ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06K 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06K 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06K |
---|---|
管理番号 | 1279711 |
審判番号 | 不服2012-11076 |
総通号数 | 167 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-11-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-06-13 |
確定日 | 2013-09-26 |
事件の表示 | 特願2006-326187「表示装置、表示方法及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 6月19日出願公開、特開2008-140187〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成18年12月1日の特許出願であって、平成23年11月29日付けで拒絶理由の通知がなされ、平成24年1月25日付けで手続補正書の提出がなされ、平成24年3月8日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成24年6月13日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正書の提出がなされ、当審において、平成25年2月14日付けで前置報告書を利用した審尋がなされ、平成25年4月19日付けで回答書の提出がなされたものである。 第2 平成24年6月13日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成24年6月13日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.補正内容 平成24年6月13日付けの手続補正(以下,「本件補正」という)は、本件補正前の平成24年1月25日付け手続補正書により補正された請求項8の内容を、 「【請求項8】 表示手段と、 上記表示手段と少なくとも一部が重なるように設けられ、複数の種類のメモリと非接触通信を行う非接触通信手段と、 上記非接触通信手段で非接触通信を行うことができるそれぞれのメモリの種類に関する告知を行う告知データを記憶する記憶手段と、 上記非接触通信手段で読み取られる上記一のメモリの種類を選択する選択手段と、 上記選択手段で上記メモリの種類を選択する前に、上記記憶手段に記憶された全ての告知データを上記表示手段に表示し、上記選択手段で上記一のメモリの種類を選択した後に、選択された上記告知データを上記非接触通信手段と少なくとも一部が重なるように上記表示手段に表示する制御手段とを備えることを特徴とする表示装置。」 から、 「【請求項8】 表示手段と、 上記表示手段と少なくとも一部が重なるように設けられ、複数の種類のメモリと非接触通信を行う非接触通信手段と、 上記非接触通信手段で非接触通信を行うことができるそれぞれのメモリの種類に関する告知を行う告知データを記憶する記憶手段と、 上記非接触通信手段で読み取られる上記一のメモリの種類を選択する選択手段と、 上記選択手段で上記メモリの種類を選択する前に、上記記憶手段に記憶された複数の告知データを上記表示手段に表示し、上記選択手段で上記一のメモリの種類を選択した後に、選択された上記告知データを上記非接触通信手段と少なくとも一部が重なるように上記表示手段に表示する制御手段とを備えることを特徴とする表示装置。」 と補正するものである。 そして、本件補正では、本件補正前の請求項8が本件補正後の請求項8に対応しているので、本件補正前の請求項8と本件補正後の請求項8を比較すると、本件補正後の請求項8に係る本件補正には、補正前の請求項8の「上記記憶手段に記憶された全ての告知データを上記表示手段に表示し」を「上記記憶手段に記憶された複数の告知データを上記表示手段に表示し」とする補正事項を含むものである。 2.補正の目的の適否についての検討 上記補正事項は、表示手段に表示される「告知データ」が、「記憶手段に記憶された全て」でなければならなかったものを「記憶手段に記憶された複数」であればよいものへと変更するものであるから、特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものには該当しない。また、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号以外の各号に掲げる事項を目的とするものでもない。 したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たしておらず、特許法159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.独立特許要件について 上記第2 2.において検討したとおり、本件補正は特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たしていないが、仮に本件補正が当該要件を満たすものであるとした場合には、本件補正が、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか否かについて、一応検討する。 (1)補正後の請求項8に係る発明 本願の請求項1?14に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?14に記載された事項により特定されるものであって、そのうちの補正後の請求項8に係る発明(以下「本件補正発明」という。)は、上記第2 1.の補正後の請求項8として記載したとおりのものである。 (2)引用文献 原査定の拒絶の理由に引用された特開2002-32827号公報(以下、「引用文献」という)には、下記の事項が記載されている。 (あ)「【0039】 【発明の実施の形態】図1はこの発明の実施形態である自動現金預け払い機の構成を示すブロック図であり、図2は同自動現金預け払い機の外観を示す図である。自動現金預け払い機1(以下、ATM1と言う。)は、本体の動作を制御する制御部2と、無線通信機能を有する非接触媒体(この発明で言う情報記憶媒体に相当する。)との無線通信を実行する無線通信部3と、装置本体の動作状態や後述する取引処理に関する案内画面等を表示する表示部4と、入力操作を行う入力部5と、入金処理を行う入金部6と、出金処理を行う出金部7と、取引内容を印字した取引伝票を発行する伝票発行部8と、センタに設けられた上位装置(不図示)との間で通信する通信部9と、を備えている。無線通信部3には、無線送信部3a、無線受信部3b、およびアンテナ3cが設けられている。」 (い)「【0042】以下、この実施形態のATM1の動作について説明する。図5は、この実施形態のATMの動作を示すフローチャートである。ATM1では、周知のように指定口座への入金取引や、指定口座からの出金取引、指定口座における現在の残高を確認する残高照会等の取引が行える。ATM1は、表示部4の画面上に取引種別毎に取引ボタンを表示したメニュー画面を表示している。ATM1は、表示部4の画面上に表示されているいずれかの取引ボタンが押下されると、押下された取引ボタンに対応する種別の取引が選択されたと判断する。上述したように、表示部4の表示画面上にはタッチパネル5aが設けられており、表示部4に表示されているどの取引ボタンを利用者が押下したのかを検知することができる。ATM1は、利用者による取引種別の選択入力を受け付けると(s1)、装置本体の通信エリア内に位置する全ての非接触カード10からカード情報を読み取る(s2、s3)。 【0043】このとき、利用者は財布やカードケース等から収納している非接触カード10を取り出すことなく、非接触カード10を収納している財布やカードケースをアンテナ3cに近づけるだけでよい(非接触カード10を装置本体との通信エリア内に位置させるだけでよい。)。ATM1は、アンテナ3cに近づけられた全ての非接触カード10に対して順次アクセスし、これらの非接触カード10からカード情報を読み取る。 【0044】ここで、利用者がアンテナ3cに近づけた財布やカードケース等に、以下に示すカード情報を記憶した非接触カード10が3枚収納されていた場合を例示しながら、この実施形態のATM1の動作を説明する。アンテナ3cに近づけられたカードケースに、 *1(審決注)カードA:A銀行、L支店、口座番号X *2カードB:B銀行、M支店、口座番号Y *3カードC:C銀行、N支店、口座番号Z 3枚の非接触カード10が収納されていたとする(図6参照)。また、カードBは優先フラグがオンであり、カードAおよびカードCは優先フラグがオフであった。 【0045】ATM1は、上述したs2、s3において、上記アンテナ3cに近づけられたカードケースに収納されている全て(3枚)の非接触カード10からカード情報を読み取っている。ATM1は上記s2、s3でカード情報を読み取った非接触カード10の中に、自行発行の非接触カード10があるかどうかを判定する(s4)。上述したように、カード情報には非接触カード10を発行した銀行を示す銀行コードが含まれているので、この銀行コードを利用することで自行発行の非接触カードであるかどうかを判定することができる。ATM1は自行発行の非接触カード10があると、その非接触カード10の優先準位を1番にし(s5)、後述するs8に進む。一方、自行発行の非接触カード10がなければ、例えばATM1がD銀行の装置であったとき、優先フラグがオンである非接触カード10(B銀号発行の非接触カード10)の優先順位を1番にし(s6、s7)、s8に進む。 【0046】なお、s6で優先フラグがオンである非接触カード10がなければ、優先順位が1番である非接触カード10が無い状態でs8に進む。 【0047】ATM1は、優先順位を1番にした非接触カード10とその他の非接触カード10とを区別した案内画面を表示する(s8)。この案内画面では優先順位を1番にした非接触カード10を選択するときに操作する選択ボタンと、その他の非接触カード10を選択するときに操作する選択ボタンと、を区別して表示している。例えば、ATM1がA銀行の装置であるときには、表示部4に優先順位が1番であるA銀行の非接触カード10を選択するときに操作する選択ボタンとその他の非接触カード10を選択するときに操作する選択ボタンとを区別した案内画面が表示部4に表示される(図7(A)参照)。」 (審決注:本審決では丸付数字を表記できないため、丸付数字は*付数字に替えて表記を行っている。) (う)「【0051】ATM1は、s8で表示した案内画面において取引に使用する非接触カード10の選択を受け付け(s9)、選択誤りでないかどうかを確認する確認画面(図8参照)を表示部4に表示する(s10)。ここで、選択誤りであった旨の入力(表示部4に表示されている『NG』ボタンの押下)が行われると、ATM1はs8に戻って上記処理を繰り返す。」 (え)上記(あ)には、アンテナを備える無線通信部が非接触媒体と無線通信を実行することが記載され、上記(い)には、アンテナが非接触カードと非接触通信を行うことが記載されているので、引用文献には、非接触カードと通信を行う無線通信部が記載されている。 (お)上記(い)には、カード情報が読み取られた非接触カードは表示部に案内画面として表示され、上記(う)には、表示されたカードの中から取引に使用するカードを選択すること、及び、選択誤りでないかどうかを確認する確認画面を表示部に表示することが記載されている。 よって、引用文献において、使用する非接触カードを選択する構成は選択部と呼び得るものであるから、引用文献には、前記選択部によって非接触カードを選択した後に、前記選択部での選択が誤りでないかを確認する確認画面を表示部に表示するATMが記載されているといえる。 よって、上記(あ)乃至(お)及び関連図面の記載から、引用文献には、実質的に下記の発明(以下、「引用発明」という)が記載されている。 「表示部と、 非接触カードと通信を行う無線通信部と、 使用する非接触カードを選択する選択部と、 前記選択部によって非接触カードを選択した後に、前記選択部での選択が誤りでないかを確認する確認画面を前記表示部に表示するATM。」 (3)対比 (3-1)本件補正発明と引用発明との対応関係について (ア)引用発明の「表示部」は、本件補正発明の「表示手段」に相当している。 (イ)本願明細書の段落【0017】には、メモリの種類として「店舗で利用可能なカードサービスの種類」が例示されているところ、引用文献には、上記(い)に非接触カードの例として銀行カードが記載され、該銀行カードは「店舗で利用可能なカードサービスの種類」といい得るものであるから、引用発明の「非接触カード」は、本件補正発明の「メモリの種類」に相当している。 (ウ)引用発明の「無線通信部」は非接触カードと通信を行うものであること、及び、上記(イ)を考慮すれば、本件補正発明と引用発明は、「複数の種類のメモリと非接触通信を行う非接触通信手段」を有している点で共通している。 (エ)引用文献の上記(い)には、非接触カードからカード情報を読み取ることが記載されており、また、上記(イ)及び(ウ)の記載を考慮すれば、引用発明の「選択部」も「非接触通信手段で読み取られる上記一のメモリの種類を選択する」ものであるといえる。 (オ)本願明細書の段落【0022】には、「表示部5は、店舗で利用可能なカードサービスの種類をアイコン及びカードサービスの名称で表示することに限定されるものではなく、例えば、どちらか一方の告知データだけでもよく」と記載されていることから、本願発明の「告知データ」にはカードサービスの種類の名称が含まれることは明らかである。 一方、引用文献の図8には、A銀行を選択した場合の確認画面として「A銀行でよろしいですか。」と表示されることから、引用発明の確認画面に表示される内容は、本件補正発明の「告知データ」に相当している。そして、引用発明では、それぞれの銀行について確認画面の内容を表示する必要があるため、それらの確認画面の表示内容を記憶する何らかの記憶手段を有していることは明らかである。 よって、本件補正発明と引用発明は、「非接触通信手段で非接触通信を行うことができるそれぞれのメモリの種類に関する告知を行う告知データを記憶する記憶手段」を有している点で共通している。 (カ)引用文献の段落【0039】及び図1には、ATMが本体の動作を制御する制御部を備え、該制御部は表示部及び無線通信部と接続された構成が記載されているので、引用発明において、「上記選択部によって非接触カードを選択した後に、上記選択部での選択が誤りでないかを確認する確認画面を上記表示部に表示」させるのは、制御部であると認められる。 (キ)引用発明のATMは、「選択部によって非接触カードを選択した後に、上記選択部での選択が誤りでないかを確認する確認画面を上記表示部に表示する」ものであるから、表示装置と呼び得るものである。 (3-2)本件補正発明と引用発明の一致点について 上記の対応関係から、本件補正発明と引用発明は、下記の点で一致する。 「表示手段と、 複数の種類のメモリと非接触通信を行う非接触通信手段と、 上記非接触通信手段で非接触通信を行うことができるそれぞれのメモリの種類に関する告知を行う告知データを記憶する記憶手段と、 上記非接触通信手段で読み取られる上記一のメモリの種類を選択する選択手段と、 上記選択手段で上記一のメモリの種類を選択した後に、選択された上記告知データを上記表示手段に表示する制御手段とを備えることを特徴とする表示装置。」 (3-3)本件補正発明と引用発明の相違点について 本件補正発明と引用発明は、下記の点で相違する。 (相違点A) 本件補正発明は、非接触通信手段が「上記表示手段と少なくとも一部が重なるように設けられ」ており、また、「選択された上記告知データを上記非接触通信手段と少なくとも一部が重なるように上記表示手段に表示する」ものであるのに対し、引用発明はそのような構成とはなっていない点。 (相違点B) 本件補正発明は、「上記選択手段で上記メモリの種類を選択する前に、上記記憶手段に記憶された複数の告知データを上記表示手段に表示」するものであるのに対し、引用発明ではそのような表示は行っていない点。 (4)当審の判断 (4-1)相違点Aについて 非接触カードを用いて銀行とのやりとりを行うATMのような機器では、非接触通信を行うアンテナを表示部の画面中央に1つ配置し、表示部の一部を非接触カードと通信を行う無線通信部として構成することは、例えば、特表2002-540512号公報、特開平11-353432号公報に記載されているように周知技術である。 そして、引用発明はATMの発明であり、引用文献の図8には、画面の中央に「A銀行でよろしいですか。」と確認画面を表示することが記載されている。 してみると、引用発明の表示部の中央にアンテナを配置して非接触カードと通信を行う無線通信部を構成するとともに、確認画面の中央に表示される文言が該アンテナと一部が重なるように配置することに、格別の困難性は認められない。 よって、引用発明に上記周知技術を適用して相違点Aの構成を備えることは、当業者が格別困難なくなし得たものである。 (4-2)相違点Bについて 銀行とのやりとりを行うATMのような機器において、取り扱うことができるカードを利用者の入力操作前に表示することは、例えば、特開平9-245221号公報、特開2003-217003号公報に記載されているように周知技術である。 してみると、引用発明において、取り扱うことができるカードについての情報を記憶させておき、利用者の入力操作前に取り扱うことができるカードを予め表示させることは、格別なことではない。 よって、引用発明に上記周知技術を適用して相違点Bの構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。 (4-3)本件補正発明の作用効果について また、本件補正発明の作用効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。 (5)むすび よって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 補正却下の決定を踏まえた検討 1.本願発明 平成24年6月13日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願に係る発明は、平成24年1月25日付け手続補正書の特許請求の範囲に記載されたとおりのものであるところ、その請求項8に係る発明(以下、「本願発明」という)は、次のとおりのものである。 「【請求項8】 表示手段と、 上記表示手段と少なくとも一部が重なるように設けられ、複数の種類のメモリと非接触通信を行う非接触通信手段と、 上記非接触通信手段で非接触通信を行うことができるそれぞれのメモリの種類に関する告知を行う告知データを記憶する記憶手段と、 上記非接触通信手段で読み取られる上記一のメモリの種類を選択する選択手段と、 上記選択手段で上記メモリの種類を選択する前に、上記記憶手段に記憶された全ての告知データを上記表示手段に表示し、上記選択手段で上記一のメモリの種類を選択した後に、選択された上記告知データを上記非接触通信手段と少なくとも一部が重なるように上記表示手段に表示する制御手段とを備えることを特徴とする表示装置。」 2.引用文献 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献の記載事項及び引用発明は、上記第2 3.(2)に記載したとおりである。 3.対比 (1)本願発明と引用発明との対応関係と一致点 本願発明は、上記第2で検討した本件補正発明の「複数の告知データを表示手段に表示」を「全ての告知データを表示手段に表示」としたものにすぎない。 よって、本願発明と引用発明との対応関係は、上記第2 3.(3)(3-1)に記載した通りであり、本願発明と引用発明の一致点は、上記第2 3.(3)(3-2)に記載した下記のとおりである。 「表示手段と、 複数の種類のメモリと非接触通信を行う非接触通信手段と、 上記非接触通信手段で非接触通信を行うことができるそれぞれのメモリの種類に関する告知を行う告知データを記憶する記憶手段と、 上記非接触通信手段で読み取られる上記一のメモリの種類を選択する選択手段と、 上記選択手段で上記一のメモリの種類を選択した後に、選択された上記告知データを上記表示手段に表示する制御手段とを備えることを特徴とする表示装置。」 (2)本願発明と引用発明の相違点について 本願発明と引用発明は、下記の点で相違する。 (相違点C) 本願発明は、非接触通信手段が「上記表示手段と少なくとも一部が重なるように設けられ」ており、また、「選択された上記告知データを上記非接触通信手段と少なくとも一部が重なるように上記表示手段に表示する」ものであるのに対し、引用発明はそのような構成とはなっていない点。 (相違点D) 本願発明は、「上記選択手段で上記メモリの種類を選択する前に、上記記憶手段に記憶された全ての告知データを上記表示手段に表示」するものであるのに対し、引用発明ではそのような表示は行っていない点。 4.判断 (1)相違点Cついて 相違点Cは、上記第2 3.(3)(3-3)に記載した相違点(A)と同一であるから、上記第2 3.(4)(4-1)と同一の理由により、引用発明に上記周知技術を適用して相違点Cの構成を備えることは、当業者が格別困難なくなし得たものである。 (2)相違点Dついて 上記第2 3.(4)(4-2)に記載したように、銀行とのやりとりを行うATMのような機器において、取り扱うことができるカードを利用者の入力操作前に表示することは、特開平9-245221号公報、特開2003-217003号公報に記載されているように周知技術である。 してみると、引用発明において、取り扱うことができるカードについての情報を記憶させておき、利用者の入力操作前に取り扱うことができる全てのカードを予め表示させることは、格別なことではない。 よって、引用発明に上記周知技術を適用して相違点Dの構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。 (3)本願発明の作用効果について また、本願発明の作用効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。 5.むすび 以上のとおり、本願発明は、当業者が引用発明び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本件は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-07-11 |
結審通知日 | 2013-07-16 |
審決日 | 2013-08-12 |
出願番号 | 特願2006-326187(P2006-326187) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06K)
P 1 8・ 575- Z (G06K) P 1 8・ 572- Z (G06K) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 前田 浩 |
特許庁審判長 |
飯田 清司 |
特許庁審判官 |
田中 秀人 金子 幸一 |
発明の名称 | 表示装置、表示方法及びプログラム |
代理人 | 小池 晃 |
代理人 | 藤井 稔也 |
代理人 | 伊賀 誠司 |