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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する H04Q |
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管理番号 | 1279062 |
審判番号 | 訂正2013-390092 |
総通号数 | 167 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-11-29 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2013-06-24 |
確定日 | 2013-08-23 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3228381号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第3228381号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり一群の請求項ごとに訂正することを認める。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本件の特許第3228381号は、平成5年10月29日の出願であって、平成13年9月7日に設定登録がなされ、平成25年6月24日に本件訂正審判が請求されたものである。 第2.請求の趣旨 本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第3228381号の明細書を本件審判請求書に添付の訂正明細書のとおり一群の請求項ごとに訂正することを認める、との審決を求めるものである。 第3.本件訂正の内容 本件訂正の内容は、次のとおりである。 1.訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、「前記AV機器」とあるのを、「前記他のAV機器」に訂正する(ただし、「前記AV機器と他のAV機器との間でやりとりされる」は対象外であり、「前記AV機器と前記他のAV機器との間でやりとりされる」に訂正する)。 また、「前記記憶手段に記憶された前記コネクタとAV機器との対応関係を書き換える制御手段」とあるのを、「前記記憶手段に記憶された前記コネクタと前記他のAV機器との対応関係を書き換える制御手段」に訂正する。 (請求項1の記載を引用する請求項2?4も同様に訂正する。) 特許請求の範囲の請求項2に「AV機器」、「そのAV機器」とあるのを、「前記他のAV機器」に訂正する(請求項2の記載を引用する請求項4も同様に訂正する)。 特許請求の範囲の請求項3に「AV機器」、「そのAV機器」とあるのを、「前記他のAV機器」に訂正する(請求項3の記載を引用する請求項4も同様に訂正する)。 2.訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に「前記前記ステータス」とあるのを、「前記ステータス」と訂正する(請求項2の記載を引用する請求項4も同様に訂正する)。 3.訂正事項3 明細書の段落【0015】?【0021】、【0170】?【0172】にそれぞれ記載されていた「AV機器」、「そのAV機器」とあるのを、「他のAV機器」に訂正する(ただし、段落【0015】における「映像信号または音声信号を入力または出力するAV機器であって、他のAV機器との間で、コマンドまたはステータスを含む制御信号をやりとりすることによって連動するAV機器について、他のAV機器との間の接続を制御する切替手段と、」並びに、段落【0015】、【0019】及び【0170】における「他のAV機器との間で、制御信号、映像信号、および音声信号をまとめてやりとりする」中の各「AV機器」、段落【0015】、【0019】、【0170】にける「AV機器と他のAV機器との間でやりとりされる」中の各「AV機器」、及び段落【0019】?【0021】、【0170】?【0172】における「AV機器どおし」を除く)。 第4.当審の判断 以下、訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び拡張・変更の存否について検討する。 1.訂正事項1、2について 訂正事項1、2は、特許請求の範囲についての訂正事項である。 訂正前の特許請求の範囲は次のとおりである。 「【請求項1】 映像信号または音声信号を入力または出力するAV機器であって、他のAV機器との間で、コマンドまたはステータスを含む制御信号をやりとりすることによって連動するAV機器について、前記他のAV機器との間の接続を制御する切替手段と、 前記AV機器と接続され、前記他のAV機器との間で、前記制御信号、映像信号、および音声信号をまとめてやりとりすることができるように構成された複数のコネクタと、 前記複数のコネクタと、各コネクタに接続された前記AV機器とを対応付けて記憶する記憶手段と、 前記コネクタを介して、前記AV機器と他のAV機器との間でやりとりされる前記制御信号を監視することにより、前記AV機器とコネクタとの接続状態を認識し、前記記憶手段に記憶された前記コネクタとAV機器との対応関係を書き換える制御手段とを備えることを特徴とするAVセレクタ。 【請求項2】 前記ステータスを含む制御信号は、そのステータスになっているAV機器を表す機器アドレスをさらに含み、 前記制御手段は、前記前記ステータスを含む制御信号に含まれる前記機器アドレスのAV機器が、前記記憶手段に記憶されているかどうかを判定し、 前記制御信号に含まれる前記機器アドレスのAV機器が、前記記憶手段に記憶されていない場合には、そのAV機器と、そのAV機器が出力した前記制御信号が入力された前記コネクタとの対応関係を、前記記憶手段に追加することを特徴とする請求項1に記載のAVセレクタ。 【請求項3】 前記コマンドを含む制御信号は、そのコマンドを実行するAV機器を表す機器アドレスをさらに含み、 前記制御手段は、前記コマンドを含む制御信号に含まれる前記機器アドレスのAV機器が、そのコマンドに対応する動作を行うかどうかを判定し、 前記制御信号に含まれる前記機器アドレスのAV機器が、その制御信号に含まれるコマンドに対応する動作を行わない場合には、前記記憶手段から、そのAV機器と、そのAV機器が接続されている前記コネクタとの対応関係を削除することを特徴とする請求項1に記載のAVセレクタ。 【請求項4】 前記記憶手段の記憶内容を出力する出力手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のAVセレクタ。」 また、発明の詳細な説明には以下の記載が認められる。 「【0023】 【実施例】図1は、本発明のAVセレクタを適用したTV(テレビジョン受像機)1を組み込んで構成されたAVシステムの一実施例の構成を示すブロック図である。このAVシステムは、TV1の他、VTR(ビデオテープレコーダ)11およびMDP(マルチディスクプレーヤ)21から構成されており、TV1をいわゆるAVセンタとして、TV1,VTR11,MDP21が、制御信号をやりとりして連動するようになされている。」 「【0026】TV1には、VTR11やMDP21などのAV機器を接続するための、例えば3つ(3セット)のプラグ(コネクタ)Pa乃至Pcが設けられている。プラグPa乃至Pcそれぞれは、AV機器との間で、制御信号、映像信号、および音声信号をまとめてやりとりすることができるように、少なくとも制御信号入力用の端子、制御信号出力用の端子、映像信号入力用の端子、映像信号出力用の端子、音声信号のLまたはRチャンネルそれぞれの入力用の端子、および音声信号のLまたはRチャンネルそれぞれの出力用の端子の8端子に、GND(グランド)用の1端子を加えた9端子を有している。」 「【0096】図1のAVシステムにおいては、以上の初期化処理により、セレクタ管理表に、図11に示すように、プラグPaまたはPbと、それに接続されたVTR11またはMDP21の機器アドレス「VTR1」または「MDP1」とが、それぞれ対応付けられて登録されることになる。」 「【0103】ところで、AV機器どうしを接続し、AVシステムを構成した後、システムアップなどのためにAV機器が追加されたり、また接続されていたAV機器が、例えば老朽化などを理由に削除される(未接続状態になされる)場合がある。このAV機器の追加または削除により、AV機器の接続状態が変わった場合には、各AV機器が、正常に連動するように、TV1におけるマイコン2のRAMに記憶されているセレクタ管理表を書き換える必要がある。 【0104】そこで、TV1では、その電源投入直後に行われるステップS1(図6)の初期化処理により連動して動作することが可能となったAV機器間でやりとりされる制御信号を監視することによって、その接続状態が変わったことを検出し、セレクタ管理表の書き換えが行われるようになされている。」 「【0108】一方、ステップS4において、ステイタス信号の先頭に記述された機器アドレスが、セレクタ管理表に登録されていないと判定された場合、即ちステイタス信号を送信したAV機器が、新たに接続されたものである場合、ステップS5に進み、そのAV機器の機器アドレスを、セレクタ管理表に追加登録する追加処理が行われる。 【0109】即ち、ステップS5では、まず図12に示すフローチャートのステップS51において、検出器7a乃至7c(図1)が、マイコン2によりリセットされ、ステップS52に進む。 【0110】そして、ステップS52において、ステップS3(図6)でステイタス信号と判定された制御信号の先頭に記述された機器アドレス、即ち新たに接続されたAV機器(以下、新AV機器という)の機器アドレスを先頭に記述したステイタス要求信号が、TV1が有するプラグPa乃至Pcすべてに出力され、ステップS53に進み、マイコン2によって、図7に示したステップS21の割り込み処理で、制御信号が受信されたか否かが判定される。 【0111】ステップS53において、制御信号が受信されていないと判定された場合、ステップS54に進み、ステップS52でステイタス要求信号が送信されてから、所定の一定時間が経過したか否かが判定される。 【0112】ステップS54において、所定の一定時間が経過していないと判定された場合、即ちステップS52でステイタス要求信号を送信してから、それに対する応答としてのステイタス信号を受信するのに充分な時間が経過していない場合、ステップS53に戻り、再びステップS53からの処理を繰り返す。 【0113】また、ステップS54において、ステップS52でステイタス要求信号が送信されてから、所定の一定時間が経過したと判定された場合、ステップS4(図1)でセレクタ管理表に登録されていないと判定された機器アドレスが、例えば伝送エラーなどの何らかの原因により誤って受信されたものであり、従って新AV機器は接続されていないとして追加処理を終了し、図6のステップS2に戻る。 【0114】一方、ステップS53において、制御信号が受信されたと判定された場合、ステップS54に進み、その制御信号が、新AV機器の機器アドレスが先頭に記述された、ステップS53で送信されたステイタス要求信号に対する応答としての電源のステイタスを知らせるステイタス信号(問題の機器からのステイタス信号)であるか否かが判定される。 【0115】ここで、ステップS53で受信されたと判定された制御信号は、新AV機器からのものである可能性もあるし、また既にステップS1(図1)の初期化処理が終了しているので、TV1,VTR11,MDP21が連動するために、VTR11またはMDP21から出力された制御信号である可能性もあるため、ステップS55の処理は、受信された制御信号が新AV機器からのものであるか否かを判定するために行われる。 【0116】ステップS55において、制御信号が、新AV機器からのステイタス信号でないと判定された場合、即ち制御信号がVTR11またはMDP21から出力されたものである場合、ステップS51に戻り、再びステップS51からの処理を繰り返す。 【0117】また、ステップS55において、制御信号が、新AV機器からのステイタス信号であると判定された場合、ステップS56に進み、検出器7a乃至7cが出力している検出信号が調べられ、ステップS57に進む。 【0118】ステップS57では、検出器7a乃至7cが出力している検出信号のうち、ハイレベルであるものが1つであるか否かが判定される。ステップS57において、ハイレベルになっている検出信号が1つでないと判定された場合、即ち検出器7a乃至7cが出力している検出信号の2つ以上がハイレベルである場合、ステップS53で受信された制御信号が、TV1のプラグPa乃至Pcのうちのいずれから入力されたかを識別することができないので、ステップS51に戻り、再び検出器7a乃至7cをリセットするステップS51の処理から、処理を繰り返す。 【0119】また、ステップS57において、ハイレベルになっている検出信号が1つであると判定された場合、ステップS58に進み、ハイレベルの検出信号を出力している検出器(検出器7a乃至7cのうちのいずれか)が設けられているプラグ(プラグPa乃至Pcのうちのいずれか)と、新AV機器の機器アドレスとが対応付けられ、マイコン2の内蔵するRAMにおけるセレクタ管理表(図11)に登録されて、追加処理を終了する。 【0120】以上のように、セレクタ管理表に登録されていない機器アドレスが先頭に記述されたステイタス信号が流れた場合には、その新AV機器の追加処理がなされるので、AVシステムに、新AV機器が追加されても、使用者に追加登録などの操作を行わせることなく、システム全体を連動して動作させるようにすることができる。」 「【0121】図6に戻り、ステップS3において、ステップS2で受信されたと判定された制御信号が、ステイタス信号でないと判定された場合、即ち受信された制御信号がコマンド信号である場合、ステップS6に進み、マイコン2によって、そのコマンド信号の先頭に記述された機器アドレスのAV機器が、コマンド信号に対応する動作を行うか否かが監視される。 【0122】そして、ステップS7に進み、コマンド信号の先頭に記述された機器アドレスのAV機器が、正常に動作したか否かが判定される。ステップS7において、コマンド信号の先頭に記述された機器アドレスのAV機器が、正常に動作したと判定された場合、ステップS2に戻る。 【0123】また、ステップS7において、コマンド信号の先頭に記述された機器アドレスのAV機器が、正常に動作しなかったと判定された場合、ステップS8に進み、そのAV機器の機器アドレスを先頭に記述した、電源のステイタス要求をするステイタス要求信号が、プラグPa乃至Pcすべてに送信される。 【0124】そして、ステップS9に進み、ステップS8で送信されたステイタス要求信号に対する応答があったか否かが判定される。ステップS9において、ステイタス要求信号に対する応答があったと判定された場合、即ち例えば伝送エラーなどの何らかの原因により制御信号を正しく受信することができなかったために、ステップS7でAV機器が正常に動作しなかったと判定されてしまった場合、ステップS2に戻り、再びステップS2からの処理を繰り返す。 【0125】一方、ステップS9において、ステイタス要求信号に対する応答がなかったと判定された場合、ステップS10に進み、再確認のために、ステップS8における場合と同様にして、ステップS7で正常に動作しなかったと判定されたAV機器の機器アドレスを先頭に記述したステイタス要求信号が再送信される。 【0126】ステイタス要求信号の再送信後、ステップS11に進み、ステップS10で送信されたステイタス要求信号に対する応答があったか、即ちAV機器(ステップS7で正常に動作しなかったと判定されたAV機器)からのステイタス信号が受信されたか否かが判定される。ステップS10において、ステイタス信号が受信されたと判定された場合、即ち例えば伝送エラーなどの何らかの原因により制御信号を正しく受信することができなかったために、ステップS7でAV機器が正常に動作しなかったと判定され、且つステップS9でステイタス要求信号に対する応答がなかったと判定されてしまった場合、ステップS2に戻り、再びステップS2からの処理を繰り返す。 【0127】また、ステップS11において、ステイタス信号が受信されていないと判定された場合、ステップS12に進み、ステップS10でステイタス要求信号が送信されてから、所定の一定時間が経過したか否かが判定される。 【0128】ステップS12において、所定の一定時間が経過していないと判定された場合、即ちステップS10でステイタス要求信号を送信してから、それに対する応答としてのステイタス信号を受信するのに充分な時間が経過していない場合、ステップS11に戻る。 【0129】一方、ステップS12において、ステップS10でステイタス要求信号が送信されてから、所定の一定時間が経過したと判定された場合、ステップS13に進み、ステップS10で送信したステイタス要求信号に対する応答のなかったAV機器の機器アドレス(以下、未応答機器アドレスという)を、セレクタ管理表(図11)から削除する削除処理が行われる。 【0130】即ち、ステップS13では、まず図13に示すフローチャートのステップS61において、マイコン2によって、セレクタ管理表(図11)の中から、未応答機器アドレスが検索される。そして、ステップS62に進み、検索された未応答アドレスに代えて、コード「未接続」が書き込まれ、処理を終了し、図6のステップS2に戻る。 【0131】以上のように、セレクタ管理表に登録されていた機器アドレスを有するAV機器が、正常に動作しない場合、ステイタス要求信号が送信され、このステイタス要求信号に対しても応答がないときには、そのAV機器の削除処理がなされるので、AVシステムを構成していたAV機器が未接続状態にされても、使用者に削除登録などの操作を行わせることなく、システム全体を連動して動作させるようにすることができる。」 本件特許の図1及び段落【0023】には、AVセレクタを適用したTV1を組み込んで構成されたAVシステムの実施例が記載されている。 このAVシステムは、TV1、VTR11及びMDP21から構成されており、TV1をいわゆるAVセンタとして、TV1,VTR11、MDP21が連動するものである。 本件特許のこれら実施例の記載を参照すれば、請求項1の「映像信号または音声信号を入力または出力するAV機器であって、他のAV機器との間で、コマンドまたはステータスを含む制御信号をやりとりすることによって連動するAV機器」という記載の「AV機器」は、実施例の「AVセレクタを適用したTV1」に対応し、「他のAV機器」は、実施例の「VTR11」及び「MDP21」に対応していると認めることができる。 しかしながら、請求項1の「前記AV機器と接続され、前記他のAV機器との間で、前記制御信号、映像信号、および音声信号をまとめてやりとりすることができるように構成された複数のコネクタ」(以下、「記載事項a」という。)、「前記複数のコネクタと、各コネクタに接続された前記AV機器とを対応付けて記憶する記憶手段」(以下、「記載事項b」という。)、「前記コネクタを介して、前記AV機器と他のAV機器との間でやりとりされる前記制御信号を監視することにより、前記AV機器とコネクタとの接続状態を認識し、前記記憶手段に記憶された前記コネクタとAV機器との対応関係を書き換える制御手段」(以下、「記載事項c」という。)という各記載事項が、実施例とどのように対応するのか不明瞭である。 また、請求項2の「前記ステータスを含む制御信号は、そのステータスになっているAV機器を表す機器アドレスをさらに含み、前記制御手段は、前記前記ステータスを含む制御信号に含まれる前記機器アドレスのAV機器が、前記記憶手段に記憶されているかどうかを判定し、前記制御信号に含まれる前記機器アドレスのAV機器が、前記記憶手段に記憶されていない場合には、そのAV機器と、そのAV機器が出力した前記制御信号が入力された前記コネクタとの対応関係を、前記記憶手段に追加すること」(以下、「記載事項d」という。)という記載事項が、実施例とどのように対応するのか不明瞭であり、「前記前記ステータス」という記載は日本語として不適切なものである。 また、請求項3の「前記コマンドを含む制御信号は、そのコマンドを実行するAV機器を表す機器アドレスをさらに含み、前記制御手段は、前記コマンドを含む制御信号に含まれる前記機器アドレスのAV機器が、そのコマンドに対応する動作を行うかどうかを判定し、前記制御信号に含まれる前記機器アドレスのAV機器が、その制御信号に含まれるコマンドに対応する動作を行わない場合には、前記記憶手段から、そのAV機器と、そのAV機器が接続されている前記コネクタとの対応関係を削除すること」(以下、「記載事項e」という。)という記載事項が、実施例とどのように対応するのか不明瞭である。 訂正事項1は、「記載事項a」について、「前記他のAV機器と接続され、前記他のAV機器との間で、前記制御信号、映像信号、および音声信号をまとめてやりとりすることができるように構成された複数のコネクタ」と訂正するものであり、訂正後の記載事項aは、段落【0026】の記載を参照すれば、実施例のTV1のプラグPa、Pb、Pcに対応している。 また、訂正事項1は、「記載事項b」について、「前記複数のコネクタと、各コネクタに接続された前記他のAV機器とを対応付けて記憶する記憶手段」と訂正するものであり、訂正後の記載事項bは、段落【0096】の記載を参照すれば、実施例のセレクタ管理表に対応している。 また、訂正事項1は、「記載事項c」について、「前記コネクタを介して、前記AV機器と前記他のAV機器との間でやりとりされる前記制御信号を監視することにより、前記他のAV機器とコネクタとの接続状態を認識し、前記記憶手段に記憶された前記コネクタとAV機器との対応関係を書き換える制御手段」と訂正するものであり、段落【0103】、【0104】の記載を参照すれば、実施例のセレクタ管理表の書き換えの処理に対応している。 また、訂正事項1、2は、「記載事項d」について、「前記ステータスを含む制御信号は、そのステータスになっている前記他のAV機器を表す機器アドレスをさらに含み、前記制御手段は、前記ステータスを含む制御信号に含まれる前記機器アドレスの前記他のAV機器が、前記記憶手段に記憶されているかどうかを判定し、前記制御信号に含まれる前記機器アドレスの前記他のAV機器が、前記記憶手段に記憶されていない場合には、前記他のAV機器と、前記他のAV機器が出力した前記制御信号が入力された前記コネクタとの対応関係を、前記記憶手段に追加すること」と訂正するものであり、段落【0108】?【0120】の記載を参照すれば、実施例の新たなAV機器の機器アドレスをセレクタ管理表に追加登録する処理に対応している。そして訂正前の請求項2の「前記前記ステータス」という記載事項は、「前記ステータス」と訂正することにより適切な記載となるものである。 また、訂正事項1は、「記載事項e」について、「前記コマンドを含む制御信号は、そのコマンドを実行する前記他のAV機器を表す機器アドレスをさらに含み、前記制御手段は、前記コマンドを含む制御信号に含まれる前記機器アドレスの前記他のAV機器が、そのコマンドに対応する動作を行うかどうかを判定し、前記制御信号に含まれる前記機器アドレスの前記他のAV機器が、その制御信号に含まれるコマンドに対応する動作を行わない場合には、前記記憶手段から、前記他のAV機器と、前記他のAV機器が接続されている前記コネクタとの対応関係を削除すること」と訂正するものであり、段落【0121】?【0131】の記載を参照すれば、実施例の未接続になったときAV機器のアドレスをセレクタ管理表から削除する処理に対応している。 したがって、訂正事項1、2は、実施例との対応の不明瞭な訂正前の特許請求の範囲の請求項1?4を、実施例と対応するように訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し、また、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 2.訂正事項3について 訂正事項3は、特許請求の範囲を訂正する訂正事項1、2についての訂正に伴い、これらの訂正事項との整合を図るために発明の詳細な説明の【課題を解決するための手段】、【作用】、【発明の効果】の記載を訂正しようとするものであり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し、また、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 第5.むすび したがって、本件審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項及び第6項の規定に適合する。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 AVセレクタ (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】映像信号または音声信号を入力または出力するAV機器であって、他のAV機器との間で、コマンドまたはステータスを含む制御信号をやりとりすることによって連動するAV機器について、前記他のAV機器との間の接続を制御する切替手段と、 前記他のAV機器と接続され、前記他のAV機器との間で、前記制御信号、映像信号、および音声信号をまとめてやりとりすることができるように構成された複数のコネクタと、 前記複数のコネクタと、各コネクタに接続された前記他のAV機器とを対応付けて記憶する記憶手段と、 前記コネクタを介して、前記AV機器と前記他のAV機器との間でやりとりされる前記制御信号を監視することにより、前記他のAV機器とコネクタとの接続状態を認識し、前記記憶手段に記憶された前記コネクタと前記他のAV機器との対応関係を書き換える制御手段とを備えることを特徴とするAVセレクタ。 【請求項2】前記ステータスを含む制御信号は、そのステータスになっている前記他のAV機器を表す機器アドレスをさらに含み、 前記制御手段は、前記ステータスを含む制御信号に含まれる前記機器アドレスの前記他のAV機器が、前記記憶手段に記憶されているかどうかを判定し、 前記制御信号に含まれる前記機器アドレスの前記他のAV機器が、前記記憶手段に記憶されていない場合には、前記他のAV機器と、前記他のAV機器が出力した前記制御信号が入力された前記コネクタとの対応関係を、前記記憶手段に追加することを特徴とする請求項1に記載のAVセレクタ。 【請求項3】前記コマンドを含む制御信号は、そのコマンドを実行する前記他のAV機器を表す機器アドレスをさらに含み、 前記制御手段は、前記コマンドを含む制御信号に含まれる前記機器アドレスの前記他のAV機器が、そのコマンドに対応する動作を行うかどうかを判定し、 前記制御信号に含まれる前記機器アドレスの前記他のAV機器が、その制御信号に含まれるコマンドに対応する動作を行わない場合には、前記記憶手段から、前記他のAV機器と、前記他のAV機器が接続されている前記コネクタとの対応関係を削除することを特徴とする請求項1に記載のAVセレクタ。 【請求項4】前記記憶手段の記憶内容を出力する出力手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のAVセレクタ。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、例えばVTR(ビデオテープレコーダ)やMDP(マルチディスクプレーヤ)、TV(テレビジョン受像機)などのAV機器間の接続を切り換えるAVセレクタに関する。 【0002】 【従来の技術】 近年、TVやVTR,MDP,AVセレクタ、スピーカシステム、アンプなどのAV機器は、映像信号をやりとりするためのビデオケーブルや、音声信号をやりとりするためのオーディオケーブルだけでなく、制御信号をやりとりする制御信号線によって相互に接続することができるようになされており、これによりAVシステムとしてシステム化することができるようになされている。 【0003】 このようなAVシステムでは、AV機器間で制御信号をやりとりすることによって連動して動作するようになされている。即ち、例えばVTRやMDPで映像信号または音声信号の再生が開始されると、そのことを知らせる制御信号が、TVやアンプ、スピーカシステムに出力されるようになされている。そして、制御信号を受信したTVやアンプ、スピーカシステムでは、その電源がONにされ、再生された映像信号が表示され、また音声信号が出力されるようになされている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 ところで、AVシステムを構成する場合、AV機器間の接続は、例えば取扱い説明書を見たり、またAV機器のコネクタ付近に印刷されている、接続すべきAV機器の信号名を見たりなどして、使用者によって行われる。従って、接続するAV機器が多い場合には、使用者に煩わしさを感じさせる課題があった。 【0005】 さらに、その接続に誤りがある場合があり、このような場合においては、AVシステムは、正常に連動して動作しないため、使用者にAV機器が故障していると勘違いさせる課題があった。 【0006】 そこで、AV機器間の接続をチェックし、誤接続があった場合には、それを使用者に知らせることができるAVシステムがある。 【0007】 しかしながら、このようなAVシステムでは、AV機器間の接続をチェックするのに、そのチェック用のボタンを操作しなければならず、使用者に煩わしさを感じさせる課題があった。 【0008】 さらに、このようなAVシステムにおいては、AV機器間を接続するビデオケーブルやオーディオケーブルにチェック用の信号を出力する信号発生器が必要となるとともに、その信号発生器を制御する制御信号も、AV機器の連動動作を制御する制御信号の他に必要となり、機器が大型化するとともに、制御が複雑化する課題があった。 【0009】 また、制御の複雑化により、チェックに時間がかかる課題があった。 【0010】 一方、AV機器どうしを接続するためのビデオケーブルや、オーディオケーブル、制御信号線は、その両端にコネクタが設けられており、そのコネクタを、AV機器に設けられたコネクタに接続する(嵌める)ことにより、AV機器どうしが電気的に接続される。 【0011】 従って、例えばTVとVTRとを接続することを考えた場合、TVの映像入力端子(コネクタ)、音声入力端子、映像出力端子、音声出力端子、または制御信号端子と、VTRの映像出力端子、音声出力端子、映像入力端子、音声入力端子、または制御信号端子とをそれぞれケーブルで接続する必要がある。 【0012】 しかしながら、この場合、ケーブルの端部に設けられたコネクタは、一般的に独立になっているので、即ちコネクタは、1つで複数の信号をやりとりすることができるようにはなされていないので、一部の端子どうしの接続を誤るときがあった。具体的には、例えばTVの映像入力端子とVTRの映像出力端子とが正確に接続されていても、TVとVTRの音声出力端子どうしが誤って接続される場合があった。 【0013】 このような誤接続をしたAV機器が多い場合、上述したように誤接続を知らされても、それを確認しながら接続をし直すのは容易ではなかった。 【0014】 本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、使用者に煩わしさを感じさせることなく、容易にAVシステムを構成することができるようにするものである。 【0015】 【課題を解決するための手段】 本発明のAVセレクタは、映像信号または音声信号を入力または出力するAV機器であって、他のAV機器との間で、コマンドまたはステータスを含む制御信号をやりとりすることによって連動するAV機器について、他のAV機器との間の接続を制御する切替手段と、他のAV機器と接続され、他のAV機器との間で、制御信号、映像信号、および音声信号をまとめてやりとりすることができるように構成された複数のコネクタと、複数のコネクタと、各コネクタに接続された他のAV機器とを対応付けて記憶する記憶手段と、コネクタを介して、AV機器と他のAV機器との間でやりとりされる制御信号を監視することにより、他のAV機器とコネクタとの接続状態を認識し、記憶手段に記憶されたコネクタと他のAV機器との対応関係を書き換える制御手段とを備えることを特徴とする。 【0016】 ステータスを含む制御信号には、そのステータスになっている他のAV機器を表す機器アドレスをさらに含ませることができ、この場合、制御手段には、ステータスを含む制御信号に含まれる機器アドレスの他のAV機器が、記憶手段に記憶されているかどうかを判定させ、制御信号に含まれる機器アドレスの他のAV機器が、記憶手段に記憶されていない場合には、他のAV機器と、他のAV機器が出力した制御信号が入力されたコネクタとの対応関係を、記憶手段に追加させることができる。 【0017】 コマンドを含む制御信号には、そのコマンドを実行する他のAV機器を表す機器アドレスをさらに含ませることができ、この場合、制御手段には、コマンドを含む制御信号に含まれる機器アドレスの他のAV機器が、そのコマンドに対応する動作を行うかどうかを判定させ、制御信号に含まれる機器アドレスの他のAV機器が、その制御信号に含まれるコマンドに対応する動作を行わない場合には、記憶手段から、他のAV機器と、他のAV機器が接続されているコネクタとの対応関係を削除させることができる。 【0018】 また、このAVセレクタは、セレクタ管理表の記憶内容を出力する出力手段としての出力部8をさらに備えるようにすることができる。 【0019】 【作用】 上記構成のAVセレクタにおいては、他のAV機器と接続され、他のAV機器との間で、制御信号、映像信号、および音声信号をまとめてやりとりすることができるように構成されたコネクタを介して、AV機器と他のAV機器との間でやりとりされる制御信号を監視することにより、他のAV機器とコネクタとの接続状態を認識し、コネクタと他のAV機器との対応関係を書き換える。従って、コネクタにいかなる他のAV機器を接続しても、他のAV機器を識別し、AV機器どうしの接続を正確に切り換えることができる。 【0020】 ステータスを含む制御信号に、そのステータスになっている他のAV機器を表す機器アドレスをさらに含ませ、その機器アドレスの他のAV機器が、記憶手段に記憶されていない場合に、他のAV機器と、他のAV機器が出力した制御信号が入力されたコネクタとの対応関係を、記憶手段に追加させるときには、使用者に煩わしさを感じさせることなく、コネクタに新たに接続された他のAV機器を識別し、AV機器どうしの接続を正確に切り換えることができる。 【0021】 コマンドを含む制御信号に、そのコマンドを実行する他のAV機器を表す機器アドレスをさらに含ませ、その機器アドレスの他のAV機器が、そのコマンドに対応する動作を行わない場合に、記憶手段から、他のAV機器と、他のAV機器が接続されているコネクタとの対応関係を削除させるときには、使用者に煩わしさを感じさせることなく、コネクタからはずされた他のAV機器を識別し、AV機器どうしの接続を正確に切り換えることができる。 【0022】 セレクタ管理表の記憶内容を出力する場合においては、現在の接続状況を、使用者に知らせることができる。 【0023】 【実施例】 図1は、本発明のAVセレクタを適用したTV(テレビジョン受像機)1を組み込んで構成されたAVシステムの一実施例の構成を示すブロック図である。このAVシステムは、TV1の他、VTR(ビデオテープレコーダ)11およびMDP(マルチディスクプレーヤ)21から構成されており、TV1をいわゆるAVセンタとして、TV1,VTR11,MDP21が、制御信号をやりとりして連動するようになされている。 【0024】 なお、後述するように、TV1においては、マイコン2と制御信号が流れる信号線とが、コントロールバス9を介して接続されている、即ちバス形式で接続されているが、例えばマイコン2と制御信号が流れる信号線とを、バス形式で接続するのではなく、直接接続するようにすることができる。 【0025】 但し、マイコン2と制御信号が流れる信号線とをバス形式で接続した場合には、直接接続する場合に比較して、次の点で有利である。 (1)TV1が備える、後述するプラグの数を変更するときに、マイコン2の設計を変える必要がない。 (2)マイコン2のシステムプログラムの設計が容易になる。 【0026】 TV1には、VTR11やMDP21などのAV機器を接続するための、例えば3つ(3セット)のプラグ(コネクタ)Pa乃至Pcが設けられている。プラグPa乃至Pcそれぞれは、AV機器との間で、制御信号、映像信号、および音声信号をまとめてやりとりすることができるように、少なくとも制御信号入力用の端子、制御信号出力用の端子、映像信号入力用の端子、映像信号出力用の端子、音声信号のLまたはRチャンネルそれぞれの入力用の端子、および音声信号のLまたはRチャンネルそれぞれの出力用の端子の8端子に、GND(グランド)用の1端子を加えた9端子を有している。 【0027】 プラグPa乃至Pcそれぞれが有する端子のうち、映像信号入力用の端子、映像信号出力用の端子、音声信号のLまたはRチャンネルそれぞれの入力用の端子、および音声信号のLまたはRチャンネルそれぞれの出力用の端子は、信号線を介してセレクタ4に接続されている。 【0028】 なお、信号線のうち、音声信号に対応するものは、実際にはLおよびRチャンネルに対応する2本の信号線が必要であるが、図1においては、1つの線で図示してある。また、GNDに対応する信号線は省略してある。 【0029】 セレクタ4は、マイコン2が内蔵するAVC(AVコントローラ)3によって制御され、プラグPa乃至Pcどうしの接続関係を制御する。即ち、セレクタ4は、そこに信号を入力する信号線と、そこから信号を出力する信号との接続を切り換えることにより、あるプラグを介して入力された映像信号または音声信号を、他のプラグに出力する。 【0030】 なお、TV1は、図示せぬTV本来の動作を行うTVブロックを有し、このTVブロックは、セレクタ4に接続されている。そして、セレクタ4は、プラグPa乃至Pcに、TVブロックを加えた接続関係を制御するようになされている。 【0031】 プラグPa乃至Pcそれぞれが有する端子のうち、制御信号入力用の端子または制御信号出力用の端子は、バスバッファ5a乃至5cまたは6a乃至6cをそれぞれ介してコントロールバス9に接続されている。さらに、コントロールバス9には、バスバッファ5または6を介してマイコン2が接続されている。 【0032】 マイコン2は、システムプログラムや初期値データ(例えば、後述する機器のアドレス表(図9)やTV1の機器アドレスなど)などを記憶しているROM、このROMに記憶されているシステムプログラムにしたがって、所定の動作を行うCPU、および装置の動作上必要なデータ(例えば、後述するセレクタ管理表(図11)など)を記憶するRAM(いずれも図示せず)などの他、セレクタ4を制御するAVC3から構成されている。 【0033】 そして、マイコン2は、プラグPa乃至Pcそれぞれが有する制御信号入力用の端子、バスバッファ5a乃至5c、コントロールバス9、およびバスバッファ6を介して入力される制御信号に対応して、AVC3を制御するとともに、プラグPa乃至Pcそれぞれに接続されたAV機器を制御するための制御信号を、バスバッファ5、コントロールバス9、バスバッファ6a乃至6c、およびプラグPa乃至Pcそれぞれが有する制御信号出力用の端子を介して出力する。 【0034】 さらに、マイコン2は、音声を出力する、例えばスピーカや、所定の表示を行う、例えばディスプレイなどでなる出力部8を制御する。 【0035】 プラグPa乃至Pcそれぞれが有する端子のうち、制御信号入力用の端子は、マイコン2に接続されているだけでなく、検出器7a乃至7cそれぞれにも接続されている。検出器7a乃至7cは、プラグPa乃至Pcそれぞれから、制御信号が入力されたか否かを、後述するようにして検出し、制御信号の入力を検出した場合には、マイコン2に検出信号を出力するようになされている。 【0036】 図1に示すAVシステムでは、TV1のプラグPa乃至Pcのうち、プラグPaまたはPbと、VTR11またはMDP21の有するプラグPVTRまたはPMDPとが、マルチケーブルCaまたはCbによってそれぞれ接続されている。 【0037】 VTR11またはMDP21それぞれが有するプラグPVTRまたはPMDPは、上述したTV1のプラグPa乃至Pcと同様に構成されている。また、マルチケーブルCa(Cbも同様)は、9本の信号線が1本のケーブルとして束ねられており、その両端には、プラグPa乃至Pc,PVTR,PMDPが有する制御信号入力用の端子、制御信号出力用の端子、映像信号入力用の端子、映像信号出力用の端子、音声信号のL,Rチャンネルそれぞれの入力用の端子、音声信号のL,Rチャンネルそれぞれの出力用の端子、またはGND用の端子の9端子それぞれと、いわば嵌合する端子を有するコネクタが設けられている。 【0038】 なお、図1においては、マルチケーブルCaおよびCbの信号線のうち、GNDに対応するものは省略してある。さらに、LおよびRチャンネルの音声信号に対応する2本の信号線は、1つの線で図示してある。 【0039】 VTR11は、マイコン12およびVTR本来の動作を行うVTRブロック(図示せず)から構成される。マイコン12には、プラグPVTRが有する端子のうち、制御信号入力用の端子および制御信号出力用の端子が接続されている。マイコン12は、システムプログラムや初期設定データ(例えば、後述するVTR11機器アドレスなど)などを記憶しているROM、このROMに記憶されているシステムプログラムにしたがって、所定の動作を行うCPU、および装置の動作上必要なデータを記憶するRAM(いずれも図示せず)などから構成され、受信した制御信号に対応してVTRブロックを制御したり、またVTRブロック動作状態に対応して制御信号を出力する。VTRブロックには、プラグPVTRが有する端子のうち、映像信号入力用の端子、映像信号出力用の端子、音声信号のLまたはRチャンネルそれぞれの入力用の端子、および音声信号のLまたはRチャンネルそれぞれの出力用の端子が接続されている。 【0040】 MDP21は、マイコン22およびMDP本来の動作を行うMDPブロック(図示せず)から構成される。マイコン22には、プラグPMDPが有する端子のうち、制御信号入力用の端子と制御信号出力用の端子が接続されている。マイコン22は、VTR11のマイコン12と同様に構成され、受信した制御信号に対応してMDPブロックを制御したり、またMDPブロック動作状態に対応して制御信号を出力する。MDPブロックには、プラグPVTRが有する端子のうち、映像信号出力用の端子と、音声信号のLまたはRチャンネルそれぞれの出力用の端子が接続されている。 【0041】 なお、MDPブロックは、映像信号や音声信号の記録機能を有しておらず、従ってMDP21では、プラグPMDPが有する端子のうち、映像信号入力用の端子と、音声信号のLまたはRチャンネルそれぞれの入力用の端子は使用されない(例えば、ハイインピーダンスにされている)。 【0042】 以上のように構成されるAVシステムでは、例えば図2(a)に示すフォーマットの制御信号がやりとりされることによって、TV1,VTR11,MDP21が連動するようになされている。 【0043】 即ち、制御信号には、その先頭から、AV機器にあらかじめ割り当てられている機器アドレス、制御信号がAV機器に対する命令(コマンド)(以下、コマンド信号という)か、またはAV機器の状態(ステイタス)を通知するもの(以下、ステイタス信号という)なのかを示すコマンド/ステイタス、以下必要なデータが記述される。そして、その最後には、エラー検出または訂正のためのチェックコードが記述される。 【0044】 ここで、TV1,VTR11,MDP21などのAV機器には、自身を他のAV機器と区別するための機器アドレスがあらかじめ割り当てられている。本実施例では、TV1,VTR11,MDP21それぞれに、「TV1」,「VTR1」,「MDP1」という機器アドレスがあらかじめ割り当てられ、マイコン2,12,22それぞれが内蔵するROMに記憶されているのものとする。 【0045】 なお、AVシステムを構成するAV機器のうちの複数の機器アドレスが同一である場合には、AVセンタたるTV1によって、同一である機器アドレスが異なるものになるように変更されるようになされている。 【0046】 例えばVTR11のVTRブロックが、ビデオテープの記録再生を行うビデオデッキブロックおよびテレビジョン信号のチューニングを行うチューナブロック(いずれも図示せず)などから構成され、例えばそのビデオデッキブロックにビデオテープ(図示せず)の再生をさせる場合には、図2(b)に示すような、機器アドレス、コマンド/ステイタス、またはデータそれぞれに、コマンドを実行させるVTR11の機器アドレス「VTR1」、制御信号がコマンド信号であることを示す「コマンド」、またはコマンドの具体的な内容(データ)「ビデオデッキ」および「PLAY」が記述された制御信号が送信される。 【0047】 また、例えばVTR11が、そのVTRブロックのビデオデッキブロックが再生中であることを知らせる場合には、図2(c)に示すような、機器アドレス、コマンド/ステイタス、またはデータそれぞれに、制御信号を出力するVTR11の機器アドレス「VTR1」、制御信号がステイタス信号であることを示す「ステイタス」、またはステイタス(状態)の具体的な内容「ビデオデッキ」および「PLAY」が記述された制御信号が送信される。 【0048】 さらに、例えばVTR11におけるVTRブロックのチューナブロックのチャンネルを1チャンネルにする場合には、図2(d)に示す制御信号が送信される。 【0049】 制御信号が、図2(b)および図2(d)に示すように、コマンド信号である場合、機器アドレスには、そのコマンド(命令)を実行させるAV機器の機器アドレスが記述される。そして、この場合、各AV機器のマイコン(マイコン2,12,22など)では、そのアドレスが自身の機器アドレスであると、そのコマンド(命令)に対応する処理が実行される。 【0050】 また、制御信号が、図2(c)に示すように、ステイタス信号である場合、機器アドレスには、自身の状態を通知しようとしているAV機器の機器アドレスが記述される。そして、この場合、各AV機器のマイコン(マイコン2,12,22など)では、そのアドレスを有するAV機器の状態を知る必要があると、そのステイタス信号が取り込まれる。 【0051】 図1に示すAVシステムにおいては、以上説明した制御信号がやりとりされることによって、例えばMDP21の図示せぬPLAYボタンを操作するだけで、TV1およびVTR11が連動して動作し、これにより、MDP21のMDPブロックで再生される映像信号および音声信号を、TV1のTVブロックでモニタしながら、VTR11のVTRブロックでビデオテープに記録することができるようになされている。 【0052】 即ち、MDP21のプレイボタンが操作されると、そのMDPブロックで映像信号または音声信号の再生が開始され、MDP21のマイコン21は、TV1に対して、電源をON状態にし、MDP21のMDPブロックよりマルチケーブルCbを介して出力される映像信号または音声信号を、TVブロックのディスプレイまたはスピーカにそれぞれ出力するとともに、マルチケーブルCaを介してVTR11のVTRブロックに出力するように、マルチケーブルCbを介して制御信号を出力する。 【0053】 この制御信号は、TV1のマイコン2によって受信され、マイコン2では、TV1のテレビブロックの電源をON状態にし、さらにMDP21のMDPブロックよりマルチケーブルCbを介して出力される映像信号または音声信号を、TV1のTVブロックに出力するとともに、マルチケーブルCaを介してVTR11のVTRブロックに出力するようにセレクタ4を切り換えるように、AVC3が制御される。 【0054】 同時に、MDP21のマイコン21は、VTR11のVTRブロックの電源をON状態にさせ、マルチケーブルCaを介して入力される映像信号または音声信号を記録させるための制御信号を、マルチケーブルCbを介して出力する。 【0055】 この制御信号は、TV1のコントロールバス9、そしてマルチケーブルCaを介してVTR11のマイコン12に受信され、マイコン12では、電源をON状態にし、さらにマルチケーブルCaを介して入力される映像信号または音声信号を記録するように、VTR11のVTRブロックが制御される。 【0056】 以上のような処理により、MDP21のPLAYボタンを操作するだけで、MDP21のMDPブロックで再生された映像信号および音声信号を、TV1のTVブロックでモニタしながら、VTR11のVTRブロックでビデオテープに記録することができるようになされている。 【0057】 なお、本実施例においては、制御信号は、アクティブハイのディジタル信号として送受信されるものとする。また、制御信号のデータ長は、例えば可変で、8ビットの整数倍の長さにされるものとする。 【0058】 次に、本発明のポイントであるAVシステムを構成したときの接続確認について説明するが、その前段階の準備として、TV1が備えるプラグPa乃至Pcそれぞれに対応して設けられた、制御信号の入力を検出する検出器7a乃至7cについて説明する。 【0059】 検出器7a乃至7cそれぞれにおいては、制御信号が流れる信号線のレベルが監視され、そのレベルがハイレベルになった場合、プラグPa乃至Pcから制御信号の入力があったとして、マイコン2に、例えばハイレベルの検出信号が出力されるようになされている。 【0060】 なお、例えば図3(a)に示すように、制御信号が流れる信号線にノイズがのり、これによりそのレベルが一瞬ハイレベルになる場合がある。そこで、検出器7a乃至7cそれぞれでは、制御信号が流れる信号線のレベルがハイレベルになってから、所定の一定時間だけ遅れて、ハイレベルの検出信号を出力するようになされている(図3(b))。 【0061】 具体的には、検出器7a(7bおよび7cも同様)は、例えば図4に示すように制御信号の周期より短い周期のクロックを発生するクロック発生回路31、入力される制御信号がハイレベルになっている間だけ、クロック発生回路31が発生しているクロックをカウントし、例えば16クロック(0から15まで)をカウントするとハイレベルを出力するカウンタ32、およびこのカウンタ32が出力するハイレベルをラッチするFF(フリップフロップ)33から構成される。 【0062】 以上のように構成される検出器7a(7bおよび7cも同様)では、図5に示すようにして制御信号の入力が検出される。即ち、カウンタ32に、ハイレベルの制御信号(図5(a))が入力されると、そこでは、クロック発生回路31が発生しているクロック(図5(b))のカウントが0から開始される(図5(c))。 【0063】 カウンタ32は、クロックのカウント値が15になる前に、制御信号のレベルがローレベルになった場合(図5(a))、即ち制御信号が、例えばノイズなどにより、短い時間だけハイレベルにされた場合、自身のカウント値を0にリセットする(図5(c))。 【0064】 また、カウンタ32は、クロックのカウント値が15になった場合、即ちクロック発生回路31が発生するクロックの16個分に対応する時間だけ連続して制御信号がハイレベルになっている場合、カウント値の繰り上がりを示すハイレベルを、クロック発生回路31が発生するクロックの1周期分の時間だけ出力する(図5(d))。このハイレベルは、FF33によりラッチされ、これによりFF33の出力はハイレベルになり(図5(e))、これが検出信号として、マイコン2に出力される。 【0065】 なお、FF33は、必要に応じてマイコン2から出力されるリセット信号によってリセットされるようになされている(図4)。 【0066】 以上のようにして、検出器7aでは、ノイズにより検出信号がハイレベルになることがないようになされている。 【0067】 なお、クロック発生回路31が発生するクロックの周期は、ノイズにより制御信号がハイレベルになる時間や、実際の制御信号がハイレベルになる時間などに基づいて設定するようにする。 【0068】 図1に戻り、接続確認の方法について説明する。上述したように、TV1のプラグPa乃至Pc,VTR11のプラグPVTR,MDP21のプラグPMDPは、すべて同一形状であるから、マルチケーブルCaやCb(これも、同一形状)を用いて、VTR11またはMDP21それぞれのプラグPVTRまたはPMDPは、TV1のプラグPa乃至Pcのいずれとも接続することができる。 【0069】 即ち、TV1のプラグPa乃至Pcには、いずれのAV機器をも接続することができるので、使用者は、TV1のプラグPa乃至Pcのうち、空いているものと、AV機器とをマルチケーブルCaやCbを用いて接続するだけで良い。さらに、プラグPa乃至Pcは、AV機器との間で、制御信号、映像信号、および音声信号をまとめてやりとりすることができるようになされているので、従来のように、一部の端子どうしの接続を誤ることもない。 【0070】 本実施例では、図1に示したように、VTR11のプラグPVTRまたはMDP21のプラグPMDPが、マルチケーブルCaまたはCbによって、TV1のプラグPaまたはPbにそれぞれ接続されている。 【0071】 接続後、TV1の電源が投入(図示せぬ電源スイッチが操作されてON状態になったこと、またはその電源プラグが電源コンセントに差し込まれたことを意味する)されると、そのマイコン2では、図6のフローチャートに示すように、ステップS1において、初期化処理が行われる。 【0072】 ここで、TV1のマイコン2,VTR11のマイコン12、およびMDP21のマイコン22では、制御信号が送られてくると、図7に示すステップS21の制御信号を受信する割り込み処理が行われるようになされている。 【0073】 ステップS1では、まず図8に示すフローチャートのステップS31において、接続される可能性のあるAV機器の機器アドレスが記述されたアドレス表が参照され、例えばその記述順に機器アドレスが読み出される。 【0074】 ここで、TV1のマイコン2には、その内蔵するROMに、例えば図9に示すような、接続される可能性のあるAV機器の機器アドレスが記述された機器のアドレス表があらかじめ記憶されている。 【0075】 ステップS31で機器アドレスを読み出した後、ステップS32に進み、アドレス表(図9)から読み出した機器アドレスが、その最後を示すコード(例えば、EOF)であるか否かが判定される。ステップS32において、アドレス表から読み出したデータが、EOFでないと判定された場合、即ちアドレス表から読み出したデータが機器アドレスである場合、ステップS33に進み、図2(e)に示すような、その機器アドレスを先頭に記述した、例えば電源のステイタス(電源の状態)(電源がON状態であるか、またはOFF状態であるか)を要求する制御信号であるコマンド信号(以下、ステイタス要求信号という)が、TV1が有するプラグPa乃至Pcすべてに出力され、ステップS31に戻る。 【0076】 また、ステップS32において、機器アドレス表(図9)から読み出したデータが、EOFであると判定された場合、即ちアドレス表に記述された機器アドレスすべてを先頭に記述した、電源のステイタス要求をするためのステイタス要求信号を、TV1が有するプラグPa乃至Pcすべてから出力し終えた場合、ステップS34に進み、マイコン2によって、図7に示したステップS21の割り込み処理で、AV機器、即ち図1においては、VTR11(マイコン12)またはMDP21(マイコン22)からの制御信号が受信されたか否かが判定される。 【0077】 ステップS34において、制御信号が受信されたと判定された場合、ステップS35に進み、その制御信号が、電源のステイタスを知らせるステイタス信号であるか否かが判定される。ステップS35において、受信された制御信号がステイタス信号であると判定された場合、ステップS36に進み、その制御信号の先頭に記述されている機器アドレス(図2)、即ちその制御信号を出力したAV機器の機器アドレスが、マイコン2の内蔵するRAMの所定のアドレス空間に確保された一時記憶領域(少なくとも、TV1が備えるプラグPa乃至Pcの数に対応する領域の数だけ確保される)に記憶され、ステップS37に進む。 【0078】 また、ステップS35において、受信された制御信号が、電源のステイタスを知らせるステイタス信号でないと判定された場合、ステップS36をスキップして、ステップS37に進む。 【0079】 一方、ステップS34において、制御信号が受信されていないと判定された場合、ステップS35およびS36をスキップして、ステップS37に進み、ステップS33でステイタス要求信号が送信されてから、所定の一定時間が経過したか否かが判定される。 【0080】 ここで、所定の一定時間とは、ステイタス要求信号を送信してから、それに対する応答としてのステイタス信号を受信するのに充分と考えられる時間である。 【0081】 ステップS37において、所定の一定時間が経過していないと判定された場合、即ちステップS33でステイタス要求信号を送信してから、それに対する応答としてのステイタス信号を受信するのに充分な時間が経過していない場合、ステップS34に戻り、再びステップS34からの処理を繰り返す。 【0082】 また、ステップS37において、ステップS33でステイタス要求信号が送信されてから、所定の一定時間が経過したと判定された場合、ステップS38に進み、マイコン2のRAMに確保された一時記憶領域に、機器アドレスが記憶されているか否かが判定される。 【0083】 ここで、図1に示すAVシステムにおいて、マイコン2により、ステップS38の処理が行われるときには、マイコン2が内蔵するRAMの一時記憶領域には、図10に示すように、VTR11またはMDP21それぞれの機器アドレス「VTR_(1)」または「MDP_(1)」が記憶された状態になる。 【0084】 ステップS38において、マイコン2のRAMにおける一時記憶領域に、機器アドレスが記憶されていると判定された場合、ステップS39に進み、そのうちの1つが読み出され、ステップS40に進む。 【0085】 ステップS40においては、マイコン2より、検出器7a乃至7c(図1)にリセット信号が出力され、これにより検出器7a乃至7c(FF33(図4))は、すべてリセットされる。これは、上述したステップS31乃至S37の処理の間に、電源に関するステイタス要求信号に対する応答としてのステイタス信号を受信しているので、検出器7a乃至7cの出力、即ち検出信号がハイレベルになっているのをリセットするためである。 【0086】 そして、ステップS41において、ステップS39で読み出だした機器アドレスを先頭に記述した、電源に関するステイタス要求信号が、TV1が有するプラグP_(a)乃至P_(c)すべてに出力され、ステップS42に進み、マイコン2によって、図7に示したステップS21の割り込み処理で、AV機器、即ち図1においては、VTR11(マイコン12)またはMDP21(マイコン22)からの制御信号が受信されたか否かが判定される。 【0087】 ステップS42において、制御信号が受信されていないと判定されるか、または制御信号が受信されたと判定されても、受信された制御信号が、ステップS41で送信されたステイタス要求信号に対する応答としての、電源のステイタスを知らせるステイタス信号でない場合、ステップS46に進み、ステップS41でステイタス要求信号が送信されてから、所定の一定時間が経過したか否かが判定される。 【0088】 ステップS46において、所定の一定時間が経過していないと判定された場合、即ちステップS41でステイタス要求信号を送信してから、それに対する応答としてのステイタス信号を受信するのに充分な時間が経過していない場合、ステップS42に戻り、再びステップS42からの処理を繰り返す。 【0089】 また、ステップS46において、ステップS41でステイタス要求信号が送信されてから、所定の一定時間が経過したと判定された場合、ステップS47に進み、ステップS39で一時記憶領域から読み出した機器アドレスが削除され、ステップS38に戻る。 【0090】 即ち、所定の一定時間経過しても、ステイタス要求信号に対する応答がない場合には、ステップS39で一時記憶領域から読み出した機器アドレスが、何らかの原因により、誤って一時記憶領域に記憶されたか、またはその機器アドレスを有するAV機器が、電気的に接続されていない状態にされたものとし、その機器アドレスを、後述するセレクタ管理表(図11)に登録ぜずに、一時記憶領域から削除する。 【0091】 一方、ステップS42において、制御信号が受信されていると判定され、その制御信号が、ステップS41で送信されたステイタス要求信号に対する応答としての、電源のステイタスを知らせるステイタス信号である場合、ステップS43に進み、検出器7a乃至7cが出力している検出信号が調べられ、ステップS44に進む。 【0092】 ステップS44では、検出器7a乃至7cが出力している検出信号のうち、ハイレベルであるものが1つであるか否かが判定される。ステップS44において、ハイレベルになっている検出信号が1つでないと判定された場合、即ち検出器7a乃至7cが出力している検出信号の2つ以上がハイレベルである場合、ステップS42で受信された制御信号が、TV1のプラグP_(a)乃至P_(c)のうちのいずれから入力されたかを識別することができないので、ステップS40に戻り、再び検出器7a乃至7cをリセットするステップS40から、処理を繰り返す。 【0093】 また、ステップS44において、ハイレベルになっている検出信号が1つであると判定された場合、ステップS45に進み、ハイレベルの検出信号を出力している検出器(検出器7a乃至7cのうちのいずれか)が設けられているプラグ(プラグP_(a)乃至P_(c)のうちのいずれか)と、ステップS42で受信されたと判定された制御信号、即ちステイタス信号の先頭に記述されている機器アドレスとが対応付けられ、マイコン2の内蔵するRAMにあらかじめ確保された記憶領域としてのセレクタ管理表(図11)に登録される。 【0094】 その後、上述したステップS47を介してステップS38に戻る。 【0095】 そして、ステップS47の処理により、マイコン2のRAMに確保された一時記憶領域の機器アドレスがすべて削除され、これにより、ステップS38において、一時記憶領域機器に、機器アドレスが記憶されていないと判定された場合、処理を終了する。 【0096】 図1のAVシステムにおいては、以上の初期化処理により、セレクタ管理表に、図11に示すように、プラグP_(a)またはP_(b)と、それに接続されたVTR11またはMDP21の機器アドレス「VTR_(1)」または「MDP_(1)」とが、それぞれ対応付けられて登録されることになる。 【0097】 なお、セレクタ管理表では、初期化処理により、AV機器の機器アドレスとの対応付けが行われなかったプラグ(図11においては、プラグP_(c))に対しては、何も接続されていないことを示すコード「未接続」が登録される。 【0098】 図6に戻り、ステップS1の初期化処理後は、TV1のマイコン2において、セレクタ管理表(図11)を参照することによって、プラグP_(a)乃至P_(c)の接続状況を認識する(プラグに接続されているAV機器の機器アドレスや、プラグにAV機器が接続されていないことを認識する)ことができるようになる。従って、ステップS1の初期化処理後は、上述したように制御信号をやりとりすることにより、TV1,VTR11,MDP21は連動して動作するようになる。 【0099】 即ち、TV1のマイコン2は、セレクタ管理表(図11)を参照することによって、VTR11またはMDP21がプラグP_(a)またはP_(b)にそれぞれ接続されていることを認識することができる。従って、例えば上述したように、MDP21のMDPブロックで再生された映像信号または音声信号を、TV1のTVブロックでモニタしながら、VTR11のVTRブロックでビデオテープに記録するような場合、制御信号は、上述したようにやりとりされ、さらにマイコン2では、プラグP_(b)から入力される映像信号または音声信号を、TV1のTVブロックに出力するとともに、プラグP_(a)に出力するようにセレクタ4を切り換えるように、AVC3の制御が行われる。 【0100】 以上のように、TV1と、VTR11またはVTR21は、1本のマルチケーブルC_(a)またはC_(b)によってそれぞれ接続することができるので、その接続の仕方を考えることなく、AVシステムを容易に構成することができ、さらに制御信号のみの送受信を行うことにより、映像信号や音声信号の送受信を行わなくても、TV1と、VTR11またはVTR21それぞれの接続状態を正確に確認することができる。 【0101】 そして、TV1と、VTR11またはVTR21それぞれの接続確認は、TV1の電源が投入されることにより行われるので、接続確認のための特別な操作を行わなくて済み、さらに、この接続確認は、使用者に判らないところで行われるので、使用者に煩わしさを感じさせることを防止することができる。 【0102】 また、この場合、マイコン2と、マイコン12または22との間でやりとりされる制御信号が用いられるので、接続確認を迅速に行うことができる。さらに、この制御信号は、接続確認のための特別な信号ではなく、本来行うべき制御のための信号なので、AV機器の制御の複雑化を防止することができる。 【0103】 ところで、AV機器どうしを接続し、AVシステムを構成した後、システムアップなどのためにAV機器が追加されたり、また接続されていたAV機器が、例えば老朽化などを理由に削除される(未接続状態になされる)場合がある。このAV機器の追加または削除により、AV機器の接続状態が変わった場合には、各AV機器が、正常に連動するように、TV1におけるマイコン2のRAMに記憶されているセレクタ管理表を書き換える必要がある。 【0104】 そこで、TV1では、その電源投入直後に行われるステップS1(図6)の初期化処理により連動して動作することが可能となったAV機器間でやりとりされる制御信号を監視することによって、その接続状態が変わったことを検出し、セレクタ管理表の書き換えが行われるようになされている。 【0105】 即ち、ステップS2では、TV1のマイコン2によって、図7に示したステップS21の割り込み処理で、AV機器(VTR11,MDP21、または新たに追加されたAV機器)からの制御信号が受信されたか否かが判定される。 【0106】 ステップS2において、制御信号が受信されていないと判定された場合、再びステップS2に戻る。また、ステップS2において、制御信号が受信されたと判定された場合、ステップS3に進み、その受信された制御信号が、ステイタス信号か否かが判定される。 【0107】 ステップS3において、制御信号がステイタス信号であると判定された場合、ステップS4に進み、そのステイタス信号の先頭に記述された機器アドレスが、セレクタ管理表に登録されているか否かが判定される。ステップS4において、ステイタス信号の先頭に記述された機器アドレスが、セレクタ管理表に登録されていると判定された場合、即ちステイタス信号を送信したAV機器の機器アドレスが、上述したステップS1の初期化処理または後述するステップS5の追加処理により、既にセレクタ管理表に登録されている場合、ステップS2に戻り、再びステップS2からの処理を繰り返す。 【0108】 一方、ステップS4において、ステイタス信号の先頭に記述された機器アドレスが、セレクタ管理表に登録されていないと判定された場合、即ちステイタス信号を送信したAV機器が、新たに接続されたものである場合、ステップS5に進み、そのAV機器の機器アドレスを、セレクタ管理表に追加登録する追加処理が行われる。 【0109】 即ち、ステップS5では、まず図12に示すフローチャートのステップS51において、検出器7a乃至7c(図1)が、マイコン2によりリセットされ、ステップS52に進む。 【0110】 そして、ステップS52において、ステップS3(図6)でステイタス信号と判定された制御信号の先頭に記述された機器アドレス、即ち新たに接続されたAV機器(以下、新AV機器という)の機器アドレスを先頭に記述したステイタス要求信号が、TV1が有するプラグP_(a)乃至P_(c)すべてに出力され、ステップS53に進み、マイコン2によって、図7に示したステップS21の割り込み処理で、制御信号が受信されたか否かが判定される。 【0111】 ステップS53において、制御信号が受信されていないと判定された場合、ステップS54に進み、ステップS52でステイタス要求信号が送信されてから、所定の一定時間が経過したか否かが判定される。 【0112】 ステップS54において、所定の一定時間が経過していないと判定された場合、即ちステップS52でステイタス要求信号を送信してから、それに対する応答としてのステイタス信号を受信するのに充分な時間が経過していない場合、ステップS53に戻り、再びステップS53からの処理を繰り返す。 【0113】 また、ステップS54において、ステップS52でステイタス要求信号が送信されてから、所定の一定時間が経過したと判定された場合、ステップS4(図1)でセレクタ管理表に登録されていないと判定された機器アドレスが、例えば伝送エラーなどの何らかの原因により誤って受信されたものであり、従って新AV機器は接続されていないとして追加処理を終了し、図6のステップS2に戻る。 【0114】 一方、ステップS53において、制御信号が受信されたと判定された場合、ステップS54に進み、その制御信号が、新AV機器の機器アドレスが先頭に記述された、ステップS53で送信されたステイタス要求信号に対する応答としての電源のステイタスを知らせるステイタス信号(問題の機器からのステイタス信号)であるか否かが判定される。 【0115】 ここで、ステップS53で受信されたと判定された制御信号は、新AV機器からのものである可能性もあるし、また既にステップS1(図1)の初期化処理が終了しているので、TV1,VTR11,MDP21が連動するために、VTR11またはMDP21から出力された制御信号である可能性もあるため、ステップS55の処理は、受信された制御信号が新AV機器からのものであるか否かを判定するために行われる。 【0116】 ステップS55において、制御信号が、新AV機器からのステイタス信号でないと判定された場合、即ち制御信号がVTR11またはMDP21から出力されたものである場合、ステップS51に戻り、再びステップS51からの処理を繰り返す。 【0117】 また、ステップS55において、制御信号が、新AV機器からのステイタス信号であると判定された場合、ステップS56に進み、検出器7a乃至7cが出力している検出信号が調べられ、ステップS57に進む。 【0118】 ステップS57では、検出器7a乃至7cが出力している検出信号のうち、ハイレベルであるものが1つであるか否かが判定される。ステップS57において、ハイレベルになっている検出信号が1つでないと判定された場合、即ち検出器7a乃至7cが出力している検出信号の2つ以上がハイレベルである場合、ステップS53で受信された制御信号が、TV1のプラグP_(a)乃至P_(c)のうちのいずれから入力されたかを識別することができないので、ステップS51に戻り、再び検出器7a乃至7cをリセットするステップS51の処理から、処理を繰り返す。 【0119】 また、ステップS57において、ハイレベルになっている検出信号が1つであると判定された場合、ステップS58に進み、ハイレベルの検出信号を出力している検出器(検出器7a乃至7cのうちのいずれか)が設けられているプラグ(プラグP_(a)乃至P_(c)のうちのいずれか)と、新AV機器の機器アドレスとが対応付けられ、マイコン2の内蔵するRAMにおけるセレクタ管理表(図11)に登録されて、追加処理を終了する。 【0120】 以上のように、セレクタ管理表に登録されていない機器アドレスが先頭に記述されたステイタス信号が流れた場合には、その新AV機器の追加処理がなされるので、AVシステムに、新AV機器が追加されても、使用者に追加登録などの操作を行わせることなく、システム全体を連動して動作させるようにすることができる。 【0121】 図6に戻り、ステップS3において、ステップS2で受信されたと判定された制御信号が、ステイタス信号でないと判定された場合、即ち受信された制御信号がコマンド信号である場合、ステップS6に進み、マイコン2によって、そのコマンド信号の先頭に記述された機器アドレスのAV機器が、コマンド信号に対応する動作を行うか否かが監視される。 【0122】 そして、ステップS7に進み、コマンド信号の先頭に記述された機器アドレスのAV機器が、正常に動作したか否かが判定される。ステップS7において、コマンド信号の先頭に記述された機器アドレスのAV機器が、正常に動作したと判定された場合、ステップS2に戻る。 【0123】 また、ステップS7において、コマンド信号の先頭に記述された機器アドレスのAV機器が、正常に動作しなかったと判定された場合、ステップS8に進み、そのAV機器の機器アドレスを先頭に記述した、電源のステイタス要求をするステイタス要求信号が、プラグP_(a)乃至P_(c)すべてに送信される。 【0124】 そして、ステップS9に進み、ステップS8で送信されたステイタス要求信号に対する応答があったか否かが判定される。ステップS9において、ステイタス要求信号に対する応答があったと判定された場合、即ち例えば伝送エラーなどの何らかの原因により制御信号を正しく受信することができなかったために、ステップS7でAV機器が正常に動作しなかったと判定されてしまった場合、ステップS2に戻り、再びステップS2からの処理を繰り返す。 【0125】 一方、ステップS9において、ステイタス要求信号に対する応答がなかったと判定された場合、ステップS10に進み、再確認のために、ステップS8における場合と同様にして、ステップS7で正常に動作しなかったと判定されたAV機器の機器アドレスを先頭に記述したステイタス要求信号が再送信される。 【0126】 ステイタス要求信号の再送信後、ステップS11に進み、ステップS10で送信されたステイタス要求信号に対する応答があったか、即ちAV機器(ステップS7で正常に動作しなかったと判定されたAV機器)からのステイタス信号が受信されたか否かが判定される。ステップS10において、ステイタス信号が受信されたと判定された場合、即ち例えば伝送エラーなどの何らかの原因により制御信号を正しく受信することができなかったために、ステップS7でAV機器が正常に動作しなかったと判定され、且つステップS9でステイタス要求信号に対する応答がなかったと判定されてしまった場合、ステップS2に戻り、再びステップS2からの処理を繰り返す。 【0127】 また、ステップS11において、ステイタス信号が受信されていないと判定された場合、ステップS12に進み、ステップS10でステイタス要求信号が送信されてから、所定の一定時間が経過したか否かが判定される。 【0128】 ステップS12において、所定の一定時間が経過していないと判定された場合、即ちステップS10でステイタス要求信号を送信してから、それに対する応答としてのステイタス信号を受信するのに充分な時間が経過していない場合、ステップS11に戻る。 【0129】 一方、ステップS12において、ステップS10でステイタス要求信号が送信されてから、所定の一定時間が経過したと判定された場合、ステップS13に進み、ステップS10で送信したステイタス要求信号に対する応答のなかったAV機器の機器アドレス(以下、未応答機器アドレスという)を、セレクタ管理表(図11)から削除する削除処理が行われる。 【0130】 即ち、ステップS13では、まず図13に示すフローチャートのステップS61において、マイコン2によって、セレクタ管理表(図11)の中から、未応答機器アドレスが検索される。そして、ステップS62に進み、検索された未応答アドレスに代えて、コード「未接続」が書き込まれ、処理を終了し、図6のステップS2に戻る。 【0131】 以上のように、セレクタ管理表に登録されていた機器アドレスを有するAV機器が、正常に動作しない場合、ステイタス要求信号が送信され、このステイタス要求信号に対しても応答がないときには、そのAV機器の削除処理がなされるので、AVシステムを構成していたAV機器が未接続状態にされても、使用者に削除登録などの操作を行わせることなく、システム全体を連動して動作させるようにすることができる。 【0132】 なお、初期化処理、追加処理、および削除処理を行うにあたっては、接続確認を、例えば2回などの複数回行い、各確認結果が一致した場合に、セレクタ管理表の書き込みを行うようにすることができ、この場合、セレクタ管理表の誤登録を防止することができる。 【0133】 また、セレクタ管理表の内容は、出力部8において、例えば接続図などにして表示させたり、あるいは音声で出力するようにすることができる。この場合、使用者にAVシステムの接続状況を認識させることができる。 【0134】 次に、VTR11またはMDP21が有するマイコン12または22の動作について、図14または図15のフローチャートを参照して説明する。なお、VTR11またはMDP21のマイコン12または22におけるステップS71乃至S75またはS81乃至S85の処理は、それぞれ同様のものなので、ここではマイコン22の動作の説明を省略し、マイコン12の動作についてのみ説明する。 【0135】 マイコン12では、まずステップS71において、制御信号が受信されたか否かが判定される。ステップS71において、制御信号が受信されていないと判定された場合、再びステップS71に戻る。また、ステップS71において、制御信号が受信されたと判定された場合、ステップS72に進み、その制御信号が電源のステイタスを要求するステイタス要求信号か否かが判定される。 【0136】 ステップS72において、ステップS71で受信されたと判定された制御信号が、電源のステイタスを要求するステイタス要求信号ではないと判定された場合、即ち、制御信号が、電源以外のステイタスを要求するステイタス要求信号か、またはコマンド信号であった場合、そのステイタス要求信号またはコマンド信号に対応する処理が行われ、ステップS71に戻る。 【0137】 また、ステップS72において、ステップS71で受信されたと判定された制御信号が、電源のステイタスを要求するステイタス要求信号であると判定された場合、ステップS73に進み、VTR11(図15のステップS83においては、MDP21)の電源の状態がON状態であるか、またはOFF状態であるかが判定される。 【0138】 ステップS73において、電源の状態がOFF状態であると判定された場合、ステップS74に進み、機器アドレス「VTR_(1)」(MDP21においては、機器アドレス「MDP_(1)」)が先頭に記述された、電源がOFF状態になっていることを示すステイタス信号が出力され、ステップS71に戻る。 【0139】 一方、ステップS73において、電源の状態がON状態であると判定された場合、ステップS75に進み、機器アドレス「VTR_(1)」(MDP21においては、機器アドレス「MDP_(1)」)が先頭に記述された、電源がON状態になっていることを示すステイタス信号が出力され、ステップS71に戻り、再びステップS71からの処理を繰り返す。 【0140】 ところで、図1においては、AV機器間で、制御信号、映像信号、および音声信号をまとめてやりとりすることができるように、プラグP_(a)乃至P_(c),P_(VTR),P_(MDP)それぞれを、制御信号入力用の端子、制御信号出力用の端子、映像信号入力用の端子、映像信号出力用の端子、音声信号のLまたはRチャンネルそれぞれの入力用の端子、および音声信号のLまたはRチャンネルそれぞれの出力用の端子の8端子に、GND用の1端子を加えた9端子から構成し、マルチケーブルC_(a),C_(b)を用いて接続するようにしたが、これ以外に、例えば制御信号、映像信号、および音声信号を、時分割や周波数分割などして多重化した信号(以下、多重化信号という)を送受信することができるように、プラグP_(a)乃至P_(c),P_(VTR),P_(MDP)それぞれを構成することによって、AV機器間で、制御信号、映像信号、および音声信号を、まとめてやりとりすることができるようにすることができる。 【0141】 以上のようにプラグP_(a)乃至P_(c),P_(VTR),P_(MDP)それぞれを構成し、各AV機器間で、例えば周波数多重化した多重化信号を、例えば光ケーブルによってまとめて伝送するAVシステムの一実施例の構成を、図16に示す。なお、図中、図1における場合と対応する部分については、同一の符号を付してある。 【0142】 即ち、図16のAVシステムは、TV1に、EN(変調器)41a乃至41c,DE(復調器)42a乃至42c,O/E(光→電気変換器)43a乃至43c、およびE/O(電気→光変換器)44a乃至44cが新たに設けられ、VTR11に、E/O51,O/E52,EN53、およびDE54が新たに設けられているとともに、MDP21に、E/O61,O/E62,EN63、およびDE64が新たに設けられ、さらにTV1と、VTR11またはMDP21とが、それぞれ、信号(光)の送信と受信用の2つの光ファイバでなる1本の光ケーブルで接続されている他は、図1のAVシステムと同様に構成されている。 【0143】 なお、このAVシステムにおいては、制御信号、映像信号、および音声信号(LおよびRチャンネルの音声信号)は、例えば図17に示すように周波数アロケーションされて多重化されるようになされている。 【0144】 以上のように構成されるAVシステムにおいては、例えば次のようにして多重化信号の送受信が行われる。即ち、例えばTV1からVTR11に多重化信号が送信される場合においては、図18に示すように、まずセレクタ4(図16)から出力された映像信号、LおよびRチャンネルの音声信号、並びにマイコン2(図16)から出力された制御信号は、EN42aに入力される。 【0145】 EN42a(EN42bおよび42c(図16)も同様)は、図18に示すように構成され、映像信号、Lチャンネルの音声信号、またはRチャンネルの音声信号それぞれは、プリエンファシス回路で、その高域成分が強調される。そして、その出力は、FM変調回路でFM変調され、BPF(バンドパスフィルタ)でフィルタリングされる。また、制御信号は、ASK変調回路でASK(Amp.Shift Keying)変調され、さらにLPF(ローパスフィルタ)でフィルタリングされる。 【0146】 EN42aのBPFおよびLPFでフィルタリングされた信号(映像信号、LおよびRチャンネルの音声信号、並びに制御信号)は、同図に示すように構成されるE/O44a(E/O44bおよび44c(図16)も同様に構成されている)に出力される。 【0147】 E/O44aでは、まず多重化回路(MIXAMP)において、EN42aからの信号、即ち映像信号、LおよびRチャンネルの音声信号、並びに制御信号が、図17に示したように多重化され、この多重化信号が、ドライバ(DRIVER)に出力される。ドライバは、多重化信号に対応して、LEDを制御し、これにより、LEDからは多重化信号に対応した光が発光される。この光は、光ケーブルを介してVTR11のO/E52で受信(受光)される。 【0148】 O/E52(MDP21のO/E62(図16)も同様)は、PD(光検出器)およびアンプ(AMP)から構成され、まずPD(光検出器)で、TV1からの光が受光され、電気信号、即ち多重化信号に変換される。そして、この多重化信号は、アンプで増幅されて、DE54に出力される。 【0149】 DE54は、図18に示すように構成され、まずBPFおよびLPFにおいて、多重化信号がフィルタリングされ、図17に示したようにアロケーションされた映像信号、LおよびRチャンネルの音声信号、並びに制御信号が取り出される。 【0150】 映像信号、並びにLおよびRチャンネルの音声信号は、FM復調回路でFM復調され、さらにディエンファシス回路でディエンファシスされた後、VTR11のVTRブロックに供給される。制御信号は、ASK復調回路でASK復調された後、例えばアクティブハイの信号に変換され、VTR11のマイコン12に供給される。 【0151】 なお、MDP21のDE64(図16)は、そのMDPブロックが、上述したように記録機能を有さないため、VTR11のDE54からBPF,FM復調回路、およびディエンファシス回路を除いたブロック、即ち制御信号を取り出すためのLPF、およびその出力をASK復調するASK復調回路から構成される。 【0152】 次に、例えばVTR11からTV1に多重化信号が送信される場合においては、そのVTRブロックからの映像信号、LおよびRチャンネルの音声信号、並びにマイコン12からの制御信号は、EN53に入力される。 【0153】 EN53(EN63(図16)も同様)は、図18に示すように構成され、映像信号、Lチャンネルの音声信号、またはRチャンネルの音声信号それぞれは、プリエンファシス回路で、その高域成分が強調される。そして、その出力は、FM変調回路でFM変調され、BPFでフィルタリングされる。また、制御信号は、ASK変調回路でASK変調され、さらにLPFでフィルタリングされる。 【0154】 EN53のBPFおよびLPFでフィルタリングされた信号(映像信号、LおよびRチャンネルの音声信号、並びに制御信号)は、同図に示すように構成されるE/O51(E/O61(図16)も同様に構成されている)に出力される。 【0155】 E/O51では、まず多重化回路(MIXAMP)において、EN51からの信号、即ち映像信号、LおよびRチャンネルの音声信号、並びに制御信号が、図17に示したように多重化され、この多重化信号が、ドライバ(DRIVER)に出力される。ドライバは、多重化信号に対応して、LEDを制御し、これにより、LEDからは多重化信号に対応した光が発光される。この光は、光ケーブルを介してTV1のO/E43aで受信(受光)される。 【0156】 O/E43a(O/E43bおよび43c(図16)も同様)は、PD(光検出器)およびアンプ(AMP)から構成され、まずPD(光検出器)で、VTR11からの光が受光され、電気信号、即ち多重化信号に変換される。そして、この多重化信号は、アンプで増幅されて、DE41aに出力される。 【0157】 DE41a(DE41bおよび41c(図16)も同様)は、図18に示すように構成され、まずBPFおよびLPFにおいて、多重化信号がフィルタリングされ、図17に示したようにアロケーションされた映像信号、LおよびRチャンネルの音声信号、並びに制御信号が取り出される。 【0158】 映像信号、並びにLおよびRチャンネルの音声信号は、FM復調回路でFM復調され、さらにディエンファシス回路でディエンファシスされた後、セレクタ4(図16)に供給される。制御信号は、ASK復調回路でASK復調された後、例えばアクティブハイの信号に変換され、コントロールバス9を介してマイコン2に供給される。 【0159】 以上のように、制御信号、映像信号、および音声信号を多重化信号にして、まとめて送受信する場合においては、AV機器間を接続するケーブルを構成する信号線数を少なくすることができ、従ってAV機器間の接続を簡単に行うことができる。 【0160】 さらに、上述したように光ケーブルでAV機器間を接続する場合においては、雑音などに起因する伝送エラーを少なくすることができるようになる。 【0161】 以上、本発明をTV1に適用した場合について説明したが、本発明は、TV1の他、VTR11やMDP21などの他のAV機器に適用することができる。なお、本発明は、AVシステムを構成するすべてのAV機器に適用する必要ななく、そのうちの少なくとも1つに適用すれば良い。 【0162】 なお、本実施例においては、本発明を適用したTV1に、VTR11およびMDP21を接続したAVシステムについて説明したが、本発明は、TV1などのAV機器だけではなく、制御信号を送信または受信することのできる、あらゆる装置に適用することができる。 【0163】 即ち、本発明は、AV機器のように映像信号や音声信号を送受信することができなくても、制御信号さえ送受信することのできる、例えば電話や電灯コントローラなどの装置の接続確認に応用することができる。 【0164】 また、本実施例では、電源のステイタスに関する制御信号を送受信することにより、接続確認を行うようにしたが、これに限られるものではなく、他の制御信号を用いて接続確認を行うようにすることができる。 【0165】 さらに、AV機器間で送受信される映像信号、音声信号、または制御信号それぞれは、アナログ信号であっても良いし、ディジタル信号であっても良い。 【0166】 また、映像信号、音声信号、および制御信号を多重化して送受信する場合においては、その変調方式は、アナログ変調であっても良いし、ディジタル変調であっても良い。 【0167】 さらに、本実施例では、図16に示したTV1において、図4で説明した構成の検出器7a乃至7cによって制御信号を検出するようにしたが、この場合、検出器を、例えば図19に示すように、キャリア検出回路、ノイズキャンセル回路、およびFF(フリップフロップ)により構成し、O/E(O/E43a乃至43cそれぞれ)の出力としての多重化信号から制御信号を検出するようにすることができる。 【0168】 即ち、多重化信号においては、図17に示したように、制御信号がアクティブであれば、40kHzの位置にキャリアがたつ。そこで、まずキャリア検出回路では、このキャリアが検出される。キャリア検出回路でキャリアが検出されると、ハイレベルの信号が、ノイズを除去するノイズキャンセル回路を介してFFに出力され、FFは、キャリア検出回路からのハイレベルの信号を受信すると、それをラッチして、マイコン2に供給する。図19に示した検出器では、以上のようにして多重化信号から制御信号が検出される。 【0169】 また、図1において、MDP21のプラグP_(MDP)は、上述した9端子で構成するのではなく、実際に必要な、制御信号の入出力端子、映像信号出力端子、LまたはRチャンネルそれぞれの音声信号出力端子、およびGND端子の6端子から構成するようにすることができる。但し、この場合、マルチケーブルC_(b)のプラグP_(MDP)側のコネクタは、6端子からなるプラグP_(MDP)の形状に対応したものにする必要がある。 【0170】 【発明の効果】 請求項1に記載のAVセレクタによれば、他のAV機器と接続され、他のAV機器との間で、制御信号、映像信号、および音声信号をまとめてやりとりすることができるように構成されたコネクタを介して、AV機器と他のAV機器との間でやりとりされる制御信号を監視することにより、他のAV機器とコネクタとの接続状態を認識し、コネクタと他のAV機器との対応関係を書き換える。従って、複数のコネクタにいかなる他のAV機器を接続しても、他のAV機器を識別し、AV機器どうしの接続を正確に切り換えることができる。 【0171】 請求項2に記載のAVセレクタによれば、ステータスを含む制御信号に、そのステータスになっている他のAV機器を表す機器アドレスがさらに含まれ、その機器アドレスの他のAV機器が、記憶手段に記憶されていない場合には、他のAV機器と、他のAV機器が出力した制御信号が入力されたコネクタとの対応関係が、記憶手段に追加されるので、使用者に煩わしさを感じさせることなく、コネクタに新たに接続された他のAV機器を識別し、AV機器どうしの接続を正確に切り換えることができる。 【0172】 請求項3に記載のAVセレクタによれば、コマンドを含む制御信号に、そのコマンドを実行する他のAV機器を表す機器アドレスがさらに含まれ、その機器アドレスの他のAV機器が、そのコマンドに対応する動作を行わない場合には、記憶手段から、他のAV機器と、他のAV機器が接続されているコネクタとの対応関係が削除されるので、使用者に煩わしさを感じさせることなく、コネクタからはずされた他のAV機器を識別し、AV機器どうしの接続を正確に切り換えることができる。 【0173】 請求項4に記載のAVセレクタによれば、記憶手段の記憶内容を出力するので、現在の接続状況を、使用者に知らせることができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明のAVセレクタを適用したテレビジョン受像機(TV)1の一実施例の構成を示すブロック図である。 【図2】図1の実施例において送受信される制御信号のフォーマットを示す図である。 【図3】図1の実施例における検出器7a乃至7cでの制御信号の検出方法について説明する図である。 【図4】図1の実施例における検出器7a乃至7cのより詳細な構成を示すブロック図である。 【図5】図4の検出器7a乃至7cの動作を説明するタイミングチャートである。 【図6】図1の実施例におけるTV1のマイコン2の動作を説明するフローチャートである。 【図7】図1の実施例におけるマイコン2,12,22で行われる割り込み処理を説明するフローチャートである。 【図8】図6のフローチャートにおけるステップS1の初期化処理のより詳細なフローチャートである。 【図9】図1の実施例におけるマイコン2にあらかじめ記憶されている機器のアドレス表を示す図である。 【図10】図1の実施例におけるマイコン2に確保された一時記憶領域の記憶状態を示す図である。 【図11】セレクタ管理表を示す図である。 【図12】図6のフローチャートにおけるステップS5の追加処理のより詳細なフローチャートである。 【図13】図6のフローチャートにおけるステップS13の削除処理のより詳細なフローチャートである。 【図14】図1の実施例におけるVTR11のマイコン12の動作を説明するフローチャートである。 【図15】図1の実施例におけるMDP21のマイコン22の動作を説明するフローチャートである。 【図16】本発明のAVセレクタを適用したテレビジョン受像機(TV)1の他の実施例の構成を示すブロック図である。 【図17】図16の実施例において送受信される多重化信号を説明する図である。 【図18】図16の実施例のより詳細な構成を示すブロック図である。 【図19】図16の実施例において、多重化信号から制御信号を検出する方法を説明する図である。 【符号の説明】 1 テレビジョン受像機(TV) 2 マイコン 3 AVコントローラ(AVC) 4 セレクタ 5,5a乃至5c,6,6a乃至6c バスバッファ 7a乃至7c 検出器 8 出力部 9 コントロールバス 11 ビデオテープレコーダ(VTR) 12 マイコン 21 マルチディスクプレーヤ(MDP) 22 マイコン 31 クロック発生回路 32 カウンタ 33 フリップフロップ(FF) 41a乃至41c 復調器(DE) 42a乃至42c 変調器(EN) 43a乃至43c 光→電気変換器(O/E) 44a乃至44c 電気→光変換器(E/O) 51 電気→光変換器(E/O) 52 光→電気変換器(O/E) 53 変調器(EN) 54 復調器(DE) 61 電気→光変換器(E/O) 62 光→電気変換器(O/E) 63 変調器(EN) 64 復調器(DE) |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審決日 | 2013-08-12 |
出願番号 | 特願平5-271435 |
審決分類 |
P
1
41・
853-
Y
(H04Q)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 奥村 元宏 |
特許庁審判長 |
竹井 文雄 |
特許庁審判官 |
新川 圭二 矢島 伸一 |
登録日 | 2001-09-07 |
登録番号 | 特許第3228381号(P3228381) |
発明の名称 | AVセレクタ |
代理人 | 富岡 英次 |
代理人 | 岸 慶憲 |
代理人 | 岸 慶憲 |
代理人 | 越柴 絵里 |
代理人 | 熊倉 禎男 |
代理人 | 熊倉 禎男 |
代理人 | 越柴 絵里 |
代理人 | 富岡 英次 |
代理人 | 高石 秀樹 |
代理人 | 高石 秀樹 |