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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03G
管理番号 1280265
審判番号 不服2013-10134  
総通号数 168 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-12-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-06-03 
確定日 2013-10-10 
事件の表示 特願2008-155803「画像形成装置およびその起動制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成21年12月24日出願公開、特開2009-300777〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成20年6月13日の出願であって、平成24年9月7日及び同年12月26日付けで手続補正がなされ、平成25年2月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年6月3日付けで拒絶査定不服審判請求がなされたものである。

2 本願発明
本願の請求項1ないし4に係る発明は、平成24年12月26日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項によりそれぞれ特定されるものであるところ、その請求項1に記載に係る発明は、平成24年12月26日付け補正後の明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1の記載されたとおりの次のものと認める。

「電子写真プロセスによって記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
当該画像形成装置の全体的な制御を行うものであって、主電源スイッチがオンしたときにブ-トプログラムの実行を開始するCPUと、
前記主電源スイッチがオンして電源の供給を受けたときに当該画像形成装置の起動制御を行う許可信号制御手段と、
ファームウェアのダウンロード用のメモリモジュールを装着するためのメモリ装着口と、
前記メモリモジュールが前記メモリ装着口に装着されている場合にモジュール装着信号を出力するセンサと、を有し、
前記許可信号制御手段は、
前記メモリモジュールが前記メモリスロットに装着されていないこと、当該画像形成装置がトラブル状態でないこと、および、DC電源装置がオフになっていないこと、のいずれもが真であることを起動開始条件として、当該起動開始条件が整った状態となったか否かを判断する起動モード判別手段と、
前記起動開始条件が整った状態となったときに定着器の加熱を含む前記電子写真プロセスのための準備動作を開始させる起動許可信号を出力し、前記CPUによるブ-トプログラムの実行が完了しかつ前記電子写真プロセスのための準備動作が完了したときに当該画像形成装置の起動が完了したとして前記記録媒体への画像の形成のための駆動を可能とする駆動許可信号を出力する許可信号生成手段と、を有する、
ことを特徴とする画像形成装置。」(以下「本願発明」という。)

3 刊行物の記載事項
(1)原査定の拒絶の理由に引用された「本願の出願前に頒布された刊行物である特開平10-213997号公報(以下「引用例1」という。)」には、図とともに以下の事項が記載されている(下線は審決で付した。)。
ア 「【0001】
【発明が属する技術分野】この発明は、プログラムの変更やバージョンアップを行うプログラムの書換え動作中の制御不能による誤動作を回避する複写装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、複写装置では、電源オフ時にも記憶内容を保持し、かつこの記憶内容を書換えることが出来るフラッシュ記憶素子(ROM)を用いて、装置の設置後にプログラムの変更やバージョンアップによるプログラム変更(以下「新たなプログラムへの変更」と言う)が行われている。このプログラムの変更では、新たなプログラムを格納したICカードを、装置内のメイン制御基板に設けたコネクタに装着している。そして、ICカードに格納している新たなプログラムを、CPUの制御でダウンロードし、かつ、フラッシュROMへ転送(以下「プログラムの書換え動作中」と言う)して、従来のプログラムを新たなプログラムに変更する書換えを行っている。
【0003】ところでこのようなプログラムの書換え動作中にCPUが誤動作することがある。最悪の場合はCPUが暴走して制御不能状態になることがある。すなわちメイン制御基板のコネクタにICカードを装着した場合、このICカードに格納しているプログラムで動作しており、ICカードのピンとコネクタのコンタクトが塵芥や作業者での装着時の静電気で非接触状態が生じて制御不能状態が発生する。この結果、例えば定着ヒータへ必要以上に通電が行われて過熱したり、感光体駆動装置におけるモータへ不必要に通電されて誤回転動作することが考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記のように従来の複写装置では、ICカードに格納した新たなプログラムへ変更する際のプログラムの書替え動作中に、CPUが暴走した制御不能状態での誤動作が発生するという問題がある。
【0005】そこで、この発明の目的は、ICカードなどの外部記憶装置又は記憶素子をコネクタに接続して新たなプログラムへ変更する際のプログラムの書換え動作中における制御不能状態による定着ヒータや駆動装置のモータなどの誤動作を確実に阻止できる複写装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、外部の記憶手段から内部のプログラム格納用記憶手段にプログラムを転送することが可能であり、定着ヒータ及び前記定着ヒータへ電源供給を行う電源部を備える複写装置において、前記外部の記憶手段を接続した際は、前記電源部から定着ヒータへの通電を停止することを特徴とするものである。
【0007】請求項2に記載の発明は、外部の記憶手段から内部のプログラム格納用記憶手段にプログラムを転送することが可能であり、定着ヒータ及び前記定着ヒータへ電源供給を行う電源部を備える複写装置において、前記外部の記憶手段を接続した際は、負荷駆動用の電源部からの通電を停止することを特徴とするものである。
【0008】前記のような請求項1,2に記載の発明は、外部記憶媒体を装着したプログラムの書換え動作中に、定着ヒータ又は駆動機構などのモータへの通電を停止している。したがって制御手段での制御不能状態、例えば従来の技術で説明したように、外部記憶媒体を接続した際の非接触状態や静電気で制御手段が暴走した制御不能状態でも定着ヒータへの通電が行われずに、その過熱が阻止され、また駆動機構などのモータへの通電が行われることなく、モータが誤回転動作せずに、その安全性が向上する。」

イ 「【0009】
【発明の実施の形態】次に、この発明の複写装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1はこの発明の第1実施形態を示す回路図であり、図2は図1のものがメイン制御基板に実装される際の構成と、そのICカードの着脱を説明するための模式図である。図1,2に示す構成は、複写装置やプリンタなどの複写装置にあって、転写紙に形成されたトナー像を定着するための定着ヒータの周辺のみを示したものである。
【0010】図1,2において、この実施形態では、プログラムの変更やバージョンアップを行うための、新たなプログラムを記憶した外部記憶媒体としての多数のピンを有するICカード1が、多数のコンタクトを設けた着脱接続部としてのコネクタ2に装着されている。このコネクタ2内にはICカード1の挿入時にオンとなるスイッチSW1が設けられている。このスイッチSW1は機械式スイッチ又は非接触式の光検出型スイッチなどを用いる。
【0011】この例ではスイッチSW1の一端が抵抗Rを通じて電源ラインと接地間に接続されており、スイッチSW1のオンのICカード1がコネクタ2に装着された際の、抵抗Rによる電源ライン電圧(Vcc)の降下電圧を、ローレベル(ICカード1の未装着時は抵抗Rを通じた電源ラインの電圧であるハイレベル)の入力信号として取込む制御手段としてのCPU3を有している。このCPU3は記憶手段としてのフラッシュROM4に記憶しているプログラムで動作するが、ICカード1のコネクタ2への装着時のプログラムの書換え動作中は、ICカード1に格納している新たなプログラムで動作するようになっている。
【0012】また、CPU3は2つの出力端から出力信号S1,S2を出力し、一方の出力端がアンド(AND)ゲート5の一方の入力端に接続されている。また、このANDゲート5の他方の入力端がCPU3の入力端に接続されており、スイッチSW1のオン・オフ(ICカード1のコネクタ2への装着又は取外しに対応)によるハイレベル信号又はローレベル信号が入力される。ANDゲート5の出力端はスイッチング用のトランジスタQ1のベースと接続されている。またトランジスタQ1のエミッタが接地され、コレクタには定着ヒータ7へ通電を行い、又は停止するためのリレースイッチ6の励磁コイル6aの一端が接続され、この他端が電源ライン(Vcc)と接続されている。
【0013】さらに、この実施形態は、転写紙に形成されたトナー像を定着するための定着ヒータ7への交流(AC)電圧を供給するための電源部としての交流(AC)電源8を有している。定着ヒータ7と交流電源8とを接続する一方側には、リレースイッチ6におけるオン・オフ接点6bが直列に接続されている。さらに定着ヒータ7と交流電源8とを接続する他方側には、半導体無接点リレー(SSR;Solid State ReLay)9が設けられており、このSSR9はCPU3の他方の出力端の出力信号S2によって、交流電源8から定着ヒータ7への交流の供給をオン・オフするトライアックなどのスイッチング素子を有している。
【0014】なお交流電源8から定着ヒータ7への交流の供給は、定着ヒータ7の発熱が所定値に一定化されるように、出力信号S2によってSSR9のオン(通電)時間を制御するものであるが、このための定着ヒータ7の発熱状態に対する検出信号をCPU3へ送出する感知素子などの回路については、その図示を省略した。
【0015】以下にこの第1実施の形態の動作を説明する。まずICカード1がコネクタ2へ装着されない通常時の動作について説明する。図1,2において、この第1実施形態の通常動作では、CPU3がフラッシュROM4に記憶しているプログラムを読出して実行して動作する。スイッチSW1はオフであり、CPU3が抵抗Rを通じた電源ライン電圧(Vcc)のハイレベルの入力信号を取込んで、ICカード1の未装着を認識する。同時にANDゲート5の一方の入力端もハイレベルに設定される。また、ANDゲート5の他方の入力端にもCPU3からハイレベルの出力信号S1が入力される。
【0016】この結果、ANDゲート5からトランジスタQ1のベースにハイレベルの信号が出力され、トランジスタQ1がオン(導通)となる。この導通でリレースイッチ6のオン・オフ接点6bがオンとなり、定着ヒータ7へ交流電源8からの交流をオン・オフ接点6bとともにSSR9を通じて供給する。この場合、定着ヒータ7の発熱が所定値に一定化されるように、CPU3が出力信号S2をSSR9に送出し、その通電時間の制御を行う。
【0017】次に、ICカード1がコネクタ2へ装着されるプログラムの書換え動作について説明する。図3は第1実施形態におけるプログラムの書換え動作の処理を示すフローチャートである。図1から図3において、この第1実施形態のプログラムの書換え動作中は、まずCPU3がフラッシュROM4に記憶している転送プログラムを読み出して実行して、その制御動作を開始する(S401)。ICカード1がコネクタ2に装着されるとスイッチSW1がオンになる。CPU3は抵抗Rが接地された際の電源ライン電圧(Vcc)が降下したローレベルの入力信号を取込んで、ICカード1の装着を認識する(S402)。
【0018】CPU3は現在コピー動作中か否かを判断する(S403)。コピー動作中でない場合(S403,No)、ANDゲート5の一方の入力端がローレベルに設定され、かつ、ANDゲート5の他方の入力端にはCPU3からハイレベルの出力信号S1が入力される。この結果ANDゲート5からトランジスタQ1のベースにローレベルの信号が出力され、トランジスタQ1がオフ(非導通)となる。この非導通でリレースイッチ6のオン・オフ接点6bがオフとなり、定着ヒータ7へ交流電源8からの交流の供給が停止される(S404)。
【0019】次にCPU3はICカード1に格納している新たなプログラムへの変更を行うプログラムの書換え動作(ダウンロード)を開始し、この場合、新たなプログラムによる制御動作を実行する(S405)。さらにフラッシュROM4に転送して、ここに記憶している従来のプログラムを新たなプログラムに変更する書換えを行う(S406)。この後はICカード1の取外しの指示が図示しない表示器の画面で表示され(S407)、その取外しを判断して終了となる(S408,S409)。すなわちプログラムの変更やバージョンアップを行うための新たなプログラムに変更する書換えが終了する。
【0020】またS403のYesであるコピー動作中の場合、CPU3はコピー動作を中断する制御を実行し(S410)、この後はICカード1の取外しの指示が図示しない表示器の画面で表示され(S411)てその取外しを判断し、ICカード1が取外された場合に、コピー動作を再開して終了となる(S412?S414)。
【0021】このように、この第1実施形態では、ICカード1をコネクタ2へ装着してプログラムの書換えを行う際に、定着ヒータ7へ通電が停止される。したがって従来の技術で説明したように、CPU3でのプログラムの書換え動作中に誤動作、例えば、ICカード1のピンとコネクタ2のコンタクトが、塵芥や作業者での装着時の静電気で非接触状態になってCPU3が暴走した際にも、定着ヒータ7への通電が停止されているため、過熱しなくなり、最悪の場合の火災発生などが確実に防止できるようになる。」

ウ 「【0035】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項1に記載の発明の複写装置によれば、外部記憶媒体を装着したプログラムの書換え動作中に定着ヒータ制御手段での制御不能状態が生じた際に定着ヒータへの通電が行われず、その過熱が確実に阻止できるようになって、その安全性が向上するという効果がある。」

エ 図1から、スイッチSW1の一端が抵抗Rを通じて電源ラインVccに他端が接地にそれぞれ接続されていること、及び、出力信号S1の出力端がアンド(AND)ゲート5の一方の入力端に接続されていることが見て取れる。

オ 上記アないしエから、引用例1には、
「外部の記憶手段から内部のプログラム格納用記憶手段にプログラムを転送することが可能であり、定着ヒータ、感光体駆動装置及び前記定着ヒータへ電源供給を行う電源部、を備えた複写装置において、
従来の複写装置では、電源オフ時にも記憶内容を保持しかつこの記憶内容を書換えることが出来るフラッシュROMを用いて装置の設置後にプログラムの変更やバージョンアップによるプログラム変更などの新たなプログラムへの変更が行われ、このプログラムの変更では新たなプログラムを格納したICカードを装置内のメイン制御基板に設けたコネクタに装着してICカードに格納している新たなプログラムをCPUの制御でダウンロードしかつフラッシュROMへ転送するプログラムの書換え動作を行うことにより従来のプログラムを新たなプログラムに変更する書換えを行っていたところ、このようなプログラムの書換え動作中にCPUが誤動作、すなわちメイン制御基板のコネクタにICカードを装着した場合このICカードに格納しているプログラムで動作しておりICカードのピンとコネクタのコンタクトが塵芥や作業者での装着時の静電気で非接触状態が生じて制御不能状態が発生する結果例えば定着ヒータへ必要以上に通電が行われて過熱することがあり最悪の場合はCPUが暴走して制御不能状態になること、が発生するという問題があったので、ICカードなどの外部記憶装置又は記憶素子をコネクタに接続して新たなプログラムへ変更する際のプログラムの書換え動作中における制御不能状態による定着ヒータなどの誤動作を確実に阻止できるようにすることを目的として、
前記外部の記憶手段を接続した際は、前記電源部から定着ヒータへの通電を停止することにより、プログラムの変更やバージョンアップを行うプログラムの書換え動作中の制御不能による誤動作を回避できるようにした複写装置であって、
新たなプログラムを記憶した外部記憶媒体としての多数のピンを有するICカード1が多数のコンタクトを設けた着脱接続部としてのコネクタ2に装着されるようになっており、
このコネクタ2内にはICカード1の挿入時にオンとなるスイッチSW1が設けられており、
スイッチSW1の一端が抵抗Rを通じて電源ラインVccに他端が接地にそれぞれ接続されており、
ICカード1の未装着時は抵抗Rを通じた電源ラインの電圧Vccをハイレベルの入力信号として取込み、スイッチSW1のオンのICカード1がコネクタ2に装着された際の抵抗Rによる電源ライン電圧Vccの降下電圧をローレベルの入力信号として取込む制御手段としてのCPU3を有しており、
このCPU3は記憶手段としてのフラッシュROM4に記憶しているプログラムで動作するが、ICカード1のコネクタ2への装着時のプログラムの書換え動作中はICカード1に格納している新たなプログラムで動作するようになっており、
また、CPU3は2つの出力端から出力信号S1,S2を出力し、出力信号S1の出力端がアンド(AND)ゲート5の一方の入力端に接続されており、
また、このANDゲート5の他方の入力端には、CPU3の入力端が接続されるとともにICカード1のコネクタ2への装着又は取外しに対応するスイッチSW1のオン・オフによるハイレベル信号又はローレベル信号が入力されており、
ANDゲート5の出力端はスイッチング用のトランジスタQ1のベースと接続されており、
またトランジスタQ1は、エミッタが接地され、コレクタには定着ヒータ7へ通電を行い又は停止するためのリレースイッチ6の励磁コイル6aの一端が接続されており、
励磁コイル6aの他端が電源ラインVccと接続されており、
転写紙に形成されたトナー像を定着するための定着ヒータ7への交流(AC)電圧を供給するための電源部としての交流(AC)電源8を有しており、
定着ヒータ7と交流電源8とを接続する一対の配線の一方側には、リレースイッチ6におけるオン・オフ接点6bが直列に接続されており、
さらに定着ヒータ7と交流電源8とを接続する一対の配線の他方側には、半導体無接点リレーSSR9が設けられており、
この半導体無接点リレーSSR9は、CPU3の他方の出力端の出力信号S2によって交流電源8から定着ヒータ7への交流の供給をオン・オフするトライアックなどのスイッチング素子を有しており、
交流電源8から定着ヒータ7への交流の供給は、定着ヒータ7の発熱が所定値に一定化されるように、出力信号S2によって半導体無接点リレーSSR9のオン(通電)時間を制御することにより、制御されるのであるが、このための定着ヒータ7の発熱状態に対する検出信号をCPU3へ送出する感知素子などの回路が設けられており、
CPU3がS401でフラッシュROM4に記憶しているプログラムを読出して実行して動作して、その制御動作を開始するが、
ICカード1がコネクタ2へ装着されない通常時には、スイッチSW1はオフであるので、CPU3が抵抗Rを通じた電源ライン電圧Vccのハイレベルの入力信号を取込んでICカード1の未装着を認識し、同時にANDゲート5の一方の入力端もハイレベルに設定され、ANDゲート5の他方の入力端にもCPU3がハイレベルの出力信号S1を入力し、この結果、ANDゲート5がトランジスタQ1のベースにハイレベルの信号を出力し、トランジスタQ1がオン(導通)となり、この導通でリレースイッチ6のオン・オフ接点6bがオンとなり、定着ヒータ7へ交流電源8からの交流をオン・オフ接点6bとともに半導体無接点リレーSSR9を通じて供給し、この場合、定着ヒータ7の発熱が所定値に一定化されるようにCPU3が出力信号S2を半導体無接点リレーSSR9に送出しその通電時間の制御を行うようになっており、
ICカード1がコネクタ2に装着されるとスイッチSW1がオンになるので、CPU3は、S402で抵抗Rが接地された際の電源ライン電圧Vccが降下したローレベルの入力信号を取込んでICカード1の装着を認識し、S403で現在コピー動作中か否かを判断し、コピー動作中でない場合(S403,No)S404に進み、S404で、ANDゲート5の一方の入力端をローレベルに設定し、かつ、ANDゲート5の他方の入力端にCPU3からハイレベルの出力信号S1を入力する結果ANDゲート5からトランジスタQ1のベースにローレベルの信号を出力し、トランジスタQ1をオフ(非導通)とし、この非導通によりリレースイッチ6のオン・オフ接点6bをオフにし、定着ヒータ7へ交流電源8からの交流の供給を停止し、次にS405に進み、CPU3はS405で、ICカード1に格納している新たなプログラムへの変更を行うプログラムの書換え動作であるダウンロードを開始し、この場合、新たなプログラムによる制御動作を実行し、S406に進み、CPU3はさらにS406で新たなプログラムをフラッシュROM4に転送してここに記憶している従来のプログラムを新たなプログラムに変更する書換えを行い、この後はS407に進み、S407でICカード1の取外しの指示が表示器の画面で表示され、S408、S409と進み、S409でICカード1が取外されたと判断するとプログラムの変更やバージョンアップを行うための新たなプログラムに変更する書換えが終了するので、ICカード1をコネクタ2へ装着してプログラムの書換えを行う際に定着ヒータ7へ通電が停止され、したがって従来の技術のようにCPU3でのプログラムの書換え動作中に誤動作例えばICカード1のピンとコネクタ2のコンタクトが塵芥や作業者での装着時の静電気で非接触状態になってCPU3が暴走した際にも定着ヒータ7への通電が停止されているため過熱しなくなり最悪の場合の火災発生などが確実に防止でき、
また、上記S403でYesとなるコピー動作中の場合には、S410に進みCPU3はコピー動作を中断する制御を実行し、この後はS411に進みICカード1の取外しの指示が表示器の画面で表示されてS412,S413と進みS413でICカード1の取外しを判断し、S413でICカード1が取外されたと判断した(S413,Yes)場合にはS414に進みS414でコピー動作を再開して終了し、
外部記憶媒体を装着したプログラムの書換え動作中に定着ヒータ制御手段での制御不能状態が生じた際に定着ヒータへの通電が行われずその過熱が確実に阻止できその安全性が向上した複写装置。」の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。

(2)原査定の拒絶の理由に引用された「本願の出願前に頒布された刊行物である特開2005-202355号公報(以下「引用例2」という。)」には、図とともに以下の事項が記載されている。
ア 「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ式のプリンタ、複写機などの画像形成装置において、画像データをプリント出力するにあたり、画像データに基づいて感光体ドラム上にトナー像を現像し、そのトナー像を紙などの記録媒体上に転写して定着器により加熱及び加圧して当該記録媒体上に画像形成している。この定着器の加熱には所定時間を要するため、従来、電源投入から画像形成可能状態になるまでの時間を短縮するためにいくつかの構成が考えられていた。ここで、その画像形成可能状態となるまでの時間短縮の構成の一例として、図10及び図11を参照して、複写機200における電源投入から画像形成可能状態になるまでの時間を短縮する構成を説明する。図10に、複写機300の制御構成を示す。図11に、複写機300において実行される従来の画像形成起動処理を示す。
【0003】
図10に示すように、複写機300は、AC(交流)電源11と、AC電源11をオン/オフする主電源スイッチ12と、AC電源11から入力されたAC電源電力を変換してDC(直流)電源出力を第1及び第2のDC電源出力として出力するDC電源部13と、定着加熱部21を加熱電力により駆動するAC駆動部14と、操作パネルなどにおける電源スイッチとしての副電源スイッチ15と、DC電源部13から出力される第2のDC電源出力を制御する電源制御部16Bと、画像頁作成の制御などを行う全体制御部17Cと、定着系や図示しない紙搬送系の制御などを行うエンジン制御部18と、AC駆動部14への電源電力の通電を切り替えるメインリレー19と、図示しない感光体ドラムによりトナー像が転写された記録媒体に加熱及び加圧を行う定着ローラ20と、定着ローラ20を加熱するための誘導加熱コイルからなる定着加熱部21と、定着ローラ20を回転するモータなどからなり、定着ローラ20を回転するモータ22と、定着ローラ20の温度を検知する温度センサ23と、を備えて構成される。
【0004】
図10では、複写機300の、紙搬送に関する手段、感光体ドラムを含む画像形成に関する手段、パソコンなどの外部機器との通信に関する手段、原稿を読み取る画像読み取り手段などは省略されているものとする。また、定着器は、定着ローラ20、定着加熱部21、温度センサ23及びモータ22などを有する。
【0005】
次いで、図11を参照して、複写機300の動作を説明する。図11に示すように、先ず、主電源スイッチ12がオンされたことをトリガとして、AC電源11から出力されるAC電源電力が電源部13により変換されて電源制御部16BにDCの第1のDC電源出力として出力される(ステップS71)。そして、第1のDC電源出力により電源制御部16Bが起動される(ステップS72)。そして、操作者により副電源スイッチ15がオンされているか否かが判別される(ステップS73)。
【0006】
副電源スイッチ15がオンされていない場合(ステップS73;NO)、ステップS73に移行される。副電源スイッチ15がオンされている場合(ステップS73;YES)、副電源スイッチ15から起動信号が出力されて電源制御部16Bに入力される。起動信号の入力により電源制御部16Bから電源制御信号が生成及び出力されてDC電源部13に入力される。電源制御信号の入力によりDC電源部13からDCの第2のDC電源出力が生成及び出力されて全体制御部17C及びエンジン制御部18に入力される(ステップS74)。
【0007】
そして、第2のDC電源出力の入力により全体制御部17Cが起動実行され(ステップS75A)、ステップS75Aと並行して、第2のDC電源出力の入力によりエンジン制御部18が起動実行される(ステップS75B)。ステップS75A及びS75Bのうちの少なくとも一方が実行完了されると、全体制御部17Cとエンジン制御部18との間で初期通信が試行される(ステップS76)。そして、全体制御部17Cとエンジン制御部18との間で初期通信が確立したか否かが判別される(ステップS77)。全体制御部17Cとエンジン制御部18との間の初期通信が確立するには、全体制御部17Cとエンジン制御部18との両方の起動が実行完了されていることが必要である。
【0008】
初期通信が確立していない場合(ステップS77;NO)、ステップS76に移行される。初期通信が確立した場合(ステップS77;YES)、メインリレー19がオンされて、AC電源11から出力されるAC電源電力がAC駆動部14に入力されるとともに、エンジン制御部18から制御信号が生成及び出力されてAC駆動部14及びモータ22等に入力される。AC電源電力及び制御信号の入力により、AC駆動部14からACの加熱電力が出力されて定着加熱部21に入力され、定着ローラ20が加熱されてウォーミングアップされる(ステップS78)。
【0009】
また、初期通信が確立した後は、全体制御部17Cが電源制御指令を生成して電源制御部16Bに入力する。当該電源制御指令に基づいて電源制御部16Bにより電源制御信号が生成及び出力されDC電源部13に入力される。そして、制御信号が入力されたモータ22による定着ローラ20の予備回転補正や、全体制御部17C及びエンジン制御部18による各部の予備制御などの予備動作が実行され(ステップS79)、従来の画像形成起動処理が終了される。
【0010】
このように、ステップS75Aにおける全体制御部17Cの起動とステップS75Bにおけるエンジン制御部18の起動とを並行して実行する構成により、両起動を直列的に実行する構成に比べて、電源投入から画像形成可能状態になるまでの時間が短縮可能となる。
【0011】
また、電源投入後の全体制御部及びエンジン制御部の起動の前に、一旦省エネモードを起動する構成も考えられている。具体的には、主電源スイッチの投入後に、定着器に通電するメインリレーの電源制御手段を先に起動して、起動した電源制御手段によりメインリレーがオンされて定着器が所定温度まで加熱され、定着器に低電力が供給される省エネモードが実行される。次いで、自動的に、全体制御部及び及びエンジン制御部が起動されて初期通信がなされ、起動されたエンジン制御部により、定着器の加熱と、定着ローラの予備回転補正などの各種処理がなされる。全体制御部及びエンジン制御部の起動前に予め定着器を加熱するので、電源投入から画像形成可能状態になるまでの時間が短縮される(例えば、特許文献1参照)。
【0012】
上記省エネモードの構成と同様に、電源投入後に、一旦省エネモードを起動し、省エネモードの解除の操作が入力された場合に、全体制御部及びエンジン制御部が起動される構成も考えられている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2000-214734号公報
【特許文献2】特開2001-22234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、近年、画像形成装置のシステムの大規模化及び多機能化がすすみ、全体制御部により読み出されるプログラムが複雑になってきており、そのプログラムのロード時間が長く、全体制御部の起動に時間がかかる傾向にある。このため、図10及び図11に示した複写機300における構成では、従来の画像形成起動処理のステップS75Aの全体制御部17Cの起動完了に要する時間が、ステップS75Bのエンジン制御部18の起動完了に要する時間よりも長くなってしまうおそれがあった。つまり、エンジン制御部18が起動完了して定着器の加熱が可能であるにも関わらず、全体制御部17Cの起動完了を待たなければならなかった。
【0014】
また、特許文献1及び2に記載の構成では、予め定着器を低電力で加熱するので、定着器が画像形成に要する温度まで加熱完了時間を早めることができるが、全体制御部の起動と定着器の加熱および予備動作とが直列であることになるため、上記複写機300の構成と同様に、全体制御部及びエンジン制御部の起動完了及び初期通信完了後の、エンジン制御部による定着器の加熱及び予備回転補正などの予備動作の開始が遅れてしまうという問題があった。
【0015】
特に、近年、定着器の定着加熱部として、所定温度までの加熱時間の長いハロゲンヒータに代えて、加熱時間の短い電磁誘導加熱(IH)のヒータが用いられるようになってきた。このため、電源投入から画像形成可能状態になるまでの時間の増大に寄与する要因として、定着器の加熱時間が長いことよりも、全体制御部の起動時間の増大の占める割合が大きくなってきている。
【0016】
本発明の課題は、画像形成装置において、全体制御部の起動時間の影響を軽減して、電源投入から画像形成可能状態にするまでの時間を短縮することである。」

イ 「【0056】
(第1の実施の形態)
図1?図4を参照して、本発明に係る第1の実施の形態を説明する。先ず、図1及び図2を参照して本実施の形態の装置の特徴を説明する。図1に、本実施の形態の複写機100の制御構成を示す。図2に、複写機100の全体構成を示す。
【0057】
図1に示すように、画像形成装置としての複写機100は、AC電源11と、主電源スイッチ12と、DC電源部13と、AC駆動部14と、副電源スイッチ15と、第2の電源制御部16Aと、全体制御部17Aと、エンジン制御部18と、メインリレー19と、定着ローラ20と、定着加熱部21と、モータ22と、温度センサ23と、異常検知部24と、を備えて構成される。また、全体制御部17Aは、第1の電源制御部171を含む。
【0058】
AC電源11は、AC電源電力を供給する。主電源スイッチ12は、操作者の操作によりAC電源11からDC電源部13へのAC電源電力の通電をオン/オフする。DC電源部13は、AC電源11から入力されたACの電源電力を変換してそのDCの電源出力を第1のDC電源出力として第1の電源制御部171及び第2の電源制御部16Aに出力する。また、DC電源部13は、第2の電源制御部16Aから入力される電源制御信号により、適切なDC電源出力を第2のDC電源出力として生成し全体制御部17A及びエンジン制御部18に出力する。また、DC電源部13は、第2の電源制御部16Aから入力される電源制御信号により、適切なDC電源出力を第3のDC電源出力として生成しモータ22等に出力する。
【0059】
AC駆動部14は、エンジン制御部18から入力される制御信号と、AC電源11から入力されるAC電源電力とにより定着加熱部21を駆動する加熱電力を生成し定着加熱部21に出力する。副電源スイッチ15は、操作パネルなどにおける電源スイッチであり、操作者の操作によりオンされることで起動信号を第1の電源制御部171及び第2の電源制御部16Aに出力する。主電源スイッチ12がオンされた状態で、さらに副電源スイッチ15がオンされることをトリガとして、複写機100が画像形成可能状態に起動される。
【0060】
第2の電源制御部16Aは、全体制御部17Aが起動する前に動作される電源制御部である。第2の電源制御部16Aは、副電源スイッチ15から入力された起動信号と、異常検知部24から入力される検知信号と、第1の電源制御部171から入力された電源制御信号と、予め設定された所定の設定条件となどに基づいて電源制御信号を生成してDC電源部13に出力する。第2の電源制御部16Aから出力された電源制御信号により、DC電源部13から出力される第2及び第3のDC電源出力が制御される。
【0061】
全体制御部17Aは、DC電源部13から第2のDC電源出力が入力され、画像形成する画像頁作成、その頁管理、図示しない外部機器との通信管理などの全体的な動作を行う。また、全体制御部17Aは、エンジン制御部18との通信を行い、エンジン制御部18における各種制御を管理する。第1の電源制御部171は、DC電源部13から第1のDC電源出力が入力され、副電源スイッチ15から入力された起動信号などに基づいて、電源制御指令を生成及び出力して第2の電源制御部16Aに入力する。
【0062】
エンジン制御部18は、メインリレー19のオン/オフ制御、定着器や図示しない紙搬送系の制御などを行う。また、エンジン制御部17Bは、温度センサ23から入力される温度検知信号と、異常検知部24から入力される検知信号と、DC電源部13から入力される第2のDC電源出力とに基づく制御信号を生成してAC駆動部14及びモータ22等に出力する。
【0063】
全体制御部17A,エンジン制御部18は、図示しないメモリから各種制御プログラムを読み込んで実行することにより制御を行う。全体制御を行うためのプログラムは大きく、特に、複写機100が多機能になればプログラムも複雑かつ大容量となる。このため、全体制御部17Aの起動時間は、例えば、数秒?数十秒の長時間を要する。これに対して、エンジン制御部18は、モータ22の駆動等の比較的時間のかからない制御のみを対象とするので、比較的シンプルな構成となる。このため、エンジン制御部18の起動時間は、例えば、1秒以下の短時間しか要しない。
【0064】
メインリレー19は、AC電源11から入力されるAC電源電力のAC駆動部14への通電をオン/オフする。定着ローラ20は、後述する感光体ドラム51により未定着のトナー像が形成された記録媒体に加熱及び加圧を行い定着する。定着加熱部21は、電磁誘導加熱コイルにより構成され、AC駆動部14から入力された加熱電力に基づいて磁束を出力し、その磁束が定着ローラ20の後述する加熱ローラ20Aに当てられ発生する渦電流のジュール損により加熱する。定着加熱部としてハロゲンヒータを用いる場合には、定着ローラ20の所定温度までの加熱時間が例えば5分などの長時間を要する。これに対し、誘導加熱コイルを用いる定着加熱部21による加熱時間は、例えば約30秒などまでの短時間で済む。
【0065】
モータ22は、DC電源部13から第3のDC電源出力が入力され、定着ローラ20を回転する。全体制御部17Aの起動完了を要しない予備動作として、モータ22による、定着ローラ20の予備回転補正がある。
【0066】
温度センサ23は、定着ローラ20の温度を検知して温度検知信号をエンジン制御部18に出力する。異常検知部24は、複写機100の外部カバー(扉)がインターロックされていないか(カバーが空いているか)と、紙詰まりなどとの各種異常とを検知し、その検知信号をエンジン制御部18及び第2の電源制御部16Aに出力する。また、異常検知部24は、DC電源部13から第3のDC電源出力が入力され、インターロックされていなく且つ各種異常がない場合に、第3のDC電源出力をモータ22等に出力する。」

ウ 「【0075】
次に、図3及び図4を参照して、複写機100の動作を説明する。図3に、第1の画像形成起動処理を示す。図4に、第1の画像形成起動処理におけるタイミングチャートを示す。また、図4のタイミングチャートに、対応するステップの符号を付した。
【0076】
第1の画像形成起動処理とは、複写機100において、主電源スイッチ12及び副電源スイッチ15の投入により、全体制御部17A及びエンジン制御部18を起動し、各種予備動作をして、通常の画像形成動作が可能な状態に起動する処理である。
【0077】
各種予備動作は、全体制御部17Aの起動完了を要しない予備動作と、全体制御部17Aの起動完了を要する予備動作とがある。全体制御部17Aの起動完了を要しない予備動作としては、エンジン制御部18による、モータ22による定着ローラ20の予備回転補正と、温度センサ23の温度検知信号を用いた定着ローラ20の加熱温度調整と、現像器55におけるトナー濃度の補正動作と、露光部54において感光体ドラム51にレーザ光を走査し照射する図示しないポリゴンモータの回転と、図示しない清掃手段による帯電部53の電極の清掃と、図示しない清掃手段による転写部56の転写手段の電極の清掃と、図示しない清掃手段による転写部56の分離手段の電極の清掃と、図示しない冷却手段としてのファンなどによる複写機100内の冷却と、画像読み取り部30の走査部34のホームポジション復帰と、記録用紙Pを格納する格納手段としての給紙トレイ41,42のホームポジション復帰と、などが挙げられる。また、全体制御部17Aの起動完了を要しない予備動作を行う各部には、後述する第3のDC電源電力が入力されて、その予備動作が行われる。
【0078】
全体制御部17Aの起動完了を要する予備動作としては、全体制御部17Aによる、感光体ドラム51への作像を伴うトナー濃度の検知及び補正と、画像読み取り部30のCCD35のシェーディング補正と、などが挙げられる。
【0079】
図3及び図4に示すように、複写機100において、主電源スイッチ12がオンされたことをトリガとして、第1の画像形成起動処理が実行される。先ず、AC電源11から出力されるAC電源電力がDC電源部13により変換され、第1の電源制御部171及び第2の電源制御部16Aに第1のDC電源出力として出力される(ステップS11)。そして、第1のDC電源出力により、第1の電源制御部171を含む全体制御部17Aの一部と、第2の電源制御部16Aとが起動される(ステップS12)。そして、操作者により副電源スイッチ15がオンされているか否かが判別される(ステップS13)。
【0080】
副電源スイッチ15がオンされていない場合(ステップS13;NO)、ステップS13に移行される。副電源スイッチ15がオンされている場合(ステップS13;YES)、副電源スイッチ15から起動信号が出力されて第1の電源制御部171及び第2の電源制御部16Aに入力される。起動信号の入力により第2の電源制御部16Aから予め設定された所定の設定条件に基づく電源制御信号が生成及び出力されてDC電源部13に入力される。電源制御信号の入力により、DC電源部13からDCの第2のDC電源出力が生成及び出力されて全体制御部17A及びエンジン制御部18に入力される(ステップS14)。ステップS14においては、全体制御部17A及びエンジン制御部18の間の通信が確立しておらず、全体制御部17A側でエンジン制御部18の状態情報を取得できないので、第1の電源制御部171では、DC電源部13の電源制御を行わない。
【0081】
そして、第2のDC電源出力の入力により、第1の電源制御部171を含む全体制御部17Aの一部以外の全体制御部17Aの残りが起動実行され(ステップS15A)、ステップS15Aと並行して、第2のDC電源出力の入力によりエンジン制御部18が起動実行される(ステップS15B)。ステップS15A及びS15Bのうちの少なくとも一方が実行完了されると、全体制御部17Aとエンジン制御部18との間で初期通信が試行される(ステップS16)。通常は、図4に示すように、ステップS15Aの全体制御部17Aの残りの起動完了に要する時間よりも、ステップS15Bのエンジン制御部18の起動完了に要する時間のほうが短い。
【0082】
そして、全体制御部17Aとエンジン制御部18との間で初期通信が確立したか否かが判別される(ステップS17)。全体制御部17Aとエンジン制御部18との間の初期通信が確立するには、全体制御部17Aとエンジン制御部18との両方の起動が実行完了されていることが必要である。初期通信が確立していない場合(ステップS17;NO)、ステップS16に移行される。
【0083】
一方、ステップS15Bにおけるエンジン制御部18の起動完了とともに、エンジン制御部18により、異常検知部24において、複写機100のカバーなどがインターロック状態であり、且つ紙詰まりなどのその他の異常がないことが検知されるか否かか判別される(ステップS18)。全て異常がないと検知されない場合(ステップS18;NO)、いずれかの異常が検知されており、操作者によりカバーなどが閉じられるインターロック状態までの待機又は異常回復の待機が行われ(ステップS19)、ステップS18に移行される。ステップS18,S19において、異常検知部24により、異常無し又は異常有りの検知信号が生成され出力されてエンジン制御部18及び第2の電源制御部16Aに入力される。
【0084】
全て異常がないと検知された場合(ステップS18;YES)、異常検知部24から入力された異常無しの旨の検知信号に基づいて、第2の電源制御部16Aにより、電源制御信号が生成及び出力されてDC電源部13に入力される。そして、第2の電源制御部16Aから入力された電源制御信号に基づいて、DC電源部13により、第3のDC電源出力が生成されてモータ22等に入力される(ステップS20)。また、エンジン制御部18によりメインリレー19がオンされて、AC電源11から出力されるAC電源電力がAC駆動部14に入力されるとともに、エンジン制御部18から制御信号が出力されてAC駆動部14及びモータ22等に入力される。AC電源電力及び制御信号の入力により、AC駆動部14からACの加熱電力が生成及び出力されて定着加熱部(誘導コイル)21に入力され、定着加熱部21により定着ローラ20(の加熱ローラ20A)が加熱されてウォーミングアップされる(ステップS21)。
【0085】
そして、エンジン制御部18により、第3のDC電源出力及び制御信号が入力されたモータ22の予備回転補正等の、全体制御部17Aの起動完了を要しない各種予備動作が実行される(ステップS22)。また、初期通信が確立した場合(ステップS17;YES)、全体制御部17Aにより、全体制御部17Aの起動完了を要する各種予備動作が実行され(ステップS23)、第1の画像形成起動処理が終了される。
【0086】
また、初期通信が確立した後は、第1の電源制御部171が電源制御指令を生成及び出力して電源制御部16Aに入力する。当該電源制御指令に基づいて第2の電源制御部16Aが電源制御信号を生成及び出力してDC電源部13に入力する。例えば、副電源スイッチ15がオフされた場合、第1の電源制御部171がシャットダウン指令を生成して第2の電源制御部16Aに入力し、第2の電源制御部16Aがシャットダウン制御信号を生成してDC電源部13に入力する。
【0087】
また、主電源スイッチ12がオンされた状態で、副電源スイッチ15がオフされる場合、画像形成の待機モードとなり、例えば、第1の電源制御部171を含む全体制御部17Aの一部のみが起動され、外部機器との通信管理など待機状態に関する制御のみを行う構成とする。この待機モード時には、全体制御部17A全体を起動しなく、定着器60の通電(加熱)などを行わないので、省電力が実現される。
【0088】
また、ステップS21の実行以後、温度センサ23により定期的に定着ローラ20の温度が検知されて温度検知信号がエンジン制御部18に入力される。エンジン制御部18により、温度検知信号に基づいてAC駆動部14へ入力する制御信号が調整され、AC駆動部14から出力されて定着加熱部21に入力される加熱電力が調整されて、定着ローラ20の表面温度が適温に保たれる。
【0089】
本実施の形態によれば、主電源スイッチ12がオンされた場合に、第2の電源制御部16Aを起動し、起動した第2の電源制御部16Aが全体制御部17A及びエンジン制御部18を起動開始し、起動完了したエンジン制御部18が、AC駆動部14を介して定着加熱部21への通電を制御し、DC電源部13の第3のDC電源出力を用いて、全体制御部17Aの起動完了を要しない予備動作の実行を制御するので、全体制御部17Aの起動完了よりも早く定着器60の通電(加熱)と、全体制御部17Aの起動完了を要しない予備動作とが実行でき、全体制御部17Aの起動時間の影響を軽減して、電源投入から画像形成可能状態にするまでの時間を短縮することができる。
【0090】
また、全体制御部17A及びエンジン制御部18を並行して起動を開始するので、エンジン制御部18をより早く起動完了でき、全体制御部17Aの起動時間の影響を軽減して、電源投入から画像形成可能状態にするまでの時間をより短縮することができる。
【0091】
見方を変えると、エンジン制御部18による定着器60の加熱時間、及び全体制御部17Aの起動完了を要しない予備動作の実行時間の少なくとも1つと、全体制御部17Aの起動時間とが、少なくとも一部で重なるので、全体制御部17Aの起動完了前に、定着器60の加熱と、全体制御部17Aの起動完了を要しない予備動作との少なくとも1つが実行開始され、全体制御部17Aの起動時間の影響を軽減して、電源投入から画像形成可能状態にするまでの時間を短縮することができる。
【0092】
また、副電源スイッチ15がオンされた場合に、第2の電源制御部16Aが、DC電源部13から出力される第2のDC電源出力を生成制御するので、副電源スイッチ15のオフ時の消費電力を低減することができる。
【0093】
また、異常検知部24が異常を検知しない場合に、エンジン制御部18による、定着ローラ20の加熱と、全体制御部17Aの起動完了を要しない予備動作の実行とが制御されるので、安全に画像形成可能状態にすることができる。
【0094】
また、定着ローラ20(の加熱ローラ20A)が、定着加熱部(誘導加熱コイル)21により電磁誘導方式で加熱されるので、定着器の加熱時間が短く、電源投入から画像形成可能状態にするまでの時間の短縮の割合を大きくすることができる。
【0095】
また、日本国内の法律により、省エネモードから画像形成可能状態となるまでの復帰時間は、省エネルギー対策のために30秒以下に規定されており、この条件を満たす画像形成装置の実施が好ましい。本実施の形態の構成では、全体制御部17Aの起動時間の影響を軽減したことから、主電源スイッチ12又は副電源スイッチ15のオン投入から画像形成可能状態となるまでの時間を容易に30秒以下にすることができる。」

エ 上記アないしウから、引用例2には、
「記録媒体に画像を形成する画像形成装置としての複写機において、
従来は、全体制御部の起動とエンジン制御部の起動とを並行して実行する構成により両起動を直列的に実行する構成に比べて電源投入から画像形成可能状態になるまでの時間を短縮していたところ、近年画像形成装置のシステムの大規模化及び多機能化がすすみ全体制御部により読み出されるプログラムが複雑になってきておりそのプログラムのロード時間が長く全体制御部の起動に時間がかかる傾向にあるため、全体制御部の起動完了に要する時間がエンジン制御部の起動完了に要する時間よりも長くなってしまうおそれがあり、エンジン制御部が起動完了して定着器の加熱が可能であるにも関わらず全体制御部の起動完了を待たなければならず、また、主電源スイッチの投入後に定着器に通電するメインリレーの電源制御手段を先に起動して起動した電源制御手段によりメインリレーをオンして定着器を所定温度まで加熱し定着器に低電力が供給される省エネモードを実行してから、自動的に全体制御部及びエンジン制御部を起動して初期通信を行い起動されたエンジン制御部により定着器の加熱と定着ローラの予備回転補正などの各種処理を行い全体制御部及びエンジン制御部の起動前に予め定着器を加熱して電源投入から画像形成可能状態になるまでの時間を短縮するものもあったが、この構成では予め定着器を低電力で加熱するので定着器が画像形成に要する温度までの加熱完了時間を早めることができても全体制御部の起動と定着器の加熱および予備動作とが直列であることになるため上記の構成と同様に全体制御部及びエンジン制御部の起動完了及び初期通信完了後のエンジン制御部による定着器の加熱及び予備回転補正などの予備動作の開始が遅れてしまうという問題があり、
さらに、近年定着器の定着加熱部として所定温度までの加熱時間の長いハロゲンヒータに代えて加熱時間の短い電磁誘導加熱(IH)のヒータが用いられるようになってきたため、電源投入から画像形成可能状態になるまでの時間の増大に寄与する要因として定着器の加熱時間が長いことよりも全体制御部の起動時間の増大の占める割合が大きくなってきていることから、
全体制御部の起動時間の影響を軽減して電源投入から画像形成可能状態にするまでの時間を短縮することを課題とし、
AC電源電力を供給するAC電源11と、
操作者の操作によりAC電源11からDC電源部13へのAC電源電力の通電をオン/オフする主電源スイッチ12と、
AC電源11から入力されたACの電源電力を変換してそのDCの電源出力を第1のDC電源出力として第1の電源制御部171及び第2の電源制御部16Aに出力するDC電源部13と、
エンジン制御部18から入力される制御信号と、AC電源11から入力されるAC電源電力とにより定着加熱部21を駆動する加熱電力を生成し定着加熱部21に出力するAC駆動部14と、
操作パネルなどにおける電源スイッチであり、操作者の操作によりオンされることで起動信号を第1の電源制御部171及び第2の電源制御部16Aに出力する副電源スイッチ15と、
全体制御部17Aが起動する前に動作される電源制御部である第2の電源制御部16Aと、
第1の電源制御部171を含む全体制御部17Aと、
メインリレー19のオン/オフ制御、定着器や紙搬送系の制御などを行うエンジン制御部18と、
AC電源11から入力されるAC電源電力のAC駆動部14への通電をオン/オフするメインリレー19と、
定着ローラ20と、
加熱時間が短時間で済む誘導加熱コイルを用いる定着加熱部21と、
DC電源部13から第3のDC電源出力が入力され、定着ローラ20を回転するモータ22と、
定着ローラ20の温度を検知して温度検知信号をエンジン制御部18に出力する温度センサ23と、
複写機の外部カバー(扉)がインターロックされていないか(カバーが空いているか)と、紙詰まりなどとの各種異常とを検知し、その検知信号をエンジン制御部18及び第2の電源制御部16Aに出力する異常検知部24と、を備え、
主電源スイッチ12がオンされたことをトリガとして、先ず、AC電源11から出力されるAC電源電力がDC電源部13により変換され、第1の電源制御部171及び第2の電源制御部16Aに第1のDC電源出力として出力され(ステップS11)、そして、操作者により副電源スイッチ15がオンされているか否かが判別され(ステップS13)、副電源スイッチ15がオンされていない場合(ステップS13;NO)、ステップS13に移行され、副電源スイッチ15がオンされている場合(ステップS13;YES)、副電源スイッチ15から起動信号が出力されて第1の電源制御部171及び第2の電源制御部16Aに入力され、起動信号の入力により第2の電源制御部16Aから予め設定された所定の設定条件に基づく電源制御信号が生成及び出力されてDC電源部13に入力され、電源制御信号の入力により、DC電源部13からDCの第2のDC電源出力が生成及び出力されて全体制御部17A及びエンジン制御部18に入力され(ステップS14)、そして、第2のDC電源出力の入力により、第1の電源制御部171を含む全体制御部17Aの一部以外の全体制御部17Aの残りが起動実行され(ステップS15A)、ステップS15Aと並行して、第2のDC電源出力の入力によりエンジン制御部18が起動実行され(ステップS15B)、ステップS15A及びS15Bのうちの少なくとも一方が実行完了されると、全体制御部17Aとエンジン制御部18との間で初期通信が試行され(ステップS16)、そして、全体制御部17Aとエンジン制御部18との両方の起動が実行完了されることを必要とする、全体制御部17Aとエンジン制御部18との間での初期通信が確立したか否かが判別され(ステップS17)、初期通信が確立していない場合(ステップS17;NO)、ステップS16に移行され、一方、ステップS15Bにおけるエンジン制御部18の起動完了とともに、エンジン制御部18により、異常検知部24において、複写機のカバーなどがインターロック状態であり、且つ紙詰まりなどのその他の異常がないことが検知されるか否かか判別され(ステップS18)、全て異常がないと検知されない場合(ステップS18;NO)、いずれかの異常が検知されており、操作者によりカバーなどが閉じられるインターロック状態までの待機又は異常回復の待機が行われ(ステップS19)、ステップS18に移行され、全て異常がないと検知された場合(ステップS18;YES)、異常検知部24から入力された異常無しの旨の検知信号に基づいて、第2の電源制御部16Aにより、電源制御信号が生成及び出力されてDC電源部13に入力され、そして、第2の電源制御部16Aから入力された電源制御信号に基づいて、DC電源部13により、第3のDC電源出力が生成されてモータ22等に入力され(ステップS20)、また、エンジン制御部18によりメインリレー19がオンされて、AC電源11から出力されるAC電源電力がAC駆動部14に入力されるとともに、エンジン制御部18から制御信号が出力されてAC駆動部14及びモータ22等に入力され、AC電源電力及び制御信号の入力により、AC駆動部14からACの加熱電力が生成及び出力されて定着加熱部(誘導コイル)21に入力され、定着加熱部21により定着ローラ20(の加熱ローラ20A)が加熱されてウォーミングアップされ(ステップS21)、 そして、エンジン制御部18により、第3のDC電源出力及び制御信号が入力されたモータ22の予備回転補正等の、全体制御部17Aの起動完了を要しない各種予備動作が実行され(ステップS22)、また、初期通信が確立した場合(ステップS17;YES)、全体制御部17Aにより、全体制御部17Aの起動完了を要する各種予備動作が実行され(ステップS23)、画像形成起動処理を終了して、通常の画像形成動作が可能な状態とすることにより、
主電源スイッチ12がオンされた場合に、第2の電源制御部16Aを起動し、起動した第2の電源制御部16Aが全体制御部17A及びエンジン制御部18を起動開始し、起動完了したエンジン制御部18が、AC駆動部14を介して定着加熱部21への通電を制御し、DC電源部13の第3のDC電源出力を用いて、全体制御部17Aの起動完了を要しない予備動作の実行を制御するので、全体制御部17Aの起動完了よりも早く定着器60の通電(加熱)と、全体制御部17Aの起動完了を要しない予備動作とが実行でき、全体制御部17Aの起動時間の影響を軽減して、電源投入から画像形成可能状態にするまでの時間を短縮し、また、全体制御部17A及びエンジン制御部18を並行して起動を開始するので、エンジン制御部18をより早く起動完了でき、全体制御部17Aの起動時間の影響を軽減して、電源投入から画像形成可能状態にするまでの時間をより短縮した、画像形成装置としての複写機。」の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。

4 対比
本願発明と引用発明1を対比する。
(1)引用発明1の「定着ヒータ、感光体駆動装置及び前記定着ヒータへ電源供給を行う電源部、を備えた複写装置」、「『S401でフラッシュROM4に記憶しているプログラムを読出して実行して動作して、その制御動作を開始』する『制御手段としてのCPU3』」、「ICカード1がコネクタ2へ装着されない通常時には、スイッチSW1はオフであるので、抵抗Rを通じた電源ライン電圧Vccのハイレベルの入力信号を取込んでICカード1の未装着を認識し、同時にANDゲート5の一方の入力端もハイレベルに設定され、ANDゲート5の他方の入力端にもハイレベルの出力信号S1を入力し、この結果、ANDゲート5がトランジスタQ1のベースにハイレベルの信号を出力し、トランジスタQ1がオン(導通)となり、この導通でリレースイッチ6のオン・オフ接点6bがオンとなり、定着ヒータ7へ交流電源8からの交流をオン・オフ接点6bとともに半導体無接点リレーSSR9を通じて供給させるCPU3」、「新たなプログラムを記憶した外部記憶媒体としての多数のピンを有するICカード1」、「ICカード1が装着されるようになっている、多数のコンタクトを設けた着脱接続部としてのコネクタ2」、「ICカード1の挿入時にオンとなるスイッチSW1」及び「ANDゲート5がトランジスタQ1のベースにハイレベルの信号を出力」は、それぞれ、本願発明の「電子写真プロセスによって記録媒体に画像を形成する画像形成装置」、「当該画像形成装置の全体的な制御を行うものであって、主電源スイッチがオンしたときにブートプログラムの実行を開始するCPU」、「当該画像形成装置の起動制御を行う許可信号制御手段」、「ファームウェアのダウンロード用のメモリモジュール」、「メモリモジュールを装着するためのメモリ装着口」、「前記メモリモジュールが前記メモリ装着口に装着されている場合にモジュール装着信号を出力するセンサ」及び「定着器の加熱を含む前記電子写真プロセスのための準備動作を開始させる起動許可信号を出力」に相当する。

(2)引用発明1において、「許可信号制御手段(CPU3)」は、ICカード1がコネクタ2へ装着されない通常時には、スイッチSW1はオフであるので、抵抗Rを通じた電源ライン電圧Vccのハイレベルの入力信号を取込んでICカード1の未装着を認識し、同時にANDゲート5の一方の入力端もハイレベルに設定され、ANDゲート5の他方の入力端にもハイレベルの出力信号S1を入力し、この結果、ANDゲート5がトランジスタQ1のベースにハイレベルの信号を出力し、トランジスタQ1がオン(導通)となり、この導通でリレースイッチ6のオン・オフ接点6bがオンとなり、定着ヒータ7へ交流電源8からの交流をオン・オフ接点6bとともに半導体無接点リレーSSR9を通じて供給させるものであり、「画像形成装置(複写装置)」が備えていることが明らかである主電源スイッチがオンしてCPU3及び電源ライン電圧Vccに電源が供給されたときにこのような制御がなされることが当業者に自明であるから、引用発明1の「許可信号制御手段」と本願発明の「許可信号制御手段」とは「前記主電源スイッチがオンして電源の供給を受けたときに当該画像形成装置の起動制御を行う」点で一致するといえる。

(3)引用発明1の「フラッシュROM4に記憶しているプログラムを読出して実行して動作して、その制御動作を開始し、ICカード1がコネクタ2へ装着されない通常時には、スイッチSW1はオフであるので、抵抗Rを通じた電源ライン電圧Vccのハイレベルの入力信号を取込んでICカード1の未装着を認識する、CPU3が実行するS401」と本願発明の「前記メモリモジュールが前記メモリスロットに装着されていないこと、当該画像形成装置がトラブル状態でないこと、および、DC電源装置がオフになっていないこと、のいずれもが真であることを起動開始条件として、当該起動開始条件が整った状態となったか否かを判断する起動モード判別手段」とは「前記メモリモジュールが前記メモリスロットに装着されていないことが真であることを起動開始条件として、当該起動開始条件が整った状態となったか否かを判断する起動モード判別手段」の点で一致するといえる。

(4)引用発明1の「起動許可信号(ANDゲート5からトランジスタQ1のベースに出力されるハイレベルの信号)」は、ICカード1の挿入時にオンとなるスイッチSW1がオフであり、CPU3が抵抗Rを通じた電源ライン電圧Vccのハイレベルの入力信号を取込んでICカード1の未装着を認識し、同時にANDゲート5の一方の入力端もハイレベルに設定され、ANDゲート5の他方の入力端にもCPU3がハイレベルの出力信号S1を入力する結果出力されるので、本願発明の「前記起動開始条件が整った状態となったときに出力する定着器の加熱を含む前記電子写真プロセスのための準備動作を開始させる起動許可信号」と、「前記起動開始条件が整ったことを条件に出力する定着器の加熱を含む前記電子写真プロセスのための準備動作を開始させる起動許可信号」の点で一致する。

(5)引用発明1の「電子写真プロセスによって記録媒体に画像を形成する画像形成装置(定着ヒータ、感光体駆動装置及び前記定着ヒータへ電源供給を行う電源部、を備えた複写装置)」において、記録媒体に画像を形成するのは、「当該画像形成装置の全体的な制御を行うものであって、主電源スイッチがオンしたときにブートプログラムの実行を開始するCPU(S401でフラッシュROM4に記憶しているプログラムを読出して実行して動作して、その制御動作を開始する制御手段としてのCPU3)」がS401で「ブートプログラム(フラッシュROM4に記憶しているプログラム)」を読出しての「実行」を完了し、かつ、感知素子などの回路からCPU3へ送出される定着ヒータ7の発熱状態に対する検出信号が所定の値を示した後であることが当業者に自明であるから、引用発明1の「許可信号制御手段(CPU3)」は、本願発明の「前記CPUによるブ-トプログラムの実行が完了しかつ前記電子写真プロセスのための準備動作が完了したときに当該画像形成装置の起動が完了したとして前記記録媒体への画像の形成のための駆動を可能とする駆動許可信号を出力する許可信号生成手段」を有するといえる。

(6)上記(1)ないし(5)から、本願発明と引用発明1とは、
「電子写真プロセスによって記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
当該画像形成装置の全体的な制御を行うものであって、主電源スイッチがオンしたときにブ-トプログラムの実行を開始するCPUと、
前記主電源スイッチがオンして電源の供給を受けたときに当該画像形成装置の起動制御を行う許可信号制御手段と、
ファームウェアのダウンロード用のメモリモジュールを装着するためのメモリ装着口と、
前記メモリモジュールが前記メモリ装着口に装着されている場合にモジュール装着信号を出力するセンサと、を有し、
前記許可信号制御手段は、
前記メモリモジュールが前記メモリスロットに装着されていないことが真であることを起動開始条件として、当該起動開始条件が整った状態となったか否かを判断する起動モード判別手段と、
前記起動開始条件が整ったことを条件に定着器の加熱を含む前記電子写真プロセスのための準備動作を開始させる起動許可信号を出力し、前記CPUによるブートプログラムの実行が完了しかつ前記電子写真プロセスのための準備動作が完了したときに当該画像形成装置の起動が完了したとして前記記録媒体への画像の形成のための駆動を可能とする駆動許可信号を出力する許可信号生成手段と、を有する、
画像形成装置。」の点で一致し、次の点で相違する。

相違点1:
前記起動開始条件が、
本願発明では、前記メモリモジュールが前記メモリスロットに装着されていないことに加え、当該画像形成装置がトラブル状態でないこと、および、DC電源装置がオフになっていないことが含まれ、そのいずれもが真であることであるのに対して、
引用発明1では、前記メモリモジュールが前記メモリスロットに装着されていないことの他の条件があるのかどうか不明である点。

相違点2:
前記許可信号生成手段が起動許可信号を出力するのが、
本願発明では、前記起動開始条件が整った状態となったときであるのに対して、
引用発明1では、前記CPUによるブートプログラムの実行が完了し、かつ、前記起動開始条件が整った状態となったときである点。

5 判断
上記相違点1及び2について検討する。
(1)引用例2には、上記3(2)のとおり、引用発明2が記載されている(上記3(2)エ参照。)。
引用発明2は、近年画像形成装置のシステムの大規模化及び多機能化がすすみ全体制御部により読み出されるプログラムが複雑になってきておりそのプログラムのロード時間が長く全体制御部の起動に時間がかかる傾向にあるため、全体制御部の起動完了に要する時間がエンジン制御部の起動完了に要する時間よりも長くなってしまうおそれがあり、エンジン制御部が起動完了して定着器の加熱が可能であるにも関わらず全体制御部の起動完了を待たなければならないことに鑑みてなされた、「AC電源電力を供給するAC電源11と、操作者の操作によりAC電源11からDC電源部13へのAC電源電力の通電をオン/オフする主電源スイッチ12と、AC電源11から入力されたACの電源電力を変換してそのDCの電源出力を第1のDC電源出力として第1の電源制御部171及び第2の電源制御部16Aに出力するDC電源部13と、エンジン制御部18から入力される制御信号と、AC電源11から入力されるAC電源電力とにより定着加熱部21を駆動する加熱電力を生成し定着加熱部21に出力するAC駆動部14と、操作パネルなどにおける電源スイッチであり、操作者の操作によりオンされることで起動信号を第1の電源制御部171及び第2の電源制御部16Aに出力する副電源スイッチ15と、全体制御部17Aが起動する前に動作される電源制御部である第2の電源制御部16Aと、第1の電源制御部171を含む全体制御部17Aと、メインリレー19のオン/オフ制御、定着器や紙搬送系の制御などを行うエンジン制御部18と、AC電源11から入力されるAC電源電力のAC駆動部14への通電をオン/オフするメインリレー19と、定着ローラ20と、加熱時間が短時間で済む誘導加熱コイルを用いる定着加熱部21と、DC電源部13から第3のDC電源出力が入力され、定着ローラ20を回転するモータ22と、定着ローラ20の温度を検知して温度検知信号をエンジン制御部18に出力する温度センサ23と、複写機の外部カバー(扉)がインターロックされていないか(カバーが空いているか)と、紙詰まりなどとの各種異常とを検知し、その検知信号をエンジン制御部18及び第2の電源制御部16Aに出力する異常検知部24と、を備えた複写機」の発明であり、「主電源スイッチ12がオンされた場合に、第2の電源制御部16Aを起動し、起動した第2の電源制御部16Aが全体制御部17A及びエンジン制御部18を起動開始し、起動完了したエンジン制御部18が、AC駆動部14を介して定着加熱部21への通電を制御し、DC電源部13の第3のDC電源出力を用いて、全体制御部17Aの起動完了を要しない予備動作の実行を制御するので、全体制御部17Aの起動完了よりも早く定着器60の通電(加熱)と、全体制御部17Aの起動完了を要しない予備動作とが実行でき、全体制御部17Aの起動時間の影響を軽減して、電源投入から画像形成可能状態にするまでの時間を短縮し、また、全体制御部17A及びエンジン制御部18を並行して起動を開始するので、エンジン制御部18をより早く起動完了でき、全体制御部17Aの起動時間の影響を軽減して、電源投入から画像形成可能状態にするまでの時間をより短縮した」ものであって、「副電源スイッチ15がオンされており(ステップS13;YES)、かつ、エンジン制御部18の起動完了とともに異常検知部24において全て異常がないと検知された(ステップS18;YES)ことを条件に、第2の電源制御部16Aにより、電源制御信号が生成及び出力され(ステップS20)、定着加熱部21により定着ローラ20(の加熱ローラ20A)が加熱されてウォーミングアップされ(ステップS21)、モータ22の予備回転補正等の、全体制御部17Aの起動完了を要しない各種予備動作が実行され(ステップS22)、全体制御部17Aとエンジン制御部18との両方の起動が実行完了されることを必要とする、全体制御部17Aとエンジン制御部18との間での初期通信が確立した場合(ステップS17;YES)、全体制御部17Aにより、全体制御部17Aの起動完了を要する各種予備動作が実行され(ステップS23)、画像形成起動処理を終了して、通常の画像形成動作が可能な状態とする」ものである。

(2)引用発明1は、「外部の記憶手段から内部のプログラム格納用記憶手段にプログラムを転送することが可能である複写装置」であって、制御手段としてのCPU3を有し、通常時には、ICカード1がコネクタ2へ装着されないので、CPU3は、記憶手段としてのフラッシュROM4に記憶しているプログラムで動作し、ICカード1のコネクタ2への装着時のプログラムの書換え動作中は、定着ヒータ7へ交流電源8からの交流の供給を停止し、ダウンロードを開始し、新たなプログラムによる制御動作を実行し、新たなプログラムをフラッシュROM4に転送してここに記憶している従来のプログラムを新たなプログラムに変更する書換えを行い、ICカード1が取外されて、新たなプログラムに変更する書換えが終了するものであるところ、 上記(1)からみて、
引用発明1において、
大規模化及び多機能化をすすめ、制御手段としてのCPU3を、複雑なプログラムを読み出して動作する「第1の電源制御部171を含む全体制御部17A」と、「全体制御部17Aが起動する前に動作される電源制御部である第2の電源制御部16A」と、全体制御部17Aより早く起動完了する「メインリレー19のオン/オフ制御、定着器や紙搬送系の制御などを行うエンジン制御部18」とからなるものとし、
ICカード1がコネクタ2へ装着されない通常時の電源投入から画像形成可能状態にするまでの時間を短縮できるようにするために、
定着ヒータ7からなる定着器を「定着ローラ20と、加熱時間が短時間で済む誘導加熱コイルを用いる定着加熱部21と、定着ローラ20を回転するモータ22とからなるもの」とし、
感知素子などの回路を、「定着ローラ20の温度を検知して温度検知信号をエンジン制御部18に出力する温度センサ23」とし、
主電源スイッチを、「操作者の操作により交流電源8からDC電源部13へのAC電源電力の通電をオン/オフする主電源スイッチ12」とし、
「交流電源8から入力されたACの電源電力を変換してそのDCの電源出力を第1のDC電源出力として第1の電源制御部171及び第2の電源制御部16Aに出力するDC電源部13」と、
「エンジン制御部18から入力される制御信号と、交流電源8から入力されるAC電源電力とにより定着加熱部21を駆動する加熱電力を生成し定着加熱部21に出力するAC駆動部14」と、
「操作パネルなどにおける電源スイッチであり、操作者の操作によりオンされることで起動信号を第1の電源制御部171及び第2の電源制御部16Aに出力する副電源スイッチ15」と、
「交流電源8から入力されるAC電源電力のAC駆動部14への通電をオン/オフするメインリレー19」と、
「複写機の外部カバー(扉)がインターロックされていないか(カバーが空いているか)と、紙詰まりなどとの各種異常とを検知し、その検知信号をエンジン制御部18及び第2の電源制御部16Aに出力する異常検知部24」と、
を備え、
上記モータ22に、上記DC電源部13から第3のDC電源出力が入力されるようにし、
引用発明2と同様に、
主電源スイッチ12がオンされたことをトリガとして、先ず、交流電源8から出力されるAC電源電力がDC電源部13により変換され、第1の電源制御部171及び第2の電源制御部16Aに第1のDC電源出力として出力され(ステップS11)、そして、抵抗Rを通じた電源ライン電圧Vccのハイレベルの入力信号を取込んでICカード1が装着されているか否かが判断され、未装着を認識した場合は、操作者により副電源スイッチ15がオンされているか否かが判別され(ステップS13)、副電源スイッチ15がオンされていない場合(ステップS13;NO)、ステップS13に移行され、副電源スイッチ15がオンされている場合(ステップS13;YES)、副電源スイッチ15から起動信号が出力されて第1の電源制御部171及び第2の電源制御部16Aに入力され、起動信号の入力により第2の電源制御部16Aから予め設定された所定の設定条件に基づく電源制御信号が生成及び出力されてDC電源部13に入力され、電源制御信号の入力により、DC電源部13からDCの第2のDC電源出力が生成及び出力されて全体制御部17A及びエンジン制御部18に入力され(ステップS14)、そして、第2のDC電源出力の入力により、第1の電源制御部171を含む全体制御部17Aの一部以外の全体制御部17Aの残りが起動実行され(ステップS15A)、ステップS15Aと並行して、第2のDC電源出力の入力によりエンジン制御部18が起動実行され(ステップS15B)、ステップS15A及びS15Bのうちの少なくとも一方が実行完了されると、全体制御部17Aとエンジン制御部18との間で初期通信が試行され(ステップS16)、そして、全体制御部17Aとエンジン制御部18との両方の起動が実行完了されることを必要とする、全体制御部17Aとエンジン制御部18との間での初期通信が確立したか否かが判別され(ステップS17)、初期通信が確立していない場合(ステップS17;NO)、ステップS16に移行され、一方、ステップS15Bにおけるエンジン制御部18の起動完了とともに、エンジン制御部18により、異常検知部24において、複写機のカバーなどがインターロック状態であり、且つ紙詰まりなどのその他の異常がないことが検知されるか否かか判別され(ステップS18)、全て異常がないと検知されない場合(ステップS18;NO)、いずれかの異常が検知されており、操作者によりカバーなどが閉じられるインターロック状態までの待機又は異常回復の待機が行われ(ステップS19)、ステップS18に移行され、エンジン制御部18により、全て異常がないと検知された場合(ステップS18;YES)、異常検知部24から入力された異常無しの旨の検知信号に基づいて、第2の電源制御部16Aにより、電源制御信号が生成及び出力されてDC電源部13に入力され、そして、第2の電源制御部16Aから入力された電源制御信号に基づいて、DC電源部13により、第3のDC電源出力が生成されてモータ22等に入力され(ステップS20)、また、エンジン制御部18によりメインリレー19がオンされて、交流電源8から出力されるAC電源電力がAC駆動部14に入力されるとともに、エンジン制御部18から制御信号が出力されてAC駆動部14及びモータ22等に入力され、AC電源電力及び制御信号の入力により、AC駆動部14からACの加熱電力が生成及び出力されて定着加熱部(誘導コイル)21に入力され、定着加熱部21により定着ローラ20(の加熱ローラ20A)が加熱されてウォーミングアップされ(ステップS21)、 そして、エンジン制御部18により、第3のDC電源出力及び制御信号が入力されたモータ22の予備回転補正等の、全体制御部17Aの起動完了を要しない各種予備動作が実行され(ステップS22)、また、初期通信が確立した場合(ステップS17;YES)、全体制御部17Aにより、全体制御部17Aの起動完了を要する各種予備動作が実行され(ステップS23)、画像形成起動処理を終了して、通常の画像形成動作が可能な状態とすることにより、
全体制御部17Aの起動完了よりも早く定着器60の通電(加熱)と、全体制御部17Aの起動完了を要しない予備動作とが実行でき、全体制御部17Aの起動時間の影響を軽減して、電源投入から画像形成可能状態にするまでの時間を短縮し、また、全体制御部17A及びエンジン制御部18を並行して起動を開始するので、エンジン制御部18をより早く起動完了でき、全体制御部17Aの起動時間の影響を軽減して、電源投入から画像形成可能状態にするまでの時間をより短縮することは、
当業者が引用発明2に基づいて容易に想到することができたものである。

(3)上記(2)のようになした引用発明1は、前記「メモリモジュール」が前記「メモリスロット」に装着されていないことに加え、異常検知部24において、複写機のカバーなどがインターロック状態であり、且つ紙詰まりなどのその他の異常がないと検知されること、すなわち、「当該画像形成装置がトラブル状態でないこと」、および、副電源スイッチ15がオンされ、その結果、副電源スイッチ15から起動信号が出力されて第1の電源制御部171及び第2の電源制御部16Aに入力され、起動信号の入力により第2の電源制御部16Aから予め設定された所定の設定条件に基づく電源制御信号が生成及び出力されてDC電源部13に入力され、電源制御信号の入力により、DC電源部13からDCの第2のDC電源出力が生成及び出力されること、すなわち、「DC電源装置がオフになっていないこと」を、前記「起動開始条件」に含むものであり、ICカード1の未装着を認識し、副電源スイッチ15がオンされていると判別され、異常検知部24において、全て異常がないと検知された場合、すなわち、前記「起動開始条件」が整った状態となったとき、「全体制御部17Aとエンジン制御部18との両方の起動が実行完了されることを必要とする、全体制御部17Aとエンジン制御部18との間での初期通信の確立」を待つことなく、定着加熱部21により定着ローラ20(の加熱ローラ20A)を加熱してウォーミングアップし(ステップS21)、 そして、モータ22の予備回転補正等の、全体制御部17Aの起動完了を要しない各種予備動作を実行する(ステップS22)、すなわち、前記「許可信号生成手段」が「起動許可信号」を出力するものである。
したがって、引用発明1において、前記「メモリモジュール」が前記「メモリスロット」に装着されていないことに加え、「当該画像形成装置がトラブル状態でないこと」、および、「DC電源装置がオフになっていないこと」を、前記「起動開始条件」に含ませ、かつ、該「起動開始条件」が整った状態となったときに前記「許可信号生成手段」が「定着器の加熱を含む前記電子写真プロセスのための準備動作を開始させる起動許可信号」を出力するようになすこと、すなわち、引用発明1において、上記相違点1及び2に係る本願発明の構成となすことは、上記(2)からみて、当業者が引用発明2に基づいて容易に想到することができたものである。

(4)本願発明の奏する効果は、引用発明1の奏する効果及び引用発明2の奏する効果から当業者が予測することができた程度のことである。

(5)以上のとおりであるから、本願発明は、当業者が引用例1に記載された発明及び引用例2に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。

6 むすび
本願発明は、当業者が引用例1に記載された発明及び引用例2に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-07-31 
結審通知日 2013-08-06 
審決日 2013-08-26 
出願番号 特願2008-155803(P2008-155803)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G03G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 後藤 孝平  
特許庁審判長 小牧 修
特許庁審判官 西村 仁志
清水 康司
発明の名称 画像形成装置およびその起動制御方法  
代理人 久保 幸雄  

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