり、研磨パッドを研磨される部材に対して均等な上面を有するものとすることが、研磨パッドにおいて当然に要求される事項であるから、研磨パッドに相当する研磨布5に透過性部分と非透過性部分とを設けた場合に、透過性部分を研磨面とほぼ共面の上面を有するものとすることは、当業者が通常行いうる設計事項に過ぎず、また、「プラグを『ポリウレタン』である」と特定することについては、研磨パッド自体、ポリウレタンを用いることは周知の技術であるから、その中のプラグをポリウレタンとすることは当業者が通常考え得る事項であり、さらに、「プラグを『赤色の光ビームに対して透過性を有する』こと」と特定することは、甲第1号証に記載されたものにおいても、照射される光は、段落【0027】に記載されているように、波長範囲680?800nmという赤色の光であるから、これらの特定により、当業者が容易になし得たものでないとすることはできない。
さらに、研磨パッドに関する訂正内容については、「プラグの部分を透過性部分とし、その他の部分を非透過性部分とする」と特定しても、研磨パッドに非透過性部分を有するものと特定することにより、研磨パッド自体として特別な作用ないし効果を有するものと特定される訳ではない。
以上のとおりであるので、前記上申書による前記訂正の主張は採用することができない。


第8 むすび
以上のとおりであるから、本件特許発明1、9、18-20、24-25、27-32、39-40、42-46、48-49、51-52は、甲第1号証ないし甲第5号証に記載された発明ないし周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。したがって、本件請求項1、9、18-20、24-25、27-32、39-40、42-46、48-49、51-52に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、特許を無効とすべきものである。
また、請求人の主張する無効理由及び証拠方法によっては、本件請求項2-8、10-17、21-23、26、33-38、41、47、50に係る特許について、無効とすることはできない。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、その13分の7を請求人の負担とし、13分の6を被請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

平成21年10月14日

審判長 特許庁審判官 略
特許庁審判官 略
特許庁審判官 略
----------------------------------
(参考:本件二次審決)
結 論
特許第3431115号の請求項1、9、46、18ないし20、24ないし25、27ないし32、39ないし40、42ないし44、48ないし49、51ないし52に係る発明についての特許を無効とする。
特許第3431115号の請求項45に係る発明についての審判請求は、成り立たない。
審判費用は、その24分の1を請求人の負担とし、24分の23を被請求人の負担とする。


理 由
第1 手続の経緯
平成 8年 3月28日 出願(パリ条約による優先権主張外国庁受理1995年3月28日、米国、特願平8-74976号)
平成15年 5月23日 設定登録
平成15年 7月28日 特許公報発行(特許第3431115号)
平成15年11月27日 異議申立(1)(異議申立人、北村清隆、審判2003-72913号)
平成15年12月26日 異議申立(2)(異議申立人、松原いづみ、審判2003-72913号)
平成16年 4月22日付け 取消理由通知
平成16年10月29日付け 意見書、訂正請求書
平成17年12月14日付け 異議決定(訂正を認め、維持決定)
平成19年 8月24日 無効審判請求(無効2007-800172号)
平成20年 1月16日 被請求人、答弁書を提出
平成20年 5月16日受付 被請求人、口頭審理陳述要領書を提出
平成20年 5月16日 請求人、口頭審理陳述要領書を提出
平成20年 5月29日 口頭審理
平成20年 6月 5日受付 被請求人、上申書を提出
平成21年 7月16日受付 被請求人、上申書を提出
平成21年10月14日 審決(特許第3431115号の請求項1、9、18ないし20、24ないし25、27ないし32、39ないし40、42ないし46、48ないし49、51ないし52に係る発明についての特許を無効とする。特許第3431115号の請求項2ないし8、10ないし17、21ないし23、26、33ないし38、41、47、50に係る発明についての審判請求は、成り立たない。)
平成21年11月20日 請求人出訴(平成21年(行ケ)第10370号)
平成22年 2月22日 被請求人出訴(平成22年(行ケ)第10061号)
平成22年 5月24日 被請求人訂正審判請求(訂正2010-390050号)
平成22年 7月30日 平成22年(行ケ)第10061号の決定(「特許第3431115号の請求項1、9、18ないし20、24ないし25、27ないし32、39ないし40、42ないし46、48ないし49、51ないし52に係る発明についての特許を無効とする。」との部分を取り消す。)
平成22年 8月30日 訂正請求期間内の訂正請求書の提出がなかったので、訂正2010-390050号の訂正審判の請求書を本件無効審判の訂正請求とみなす
平成22年10月12日 請求人、弁駁書を提出
平成22年12月 1日 被請求人、上申書を提出
平成22年12月28日 平成21年(行ケ)第10370号の請求棄却判決


第2 訂正の適否について
1.訂正の内容
被請求人の求める平成22年8月30日になされたと見なされた平成22年5月24日付けの訂正請求は、本件特許の願書に添付した明細書の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した特許請求の範囲のとおりに訂正することを求めるものであり、その内容を、訂正箇所に下線を付して示すと、以下のとおりである。
(1) 訂正事項1
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項1について、
「【請求項1】 ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、
(a)シャシに回転自在に設置され、ホール(孔)を自身に有する回転可能な研磨プラーテンと、
(b)プラーテンに設置され、研磨スラリによりウェットで、プラーテンのホールと調心されたウィンドウを有する、研磨パッドであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記研磨パッドと、
(c)研磨パッドに対してウエハを保持するための、回転可能な研磨ヘッドであって、このウエハが酸化物層の下の半導体基板を備える、前記研磨ヘッドと、
(d)ウエハへ向けてレーザービームを発生させることが可能であり且つウエハ及びホール(孔)から反射されてくる光を検出することが可能なレーザー干渉計を有する終点検出器とを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間にレーザービームをウエハへ入射させるための通路を与える装置。」とあるのを、
「【請求項1】 ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、
(a)シャシに回転自在に設置され、ホール(孔)を自身に有する回転可能な研磨プラーテンと、
(b)プラーテンに設置され、研磨スラリによりウェットで、プラーテンのホールと調心されたウィンドウを有する、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備える、前記研磨パッドと、
(c)研磨パッドに対してウエハを保持するための、回転可能な研磨ヘッドであって、このウエハが酸化物層の下の半導体基板を備える、前記研磨ヘッドと、
(d)ウエハへ向けてレーザービームを発生させることが可能であり且つウエハ及びホール(孔)から反射されてくる光を検出することが可能なレーザー干渉計を有する終点検出器とを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間にレーザービームをウエハへ入射させるための通路を与える装置。」
と訂正する。
(2) 訂正事項2
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項2について、
「【請求項2】 該プラーテンの中の該ホールと該ウィンドウとが、該プラーテンの回転中心と一致する中心と一致する原点からある半径を有する円弧形状である請求項1に記載の装置。」とあるのを、
「【請求項2】 ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、
(a)シャシに回転自在に設置され、ホール(孔)を自身に有する回転可能な研磨プラーテンと、
(b)プラーテンに設置され、研磨スラリによりウェットで、プラーテンのホールと調心されたウィンドウを有する研磨パッドであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備える、前記研磨パッドと、(c)研磨パッドに対してウエハを保持するための、回転可能な研磨ヘッドであって、このウエハが酸化物層の下の半導体基板を備える、前記研磨ヘッドと、
(d)ウエハへ向けてレーザービームを発生させることが可能であり且つウエハ及びホール(孔)から反射されてくる光を検出することが可能なレーザー干渉計を有する終点検出器とを備え、該プラーテンの中の該ホールと該ウィンドウとが、該プラーテンの回転中心と一致する原点からある半径を有する円弧形状であり、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間にレーザービームをウエハへ入射させるための通路を与える装置。」
と訂正する。
(3) 訂正事項3
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項3について、
「【請求項3】 該終点検出器が更に、レーザー干渉計によって発生するレーザービームが妨害されずに該ウィンドウを通過して該ウエハに入射するように、ウィンドウがウエハに近接しているときを感知するための位置センサを備える請求項1に記載の装置。」とあるのを、
「【請求項3】 ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、
(a)シャシに回転自在に設置され、ホール(孔)を自身に有する回転可能な研磨プラーテンと、
(b)プラーテンに設置され、研磨スラリによりウェットで、プラーテンのホールと調心されたウィンドウを有する、研磨パッドであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備える、前記研磨パッドと、(c)研磨パッドに対してウエハを保持するための、回転可能な研磨ヘッドであって、このウエハが酸化物層の下の半導体基板を備える、前記研磨ヘッドと、
(d)ウエハへ向けてレーザービームを発生させることが可能であり且つウエハ及びホール(孔)から反射されてくる光を検出することが可能なレーザー干渉計を有する終点検出器とを備え、該終点検出器が更に、レーザー干渉計によって発生するレーザービームが妨害されずに該ウィンドウを通過して該ウエハに入射するように、ウィンドウがウエハに近接しているときを感知するための位置センサを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間にレーザービームをウエハへ入射させるための通路を与える装置。」
と訂正する。
(4) 訂正事項4
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項9について、
「【請求項9】 酸化物層の下に半導体基板を備えるウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)のための方法であって、該方法は、
(a)ウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、該回転可能な研磨ヘッドの下の研磨パッドに対して保持するステップであって、該パッドは研磨スラリによってウェットとなっている、該保持するステップと、
(b)CMPが終了した終点を決定するステップであって、該終点を決定するステップは、
(b1)レーザービームをウエハに向けて発するステップであって、該レーザービームは、プラーテン内に形成されたホール(孔)に近接するように配置された該研磨パッドに含まれるウィンドウを通過し、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え、
該ウィンドウは、ウエハが該ウィンドウの上にあるときの時間の一部の間レーザービームのための通路を与える、該発するステップと、
(b2)ウエハから反射する光を検出するステップとを備える前記決定するステップとを備える方法。」とあるのを、
「【請求項9】 酸化物層の下に半導体基板を備えるウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)のための方法であって、該方法は、
(a)ウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、該回転可能な研磨ヘッドの下の研磨パッドに対して保持するステップであって、該パッドは発泡材料からなる表面を有し、研磨スラリによってウェットとなっている、該保持するステップと、
(b)CMPが終了した終点を決定するステップであって、該終点を決定するステップは、
(b1)レーザービームをウエハに向けて発するステップであって、該レーザービームは、プラーテン内に形成されたホール(孔)に近接するように配置された該研磨パッドに含まれるウィンドウを通過し、
前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え、
該ウィンドウは、ウエハが該ウィンドウの上にあるときの時間の一部の間レーザービームのための通路を与える、該発するステップと、
(b2)ウエハから反射する光を検出するステップとを備える前記決定するステップとを備える方法。」
と訂正する。
(5) 訂正事項5
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項10について、
「【請求項10】 該決定するステップが、ウィンドウがウエハに近接してレーザービームが妨害されずにウィンドウを通過してウエハに入射するときを感知するステップを備える請求項9に記載の方法。」とあるのを、
「【請求項10】 酸化物層の下に半導体基板を備えるウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)のための方法であって、該方法は、
(a)ウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、該回転可能な研磨ヘッドの下の研磨パッドに対して保持するステップであって、該パッドは研磨スラリによってウェットとなっている、該保持するステップと、
(b)CMPが終了した終点を決定するステップであって、該終点を決定するステップは、
(b1)レーザービームをウエハに向けて発するステップであって、該レーザービームは、プラーテン内に形成されたホール(孔)に近接するように配置された該研磨パッドに含まれるウィンドウを通過し、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え、該ウィンドウは、ウエハが該ウィンドウの上にあるときの時間の一部の間レーザービームのための通路を与える、該発するステップと、
(b2)ウエハから反射する光を検出するステップとを備える前記決定するステップとを備え、該決定するステップが、ウィンドウがウエハに近接してレーザービームが妨害されずにウィンドウを通過してウエハに入射するときを感知するステップを備える方法。」
と訂正する。
(6) 訂正事項6
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項18について、
「【請求項18】 基板上の表面層の状態の均一性を、前記層の研磨の最中に測定するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ光ビームを向けるステップであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記光ビームによって生じる干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するステップとを備える方法。」とあるのを、
「【請求項18】 ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において、基板上の表面層の状態の均一性を、前記層の研磨の最中に測定するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ光ビームを向けるステップであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記光ビームによって生じる干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するステップとを備える方法。」
と訂正する。
(7) 訂正事項7
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項19について、請求項19自体、文言の訂正はないものの、請求項19が引用する請求項18の訂正にともなって訂正され、請求項20について、請求項20自体、文言の訂正はないものの、請求項20が引用する請求項19がさらに引用する請求項18の訂正にともなって訂正され、請求項21について、請求項21自体、文言の訂正はないものの、請求項21が引用する請求項19がさらに引用する請求項18の訂正にともなって訂正され、請求項22について、請求項22自体、文言の訂正はないものの、請求項22が引用する請求項21がさらに引用する請求項19がさらに引用する請求項18の訂正にともなって訂正され、請求項23について、請求項23自体、文言の訂正はないものの、請求項23が引用する請求項22がさらに引用する請求項21がさらに引用する請求項19がさらに引用する請求項18の訂正にともなって訂正されている。
(8) 訂正事項8
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項24について、
「【請求項24】 層を自身の上に有する基板を研磨するための研磨プロセスの特性を評価するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ光ビームを向けるステップであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記光ビームによって発生する干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から干渉計波形を抽出するステップと、
(d)前記抽出された干渉計波形を保存されている情報と比較するステップであって、前記保存されている情報は、該研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、前記比較するステップと、
(e)前記抽出された干渉計波形が前記保存されている情報から所定の量以上広がったとき、警告を発するステップとを備える方法。」とあるのを、
「【請求項24】 ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において、層を自身の上に有する基板を研磨するための研磨プロセスの特性を評価するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ光ビームを向けるステップであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記光ビームによって発生する干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から干渉計波形を抽出するステップと、
(d)前記抽出された干渉計波形を保存されている情報と比較するステップであって、前記保存されている情報は、該研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、前記比較するステップと、
(e)前記抽出された干渉計波形が前記保存されている情報から所定の量以上広がったとき、警告を発するステップとを備える方法。」
と訂正する。
(9) 訂正事項9
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項25について、請求項25自体、文言の訂正はないものの、請求項25が引用する請求項24の訂正にともなって訂正されている。
(10) 訂正事項10
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項26について、
「【請求項26】 前記抽出するステップが、前記干渉信号から研磨速度を決定するステップと、前記干渉信号から均一性の尺度を決定するステップと、を備え、前記比較するステップが、前記研磨速度及び均一性の前記尺度を前記保存されている情報と比較するステップを備える請求項24に記載の方法。」とあるのを、
「【請求項26】 層を自身の上に有する基板を研磨するための研磨プロセスの特性を評価するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ光ビームを向けるステップであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記光ビームによって発生する干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から干渉計波形を抽出するステップと、
(d)前記抽出された干渉計波形を保存されている情報と比較するステップであって、前記保存されている情報は、該研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、前記比較するステップと、
(e)前記抽出された干渉計波形が前記保存されている情報から所定の量以上広がったとき、警告を発するステップとを備え、前記抽出するステップが、前記干渉信号から研磨速度を決定するステップと、前記干渉信号から均一性の尺度を決定するステップと、を備え、前記比較するステップが、前記研磨速度及び均一性の前記尺度を前記保存されている情報と比較するステップを備える方法。」
と訂正する。
(11) 訂正事項11
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項27について、
「【請求項27】 基板研磨システムであって、
(a)処理中に、中実な透明ウィンドウを有する研磨パッドを保持するプラーテンであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は (ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)処理中に、前記研磨パッドの前記ウィンドウを通して、研磨されるべき基板の側部に向けられ且つ入射するコリメートされた光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は干渉信号を発生する、前記干渉計と、
(d)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するようにプログラミングされたデータプロセッサとを備える研磨システム。」とあるのを、
「【請求項27】 ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための基板研磨システムであって、
(a)処理中に、中実な透明ウィンドウを有する発泡材料からなる表面を有する研磨パッドを保持するプラーテンであり、
前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)処理中に、前記研磨パッドの前記ウィンドウを通して、研磨されるべき基板の側部に向けられ且つ入射するコリメートされた光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は干渉信号を発生する、前記干渉計と、
(d)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するようにプログラミングされたデータプロセッサとを備える研磨システム。」
と訂正する。
(12) 訂正事項12
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項28について、請求項28自体、文言の訂正はないものの、請求項28が引用する請求項27の訂正にともなって訂正され、請求項29について、請求項29自体、文言の訂正はないものの、請求項29が引用する請求項28がさらに引用する請求項27の訂正にともなって訂正され、請求項30について、請求項30自体、文言の訂正はないものの、請求項30が引用する請求項29がさらに引用する請求項28がさらに引用する請求項27の訂正にともなって訂正され、請求項31について、請求項31自体、文言の訂正はないものの、請求項31が引用する請求項29がさらに引用する請求項28がさらに引用する請求項27の訂正にともなって訂正され、請求項32について、請求項32自体、文言の訂正はないものの、請求項32が引用する請求項31がさらに引用する請求項29がさらに引用する請求項28がさらに引用する請求項27の訂正にともなって訂正されている。
(13) 訂正事項13
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項33について、
「【請求項33】 前記干渉信号が低周波数成分を含み、前記データプロセッサが、前記低周波数成分の第1の特性を測定することと、前記第1の特性から前記抽出された情報を誘導することと、により特徴情報を抽出するようにプログラミングされている請求項32に記載の研磨システム。」とあるのを、
「【請求項33】 基板研磨システムであって、
(a)処理中に、中実な透明ウィンドウを有する研磨パッドを保持するプラーテンであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は (ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)処理中に、前記研磨パッドの前記ウィンドウを通して、研磨されるべき基板の側部に向けられ且つ入射するコリメートされた光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は干渉信号を発生する、前記干渉計と、
(d)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するようにプログラミングされたデータプロセッサとを備え、
前記研磨ヘッドが、処理中に回転できるように、回転可能となっており、前記プラーテンが、処理中に回転できるように、回転可能となっており、前記データプロセッサが更に、前記干渉信号から特徴情報を抽出することと、前記抽出された特徴情報から均一性の前記尺度を計算することと、をプログラミングされており、前記データプロセッサが更に、均一性の前記尺度を参考値と比較することと、均一性の前記尺度が該参考値から所定の量以上広がったときに警告を発することと、をプログラミングされており、前記干渉信号が低周波数成分を含み、前記データプロセッサが、前記低周波数成分の第1の特性を測定することと、前記第1の特性から前記抽出された情報を誘導することと、により特徴情報を抽出するようにプログラミングされている研磨システム。」
と訂正する。
(14) 訂正事項14
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項39について、
「【請求項39】 基板を研磨するための装置であって、前記装置は、
(a)処理中に研磨パッドを保持するプラーテンであり、前記プラーテンは、中実な透明ウィンドウを有し、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)コリメートされた光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は、少なくとも研磨操作の一部の間に前記光ビームを前記ウィンドウに向け前記基板上に入射するように配置されて、研磨プロセスのインシチュウによるモニタリングを与える、前記干渉計と、
(d)前記干渉計からの周期信号を解析し、該周期信号から研磨の終点を検出するプロセッサとを備える装置。」とあるのを、
「【請求項39】 ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、前記装置は、
(a)処理中に研磨パッドを保持するプラーテンであり、前記パッドは、発泡材料からなる表面と中実な透明ウィンドウを有し、
前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備えて、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)コリメートされた光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は、少なくとも研磨操作の一部の間に前記光ビームを前記ウィンドウに向け前記基板上に入射するように配置されて、研磨プロセスのインシチュウによるモニタリングを与える、前記干渉計と、
(d)前記干渉計からの周期信号を解析し、該周期信号から研磨の終点を検出するプロセッサとを備える装置。」
と訂正する。
(15) 訂正事項15
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項40について、
「【請求項40】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、前記研磨面を与える第2の非透過性部分とを備える、研磨パッド。」とあるのを、
「【請求項40】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)発泡材料からなる研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、前記研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与える研磨パッド。」
と訂正する。
(16) 訂正事項16
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項41について、
「【請求項41】 該第1の透過性部分が、中実なポリウレタンである請求項40に記載の研磨パッド。」とあるのを、
「【請求項41】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、前記研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、該第1の透過性部分が、中実なポリウレタンである研磨パッド。」
と訂正する。
(17) 訂正事項17
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項42について、
「【請求項42】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、該第2の非透過性部分が、添加物を有するポリウレタンである、研磨パッド。」とあるのを、
「【請求項42】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)発泡材料からなる研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、該第2の非透過性部分が、添加物を有する発泡ポリウレタンであり、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与える研磨パッド。」
と訂正する。
(18) 訂正事項18
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項43について、請求項43自体、文言の訂正はないものの、請求項43が引用する請求項42の訂正にともなって訂正され、請求項44について、請求項44自体、文言の訂正はないものの、請求項44が引用する請求項40の訂正にともなって訂正されている。
(19) 訂正事項19
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項45について、
「【請求項45】 該第1の透過性部分が、該研磨面とほぼ共面の上面を有する請求項40に記載の研磨パッド。」とあるのを、
「【請求項45】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)発泡材料からなる研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、前記研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与える研磨パッドであって、該第1の透過性部分が、該研磨面とほぼ共面の上面を有する研磨パッド。」
と訂正する。
(20) 訂正事項20
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項46について、請求項46自体、文言の訂正はないものの、請求項46が引用する請求項40の訂正にともなって訂正され、請求項48について、請求項48自体、文言の訂正はないものの、請求項48が引用する請求項40の訂正にともなって訂正され、請求項49について、請求項49自体、文言の訂正はないものの、請求項49が引用する請求項48がさらに引用する請求項40の訂正にともなって訂正され、請求項51について、請求項51自体、文言の訂正はないものの、請求項51が引用する請求項40の訂正にともなって訂正されている。
(21) 訂正事項21
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項50について、
「【請求項50】 第1の層の該透過性部分とほぼ調心されたアパーチャが第2の層に形成される請求項48に記載の研磨パッド。」とあるのを、
「【請求項50】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、前記研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、研磨面を有する第1の層と、研磨面と反対側の第2の層とを有し、第1の層の該透過性部分とほぼ調心されたアパーチャが第2の層に形成される研磨パッド。」
と訂正する。
(22) 訂正事項22
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項52について、
「【請求項52】 基板を研磨するための装置であって、
(a)透過性のない研磨面と中実な透過性のウィンドウを有する研磨パッドであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は (ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記研磨パッドと、
(b)基板を研磨面に対して保持するための研磨ヘッドと、
(c)ウィンドウを通過して基板に入射する光ビームを発生するための光源と、基板より反射された光を測定する検出器とを有する終点検出システムとを備える装置。」とあるのを、
「【請求項52】 基板を研磨するための装置であって、
(a)発泡材料からなり透過性のない研磨面と中実な透過性のウィンドウを有する研磨パッドであり、
前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、前記研磨パッドと、
(b)基板を研磨面に対して保持するための研磨ヘッドと、
(c)ウィンドウを通過して基板に入射する光ビームを発生するための光源と、基板より反射された光を測定する検出器とを有する終点検出システムとを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える装置。」
と訂正する。
(23)訂正前の特許請求の範囲
訂正請求による訂正前の特許請求の範囲は以下のとおりである。
「 【請求項1】 ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、
(a)シャシに回転自在に設置され、ホール(孔)を自身に有する回転可能な研磨プラーテンと、
(b)プラーテンに設置され、研磨スラリによりウェットで、プラーテンのホールと調心されたウィンドウを有する、研磨パッドであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記研磨パッドと、
(c)研磨パッドに対してウエハを保持するための、回転可能な研磨ヘッドであって、このウエハが酸化物層の下の半導体基板を備える、前記研磨ヘッドと、
(d)ウエハへ向けてレーザービームを発生させることが可能であり且つウエハ及びホール(孔)から反射されてくる光を検出することが可能なレーザー干渉計を有する終点検出器とを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間にレーザービームをウエハへ入射させるための通路を与える装置。
【請求項2】 該プラーテンの中の該ホールと該ウィンドウとが、該プラーテンの回転中心と一致する中心と一致する原点からある半径を有する円弧形状である請求項1に記載の装置。
【請求項3】 該終点検出器が更に、レーザー干渉計によって発生するレーザービームが妨害されずに該ウィンドウを通過して該ウエハに入射するように、ウィンドウがウエハに近接しているときを感知するための位置センサを備える請求項1に記載の装置。
【請求項4】 (a)該レーザー干渉計が、ウエハから反射される光が検出される毎に検出信号を発生させるための手段を備え、
(b)該位置センサが、該レーザー干渉計によって発生するレーザービームが妨害されずに該ウィンドウを通過して該ウエハに入射できるように、ウィンドウがウエハに近接する毎に感知信号を出力するための手段を備え、
(c)該終点検出器が更に、該位置センサから信号を検知する期間のために該レーザー干渉計からの検出信号をサンプリングするための、該レーザー干渉計と該位置センサとに接続されたデータ取得手段を備え、該データ取得手段はサンプリングされた検出信号を代表するデータ信号を出力するための手段を備える請求項3に記載の装置。
【請求項5】 該データ取得手段が(a)該レーザー干渉計からサンプリングされた検出信号を所定の時間にわたって積分するための手段を備え、(b)該出力するための該手段は該検出信号の積分されたサンプルを代表するデータ信号を出力する請求項4に記載の装置。
【請求項6】 該出力するための該手段によって出力されるデータ信号が、周期的であり、且つ、該終点検出器が更に、
(a)データ信号によって現れるサイクルの数を計数するための手段と、
(b)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、データ信号の1サイクル中に除去される材料の厚さを計算するための手段と、
(c)酸化物層から除去されるべき材料の所望の厚さを、該計数するための該手段によりデータ信号により現れたサイクルの数と、該計算するための該手段から1サイクル中に除去される材料の厚さとの積である、除去厚さと比較するための手段と、
(d)該除去厚さが、除去されるべき材料の所望の厚さ以上になったときにCMPを終了させるための手段とを備える請求項4に記載の装置。
【請求項7】 該出力するための該手段によって出力されるデータ信号が周期的であり、且つ、該終点検出器が更に、
(a)(i)所定のサイクルの数又は(ii)1サイクルの所定の部分の一方のそれぞれが生じた後に、これらの一方を完結するためにデータ信号により要求される時間を測定するための手段と、
(b)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、該測定するための該手段によって測定される時間の間に除去される材料の厚さを計算するための手段と、
(c)除去の速度を算出するための手段であって、該算出するための該手段は、除去される材料の厚さを該測定するための該手段から得られる測定された時間で除する、該算出するための手段と、
(d)残りの除去厚さを確定するための手段であって、該確定するための該手段は、酸化物層から除去されるべき所望の材料の厚さから除去された材料の厚さの累積を減じ、前記除去された材料の厚さの累積は、(i)所定のサイクルの数又は(ii)1サイクルの所定の部分の一方のそれぞれが生じた後に、該計算するための該手段によって計算され、除去された材料の厚さを総和するための手段によって与えられる、前記確定するための手段と、
(e)残りのCMP時間を確立するための手段であって、前記確立するための前記手段は、残りの除去厚さを除去の速度で除する、前記確立するための手段と
(f)残りのCMPの時間がなくなった後CMPを終了させるための手段とを備える請求項4に記載の装置。
【請求項8】 ウエハが最初は不均一な局所構造を有し、CMPの間に平坦化され、該出力するための手段によって出力されるデータ信号がウエハの表面が平坦化された後だけ周期的であり、終点検出器が更に、
(a)データ信号の周期的変化を検出するための手段と、
(b)該検出するための手段がデータ信号の周期的変化を検出したときにCMPを終了させるための手段とを備える請求項4に記載の装置。
【請求項9】 酸化物層の下に半導体基板を備えるウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)のための方法であって、該方法は、
(a)ウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、該回転可能な研磨ヘッドの下の研磨パッドに対して保持するステップであって、該パッドは研磨スラリによってウェットとなっている、該保持するステップと、
(b)CMPが終了した終点を決定するステップであって、該終点を決定するステップは、
(b1)レーザービームをウエハに向けて発するステップであって、該レーザービームは、プラーテン内に形成されたホール(孔)に近接するように配置された該研磨パッドに含まれるウィンドウを通過し、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え、
該ウィンドウは、ウエハが該ウィンドウの上にあるときの時間の一部の間レーザービームのための通路を与える、該発するステップと、
(b2)ウエハから反射する光を検出するステップとを備える前記決定するステップとを備える方法。
【請求項10】 該決定するステップが、ウィンドウがウエハに近接してレーザービームが妨害されずにウィンドウを通過してウエハに入射するときを感知するステップを備える請求項9に記載の方法。
【請求項11】 (a)該検出するステップが、ウエハから反射される光が検出される毎に検出信号を発生するステップを備え、
(b)該感知するステップが、該レーザー干渉計によって発生するレーザービームが妨害されずに該ウィンドウを通過して該ウエハに入射できるように、ウィンドウがウエハに近接する毎に感知信号を出力するステップを備え、
(c)該決定するステップが、データ取得のステップを備え、該データ取得のステップが、
(c1)感知信号の期間のためにレーザー干渉計から検出信号をサンプリングするステップと、
(c2)サンプリングされた検出信号を代表するデータ信号を出力するステップとを備える請求項10に記載の方法。
【請求項12】 該データ取得のステップが更に、
(a)所定の期間の間の時間にわたって、サンプリングされた検出信号を積分するステップを備え、
(b)該出力するステップが、検出信号の積分サンプルを代表するデータ信号を出力するステップを備える請求項11に記載の方法。
【請求項13】 データ信号が周期的であり、且つ、該決定のステップが更に、
(a)データ信号によって現れるサイクルの数を計数するステップと、
(b)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、データ信号の1サイクル中に除去される材料の厚さを計算するステップと、
(c)酸化物層から除去されるべき材料の所望の厚さを、該計数するための該手段によりデータ信号により現れたサイクルの数と、該計算するための該手段から1サイクル中に除去される材料の厚さとの積である、除去厚さと比較するステップと、
(d)該除去厚さが、除去されるべき材料の所望の厚さ以上になったときにCMPを終了させるためのステップとを備える請求項11に記載の方法。
【請求項14】 データ信号が周期的であり、且つ、該決定のステップが更に、
(a)(i)所定のサイクルの数又は(ii)1サイクルの所定の部分の一方を完結するためにデータ信号により要求される時間を測定するステップと、
(b)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、該測定するための該手段によって測定される時間の間に除去される材料の厚さを計算するステップと、
(c)除去される材料の厚さを測定された時間で除して除去の速度を算出するステップと、
(d)酸化物層から除去されるべき所望の材料の厚さから、除去された材料の厚さを減じて、残りの除去厚さを確定するステップと、
(e)残りの除去厚さを除去の速度で除して、残りのCMP時間を確立するステップと、
(f)残りのCMPの時間がなくなった後CMPを終了させるステップとを備える請求項11に記載の方法。
【請求項15】 ウエハが最初は不均一な局所構造を有し、CMPの間に平坦化され、該出力するための手段によって出力されるデータ信号がウエハの表面が平坦化された後だけ周期的であり、該決定するステップが更に、
(a)データ信号の周期的変化をサーチするステップと、
(b)データ信号に周期的変化が見つけられたときにCMPを終了させるステップとを備える請求項11に記載の方法。
【請求項16】 ウエハが最初は不均一な局所構造を有し、CMPの間に平坦化され、該出力するための手段によって出力されるデータ信号がウエハの表面が平坦化された後だけ周期的であり、該決定するステップが更に、
(a)データ信号をフィルタにかけて、所定の周波数を有している成分だけを通過させるステップと、
(b)フィルタがかけられたデータ信号によって現れるサイクルの数を計数するステップと、
(c)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、データ信号の1サイクル中に除去される材料の厚さを計算するステップと、
(d)酸化物層から除去されるべき材料の所望の厚さを、フィルタがかけられたデータ信号により現れたサイクルの数と、1サイクルの間に除去される材料の厚さとの積である、除去厚さと比較するステップと、
(e)該除去厚さが、除去されるべき材料の所望の厚さ以上になったときにCMPを終了させるためのステップとを備える請求項11に記載の方法。
【請求項17】 ウエハが最初は不均一な局所構造を有し、CMPの間に平坦化され、該出力するための手段によって出力されるデータ信号がウエハの表面が平坦化された後だけ周期的であり、該決定するステップが更に、
(a)データ信号をフィルタにかけて、所定の周波数を有している成分だけを通過させるステップと、
(b)フィルタがかけられたデータ信号によって現れるサイクルの一部が生じる数を計数するステップと、
(c)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、データ信号のサイクルの一部の間に除去される材料の厚さを計算するステップと、
(d)酸化物層から除去されるべき材料の所望の厚さを、フィルタがかけられたデータ信号により現れたサイクルの一部が生じる数と、サイクルの一部の間に除去される材料の厚さとの積である、除去厚さと比較するステップと、
(e)該除去厚さが、除去されるべき材料の所望の厚さ以上になったときにCMPを終了させるためのステップとを備える請求項11に記載の方法。
【請求項18】 基板上の表面層の状態の均一性を、前記層の研磨の最中に測定するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ光ビームを向けるステップであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記光ビームによって生じる干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するステップとを備える方法。
【請求項19】 前記計算するステップが、前記干渉信号から特徴情報を抽出するステップと、前記抽出された特徴情報から表面層の状態の均一性の前記尺度を計算するステップとを備える請求項18に記載の方法。
【請求項20】 表面層の状態の均一性の前記尺度を参考値と比較するステップと、表面層の状態の均一性の前記尺度が該参考値から所定の量以上広がったときに警告を発するステップとを更に備える請求項19に記載の方法。
【請求項21】 前記干渉信号が低周波数成分を含み、前記抽出するステップが、前記低周波数成分の第1の特性を測定するステップと、前記第1の特性から前記抽出された情報を誘導するステップとを備える請求項19に記載の方法。
【請求項22】 前記干渉計信号が高周波成分を含み、前記抽出するステップが、前記高周波数成分の第2の特性を測定するステップと、前記第1の特性及び前記第2の特性から前記抽出された情報を誘導するステップと、を備える請求項21に記載の方法。
【請求項23】 前記第1の特性が前記低周波数信号の振幅であり、前記第2の特性が前記高周波数信号の振幅であり、前記誘導するステップが、前記高周波信号の振幅と前記低周波信号の振幅との比を計算するステップを備える請求項22に記載の方法。
【請求項24】 層を自身の上に有する基板を研磨するための研磨プロセスの特性を評価するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ光ビームを向けるステップであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記光ビームによって発生する干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から干渉計波形を抽出するステップと、
(d)前記抽出された干渉計波形を保存されている情報と比較するステップであって、前記保存されている情報は、該研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、前記比較するステップと、
(e)前記抽出された干渉計波形が前記保存されている情報から所定の量以上広がったとき、警告を発するステップとを備える方法。
【請求項25】 干渉信号を、オペレータが見ることができるように、視覚的なディスプレイ装置上に表示するステップを更に備える請求項24に記載の方法。
【請求項26】 前記抽出するステップが、前記干渉信号から研磨速度を決定するステップと、前記干渉信号から均一性の尺度を決定するステップと、を備え、前記比較するステップが、前記研磨速度及び均一性の前記尺度を前記保存されている情報と比較するステップを備える請求項24に記載の方法。
【請求項27】 基板研磨システムであって、
(a)処理中に、中実な透明ウィンドウを有する研磨パッドを保持するプラーテンであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)処理中に、前記研磨パッドの前記ウィンドウを通して、研磨されるべき基板の側部に向けられ且つ入射するコリメートされた光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は干渉信号を発生する、前記干渉計と、
(d)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するようにプログラミングされたデータプロセッサとを備える研磨システム。
【請求項28】 前記研磨ヘッドが、処理中に回転できるように、回転可能となっている請求項27に記載の研磨システム。
【請求項29】 前記プラーテンが、処理中に回転できるように、回転可能となっている請求項28に記載の研磨システム。
【請求項30】 前記干渉計が、レーザー干渉計である請求項29に記載の研磨システム。
【請求項31】 前記データプロセッサが更に、前記干渉信号から特徴情報を抽出することと、前記抽出された特徴情報から均一性の前記尺度を計算することと、をプログラミングされている請求項29に記載の研磨システム。
【請求項32】 前記データプロセッサが更に、均一性の前記尺度を参考値と比較することと、均一性の前記尺度が該参考値から所定の量以上広がったときに警告を発することと、をプログラミングされている請求項31に記載の研磨システム。
【請求項33】 前記干渉信号が低周波数成分を含み、前記データプロセッサが、前記低周波数成分の第1の特性を測定することと、前記第1の特性から前記抽出された情報を誘導することと、により特徴情報を抽出するようにプログラミングされている請求項32に記載の研磨システム。
【請求項34】 前記干渉信号が高周波数成分を含み、前記データプロセッサが、前記高周波数成分の第2の特性を測定することと、前記第2の特性から前記抽出された情報を誘導することと、により特徴情報を抽出するようにプログラミングされている請求項33に記載の研磨システム。
【請求項35】 前記第1の特性が前記低周波数信号の振幅であり、前記第2の特性が前記高周波数信号の振幅であり、前記データプロセッサが、前記高周波信号の振幅と前記低周波信号の振幅との比を計算することにより特徴情報を抽出するようにプログラミングされている請求項34に記載の研磨システム。
【請求項36】 基板を研磨するための装置であって、前記装置は、
(a)処理中に研磨パッドを保持するプラーテンであって、前記プラーテンは内部に通路を有する、前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)コリメートされた光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は、少なくとも研磨操作の一部の間に前記光ビームを前記通路に向け前記基板上に入射するように、配置される、前記干渉計と、
(d)前記研磨パッドに含まれ、前記ホールないし通路と調心され且つ基板へと通過する光ビームが通るウィンドウであって、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え、
干渉計から到達する光ビームを受容する散乱面を有する、前記ウィンドウとを備える装置。
【請求項37】 前記プラーテン上に載置される研磨パッドを更に備え、前記ウィンドウは、前記研磨パッド内に形成され前記通路と調心される請求項36に記載の装置。
【請求項38】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、干渉計からの光に対して透過性を有し、散乱底面を有すると共に、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備える、
研磨パッド。
【請求項39】 基板を研磨するための装置であって、前記装置は、
(a)処理中に研磨パッドを保持するプラーテンであり、前記プラーテンは、中実な透明ウィンドウを有し、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)コリメートされた光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は、少なくとも研磨操作の一部の間に前記光ビームを前記ウィンドウに向け前記基板上に入射するように配置されて、研磨プロセスのインシチュウによるモニタリングを与える、前記干渉計と、
(d)前記干渉計からの周期信号を解析し、該周期信号から研磨の終点を検出するプロセッサとを備える装置。
【請求項40】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、前記研磨面を与える第2の非透過性部分とを備える、研磨パッド。
【請求項41】 該第1の透過性部分が、中実なポリウレタンである請求項40に記載の研磨パッド。
【請求項42】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、該第2の非透過性部分が、添加物を有するポリウレタンである、研磨パッド。
【請求項43】 該添加物が微粒子を有することで、該第2の部分がマイクロポーラス構造を有するようにする請求項42に記載の研磨パッド。
【請求項44】 該第2の非透過性部分が、オープンセルの構造を有する請求項40に記載の研磨パッド。
【請求項45】 該第1の透過性部分が、該研磨面とほぼ共面の上面を有する請求項40に記載の研磨パッド。
【請求項46】 該研磨面と反対側に底面を更に有する請求項40に記載の研磨パッド。
【請求項47】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、該第1の透過性部分とほぼ調心されたアパーチャが底面に形成される、研磨パッド。
【請求項48】 研磨パッドが、研磨面を有する第1の層と、研磨面と反対側の第2の層とを有する請求項40に記載の研磨パッド。
【請求項49】 該第1の透過性部分が、第1の層に形成される請求項48に記載の研磨パッド。
【請求項50】 第1の層の該透過性部分とほぼ調心されたアパーチャが第2の層に形成される請求項48に記載の研磨パッド。
【請求項51】 研磨パッドが、自身に形成されたアパーチャを有し、透過性部分がアパーチャ内に位置をとるプラグを備える請求項40に記載の研磨パッド。
【請求項52】 基板を研磨するための装置であって、
(a)透過性のない研磨面と中実な透過性のウィンドウを有する研磨パッドであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記研磨パッドと、
(b)基板を研磨面に対して保持するための研磨ヘッドと、
(c)ウィンドウを通過して基板に入射する光ビームを発生するための光源と、基板より反射された光を測定する検出器とを有する終点検出システムとを備える装置。」

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無
(1) 訂正事項1について
請求項1に係る訂正事項1のうち、「研磨パッド」を「発泡材料からなる表面を有する研磨パッド」に訂正し、かつ、「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備える、前記研磨パッド」を「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備える、前記研磨パッド」に訂正することは、研磨パッドの構造を特定し、ウィンドウの択一的記載を1つのものと限定し、かつ、プラグを「中実な材料からなる」と材料を特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであることは明らかであり、また、特許明細書の段落【0003】に「カバー層22は、通例は、オープンセル発泡ウレタン(例えばRodel IC1000)又はグルーブのある表面を有するポリウレタンシート(例えばRodel EX2000)である。」と通常研磨パッドが発泡材料からなることが記載され、段落【0029】に「この具体例では、プラーテンホール30の上の領域における典型的なパッド材料は、中実な(ソリッドな)ポリウレタンプラグ42に置き換えられる。」と記載されていることから、研磨パッド及びプラグを特定する上記訂正は、新規事項の追加には該当しない。
以上のとおり、訂正事項1は、全体として特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新規事項の追加には該当しないものである。
(2) 訂正事項2について
請求項2に係る訂正事項2は、訂正前には請求項1に従属する形式で記載されていた請求項2を独立の形式に変更したものであって、発明の特定事項自体に変更はない。
(3) 訂正事項3について
請求項3に係る訂正事項3は、訂正前には請求項1に従属する形式で記載されていた請求項3を独立の形式に変更したものであって、発明の特定事項自体に変更はない。
(4) 訂正事項4について
請求項9に係る訂正事項4のうち、「パッド」を「発泡材料からなる表面を有し」という限定を加え、かつ、「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え、」を「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え、」に訂正することは、研磨パッドの構造を特定し、ウィンドウの択一的記載を1つのものと限定し、かつ、プラグを「中実な材料からなる」と材料を特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであることは明らかであり、また、特許明細書の段落【0003】に「カバー層22は、通例は、オープンセル発泡ウレタン(例えばRodel IC1000)又はグルーブのある表面を有するポリウレタンシート(例えばRodel EX2000)である。」と通常研磨パッドが発泡材料からなることが記載され、段落【0029】に「この具体例では、プラーテンホール30の上の領域における典型的なパッド材料は、中実な(ソリッドな)ポリウレタンプラグ42に置き換えられる。」と記載されていることから、研磨パッド及びプラグを特定する上記訂正は、新規事項の追加には該当しない。
以上のとおり、訂正事項4は、全体として特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新規事項の追加には該当しないものである。
(5) 訂正事項5について
請求項10に係る訂正事項5は、訂正前には請求項9に従属する形式で記載されていた請求項10を独立の形式に変更したものであって、発明の特定事項自体に変更はない。
(6) 訂正事項6について
請求項18に係る訂正事項6のうち、「ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において」という限定を加え、「研磨パッド」を「発泡材料からなる表面を有する研磨パッド」と訂正し、かつ、「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、」を「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え、」に訂正し、光ビームを向けるステップに関して「前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」という限定を加えることは、方法自体を「ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)」であると特定し、研磨パッドの構造を特定し、ウィンドウの択一的記載を1つのものと限定し、かつ、プラグを「中実な材料からなる」と材料を特定し、光ビームを向けるステップを「ウエハがウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであることは明らかであり、また、特許明細書の段落【0006】に「本発明は、研磨プロセスに関して正確性を向上し更に有用な情報を与えるために用いる事ができる終点の検出器及び方法を目指すものである。本発明の装置及び方法は、CMPプロセスの最中に、除去された材料の厚さ又はウエハ表面の平坦度をインシチュウに決定するための、干渉による技術を採用する。」とウエハのCMPに関する方法であることが記載され、段落【0003】に「カバー層22は、通例は、オープンセル発泡ウレタン(例えばRodel IC1000)又はグルーブのある表面を有するポリウレタンシート(例えばRodel EX2000)である。」と通常研磨パッドが発泡材料からなることが記載され、段落【0029】に「この具体例では、プラーテンホール30の上の領域における典型的なパッド材料は、中実な(ソリッドな)ポリウレタンプラグ42に置き換えられる。」と記載され、段落【0007】に「このウィンドウは、少なくともウエハがウィンドウの上方にある間は、ウエハに入射するレーザー光のための通路の役割を果たす。」と記載されていることから、研磨パッド及びプラグを特定し、方法をウエハのCMPであると特定し、光ビームを向けるステップをウエハがウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与えると特定する上記訂正は、新規事項の追加には該当しない。
以上のとおり、訂正事項6は、全体として特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新規事項の追加には該当しないものである。
(7) 訂正事項7について
請求項19ないし23に係る訂正事項7は、当該請求項自体の文言の変更はないものの、請求項19ないし23が最終的に引用している独立請求項である請求項18が減縮されたものであるから、請求項19ないし23については、それぞれ減縮されたものであることは明らかである。
そして、訂正前の請求項19ないし23については新規事項を有さないものであるので、新規事項を含むことなく減縮された請求項18を引用する請求項19ないし23が新規事項を有さないことは明らかである。
以上のとおり、訂正事項7は、それぞれ、特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新規事項の追加には該当しないものである。
(8) 訂正事項8について
請求項24に係る訂正事項8のうち、「ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において」という限定を加え、「研磨パッド」を「発泡材料からなる表面を有する研磨パッド」と訂正し、かつ、「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」を「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える」に訂正し、光ビームを向けるステップに関して「前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」という限定を加えることは、方法自体を「ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)」であると特定し、研磨パッドの構造を特定し、ウィンドウの択一的記載を1つのものと限定し、かつ、プラグを「中実な材料からなる」と材料を特定し、光ビームを向けるステップを「ウエハがウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであることは明らかであり、また、特許明細書の段落【0006】に「本発明は、研磨プロセスに関して正確性を向上し更に有用な情報を与えるために用いる事ができる終点の検出器及び方法を目指すものである。本発明の装置及び方法は、CMPプロセスの最中に、除去された材料の厚さ又はウエハ表面の平坦度をインシチュウに決定するための、干渉による技術を採用する。」とウエハのCMPに関する方法であることが記載され、段落【0003】に「カバー層22は、通例は、オープンセル発泡ウレタン(例えばRodel IC1000)又はグルーブのある表面を有するポリウレタンシート(例えばRodel EX2000)である。」と通常研磨パッドが発泡材料からなることが記載され、段落【0029】に「この具体例では、プラーテンホール30の上の領域における典型的なパッド材料は、中実な(ソリッドな)ポリウレタンプラグ42に置き換えられる。」と記載され、段落【0007】に「このウィンドウは、少なくともウエハがウィンドウの上方にある間は、ウエハに入射するレーザー光のための通路の役割を果たす。」と記載されていることから、研磨パッド及びプラグを特定し、方法をウエハのCMPであると特定し、光ビームを向けるステップをウエハがウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与えると特定する上記訂正は、新規事項の追加には該当しない。
以上のとおり、訂正事項8は、全体として特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新規事項の追加には該当しないものである。
(9) 訂正事項9について
請求項25に係る訂正事項9は、当該請求項自体の文言の変更はないものの、請求項25が引用している独立請求項である請求項24が減縮されたものであるから、請求項25については、減縮されたものであることは明らかである。
そして、訂正前の請求項25については新規事項を有さないものであるので、新規事項を含むことなく減縮された請求項24を引用する請求項25が新規事項を有さないことは明らかである。
以上のとおり、訂正事項9は、特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新規事項の追加には該当しないものである。
(10) 訂正事項10について
請求項26に係る訂正事項10は、訂正前には請求項24に従属する形式で記載されていた請求項26を独立の形式に変更したものであって、発明の特定事項自体に変更はない。
(11) 訂正事項11について
請求項27に係る訂正事項11のうち、基板研磨システムについて「ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための」という限定を加え、「研磨パッド」を「発泡材料からなる表面を有する研磨パッド」と訂正し、かつ、「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える」を「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」に訂正し、プラーテンに関して「前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」という限定を加えることは、研磨システム自体を「ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行う」ものであると特定し、研磨パッドの構造を特定し、ウィンドウの択一的記載を1つのものと限定し、かつ、プラグを「中実な材料からなる」と材料を特定し、プラーテンを「ウエハがウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであることは明らかであり、また、特許明細書の段落【0006】に「本発明は、研磨プロセスに関して正確性を向上し更に有用な情報を与えるために用いる事ができる終点の検出器及び方法を目指すものである。本発明の装置及び方法は、CMPプロセスの最中に、除去された材料の厚さ又はウエハ表面の平坦度をインシチュウに決定するための、干渉による技術を採用する。」とウエハのCMPに関する研磨システムであることが記載され、段落【0003】に「カバー層22は、通例は、オープンセル発泡ウレタン(例えばRodel IC1000)又はグルーブのある表面を有するポリウレタンシート(例えばRodel EX2000)である。」と通常研磨パッドが発泡材料からなることが記載され、段落【0029】に「この具体例では、プラーテンホール30の上の領域における典型的なパッド材料は、中実な(ソリッドな)ポリウレタンプラグ42に置き換えられる。」と記載され、段落【0007】に「このウィンドウは、少なくともウエハがウィンドウの上方にある間は、ウエハに入射するレーザー光のための通路の役割を果たす。」と記載されていることから、研磨パッド及びプラグを特定し、方法をウエハのCMPであると特定し、プラーテンをウエハがウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与えると特定する上記訂正は、新規事項の追加には該当しない。
以上のとおり、訂正事項11は、全体として特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新規事項の追加には該当しないものである。
(12) 訂正事項12について
請求項28ないし32に係る訂正事項12は、当該請求項自体の文言の変更はないものの、請求項28ないし32が最終的に引用している独立請求項である請求項27が減縮されたものであるから、請求項28ないし32については、それぞれ減縮されたものであることは明らかである。
そして、訂正前の請求項28ないし32については新規事項を有さないものであるので、新規事項を含むことなく減縮された請求項27を引用する請求項28ないし32が新規事項を有さないことは明らかである。
以上のとおり、訂正事項12は、それぞれ、特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新規事項の追加には該当しないものである。
(13) 訂正事項13について
請求項33に係る訂正事項13は、訂正前には請求項32に従属する形式で記載されていた請求項33を独立の形式に変更したものであって、訂正前の請求項33が最終的に引用する独立請求項である訂正前の請求項27の発明特定事項をすべて含み、かつ、訂正前の請求項28、29、31、32、33の発明特定事項のすべてを含むことから、発明の特定事項自体に変更はない。
(14) 訂正事項14について
請求項39に係る訂正事項14は、「基板を研磨するための装置」を「ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置」と訂正し、「前記プラーテンは、中実な透明ウィンドウを有し」を「前記パッドは、発泡材料からなる表面と中実な透明ウィンドウを有し」と訂正し、かつ、「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える」を「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備えて」に訂正し、プラーテンに関して「ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」という限定を加えるものであるが、基板を研磨することを「ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行う」ものであると特定し、パッドの構造を特定し、ウィンドウの択一的記載を1つのものと限定し、かつ、プラグを「中実な材料からなる」と材料を特定し、プラーテンを「ウエハがウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであることは明らかである。ここで、訂正前に「前記プラーテンは、中実な透明ウィンドウを有し」とあるのを、訂正後に「前記パッドは、・・・中実な透明ウィンドウを有し」とすることにより、中実な透明ウィンドウを有する部材をプラーテンからパッドに変更しているが、訂正前には、「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって・・・(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって」と、ウィンドウがパッドに形成されたものであるか、パッドの一部であることは特定されていたものである。してみると、「前記プラーテンは、中実な透明ウィンドウを有し」とあるのを、「前記パッドは、・・・中実な透明ウィンドウを有し」と訂正することは、ウィンドウがパッドに形成されたものであることとを整合させたものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的としていることは明らかである。
また、新規事項の追加に該当するかどうかに関して、特許明細書の段落【0006】に「本発明は、研磨プロセスに関して正確性を向上し更に有用な情報を与えるために用いる事ができる終点の検出器及び方法を目指すものである。本発明の装置及び方法は、CMPプロセスの最中に、除去された材料の厚さ又はウエハ表面の平坦度をインシチュウに決定するための、干渉による技術を採用する。」とウエハのCMPに関する研磨システムであることが記載され、段落【0003】に「カバー層22は、通例は、オープンセル発泡ウレタン(例えばRodel IC1000)又はグルーブのある表面を有するポリウレタンシート(例えばRodel EX2000)である。」と通常研磨パッドが発泡材料からなることが記載され、段落【0029】に「この具体例では、プラーテンホール30の上の領域における典型的なパッド材料は、中実な(ソリッドな)ポリウレタンプラグ42に置き換えられる。」と記載され、段落【0007】に「このウィンドウは、少なくともウエハがウィンドウの上方にある間は、ウエハに入射するレーザー光のための通路の役割を果たす。」と記載されていることから、研磨パッド及びプラグを特定し、方法をウエハのCMPであると特定し、プラーテンをウエハがウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与えると特定する上記訂正は、新規事項の追加には該当しない。
以上のとおり、訂正事項14は、全体として特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新規事項の追加には該当しないものである。
(15) 訂正事項15について
請求項40に係る訂正事項15のうち、「研磨面」を「発泡材料からなる研磨面」と訂正し、かつ、ウィンドウに関して「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え」を「該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光に対して透過性を有する前記プラグを備え」に訂正し、ウィンドウに関して「ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与える」という限定を加えることは、研磨面の構造を特定し、ウィンドウの択一的記載を1つのものと限定し、かつ、プラグを「中実な材料からなる」と材料を特定し、ウィンドウを「ウエハがウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与える」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであることは明らかであり、また、段落【0003】に「カバー層22は、通例は、オープンセル発泡ウレタン(例えばRodel IC1000)又はグルーブのある表面を有するポリウレタンシート(例えばRodel EX2000)である。」と通常研磨面が発泡材料からなることが記載され、段落【0029】に「この具体例では、プラーテンホール30の上の領域における典型的なパッド材料は、中実な(ソリッドな)ポリウレタンプラグ42に置き換えられる。」と記載され、段落【0007】に「このウィンドウは、少なくともウエハがウィンドウの上方にある間は、ウエハに入射するレーザー光のための通路の役割を果たす。」と記載されていることから、研磨パッド及びプラグを特定し、ウエハがウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与えると特定する上記訂正は、新規事項の追加には該当しない。
以上のとおり、訂正事項15は、全体として特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新規事項の追加には該当しないものである。
(16) 訂正事項16について
請求項41に係る訂正事項16は、訂正前には請求項40に従属する形式で記載されていた請求項41を独立の形式に変更したものであって、訂正前の請求項41の発明特定事項をすべて含み、かつ、訂正前の請求項40の発明特定事項のすべてを含むことから、発明の特定事項自体に変更はない。
(17) 訂正事項17について
請求項42に係る訂正事項17のうち、「研磨面」を「発泡材料からなる研磨面」と訂正し、かつ、ウィンドウに関して「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え」を「該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え」に訂正し、「ポリウレタン」を「発泡ポリウレタン」と訂正し、ウィンドウに関してさらに「ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与える」という限定を加えることは、研磨面の構造を特定し、ウィンドウの択一的記載を1つのものと限定し、かつ、プラグを「中実な材料からなる」と材料を特定し、ポリウレタンを「発泡」したものであると限定し、ウィンドウを「ウエハがウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与える」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであることは明らかであり、また、段落【0003】に「カバー層22は、通例は、オープンセル発泡ウレタン(例えばRodel IC1000)又はグルーブのある表面を有するポリウレタンシート(例えばRodel EX2000)である。」と通常研磨面が発泡材料からなることが記載され、段落【0029】に「この具体例では、プラーテンホール30の上の領域における典型的なパッド材料は、中実な(ソリッドな)ポリウレタンプラグ42に置き換えられる。」と記載され、段落【0007】に「このウィンドウは、少なくともウエハがウィンドウの上方にある間は、ウエハに入射するレーザー光のための通路の役割を果たす。」と記載されていることから、研磨パッド及びプラグを特定し、ウエハがウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与えると特定する上記訂正は、新規事項の追加には該当しない。
以上のとおり、訂正事項17は、全体として特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新規事項の追加には該当しないものである。
(18) 訂正事項18について
請求項43ないし44に係る訂正事項18は、当該請求項自体の文言の変更はないものの、請求項43が引用している独立請求項である請求項42が減縮されたものであり、請求項44が引用している独立請求項である請求項40が減縮されているから、請求項43ないし44については、それぞれ減縮されたものであることは明らかである。
そして、訂正前の請求項43ないし44については新規事項を有さないものであるので、新規事項を含むことなく減縮された請求項42及び40を引用する請求項43及び44が新規事項を有さないことは明らかである。
以上のとおり、訂正事項18は、それぞれ、特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新規事項の追加には該当しないものである。
(19) 訂正事項19について
請求項45に係る訂正事項19は、訂正前には請求項40に従属する形式で記載されていた請求項45を独立の形式に変更したものであって、訂正前の請求項40の発明特定事項をすべて含み、かつ、訂正前の請求項45の発明特定事項のすべてを含み、さらに、「研磨面」を「発泡材料からなる研磨面」と研磨面を限定する訂正をし、かつ、ウィンドウに関して「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え」を「該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え」と、択一的記載を1つのものと限定してプラグの材料を限定する訂正をし、ウィンドウに関して「ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与える」という限定を加えるものであるので、特許請求の範囲の減縮に該当する。
また、段落【0003】に「カバー層22は、通例は、オープンセル発泡ウレタン(例えばRodel IC1000)又はグルーブのある表面を有するポリウレタンシート(例えばRodel EX2000)である。」と通常研磨面が発泡材料からなることが記載され、段落【0029】に「この具体例では、プラーテンホール30の上の領域における典型的なパッド材料は、中実な(ソリッドな)ポリウレタンプラグ42に置き換えられる。」と記載され、段落【0007】に「このウィンドウは、少なくともウエハがウィンドウの上方にある間は、ウエハに入射するレーザー光のための通路の役割を果たす。」と記載されていることから、研磨パッド及びプラグを特定し、ウエハがウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与えると特定する上記訂正は、新規事項の追加には該当しない。
以上のとおり、訂正事項19は、全体として特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新規事項の追加には該当しないものである。
(20) 訂正事項20について
請求項46、48、49、及び51に係る訂正事項20は、当該請求項自体の文言の変更はないものの、請求項46、48、49、51が最終的に引用している独立請求項である請求項40が減縮されたものであるから、請求項46、48、49、及び51については、それぞれ減縮されたものであることは明らかである。
そして、訂正前の請求項46、48、49、及び51については新規事項を有さないものであるので、新規事項を含むことなく減縮された請求項40を最終的に引用する請求項46、48、49、及び51が新規事項を有さないことは明らかである。
以上のとおり、訂正事項20は、それぞれ、特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新規事項の追加には該当しないものである。
(21) 訂正事項21について
請求項50に係る訂正事項21は、訂正前には請求項48に従属する形式で記載されていた請求項50を独立の形式に変更したものであって、訂正前の請求項48の発明特定事項をすべて含み、かつ、訂正前の請求項48が引用する請求項40の発明特定事項のすべてを含むことから、発明の特定事項自体に変更はない。
(22) 訂正事項22について
請求項52に係る訂正事項22のうち、「透過性のない研磨面」を「発泡材料からなり透過性のない研磨面」と訂正し、かつ、ウィンドウに関して「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える」を「前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える」に訂正し、ウィンドウに関してさらに「ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」という限定を加えることは、研磨面の構造を特定し、ウィンドウの択一的記載を1つのものと限定し、さらに、ウィンドウを「ウエハがウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであることは明らかであり、また、段落【0003】に「カバー層22は、通例は、オープンセル発泡ウレタン(例えばRodel IC1000)又はグルーブのある表面を有するポリウレタンシート(例えばRodel EX2000)である。」と通常研磨面が発泡材料からなることが記載され、段落【0007】に「このウィンドウは、少なくともウエハがウィンドウの上方にある間は、ウエハに入射するレーザー光のための通路の役割を果たす。」と記載されていることから、研磨パッド及びプラグを特定し、ウエハがウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与えると特定する上記訂正は、新規事項の追加には該当しない。
以上のとおり、訂正事項22は、全体として特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新規事項の追加には該当しないものである。
3.特許請求の範囲を実質的に拡張するものであるかについて
訂正事項1ないし22については、いずれも、特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではないことは明らかである。

4.独立特許要件について
本件無効審判における平成21年10月14日付け審決では、特許第3431115号の請求項1、9、18ないし20、24ないし25、27ないし32、39ないし40、42ないし46、48ないし49、51ないし52に係る発明についての特許を無効としているのに対して、平成22年7月30日付けの平成22年(行ケ)第10061号の決定では、「特許第3431115号の請求項1、9、18ないし20、24ないし25、27ないし32、39ないし40、42ないし46、48ないし49、51ないし52に係る発明についての特許を無効とする。」との部分を取り消すとしている。それに対し、平成22年8月30日付けで本件無効審判の訂正請求とみなされた訂正請求では、実質的に特許請求の範囲の請求項1、9、18ないし25、27ないし32、39、40、42ないし46、48、49、51、52について変更している。そうすると、請求項21ないし23に係る特許発明については、無効理由は存在しないと審決されている状態で訂正されていることになるので、さらに独立特許要件について判断しなければならない。
しかしながら、本件無効審判では、請求項21ないし23を含めて無効審判が請求されているものであるから、上記「無効理由がない」と判断された請求項21ないし23についても、他の請求項とともに、無効理由があるかどうかを判断することもできる。
したがって、ここでは、請求項21ないし23について独立特許要件を判断せずに、「第7 当審の判断」の中で、合わせて判断することとする。

5.むすび
以上のとおりであるから、実質的に請求項1、9、18ないし25、27ないし32、39、40、42ないし46、48、49、51、52を変更する訂正である訂正事項1ないし22については、特許法第134条の2第1項ただし書きに適合し、特許法第134条の2第5項の規定により準用する同法第126条第3項及び第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。


第3 本件特許の請求項1ないし52に係る発明
上記「第2」のとおり、平成22年8月30日になされたとみなされた訂正請求による訂正は認められたので、本件特許の訂正後の請求項1ないし52に係る発明(以下、「本件特許発明1」等という。)は、上記訂正請求による訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし52に記載された次のとおりのものである。
「 【請求項1】 ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、
(a)シャシに回転自在に設置され、ホール(孔)を自身に有する回転可能な研磨プラーテンと、
(b)プラーテンに設置され、研磨スラリによりウェットで、プラーテンのホールと調心されたウィンドウを有する、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備える、前記研磨パッドと、
(c)研磨パッドに対してウエハを保持するための、回転可能な研磨ヘッドであって、このウエハが酸化物層の下の半導体基板を備える、前記研磨ヘッドと、
(d)ウエハへ向けてレーザービームを発生させることが可能であり且つウエハ及びホール(孔)から反射されてくる光を検出することが可能なレーザー干渉計を有する終点検出器とを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間にレーザービームをウエハへ入射させるための通路を与える装置。
【請求項2】 ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、
(a)シャシに回転自在に設置され、ホール(孔)を自身に有する回転可能な研磨プラーテンと、
(b)プラーテンに設置され、研磨スラリによりウェットで、プラーテンのホールと調心されたウィンドウを有する研磨パッドであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備える、前記研磨パッドと、
(c)研磨パッドに対してウエハを保持するための、回転可能な研磨ヘッドであって、このウエハが酸化物層の下の半導体基板を備える、前記研磨ヘッドと、
(d)ウエハへ向けてレーザービームを発生させることが可能であり且つウエハ及びホール(孔)から反射されてくる光を検出することが可能なレーザー干渉計を有する終点検出器とを備え、該プラーテンの中の該ホールと該ウィンドウとが、該プラーテンの回転中心と一致する原点からある半径を有する円弧形状であり、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間にレーザービームをウエハへ入射させるための通路を与える装置。
【請求項3】 ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、
(a)シャシに回転自在に設置され、ホール(孔)を自身に有する回転可能な研磨プラーテンと、
(b)プラーテンに設置され、研磨スラリによりウェットで、プラーテンのホールと調心されたウィンドウを有する、研磨パッドであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備える、前記研磨パッドと、
(c)研磨パッドに対してウエハを保持するための、回転可能な研磨ヘッドであって、このウエハが酸化物層の下の半導体基板を備える、前記研磨ヘッドと、
(d)ウエハへ向けてレーザービームを発生させることが可能であり且つウエハ及びホール(孔)から反射されてくる光を検出することが可能なレーザー干渉計を有する終点検出器とを備え、該終点検出器が更に、レーザー干渉計によって発生するレーザービームが妨害されずに該ウィンドウを通過して該ウエハに入射するように、ウィンドウがウエハに近接しているときを感知するための位置センサを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間にレーザービームをウエハへ入射させるための通路を与える装置。
【請求項4】 (a)該レーザー干渉計が、ウエハから反射される光が検出される毎に検出信号を発生させるための手段を備え、
(b)該位置センサが、該レーザー干渉計によって発生するレーザービームが妨害されずに該ウィンドウを通過して該ウエハに入射できるように、ウィンドウがウエハに近接する毎に感知信号を出力するための手段を備え、
(c)該終点検出器が更に、該位置センサから信号を検知する期間のために該レーザー干渉計からの検出信号をサンプリングするための、該レーザー干渉計と該位置センサとに接続されたデータ取得手段を備え、該データ取得手段はサンプリングされた検出信号を代表するデータ信号を出力するための手段を備える請求項3に記載の装置。
【請求項5】 該データ取得手段が(a)該レーザー干渉計からサンプリングされた検出信号を所定の時間にわたって積分するための手段を備え、(b)該出力するための該手段は該検出信号の積分されたサンプルを代表するデータ信号を出力する請求項4に記載の装置。
【請求項6】 該出力するための該手段によって出力されるデータ信号が、周期的であり、且つ、該終点検出器が更に、
(a)データ信号によって現れるサイクルの数を計数するための手段と、
(b)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、データ信号の1サイクル中に除去される材料の厚さを計算するための手段と、
(c)酸化物層から除去されるべき材料の所望の厚さを、該計数するための該手段によりデータ信号により現れたサイクルの数と、該計算するための該手段から1サイクル中に除去される材料の厚さとの積である、除去厚さと比較するための手段と、
(d)該除去厚さが、除去されるべき材料の所望の厚さ以上になったときにCMPを終了させるための手段とを備える請求項4に記載の装置。
【請求項7】 該出力するための該手段によって出力されるデータ信号が周期的であり、且つ、該終点検出器が更に、
(a)(i)所定のサイクルの数又は(ii)1サイクルの所定の部分の一方のそれぞれが生じた後に、これらの一方を完結するためにデータ信号により要求される時間を測定するための手段と、
(b)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、該測定するための該手段によって測定される時間の間に除去される材料の厚さを計算するための手段と、
(c)除去の速度を算出するための手段であって、該算出するための該手段は、除去される材料の厚さを該測定するための該手段から得られる測定された時間で除する、該算出するための手段と、
(d)残りの除去厚さを確定するための手段であって、該確定するための該手段は、酸化物層から除去されるべき所望の材料の厚さから除去された材料の厚さの累積を減じ、前記除去された材料の厚さの累積は、(i)所定のサイクルの数又は(ii)1サイクルの所定の部分の一方のそれぞれが生じた後に、該計算するための該手段によって計算され、除去された材料の厚さを総和するための手段によって与えられる、前記確定するための手段と、
(e)残りのCMP時間を確立するための手段であって、前記確立するための前記手段は、残りの除去厚さを除去の速度で除する、前記確立するための手段と
(f)残りのCMPの時間がなくなった後CMPを終了させるための手段とを備える請求項4に記載の装置。
【請求項8】 ウエハが最初は不均一な局所構造を有し、CMPの間に平坦化され、該出力するための手段によって出力されるデータ信号がウエハの表面が平坦化された後だけ周期的であり、終点検出器が更に、
(a)データ信号の周期的変化を検出するための手段と、
(b)該検出するための手段がデータ信号の周期的変化を検出したときにCMPを終了させるための手段とを備える請求項4に記載の装置。
【請求項9】 酸化物層の下に半導体基板を備えるウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)のための方法であって、該方法は、
(a)ウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、該回転可能な研磨ヘッドの下の研磨パッドに対して保持するステップであって、該パッドは発泡材料からなる表面を有し、研磨スラリによってウェットとなっている、該保持するステップと、
(b)CMPが終了した終点を決定するステップであって、該終点を決定するステップは、
(b1)レーザービームをウエハに向けて発するステップであって、該レーザービームは、プラーテン内に形成されたホール(孔)に近接するように配置された該研磨パッドに含まれるウィンドウを通過し、
前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え、
該ウィンドウは、ウエハが該ウィンドウの上にあるときの時間の一部の間レーザービームのための通路を与える、該発するステップと、
(b2)ウエハから反射する光を検出するステップとを備える前記決定するステップとを備える方法。
【請求項10】 酸化物層の下に半導体基板を備えるウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)のための方法であって、該方法は、
(a)ウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、該回転可能な研磨ヘッドの下の研磨パッドに対して保持するステップであって、該パッドは研磨スラリによってウェットとなっている、該保持するステップと、
(b)CMPが終了した終点を決定するステップであって、該終点を決定するステップは、
(b1)レーザービームをウエハに向けて発するステップであって、該レーザービームは、プラーテン内に形成されたホール(孔)に近接するように配置された該研磨パッドに含まれるウィンドウを通過し、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え、該ウィンドウは、ウエハが該ウィンドウの上にあるときの時間の一部の間レーザービームのための通路を与える、該発するステップと、
(b2)ウエハから反射する光を検出するステップとを備える前記決定するステップとを備え、該決定するステップが、ウィンドウがウエハに近接してレーザービームが妨害されずにウィンドウを通過してウエハに入射するときを感知するステップを備える方法。
【請求項11】 (a)該検出するステップが、ウエハから反射される光が検出される毎に検出信号を発生するステップを備え、
(b)該感知するステップが、該レーザー干渉計によって発生するレーザービームが妨害されずに該ウィンドウを通過して該ウエハに入射できるように、ウィンドウがウエハに近接する毎に感知信号を出力するステップを備え、
(c)該決定するステップが、データ取得のステップを備え、該データ取得のステップが、
(c1)感知信号の期間のためにレーザー干渉計から検出信号をサンプリングするステップと、
(c2)サンプリングされた検出信号を代表するデータ信号を出力するステップとを備える請求項10に記載の方法。
【請求項12】 該データ取得のステップが更に、
(a)所定の期間の間の時間にわたって、サンプリングされた検出信号を積分するステップを備え、
(b)該出力するステップが、検出信号の積分サンプルを代表するデータ信号を出力するステップを備える請求項11に記載の方法。
【請求項13】 データ信号が周期的であり、且つ、該決定のステップが更に、
(a)データ信号によって現れるサイクルの数を計数するステップと、
(b)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、データ信号の1サイクル中に除去される材料の厚さを計算するステップと、
(c)酸化物層から除去されるべき材料の所望の厚さを、該計数するための該手段によりデータ信号により現れたサイクルの数と、該計算するための該手段から1サイクル中に除去される材料の厚さとの積である、除去厚さと比較するステップと、
(d)該除去厚さが、除去されるべき材料の所望の厚さ以上になったときにCMPを終了させるためのステップとを備える請求項11に記載の方法。
【請求項14】 データ信号が周期的であり、且つ、該決定のステップが更に、
(a)(i)所定のサイクルの数又は(ii)1サイクルの所定の部分の一方を完結するためにデータ信号により要求される時間を測定するステップと、
(b)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、該測定するための該手段によって測定される時間の間に除去される材料の厚さを計算するステップと、
(c)除去される材料の厚さを測定された時間で除して除去の速度を算出するステップと、
(d)酸化物層から除去されるべき所望の材料の厚さから、除去された材料の厚さを減じて、残りの除去厚さを確定するステップと、
(e)残りの除去厚さを除去の速度で除して、残りのCMP時間を確立するステップと、
(f)残りのCMPの時間がなくなった後CMPを終了させるステップとを備える請求項11に記載の方法。
【請求項15】 ウエハが最初は不均一な局所構造を有し、CMPの間に平坦化され、該出力するための手段によって出力されるデータ信号がウエハの表面が平坦化された後だけ周期的であり、該決定するステップが更に、
(a)データ信号の周期的変化をサーチするステップと、
(b)データ信号に周期的変化が見つけられたときにCMPを終了させるステップとを備える請求項11に記載の方法。
【請求項16】 ウエハが最初は不均一な局所構造を有し、CMPの間に平坦化され、該出力するための手段によって出力されるデータ信号がウエハの表面が平坦化された後だけ周期的であり、該決定するステップが更に、
(a)データ信号をフィルタにかけて、所定の周波数を有している成分だけを通過させるステップと、
(b)フィルタがかけられたデータ信号によって現れるサイクルの数を計数するステップと、
(c)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、データ信号の1サイクル中に除去される材料の厚さを計算するステップと、
(d)酸化物層から除去されるべき材料の所望の厚さを、フィルタがかけられたデータ信号により現れたサイクルの数と、1サイクルの間に除去される材料の厚さとの積である、除去厚さと比較するステップと、
(e)該除去厚さが、除去されるべき材料の所望の厚さ以上になったときにCMPを終了させるためのステップとを備える請求項11に記載の方法。
【請求項17】 ウエハが最初は不均一な局所構造を有し、CMPの間に平坦化され、該出力するための手段によって出力されるデータ信号がウエハの表面が平坦化された後だけ周期的であり、該決定するステップが更に、
(a)データ信号をフィルタにかけて、所定の周波数を有している成分だけを通過させるステップと、
(b)フィルタがかけられたデータ信号によって現れるサイクルの一部が生じる数を計数するステップと、
(c)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、データ信号のサイクルの一部の間に除去される材料の厚さを計算するステップと、
(d)酸化物層から除去されるべき材料の所望の厚さを、フィルタがかけられたデータ信号により現れたサイクルの一部が生じる数と、サイクルの一部の間に除去される材料の厚さとの積である、除去厚さと比較するステップと、
(e)該除去厚さが、除去されるべき材料の所望の厚さ以上になったときにCMPを終了させるためのステップとを備える請求項11に記載の方法。
【請求項18】 ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において、基板上の表面層の状態の均一性を、前記層の研磨の最中に測定するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ光ビームを向けるステップであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記光ビームによって生じる干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するステップとを備える方法。
【請求項19】 前記計算するステップが、前記干渉信号から特徴情報を抽出するステップと、前記抽出された特徴情報から表面層の状態の均一性の前記尺度を計算するステップとを備える請求項18に記載の方法。
【請求項20】 表面層の状態の均一性の前記尺度を参考値と比較するステップと、表面層の状態の均一性の前記尺度が該参考値から所定の量以上広がったときに警告を発するステップとを更に備える請求項19に記載の方法。
【請求項21】 前記干渉信号が低周波数成分を含み、前記抽出するステップが、前記低周波数成分の第1の特性を測定するステップと、前記第1の特性から前記抽出された情報を誘導するステップとを備える請求項19に記載の方法。
【請求項22】 前記干渉計信号が高周波成分を含み、前記抽出するステップが、前記高周波数成分の第2の特性を測定するステップと、前記第1の特性及び前記第2の特性から前記抽出された情報を誘導するステップと、を備える請求項21に記載の方法。
【請求項23】 前記第1の特性が前記低周波数信号の振幅であり、前記第2の特性が前記高周波数信号の振幅であり、前記誘導するステップが、前記高周波信号の振幅と前記低周波信号の振幅との比を計算するステップを備える請求項22に記載の方法。
【請求項24】 ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において、層を自身の上に有する基板を研磨するための研磨プロセスの特性を評価するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ光ビームを向けるステップであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記光ビームによって発生する干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から干渉計波形を抽出するステップと、
(d)前記抽出された干渉計波形を保存されている情報と比較するステップであって、前記保存されている情報は、該研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、前記比較するステップと、
(e)前記抽出された干渉計波形が前記保存されている情報から所定の量以上広がったとき、警告を発するステップとを備える方法。
【請求項25】 干渉信号を、オペレータが見ることができるように、視覚的なディスプレイ装置上に表示するステップを更に備える請求項24に記載の方法。
【請求項26】 層を自身の上に有する基板を研磨するための研磨プロセスの特性を評価するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ光ビームを向けるステップであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記光ビームによって発生する干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から干渉計波形を抽出するステップと、
(d)前記抽出された干渉計波形を保存されている情報と比較するステップであって、前記保存されている情報は、該研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、前記比較するステップと、
(e)前記抽出された干渉計波形が前記保存されている情報から所定の量以上広がったとき、警告を発するステップとを備え、前記抽出するステップが、前記干渉信号から研磨速度を決定するステップと、前記干渉信号から均一性の尺度を決定するステップと、を備え、前記比較するステップが、前記研磨速度及び均一性の前記尺度を前記保存されている情報と比較するステップを備える方法。
【請求項27】 ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための基板研磨システムであって、
(a)処理中に、中実な透明ウィンドウを有する発泡材料からなる表面を有する研磨パッドを保持するプラーテンであり、
前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)処理中に、前記研磨パッドの前記ウィンドウを通して、研磨されるべき基板の側部に向けられ且つ入射するコリメートされた光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は干渉信号を発生する、前記干渉計と、
(d)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するようにプログラミングされたデータプロセッサとを備える研磨システム。
【請求項28】 前記研磨ヘッドが、処理中に回転できるように、回転可能となっている請求項27に記載の研磨システム。
【請求項29】 前記プラーテンが、処理中に回転できるように、回転可能となっている請求項28に記載の研磨システム。
【請求項30】 前記干渉計が、レーザー干渉計である請求項29に記載の研磨システム。
【請求項31】 前記データプロセッサが更に、前記干渉信号から特徴情報を抽出することと、前記抽出された特徴情報から均一性の前記尺度を計算することと、をプログラミングされている請求項29に記載の研磨システム。
【請求項32】 前記データプロセッサが更に、均一性の前記尺度を参考値と比較することと、均一性の前記尺度が該参考値から所定の量以上広がったときに警告を発することと、をプログラミングされている請求項31に記載の研磨システム。
【請求項33】 基板研磨システムであって、
(a)処理中に、中実な透明ウィンドウを有する研磨パッドを保持するプラーテンであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)処理中に、前記研磨パッドの前記ウィンドウを通して、研磨されるべき基板の側部に向けられ且つ入射するコリメートされた光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は干渉信号を発生する、前記干渉計と、
(d)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するようにプログラミングされたデータプロセッサとを備え、
前記研磨ヘッドが、処理中に回転できるように、回転可能となっており、前記プラーテンが、処理中に回転できるように、回転可能となっており、前記データプロセッサが更に、前記干渉信号から特徴情報を抽出することと、前記抽出された特徴情報から均一性の前記尺度を計算することと、をプログラミングされており、前記データプロセッサが更に、均一性の前記尺度を参考値と比較することと、均一性の前記尺度が該参考値から所定の量以上広がったときに警告を発することと、をプログラミングされており、前記干渉信号が低周波数成分を含み、前記データプロセッサが、前記低周波数成分の第1の特性を測定することと、前記第1の特性から前記抽出された情報を誘導することと、により特徴情報を抽出するようにプログラミングされている研磨システム。
【請求項34】 前記干渉信号が高周波数成分を含み、前記データプロセッサが、前記高周波数成分の第2の特性を測定することと、前記第2の特性から前記抽出された情報を誘導することと、により特徴情報を抽出するようにプログラミングされている請求項33に記載の研磨システム。
【請求項35】 前記第1の特性が前記低周波数信号の振幅であり、前記第2の特性が前記高周波数信号の振幅であり、前記データプロセッサが、前記高周波信号の振幅と前記低周波信号の振幅との比を計算することにより特徴情報を抽出するようにプログラミングされている請求項34に記載の研磨システム。
【請求項36】 基板を研磨するための装置であって、前記装置は、
(a)処理中に研磨パッドを保持するプラーテンであって、前記プラーテンは内部に通路を有する、前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)コリメートされた光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は、少なくとも研磨操作の一部の間に前記光ビームを前記通路に向け前記基板上に入射するように、配置される、前記干渉計と、
(d)前記研磨パッドに含まれ、前記ホールないし通路と調心され且つ基板へと通過する光ビームが通るウィンドウであって、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え、
干渉計から到達する光ビームを受容する散乱面を有する、前記ウィンドウとを備える装置。
【請求項37】 前記プラーテン上に載置される研磨パッドを更に備え、前記ウィンドウは、前記研磨パッド内に形成され前記通路と調心される請求項36に記載の装置。
【請求項38】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、干渉計からの光に対して透過性を有し、散乱底面を有すると共に、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備える、
研磨パッド。
【請求項39】 ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、前記装置は、
(a)処理中に研磨パッドを保持するプラーテンであり、前記パッドは、発泡材料からなる表面と中実な透明ウィンドウを有し、
前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備えて、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)コリメートされた光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は、少なくとも研磨操作の一部の間に前記光ビームを前記ウィンドウに向け前記基板上に入射するように配置されて、研磨プロセスのインシチュウによるモニタリングを与える、前記干渉計と、
(d)前記干渉計からの周期信号を解析し、該周期信号から研磨の終点を検出するプロセッサとを備える装置。
【請求項40】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)発泡材料からなる研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、前記研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与える研磨パッド。
【請求項41】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、前記研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、該第1の透過性部分が、中実なポリウレタンである研磨パッド。
【請求項42】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)発泡材料からなる研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、該第2の非透過性部分が、添加物を有する発泡ポリウレタンであり、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与える研磨パッド。
【請求項43】 該添加物が微粒子を有することで、該第2の部分がマイクロポーラス構造を有するようにする請求項42に記載の研磨パッド。
【請求項44】 該第2の非透過性部分が、オープンセルの構造を有する請求項40に記載の研磨パッド。
【請求項45】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)発泡材料からなる研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、前記研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与える研磨パッドであって、該第1の透過性部分が、該研磨面とほぼ共面の上面を有する研磨パッド。
【請求項46】 該研磨面と反対側に底面を更に有する請求項40に記載の研磨パッド。
【請求項47】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、該第1の透過性部分とほぼ調心されたアパーチャが底面に形成される、研磨パッド。
【請求項48】 研磨パッドが、研磨面を有する第1の層と、研磨面と反対側の第2の層とを有する請求項40に記載の研磨パッド。
【請求項49】 該第1の透過性部分が、第1の層に形成される請求項48に記載の研磨パッド。
【請求項50】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、前記研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、研磨面を有する第1の層と、研磨面と反対側の第2の層とを有し、第1の層の該透過性部分とほぼ調心されたアパーチャが第2の層に形成される研磨パッド。
【請求項51】 研磨パッドが、自身に形成されたアパーチャを有し、透過性部分がアパーチャ内に位置をとるプラグを備える請求項40に記載の研磨パッド。
【請求項52】 基板を研磨するための装置であって、
(a)発泡材料からなり透過性のない研磨面と中実な透過性のウィンドウを有する研磨パッドであり、
前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、前記研磨パッドと、
(b)基板を研磨面に対して保持するための研磨ヘッドと、
(c)ウィンドウを通過して基板に入射する光ビームを発生するための光源と、基板より反射された光を測定する検出器とを有する終点検出システムとを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える装置。」


第4 請求人が主張する無効理由の概要及び提出した証拠方法
請求人は審判請求書において、本件特許発明は、以下の無効理由1及び2により無効とすべきものである旨主張し、証拠方法として最終的に甲第1?9号証、甲第11?25号証を提出した。

1 無効理由1:特許法第29条第2項違反について
本件の(訂正請求前の)独立形式請求項に係る請求項1、9、18、24、27、36、38、39、40、42、47、52に係る発明は、甲第1号証ないし甲第5号証に係る発明に基づいて当業者が容易に想到し得るものであるから、特許法第29条第2項に基づき特許を受けることができない。
また、その余の請求項に係る発明は、各独立形式請求項の従属項であるので、該独立形式請求項に係る各発明が無効とされた場合は、之等各従属形式請求項に係る発明も当然無効とせられるべきである。
なお、請求人は、平成22年10月12日付け弁駁書によって甲第11?25号証を提示し、「訂正後の請求項2、3、10、26、33、41、50に係る発明は、甲第11?25号証を参照することにより、無効とされるべきものである。」と主張している。しかしながら、第2の2(2)、(3)、(5)、(10)、(13)、(16)、(21)で言及したとおり、請求項2、3、10、26、33、41、50については、形式的な訂正であって発明の特定事項について変更はなく、また、平成22年(行ケ)第10061号の決定によって「請求項2、3、10、26、33、41、50につき、無効理由はない」とした審決が取り消されたものでもないことから、「訂正後の請求項2、3、10、26、33、41、50に係る発明は、甲第11?25号証を参照することにより、無効とするべきもの」という主張は採用することができない。

2 無効理由2:特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反について
請求人は審判請求書において、特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反について、次の主張をしている。なお、平成22年(行ケ)第10061号の決定により取り消されておらず、また、実質的に内容に変更のない請求項に対する無効理由については除外した。
したがって、請求項1、9、18ないし25、27ないし32、39、40、42ないし46、48、49、51、52に対する無効理由についてのみ、記載することとする。
(1)請求項を特定しない特許法第36条違反について
A レーザー光の透過を許容する透明体から成る合成樹脂製の研磨パッドが本願の原出願の優先日以前には不存在、又は、当業者が容易に想到し得なかったことになり、この限度においても本願発明の詳細な説明には本願発明を当業者が実施し得る程度に十分且つ、明確に記載されていなかったので、特許法第36条第4項違反であり、且つ、本願の各請求項に係る発明も不明確であるから、特許法第36条第6項第2号違反である。(審判請求書第30頁第15行?第23行。)
B 特許審査過程・成立過程において、公知例と差別化を図る上で、「光」に関する内容を、発明の範囲から意識的に除外し、「レーザー光」に限定しているとみなされるものであるから、「レーザー光」と「光」とを同一視することはできず、本件発明は、特許を受けようとする発明が不明確であるので、特許法第36条第12項第2号違反であり、各発明を当業者が実施し得る程度に十分、且つ、明確に明細書に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。(審判請求書第30頁第24行?第37頁第10行。)
C 本件特許の「レーザー干渉計」は、一般的に認識されている干渉計ではない。「干渉計」という語句の誤用は、軽微な誤りではなく、発明を構成するキーポイントとなった重要な誤りである。(審判請求書第37頁第11行?第42頁第5行。)
D 本件特許の対象となるウェハは、パターンウェハ(パターニングされたウェハ)である。ブランク酸化物ウェハの開示は、本件特許における課題を解決するものではなく、意味をなすものではない。(審判請求書第42頁第6行?第43頁第22行。)
E 請求項18、22、23、39に関し、(1)それぞれの信号の技術的意味および物理量が不明確であるので特許法第36条第6項第2号違反であり、明細書に十分な開示がないので特許法第36条第6項第1号違反である。
また、明細書内において、段落【0012】記載の「出力信号」、段落【0018】記載の「特性信号」、段落【0019】記載の「警告信号」、段落【0022】記載の「特徴信号」、段落【0035】記載の各種「信号」、段落【0036】記載の「検出器信号」、段落【0039】記載の各種「信号」に関し、信号自体の意味そのものが非常に曖昧で、意味不明である。したがって、「信号」を含む請求項に係る発明を当業者は本件特許明細書の記載に基づいて実施することはできない。(審判請求書第43頁第23行?第45頁第6行。)
F フィルタに関する記載不備
(i)図9(b)は、図9(a)にフィルタで処理したデータとされるが、図9(a)の横軸と、図9(b)の横軸は一致しない。横軸が記載されていないため、何を示しているか不明である。よって、図9(a)→図9(b)と変換するフィルタが不明である。よって、本件特許明細書には当業者が実施しうる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。
また、フィルタに関する請求項は、参照する明細書部分がないか、不明確であるので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。
(ii)パターンウェハに関するフィルタは原理的に矛盾する。よって、当業者が実施しうる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。
(iii)図13に示すデータは積分値であるので負の値をとることはない。よって、当業者が実施しうる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項第1号違反である。
(iv)CMPの対象となるパターンウェハの研磨の終点を検出する方法は明確ではない、もしくは開示されていないとみなされ、請求項に使用される「終点検出」、「終点を検出する」などの語句は不適切であるので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。
本件特許明細書においても、パターンウェハに対する実質的な終点検出方法が示されていないため、当業者が実施しうる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項第1号違反である。(審判請求書第45頁第7行?第48頁第12行。)
G 終点検出アルゴリズムに関する記載不備
(i)段落【0045】から何が研磨の終点か示されていないので、特許法第36条第4項違反であり、また、請求項1他「終点」という用語を含む請求項は、特許法第36条第6項第2号違反である。
(ii)段落【0045】では、終点を「検出する方法」に関する内容が不明確であり、当業者が実施しうる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。
(iii)段落【0045】には、「細密な検討」とあるが、細密な検討の内容が記載されていない。
(iv)終点検出の判断基準が曖昧である。よって、「終点検出」自体が不明確であるので、特許法第36条第6項第2号違反である。
(v)何を基準に250秒のところで正弦波状のサイクルが現れているのか不明で、汎用性がない。よって、当業者が実施しうる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。
(vi)In-situで判断する方法を示さない限り、終点を検出する方法として意味をなさない。よって、当業者が実施しうる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。
(vii)1サイクルで終わることが好ましいとする内容に対して、原理的に不可能であるために、当業者が実施しうる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。(審判請求書第48頁第13行?第52頁第8行。)
H 均一性の尺度の記載不備
(i)図17に示す構成では、均一性の尺度を原理的にモニタすることはできない。よって、当業者が実施しうる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項第1号違反である。
(ii)均一性の尺度において、明らかに矛盾する事例が存在し、原理的に矛盾した論理である。よって、当業者が実施しうる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項第1号違反である。
(iii)様々な光路が多数存在しうるパターンウェハでは、均一性の尺度を原理的に評価できないことは自明である。よって、当業者が実施しうる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。(審判請求書第52頁第9行?第54頁第10行。)
(2)請求項を特定する特許法第36条違反について
(i)請求項1
レーザー干渉計の機能が不明であり、「レーザー干渉計を有する終点検出器」で、「レーザービームを発生させる」、「反射されてくる光を検出する」の記載では、終点検出にならず、終点検出器の意義が不明であり、反射されてくる光のどのような物理量を検出するのか不明であるので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第54頁第14行?第55頁第8行。)
(ii)請求項9
ウエハのケミカルメカニカルポリシングのための方法に対して、各ステップの必要性が不明であり、ウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、の部分の全体の中での必要性が不明であり、何を持って終点を決定するか示されておらず、ウエハから反射する光を検出するステップとは何の光を検出するのか明細書に記載されておらず不明であるので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第57頁第7行?第16行。)
(iii)請求項18
基板上の層の均一性を測定する方法は、実施不能であるか、開示されていないし、光ビームに関する内容は、明細書中に記載がなく、干渉信号が示す物理量が不明であり、干渉信号と検出信号、データ信号との実質的な差が不明であり、均一性の尺度の計算が開示されないか、原理的に計算できないため、特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第59頁第23行?第60頁第7行。)
(iv)請求項19
特徴情報の意味・物理量が不明であり、干渉信号から特徴情報を抽出するステップは開示されておらず意味も不明であり、抽出された特徴情報から均一性の尺度を計算するステップも開示されておらず、均一性尺度を求める上で、段落【0018】に記載の特性信号の技術的意味・物理量と他の信号との差異が不明で均一性尺度が定義できないことから、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第60頁第8行?第16行。)
(v)請求項20
均一性の尺度が開示されず、また、原理的に計算できないことから、特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第60頁第17行?第20行。)
(vi)請求項21
干渉信号違反の物理量が不明であり、抽出するステップが不明であり、第1の特性の意味が不明であり、低周波数成分の第1の特性を測定するステップが不明であり、第1の特性から抽出された情報を誘導するステップが不明であるので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第60頁第21行?第61頁第2行。)
(vii)請求項22
干渉計信号の物理量が不明であり、抽出するステップが不明であり、第1の特性の意味が不明であり、低周波数成分の第1の特性を測定するステップが不明であり、第1の特性から抽出された情報を誘導するステップが不明であるので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第61頁第3行?第9行。)
(viii)請求項23
低周波信号の振幅と高周波信号の振幅が図16内のどれを意味するのか不明であるので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第61頁第10行?第13行。)
(ix)請求項24
プロセスの特性の技術的意味および物理量が不明であり、シグネチャの技術的意味・物理量が不明確であり、光ビームに関する開示はなく、シグネチャを抽出するステップの技術的意味が不明であり、研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、保存されている情報の技術的意味が不明であるので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第61頁第14行?末行。)
(x)請求項27
干渉計とあるが、実質的に干渉計ではなく、語句を誤用しており、干渉信号の物理量が不明であり、光ビームに関する開示がなく、干渉信号から均一性の尺度を計算する方法が不明確であり、示されていないので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第62頁第6行?第14行。)
(xi)請求項30
レーザー干渉計は語句を誤用しているので、特許法第36条第6項第2号違反である。(審判請求書第62頁第15行?第17行。)
(xii)請求項31
特徴情報の技術的意味・物理量が不明であり、干渉信号から特徴情報を抽出することが示されておらず、段落【0018】記載の「特性信号」の技術的意味・物理量が不明であり、抽出された特徴情報から均一性の尺度を計算する方法が示されていないから、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第62頁第18行?末行。)
(xiii)請求項39
基板を研磨することと、各特徴がどう対応し、また、それが必要機能なのか不明であり、何を行うかも不明であり、光ビームに対する開示はなく、CMPで対象となるパターンウェハは周期信号が現れず、パターンウェハに対して、周期信号から終点を検出する一意の方法が開示されていないし、フィルタは実施不能であるから、特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第64頁第14行?末行。)
(xiv)請求項43
第2の部分が、マイクロポーラス構造を有することと、終点を検出するためのパッド機能との技術的関連がなく、それを説明する記述がないことから、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第65頁第1行?第4行。)
(xv)請求項44
第2の部分が、オープンセルの構造を有することと、終点を検出するためのパッド機能との技術的関連がなく、それを説明する記述がないことから、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第65頁第5行?第8行。)
(xvi)請求項52
光ビームに関する開示はなく、光のどのような物理量を測定するのかが不明であり、光源と検出器を有するだけの終点検出システムは特定できないから、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第65頁第9行?第16行。)

3 証拠方法
請求人は、証拠方法として、以下の証拠を提出している。なお、甲第11?25号証は、平成22年10月12日付け弁駁書において提出されたものであり、甲第10号証は欠番となっている。
甲第 1号証 特開平7-52032号公報
甲第 2号証 特開平5-309558号公報
甲第 3号証 特開昭63-134162号公報
甲第 4号証 特開昭61-76260号公報
甲第 5号証 特開平4-255218号公報
甲第 6号証 異議2003-72913号異議の決定
甲第 7号証 異議2003-72913号異議事件の資料の写し
甲第 8号証 中川威雄氏の宣誓書
甲第 9号証 本件の特願平8-74976号に関する平成14年4月19日付け意見書の写し
甲第11号証 平成21年(行ケ)第10370号審決取消請求事件に関する平成22年7月5日付け被請求人の上申書の写し
甲第12号証 平成22年(行ケ)第10061号審決取消請求事件決定書の写し
甲第13号証 異議2003-72913号における平成16年4月22日付け取消理由通知書
甲第14号証 特開平5-193991号公報
甲第15号証 特開平5-80201号公報
甲第16号証 無効2006-80075号事件における本件被請求人による平成18年12月7日付け訂正請求書の写し
甲第17号証 平成19年(行ケ)第10250号審決取消請求事件判決の抜粋
甲第18号証 本件特許の審査過程における平成13年10月18日付け拒絶理由通知書
甲第19号証 特表平8-501635号公報(国際公開第94/7110号として)
甲第20号証 本件特許の審査過程における平成14年10月16日付け拒絶査定書
甲第21号証 本件特許の拒絶査定不服審判の前置審査における平成15年3月24日付け拒絶理由通知書
甲第22号証 特開平2-196906号公報
甲第23号証 特表平5-505769号公報
甲第24号証 平成19年(行ケ)第10250号審決取消請求事件判決の抜粋
甲第25号証 平成21年(行ツ)第23号、平成21年(行ヒ)第27号の最高裁判所の決定調書


第5 被請求人の主張の概要

被請求人の主張は、概略、以下のとおりである。
訂正後の訂正された各請求項に記載された発明は、研磨パッドを「発泡材料からなる表面(研磨面)を有する研磨パッド」と限定し、また、プラグを「パッドに形成された中実な(材料からなる)プラグ」と特定したものである。
訂正後の各請求項に記載された研磨パッドと甲第1号証に記載の研磨布を比較すると、甲第1号証に記載の研磨布が単に孔を有するのに対して、訂正後の各請求項に記載された研磨パッドは、中実な材料からなるプラグであって、レーザービームに対して透過性を有するプラグを備えるウィンドウを有する点において顕著な構成上の相違を有している。訂正後の各請求項に記載された発明が有する「発泡材料からなる表面(研磨面)を有する研磨パッド」であって、「パッドに形成された中実な(材料からなる)プラグ」に係る構成が甲第1号証ないし甲第4号証のいずれにも開示も示唆もされていないことを考えると、訂正後の各請求項に記載の発明は、甲第1号証ないし甲第4号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に想到することができないものと考えられる。孔の開いた研磨布を開示する甲第1号証と透明で均一な「パッド」を開示する甲第2号証ないし甲第4号証には、中実な材料からなるプラグを備える、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドは記載も示唆もされておらず、訂正後の各請求項に記載の発明を容易に想到することはできない。

3 証拠方法
被請求人は、証拠方法として、以下の証拠を提出している。
なお、乙第1?49号証は、平成20年1月16日付け審判事件答弁書の段階で、乙第50?79号証は、平成20年5月16日受付口頭審理陳述要領書の段階で、乙第80?81号証は、平成21年7月16日受付上申書の段階で、それぞれ提出されたものである。
乙第 1号証 特許庁ホームページ「資料室(その他の参考情報)」における標準技術集の中の半導体製造装置関連真空・クリーン化技術の「4-4-1CMP装置」
乙第 2号証 インターネットフリー百科事典ウィキペディアの「化学機械研磨」
乙第 3号証 インターネット検索頁「MIRRA CMPシステムの常識・非常識」
乙第 4号証 次世代CMP用高性能パッド-JSR CMP Pad、JSR Technical Review No.109/2002、35頁ないし37頁の写し
乙第 5号証 各種研磨パッドの摩擦特性によるCMP性能の研究、2004年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集、955頁ないし956頁の写し
乙第 6号証 当社CMP用研磨パッドの研究結果発表に関するお知らせ、日本ミクロコーティング株式会社、平成17年10月27日の写し
乙第 7号証 インターネット検索頁「CMP装置用研磨パッドの製造・販売で新会社設立」、東洋ゴム工業株式会社、2004年7月12日、No.775
乙第 8号証 シリコンウエーハ用研磨パッド、ニッタ・ハース株式会社のパンフレットの写し
乙第 9号証 Suba Products(Stock or Primary Polishing Pads)、Rohm-Haas社のパンフレットの写し
乙第10号証 インターネット検索頁「Silicon Valley」
乙第11号証 半導体平坦化CMP技術、土肥俊郎、河西敏男、中川威雄共著、107、114、121、123、128、154?166頁、株式会社工業調査会、1998年7月15日発行の写し
乙第12号証 CMP用パッド(CMP Pad)、ニッタ・ハース社のパンフレットの写し
乙第13号証 Optical NanoGauge-光干渉式膜厚測定装置C10178、C10323、浜松ホトニクス株式会社のパンフレットの写し
乙第14号証 CCD/CMOSイメージ・センサの基礎と応用、米本和也著、36頁ないし40頁、CQ出版株式会社、2007年8月1日第5版発行の写し
乙第15号証 拒絶査定不服審判(2002-2660)特許審決公報
乙第16号証 平成15年(行ケ)第475号審決取消請求事件判決
乙第17号証 CMP用語辞典、49頁ないし50頁、151頁ないし152頁、グローバルネット株式会社、平成12年5月29日の写し
乙第18号証 詳説半導体CMP技術、土肥俊郎編著、18頁、51頁ないし54頁、株式会社工業調査会、2001年1月10日の写し
乙第19号証 特開昭59-187456号公報
乙第20号証 屈折率一覧表、株式会社セイシン企業
乙第21号証 ラッピング・ポリシングの基礎と応用-1-、河西敏男、133頁ないし142頁、機械と工具、1992年4月の写し
乙第22号証 インターネットにおける研磨ホームページ「研磨の原点」、独立行政法人産業技術総合研究所
乙第23号証 特開平10-50824号公報
乙第24号証 超精密ラッピング加工の実際、進藤 勉、72頁ないし76頁、機械と工具、1997年5月の写し
乙第25号証 インターネットにおける研磨ホームページ「ラッピング特性」、独立行政法人産業技術総合研究所
乙第26号証 特開2002-59364号公報
乙第27号証 ジョセフ エル. セクチPH.D.の宣誓書及びその訳文の写し
乙第28号証 スーパースムーズ鏡面研磨とP-MACポリシング、河西敏男、表面科学、Vol.22、No.3、pp.179-186、2001年の写し
乙第29号証 米国特許第5,489,233号明細書及びその訳文
乙第30号証 特表平11-512977号公報
乙第31号証 CMPの実践的基礎技術、渡邊純二著、4頁ないし5頁、42頁、EDリサーチ社発行、2004年8月23日の写し
乙第32号証 シリコン基板の加工技術と加工表面品質、河西敏男、表面科学、Vol.21、No.11、pp.688-695、2000年の写し
乙第33号証 高能率・超平滑化加工法、安永暢男、表面科学、Vol.22、No.3、pp.187-196、2001年の写し
乙第34号証 インターネット検索頁「CMPスラリーに最適なフィルタを特定する」、Rakesh K. Singh 著、Semiconductor International、2005年10月号、
乙第35号証 精密機械加工の原理、安永暢男、高木純一郎共著、168頁、株式会社工業調査会、2002年10月25日の写し
乙第36号証 インターネットにおける研磨ホームページ「液中ポリシング」、独立行政法人産業技術総合研究所
乙第37号証 特開平8-19943号公報
乙第38号証 特開平7-235520号公報
乙第39号証 インターネットにおける公報テキスト検索結果、IPDL
乙第40号証 無効審判2006-80075号審決
乙第41号証 平成19年(行ケ)第10250号審決取消請求事件 原告準備書面(1)の写し
乙第42号証 無効審判事件無効2006-80075号第1回口頭審理調書
乙第43号証 半導体プロセスにおける薄膜形成のインプロセス・モニタリング、菅原活郎、吉見武夫、広部嘉道共著、108頁ないし127頁、日経エレクトロニクス、1978年7月10日、日経マグロウヒル社の写し
乙第44号証 特開2003-163191号公報
乙第45号証 特開2005-340679号公報
乙第46号証 無効審判事件2006-80075号における平成18年12月7日付け意見書
乙第47号証 マヌーチャー・ビランの宣誓書及びその訳文の写し
乙第48号証 特開平10-83977号公報
乙第49号証 無効審判事件2006-80075号審判請求書の写し
乙第50号証 平成19年(行ケ)第10250号審決取消請求事件 被告準備書面(3)の写し
乙第51号証 CMPのサイエンス、135頁、149頁、株式会社サイエンスフォーラム発行、1997年8月20日の写し
乙第52号証 インターネット検索頁のシグマ光機ホーム頁内「ゲルマニウム」
乙第53号証 インターネット検索頁の株式会社ネオトロンホーム頁内「Germanium(Ge)」
乙第54号証 インターネット検索頁の古河電子株式会社ホーム頁内「ZnSe・ZnS・Ge・Si・Mo等材料」
乙第55号証 インターネット検索頁のヒリックサイエンティフィックプロダクツ、インコーポレイテッドホーム頁内「ゲルマニウム、光学的特性情報」
乙第56号証 インターネット検索頁、「超精密切削によるウエーハ状薄型赤外線フレネルレンズの加工」、日本機械学会誌、2006.11、Vol.109、No.1056、903頁
乙第57号証 松岡亮次、卒業研究報告、「Geの吸収係数測定」、高知工科大学、平成17年3月17日の写し
乙第58号証 インターネット検索頁の株式会社ネオトロンホーム頁内「Quartz Single Crystals(SiO2)」
乙第59号証 インターネット検索頁、応用光研工業株式会社ホーム頁内「SiO_(2)(光学用合成石英ガラス)」
乙第60号証 鈴木康夫等、「高透明性・高屈折率含硫黄ポリイミド[II]-スルホン構造を含むポリイミド」、Polymer Preprints,Japan,Vol.56,No.2,2007,pp.4928-4929の写し
乙第61号証 インターネット検索頁の株式会社オハラホーム頁内「光学的性質」、1/3?3/3頁
乙第62号証 メレスグリオ株式会社パンフレット、w4-2頁、2000-2004、「光学材料特性一覧」の写し
乙第63号証 インターネット検索頁のムロマチテクノス株式会社ホーム頁内「エポテック UV硬化型Epoxy樹脂接着剤」、1/2?2/2頁
乙第64号証 インターネット検索頁の株式会社ネオトロンホーム頁内「Silicon(Si)」
乙第65号証 インターネット検索頁、信越半導体株式会社のSOIウエハ
乙第66号証 インターネット検索頁、オプトスター社、「SOI基板(シリコンオンインシュレータウェーハ)」
乙第67号証 インターネット検索頁の米国デラウエア大学ホーム頁内「シリコンの光学的特性」
乙第68号証 インターネット検索頁の東京農工大学ホームページ内「半導体の反射色」
乙第69号証 津和秀夫、肥田満、「各種ラップによるSi単結晶の鏡面仕上-鏡面ラッピングに関する研究(第1報)-」、精密機械、34巻、10号、1968年10月、666-673頁
乙第70号証 土肥俊郎、河西敏男、中川威雄共著、半導体平坦化CMP技術、46頁、302頁、株式会社工業調査会、1998年7月15日発行の写し
乙第71号証 特開2005-268424号公報
乙第72号証 渡邊純二著、CMPの実践的基礎技術、86頁、EDリサーチ社発行、2004年8月23日の写し
乙第73号証 精密工学会2007年度春季大会、プラナリゼーションCMPとその応用セッションプログラム
乙第74号証 精密工学会2008年度春季大会、プラナリゼーションCMPとその応用セッションプログラム
乙第75号証 インターネット検索頁の東京大学ホーム頁内「中川威雄研究室」、アニュアルレポート、第47号、1998年度
乙第76号証 インターネット検索頁、精密工学会賞第2回2006年度受賞者業績紹介
乙第77号証 特別対談、部品加工が拓く21世紀の「モノづくり」、デンソーテクニカルレビュー、Vol.6、No.2、2001年、3?10頁の写し
乙第78号証 インターネット検索頁発明者名「中川威雄」での公報テキスト検索結果リスト
乙第79号証 河西敏雄、研磨加工技術、表面技術、Vol.57(2006年),No.11,p.744?751の写し
乙第80号証 マブチヒデオ教授宣誓書及びその訳文の写し
乙第81号証 ユーチェン・ワング宣誓書及びその訳文の写し


第6 甲第1号証ないし甲第5号証に記載された発明、事項の内容

1 甲第1号証
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲第1号証(特開平7-52032号公報)には、以下の記載がある。
ア 特許請求の範囲の請求項1
「回転する定盤の研磨布の張り付けられた面に、研磨液を滴下しつつ、ウエハ支持板に固定したウエハをウエハ支持板により回転させつつ押し付け研磨する方法において、定盤及び研磨布の回転中心と周縁との間に設けた窓からウエハの研磨面の光の反射状態を見て研磨状態を判定するウエハ研磨方法。」
イ 段落【0001】
「【産業上の利用分野】本発明は、半導体ウエハ、特にSOI(Silicon-on-Insulator)ウエハ等の膜付きウエハの研磨方法及び装置に関する。」
ウ 段落【0013】
「【作用】本発明方法において、定盤及び研磨布の回転中心と周縁との間に設けた窓からウエハの研磨面の光の反射状態を見て研磨状態を判定すれば、研磨を中断せずに研磨状態の終点を知ることが出来る・・・」
エ 段落【0022】?【0024】
「【実施例】図1、図2に示した実施例について説明する。定盤1は直径300mm、厚さ10mmのアルミニウム製の円盤で、その中心の片面に定盤1を回転するための軸が固定してある。定盤1の軸を固定した面の反対側の面には、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2が設けてある。・・・溝2の長手方向中央には、直径10mmの貫通孔3が設けられ、溝2の反対側では円錐状に拡大している。貫通孔3の溝2側にはパイレックス透明ガラス製の透明窓材4が嵌め込まれ、研磨液が漏れないようにしてある。
定盤1の溝2を有する面には、定盤1と同形の厚さ0.7mmのローデルニッタ社製、商品名suba-500ウレタン含浸ポリエステル不織布からなる研磨布5が張り付けられ、溝2に相当する部分は溝2と同形に切り抜かれて、研磨布窓6が形成されている。透明窓材4は定盤1の表面より約0.5mm突出するが、研磨布5の弾性を考慮しても研磨布5の表面より十分低くなっている。
定盤1の溝2の反対側には透明窓材4の回転路に面して研磨するウエハ7の研磨面に光を照射しその反射光を受光するプローブ9が配置されている。・・・」
オ 段落【0025】?【0026】
「片面に回転用の軸が固定された直径110mm、厚さ10mmの円盤状のアルミニウム製のウエハ支持板8に、表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着し、一方のウエハを平面研削して厚さ15μmのシリコン膜として直径100mmのSOIウエハを、平面研削加工していない面をワックスで張り付けた。
粒径が0.01μm以下のシリカ粉末を含むアルカリ性溶液からなるローデルニッタ社製、商品名NALCO-2350を20倍に希釈した研磨液を定盤1の研磨布5の表面に滴下しつつ、定盤1を毎分50回転させながら、ウエハ支持板8に張り付けたウエハ7を、自転速度毎分40回転で回転させつつ、研磨布5に、回転中心が透明窓材4の上に位置するように、研磨荷重10kgfで押し付けて目標膜厚を1μmにして研磨を開始した。」
カ 段落【0027】
「この条件では、透明窓材4の移動線速度は約500mm/秒なので、直径10mmの透明窓材4を通してウエハ7の中心を測定出来る時間は、1回の通過に付き約10m秒である。この時間は、波長範囲680?800nm、分解能1nmで行う分光反射率測定に対して十分であった。測定の参照基準には、同じ条件に置いたシリコンウエハを用いた。」
キ 上記アの「研磨布の貼り付けられた面に、研磨液を滴下しつつ・・・ウエハを・・・研磨する」の記載から、これがウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)のことであることは明らかである。
ケミカルメカニカルポリシングにおいて、研磨布が研磨液によってウェットになっていることは明らかである。
摘記事項エにおける「パイレックス透明ガラス製の透明窓材4」の記載から、透明窓材4が中実の材料からなるものであることは明らかであり、また、「ロデールニッタ社製、商品名suba-500ウレタン含浸ポリエステル不織布からなる研磨布5」の記載から、研磨布5が発泡材料からなる表面を有するものであることは明らかである。
摘記事項カから、透明窓材4上にウエハ7の中心が存在する時の一部の間には、光をウエハ7に入射する通路が与えられ、測定を行うことは明らかである。
摘記事項ウから、研磨状態の終点は、研磨を中断せずに、すなわち、インシチュウで知るものであることは明らかである。
これら記載事項、及び認定事項を、技術常識を勘案しつつ、本件発明1、9、18、24、27、39、40、42、52に照らして整理すると、甲第1号証には、以下の各発明が記載されている。
「ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、
(a)回転自在に設置され、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3を自身に有する回転可能な定盤1と、
(b)定盤1に設置され、研磨液によりウェットで、定盤1の溝2と同形に切り抜かれた研磨布窓6を有する、発泡材料からなる表面を有する研磨布5であり、前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ、
(c)研磨布5に対してウエハ7を保持するための、回転可能なウエハ支持板8であって、このウエハ7が、表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着したSOIウエハ7を備える、ウエハ支持板8と、
(d)ウエハ7へ向けて光を照射させることが可能であり且つウエハ7及び貫通孔3からの反射光を受光するプローブ9を有し、これにより研磨状態の終点を知ることができるものであり、前記貫通孔3、透明窓材4、溝2は、ウエハ7の中心が透明窓材4の上にある時の一部の間、光をウエハ7へ入射させるための通路を与えるウエハ研磨装置。」(以下、「甲1発明1」という。)
「表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着したSOIウエハ7のケミカルメカニカルポリシング(CMP)のための方法であって、該方法は、
(a)ウエハ7を、回転可能なウエハ支持板8内に、該回転可能なウエハ支持板8の下の研磨布5に対して保持するステップであって、該研磨布5は発泡材料からなる表面を有し、研磨液によってウェットとなっている、該保持するステップと、
(b)研磨状態の終点を知るステップであって、該終点を知るステップは、
(b1)光をウエハ7に向けて照射するステップであって、該光は、定盤1内に形成され、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3における溝2に同形に切り抜かれた該研磨布5に含まれる研磨布窓6を通過し、
前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ、
該研磨布窓6は、ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える、該照射するステップと、
(b2)ウエハ7から反射する光をプローブ9により受光して検出するステップとを備える前記終点を知るステップとを備える方法。」(以下、「甲1発明2」という。)
「ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において、表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着したSOIウエハ7の研磨状態の終点を、ウエハ7の研磨を中断せずに知るインシチュウの方法であって、
(a)研磨を中断せずに、発泡材料からなる表面を有する研磨布5に含まれる研磨布窓6を通して前記ウエハ7の方へ光を向けるステップであり、
中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3を自身に有する定盤1の前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ、該研磨布窓6は、ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える、前記向けるステップと、
(b)前記ウエハ7から反射されてくる前記光をプローブ9により受光して検出するステップとを備える方法。」(以下、「甲1発明3」という。)
「ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において、表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着したSOIウエハ7を研磨するための研磨状態の終点を知るインシチュウの方法であって、
(a)研磨を中断せずに、発泡材料からなる表面を有する研磨布5に含まれる研磨布窓6を通して前記ウエハ7の方へ光を向けるステップであり、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3を自身に有する定盤1における前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ、該研磨布窓6は、ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える、前記向けるステップと、
(b)前記ウエハ7から反射されてくる光をプローブ9により受光して検出して前記終点を知るステップとを備える方法。」(「甲1発明4」という。)
「ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うためのウエハ研磨装置であって、
(a)研磨中に、定盤1の溝2と同形に切り抜かれた研磨布窓6を有する発泡材料からなる表面を有する研磨布5を保持する回転可能な定盤1であり、
定盤1には、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3が設けられ、前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ、該研磨布窓6は、ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える、前記定盤1と、
(b)研磨中に表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着したSOIウエハ7を定盤1上の研磨布5に対して保持する回転可能なウエハ支持板8と、
(c)研磨中に、前記透明窓材4、及び研磨布5の研磨布窓6を通して、研磨されるべきウエハ7の中心の研磨面に向けられ且つ入射する光を照射させることが可能なプローブ9を備えるウエハ研磨装置。」(以下、「甲1発明5」という。)
「ウエハ7に対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための研磨装置であって、前記研磨装置は、
(a)研磨中に研磨布5を保持する定盤1であり、前記研磨布5には、発泡材料からなる表面と定盤1の溝2と同形に切り抜かれた研磨布窓6を有し、前記定盤1は、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3を自身に有する定盤1であり、前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ、該研磨布窓6は、ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える、前記定盤1と、
(b)研磨中にウエハ7を定盤1上の研磨布5に対して保持するウエハ支持板8と、
(c)光を照射することが可能なプローブ9であって、前記プローブ9は、研磨中に前記光を前記研磨布窓6に向け前記ウエハ7上に照射するように、配置されて、研磨中に研磨状態の終点を知る、前記プローブ9とを備える研磨装置。」(以下、「甲1発明6」という。)
「ケミカルメカニカルポリシングを行う研磨装置において用いるための研磨布5であって、前記研磨布5は、
(a)発泡材料からなるウエハ7に押し付けられる面と、
(b)定盤1に支持される面と、
を備え、定盤1には中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3を自身に有し、前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれるところ、前記研磨布5には、定盤1の溝2と同形に切り抜かれた研磨布窓6が形成され、ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える研磨布5。」(以下、「甲1発明7」という。)
「ウエハ7を研磨するための研磨装置であって、
(a)発泡材料からなり研磨面と研磨布窓6を有する研磨布5であり、定盤1は、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3を自身に有する定盤1であり、前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ、前記研磨布5には、定盤1の溝2と同形に切り抜かれた研磨布窓6が形成される、
前記研磨布5と、
(b)ウエハ7を定盤1上の研磨布5の研磨面に対して保持するためのウエハ支持板8と、
(c)研磨布窓6を通過してウエハ7に光を照射しその反射光を受光するプローブ9を有する研磨状態の終点を知るものであって、前記研磨布窓6は、ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光ビームをウエハ7に入射させるための通路を与える研磨装置。」(以下、「甲1発明8」という。)

2 甲第2号証
本件出願の原出願の優先日前に頒布された刊行物である甲第2号証(特開平5-309558号公報)には、以下の記載がある。
ア 特許請求の範囲の請求項1
「研磨対象ウェーハの所定の厚さに等しい波長の光を研磨対象ウェーハに全反射角で入射し、前記研磨対象ウェーハを光が透過したとき、または研磨対象ウェーハの所定の厚さに等しい波長の光を研磨対象ウェーハに偏光角で入射し、前記研磨対象ウェーハから反射する偏光を遮断するように配設された偏光板を前記偏光が通過したとき、研磨を終了することを特徴とする貼り合わせウェーハの研磨方法。」
イ 段落【0003】
「【発明が解決しようとする課題】上記のような研磨方法で貼り合わせウェーハの一方、すなわちSOIウェーハについて、その厚さの大部分を研磨により除去し、1μmないしそれ以下の層を素子形成層として均一な厚さに残すことは極めて困難である。特に、素子形成層の厚さのばらつきが大きく、±0.5μm程度の精度であるため、SOI半導体基板の製造歩留りが低い。また、貼り合わせウェーハをウェーハ研磨機から取り外してSOIウェーハの厚さを測定する方法では、作業能率を向上させることができない。本発明は上記従来の問題点に着目してなされたもので、SOI半導体基板の製造工程において、素子形成層であるSi層を高精度に、かつ能率よく所望の厚さに研磨するための貼り合わせウェーハの研磨方法を提供することを目的としている。」
ウ 段落【0006】?【0007】
「・・・貼り合わせウェーハをマウントプレートに貼着したままSOIウェーハの厚さを管理することができ、所望の厚さに到達した時点で研磨を終了させることができる。・・・これらの図において、ウェーハ研磨機のポリシングパッド1は透明体で、パッド駆動装置2により回転および昇降する駆動軸2aの先端に固着されている。マウントプレート3は、たとえばSiO2からなる透明体で、前記ポリシングパッド1の上方にレーザ発振器4、波長変換装置5がそれぞれ配設されている。マウントプレート3の下方には光検出器6が設けられ、光検出器6の出力配線は制御装置7に接続されている。・・・」
エ 段落【0008】
「貼り合わせウェーハ11は、2枚の単結晶Siウェーハを絶縁層SiO2を介して貼り合わせたいわゆるSOI基板で、直接接着技術によって形成される貼り合わせ型SOI基板の製造工程に従って、素子形成層の所定の厚さ近くまでSi単結晶層を研磨したものである。・・・レーザ発振器4によって発振されたレーザ光は、波長変換装置5により所定の波長λすなわちSOIウェーハの目標厚さをt1としたとき、λ=t1となるように変換された後、ポリシングパッド1とスラリー10とを透過して貼り合わせウェーハ11に全反射角θで入射される。・・・t=λになると、それまで上部Si層11aの上面で全反射していた光の一部が上部Si層11aを透過し、更にSiO2層11b、下部Si層11c、ワックス層12、マウントプレート3を透過してマウントプレート3の下方に進む。光検出器6はこの透過光を検出すると制御装置7に信号を出力し、制御装置7はパッド駆動装置2に研磨終了指令信号を送る・・・上記研磨作業中に何らかの異常が発生した場合は、制御装置7が警報装置9に指令信号を出力し、警報装置9が作動するとともにパッド駆動装置2の駆動軸2aが上昇して研磨が中止される。」
以上から、甲第2号証には、以下の事項が記載されている。
「ポリシングパッド1による貼り合わせウェーハ11の研磨において、ポリシングパッド1を透明体とし、ポリシングパッド1を透過してレーザ光を照射するもの。」(以下「甲2記載事項1」という。)
「研磨作業中に何らかの異常が発生した場合、制御装置7が警報装置9に指令信号を出力し、警報装置9が作動すること。」(以下、「甲2記載事項2」という。)

3 甲第3号証
甲第3号証には、以下の記載がある。
ア 第1頁右下欄第4行?第8行
「本発明は、石英、セラミック、結晶材料などの硬質材料よりなり、研磨し難く、しかも高精度の仕上面精度を必要とし、遠紫外線ないしX線領域において用いられる光学部品などの被加工物を研磨する研磨加工法に関するものである。」
イ 第3頁左上欄第11行?第18行
「次に本発明の第2実施例について説明する。第2図は本発明の第2実施例を示す側面図である。
本実施例においては、第2図に示すように光源として、レーザ光源10を用い、このレーザ光源10からのレーザ光線11をビームエキスパンダ12によって広げ、光学的に透明な材料よりなるポリッシャ3を通過させ、被加工物1の被加工面6を照射するようにしたものであり、」
ウ 第3頁右下欄第1行?第10行
「上記第1、第4実施例に示す光源9としては水銀ランプを用い、第2、第3実施例の光源10、13としてはNd-YAGレーザ、Arイオンレーザ、エキシマレーザを用いればよい。また被加工物1に対する砥粒7、加工液8の組合わせは目的によって多様であるが、例えばAL_(2)O_(3)・TiCセラミックに対し、ダイヤモンド砥粒の50Wt%KOH懸濁液の使用が可能であり、石英ポリッシャを通過したNd-YAGレーザ、Arイオンレーザの照射によって加工が促進される。」
以上から、甲第3号証には、第2図を参照することにより、以下の事項が記載されている。
「被加工物1の被加工面6をポリシャ3で研磨するにあたり、石英からなるポリシャ3を透明なものとし、レーザ光線11を照射し、透明なポリシャ3を透過してレーザ光線を照射するもの。」(以下、「甲3記載事項」という。)

4 甲第4号証
甲第4号証には、以下の記載がある。
ア 第2頁左上欄第12行?右上欄第15行
「第1図は本発明の研摩方法の一実施例を示す概略断面図である。
図において、2は被加工物たとえば光学ガラスであり、その上面が被加工面である。本実施例においては被加工面は平面である。4は研摩加工工具であるポリシャであり、該ポリシャ4としてはたとえば合成樹脂または軟質金属等のシートが用いられる。該ポリシャ4はポリシャ保持手段である平面皿6の下面に貼付固定されている。被加工物2とポリシャ4との間には研摩液8が存在する。該研摩液8中には研摩剤である微粒子が懸濁せしめられている。10はレーザ光をガイドする光ファイバなどのライトガイドである。該ライトガイド10はそれぞれレーザ光源からレーザ光を伝送せしめてその先端から照射せしめる。ライトガイド10は保持手段6の全体にわたって上下方向に多数設けられている貫通孔を通って、該貫通孔に対応する位置にてポリシャ4に設けられている貫通孔中へと延びている。従って、ライトガイド10の先端は被加工面と対向する様な配置となっている。
加工時においては、通常の液中研摩と同様に被加工物2とポリシャ4とは適宜の圧力にて押圧せしめられつつ相対運動を行なう。」
イ 第2頁左下欄第13行?第18行
「以上の実施例においてはポリシャ4に貫通孔を設けてライトガイド10の先端を該貫通孔中に位置せしめているが、ポリシャ4が透明なものである場合には、第2図に示される様にポリシャ4の貫通孔は設けなくともレーザ光の照射は良好に行なわれる。」
以上から、甲第4号証には、第2図を参照することにより、以下の事項が記載されている。
「被加工物2をポリシャ4で研摩するにあたり、合成樹脂からなるポリシャ4を透明なものとし、レーザ光を照射し、透明なポリシャ4を透過してレーザ光を照射するもの。」(以下、「甲4記載事項」という。)

5 甲第5号証
甲第5号証には、以下の記載がある。
ア 特許請求の範囲の請求項1?3
「【請求項1】 平坦なウェーハを研磨する方法にして、a.研磨プラテンの外周端縁を横断しかつ該外周端縁の上方を動き得るように取り付けられた回転可能な研磨ヘッド内にウェーハを保持する段階と、b.研磨スラリー内のウェーハの一面を研磨プラテンを横断して回転させる段階と、c.ウェーハの一部分を研磨プラテンの外周端縁を横断してオーバーハングさせ、ウェーハの一面を露出させる段階と、d.終点検出手段を使用してウェーハの終点を検出する段階とを備えることを特徴とする方法。
【請求項2】 請求項1に記載の方法にして、終点検出手段がレーザ干渉測定装置を備えることを特徴とする方法。
【請求項3】 請求項2に記載の方法にして、レーザ干渉測定装置が、ウェーハ上のパターン無し金型上に取り付けられたウェーハの酸化物の厚さを検出し得るように配置されることを特徴とする方法。」
イ 段落【0001】
「【産業上の利用分野】本発明は、集積回路の製造方法、特に、半導体ウェーハを物理的に平面化し(planarization)かつ終点(endpoint)を検出するための新規な方法及び装置に関する。」
ウ 段落【0016】
「【実施例】先ず図1を参照すると、本発明による物理的な平面化に適した半導体ウェーハ10及び本発明の研磨装置が図示されている。半導体ウェーハ10は、薄くかつ平坦であり略円形の形状をしており、微細な局部を備えて形成されている。半導体ウェーハは、その上に複数の個々の集積回路金型が形成されるシリコン又は酸化シリコンのような基板を含むことが出来る。これら個々の金型は図1に十字形パターンにて略図で示されている。」
エ 段落【0018】?【0019】
「図5に断面図で示すように、ウェーハ10は、ある領域にてその上に二酸化ケイ素(SiO_(2))14の層(以下に酸化物と称する)が形成されるシリコン基板12を備えることが出来る。一般に、ウェーハ10を物理的に平面化することはウェーハ10の酸化物層14を平面化する段階を含んでいる。ウェーハ10は又、シリコン基板12上に形成して酸化物被覆14で覆った1又は2以上のタングステンのような金属膜のパターン無し金型16を含むことが出来る。
次に、図2を参照すると、本発明により形成された物理的な平面化及びび終点検出装置が全体として符号20で示されている。本発明の研磨装置20は、全体として、アルミナのような研磨性スラリー24が適用される回転する研磨プラテン22の形態による研磨手段と、図3に示すように、半導体ウェーハ10を支持しかつ回転する研磨プラテン22の外端縁を横断しかつ該外端縁を経て動き得るように取り付けられ、回転する研磨プラテン22の半導体ウェーハ10の全体よりも小さい寸法の一部分をオーバーハングさせる回転可能な研磨ヘッド26と、半導体ウェーハ10上に形成された酸化物被覆14等の厚さを検出するためのレーザ干渉測定装置28の形態による終点検出手段とを備えている。」
以上から、甲第5号証には、第2図、及び第5図を参照することにより、以下の事項が記載されている。
「表面に酸化物被覆14を有する半導体ウェーハ10における酸化物被覆14を物理的に平面化するに際して、レーザ干渉測定装置28により酸化物被覆14の厚さを検出する、物理的な平面化及び終点検出装置。」(以下、「甲5記載事項」という。)


第7 当審の判断

1 無効理由2:特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反についての判断
最初に、請求人の主張する無効理由2について検討する。

(1)請求項を特定しない特許法第36条違反について
A 請求人の主張するAの無効理由についての判断
本件特許明細書の段落【0028】には、「図3(b)は、プラーテン16とパッド18の別の具体例である。この具体例では、クオーツインサートは排除され、パッド18には貫通穴は存在しない。その代わりに、プラーテン16のホール30の上の領域では、パッド18の裏張り層20(存在すれば)が除去された。このことにより、ウエハ14とプラーテン16の底部との間には、パッド18のポリウレタンカバー層22だけが残っている。カバー層22に用いられるポリウレタン材料が、レーザー干渉計32からのレーザービームを実質的に透過させるだろうことが、見出されている。」との記載がある。そして、裏張り層を除去することによりパッドのポリウレタンカバー層だけを残し、かつ、このポリウレタンカバー層を透明なものとすれば、レーザー光等の光を透過するものであることは明らかである。してみると、レーザー光の透過を許容する透明体から成る合成樹脂製の研磨パッドを当業者が実施し得る程度に十分且つ、明確に記載されていなかったので、特許法第36条第4項違反であるとする無効理由、及び、本願の各請求項に係る発明も不明確であるから、特許法第36条第6項第2号違反であるとの無効理由は成り立たない。
B 請求人の主張するBの無効理由についての判断
レーザー光の反射を利用した終点検出の原理が、レーザー光に限らず通常の可視光、すなわち光にも適用できるものであることは明らかである。したがって、「レーザー光」と「光」とを同一視することはできないから、本件発明は、特許を受けようとする発明が不明確であるので、特許法第36条第12項(「第6項」の誤記と思われる。)第2号違反であるとする無効理由、及び、各発明を当業者が実施し得る程度に十分、且つ、明確に明細書に記載されていないので、特許法第36条第4項違反であるとする無効理由は成り立たない。
C 請求人の主張するCの無効理由についての判断
「レーザー干渉計」という用語は、甲第5号証に「レーザ干渉測定装置」と記載され、また、乙44号証、乙45号証においても記載されているように、CMPの終点検出装置として一般的に用いられているものである。したがって、本件特許の「レーザー干渉計」は、一般的に認識されている干渉計ではない、「干渉計」という語句の誤用は、軽微な誤りではなく、発明を構成するキーポイントとなった重要な誤りであるとする無効理由は成り立たない。
D 請求人の主張するDの無効理由についての判断
ブランク酸化膜ウエハの研磨中に干渉の測定を行うことにより、周期的な信号が発生することを検証することは可能で、その様にして検証されたデータをパターンウエハのCMP研磨において参照データとして利用することが可能であることは明らかである。したがって、本件特許の対象となるウェハは、パターンウェハ(パターニングされたウェハ)であり、ブランク酸化物ウェハの開示は、本件特許における課題を解決するものではなく、意味をなすものではないとする無効理由は成り立たない。
E 請求人の主張するEの無効理由についての判断
各請求項に数多く現れるそれぞれの信号の技術的意味および物理量が不明確であるという漠然とした理由では、それが特許法第36条第6項第1号及び第2号違反するのかどうか、また各請求項に係る発明を実施することができるかどうか、すなわち、特許法第36条第6項第4号に違反するかどうか判断することはできない。
なお、各請求項に現れる各種「信号」については、各請求項に対する特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反の無効理由としても挙げられていることから、各種「信号」の上記無効理由については、請求項ごとの判断に委ねることとする。
F 請求人の主張するFの無効理由についての判断
(i)の点に関して、本件出願の発明の詳細な説明の記載では、図9(a)のグラフをどのようにフィルタ処理することにより、図9(b)のグラフのようになるのかは、必ずしも明確ではないが、後述するように各請求項中にいくつか存在する「フィルタ」の特定のある請求項については、明確である。
したがって、このことにより、発明を実施することができないとすることも、また、特許請求の範囲の各請求項に記載された発明が発明の詳細な説明に記載されたものでないとすることも、特許請求の範囲の各請求項に記載された発明が明確でないとすることもできない。
(ii)の点に関して、CMPで対象とするパターンウエハにおいても、程度の差こそあれ、平坦化により検出される信号に周期的なサイクルが現れることは明らかであって、これをフィルタ処理することにより、ある程度の研磨に関する情報を得られることは明らかである。
(iii)の点に関して、積分した結果が必ず正の値となるものではない。
(iv)の点に関して、段落【0065】に、フィルタとはバンドパスフィルタであることが記載され、干渉計から検出された信号をバンドパスフィルタにかけて分析することにより研磨終点を検出できることは本件特許の優先権主張日前においても周知の事項であったことは明らかである。
したがって、請求人の主張するFの無効理由では、特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとすることも、特許法第36条第4項違反であるとすることもできない。
G 請求人の主張するGの無効理由についての判断
本件特許の段落【0045】の記載から、検出された信号から認識可能な正弦波状のサイクルが取り出されることが、CMP研磨の終点であるとすることは明らかである。
したがって、請求人の主張するGの無効理由では、特許法第36条第4項違反であるとすることも、特許法第36条第6項第2号違反であるとすることもできない。
H 請求人の主張するHの無効理由についての判断
研磨パッドはウエハに対して半径位置を変更しながら研磨するものであるので、研磨パッドの一部に設けられたウィンドウを通してレーザー反射光等を検出することにより、ある程度、ウエハ表面の均一性を検出できるものであることは明らかであり、それはパターンウエハにも該当するものであることも明らかである。
したがって、請求人の主張するHの無効理由では、特許法第36条第4項違反であるとすることはできない。

(2)請求項を特定する特許法第36条違反について
(i)請求人の主張する請求項1の無効理由についての判断
(1)Aで言及したとおり、レーザー干渉計を用い、反射光を測定することにより研磨の終点を検出することができることは明らかである。
したがって、レーザー干渉計の機能が不明であり、「レーザー干渉計を有する終点検出器」で、「レーザービームを発生させる」、「反射されてくる光を検出する」の記載では、終点検出にならず、終点検出器の意義が不明であり、反射されてくる光のどのような物理量を検出するのか不明であるので、請求項1を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は成り立たない。
(ii)請求人の主張する請求項9の無効理由についての判断
1)における各ステップの必要性が不明な点、及び2)(a)におけるウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、の部分の全体の中での必要性が不明な点については、必要性が不明というだけの理由で「明確でない」とすることはできない。
また、2)の後半、3)については、CMP研磨において、ウエハからの反射する光を検出して研磨の終点を決定する方法については、種々の方法があり、それぞれ、例示するまでもなく、従来周知のものである。
したがって、ウエハのCMPのための方法に対して、各ステップの必要性が不明であり、ウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、の部分の全体の中での必要性が不明であり、何を持って終点を決定するか示されておらず、ウエハから反射する光を検出するステップとは何の光を検出するのか明細書に記載されておらず不明であるので、請求項9を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は成り立たない。
(iii)請求人の主張する請求項18の無効理由についての判断
1)、5)については、「基板上の表面層の状態の均一性」とは、基板上の表面の平坦化と同様であることは明らかである。そして、平坦化の検出に関しては、平坦化によりデータ信号に周期的なサイクルが現れることは明らかである。また、均一性の判断を平坦化の判断と同様に計算できることも明らかである。
2)については、光ビームもレーザービームも電磁波の一種であって、レーザービームの測定原理を光ビームに応用できることは明らかである。
3)については、「干渉信号」が、レーザー干渉計に相当する光ビームの際の干渉計で検出される信号に相当するものであることは、技術的に明らかである。
4)については、干渉信号が干渉計によって生じる信号であることは明らかで、別の請求項で特定されている検出信号、データ信号との実質的な違いはともかく、表現として異なる信号であることは明らかである。
したがって、基板上の層の均一性を測定する方法は、実施不能であるか、開示されていないし、光ビームに関する内容は、明細書中に記載がなく、干渉信号を示す物理量が不明であり、干渉信号と検出信号、データ信号との実質的な差が不明であり、均一性の尺度の計算が開示されないか、原理的に計算できないため、請求項18を特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(iv)請求人の主張する請求項19の無効理由についての判断
「特徴情報」が、望ましく操作されていることがわかっているシステムに対して干渉計によって得られたシグネチャ波形を意味するものであることは、発明の詳細な説明の段落【0068】?【0070】を参照することにより明らかである。そして、研磨の目標が均一性、すなわち基板上の表面の平坦化であるから、特徴情報は、基板上の表面が均一化された時の干渉計によって得られたシグネチャ波形である。
段落【0018】に示されている「特性信号」は、請求項19中には存在しない。
したがって、特徴情報の意味・物理量が不明であり、干渉信号から特徴情報を抽出するステップは開示されておらず意味も不明であり、抽出された特徴情報から均一性の尺度を計算するステップも開示されておらず、均一性尺度を求める上で、段落【0018】に記載の特性信号の技術的意味・物理量と他の信号との差異が不明で均一性尺度が定義できないことから、請求項19を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるという無効理由は、成り立たない。
(v)請求人の主張する請求項20の無効理由についての判断
「表面層の状態の均一性」とは、基板上の表面の平坦化と同様であることは明らかである。そして、平坦化の検出に関しては、CMPで対象とするパターンウエハにおいても、程度の差こそあれ、平坦化によりデータ信号に周期的なサイクルが現れることは明らかである。
したがって、均一性の尺度が開示されず、また、原理的に計算できないことから、請求項20を特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反であるという無効理由は、成り立たない。
(vi)請求人の主張する請求項21の無効理由についての判断
1)の「干渉信号違反」については、請求項21中に存在しない。なお、「干渉信号」については、レーザー干渉計に相当する光ビームの際の干渉計で検出される信号に相当するものであることは、技術的に明らかである。
2)の「前記抽出するステップ」については、請求項21が引用している請求項19で特定されている「抽出するステップ」であることは明らかである。
3)、4)については、「第1の特性」とは、干渉信号の低周波数成分である。
5)の「第1の特性から前記抽出された情報を誘導するステップ」とある点に関して、「抽出された情報」自体は、請求項21が引用する請求項19中にも、また、請求項19がさらに引用する請求項18中にも存在しないが、請求項19中には、「抽出された情報」の代わりに「抽出された特徴情報」は存在する。したがって、「抽出された情報」とは「抽出された特徴情報」の誤記であることは明らかである。そして、「第1の特性から前記抽出された特徴情報を誘導するステップ」とは、第1の特性を用いて特徴情報を誘導することであることは明らかである。
したがって、請求項21中に誤記はあるものの、干渉信号違反の物理量が不明であり、抽出するステップが不明であり、第1の特性の意味が不明であり、低周波数成分の第1の特性を測定するステップが不明であり、第1の特性から抽出された情報を誘導するステップが不明であるので、請求項21を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(vii)請求人の主張する請求項22の無効理由についての判断
請求項22については、上記(vi)のとおりである。
また、請求項22中に「前記干渉計信号」とあるが、請求項22が引用する請求項21において、「干渉計信号」は存在せず、存在するのは「干渉信号」である。したがって、請求項22において、「干渉計信号」は「干渉信号」の誤記であることは明らかである。
したがって、請求項22中に誤記はあるものの、干渉計信号の物理量が不明であり、抽出するステップが不明であり、第1の特性の意味が不明であり、低周波数成分の第1の特性を測定するステップが不明であり、第1の特性から抽出された情報を誘導するステップが不明であるので、請求項22を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(viii)請求人の主張する請求項23の無効理由についての判断
低周波数信号と高周波数信号とは、干渉信号から抽出されるものであって、図16からは直接、低周波数信号の振幅と高周波数信号の振幅とを見分けられるものではない。
したがって、低周波信号の振幅と高周波信号の振幅が図16内のどれを意味するのか不明であるので、請求項23を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(ix)請求人の主張する請求項24の無効理由についての判断
1)については、「研磨プロセスの特性」とは、研磨プロセスが期待通りに進行しているか否かを示す指標であることは明らかであって、請求項24は、その特性を評価する方法に関する発明である。
2)、4)の「シグネチャ」については、訂正後の請求項24には存在しない。
3)については、光ビームの点は、上記(iii)のとおりである。
5)については、「研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、保存されている情報」とは、研磨プロセスにおいて、なんらかの操作を行なう際の、干渉計波形と比較される情報であることは明らかである。
したがって、プロセスの特性の技術的意味および物理量が不明であり、シグネチャの技術的意味・物理量が不明確であり、光ビームに関する開示はなく、シグネチャを抽出するステップの技術的意味が不明であり、研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、保存されている情報の技術的意味が不明であるので、請求項24を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(x)請求人の主張する請求項27の無効理由についての判断
1)の干渉計については、前記Cのとおりである。2)の干渉信号、3)の光ビーム、4)の干渉信号から均一性の尺度を計算する方法については、上記(iii)のとおりである。
したがって、干渉計とあるが、実質的に干渉計でなく、語句を誤用しており、干渉信号の物理量が不明であり、光ビームに関する開示がなく、干渉信号から均一性を計算する方法が不明確であり、示されていないので、請求項27を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(xi)請求人の主張する請求項30の無効理由についての判断
請求項30は、遡っていくと、請求項27を大本として引用しているものであるが、請求項27では、「光ビーム」を対象としたものであり、「レーザービーム」を対象としたものではない。しかしながら、レーザー干渉計を一般の光ビームの干渉検出にも利用できることは既述したとおりである。
したがって、レーザー干渉計は語句を誤用しているので、請求項30を特許法第36条第6項第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(xii)請求人の主張する請求項31の無効理由についての判断
1)の特徴情報、2)の干渉信号から特徴情報の抽出、3)の段落【0018】の特性信号との関係、4)の均一性の尺度の計算については、上記(iv)のとおりである。
したがって、特徴情報の技術的意味・物理量が不明であり、干渉信号から特徴情報を抽出することが示されておらず、段落【0018】記載の「特性信号」の技術的意味・物理量が不明であり、抽出された特徴情報から均一性の尺度を計算する方法が示されていないから、請求項31を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(xiii)請求人の主張する請求項39の無効理由についての判断
1)については、「基板を研磨することと、各特徴がどう対応」するかという点は、明確に無効理由を示していない。「それが必要機能なのか」、及び「何を行うか」は、特許請求の範囲の明確性と関係のない事項である。
2)の光ビームについては、上記(iii)のとおりである。
3)のパターンウェハ、周期信号からの終点検出、フィルタについては、CMPで対象とするパターンウエハにおいても、程度の差こそあれ、平坦化によりデータ信号に周期的なサイクルが現れることは明らかである。さらに、請求項39は、「フィルタ」を発明特定事項としていない。
したがって、基板を研磨することと、各特徴がどう対応し、また、それが必要機能なのか不明であり、何を行うかも不明であり、光ビームに対する開示はなく、CMPで対象となるパターンウェハは周期信号が現れず、パターンウェハに対して、周期信号から終点を検出する一意の方法が開示されていないし、フィルタは実施不能であるから、請求項39を特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(xiv)請求人の主張する請求項43の無効理由についての判断
請求項43に存在する「該第2の部分」に関して、請求項43が引用する請求項42には、「第2の部分」は存在しないものの「第2の非透過性部分」は存在する。したがって、請求項43における「該第2の部分」とは、「該第2の非透過性部分」の誤りであることは明らかである。
そして、第2の非透過性部分がマイクロポーラス構造を有することと、終点を検出するためのパッド機能とに技術的関連性がなくても差し支えない。
したがって、請求項43中に誤記はあるものの、第2の部分が、マイクロポーラス構造を有することと、終点を検出するためのパッド機能との技術的関連がなく、それを説明する記述がないことから、請求項43を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(xv)請求人の主張する請求項44の無効理由についての判断
第2の非透過性部分がオープンセルの構造を有することと、終点を検出するためのパッド機能とに技術的関連性がなくても差し支えない。
したがって、第2の部分が、オープンセルの構造を有することと、終点を検出するためのパッド機能との技術的関連がなく、それを説明する記述がないことから、請求項44を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(xvi)請求人の主張する請求項52の無効理由についての判断
1)の光ビームの点については、上記(iii)のとおりである。
2)の反射された光の測定については、上記(i)のとおりである。
また、3)については、請求項52は、光源と検出器の他に、研磨パッド、研磨ヘッドを有しており、これらにより研磨の終点を検出するシステムは従来周知のものである。
したがって、光ビームに関する開示はなく、光のどのような物理量を測定するのか不明であり、光源と検出器を有するだけの終点検出システムは特定できないから、請求項52を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。

2 無効理由1:特許法第29条第2項違反についての判断

(1)請求項1に対して
ア 対比
本件特許発明1と甲1発明1とを対比すると、後者の「定盤1」は前者の「研磨プラーテン」に、後者の「研磨液」は前者の「研磨スラリ」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウインドウ」に、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「ウエハ支持板8」は前者の「研磨ヘッド」に、後者の「ウエハ研磨装置」は前者の「装置」に相当する。
後者において、回転自在な定盤1は、ウエハ研磨装置のシャシに設置されていることは明らかである。
後者における「中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3」は、「開口」という限りで、前者の「ホール(孔)」と共通する。
後者における「定盤1の溝2と同形に切り抜かれた研磨布窓6」は、同形であることは調心されたものとも言えるものであるから、前者の「プラーテンのホールと調心されたウインドウ」に相当する。
前者における「レーザービーム」は、後者における「光」の下位概念である。
後者における「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ」ることは、「研磨プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設」する限りにおいて、前者の「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備える」ことと共通する。
後者における「反射光を受光するプローブ9を有し、これにより研磨状態の終点を知ることができるもの」は、前者の「反射されてくる光を検出することが可能な終点検出器とを備え」ることに相当する。
後者の「貫通孔3、透明窓材4、溝2は、ウエハ7の中心が透明窓材4の上にある時の一部の間、光をウエハへ入射させるための通路を与える」ことは、ウエハ7の中心のみが透明窓材4の上にある時だけ、光をウエハへ入射させるものであるから、「ウエハ7が透明窓材4の上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光をウエハ7へ入射させるための通路を与える」と言えるものであることは明らかである。
以上の点から、本件特許発明1と甲1発明1とは、以下の一致点、相違点を有している。
<一致点1>
「ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、
(a)シャシに回転自在に設置され、開口を自身に有する回転可能な研磨プラーテンと、
(b)プラーテンに設置され、研磨スラリによりウェットで、プラーテンの開口と調心されたウィンドウを有する、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドであり、
研磨プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設し、
(c)研磨パッドに対してウエハを保持するための、回転可能な研磨ヘッドと、
(d)ウエハへ向けて光を発生させることが可能であり且つウエハ及び開口から反射されてくる光を検出することが可能な終点検出器とを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光をウエハへ入射させるための通路を与える装置。」
<相違点1>
研磨プラーテンに関して、本件特許発明1では、「ホール(孔)を自身に有する研磨プラーテン」と特定しているのに対して、甲1発明1では、研磨プラーテンに相当する定盤1に設けられる開口は、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた2本の溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3である点。
<相違点2>
光透過部材の構造に関して、本件特許発明1では、「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備える、前記研磨パッド」であるとして、研磨パッドに中実な材料からなる光透過部材が設けられているとしているのに対して、甲1発明1では、光透過部材は、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4である点。
<相違点3>
ウエハに関して、本件特許発明1では、「酸化物層の下の半導体基板を備える」ものであると特定しているのに対して、甲1発明1では、SOIウエハではあるものの、酸化物層を表面に有するかどうか不明な点。
<相違点4>
終点検出する光及び装置に関して、本件特許発明1では、「レーザービーム」を用いており、また、検出器が「レーザー干渉計」であるのに対して、甲1発明1では、単に光を用いており、検出器がプローブ9である点。
イ 当審の判断
上記相違点について検討する。
(ア)<相違点1>について
開口の形状を「ホール(孔)」と特定することは、そのことにより開口の形状がどのようなものであるか特定されているものではない。してみると、甲1発明1における、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた2本の溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3からなる開口も、「ホール(孔)」と言えるものである。
してみると、相違点1は実質的な相違点ではない。
(イ)<相違点2>について
相違点2に関し、本件特許発明1は、「ウィンドウは、パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備える、研磨パッド」である。一方、甲1発明1は、「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ」るものである。透明窓材4がレーザービーム等の光ビームを透過するものであることは明らかであることから、両者の違いは、光ビームを透過する部材に関して、本件特許発明1では、「パッドに形成されたプラグ」としているものであるのに対して、甲1発明1では、「貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4」である。ここで、「プラグ」と「透明窓材4」の違いに格別な点を見出すことができず、結局、両者の違いは、光ビームを透過する部材を本件特許発明1では研磨パッドに形成すると特定し、甲1発明1ではプラーテンに相当する定盤1の貫通孔3に設けているとしていることから、両者の違いは、光ビームを透過する部材を設ける位置の違いだけである。
ところで、甲2記載事項1は、「ポリシングパッド1による貼り合わせウェーハ11の研磨において、ポリシングパッド1を透明体とし、ポリシングパッド1を透過してレーザ光を照射するもの。」であり、甲3記載事項は、「被加工物1の被加工面6をポリシャ3で研磨するにあたり、石英からなるポリシャ3を透明なものとし、レーザ光線11を照射し、透明なポリシャ3を透過してレーザ光線を照射するもの。」であり、甲4記載事項は、「被加工物2をポリシャ4で研摩するにあたり、合成樹脂からなるポリシャ4を透明なものとし、レーザ光を照射し、透明なポリシャ4を透過してレーザ光を照射するもの。」である。以上の点を考慮すると、光ビームを透過する部材を、研磨する部材側に設けることが甲2記載事項1、甲3記載事項、甲4記載事項に記載されているように周知の事項であるので、甲1発明1においても、透明窓材4を、研磨パッドに相当する研磨布5に形成することは、当業者が容易になし得たものである。
プラグを研磨パッドに設けることの作用ないし効果について検討すると、本件特許発明1では、プラグの材質に関して、「中実な材料からなる」ものであると特定しているだけであって、それがCMPに供するものであるかどうかの特定はなく、また、研磨パッドに形成されたものであるとは特定しているものの、研磨パッドの表面と面一であるかどうかの特定はない。そうしてみると、「パッドに形成されたプラグ」という発明特定事項によって、プラグが光ビームを透過するものである以上の特別な作用ないし効果を奏するものとすることはできない。
なお、被請求人は、甲第2号証記載の発明は明らかに自然法則に反するものであることを平成21年7月16日受付上申書において主張し、証拠として乙第80号証、及び乙第81号証を提出している。そして、甲第2号証に記載された発明は、作ることもできないし、使用することもできないから、審査基準に照らしても引用発明とすることはできないと主張している。また、甲第3号証に記載された甲3発明、甲第4号証に記載された甲4発明は光学部品を研磨する「光学ポリシング」に関するものである。光学ポリシングとCMPとは技術的に著しく異なるものであり、光学ポリシングをCMPへ適用しても所望の結果が得られるものではないことは技術常識であると主張している。
しかしながら、以下(i)ないし(ii)の理由により、被請求人の主張は採用できない。
(i)特許出願前に頒布された刊行物に記載された発明というためには、特許出願当時(本件特許の場合、優先権主張日当時。)の技術水準を基礎として、当業者が当該刊行物を見たときに、特許請求の範囲の記載により特定される特許発明等の内容との対比に必要な限度において、その技術的思想を実施し得る程度に技術的思想の内容が開示されていることが必要であり、かつ、それで足りると解するのが相当である。そして、甲第2号証からは、レーザ光を透過するポリシングパッドの発明を把握できるのであるから、甲第2号証に記載された発明におけるポリシングパッドの素材や表面構造あるいはスラリーの構成物質ないし組成を厳密に特定できないからといって、先行技術としての適格に欠けるものではない。
(ii)甲2ないし甲4記載事項として採用している事項は、前記したように、「被加工物を研磨部材により研磨するにあたり、研磨部材を透明なものとし、研磨部材を透過してレーザ光を照射する」ことである。してみると、被加工物を研磨する研磨部材としてレーザ光を透過可能なものが甲第2ないし甲第4号証から認定できることは明らかであるから、甲第2号証に記載された発明が「全反射」を前提とした場合に成立しないという点や、甲第3号証や甲第4号証に記載された発明は、「光学ポリシング」であって「CMP」とは技術的に著しく異なるなどの点は、「研磨部材をレーザ光が透過可能な透明なものとする」という事項の認定を覆すまでの事実とすることはできない。
また、被請求人は、平成20年1月16日付け答弁書において、「本件発明は、当時の研磨パッドは全て光透過性のものではなかったが、研磨パッド自体に光透過性を持たせることの考え方を追求した最初のものである。その結果、研磨パッドの一部又は該パッドに形成したプラグをウィンドウとして構成することを着想したものである。この様に、本件発明は、一様な研磨性能を得るためにパッドの構造は可及的に均質とすべきであるという技術常識且つ当時の研磨パッドは光透過性のものではないという技術常識を打ち破ってなされたものであり、即ち、そのような技術常識に対して研磨パッドにウィンドウを設けるという発想の転換のみならず、研磨パッドを切り抜いて穴を開けること無しに研磨パッドの一部又は該パッドに形成したプラグでウィンドウを構成するという発想の転換の2段階の発想の転換を経てなされたものである。」(第14頁第19行?第15頁第6行。)と主張している。
さらに、「訂正後の請求項1に記載された研磨パッドと甲第1号証に記載の研磨布を比較すると、甲第1号証に記載の研磨布が単に孔を有するのに対して、訂正後の請求項1に記載された研磨パッドは、中実な材料からなるプラグであって、レーザービームに対して透過性を有するプラグを備えるウィンドウを有する点において顕著な構成上の相違を有しています。訂正後の請求項1に記載された発明が有する前記<相違点2’>に係る構成が甲第1号証ないし甲第4号証のいずれにも開示も示唆もされていないことを考えると、訂正後の請求項1に記載の発明は、甲第1号証ないし甲第4号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に想到することができないものと考えられます。孔の開いた研磨布を開示する甲第1号証と透明で均一な『パッド』を開示する甲第2号証ないし甲第4号証には、中実な材料からなるプラグを備える、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドは記載も示唆もされておらず、請求人の主張とは反対に、訂正後の請求項1に記載の発明を容易に想到することはできません。」(平成22年12月1日付け上申書第7頁第5行?第16行)と主張している。
しかしながら、前記したとおり、本件特許発明1では、プラグを設ける位置を「研磨パッドに形成された」と特定しているだけであって、プラグが研磨パッドの一部であると特定しているものでも、また、プラグの表面が研磨パッドの発泡材料からなる表面と面一になっていると特定しているものでもない。
したがって、被請求人の答弁書における前記主張は採用できない。
(ウ)<相違点3>について
酸化物層の下の半導体基板を備え、酸化物層を物理的に平面化するに際して、レーザ-ビームにより酸化物層の厚さを検出する終点検出装置」は、甲5記載事項に見られるように従来周知の技術である。してみると、甲1発明1においても、ウエハ7を、甲1発明1において用いられているSOIウエハに代えて、表面に酸化物層を有する半導体基板とすることは、当業者が容易になし得たものである。
(エ)<相違点4>について
ウエーハの研磨における終点検知の光としてレーザ光を用いることは、甲2記載事項1に見られるように従来周知の事項であることから、甲1発明1においても、終点検知に用いる光をレーザ光とすることは、当業者が容易になし得たものである。そして、光としてレーザ光を用いた場合、レーザ光の検出にレーザ干渉計を用いることは、当然の設計変更に過ぎない。
(オ)<作用ないし効果>について
本件特許発明1によってもたらされる作用ないし効果も、(イ)において前記した点も踏まえれば、甲1発明1、及び甲2?甲4記載事項、甲5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(カ)請求項1に対するまとめ
したがって、本件特許発明1は、甲1発明1、及び甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(2)請求項9に対して
ア 対比
本件特許発明9と甲1発明2とを対比すると、後者の「ウエハ支持板8」は前者の「研磨ヘッド」に、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「研磨液」は前者の「研磨スラリ」に、後者の「定盤1」は前者の「プラーテン」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウインドウ」に相当する。
後者における「中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3」は、「開口」という限りで、前者の「ホール(孔)」と共通する。
後者における研磨はCMPであることが明らかなので、後者の「研磨状態の終点を知る」ことは、前者の「CMPが終了した終点を決定する」ことに相当する。
後者における「溝2に同形に切り抜かれた該研磨布5に含まれる研磨布窓6」は、研磨布5が定盤1の上に直接設けられたものであるから、「プラーテン内に形成された開口に近接するように配置された研磨パッドに含まれるウインドウ」という限りで、前者の「プラーテン内に形成されたホール(孔)に近接するように配置された該研磨パッドに含まれるウインドウ」と共通する。
前者における「レーザービーム」は、後者における「光」の下位概念である。
後者における「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ」ることは、「研磨プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設し」である限りにおいて、前者の「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え」ることと共通する。
後者の「照射する」ことは、光を照射するのであるから、「発する」といえるものである。
後者の「該研磨布窓6は、ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える」ことは、ウエハ7の中心のみが透明窓材4の上にある時だけ、光をウエハへ入射させるものであるから、「該ウィンドウは、ウエハが該ウィンドウの上にあるときの時間の一部の間光のための通路を与える」限りにおいて、前者の「該ウィンドウは、ウエハが該ウィンドウの上にあるときの時間の一部の間レーザービームのための通路を与える」ことと共通する。
以上の点から、本件特許発明9と甲1発明2とは、以下の一致点、相違点を有している。
<一致点2>
「ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)のための方法であって、該方法は、
(a)ウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、該回転可能な研磨ヘッドの下の研磨パッドに対して保持するステップであって、該パッドは発泡材料からなる表面を有し、研磨スラリによってウェットとなっている、該保持するステップと、
(b)CMPが終了した終点を決定するステップであって、該終点を決定するステップは、
(b1)光をウエハに向けて発するステップであって、該光は、プラーテン内に形成された開口に近接するように配置された該研磨パッドに含まれるウィンドウを通過し、
研磨プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設し、
該ウィンドウは、ウエハが該ウィンドウの上にあるときの時間の一部の間光のための通路を与える、該発するステップと、
(b2)ウエハから反射する光を検出するステップとを備える前記決定するステップとを備える方法。」
<相違点5>
ウエハに関して、本件特許発明9では、「酸化物層の下の半導体基板を備える」ものであると特定しているのに対して、甲1発明2では、SOIウエハではあるものの、酸化物層を表面に有するかどうか不明な点。
<相違点6>
発する光に関して、本件特許発明9では、「レーザービーム」としているのに対して、甲1発明2では、単に光である点。
<相違点7>
開口に関して、本件特許発明9では、「ホール(孔)」としているのに対して、甲1発明2では、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3である点。
<相違点8>
光透過部材の構造に関して、本件特許発明9では、「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え」るとして、研磨パッドに光透過部材が設けられているのに対して、甲1発明2では、光透過部材は、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4である点。
イ 当審の判断
上記相違点について検討する。
(ア)<相違点5>について
酸化物層の下の半導体基板を備え、酸化物層を物理的に平面化するに際して、レーザ-ビームにより酸化物層の厚さを検出する終点検出装置」は、甲5記載事項に見られるように従来周知の技術である。してみると、甲1発明2においても、ウエハ7を、甲1発明2において用いられているSOIウエハに代えて、表面に酸化物層を有する半導体基板とすることは、当業者が容易になし得たものである。
(イ)<相違点6>について
ウェーハの研磨における終点検知の光としてレーザ光を用いることは、甲2記載事項1に見られるように従来周知の事項であることから、甲1発明2においても、終点検知に用いる光をレーザ光とすることは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<相違点7>について
開口の形状を「ホール(孔)」と特定することは、そのことにより開口の形状がどのようなものであるか特定されているものではない。してみると、甲1発明2における、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた2本の溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3からなる開口も、「ホール(孔)」と言えるものである。
してみると、相違点7は実質的な相違点ではない。
(エ)<相違点8>について
相違点8に関し、本件特許発明9は、「ウィンドウは、パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、レーザービームに対して透過性を有するプラグを備え」である。一方、甲1発明2は、「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ」である。透明窓材4がレーザービーム等の光ビームを透過するものであることは明らかであることから、両者の違いは、光ビームを透過する部材に関して、本件特許発明9では、「パッドに形成されたプラグ」としているものであるのに対して、甲1発明2では、「貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4」である。ここで、「プラグ」と「透明窓材4」の違いに格別な点を見出すことができず、結局、両者の違いは、光ビームを透過する部材を本件特許発明9では研磨パッドに形成すると特定し、甲1発明2ではプラーテンに相当する定盤1の貫通孔3に設けているとしていることから、両者の違いは、光ビームを透過する部材を設ける位置の違いだけである。
しかしながら、(1)イ(イ)で言及したとおり、光ビームを透過する部材を、研磨する部材側に設けることが甲2記載事項1、甲3記載事項、甲4記載事項に記載されているように周知の事項であるので、甲1発明2においても、透明窓材4を、研磨パッドに相当する研磨布5に形成することは、当業者が容易になし得たものである。
(オ)<作用ないし効果>について
本件特許発明9によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明2、及び甲2?甲5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(カ)請求項9に対するまとめ
したがって、本件特許発明9は、甲1発明2、及び甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(3)請求項18に対して
ア 対比
本件特許発明18と甲1発明3とを対比すると、後者の「表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着したSOIウエハ7」は前者の「基板」に、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウインドウ」に、後者の「光」は前者の「光ビーム」に相当する。
後者における「ウエハ7の研磨状態の終点」は、研磨は表面層に対して行うものであるから、「基板上の表面層の研磨状態」という限りで、前者の「基板上の表面層の状態の均一性」と共通する。
後者における「ウエハ7の研磨を中断せずに知る」ことは、研磨は表面層に対して行うものであるから、前者の「層の研磨の最中に測定する」ことに相当する。
後者における「ウエハ7の方へ光を向ける」ことは、研磨は表面層に対して行うものであるから、前者の「基板上の表面層の方へ光ビームを向ける」ことに相当する。
後者における「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ」ることは、「研磨プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設」する限りにおいて、前者の「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」ることと共通する。
後者の「ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える」ことは、ウエハ7の中心のみが透明窓材4の上にある時だけ、光をウエハへ入射させるものであるから、前者の「前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハに入射させるための通路を与える」に相当する。
後者の「光をプローブ9により受光して検出する」ことは、「光ビームを受光して検出する」限りにおいて、前者の「光ビームによって生じる干渉信号をモニタする」ことと共通する。
以上の点から、本件特許発明18と甲1発明3とは、以下の一致点、相違点を有している。
<一致点3>
「ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において、基板上の表面層の研磨状態を、前記層の研磨の最中に測定するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ光ビームを向けるステップであり、研磨プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設し、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハに入射させるための通路を与える、前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記光ビームを受光して検出するステップとを備える方法。」
<相違点9>
測定する基板上の表面層の研磨状態に関して、本件特許発明18では、「基板上の表面層の状態の均一性」であるとしているのに対して、甲1発明3では、ウエハ7の研磨状態の終点であるとしている点。
<相違点10>
光透過部材の構造に関して、本件特許発明18では、「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」るとして、研磨パッドに光透過部材が設けられているのに対して、甲1発明3では、光透過部材は、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4である点。
<相違点11>
本件特許発明18では、「(b)基板から反射されてくる光ビームによって生じる干渉信号をモニタするステップと、(c)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するステップとを備える」としているのに対して、甲1発明3では、ウエハ7から反射されてくる光をプローブ9により受光して検出するステップを備える点。
イ 当審の判断
上記相違点について検討する。
(ア)<相違点9>について
甲5記載事項は、「表面に酸化物被覆14を有する半導体ウェーハ10における酸化物被覆14を物理的に平面化するに際して、レーザ干渉測定装置28により酸化物被覆14の厚さを検出する、物理的な平面化及び終点検出装置。」である。ここで、甲5記載事項における「表面に酸化物被覆14を有する半導体ウェーハ10」は、本件特許発明18の「基板」に相当し、また、甲5記載事項における「酸化物被覆14を物理的に平面化するに際して、酸化物被覆14の厚さを検出する」ことは、「表面層の状態を均一化するに際して、前記表面層の状態の均一性を測定する」ことと言い換えることができる。そして、レーザ干渉測定装置を用いるものであるから、これにより干渉信号をモニタすることは明らかである。したがって、甲5記載事項は、「基板上の表面層の状態を均一化するに際して、前記表面層の状態の均一性を測定し、干渉信号をモニタする装置」と言い換えることができる。してみると、基板の研磨に際して、基板上における表面層の状態の均一性を測定することは甲5記載事項に見られるように周知の事項であることから、甲1発明3においても、基板に相当するウエハ7において、その表面層の状態の均一性を測定するようにすることは、当業者が容易になし得たものである。
(イ)<相違点10>について
相違点10に関し、本件特許発明18は、「ウィンドウは、パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」である。一方、甲1発明3は、「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ」である。透明窓材4が光ビームを透過するものであることは明らかであることから、両者の違いは、光ビームを透過する部材に関して、本件特許発明18では、「パッドに形成されたプラグ」としているものであるのに対して、甲1発明3では、「貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4」である。ここで、「プラグ」と「透明窓材4」の違いに格別な点を見出すことができず、結局、両者の違いは、光ビームを透過する部材を本件特許発明18では研磨パッドに形成すると特定し、甲1発明3ではプラーテンに相当する定盤1の貫通孔3に設けているとしていることから、両者の違いは、光ビームを透過する部材を設ける位置の違いだけである。
しかしながら、(1)イ(イ)で言及したとおり、光ビームを透過する部材を、研磨する部材側に設けることが甲2記載事項1、甲3記載事項、甲4記載事項に記載されているように周知の事項であるので、甲1発明3においても、透明窓材4を、研磨パッドに相当する研磨布5に形成することは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<相違点11>について
甲5記載事項は、前記(ア)<相違点9>についてで言及したとおり、「基板上の表面層の状態を均一化するに際して、前記表面層の状態の均一性を測定し、干渉信号をモニタする装置」である。甲1発明3において、ウエハ7の表面層の状態の均一性を測定するように代えた場合、その均一性を判断するためには、光ビームによって生じる干渉信号をモニタし、これにより、干渉信号からの表面層の状態の均一性の尺度を計算しなければならないことは、当然の設計変更に過ぎない。
(エ)<作用ないし効果>について
本件特許発明18によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明3、及び甲2?甲5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(オ)請求項18に対するまとめ
したがって、本件特許発明18は、甲1発明3、及び甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(4)請求項19に対して
ア 対比
本件特許発明19と甲1発明3とを対比すると、両者は、上記<一致点3>で一致し、上記<相違点9>ないし<相違点11>で相違する他、以下の相違点を有している。
<相違点12>
計算するステップに関して、本件特許発明19では、「干渉信号から特徴情報を抽出するステップと、抽出された特徴情報から表面層の状態の均一性の尺度を計算するステップとを備える」としているのに対して、甲1発明3では、そのようなステップを備えていない点。
イ 当審の判断
上記相違点について検討する。
(ア)<相違点9>ないし<相違点11>について
<相違点9>ないし<相違点11>についての判断は、前記(3)イで言及したとおりである。
(イ)<相違点12>について
干渉信号から表面層の状態の均一性を判断するためには、干渉信号から特徴情報を抽出し、その特徴情報をもとにして表面層の状態の均一性を判断しなければならないことは当然の技術的事項に過ぎない。
してみると、甲1発明3において、ウエハ7の表面層の状態の均一性を測定するように代えた場合には、干渉信号をモニタし、干渉信号から特徴情報を抽出し、抽出された特徴情報から表面層の状態の均一性の尺度を計算するようにすることは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<作用ないし効果>について
本件特許発明19によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明3、及び甲2?甲5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(オ)請求項19に対するまとめ
したがって、本件特許発明19は、甲1発明3、及び甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(5)請求項20に対して
ア 対比
本件特許発明20と甲1発明3とを対比すると、両者は、上記<一致点3>で一致し、上記<相違点9>ないし<相違点12>で相違する他、以下の相違点を有している。
<相違点13>
本件特許発明20では、「表面層の状態の均一性の尺度を参考値と比較するステップと、表面層の状態の均一性の尺度が該参考値から所定の量以上に広がったときに警告を発するステップとを更に備える」としているのに対して、甲1発明3では、そのようなステップを備えていない点。
イ 当審の判断
(ア)<相違点9>ないし<相違点12>について
<相違点9>ないし<相違点12>についての判断は、前記(3)イで、また、<相違点12>についての判断は、前記(4)イ(イ)で言及したとおりである。
(イ)<相違点13>について
一般に、研磨中に異常が発生した場合、警報を発することは、例えば、甲2記載事項2に見られるように周知の事項であり、「異常」と判断するためには何らかの閾値を設定し、その閾値と測定値を比較することにより判定することは通常行われていることであるから、甲1発明3において、ウエハ7の表面層の状態の均一性を測定するように代えた場合には、表面層の状態の均一性の尺度を参考値と比較し、表面層の状態の均一性の尺度が参考値から所定の量以上広がったときに警告を発するようにすることは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<作用ないし効果>について
本件特許発明20によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明3、及び甲2?甲5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(オ)請求項20に対するまとめ
したがって、本件特許発明20は、甲1発明3、及び甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(6)請求項21に対して
ア 対比
本件特許発明21と甲1発明3とを対比すると、両者は、上記<一致点3>で一致し、上記<相違点9>ないし<相違点12>で相違する他、以下の相違点を有している。
<相違点14>
本件特許発明21では、「干渉信号が低周波数成分を含み、抽出するステップが、前記低周波数成分の第1の特性を測定するステップと、前記第1の特性から前記抽出された情報を誘導するステップとを備える」としているのに対して、甲1発明3では、そのようなステップを備えていない点。
イ 当審の判断
上記<相違点14>について検討する。
甲1発明3においては、干渉信号が低周波成分を含み、低周波成分の特性を測定し、該特性から抽出された情報を誘導していない。また、干渉信号から低周波成分の特性を測定する点は、甲第2ないし甲第5号証にも記載は存在しない。さらに、干渉信号から低周波成分の特性を測定する点が、従来周知であるという証拠も、甲第11?25号証を参照しても見当たらない。
そして、本件特許発明21は、上記相違点14に係る発明特定事項を備えることにより、本件特許明細書の段落【0060】に記載されたように、「研磨速度の情報を含んでいる低周波信号の周波数」を利用することにより、研磨速度を検出するという効果を奏するものである。
したがって、本件特許発明21は、甲第1ないし第5号証に記載された発明及び事項から当業者が容易になし得たとすることはできない。

(7)請求項22?請求項23に対して
請求項22は請求項21を引用し、請求項23は請求項22を引用しているものである。
ここで、前記(6)において言及したとおり、請求項21は、<相違点14>に係る発明特定事項により、甲第1ないし第5号証に記載された発明及び事項から当業者が容易になし得たとすることはできないとしたものであるので、当該請求項21による特定事項をすべて含み、さらに、別の特定事項を備える請求項22ないし請求項23に係る発明も、同様に、(6)において言及したとおり、<相違点14>に係る発明特定事項により、甲第1ないし第5号証に記載された発明及び事項から当業者が容易になし得たとすることはできない。

(8)請求項24に対して
ア 対比
本件特許発明24と甲1発明4とを対比すると、後者の「表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着したSOIウエハ7」は前者の「基板」に、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウインドウ」に、後者の「光」は前者の「光ビーム」に相当する。
後者における「研磨状態の終点を知る」ことは、「研磨プロセスの特性を評価する」と言い換えることができる。
後者における「研磨を中断せず」は、前者の「研磨の最中」に相当する。
後者における「ウエハ7の方へ光を向ける」ことは、研磨は表面層に対して行うものであるから、前者の「基板上の表面層の方へ光ビームを向ける」ことに相当する。
後者における「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ」ることは、「研磨プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設」する限りにおいて、前者の「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」ることと共通する。
後者の「ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える」ことは、ウエハ7の中心のみが透明窓材4の上にある時だけ、光をウエハへ入射させるものであるから、前者の「前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハに入射させるための通路を与える」ことに相当する。
後者の「光をプローブ9により受光して検出する」ことは、「光ビームを受光して検出する」限りにおいて、前者の「光ビームによって発生する干渉信号をモニタする」ことと共通する。
以上の点から、本件特許発明24と甲1発明4とは、以下の一致点、相違点を有している。
<一致点4>
「ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において、基板を研磨するための研磨プロセスの特性を評価するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ光ビームを向けるステップであり、研磨プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設し、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハに入射させるための通路を与える、前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記光ビームを受光して検出するステップとを備える方法。」
<相違点15>
基板に関して、本件特許発明24では、「層を自身の上に有する」としているのに対して、甲1発明4では、SOIウエハではあるものの、層を自身の上に有しているのかどうか不明な点。
<相違点16>
光透過部材の構造に関して、本件特許発明24では、「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」るとして、研磨パッドに光透過部材が設けられているのに対して、甲1発明4では、光透過部材は、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4である点。
<相違点17>
本件特許発明24では、「光ビームによって生じる干渉信号をモニタするステップ」を有しているのに対して、甲1発明4では、ウエハ7から反射されてくる光をプローブ9により受光して検出するステップを備える点。
<相違点18>
本件特許発明24では、「(c)干渉信号から干渉計波形を抽出するステップと、(d)前記抽出された干渉計波形を保存されている情報と比較するステップであって、前記保存されている情報は、研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、前記比較するステップ」を有しているのに対して、甲1発明4では、そのようなステップを有していない点。
<相違点19>
本件特許発明24では、「(e)抽出された干渉計波形が保存されている情報から所定の量以上広がったとき、警告を発するステップ」を備えているのに対して、甲1発明4は、そのようなステップを有していない点。
イ 当審の判断
上記相違点について検討する。
(ア)<相違点15>について
酸化物層の下の半導体基板を備え、酸化物層を物理的に平面化するに際して、レーザ-ビームにより酸化物層の厚さを検出する終点検出装置」は、甲5記載事項に見られるように従来周知の技術である。してみると、甲1発明4においても、ウエハ7を、甲1発明4において用いられているSOIウエハに代えて、層を自身の上に有する基板とすることは、当業者が容易になし得たものである。
(イ)<相違点16>について
相違点16に関し、本件特許発明24は、「ウィンドウは、パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」である。一方、甲1発明4は、「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれる」である。透明窓材4が光ビームを透過するものであることは明らかであることから、両者の違いは、光ビームを透過する部材に関して、本件特許発明24では、「パッドに形成されたプラグ」としているものであるのに対して、甲1発明4では、「貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4」である。ここで、「プラグ」と「透明窓材4」の違いに格別な点を見出すことができず、結局、両者の違いは、光ビームを透過する部材を本件特許発明24では研磨パッドに形成すると特定し、甲1発明4ではプラーテンに相当する定盤1の貫通孔3に設けているとしていることから、両者の違いは、光ビームを透過する部材を設ける位置の違いだけである。
しかしながら、(1)イ(イ)で言及したとおり、光ビームを透過する部材を、研磨する部材側に設けることが甲2記載事項1、甲3記載事項、甲4記載事項に記載されているように周知の事項であるので、甲1発明4においても、透明窓材4を、研磨パッドに相当する研磨布5に形成することは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<相違点17>について
甲5記載事項は、前記(3)イ(ア)<相違点9>についてで言及したとおり、「基板上の表面層の状態を均一化するに際して、前記表面層の状態の均一性を測定し、干渉信号をモニタする装置」である。甲1発明4において、ウエハ7の表面層の状態の均一性を測定するように代えた場合、その均一性を判断するためには、光ビームによって生じる干渉信号をモニタし、これにより、干渉信号からの表面層の状態の均一性の尺度を計算しなければならないことは、当然の設計変更に過ぎない。
(エ)<相違点18>について
一般に、測定を行う場合、関連する情報を保存しておき、測定値を保存されている当該情報と比較し、測定の結果に対する操作の指針を与えることは、甲第1号証(特に、段落【0029】参照。)にも見られるように従来周知の事項であるから、甲1発明4においても、甲5記載事項を採用することにより、光ビームによって発生する干渉信号をモニタするようにした場合には、干渉信号から干渉計波形を抽出し、抽出された干渉計波形を保存されている指針である情報と比較し、その際に、当該保存されている情報を、研磨プロセスに対しての操作である望ましい操作のポイントを代表しているものとすることは、当業者が前記周知の事項を採用することにより適宜設定可能な設計事項に過ぎない。
(オ)<相違点19>について
一般に、測定値に対して参考値を設定し、測定値を参考値と比較して設定された閾値を超えた場合、異常と判断して警告を発することは、甲2記載事項2にも見られるように従来周知の事項であるから、甲1発明4において、抽出された干渉計波形が保存されている情報から閾値である所定の量以上広がったとき、警告を発するようにすることは、当業者が容易になし得たものである。
(カ)<作用ないし効果>について
本件特許発明24によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明4、甲2?甲5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(キ)請求項24に対するまとめ
したがって、本件特許発明24は、甲1発明4、及び甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(9)請求項25に対して
ア 対比
本件特許発明25と甲1発明4とを対比すると、両者は、上記<一致点4>で一致し、上記<相違点15>ないし<相違点19>で相違する他、以下の相違点を有している。
<相違点20>
本件特許発明25では、「干渉信号を、オペレータが見ることができるように、視覚的なディスプレイ装置上に表示するステップを更に備える」としているのに対して、甲1発明4では、そのようなステップを備えていない点。
イ 当審の判断
上記<相違点15>ないし<相違点20>について検討する。
(ア)<相違点15>ないし<相違点19>について
<相違点15>ないし<相違点19>についての判断は、前記(8)イで言及したとおりである。
(イ)<相違点20>について
一般に、検出した信号をオペレータが見ることができるように、視覚的なディスプレイ装置上に表示することは通常行われていることであるので、甲1発明4において、検出した信号である干渉信号を、オペレータが見ることができるように、視覚的なディスプレイ装置上に表示するようにすることは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<作用ないし効果>について
本件特許発明25によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明4、甲2?甲5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(エ)請求項25に対するまとめ
したがって、本件特許発明25は、甲1発明4、及び甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(10)請求項27に対して
ア 対比
本件特許発明27と甲1発明5とを対比すると、後者の「表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着したSOIウエハ7」は前者の「基板」に、後者の「研磨中」は前者の「処理中」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウィンドウ」に、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「光」は前者の「光ビーム」に、後者の「光を照射」は前者の「光ビームを発生」に、後者の「定盤1」は前者の「プラーテン」に、後者の「ウエハ支持板8」は前者の「研磨ヘッド」に相当する。
後者における「ウエハ研磨装置」が、全体的なシステムと捉えることができるから、前者の「基板研磨システム」に相当する。
後者における「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ」は、「プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設」する限りにおいて、前者の「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」ることと共通する。
後者の「ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える」ことは、ウエハ7の中心のみが透明窓材4の上にある時だけ、光をウエハへ入射させるものであるから、前者の「前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハに入射させるための通路を与える」ことに相当する。
後者における「ウエハ7の中心の研磨面」は、前者の「基板の側部」に相当する。
後者における「プローブ9」は、「光ビーム測定装置」という限りで、前者の「干渉計」と共通する。
以上の点から、本件特許発明27と甲1発明5とは、以下の一致点、相違点を有している。
<一致点5>
「ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための基板研磨システムであって、
(a)処理中に、ウィンドウを有する発泡材料からなる表面を有する研磨パッドを保持するプラーテンであり、
プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設し、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハに入射させるための通路を与える、前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)処理中に、前記研磨パッドの前記ウィンドウを通して、研磨されるべき基板の側部に向けられ且つ入射する光ビームを発生させることが可能な光ビーム測定装置を備える研磨システム。」
<相違点21>
ウィンドウに関して、本件特許発明27では、「中実な透明」と特定し、また、「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」と特定しているのに対して、甲1発明5では、ウィンドウに相当する研磨布窓6が、定盤1の溝2と同形に切り抜かれたものであり、定盤1には、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3が設けられ、前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の透明窓材4が嵌め込まれたものである点。
<相違点22>
光ビームの発生に関して、本件特許発明27では、「コリメートされた」ものとしているのに対して、甲1発明5では、コリメートされているかどうかが不明な点。
<相違点23>
光ビーム測定装置に関して、本件特許発明27では、「干渉計」であるとし、また、「前記干渉計は干渉信号を発生する、前記干渉計と、前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するようにプログラミングされたデータプロセッサとを備える」と特定しているのに対して、甲1発明5では、プローブ9である点。
イ 当審の判断
上記相違点について検討する。
(ア)<相違点21>について
相違点21に関し、本件特許発明27は、「ウィンドウは、パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」である。一方、甲1発明5は、「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ」である。透明窓材4が光ビームを透過するものであることは明らかであることから、両者の違いは、光ビームを透過する部材に関して、本件特許発明27では、「パッドに形成されたプラグ」としているものであるのに対して、甲1発明5では、「貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4」である。ここで、「プラグ」と「透明窓材4」の違いに格別な点を見出すことができず、結局、両者の違いは、光ビームを透過する部材を本件特許発明27では研磨パッドに形成すると特定し、甲1発明5ではプラーテンに相当する定盤1の貫通孔3に設けているとしていることから、両者の違いは、光ビームを透過する部材を設ける位置の違いだけである。
しかしながら、(1)イ(イ)で言及したとおり、光ビームを透過する部材を、研磨する部材側に設けることが甲2記載事項1、甲3記載事項、甲4記載事項に記載されているように周知の事項であるので、甲1発明5においても、透明窓材4を、研磨パッドに相当する研磨布5に形成することは、当業者が容易になし得たものである。
(イ)<相違点22>について
測定のための光ビームをコリメートされたものとすることは通常行われていることであるから、甲1発明5においても、照射される光をコリメートされたものとすることは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<相違点23>について
甲5記載事項は、「表面に酸化物被覆14を有する半導体ウェーハ10における酸化物被覆14を物理的に平面化するに際して、レーザ干渉測定装置28により酸化物被覆14の厚さを検出する、物理的な平面化及び終点検出装置。」である。ここで、甲5記載事項における「表面に酸化物被覆14を有する半導体ウェーハ10」、「レーザ干渉測定装置」は、それぞれ、本件特許発明27の「基板」、「干渉計」に相当し、また、甲5記載事項における「酸化物被覆14を物理的に平面化するに際して、酸化物被覆14の厚さを検出する」ことは、「表面層の状態を均一化するに際して、前記表面層の状態の均一性を測定する」ことである。そして、レーザ干渉測定装置を用いるものであるから、甲5記載事項は、「基板上の表面層の状態を均一化するに際して、前記表面層の状態の均一性を測定し、干渉信号を発生する干渉計」と言い換えることができる。基板の研磨に際して、基板上における表面層の状態の均一性を測定することは甲5記載事項に見られるように周知の事項であることから、甲1発明5においても、基板に相当するウエハ7において、その表面層の状態の均一性を測定するようにすることは、当業者が容易になし得たものである。そして、測定された信号をプログラミングされたデータプロセッサを用いて計算することは慣用手段であることから、甲1発明5において、甲5記載事項を採用することにより、干渉計を用いて干渉信号を発生させた場合には、当該干渉信号を、研磨の目標である表面層の状態の均一性の尺度を計算するようにプログラミングされたデータプロセッサを用いて計算することは、当業者が通常行いうる設計変更に過ぎない。
(エ)<作用ないし効果>について
本件特許発明27によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明5、甲2?甲4記載事項、甲5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(オ)請求項27に対するまとめ
したがって、本件特許発明27は、甲1発明5、甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(11)請求項28に対して
ア 対比
本件特許発明28は、本件特許発明27を引用している。したがって、前記(10)アを参照することにより、本件特許発明28と甲1発明5とを対比すると、本件特許発明28と甲1発明5とは、以下の一致点を有し、相違点21ないし相違点23を有している。
<一致点6>
「ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための基板研磨システムであって、
(a)処理中に、ウィンドウを有する発泡材料からなる表面を有する研磨パッドを保持するプラーテンであり、
プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設し、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハに入射させるための通路を与える、前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)処理中に、前記研磨パッドの前記ウィンドウを通して、研磨されるべき基板の側部に向けられ且つ入射する光ビームを発生させることが可能な光ビーム測定装置を備える研磨システムであって、
前記研磨ヘッドが、処理中に回転できるように、回転可能となっている研磨システム。」
イ 当審の判断
<相違点21>、<相違点22>、<相違点23>についての判断は、前記(10)イのとおりである。
したがって、本件特許発明28は、甲1発明5、甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(12)請求項29に対して
ア 対比
本件特許発明29は、本件特許発明28を引用している。したがって、前記(10)ア、(11)アを参照することにより、本件特許発明29と甲1発明5とを対比すると、本件特許発明29と甲1発明5とは、以下の一致点を有し、相違点21ないし相違点23を有している。
<一致点7>
「ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための基板研磨システムであって、
(a)処理中に、ウィンドウを有する発泡材料からなる表面を有する研磨パッドを保持するプラーテンであり、
プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設し、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハに入射させるための通路を与える、前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)処理中に、前記研磨パッドの前記ウィンドウを通して、研磨されるべき基板の側部に向けられ且つ入射する光ビームを発生させることが可能な光ビーム測定装置を備える研磨システムであって、
前記研磨ヘッド、及び前記プラーテンが、処理中に回転できるように、回転可能となっている研磨システム。」
イ 当審の判断
<相違点21>、<相違点22>、<相違点23>についての判断は、前記(10)イのとおりである。
したがって、本件特許発明29は、甲1発明5、甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(13)請求項30に対して
ア 対比
本件特許発明30は、本件特許発明29を引用している。したがって、前記(10)ア、(11)ア、(12)アを参照することにより、本件特許発明30と甲1発明5とを対比すると、本件特許発明30と甲1発明5とは、前記一致点7で一致し、前記相違点21ないし相違点23で相違する他、以下の相違点24を有している。
<相違点24>
干渉計に関して、本件特許発明30では、「レーザー干渉計」であると特定しているのに対して、甲1発明5では、プローブ9である点。
イ 当審の判断
(ア)<相違点21>、<相違点22>、<相違点23>について
<相違点21>、<相違点22>、<相違点23>についての判断は、前記(10)イのとおりである。
(イ)<相違点24>について
前記(10)イ(ウ)で言及したとおり、甲5記載事項は、「表面に酸化物被覆14を有する半導体ウェーハ10における酸化物被覆14を物理的に平面化するに際して、レーザ干渉測定装置28により酸化物被覆14の厚さを検出する、物理的な平面化及び終点検出装置。」である。そして、光ビームの測定にレーザ干渉計を適用できないとする特別の阻害事由もないことからすれば、干渉計をレーザー干渉計とすることは、当然の事項に過ぎない。
(ウ)<作用ないし効果>について
本件特許発明30によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明5、甲2?甲4記載事項、甲5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(エ)請求項30に対するまとめ
したがって、本件特許発明30は、甲1発明5、甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(14)請求項31に対して
ア 対比
本件特許発明31は、本件特許発明29を引用している。したがって、前記(10)ア、(11)ア、(12)アを参照することにより、本件特許発明31と甲1発明5とを対比すると、本件特許発明31と甲1発明5とは、前記一致点7で一致し、前記相違点21ないし相違点23で相違する他、以下の相違点25を有している。
<相違点25>
データプロセッサに関して、本件特許発明31では、更に、「干渉信号から特徴情報を抽出することと、前記抽出された特徴情報から均一性の前記尺度を計算することと、をプログラミングされている」と特定しているのに対して、甲1発明5では、そのようなことについて不明である点。
イ 当審の判断
(ア)<相違点21>、<相違点22>、<相違点23>について
<相違点21>ないし<相違点23>についての判断は、前記(10)イのとおりである。
(イ)<相違点25>について
干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するためには、干渉信号から特徴情報を抽出し、その特徴情報をもとにして表面層の状態の均一性の尺度を計算しなければならないことは当然の技術的事項に過ぎない。
してみると、甲1発明5において、ウエハ7の表面層の状態の均一性を測定するように代えた場合には、干渉信号から特徴情報を抽出し、抽出された特徴情報から表面層の状態の均一性の尺度を計算するようにすることは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<作用ないし効果>について
本件特許発明31によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明5、甲2?甲4記載事項、甲5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(エ)請求項31に対するまとめ
したがって、本件特許発明31は、甲1発明5、甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(15)請求項32に対して
ア 対比
本件特許発明32は、本件特許発明31を引用している。したがって、前記(10)ア、(11)ア、(12)ア、(14)アを参照することにより、本件特許発明32と甲1発明5とを対比すると、本件特許発明32と甲1発明5とは、前記一致点7で一致し、前記相違点21ないし相違点23、相違点25で相違する他、以下の相違点26を有している。
<相違点26>
データプロセッサに関して、本件特許発明32では、更に、「均一性の尺度を参考値と比較することと、均一性の前記尺度が該参考値から所定の量以上広がったときに警告を発することと、をプログラミングされている」と特定しているのに対して、甲1発明5では、そのようなことについて不明である点。
イ 当審の判断
(ア)<相違点21>、<相違点22>、<相違点23>、<相違点25>について
<相違点21>ないし<相違点23>及び<相違点25>についての判断は、前記(10)イ、(14)イ(イ)のとおりである。
(イ)<相違点26>について
一般に、研磨中に異常が発生した場合、警報を発することは、例えば、甲2記載事項2にも見られるように従来周知の事項であり、「異常」と判断するためには何らかの閾値を設定し、その閾値と測定値を比較することにより判定することは通常行われていることであるから、甲1発明5において、ウエハ7の表面層の状態の均一性を測定するように代えた場合には、表面層の状態の均一性の尺度を参考値と比較し、表面層の状態の均一性の尺度が参考値から所定の量以上広がったときに警告を発するようにすることは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<作用ないし効果>について
本件特許発明32によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明5、甲2?甲4記載事項、甲5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(エ)請求項32に対するまとめ
したがって、本件特許発明32は、甲1発明5、甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(16)請求項39に対して
ア 対比
本件特許発明39と甲1発明6とを対比すると、後者の「ウエハ7」は前者の「基板」に、後者の「研磨装置」は前者の「装置」に、後者の「研磨中」は前者の「処理中」に、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「定盤1」は前者の「プラーテン」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウィンドウ」に、後者の「光」は前者の「光ビーム」に、後者の「ウエハ支持板8」は前者の「研磨ヘッド」に相当する。
後者における「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ」ることは、「プラーテン及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設」する限りにおいて、前者の「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」ることと共通する。
後者の「ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える」ことは、ウエハ7の中心のみが透明窓材4の上にある時だけ、光をウエハへ入射させるものであるから、前者の「ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハに入射させるための通路を与える」ことに相当する。
後者における「プローブ9」は、「光測定装置」という限りで、前者の「干渉計」と共通する。
後者における「光を照射する」ことは、前者の「光ビームを発生させる」ことに相当する。
後者における「研磨中」は、「研磨操作の一部の間」と言い換えることができることは明らかである。
後者における「照射する」ことは、前者の「入射する」ことに相当する。
後者における「研磨中に研磨状態の終点を知る、プローブ9を備える」ことは、研磨中が研磨プロセスのインシチュウな状態であるから、「研磨プロセスのインシチュウによるモニタリングを与える、光測定装置を備え、前記光測定装置からの信号を解析し、研磨状態の終点を知るものである」限りにおいて、前者の「研磨プロセスのインシチュウによるモニタリングを与える、干渉計と、前記干渉計からの周期信号を解析し、該周期信号からの研磨の終点を検出するプロセッサとを備える」ことと共通する。
以上の点から、本件特許発明39と甲1発明6とは、以下の一致点、相違点を有している。
<一致点8>
「ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、前記装置は、
(a)処理中に研磨パッドを保持するプラーテンであり、前記パッドは、発泡材料からなる表面を有し、プラーテン及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設し、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハに入射させるための通路を与える、前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)光ビームを発生させることが可能な光測定装置であって、前記光測定装置は、少なくとも研磨操作の一部の間に前記光ビームを前記ウィンドウに向け前記基板上に入射するように配置されて、研磨プロセスのインシチュウによるモニタリングを与える、光測定装置を備え、前記光測定装置からの信号を解析し、研磨状態の終点を知るものである装置。」
<相違点27>
光透過部材の構造に関して、本件特許発明39では、「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」ているとして、研磨パッドに光透過部材が設けられているのに対して、甲1発明6では、光透過部材は、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4である点。
<相違点28>
光ビームに関して、本件特許発明39では、「コリメートされた」と特定しているのに対して、甲1発明6では、光がコリメートされたものであるのかどうか不明な点。
<相違点29>
光測定装置に関して、本件特許発明39では、「干渉計」と特定しているのに対して、甲1発明6では、プローブ9である点。
<相違点30>
研磨プロセスのインシチュウによるモニタリングを与える、光測定装置を備え、前記光測定装置からの信号を解析し、研磨状態の終点を知るものに関して、本件特許発明39では、「研磨プロセスのインシチュウによるモニタリングを与える、干渉計と、前記干渉計からの周期信号を解析し、該周期信号からの研磨の終点を検出するプロセッサとを備える」としているのに対して、甲1発明6では、光測定装置はプローブ9であり、研磨の終点を知ることに関してプロセッサを用いているのかどうか不明な点。
イ 当審の判断
上記相違点について検討する。
(ア)<相違点27>について
相違点27に関し、本件特許発明39は、「ウィンドウは、パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」である。一方、甲1発明6は、「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ」るである。透明窓材4が光ビームを透過するものであることは明らかであることから、両者の違いは、光ビームを透過する部材に関して、本件特許発明39では、「パッドに形成されたプラグ」としているものであるのに対して、甲1発明6では、「貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4」である。ここで、「プラグ」と「透明窓材4」の違いに格別な点を見出すことができず、結局、両者の違いは、光ビームを透過する部材を本件特許発明39では研磨パッドに形成すると特定し、甲1発明6ではプラーテンに相当する定盤1の貫通孔3に設けているとしていることから、両者の違いは、光ビームを透過する部材を設ける位置の違いだけである。
しかしながら、(1)イ(イ)で言及したとおり、光ビームを透過する部材を、研磨する部材側に設けることが甲2記載事項1、甲3記載事項、甲4記載事項に記載されているように周知の事項であるので、甲1発明4においても、透明窓材4を、研磨パッドに相当する研磨布5に形成することは、当業者が容易になし得たものである。
(イ)<相違点28>について
測定のための光ビームをコリメートされたものとすることは通常行われていることであるから、甲1発明6においても、照射される光をコリメートされたものとすることは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<相違点29>について
甲5記載事項は、「表面に酸化物被覆14を有する半導体ウェーハ10における酸化物被覆14を物理的に平面化するに際して、レーザ干渉測定装置28により酸化物被覆14の厚さを検出する、物理的な平面化及び終点検出装置。」である。ここで、甲5記載事項における「表面に酸化物被覆14を有する半導体ウェーハ10」、「レーザ干渉測定装置」は、それぞれ、本件特許発明39の「基板」、「干渉計」に相当し、また、甲5記載事項における「酸化物被覆14を物理的に平面化するに際して、酸化物被覆14の厚さを検出する」ことは、「表面層の状態を均一化するに際して、前記表面層の状態の均一性を測定する」ことである。そして、レーザ干渉測定装置を用いるものであるから、これにより干渉信号をモニタリングすることは明らかである。したがって、甲5記載事項は、「基板上の表面層の状態を均一化するに際して、前記表面層の状態の均一性を測定し、干渉信号をモニタリングする干渉計」と言い換えることができる。基板の研磨に際して、基板上における表面層の状態の均一性を測定することは甲5記載事項に見られるように周知の事項であることから、甲1発明6においても、基板に相当するウエハ7において、その表面層の状態の均一性を測定するようにすること、そして、そのために光測定装置として干渉計を用いることは、当業者が容易になし得たものである。
(エ)<相違点30>について
前記(ウ)で述べたとおり、甲5記載事項は、「基板上の表面層の状態を均一化するに際して、前記表面層の状態の均一性を測定し、干渉信号をモニタする干渉計」である。ここで、干渉計からの信号が周期信号であることは自明の事項であり、それを解析するためにプロセッサを用いることは通常行われていることであるから、甲1発明6においても、光測定装置として干渉計を用いた場合には、プロセッサを用いることにより、干渉計からの周期信号を解析し、該周期信号から、研磨の終点を検出する構成とすることも、<相違点29>についての判断と同様、当業者が容易になし得た程度のものに過ぎない。
(オ)<作用ないし効果>について
本件特許発明39によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明6、甲2?甲4記載事項、甲5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(カ)請求項39に対するまとめ
したがって、本件特許発明29は、甲1発明8、甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(17)請求項40に対して
ア 対比
本件特許発明40と甲1発明7とを対比すると、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウィンドウ」に相当する。
後者における「ケミカルメカニカルポリシングを行う研磨装置において用いる」ことは、研磨装置はシステムであるとも言い得るので、前者の「ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いる」ことに相当する。
後者における「ウエハ7に押し付けられる面」が前者の「研磨面」に相当し、後者の「定盤1に支持される面」が前者の「底面」に相当することは明らかである。
研磨布窓6は研磨布5を切り抜いて形成されるものであるから、研磨布窓6がウエハ7に押し付けられる面及び定盤1に支持される面の中に形成されるものであって、後者における「研磨布5には、定盤1の溝2と同形に切り抜かれた研磨布窓6が形成され」ることは、前者の「研磨パッドの底面及び研磨面の中にはウィンドウが形成され」ることに相当する。
後者における「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれる」は、「プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設」する限りにおいて、前者の「該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え」ることと共通する。
後者の「ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える」ことは、ウエハ7の中心のみが透明窓材4の上にある時だけ、光をウエハへ入射させるものであるから、前者の「ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、光をウエハに入射させるための通路を与える」ことに相当する。
以上の点から、本件特許発明40と甲1発明7とは、以下の一致点、相違点を有している。
<一致点9>
「ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)発泡材料からなる研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設し、
前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与える研磨パッド。」
<相違点31>
光透過部材の構造に関して、本件特許発明40では、「前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光に対して透過性を有する前記プラグを備え」ているとして、研磨パッドに光透過部材が設けられているのに対して、甲1発明7では、光透過部材は、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4である点。
<相違点32>
研磨パッドに関して、本件特許発明40では、「第1の透過性部分と、研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え」るとしているのに対して、甲1発明7では、研磨布5の光透過性について不明な点。
イ 当審の判断
上記相違点について検討する。
(ア)<相違点31>について
相違点31に関し、本件特許発明40は、「ウィンドウは、パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え」である。一方、甲1発明7は、「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれる」である。透明窓材4が光ビームを透過するものであることは明らかであることから、両者の違いは、光ビームを透過する部材に関して、本件特許発明40では、「パッドに形成されたプラグ」としているものであるのに対して、甲1発明7では、「貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4」である。ここで、「プラグ」と「透明窓材4」の違いに格別な点を見出すことができず、結局、両者の違いは、光ビームを透過する部材を本件特許発明40では研磨パッドに形成すると特定し、甲1発明7ではプラーテンに相当する定盤1の貫通孔3に設けているとしていることから、両者の違いは、光ビームを透過する部材を設ける位置の違いだけである。
しかしながら、(1)イ(イ)で言及したとおり、光ビームを透過する部材を、研磨する部材側に設けることが甲2記載事項1、甲3記載事項、甲4記載事項に記載されているように周知の事項であるので、甲1発明7においても、透明窓材4を、研磨パッドに相当する研磨布5に形成することは、当業者が容易になし得たものである。
(イ)<相違点32>について
研磨パッドに透過性部分と非透過性部分とを設けるようにしても、透過性部分と非透過性部分とを設けたことだけによる特別な作用ないし効果がなんら見当たらないことからすれば、この点は単なる設計的事項に過ぎない。
また、研磨パッドが研磨面として用いられることは当然のことなので、非透過性の部分を「研磨面を与える」と特定することは、なんら特別な特定ではない。
(ウ)作用ないし効果
本件特許発明40によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明7、甲2?甲4記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(エ)請求項40に対するまとめ
したがって、本件特許発明40は、甲1発明7、甲2ないし甲4記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(18)請求項42に対して
ア 対比
本件特許発明42と甲1発明7とを対比すると、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウィンドウ」に相当する。
後者における「ケミカルメカニカルポリシングを行う研磨装置において用いる」ことは、研磨装置はシステムであるとも言い得るので、前者の「ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いる」ことに相当する。
後者における「ウエハ7に押し付けられる面」が前者の「研磨面」に相当し、後者の「定盤1に支持される面」が前者の「底面」に相当することは明らかである。
後者における「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれる」は、「プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設する」限りにおいて、前者の「該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え」ることと共通する。
後者の「ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える」ことは、ウエハ7の中心のみが透明窓材4の上にある時だけ、光をウエハへ入射させるものであるから、前者の「ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、光をウエハに入射させるための通路を与える」ことに相当する。
以上の点から、本件特許発明42と甲1発明7とは、本件特許発明40に関する一致点と同一である<一致点9>で一致し、以下の相違点を有している。
<相違点33>
光透過部材の構造に関して、本件特許発明40では、「該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光に対して透過性を有する前記プラグを備え」ているとして、研磨パッドに光透過部材が設けられているのに対して、甲1発明7では、光透過部材は、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4である点。
<相違点34>
研磨パッドに関して、本件特許発明42では、「第1の透過性部分と、研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、該第2の非透過性部分が、添加物を有するポリウレタンである」としているのに対して、甲1発明7では、研磨布5の光透過性について不明であり、また、添加物を含有するかどうかも不明な点。
イ 当審の判断
上記相違点について検討する。
(ア)<相違点33>について
<相違点33>についての判断は、(17)イ(ア)で前記したように、<相違点31>についての判断のとおりである。
(イ)<相違点34>について
研磨パッドに透過性部分と非透過性部分とを設けるようにしても、透過性部分と非透過性部分とを設けたことだけによる特別な作用ないし効果がなんら見当たらないことからすれば、この点は単なる設計的事項に過ぎない。
また、研磨パッドに添加物を含有させることは周知の事項であるので、甲1発明7においても、研磨パッドである研磨布5に添加物を含有させることは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)作用ないし効果について
本件特許発明42によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明7、甲2?甲4記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(エ)請求項42に対するまとめ
したがって、本件特許発明42は、甲1発明7、甲2ないし甲4記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(19)請求項43に対して
ア 対比
本件特許発明43は、本件特許発明42を引用している。したがって、前記(18)アを参照することにより、本件特許発明43と甲1発明7とを対比すると、本件特許発明43と甲1発明7とは、前記一致点9で一致し、前記相違点33ないし相違点34で相違する他、以下の相違点35を有している。
<相違点35>
研磨パッドに関して、本件特許発明43では、更に、「添加物が微粒子を有することで、第2の部分がマイクロポーラス構造を有するようにする」と特定しているのに対して、甲1発明7では、そのようなことについて不明である点。
イ 当審の判断
(ア)<相違点33>、<相違点34>について
<相違点33>ないし<相違点34>についての判断は、前記(17)イ(ア)、(18)イ(イ)のとおりである。
(イ)<相違点35>について
研磨パッドに含有させる添加物として微粒子は周知の事項であり、これにより研磨パッドがマイクロポーラス構造を有することも周知の事項である。してみると、甲1発明7においても、研磨パッドに相当する研磨布5に添加物として微粒子を含有させ、該研磨布5がマイクロポーラス構造を有するものとすることは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<作用ないし効果>について
本件特許発明43によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明7、甲2?甲4記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(エ)請求項43に対するまとめ
したがって、本件特許発明43は、甲1発明7、甲2ないし甲4記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(20)請求項44に対して
ア 対比
本件特許発明44は、本件特許発明40を引用している。したがって、前記(17)アを参照することにより、本件特許発明44と甲1発明7とを対比すると、本件特許発明44と甲1発明7とは、前記一致点9で一致し、前記相違点31ないし相違点32で相違する他、以下の相違点36を有している。
<相違点36>
研磨パッドの第2の非透過性部分に関して、本件特許発明44では、更に、「オープンセルの構造を有する」と特定しているのに対して、甲1発明7では、そのようなことについて不明である点。
イ 当審の判断
(ア)<相違点31>、<相違点32>について
<相違点31>ないし<相違点32>についての判断は、前記(17)イのとおりである。
(イ)<相違点36>について
研磨パッドをオープンセルの構造を有するものとすることは周知の事項である。してみると、甲1発明7においても、研磨パッドをオープンセルの構造を有するものとすることは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<作用ないし効果>について
本件特許発明44によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明7、甲2?甲4記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(エ)請求項44に対するまとめ
したがって、本件特許発明44は、甲1発明7、甲2ないし甲4記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(21)請求項45に対して
ア 対比
本件特許発明45と甲1発明7とを対比すると、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウィンドウ」に相当する。
後者における「ケミカルメカニカルポリシングを行う研磨装置において用いる」ことは、研磨装置はシステムであるとも言い得るので、前者の「ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いる」ことに相当する。
後者における「ウエハ7に押し付けられる面」が前者の「研磨面」に相当し、後者の「定盤1に支持される面」が前者の「底面」に相当することは明らかである。
後者における「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ」は、「プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設する」限りにおいて、前者の「該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え」ることと共通する。
後者の「ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える」ことは、ウエハ7の中心のみが透明窓材4の上にある時だけ、光をウエハへ入射させるものであるから、前者の「ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、光をウエハに入射させるための通路を与える」ことに相当する。
以上の点から、本件特許発明45と甲1発明7とは、本件特許発明40に関する一致点と同一である<一致点9>で一致し、以下の相違点を有している。
<相違点37>
光透過部材の構造に関して、本件特許発明45では、「前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光に対して透過性を有する前記プラグを備え」ているとして、研磨パッドに光透過部材が設けられているのに対して、甲1発明7では、光透過部材は、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4である点。
<相違点38>
研磨パッドに関して、本件特許発明45では、「第1の透過性部分と、研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、該第1の透過性部分が、該研磨面とほぼ共面の上面を有する」としているのに対して、甲1発明7では、研磨布5の光透過性について不明であり、また、透明窓材4の上面の位置について不明な点。
イ 当審の判断
上記相違点のうち、相違点38について検討する。
(ア)<相違点38>について
本件特許発明45は、「前記研磨パッドは、・・・発泡材料からなる研磨面と、・・・を備え、前記研磨パッドの底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、前記研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、・・・該第1の透過性部分が、該研磨面とほぼ共面の上面を有する」と特定していることから、結局、本件特許発明45の研磨パッドは、発泡材料からなり、研磨面を与える第2の非透過性部分と、研磨パッドに形成され、中実な材料からなり、光に対して透過性を有し、研磨面とほぼ共面の上面を有する第1の透過性部分であるプラグからなるものである。
一方、甲1発明7では、透明窓材4は透明ガラス製であるから、透明窓材4の上面と発泡材料からなる研磨布5のウエハ7に押し付けられる面とをほぼ共面の上面とするものではない。また、甲2記載事項1は、「ポリシングパッド1による貼り合わせウェーハ11の研磨において、ポリシングパッド1を透明体とし、ポリシングパッド1を透過してレーザ光を照射するもの。」であり、甲3記載事項は、「被加工物1の被加工面6をポリシャ3で研磨するにあたり、石英からなるポリシャ3を透明なものとし、レーザ光線11を照射し、透明なポリシャ3を透過してレーザ光線を照射するもの。」であり、甲4記載事項は、「被加工物2をポリシャ4で研摩するにあたり、合成樹脂からなるポリシャ4を透明なものとし、レーザ光を照射し、透明なポリシャ4を透過してレーザ光を照射するもの。」である。ここで、甲1発明7は、研磨布は発泡材料からなるものであるのに対して、甲2記載事項1の研磨面は全体が透明な部材からなるものであり、甲3記載事項の研磨面は石英からなるものであり、甲4記載事項は合成樹脂からなる透明なものであるので、甲1発明7における研磨面と甲2ないし4記載事項における研磨面とはその材質が異なることは明らかである。そして、ケミカルメカニカルポリシングシステムとは、研磨すべき面を平面化するものであることから、材質の異なる部材を研磨面とすることを想定することはできない。
してみると、甲1発明7に甲2ないし甲4記載事項を適用することにより、全体を透明な研磨面とすることや、透明窓材4を研磨布5側に配置することは、当業者が容易になし得たものであるとすることはできても、本件特許発明45のように、研磨パッドを、発泡材料からなり、研磨面を与える第2の非透過性部分と、研磨パッドに形成され、中実な材料からなり、光に対して透過性を有し、研磨面とほぼ共面の上面を有する第1の透過性部分であるプラグからなるものとすることを容易になし得たものであるとすることはできない。その他に、上記の点について、容易になし得たとする証拠は、全証拠を参照しても、格別見当たらない。
(イ)作用ないし効果について
本件特許発明45による、「研磨パッドを、発泡材料からなり、研磨面を与える第2の非透過性部分と、研磨パッドに形成され、中実な材料からなり、光に対して透過性を有し、研磨面とほぼ共面の上面を有する第1の透過性部分であるプラグからなるものとする」ことにより、本件特許明細書の段落【0029】に記載されたとおりの「プラグ42を通ることによるレーザービームの弱化は最小になる。」という効果を奏するものである。
(ウ)請求項45に対するまとめ
したがって、本件特許発明45は、甲1発明7、甲2ないし甲5記載事項、及び甲第11?25号証記載事項から当業者が容易になし得たものとすることはできない。

(22)請求項46に対して
請求項46は請求項40を引用しているものであるが、請求項46で特定している「該研磨面と反対側に底面を更に有する」という発明特定事項は、請求項40において「(b)底面と」として既に特定されており、底面が研磨面の反対側に有するものであることは明らかである。
したがって、請求項46は、請求項40において認定したとおりの<一致点9>を有し、<相違点31>、<相違点32>を有している。
よって、請求項46は、(17)イで前記したとおり、甲1発明7、甲2ないし甲4記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(23)請求項48に対して
ア 対比
本件特許発明48は、本件特許発明40を引用している。したがって、前記(17)アを参照することにより、本件特許発明48と甲1発明7とを対比すると、本件特許発明48と甲1発明7とは、前記一致点9で一致し、前記相違点31ないし相違点32で相違する他、以下の相違点39を有している。
<相違点39>
研磨パッドに関して、本件特許発明48では、更に、「研磨面を有する第1の層と、研磨面と反対側の第2の層とを有する」と特定しているのに対して、甲1発明7では、そのようなことについて不明である点。
イ 当審の判断
(ア)<相違点31>、<相違点32>について
<相違点31>ないし<相違点32>についての判断は、前記(17)イのとおりである。
(イ)<相違点39>について
研磨パッドを多層構造とすることは、例えば、甲第23号証である特表平5-505769号公報の第3頁右上欄第22行?第28行及び図面の第2図にも記載されているように周知の事項であるので、甲1発明7においても、研磨パッドに相当する研磨布5を、第1の層と第2の層を有する多層構造とすることは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<作用ないし効果>について
本件特許発明48によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明7、甲2?甲4記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(エ)請求項48に対するまとめ
したがって、本件特許発明48は、甲1発明7、甲2ないし甲4記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(24)請求項49に対して
ア 対比
本件特許発明49は、本件特許発明48を引用している。したがって、前記(17)ア、(23)アを参照することにより、本件特許発明49と甲1発明7とを対比すると、本件特許発明49と甲1発明7とは、前記一致点9で一致し、前記相違点31ないし相違点32、相違点39で相違する他、以下の相違点40を有している。
<相違点40>
研磨パッドの第1の透過性部分に関して、本件特許発明49では、更に、「第1の層に形成される」と特定しているのに対して、甲1発明7では、そのようなものではない点。
イ 当審の判断
(ア)<相違点31>、<相違点32>、<相違点39>について
<相違点31>ないし<相違点32>、<相違点39>についての判断は、前記(17)イ、(23)イ(イ)のとおりである。
(イ)<相違点40>について
研磨布5に研磨布窓6を設けるのは光を透過させるためであるので、甲1発明7において、研磨布5を多層のものとし、かつ透過性のものとした場合には、第1の層のみならず研磨布5を透過性のものとしなければならないことは、当業者にとって明らかである。
(ウ)<作用ないし効果>について
本件特許発明49によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明7、甲2?甲4記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(エ)請求項49に対するまとめ
したがって、本件特許発明49は、甲1発明7、甲2ないし甲4記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(25)請求項51に対して
ア 対比
本件特許発明51は、本件特許発明40を引用している。したがって、前記(17)アを参照することにより、本件特許発明51と甲1発明7とを対比すると、本件特許発明51と甲1発明7とは、前記一致点9で一致し、前記相違点31ないし相違点32で相違する他、以下の相違点41を有している。
<相違点41>
研磨パッドに関して、本件特許発明51では、更に、「自身に形成されたアパーチャを有し、透過性部分がアパーチャ内に位置をとるプラグを備える」と特定しているのに対して、甲1発明7では、研磨パッドに相当する研磨布5は、定盤1の溝2と同形に切り抜かれた研磨布窓6が形成されるものである点。
イ 当審の判断
(ア)<相違点31>、<相違点32>について
<相違点31>ないし<相違点32>についての判断は、前記(17)イのとおりである。
(イ)<相違点41>について
研磨パッドにアパーチャが形成され、そのアパーチャ内に透過性のプラグが備えられるものであるから、プラグが研磨パッドの一部であることを否定するものではないので、「研磨パッドが自身に形成されたアパーチャを有し、透過性部分がアパーチャ内に位置をとるプラグを備える」と特定することは、請求項40において、「前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え」として既に特定されている。そして、当該特定事項に対する判断は、(17)イ(ア)において<相違点31>についての判断として前記したとおりである。
(ウ)<作用ないし効果>について
本件特許発明51によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明7、甲2?甲4記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(エ)請求項51に対するまとめ
したがって、本件特許発明51は、甲1発明7、甲2ないし甲4記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(26)請求項52に対して
ア 対比
本件特許発明52と甲1発明8とを対比すると、後者の「ウエハ7」は前者の「基板」に、後者の「研磨装置」は前者の「装置」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウィンドウ」に、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「光」は前者の「光ビーム」に、後者の「ウエハ支持板8」は前者の「研磨ヘッド」に相当する。
後者における「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ」は、「プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設する」限りにおいて、前者の「該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備える」ることと共通する。
後者における「ウエハ7に光を照射し」は、前者の「基板に入射する光ビームを発生する」ことに相当する。
後者における「プローブ9」は、光を照射し、反射光を受光するものであるので、「光発生兼測定装置」という限りで、前者の「光源と、基板より反射された光を測定する検出器」と共通する。
後者における「研磨中に研磨状態の終点を知る研磨装置」は、研磨装置はシステムであると言えるものであるから、前者の「終点検出システムとを備える装置」に相当する。
後者の「ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光ビームをウエハ7に入射させるための通路を与える」ことは、ウエハ7の中心のみが透明窓材4の上にある時だけ、光ビームをウエハへ入射させるものであるから、前者の「ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハに入射させるための通路を与える」ことに相当する。
以上の点から、本件特許発明52と甲1発明8とは、以下の一致点、相違点を有している。
<一致点10>
「基板を研磨するための装置であって、
(a)発泡材料からなる研磨面とウィンドウを有する研磨パッドであり、
プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設した、前記研磨パッドと、
(b)基板を研磨面に対して保持するための研磨ヘッドと、
(c)ウィンドウを通過して基板に入射する光ビームを発生するための光発生兼測定装置を有する終点検出システムとを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハに入射させるための通路を与える装置。」
<相違点42>
研磨パッド及びウィンドウに関して、本件特許発明52では、「発泡材料からなり透過性のない研磨面と中実な透過性のウィンドウを有する」と特定し、また、「前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」ているとして、研磨パッドに光透過部材が設けられているのに対して、甲1発明8では、研磨パッドに相当する研磨布5は、発泡材料からなるものの、研磨面と定盤1の溝2と同形に切り抜かれた研磨布窓6を有するものであり、また、光透過部材は、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4である点。
<相違点43>
光発生兼測定装置に関して、本件特許発明52では、「光源と、基板より反射された光を測定する検出器」としているのに対して、甲1発明8では、光を照射しその反射光を受光するプローブ9である点。
イ 当審の判断
上記相違点について検討する。
(ア)<相違点42>について
相違点42に関し、本件特許発明52は、「発泡材料からなり透過性のない研磨面と中実な透過性のウィンドウを有する研磨パッドであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える」である。一方、甲1発明8は、「発泡材料からなり研磨面と研磨布窓6を有する研磨布5であり、貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれる」である。透明窓材4が光ビームを透過するものであることは明らかであることから、両者の違いは、光ビームを透過する部材に関して、本件特許発明52では、「パッドに形成されたプラグ」としているものであるのに対して、甲1発明8では、「貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4」である点と、本件特許発明52では、研磨面を「透過性のない」ものとしているのに対して甲1発明8では、研磨面の透過性について不明な点の2点である。
ここで、第1の点については、「プラグ」と「透明窓材4」の違いに格別な点を見出すことができず、結局、両者の違いは、光ビームを透過する部材を本件特許発明52では研磨パッドに形成すると特定し、甲1発明8ではプラーテンに相当する定盤1の貫通孔3に設けているとしていることから、両者の違いは、光ビームを透過する部材を設ける位置の違いだけである。
しかしながら、(1)イ(イ)で言及したとおり、光ビームを透過する部材を、研磨する部材側に設けることが甲2記載事項1、甲3記載事項、甲4記載事項に記載されているように周知の事項であるので、甲1発明4においても、透明窓材4を、研磨パッドに相当する研磨布5に形成することは、当業者が容易になし得たものである。
また、第2の点については、研磨布が発泡材料からなる点では本件特許発明52も甲1発明8も同じであり、研磨布を透過性のないものと特定したことだけによる特別な作用ないし効果が見当たらないことからすれば、この点は、単なる設計的事項に過ぎない。
(イ)<相違点43>について
光源と光の測定装置を別の装置とすることは周知の事項であるので、甲1発明8においても、そのプローブ9に代えて、光源と、ウエハ7から反射された光を測定する検出器とを別の装置として設ける構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)作用ないし効果について
本件特許発明52によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明8、甲2?甲4記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(オ)請求項52に対するまとめ
したがって、本件特許発明52は、甲1発明8、甲2ないし甲4記載事項から当業者が容易になし得たものである。


第8 むすび
以上のとおりであるから、本件特許発明1、9、18-20、24-25、27-32、39-40、42-44、46、48-49、51-52は、甲第1号証ないし甲第5号証に記載された発明ないし周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
また、請求人の主張する無効理由及び証拠方法によっては、本件請求項45に係る特許について、無効とすることはできない。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、その24分の1を請求人の負担とし、24分の23を被請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

平成23年 1月24日

審判長 特許庁審判官 略
特許庁審判官 略
特許庁審判官 略
----------------------------------
(参考:本件三次審決)
結 論
特許第3431115号の請求項9、18、19、20、24、25、27、28、29、30、31、32、39、52に係る発明についての特許を無効とする。
特許第3431115号の請求項1、40、42、43、44、46、48、49、51に係る発明についての審判請求は、成り立たない。
審判費用は、その99分の38を請求人の負担とし、99分の61を被請求人の負担とする。


理 由
第1 手続の経緯
平成 8年 3月28日 出願(パリ条約による優先権主張外国庁受理1995年3月28日、米国、特願平8-74976号)
平成15年 5月23日 設定登録
平成15年 7月28日 特許公報発行(特許第3431115号)
平成15年11月27日 異議申立(1)(異議申立人、北村清隆、審判2003-72913号)
平成15年12月26日 異議申立(2)(異議申立人、松原いづみ、審判2003-72913号)
平成16年 4月22日付け 取消理由通知
平成16年10月29日付け 意見書、訂正請求書
平成17年12月14日付け 異議決定(訂正を認め、維持決定)
平成19年 8月24日 無効審判請求(無効2007-800172号)
平成20年 1月16日 被請求人、答弁書を提出
平成20年 5月16日受付 被請求人、口頭審理陳述要領書を提出
平成20年 5月16日 請求人、口頭審理陳述要領書を提出
平成20年 5月29日 口頭審理
平成20年 6月 5日受付 被請求人、上申書を提出
平成21年 7月16日受付 被請求人、上申書を提出
平成21年10月14日 審決(特許第3431115号の請求項1、9、18ないし20、24ないし25、27ないし32、39ないし40、42ないし46、48ないし49、51ないし52に係る発明についての特許を無効とする。特許第3431115号の請求項2ないし8、10ないし17、21ないし23、26、33ないし38、41、47、50に係る発明についての審判請求は、成り立たない。以下、「一次審決」という。)
平成21年11月20日 請求人出訴(平成21年(行ケ)第10370号)
平成22年 2月22日 被請求人出訴(平成22年(行ケ)第10061号)
平成22年 5月24日 被請求人訂正審判請求(訂正2010-390050号)
平成22年 7月30日 平成22年(行ケ)第10061号の決定(「特許第3431115号の請求項1、9、18ないし20、24ないし25、27ないし32、39ないし40、42ないし46、48ないし49、51ないし52に係る発明についての特許を無効とする。」との部分を取り消す。)
平成22年 8月30日 訂正請求期間内の訂正請求書の提出がなかったので、訂正2010-390050号の訂正審判の請求書を本件無効審判の訂正請求とみなす(以下、本訂正請求による訂正を「一次訂正」という。)
平成22年10月12日 請求人、弁駁書を提出
平成22年12月 1日 被請求人、上申書を提出
平成22年12月28日 平成21年(行ケ)第10370号判決(請求棄却)
平成23年 1月24日 審決(特許第3431115号の請求項1、9、46、18ないし20、24ないし25、27ないし32、39ないし40、42ないし44、48ないし49、51ないし52に係る発明についての特許を無効とする。特許第3431115号の請求項45に係る発明についての審判請求は、成り立たない。以下、「二次審決」という。)
平成23年 6月 3日 被請求人出訴(平成23年(行ケ)第10177号)
平成23年 9月 1日 被請求人訂正審判請求(訂正2011-390106号)
平成23年 9月14日 平成23年(行ケ)第10177号の決定(「特許第3431115号の請求項1、9、46、18ないし20、24ないし25、27ないし32、39ないし40、42ないし44、48ないし49、51ないし52に係る発明についての特許を無効とする。」との部分を取り消す。)
平成23年10月21日 訂正2011-390106号の却下審決
平成23年12月 8日 被請求人、訂正請求書を提出(以下、本訂正請求による訂正を「二次訂正」という。)
平成24年 1月12日 請求人、弁駁書を提出


第2 訂正の適否について
1.訂正の内容
被請求人の求める平成23年12月8日付けの訂正請求は、本件特許の願書に添付した明細書の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した特許請求の範囲のとおりに訂正することを求めるものであり、その内容を、訂正箇所に下線を付して示すと、以下のとおりである。
(1) 訂正事項1
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項1について、
「【請求項1】 ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、
(a)シャシに回転自在に設置され、ホール(孔)を自身に有する回転可能な研磨プラーテンと、
(b)プラーテンに設置され、研磨スラリによりウェットで、プラーテンのホールと調心されたウィンドウを有する、研磨パッドであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記研磨パッドと、
(c)研磨パッドに対してウエハを保持するための、回転可能な研磨ヘッドであって、このウエハが酸化物層の下の半導体基板を備える、前記研磨ヘッドと、
(d)ウエハへ向けてレーザービームを発生させることが可能であり且つウエハ及びホール(孔)から反射されてくる光を検出することが可能なレーザー干渉計を有する終点検出器とを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間にレーザービームをウエハへ入射させるための通路を与える装置。」とあるのを、
「【請求項1】 ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、
(a)シャシに回転自在に設置され、ホール(孔)を自身に有する回転可能な研磨プラーテンと、
(b)プラーテンに設置され、研磨スラリによりウェットで、プラーテンのホールと調心されたウィンドウを有する、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え、前記プラグは前記研磨パッドの表面とほぼ共面の上面を有する、前記研磨パッドと、
(c)研磨パッドに対してウエハを保持するための、回転可能な研磨ヘッドであって、このウエハが酸化物層の下の半導体基板を備える、前記研磨ヘッドと、
(d)ウエハへ向けてレーザービームを発生させることが可能であり且つウエハ及びホール(孔)から反射されてくる光を検出することが可能なレーザー干渉計を有する終点検出器とを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間にレーザービームをウエハへ入射させるための通路を与える装置。」
と訂正する。
(2) 訂正事項2
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項9について、
「【請求項9】 酸化物層の下に半導体基板を備えるウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)のための方法であって、該方法は、
(a)ウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、該回転可能な研磨ヘッドの下の研磨パッドに対して保持するステップであって、該パッドは研磨スラリによってウェットとなっている、該保持するステップと、
(b)CMPが終了した終点を決定するステップであって、該終点を決定するステップは、
(b1)レーザービームをウエハに向けて発するステップであって、該レーザービームは、プラーテン内に形成されたホール(孔)に近接するように配置された該研磨パッドに含まれるウィンドウを通過し、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え、
該ウィンドウは、ウエハが該ウィンドウの上にあるときの時間の一部の間レーザービームのための通路を与える、該発するステップと、
(b2)ウエハから反射する光を検出するステップとを備える前記決定するステップとを備える方法。」とあるのを、
「【請求項9】 酸化物層の下に半導体基板を備えるウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)のための方法であって、該方法は、
(a)ウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、該回転可能な研磨ヘッドの下の研磨パッドに対して保持するステップであって、該パッドは発泡材料からなる表面を有し、研磨スラリによってウェットとなっている、該保持するステップと、
(b)CMPが終了した終点を決定するステップであって、該終点を決定するステップは、
(b1)赤光の範囲を含むレーザービームをウエハに向けて発するステップであって、該レーザービームは、プラーテン内に形成されたホール(孔)に近接するように配置された該研磨パッドに含まれるウィンドウを通過し、
前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え、該ウィンドウは、ウエハが該ウィンドウの上にあるときの時間の一部の間レーザービームのための通路を与える、該発するステップと、
(b2)ウエハから反射する赤光の範囲を含む光を検出するステップとを備える前記決定するステップとを備える方法。」
と訂正する。
(3) 訂正事項3
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項18について、
「【請求項18】 基板上の表面層の状態の均一性を、前記層の研磨の最中に測定するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ光ビームを向けるステップであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記光ビームによって生じる干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するステップとを備える方法。」とあるのを、
「【請求項18】 ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において、基板上の表面層の状態の均一性を、前記層の研磨の最中に測定するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ赤光の範囲を含む光ビームを向けるステップであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記赤光の範囲を含む光ビームによって生じる干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するステップとを備える方法。」
と訂正する。
(4) 訂正事項4
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項19について、請求項19自体、文言の訂正はないものの、請求項19が引用する請求項18の訂正にともなって訂正され、請求項20について、請求項20自体、文言の訂正はないものの、請求項20が引用する請求項19がさらに引用する請求項18の訂正にともなって訂正されている。
(5) 訂正事項5
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項21について、
「【請求項21】前記干渉信号が低周波数成分を含み、前記抽出するステップが、前記低周波数成分の第1の特性を測定するステップと、前記第1の特性から前記抽出された情報を誘導するステップとを備える請求項19に記載の方法。」とあるのを、
「【請求項21】ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において、基板上の表面層の状態の均一性を、前記層の研磨の最中に測定するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ光ビームを向けるステップであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記光ビームによって生じる干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するステップとを備え、
前記計算するステップが、前記干渉信号から特徴情報を抽出するステップと、前記抽出された特徴情報から表面層の状態の均一性の前記尺度を計算するステップとを備え、
前記干渉信号が低周波数成分を含み、前記抽出するステップが、前記低周波数成分の第1の特性を測定するステップと、前記第1の特性から前記抽出された情報を誘導するステップとを備える方法。」
(6) 訂正事項6
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項24について、
「【請求項24】 層を自身の上に有する基板を研磨するための研磨プロセスの特性を評価するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ光ビームを向けるステップであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記光ビームによって発生する干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から干渉計波形を抽出するステップと、
(d)前記抽出された干渉計波形を保存されている情報と比較するステップであって、前記保存されている情報は、該研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、前記比較するステップと、
(e)前記抽出された干渉計波形が前記保存されている情報から所定の量以上広がったとき、警告を発するステップとを備える方法。」とあるのを、
「【請求項24】 ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において、層を自身の上に有する基板を研磨するための研磨プロセスの特性を評価するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ赤光の範囲を含む光ビームを向けるステップであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記赤光の範囲を含む光ビームによって発生する干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から干渉計波形を抽出するステップと、
(d)前記抽出された干渉計波形を保存されている情報と比較するステップであって、前記保存されている情報は、該研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、前記比較するステップと、
(e)前記抽出された干渉計波形が前記保存されている情報から所定の量以上広がったとき、警告を発するステップとを備える方法。」
と訂正する。
(7) 訂正事項7
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項25について、請求項25自体、文言の訂正はないものの、請求項25が引用する請求項24の訂正にともなって訂正されている。
(8) 訂正事項8
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項27について、
「【請求項27】 基板研磨システムであって、
(a)処理中に、中実な透明ウィンドウを有する研磨パッドを保持するプラーテンであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は (ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)処理中に、前記研磨パッドの前記ウィンドウを通して、研磨されるべき基板の側部に向けられ且つ入射するコリメートされた光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は干渉信号を発生する、前記干渉計と、
(d)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するようにプログラミングされたデータプロセッサとを備える研磨システム。」とあるのを、
「【請求項27】 ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための基板研磨システムであって、
(a)処理中に、中実な透明ウィンドウを有する発泡材料からなる表面を有する研磨パッドを保持するプラーテンであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)処理中に、前記研磨パッドの前記ウィンドウを通して、研磨されるべき基板の側部に向けられ且つ入射するコリメートされた赤光の範囲を含む光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は干渉信号を発生する、前記干渉計と、
(d)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するようにプログラミングされたデータプロセッサとを備える研磨システム。」
と訂正する。
(9) 訂正事項9
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項28について、請求項28自体、文言の訂正はないものの、請求項28が引用する請求項27の訂正にともなって訂正され、請求項29について、請求項29自体、文言の訂正はないものの、請求項29が引用する請求項28がさらに引用する請求項27の訂正にともなって訂正され、請求項30について、請求項30自体、文言の訂正はないものの、請求項30が引用する請求項29がさらに引用する請求項28がさらに引用する請求項27の訂正にともなって訂正され、請求項31について、請求項31自体、文言の訂正はないものの、請求項31が引用する請求項29がさらに引用する請求項28がさらに引用する請求項27の訂正にともなって訂正され、請求項32について、請求項32自体、文言の訂正はないものの、請求項32が引用する請求項31がさらに引用する請求項29がさらに引用する請求項28がさらに引用する請求項27の訂正にともなって訂正されている。
(10) 訂正事項10
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項39について、
「【請求項39】 基板を研磨するための装置であって、前記装置は、
(a)処理中に研磨パッドを保持するプラーテンであり、前記プラーテンは、中実な透明ウィンドウを有し、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)コリメートされた光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は、少なくとも研磨操作の一部の間に前記光ビームを前記ウィンドウに向け前記基板上に入射するように配置されて、研磨プロセスのインシチュウによるモニタリングを与える、前記干渉計と、
(d)前記干渉計からの周期信号を解析し、該周期信号から研磨の終点を検出するプロセッサとを備える装置。」とあるのを、
「【請求項39】 ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、前記装置は、
(a)処理中に研磨パッドを保持するプラーテンであり、前記パッドは、発泡材料からなる表面と中実な透明ウィンドウを有し、
前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備えて、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)コリメートされた赤光の範囲を含む光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は、少なくとも研磨操作の一部の間に前記光ビームを前記ウィンドウに向け前記基板上に入射するように配置されて、研磨プロセスのインシチュウによるモニタリングを与える、前記干渉計と、
(d)前記干渉計からの周期信号を解析し、該周期信号から研磨の終点を検出するプロセッサとを備える装置。」
と訂正する。
(11) 訂正事項11
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項40について、
「【請求項40】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、前記研磨面を与える第2の非透過性部分とを備える、研磨パッド。」とあるのを、
「【請求項40】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)発泡材料からなる研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、前記研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、前記プラグは前記研磨パッドの第2の非透過性部分の表面とほぼ共面の上面を有し、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与える研磨パッド。」
と訂正する。
(12) 訂正事項12
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項42について、
「【請求項42】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、該第2の非透過性部分が、添加物を有するポリウレタンである、研磨パッド。」とあるのを、
「【請求項42】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)発泡材料からなる研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、該第2の非透過性部分が、添加物を有する発泡ポリウレタンであり、前記プラグは前記研磨パッドの第2の非透過性部分の表面とほぼ共面の上面を有し、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与える研磨パッド。」
と訂正する。
(13) 訂正事項13
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項43について、請求項43自体、文言の訂正はないものの、請求項43が引用する請求項42の訂正にともなって訂正され、請求項44について、請求項44自体、文言の訂正はないものの、請求項44が引用する請求項40の訂正にともなって訂正されている。
(14) 訂正事項14
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項46について、請求項46自体、文言の訂正はないものの、請求項46が引用する請求項40の訂正にともなって訂正され、請求項48について、請求項48自体、文言の訂正はないものの、請求項48が引用する請求項40の訂正にともなって訂正され、請求項49について、請求項49自体、文言の訂正はないものの、請求項49が引用する請求項48がさらに引用する請求項40の訂正にともなって訂正され、請求項51について、請求項51自体、文言の訂正はないものの、請求項51が引用する請求項40の訂正にともなって訂正されている。
(15) 訂正事項15
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項52について、
「【請求項52】 基板を研磨するための装置であって、
(a)透過性のない研磨面と中実な透過性のウィンドウを有する研磨パッドであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は (ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記研磨パッドと、
(b)基板を研磨面に対して保持するための研磨ヘッドと、
(c)ウィンドウを通過して基板に入射する光ビームを発生するための光源と、基板より反射された光を測定する検出器とを有する終点検出システムとを備える装置。」とあるのを、
「【請求項52】 基板を研磨するための装置であって、
(a)発泡材料からなり透過性のない研磨面と中実な透過性のウィンドウを有する研磨パッドであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、赤光の範囲を含む光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、前記研磨パッドと、
(b)基板を研磨面に対して保持するための研磨ヘッドと、
(c)ウィンドウを通過して基板に入射する赤光の範囲を含む光ビームを発生するための光源と、基板より反射された光を測定する検出器とを有する終点検出システムとを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える装置。」
と訂正する。
(16)訂正前の特許請求の範囲
訂正請求による訂正前の特許請求の範囲における各請求項は以下のとおりである。なお、二次訂正による訂正請求のある請求項のみを示す。
「 【請求項1】 ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、
(a)シャシに回転自在に設置され、ホール(孔)を自身に有する回転可能な研磨プラーテンと、
(b)プラーテンに設置され、研磨スラリによりウェットで、プラーテンのホールと調心されたウィンドウを有する、研磨パッドであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記研磨パッドと、
(c)研磨パッドに対してウエハを保持するための、回転可能な研磨ヘッドであって、このウエハが酸化物層の下の半導体基板を備える、前記研磨ヘッドと、
(d)ウエハへ向けてレーザービームを発生させることが可能であり且つウエハ及びホール(孔)から反射されてくる光を検出することが可能なレーザー干渉計を有する終点検出器とを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間にレーザービームをウエハへ入射させるための通路を与える装置。
【請求項9】 酸化物層の下に半導体基板を備えるウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)のための方法であって、該方法は、
(a)ウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、該回転可能な研磨ヘッドの下の研磨パッドに対して保持するステップであって、該パッドは研磨スラリによってウェットとなっている、該保持するステップと、
(b)CMPが終了した終点を決定するステップであって、該終点を決定するステップは、
(b1)レーザービームをウエハに向けて発するステップであって、該レーザービームは、プラーテン内に形成されたホール(孔)に近接するように配置された該研磨パッドに含まれるウィンドウを通過し、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え、
該ウィンドウは、ウエハが該ウィンドウの上にあるときの時間の一部の間レーザービームのための通路を与える、該発するステップと、
(b2)ウエハから反射する光を検出するステップとを備える前記決定するステップとを備える方法。
【請求項18】 基板上の表面層の状態の均一性を、前記層の研磨の最中に測定するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ光ビームを向けるステップであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記光ビームによって生じる干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するステップとを備える方法。
【請求項19】 前記計算するステップが、前記干渉信号から特徴情報を抽出するステップと、前記抽出された特徴情報から表面層の状態の均一性の前記尺度を計算するステップとを備える請求項18に記載の方法。
【請求項20】 表面層の状態の均一性の前記尺度を参考値と比較するステップと、表面層の状態の均一性の前記尺度が該参考値から所定の量以上広がったときに警告を発するステップとを更に備える請求項19に記載の方法。
【請求項21】 前記干渉信号が低周波数成分を含み、前記抽出するステップが、前記低周波数成分の第1の特性を測定するステップと、前記第1の特性から前記抽出された情報を誘導するステップとを備える請求項19に記載の方法。
【請求項24】 層を自身の上に有する基板を研磨するための研磨プロセスの特性を評価するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ光ビームを向けるステップであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記光ビームによって発生する干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から干渉計波形を抽出するステップと、
(d)前記抽出された干渉計波形を保存されている情報と比較するステップであって、前記保存されている情報は、該研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、前記比較するステップと、
(e)前記抽出された干渉計波形が前記保存されている情報から所定の量以上広がったとき、警告を発するステップとを備える方法。
【請求項25】 干渉信号を、オペレータが見ることができるように、視覚的なディスプレイ装置上に表示するステップを更に備える請求項24に記載の方法。
【請求項27】 基板研磨システムであって、
(a)処理中に、中実な透明ウィンドウを有する研磨パッドを保持するプラーテンであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)処理中に、前記研磨パッドの前記ウィンドウを通して、研磨されるべき基板の側部に向けられ且つ入射するコリメートされた光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は干渉信号を発生する、前記干渉計と、
(d)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するようにプログラミングされたデータプロセッサとを備える研磨システム。
【請求項28】 前記研磨ヘッドが、処理中に回転できるように、回転可能となっている請求項27に記載の研磨システム。
【請求項29】 前記プラーテンが、処理中に回転できるように、回転可能となっている請求項28に記載の研磨システム。
【請求項30】 前記干渉計が、レーザー干渉計である請求項29に記載の研磨システム。
【請求項31】 前記データプロセッサが更に、前記干渉信号から特徴情報を抽出することと、前記抽出された特徴情報から均一性の前記尺度を計算することと、をプログラミングされている請求項29に記載の研磨システム。
【請求項32】 前記データプロセッサが更に、均一性の前記尺度を参考値と比較することと、均一性の前記尺度が該参考値から所定の量以上広がったときに警告を発することと、をプログラミングされている請求項31に記載の研磨システム。
【請求項39】 基板を研磨するための装置であって、前記装置は、
(a)処理中に研磨パッドを保持するプラーテンであり、前記プラーテンは、中実な透明ウィンドウを有し、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)コリメートされた光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は、少なくとも研磨操作の一部の間に前記光ビームを前記ウィンドウに向け前記基板上に入射するように配置されて、研磨プロセスのインシチュウによるモニタリングを与える、前記干渉計と、
(d)前記干渉計からの周期信号を解析し、該周期信号から研磨の終点を検出するプロセッサとを備える装置。
【請求項40】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、前記研磨面を与える第2の非透過性部分とを備える、研磨パッド。
【請求項42】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、該第2の非透過性部分が、添加物を有するポリウレタンである、研磨パッド。
【請求項43】 該添加物が微粒子を有することで、該第2の部分がマイクロポーラス構造を有するようにする請求項42に記載の研磨パッド。
【請求項44】 該第2の非透過性部分が、オープンセルの構造を有する請求項40に記載の研磨パッド。
【請求項46】 該研磨面と反対側に底面を更に有する請求項40に記載の研磨パッド。
【請求項48】 研磨パッドが、研磨面を有する第1の層と、研磨面と反対側の第2の層とを有する請求項40に記載の研磨パッド。
【請求項49】 該第1の透過性部分が、第1の層に形成される請求項48に記載の研磨パッド。
【請求項51】 研磨パッドが、自身に形成されたアパーチャを有し、透過性部分がアパーチャ内に位置をとるプラグを備える請求項40に記載の研磨パッド。
【請求項52】 基板を研磨するための装置であって、
(a)透過性のない研磨面と中実な透過性のウィンドウを有する研磨パッドであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記研磨パッドと、
(b)基板を研磨面に対して保持するための研磨ヘッドと、
(c)ウィンドウを通過して基板に入射する光ビームを発生するための光源と、基板より反射された光を測定する検出器とを有する終点検出システムとを備える装置。」

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無
(1) 訂正事項1について
請求項1に係る訂正事項1のうち、「研磨パッド」を「発泡材料からなる表面を有する研磨パッド」に訂正し、「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備える、前記研磨パッド」を「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備える、前記研磨パッド」に訂正し、プラグにつき、「前記プラグは前記研磨パッドの表面とほぼ共面の上面を有する」との限定事項を加えることは、研磨パッドの構造を特定し、ウィンドウの択一的記載を1つのものと限定し、かつ、プラグを「中実な材料からなる」と材料を特定するとともに上面の位置を特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであることは明らかであり、また、特許明細書の段落【0003】に「カバー層22は、通例は、オープンセル発泡ウレタン(例えばRodel IC1000)又はグルーブのある表面を有するポリウレタンシート(例えばRodel EX2000)である。」と通常研磨パッドが発泡材料からなることが記載され、段落【0028】に「図3(b)は、プラーテン16とパッド18の別の具体例である。・・・パッド18の裏張り層20(存在すれば)が除去された。・・・パッド18自身はウィンドウとして用いられているため、検出できる大きさのギャップは存在しない。」と記載され、段落【0029】に「図3(c)に描かれている・・・具体例では、プラーテンホール30の上の領域における典型的なパッド材料は、中実な(ソリッドな)ポリウレタンプラグ42に置き換えられる。」と記載され、図面の図3(c)を参照すると、ポリウレタンプラグ42の上面が研磨パッドの表面とほぼ共面となっていることが示されていることから、研磨パッド及びプラグを特定する上記訂正は、新規事項の追加には該当しない。
以上のとおり、訂正事項1は、全体として特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新規事項の追加には該当しないものである。
(2) 訂正事項2について
請求項9に係る訂正事項2のうち、「パッド」を「発泡材料からなる表面を有し」という限定を加え、かつ、「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え、」を「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え、」に訂正し、レーザービーム及び光を「赤光の範囲を含む」と訂正することは、研磨パッドの構造を特定し、ウィンドウの択一的記載を1つのものと限定し、かつ、プラグを「中実な材料からなる」と材料を特定し、レーザービーム及び光の波長を特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであることは明らかであり、また、特許明細書の段落【0003】に「カバー層22は、通例は、オープンセル発泡ウレタン(例えばRodel IC1000)又はグルーブのある表面を有するポリウレタンシート(例えばRodel EX2000)である。」と通常研磨パッドが発泡材料からなることが記載され、段落【0029】に「この具体例では、プラーテンホール30の上の領域における典型的なパッド材料は、中実な(ソリッドな)ポリウレタンプラグ42に置き換えられる。」と記載され、段落【0053】に「レーザービームの波長に関しては、・・・赤光の範囲のビームを用いることが好ましい。」と記載されていることから、研磨パッド及びプラグを特定する上記訂正は、新規事項の追加には該当しない。
以上のとおり、訂正事項2は、全体として特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新規事項の追加には該当しないものである。
(3) 訂正事項3について
請求項18に係る訂正事項3のうち、「ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において」という限定を加え、「研磨パッド」を「発泡材料からなる表面を有する研磨パッド」と訂正し、かつ、「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、」を「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え、」に訂正し、光ビームを向けるステップに関して「前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」という限定を加え、光ビームについて「赤光の範囲を含む」という限定を加えることは、方法自体を「ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)」であると特定し、研磨パッドの構造を特定し、ウィンドウの択一的記載を1つのものと限定し、かつ、プラグを「中実な材料からなる」と材料を特定し、光ビームを向けるステップを「ウエハがウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」と限定し、光ビームの波長を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであることは明らかであり、また、特許明細書の段落【0006】に「本発明は、研磨プロセスに関して正確性を向上し更に有用な情報を与えるために用いる事ができる終点の検出器及び方法を目指すものである。本発明の装置及び方法は、CMPプロセスの最中に、除去された材料の厚さ又はウエハ表面の平坦度をインシチュウに決定するための、干渉による技術を採用する。」とウエハのCMPに関する方法であることが記載され、段落【0003】に「カバー層22は、通例は、オープンセル発泡ウレタン(例えばRodel IC1000)又はグルーブのある表面を有するポリウレタンシート(例えばRodel EX2000)である。」と通常研磨パッドが発泡材料からなることが記載され、段落【0029】に「この具体例では、プラーテンホール30の上の領域における典型的なパッド材料は、中実な(ソリッドな)ポリウレタンプラグ42に置き換えられる。」と記載され、段落【0007】に「このウィンドウは、少なくともウエハがウィンドウの上方にある間は、ウエハに入射するレーザー光のための通路の役割を果たす。」と記載され、段落【0053】に「レーザービームの波長に関しては、・・・赤光の範囲のビームを用いることが好ましい。」と記載されていることから、研磨パッド及びプラグを特定し、方法をウエハのCMPであると特定し、光ビームを向けるステップをウエハがウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与えると特定し、光ビームの波長を限定する上記訂正は、新規事項の追加には該当しない。
以上のとおり、訂正事項3は、全体として特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新規事項の追加には該当しないものである。
(4) 訂正事項4について
請求項19ないし20に係る訂正事項4は、当該請求項自体の文言の変更はないものの、請求項19ないし20が最終的に引用している独立請求項である請求項18が減縮されたものであるから、請求項19ないし20については、それぞれ減縮されたものであることは明らかである。
そして、訂正前の請求項19ないし20については新規事項を有さないものであるので、新規事項を含むことなく減縮された請求項18を引用する請求項19ないし20が新規事項を有さないことは明らかである。
以上のとおり、訂正事項4は、それぞれ、特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新規事項の追加には該当しないものである。
(5) 訂正事項5について
請求項21に係る訂正事項5は、訂正前には請求項19に従属する形式で記載されていた請求項21を独立の形式に変更したものであって、請求項21自体が無効理由を有さないことは一次審決の「特許第3431115号の請求項2ないし8、10ないし17、21ないし23、26、33ないし38、41、47、50に係る発明についての審判請求は、成り立たない。」とした部分の審決が確定したことをもって確定し、その後、訂正前の請求項21が最終的に引用する独立請求項であって一次訂正によって訂正された請求項18の発明特定事項をすべて含み、かつ、当該請求項21自体の訂正は、二次審決によって確定し、さらに、訂正前の請求項19、21の発明特定事項のすべてを含むことから、一次訂正における請求項21の発明特定事項と比べ、発明の特定事項自体に変更はない。
(6) 訂正事項6について
請求項24に係る訂正事項6のうち、「ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において」という限定を加え、「研磨パッド」を「発泡材料からなる表面を有する研磨パッド」と訂正し、かつ、「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」を「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える」に訂正し、光ビームを向けるステップに関して「前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」という限定を加え、光ビームに対して「赤光の範囲を含む」ものと波長を限定することは、方法自体を「ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)」であると特定し、研磨パッドの構造を特定し、ウィンドウの択一的記載を1つのものと限定し、かつ、プラグを「中実な材料からなる」と材料を特定し、光ビームを向けるステップを「ウエハがウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」と限定し、光ビームについて「赤光の範囲を含む」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであることは明らかであり、また、特許明細書の段落【0006】に「本発明は、研磨プロセスに関して正確性を向上し更に有用な情報を与えるために用いる事ができる終点の検出器及び方法を目指すものである。本発明の装置及び方法は、CMPプロセスの最中に、除去された材料の厚さ又はウエハ表面の平坦度をインシチュウに決定するための、干渉による技術を採用する。」とウエハのCMPに関する方法であることが記載され、段落【0003】に「カバー層22は、通例は、オープンセル発泡ウレタン(例えばRodel IC1000)又はグルーブのある表面を有するポリウレタンシート(例えばRodel EX2000)である。」と通常研磨パッドが発泡材料からなることが記載され、段落【0029】に「この具体例では、プラーテンホール30の上の領域における典型的なパッド材料は、中実な(ソリッドな)ポリウレタンプラグ42に置き換えられる。」と記載され、段落【0007】に「このウィンドウは、少なくともウエハがウィンドウの上方にある間は、ウエハに入射するレーザー光のための通路の役割を果たす。」と記載され、段落【0053】に「レーザービームの波長に関しては、・・・赤光の範囲のビームを用いることが好ましい。」と記載されていることから、研磨パッド及びプラグを特定し、方法をウエハのCMPであると特定し、光ビームを向けるステップをウエハがウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与えると特定し、光ビームの波長を特定する上記訂正は、新規事項の追加には該当しない。
以上のとおり、訂正事項6は、全体として特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新規事項の追加には該当しないものである。
(7) 訂正事項7について
請求項25に係る訂正事項7は、当該請求項自体の文言の変更はないものの、請求項25が引用している独立請求項である請求項24が減縮されたものであるから、請求項25については、減縮されたものであることは明らかである。
そして、訂正前の請求項25については新規事項を有さないものであるので、新規事項を含むことなく減縮された請求項24を引用する請求項25が新規事項を有さないことは明らかである。
以上のとおり、訂正事項7は、特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新規事項の追加には該当しないものである。
(8) 訂正事項8について
請求項27に係る訂正事項8のうち、基板研磨システムについて「ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための」という限定を加え、「研磨パッド」を「発泡材料からなる表面を有する研磨パッド」と訂正し、かつ、「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える」を「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」に訂正し、プラーテンに関して「前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」という限定を加え、光ビームについて「赤光の範囲を含む」と限定することは、研磨システム自体を「ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行う」ものであると特定し、研磨パッドの構造を特定し、ウィンドウの択一的記載を1つのものと限定し、かつ、プラグを「中実な材料からなる」と材料を特定し、プラーテンを「ウエハがウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」と限定し、光ビームの波長を特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであることは明らかであり、また、特許明細書の段落【0006】に「本発明は、研磨プロセスに関して正確性を向上し更に有用な情報を与えるために用いる事ができる終点の検出器及び方法を目指すものである。本発明の装置及び方法は、CMPプロセスの最中に、除去された材料の厚さ又はウエハ表面の平坦度をインシチュウに決定するための、干渉による技術を採用する。」とウエハのCMPに関する研磨システムであることが記載され、段落【0003】に「カバー層22は、通例は、オープンセル発泡ウレタン(例えばRodel IC1000)又はグルーブのある表面を有するポリウレタンシート(例えばRodel EX2000)である。」と通常研磨パッドが発泡材料からなることが記載され、段落【0029】に「この具体例では、プラーテンホール30の上の領域における典型的なパッド材料は、中実な(ソリッドな)ポリウレタンプラグ42に置き換えられる。」と記載され、段落【0007】に「このウィンドウは、少なくともウエハがウィンドウの上方にある間は、ウエハに入射するレーザー光のための通路の役割を果たす。」と記載され、段落【0053】に「レーザービームの波長に関しては、・・・赤光の範囲のビームを用いることが好ましい。」と記載されていることから、研磨パッド及びプラグを特定し、方法をウエハのCMPであると特定し、プラーテンをウエハがウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与えると特定し、光ビームの波長を特定する上記訂正は、新規事項の追加には該当しない。
以上のとおり、訂正事項8は、全体として特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新規事項の追加には該当しないものである。
(9) 訂正事項9について
請求項28ないし32に係る訂正事項9は、当該請求項自体の文言の変更はないものの、請求項28ないし32が最終的に引用している独立請求項である請求項27が減縮されたものであるから、請求項28ないし32については、それぞれ減縮されたものであることは明らかである。
そして、訂正前の請求項28ないし32については新規事項を有さないものであるので、新規事項を含むことなく減縮された請求項27を引用する請求項28ないし32が新規事項を有さないことは明らかである。
以上のとおり、訂正事項9は、それぞれ、特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新規事項の追加には該当しないものである。
(10) 訂正事項10について
請求項39に係る訂正事項10は、「基板を研磨するための装置」を「ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置」と訂正し、「前記プラーテンは、中実な透明ウィンドウを有し」を「前記パッドは、発泡材料からなる表面と中実な透明ウィンドウを有し」と訂正し、かつ、「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える」を「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備えて」に訂正し、プラーテンに関して「ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」という限定を加え、光ビームについて「赤光の範囲を含む」と訂正するものであるが、基板を研磨することを「ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行う」ものであると特定し、パッドの構造を特定し、ウィンドウの択一的記載を1つのものと限定し、かつ、プラグを「中実な材料からなる」と材料を特定し、プラーテンを「ウエハがウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」と限定し、光ビームの波長を特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであることは明らかである。ここで、訂正前に「前記プラーテンは、中実な透明ウィンドウを有し」とあるのを、訂正後に「前記パッドは、・・・中実な透明ウィンドウを有し」とすることにより、中実な透明ウィンドウを有する部材をプラーテンからパッドに変更しているが、訂正前には、「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって・・・(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって」と、ウィンドウがパッドに形成されたものであるか、パッドの一部であることは特定されていたものである。してみると、「前記プラーテンは、中実な透明ウィンドウを有し」とあるのを、「前記パッドは、・・・中実な透明ウィンドウを有し」と訂正することは、ウィンドウがパッドに形成されたものであることとを整合させたものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的としていることは明らかである。
また、新規事項の追加に該当するかどうかに関して、特許明細書の段落【0006】に「本発明は、研磨プロセスに関して正確性を向上し更に有用な情報を与えるために用いる事ができる終点の検出器及び方法を目指すものである。本発明の装置及び方法は、CMPプロセスの最中に、除去された材料の厚さ又はウエハ表面の平坦度をインシチュウに決定するための、干渉による技術を採用する。」とウエハのCMPに関する研磨システムであることが記載され、段落【0003】に「カバー層22は、通例は、オープンセル発泡ウレタン(例えばRodel IC1000)又はグルーブのある表面を有するポリウレタンシート(例えばRodel EX2000)である。」と通常研磨パッドが発泡材料からなることが記載され、段落【0029】に「この具体例では、プラーテンホール30の上の領域における典型的なパッド材料は、中実な(ソリッドな)ポリウレタンプラグ42に置き換えられる。」と記載され、段落【0007】に「このウィンドウは、少なくともウエハがウィンドウの上方にある間は、ウエハに入射するレーザー光のための通路の役割を果たす。」と記載され、段落【0053】に「レーザービームの波長に関しては、・・・赤光の範囲のビームを用いることが好ましい。」と記載されていることから、研磨パッド及びプラグを特定し、方法をウエハのCMPであると特定し、プラーテンをウエハがウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与えると特定し、光ビームの波長を特定する上記訂正は、新規事項の追加には該当しない。
以上のとおり、訂正事項10は、全体として特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新規事項の追加には該当しないものである。
(11) 訂正事項11について
請求項40に係る訂正事項11のうち、「研磨面」を「発泡材料からなる研磨面」と訂正し、かつ、ウィンドウに関して「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え」を「該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光に対して透過性を有する前記プラグを備え」に訂正し、プラグについて「研磨パッドの第2の非透過性部分の表面とほぼ共面の上面を有し」と訂正し、ウィンドウに関して「ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与える」という限定を加えることは、研磨面の構造を特定し、ウィンドウの択一的記載を1つのものと限定し、かつ、プラグを「中実な材料からなる」と材料を特定するとともに「研磨パッドの第2の非透過性部分の表面とほぼ共面の上面を有」するものと特定し、ウィンドウを「ウエハがウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与える」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであることは明らかであり、また、特許明細書の段落【0003】に「カバー層22は、通例は、オープンセル発泡ウレタン(例えばRodel IC1000)又はグルーブのある表面を有するポリウレタンシート(例えばRodel EX2000)である。」と通常研磨面が発泡材料からなることが記載され、段落【0007】に「このウィンドウは、少なくともウエハがウィンドウの上方にある間は、ウエハに入射するレーザー光のための通路の役割を果たす。」と記載され、段落【0028】に「図3(b)は、プラーテン16とパッド18の別の具体例である。・・・パッド18の裏張り層20(存在すれば)が除去された。・・・パッド18自身はウィンドウとして用いられているため、検出できる大きさのギャップは存在しない。」と記載され、段落【0029】に「図3(c)に描かれている・・・具体例では、プラーテンホール30の上の領域における典型的なパッド材料は、中実な(ソリッドな)ポリウレタンプラグ42に置き換えられる。」と記載され、図面の図3(c)を参照すると、ポリウレタンプラグ42の上面が研磨パッドの表面とほぼ共面となっていることが示されていることから、研磨パッド及びプラグの構造を特定し、ウエハがウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与えると特定する上記訂正は、新規事項の追加には該当しない。
以上のとおり、訂正事項11は、全体として特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新規事項の追加には該当しないものである。
(12) 訂正事項12について
請求項42に係る訂正事項12のうち、「研磨面」を「発泡材料からなる研磨面」と訂正し、かつ、ウィンドウに関して「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え」を「該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え」に訂正し、「ポリウレタン」を「発泡ポリウレタン」と訂正し、プラグについて「研磨パッドの第2の非透過性部分の表面とほぼ共面の上面を有し」と訂正し、ウィンドウに関してさらに「ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与える」という限定を加えることは、研磨面の構造を特定し、ウィンドウの択一的記載を1つのものと限定し、かつ、プラグを「中実な材料からなる」と材料を特定とともに「研磨パッドの第2の非透過性部分の表面とほぼ共面の上面を有」するものと特定し、ポリウレタンを「発泡」したものであると限定し、ウィンドウを「ウエハがウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与える」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであることは明らかであり、また、特許明細書の段落【0003】に「カバー層22は、通例は、オープンセル発泡ウレタン(例えばRodel IC1000)又はグルーブのある表面を有するポリウレタンシート(例えばRodel EX2000)である。」と通常研磨面が発泡材料からなることが記載され、段落【0007】に「このウィンドウは、少なくともウエハがウィンドウの上方にある間は、ウエハに入射するレーザー光のための通路の役割を果たす。」と記載され、段落【0028】に「図3(b)は、プラーテン16とパッド18の別の具体例である。・・・パッド18の裏張り層20(存在すれば)が除去された。・・・パッド18自身はウィンドウとして用いられているため、検出できる大きさのギャップは存在しない。」と記載され、段落【0029】に「図3(c)に描かれている・・・具体例では、プラーテンホール30の上の領域における典型的なパッド材料は、中実な(ソリッドな)ポリウレタンプラグ42に置き換えられる。」と記載され、図面の図3(c)を参照すると、ポリウレタンプラグ42の上面が研磨パッドの表面とほぼ共面となっていることが示されていることから、研磨パッド及びプラグの構造を特定し、ウエハがウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与えると特定する上記訂正は、新規事項の追加には該当しない。
以上のとおり、訂正事項12は、全体として特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新規事項の追加には該当しないものである。
(13) 訂正事項13について
請求項43ないし44に係る訂正事項13は、当該請求項自体の文言の変更はないものの、請求項43が引用している独立請求項である請求項42が減縮されたものであり、請求項44が引用している独立請求項である請求項40が減縮されているから、請求項43ないし44については、それぞれ減縮されたものであることは明らかである。
そして、訂正前の請求項43ないし44については新規事項を有さないものであるので、新規事項を含むことなく減縮された請求項42及び40を引用する請求項43及び44が新規事項を有さないことは明らかである。
以上のとおり、訂正事項13は、それぞれ、特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新規事項の追加には該当しないものである。
(14) 訂正事項14について
請求項46、48、49、及び51に係る訂正事項14は、当該請求項自体の文言の変更はないものの、請求項46、48、49、51が最終的に引用している独立請求項である請求項40が減縮されたものであるから、請求項46、48、49、及び51については、それぞれ減縮されたものであることは明らかである。
そして、訂正前の請求項46、48、49、及び51については新規事項を有さないものであるので、新規事項を含むことなく減縮された請求項40を最終的に引用する請求項46、48、49、及び51が新規事項を有さないことは明らかである。
以上のとおり、訂正事項14は、それぞれ、特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新規事項の追加には該当しないものである。
(15) 訂正事項15について
請求項52に係る訂正事項15のうち、「透過性のない研磨面」を「発泡材料からなり透過性のない研磨面」と訂正し、かつ、ウィンドウに関して「(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える」を「前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、赤光の範囲を含む光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える」に訂正し、光源について「赤光の範囲を含む光ビームを発生する」と訂正し、ウィンドウに関してさらに「ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」という限定を加えることは、研磨面の構造を特定し、ウィンドウの択一的記載を1つのものと限定し、さらに、ウィンドウを「ウエハがウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える」と限定し、光ビームの波長を特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであることは明らかであり、また、特許明細書の段落【0003】に「カバー層22は、通例は、オープンセル発泡ウレタン(例えばRodel IC1000)又はグルーブのある表面を有するポリウレタンシート(例えばRodel EX2000)である。」と通常研磨面が発泡材料からなることが記載され、段落【0007】に「このウィンドウは、少なくともウエハがウィンドウの上方にある間は、ウエハに入射するレーザー光のための通路の役割を果たす。」と記載され、段落【0053】に「レーザービームの波長に関しては、・・・赤光の範囲のビームを用いることが好ましい。」と記載されていることから、研磨パッド及びプラグを特定し、ウエハがウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与えると特定し、光ビームの波長を特定する上記訂正は、新規事項の追加には該当しない。
以上のとおり、訂正事項15は、全体として特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、かつ、新規事項の追加には該当しないものである。
3.特許請求の範囲を実質的に拡張するものであるかについて
訂正事項1ないし15については、いずれも、特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではないことは明らかである。

4.むすび
以上のとおりであるから、実質的に請求項1、9、18ないし20、24、25、27ないし32、39、40、42ないし44、46、48、49、51、52を変更する訂正、及び、発明特定事項に変更のない請求項21に係る訂正である訂正事項1ないし15については、特許法第134条の2第1項ただし書きに適合し、特許法第134条の2第5項の規定により準用する同法第126条第3項及び第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。


第3 本件特許の請求項1ないし52に係る発明
上記「第2」のとおり、平成23年12月8日付け訂正請求による訂正(二次訂正)は認められたので、本件特許の訂正後の請求項1ないし52に係る発明(以下、「本件特許発明1」等という。)は、上記訂正請求による訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし52に記載された次のとおりのものである。
「 【請求項1】 ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、
(a)シャシに回転自在に設置され、ホール(孔)を自身に有する回転可能な研磨プラーテンと、
(b)プラーテンに設置され、研磨スラリによりウェットで、プラーテンのホールと調心されたウィンドウを有する、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え、前記プラグは前記研磨パッドの表面とほぼ共面の上面を有する、前記研磨パッドと、
(c)研磨パッドに対してウエハを保持するための、回転可能な研磨ヘッドであって、このウエハが酸化物層の下の半導体基板を備える、前記研磨ヘッドと、
(d)ウエハへ向けてレーザービームを発生させることが可能であり且つウエハ及びホール(孔)から反射されてくる光を検出することが可能なレーザー干渉計を有する終点検出器とを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間にレーザービームをウエハへ入射させるための通路を与える装置。
【請求項2】 ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、
(a)シャシに回転自在に設置され、ホール(孔)を自身に有する回転可能な研磨プラーテンと、
(b)プラーテンに設置され、研磨スラリによりウェットで、プラーテンのホールと調心されたウィンドウを有する研磨パッドであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備える、前記研磨パッドと、
(c)研磨パッドに対してウエハを保持するための、回転可能な研磨ヘッドであって、このウエハが酸化物層の下の半導体基板を備える、前記研磨ヘッドと、
(d)ウエハへ向けてレーザービームを発生させることが可能であり且つウエハ及びホール(孔)から反射されてくる光を検出することが可能なレーザー干渉計を有する終点検出器とを備え、該プラーテンの中の該ホールと該ウィンドウとが、該プラーテンの回転中心と一致する原点からある半径を有する円弧形状であり、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間にレーザービームをウエハへ入射させるための通路を与える装置。
【請求項3】 ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、
(a)シャシに回転自在に設置され、ホール(孔)を自身に有する回転可能な研磨プラーテンと、
(b)プラーテンに設置され、研磨スラリによりウェットで、プラーテンのホールと調心されたウィンドウを有する、研磨パッドであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備える、前記研磨パッドと、
(c)研磨パッドに対してウエハを保持するための、回転可能な研磨ヘッドであって、このウエハが酸化物層の下の半導体基板を備える、前記研磨ヘッドと、
(d)ウエハへ向けてレーザービームを発生させることが可能であり且つウエハ及びホール(孔)から反射されてくる光を検出することが可能なレーザー干渉計を有する終点検出器とを備え、該終点検出器が更に、レーザー干渉計によって発生するレーザービームが妨害されずに該ウィンドウを通過して該ウエハに入射するように、ウィンドウがウエハに近接しているときを感知するための位置センサを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間にレーザービームをウエハへ入射させるための通路を与える装置。
【請求項4】 (a)該レーザー干渉計が、ウエハから反射される光が検出される毎に検出信号を発生させるための手段を備え、
(b)該位置センサが、該レーザー干渉計によって発生するレーザービームが妨害されずに該ウィンドウを通過して該ウエハに入射できるように、ウィンドウがウエハに近接する毎に感知信号を出力するための手段を備え、
(c)該終点検出器が更に、該位置センサから信号を検知する期間のために該レーザー干渉計からの検出信号をサンプリングするための、該レーザー干渉計と該位置センサとに接続されたデータ取得手段を備え、該データ取得手段はサンプリングされた検出信号を代表するデータ信号を出力するための手段を備える請求項3に記載の装置。
【請求項5】 該データ取得手段が(a)該レーザー干渉計からサンプリングされた検出信号を所定の時間にわたって積分するための手段を備え、(b)該出力するための該手段は該検出信号の積分されたサンプルを代表するデータ信号を出力する請求項4に記載の装置。
【請求項6】 該出力するための該手段によって出力されるデータ信号が、周期的であり、且つ、該終点検出器が更に、
(a)データ信号によって現れるサイクルの数を計数するための手段と、
(b)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、データ信号の1サイクル中に除去される材料の厚さを計算するための手段と、
(c)酸化物層から除去されるべき材料の所望の厚さを、該計数するための該手段によりデータ信号により現れたサイクルの数と、該計算するための該手段から1サイクル中に除去される材料の厚さとの積である、除去厚さと比較するための手段と、
(d)該除去厚さが、除去されるべき材料の所望の厚さ以上になったときにCMPを終了させるための手段とを備える請求項4に記載の装置。
【請求項7】 該出力するための該手段によって出力されるデータ信号が周期的であり、且つ、該終点検出器が更に、
(a)(i)所定のサイクルの数又は(ii)1サイクルの所定の部分の一方のそれぞれが生じた後に、これらの一方を完結するためにデータ信号により要求される時間を測定するための手段と、
(b)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、該測定するための該手段によって測定される時間の間に除去される材料の厚さを計算するための手段と、
(c)除去の速度を算出するための手段であって、該算出するための該手段は、除去される材料の厚さを該測定するための該手段から得られる測定された時間で除する、該算出するための手段と、
(d)残りの除去厚さを確定するための手段であって、該確定するための該手段は、酸化物層から除去されるべき所望の材料の厚さから除去された材料の厚さの累積を減じ、前記除去された材料の厚さの累積は、(i)所定のサイクルの数又は(ii)1サイクルの所定の部分の一方のそれぞれが生じた後に、該計算するための該手段によって計算され、除去された材料の厚さを総和するための手段によって与えられる、前記確定するための手段と、
(e)残りのCMP時間を確立するための手段であって、前記確立するための前記手段は、残りの除去厚さを除去の速度で除する、前記確立するための手段と
(f)残りのCMPの時間がなくなった後CMPを終了させるための手段とを備える請求項4に記載の装置。
【請求項8】 ウエハが最初は不均一な局所構造を有し、CMPの間に平坦化され、該出力するための手段によって出力されるデータ信号がウエハの表面が平坦化された後だけ周期的であり、終点検出器が更に、
(a)データ信号の周期的変化を検出するための手段と、
(b)該検出するための手段がデータ信号の周期的変化を検出したときにCMPを終了させるための手段とを備える請求項4に記載の装置。
【請求項9】 酸化物層の下に半導体基板を備えるウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)のための方法であって、該方法は、
(a)ウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、該回転可能な研磨ヘッドの下の研磨パッドに対して保持するステップであって、該パッドは発泡材料からなる表面を有し、研磨スラリによってウェットとなっている、該保持するステップと、
(b)CMPが終了した終点を決定するステップであって、該終点を決定するステップは、
(b1)赤光の範囲を含むレーザービームをウエハに向けて発するステップであって、該レーザービームは、プラーテン内に形成されたホール(孔)に近接するように配置された該研磨パッドに含まれるウィンドウを通過し、
前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え、
該ウィンドウは、ウエハが該ウィンドウの上にあるときの時間の一部の間レーザービームのための通路を与える、該発するステップと、
(b2)ウエハから反射する赤光の範囲を含む光を検出するステップとを備える前記決定するステップとを備える方法。
【請求項10】 酸化物層の下に半導体基板を備えるウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)のための方法であって、該方法は、
(a)ウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、該回転可能な研磨ヘッドの下の研磨パッドに対して保持するステップであって、該パッドは研磨スラリによってウェットとなっている、該保持するステップと、
(b)CMPが終了した終点を決定するステップであって、該終点を決定するステップは、
(b1)レーザービームをウエハに向けて発するステップであって、該レーザービームは、プラーテン内に形成されたホール(孔)に近接するように配置された該研磨パッドに含まれるウィンドウを通過し、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え、該ウィンドウは、ウエハが該ウィンドウの上にあるときの時間の一部の間レーザービームのための通路を与える、該発するステップと、
(b2)ウエハから反射する光を検出するステップとを備える前記決定するステップとを備え、該決定するステップが、ウィンドウがウエハに近接してレーザービームが妨害されずにウィンドウを通過してウエハに入射するときを感知するステップを備える方法。
【請求項11】 (a)該検出するステップが、ウエハから反射される光が検出される毎に検出信号を発生するステップを備え、
(b)該感知するステップが、該レーザー干渉計によって発生するレーザービームが妨害されずに該ウィンドウを通過して該ウエハに入射できるように、ウィンドウがウエハに近接する毎に感知信号を出力するステップを備え、
(c)該決定するステップが、データ取得のステップを備え、該データ取得のステップが、
(c1)感知信号の期間のためにレーザー干渉計から検出信号をサンプリングするステップと、
(c2)サンプリングされた検出信号を代表するデータ信号を出力するステップとを備える請求項10に記載の方法。
【請求項12】 該データ取得のステップが更に、
(a)所定の期間の間の時間にわたって、サンプリングされた検出信号を積分するステップを備え、
(b)該出力するステップが、検出信号の積分サンプルを代表するデータ信号を出力するステップを備える請求項11に記載の方法。
【請求項13】 データ信号が周期的であり、且つ、該決定のステップが更に、
(a)データ信号によって現れるサイクルの数を計数するステップと、
(b)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、データ信号の1サイクル中に除去される材料の厚さを計算するステップと、
(c)酸化物層から除去されるべき材料の所望の厚さを、該計数するための該手段によりデータ信号により現れたサイクルの数と、該計算するための該手段から1サイクル中に除去される材料の厚さとの積である、除去厚さと比較するステップと、
(d)該除去厚さが、除去されるべき材料の所望の厚さ以上になったときにCMPを終了させるためのステップとを備える請求項11に記載の方法。
【請求項14】 データ信号が周期的であり、且つ、該決定のステップが更に、
(a)(i)所定のサイクルの数又は(ii)1サイクルの所定の部分の一方を完結するためにデータ信号により要求される時間を測定するステップと、
(b)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、該測定するための該手段によって測定される時間の間に除去される材料の厚さを計算するステップと、
(c)除去される材料の厚さを測定された時間で除して除去の速度を算出するステップと、
(d)酸化物層から除去されるべき所望の材料の厚さから、除去された材料の厚さを減じて、残りの除去厚さを確定するステップと、
(e)残りの除去厚さを除去の速度で除して、残りのCMP時間を確立するステップと、
(f)残りのCMPの時間がなくなった後CMPを終了させるステップとを備える請求項11に記載の方法。
【請求項15】 ウエハが最初は不均一な局所構造を有し、CMPの間に平坦化され、該出力するための手段によって出力されるデータ信号がウエハの表面が平坦化された後だけ周期的であり、該決定するステップが更に、
(a)データ信号の周期的変化をサーチするステップと、
(b)データ信号に周期的変化が見つけられたときにCMPを終了させるステップとを備える請求項11に記載の方法。
【請求項16】 ウエハが最初は不均一な局所構造を有し、CMPの間に平坦化され、該出力するための手段によって出力されるデータ信号がウエハの表面が平坦化された後だけ周期的であり、該決定するステップが更に、
(a)データ信号をフィルタにかけて、所定の周波数を有している成分だけを通過させるステップと、
(b)フィルタがかけられたデータ信号によって現れるサイクルの数を計数するステップと、
(c)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、データ信号の1サイクル中に除去される材料の厚さを計算するステップと、
(d)酸化物層から除去されるべき材料の所望の厚さを、フィルタがかけられたデータ信号により現れたサイクルの数と、1サイクルの間に除去される材料の厚さとの積である、除去厚さと比較するステップと、
(e)該除去厚さが、除去されるべき材料の所望の厚さ以上になったときにCMPを終了させるためのステップとを備える請求項11に記載の方法。
【請求項17】 ウエハが最初は不均一な局所構造を有し、CMPの間に平坦化され、該出力するための手段によって出力されるデータ信号がウエハの表面が平坦化された後だけ周期的であり、該決定するステップが更に、
(a)データ信号をフィルタにかけて、所定の周波数を有している成分だけを通過させるステップと、
(b)フィルタがかけられたデータ信号によって現れるサイクルの一部が生じる数を計数するステップと、
(c)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、データ信号のサイクルの一部の間に除去される材料の厚さを計算するステップと、
(d)酸化物層から除去されるべき材料の所望の厚さを、フィルタがかけられたデータ信号により現れたサイクルの一部が生じる数と、サイクルの一部の間に除去される材料の厚さとの積である、除去厚さと比較するステップと、
(e)該除去厚さが、除去されるべき材料の所望の厚さ以上になったときにCMPを終了させるためのステップとを備える請求項11に記載の方法。
【請求項18】 ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において、基板上の表面層の状態の均一性を、前記層の研磨の最中に測定するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ赤光の範囲を含む光ビームを向けるステップであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記赤光の範囲を含む光ビームによって生じる干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するステップとを備える方法。
【請求項19】 前記計算するステップが、前記干渉信号から特徴情報を抽出するステップと、前記抽出された特徴情報から表面層の状態の均一性の前記尺度を計算するステップとを備える請求項18に記載の方法。
【請求項20】 表面層の状態の均一性の前記尺度を参考値と比較するステップと、表面層の状態の均一性の前記尺度が該参考値から所定の量以上広がったときに警告を発するステップとを更に備える請求項19に記載の方法。
【請求項21】 ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において、基板上の表面層の状態の均一性を、前記層の研磨の最中に測定するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ光ビームを向けるステップであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記光ビームによって生じる干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するステップとを備え、
前記計算するステップが、前記干渉信号から特徴情報を抽出するステップと、前記抽出された特徴情報から表面層の状態の均一性の前記尺度を計算するステップとを備え、
前記干渉信号が低周波数成分を含み、前記抽出するステップが、前記低周波数成分の第1の特性を測定するステップと、前記第1の特性から前記抽出された情報を誘導するステップとを備える方法。
【請求項22】 前記干渉計信号が高周波成分を含み、前記抽出するステップが、前記高周波数成分の第2の特性を測定するステップと、前記第1の特性及び前記第2の特性から前記抽出された情報を誘導するステップと、を備える請求項21に記載の方法。
【請求項23】 前記第1の特性が前記低周波数信号の振幅であり、前記第2の特性が前記高周波数信号の振幅であり、前記誘導するステップが、前記高周波信号の振幅と前記低周波信号の振幅との比を計算するステップを備える請求項22に記載の方法。
【請求項24】 ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において、層を自身の上に有する基板を研磨するための研磨プロセスの特性を評価するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ赤光の範囲を含む光ビームを向けるステップであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記赤光の範囲を含む光ビームによって発生する干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から干渉計波形を抽出するステップと、
(d)前記抽出された干渉計波形を保存されている情報と比較するステップであって、前記保存されている情報は、該研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、前記比較するステップと、
(e)前記抽出された干渉計波形が前記保存されている情報から所定の量以上広がったとき、警告を発するステップとを備える方法。
【請求項25】 干渉信号を、オペレータが見ることができるように、視覚的なディスプレイ装置上に表示するステップを更に備える請求項24に記載の方法。
【請求項26】 層を自身の上に有する基板を研磨するための研磨プロセスの特性を評価するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ光ビームを向けるステップであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記光ビームによって発生する干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から干渉計波形を抽出するステップと、
(d)前記抽出された干渉計波形を保存されている情報と比較するステップであって、前記保存されている情報は、該研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、前記比較するステップと、
(e)前記抽出された干渉計波形が前記保存されている情報から所定の量以上広がったとき、警告を発するステップとを備え、前記抽出するステップが、前記干渉信号から研磨速度を決定するステップと、前記干渉信号から均一性の尺度を決定するステップと、を備え、前記比較するステップが、前記研磨速度及び均一性の前記尺度を前記保存されている情報と比較するステップを備える方法。
【請求項27】 ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための基板研磨システムであって、
(a)処理中に、中実な透明ウィンドウを有する発泡材料からなる表面を有する研磨パッドを保持するプラーテンであり、
前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)処理中に、前記研磨パッドの前記ウィンドウを通して、研磨されるべき基板の側部に向けられ且つ入射するコリメートされた赤光の範囲を含む光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は干渉信号を発生する、前記干渉計と、
(d)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するようにプログラミングされたデータプロセッサとを備える研磨システム。
【請求項28】 前記研磨ヘッドが、処理中に回転できるように、回転可能となっている請求項27に記載の研磨システム。
【請求項29】 前記プラーテンが、処理中に回転できるように、回転可能となっている請求項28に記載の研磨システム。
【請求項30】 前記干渉計が、レーザー干渉計である請求項29に記載の研磨システム。
【請求項31】 前記データプロセッサが更に、前記干渉信号から特徴情報を抽出することと、前記抽出された特徴情報から均一性の前記尺度を計算することと、をプログラミングされている請求項29に記載の研磨システム。
【請求項32】 前記データプロセッサが更に、均一性の前記尺度を参考値と比較することと、均一性の前記尺度が該参考値から所定の量以上広がったときに警告を発することと、をプログラミングされている請求項31に記載の研磨システム。
【請求項33】 基板研磨システムであって、
(a)処理中に、中実な透明ウィンドウを有する研磨パッドを保持するプラーテンであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)処理中に、前記研磨パッドの前記ウィンドウを通して、研磨されるべき基板の側部に向けられ且つ入射するコリメートされた光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は干渉信号を発生する、前記干渉計と、
(d)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するようにプログラミングされたデータプロセッサとを備え、
前記研磨ヘッドが、処理中に回転できるように、回転可能となっており、前記プラーテンが、処理中に回転できるように、回転可能となっており、前記データプロセッサが更に、前記干渉信号から特徴情報を抽出することと、前記抽出された特徴情報から均一性の前記尺度を計算することと、をプログラミングされており、前記データプロセッサが更に、均一性の前記尺度を参考値と比較することと、均一性の前記尺度が該参考値から所定の量以上広がったときに警告を発することと、をプログラミングされており、前記干渉信号が低周波数成分を含み、前記データプロセッサが、前記低周波数成分の第1の特性を測定することと、前記第1の特性から前記抽出された情報を誘導することと、により特徴情報を抽出するようにプログラミングされている研磨システム。
【請求項34】 前記干渉信号が高周波数成分を含み、前記データプロセッサが、前記高周波数成分の第2の特性を測定することと、前記第2の特性から前記抽出された情報を誘導することと、により特徴情報を抽出するようにプログラミングされている請求項33に記載の研磨システム。
【請求項35】 前記第1の特性が前記低周波数信号の振幅であり、前記第2の特性が前記高周波数信号の振幅であり、前記データプロセッサが、前記高周波信号の振幅と前記低周波信号の振幅との比を計算することにより特徴情報を抽出するようにプログラミングされている請求項34に記載の研磨システム。
【請求項36】 基板を研磨するための装置であって、前記装置は、
(a)処理中に研磨パッドを保持するプラーテンであって、前記プラーテンは内部に通路を有する、前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)コリメートされた光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は、少なくとも研磨操作の一部の間に前記光ビームを前記通路に向け前記基板上に入射するように、配置される、前記干渉計と、
(d)前記研磨パッドに含まれ、前記ホールないし通路と調心され且つ基板へと通過する光ビームが通るウィンドウであって、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え、
干渉計から到達する光ビームを受容する散乱面を有する、前記ウィンドウとを備える装置。
【請求項37】 前記プラーテン上に載置される研磨パッドを更に備え、前記ウィンドウは、前記研磨パッド内に形成され前記通路と調心される請求項36に記載の装置。
【請求項38】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、干渉計からの光に対して透過性を有し、散乱底面を有すると共に、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備える、
研磨パッド。
【請求項39】 ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、前記装置は、
(a)処理中に研磨パッドを保持するプラーテンであり、前記パッドは、発泡材料からなる表面と中実な透明ウィンドウを有し、
前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備えて、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)コリメートされた赤光の範囲を含む光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は、少なくとも研磨操作の一部の間に前記光ビームを前記ウィンドウに向け前記基板上に入射するように配置されて、研磨プロセスのインシチュウによるモニタリングを与える、前記干渉計と、
(d)前記干渉計からの周期信号を解析し、該周期信号から研磨の終点を検出するプロセッサとを備える装置。
【請求項40】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)発泡材料からなる研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、前記研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、前記プラグは前記研磨パッドの第2の非透過性部分の表面とほぼ共面の上面を有し、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与える研磨パッド。
【請求項41】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、前記研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、該第1の透過性部分が、中実なポリウレタンである研磨パッド。
【請求項42】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)発泡材料からなる研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、該第2の非透過性部分が、添加物を有する発泡ポリウレタンであり、前記プラグは前記研磨パッドの第2の非透過性部分の表面とほぼ共面の上面を有し、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与える研磨パッド。
【請求項43】 該添加物が微粒子を有することで、該第2の部分がマイクロポーラス構造を有するようにする請求項42に記載の研磨パッド。
【請求項44】 該第2の非透過性部分が、オープンセルの構造を有する請求項40に記載の研磨パッド。
【請求項45】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)発泡材料からなる研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、前記研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与える研磨パッドであって、該第1の透過性部分が、該研磨面とほぼ共面の上面を有する研磨パッド。
【請求項46】 該研磨面と反対側に底面を更に有する請求項40に記載の研磨パッド。
【請求項47】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、該第1の透過性部分とほぼ調心されたアパーチャが底面に形成される、研磨パッド。
【請求項48】 研磨パッドが、研磨面を有する第1の層と、研磨面と反対側の第2の層とを有する請求項40に記載の研磨パッド。
【請求項49】 該第1の透過性部分が、第1の層に形成される請求項48に記載の研磨パッド。
【請求項50】 ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、前記研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、研磨面を有する第1の層と、研磨面と反対側の第2の層とを有し、第1の層の該透過性部分とほぼ調心されたアパーチャが第2の層に形成される研磨パッド。
【請求項51】 研磨パッドが、自身に形成されたアパーチャを有し、透過性部分がアパーチャ内に位置をとるプラグを備える請求項40に記載の研磨パッド。
【請求項52】 基板を研磨するための装置であって、
(a)発泡材料からなり透過性のない研磨面と中実な透過性のウィンドウを有する研磨パッドであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、赤光の範囲を含む光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、前記研磨パッドと、
(b)基板を研磨面に対して保持するための研磨ヘッドと、
(c)ウィンドウを通過して基板に入射する赤光の範囲を含む光ビームを発生するための光源と、基板より反射された光を測定する検出器とを有する終点検出システムとを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える装置。」


第4 請求人が主張する無効理由の概要及び提出した証拠方法
請求人は審判請求書において、本件特許発明は、以下の無効理由1及び2により無効とすべきものである旨主張し、証拠方法として最終的に甲第1?9号証、甲第11?25号証を提出した。

1 無効理由1:特許法第29条第2項違反について
本件の(一次訂正請求前の)独立形式請求項に係る請求項1、9、18、24、27、36、38、39、40、42、47、52に係る発明は、甲第1号証ないし甲第5号証に係る発明に基づいて当業者が容易に想到し得るものであるから、特許法第29条第2項に基づき特許を受けることができない。
また、その余の請求項に係る発明は、各独立形式請求項の従属項であるので、該独立形式請求項に係る各発明が無効とされた場合は、之等各従属形式請求項に係る発明も当然無効とせられるべきである。
なお、請求人は、平成22年10月12日付け弁駁書によって甲第11?25号証を提示して訂正後の請求項1ないし52に係る発明は、甲第11?25号証を参照することにより、無効とされるべきものであることを主張している。しかしながら、一次審決及び二次審決において、「請求項2ないし8、10ないし17、21ないし23、26、33ないし38、41、45、47、50についての審判請求は成り立たない」ことが確定している。したがって、本審決においては、確定していない請求項1、9、18ないし20、24ないし25、27ないし32、39ないし40、42ないし44、46、48ないし49、51ないし52についての請求人の主張のみ言及する。

2 無効理由2:特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反について
請求人は審判請求書において、特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反について、次の主張をしている。なお、一次審決及び二次審決により確定した請求項に対する無効理由については除外した。
したがって、請求項1、9、18ないし20、24ないし25、27ないし32、39、40、42ないし44、46、48、49、51、52に対する無効理由についてのみ、記載することとする。
(1)請求項を特定しない特許法第36条違反について
A レーザー光の透過を許容する透明体から成る合成樹脂製の研磨パッドが本願の原出願の優先日以前には不存在、又は、当業者が容易に想到し得なかったことになり、この限度においても本願発明の詳細な説明には本願発明を当業者が実施し得る程度に十分且つ、明確に記載されていなかったので、特許法第36条第4項違反であり、且つ、本願の各請求項に係る発明も不明確であるから、特許法第36条第6項第2号違反である。(審判請求書第30ページ第15行?第23行。)
B 特許審査過程・成立過程において、公知例と差別化を図る上で、「光」に関する内容を、発明の範囲から意識的に除外し、「レーザー光」に限定しているとみなされるものであるから、「レーザー光」と「光」とを同一視することはできず、本件発明は、特許を受けようとする発明が不明確であるので、特許法第36条第12項第2号違反であり、各発明を当業者が実施し得る程度に十分、且つ、明確に明細書に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。(審判請求書第30ページ第24行?第37ページ第10行。)
C 本件特許の「レーザー干渉計」は、一般的に認識されている干渉計ではない。「干渉計」という語句の誤用は、軽微な誤りではなく、発明を構成するキーポイントとなった重要な誤りである。(審判請求書第37ページ第11行?第42ページ第5行。)
D 本件特許の対象となるウェハは、パターンウェハ(パターニングされたウェハ)である。ブランク酸化物ウェハの開示は、本件特許における課題を解決するものではなく、意味をなすものではない。(審判請求書第42ページ第6行?第43ページ第22行。)
E 請求項18、22、23、39に関し、(1)それぞれの信号の技術的意味および物理量が不明確であるので特許法第36条第6項第2号違反であり、明細書に十分な開示がないので特許法第36条第6項第1号違反である。
また、明細書内において、段落【0012】記載の「出力信号」、段落【0018】記載の「特性信号」、段落【0019】記載の「警告信号」、段落【0022】記載の「特徴信号」、段落【0035】記載の各種「信号」、段落【0036】記載の「検出器信号」、段落【0039】記載の各種「信号」に関し、信号自体の意味そのものが非常に曖昧で、意味不明である。したがって、「信号」を含む請求項に係る発明を当業者は本件特許明細書の記載に基づいて実施することはできない。(審判請求書第43ページ第23行?第45ページ第6行。)
F フィルタに関する記載不備
(i)図9(b)は、図9(a)にフィルタで処理したデータとされるが、図9(a)の横軸と、図9(b)の横軸は一致しない。横軸が記載されていないため、何を示しているか不明である。よって、図9(a)→図9(b)と変換するフィルタが不明である。よって、本件特許明細書には当業者が実施し得る程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。
また、フィルタに関する請求項は、参照する明細書部分がないか、不明確であるので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。
(ii)パターンウェハに関するフィルタは原理的に矛盾する。よって、当業者が実施し得る程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。
(iii)図13に示すデータは積分値であるので負の値をとることはない。よって、当業者が実施しうる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。
(iv)CMPの対象となるパターンウェハの研磨の終点を検出する方法は明確ではない、もしくは開示されていないとみなされ、請求項に使用される「終点検出」、「終点を検出する」などの語句は不適切であるので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。
本件特許明細書においても、パターンウェハに対する実質的な終点検出方法が示されていないため、当業者が実施し得る程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。(審判請求書第45ページ第7行?第48ページ第12行。)
G 終点検出アルゴリズムに関する記載不備
(i)段落【0045】から何が研磨の終点か示されていないので、特許法第36条第4項違反であり、また、請求項1他「終点」という用語を含む請求項は、特許法第36条第6項第2号違反である。
(ii)段落【0045】では、終点を「検出する方法」に関する内容が不明確であり、当業者が実施し得る程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。
(iii)段落【0045】には、「細密な検討」とあるが、細密な検討の内容が記載されていない。
(iv)終点検出の判断基準が曖昧である。よって、「終点検出」自体が不明確であるので、特許法第36条第6項第2号違反である。
(v)何を基準に250秒のところで正弦波状のサイクルが現れているのか不明で、汎用性がない。よって、当業者が実施し得る程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。
(vi)In-situで判断する方法を示さない限り、終点を検出する方法として意味をなさない。よって、当業者が実施し得る程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。
(vii)1サイクルで終わることが好ましいとする内容に対して、原理的に不可能であるために、当業者が実施し得る程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。(審判請求書第48ページ第13行?第52ページ第8行。)
H 均一性の尺度の記載不備
(i)図17に示す構成では、均一性の尺度を原理的にモニタすることはできない。よって、当業者が実施し得る程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。
(ii)均一性の尺度において、明らかに矛盾する事例が存在し、原理的に矛盾した論理である。よって、当業者が実施し得る程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。
(iii)様々な光路が多数存在しうるパターンウェハでは、均一性の尺度を原理的に評価できないことは自明である。よって、当業者が実施し得る程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項違反である。(審判請求書第52ページ第9行?第54ページ第10行。)
(2)請求項を特定する特許法第36条違反について
(i)請求項1
レーザー干渉計の機能が不明であり、「レーザー干渉計を有する終点検出器」で、「レーザービームを発生させる」、「反射されてくる光を検出する」の記載では、終点検出にならず、終点検出器の意義が不明であり、反射されてくる光のどのような物理量を検出するのか不明であるので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第54ページ第14行?第55ページ第8行。)
(ii)請求項9
ウエハのケミカルメカニカルポリシングのための方法に対して、各ステップの必要性が不明であり、ウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、の部分の全体の中での必要性が不明であり、何を持って終点を決定するか示されておらず、ウエハから反射する光を検出するステップとは何の光を検出するのか明細書に記載されておらず不明であるので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第57ページ第7行?第16行。)
(iii)請求項18
基板上の層の均一性を測定する方法は、実施不能であるか、開示されていないし、光ビームに関する内容は、明細書中に記載がなく、干渉信号が示す物理量が不明であり、干渉信号と検出信号、データ信号との実質的な差が不明であり、均一性の尺度の計算が開示されないか、原理的に計算できないため、特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第59ページ第23行?第60ページ第7行。)
(iv)請求項19
特徴情報の意味・物理量が不明であり、干渉信号から特徴情報を抽出するステップは開示されておらず意味も不明であり、抽出された特徴情報から均一性の尺度を計算するステップも開示されておらず、均一性尺度を求める上で、段落【0018】に記載の特性信号の技術的意味・物理量と他の信号との差異が不明で均一性尺度が定義できないことから、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第60ページ第8行?第16行。)
(v)請求項20
均一性の尺度が開示されず、また、原理的に計算できないことから、特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第60ページ第17行?第20行。)
(vi)請求項24
プロセスの特性の技術的意味および物理量が不明であり、シグネチャの技術的意味・物理量が不明確であり、光ビームに関する開示はなく、シグネチャを抽出するステップの技術的意味が不明であり、研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、保存されている情報の技術的意味が不明であるので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第61ページ第14行?末行。)
(vii)請求項27
干渉計とあるが、実質的に干渉計ではなく、語句を誤用しており、干渉信号の物理量が不明であり、光ビームに関する開示がなく、干渉信号から均一性の尺度を計算する方法が不明確であり、示されていないので、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第62ページ第6行?第14行。)
(viii)請求項30
レーザー干渉計は語句を誤用しているので、特許法第36条第6項第2号違反である。(審判請求書第62ページ第15行?第17行。)
(ix)請求項31
特徴情報の技術的意味・物理量が不明であり、干渉信号から特徴情報を抽出することが示されておらず、段落【0018】記載の「特性信号」の技術的意味・物理量が不明であり、抽出された特徴情報から均一性の尺度を計算する方法が示されていないから、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第62ページ第18行?末行。)
(x)請求項39
基板を研磨することと、各特徴がどう対応し、また、それが必要機能なのか不明であり、何を行うかも不明であり、光ビームに対する開示はなく、CMPで対象となるパターンウェハは周期信号が現れず、パターンウェハに対して、周期信号から終点を検出する一意の方法が開示されていないし、フィルタは実施不能であるから、特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第64ページ第14行?末行。)
(xi)請求項43
第2の部分が、マイクロポーラス構造を有することと、終点を検出するためのパッド機能との技術的関連がなく、それを説明する記述がないことから、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第65ページ第1行?第4行。)
(xii)請求項44
第2の部分が、オープンセルの構造を有することと、終点を検出するためのパッド機能との技術的関連がなく、それを説明する記述がないことから、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第65ページ第5行?第8行。)
(xiii)請求項52
光ビームに関する開示はなく、光のどのような物理量を測定するのかが不明であり、光源と検出器を有するだけの終点検出システムは特定できないから、特許法第36条第6項第1号、第2号違反である。(審判請求書第65ページ第9行?第16行。)

3 証拠方法
請求人は、証拠方法として、以下の証拠を提出している。なお、甲第11?25号証は、平成22年10月12日付け弁駁書において提出されたものであり、甲第10号証は欠番となっている。
甲第 1号証 特開平7-52032号公報
甲第 2号証 特開平5-309558号公報
甲第 3号証 特開昭63-134162号公報
甲第 4号証 特開昭61-76260号公報
甲第 5号証 特開平4-255218号公報
甲第 6号証 異議2003-72913号異議の決定
甲第 7号証 異議2003-72913号異議事件の資料の写し
甲第 8号証 中川威雄氏の宣誓書
甲第 9号証 本件の特願平8-74976号に関する平成14年4月19日付け意見書の写し
甲第11号証 平成21年(行ケ)第10370号審決取消請求事件に関する平成22年7月5日付け被請求人の上申書の写し
甲第12号証 平成22年(行ケ)第10061号審決取消請求事件決定書の写し
甲第13号証 異議2003-72913号における平成16年4月22日付け取消理由通知書
甲第14号証 特開平5-193991号公報
甲第15号証 特開平5-80201号公報
甲第16号証 無効2006-80075号事件における本件被請求人による平成18年12月7日付け訂正請求書の写し
甲第17号証 平成19年(行ケ)第10250号審決取消請求事件判決の抜粋
甲第18号証 本件特許の審査過程における平成13年10月18日付け拒絶理由通知書
甲第19号証 特表平8-501635号公報(国際公開第94/7110号として)
甲第20号証 本件特許の審査過程における平成14年10月16日付け拒絶査定書
甲第21号証 本件特許の拒絶査定不服審判の前置審査における平成15年3月24日付け拒絶理由通知書
甲第22号証 特開平2-196906号公報
甲第23号証 特表平5-505769号公報
甲第24号証 平成19年(行ケ)第10250号審決取消請求事件判決の抜粋
甲第25号証 平成21年(行ツ)第23号、平成21年(行ヒ)第27号の最高裁判所の決定調書


第5 被請求人の主張の概要

1 被請求人の主張の概要
被請求人の主張は、概略、以下のとおりである。
二次訂正後の訂正された各請求項に記載された発明は、プラグを、「研磨パッドの表面とほぼ共面の上面を有する」と限定し、あるいは、光を、「赤光の範囲を含む」と特定したものである。
甲第1号証?甲第5号証には、ウィンドウまたはプラグを有する構成は甲1発明しか開示されておらず、しかも、甲1発明は、プラグ上面が研磨パッドの上面と共面であってはならないことを積極的に教示しているので、これらに基づいて、研磨パッドにプラグを設け、且つ、プラグの上面と研磨パッドの上面を共面にする技術思想が容易に想到可能であったと考えることはできない。
また、赤光の範囲を含むレーザービームを用いることによって固有の優れた効果が得られることについては、本件明細書には以下のように記載されているが、甲第1?5号証には、赤光の範囲を含むレーザービームを用いることについても、またそのことによって得られる優れた効果についても開示も示唆もされていない。(平成23年12月8日付け訂正請求書の第8ページ第22行?第26行、第10ページ第3行?第6行)

2 証拠方法
被請求人は、証拠方法として、以下の証拠を提出している。
なお、乙第1?49号証は、平成20年1月16日付け審判事件答弁書の段階で、乙第50?79号証は、平成20年5月16日受付口頭審理陳述要領書の段階で、乙第80?81号証は、平成21年7月16日受付上申書の段階で、それぞれ提出されたものである。
乙第 1号証 特許庁ホームページ「資料室(その他の参考情報)」における標準技術集の中の半導体製造装置関連真空・クリーン化技術の「4-4-1CMP装置」
乙第 2号証 インターネットフリー百科事典ウィキペディアの「化学機械研磨」
乙第 3号証 インターネット検索ページ「MIRRA CMPシステムの常識・非常識」
乙第 4号証 次世代CMP用高性能パッド-JSR CMP Pad、JSR Technical Review No.109/2002、35ページないし37ページの写し
乙第 5号証 各種研磨パッドの摩擦特性によるCMP性能の研究、2004年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集、955ページないし956ページの写し
乙第 6号証 当社CMP用研磨パッドの研究結果発表に関するお知らせ、日本ミクロコーティング株式会社、平成17年10月27日の写し
乙第 7号証 インターネット検索ページ「CMP装置用研磨パッドの製造・販売で新会社設立」、東洋ゴム工業株式会社、2004年7月12日、No.775
乙第 8号証 シリコンウエーハ用研磨パッド、ニッタ・ハース株式会社のパンフレットの写し
乙第 9号証 Suba Products(Stock or Primary Polishing Pads)、Rohm-Haas社のパンフレットの写し
乙第10号証 インターネット検索ページ「Silicon Valley」
乙第11号証 半導体平坦化CMP技術、土肥俊郎、河西敏男、中川威雄共著、株式会社工業調査会、1998年7月15日発行、107、114、121、123、128、154?166ページの写し
乙第12号証 CMP用パッド(CMP Pad)、ニッタ・ハース社のパンフレットの写し
乙第13号証 Optical NanoGauge-光干渉式膜厚測定装置C10178、C10323、浜松ホトニクス株式会社のパンフレットの写し
乙第14号証 CCD/CMOSイメージ・センサの基礎と応用、米本和也著、CQ出版株式会社、2007年8月1日第5版発行、36ページないし40ページの写し
乙第15号証 拒絶査定不服審判(2002-2660)特許審決公報
乙第16号証 平成15年(行ケ)第475号審決取消請求事件判決
乙第17号証 CMP用語辞典、グローバルネット株式会社、平成12年5月29日、49ページないし50ページ、151ページないし152ページの写し
乙第18号証 詳説半導体CMP技術、土肥俊郎編著、株式会社工業調査会、2001年1月10日、18ページ、51ページないし54ページの写し
乙第19号証 特開昭59-187456号公報
乙第20号証 屈折率一覧表、株式会社セイシン企業
乙第21号証 ラッピング・ポリシングの基礎と応用-1-、河西敏男、機械と工具、1992年4月、133ページないし142ページの写し
乙第22号証 インターネットにおける研磨ホームページ「研磨の原点」、独立行政法人産業技術総合研究所
乙第23号証 特開平10-50824号公報
乙第24号証 超精密ラッピング加工の実際、進藤 勉、機械と工具、1997年5月、72ページないし76ページの写し
乙第25号証 インターネットにおける研磨ホームページ「ラッピング特性」、独立行政法人産業技術総合研究所
乙第26号証 特開2002-59364号公報
乙第27号証 ジョセフ エル. セクチPH.D.の宣誓書及びその訳文の写し
乙第28号証 スーパースムーズ鏡面研磨とP-MACポリシング、河西敏男、表面科学、Vol.22、No.3、2001年、pp.179-186の写し
乙第29号証 米国特許第5,489,233号明細書及びその訳文
乙第30号証 特表平11-512977号公報
乙第31号証 CMPの実践的基礎技術、渡邊純二著、EDリサーチ社発行、2004年8月23日、4ページないし5ページ、42ページの写し
乙第32号証 シリコン基板の加工技術と加工表面品質、河西敏男、表面科学、Vol.21、No.11、2000年、pp.688-695の写し
乙第33号証 高能率・超平滑化加工法、安永暢男、表面科学、Vol.22、No.3、2001年、pp.187-196の写し
乙第34号証 インターネット検索ページ「CMPスラリーに最適なフィルタを特定する」、Rakesh K. Singh 著、Semiconductor International、2005年10月号、
乙第35号証 精密機械加工の原理、安永暢男、高木純一郎共著、株式会社工業調査会、2002年10月25日、168ページの写し
乙第36号証 インターネットにおける研磨ホームページ「液中ポリシング」、独立行政法人産業技術総合研究所
乙第37号証 特開平8-19943号公報
乙第38号証 特開平7-235520号公報
乙第39号証 インターネットにおける公報テキスト検索結果、IPDL
乙第40号証 無効審判2006-80075号審決
乙第41号証 平成19年(行ケ)第10250号審決取消請求事件 原告準備書面(1)の写し
乙第42号証 無効審判事件2006-80075号第1回口頭審理調書
乙第43号証 半導体プロセスにおける薄膜形成のインプロセス・モニタリング、菅原活郎、吉見武夫、広部嘉道共著、日経エレクトロニクス、1978年7月10日、日経マグロウヒル社、108ページないし127ページの写し
乙第44号証 特開2003-163191号公報
乙第45号証 特開2005-340679号公報
乙第46号証 無効審判事件2006-80075号における平成18年12月7日付け意見書
乙第47号証 マヌーチャー・ビランの宣誓書及びその訳文の写し
乙第48号証 特開平10-83977号公報
乙第49号証 無効審判事件2006-80075号審判請求書の写し
乙第50号証 平成19年(行ケ)第10250号審決取消請求事件 被告準備書面(3)の写し
乙第51号証 CMPのサイエンス、株式会社サイエンスフォーラム発行、1997年8月20日、135ページ、149ページの写し
乙第52号証 インターネット検索ページのシグマ光機ホームページ内「ゲルマニウム」
乙第53号証 インターネット検索ページの株式会社ネオトロンホームページ内「Germanium(Ge)」
乙第54号証 インターネット検索ページの古河電子株式会社ホームページ内「ZnSe・ZnS・Ge・Si・Mo等材料」
乙第55号証 インターネット検索ページのヒリックサイエンティフィックプロダクツ、インコーポレイテッドホームページ内「ゲルマニウム、光学的特性情報」
乙第56号証 インターネット検索ページ、「超精密切削によるウエーハ状薄型赤外線フレネルレンズの加工」、日本機械学会誌、2006.11、Vol.109、No.1056、903ページ
乙第57号証 松岡亮次、卒業研究報告、「Geの吸収係数測定」、高知工科大学、平成17年3月17日の写し
乙第58号証 インターネット検索ページの株式会社ネオトロンホームページ内「Quartz Single Crystals(SiO2)」
乙第59号証 インターネット検索ページ、応用光研工業株式会社ホームページ内「SiO_(2)(光学用合成石英ガラス)」
乙第60号証 鈴木康夫等、「高透明性・高屈折率含硫黄ポリイミド[II]-スルホン構造を含むポリイミド」、Polymer Preprints,Japan,Vol.56,No.2,2007,pp.4928-4929の写し
乙第61号証 インターネット検索ページの株式会社オハラホームページ内「光学的性質」、1/3?3/3ページ
乙第62号証 メレスグリオ株式会社パンフレット、2000-2004、「光学材料特性一覧」、w4-2ページの写し
乙第63号証 インターネット検索ページのムロマチテクノス株式会社ホームページ内「エポテック UV硬化型Epoxy樹脂接着剤」、1/2?2/2ページ
乙第64号証 インターネット検索ページの株式会社ネオトロンホームページ内「Silicon(Si)」
乙第65号証 インターネット検索ページ、信越半導体株式会社のSOIウエハ
乙第66号証 インターネット検索ページ、オプトスター社、「SOI基板(シリコンオンインシュレータウェーハ)」
乙第67号証 インターネット検索ページの米国デラウエア大学ホームページ内「シリコンの光学的特性」
乙第68号証 インターネット検索ページの東京農工大学ホームページ内「半導体の反射色」
乙第69号証 津和秀夫、肥田満、「各種ラップによるSi単結晶の鏡面仕上-鏡面ラッピングに関する研究(第1報)-」、精密機械、34巻、10号、1968年10月、666-673ページの写し
乙第70号証 土肥俊郎、河西敏男、中川威雄共著、半導体平坦化CMP技術、株式会社工業調査会、1998年7月15日発行、46ページ、302ページの写し
乙第71号証 特開2005-268424号公報
乙第72号証 渡邊純二著、CMPの実践的基礎技術、EDリサーチ社発行、2004年8月23日、86ページの写し
乙第73号証 精密工学会2007年度春季大会、プラナリゼーションCMPとその応用セッションプログラム
乙第74号証 精密工学会2008年度春季大会、プラナリゼーションCMPとその応用セッションプログラム
乙第75号証 インターネット検索ページの東京大学ホームページ内「中川威雄研究室」、アニュアルレポート、第47号、1998年度
乙第76号証 インターネット検索ページ、精密工学会賞第2回2006年度受賞者業績紹介
乙第77号証 特別対談、部品加工が拓く21世紀の「モノづくり」、デンソーテクニカルレビュー、Vol.6、No.2、2001年、3?10ページの写し
乙第78号証 インターネット検索ページ発明者名「中川威雄」での公報テキスト検索結果リスト
乙第79号証 河西敏雄、「研磨加工技術」、表面技術、Vol.57(2006年),No.11,p.744?751の写し
乙第80号証 マブチヒデオ教授宣誓書及びその訳文の写し
乙第81号証 ユーチェン・ワング宣誓書及びその訳文の写し


第6 甲第1号証ないし甲第5号証に記載された発明、事項の内容

1 甲第1号証
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲第1号証(特開平7-52032号公報)には、以下の記載がある。
ア 特許請求の範囲の請求項1
「回転する定盤の研磨布の張り付けられた面に、研磨液を滴下しつつ、ウエハ支持板に固定したウエハをウエハ支持板により回転させつつ押し付け研磨する方法において、定盤及び研磨布の回転中心と周縁との間に設けた窓からウエハの研磨面の光の反射状態を見て研磨状態を判定するウエハ研磨方法。」
イ 段落【0001】
「【産業上の利用分野】本発明は、半導体ウエハ、特にSOI(Silicon-on-Insulator)ウエハ等の膜付きウエハの研磨方法及び装置に関する。」
ウ 段落【0013】
「【作用】本発明方法において、定盤及び研磨布の回転中心と周縁との間に設けた窓からウエハの研磨面の光の反射状態を見て研磨状態を判定すれば、研磨を中断せずに研磨状態の終点を知ることが出来る・・・」
エ 段落【0022】?【0024】
「【実施例】図1、図2に示した実施例について説明する。定盤1は直径300mm、厚さ10mmのアルミニウム製の円盤で、その中心の片面に定盤1を回転するための軸が固定してある。定盤1の軸を固定した面の反対側の面には、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2が設けてある。・・・溝2の長手方向中央には、直径10mmの貫通孔3が設けられ、溝2の反対側では円錐状に拡大している。貫通孔3の溝2側にはパイレックス透明ガラス製の透明窓材4が嵌め込まれ、研磨液が漏れないようにしてある。
定盤1の溝2を有する面には、定盤1と同形の厚さ0.7mmのローデルニッタ社製、商品名suba-500ウレタン含浸ポリエステル不織布からなる研磨布5が張り付けられ、溝2に相当する部分は溝2と同形に切り抜かれて、研磨布窓6が形成されている。透明窓材4は定盤1の表面より約0.5mm突出するが、研磨布5の弾性を考慮しても研磨布5の表面より十分低くなっている。
定盤1の溝2の反対側には透明窓材4の回転路に面して研磨するウエハ7の研磨面に光を照射しその反射光を受光するプローブ9が配置されている。・・・」
オ 段落【0025】?【0026】
「片面に回転用の軸が固定された直径110mm、厚さ10mmの円盤状のアルミニウム製のウエハ支持板8に、表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着し、一方のウエハを平面研削して厚さ15μmのシリコン膜として直径100mmのSOIウエハを、平面研削加工していない面をワックスで張り付けた。
粒径が0.01μm以下のシリカ粉末を含むアルカリ性溶液からなるローデルニッタ社製、商品名NALCO-2350を20倍に希釈した研磨液を定盤1の研磨布5の表面に滴下しつつ、定盤1を毎分50回転させながら、ウエハ支持板8に張り付けたウエハ7を、自転速度毎分40回転で回転させつつ、研磨布5に、回転中心が透明窓材4の上に位置するように、研磨荷重10kgfで押し付けて目標膜厚を1μmにして研磨を開始した。」
カ 段落【0027】
「この条件では、透明窓材4の移動線速度は約500mm/秒なので、直径10mmの透明窓材4を通してウエハ7の中心を測定出来る時間は、1回の通過に付き約10m秒である。この時間は、波長範囲680?800nm、分解能1nmで行う分光反射率測定に対して十分であった。測定の参照基準には、同じ条件に置いたシリコンウエハを用いた。」
キ 上記アの「研磨布の貼り付けられた面に、研磨液を滴下しつつ・・・ウエハを・・・研磨する」の記載から、これがウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)のことであることは明らかである。
ケミカルメカニカルポリシングにおいて、研磨布が研磨液によってウェットになっていることは明らかである。
摘記事項エにおける「パイレックス透明ガラス製の透明窓材4」の記載から、透明窓材4が中実の材料からなるものであることは明らかであり、また、「ロデールニッタ社製、商品名suba-500ウレタン含浸ポリエステル不織布からなる研磨布5」の記載から、研磨布5が発泡材料からなる表面を有するものであることは明らかである。
摘記事項カから、透明窓材4上にウエハ7の中心が存在する時の一部の間には、光をウエハ7に入射する通路が与えられ、測定を行うことは明らかである。
摘記事項ウから、研磨状態の終点は、研磨を中断せずに、すなわち、インシチュウで知るものであることは明らかである。
摘記事項カの「波長範囲680?800nm」において、赤色光の波長が610?750nmであるから、光が赤色の範囲を含むものであることは明らかである。
これら記載事項、及び認定事項を、技術常識を勘案しつつ、本件発明1、9、18、24、27、39、40、42、52に照らして整理すると、甲第1号証には、以下の各発明が記載されている。
「ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、
(a)回転自在に設置され、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3を自身に有する回転可能な定盤1と、
(b)定盤1に設置され、研磨液によりウェットで、定盤1の溝2と同形に切り抜かれた研磨布窓6を有する、発泡材料からなる表面を有する研磨布5であり、前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ、
(c)研磨布5に対してウエハ7を保持するための、回転可能なウエハ支持板8であって、このウエハ7が、表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着したSOIウエハ7を備える、ウエハ支持板8と、
(d)ウエハ7へ向けて光を照射させることが可能であり且つウエハ7及び貫通孔3からの反射光を受光するプローブ9を有し、これにより研磨状態の終点を知ることができるものであり、前記貫通孔3、透明窓材4、溝2は、ウエハ7の中心が透明窓材4の上にある時の一部の間、赤色の範囲を含む光をウエハ7へ入射させるための通路を与えるウエハ研磨装置。」(以下、「甲1発明1」という。)
「表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着したSOIウエハ7のケミカルメカニカルポリシング(CMP)のための方法であって、該方法は、
(a)ウエハ7を、回転可能なウエハ支持板8内に、該回転可能なウエハ支持板8の下の研磨布5に対して保持するステップであって、該研磨布5は発泡材料からなる表面を有し、研磨液によってウェットとなっている、該保持するステップと、
(b)研磨状態の終点を知るステップであって、該終点を知るステップは、
(b1)赤色の範囲を含む光をウエハ7に向けて照射するステップであって、該光は、定盤1内に形成され、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3における溝2に同形に切り抜かれた該研磨布5に含まれる研磨布窓6を通過し、
前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ、
該研磨布窓6は、ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える、該照射するステップと、
(b2)ウエハ7から反射する赤色の範囲を含む光をプローブ9により受光して検出するステップとを備える前記終点を知るステップとを備える方法。」(以下、「甲1発明2」という。)
「ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において、表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着したSOIウエハ7の研磨状態の終点を、ウエハ7の研磨を中断せずに知るインシチュウの方法であって、
(a)研磨を中断せずに、発泡材料からなる表面を有する研磨布5に含まれる研磨布窓6を通して前記ウエハ7の方へ赤色の範囲を含む光を向けるステップであり、
中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3を自身に有する定盤1の前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ、該研磨布窓6は、ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える、前記向けるステップと、
(b)前記ウエハ7から反射されてくる前記赤色の範囲を含む光をプローブ9により受光して検出するステップとを備える方法。」(以下、「甲1発明3」という。)
「ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において、表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着したSOIウエハ7を研磨するための研磨状態の終点を知るインシチュウの方法であって、
(a)研磨を中断せずに、発泡材料からなる表面を有する研磨布5に含まれる研磨布窓6を通して前記ウエハ7の方へ赤色の範囲を含む光を向けるステップであり、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3を自身に有する定盤1における前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ、該研磨布窓6は、ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える、前記向けるステップと、
(b)前記ウエハ7から反射されてくる赤色の範囲を含む光をプローブ9により受光して検出して前記終点を知るステップとを備える方法。」(「甲1発明4」という。)
「ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うためのウエハ研磨装置であって、
(a)研磨中に、定盤1の溝2と同形に切り抜かれた研磨布窓6を有する発泡材料からなる表面を有する研磨布5を保持する回転可能な定盤1であり、
定盤1には、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3が設けられ、前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ、該研磨布窓6は、ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える、前記定盤1と、
(b)研磨中に表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着したSOIウエハ7を定盤1上の研磨布5に対して保持する回転可能なウエハ支持板8と、
(c)研磨中に、前記透明窓材4、及び研磨布5の研磨布窓6を通して、研磨されるべきウエハ7の中心の研磨面に向けられ且つ入射する赤色の範囲を含む光を照射させることが可能なプローブ9を備えるウエハ研磨装置。」(以下、「甲1発明5」という。)
「ウエハ7に対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための研磨装置であって、前記研磨装置は、
(a)研磨中に研磨布5を保持する定盤1であり、前記研磨布5には、発泡材料からなる表面と定盤1の溝2と同形に切り抜かれた研磨布窓6を有し、前記定盤1は、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3を自身に有する定盤1であり、前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ、該研磨布窓6は、ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える、前記定盤1と、
(b)研磨中にウエハ7を定盤1上の研磨布5に対して保持するウエハ支持板8と、
(c)赤色範囲の光を含む光を照射することが可能なプローブ9であって、前記プローブ9は、研磨中に前記赤色の範囲を含む光を前記研磨布窓6に向け前記ウエハ7上に照射するように、配置されて、研磨中に研磨状態の終点を知る、前記プローブ9とを備える研磨装置。」(以下、「甲1発明6」という。)
「ケミカルメカニカルポリシングを行う研磨装置において用いるための研磨布5であって、前記研磨布5は、
(a)発泡材料からなるウエハ7に押し付けられる面と、
(b)定盤1に支持される面と、
を備え、定盤1には中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3を自身に有し、前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれるところ、前記研磨布5には、定盤1の溝2と同形に切り抜かれた研磨布窓6が形成され、ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間赤色の範囲を含む光のための通路を与える研磨布5。」(以下、「甲1発明7」という。)
「ウエハ7を研磨するための研磨装置であって、
(a)発泡材料からなり研磨面と研磨布窓6を有する研磨布5であり、定盤1は、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3を自身に有する定盤1であり、前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる赤色の範囲を含む光ビームに対して透過性を有する透明窓材4が嵌め込まれ、前記研磨布5には、定盤1の溝2と同形に切り抜かれた研磨布窓6が形成される、
前記研磨布5と、
(b)ウエハ7を定盤1上の研磨布5の研磨面に対して保持するためのウエハ支持板8と、
(c)研磨布窓6を通過してウエハ7に赤色の範囲を含む光を照射しその反射光を受光するプローブ9を有する研磨状態の終点を知るものであって、前記研磨布窓6は、ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光ビームをウエハ7に入射させるための通路を与える研磨装置。」(以下、「甲1発明8」という。)

2 甲第2号証
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲第2号証(特開平5-309558号公報)には、以下の記載がある。
ア 特許請求の範囲の請求項1
「研磨対象ウェーハの所定の厚さに等しい波長の光を研磨対象ウェーハに全反射角で入射し、前記研磨対象ウェーハを光が透過したとき、または研磨対象ウェーハの所定の厚さに等しい波長の光を研磨対象ウェーハに偏光角で入射し、前記研磨対象ウェーハから反射する偏光を遮断するように配設された偏光板を前記偏光が通過したとき、研磨を終了することを特徴とする貼り合わせウェーハの研磨方法。」
イ 段落【0003】
「【発明が解決しようとする課題】上記のような研磨方法で貼り合わせウェーハの一方、すなわちSOIウェーハについて、その厚さの大部分を研磨により除去し、1μmないしそれ以下の層を素子形成層として均一な厚さに残すことは極めて困難である。特に、素子形成層の厚さのばらつきが大きく、±0.5μm程度の精度であるため、SOI半導体基板の製造歩留りが低い。また、貼り合わせウェーハをウェーハ研磨機から取り外してSOIウェーハの厚さを測定する方法では、作業能率を向上させることができない。本発明は上記従来の問題点に着目してなされたもので、SOI半導体基板の製造工程において、素子形成層であるSi層を高精度に、かつ能率よく所望の厚さに研磨するための貼り合わせウェーハの研磨方法を提供することを目的としている。」
ウ 段落【0006】?【0007】
「・・・貼り合わせウェーハをマウントプレートに貼着したままSOIウェーハの厚さを管理することができ、所望の厚さに到達した時点で研磨を終了させることができる。・・・これらの図において、ウェーハ研磨機のポリシングパッド1は透明体で、パッド駆動装置2により回転および昇降する駆動軸2aの先端に固着されている。マウントプレート3は、たとえばSiO2からなる透明体で、前記ポリシングパッド1の上方にレーザ発振器4、波長変換装置5がそれぞれ配設されている。マウントプレート3の下方には光検出器6が設けられ、光検出器6の出力配線は制御装置7に接続されている。・・・」
エ 段落【0008】
「貼り合わせウェーハ11は、2枚の単結晶Siウェーハを絶縁層SiO2を介して貼り合わせたいわゆるSOI基板で、直接接着技術によって形成される貼り合わせ型SOI基板の製造工程に従って、素子形成層の所定の厚さ近くまでSi単結晶層を研磨したものである。・・・レーザ発振器4によって発振されたレーザ光は、波長変換装置5により所定の波長λすなわちSOIウェーハの目標厚さをt1としたとき、λ=t1となるように変換された後、ポリシングパッド1とスラリー10とを透過して貼り合わせウェーハ11に全反射角θで入射される。・・・t=λになると、それまで上部Si層11aの上面で全反射していた光の一部が上部Si層11aを透過し、更にSiO2層11b、下部Si層11c、ワックス層12、マウントプレート3を透過してマウントプレート3の下方に進む。光検出器6はこの透過光を検出すると制御装置7に信号を出力し、制御装置7はパッド駆動装置2に研磨終了指令信号を送る・・・上記研磨作業中に何らかの異常が発生した場合は、制御装置7が警報装置9に指令信号を出力し、警報装置9が作動するとともにパッド駆動装置2の駆動軸2aが上昇して研磨が中止される。」
以上から、甲第2号証には、以下の事項が記載されている。
「ポリシングパッド1による貼り合わせウェーハ11の研磨において、ポリシングパッド1を透明体とし、ポリシングパッド1を透過してレーザ光を照射するもの。」(以下「甲2記載事項1」という。)
「研磨作業中に何らかの異常が発生した場合、制御装置7が警報装置9に指令信号を出力し、警報装置9が作動すること。」(以下、「甲2記載事項2」という。)

3 甲第3号証
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲第3号証(特開昭63-134162号公報)には、以下の記載がある。
ア 第1ページ右下欄第4行?第8行
「本発明は、石英、セラミック、結晶材料などの硬質材料よりなり、研磨し難く、しかも高精度の仕上面精度を必要とし、遠紫外線ないしX線領域において用いられる光学部品などの被加工物を研磨する研磨加工法に関するものである。」
イ 第3ページ左上欄第11行?第18行
「次に本発明の第2実施例について説明する。第2図は本発明の第2実施例を示す側面図である。
本実施例においては、第2図に示すように光源として、レーザ光源10を用い、このレーザ光源10からのレーザ光線11をビームエキスパンダ12によって広げ、光学的に透明な材料よりなるポリッシャ3を通過させ、被加工物1の被加工面6を照射するようにしたものであり、」
ウ 第3ページ右下欄第1行?第10行
「上記第1、第4実施例に示す光源9としては水銀ランプを用い、第2、第3実施例の光源10、13としてはNd-YAGレーザ、Arイオンレーザ、エキシマレーザを用いればよい。また被加工物1に対する砥粒7、加工液8の組合わせは目的によって多様であるが、例えばAL_(2)O_(3)・TiCセラミックに対し、ダイヤモンド砥粒の50Wt%KOH懸濁液の使用が可能であり、石英ポリッシャを通過したNd-YAGレーザ、Arイオンレーザの照射によって加工が促進される。」
以上から、甲第3号証には、第2図を参照することにより、以下の事項が記載されている。
「被加工物1の被加工面6をポリシャ3で研磨するにあたり、石英からなるポリシャ3を透明なものとし、レーザ光線11を照射し、透明なポリシャ3を透過してレーザ光線を照射するもの。」(以下、「甲3記載事項」という。)

4 甲第4号証
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲第4号証(特開昭61-76260号公報)には、以下の記載がある。
ア 第2ページ左上欄第12行?右上欄第15行
「第1図は本発明の研摩方法の一実施例を示す概略断面図である。
図において、2は被加工物たとえば光学ガラスであり、その上面が被加工面である。本実施例においては被加工面は平面である。4は研摩加工工具であるポリシャであり、該ポリシャ4としてはたとえば合成樹脂または軟質金属等のシートが用いられる。該ポリシャ4はポリシャ保持手段である平面皿6の下面に貼付固定されている。被加工物2とポリシャ4との間には研摩液8が存在する。該研摩液8中には研摩剤である微粒子が懸濁せしめられている。10はレーザ光をガイドする光ファイバなどのライトガイドである。該ライトガイド10はそれぞれレーザ光源からレーザ光を伝送せしめてその先端から照射せしめる。ライトガイド10は保持手段6の全体にわたって上下方向に多数設けられている貫通孔を通って、該貫通孔に対応する位置にてポリシャ4に設けられている貫通孔中へと延びている。従って、ライトガイド10の先端は被加工面と対向する様な配置となっている。
加工時においては、通常の液中研摩と同様に被加工物2とポリシャ4とは適宜の圧力にて押圧せしめられつつ相対運動を行なう。」
イ 第2ページ左下欄第13行?第18行
「以上の実施例においてはポリシャ4に貫通孔を設けてライトガイド10の先端を該貫通孔中に位置せしめているが、ポリシャ4が透明なものである場合には、第2図に示される様にポリシャ4の貫通孔は設けなくともレーザ光の照射は良好に行なわれる。」
以上から、甲第4号証には、第2図を参照することにより、以下の事項が記載されている。
「被加工物2をポリシャ4で研摩するにあたり、合成樹脂からなるポリシャ4を透明なものとし、レーザ光を照射し、透明なポリシャ4を透過してレーザ光を照射するもの。」(以下、「甲4記載事項」という。)

5 甲第5号証
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲第5号証(特開平4-255218号公報)には、以下の記載がある。
ア 特許請求の範囲の請求項1?3
「【請求項1】 平坦なウェーハを研磨する方法にして、a.研磨プラテンの外周端縁を横断しかつ該外周端縁の上方を動き得るように取り付けられた回転可能な研磨ヘッド内にウェーハを保持する段階と、b.研磨スラリー内のウェーハの一面を研磨プラテンを横断して回転させる段階と、c.ウェーハの一部分を研磨プラテンの外周端縁を横断してオーバーハングさせ、ウェーハの一面を露出させる段階と、d.終点検出手段を使用してウェーハの終点を検出する段階とを備えることを特徴とする方法。
【請求項2】 請求項1に記載の方法にして、終点検出手段がレーザ干渉測定装置を備えることを特徴とする方法。
【請求項3】 請求項2に記載の方法にして、レーザ干渉測定装置が、ウェーハ上のパターン無し金型上に取り付けられたウェーハの酸化物の厚さを検出し得るように配置されることを特徴とする方法。」
イ 段落【0001】
「【産業上の利用分野】本発明は、集積回路の製造方法、特に、半導体ウェーハを物理的に平面化し(planarization)かつ終点(endpoint)を検出するための新規な方法及び装置に関する。」
ウ 段落【0016】
「【実施例】先ず図1を参照すると、本発明による物理的な平面化に適した半導体ウェーハ10及び本発明の研磨装置が図示されている。半導体ウェーハ10は、薄くかつ平坦であり略円形の形状をしており、微細な局部を備えて形成されている。半導体ウェーハは、その上に複数の個々の集積回路金型が形成されるシリコン又は酸化シリコンのような基板を含むことが出来る。これら個々の金型は図1に十字形パターンにて略図で示されている。」
エ 段落【0018】?【0019】
「図5に断面図で示すように、ウェーハ10は、ある領域にてその上に二酸化ケイ素(SiO_(2))14の層(以下に酸化物と称する)が形成されるシリコン基板12を備えることが出来る。一般に、ウェーハ10を物理的に平面化することはウェーハ10の酸化物層14を平面化する段階を含んでいる。ウェーハ10は又、シリコン基板12上に形成して酸化物被覆14で覆った1又は2以上のタングステンのような金属膜のパターン無し金型16を含むことが出来る。
次に、図2を参照すると、本発明により形成された物理的な平面化及びび終点検出装置が全体として符号20で示されている。本発明の研磨装置20は、全体として、アルミナのような研磨性スラリー24が適用される回転する研磨プラテン22の形態による研磨手段と、図3に示すように、半導体ウェーハ10を支持しかつ回転する研磨プラテン22の外端縁を横断しかつ該外端縁を経て動き得るように取り付けられ、回転する研磨プラテン22の半導体ウェーハ10の全体よりも小さい寸法の一部分をオーバーハングさせる回転可能な研磨ヘッド26と、半導体ウェーハ10上に形成された酸化物被覆14等の厚さを検出するためのレーザ干渉測定装置28の形態による終点検出手段とを備えている。」
以上から、甲第5号証には、第2図、及び第5図を参照することにより、以下の事項が記載されている。
「表面に酸化物被覆14を有する半導体ウェーハ10における酸化物被覆14を物理的に平面化するに際して、レーザ干渉測定装置28により酸化物被覆14の厚さを検出する、物理的な平面化及び終点検出装置。」(以下、「甲5記載事項」という。)


第7 当審の判断

1 無効理由2:特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反についての判断
最初に、請求人の主張する無効理由2について検討する。

(1)請求項を特定しない特許法第36条違反について
A 請求人の主張するAの無効理由についての判断
本件特許明細書の段落【0028】には、「図3(b)は、プラーテン16とパッド18の別の具体例である。この具体例では、クオーツインサートは排除され、パッド18には貫通穴は存在しない。その代わりに、プラーテン16のホール30の上の領域では、パッド18の裏張り層20(存在すれば)が除去された。このことにより、ウエハ14とプラーテン16の底部との間には、パッド18のポリウレタンカバー層22だけが残っている。カバー層22に用いられるポリウレタン材料が、レーザー干渉計32からのレーザービームを実質的に透過させるだろうことが、見出されている。」との記載がある。そして、裏張り層を除去することによりパッドのポリウレタンカバー層だけを残し、かつ、このポリウレタンカバー層を透明なものとすれば、レーザー光等の光を透過するものであることは明らかである。してみると、レーザー光の透過を許容する透明体から成る合成樹脂製の研磨パッドを当業者が実施し得る程度に十分且つ、明確に記載されていなかったので、特許法第36条第4項違反であるとする無効理由、及び、本願の各請求項に係る発明も不明確であるから、特許法第36条第6項第2号違反であるとの無効理由は成り立たない。
B 請求人の主張するBの無効理由についての判断
レーザー光の反射を利用した終点検出の原理が、レーザー光に限らず通常の可視光、すなわち光にも適用できるものであることは明らかである。したがって、「レーザー光」と「光」とを同一視することはできないから、本件発明は、特許を受けようとする発明が不明確であるので、特許法第36条第12項(「第6項」の誤記と思われる。)第2号違反であるとする無効理由、及び、各発明を当業者が実施し得る程度に十分、且つ、明確に明細書に記載されていないので、特許法第36条第4項違反であるとする無効理由は成り立たない。
C 請求人の主張するCの無効理由についての判断
「レーザー干渉計」という用語は、甲第5号証に「レーザ干渉測定装置」と記載され、また、乙44号証、乙45号証においても記載されているように、CMPの終点検出装置として一般的に用いられているものである。したがって、本件特許の「レーザー干渉計」は、一般的に認識されている干渉計ではない、「干渉計」という語句の誤用は、軽微な誤りではなく、発明を構成するキーポイントとなった重要な誤りであるとする無効理由は成り立たない。
D 請求人の主張するDの無効理由についての判断
ブランク酸化膜ウエハの研磨中に干渉の測定を行うことにより、周期的な信号が発生することを検証することは可能で、その様にして検証されたデータをパターンウエハのCMP研磨において参照データとして利用することが可能であることは明らかである。したがって、本件特許の対象となるウェハは、パターンウェハ(パターニングされたウェハ)であり、ブランク酸化物ウェハの開示は、本件特許における課題を解決するものではなく、意味をなすものではないとする無効理由は成り立たない。
E 請求人の主張するEの無効理由についての判断
各請求項に数多く現れるそれぞれの信号の技術的意味および物理量が不明確であるという漠然とした理由では、それが特許法第36条第6項第1号及び第2号違反するのかどうか、また各請求項に係る発明を実施することができるかどうか、すなわち、特許法第36条第6項第4号に違反するかどうか判断することはできない。
なお、各請求項に現れる各種「信号」については、各請求項に対する特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反の無効理由としても挙げられていることから、各種「信号」の上記無効理由については、請求項ごとの判断に委ねることとする。
F 請求人の主張するFの無効理由についての判断
(i)の点に関して、本件出願の発明の詳細な説明の記載では、図9(a)のグラフをどのようにフィルタ処理することにより、図9(b)のグラフのようになるのかは、必ずしも明確ではないが、後述するように各請求項中にいくつか存在する「フィルタ」の特定のある請求項については、明確である。
したがって、このことにより、発明を実施することができないとすることも、また、特許請求の範囲の各請求項に記載された発明が発明の詳細な説明に記載されたものでないとすることも、特許請求の範囲の各請求項に記載された発明が明確でないとすることもできない。
(ii)の点に関して、CMPで対象とするパターンウエハにおいても、程度の差こそあれ、平坦化により検出される信号に周期的なサイクルが現れることは明らかであって、これをフィルタ処理することにより、ある程度の研磨に関する情報を得られることは明らかである。
(iii)の点に関して、積分した結果が必ず正の値となるものではない。
(iv)の点に関して、段落【0065】に、フィルタとはバンドパスフィルタであることが記載され、干渉計から検出された信号をバンドパスフィルタにかけて分析することにより研磨終点を検出できることは本件特許の優先権主張日前においても周知の事項であったことは明らかである。
したがって、請求人の主張するFの無効理由では、特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとすることも、特許法第36条第4項違反であるとすることもできない。
G 請求人の主張するGの無効理由についての判断
本件特許の段落【0045】の記載から、検出された信号から認識可能な正弦波状のサイクルが取り出されることが、CMP研磨の終点であるとすることは明らかである。
したがって、請求人の主張するGの無効理由では、特許法第36条第4項違反であるとすることも、特許法第36条第6項第2号違反であるとすることもできない。
H 請求人の主張するHの無効理由についての判断
研磨パッドはウエハに対して半径位置を変更しながら研磨するものであるので、研磨パッドの一部に設けられたウィンドウを通してレーザー反射光等を検出することにより、ある程度、ウエハ表面の均一性を検出できるものであることは明らかであり、それはパターンウエハにも該当するものであることも明らかである。
したがって、請求人の主張するHの無効理由では、特許法第36条第4項違反であるとすることはできない。

(2)請求項を特定する特許法第36条違反について
(i)請求人の主張する請求項1の無効理由についての判断
(1)Aで言及したとおり、レーザー干渉計を用い、反射光を測定することにより研磨の終点を検出することができることは明らかである。
したがって、レーザー干渉計の機能が不明であり、「レーザー干渉計を有する終点検出器」で、「レーザービームを発生させる」、「反射されてくる光を検出する」の記載では、終点検出にならず、終点検出器の意義が不明であり、反射されてくる光のどのような物理量を検出するのか不明であるので、請求項1を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は成り立たない。
(ii)請求人の主張する請求項9の無効理由についての判断
1)における各ステップの必要性が不明な点、及び2)(a)におけるウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、の部分の全体の中での必要性が不明な点については、必要性が不明というだけの理由で「明確でない」とすることはできない。
また、2)の後半、3)については、CMP研磨において、ウエハからの反射する光を検出して研磨の終点を決定する方法については、種々の方法があり、それぞれ、例示するまでもなく、従来周知のものである。
したがって、ウエハのCMPのための方法に対して、各ステップの必要性が不明であり、ウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、の部分の全体の中での必要性が不明であり、何を持って終点を決定するか示されておらず、ウエハから反射する光を検出するステップとは何の光を検出するのか明細書に記載されておらず不明であるので、請求項9を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は成り立たない。
(iii)請求人の主張する請求項18の無効理由についての判断
1)、5)については、「基板上の表面層の状態の均一性」とは、基板上の表面の平坦化と同様であることは明らかである。そして、平坦化の検出に関しては、平坦化によりデータ信号に周期的なサイクルが現れることは明らかである。また、均一性の判断を平坦化の判断と同様に計算できることも明らかである。
2)については、光ビームもレーザービームも電磁波の一種であって、レーザービームの測定原理を光ビームに応用できることは明らかである。
3)については、「干渉信号」が、レーザー干渉計に相当する光ビームの際の干渉計で検出される信号に相当するものであることは、技術的に明らかである。
4)については、干渉信号が干渉計によって生じる信号であることは明らかで、別の請求項で特定されている検出信号、データ信号との実質的な違いはともかく、表現として異なる信号であることは明らかである。
したがって、基板上の層の均一性を測定する方法は、実施不能であるか、開示されていないし、光ビームに関する内容は、明細書中に記載がなく、干渉信号を示す物理量が不明であり、干渉信号と検出信号、データ信号との実質的な差が不明であり、均一性の尺度の計算が開示されないか、原理的に計算できないため、請求項18を特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(iv)請求人の主張する請求項19の無効理由についての判断
「特徴情報」が、望ましく操作されていることがわかっているシステムに対して干渉計によって得られたシグネチャ波形を意味するものであることは、発明の詳細な説明の段落【0068】?【0070】を参照することにより明らかである。そして、研磨の目標が均一性、すなわち基板上の表面の平坦化であるから、特徴情報は、基板上の表面が均一化された時の干渉計によって得られたシグネチャ波形である。
段落【0018】に示されている「特性信号」は、請求項19中には存在しない。
したがって、特徴情報の意味・物理量が不明であり、干渉信号から特徴情報を抽出するステップは開示されておらず意味も不明であり、抽出された特徴情報から均一性の尺度を計算するステップも開示されておらず、均一性尺度を求める上で、段落【0018】に記載の特性信号の技術的意味・物理量と他の信号との差異が不明で均一性尺度が定義できないことから、請求項19を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるという無効理由は、成り立たない。
(v)請求人の主張する請求項20の無効理由についての判断
「表面層の状態の均一性」とは、基板上の表面の平坦化と同様であることは明らかである。そして、平坦化の検出に関しては、CMPで対象とするパターンウエハにおいても、程度の差こそあれ、平坦化によりデータ信号に周期的なサイクルが現れることは明らかである。
したがって、均一性の尺度が開示されず、また、原理的に計算できないことから、請求項20を特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反であるという無効理由は、成り立たない。
(vi)請求人の主張する請求項24の無効理由についての判断
1)については、「研磨プロセスの特性」とは、研磨プロセスが期待通りに進行しているか否かを示す指標であることは明らかであって、請求項24は、その特性を評価する方法に関する発明である。
2)、4)の「シグネチャ」については、訂正後の請求項24には存在しない。
3)については、光ビームの点は、上記(iii)のとおりである。
5)については、「研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、保存されている情報」とは、研磨プロセスにおいて、なんらかの操作を行なう際の、干渉計波形と比較される情報であることは明らかである。
したがって、プロセスの特性の技術的意味および物理量が不明であり、シグネチャの技術的意味・物理量が不明確であり、光ビームに関する開示はなく、シグネチャを抽出するステップの技術的意味が不明であり、研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、保存されている情報の技術的意味が不明であるので、請求項24を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(vii)請求人の主張する請求項27の無効理由についての判断
1)の干渉計については、前記Cのとおりである。2)の干渉信号、3)の光ビーム、4)の干渉信号から均一性の尺度を計算する方法については、上記(iii)のとおりである。
したがって、干渉計とあるが、実質的に干渉計でなく、語句を誤用しており、干渉信号の物理量が不明であり、光ビームに関する開示がなく、干渉信号から均一性の尺度を計算する方法が不明確であり、示されていないので、請求項27を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(viii)請求人の主張する請求項30の無効理由についての判断
請求項30は、遡っていくと、請求項27を大本として引用しているものであるが、請求項27では、「光ビーム」を対象としたものであり、「レーザービーム」を対象としたものではない。しかしながら、レーザー干渉計を一般の光ビームの干渉検出にも利用できることは既述したとおりである。
したがって、レーザー干渉計は語句を誤用しているので、請求項30を特許法第36条第6項第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(ix)請求人の主張する請求項31の無効理由についての判断
1)の特徴情報、2)の干渉信号から特徴情報の抽出、3)の段落【0018】の特性信号との関係、4)の均一性の尺度の計算については、上記(iv)のとおりである。
したがって、特徴情報の技術的意味・物理量が不明であり、干渉信号から特徴情報を抽出することが示されておらず、段落【0018】記載の「特性信号」の技術的意味・物理量が不明であり、抽出された特徴情報から均一性の尺度を計算する方法が示されていないから、請求項31を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(X)請求人の主張する請求項39の無効理由についての判断
1)については、「基板を研磨することと、各特徴がどう対応」するかという点は、明確に無効理由を示していない。「それが必要機能なのか」、及び「何を行うか」は、特許請求の範囲の明確性と関係のない事項である。
2)の光ビームについては、上記(iii)のとおりである。
3)のパターンウェハ、周期信号からの終点検出、フィルタについては、CMPで対象とするパターンウエハにおいても、程度の差こそあれ、平坦化によりデータ信号に周期的なサイクルが現れることは明らかである。さらに、請求項39は、「フィルタ」を発明特定事項としていない。
したがって、基板を研磨することと、各特徴がどう対応し、また、それが必要機能なのか不明であり、何を行うかも不明であり、光ビームに対する開示はなく、CMPで対象となるパターンウェハは周期信号が現れず、パターンウェハに対して、周期信号から終点を検出する一意の方法が開示されていないし、フィルタは実施不能であるから、請求項39を特許法第36条第4項、及び第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(xi)請求人の主張する請求項43の無効理由についての判断
請求項43に存在する「該第2の部分」に関して、請求項43が引用する請求項42には、「第2の部分」は存在しないものの「第2の非透過性部分」は存在する。したがって、請求項43における「該第2の部分」とは、「該第2の非透過性部分」の誤りであることは明らかである。
そして、第2の非透過性部分がマイクロポーラス構造を有することと、終点を検出するためのパッド機能とに技術的関連性がなくても差し支えない。
したがって、請求項43中に誤記はあるものの、第2の部分が、マイクロポーラス構造を有することと、終点を検出するためのパッド機能との技術的関連がなく、それを説明する記述がないことから、請求項43を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(xii)請求人の主張する請求項44の無効理由についての判断
第2の非透過性部分がオープンセルの構造を有することと、終点を検出するためのパッド機能とに技術的関連性がなくても差し支えない。
したがって、第2の部分が、オープンセルの構造を有することと、終点を検出するためのパッド機能との技術的関連がなく、それを説明する記述がないことから、請求項44を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。
(xiii)請求人の主張する請求項52の無効理由についての判断
1)の光ビームの点については、上記(iii)のとおりである。
2)の反射された光の測定については、上記(i)のとおりである。
また、3)については、請求項52は、光源と検出器の他に、研磨パッド、研磨ヘッドを有しており、これらにより研磨の終点を検出するシステムは従来周知のものである。
したがって、光ビームに関する開示はなく、光のどのような物理量を測定するのか不明であり、光源と検出器を有するだけの終点検出システムは特定できないから、請求項52を特許法第36条第6項第1号、第2号違反であるとする無効理由は、成り立たない。

2 無効理由1:特許法第29条第2項違反についての判断

(1)請求項1に対して
ア 対比
本件特許発明1と甲1発明1とを対比すると、後者の「定盤1」は前者の「研磨プラーテン」に、後者の「研磨液」は前者の「研磨スラリ」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウインドウ」に、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「ウエハ支持板8」は前者の「研磨ヘッド」に、後者の「ウエハ研磨装置」は前者の「装置」に相当する。
後者において、回転自在な定盤1は、ウエハ研磨装置のシャシに設置されていることは明らかである。
後者における「中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3」は、「開口」という限りで、前者の「ホール(孔)」と共通する。
後者における「定盤1の溝2と同形に切り抜かれた研磨布窓6」は、同形であることは調心されたものとも言えるものであるから、前者の「プラーテンのホールと調心されたウインドウ」に相当する。
前者における「レーザービーム」は、後者における「光」の下位概念である。
後者における「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ」ることは、「研磨プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設」する限りにおいて、前者の「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備える」ことと共通する。
後者における「反射光を受光するプローブ9を有し、これにより研磨状態の終点を知ることができるもの」は、前者の「反射されてくる光を検出することが可能な終点検出器とを備え」ることに相当する。
後者の「貫通孔3、透明窓材4、溝2は、ウエハ7の中心が透明窓材4の上にある時の一部の間、赤色の範囲を含む光をウエハへ入射させるための通路を与える」ことは、ウエハ7の中心のみが透明窓材4の上にある時だけ、光をウエハへ入射させるものであるから、「ウエハ7が透明窓材4の上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光をウエハ7へ入射させるための通路を与える」と言えるものであることは明らかである。
以上の点から、本件特許発明1と甲1発明1とは、以下の一致点、相違点を有している。
<一致点1>
「ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、
(a)シャシに回転自在に設置され、開口を自身に有する回転可能な研磨プラーテンと、
(b)プラーテンに設置され、研磨スラリによりウェットで、プラーテンの開口と調心されたウィンドウを有する、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドであり、
研磨プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設し、
(c)研磨パッドに対してウエハを保持するための、回転可能な研磨ヘッドと、
(d)ウエハへ向けて光を発生させることが可能であり且つウエハ及び開口から反射されてくる光を検出することが可能な終点検出器とを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光をウエハへ入射させるための通路を与える装置。」
<相違点1>
研磨プラーテンに関して、本件特許発明1では、「ホール(孔)を自身に有する研磨プラーテン」と特定しているのに対して、甲1発明1では、研磨プラーテンに相当する定盤1に設けられる開口は、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた2本の溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3である点。
<相違点2>
光透過部材の構造に関して、本件特許発明1では、「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備える、前記研磨パッド」であるとして、研磨パッドに中実な材料からなる光透過部材が設けられているとしているのに対して、甲1発明1では、光透過部材は、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4である点。
<相違点3>
ウエハに関して、本件特許発明1では、「酸化物層の下の半導体基板を備える」ものであると特定しているのに対して、甲1発明1では、SOIウエハではあるものの、酸化物層を表面に有するかどうか不明な点。
<相違点4>
終点検出する光及び装置に関して、本件特許発明1では、「レーザービーム」を用いており、また、検出器が「レーザー干渉計」であるのに対して、甲1発明1では、単に光を用いており、検出器がプローブ9である点。
<相違点5>
プラグに関して、本件特許発明1では、「研磨パッドの表面とほぼ共面の上面を有する」としているのに対して、甲1発明1では、透明窓材4の上面の位置について不明な点。
イ 当審の判断
上記相違点のうち、相違点5について検討する。
(ア)<相違点5>について
本件特許発明1は、「発泡材料からなる表面を有する研磨パッドであり、・・・該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え、前記プラグは前記研磨パッドの表面とほぼ共面の上面を有する」と特定していることから、結局、本件特許発明1の研磨パッドは、発泡材料からなり、研磨面を与える部分と、中実な材料からなり、レーザービームに対して透過性を有し、研磨パッドの研磨面とほぼ共面の上面を有するプラグからなるものである。
一方、甲1発明1では、透明窓材4は透明ガラス製であって、通常発泡材料からなる研磨布5と硬度等が著しく異なることから、透明窓材4の上面と発泡材料からなる研磨布5のウエハ7に押し付けられる面とをほぼ共面の上面とするものではない。また、甲2記載事項1は、「ポリシングパッド1による貼り合わせウェーハ11の研磨において、ポリシングパッド1を透明体とし、ポリシングパッド1を透過してレーザ光を照射するもの。」であり、甲3記載事項は、「被加工物1の被加工面6をポリシャ3で研磨するにあたり、石英からなるポリシャ3を透明なものとし、レーザ光線11を照射し、透明なポリシャ3を透過してレーザ光線を照射するもの。」であり、甲4記載事項は、「被加工物2をポリシャ4で研摩するにあたり、合成樹脂からなるポリシャ4を透明なものとし、レーザ光を照射し、透明なポリシャ4を透過してレーザ光を照射するもの。」である。ここで、甲1発明1は、研磨布5は発泡材料からなるものであるのに対して、甲2記載事項1の研磨面は全体が透明な部材からなるものであり、甲3記載事項の研磨面は石英からなるものであり、甲4記載事項は合成樹脂からなる透明なものであるので、甲1発明1における研磨面と甲2ないし4記載事項における研磨面とはその材質が異なることは明らかである。そして、ケミカルメカニカルポリシングシステムとは、研磨すべき面を平面化するものであることから、材質の異なる部材を研磨面とすることを想定することはできない。
してみると、甲1発明1に甲2ないし甲4記載事項を適用することにより、全体を透明な研磨面とすることや、透明窓材4を研磨布5側に、研磨布5の表面とほぼ共面の上面となるように配置することは、当業者が容易になし得たものであるとすることはできても、本件特許発明1のように、発泡材料からなる表面を有する研磨布5における透明窓材4を、研磨布5の表面とほぼ共面の上面を有するものとすることを容易になし得たものであるとすることはできない。その他に、上記の点について、容易になし得たとする証拠は、全証拠を参照しても、格別見当たらない。
(イ)平成24年1月12日付け弁駁書の主張について
請求人は、平成24年1月12日付け弁駁書において、「『パッドの表面とほぼ共面』について、本件特許明細書に該当する記載は無く、特許法第36条第6項第1号に反する。次に、『ほぼ共面』についても、本件特許明細書に記載が無いことに加え、当業者にとってもどのような状態であるのか一意に捉えることができない。よって、特許法第36条第6項第2号に規定される明確性を欠くことになる。」(同弁駁書2枚目第4行?第22行。)と特許法第36条第6項第1号、第2号違反を主張し、また、
「・『ほぼ共面』は、『共面』ではないことから、パッド(研磨布)表面は、ウェハ面と同じ高さではないことを意味すること。
・スラリーによる光散乱の軽減のため、ウェハと窓のギャップはできる限り小さくする方がよいとの背景は、本願も甲1も同一。
・上記背景を満たす上での前記ギャップの構成は、本願・甲1ともに、『ほぼ共面』の範囲とみなしうる。
・具体的なウェハと窓(透明窓材、プラグないしインサート)のギャップのディメンジョンとして、本件特許明細書によると250μm(0.25mm)で満足する結果を得たとしている。それに対し、甲第1号証ではウェハと透明窓材の間隔は0.2mm(200μm)以下がよいとしている。すなわち、ウェハと透明窓材(プラグないしインサート)のギャップ(間隔)も同じディメンジョンである。(『ほぼ共面』に対応する具体的ギャップサイズも同範囲である)
・以上から、パッド(研磨布)と透明窓材(プラグ)とが、本願においては、『ほぼ共面』と限定したとしても、それは甲第1号証でも『ほぼ共面』を示している。『ほぼ共面』は当業者にとって自明である。
・さらに、『ほぼ共面』との新しく追加した限定事項に対し、本件特許出願前に公開されている特開平3-234467号公報の第1図の構成において、プラグに相当する『ガラス板4』と研磨パッドに相当する『研磨クロス5』とは、それぞれの上面がほぼ同一平面状(ほぼ共面)に記載されている。よって、『プラグはパッドの表面とほぼ共面』は、前記特開平3-234467号公報に接した当業者であれば容易に想到しうる事項であり、自明である。」(2枚目第23行?4枚目下から4行。)と創作性の欠如を主張している。
しかしながら、本件特許発明1における「ほぼ共面」とは、本件特許明細書の段落【0028】に「パッド18自身はウィンドウとして用いられているため、検出できる大きさのギャップは存在しない」と記載されているように、「ギャップが存在しない」ことを意味するものである。したがって、「ほぼ共面」が特許明細書に該当する記載がないので特許法第36条第6項第1号違反であるとすることはできないし、また、明確性を欠くので特許法第36条第6項第2号違反であるとすることはできない。
また、『ほぼ共面』とは、上記のとおり、「ギャップが小さい」ことを意味するものではなく、「ギャップが存在しない」ことを意味するものであって、具体的には、本件特許の図面の図3(b)、(c)の状態を意図するものである。そして、本件特許明細書における「ギャップのディメンジョンとして250μm以下」との記載は、本件特許の図3(a)の状態を意図するものであって、「ほぼ共面」を意図するものではない。また、請求人が上記弁駁書において言及した特開平3-234467号公報には、「ガラス板4は、前記研磨定盤6に張られた研磨クロス5の表面からわずかに後退してほぼ同一平面を形成するように該研磨定盤6の適宜部位に形成された取付孔6bに嵌着されており、その表面は前記研磨クロス5が張られることなく露出している。」(第3ページ左下欄第14行?第19行。)と記載されているように、「ギャップが小さい」ことは記載されているものの、「ギャップが存在しない」ことが記載されているものではない。
以上のとおり、請求人の上記弁駁書の主張は採用することができない。
(ウ)<作用ないし効果>について
本件特許発明1による、プラグを「研磨パッドの表面とほぼ共面の上面を有する」ものとすることにより、本件特許明細書の段落【0029】に記載されたとおりの「プラグ42を通ることによるレーザービームの弱化は最小になる。」という効果を奏するものである。
(エ)請求項1に対するまとめ
したがって、本件特許発明1は、甲1発明1、甲2ないし甲5記載事項、及び甲第11ないし25号証記載事項から当業者が容易になし得たものとすることはできない。

(2)請求項9に対して
ア 対比
本件特許発明9と甲1発明2とを対比すると、後者の「ウエハ支持板8」は前者の「研磨ヘッド」に、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「研磨液」は前者の「研磨スラリ」に、後者の「定盤1」は前者の「プラーテン」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウインドウ」に相当する。
後者における「中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3」は、「開口」という限りで、前者の「ホール(孔)」と共通する。
後者における研磨はCMPであることが明らかなので、後者の「研磨状態の終点を知る」ことは、前者の「CMPが終了した終点を決定する」ことに相当する。
後者における「溝2に同形に切り抜かれた該研磨布5に含まれる研磨布窓6」は、研磨布5が定盤1の上に直接設けられたものであるから、「プラーテン内に形成された開口に近接するように配置された研磨パッドに含まれるウインドウ」という限りで、前者の「プラーテン内に形成されたホール(孔)に近接するように配置された該研磨パッドに含まれるウインドウ」と共通する。
前者における「レーザービーム」は、後者における「光」の下位概念である。
後者における「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ」ることは、「研磨プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設し」である限りにおいて、前者の「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え」ることと共通する。
後者の「照射する」ことは、光を照射するのであるから、「発する」といえるものである。
後者の「該研磨布窓6は、ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える」ことは、ウエハ7の中心のみが透明窓材4の上にある時だけ、光をウエハへ入射させるものであるから、「該ウィンドウは、ウエハが該ウィンドウの上にあるときの時間の一部の間光のための通路を与える」限りにおいて、前者の「該ウィンドウは、ウエハが該ウィンドウの上にあるときの時間の一部の間レーザービームのための通路を与える」ことと共通する。
後者の「赤色の範囲を含む」ことは、前者の「赤光の範囲を含む」ことに相当する。
以上の点から、本件特許発明9と甲1発明2とは、以下の一致点、相違点を有している。
<一致点2>
「ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)のための方法であって、該方法は、
(a)ウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、該回転可能な研磨ヘッドの下の研磨パッドに対して保持するステップであって、該パッドは発泡材料からなる表面を有し、研磨スラリによってウェットとなっている、該保持するステップと、
(b)CMPが終了した終点を決定するステップであって、該終点を決定するステップは、
(b1)赤光の範囲を含む光をウエハに向けて発するステップであって、該光は、プラーテン内に形成された開口に近接するように配置された該研磨パッドに含まれるウィンドウを通過し、
研磨プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設し、
該ウィンドウは、ウエハが該ウィンドウの上にあるときの時間の一部の間光のための通路を与える、該発するステップと、
(b2)ウエハから反射する赤光の範囲を含む光を検出するステップとを備える前記決定するステップとを備える方法。」
<相違点6>
ウエハに関して、本件特許発明9では、「酸化物層の下の半導体基板を備える」ものであると特定しているのに対して、甲1発明2では、SOIウエハではあるものの、酸化物層を表面に有するかどうか不明な点。
<相違点7>
発する光に関して、本件特許発明9では、「レーザービーム」としているのに対して、甲1発明2では、単に光である点。
<相違点8>
開口に関して、本件特許発明9では、「ホール(孔)」としているのに対して、甲1発明2では、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3である点。
<相違点9>
光透過部材の構造に関して、本件特許発明9では、「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え」るとして、研磨パッドに光透過部材が設けられているのに対して、甲1発明2では、光透過部材は、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4である点。
イ 当審の判断
上記相違点について検討する。
(ア)<相違点6>について
酸化物層の下の半導体基板を備え、酸化物層を物理的に平面化するに際して、レーザ-ビームにより酸化物層の厚さを検出する終点検出装置」は、甲5記載事項に見られるように従来周知の技術である。してみると、甲1発明2においても、ウエハ7を、甲1発明2において用いられているSOIウエハに代えて、表面に酸化物層を有する半導体基板とすることは、当業者が容易になし得たものである。
(イ)<相違点7>について
ウェーハの研磨における終点検知の光としてレーザ光を用いることは、甲2記載事項1に見られるように従来周知の事項であることから、甲1発明2においても、終点検知に用いる光をレーザ光とすることは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<相違点8>について
開口の形状を「ホール(孔)」と特定することは、そのことにより開口の形状がどのようなものであるか特定されているものではない。してみると、甲1発明2における、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた2本の溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3からなる開口も、「ホール(孔)」と言えるものである。
してみると、相違点8は実質的な相違点ではない。
(エ)<相違点9>について
相違点9に関し、本件特許発明9は、「ウィンドウは、パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、レーザービームに対して透過性を有するプラグを備え」である。一方、甲1発明2は、「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ」である。透明窓材4がレーザービーム等の光ビームを透過するものであることは明らかであることから、両者の違いは、光ビームを透過する部材に関して、本件特許発明9では、「パッドに形成されたプラグ」としているものであるのに対して、甲1発明2では、「貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4」である。ここで、「プラグ」と「透明窓材4」の違いに格別な点を見出すことができず、結局、両者の違いは、光ビームを透過する部材を本件特許発明9では研磨パッドに形成すると特定し、甲1発明2ではプラーテンに相当する定盤1の貫通孔3に設けているとしていることから、両者の違いは、光ビームを透過する部材を設ける位置の違いだけである。
ところで、甲2記載事項1は、「ポリシングパッド1による貼り合わせウェーハ11の研磨において、ポリシングパッド1を透明体とし、ポリシングパッド1を透過してレーザ光を照射するもの。」であり、甲3記載事項は、「被加工物1の被加工面6をポリシャ3で研磨するにあたり、石英からなるポリシャ3を透明なものとし、レーザ光線11を照射し、透明なポリシャ3を透過してレーザ光線を照射するもの。」であり、甲4記載事項は、「被加工物2をポリシャ4で研摩するにあたり、合成樹脂からなるポリシャ4を透明なものとし、レーザ光を照射し、透明なポリシャ4を透過してレーザ光を照射するもの。」である。以上の点を考慮すると、光ビームを透過する部材を、研磨する部材側に設けることが甲2記載事項1、甲3記載事項、甲4記載事項に記載されているように周知の事項であるので、甲1発明2においても、透明窓材4を、研磨パッドに相当する研磨布5に形成することは、当業者が容易になし得たものである。
プラグを研磨パッドに設けることの作用ないし効果について検討すると、本件特許発明9では、プラグの材質に関して、「中実な材料からなる」ものであると特定しているだけであって、それがCMPに供するものであるかどうかの特定はなく、また、研磨パッドに形成されたものであるとは特定しているものの、研磨パッドの表面と面一であるかどうかの特定はない。そうしてみると、「パッドに形成されたプラグ」という発明特定事項によって、プラグが光ビームを透過するものである以上の特別な作用ないし効果を奏するものとすることはできない。
なお、被請求人は、甲第2号証記載の発明は明らかに自然法則に反するものであることを平成21年7月16日受付上申書において主張し、証拠として乙第80号証、及び乙第81号証を提出している。そして、甲第2号証に記載された発明は、作ることもできないし、使用することもできないから、審査基準に照らしても引用発明とすることはできないと主張している。また、甲第3号証に記載された甲3発明、甲第4号証に記載された甲4発明は光学部品を研磨する「光学ポリシング」に関するものである。光学ポリシングとCMPとは技術的に著しく異なるものであり、光学ポリシングをCMPへ適用しても所望の結果が得られるものではないことは技術常識であると主張している。
しかしながら、以下(i)ないし(ii)の理由により、被請求人の主張は採用できない。
(i)特許出願前に頒布された刊行物に記載された発明というためには、特許出願当時(本件特許の場合、優先権主張日当時。)の技術水準を基礎として、当業者が当該刊行物を見たときに、特許請求の範囲の記載により特定される特許発明等の内容との対比に必要な限度において、その技術的思想を実施し得る程度に技術的思想の内容が開示されていることが必要であり、かつ、それで足りると解するのが相当である。そして、甲第2号証からは、レーザ光を透過するポリシングパッドの発明を把握できるのであるから、甲第2号証に記載された発明におけるポリシングパッドの素材や表面構造あるいはスラリーの構成物質ないし組成を厳密に特定できないからといって、先行技術としての適格に欠けるものではない。
(ii)甲2ないし甲4記載事項として採用している事項は、前記したように、「被加工物を研磨部材により研磨するにあたり、研磨部材を透明なものとし、研磨部材を透過してレーザ光を照射する」ことである。してみると、被加工物を研磨する研磨部材としてレーザ光を透過可能なものが甲第2ないし甲第4号証から認定できることは明らかであるから、甲第2号証に記載された発明が「全反射」を前提とした場合に成立しないという点や、甲第3号証や甲第4号証に記載された発明は、「光学ポリシング」であって「CMP」とは技術的に著しく異なるなどの点は、「研磨部材をレーザ光が透過可能な透明なものとする」という事項の認定を覆すまでの事実とすることはできない。
また、被請求人は、平成20年1月16日付け答弁書において、「本件発明は、当時の研磨パッドは全て光透過性のものではなかったが、研磨パッド自体に光透過性を持たせることの考え方を追求した最初のものである。その結果、研磨パッドの一部又は該パッドに形成したプラグをウィンドウとして構成することを着想したものである。この様に、本件発明は、一様な研磨性能を得るためにパッドの構造は可及的に均質とすべきであるという技術常識且つ当時の研磨パッドは光透過性のものではないという技術常識を打ち破ってなされたものであり、即ち、そのような技術常識に対して研磨パッドにウィンドウを設けるという発想の転換のみならず、研磨パッドを切り抜いて穴を開けること無しに研磨パッドの一部又は該パッドに形成したプラグでウィンドウを構成するという発想の転換の2段階の発想の転換を経てなされたものである。」(第14ページ第19行?第15ページ第6行。)と主張している。
さらに、「訂正後の請求項1(当審注:二次訂正後の請求項9も同様。)に記載された研磨パッドと甲第1号証に記載の研磨布を比較すると、甲第1号証に記載の研磨布が単に孔を有するのに対して、訂正後の請求項1に記載された研磨パッドは、中実な材料からなるプラグであって、レーザービームに対して透過性を有するプラグを備えるウィンドウを有する点において顕著な構成上の相違を有しています。訂正後の請求項1に記載された発明が有する前記<相違点2’>に係る構成が甲第1号証ないし甲第4号証のいずれにも開示も示唆もされていないことを考えると、訂正後の請求項1に記載の発明は、甲第1号証ないし甲第4号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に想到することができないものと考えられます。孔の開いた研磨布を開示する甲第1号証と透明で均一な『パッド』を開示する甲第2号証ないし甲第4号証には、中実な材料からなるプラグを備える、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドは記載も示唆もされておらず、請求人の主張とは反対に、訂正後の請求項1に記載の発明を容易に想到することはできません。」(平成22年12月1日付け上申書第7ページ第5行?第16行)と主張している。
しかしながら、前記したとおり、本件特許発明9では、プラグを設ける位置を「研磨パッドに形成された」と特定しているだけであって、プラグが研磨パッドの一部であると特定しているものでも、また、プラグの表面が研磨パッドの発泡材料からなる表面と面一になっていると特定しているものでもない。
したがって、被請求人の答弁書における前記主張は採用できない。
(オ)<作用ないし効果>について
本件特許発明9によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明2、及び甲2ないし甲5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(カ)請求項9に対するまとめ
したがって、本件特許発明9は、甲1発明2、及び甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(3)請求項18に対して
ア 対比
本件特許発明18と甲1発明3とを対比すると、後者の「表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着したSOIウエハ7」は前者の「基板」に、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウインドウ」に、後者の「光」は前者の「光ビーム」に相当する。
後者における「ウエハ7の研磨状態の終点」は、研磨は表面層に対して行うものであるから、「基板上の表面層の研磨状態」という限りで、前者の「基板上の表面層の状態の均一性」と共通する。
後者における「ウエハ7の研磨を中断せずに知る」ことは、研磨は表面層に対して行うものであるから、前者の「層の研磨の最中に測定する」ことに相当する。
後者の「赤色の範囲を含む」ことは、前者の「赤光の範囲を含む」ことに相当する。
後者における「ウエハ7の方へ赤色の範囲を含む光を向ける」ことは、研磨は表面層に対して行うものであるから、前者の「基板上の表面層の方へ赤光の範囲を含む光ビームを向ける」ことに相当する。
後者における「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ」ることは、「研磨プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設」する限りにおいて、前者の「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」ることと共通する。
後者の「ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える」ことは、ウエハ7の中心のみが透明窓材4の上にある時だけ、光をウエハへ入射させるものであるから、前者の「前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハに入射させるための通路を与える」に相当する。
後者の「光をプローブ9により受光して検出する」ことは、「光ビームを受光して検出する」限りにおいて、前者の「光ビームによって生じる干渉信号をモニタする」ことと共通する。
以上の点から、本件特許発明18と甲1発明3とは、以下の一致点、相違点を有している。
<一致点3>
「ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において、基板上の表面層の研磨状態を、前記層の研磨の最中に測定するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ赤光の範囲を含む光ビームを向けるステップであり、研磨プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設し、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハに入射させるための通路を与える、前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記赤光の範囲を含む光ビームを受光して検出するステップとを備える方法。」
<相違点10>
測定する基板上の表面層の研磨状態に関して、本件特許発明18では、「基板上の表面層の状態の均一性」であるとしているのに対して、甲1発明3では、ウエハ7の研磨状態の終点であるとしている点。
<相違点11>
光透過部材の構造に関して、本件特許発明18では、「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」るとして、研磨パッドに光透過部材が設けられているのに対して、甲1発明3では、光透過部材は、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4である点。
<相違点12>
本件特許発明18では、「(b)基板から反射されてくる赤光の範囲を含む光ビームによって生じる干渉信号をモニタするステップと、(c)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するステップとを備える」としているのに対して、甲1発明3では、ウエハ7から反射されてくる赤光の範囲を含む光をプローブ9により受光して検出するステップを備える点。
イ 当審の判断
上記相違点について検討する。
(ア)<相違点10>について
甲5記載事項は、「表面に酸化物被覆14を有する半導体ウェーハ10における酸化物被覆14を物理的に平面化するに際して、レーザ干渉測定装置28により酸化物被覆14の厚さを検出する、物理的な平面化及び終点検出装置。」である。ここで、甲5記載事項における「表面に酸化物被覆14を有する半導体ウェーハ10」は、本件特許発明18の「基板」に相当し、また、甲5記載事項における「酸化物被覆14を物理的に平面化するに際して、酸化物被覆14の厚さを検出する」ことは、「表面層の状態を均一化するに際して、前記表面層の状態の均一性を測定する」ことと言い換えることができる。そして、レーザ干渉測定装置を用いるものであるから、これにより干渉信号をモニタすることは明らかである。したがって、甲5記載事項は、「基板上の表面層の状態を均一化するに際して、前記表面層の状態の均一性を測定し、干渉信号をモニタする装置」と言い換えることができる。してみると、基板の研磨に際して、基板上における表面層の状態の均一性を測定することは甲5記載事項に見られるように周知の事項であることから、甲1発明3においても、基板に相当するウエハ7において、その表面層の状態の均一性を測定するようにすることは、当業者が容易になし得たものである。
(イ)<相違点11>について
相違点11に関し、本件特許発明18は、「ウィンドウは、パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」である。一方、甲1発明3は、「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ」である。透明窓材4が光ビームを透過するものであることは明らかであることから、両者の違いは、光ビームを透過する部材に関して、本件特許発明18では、「パッドに形成されたプラグ」としているものであるのに対して、甲1発明3では、「貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4」である。ここで、「プラグ」と「透明窓材4」の違いに格別な点を見出すことができず、結局、両者の違いは、光ビームを透過する部材を本件特許発明18では研磨パッドに形成すると特定し、甲1発明3ではプラーテンに相当する定盤1の貫通孔3に設けているとしていることから、両者の違いは、光ビームを透過する部材を設ける位置の違いだけである。
しかしながら、(2)イ(エ)で言及したとおり、光ビームを透過する部材を、研磨する部材側に設けることが甲2記載事項1、甲3記載事項、甲4記載事項に記載されているように周知の事項であるので、甲1発明3においても、透明窓材4を、研磨パッドに相当する研磨布5に形成することは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<相違点12>について
甲5記載事項は、前記(ア)<相違点10>についてで言及したとおり、「基板上の表面層の状態を均一化するに際して、前記表面層の状態の均一性を測定し、干渉信号をモニタする装置」である。甲1発明3において、ウエハ7の表面層の状態の均一性を測定するように代えた場合、その均一性を判断するためには、光ビームによって生じる干渉信号をモニタし、これにより、干渉信号からの表面層の状態の均一性の尺度を計算しなければならないことは、当然の設計変更に過ぎない。
(エ)<作用ないし効果>について
本件特許発明18によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明3、及び甲2ないし甲5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(オ)請求項18に対するまとめ
したがって、本件特許発明18は、甲1発明3、及び甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(4)請求項19に対して
ア 対比
本件特許発明19と甲1発明3とを対比すると、両者は、上記<一致点3>で一致し、上記<相違点10>ないし<相違点12>で相違する他、以下の相違点を有している。
<相違点13>
計算するステップに関して、本件特許発明19では、「干渉信号から特徴情報を抽出するステップと、抽出された特徴情報から表面層の状態の均一性の尺度を計算するステップとを備える」としているのに対して、甲1発明3では、そのようなステップを備えていない点。
イ 当審の判断
上記相違点について検討する。
(ア)<相違点10>ないし<相違点12>について
<相違点10>ないし<相違点12>についての判断は、前記(3)イで言及したとおりである。
(イ)<相違点13>について
干渉信号から表面層の状態の均一性を判断するためには、干渉信号から特徴情報を抽出し、その特徴情報をもとにして表面層の状態の均一性を判断しなければならないことは当然の技術的事項に過ぎない。
してみると、甲1発明3において、ウエハ7の表面層の状態の均一性を測定するように代えた場合には、干渉信号をモニタし、干渉信号から特徴情報を抽出し、抽出された特徴情報から表面層の状態の均一性の尺度を計算するようにすることは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<作用ないし効果>について
本件特許発明19によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明3、及び甲2ないし甲5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(エ)請求項19に対するまとめ
したがって、本件特許発明19は、甲1発明3、及び甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(5)請求項20に対して
ア 対比
本件特許発明20と甲1発明3とを対比すると、両者は、上記<一致点3>で一致し、上記<相違点10>ないし<相違点13>で相違する他、以下の相違点を有している。
<相違点14>
本件特許発明20では、「表面層の状態の均一性の尺度を参考値と比較するステップと、表面層の状態の均一性の尺度が該参考値から所定の量以上広がったときに警告を発するステップとを更に備える」としているのに対して、甲1発明3では、そのようなステップを備えていない点。
イ 当審の判断
(ア)<相違点10>ないし<相違点13>について
<相違点10>ないし<相違点12>についての判断は、前記(3)イで、また、<相違点13>についての判断は、前記(4)イ(イ)で言及したとおりである。
(イ)<相違点14>について
一般に、研磨中に異常が発生した場合、警報を発することは、例えば、甲2記載事項2に見られるように周知の事項であり、「異常」と判断するためには何らかの閾値を設定し、その閾値と測定値を比較することにより判定することは通常行われていることであるから、甲1発明3において、ウエハ7の表面層の状態の均一性を測定するように代えた場合には、表面層の状態の均一性の尺度を参考値と比較し、表面層の状態の均一性の尺度が参考値から所定の量以上広がったときに警告を発するようにすることは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<作用ないし効果>について
本件特許発明20によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明3、及び甲2ないし甲5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(オ)請求項20に対するまとめ
したがって、本件特許発明20は、甲1発明3、及び甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(6)請求項24に対して
ア 対比
本件特許発明24と甲1発明4とを対比すると、後者の「表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着したSOIウエハ7」は前者の「基板」に、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウインドウ」に、後者の「光」は前者の「光ビーム」に相当する。
後者における「研磨状態の終点を知る」ことは、「研磨プロセスの特性を評価する」と言い換えることができる。
後者における「研磨を中断せず」は、前者の「研磨の最中」に相当する。
後者の「赤色の範囲を含む」ことは、前者の「赤光の範囲を含む」ことに相当する。
後者における「ウエハ7の方へ赤色の範囲を含む光を向ける」ことは、研磨は表面層に対して行うものであるから、前者の「層の方へ赤光の範囲を含む光ビームを向ける」ことに相当する。
後者における「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ」ることは、「研磨プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設」する限りにおいて、前者の「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」ることと共通する。
後者の「ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える」ことは、ウエハ7の中心のみが透明窓材4の上にある時だけ、光をウエハへ入射させるものであるから、前者の「前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハに入射させるための通路を与える」ことに相当する。
後者の「光をプローブ9により受光して検出する」ことは、「光ビームを受光して検出する」限りにおいて、前者の「光ビームによって発生する干渉信号をモニタする」ことと共通する。
以上の点から、本件特許発明24と甲1発明4とは、以下の一致点、相違点を有している。
<一致点4>
「ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において、基板を研磨するための研磨プロセスの特性を評価するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ赤光の範囲を含む光ビームを向けるステップであり、研磨プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設し、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハに入射させるための通路を与える、前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記赤光の範囲を含む光ビームを受光して検出するステップとを備える方法。」
<相違点15>
基板に関して、本件特許発明24では、「層を自身の上に有する」としているのに対して、甲1発明4では、SOIウエハではあるものの、層を自身の上に有しているのかどうか不明な点。
<相違点16>
光透過部材の構造に関して、本件特許発明24では、「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」るとして、研磨パッドに光透過部材が設けられているのに対して、甲1発明4では、光透過部材は、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4である点。
<相違点17>
本件特許発明24では、「光ビームによって生じる干渉信号をモニタするステップ」を有しているのに対して、甲1発明4では、ウエハ7から反射されてくる光をプローブ9により受光して検出するステップを備える点。
<相違点18>
本件特許発明24では、「(c)干渉信号から干渉計波形を抽出するステップと、(d)前記抽出された干渉計波形を保存されている情報と比較するステップであって、前記保存されている情報は、研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、前記比較するステップ」を有しているのに対して、甲1発明4では、そのようなステップを有していない点。
<相違点19>
本件特許発明24では、「(e)抽出された干渉計波形が保存されている情報から所定の量以上広がったとき、警告を発するステップ」を備えているのに対して、甲1発明4は、そのようなステップを有していない点。
イ 当審の判断
上記相違点について検討する。
(ア)<相違点15>について
酸化物層の下の半導体基板を備え、酸化物層を物理的に平面化するに際して、レーザ-ビームにより酸化物層の厚さを検出する終点検出装置」は、甲5記載事項に見られるように従来周知の技術である。してみると、甲1発明4においても、ウエハ7を、甲1発明4において用いられているSOIウエハに代えて、層を自身の上に有する基板とすることは、当業者が容易になし得たものである。
(イ)<相違点16>について
相違点16に関し、本件特許発明24は、「ウィンドウは、パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」である。一方、甲1発明4は、「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれる」である。透明窓材4が光ビームを透過するものであることは明らかであることから、両者の違いは、光ビームを透過する部材に関して、本件特許発明24では、「パッドに形成されたプラグ」としているものであるのに対して、甲1発明4では、「貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4」である。ここで、「プラグ」と「透明窓材4」の違いに格別な点を見出すことができず、結局、両者の違いは、光ビームを透過する部材を本件特許発明24では研磨パッドに形成すると特定し、甲1発明4ではプラーテンに相当する定盤1の貫通孔3に設けているとしていることから、両者の違いは、光ビームを透過する部材を設ける位置の違いだけである。
しかしながら、(2)イ(エ)で言及したとおり、光ビームを透過する部材を、研磨する部材側に設けることが甲2記載事項1、甲3記載事項、甲4記載事項に記載されているように周知の事項であるので、甲1発明4においても、透明窓材4を、研磨パッドに相当する研磨布5に形成することは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<相違点17>について
甲5記載事項は、前記(3)イ(ア)<相違点10>についてで言及したとおり、「基板上の表面層の状態を均一化するに際して、前記表面層の状態の均一性を測定し、干渉信号をモニタする装置」である。甲1発明4において、ウエハ7の表面層の状態の均一性を測定するように代えた場合、その均一性を判断するためには、光ビームによって生じる干渉信号をモニタし、これにより、干渉信号からの表面層の状態の均一性の尺度を計算しなければならないことは、当然の設計変更に過ぎない。
(エ)<相違点18>について
一般に、測定を行う場合、関連する情報を保存しておき、測定値を保存されている当該情報と比較し、測定の結果に対する操作の指針を与えることは、甲第1号証(特に、段落【0029】参照。)にも見られるように従来周知の事項であるから、甲1発明4においても、甲5記載事項を採用することにより、光ビームによって発生する干渉信号をモニタするようにした場合には、干渉信号から干渉計波形を抽出し、抽出された干渉計波形を保存されている指針である情報と比較し、その際に、当該保存されている情報を、研磨プロセスに対しての操作である望ましい操作のポイントを代表しているものとすることは、当業者が前記周知の事項を採用することにより適宜設定可能な設計事項に過ぎない。
(オ)<相違点19>について
一般に、測定値に対して参考値を設定し、測定値を参考値と比較して設定された閾値を超えた場合、異常と判断して警告を発することは、甲2記載事項2にも見られるように従来周知の事項であるから、甲1発明4において、抽出された干渉計波形が保存されている情報から閾値である所定の量以上広がったとき、警告を発するようにすることは、当業者が容易になし得たものである。
(カ)<作用ないし効果>について
本件特許発明24によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明4、甲2ないし甲5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(キ)請求項24に対するまとめ
したがって、本件特許発明24は、甲1発明4、及び甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(7)請求項25に対して
ア 対比
本件特許発明25と甲1発明4とを対比すると、両者は、上記<一致点4>で一致し、上記<相違点15>ないし<相違点19>で相違する他、以下の相違点を有している。
<相違点20>
本件特許発明25では、「干渉信号を、オペレータが見ることができるように、視覚的なディスプレイ装置上に表示するステップを更に備える」としているのに対して、甲1発明4では、そのようなステップを備えていない点。
イ 当審の判断
上記<相違点15>ないし<相違点20>について検討する。
(ア)<相違点15>ないし<相違点19>について
<相違点15>ないし<相違点19>についての判断は、前記(6)イで言及したとおりである。
(イ)<相違点20>について
一般に、検出した信号をオペレータが見ることができるように、視覚的なディスプレイ装置上に表示することは通常行われていることであるので、甲1発明4において、検出した信号である干渉信号を、オペレータが見ることができるように、視覚的なディスプレイ装置上に表示するようにすることは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<作用ないし効果>について
本件特許発明25によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明4、甲2ないし甲5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(エ)請求項25に対するまとめ
したがって、本件特許発明25は、甲1発明4、及び甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(8)請求項27に対して
ア 対比
本件特許発明27と甲1発明5とを対比すると、後者の「表面に熱酸化膜を形成した2枚のシリコンウエハを、熱酸化膜を接せしめて接着したSOIウエハ7」は前者の「基板」に、後者の「研磨中」は前者の「処理中」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウィンドウ」に、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「光」は前者の「光ビーム」に、後者の「光を照射」は前者の「光ビームを発生」に、後者の「定盤1」は前者の「プラーテン」に、後者の「ウエハ支持板8」は前者の「研磨ヘッド」に相当する。
後者における「ウエハ研磨装置」が、全体的なシステムと捉えることができるから、前者の「基板研磨システム」に相当する。
後者における「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ」は、「プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設」する限りにおいて、前者の「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」ることと共通する。
後者の「ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える」ことは、ウエハ7の中心のみが透明窓材4の上にある時だけ、光をウエハへ入射させるものであるから、前者の「前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハに入射させるための通路を与える」ことに相当する。
後者における「ウエハ7の中心の研磨面」は、前者の「基板の側部」に相当する。
後者における「プローブ9」は、「光ビーム測定装置」という限りで、前者の「干渉計」と共通する。
後者の「赤色の範囲を含む」ことは、前者の「赤光の範囲を含む」ことに相当する。
以上の点から、本件特許発明27と甲1発明5とは、以下の一致点、相違点を有している。
<一致点5>
「ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための基板研磨システムであって、
(a)処理中に、ウィンドウを有する発泡材料からなる表面を有する研磨パッドを保持するプラーテンであり、
プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設し、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハに入射させるための通路を与える、前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)処理中に、前記研磨パッドの前記ウィンドウを通して、研磨されるべき基板の側部に向けられ且つ入射する赤光の範囲を含む光ビームを発生させることが可能な光ビーム測定装置を備える研磨システム。」
<相違点21>
ウィンドウに関して、本件特許発明27では、「中実な透明」と特定し、また、「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」と特定しているのに対して、甲1発明5では、ウィンドウに相当する研磨布窓6が、定盤1の溝2と同形に切り抜かれたものであり、定盤1には、中心から放射状に伸びる近接した2本の直線で囲まれ、中心付近から周縁近くまで伸びた溝2と、溝2の長手方向中央に設けられた貫通孔3が設けられ、前記貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の透明窓材4が嵌め込まれたものである点。
<相違点22>
光ビームの発生に関して、本件特許発明27では、「コリメートされた」ものとしているのに対して、甲1発明5では、コリメートされているかどうかが不明な点。
<相違点23>
光ビーム測定装置に関して、本件特許発明27では、「干渉計」であるとし、また、「前記干渉計は干渉信号を発生する、前記干渉計と、前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するようにプログラミングされたデータプロセッサとを備える」と特定しているのに対して、甲1発明5では、プローブ9である点。
イ 当審の判断
上記相違点について検討する。
(ア)<相違点21>について
相違点21に関し、本件特許発明27は、「ウィンドウは、パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」である。一方、甲1発明5は、「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ」である。透明窓材4が光ビームを透過するものであることは明らかであることから、両者の違いは、光ビームを透過する部材に関して、本件特許発明27では、「パッドに形成されたプラグ」としているものであるのに対して、甲1発明5では、「貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4」である。ここで、「プラグ」と「透明窓材4」の違いに格別な点を見出すことができず、結局、両者の違いは、光ビームを透過する部材を本件特許発明27では研磨パッドに形成すると特定し、甲1発明5ではプラーテンに相当する定盤1の貫通孔3に設けているとしていることから、両者の違いは、光ビームを透過する部材を設ける位置の違いだけである。
しかしながら、(2)イ(エ)で言及したとおり、光ビームを透過する部材を、研磨する部材側に設けることが甲2記載事項1、甲3記載事項、甲4記載事項に記載されているように周知の事項であるので、甲1発明5においても、透明窓材4を、研磨パッドに相当する研磨布5に形成することは、当業者が容易になし得たものである。
(イ)<相違点22>について
測定のための光ビームをコリメートされたものとすることは通常行われていることであるから、甲1発明5においても、照射される光をコリメートされたものとすることは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<相違点23>について
甲5記載事項は、「表面に酸化物被覆14を有する半導体ウェーハ10における酸化物被覆14を物理的に平面化するに際して、レーザ干渉測定装置28により酸化物被覆14の厚さを検出する、物理的な平面化及び終点検出装置。」である。ここで、甲5記載事項における「表面に酸化物被覆14を有する半導体ウェーハ10」、「レーザ干渉測定装置」は、それぞれ、本件特許発明27の「基板」、「干渉計」に相当し、また、甲5記載事項における「酸化物被覆14を物理的に平面化するに際して、酸化物被覆14の厚さを検出する」ことは、「表面層の状態を均一化するに際して、前記表面層の状態の均一性を測定する」ことである。そして、レーザ干渉測定装置を用いるものであるから、甲5記載事項は、「基板上の表面層の状態を均一化するに際して、前記表面層の状態の均一性を測定し、干渉信号を発生する干渉計」と言い換えることができる。基板の研磨に際して、基板上における表面層の状態の均一性を測定することは甲5記載事項に見られるように周知の事項であることから、甲1発明5においても、基板に相当するウエハ7において、その表面層の状態の均一性を測定するようにすることは、当業者が容易になし得たものである。そして、測定された信号をプログラミングされたデータプロセッサを用いて計算することは慣用手段であることから、甲1発明5において、甲5記載事項を採用することにより、干渉計を用いて干渉信号を発生させた場合には、当該干渉信号を、研磨の目標である表面層の状態の均一性の尺度を計算するようにプログラミングされたデータプロセッサを用いて計算することは、当業者が通常行いうる設計変更に過ぎない。
(エ)<作用ないし効果>について
本件特許発明27によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明5、甲2ないし5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(オ)請求項27に対するまとめ
したがって、本件特許発明27は、甲1発明5、甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(9)請求項28に対して
ア 対比
本件特許発明28は、本件特許発明27を引用している。したがって、前記(8)アを参照することにより、本件特許発明28と甲1発明5とを対比すると、本件特許発明28と甲1発明5とは、以下の一致点を有し、相違点21ないし相違点23を有している。
<一致点6>
「ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための基板研磨システムであって、
(a)処理中に、ウィンドウを有する発泡材料からなる表面を有する研磨パッドを保持するプラーテンであり、
プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設し、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハに入射させるための通路を与える、前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)処理中に、前記研磨パッドの前記ウィンドウを通して、研磨されるべき基板の側部に向けられ且つ入射する赤光の範囲を含む光ビームを発生させることが可能な光ビーム測定装置を備える研磨システムであって、
前記研磨ヘッドが、処理中に回転できるように、回転可能となっている研磨システム。」
イ 当審の判断
<相違点21>、<相違点22>、<相違点23>についての判断は、前記(8)イのとおりである。
したがって、本件特許発明28は、甲1発明5、甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(10)請求項29に対して
ア 対比
本件特許発明29は、本件特許発明28を引用している。したがって、前記(8)ア、(9)アを参照することにより、本件特許発明29と甲1発明5とを対比すると、本件特許発明29と甲1発明5とは、以下の一致点を有し、相違点21ないし相違点23を有している。
<一致点7>
「ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための基板研磨システムであって、
(a)処理中に、ウィンドウを有する発泡材料からなる表面を有する研磨パッドを保持するプラーテンであり、
プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設し、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハに入射させるための通路を与える、前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)処理中に、前記研磨パッドの前記ウィンドウを通して、研磨されるべき基板の側部に向けられ且つ入射する赤光の範囲を含む光ビームを発生させることが可能な光ビーム測定装置を備える研磨システムであって、
前記研磨ヘッド、及び前記プラーテンが、処理中に回転できるように、回転可能となっている研磨システム。」
イ 当審の判断
<相違点21>、<相違点22>、<相違点23>についての判断は、前記(8)イのとおりである。
したがって、本件特許発明29は、甲1発明5、甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(11)請求項30に対して
ア 対比
本件特許発明30は、本件特許発明29を引用している。したがって、前記(8)ア、(9)ア、(10)アを参照することにより、本件特許発明30と甲1発明5とを対比すると、本件特許発明30と甲1発明5とは、前記一致点7で一致し、前記相違点21ないし相違点23で相違する他、以下の相違点24を有している。
<相違点24>
干渉計に関して、本件特許発明30では、「レーザー干渉計」であると特定しているのに対して、甲1発明5では、プローブ9である点。
イ 当審の判断
(ア)<相違点21>、<相違点22>、<相違点23>について
<相違点21>、<相違点22>、<相違点23>についての判断は、前記(8)イのとおりである。
(イ)<相違点24>について
前記(8)イ(ウ)で言及したとおり、甲5記載事項は、「表面に酸化物被覆14を有する半導体ウェーハ10における酸化物被覆14を物理的に平面化するに際して、レーザ干渉測定装置28により酸化物被覆14の厚さを検出する、物理的な平面化及び終点検出装置。」である。そして、光ビームの測定にレーザ干渉計を適用できないとする特別の阻害事由もないことからすれば、干渉計をレーザー干渉計とすることは、当然の事項に過ぎない。
(ウ)<作用ないし効果>について
本件特許発明30によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明5、甲2ないし5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(エ)請求項30に対するまとめ
したがって、本件特許発明30は、甲1発明5、甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(12)請求項31に対して
ア 対比
本件特許発明31は、本件特許発明29を引用している。したがって、前記(8)ア、(9)ア、(10)アを参照することにより、本件特許発明31と甲1発明5とを対比すると、本件特許発明31と甲1発明5とは、前記一致点7で一致し、前記相違点21ないし相違点23で相違する他、以下の相違点25を有している。
<相違点25>
データプロセッサに関して、本件特許発明31では、更に、「干渉信号から特徴情報を抽出することと、前記抽出された特徴情報から均一性の前記尺度を計算することと、をプログラミングされている」と特定しているのに対して、甲1発明5では、そのようなことについて不明である点。
イ 当審の判断
(ア)<相違点21>、<相違点22>、<相違点23>について
<相違点21>ないし<相違点23>についての判断は、前記(8)イのとおりである。
(イ)<相違点25>について
干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するためには、干渉信号から特徴情報を抽出し、その特徴情報をもとにして表面層の状態の均一性の尺度を計算しなければならないことは当然の技術的事項に過ぎない。
してみると、甲1発明5において、ウエハ7の表面層の状態の均一性を測定するように代えた場合には、干渉信号から特徴情報を抽出し、抽出された特徴情報から表面層の状態の均一性の尺度を計算するようにすることは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<作用ないし効果>について
本件特許発明31によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明5、甲2ないし5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(エ)請求項31に対するまとめ
したがって、本件特許発明31は、甲1発明5、甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(13)請求項32に対して
ア 対比
本件特許発明32は、本件特許発明31を引用している。したがって、前記(8)ア、(9)ア、(10)ア、(12)アを参照することにより、本件特許発明32と甲1発明5とを対比すると、本件特許発明32と甲1発明5とは、前記一致点7で一致し、前記相違点21ないし相違点23、相違点25で相違する他、以下の相違点26を有している。
<相違点26>
データプロセッサに関して、本件特許発明32では、更に、「均一性の尺度を参考値と比較することと、均一性の前記尺度が該参考値から所定の量以上広がったときに警告を発することと、をプログラミングされている」と特定しているのに対して、甲1発明5では、そのようなことについて不明である点。
イ 当審の判断
(ア)<相違点21>、<相違点22>、<相違点23>、<相違点25>について
<相違点21>ないし<相違点23>及び<相違点25>についての判断は、前記(8)イ、(12)イ(イ)のとおりである。
(イ)<相違点26>について
一般に、研磨中に異常が発生した場合、警報を発することは、例えば、甲2記載事項2にも見られるように従来周知の事項であり、「異常」と判断するためには何らかの閾値を設定し、その閾値と測定値を比較することにより判定することは通常行われていることであるから、甲1発明5において、ウエハ7の表面層の状態の均一性を測定するように代えた場合には、表面層の状態の均一性の尺度を参考値と比較し、表面層の状態の均一性の尺度が参考値から所定の量以上広がったときに警告を発するようにすることは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<作用ないし効果>について
本件特許発明32によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明5、甲2ないし5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(エ)請求項32に対するまとめ
したがって、本件特許発明32は、甲1発明5、甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(14)請求項39に対して
ア 対比
本件特許発明39と甲1発明6とを対比すると、後者の「ウエハ7」は前者の「基板」に、後者の「研磨装置」は前者の「装置」に、後者の「研磨中」は前者の「処理中」に、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「定盤1」は前者の「プラーテン」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウィンドウ」に、後者の「光」は前者の「光ビーム」に、後者の「ウエハ支持板8」は前者の「研磨ヘッド」に相当する。
後者における「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ」ることは、「プラーテン及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設」する限りにおいて、前者の「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」ることと共通する。
後者の「ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える」ことは、ウエハ7の中心のみが透明窓材4の上にある時だけ、光をウエハへ入射させるものであるから、前者の「ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハに入射させるための通路を与える」ことに相当する。
後者における「プローブ9」は、「光測定装置」という限りで、前者の「干渉計」と共通する。
後者における「光を照射する」ことは、前者の「光ビームを発生させる」ことに相当する。
後者における「研磨中」は、「研磨操作の一部の間」と言い換えることができることは明らかである。
後者の「赤色の範囲を含む」ことは、前者の「赤光の範囲を含む」ことに相当する。
後者における「照射する」ことは、前者の「入射する」ことに相当する。
後者における「研磨中に研磨状態の終点を知る、プローブ9を備える」ことは、研磨中が研磨プロセスのインシチュウな状態であるから、「研磨プロセスのインシチュウによるモニタリングを与える、光測定装置を備え、前記光測定装置からの信号を解析し、研磨状態の終点を知るものである」限りにおいて、前者の「研磨プロセスのインシチュウによるモニタリングを与える、干渉計と、前記干渉計からの周期信号を解析し、該周期信号からの研磨の終点を検出するプロセッサとを備える」ことと共通する。
以上の点から、本件特許発明39と甲1発明6とは、以下の一致点、相違点を有している。
<一致点8>
「ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、前記装置は、
(a)処理中に研磨パッドを保持するプラーテンであり、前記パッドは、発泡材料からなる表面を有し、プラーテン及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設し、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)赤光の範囲を含む光ビームを発生させることが可能な光測定装置であって、前記光測定装置は、少なくとも研磨操作の一部の間に前記光ビームを前記ウィンドウに向け前記基板上に入射するように配置されて、研磨プロセスのインシチュウによるモニタリングを与える、光測定装置を備え、前記光測定装置からの信号を解析し、研磨状態の終点を知るものである装置。」
<相違点27>
光透過部材の構造に関して、本件特許発明39では、「前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」ているとして、研磨パッドに光透過部材が設けられているのに対して、甲1発明6では、光透過部材は、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4である点。
<相違点28>
光ビームに関して、本件特許発明39では、「コリメートされた」と特定しているのに対して、甲1発明6では、光がコリメートされたものであるのかどうか不明な点。
<相違点29>
光測定装置に関して、本件特許発明39では、「干渉計」と特定しているのに対して、甲1発明6では、プローブ9である点。
<相違点30>
研磨プロセスのインシチュウによるモニタリングを与える、光測定装置を備え、前記光測定装置からの信号を解析し、研磨状態の終点を知るものに関して、本件特許発明39では、「研磨プロセスのインシチュウによるモニタリングを与える、干渉計と、前記干渉計からの周期信号を解析し、該周期信号からの研磨の終点を検出するプロセッサとを備える」としているのに対して、甲1発明6では、光測定装置はプローブ9であり、研磨の終点を知ることに関してプロセッサを用いているのかどうか不明な点。
イ 当審の判断
上記相違点について検討する。
(ア)<相違点27>について
相違点27に関し、本件特許発明39は、「ウィンドウは、パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」である。一方、甲1発明6は、「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれ」るである。透明窓材4が光ビームを透過するものであることは明らかであることから、両者の違いは、光ビームを透過する部材に関して、本件特許発明39では、「パッドに形成されたプラグ」としているものであるのに対して、甲1発明6では、「貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4」である。ここで、「プラグ」と「透明窓材4」の違いに格別な点を見出すことができず、結局、両者の違いは、光ビームを透過する部材を本件特許発明39では研磨パッドに形成すると特定し、甲1発明6ではプラーテンに相当する定盤1の貫通孔3に設けているとしていることから、両者の違いは、光ビームを透過する部材を設ける位置の違いだけである。
しかしながら、(2)イ(エ)で言及したとおり、光ビームを透過する部材を、研磨する部材側に設けることが甲2記載事項1、甲3記載事項、甲4記載事項に記載されているように周知の事項であるので、甲1発明4においても、透明窓材4を、研磨パッドに相当する研磨布5に形成することは、当業者が容易になし得たものである。
(イ)<相違点28>について
測定のための光ビームをコリメートされたものとすることは通常行われていることであるから、甲1発明6においても、照射される光をコリメートされたものとすることは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<相違点29>について
甲5記載事項は、「表面に酸化物被覆14を有する半導体ウェーハ10における酸化物被覆14を物理的に平面化するに際して、レーザ干渉測定装置28により酸化物被覆14の厚さを検出する、物理的な平面化及び終点検出装置。」である。ここで、甲5記載事項における「表面に酸化物被覆14を有する半導体ウェーハ10」、「レーザ干渉測定装置」は、それぞれ、本件特許発明39の「基板」、「干渉計」に相当し、また、甲5記載事項における「酸化物被覆14を物理的に平面化するに際して、酸化物被覆14の厚さを検出する」ことは、「表面層の状態を均一化するに際して、前記表面層の状態の均一性を測定する」ことである。そして、レーザ干渉測定装置を用いるものであるから、これにより干渉信号をモニタリングすることは明らかである。したがって、甲5記載事項は、「基板上の表面層の状態を均一化するに際して、前記表面層の状態の均一性を測定し、干渉信号をモニタリングする干渉計」と言い換えることができる。基板の研磨に際して、基板上における表面層の状態の均一性を測定することは甲5記載事項に見られるように周知の事項であることから、甲1発明6においても、基板に相当するウエハ7において、その表面層の状態の均一性を測定するようにすること、そして、そのために光測定装置として干渉計を用いることは、当業者が容易になし得たものである。
(エ)<相違点30>について
前記(ウ)で述べたとおり、甲5記載事項は、「基板上の表面層の状態を均一化するに際して、前記表面層の状態の均一性を測定し、干渉信号をモニタする干渉計」である。ここで、干渉計からの信号が周期信号であることは自明の事項であり、それを解析するためにプロセッサを用いることは通常行われていることであるから、甲1発明6においても、光測定装置として干渉計を用いた場合には、プロセッサを用いることにより、干渉計からの周期信号を解析し、該周期信号から、研磨の終点を検出する構成とすることも、<相違点29>についての判断と同様、当業者が容易になし得た程度のものに過ぎない。
(オ)<作用ないし効果>について
本件特許発明39によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明6、甲2ないし5記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(カ)請求項39に対するまとめ
したがって、本件特許発明39は、甲1発明6、甲2ないし甲4記載事項、甲5記載事項から当業者が容易になし得たものである。

(15)請求項40に対して
ア 対比
本件特許発明40と甲1発明7とを対比すると、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウィンドウ」に相当する。
後者における「ケミカルメカニカルポリシングを行う研磨装置において用いる」ことは、研磨装置はシステムであるとも言い得るので、前者の「ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いる」ことに相当する。
後者における「ウエハ7に押し付けられる面」が前者の「研磨面」に相当し、後者の「定盤1に支持される面」が前者の「底面」に相当することは明らかである。
研磨布窓6は研磨布5を切り抜いて形成されるものであるから、研磨布窓6がウエハ7に押し付けられる面及び定盤1に支持される面の中に形成されるものであって、後者における「研磨布5には、定盤1の溝2と同形に切り抜かれた研磨布窓6が形成され」ることは、前者の「研磨パッドの底面及び研磨面の中にはウィンドウが形成され」ることに相当する。
後者における「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれる」は、「プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設」する限りにおいて、前者の「該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え」ることと共通する。
後者の「ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える」ことは、ウエハ7の中心のみが透明窓材4の上にある時だけ、光をウエハへ入射させるものであるから、前者の「ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、光をウエハに入射させるための通路を与える」ことに相当する。
以上の点から、本件特許発明40と甲1発明7とは、以下の一致点、相違点を有している。
<一致点9>
「ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)発泡材料からなる研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設し、
前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与える研磨パッド。」
<相違点31>
光透過部材の構造に関して、本件特許発明40では、「前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光に対して透過性を有する前記プラグを備え」ているとして、研磨パッドに光透過部材が設けられているのに対して、甲1発明7では、光透過部材は、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4である点。
<相違点32>
研磨パッドに関して、本件特許発明40では、「第1の透過性部分と、研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え」るとしているのに対して、甲1発明7では、研磨布5の光透過性について不明な点。
<相違点33>
プラグに関して、本件特許発明40では、「研磨パッドの第2の非透過性部分の表面とほぼ共面の上面を有」しているとしているのに対して、甲1発明7では、研磨布5の光透過性について不明であり、また、透明窓材4の上面の位置について不明な点。
イ 当審の判断
上記相違点のうち、相違点33について検討する。
(ア)<相違点33>について
本件特許発明40は、「前記研磨パッドは、・・・発泡材料からなる研磨面と、・・・を備え、前記研磨パッドの底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、・・・前記プラグは前記研磨パッドの第2の非透過性部分の表面とほぼ共面の上面を有」すると特定していることから、結局、本件特許発明40の研磨パッドは、発泡材料からなり、研磨面を与える第2の非透過性部分と、研磨パッドに形成され、中実な材料からなり、光に対して透過性を有し、研磨面とほぼ共面の上面を有するプラグからなるものである。
一方、甲1発明7では、透明窓材4は透明ガラス製であるから、透明窓材4の上面と発泡材料からなる研磨布5のウエハ7に押し付けられる面とをほぼ共面の上面とするものではない。また、甲2記載事項1は、「ポリシングパッド1による貼り合わせウェーハ11の研磨において、ポリシングパッド1を透明体とし、ポリシングパッド1を透過してレーザ光を照射するもの。」であり、甲3記載事項は、「被加工物1の被加工面6をポリシャ3で研磨するにあたり、石英からなるポリシャ3を透明なものとし、レーザ光線11を照射し、透明なポリシャ3を透過してレーザ光線を照射するもの。」であり、甲4記載事項は、「被加工物2をポリシャ4で研摩するにあたり、合成樹脂からなるポリシャ4を透明なものとし、レーザ光を照射し、透明なポリシャ4を透過してレーザ光を照射するもの。」である。ここで、甲1発明7は、研磨布は発泡材料からなるものであるのに対して、甲2記載事項1の研磨面は全体が透明な部材からなるものであり、甲3記載事項の研磨面は石英からなるものであり、甲4記載事項は合成樹脂からなる透明なものであるので、甲1発明7における研磨面と甲2ないし4記載事項における研磨面とはその材質が異なることは明らかである。そして、ケミカルメカニカルポリシングシステムとは、研磨すべき面を平面化するものであることから、材質の異なる部材を研磨面とすることを想定することはできない。
してみると、甲1発明7に甲2ないし甲4記載事項を適用することにより、全体を透明な研磨面とすることや、透明窓材4を研磨布5側に、研磨布5の表面とほぼ共面の上面となるように配置することは、当業者が容易になし得たものであるとすることはできても、本件特許発明40のように、研磨パッドを、発泡材料からなり、研磨面を与える第2の非透過性部分と、研磨パッドに形成され、中実な材料からなり、光に対して透過性を有し、研磨面とほぼ共面の上面を有する第1の透過性部分であるプラグからなるものとすることを容易になし得たものであるとすることはできない。その他に、上記の点について、容易になし得たとする証拠は、全証拠を参照しても、格別見当たらない。
(イ)<作用ないし効果>について
本件特許発明40による、「研磨パッドを、発泡材料からなり、研磨面を与える第2の非透過性部分と、研磨パッドに形成され、中実な材料からなり、光に対して透過性を有し、研磨面とほぼ共面の上面を有するプラグからなるものとする」ことにより、本件特許明細書の段落【0029】に記載されたとおりの「プラグ42を通ることによるレーザービームの弱化は最小になる。」という効果を奏するものである。
(ウ)請求項40に対するまとめ
したがって、本件特許発明40は、甲1発明7、甲2ないし甲5記載事項、及び甲第11ないし25号証記載事項から当業者が容易になし得たものとすることはできない。

(16)請求項42に対して
ア 対比
本件特許発明42と甲1発明7とを対比すると、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウィンドウ」に相当する。
後者における「ケミカルメカニカルポリシングを行う研磨装置において用いる」ことは、研磨装置はシステムであるとも言い得るので、前者の「ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いる」ことに相当する。
後者における「ウエハ7に押し付けられる面」が前者の「研磨面」に相当し、後者の「定盤1に支持される面」が前者の「底面」に相当することは明らかである。
後者における「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4が嵌め込まれる」は、「プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる光透過部材を配設する」限りにおいて、前者の「該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え」ることと共通する。
後者の「ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光のための通路を与える」ことは、ウエハ7の中心のみが透明窓材4の上にある時だけ、光をウエハへ入射させるものであるから、前者の「ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、光をウエハに入射させるための通路を与える」ことに相当する。
以上の点から、本件特許発明42と甲1発明7とは、本件特許発明40に関する一致点と同一である<一致点9>で一致し、以下の相違点を有している。
<相違点34>
光透過部材の構造に関して、本件特許発明40では、「該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光に対して透過性を有する前記プラグを備え」ているとして、研磨パッドに光透過部材が設けられているのに対して、甲1発明7では、光透過部材は、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4である点。
<相違点35>
研磨パッドに関して、本件特許発明42では、「第1の透過性部分と、研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、該第2の非透過性部分が、添加物を有する発泡ポリウレタンである」としているのに対して、甲1発明7では、研磨布5の光透過性について不明であり、また、添加物を含有するかどうかも不明な点。
<相違点36>
プラグに関して、本件特許発明40では、「研磨パッドの第2の非透過性部分の表面とほぼ共面の上面を有」しているとしているのに対して、甲1発明7では、研磨布5の光透過性について不明であり、また、透明窓材4の上面の位置について不明な点。
イ 当審の判断
上記相違点のうち、相違点36について検討する。
(ア)<相違点36>について
本件特許発明42は、「前記研磨パッドは、・・・発泡材料からなる研磨面と、・・・を備え、前記研磨パッドの底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、前記研磨パッドは、・・・該第2の非透過性部分が、添加物を有する発泡ポリウレタンであり、前記プラグは前記研磨パッドの第2の非透過性部分の表面とほぼ共面の上面を有」すると特定していることから、結局、本件特許発明42の研磨パッドは、発泡材料のポリウレタンからなり、研磨面を与える第2の非透過性部分と、研磨パッドに形成され、中実な材料からなり、光に対して透過性を有し、研磨面とほぼ共面の上面を有するプラグからなるものである。
一方、甲1発明7では、透明窓材4は透明ガラス製であるから、透明窓材4の上面と発泡材料からなる研磨布5のウエハ7に押し付けられる面とをほぼ共面の上面とするものではない。また、甲2記載事項1は、「ポリシングパッド1による貼り合わせウェーハ11の研磨において、ポリシングパッド1を透明体とし、ポリシングパッド1を透過してレーザ光を照射するもの。」であり、甲3記載事項は、「被加工物1の被加工面6をポリシャ3で研磨するにあたり、石英からなるポリシャ3を透明なものとし、レーザ光線11を照射し、透明なポリシャ3を透過してレーザ光線を照射するもの。」であり、甲4記載事項は、「被加工物2をポリシャ4で研摩するにあたり、合成樹脂からなるポリシャ4を透明なものとし、レーザ光を照射し、透明なポリシャ4を透過してレーザ光を照射するもの。」である。ここで、甲1発明7は、研磨布は発泡材料からなるものであるのに対して、甲2記載事項1の研磨面は全体が透明な部材からなるものであり、甲3記載事項の研磨面は石英からなるものであり、甲4記載事項は合成樹脂からなる透明なものであるので、甲1発明7における研磨面と甲2ないし4記載事項における研磨面とはその材質が異なることは明らかである。そして、ケミカルメカニカルポリシングシステムとは、研磨すべき面を平面化するものであることから、材質の異なる部材を研磨面とすることを想定することはできない。
してみると、甲1発明7に甲2ないし甲4記載事項を適用することにより、全体を透明な研磨面とすることや、透明窓材4を研磨布5側に、研磨布5の表面とほぼ共面の上面となるように配置することは、当業者が容易になし得たものであるとすることはできても、本件特許発明42のように、研磨パッドを、発泡材料からなり、研磨面を与える第2の非透過性部分と、研磨パッドに形成され、中実な材料からなり、光に対して透過性を有し、研磨面である第2の非透過性部分の表面とほぼ共面の上面を有する第1の透過性部分であるプラグからなるものとすることを容易になし得たものであるとすることはできない。その他に、上記の点について、容易になし得たとする証拠は、全証拠を参照しても、格別見当たらない。
(イ)<作用ないし効果>について
本件特許発明42による、「研磨パッドを、発泡材料からなり、研磨面を与える第2の非透過性部分と、研磨パッドに形成され、中実な材料からなり、光に対して透過性を有し、研磨面とほぼ共面の上面を有するプラグからなるものとする」ことにより、本件特許明細書の段落【0029】に記載されたとおりの「プラグ42を通ることによるレーザービームの弱化は最小になる。」という効果を奏するものである。
(ウ)請求項42に対するまとめ
したがって、本件特許発明42は、甲1発明7、甲2ないし甲5記載事項、及び甲第11ないし25号証記載事項から当業者が容易になし得たものとすることはできない。

(17)請求項43、44、46、48、49、51に対して
請求項43は請求項42を引用し、請求項44、46、48、51は請求項40を引用し、請求項49は請求項48を引用しているものである。
ここで、前記(15)において言及したとおり、請求項40は、前記<相違点33>に係る発明特定事項により、甲第1ないし第5号証に記載された発明及び事項から容易になし得たとすることはできないとしたものであるので、当該請求項40による特定事項をすべて含み、さらに、別の特定事項を備える請求項44、46、48、49、51に係る発明も、同様に、前記(15)において言及したとおり、<相違点33>に係る発明特定事項により、甲第1ないし第5号証に記載された発明及び事項から当業者が容易になし得たとすることはできない。
また、前記(16)において言及したとおり、請求項42は、前記<相違点36>に係る発明特定事項により、甲第1ないし第5号証に記載された発明及び事項から容易になし得たとすることはできないとしたものであるので、当該請求項42による特定事項をすべて含み、さらに、別の特定事項を備える請求項43に係る発明も、同様に、前記(16)において言及したとおり、<相違点36>に係る発明特定事項により、甲第1ないし第5号証に記載された発明及び事項から当業者が容易になし得たとすることはできない。

(18)請求項52に対して
ア 対比
本件特許発明52と甲1発明8とを対比すると、後者の「ウエハ7」は前者の「基板」に、後者の「研磨装置」は前者の「装置」に、後者の「研磨布窓6」は前者の「ウィンドウ」に、後者の「研磨布5」は前者の「研磨パッド」に、後者の「光」は前者の「光ビーム」に、後者の「ウエハ支持板8」は前者の「研磨ヘッド」に相当する。
後者の「赤色の範囲を含む」ことは、前者の「赤光の範囲を含む」ことに相当する。
後者における「貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる赤色の範囲を含む光ビームに対して透過性を有する透明窓材4が嵌め込まれ」は、「プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる赤光の範囲を含む光ビームに対して透過性を有する光透過部材を配設する」限りにおいて、前者の「該パッドに形成されたプラグであって、赤光の範囲を含む光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える」ることと共通する。
後者における「ウエハ7に光を照射し」は、前者の「基板に入射する光ビームを発生する」ことに相当する。
後者における「プローブ9」は、光を照射し、反射光を受光するものであるので、「光発生兼測定装置」という限りで、前者の「光源と、基板より反射された光を測定する検出器」と共通する。
後者における「研磨状態の終点を知るもの」は、システムであると言えるものであるから、前者の「終点検出システムとを備える装置」に相当する。
後者の「ウエハ7の中心が該研磨布窓6の上にあるときの一部の間光ビームをウエハ7に入射させるための通路を与える」ことは、ウエハ7の中心のみが透明窓材4の上にある時だけ、光ビームをウエハへ入射させるものであるから、前者の「ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハに入射させるための通路を与える」ことに相当する。
以上の点から、本件特許発明52と甲1発明8とは、以下の一致点、相違点を有している。
<一致点10>
「基板を研磨するための装置であって、
(a)発泡材料からなる研磨面とウィンドウを有する研磨パッドであり、
プラーテンの開口及び研磨パッドのウインドウからなる通路に中実な材料からなる赤光の範囲を含む光ビームに対して透過性を有する光透過部材を配設した、前記研磨パッドと、
(b)基板を研磨面に対して保持するための研磨ヘッドと、
(c)ウィンドウを通過して基板に入射する赤光の範囲を含む光ビームを発生するための光発生兼測定装置を有する終点検出システムとを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハに入射させるための通路を与える装置。」
<相違点37>
研磨パッド及びウィンドウに関して、本件特許発明52では、「発泡材料からなり透過性のない研磨面と中実な透過性のウィンドウを有する」と特定し、また、「前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、赤光の範囲を含む光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え」ているとして、研磨パッドに光透過部材が設けられているのに対して、甲1発明8では、研磨パッドに相当する研磨布5は、発泡材料からなるものの、研磨面と定盤1の溝2と同形に切り抜かれた研磨布窓6を有するものであり、また、赤色の範囲を含む光透過部材は、貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の中実な材料からなる透明窓材4である点。
<相違点38>
光発生兼測定装置に関して、本件特許発明52では、「光源と、基板より反射された光を測定する検出器」としているのに対して、甲1発明8では、光を照射しその反射光を受光するプローブ9である点。
イ 当審の判断
上記相違点について検討する。
(ア)<相違点37>について
相違点37に関し、本件特許発明52は、「発泡材料からなり透過性のない研磨面と中実な透過性のウィンドウを有する研磨パッドであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、赤光の範囲を含む光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える」である。一方、甲1発明8は、「発泡材料からなり研磨面と研磨布窓6を有する研磨布5であり、貫通孔3の溝2側には、透明ガラス製の中実な材料からなる赤色の範囲を含む光ビームに対して透過性を有する透明窓材4が嵌め込まれる」である。透明窓材4が光ビームを透過するものであることは明らかであることから、両者の違いは、光ビームを透過する部材に関して、本件特許発明52では、「パッドに形成されたプラグ」としているものであるのに対して、甲1発明8では、「貫通孔3の溝2側に嵌め込まれた透明ガラス製の透明窓材4」である点と、本件特許発明52では、研磨面を「透過性のない」ものとしているのに対して甲1発明8では、研磨面の透過性について不明な点の2点である。
ここで、第1の点については、「プラグ」と「透明窓材4」の違いに格別な点を見出すことができず、結局、両者の違いは、光ビームを透過する部材を本件特許発明52では研磨パッドに形成すると特定し、甲1発明8ではプラーテンに相当する定盤1の貫通孔3に設けているとしていることから、両者の違いは、光ビームを透過する部材を設ける位置の違いだけである。
しかしながら、(2)イ(エ)で言及したとおり、光ビームを透過する部材を、研磨する部材側に設けることが甲2記載事項1、甲3記載事項、甲4記載事項に記載されているように周知の事項であるので、甲1発明4においても、透明窓材4を、研磨パッドに相当する研磨布5に形成することは、当業者が容易になし得たものである。
また、第2の点については、研磨布が発泡材料からなる点では本件特許発明52も甲1発明8も同じであり、研磨布を透過性のないものと特定したことだけによる特別な作用ないし効果が見当たらないことからすれば、この点は、単なる設計的事項に過ぎない。
(イ)<相違点38>について
光源と光の測定装置を別の装置とすることは周知の事項であるので、甲1発明8においても、そのプローブ9に代えて、光源と、ウエハ7から反射された光を測定する検出器とを別の装置として設ける構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。
(ウ)<作用ないし効果>について
本件特許発明52によってもたらされる作用ないし効果も、甲1発明8、甲2ないし4記載事項から予測可能なものであって、格別なものではない。
(オ)請求項52に対するまとめ
したがって、本件特許発明52は、甲1発明8、甲2ないし甲4記載事項から当業者が容易になし得たものである。


第8 むすび
以上のとおりであるから、本件特許発明9、18-20、24-25、27-32、39、52は、甲第1号証ないし甲第5号証に記載された発明ないし周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
また、請求人の主張する無効理由及び証拠方法によっては、本件特許発明1、40、42-44、46、48-49、51について、無効とすることはできない。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第64条の規定により、その99分の38を請求人の負担とし、99分の61を被請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

平成24年 2月21日
審判長 特許庁審判官 略
特許庁審判官 略
特許庁審判官 略
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ケミカルメカニカルポリシングの操作をインシチュウでモニタするための装置及び方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、
(a)シャシに回転自在に設置され、ホール(孔)を自身に有する回転可能な研磨プラーテンと、
(b)プラーテンに設置され、研磨スラリによりウェットで、プラーテンのホールと調心されたウィンドウを有する、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え、前記プラグは前記研磨パッドの表面とほぼ共面の上面を有する、前記研磨パッドと、
(c)研磨パッドに対してウエハを保持するための、回転可能な研磨ヘッドであって、このウエハが酸化物層の下の半導体基板を備える、前記研磨ヘッドと、
(d)ウエハへ向けてレーザービームを発生させることが可能であり且つウエハ及びホール(孔)から反射されてくる光を検出することが可能なレーザー干渉計を有する終点検出器とを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間にレーザービームをウエハへ入射させるための通路を与える装置。
【請求項2】ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、
(a)シャシに回転自在に設置され、ホール(孔)を自身に有する回転可能な研磨プラーテンと、
(b)プラーテンに設置され、研磨スラリによりウェットで、プラーテンのホールと調心されたウィンドウを有する研磨パッドであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備える、前記研磨パッドと、
(c)研磨パッドに対してウエハを保持するための、回転可能な研磨ヘッドであって、このウエハが酸化物層の下の半導体基板を備える、前記研磨ヘッドと、
(d)ウエハへ向けてレーザービームを発生させることが可能であり且つウエハ及びホール(孔)から反射されてくる光を検出することが可能なレーザー干渉計を有する終点検出器とを備え、該プラーテンの中の該ホールと該ウィンドウとが、該プラーテンの回転中心と一致する原点からある半径を有する円弧形状であり、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間にレーザービームをウエハへ入射させるための通路を与える装置。
【請求項3】ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、
(a)シャシに回転自在に設置され、ホール(孔)を自身に有する回転可能な研磨プラーテンと、
(b)プラーテンに設置され、研磨スラリによりウェットで、プラーテンのホールと調心されたウィンドウを有する、研磨パッドであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備える、前記研磨パッドと、
(c)研磨パッドに対してウエハを保持するための、回転可能な研磨ヘッドであって、このウエハが酸化物層の下の半導体基板を備える、前記研磨ヘッドと、
(d)ウエハへ向けてレーザービームを発生させることが可能であり且つウエハ及びホール(孔)から反射されてくる光を検出することが可能なレーザー干渉計を有する終点検出器とを備え、該終点検出器が更に、レーザー干渉計によって発生するレーザービームが妨害されずに該ウィンドウを通過して該ウエハに入射するように、ウィンドウがウエハに近接しているときを感知するための位置センサを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間にレーザービームをウエハへ入射させるための通路を与える装置。
【請求項4】(a)該レーザー干渉計が、ウエハから反射される光が検出される毎に検出信号を発生させるための手段を備え、
(b)該位置センサが、該レーザー干渉計によって発生するレーザービームが妨害されずに該ウィンドウを通過して該ウエハに入射できるように、ウィンドウがウエハに近接する毎に感知信号を出力するための手段を備え、
(c)該終点検出器が更に、該位置センサから信号を検知する期間のために該レーザー干渉計からの検出信号をサンプリングするための、該レーザー干渉計と該位置センサとに接続されたデータ取得手段を備え、該データ取得手段はサンプリングされた検出信号を代表するデータ信号を出力するための手段を備える請求項3に記載の装置。
【請求項5】該データ取得手段が(a)該レーザー干渉計からサンプリングされた検出信号を所定の時間にわたって積分するための手段を備え、(b)該出力するための該手段は該検出信号の積分されたサンプルを代表するデータ信号を出力する請求項4に記載の装置。
【請求項6】該出力するための該手段によって出力されるデータ信号が、周期的であり、且つ、該終点検出器が更に、
(a)データ信号によって現れるサイクルの数を計数するための手段と、
(b)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、データ信号の1サイクル中に除去される材料の厚さを計算するための手段と、
(c)酸化物層から除去されるべき材料の所望の厚さを、該計数するための該手段によりデータ信号により現れたサイクルの数と、該計算するための該手段から1サイクル中に除去される材料の厚さとの積である、除去厚さと比較するための手段と、
(d)該除去厚さが、除去されるべき材料の所望の厚さ以上になったときにCMPを終了させるための手段とを備える請求項4に記載の装置。
【請求項7】該出力するための該手段によって出力されるデータ信号が周期的であり、且つ、該終点検出器が更に、
(a)(i)所定のサイクルの数又は(ii)1サイクルの所定の部分の一方のそれぞれが生じた後に、これらの一方を完結するためにデータ信号により要求される時間を測定するための手段と、
(b)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、該測定するための該手段によって測定される時間の間に除去される材料の厚さを計算するための手段と、
(c)除去の速度を算出するための手段であって、該算出するための該手段は、除去される材料の厚さを該測定するための該手段から得られる測定された時間で除する、該算出するための手段と、
(d)残りの除去厚さを確定するための手段であって、該確定するための該手段は、酸化物層から除去されるべき所望の材料の厚さから除去された材料の厚さの累積を減じ、前記除去された材料の厚さの累積は、(i)所定のサイクルの数又は(ii)1サイクルの所定の部分の一方のそれぞれが生じた後に、該計算するための該手段によって計算され、除去された材料の厚さを総和するための手段によって与えられる、前記確定するための手段と、
(e)残りのCMP時間を確立するための手段であって、前記確立するための前記手段は、残りの除去厚さを除去の速度で除する、前記確立するための手段と
(f)残りのCMPの時間がなくなった後CMPを終了させるための手段とを備える請求項4に記載の装置。
【請求項8】ウエハが最初は不均一な局所構造を有し、CMPの間に平坦化され、該出力するための手段によって出力されるデータ信号がウエハの表面が平坦化された後だけ周期的であり、終点検出器が更に、
(a)データ信号の周期的変化を検出するための手段と、
(b)該検出するための手段がデータ信号の周期的変化を検出したときにCMPを終了させるための手段とを備える請求項4に記載の装置。
【請求項9】酸化物層の下に半導体基板を備えるウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)のための方法であって、該方法は、
(a)ウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、該回転可能な研磨ヘッドの下の研磨パッドに対して保持するステップであって、該パッドは発泡材料からなる表面を有し、研磨スラリによってウェットとなっている、該保持するステップと、
(b)CMPが終了した終点を決定するステップであって、該終点を決定するステップは、
(b1)赤光の範囲を含むレーザービームをウエハに向けて発するステップであって、該レーザービームは、プラーテン内に形成されたホール(孔)に近接するように配置された該研磨パッドに含まれるウィンドウを通過し、前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え、該ウィンドウは、ウエハが該ウィンドウの上にあるときの時間の一部の間レーザービームのための通路を与える、該発するステップと、
(b2)ウエハから反射する赤光の範囲を含む光を検出するステップとを備える前記決定するステップとを備える方法。
【請求項10】酸化物層の下に半導体基板を備えるウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)のための方法であって、該方法は、
(a)ウエハを、回転可能な研磨ヘッド内に、該回転可能な研磨ヘッドの下の研磨パッドに対して保持するステップであって、該パッドは研磨スラリによってウェットとなっている、該保持するステップと、
(b)CMPが終了した終点を決定するステップであって、該終点を決定するステップは、
(b1)レーザービームをウエハに向けて発するステップであって、該レーザービームは、プラーテン内に形成されたホール(孔)に近接するように配置された該研磨パッドに含まれるウィンドウを通過し、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該レーザービームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該レーザービームに対して透過性を有する前記プラグを備え、該ウィンドウは、ウエハが該ウィンドウの上にあるときの時間の一部の間レーザービームのための通路を与える、該発するステップと、
(b2)ウエハから反射する光を検出するステップとを備える前記決定するステップとを備え、該決定するステップが、ウィンドウがウエハに近接してレーザービームが妨害されずにウィンドウを通過してウエハに入射するときを感知するステップを備える方法。
【請求項11】(a)該検出するステップが、ウエハから反射される光が検出される毎に検出信号を発生するステップを備え、
(b)該感知するステップが、該レーザー干渉計によって発生するレーザービームが妨害されずに該ウィンドウを通過して該ウエハに入射できるように、ウィンドウがウエハに近接する毎に感知信号を出力するステップを備え、
(c)該決定するステップが、データ取得のステップを備え、該データ取得のステップが、
(c1)感知信号の期間のためにレーザー干渉計から検出信号をサンプリングするステップと、
(c2)サンプリングされた検出信号を代表するデータ信号を出力するステップとを備える請求項10に記載の方法。
【請求項12】該データ取得のステップが更に、
(a)所定の期間の間の時間にわたって、サンプリングされた検出信号を積分するステップを備え、
(b)該出力するステップが、検出信号の積分サンプルを代表するデータ信号を出力するステップを備える請求項11に記載の方法。
【請求項13】データ信号が周期的であり、且つ、該決定のステップが更に、
(a)データ信号によって現れるサイクルの数を計数するステップと、
(b)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、データ信号の1サイクル中に除去される材料の厚さを計算するステップと、
(c)酸化物層から除去されるべき材料の所望の厚さを、該計数するための該手段によりデータ信号により現れたサイクルの数と、該計算するための該手段から1サイクル中に除去される材料の厚さとの積である、除去厚さと比較するステップと、
(d)該除去厚さが、除去されるべき材料の所望の厚さ以上になったときにCMPを終了させるためのステップとを備える請求項11に記載の方法。
【請求項14】データ信号が周期的であり、且つ、該決定のステップが更に、
(a)(i)所定のサイクルの数又は(ii)1サイクルの所定の部分の一方を完結するためにデータ信号により要求される時間を測定するステップと、
(b)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、該測定するための該手段によって測定される時間の間に除去される材料の厚さを計算するステップと、
(c)除去される材料の厚さを測定された時間で除して除去の速度を算出するステップと、
(d)酸化物層から除去されるべき所望の材料の厚さから、除去された材料の厚さを減じて、残りの除去厚さを確定するステップと、
(e)残りの除去厚さを除去の速度で除して、残りのCMP時間を確立するステップと、
(f)残りのCMPの時間がなくなった後CMPを終了させるステップとを備える請求項11に記載の方法。
【請求項15】ウエハが最初は不均一な局所構造を有し、CMPの間に平坦化され、該出力するための手段によって出力されるデータ信号がウエハの表面が平坦化された後だけ周期的であり、該決定するステップが更に、
(a)データ信号の周期的変化をサーチするステップと、
(b)データ信号に周期的変化が見つけられたときにCMPを終了させるステップとを備える請求項11に記載の方法。
【請求項16】ウエハが最初は不均一な局所構造を有し、CMPの間に平坦化され、該出力するための手段によって出力されるデータ信号がウエハの表面が平坦化された後だけ周期的であり、該決定するステップが更に、
(a)データ信号をフィルタにかけて、所定の周波数を有している成分だけを通過させるステップと、
(b)フィルタがかけられたデータ信号によって現れるサイクルの数を計数するステップと、
(c)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、データ信号の1サイクル中に除去される材料の厚さを計算するステップと、
(d)酸化物層から除去されるべき材料の所望の厚さを、フィルタがかけられたデータ信号により現れたサイクルの数と、1サイクルの間に除去される材料の厚さとの積である、除去厚さと比較するステップと、
(e)該除去厚さが、除去されるべき材料の所望の厚さ以上になったときにCMPを終了させるためのステップとを備える請求項11に記載の方法。
【請求項17】ウエハが最初は不均一な局所構造を有し、CMPの間に平坦化され、該出力するための手段によって出力されるデータ信号がウエハの表面が平坦化された後だけ周期的であり、該決定するステップが更に、
(a)データ信号をフィルタにかけて、所定の周波数を有している成分だけを通過させるステップと、
(b)フィルタがかけられたデータ信号によって現れるサイクルの一部が生じる数を計数するステップと、
(c)レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とを用いて、データ信号のサイクルの一部の間に除去される材料の厚さを計算するステップと、
(d)酸化物層から除去されるべき材料の所望の厚さを、フィルタがかけられたデータ信号により現れたサイクルの一部が生じる数と、サイクルの一部の間に除去される材料の厚さとの積である、除去厚さと比較するステップと、
(e)該除去厚さが、除去されるべき材料の所望の厚さ以上になったときにCMPを終了させるためのステップとを備える請求項11に記載の方法。
【請求項18】ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において、基板上の表面層の状態の均一性を、前記層の研磨の最中に測定するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ赤光の範囲を含む光ビームを向けるステップであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記赤光の範囲を含む光ビームによって生じる干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するステップとを備える方法。
【請求項19】前記計算するステップが、前記干渉信号から特徴情報を抽出するステップと、前記抽出された特徴情報から表面層の状態の均一性の前記尺度を計算するステップとを備える請求項18に記載の方法。
【請求項20】表面層の状態の均一性の前記尺度を参考値と比較するステップと、表面層の状態の均一性の前記尺度が該参考値から所定の量以上広がったときに警告を発するステップとを更に備える請求項19に記載の方法。
【請求項21】ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において、基板上の表面層の状態の均一性を、前記層の研磨の最中に測定するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ光ビームを向けるステップであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記光ビームによって生じる干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するステップとを備え、
前記計算するステップが、前記干渉信号から特徴情報を抽出するステップと、前記抽出された特徴情報から表面層の状態の均一性の前記尺度を計算するステップとを備え、
前記干渉信号が低周波数成分を含み、前記抽出するステップが、前記低周波数成分の第1の特性を測定するステップと、前記第1の特性から前記抽出された情報を誘導するステップとを備える方法。
【請求項22】前記干渉計信号が高周波成分を含み、前記抽出するステップが、前記高周波数成分の第2の特性を測定するステップと、前記第1の特性及び前記第2の特性から前記抽出された情報を誘導するステップと、を備える請求項21に記載の方法。
【請求項23】前記第1の特性が前記低周波数信号の振幅であり、前記第2の特性が前記高周波数信号の振幅であり、前記誘導するステップが、前記高周波信号の振幅と前記低周波信号の振幅との比を計算するステップを備える請求項22に記載の方法。
【請求項24】ウエハのケミカルメカニカルポリシング(CMP)において、層を自身の上に有する基板を研磨するための研磨プロセスの特性を評価するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、発泡材料からなる表面を有する研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ赤光の範囲を含む光ビームを向けるステップであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記赤光の範囲を含む光ビームによって発生する干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から干渉計波形を抽出するステップと、
(d)前記抽出された干渉計波形を保存されている情報と比較するステップであって、前記保存されている情報は、該研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、前記比較するステップと、
(e)前記抽出された干渉計波形が前記保存されている情報から所定の量以上広がったとき、警告を発するステップとを備える方法。
【請求項25】干渉信号を、オペレータが見ることができるように、視覚的なディスプレイ装置上に表示するステップを更に備える請求項24に記載の方法。
【請求項26】層を自身の上に有する基板を研磨するための研磨プロセスの特性を評価するインシチュウの方法であって、
(a)研磨の最中に、研磨パッドに含まれるウィンドウを通して前記層の方へ光ビームを向けるステップであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記向けるステップと、
(b)前記基板から反射されてくる前記光ビームによって発生する干渉信号をモニタするステップと、
(c)前記干渉信号から干渉計波形を抽出するステップと、
(d)前記抽出された干渉計波形を保存されている情報と比較するステップであって、前記保存されている情報は、該研磨プロセスに対して望ましい操作のポイントを代表している、前記比較するステップと、
(e)前記抽出された干渉計波形が前記保存されている情報から所定の量以上広がったとき、警告を発するステップとを備え、前記抽出するステップが、前記干渉信号から研磨速度を決定するステップと、前記干渉信号から均一性の尺度を決定するステップと、を備え、前記比較するステップが、前記研磨速度及び均一性の前記尺度を前記保存されている情報と比較するステップを備える方法。
【請求項27】ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための基板研磨システムであって、
(a)処理中に、中実な透明ウィンドウを有する発泡材料からなる表面を有する研磨パッドを保持するプラーテンであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え、前記ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、
前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)処理中に、前記研磨パッドの前記ウィンドウを通して、研磨されるべき基板の側部に向けられ且つ入射するコリメートされた赤光の範囲を含む光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は干渉信号を発生する、前記干渉計と、
(d)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するようにプログラミングされたデータプロセッサとを備える研磨システム。
【請求項28】前記研磨ヘッドが、処理中に回転できるように、回転可能となっている請求項27に記載の研磨システム。
【請求項29】前記プラーテンが、処理中に回転できるように、回転可能となっている請求項28に記載の研磨システム。
【請求項30】前記干渉計が、レーザー干渉計である請求項29に記載の研磨システム。
【請求項31】前記データプロセッサが更に、前記干渉信号から特徴情報を抽出することと、前記抽出された特徴情報から均一性の前記尺度を計算することと、をプログラミングされている請求項29に記載の研磨システム。
【請求項32】前記データプロセッサが更に、均一性の前記尺度を参考値と比較することと、均一性の前記尺度が該参考値から所定の量以上広がったときに警告を発することと、をプログラミングされている請求項31に記載の研磨システム。
【請求項33】基板研磨システムであって、
(a)処理中に、中実な透明ウィンドウを有する研磨パッドを保持するプラーテンであり、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、
前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)処理中に、前記研磨パッドの前記ウィンドウを通して、研磨されるべき基板の側部に向けられ且つ入射するコリメートされた光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は干渉信号を発生する、前記干渉計と、
(d)前記干渉信号から表面層の状態の均一性の尺度を計算するようにプログラミングされたデータプロセッサとを備え、
前記研磨ヘッドが、処理中に回転できるように、回転可能となっており、前記プラーテンが、処理中に回転できるように、回転可能となっており、前記データプロセッサが更に、前記干渉信号から特徴情報を抽出することと、前記抽出された特徴情報から均一性の前記尺度を計算することと、をプログラミングされており、前記データプロセッサが更に、均一性の前記尺度を参考値と比較することと、均一性の前記尺度が該参考値から所定の量以上広がったときに警告を発することと、をプログラミングされており、前記干渉信号が低周波数成分を含み、前記データプロセッサが、前記低周波数成分の第1の特性を測定することと、前記第1の特性から前記抽出された情報を誘導することと、により特徴情報を抽出するようにプログラミングされている研磨システム。
【請求項34】前記干渉信号が高周波数成分を含み、前記データプロセッサが、前記高周波数成分の第2の特性を測定することと、前記第2の特性から前記抽出された情報を誘導することと、により特徴情報を抽出するようにプログラミングされている請求項33に記載の研磨システム。
【請求項35】前記第1の特性が前記低周波数信号の振幅であり、前記第2の特性が前記高周波数信号の振幅であり、前記データプロセッサが、前記高周波信号の振幅と前記低周波信号の振幅との比を計算することにより特徴情報を抽出するようにプログラミングされている請求項34に記載の研磨システム。
【請求項36】基板を研磨するための装置であって、前記装置は、
(a)処理中に研磨パッドを保持するプラーテンであって、前記プラーテンは内部に通路を有する、前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)コリメートされた光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は、少なくとも研磨操作の一部の間に前記光ビームを前記通路に向け前記基板上に入射するように、配置される、前記干渉計と、
(d)前記研磨パッドに含まれ、前記ホールないし通路と調心され且つ基板へと通過する光ビームが通るウィンドウであって、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、該光ビームに対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、該光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備え、
干渉計から到達する光ビームを受容する散乱面を有する、前記ウィンドウとを備える装置。
【請求項37】前記プラーテン上に載置される研磨パッドを更に備え、前記ウィンドウは、前記研磨パッド内に形成され前記通路と調心される請求項36に記載の装置。
【請求項38】ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、干渉計からの光に対して透過性を有し、散乱底面を有すると共に、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備える、
研磨パッド。
【請求項39】ウエハに対してケミカルメカニカルポリシング(CMP)を行うための装置であって、前記装置は、
(a)処理中に研磨パッドを保持するプラーテンであり、前記パッドは、発泡材料からなる表面と中実な透明ウィンドウを有し、
前記ウィンドウは、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備えて、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える、前記プラーテンと、
(b)処理中に基板をプラーテン上の研磨パッドに対して保持する研磨ヘッドと、
(c)コリメートされた赤光の範囲を含む光ビームを発生させることが可能な干渉計であって、前記干渉計は、少なくとも研磨操作の一部の間に前記光ビームを前記ウィンドウに向け前記基板上に入射するように配置されて、研磨プロセスのインシチュウによるモニタリングを与える、前記干渉計と、
(d)前記干渉計からの周期信号を解析し、該周期信号から研磨の終点を検出するプロセッサとを備える装置。
【請求項40】ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)発泡材料からなる研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、前記研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、前記プラグは前記研磨パッドの第2の非透過性部分の表面とほぼ共面の上面を有し、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与える研磨パッド。
【請求項41】ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、前記研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、該第1の透過性部分が、中実なポリウレタンである研磨パッド。
【請求項42】ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)発泡材料からなる研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、該第2の非透過性部分が、添加物を有する発泡ポリウレタンであり、前記プラグは前記研磨パッドの第2の非透過性部分の表面とほぼ共面の上面を有し、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与える研磨パッド。
【請求項43】該添加物が微粒子を有することで、該第2の部分がマイクロポーラス構造を有するようにする請求項42に記載の研磨パッド。
【請求項44】該第2の非透過性部分が、オープンセルの構造を有する請求項40に記載の研磨パッド。
【請求項45】ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)発泡材料からなる研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、該パッドに形成された中実な材料からなるプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、前記研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、光をウエハへ入射させるための通路を与える研磨パッドであって、該第1の透過性部分が、該研磨面とほぼ共面の上面を有する研磨パッド。
【請求項46】該研磨面と反対側に底面を更に有する請求項40に記載の研磨パッド。
【請求項47】ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、該第1の透過性部分とほぼ調心されたアパーチャが底面に形成される、研磨パッド。
【請求項48】研磨パッドが、研磨面を有する第1の層と、研磨面と反対側の第2の層とを有する請求項40に記載の研磨パッド。
【請求項49】該第1の透過性部分が、第1の層に形成される請求項48に記載の研磨パッド。
【請求項50】ケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドであって、前記研磨パッドは、
(a)研磨面と、
(b)底面と、
を備え、前記研磨パッドの前記底面及び前記研磨面の中にはウィンドウが形成され、前記ウィンドウは、光に対して透過性を有すると共に、
(i)前記ウィンドウは、該研磨パッドの一部であって、前記光に対して少なくとも部分的に透過性を有する該研磨パッドの前記一部を備え、又は
(ii)前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、前記光に対して透過性を有する前記プラグを備え、
前記研磨パッドは、第1の透過性部分と、前記研磨面を与える第2の非透過性部分とを備え、研磨面を有する第1の層と、研磨面と反対側の第2の層とを有し、第1の層の該透過性部分とほぼ調心されたアパーチャが第2の層に形成される研磨パッド。
【請求項51】研磨パッドが、自身に形成されたアパーチャを有し、透過性部分がアパーチャ内に位置をとるプラグを備える請求項40に記載の研磨パッド。
【請求項52】基板を研磨するための装置であって、
(a)発泡材料からなり透過性のない研磨面と中実な透過性のウィンドウを有する研磨パッドであり、前記ウィンドウは、該パッドに形成されたプラグであって、赤光の範囲を含む光ビームに対して透過性を有する前記プラグを備える、前記研磨パッドと、
(b)基板を研磨面に対して保持するための研磨ヘッドと、
(c)ウィンドウを通過して基板に入射する赤光の範囲を含む光ビームを発生するための光源と、基板より反射された光を測定する検出器とを有する終点検出システムとを備え、前記ウィンドウは、ウエハが前記ウィンドウの上にある時は、周期時間の少なくとも一部の間に光ビームをウエハへ入射させるための通路を与える装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体の製造に関し、特に、ケミカルメカニカルポリシング(chemical mechanical polishing:CMP)及びCMPプロセス中のインシチュウ(in-situ)終点検出に関する。
【0002】
【従来の技術】現代の半導体集積回路(IC)製造のプロセスにおいては、先に形成された層や構造の上に様々な材料の層や構造を形成することが必要となる。しかし、先に形成される際に、プロセス中のウエハの上面の局所構造において、隆起物、高低差のある部分、谷間、溝、及び/又はその他の表面の不均一さが現れ、非常に不均一となることがしばしばである。次の層を形成する際に、これらの不均一さが問題を生じさせる。例えば、先に形成された層の上に細かい幾何的構造をもつフォトリソグラフィのパターンを転写する場合は、フォーカスを非常に浅くする必要がある。従って、表面は平坦で平面的であることが不可欠であり、そうでなければ、パターンの中でフォーカスが合っている部分とそうでない部分とが生じることになる。実際、表面の変動は、25x25mmのダイの上に1000オングストローム未満のオーダーである事が好ましい。更に、主要な処理ステップにおいてこの不均一性をならしておかなければ、ウエハ表面の局所構造が更に不均一となり、その先の処理において積層を重ねる際に更に問題が生じることとなる。用いるダイの種類や幾何的なサイズによっては、この表面の不均一性が、収率やデバイスの性能を悪化させる。従って、IC構造体に何等かの平坦化(プラナリゼーション(planarization))やレベリング(leveling)を行うことが望ましい。実際、多くの高密度ICの製造技術では、製造プロセスにおける重要な局面において、ウエハ表面を平坦化する方法を使用できるようになっている。
【0003】半導体ウエハの平坦化又は局所構造の除去を実現する方法の1つに、ケミカルメカニカルポリシング(CMP)がある。一般的には、ケミカルメカニカルポリシング(CMP)プロセスは、圧力を制御した状態で、する研磨プラーテンに対してウエハを保持し又は回転させる。図1に示されるように、典型的なCMP装置10は、研磨プラーテン16に対してウエハ14を保持するための研磨ヘッド12を有している。研磨プラーテン16は、パッド18によって覆われている。このパッド18は典型的には裏張り層20を有し、これは、ウエハ14を研磨するためにケミカルポリシングスラリと共に用いられるカバー層22とプラーテンとの間のインターフェースとなっている。しかし、パッドの中には、カバー層のみを有し裏張り層を有していないものもある。カバー層22は、通例は、オープンセル発泡ウレタン(例えばRodel IC1000)又はグルーブのある表面を有するポリウレタンシート(例えばRodel EX2000)である。このパッド材料は、研磨剤と化学品とを含有するケミカルポリシングスラリによってウェットな状態となっている。典型的なケミカルポリシングスラリの1例は、KOH(水酸化カリウム)とヒュームドシリカ粒子(fumed-silica particles)とを含有している。プラーテンは、通常は自身の中心軸24の回りに回転している。更に、通常は研磨ヘッドが自身の中心軸26の回りに回転し、平行移動アーム28を介してプラーテンの表面の端から端まで平行移動する。図1には研磨ヘッドが1つしか示されていないが、CMP装置には、典型的には、このようなヘッドが1つ以上研磨プラーテンの周方向に間隔をおいて配置される。
【0004】ある部分が所望の平面度又は相対厚さまで平坦化されたかどうかを決定することに、CMPプロセスの最中に生じる特有の問題がある。一般に、所望の表面特性や平坦状態に達したときを検出する必要がある。このことは、様々な方法によって実施されてきた。当初は、CMPプロセスの最中にウエハの性質をモニタすることは不可能であった。典型的には、ウエハをCMP装置から取り出して別の場所で評価していた。ウエハが所期のスペックに適合していなければ、CMP装置に再び戻されて、再処理がなされていた。これは、時間がかかり、しかも人手を要する手法である。あるいは、材料が過剰に除去されてから初めて試験の結果がわかることもあり、その部分を使用不可能にしてしまうこともあった。従って、従来技術においては、CMPプロセスの最中にインシチュウで、所望の表面性質又は厚さが達せられたときを検出することが可能な装置が必要であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】CMPプロセスの最中に終点をインシチュウに検出するために、様々な装置や方法が開発されてきた。例えば、超音波の使用と結び付いた装置及び方法や、機械的抵抗、電気的インピーダンスないしウエハ表面温度と結び付いた装置及び方法が用いられてきた。これらの装置や方法は、ウエハやその層の厚さを決定することに依拠し、厚さの変化をモニタすることによりプロセスの終点を確定することに依拠している。ウエハの表面の層が薄くなるようなケースでは、厚さの変化を用いて、表面の層がいつ所望の深さになったかを検出する。また、パターニングを有する表面が不均一なウエハを平坦化するケースでは、厚さの変化をモニタし、表面の不均一度のおよその深さを知ることにより、終点が決定される。厚さの変化が不均一度の深さと等しくなったときに、CMPプロセスが終了する。これらの装置及び方法は、意図していた用途に対してそこそこ良好であったが、更に正確に終点の決定をすることができるシステムがなお必要である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、研磨プロセスに関して正確性を向上し更に有用な情報を与えるために用いる事ができる終点の検出器及び方法を目指すものである。本発明の装置及び方法は、CMPプロセスの最中に、除去された材料の厚さ又はウエハ表面の平坦度をインシチュウに決定するための、干渉による技術を採用する。
【0007】具体的には、研磨パッドが上についた回転可能な研磨プラーテンと、ウエハを研磨パッドに対して保持するための回転可能な研磨ヘッドと、終点検出器とを用いるケミカルメカニカルポリシング(CMP)の装置及び方法によって、前述の目的が達せられる。研磨パッドは裏張り層を有しており、この裏張り層は、ケミカルスラリによってウェットな状態となっておりウエハとのインターフェースの役割をするカバー層と、プラーテンとの、インターフェースの役目をする。ウエハは、酸化物層の下にある半導体基板から構成されている。そして、終点検出器は、レーザー光(レーザービーム)をウエハに向けて発する事が可能で且つ反射してくる光を検出することが可能なレーザー干渉計と、プラーテンを貫通して形成されているホール(穴)に近接して配置されるウィンドウとを有している。このウィンドウは、少なくともウエハがウィンドウの上方にある間は、ウエハに入射するレーザー光のための通路の役割を果たす。
【0008】このウィンドウは、幾つかの形態が可能である。これらの中には、プラーテンホールの内部に取り付けられるインサートが挙げられる。このインサートはレーザー光に対し透過性の高い、例えばクオーツ等の材料で出来ている。このウィンドウの構成では、インサートの上面は、プラーテンの表面よりも上に突き出ており、また、プラーテンから遠ざかるように延長しているため、ウエハがパッドに対して保持されているときは常に、インサートの上面とウエハとの間にギャップが形成されている。インサートをウエハに接触させずに、このギャップを出来るだけ小さくする方が好ましい。あるいは、ウィンドウは、隣接する裏張り層がそこから取り除かれた後の研磨パッドの一部分の形態であってもよい。ポリウレタンカバー層は少なくとも一部分がレーザー光に対して透過性を有しているため、この形態が可能である。最後に、ウィンドウは、パッドのカバー層に形成されたプラグの形態で裏張り層を有していない形態であってもよい。このプラグは、好ましくは、レーザー光に対して透過性の高いポリウレタン材料製である。
【0009】本発明の1つの具体例では、プラーテンを貫くホール(穴)とウィンドウとは、円形である。別の具体例では、ホールとウィンドウとは円弧形である。この円弧形のウィンドウは、プラーテンの回転の中心と一致する原点からある半径をもって構成される。本発明のいくつかの具体例も、ウエハに入射している所のビームの直径が、用いている波長に対して可能な限り最小の直径に比べて非常に大きいレーザー光を有している。
【0010】また、CMP装置は、ウィンドウがウエハに近接したときを感知する位置センサを有していてもよい。これにより、レーザー干渉計によって発せられたレーザー光が障害なくウィンドウを通過しウエハに入射する事が可能となる。本発明の好ましい具体例では、係るセンサは、放射方向外側へ伸びるプラーテン外縁の部分に沿って取り付けられているフラグを有している。更に、プラーテンの外縁でシャシに取り付けられた光学的干渉タイプのセンサを有している。このセンサは光ビームを発することが可能であり、フラグによってこの光ビームが干渉されたときだけ発せられる信号を生じさせる。従って、レーザービームが障害なしにウィンドウを通りウエハへ入射できるときはいつでも、光ビームがフラグによって干渉されるような、プラーテン上の位置に、フラグは取り付けられる。
【0011】更に、レーザー干渉計は、ウエハから反射してくる光が検出されるときは常に検出信号を発するための装置を有し、また、位置センサは、ウィンドウがウエハに近接しているときは常に感知信号を出力するための要素を有している。このことにより、データ取得装置が、位置センサからの感知信号の継続時間のための、レーザー干渉計からの検出信号をサンプリングする事が可能となる。そして、このデータ取得装置は、サンプリングされた検出信号を代表するデータ信号を出力するための要素を利用する。また、このデータ取得装置は、レーザー干渉計から所定の時間にわたってサンプリングされた検出信号を積分し、この検出信号をサンプリングして積分したものを代表するデータ信号を出力する要素を有している。プラーテンが一周する間に前述の所定のサンプリング時間が得られない場合は、別の区分的データサンプリング方法を利用してもよい。具体的には、あるサンプリング時間に対してプラーテンが完全に一周するそれぞれの一周の間にレーザー干渉計から出力される検出信号をサンプリングする方法を実行し、検出信号の各サンプルをサンプリング時間にわたって積分して各サンプルに対応する積分値を作り出し、そして、各積分値を保存するための、要素を、データ取得装置は有していてもよい。また、プラーテンが完全に一周するその各一周の後の累積サンプリング時間を計算し(この累積サンプリング時間が、検出信号の各サンプルに対するサンプリング時間の総和である場合)、この累積サンプリング時間を所望の最小サンプリング時間と比較し、そして、累積サンプリング時間が所定の最小サンプリング時間以上であった場合は保存された積分値を積分要素から総和を計算するための要素へと転送するための、別の要素を、データ取得装置は利用する。従って、前述の出力は、この総和の要素からの積分値の系列を表すデータ信号である。
【0012】データ取得装置によるデータ信号の出力は、CMPプロセスの最中に酸化物層が薄くなるにつれて、ウエハの酸化物層の表面から反射されるレーザービームの部分とこの下のウエハ基板の表面から反射される部分との間で干渉が生じる事により、周期的なものである。従って、ブランク酸化物(blank oxide)ウエハの酸化物層を薄くするCMPプロセスの終点は、データ信号によって現れるサイクルの数を計数し、レーザービームの波長とウエハの酸化物層の反射係数とから出力信号の1サイクルの間に除去される材料の厚さを計算し、酸化物から除去されるべき材料の所望の厚さを、データ信号により現れるサイクルの数と1サイクルの間に除去される材料の厚さとの積を備えた除去厚さと比較し、この除去厚さが除去されるべき材料の所望の厚さ以上になったときにCMPを終了させるための、付加的な装置要素を用いて、決定することが可能である。あるいは、全サイクルを計数する代りに、サイクルの一部を計数してもよい。この手順は、サイクル全体に対してではなくサイクルの一部に対して除去されるべき厚さを決定すること以外は、ほぼ同じである。
【0013】ブランク酸化物ウエハのCMP処理終点を決定する別の方法は、サイクルの所定の数又は1サイクルの所定の部分が終わるための要する時間を測定し、この測定された時間に除去された材料の厚さを計算し、材料の厚さを測定された時間で除して除去速度を算出し、酸化物層から除去されるべき材料の所望の厚さから材料の厚さを減じて残りの除去厚さを確定し、この残りの除去厚さを除去速度で除して残りのCMP時間を確立し、そして、この残りのCMP時間が経過した後CMPプロセスを終了させる、付加的な装置要素を用いる。
【0014】更に、この残りのCMP時間は、材料除去速度の変化を補償するため、サイクルの前述の数が生じるたびに改められてもよい。このケースでは、この手順は、材料の厚さを確定するステップにおいてまず初期の繰り返しにおいて除去された厚さ全てを総和しこの累積厚さを所望の厚さから減じて残りの厚さの数値を決定する点を除いて、ほぼ同じである。
【0015】しかし、ウエハが始めから不均一な表面局所構造を有するためCMPプロセスで平坦化されるべきである場合は、データ信号は、ウエハの表面がスムーズになった後でなければ周期性を有しない。このケースでは、ウエハが平坦化したことを決定することに対応するCMPプロセスの終点は、データ信号の周期な変化を検出し、検出要素がこの周期的な変化を検出したときにCMPプロセスを終了させる、付加的な装置要素を用いることにより得られる。好ましくは、この検出要素は、この変化の最初のほぼ1サイクル以内のデータ信号の周期的な変化を検出する事が可能である。
【0016】条件によっては、パターニングされたウエハ上の構造体の上の膜厚を制御することが望ましい。この膜厚は、前述の平坦化によっていつも達成できるとは限らない。しかし、データ信号をフィルタにかけて、特定の膜厚が望ましい膜の下の特定の構造体や同様のサイズが与えられた構造体のグループに関する周波数以外の周波数をカットすることにより、この制御を得ることは充分可能である。本質的には、信号が一旦フィルタにかけられれば、ブランク酸化物のCMP終点を決定するための前述したあらゆる方法を、パターニングされたウエハに対して用いることが可能である。
【0017】また、データ取得装置により出力されるデータ信号を、進行中のCMPプロセスの終点の決定以外の事項に用いても有利である。従って、別の特徴においては、本発明は、前記の層を研磨している最中に基板上の層の均一性を測定するインシチュウの方法である。この方法は、以下のステップを備えている:研磨中に光ビームを層へ向けるステップと;光ビームの基板からの反射されることにより発生する干渉信号をモニタするステップと;この干渉信号から均一性の尺度(measure)を計算するステップと。
【0018】好ましい具体例では、この計算するステップは、干渉信号から特性信号を抽出する工程と;この抽出された特性信号から均一性の尺度を計算する工程とを備える。また、この方法は、均一性の尺度を参考値と比較するステップと、この均一性の尺度が、参考値に対して所定の量以上広がったときに警告を発するステップとを備えていてもよい。干渉信号は低周波成分を有し、抽出のステップはこの低周波数成分の第1の特性を測定する工程と;第1の特性から、抽出情報を誘導する工程とを有している。実際は、干渉計の信号の方も高周波成分を有しており、抽出のステップも、この高周波成分の第2の特性を測定する工程と、前記の第1の特性及び第2の特性から、抽出情報を誘導する工程とを備えている。更に具体的には、第1の特性及び第2の特性はそれぞれ、低周波数信号及び高周波数信号の振幅であり、誘導する工程には、この低周波信号と高周波信号の比を計算する操作を有している。
【0019】概説的には、別の特徴として、本発明は、表面上に形成された層を有する基板を研磨するためのプロセスの特徴をインシチュウに決定するための方法である。この方法は、以下のステップを備える:研磨中に光ビームを層へ向けるステップと;基板から反射される光ビームによって発生される干渉信号をモニタするステップと;干渉信号からシグネチャ(signature)を抽出するステップと;抽出されたシグネチャを、研磨プロセスの所望の操作ポイントを代表する保存情報と比較するステップと;抽出されたシグネチャが保存情報から所定の量よりも大きく広がったときに警告信号を発するステップと。
【0020】好ましい具体例には、以下の特徴部分が含まれる。この方法は、オペレータが視認するための視覚的ディスプレイ装置上に干渉信号を表示するステップを更に有している。更に、抽出のステップは、更に、干渉信号から研磨速度を決定する工程と;干渉信号から均一性の尺度を決定する工程とを備えている。比較するステップは研磨速度及び均一性の尺度を、保存された情報と比較する工程を有している。
【0021】概説的に、また別の特徴として、本発明は、以下を備える基板研磨システムである:処理中は研磨パッドを保持しているプラーテンと;処理中はプラーテン上の研磨パッドに対して基板を保持する研磨ヘッドと;処理中は研磨されるべき基板の側部に向けられてそこに入射し、干渉計信号を発生させる、コリメートされた光ビーム(collimated light beam)を発生する事が可能な干渉計と;干渉信号から均一性の尺度を計算するようにプログラムされたデータプロセッサと。
【0022】好ましい具体例では、研磨ヘッドとプラーテンとは、処理中に両者が回転するように、回転可能となっている。また、干渉計は、レーザー干渉計である。更に、データプロセッサも、干渉信号から特徴情報(feature information)を抽出するように;また、抽出された特徴信号から均一性の尺度を計算するように、プログラムされている。データプロセッサも、均一性の尺度と参考値と比較するように;また、均一性の尺度が参考値から所定の値広がったときに警告を発するように、プログラムされている。
【0023】概説的に、更に別の特徴として、本発明は、以下を備える基板研磨装置である:処理中に研磨パッドを保持するプラーテンと;処理中にプラーテン上の研磨パッドに対して基板を保持する研磨ヘッドと;コリメートされた光ビームを発する事が可能な干渉計と。プラーテンは自身を貫通する通路を有し、干渉計は、光ビームに、研磨の操作の少なくとも一部の間にこの通路を通って基板に入射するような向きを与えるように配置される。また、この装置は、通路に対して調心されたウィンドウを有し、このウィンドウを通って光ビームが基板へ通過する。ウィンドウは、干渉計から到達する光ビームを受容する散乱面を有している。
【0024】概説的に、また別の特徴として、本発明は、上述のケミカルメカニカルポリシングシステムにおいて用いるための研磨パッドである。この研磨パッドは、研磨面と;底面とを有している。研磨パッドの底面及び研磨面は、それらの内部に形成されたウィンドウを有している。このウィンドウは、干渉計からの光に対して透過性を有し、また、散乱性の底面を有している。
【0025】ここに説明した利点に加えて、本発明のその他の目的や利点は、添付した図面と共に説明される詳細な説明から明らかになるであろう。
【0026】
【発明の実施の形態】図2は、本発明の一つの具体例に従って変形されたCMP装置の一部を表している。プラーテン16にはホール(穴)30が形成され、このホールはプラーテンパッド18の上にある。研磨ヘッド12の平行移動的な動きに関係なく、プラーテンが回転している時間の一部の間、研磨ヘッド12によって保持されるウエハ14から見えるように、このホール30の位置が与えられる。レーザー干渉計32は、プラーテン16の下にあって、ホール30がウエハ14に近接した時には、レーザー干渉計32によって投影されるレーザービーム34がプラーテン16のホール30を通過してその上にあるウエハ14の表面に入射するような位置に、固定される。
【0027】プラーテンホール30及びウエハ14の詳細な図(ウエハがプラーテンホール30の上にある場合の)が、図3(a)?(c)に示される。図3(a)に示されるように、プラーテンホール30は、ステップ状の直径を有し、ショルダ36を形成する。ショルダ36は、レーザービーム34のためのウィンドウとして機能するクオーツインサートを有してこれを指示するために用いられる。プラーテン16とインサート38の間のインターフェースがシールされ、ウエハ14とインサート38の間の通り道を見つけようとするケミカルスラリ40の一部がプラーテン16の底部から漏出できないようにされている。クオーツインサート38は、プラーテン16の上面の上に突出し、部分的にプラーテンパッド18の中に入り込む。このインサート38の突出部は、インサート38の上面とウエハ14の表面との間のギャップを最小にする意図をもって置かれている。このギャップを最小にすることにより、このギャップに捉えられるスラリ40の量が最小になる。このことは有利なことであり、何故なら、スラリ40はそこを通り抜ける光を散乱させる傾向があり、レーザー干渉計32から発せられるレーザービームの強度を弱めてしまうからである。インサート38とウエハ14の間のスラリ40の層が薄くなるほど、レーザービーム34とウエハに反射される光の弱化が少なくなる。約1mmのギャップであれば、CMPプロセス中の弱化が受容される程度になると考えられる。しかし、このギャップは小さいほど好ましい。このギャップはできるだけ小さい方がよいが、CMPプロセス中はいつでもインサート38がウエハ14に接しないことを確保するべきである。本発明の実験的な具体例では、インサート38とウエハ14の間のギャップは、10mils(250μm)あれば、満足な結果を与える。
【0028】図3(b)は、プラーテン16とパッド18の別の具体例である。この具体例では、クオーツインサートは排除され、パッド18には貫通穴は存在しない。その代わりに、プラーテン16のホール30の上の領域では、パッド18の裏張り層20(存在すれば)が除去された。このことにより、ウエハ14とプラーテン16の底部との間には、パッド18のポリウレタンカバー層22だけが残っている。カバー層22に用いられるポリウレタン材料が、レーザー干渉計32からのレーザービームを実質的に透過させるだろうことが、見出されている。従って、プラーテン30の上にあるカバー層22の一部が、レーザービーム34のためのウィンドウとして機能する。この別の構成は、大きな利点を有している。第1に、パッド18自身はウィンドウとして用いられているため、検出できる大きさのギャップは存在しない。従って、レーザービームの有害な散乱を生じさせるスラリ40はほとんど存在しない。この別の具体例のもう一つの利点は、パッドの消耗に関係しなくなることである。図3(a)の最初に説明した具体例では、クオーツインサートとウエハ14との間のギャップは出来るだけ小さくされていた。しかしパッド18は消耗するため、このギャップはまだ小さくなる。最後には、摩耗は大きくなり、インサート38がウエハ14に接触して損害を与える。図3(b)の別の具体例では、パッド18は、ウィンドウとして用いられているため、また、ウエハ14に接触するように設定されているため、パッド18の消耗による有害な効果はない。オープンセルのタイプのパッド及びグルーブを有する表面のタイプのパッドを用いた実験によれば、グルーブを有する表面のパッドの方がレーザービームの弱化が小さくなる結果が示されたことに注目すべきである。従って、このタイプのパッドを用いることが好ましい。
【0029】パッドのカバー層に用いられるポリウレタン材料は、レーザービームに対して実質的に透過性を有しているものの、透過性を阻害する添加物を含有している。この問題点は、図3(c)に描かれている本発明の具体例において排除される。この具体例では、プラーテンホール30の上の領域における典型的なパッド材料は、中実な(ソリッドな)ポリウレタンプラグ42に置き換えられる。このプラグ42は、レーザービームのウィンドウとして機能し、パッド材料を包囲するグルーブ(又はオープンセル構造)を有しないポリウレタン材料製であり、透過性を阻害する添加物を含有していない。従って、プラグ42を通ることによるレーザービームの弱化は最小になる。好ましくは、プラグ42はパッドと一体で成形される。
【0030】動作中は、本発明に従ったCMP装置は、レーザー干渉計からのレーザービームを用いて、ウエハの表面から除去された材料の量を決定するか、又は、表面が平坦化されたときを決定する。このプロセスの開始を、図4を参照して説明する。レーザー及びコリメータ44、ビームスプリッタ46、及び検出器48が、レーザー干渉計32の要素として描かれている。これが行われることにより、前述したCMP装置の動作が容易になる。更に、クオーツインサート38をウィンドウとして用いる図3(a)の具体例が、便宜のために示される。無論、ここに描かれた構成は1つの可能な配置であり、他の構成を用いてもよい。例えば、前述のウィンドウの構成の全てを用いることができ、また、レーザー干渉計32の別の具体例を用いることも可能である。代替できるレーザー干渉計の1つは、ウエハにある角度をもって入射するビームを発生させるレーザーを用いるものである。この具体例では、ウエハから反射される光が入射するような位置を検出器は与えられている。この代替的な具体例には、ビームスプリッタは必要ではない。
【0031】図4に例示されるように、レーザー及びコリメータ44は、ビームスプリッタ46の下側部に入射する、コリメートされたレーザービーム34を発生させる。ビーム34の一部が、ビームスプリッタ46及びクオーツインサート38を通って進行していく。ビーム34のこの部分がインサートの下端に残れば、それはスラリ40を通って伝播し、ウエハ14の表面に入射する。図5に詳細に示されているように、ウエハ14は、シリコンとその上の酸化物層52(例えばSiO_(2))とを有する基板50を有している。
【0032】ウエハ14に入射するビームの一部は、酸化物層52の表面で部分的に反射され、第1の反射ビーム54を形成する。しかし、光の一部は酸化物層52を通過して、その下の基板50に入射する伝送ビーム56を形成する。基板50に到達する伝送ビーム56から少なくとも一部お光が酸化物層52へ反射し返され、第2の反射ビーム58を形成する。第1の反射ビーム54と第2の反射ビーム58は、これらの位相の関係によって有益的にあるいは有害的に相互に作用し、位相関係が酸化物層52の厚さに本質的な関数である場合は、結合ビーム60を形成する。
【0033】上述の具体例では、単一の酸化物層を有するシリコン基板を用いているが、この分野の通常の技術を有する者には、他の基板や他の酸化物層を用いても、この干渉のプロセスが生じることは認識されるだろう。重要な点は、入射するビームに対して、酸化物層が一部反射し一部透過し、基板が少なくとも一部反射することである。更に、この干渉のプロセスを、基板の上に複数の層を有するウエハに適用してもよい。再び、各層が部分的に反射性を有し部分的に透過性である場合は、その結果、干渉ビームが形成されるが、これは全ての層及び基板からの反射ビームの結合である。
【0034】再び図4を参照すれば理解されるように、第1の反射ビーム54及び第2の反射ビーム58(図5)の結合である結合ビーム60は、スラリ40とインサート38を通って伝播し返し、ビームスプリッタ46の上部分に達する。ビームスプリッタ46は、結合ビーム60の一部を、検出器48の方へ向きを変える。
【0035】プラーテン16は典型的には、CMPプロセスの最中は回転されるだろう。従って、プラーテンホール30は、自身が一周する間にウエハ14を1回だけ見えることになる。従って、ウエハ14にレーザービーム34が入射する時だけ、レーザー干渉計32からの検出信号をサンプリングすることが可能である。レーザービーム34がホール30を通って部分的にしか伝送されないときには検出信号はサンプリングされず、その理由は、ホールのエッジでプラーテン16の底部によって一部が干渉された場合は、信号に著しいノイズが発生するだろうからである。このことが発生することを防止するため、位置センサ装置が結合される。ホール効果、渦電流、光遮断器、又は音響センサ等の、あらゆる既知の近接センサを用いることが可能であるが、本発明の実験例には光遮断器のタイプのセンサが用いられ、以下に図面と共に説明する。図6には、本発明に従ったレーザー干渉計32を同期するための装置が示され、これには、光遮断器タイプのセンサ62(例えば、LED/フォトダイオードのペア)をCMP装置のシャシのある固定点上に載置され、プラーテン16の外周エッジの視界を有している。このタイプのセンサ62は、発した光ビームが遮断された時に活性化する。位置センサフラグ64が、プラーテン16の外縁に取り付けられている。フラグ64の取り付け位置及び長さは、レーザー干渉計32からのレーザービーム34が前述のウィンドウ構造体66を完全に通過して伝送されたときにだけ、センサの光信号を遮断する。例えば、図6に示されているように、センサ62は、プラーテン16の中心に関して、レーザー干渉計32の直径方向の反対側に載置されていてもよい。フラグ64は、プラーテン16において直径方向にウィンドウ構造体66の反対側の位置に取り付けられている。フラグ64の長さは、点線68によっておよそ決められるがフラグ64の正確な長さは、フラグ64がセンサ62によって感知されている全時間、レーザービームがプラーテン16に全く干渉されないことを確保するように、細かく調整されるべきである。この細かな調節により、位置センサのあらゆるノイズ又は不正確性、レーザー干渉計32の応答性等を補償する。センサ62が一旦活性化すれば、信号が発生し、これが、干渉計32からの検出信号をサンプリングすべき時を決定するために用いられる。ウエハがレーザービームから見える所にあるときにレーザー干渉計の信号をサンプリングするためにセンサ信号を用いることが可能な、データ取得システムは、従来技術においても知られており、本発明の新規な部分を構成しない。従って、ここにはその詳細は説明しない。しかし、適切なシステムを選択に対して考慮すべき事項はある。例えば、干渉計からの信号を所定の時間にわたって積分することが好ましい。この積分により、積分区間にわたり高周波ノイズが平均化されるため、信号-対-ノイズの比が改善される。このノイズは、様々な原因によるものであり、これには例えば、プラーテン及びウエハの回転による振動や、平坦化が不均等であることによるウエハ表面の変化等がある。上述の装置では、信号を積分するための時間として、プラーテンの1回転の間にどのくらいの長さをとることが可能かを、クオーツウィンドウの直径及びプラーテンの回転スピードが決定するだろう。しかし、しかし、状況によっては、このような時間は適当ではないかも知れない。例えば、許容できる信号-対-ノイズの比のために、積分時間を更に長くとることが必要な場合があるだろうし、あるいは、選択されたデータ取得システムに用いられるインターフェースの回路のために、1周の間にとれる時間よりも長い積分時間が最低でも必要な場合があるだろう。
【0036】この問題に対する1つの解決策は、プラーテンホールをプラーテンの回転方向に沿って延長することである。換言すれば、ウィンドウ構造体66′(即ち、インサート、パッド、又はプラグ)は、図7に示されるように、円弧状の計状を有していてもよい。無論、フラグ64′は、長くなったウィンドウ構造体66′に適合するように拡大される。あるいは、ウィンドウは同じままであるが、レーザー干渉計が、ウィンドウの真下で回転プラーテンに据え付けられていてもよい。このケースでは、CMP装置は、プラーテンの下にある干渉計に適合するように改造する必要が有り、また、干渉計からの検出器信号の道筋をつけるように予め設定しておく必要がある。しかし、どちらの方法においてもその正味の結果は、プラーテンの各回転に対するデータ取得時間を長くするものである。
【0037】プラーテンホール及びウィンドウを長くとることは有利である反面、プラーテンパッドの表面積を幾分か小さくしてしまう。従って、プラーテンが回転するその回転の一部の間にウィンドウの上にあるディスクの領域において、平坦化の速度が減少される。更に、プラーテンホール及びウィンドウの長さは、ウエハのエッジを越えてはならず、ウエハの平行移動位置に拘らず、ウィンドウがウエハのエッジを越えた場合は、データサンプリングが行われてはならない。従って、拡大したプラーテンホール及びウィンドウの長さは、あるいは、プラーテンに設置された干渉計がサンプリングできる時間は、研磨ヘッドのあらゆる平行移動の運動に制限される。
【0038】従って、適切なデータ取得積分時間を得るために更に好ましい方法は、プラーテンの1回転以上の回転に対してデータを収集することである。図8を参照すれば、ステップ102の間に、プラーテンの各1回転に対してとることができるデータ取得時間の間に、レーザー干渉計の信号がサンプリングされる。次に、ステップ104及び106において、サンプリングされた信号はそれぞれ、前述のデータ取得時間にわたって積分され、この積分値は保存される。そして、ステップ108及び110においては、プラーテンが完全に1周するたびにサンプリング時間の累積が計算され、所望の最小サンプリング時間と比較される。無論、サンプルが1つだけとられたのであれば、これはただ1つのサンプリング時間を構成するだろう。累積サンプリング時間が所望の最小サンプリング時間以上になれば、ステップ112に示されるように、保存されていた積分値が転送されて総和される。そうでなければ、サンプリング、積分、保存、累積サンプリング時間の計算及び所望の最小サンプリング時間との比較のプロセスが継続される。最終ステップ114では、毎回保存されていた積分値が転送されて総和されて作り出された総計積分値が、データ信号として出力される。ここに説明してきたデータ収集法は、論理回路又はソフトウェアアルゴリズムを用いる多くの既知の方法によって実施可能である。これらの方法はよく知られており、詳しい説明は冗長になるため、ここでは割愛した。区分的なデータ収集の方法により、ウィンドウの直径やプラーテンの回転のスピードに関係なく、問題所望の最小サンプリング時間に適合させる問題の解決策が与えれらることは、注目すべきである。実際、このプロセスが位置センサ装置と結び付いた場合は、プラーテン回転スピードを変化させても信頼性の高いデータを得ることが可能である。必要なデータを得るために要するプラーテン回転の数だけを変えればよい。
【0039】前述の第1の反射ビーム及び第2の反射ビームは、図4及び図5に示されるように結合ビーム60を形成し、検出器48で検知される干渉を生じさせる。第1の反射ビーム及び第2の反射ビームが相互に位相が合っている場合は、これらは検出器48において最大値となる。これらのビームの位相が180°ずれている場合は、検出器において最小値となる。これらの反射ビームの間のその他の位相関係により、干渉信号が、検出器により検知される最大値と最小値の間のいずれかの値となるだろう。この結果により、検出器48からの信号出力は、酸化物層52の厚さがCMPプロセスの最中に減少されるにつれて、この厚さに対して周期的に変化する。実際、図9(a)及び(b)のグラフに示されているように、検出器48からの信号出力は、正弦曲線状の様式で変化するだろうことが観察された。図9(a)のグラフは、時間(x-軸)に対する各サンプリング時間にわたる検出信号の振幅(y-軸)の積分を示している。このデータは、シリコン基板の上に形成されている酸化物層(即ち、ブランク酸化物ウエハ)を有するウエハにCMPの手順を実施しながら、図4の装置のレーザー干渉計出力をモニタすることにより、得られたものである。図9(b)のグラフは、図9(a)のグラフからのデータにフィルタをかけた態様を表している。このフィルタをかけた態様は、干渉計の出力信号における周期的な変化を更にはっきりと示している。CMPプロセスの最中に酸化物層から材料が除去されるときの速度によって、干渉信号の周期が制御されることは、注目すべきである。従って、プラーテンパッドに対してウエハ上にかかる下向きの力やプラーテンとウエハとの間の相対速度が、この周期を決定する。図9(a)及び(b)でプローブとされている出力信号の各周期中に、酸化物層はある厚さだけ除去される。除去された厚さは、レーザービームの波長及び酸化物層の屈折率に比例している。具体的には、1つの周期毎に除去される厚さの量は、およそλ/2nであり、λはレーザービームの自由空間波長、nは酸化物層の屈折率である。従って、図10(a)に例示される方法を用いれば、CMPプロセスの最中に酸化物層がどのくらいインシチュウで除去されるかを決定することが可能である。第1に、ステップ202では、データ信号に現れるサイクルの数が計数される。次に、ステップ204では、出力信号の1サイクルの間に除去される材料の厚さが、レーザービームの波長とウエハの酸化物層の屈折率とから計算される。そして、ステップ206において、酸化物層から除去されるべき材料の所望の厚さが、実際に除去された厚さと比較される。実際に除去された厚さは、データ信号に現れるサイクルの数と、1サイクル中に除去される材料の厚さとの積に等しくなる。最後のステップ208では、除去された厚さが、除去されるべき材料の所望の厚さ以上となったときに、CMPプロセスが終了する。
【0040】あるいは、除去される材料の量を決定するためには、1サイクル全体よりも少ないサイクルを用いてもよい。この方法では、材料が所望の量を越えて除去される分を最小にすることができる。図10(a)のステップ202の括弧書きの部分に示されているように、1サイクルの中の所定の部分が生じる回数が、各反復毎に計数される。例えば、最大値(即ち、ピーク)と最小値(即ち、谷)がそれぞれ生じること、あるいはその逆が生じることが、サイクルの所定の部分を構成する。最大値及び最小値は周知の信号処理の方法により簡単に検出可能であるため、サイクルのこの特別な部分は便利である。次に、ステップ204では、1サイクルの間に材料がどのくらい除去されたかを決定した後、この厚さと、前述の所定の部分が代表する1サイクルの部分とを掛合わせる。例えば、1.5サイクルを代表する、最大値と最小値の発生を計数するケースでは、計算で得られた1サイクルの厚さを1.5倍して、サイクルの所定の部分の間に除去された酸化物層の厚さを得ることができる。その他のステップはそのまま変えない。この別のアプローチの正味の結果によれば、CMPプロセスは、サイクルの部分が生じた後に終了することができる。従って、除去される材料のうち過剰な部分は、ほとんどのケースでは、除去される材料の量を決定する基礎として全サイクルを用いた場合よりも少なくなるだろう。
【0041】ここに述べてきた方法を、サイクルの終わり又はその部分から逆にたどることにより、所望の量の材料が除去されたかどうかが決定される。しかし、上述の如く、除去された材料の量は所望の量を越えてしまうだろう。用途によっては、この過剰な材料の除去は許容されないだろう。これらのケースでは、やがて来る周期にわたって除去される材料の量を期待し予測し、所望の量の材料が除去されると予測されたときに手順を止める、別の方法を採用することができる。この別の方法の好ましい具体例は、図10(b)に例示される。そこに示されているように、第1のステップ302は、検出器信号において、最大値と最小値の最初の発生の間の時間またはその逆の時間を測定する操作を有している(全サイクル又はその一部分のどちらを用いてもよい)。次に、ステップ304では、サイクルのその部分の間に除去される材料の量が、前述の方法によって決定される。そして、ステップ306に示されるように、除去された材料の量を測定時間で除することにより、除去速度が算出される。これが、サイクルの前述の部分において材料が除去されるときの速度を構成する。次のステップ308では、ステップ304で算出された材料の除去厚さを除去すべき厚さから減じ、残りの除去厚さを決定する。そして、ステップ310では、この残りの除去厚さを除去速度で除すことにより、CMPプロセスを終了までどのくらい継続すべきかを決定する。
【0042】しかし、検出器信号の周期、及び即ち除去時間は、典型的には、CMPプロセスの進行につれて変化するだろうことに注目すべきである。従って、上述の方法は、これを補償するために反復される。換言すれば、残りの時間が算出された後は、最大値と最小値の発生又はその逆のそれぞれに対して、このプロセスが反復される。従って、次に最大値と最小値がそれぞれ発生するまでの時間が測定され、この最大値と最小値の発生に代表されるサイクルの部分(即ち1.5サイクル)の間に除去される材料の厚さが測定時間で除され、この方法の最初の反復におけると同様に、除去速度が算出される。しかし、次のステップ308では、括弧内に示されるように、その前になされた反復全ての間に除去された材料の量は、所望の厚さから減じられる前に決定される。この方法のその他の部分は同様であり、除去すべき残りの厚さを新たに算出された除去速度で除して残りのCMPプロセスの時間を決定する。この方法では、検出器信号の1サイクルの所定の部分が生じる毎に残りのプロセス時間を計算し直す。このプロセスは、次の反復を開始できる前に残りのCMPプロセス時間がなくなるまで続けられる。ステップ312に示されるように、このポイントでCMPプロセスが終了する。典型的には、除去されるべき厚さが検出器信号の最初の1.5サイクルでは達せられず、先行した1.5サイクルに対して算出された後の除去速度の変化は小さいだろう。従って、この予測の方法は、ウエハから所望の厚さだけを除去するには非常に正確な方法を与える。
【0043】ここに述べてきたモニタの手順は、スムーズな面を有するブランク酸化物ウエハに対して良好に機能するが、表面が局所的に非常に不均一であるような、パターニングされたウエハの多くに対してこの手順を平坦化に用いても成功できないことが見出されている。この理由としては、典型的なパターニングされたウエハはダイを有し、このダイには様々なサイズの異なる表面造作(ぞうさく)が現れているからである。このサイズの異なる表面造作は異なる速度で研磨される傾向を有している。例えば、他の造作から相対的に遠くに配置されている小さな表面造作は、他の大きな造作よりも早く減少する傾向がある。図11(a)?(c)には、酸化物層52の表面造作72、74、76の1組が、その下の構造体78、80、82と関連して例示される。これらは、典型的なパターニングされたウエハ14上に見られ、CMPプロセス中に変化していく。造作72は比較的小さな造作であり、造作74は中ぐらいのサイズの造作であり、造作76は比較的大きな造作である。図11(a)には、研磨前の造作72、74、76を示し、図11(b)は研磨プロセスの中ほどの造作72、74、76を示し、図11(c)は研磨プロセスの終了に向けた造作72、74、76を示す。図11(a)では、小さい方の造作72は、中ぐらいの造作74及び大きい方の造作76よりも早い速度で減少するだろう。更に、中ぐらいの造作76は、大きな造作78よりも早い速度で減っていくだろう。造作72、74、76が減っていく速度も、研磨プロセスが進行するにつれて減少する。例えば、小さい方の造作72は最初には高い減少速度を有しているだろうが、この速度は研磨プロセス中に減少するだろう。従って、図11(b)には、造作72、74、76の高さが不均一になり始めていたのが、図11(c)には、造作72、74、76の高さは実質的に均一になっていることが示されている。サイズの異なる造作が異なる速度で減っていき、この速度も変化するため、各造作から発せられる干渉信号は、異なる位相及び周波数を有しているであろう。従って、造作72、74、76のそれぞれからの個々の反射の全てから部分的に成る結合された干渉信号は、前述の周期的な正弦波状信号ではなく、外見上ランダムな様式で変動するだろう。
【0044】しかし、上述のように、造作72、74、76の研磨速度は、平坦化のポイントに近付く傾向がある。従って、造作72、74、76によって発生する干渉ビームの間の位相差及び周波数差は、ゼロに近付くだろう。この結果、結合された干渉信号が周期的な正弦波の形態として認識できるようになる。従って、正弦波状の干渉信号が開始するときを検出することにより、パターニングされたウエハの表面が平坦化された時を決定することが可能となる。この方法は、図12に例示される。まず、ステップ402では、干渉計信号における前述の正弦波状の変化に対するサーチが行われる。正弦波状の変化が発見されれば、ステップ404に示されるように、CMPの手順は終了する。
【0045】図13は、CMPの手順が行われているときのパターニングされたウエハに対する検出器信号の振幅を時間に対してプロットしたグラフである。このグラフを作成するために用いられたサンプリングされたデータは、次の積分値が報告されるまで、前の積分値に保持された。従って、これは、ここに方形化されたピーク値(squared-off peak value)が示されていることを説明している。細密な検討により、認識可能な正弦波状のサイクルは、約250秒のところで現れていることが示される。ここは、パターニングされたウエハが最初に平坦化された点と一致する。無論、干渉計の出力信号のリアルタイムのモニタにおいて、周期がいつ始まるかを正確に知ることは不可能である。むしろ、周期が始まったと確信できる前には、サイクルの少なくともどこか一部が起こっているはずである。CMPの手順が終了する前に、1サイクルだけが終わることが好ましい。信号がウエハの表面状にあるサイズの異なる造作を研磨することにより生じたノイズの変化を単純に表しているのではなく、周期が実際に始まっていることが、高度に確信できるため、1サイクルの制限は、実用的な選択である。更に、この1サイクルの制限により、平坦化が達せられた後に、少ない材料の量だけがウエハ表面から除去されることを確保する。2サイクル後の平坦化の程度は、1サイクル後と実質的に同じであったことが見出された。従って、CMPの手順を継続させることは、ウエハ表面から更に多くの材料を除去する事だけしか与えない。パターニングされたウエハが平坦化されればCMPプロセスが終了する場合のケースでは、1サイクルが好ましいが、これは本発明がこのような時間の枠にとらわる事を意図しているわけではない。信号が特別強力であった場合、サイクルの中の一部だけが終了した後に同じレベルの確信を得ることも可能だろう。あるいは、信号が特別に微弱であった場合、必要な確信を得るためには1サイクル以上必要なこともあるだろう。その選択は、用いているシステムの特性に依存する。例えば、クオーツウィンドウとウエハ表面との間のギャップのサイズは、信号強度に影響するだろうことから、CMPプロセスを終了させる前に何回サイクルをさせるかの決断に影響するだろう。
【0046】レーザー干渉計からの出力信号がいつ周期化し、即ちウエハ表面が平坦化されているかを実際に決定することは、様々な方法により行うことが可能である。例えば、信号をデジタル処理し、この決定を行うアルゴリズムを用いることができるだろう。この様な方法は、米国特許第5,097,430号に開示され、その特許では、信号の傾斜を用いて決定を行っている。更に、カーブにフィッティングするための様々な周知のアルゴリズムを用いることが可能である。これらの方法は、干渉計信号の正弦波曲線との類似性を見出すために本質的に用いられるだろう。所定の許容範囲の中で一致すれば、周期が開始したと決定される。半導体の用途によっては、パターニングされたウエハのダイ上に形成された構造体の上に形成された材料の厚さ(即ち膜厚)が特定の深さのところにあることが必要であり、また、この膜厚が、ダイとダイの間、並びにウエハとウエハとの間で再現性をもつことが必要である。前述の典型的なパターニングされたウエハを弊館かするための方法では、この所望の再現性のある膜厚は必要がないだろう。平坦化の方法の目的は、スムーズ且つ平坦な表面を作ることであり、特定の膜厚を作ることではない。従って、特定の構造又は同じ様なサイズを有する構造の群の上に膜厚を制御することが望ましい場合は、別の方法を採用する必要がある。この別の方法を、以下に説明する。
【0047】前述の如く、ダイ上のパターニングされた構造の上に酸化物の層を形成することにより生じた、サイズの異なる表面造作はそれぞれ、独自の周波数及び位相を有する反射干渉信号を生じさせる。サイズの異なる表面造作のそれぞれの周波数及び位相が収斂したとき、平坦化のポイントに単に近付いているに過ぎない。この収斂の前には、サイズの様々に異なる表面造作によって生じる干渉信号の独自の周波数及び位相が結合し、ランダムに変化するように見える検出器信号を発生させる。しかし、この信号を処理することにより、特別なサイズの造作又は同様のサイズの造作の群を除いて、異なる速度で研磨されることになる全ての造作の干渉信号の寄与を排除することが可能である。特定のサイズの造作又は造作の群に関する干渉信号が分離されれば、ブランク酸化物ディスクから材料を除去することに関して説明した方法を用いて、所望の膜厚を得るために必要な量だけを除去できる。
【0048】無論、着目する造作によって生じる干渉信号の成分の周波数を、信号の処理の前に決定しておく必要がある。上に形成される膜が特定の膜厚を有するような構造に対応した構造だけがパターニングされたダイを有する試験片上にCMPプロセスを実施することにより、この周波数は簡単に決定できると考えられる。このCMPプロセスの最中に発せられる検出器信号を、周知の方法によって解析して、前述の構造に関する表面造作によって生じる干渉信号の周波数を決定する。
【0049】ウエハのCMP処理の最中に、インシチュウで、ダイ上の特定の構造又は同じ様なサイズを有する構造の群に対する膜厚を制御する、前述の方法を実施するために必要な特定のステップを、図14を参照しつつ説明していく。ステップ502では、検出器信号をフィルタにかけ、着目する構造に関する所定の周波数を有する信号の成分だけを通過させる。このステップは、周知のバンドパスフィルタの技術を用いて実行される。次に、ステップ504では、検出器信号において最大値と最小値が最初に発生する間の時間又はその逆の時間の測定がなされる(全サイクル又はその一部分のどちらを用いてもよい)。サイクルのこの部分(即ち1.5サイクル)の間に除去される材料の量は、ステップ506において前述の方法により決定される。そして、ステップ508に示されているように、除去された材料の量を測定時間で除して、除去速度が算出される。これは、サイクルの前述の部分において材料が除去された速度を構成する。次のステップ510では、ステップ506において算出された材料除去の厚さが、除去されるべき所望の厚さ(即ち、除去されたときに、着目する構造の上に所望の膜厚を与える厚さ)から減じられて、残りの除去厚さを決定する。そして、ステップ512では、この残りの除去厚さを前述の除去速度で除し、CMPプロセスを終了までどのくらい継続すべきかを決定する。この残りの時間が計算されれば、最大値と最小値がそれぞれ発生すること又はその逆に対して、プロセスが反復される。従って、この方法の最初の反復におけると同様に、次の最大値及び最小値の発生の間の時間が測定され、この最大値及び最小値の発生に代表されるサイクルの部分(即ち1.5サイクル)の間に除去される材料の厚さを測定値で除して、除去速度が算出される。しかし、次のステップ510では、括弧書きに示されているように、その前の反復の全ての間に除去された材料の総量を、所望の厚さから減ずる前に決定する。除去されるべき残りの厚さを新たに計算された除去速度で除して新しい残りのCMP時間を決定する点で、この方法のその他の部分は同じである。このプロセスは、次の反復を始められるまで繰り返される。ステップ514に示されているように、このポイントでCMPプロセスが終了する。
【0050】上述の膜厚を制御するための方法は図10(b)に例示されるCMPプロセス終点決定のための方法を利用しているが、所望により、ここに記載されているその他の終点決定の方法を用いてもよいことに注意すべきである。
【0051】レーザー干渉計によって発生するレーザービームのビームの直径(即ちスポット)及び波長を有利なように操作することが可能であることに更に注意すべきである。図15の(a)及び(b)に示されているように、用いる波長に対し最小可能なスポットに合わせたビーム等の幅の狭いビーム84は、ウエハ14の表面に対して、フォーカスできていない広いビーム86よりも小さな領域をカバーする。この狭いビーム84は、広いビームに比べて、表面の不均一90による散乱(即ちビーム88)を生じやすく、なぜなら、この広いビーム86はウエハ14の表面の更に広い面積に広がり、表面の不均一90よりも大きな部分を包含するからである。従って、広いビームは積分効果を有することとなり、ウエハ14の表面を移動するときには、反射干渉信号に極端な変動を生じさせにくい。従って、この理由から、ビームは広い方が好ましい。レーザービームの幅を広くするためには、周知の光学装置を用いることが可能である。
【0052】また、ウィンドウの境界と境界の中にビームが完全に含まれる時間は、ビームが広い時の方がビームが狭い時に比べて少ないため、ビームが広いとプラーテンの回転毎のデータ取得に使える時間を減らすことになることを、指摘する必要がある。しかし、前述のデータ取得の方法を用いれば、このことは大きな問題にはならないだろう。更に、ビームが広いと、ビームが狭い時に比べて、光エネルギーをより大きな面積に拡散させてしまうため、反射光の強度も幾分小さくなる。この難点は、反射ビームの強度のロスが検出における要因とはならなくようにレーザー干渉計からのレーザービームの出力を増加させることにより、克服可能である。
【0053】レーザービームの波長に関しては、遠赤外から紫外までのあらゆる波長を用いることが可能である。しかし、赤光の範囲のビームを用いることが好ましい。これが好ましいことの理由は二重になっている。第1に、波長が短いとケミカルスラリによって生じる散乱の量が増加することになり、なぜなら、この散乱はレーザービームの周波数の4乗に比例するからである。従って、波長が長い方が、散乱が少なくなる。しかし、波長が長ければ干渉信号の周期毎に除去されるべき酸化物層の量が多くなり、なぜなら、周期毎に除去される材料の量はおよそλ/2nに等しいからである。従って、波長が短ければ、1つの周期に除去される材料の量が少なくなる。材料が過剰に除去される可能性を最小にするように、各周期中に除去される材料を可能な限り少なくすることが望ましい。例えば、サイクルの数又はその一部が計数されて除去された酸化物層の厚さが決定される、前述の方法を用いたシステムでは、各サイクル又はその一部の間に除去される材料の量が可能中限最小になれば、所望の量に対して過剰に除去された材料が最小になる。
【0054】赤光レーザービームを選択することにより、波長の選択に関するこれらの2つの対立する要因を最適にバランスさせると考えられる。赤光は、サイクル毎に除去されるべき材料の量を制御不能にすることなく、散乱を許容される程度にする。
【0055】更なる具体例 発生した干渉波形により、研磨プロセスに関する重要な情報を更に得られる。この追加された情報を用いることにより、研磨された層の均一性のインシチュウによる測定が可能になる。またこれを、CMPシステムが仕様(スペック)の中で操作されていない(即ち、望ましく操作されていない)かどうかを検出するために用いることも可能である。これらの両者を、以下に説明する。
【0056】均一性の測定 ウエハ/基板の表面にわたって均一な表面層を得るためには、CMPプロセスにおいて行われる研磨及び/又は平坦化の操作が一般に必要である。換言すれば、ウエハの中心とウエハのエッジとが同じ速度で研磨されるべきである。典型的には、研磨後の層の厚さが約5?10%を越えて変動してはならない。均一性がこのレベルに達しなかった場合は、デバイスの収率が低く許容できなくなるため、ウエハは使用できなくなるだろう。実際には、ウエハ全体に均一な研磨速度を達することが非常に困難な場合がしばしばである。典型的には、数多くの変数を最適化してスペック内に保つことが必要とされる。上述の終点検出器は、研磨されるべき層の均一性をモニタするためのツールとして非常に有用であり、また、インシチュウによるデータの取得及びデータ処理の双方のモニタをすることも可能である。研磨中に干渉計によって作り出された干渉波形が、研磨されるべき層の均一性に関する情報を与えることを、我々は見出した。上述の如く、表面層(即ち酸化物層)が研磨されるときには、干渉計の出力が正弦波状の信号になって現れる。このピークとピークの間の距離は、材料がどのくらい除去されたかを指示している。この正弦波信号の頂点では、更に高い周波数の別の正弦波信号も存在するだろう。この更に高い周波数の方の信号の振幅は、ウエハの表面全体で研磨後の層の厚さがどの程度まで変化したかを指示している。
【0057】高い周波数の信号が現れる理由は、以下の通りである。研磨が進むと同時に、典型的には干渉計はウエハ表面全体の様々な場所をサンプリング(又は注目)する。なぜなら、研磨中は、プラーテンとウエハは共に回転しており、更にウエハはプラーテンに対して軸方向に運動しているからである。従って、研磨中は、研磨されるべき層を干渉計が見るためのプラーテン内のホールの上を、ウエハ表面の様々な領域が通過する。研磨された層が完全に均一である場合は、その結果の干渉波形は、ウエハ表面全体にわたっていろいろな場所をサンプリングすることによる影響を受けない。即ち、それは実質的に同じ振幅を有することになるだろう。換言すれば、研磨された層が不均一ならば、様々な場所をサンプリングすることによって、正弦波を基礎とする信号に更に変動を持込むことになる。この持込まれる変動は、用いられている回転速度と掃引速度に依存する周波数を有し、研磨された層の非均一性の程度に比例した振幅を有している。このような波形の一例が、図16に示されている。この特定の例では、周波数の高い信号を明確に例示できるように、非均一性が相対的に大きくなっている。
【0058】周波数の高い信号のピークとピークの間の振幅A_(hf)と周波数の低い信号のピークとピークの間の振幅A_(lf)との比が、均一性の尺度になる。この比が小さくなれば、研磨された層の均一性が高いことになり;その逆の場合は、非均一性が大きくなる。
【0059】均一性の尺度を作り出すCMPシステムが、図17に示される。図2に示されている前述の部材に加えて、これは、干渉計の動作を制御するための、且つ干渉信号からの均一性の尺度を発生させるために必要な信号解析を行うためのコンピュータ150を備え、また、様々な情報や結果をオペレータに対して表示するためのディスプレイユニット160を備えている。コンピュータ150は、制御機能及び信号処理機能を行うことが出来るものであれば何れの装置でもよく、例えば、適切なプログラミングを有する標準的なPCや、その用途専用の特別にデザインされたデジタル処理ユニットである。ディスプレイユニット160は、ビデオディスプレイ、プリンタ、又は、CMPシステムのオペレータに情報を連通させるための装置の組合わせであってもよい。
【0060】均一性の尺度を発生させるために、コンピュータ150は、図18に示されるような信号処理及びその他の機能を実施実行するようにプログラミングされている。これに関しては、コンピュータ150は2つのプログラミング可能なバンドパスフィルタ、即ち、高周波フィルタ152と低周波フィルタ154を提供する。高周波フィルタ152は、均一性の情報を含んでいる高周波信号の周波数の中心にある通過帯域を有し、また、低周波フィルタ154は、研磨速度の情報を含んでいる低周波信号の周波数の中心にある通過帯域を有している。周期が数十秒のオーダーである場合は、これらの通過帯域の両者の幅は数ミリヘルツ(millihertz)のオーダーである。実に、通過帯域の幅は、中心周波数に比例して変化するようにプログラムされ、又は言い方を替えれば、評価されるべき信号の周期に反比例するようにプログラムされる。即ち、問題としている信号の周期が大きくなれば、バンドパスフィルタのバンド幅が減少し、その逆も真である。
【0061】図19(a)には、実際のシステムから得られる干渉計信号の一例が示される。層が充分均一であること、即ち、低周波信号の頂部に高周波信号がのっていることが認識されていないことを、初期に信号が指示していることに注目すべきである。研磨が短い周期の間行われた後、高周波信号が現れ始め、非均一性があるレベルになっていることを指示している。低周波フィルタ154は低周波成分を選択し、他の成分をカットして、図19(b)に示されている形態の出力信号を生じさせる。同様に、高周波数フィルタ152は高周波成分を選択し、他の成分をカットして、図19(c)に示されている形態の出力信号を生じさせる。
【0062】コンピュータ150は、フィルタ152及び154の出力信号それぞれのピークとピークの間の振幅を測定する2つの振幅測定機能156及び158を備える。2つのフィルタされた信号が決定されれば、コンピュータ150は、高周波信号のピークとピークの間の振幅と低周波信号のピークとピークの間の振幅との比(即ち、A_(hf)/A_(lf))を計算する(機能ブロック162を参照)。この比が計算された後は、コンピュータ150が計算値を、予めローカルメモリに保存した閾値又は参照値164と比較し(ブロック166参照)する。計算値が保存していた閾値を越えれば、コンピュータ150はオペレータに対し、研磨された層の非均一性が許容量を越えたことを警告する。これに対し、オペレータはプロセス変数を調整して、プロセスをスペック内に戻す。
【0063】高周波信号は、研磨がある程度行われてから現れる傾向があるため、非均一性の測定を行う前に待機することが有用である。実に、研磨の操作全体において研磨された層の均一性をモニタできるように、この比を周期的に自動的に計算することが望ましい。このケースでは、オペレータが研磨プロセスにおいて現れる変化及び/又は傾向を検出できるように、コンピュータ150がプロセスの間じゅう計算値を出力できることが望ましいだろう。実際の製造工程の間のウエハの研磨中に、インシチュウでモニタが行われる場合に特に有用であろう。
【0064】ここに述べた機能は、コンピュータ上で走らせるソフトウェアによって実行でき、また、この特別の目的のために作られた専用の回路によって実行させてもよいことに、注目すべきである。
【0065】バンドパスフィルタは、いわゆる当業者が周知の技術を用いて実行可能である。ここに説明される具体例では、これらはFIR(finite impulse renspone)(有限インパルス応答)フィルタで、周波数又は時間領域(time domain)のいずれかに関して実施可能である。しかし、干渉計信号が使用可能となるようにリアルタイムでフィルタリング(filtering)を実施するためには、フィルタリングは、適切な関数を発生した時の波形で畳み込むことにより、時間領域において行われる。無論、この適切な関数は、所望の特性を有する(即ち、中心周波数及びバンド幅)バンドパスフィルタの時間領域を単に表示するものである。
【0066】適切なフィルタの変数を特定するため、フィルタによって選択されるべき信号の周波数を知ることが必要である。この情報は、干渉計信号波形から容易に得ることができる。例えば、低周波フィルタの中心周波数は、ウエハ(例えば、酸化物のコーティングのみを有するブランクウエハ)のバッチ(例えば25)を行い、研磨速度の正確な尺度を得ることにより、得ることが可能である。あるいは、研磨速度は、低周波信号のピーク間の距離を測定することにより、研磨操作の開始時で決定することが可能である。無論、このもう一つのアプローチを用いることで、多数のウエハにわたって測定値の平均を行う場合と同様の正確性を得ることはできない。いずれのケースにせよ、研磨速度はバンドパスフィルタの中心周波数を決定し、フィルタの所望のバンド幅とあわせてこの中心周波数を知ることにより、時間領域フィルタ関数及び/又はFIRフィルタの計数の正確な形態を直ちに決定することが可能でとなる。
【0067】高周波信号の周波数は、同様の手法;即ち、CMPシステムがウエハを研磨しているときに干渉計から発せられるトレースから直接得ることが可能である。換言すれば、オペレータは単に高周波信号のピーク間の距離を測定するだけでよいい。このプロセスは容易に自動化できるため、オペレータは、ポインティングデバイス(例えば、マウス)により、ビデオディスプレイに表示される波形の2つのポイントをマークすることができ、また、自動的に周波数の計算を行った後適切なフィルタ計数を発生するようにコンピュータにプログラミングをすることが可能である。そして、フィルタ計数及び/又はフィルタ関数の時間領域表示は、その後の研磨の工程中にフィルタリングの操作を行うために用いるため、ローカルメモリに保存される。
【0068】プロセスシグネチャまた、干渉計波形は、システムのシグネチャ(即ち、その特性)を表している。このため、これは、製造のオペレーションに対してシステムの特性を与えるために有用な情報を与える。望ましく操作されていることがわかっているシステムに対してシグネチャが得られた場合は、参照値としてシグネチャ波形(又は波形から抽出された特徴)を用いることが可能であり、この参照値に対して、次に発生するシグネチャを比較して、これらシグネチャが続いて得られたシステムが、スペックの中で実行されているかどうかが決定される。例えば、研磨パッドが取り替えられたり、新しいバッチのスラリがCMPシステムに用いられた場合に、オペレータは、この変化が、システムが実行する研磨の質に有害な影響を与えるかどうかを知る必要がある。CMPシステムの性能における変化によってシグネチャが変化することを、我々は見出した。即ち、以前は存在していなかったような、あるいは以前に存在していた特徴が変化するような、ある決まった変化が波形に現れる。これらの変化を検出することにより、システムが望み通りに実行されていない時を検出することが可能である。
【0069】ここに説明される具体例では、干渉計波形から抽出された特徴は、研磨速度であり、均一性の尺度である。これらの特性は、前述の方法を用いて、研磨の最中に発生する干渉計の波形から容易に得ることができる。システムが正確に操作されていれば、特定の研磨速度と特定の均一性の尺度を与えるだろう。これらの参考値からはずれることは、システムが望ましい操作のポイントから離れる方向にに移動していることを示し、オペレータに、製品の損害を防止するために適正化する行動をとる必要があることを警告する。CMPシステムシグネチャを用いる方法は、図20(a)に例示され、以下に説明される。最初に、最適に操作されるべきとであるとわかっているCMP装置に対して、干渉計波形(即ち、シグネチャ)が発せられる(ステップ250)。システムが最適に動作しているか否かの決定は、試験ウエハのセットを処理してその結果を解析することにより、実験的に決定可能である。得られた結果がスペックの中に入っていた場合、この構成及び操作条件の組に対してシグネチャを発生できる。干渉計波形の一部を捉える前に、この波形が本当に、準備された研磨のシグネチャであるように、ウエハの研磨が酸化物の中を50?100%の間で行われることが望ましい。
【0070】波形が得られた後は、特定の着目する特徴が、発せられた波形から抽出され(ステップ252)、これは、後にシステムの性能の評価に用いる参考値として利用するために、保存される(ステップ254)。あるいは、波形自体を保存して、参考値として用いてもよい。ここに説明した具体例では、抽出された特徴は、研磨速度であり、均一性の尺度であり、これらの双方とも、上述のように、波形から決定することが可能である。
【0071】図20(b)に示されるように、後になって、保存されていたシグネチャ(又は抽出された特徴)を用いて、製造の用途で、そのシステム又は別のシステムの特性を与えることが可能である。製造のためにシステムに特性を与えるために、そのシステムに対して新しいシグネチャが得られ(ステップ258)、着目している特徴が、新しいシグネチャから抽出される(ステップ260)。そして、抽出された特徴は、特徴の参照値の組と比較される(ステップ264)。抽出された特徴の組によって特徴付けられるように、操作のポイントが、保存された特徴の組の参考値によって定義される、参考値の周囲の所定の領域に入っているならば、システムは適正に操作されていると結論付けられ、また、製品ウエハの処理のためのアウトラインを与えることが可能である(ステップ266)。このプロセスが自動化された場合は、このポイントで、コンピュータはオペレータに対し、プロセスがスペック内に入っていないと警告を発してもよい。他方、操作のポイントが所定の範囲内に入らなかった場合は、これは、システムがスペック内で操作されていないことの指示であり、オペレータは、この問題に対して補正する行動をとることができるように、警告を受ける(ステップ268)。この補正の行動には、プロセス変数の一部を適正に調節し、プロセスをスペック内に入れるようにする操作を含んでいる。例えば、研磨速度が過剰であった場合、又は、酸化物の非均一性が許容を越えれば、オペレータは、新しいバッチのスラリに変えてみたり、パッド上の圧力を調節したり、あるいは、パッドを交換したりすることが適切であると認識するだろう。この選択される補正の行動の特定のコースは、無論、システムが望ましい操作ポイントからどの程度ずれているかに、また、特定のシステムの操作変数の構成に、また、オペレータの経験が何をオペレータ自身に示唆しているかに、依存するだろう。
【0072】オペレータに対して更に有益な情報を提供するために、コンピュータは適宜、抽出された特徴もディスプレイに出力する。このディスプレイに表示された情報は、抽出された特徴、波形、抽出された特徴が、保存されている参考値の組の様々な特徴とどの程度近いのか、又は、オペレータにとってどの方法が最も有利に解決するかを表している。
【0073】無論、製品ウエハの処理をしつつも、又は、CMPプロセスにおいてプロセス変数が変化する(例えば、新しい研磨パッドが用いられた時にはパッド圧力が調節され新しいバッチのスラリが用いられる)たびに、及び、CMPプロセスがまだスペック内にあることを知る必要が生じるようになるたびに、上述のインシチュウ/リアルタイムのモニタの手順を周期的に用いることが可能である。更に、これを、実際の製品の代りにブランクウエハに用いて、実際の製品に用いる前にCMPシステムを特徴付けることが可能である。
【0074】我々は、シグネチャ波形から情報を抽出する直接且つ簡単なアプローチ、即ち、研磨速度と均一性の尺度を用いたアプローチを説明してきたが、シグネチャ又は干渉計の波形を、更に洗練された方法で解析することも可能である(例えば、ほんの一例を挙げれば、パターンないし特徴の認識又はその他のイメージ解析のアルゴリズム、又はニューラルネットワーク等)。様々な抽出特徴がシステムの動作に関して伝える情報は、経験を通じて決定でき、また、オペレータにとって最も重要と認識される情報を伝達するものを用いることができる。
【0075】また、オペレータに対して干渉計波形(即ちプロセスシグネチャ)を単に表示するだけで、オペレータは、システムがどの程度うまく振る舞っているかに関する価値あるフィードバックを得ることが可能となることに注目すべきである。典型的には、人間の目は高度に敏感であり、画像において予想される変化が僅かでも生じればこれを検知する。従って、ある程度経験を積んだ後は、オペレータはしばしば、波形を見るだけで、CMPシステムの性能全体の変化やさしせまった問題を検知することが可能となるだろう。従って、ここに説明された具体例では、コンピュータも処理の間、シグネチャの波形をオペレータに表示することにより、オペレータがこれを用いて装置の性能をモニタすることが可能となる。
【0076】当業者が既知の技術を用いることにより、オペレータが着目し変化を自動的に認識又は検出しオペレータに特定の問題があることを警告するソフトウェアアルゴリズムを直ちに開発することが可能である。
【0077】性能を高めるための変形別の具体例では、干渉計とウエハとの間のパッド内のウィンドウを変形している。パッドは干渉計レーザービームの実質的な部分を透過させるが、パッドの底面から著しく反射してくる成分が存在することが見出されている。この状況は、図21(a)に例示され、ここでは、レーザー干渉計32から発せられるレーザービーム34は、パッド22を通過して伝送され、伝送ビーム702を形成し、また、レーザービーム34の一部は、パッド22の裏側面704から反射されて、反射ビーム706を形成する。反射ビーム706は、データ信号に著しい直流(DC)シフトを生じさせる。図21(b)は、このシフトを例示する(わかりやすくするために誇張して描いている)。この例では、反射レーザー光によってもたらされるDCシフトは信号全体に対して約8.0ボルトを加える。このDCシフトは、データ信号の有用な部分の解析に対して問題を生じさせる。例えば、データ解析装置が0?10ボルトの範囲で動作していれば、DCシフトを受けた信号を増幅して着目する部分を強化することは、信号のDC成分を低減又は排除しなければ不可能である。DC成分が除去されなければ、装置は増幅信号によって飽和してしまうだろう。DC成分を低減又は排除することは、信号処理のための電子技術を新たに必要とし、また、信号の有用な部分を損ねてしまう結果を与えるだろう。DCシフトがここに記載されるほど大きくない場合でも、これを排除するために何等かの信号処理が必要となると思われる。従って、この不要なDC成分を低減又は排除するための非電子技術的方法が望ましい。
【0078】図21(c)に描かれるように、パッド22の裏側のウィンドウを構成する領域に散乱面704′を形成することにより、この面から反射する光が弱化する。従って、データ信号の不要なDC成分が低減される。実際上は、散乱面704′は、伝達されない光708を散乱し、そのほとんどを干渉計32へ反射し返すということはない。ウエハから反射された光も、散乱面704′を通過し、その間、一部が散乱されるであろう。しかし、これが干渉計の性能を著しく損ねることはないことが見出されている。
【0079】図21(d)には、散乱面704′を用いたときに得られるデータ信号が例示される。示されるように、DC成分の排除と共に、信号は直ちに増幅され、DC部分を電子的に排除する必要なく処理される。
【0080】どのように散乱面が作られるかは、重要な問題ではない。研磨パッドの裏面のウィンドウの近辺をサンディングすることにより、又は、散乱させるコーティング材料(例えば、スコッチテープ等)を貼ることにより、あるいは所望の結果をもたらすその他の方法により、散乱面を作ることができる。
【0081】
【発明の効果】以上詳細に説明してきたように、本発明の装置及び方法は、CMPプロセスの最中に、除去された材料の厚さ又はウエハ表面の平坦度をインシチュウに決定するための、干渉による技術を採用する。
【0082】このため、研磨プロセスに関して正確性を向上し更に有用な情報を与えるために用いる事ができる終点の検出器及び方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術の典型的なケミカルメカニカルポリシング(CMP)装置の側面図である。
【図2】本発明に従って構成された終点検出器を有するケミカルメカニカルポリシング装置の側面図である。
【図3】(a)?(c)は、図2の装置のウィンドウ部分の各具体例の簡略的な断面図である。
【図4】レーザービームを発し且つ反射した干渉ビームを検出する事が可能なレーザー干渉計の部材を示す、図2の装置のウィンドウ部分の簡略的な断面図である。
【図5】レーザービームがウエハに入射し、ビームが反射されて干渉ビームを形成するところを模式的に示す、図2の装置によって処理されるべきブランク酸化物の簡略的な断面図である。
【図6】ウィンドウとセンサフラグの間の相対的な配置、並びに、センサとレーザー干渉計との間の相対的な配置の、1つの可能性を示す、図2の装置のプラーテンの簡略的な上面図である。
【図7】ウィンドウが円弧状である場合の、ウィンドウとセンサフラグとの間の相対的な配置、並びに、センサとレーザーとの間の相対的な配置を示す、図2の装置Mのプラーテンの簡略的な上面図である。
【図8】本発明に従った区分的なデータ取得の方法のフローチャートである。
【図9】(a)及び(b)は、ブランク酸化物ウエハが薄くなっていく行程における、レーザー干渉計からのデータ信号の経時的変化を表すグラフである。グラフ(a)は所望のサンプリング時間にわたって積分されたデータ信号の積分値を示すグラフであり、(b)は、この積分値をフィルタにかけた場合のグラフである。
【図10】(a)は、本発明に従ってブランク酸化物ウエハの酸化物層を薄くするCMPプロセスの終点を検出する後方予見法のブロック線図であり、(b)は、本発明に従ってブランク酸化物ウエハの酸化物層を薄くするCMPプロセスの終点を検出する前方予見法のブロック線図である。
【図11】(a)?(c)は、図2の装置によって処理されるべき不均一な面を有する、パターニングされたウエハの簡略的断面図である。(a)は、CMPプロセスの開始時のウエハを示す図であり、(b)は、プロセス半ばのウエハを表す図であり、(c)は、平坦化されるポイントに近付いたウエハを表す図である。
【図12】本発明に従って、不均一な面を有するパターニングされたウエハを平坦化するためのCMPプロセスの終点を決定する方法のフローチャートである。
【図13】パーターニングされたウエハの平坦化の最中における、レーザー干渉計からのデータ信号の経時変化を表すグラフである。
【図14】本発明に従って、特定のサイズの与えられた構造体又は同様のサイズが与えられた構造体のグループの上に形成される膜の厚さを制御するためのCMPプロセスの、終点を決定するための方法のブロック線図である。
【図15】(a)は、直径の小さなレーザービームによって照射されるべき表面欠陥を有するウエハの簡略的な断面図である。(b)は、直径の広いレーザービームによって照射されるべき表面欠陥を有するウエハの簡略的な断面図である。
【図16】非均一なウエハ表面に関する高周波信号を含む、ブランク酸化物の薄化の最中におけるレーザー干渉計からのデータ信号の周期的な変化を表すグラフである。
【図17】干渉計と、干渉計の出力信号の波形を解析して応答するようにプログラミングされたコンピュータとを有するCMPシステムを表す構成図である。
【図18】均一性のインシチュウでのモニタを実現するためにコンピュータの中で行われる機能のブロック線図である。
【図19】(a)?(c)は、干渉計の信号、低周波バンドパスフィルタによりフィルタにかけられた後の干渉計の信号、並びに、高周波バンドパスフィルタによりフィルタにかけられた後の干渉計の信号を、それぞれ表すグラフである。
【図20】(a),(b)は、シグネチャを発生させてこれをCMPシステムの中で用いて製造目的にかなうようにするための、フローチャートである。
【図21】(a)は、研磨パッドをウィンドウとして用い、パッドの裏側からの反射を示す、図2の装置のウィンドウ部分の具体例の簡略的な断面図である。(b)は、図21(a)の具体例のパッドの裏側からの反射により生じた大きなDC成分を有する、レーザー干渉計からのデータ信号の経時的な周期変化を示すグラフである。(c)は、反射を抑制する散乱裏面を有するウィンドウとして研磨パッドを用いる、図2の装置のウィンドウ部分の一具体例の簡略的断面図である。(d)は、図21(C)の具体例のパッドの散乱裏面の結果としてパッドの裏側からの反射により生じた大きなDC成分を有しない、レーザー干渉計からのデータ信号の経時的な周期変化を示すグラフである。
【符号の説明】
10…CMP装置、12…研磨ヘッド、14…ウエハ、16…研磨プラーテン、18…パッド、20…裏張り層、22…カバー層、24…プラーテンの中心軸、26…研磨ヘッドの中心軸、28…平行移動アーム、30…ホール、32…レーザー干渉計、34…レーザービーム、36…ショルダ、38…クオーツインサート、40…ケミカルスラリ、42…ポリウレタンプラグ、44…コリメータ、46…ビームスプリッタ、48…検出器、50…基板、52…酸化物層、54…第1の反射ビーム、56…伝送ビーム、58…第2の反射ビーム、60…結合ビーム、62…光遮断器タイプセンサ、64…位置センサフラグ、66,66′…ウィンドウ構造体、72,74,76…表面造作、78,80,82…構造体、84…狭いビーム、86…広いビーム、88…ビーム、90…表面不均一、150…コンピュータ、160…ディスプレイ、152…高周波フィルタ、154…低周波フィルタ、156,158…振幅測定機能、702…伝送ビーム、704…裏側面、704′…散乱面、706…反射ビーム、708…伝達されない光。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2013-06-03 
結審通知日 2013-06-05 
審決日 2013-06-21 
出願番号 特願平8-74976
審決分類 P 1 113・ 536- YA (H01L)
P 1 113・ 121- YA (H01L)
P 1 113・ 537- YA (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 丸山 英行渡邊 豊英紀本 孝  
特許庁審判長 野村 亨
特許庁審判官 豊原 邦雄
菅澤 洋二
長屋 陽二郎
刈間 宏信
登録日 2003-05-23 
登録番号 特許第3431115号(P3431115)
発明の名称 ケミカルメカニカルポリシングの操作をインシチュウでモニタするための装置及び方法  
代理人 堀篭 佳典  
代理人 林 孝吉  
代理人 堀篭 佳典  
代理人 園田 吉隆  
代理人 玉城 光博  
代理人 玉城 光博  
代理人 園田 吉隆  
代理人 古城 春実  
代理人 伊藤 麻美  
代理人 伊藤 麻美  
代理人 古城 春実  

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