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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C09J
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C09J
管理番号 1279910
審判番号 不服2011-18016  
総通号数 167 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-08-19 
確定日 2013-10-02 
事件の表示 特願2006-538034「感圧接着剤を調製する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成17年5月19日国際公開、WO2005/044940、平成19年4月19日国内公表、特表2007-510035〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成16年10月8日(パリ条約による優先権主張 2003年10月31日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成22年9月24日付けで拒絶理由が通知され、平成23年3月28日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年4月14日付けで拒絶査定され、これに対し、同年8月19日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

2.本願発明
本願の請求項1ないし3に係る発明は、平成23年3月28日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるとおりのものであり、請求項1に係る発明は次のとおりのものである(以下、「本願発明」という)。

「感圧接着剤を調製する方法であって、
(i)1個のエチレン性不飽和基を有する1種以上のラジカル重合性モノマーと少なくとも1種のラジカル重合開始剤とを含む本質的に溶媒を含まない混合物を提供する工程、
(ii)前記混合物を部分的に重合させて、20℃で1,000?125,000mPa・sのブルックフィールド粘度および重合の前のモノマーの初期質量に対して30?60重量%のモノマーのポリマーへの転化率を示す部分重合済み混合物を提供する工程、
(iii)前記部分重合済み混合物に1種以上のラジカル放射線重合開始剤を添加して、放射線硬化性前駆体を提供する工程、
(iv)前記放射線硬化性前駆体を基材に被着させる工程および
(v)前記放射線硬化性前駆体を非不活性雰囲気内で化学線に供することにより前記放射線硬化性前駆体を更に重合させて、前記感圧接着剤を提供する工程
を含む方法。」

3.原査定について
原査定の拒絶の理由は、「平成22年9月24日付け拒絶理由通知書に記載した理由1及び2」であるが、このうち理由1は、概略「この出願の請求項1?3に係る発明は、特開2001-181589号公報に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない」というものである。

4.当審の判断
(1)引用刊行物及びその記載事項
原査定の拒絶の理由において引用された本願優先日前の刊行物である、特開平2001-181589号公報(以下、「引用例」という)には、次のことが記載されている。なお、下線は当審で付与した。

(i)「【請求項20】支持体の少なくとも一方の面に、アクリル酸アルキルエステルを主成分とする重合性不飽和結合を有するモノマーの重合物を5重量%以上含有する該モノマーの部分重合物、架橋剤および光重合開始剤からなる粘着剤組成物を支持体表面に塗布した後、該塗布層に光照射して光重合させて粘着剤層を形成することを特徴とするアクリル系粘着テープの製造方法。」(特許請求の範囲【請求項20】参照)
(ii)「【0021】本発明において使用される部分重合物の製造にはモノマーとして重合性不飽和結合を有するモノマーを使用する。この重合性不飽和結合を有するモノマーはアクリル酸アルキルエステルを主成分とするものであり、このような重合性不飽和結合を有するモノマーの例としては、以下に示す化合物を挙げることができる。」(段落【0021】参照)
(iii)「【0023】本発明で使用される部分重合物を製造するための塊状重合では、上記の不飽和結合を有するモノマーは、実質的に反応溶媒を使用せずに反応させる。この塊状重合では、上記不飽和結合を有するモノマーを、以下に示すような特定の重合開始剤を使用して重合させることが好ましい。ここで使用される重合開始剤としては、以下に例示して示すような10時間半減期温度が41.0℃以下、好ましくは20?37.0℃の範囲内ににある重合開始剤が好ましく使用される。
【0024】このような重合開始剤の例としては、イソブチリルパーオキサイド(10時間半減期温度:32.7℃)、α,α'-ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(10時間半減期温度:35.9℃)、クミルパーオキシネオデカノエート(10時間半減期温度:36.5℃)、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート(10時間半減期温度:40.3℃)、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(10時間半減期温度:40.5℃)、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート(10時間半減期温度:40.5℃)、1,1,3,3,-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート(10時間半減期温度:40.7℃)、ビス(4-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(10時間半減期温度:40.8℃)および2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)(10時間半減期温度:30.0℃)を挙げることができる。
【0025】これらの重合開始剤単独であるいは組み合わせて使用することができる。これらの中でも、イソブチリルパーオキサイド(10時間半減期温度:32.7℃)、α,α'-ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(10時間半減期温度:35.9℃)、クミルパーオキシネオデカノエート(10時間半減期温度:36.5℃)、2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)(10時間半減期温度:30.0℃)を使用することが好ましく、さらに、2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)(10時間半減期温度:30.0℃)を使用することが特に好ましい。
【0026】上記重合開始剤は熱重合開始剤であって、しかもその10時間半減期温度が著しく低い。例えば、従来から一般に使用されている重合開始剤であるtert-ブチルパーオキシイソプチレートの10時間半減期温度は72.1℃であり、ベンゾイルパーオキサイドの10時間半減期温度は74℃であり、2,2'-アゾビスイソブチロニトリルの10時間半減期温度は66℃である。このような10時間半減期温度の高い熱重合開始剤を使用すると、塊状重合反応においては、反応開始直後から反応が急速に進行し、反応の制御が非常に難しくなる。」(段落【0023】?【0026】参照)
(iv)「【0032】このようにして上記選択された重合開始剤を使用する1回の重合反応で、原料として使用したモノマーの5?50重量%が重合した部分重合物を得ることができる。」(段落【0032】参照)
(v)「【0037】このように反応させることにより、仕込みモノマーの15?50重量%が重合した部分重合シロップが得られる。このようにして得られる部分重合シロップは、通常0.1?50Pa・Sの粘稠な液体(23℃、B型粘度計を用いて測定)として得られる。特に支持体上に塗布するためには、同様にして測定したこの部分重合物の粘度が1?50Pa・Sの範囲内にある部分重合物を使用することが好ましい。」(段落【0037】参照)
(vi)「【0039】なお、本発明では、重合反応は攪拌下に行うことが好ましく、また、反応は、窒素ガスなどの不活性雰囲気下で行うことが好ましい。さらに、使用原料中に溶存する酸素は、反応の進行を妨げることがあるので、使用原料中の溶存酸素を除去してから使用することが好ましい。本発明のアクリル系粘着テープは、上記のようにして得られた部分重合物と、架橋剤と、光重合開始剤とを含有する粘着剤組成物を支持体上に塗布した後、光重合させて、支持体の少なくとも一方の面に粘着剤層を形成する。
……
【0041】また、光重合開始剤としては、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、α-ヒドロキシ-α,α'-ジメチルアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-シクロヘキシルアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィンオキサイド、アシルホスフォナートなどを挙げることができる。」(段落【0039】?【0041】参照)
(vii)「【0046】こうして粘着剤を支持体表面に塗布した後、この塗布された粘着剤に紫外線などの光を照射して、支持体上に塗布された粘着剤中の重合性成分を重合させる。即ち、部分重合物中に含有されるモノマー成分および架橋剤を光重合させる。このときの紫外線などの光の照射時間は通常は1秒?300秒、好ましくは1秒?180秒である。」(段落【0046】参照)
(viii)「[部分重合物Aの調製]攪拌機と温度計と窒素ガス導入管および冷却管を備えた容量0.5リットルの四つ口フラスコに2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)91.5g、アクリル酸(AA)8g、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)0.5g、ノルマルドデシルメルカプタン(NDM)0.06gを投入して、窒素気流中で50℃になるまで昇温し加熱を停止した。
【0051】次いで、重合開始剤として2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)(10時間半減期温度30℃/トルエン中)0.0025gを攪拌下に投入して均一に混合した。重合開始剤添加した後、攪拌を続けることにより、3分後に重合熱による温度上昇が見られたが、フラスコを冷却せずに発熱するままにして反応させることにより、反応系の温度が118℃に達した。さらに攪拌を続けることにより、反応系に添加した重合開始剤は消費されこれ以上の反応系の温度上昇は見られず、反応の暴走は見られなかった。この反応物について、重合開始剤を分析したところ、添加した重合開始剤の全量が失活したことが確認された。
【0052】冷却剤として、25℃の2-EHAを22.8g、25℃のAAを2gおよび2-HEA0.2g添加すると共に、外部冷却器を用いて反応系の温度を100℃以下まで急冷して引き続き外部冷却を続けた。そしてさらに、2-EHA160g、AA14g及び2-HEA1gを加えて部分重合物Aを得た。この得られた部分重合物Aは、ポリマー分が10%であり、粘度が1Pa・Sであった。
……
【0056】
【実施例1】部分重合物A100gにエポキシ系架橋剤0.08g(商品名;テトラッドX、三菱ガス化学(株)製)を加え、さらにモノマー100重量部に対して0.5重量部の光開始剤(商品名;イルガキュア500、日本チバガイギー(株)製)を加え粘着剤組成物とした。
【0057】次いで、この粘着剤組成物を厚さ25μmのポリエステルフィルム(支持体)の表面にドクターブレードを用いて膜厚30μmになるように塗布して、さらに高圧水銀灯により紫外線を60秒間照射して粘着剤層を形成し、その後23℃で10日間静置し架橋を進行させて、粘着テープを得た。得られた粘着テープの粘着性能を測定した結果、良好な粘着特性を示した。また、粘着剤層のゲル分率は65%であった。」(段落【0050】?【0057】参照)

(2)対比・判断
上記引用例の特許請求の範囲【請求項20】には、「支持体の少なくとも一方の面に、アクリル酸アルキルエステルを主成分とする重合性不飽和結合を有するモノマーの重合物を5重量%以上含有する該モノマーの部分重合物、架橋剤および光重合開始剤からなる粘着剤組成物を支持体表面に塗布した後、該塗布層に光照射して光重合させて粘着剤層を形成することを特徴とするアクリル系粘着テープの製造方法」の発明が記載されている(以下、この発明を「引用例発明」という)。

そこで、本願発明と上記引用例発明とを対比すると、両者の対応関係は以下のとおりである。
(a)本願発明の「感圧接着剤」は基材を含むものであり、引用例発明の「粘着テープ」の粘着剤層が感圧性接着剤であることは当業者に明らかであるから、引用例発明の「粘着テープ」は、本願発明の「感圧接着剤」に相当する。
(b)引用例発明の「アクリル酸アルキルエステルを主成分とする重合性不飽和結合を有するモノマー」は、本願発明の「1個のエチレン性不飽和基を有する1種以上のラジカル重合性モノマー」に相当し(摘示(ii)参照)、引用例発明の「部分重合物」は、上記の不飽和化合物を実質的には反応溶媒を使用せず、特定の重合開始剤を使用して重合させる(摘示(iii)参照)ものであって、この重合開始剤が「少なくとも1種のラジカル重合開始剤」であることは摘示(iii)の段落【0024】【0025】及び本願明細書段落【0024】の記載から明らかであるから、引用例発明は、本願発明における「1個のエチレン性不飽和基を有する1種以上のラジカル重合性モノマーと少なくとも1種のラジカル重合開始剤とを含む本質的に溶媒を含まない混合物を提供する工程」、及び「前記混合物を部分的に重合させて、部分重合済み混合物を提供する工程」を有している。
(c)引用例発明の「部分重合物」は、原料として使用したモノマーの5?50重量%が重合したものであって(摘示(iv)参照)、粘度が1?50Pa・S(23℃、B型粘度計を用いて測定)の範囲内にあるものであり(摘示(v)参照)、モノマーのポリマーへの転化率及び粘度の範囲が本願発明で特定されている範囲と重複しているから、本願発明における「20℃で1,000?125,000mPa・sのブルックフィールド粘度および重合の前のモノマーの初期質量に対して30?60重量%のモノマーのポリマーへの転化率を示す部分重合済み混合物」に相当する。
(d)引用例発明においては、「部分重合物、架橋剤および光重合開始剤からなる粘着剤組成物を支持体表面に塗布した後、該塗布層に光照射して光重合させて粘着剤層を形成」しており(摘示(i)(vi)(vii)参照)、この光重合開始剤が「1種以上のラジカル放射線重合開始剤」であることは摘示(vi)の段落【0041】及び本願明細書【0058】【0059】の記載から明らかであるから、引用例発明は、本願発明における「前記部分重合済み混合物に1種以上のラジカル放射線重合開始剤を添加して、放射線硬化性前駆体を提供する工程」、「前記放射線硬化性前駆体を基材に被着させる工程」、及び「前記放射線硬化性前駆体を化学線に供することにより前記放射線硬化性前駆体を更に重合させて、前記感圧接着剤を提供する工程」を有している。

上記(a)?(d)の事項を勘案し、本願発明の表現を借りて表すと、両発明は、
「感圧接着剤を調製する方法であって、
(i)1個のエチレン性不飽和基を有する1種以上のラジカル重合性モノマーと少なくとも1種のラジカル重合開始剤とを含む本質的に溶媒を含まない混合物を提供する工程、
(ii)前記混合物を部分的に重合させて、20℃で1,000?125,000mPa・sのブルックフィールド粘度および重合の前のモノマーの初期質量に対して30?60重量%のモノマーのポリマーへの転化率を示す部分重合済み混合物を提供する工程、
(iii)前記部分重合済み混合物に1種以上のラジカル放射線重合開始剤を添加して、放射線硬化性前駆体を提供する工程、
(iv)前記放射線硬化性前駆体を基材に被着させる工程および
(v)前記放射線硬化性前駆体を化学線に供することにより前記放射線硬化性前駆体を更に重合させて、前記感圧接着剤を提供する工程
を含む方法。」
で一致し、次の点で一応相違している。

<相違点>
本願発明では、上記(v)の工程を「非不活性雰囲気内で」行っているのに対し、引用例発明では、光重合をどのような雰囲気内で行っているのか明記されていない点

そこで、この相違点について検討する。
引用例発明における部分重合物の光重合については、「こうして粘着剤を支持体表面に塗布した後、この塗布された粘着剤に紫外線などの光を照射して、支持体上に塗布された粘着剤中の重合性成分を重合させる。即ち、このときの紫外線などの光の照射時間は通常は1秒?300秒、好ましくは1秒?180秒である。」という記載があり(摘示(vii)参照)、また実施例1には、「次いで、この粘着剤組成物を厚さ25μmのポリエステルフィルム(支持体)の表面にドクターブレードを用いて膜厚30μmになるように塗布して、さらに高圧水銀灯により紫外線を60秒間照射して粘着剤層を形成し、その後23℃で10日間静置し架橋を進行させて、粘着テープを得た。」という記載があるが(摘示(viii)の段落【0057】参照)、いずれもどのような雰囲気下で光重合を行うのかは記載されていない。
しかしながら、一般に重合工程において、通常の条件すなわち空気の存在する雰囲気下で重合を行うことができる場合は、特に雰囲気条件については特定しないのが普通であり、通常の条件すなわち空気の存在する雰囲気下では重合を行うことが難しい場合は、「不活性雰囲気下で行う」という条件を付することが一般的である。このことは、引用例発明において、部分重合物を得るための重合条件については「なお、本発明では、重合反応は攪拌下に行うことが好ましく、また、反応は、窒素ガスなどの不活性雰囲気下で行うことが好ましい。さらに、使用原料中に溶存する酸素は、反応の進行を妨げることがあるので、使用原料中の溶存酸素を除去してから使用することが好ましい。」(摘示(vi)の段落【0039】参照)として、重合を不活性雰囲気下で行うことを明確に記載し、また本願発明においても、放射線硬化性前駆体を得るための重合反応においては「脱酸素を完了した後、反応器内のヘッドスペースを反応中に温度が上昇するにつれて反応混合物の沸騰を抑えるために典型的には窒素などの不活性ガスで必要なレベルに加圧する。不活性ガスの圧力は、重合が進行している間、反応装置の起きうる小さい漏れを通して酸素が重合混合物に入るのも防ぐ。」(本願明細書段落【0052】参照)として、重合を不活性雰囲気下で行うことを明確に記載していることからも明らかである。
以上のことからみて、引用例発明においても光重合は通常の空気雰囲気下、すなわち「非不活性雰囲気内で」行われているものと認められ、本願発明と引用例発明に相違点は存在せず、両者は実質的に等しいものである。

(3)審判請求人の主張について
なお、審判請求人は、審判請求書において、「引用文献1のどこにも本願において対処される課題、すなわち上記3(1)で説明したとおりの本願の明細書段落0090に記載された課題の開示及び示唆はありません。」として、引用例発明との差異を主張しているが、本願明細書段落【0090】には、「あらゆる実用的な目的のために関連した程度にまで、得られた感圧接着剤材料の特性に悪影響を及ぼさずに本発明の前駆体を周囲雰囲気などの非不活性雰囲気、例えば酸素含有雰囲気内で硬化させることが可能であることが驚くべきことに見出された。前駆体の塗布を容易にし、塗布が不活性保護ガス雰囲気を維持する必要性によって妨げられないので、これは相当に実用的であり、経済的に重要である。」との記載があるのみで、これまで本発明のような前駆体が、周囲雰囲気などの非不活性雰囲気、例えば酸素含有雰囲気内で硬化させることが不可能であった理由や、本発明によりなぜこれが可能となったのかについての説明がなされているわけではないので、本願明細書段落【0090】の記載に基づく請求人の上記主張は理由のないものである。

5.むすび
以上のとおり、本願請求項1に係る発明は、上記引用例に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
それ故、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-04-26 
結審通知日 2013-05-07 
審決日 2013-05-21 
出願番号 特願2006-538034(P2006-538034)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (C09J)
P 1 8・ 113- Z (C09J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 澤村 茂実  
特許庁審判長 松浦 新司
特許庁審判官 小石 真弓
橋本 栄和
発明の名称 感圧接着剤を調製する方法  
代理人 石田 敬  
代理人 古賀 哲次  
代理人 蛯谷 厚志  
代理人 青木 篤  
代理人 高橋 正俊  
代理人 出野 知  

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