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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03B |
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管理番号 | 1280470 |
審判番号 | 不服2012-25918 |
総通号数 | 168 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-12-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-12-27 |
確定日 | 2013-10-11 |
事件の表示 | 特願2006- 93260「プロジェクタ及びプログラム、画像投影方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年10月11日出願公開、特開2007-264565〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成18年3月30日の出願であって、平成23年10月19日付けで拒絶理由が通知され、同年12月21日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正書が提出され、その後、平成24年9月28日付けで拒絶査定がなされた。本件は、これに対して、同年12月27日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。 第2 本願発明について 1.本願発明 本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成23年12月21日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「光源と、 前記光源から出射された光を光学系を介してスクリーン上に投影する投影手段と、 ポインタにより前記スクリーン上に照射された輝点を検知する光検知手段と、 前記輝点が検知されなくなってから一定時間が経過すると、暗画像動作が行われるように制御する制御部とを備えることを特徴とするプロジェクタ。」 2.引用刊行物 (1)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である、特開2005-301307号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は、当審が付した。) (a)「【発明を実施するための最良の形態】 【0011】 図1は本発明の投写型表示システムの実施形態の要部概略図である。同図は、投写型表示装置201と、そのリモートコントローラ兼レーザーポインター(ポインティングデバイス)301の外観を示している。 【0012】 図1において201は投写型表示装置、11は投写レンズ、12は各種センサの窓である。13a,13bは外部音声入力用の左チャンネルと右チャンネル用のマイクロホン、14は投写型表示装置の動作状態を使用者に伝える表示パネル、15は各種の動作を行う操作パネル、16はリモートコントローラ301からの信号を受信する全方位受信可能なドーム窓、17a,17bは音声出力用の左チャンネルと右チャンネルのスピーカー、18aは投写型表示装置の上下方向の傾きを調節するチルト足である。 【0013】 301はリモートコントローラ兼レーザーポインター(以下「レーザーポインター」と略す)、311は投写型表示装置201をリモート(遠隔)操作するための操作ボタン群、312はレーザーポインター301を発光させる発光ボタン、313はレーザーポインター用の送信窓である。」 (b)「【0017】 図9は投写型表示装置の筐体内の一部の内部構成要素の説明図である。図9において22は光源手段であるランプであり、光源部と反射鏡を有している。89と90はランプ22からの照明光束の形状を円形から直方形に変形するフライアイインテグレータ、91はランプ22からの光を1つの偏光波、例えばS波にそろえるPS変換手段としてのプリズム、92はランプ22からの白色光を複数の色光、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の3つの色光に分光するダイクロイックミラー等の分光手段、24は緑(G)光の変調用の液晶素子(液晶パネル)、この他にも赤(R)色光と青(B)色光の液晶パネルがある(但し、R,B用の液晶素子は不図示)。 【0018】 93はR,G,Bの3色の変調光を合成するクロスダイクロイックプリズム、94は投写レンズ11をメカニカルに駆動制御するレンズモータ群であり、投写レンズ11をクロスダイクロイックプリズム93の光出射面93aと平行な面内で上下、左右方向にシフトさせるシフトモーターと、投写レンズ11の焦点距離を変化させて変倍するズームモーターと、投写レンズ11のスクリーン(不図示)に対するピントを合わせるフォーカスモーター等を含んでいる。95は投写型表示装置201の筐体全体を主に傾けるためのチルトモータ群で、チルト足18a,18bを駆動制御している。 【0019】 96はCCD等のエリア撮像センサ、97は結像レンズである。各要素96と97はスクリーン面上の各群の情報を検出するスクリーンセンサ33を構成している。 【0020】 図10は投写型表示装置で投写される投写画面87内にレーザーポインター301でマーカーとしての矢印(ポインター)98を投影した説明図、図11は投写画面87内に表示された操作メニュー99とマーカーとしての矢印98の説明図、図12はレーザーポインター301によるポインティング作業のフローチャートである。 【0021】 次に本実施形態の各種の機能(作用)について説明する。 【0022】 投写型表示装置の操作は、図1の操作パネル15の操作又はレーザーポインター301をリモートコントローラとして使い、投写型表示装置201の受信ドーム窓16に向けて、例えば赤外線信号を送信して操作している。更には、レーザーポインター301を用いて投写型表示装置201で画像を投写する為の投写スクリーン81にポインター98を投射し、これをスクリーンセンサ33でポインター98の位置を検出し、スクリーン81に投写された投写型表示装置の操作メニュー99を選択して操作するようにしている。」 (c)「【0041】 次に、スリープサブルーチンについて図7をもとに説明する。まず図2の映像判定回路39にて、表示映像の内容が所定時間以上変化しないことを検出する。次に、表示画面内のポインターが所定時間以上変化しないことを検知する。この場合のポインターとしては図11に示すレーザーポインターからのマーカー98であってもよいし、接続されたパーソナルコンピュータのマウスが作り出すマーカーであっても良い。更に図1,図2のマイク13a,13bが投射型表示装置の周辺の音を検知し、所定時間以上変化しないことを検知する。 【0042】 以上の各機能のうち少なくとも1つの機能が動作しているか否かを動作検知手段で検知し、この結果少なくとも1つ検知された場合に制御手段25でランプ22を減光し、電力消費量を低減する。以上の3つの信号に変化があった場合は、通常モードを立上げ、ランプ22の光量を元に戻す。」 (d)「 」 (e)「 」 (f)「 」 (g)「 」 (h)「 」 上記引用文献1の記載事項(c)の「以上の各機能のうち少なくとも1つの機能が動作しているか否かを動作検知手段で検知し、この結果少なくとも1つ検知された場合に制御手段25でランプ22を減光し」という記載は、「表示映像の内容が所定時間以上変化しないこと」、「表示画面内のポインターが所定時間以上変化しないこと」、「投射型表示装置の周辺の音を検知し、所定時間以上変化しないこと」のうちの1つである「表示画面内のポインターが所定時間以上変化しないこと」が検知された場合に「制御手段25でランプ22を減光」する構成を含むことは明らかであるから、引用文献1には、以下の発明が記載されている。 「光源手段であるランプ22と、フライアイインテグレータ89、90と、PS変換手段としてのプリズム91と、ダイクロイックミラー等の分光手段92と、液晶パネルと、クロスダイクロイックプリズム93と、投写レンズ11により、画像を投写スクリーン81に投写する投写型表示装置201において、 レーザーポインター301を用いて投写スクリーン81にポインター98を投射し、これをスクリーンセンサ33でポインター98の位置を検出し、 表示画面内のポインター98が所定時間以上変化しないことを検知すると、制御手段25でランプ22を減光する投写型表示装置201。」(以下「引用発明」という。) 3.対比 (1)本願発明と引用発明との対比 (a)引用発明の「光源手段であるランプ22」は、本願発明の「光源」に相当する。 (b)引用発明の「投写スクリーン81」が本願発明の「スクリーン」に相当するから、引用発明の「フライアイインテグレータ89、90と、PS変換手段としてのプリズム91と、ダイクロイックミラー等の分光手段92と、液晶パネルと、クロスダイクロイックプリズム93と、投写レンズ11」は、本願発明の「前記光源から出射された光を光学系を介してスクリーン上に投影する投影手段」に相当する。 (c)引用発明の「レーザーポインター301」及び「ポインタ-98」は、本願発明の「ポインタ」及び「輝点」に相当するから、引用発明の「レーザーポインター301を用いて投写スクリーン81に」「投射」された「ポインター98の位置を検出」する「スクリーンセンサ33」は、本願発明の「ポインタにより前記スクリーン上に照射された輝点を検知する光検知手段」に相当する。 (d)引用発明の「制御手段25でランプ22を減光する」ことは、本願発明の「暗画像動作が行われるように制御する制御部とを備える」ことに相当するから、引用発明の「表示画面内のポインター98が所定時間以上変化しないことを検知すると、制御手段25でランプ22を減光する」ことと、本願発明の「前記輝点が検知されなくなってから一定時間が経過すると、暗画像動作が行われるように制御する制御部とを備える」こととは、「前記輝点の所定の状態が一定時間以上継続すると、暗画像動作が行われるように制御する制御部とを備える」ことで一致する。 (e)引用発明の「投写型表示装置201」は、本願発明の「プロジェクタ」に相当する。 (2)一致点 してみると、両者は、 「光源と、 前記光源から出射された光を光学系を介してスクリーン上に投影する投影手段と、 ポインタにより前記スクリーン上に照射された輝点を検知する光検知手段と、 前記輝点の所定の状態が一定時間以上継続すると、暗画像動作が行われるように制御する制御部とを備えるプロジェクタ。」で一致し、次の点で相違する。 (3)相違点 暗画像動作が行われるための輝点の所定の状態が、本願発明では、輝点が検知されないことであるのに対して、引用発明では、表示画面内のポインター98が変化しないことである点。 4.判断 上記相違点について検討する。 引用文献1の段落【0041】に記載された「表示画面内のポインターが所定時間以上変化しないこと」が、プレゼンテーションを行う者がプレゼンテーションにおいてスクリーン上の画像を使用していないときに生じることは、当業者には技術常識であることを考慮すれば、引用発明の「表示画面内のポインターが所定時間以上変化しないことを検知すると、制御手段25でランプ22を減光する」構成は、プレゼンテーションにおいてスクリーン上の画像を使用していないときに、ランプを減光することにより電力消費量を低減するための構成であることは、当業者には自明のことである。 また、プレゼンテーションを行う者が、プレゼンテーションにおいてスクリーン上の画像を使用していないときに、レーザーポインターを消灯する等して、スクリーン上にレーザーポインターによる輝点を投射しないようにすることは,当業者における技術常識である。 すると、プレゼンテーションを行う者が、プレゼンテーションにおいてスクリーン上の画像を使用していないことを検知するために、引用発明の「表示画面内のポインターが所定時間以上変化しないことを検知する」構成に換えて、所定時間以上レーザーポインターを消灯する等して、スクリーン上にレーザーポインターによる輝点を投射しないようにしていることを検知する、すなわち、輝点が検知されなくなってから一定時間が経過したことを検知する構成として、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到し得ることである。 そして、本願発明が奏し得る効果は、引用発明及び技術常識から当業者が予測し得る範囲のものであって格別なものではない。 したがって、本願発明は、引用発明及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第3 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-07-01 |
結審通知日 | 2013-07-23 |
審決日 | 2013-08-05 |
出願番号 | 特願2006-93260(P2006-93260) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G03B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 青木 洋平 |
特許庁審判長 |
伊藤 昌哉 |
特許庁審判官 |
北川 清伸 土屋 知久 |
発明の名称 | プロジェクタ及びプログラム、画像投影方法 |