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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A01N
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A01N
管理番号 1279922
審判番号 不服2012-13317  
総通号数 167 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-07-12 
確定日 2013-10-02 
事件の表示 特願2006-538421「金属積載ナノ粒子を含む複合材」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 5月12日国際公開、WO2005/042041、平成19年 7月19日国内公表、特表2007-519615〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2004年11月1日(優先権主張2003年10月30日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成23年6月1日付けで手続補正がなされたが、平成24年3月8日付けで拒絶査定がなされた。
これに対し、同年7月12日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。
その後、同年12月27日付けで、審判請求人に前置報告書の内容を示し意見を求めるための審尋を行ったところ、平成25年4月8日付けで回答書が提出された。

第2 平成24年7月12日付けの手続補正の補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成24年7月12日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正後の請求項に記載された発明
平成24年7月12日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)により、本願の特許請求の範囲の請求項1は、特許請求の範囲の減縮を目的として、以下のように補正された。
「複合材において、
(a)表面を有し、約1?1000nmの最大寸法を有する剥脱ナノ粒子と、
(b)第3?12群、アルミニウムおよびマグネシウムから選択される金属と、
を含み、
前記金属は、前記ナノ粒子の前記表面に積載され、中性(0)の金属状態にあり、
前記ナノ粒子はナノクレーである、
複合材。」

そこで、本件補正後の上記請求項1に記載された発明(以下「補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下に検討する。

2.引用刊行物

(1)引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である、特開平10-182142号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。
(1a)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、膨潤性層状ケイ酸塩からなる固体担体に金属微粒子を担持させてなる金属微粒子/固体担体組成物と、このような組成物の利用(例えば、脱臭剤及び触媒)及び製造方法に関する。」
(1b)「【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の金属微粒子/固体担体組成物の製造における上述したような問題を解決するためになされたものであって、コロイドと同じ程度に微細な貴金属又は卑金属の微粒子が固体担体に均一に高分散して担持されている組成物、その用途(例えば、脱臭剤及び触媒)及びその簡単な製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明による金属微粒子/固体担体組成物は、膨潤性層状ケイ酸塩からなる担体に金属の微粒子が担持されてなることを特徴とする。
【0008】このような金属微粒子/固体担体組成物は、本発明に従って、金属化合物を溶媒に溶解させると共に、膨潤性層状ケイ酸塩を分散させてなる溶媒中、還元剤にて上記金属化合物を還元し、微粒子として析出させて、上記担体に担持させることによって得ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明において固体担体として用いる膨潤性層状ケイ酸塩としては、スメクタイト系粘土、膨潤性雲母等を挙げることができる。スメクタイト系粘土の具体例としては、例えば、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト、バイデライト、モンモリロナイト、ノントロナイト、ベントナイト等の天然物又は合成品を挙げることができる。また、膨潤性雲母の具体例としては、例えば、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四ケイ素フッ素雲母、Li型四ケイ素雲母等の天然物又は合成品を挙げることができる。本発明においては、このような膨潤性層状ケイ酸塩として、例えば、コープケミカル(株)製合成スメクタイト「SWN」や合成雲母「ソマシフME-100」等を好ましく用いることができる。このような合成膨潤性ケイ酸塩や、その製造方法は、例えば、特公昭63-6485号公報に詳細に記載さている。
【0010】本発明において、貴金属とは、金、銀及び白金族元素をいい、白金族元素とは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及び白金をいう。また、本発明において、卑金属とは、特に、限定されるものではないが、好ましくは、ニッケル、コバルト及び銅から選ばれる少なくとも1種をいう。
【0011】本発明による金属微粒子/固体担体組成物においては、金属が固体担体にナノメートルのオーダーの粒径の微粒子として、凝集することなく、高分散されている。換言すれば、本発明による金属微粒子/固体担体組成物は、コロイドと同じ程度に微細に金属微粒子が固体担体に均一に分散されている。」
(1c)「【0019】本発明においては、最初から、複数の金属化合物を溶媒に溶解させ、これに担体を分散させてなる溶媒中、還元剤にて上記複数の金属化合物を共に還元すれば、複数の金属を担体に共に担持させてなる組成物を得ることができる。また、最初、単一の金属化合物を溶媒に溶解させ、これに担体を分散させてなる溶媒中、還元剤にて上記単一の金属化合物を還元して、その金属を担体に担持させてなる組成物を分散液として調製し、このようにして、種々の金属を担体に担持させてなる組成物の分散液を調製した後、これらを任意の割合で混合することによっても、担体は凝集することなく、種々の金属を含む均一な分散液を得ることができる。
【0020】更に、本発明によれば、このような分散液を適宜の基材、例えば、紙、布帛、セラミックス等に含浸させ、又は金属やプラスチック等に塗布し、乾燥すれば、本発明による組成物を上記基材に含有させてなる複合材料を容易に得ることができ、このような複合材料は、例えば、脱臭剤や触媒として有用である。」
(1d)「【0025】特に、本発明において固体担体として用いる前記膨潤性層状ケイ酸塩は、水等の溶媒中において膨潤し、粒径が非常に小さいので、分散し、その分散液はチキソトロピー性を有する粘性ある安定なゲル状液体となり、また、成膜性を有する。従って、本発明に従って得られた組成物の分散液は、塗料と同様にして、適宜の被塗面に塗布して成膜して用いることもできる。」
(1e)「【0036】実施例8
硝酸銀(AgNO_(3) )水溶液0.9mL(Agとして0.125g/mL)をイオン交換水900mLに加え、これに合成スメクタイト(コープケミカル(株)製SWN)20gを分散させた。これに水素化ホウ素ナトリウムの水酸化ナトリウム水溶液「ベンシル」0.8gを含む水溶液100mL(必要量の約20倍当量)を加え、3時間攪拌した。このようにして得られた銀微粒子/合成スメクタイト組成物の懸濁液は、従来の方法で調製した銀コロイド液と同じ濃黄色を呈した。また、担体への金属の担持量は、0.56%であった。」

これらの記載事項を含む引用文献1全体の記載及び当業者の技術常識を総合すれば、引用文献1には、以下の発明が記載されている。
「膨潤性層状ケイ酸塩からなる担体に金属の微粒子が担持されてなる金属微粒子/固体担体組成物であって、
金属化合物を溶媒に溶解させると共に、膨潤性層状ケイ酸塩を分散させてなる溶媒中、還元剤にて上記金属化合物を還元し、微粒子として析出させて、上記担体に担持させることによって得るものであって、
膨潤性層状ケイ酸塩として、スメクタイト系粘土、例えば、モンモリロナイトを用い、
金属として銀を用いた、
金属微粒子/固体担体組成物。」(以下「引用発明」という。)

3.対比
補正発明と引用発明を対比する。
(1)引用発明の「金属微粒子/固体担体組成物」は補正発明の「複合材」に相当する。
(2)引用発明の「膨潤性層状ケイ酸塩からなる担体」は、「金属の微粒子が担持されてなる」から、表面を有することは明らかである。
したがって、引用発明の「スメクタイト系粘土、例えば、モンモリロナイトを用い」た「膨潤性層状ケイ酸塩からなる担体」と補正発明の「剥脱ナノ粒子」は、ともに「表面を有する粒子」である点で共通する。
さらに、本願明細書の段落【0024】の記載及び当業者の技術常識に照らせば、両者は「クレーからなる剥脱粒子」である点で共通する。
(3)引用発明の「銀」は、補正発明の「第3?12群、アルミニウムおよびマグネシウムから選択される金属」に相当し、該「銀」は「還元剤にて金属化合物を還元し」て得られるから「中性(0)の金属状態にあり」、当業者の技術常識に照らせば「前記粒子の表面に積載され」ていることは明らかである。

してみると両者は、
「複合材において、
(a)表面を有し、クレーからなる剥脱粒子と、
(b)第3?12群、アルミニウムおよびマグネシウムから選択される金属と、
を含み、
前記金属は、前記粒子の前記表面に積載され、中性(0)の金属状態にある、
複合材。」
の点で一致し、次の点で相違している。

(相違点)
クレーからなる剥脱粒子が、補正発明では「約1?1000nmの最大寸法を有するナノ粒子」であるのに対して、引用発明ではその最大寸法が不明な点。

4.判断
上記相違点について検討する。
引用文献1の段落【0011】の「本発明による金属微粒子/固体担体組成物においては、金属が固体担体にナノメートルのオーダーの粒径の微粒子として、凝集することなく、高分散されている。換言すれば、本発明による金属微粒子/固体担体組成物は、コロイドと同じ程度に微細に金属微粒子が固体担体に均一に分散されている。」の記載(上記摘記事項(1b)参照)、同段落【0025】の「本発明において固体担体として用いる前記膨潤性層状ケイ酸塩は、水等の溶媒中において膨潤し、粒径が非常に小さいので、分散し、その分散液はチキソトロピー性を有する粘性ある安定なゲル状液体となり、また、成膜性を有する。」の記載(同(1d)参照)等を参酌すれば、引用発明のクレーからなる剥脱粒子の最大寸法を、上記相違点に係る程度に設定することに、格別の技術的困難性も阻害要因もない。
してみると、引用発明に上記相違点に係る構成を採用することは、当業者が容易になしうる事項である。

そして、補正発明全体の効果も、引用発明から当業者が予測し得る範囲のものであって格別なものではない。

したがって、補正発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

なお、請求人が回答書に添付した補正案を参酌しても、上記判断に変わりはない。

5.小括
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項の規定において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり、決定する。

第3 本願発明について
平成24年7月12日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、平成23年6月1日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「複合材において、
(a)表面を有し、約1?1000nmの最大寸法を有する剥脱ナノ粒子と、
(b)第3?12群、アルミニウムおよびマグネシウムから選択される金属と、
を含み、
前記金属は、前記ナノ粒子の前記表面に積載され、中性(0)の金属状態にある、
複合材。」(以下「本願発明」という。)

1.引用刊行物
原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物及びその記載内容は、前記「第2」の「2.」に記載したとおりである。

2.対比
本願発明は、前記「第2」で検討した補正発明の「ナノ粒子」から「前記ナノ粒子はナノクレーである」という特定事項を削除して拡張したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、更に限定したものに相当する補正発明が、前記「第2」の「4.」に記載したとおり、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-04-25 
結審通知日 2013-05-07 
審決日 2013-05-20 
出願番号 特願2006-538421(P2006-538421)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A01N)
P 1 8・ 121- Z (A01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山口 剛  
特許庁審判長 神 悦彦
特許庁審判官 北川 清伸
伊藤 昌哉
発明の名称 金属積載ナノ粒子を含む複合材  
代理人 加藤 公延  
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