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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G09F
管理番号 1279426
審判番号 不服2012-17594  
総通号数 167 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-09-10 
確定日 2013-09-18 
事件の表示 特願2008- 79281「有機電界発光表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 7月30日出願公開、特開2009-169374〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成20年3月25日(パリ条約による優先権主張2008年1月18日、韓国)の出願であって、平成23年1月19日付けで手続補正がなされ、同年10月19日付けで拒絶の理由(最後)が通知され、これに対し、平成24年1月25日付けで手続補正がなされたものの、同年4月27日付けで平成24年1月25付けの手続補正についての補正の却下の決定がなされるとともに拒絶査定がなされた。
本件は、これを不服として、平成24年9月10日に請求された拒絶査定不服審判であって、請求と同時に手続補正がなされ、その後、当審の同年12月20日付け審尋に対して平成25年3月21日に回答書が提出されたものである。

第2 平成24年9月10日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成24年9月10日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正のうち、特許請求の範囲の請求項1についての補正は、補正前(平成23年1月19日付けで補正、以下同様。)の
「【請求項1】
映像が表示される画素部と、該画素部の外側の少なくとも2つの縁領域に分散配置され、それぞれ少なくとも2つの方向から第1画素電源及び第2画素電源を受ける複数の第1電源パッド及び第2電源パッドとを備える有機電界発光表示パネルと、
該有機電界発光表示パネルに電気的に接続され、前記有機電界発光表示パネルを駆動するための駆動IC(Integrated Circuit)と、前記第1電源パッド及び第2電源パッドに前記第1画素電源及び第2画素電源を伝達するための電源線とを備える複数のTCP(Tape Carrier Package)と、
該TCPに電気的に接続され、前記TCPに前記駆動ICを制御するための制御信号並びに前記第1画素電源及び第2画素電源を供給する駆動ボードと
を含み、
前記第1電源パッドは、前記有機電界発光表示パネルの第1縁領域及び該第1縁領域に対向する第2縁領域にそれぞれ形成され、
前記第2電源パッドは、前記有機電界発光表示パネルの、前記第1縁領域及び前記第2縁領域に直交する第3縁領域及び該第3縁領域に対向する第4縁領域にそれぞれ形成されることを特徴とする有機電界発光表示装置。」を
「【請求項1】
映像が表示される画素部と、該画素部の外側の少なくとも2つの縁領域に分散配置され、それぞれ少なくとも2つの方向から第1画素電源及び第2画素電源を受ける複数の第1電源パッド及び第2電源パッドと、前記第1電源パッド及び前記第2電源パッドとの間に夫々配置された複数の信号パッドとを備える有機電界発光表示パネルと、
該有機電界発光表示パネルに電気的に接続され、前記有機電界発光表示パネルを駆動するための駆動IC(Integrated Circuit)と、前記第1電源パッド及び第2電源パッドに前記第1画素電源及び第2画素電源を伝達するための電源線とを備える複数のTCP(Tape Carrier Package)と、
該TCPに電気的に接続され、前記TCPに前記駆動ICを制御するための制御信号並びに前記第1画素電源及び第2画素電源を供給する駆動ボードと
を含み、
前記第1電源パッドは、前記有機電界発光表示パネルの第1縁領域及び該第1縁領域に対向する第2縁領域にそれぞれ複数個ずつ互いに独立して形成され、かつ対向する第1電源パッド同士が前記有機電界発光表示パネル上で電気的に接続され、
前記第2電源パッドは、前記有機電界発光表示パネルの、前記第1縁領域及び前記第2縁領域に直交する第3縁領域及び該第3縁領域に対向する第4縁領域にそれぞれ複数個ずつ互いに独立して形成され、かつ対向する第2電源パッド同士が前記有機電界発光表示パネル上で電気的に接続され、
前記TCPは、前記第1電源パッド及び第2電源パッドのうち少なくとも一つと前記信号パッドに電気的に連結された第1パッド部と、前記駆動ボードに電気的に連結された第2パッド部と、を含み、
前記第1パッド部の少なくとも一端に位置するパッドと前記第2パッド部の少なくとも一端に位置するパッドは、前記電源線によって互いに連結される
ことを特徴とする有機電界発光表示装置。」と補正するものである。

上記補正は、補正前の発明特定事項である「有機電界発光表示パネル」に関し、「第1電源パッド及び前記第2電源パッドとの間に夫々配置された複数の信号パッド」を備える構成を追加する補正(以下「補正事項1」という。)、補正前の発明特定事項である「有機電界発光表示パネルの第1縁領域及び該第1縁領域に対向する第2縁領域にそれぞれ」「形成され」た「第1電源パッド」に関し、「複数個ずつ互いに独立して」いる構成を追加する補正(以下「補正事項2」という。)、補正前の発明特定事項である「第1電源パッド」に関し、「対向する第1電源パッド同士が前記有機電界発光表示パネル上で電気的に接続され」る構成を追加する補正(以下「補正事項3」という。)、補正前の発明特定事項である「有機電界発光表示パネルの、前記第1縁領域及び前記第2縁領域に直交する第3縁領域及び該第3縁領域に対向する第4縁領域にそれぞれ」「形成され」た「第2電源パッド」に関し、「複数個ずつ互いに独立して」いる構成を追加する補正(以下「補正事項4」という。)、補正前の発明特定事項である「第2電源パッド」に関し、「対向する第2電源パッド同士が前記有機電界発光表示パネル上で電気的に接続され」る構成を追加する補正(以下「補正事項5」という。)、及び、補正前の発明特定事項である「TCP」に関し、「第1電源パッド及び第2電源パッドのうち少なくとも一つと前記信号パッドに電気的に連結された第1パッド部と、前記駆動ボードに電気的に連結された第2パッド部と、を含み、前記第1パッド部の少なくとも一端に位置するパッドと前記第2パッド部の少なくとも一端に位置するパッドは、前記電源線によって互いに連結される」構成を追加する補正(以下「補正事項6」という。)を含むものである。

2 新規事項の追加についての検討
ここで、上記補正事項3及び補正事項5が、願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書」という。)に記載した事項の範囲内において補正したものか否かを検討する。
上記補正事項3に関し、当初明細書には、「第1電源パッドP_(ELVDD)は、有機電界発光表示パネル300において、互いに対向する第1縁領域300a及び第2縁領域300bにそれぞれ複数個ずつ形成され得る。これにより、第1電源パッドP_(ELVDD)は、両方向から第1画素電源ELVDDを受け、これを画素部310に伝達することができる。」(【0044】)、「有機電界発光表示パネル300の第1電源パッドP_(ELVDD)及び第2電源パッドP_(ELVSS)を少なくとも2つの縁領域に分散配置する。そして、第1画素電源ELVDD及び第2画素電源ELVSSのそれぞれが、少なくとも両方向から有機電界発光表示パネル300に供給されるようになる。」(【0060】)と記載されており、技術常識を考慮すると、「対向する第1電源パッド同士が」「電気的に接続され」ていることが推察できる。
しかしながら、この「接続」が有機電界発光表示パネル上で行われているのか、有機電界発光表示パネル外で行われているのかは、当初明細書に何ら記載されていないし、当初明細書の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項ともいえないから、上記補正事項3は、当初明細書の記載に基づいて補正したものとはいえない。
また、同様に、上記補正事項5に関連する事項が、当初明細書【0045】、【0060】に記載されているものの、上記補正事項5は、これらの記載または当初明細書の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項に基づいて補正したものであるとはいえない。
したがって、上記補正事項3及び補正事項5は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において補正したものではない。

3 本件補正についての補正の却下の決定のむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成24年9月10日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成23年1月19日付け手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである。(上記「第2」[理由]「1」参照。)

2 引用刊行物
(1)引用刊行物1
これに対して、原査定における拒絶の理由で引用した、本願の優先日前である平成17年7月14日に頒布された「特開2005-189676号公報 」(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。ただし、下線は当審で付した。
a 発明の詳細な説明の記載
「【0001】
本発明は、ディスプレイ装置に関し、例えば有機EL(Electro Luminescence)素子によるディスプレイ装置に適用することができる。本発明は、画素部を囲むように形成された配線パターンについて、この配線パターンの外側配線パターンとの間で、接続用の部位を入れ子に形成し、この外側配線パターン側にも外部接続用の電極により引き出せるようにすることにより、配線パターンの抵抗による画質劣化を有効に回避することができるようにする。」
「【0019】
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施例を詳述する。
【実施例1】
【0020】
(1)実施例の構成
図1は、図5との対比により本発明の実施例1に係るディスプレイ装置を示す分解斜視図である。このディスプレイ装置41において、図5について上述したディスプレイ装置11と同一の構成は対応する符号を付して示し、重複した説明は省略する。
【0021】
このディスプレイ装置41は、ガラス基板12上の矩形の領域ARに有機EL素子による画素がマトリックス状に配置されて画素部が形成され、周囲に形成されたパッド42A?42D、43A?43D、44A?44Dを介してこの画素部を駆動して所望の画像を表示する。
【0022】
このためディスプレイ装置41は、この矩形の領域ARに各画素の画素回路、この画素回路に係る走査線、信号線が形成された後、絶縁層による平坦化膜14、アノードレイヤーの配線層15が形成され、このアノードレイヤーの配線層15により駆動用トランジスタTR2を有機EL素子5のアノードに接続する電極16が形成される(図4)。またディスプレイ装置41は、続いて有機EL素子5の材料層が形成された後、有機EL素子5のカソード電極の配線パターン17、封止部材が設けられる。
【0023】
このようにして作成したディスプレイ装置41において、アノードレイヤーの配線層15は、画素部となる矩形の領域を囲むように、幅広の配線パターン45が形成され、破線により示すように、カソード電極の配線パターン17の周囲がこの幅広の配線パターン45に接続される。またこの配線パターン45がこのディスプレイ装置41の短辺側、対向する2辺にそれぞれ形成された外部接続用の電極であるカソード用のパッド43A?43Dに接続され、これらにより低抵抗であるアノードレイヤーの配線層15を介してカソード電極の配線パターン17がカソード電源に接続される。なおこのカソード電源用のパッド43A?43Dにあっては、両短辺の上下にそれぞれ設けられ、これによりディスプレイ装置41では、パッド43A?43Dによる接続部分で電圧降下を十分に低減するようになされている。
【0024】
またアノードレイヤーの配線層15は、このカソード電極の配線パターン17に係る配線パターン45の上下、このディスプレイ装置41の長辺に沿って、1組の幅広による配線パターン46A、46Bが形成され、この幅広の配線パターン46A、46Bがディスプレイ装置41の上下の長辺に形成された外部接続用の電極である電源用のパッド44A及び44B、44C及び44Dに接続される。なおこの電源用のパッド44A及び44B、44C及び44Dにあっても、両長辺の両端にそれぞれ設けられ、これによりディスプレイ装置41では、パッド44A?44Dによる接続部分で電圧降下を十分に低減するようになされている。
【0025】
ディスプレイ装置41は、平坦化膜14の下層において、このディスプレイ装置41による表示画面の上下方向に画素部となる領域ARを横切るように、また水平方向に連続する画素毎に、アルミニウムにより電源Vccの画素部に係る配線パターン13が形成される。ここでこの電源Vccの画素部に係る配線パターン13は、画素部となる領域ARの上下で、このディスプレイ装置41の長辺に沿って延長する幅広の配線パターン48A、48Bに接続され、破線により示すように、この配線パターン48A、48Bの長手方向に連続するように形成された複数の電極49を介して、アノードレイヤーの配線層15に形成された幅広の配線パターン46A、46Bに接続される。
【0026】
これによりディスプレイ装置41では、アノードレイヤーの配線層15に形成された幅広の配線パターン46A、46Bに、配線パターン48A、48Bに形成された複数の電極49に対応する接続用の部位である電極50が形成されるようになされている。
【0027】
このディスプレイ装置41において、画素部を囲むように形成される配線パターン45は、符号A及びBにより示す部分を拡大して図2に示すように、長辺側の略中央の部位において、これら複数の電極50と入れ子となるように電極51が形成され、この電極51を介して外部接続用の端子であるパッド42A?42Dに接続される。なおこの図2においては、図1において正面側の部位のみを示すが、図1において背面側の部位においても、同様に構成される。
【0028】
すなわち配線パターン46A、46Bは、内側の辺に沿って、電極50が所定ピッチにより形成される。配線パターン45は、長辺側のほぼ中央の部位において、これら連続する電極50の間を通って外側に延長するように形成され、この延長した先端に電極51が形成され、配線パターン46A、46Bにおいては、この電極51の外側にて、これら中央の部位の連続する電極50が相互に接続されるようになされている。
【0029】
ディスプレイ装置41は、アノードレイヤーの配線層15の下層の配線パターン層において、これら電極51に対応する部位に配線パターン52が形成され、この配線パターン52に形成された電極53により、矢印に示すように、この配線パターン52が配線パターン45に接続される。またこの配線パターン52が、信号線用、走査線用のパッド42A?42Dの内側の3つの電極に接続され、これらにより画素部を囲むように形成される配線パターン45が、電極51を介して外部接続用の端子であるパッド42A?42Dに接続されるようになされている。
【0030】
これらによりこの実施例において、配線パターン45は、画素部を囲むようにアノードレイヤーの配線層による第1の配線パターン層に設けられて、画素部の各画素に接続され、対向する2つの辺に外部接続用の電極が設けられた第1の配線パターンを構成するようになされている。また配線パターン48A、48Bは、この第1の配線パターン層とは異なる第2の配線パターン層に、配線パターン45に係る対向する2つの辺とは異なる2辺に沿ってそれぞれ延長するように形成された1対の配線パターン部により形成され、各画素に接続された第2の配線パターンを形成するようになされている。また配線パターン46A、46Bは、第1の配線パターン層に、先の異なる2辺に沿ってそれぞれ延長するように形成された1対の配線パターン部により形成され、該延長する方向に順次形成された複数の接続用の部位である電極50を介して第2の配線パターン48A、48Bの対応する配線パターン部に接続され、異なる2辺にそれぞれ外部接続用の電極が設けられてなる第3の配線パターンを構成するようになされている。
【0031】
(2)実施例の動作
以上の構成において、このディスプレイ装置41では、周囲に形成されたパッド42A?42D、43A?43D、44A?44Dが電源、駆動回路等に接続されて所望の画像が画素部で表示される。すなわちディスプレイ装置41では、これらパッド42A?42D、43A?43D、44A?44Dのうち、長辺側の両端に設けられたパッド44A?44Dが電源Vcc用に割り当てられ、また短辺側の両端に設けられたパッド43A?43Dがカソード用に割り当てられ、残る信号線用、走査線用のパッド42A?42Dを介して各画素の階調が設定されて所望の画像が表示される。
【0032】
ディスプレイ装置41では、このようにして各画素を駆動するにつき、長辺側の両端に設けられたパッド44A?44Dより供給される電源Vccが、このパッド44A?44Dよりアノードレイヤーの配線層15に形成された配線パターン46A、46Bに供給され、さらにこの配線パターン46A、46Bに設けられた電極50を介して下層の配線パターン層に形成された配線パターン48A、48Bに供給され、この配線パターン48A、48Bから画素部を横切って上下方向に延長する配線パターン13を介して各画素に供給される。」

b 図面の記載
「【図1】


「【図2】



c 引用例1記載の発明
上記a及びbの記載事項によると、引用例1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「ディスプレイ装置41は、有機EL素子による画素がマトリックス状に配置されて画素部が形成され、
カソード電源用のパッド43A?43Dがディスプレイ装置41の両短辺の上下にそれぞれ設けられ、
外部接続用の電極である電源Vcc用のパッド44A?44Dは、ディスプレイ装置41の両長辺の両端にそれぞれ設けられた
有機EL素子によるディスプレイ装置。」

3 本願発明と引用発明との対比
ここで、本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「ディスプレイ装置41は、有機EL素子による画素がマトリックス状に配置されて画素部が形成され」る構成は、本願発明の「映像が表示される画素部」「を備える」構成に相当する。

(2)引用発明の「カソード電源」、「電源Vcc」、「カソード電源用のパッド43A?43D」、「電源Vcc用のパッド44A?44D」、「ディスプレイ装置41の両短辺」、「ディスプレイ装置41の両長辺」及び「ディスプレイ装置41」は、それぞれ本願発明の「第1画素電源」、「第2画素電源」、「第1電源パッド」、「第2電源パッド」、「有機電界発光表示パネルの第1縁領域及び該第1縁領域に対向する第2縁領域」、「有機電界発光表示パネルの、前記第1縁領域及び前記第2縁領域に直交する第3縁領域及び該第3縁領域に対向する第4縁領域」及び「有機電界発光表示パネル」に相当する。
そうすると、引用発明の「カソード電源用のパッド43A?43Dがディスプレイ装置41の両短辺の上下にそれぞれ設けられ」る構成は、本願発明の「画素部の外側の少なくとも2つの縁領域に分散配置され、」「少なくとも2つの方向から第1画素電源」「を受ける複数の第1電源パッド」「を備える有機電界発光表示パネル」「を含み」、「第1電源パッドは、前記有機電界発光表示パネルの第1縁領域及び該第1縁領域に対向する第2縁領域にそれぞれ形成され」る構成に相当する。

(3)引用発明の「外部接続用の電極である電源Vcc用のパッド44A?44Dは、ディスプレイ装置41の両長辺の両端にそれぞれ設けられた」構成は、本願発明の「画素部の外側の少なくとも2つの縁領域に分散配置され、」「少なくとも2つの方向から」「第2画素電源を受ける複数の」「第2電源パッドとを備える有機電界発光表示パネル」「を含み」、「第2電源パッドは、前記有機電界発光表示パネルの、前記第1縁領域及び前記第2縁領域に直交する第3縁領域及び該第3縁領域に対向する第4縁領域にそれぞれ形成される」構成に相当する。

(4)引用発明の「有機EL素子によるディスプレイ装置」は、本願発明の「有機電界発光表示装置」に相当する。

上記(1)?(4)の点から、本願発明と引用発明は、
「映像が表示される画素部と、該画素部の外側の少なくとも2つの縁領域に分散配置され、それぞれ少なくとも2つの方向から第1画素電源及び第2画素電源を受ける複数の第1電源パッド及び第2電源パッドとを備える有機電界発光表示パネル
を含み、
前記第1電源パッドは、前記有機電界発光表示パネルの第1縁領域及び該第1縁領域に対向する第2縁領域にそれぞれ形成され、
前記第2電源パッドは、前記有機電界発光表示パネルの、前記第1縁領域及び前記第2縁領域に直交する第3縁領域及び該第3縁領域に対向する第4縁領域にそれぞれ形成されることを特徴とする有機電界発光表示装置。」
で一致し、以下の点で相違する。

(相違点)
本願発明は、有機電界発光表示パネルに電気的に接続され、有機電界発光表示パネルを駆動するための駆動ICと、第1電源パッド及び第2電源パッドに第1画素電源及び第2画素電源を伝達するための電源線とを備える複数のTCPと、TCPに電気的に接続され、前記TCPに駆動ICを制御するための制御信号並びに第1画素電源及び第2画素電源を供給する駆動ボードとを含むのに対し、引用発明は、そのような特定がない点。

4 当審の判断
以下、上記相違点について検討する。
有機電界発光表示装置において、表示パネルに電気的に接続し、表示パネルの駆動ICを備えたTCPを設け、TCPに接続する駆動ボードを設けることは、周知技術(例えば、特開2006-39541号公報の【0001】、【0015】、【0038】、【0045】、図1、国際公開第2007/142065号の[0020]、[0028]、[0032]、図1、特開2004-61970号公報の【0011】、図1参照。)である。
そして、技術常識からみて、TCPを用いて表示パネルを駆動させるためには、駆動ボードからTCPを介して表示パネルに対し、何らかの手段で電源及び制御信号を供給しなければならないのは当然であるから、上記周知技術において、駆動ボードはTCPに対し駆動ICを制御するための制御信号及び電源を供給し、さらに、表示パネルに接続されるTCPが表示パネルに供給する電源を送るための電源線を備えていることは自明である。
また、引用例1には、信号線用、走査線用のパッド42A?42Dの一部にカソード電源用の配線パターン45を接続すること、すなわち一つのパッドで電源用パッド及び信号線・走査線用のパッドを兼用して用いることが記載(引用例1の【0023】、【0029】、図1、2参照。)されており、さらに、有機電界発光表示装置において、走査線及び信号線に接続する駆動ICを表示パネルの四方に設けることも周知技術(例えば、特開2004-6314号公報の【0001】、【0026】、【0028】、図1?4、特開2005-274932号公報の【0012】、【0037】、図1、特開2003-29722号公報の【0062】、【0063】、図2参照。)である。
してみると、引用発明において、上記周知技術を採用し、カソード電源用のパッド43A?43D、及び、電源Vcc用のパッド44A?44Dに対し、カソード電源及び電源Vccを伝達するための電源線、並びに、ディスプレイ装置41を駆動させる駆動ICを備えた複数のTCPをディスプレイ装置41に接続させ、さらに、TCPに駆動ICを制御するための制御信号並びに第1画素電源及び第2画素電源を供給する駆動ボードを設けて、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易になしえたことである。

相違点については上記のとおりであり、本願発明によってもたらされる効果は、引用発明及び周知技術から当業者が当然に予測できる範囲内のものと認められる。
よって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について言及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-04-17 
結審通知日 2013-04-23 
審決日 2013-05-08 
出願番号 特願2008-79281(P2008-79281)
審決分類 P 1 8・ 561- Z (G09F)
P 1 8・ 121- Z (G09F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井口 猶二中塚 直樹榎本 吉孝  
特許庁審判長 北川 清伸
特許庁審判官 土屋 知久
神 悦彦
発明の名称 有機電界発光表示装置  
代理人 佐伯 義文  
代理人 渡邊 隆  
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