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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B07B
管理番号 1279521
審判番号 不服2011-22802  
総通号数 167 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-10-24 
確定日 2013-09-17 
事件の表示 特願2007-550714「粒子形状の吸水性樹脂を分級するための方法」拒絶査定不服審判事件〔平成18年7月20日国際公開、WO2006/074816、平成20年7月24日国内公表、特表2008-526498〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、2005年12月31日(パリ条約に基づく優先権主張外国庁受理2005年1月13日、独国)を国際出願日とする出願であって、平成23年6月17日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成23年10月24日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、その後、平成24年9月27日付けで当審から拒絶理由を通知したところ、平成25年2月28日付けで手続補正がなされたものである。

2 本願発明
本願の請求項1ないし13に係る発明は、平成25年2月28日付けの手続補正によって補正された特許請求の範囲及び明細書の記載から見て、特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項によって特定される発明と認める。その請求項1の記載は、次のとおりである。(以下、請求項1に記載された事項によって特定される発明を「本願発明」という。)
《本願発明》
篩分け装置を用いて、粒子形状の吸水性樹脂を分級する方法において、篩分け装置を、周囲圧に対して減少させた圧力で運転し、かつ分級中に樹脂上にガス流を通過させ、その際、篩分け装置上流のガス流は40℃以上かつ80℃を下回る温度を示し、ガス流の含水量が3g/kg以下であることを特徴とする、篩分け装置を用いて、粒子形状の吸水性樹脂を分級する方法。

3 当審が通知した拒絶理由
平成24年9月27日付けで当審が通知した拒絶理由の1つは、大要、次のとおりである。
「この出願の請求項1ないし15に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記《刊行物一覧》の刊行物に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
《刊行物一覧》
引用例1.特開平10-202187号公報
引用例2.特開平11-179187号公報
引用例3.特開平6-126252号公報
引用例4.特開2002-212301号公報
周知例1.Modern Superabsorbent Polymer Technology(Fredric L.
Buchoholz 他1名編著、John Wiley & Sons, Inc.、1998年発行)、103ページ、143ページ、265?266ページ
周知例2.特開昭59-80459号公報
周知例3.特表2002-523526号公報
周知例4.高吸水性樹脂の開発動向とその用途展開(大森英三著、テクノフォーラム(株)出版部、昭和62年8月25日発行)10?11ページ
周知例5.高吸水性ポリマー(増田房義著、共立出版、1987年11月15日発行)92ページ、93ページ、96ページ)
周知例6.特開2003-320308号公報
周知例7.粉体のフルイ分け(三輪茂雄著、昭和40年8月20日、日刊工業新聞社発行)294?295ページ
周知例8.化学大辞典(大木道則他編著、(株)東京化学同人、1989年10月20日発行)509ページ
周知例9.特開昭54-164060号公報
周知例10.米国特許第3719276号明細書 」
(審決注:平成25年2月28日付けの手続補正がなされる前は、請求項は請求項1から15まであり、当該補正によって、請求項1から13までに補正された。)

4 引用例の記載事項
当審の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である引用例1(特開平10-202187号公報)には、次の記載がある。
「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、粒子状親水性重合体の分級方法およびふるい分け装置に関する。さらに詳しくは、凝集剤、凝結剤、土壌改良剤、土壌安定剤、増粘剤等に好適に用いられる水溶性重合体や、生理用ナプキン、紙おむつ等の衛生材料用吸収剤として、あるいは農園芸用分野、土木業分野において保水剤、脱水剤等として幅広い用途に応用されている吸水性樹脂などの粒子状親水性重合体を、高い精度で生産性よく粒度分級する方法および該粒度分級に適したふるい分け装置に関する。」
「【0002】【従来の技術】一般に粉粒体の分級操作に際しては、風力分級やふるい分け等の乾式分級が採用されている。例えば300μm以下の小さい粉粒体の分級には風力分級が適しているといわれるが、風力分級には大きい装置が必要であるという問題がある。一方、ふるい分けは、風力分級に比較してコンパクトな装置ですむが、例えば300μm以下の小さい粉粒体を分級するには分級効率が低かったり、分級能力が小さくなったりするという問題がある。」
「【0003】中でも、粒子状親水性重合体を分級する際に従来の方法でふるい分けを行うと、短時間の操作でふるい網面が閉塞し分級効率および分級能力が低下する場合があった。また、分離粒子径が300μm以下と小さい場合には、ふるい網面を通過した細かい粒子径のものからなる製品の中に大きな粒子径のものが混入するという問題が生じた。特に近年開発されたアルガイヤ(Allgaier)社のタンブラシフタ(Tumbler-Screening machines)のような、ふるい網面を螺旋状に動かすふるい分け装置は分級能力が高く、細かい粒子の分級に有効なものであるが、かかる分級能力の高いふるい分け装置ほど上記の問題が顕著であり、本来有している高い分級能力を発揮させることができないという問題があった。」
「【0005】【課題を解決するための手段】本発明者らは、粒子状親水性重合体、特に分離粒子径が小さいものの分級の際に上記の問題が生じる原因について鋭意検討を重ねた結果、粒子状親水性重合体に含まれる水分により、ふるい網面を粒子が通過する前後で凝集物が形成されることを見出した。すなわち、ふるい網面を通過した粒子状親水性重合体が、水分によってふるい分け装置の内壁面に付着し、さらには大きな凝集物を形成し、ふるい分け装置の振動によって該凝集物が剥がれ落ちるために、分離粒子径よりも大きな粒子径のものが製品に混入するのである。また、ふるい網面を通過する前に凝集が起きた場合には、ふるい網面の目づまりの原因となる。」
「【0006】そこで、本発明者らは、粒子状親水性重合体に含まれる水分による凝集を抑えるべくふるい分け装置を加熱した状態または保温した状態で用いる等により、上記問題点が改善されることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明は粒子状親水性重合体をふるい分けによって乾式粒度分級するに際し、ふるい分け装置を加熱した状態および/または保温した状態で用いる、前記ふるい分け装置を30?100℃の温度範囲で用いる、または前記ふるい分け装置を前記粒子状親水性重合体の温度に対し20℃よりも低くない温度で用いることを特徴とする粒子状親水性重合体の分級方法である。」
「【0013】ふるい分け装置を加熱した状態および/または保温した状態とするには、本発明のふるい分け装置を用いるか、ふるい分け装置の置かれている雰囲気温度を上げる等すればよい。……。」
「【0014】ふるい分け装置は30?100℃程度の温度範囲で用いるのが好ましい。より好ましくは40?90℃の温度範囲である。……。」
「【0019】【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。……。」



「【0022】【表1】
┌────┬─────┬───────┬───┐
│ │吸水性樹脂│ふるい分け │操作性│
│ │温度(℃)│装置温度(℃)│ │
├────┼─────┼───────┼───┤
│実施例1│ 60 │ 55 │ ○ │
├────┼─────┼───────┼───┤
│実施例2│ 60 │ 75 │ ○ │
├────┼─────┼───────┼───┤
│実施例3│ 60 │ 35 │ △ │
├────┼─────┼───────┼───┤
│比較例1│ 60 │ 25 │ × │
├────┼─────┼───────┼───┤
│実施例4│ 50 │ 50 │ ○ │
├────┼─────┼───────┼───┤
│比較例2│ 50 │ 20 │ × │
└────┴─────┴───────┴───┘
○ ふるい網側壁およびふるい網への付着がほとんど見られず、
分級後の製品に凝集物の混入もない。
△ ふるい網側壁およびふるい網への付着がほとんど見られず、
分級後の製品に小さな凝集物が一部混入する。
× ふるい網側壁およびふるい網への付着が見られ、
分級後の製品に凝集物が混入する。 」
「【0023】【発明の効果】本発明によると、粒子状親水性重合体の分級に際し、ふるい網面が閉塞して分級効率や分級能力が低下するという問題が生じない。また、分離粒子径が200μm以下と小さい場合にも、ふるい網面を通過した細かい粒子状親水性重合体がふるい分け装置の内壁面に付着し、さらには大きな凝集物を形成し、ふるい分け装置の振動によって該凝集物が剥がれ落ちるために、分離粒子径よりも大きな粒子径のものが製品に混入するという問題も生じない。したがって、従来安定した分級が困難であった分離粒子径での分級が極めて効率よく行え、ふるい分け装置の本来有している分級能力を十分に発揮できる。」
【0022】の【表1】に記載された実施例1、2、4には、ふるい分け装置の温度を、50?75℃にする例が記載されている。

以上の記載から見て引用例1に開示されている発明を、本願発明に倣って整理して記載すれば、次のとおりである(以下、「引用発明」という。)。
《引用発明》
ふるい分け装置を用いて、吸水性樹脂などの粒子状親水性重合体を分級する方法において、ふるい分け装置を50?75℃の温度範囲にして、吸水性樹脂などの粒子状親水性重合体を分級する方法。

5 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「ふるい分け装置」及び「吸水性樹脂などの粒子状親水性重合体」は、それぞれ本願発明の「篩分け装置」及び「粒子形状の吸水性樹脂」に相当する。
本願明細書段落0046の表1には、本願発明の実施例としてベースポリマーの温度が50℃又は60℃であることが記載されている。ベースポリマーの温度が50℃又は60℃である場合に、篩分け装置上流のガス流が40℃以上かつ80℃を下回る温度であれば、定常状態では、篩分け装置の温度が上流のガス流とほぼ同等の温度範囲になることは当業者に明らかである。つまり、本願発明は、その実施態様として「篩分け装置の温度を40℃以上かつ80℃を下回る温度範囲にして粒子形状の吸水性樹脂を分級する方法」を含んでいる。すると、引用発明の「ふるい分け装置を50?75℃の温度範囲にして、吸水性樹脂などの粒子状親水性重合体を分級する方法」と、本願発明の「分級中に樹脂上にガス流を通過させ、その際、篩分け装置上流のガス流は40℃以上かつ80℃を下回る温度を示」すこととは、「篩分け装置の温度が40℃以上かつ80℃を下回る温度範囲にして、粒子状親水性重合を分級する方法」である限りにおいて一致する。

したがって、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
《一致点》
篩分け装置を用いて、粒子形状の吸水性樹脂を分級する方法において、篩分け装置を、40℃以上かつ80℃を下回る温度範囲にして、粒子形状の吸水性樹脂を分級する方法。

《相違点1》
本願発明は、「分級中に樹脂上にガス流を通過させ、その際、篩分け装置上流のガス流は40℃以上かつ80℃を下回る温度を示し、ガス流の含水量が3g/kg以下である」のに対し、引用発明はそのような構成となっていない点。

《相違点2》
本願発明は、「篩分け装置を、周囲圧に対して減少させた圧力で運転」するのに対し、引用発明はそのような構成となっていない点。

6 相違点の検討
相違点1について検討する。
雰囲気温度を上げる方法として、温風や熱風を送ることは周知の技術的事項であるし、例えば、引用例2(特開平11-179187号公報)の3ページ左欄26?28行には「吸湿性の粉体を扱う場合は、篩部分にドライエアーまたは、温風を送って、粉体が篩に固着するのを防止できるよう配慮する。」と記載され、周知例6(特開2003-320308号公報)の6ページ左欄30?37行に「本発明によれば、振動する網で篩別を行う際に、網を介して熱風を当てて造粒物の表面の水分を蒸発させ、目詰りを生じさせないようにすることができる。……また本発明によれば、上下の網の間から篩別目的の造粒物を取出す際に、下段の網の下方から熱風を導入して造粒物を加熱し、網の目詰りを防いで、篩別目的の造粒物を効率よく取出すことができる。」と記載されており、ふるい分け装置で分級する際に、温風や熱風を送って目詰り(篩への粉体の付着)を防止することも周知の技術的事項である。
そして、引用例1には、ふるい分け装置を加熱した状態および/または保温した状態とする方法として、ふるい分け装置の置かれている雰囲気温度を上げることが記載されている(段落0013を参照)。そうすると、篩分け装置を、40℃以上かつ80℃を下回る温度範囲にする方法として、「分級中に樹脂上にガス流を通過させ、その際、篩分け装置上流のガス流は40℃以上かつ80℃を下回る温度」とすることは、当業者が容易に推考し得たことである。
また、引用発明が、ふるい分け装置を所定の温度範囲にするのは、「ふるい網面を通過した粒子状親水性重合体が、水分によってふるい分け装置の内壁面に付着し、さらには大きな凝集物を形成」することを防止するためであるから(引用例1の段落0005?0006を参照)、ふるい分け装置に導入するガス流の含水量が少ないほど粒子状親水性重合体の水分除去に有効であることが当業者に明らかであるし、「ガス流の含水量が3g/kg以下」であることに格別顕著な技術的意義があるとも認められない。したがって、「分級中に樹脂上にガス流を通過させ」る際に、「ガス流の含水量が3g/kg以下」とすることは、通過させるガス流量や、ガス流の温度等を考慮して、当業者が適宜決定すべき単なる設計的事項である。

相違点2について検討する。
ある装置にガス流を供給する方法には、ガス流を加圧して該装置に吹き込む方法と、該装置を負圧源に接続してガス源からガス流を引き込む方法とがあり、いずれも周知・慣用の手段である。そして、ふるい分け装置を負圧源に接続してガス流を引き込むことも、例えば、周知例9(特開昭54-164060号公報)、周知例10(米国特許第3719276号明細書)に記載されており、本願の優先日前に周知の技術的事項である。したがって、上記相違点1で検討したように、引用発明に「分級中に樹脂上にガス流を通過させ」る構成を採用する際に、ふるい分け装置を負圧源に接続してガス流を引き込む構成とすることは、設備に要する費用や、装置の運転や保守の容易性等を考慮して、当業者が適宜行うべき単なる設計的事項である。そして、ふるい分け装置を負圧源に接続してガス流を引き込む構成とした場合には、「篩分け装置を、周囲圧に対して減少させた圧力で運転」する状態になることが当業者に明らかである。すると、引用発明に、相違点2に係る本願発明の構成を採用することは、当業者が容易に推考し得たことである。

また、湿分減少、すなわち、乾燥の方法として、通風(通気)、加熱、熱風の他に、減圧法があることは、例えば、引用例3(特開平6-126252号公報)の3ページ右欄4行末?5行に「湿分を減少させる方法としては減圧する方法がある」と記載され、周知例8(化学大辞典(大木 道則 他 編著、(株)東京化学同人、1989年10月20日発行)509ページ)の「乾燥」の項目に「乾燥の方法には,天日,通気(風乾)加熱,熱風,真空(減圧),流動,噴霧,凍結,赤外線,高周波乾燥などがある.」と記載されており、周知の技術的事項である。そして、引用発明が、粒子形状の吸水性樹脂の湿分の減少、又は、低湿分状態の維持を行いつつ、篩分級を行っていることが明らかであるし、温風の利用と減圧の利用とを併せて行うことには、技術的な阻害要因もない。そうすると、湿分の減少、又は、低湿分状態の維持を行う方法として、相違点1に係る本願発明の構成と共に、併せて減圧の利用を行うことは、当業者が容易に推考し得たことであるから、この観点から見ても、引用発明に、相違点2に係る本願発明の構成を採用することは、当業者が容易に推考し得たことである。

そして、本願発明が奏する効果も、引用発明及び周知の技術的事項から当業者が予測できたものであって、格別顕著なものとはいえない。
したがって、本願発明は、引用発明及び周知の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。

7 請求人の主張について
請求人は、平成25年2月28日付けの意見書において「引用例2、引用例3、周知例8、周知例9及び周知例10は、いずれも、一般的な粒子の乾燥方法に過ぎず、本願発明とは、技術的に全く関係ない」旨主張している。しかしながら、引用発明が、粒子形状の吸水性樹脂の湿分の減少、又は、低湿分状態の維持を行いつつ、篩分級を行っていることが明らかであるところ、上記引用例や周知例に記載された一般的な粒子の乾燥方法が、粒子形状の吸水性樹脂の湿分の減少、又は、低湿分状態の維持に対して適用できないとか、適用が困難である等の事情があるとは認められない。むしろ、引用発明(及び本願発明)とこれら引用例や周知例に記載された乾燥方法とは、粒子の乾燥方法という点で共通する技術分野である、または、共通する技術的課題を有するというべきであるから、これら引用例や周知例に記載された乾燥方法を引用発明に適用することは、当業者にとって十分な動機付けが存在するといえる。請求人の上記主張は失当であり、採用することができない。

請求人は、また、同意見書において「本願明細書に提示したUS2003/0087983に、含水率を低くさせることによって粉末が硬くなり、その結果篩に与える損傷が大きくなることが記載されているから、極めて乾燥したガス流(40℃の水蒸気圧=55.324Torrから計算される飽和空気1kg中の水分量は46.8g)を用いることにも、またそれに減圧条件を組み合わせることについても、全く動機付けは無い」旨主張している。しかしながら、US2003/0087983には、「高温で篩分級を行うと、乾燥物粉末の含水率が低くなって硬くなり、その結果、篩に与える損傷が大きくなり、乾燥物粉末に微細な金属性異物が混入しやすい傾向があると推定される。そのため、高温にならないよう温度(好ましくは40?100℃、さらに好ましくは50?80℃)を設定することが好ましい。」(段落0081、対応する特開2003-137922号公報では段落0032)と記載され、高温で篩分級を行うと乾燥物粉末の含水率が低くなって硬くなる傾向があると推定されると述べているのであり、「乾燥したガス流を用いる」と、粉末が硬くなると述べているのではない。仮に、「乾燥したガス流を用いる」ことにより、粉末の含水率が低くなって硬くなる可能性が高まるとしても、粉末の含水率がどの程度になるかは、篩分級を行う粉末の量、ガス流の流量・温度・含水率、篩分級を行う時間等の種々の条件によって定まるものであって、ガス流の含水率が支配的影響を及ぼすものとも認められない。請求人の上記主張は、客観的根拠に基づかない、請求人独自の見解というべきであるから、採用することができない。

請求人は、さらに、同意見書において「表1に示された実験データを参酌すれば、本願発明の構成要件を満たす例5及び7において、極めて良好な篩い分け挙動が実現されていることは明らかです」と主張している。しかしながら、表1を含む本願明細書全体を見ても、実験条件の異なる十分な数の比較例が示されていないから、例5及び7が「極めて良好な篩い分け挙動が実現されている」ことを示す例であると認めるべき理由がない。また、仮に例5及び7が「極めて良好な篩い分け挙動が実現されている」ことを示す例であるとしても、これらは、特定のベースポリマーについての、ベースポリマーの温度が50℃又は60℃、圧力が500mbar、ガス流の温度が50℃又は60℃、ガス流の水蒸気量が2g/kg、空気量が篩い面積1m^(2)当たり2m^(3)/hという、特殊な(特定の)条件下における篩い分け挙動を示すものであって、本願請求項1に記載された事項で特定される本願発明の全ての技術的範囲にわたって実現される篩い分け挙動を示すものではない。請求人の上記主張は、請求項1の記載に基づかない主張であるから、失当であり採用することができない。

8 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-04-17 
結審通知日 2013-04-22 
審決日 2013-05-07 
出願番号 特願2007-550714(P2007-550714)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B07B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 関口 哲生  
特許庁審判長 栗林 敏彦
特許庁審判官 河原 英雄
千葉 成就
発明の名称 粒子形状の吸水性樹脂を分級するための方法  
代理人 久野 琢也  
代理人 星 公弘  
代理人 篠 良一  
代理人 二宮 浩康  
復代理人 宮城 康史  
代理人 高橋 佳大  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
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