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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B41J 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B41J |
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管理番号 | 1280263 |
審判番号 | 不服2013-1622 |
総通号数 | 168 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-12-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-01-29 |
確定日 | 2013-10-10 |
事件の表示 | 特願2008-135560「インクジェット記録ヘッド」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 4月 9日出願公開、特開2009- 73175〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
【1】手続の経緯 本願は、平成20年5月23日(優先権主張平成19年5月25日、平成19年8月24日)の出願であって、平成24年3月16日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、同年5月18日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年10月23日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成25年1月29日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。 その後、平成25年5月7日付けで審判請求人に前置報告書の内容を示し意見を求めるための審尋を行ったところ、平成25年7月11日に回答がなされたものである。 【2】平成25年1月29日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成25年1月29日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] [1]補正後の本願発明 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、以下のように補正された。 「インクを吐出するための吐出口を形成する吐出口形成部材と、前記吐出口へインクを供給する供給路を形成する部材の一部である供給路形成部材と、前記供給路を形成する部材の別の一部であるゴム部材と、 を有するインクジェット記録ヘッドであって、 前記吐出口形成部材はフッ素原子を含む物質を含有し、前記ゴム部材は有機過酸化物で架橋されたものであることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。」 上記補正は、本願の請求項1に係る発明の、「ゴム部材」の架橋剤である「過酸化物」について、「有機過酸化物」に限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とする。 そこで、本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)否かについて、以下検討する。 [2]引用刊行物 原査定の拒絶の理由に引用され、本願優先日前に頒布された、特開2002-86730号公報(以下、「刊行物」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。 (ア) 「本発明は、複数色のインクなどの複数の異なる種類の液体を、紙などの被記録媒体に付与する液体吐出記録ヘッドに関し、特に記録ヘッドを双方向に走査しつつ記録を行う双方向プリント装置に用いられる液体吐出記録ヘッドに関する。」(段落【0001】) (イ) 「(第1の実施の形態)図1は本発明の液体吐出記録ヘッドの一例の記録ヘッドカートリッジを示す組立斜視図であり、(a)はカートリッジの吐出口側を見た斜視図、(b)はカートリッジのタンク装着側から見た斜視図、(c)はタンクを外した状態の斜視図である。 この図で示す形態のヘッドカートリッジ1は記録ユニット2とインク供給ユニット3で構成されている。記録ユニット2は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の3色のカラー用記録素子4とブラック(Bk)用記録素子5を有する記録ヘッド部と、後述する記録装置に記録ヘッドカートリッジ1を装着した際に記録装置の電気接続部と電気的に接続される電気接続部6と、この電気接続部6と上記2つの記録ヘッド部のコンタクトパッド(不図示)を電気的に繋ぐフレキシブル配線板7とを備えている。一方、インク供給ユニット3は、独立した4色(C,M,Y,Bk)のインクタンク9a?9dを保持するホルダー部8と、各色のインクタンク9から対応する吐出口列へインク供給路を形成するためのインク供給路形成アセンブリ(不図示)とを備えている。 「記録ヘッド部」まず、本実施形態の記録ヘッド部について詳述する。図2は図1に示した記録ユニットの記録ヘッド部のカラー用記録素子の要部を模式的に示す説明図であり、(a)は上から見た模式図、(b)は吐出口の配置を説明するための図、(c)は断面図である。 本実施形態の記録ヘッド部は、上述したようにシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の3色のカラー用記録素子4とブラック用記録素子5を備えている。 これらの記録素子は図2(c)に代表して示すように、エネルギー変換素子としての発熱抵抗素子15を含む基板17と、吐出口11を形成するオリフィスプレート16とを備えている。基板17は、面方位<100>のシリコン単結晶で形成され、基板17上には、複数の発熱抵抗素子15の列、各列の発熱抵抗素子15を駆動するための駆動回路13、外部と接続するためのコンタクトパッド19、駆動回路13およびコンタクトパッド19を接続する配線18等が半導体プロセスを用いて形成されている。また、基板17には上述の回路13、素子15、配線18等を除いた領域に、異方性エッチングにより形成された貫通口が5つ設けられ、それぞれ後述する吐出口列21?23,31?33に液体を提供するためのインク供給口12,12aを形成している。なお、図2(a)は基板17に対して略透明なオリフィスプレート16を形成した状態を模式的に表しており、上述の発熱抵抗素子やインク供給口は省略して描かれている。 基板17上に設けられるオリフィスプレート16は感光性エポキシ樹脂で形成され、フォトリソグラフィ技術を用いて前述の発熱抵抗素子15に対応して、吐出口11及び液流路10が形成されている。」(段落【0020】?【0025】) (ウ) 「「インク流路形成アセンブリ」次に、上記インク供給ユニットのインク供給路形成アセンブリについて説明する。上述したようなカラー用及びブラック用記録素子のインク供給口の各々に、インク供給ユニットのホルダー部に装着されたイエロー用、マゼンタ用、シアン用、ブラック用のインクタンク内のインクを供給可能とするため、本実施形態ではタンクと記録素子のインク供給口どうしを連通させるインク供給路形成アセンブリがインク供給ユニットに設けられている。 特に、カラー用記録素子は上述したように同種の液体を吐出する吐出口列を線対称に配置した構成で、中央部にイエロー用インク供給口を、これの両側にそれぞれマゼンタ用インク供給口を、さらに両外側にそれぞれシアン用インク供給口を対称に備えているため、これら3色の個々のタンクと対応する色のインク供給口とを連通させるインク供給路は途中で分岐している。また同種のノズル部どうしでインク供給特性を同じにするため、分岐後のインク路を等価なものとしている。 以下、このようなインク供給路形成アセンブリの具体的な構成を示す。 図3は図1に示したヘッドカートリッジのインク供給ユニットに備わるインク供給路形成アセンブリを説明するための分解斜視図である。 図3に示すようにヘッドカートリッジ1は記録ユニット2と、ジョイントシール部材40と、インク供給路形成アセンブリ42と、インク供給部41が設けられたインク供給ユニット3とを組み付けてなる。 ジョイントシール部材40は記録ユニット2とインク供給路形成アセンブリ42との間に、タンクに連通するインク供給路と記録素子のインク供給口との結合部からのインクの漏洩を防止するために装着される。インク供給路はインク供給部41とインク供給路形成アセンブリ42を超音波溶着する事で形成されている。また、記録ユニット2とインク供給ユニット3はインク供給路形成アセンブリ42とジョイントシール部材40を挟み込む形でインク供給部41にあるねじボス44にビス43を固定することで結合されている。このことでインク供給部41とインク供給路形成アセンブリ42との接合部にはがれる方向の応力がかかることを抑制し、ビス43を使用することでリサイクル等の為の分解が容易となっている。この際同時に、記録ユニット2はインク供給ユニット3のX方向、Y方向、Z方向の基準位置に対して正確に位置決めがされ固定される。」(段落【0032】?【0037】) (エ) 「但し、この構成では、インク供給ユニット3のインク供給部41bにインク供給路形成アセンブリ42b1及び42b2が積み重なった構成となっているため、インク供給路形成アセンブリ42b2に存在する、記録ヘッド部に向けての全供給口(42C2,42M2,42Y2,42M2,42C2,42B2)の高さが、製品毎の接合精度によって異なってしまう可能性がある。そのため、記録ユニット2と接合するときのジョイントシール部材40の圧縮寸法で上記の供給口高さ寸法のばらつきを調整し、タンクに連通するインク供給路と記録素子のインク供給口との結合部の状態を製品間で安定化させている。」(段落【0074】) (オ) 図1?3には、「吐出口11を形成するオリフィスプレート16と、前記吐出口11へインクを供給するインク供給路形成アセンブリ42と、前記供給路を形成するジョイントシール部材40と、を有する記録ヘッドカートリッジ1」が記載されている。 上記記載事項(ア)?(オ)、図面の記載並びに当業者の技術常識によれば、上記刊行物には、以下の発明が記載されていると認められる。 「インクを吐出するための吐出口11を形成するオリフィスプレート16と、前記吐出口11へインクを供給する供給路を形成する部材の一部であるインク供給路形成アセンブリ42と、前記供給路を形成する部材の別の一部であるジョイントシール部材40と、を有する記録ヘッドカートリッジ1。」(以下、「引用発明」という。) [3]対比 本願補正発明と引用発明とを対比すると、その機能及び作用からみて、引用発明の「吐出口11」、「オリフィスプレート16」、「インク供給路形成アセンブリ42」、「記録ヘッドカートリッジ1」は、それぞれ、本願補正発明の「吐出口」、「吐出口形成部材」、「供給路形成部材」、「インクジェット記録ヘッド」に相当する。 また、引用発明の「ジョイントシール部材40」と本願補正発明の「ゴム部材」は、「インク漏洩防止シール部材」である点で共通している。 そうすると、両者は、 「インクを吐出するための吐出口を形成する吐出口形成部材と、前記吐出口へインクを供給する供給路を形成する部材の一部である供給路形成部材と、前記供給路を形成する部材の別の一部であるインク漏洩防止シール部材と、を有するインクジェット記録ヘッド。」 の点で一致し、次の点で相違している。 〈相違点1〉 「インク漏洩防止シール部材」について、本願補正発明が「ゴム部材」であるのに対し、引用発明では「ジョイントシール部材40」としている点。 〈相違点2〉 「吐出口形成部材」に関し、本願補正発明では、「フッ素原子を含む物質を含有」しているのに対し、引用発明では、その点が不明である点。 〈相違点3〉 「ゴム部材」に関し、本願補正発明では、「有機過酸化物で架橋されたもの」であるのに対し、引用発明では、その点が不明である点。 [4]判断 (1)相違点1について 引用発明の「ジョイントシール部材40」について、上記記載事項(ウ)及び(エ)を参酌すると、「ジョイントシール部材40」は、記録ユニット2とインク供給路形成アセンブリ42との間に挟み込まれるものであって、タンクに連通するインク供給路と記録素子のインク供給口との結合部からのインクの漏洩を防止するために装着される圧縮可能な部材であることが理解される。そして、一般的に、圧縮可能な漏洩防止シール部材として「ゴム部材」等の弾性体が周知であるところ、引用発明の「ジョイントシール部材40」が「ゴム部材」を含んでいることは容易に想到し得る。 また、本願補正発明の「ゴム部材」について、本願明細書の記載「ジョイントゴム40は記録ヘッドに使用されるゴム部材の一つであり、後述するように供給路形成部材42と支持部材45との間に設けられている。記録ユニット2とインク供給ユニット3は供給路形成部材42とジョイントゴム40を挟み込む形でインク供給部41にあるねじボス44にビス43を固定することで結合されている。」(【0014】)を参酌すると、本願補正発明の「ゴム部材」は、引用発明の「ジョイントシール部材40」と同様の機能(供給路形成部材42と支持部材45との間に挟み込まれるものであって、結合部からのインクの漏洩を防止するために装着される圧縮可能な部材)を有することは明らかである。してみると、引用発明の「ジョイントシール部材40」は本願補正発明の「ゴム部材」に相当するものということができる。 よって、相違点1に係る技術的事項は、実質的な相違点ではない。 (2)相違点2について 引用発明の「オリフィスプレート16」(吐出口形成部材)について、上記刊行物には「基板17上に設けられるオリフィスプレート16は感光性エポキシ樹脂で形成され」(上記記載事項(イ))との記載があり、「オリフィスプレート16」が「感光性エポキシ樹脂」からなるものであることが理解される。 一般に、インクジェットヘッドに設けられるインク吐出口部材の材料として、熱的化学的安定性の観点から「フッ素含有エポキシ樹脂」を用いることは従来周知(必要であれば、特開平10-53639号公報(周知例1)、原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-181246号公報(周知例2)等参照)であり、また、感光性エポキシ樹脂の硬化剤としてフッ素原子を含んだアニオンを含有する光酸発生剤(トリフェニルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネートなど)を用いることは従来周知(必要であれば、原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-157713号公報(周知例3)等参照)である。 してみると、引用発明の「感光性エポキシ樹脂」からなる「オリフィスプレート16」(吐出口形成部材)として本願補正発明のように「フッ素原子を含む物質を含有」するものを採用することは、熱的化学的安定性等の観点から必要に応じて適宜なし得るものであり、周知技術に基づいて容易に想到し得るものといえる。 (3)相違点3について 本願補正発明の「ゴム部材」について、本願明細書には次の記載がある。 「【0004】上記特許文献1に記載のような記録ヘッドにおいては、流路形成部材が光酸発生剤などに起因するフッ素原子を含み、ゴム部材に金属が含まれる場合が想定される。このような場合においては、ゴム部材中に含まれる架橋剤成分である金属が、微量ではあるが、インク中に溶け出すことが想定される。これらの金属は流路形成部材から供給されるフッ素と化合して析出物を生成することが考えられる。このような析出物は時として吐出口に詰まったり、吐出口近傍に滞在したりするなどして、吐出不良の原因となることが懸念される。 【0005】本発明は、上記課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明では、流路形成部材がフッ素原子を含んでいる場合において、吐出がより良好に行えるインクジェット記録ヘッドの形態を提供することを目的とする。具体的にはゴム部材由来の成分を原因とした析出物が抑制されたインクジェット記録ヘッドを提供することを目的とする。」 上記記載を参照すると、「ゴム部材」には金属が含まれており、インク中に溶け出すことが想定されるところ、当該金属を原因とする析出物の生成を抑制するために、「ゴム部材」からの当該金属の溶出を極力抑えることが本願補正発明の目的であることが理解される。 引用発明の「ジョイントシール部材40」については、上記(1)で検討したように、「ゴム部材」であることが十分に想定される。 また、インクジェット記録ヘッドのインク流路形成部材(インク接液部材)において、「ゴム部材」を用いること及び「ゴム部材」からの成分の溶出・析出を抑制することは従来周知(必要であれば、特開2007-45015号公報(周知例4)、原査定の拒絶の理由に引用された特開2007-38604号公報(周知例5)等参照)である。 さらに、「ゴム部材」からの成分の溶出を抑制するために、架橋された水素化ニトリルゴムや臭素化ブチルゴムを用いることは、従来周知(必要であれば、原査定の拒絶の理由に引用された特開2007-38604号公報(周知例5)、同じく原査定の拒絶の理由に引用された特開2002-19144号公報(周知例6)等参照)である。 また、有機過酸化物により架橋し、水素化ニトリルゴムを生成することは従来周知(必要であれば、特開2002-80639号公報(周知例7)、特開2007-83733号公報(周知例8)等参照)であり、また、インク流路形成部材・インク接液部材において、「ゴム部材」として有機過酸化物により架橋された「ゴム部材」を用いることは、従来周知(必要であれば、特開2007-45015号公報(周知例4)、原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-43278号公報(周知例9)等参照)である。 してみると、ゴム部材からの成分の溶出・析出を抑制することが周知の課題であると認識されるところ、引用発明において、ゴム部材として想定される「ジョイントシール部材40」について成分の溶出・析出を抑制するために、有機過酸化物により架橋されたゴム部材を用いることは、周知技術に基づいて当業者ならば必要に応じて適宜選択し容易になし得るものであり、架橋剤として特に有機過酸化物を用いたことに格別の顕著性はない。 (4)まとめ 本願補正発明では、本願明細書を参照すると、流路形成部材に含まれるフッ素とゴム部材に含まれる金属がインク流路内に供給され化合して析出物を生成することが課題となり前提となっているが(【0004】)、上記(3)で検討したように、ゴム部材からの成分の溶出・析出を抑制するように構成することが容易になし得る以上、インク流路内にフッ素が含まれるか否かにかかわらず、析出物の生成が抑制されることは明らかである。 よって、本願補正発明の効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得る範囲のものであって格別なものということができない。 したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 [5]むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合しないので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり、決定する。 【3】本願発明について [1]本願発明 平成25年1月29日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成24年5月18日付けの手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 (本願発明) 「インクを吐出するための吐出口を形成する吐出口形成部材と、前記吐出口へインクを供給する供給路を形成する部材の一部である供給路形成部材と、前記供給路を形成する部材の別の一部であるゴム部材と、 を有するインクジェット記録ヘッドであって、 前記吐出口形成部材はフッ素原子を含む物質を含有し、前記ゴム部材は過酸化物で架橋されたものであることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。」 [2]引用刊行物 原査定の拒絶の理由に引用された上記刊行物の記載事項は、前記【2】[2]に記載したとおりである。 [3]対比・判断 本願発明は、前記【2】で検討した本願補正発明の「過酸化物」について、「有機過酸化物」とする限定をなくすものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに構成要件を限定したものに相当する本願補正発明が、前記【2】[4]に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 [4]むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-08-07 |
結審通知日 | 2013-08-13 |
審決日 | 2013-08-26 |
出願番号 | 特願2008-135560(P2008-135560) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B41J)
P 1 8・ 575- Z (B41J) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 島▲崎▼ 純一 |
特許庁審判長 |
石川 好文 |
特許庁審判官 |
井上 茂夫 豊永 茂弘 |
発明の名称 | インクジェット記録ヘッド |
復代理人 | 太田 顕学 |
代理人 | 石橋 政幸 |
代理人 | 緒方 雅昭 |
代理人 | 宮崎 昭夫 |