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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B60S
管理番号 1280521
審判番号 不服2011-21215  
総通号数 168 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-12-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-08-30 
確定日 2013-10-15 
事件の表示 特願2008-259400号「積層ピボットを持つ窓拭装置」拒絶査定不服審判事件〔平成21年1月15日出願公開、特開2009-7005号公報〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
1.手続の経緯
本願は,平成18年3月14日(以下,「遡及出願日」という)に出願した特願2006-109164号の出願の一部を平成20年10月6日に新たな特許出願としたものであって,平成23年6月7日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成23年9月1日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に特許請求の範囲及び明細書並びに図面を対象とする手続補正がなされ,この補正は平成24年11月15日付けで補正の却下の決定がなされ,同日付けで当審より拒絶理由が通知され,これに対し平成25年1月20日付けで手続補正書が提出された。
そして、平成25年4月15日付けで拒絶理由が通知され,平成25年6月24日付けで意見書が提出されたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明は,平成25年1月20日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認められる(以下、「本願発明)という)。

「【請求項1】
同心円で積層したピボット・シャフトを持つ窓拭装置」

3.引用刊行物
刊行物1:特開昭57-194140号公報
刊行物2:実用新案登録第3103587号公報
刊行物3:実願昭48-41719号(実開昭49-143013号)の マイクロフィルム
刊行物4:特表2002-508479号公報

4.引用刊行物の記載事項
(刊行物1)
遡及出願日よりも前に頒布された刊行物である刊行物1には,「自動車用ウインドウオツシヤ装置」に関して,以下の事項が図面とともに記載されている。
(ア)「ウインドガラスを払拭するワイパーブレードを支持し,モータに連動してワイパーブレードを往復動させるように往復回転する中空のワイパー軸と,該ワイパー軸の中空部に嵌合され,ワイパー軸の回動に伴つて従動し,かつ,ウインドガラスに向けて洗浄液を散布するノズルを上端に支持したノズルパイプ・・・」(「特許請求の範囲」)
(イ)「該ノズルパイプ29の上部は,上記基部リング23に固定したカバー30から突出させて,その上端部に,ウインドガラス6に洗浄液を散布するノズル10を固着すると共に,該ノズルパイプ29の下部は,上記液送入チューブ11に接続する」(第2頁右上欄第6行?11行)
(ウ)「ノズルパイプを中空のワイパー軸に挿通した構造としたためカウル内に占める装置のスペースを少なくすることができる。」(第2頁右下欄第12行?14行)

以上の記載事項及び図面の記載からみて刊行物1には下記の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

(引用発明)

「ワイパーブレードと、ワイパーブレードを支持し回動するワイパー軸が中空であり,上端にノズルを有し,洗浄液を通すノズルパイプが前記中空部に挿通される自動車用ウインドウオッシャ装置を有するワイパー装置。」

(刊行物2)
遡及出願日よりも前に頒布された刊行物である刊行物2には,以下の事項が記載されている。
(エ)「本考案は、ウインドガラスに付着した油膜をよりキレイに取り除く事を目的に考案したもの、ウインドウオッシャー液、噴射口の並びに油膜取り液の、噴射口を樹脂材で一体化した噴射装置に形成したもので、乗用車、バス、トラックのウインドガラスに、油膜が付着し、今まで見えにくかった前方の視界が、油膜取り液を噴射して、ワイパーブレード装置で、ウインドガラスに拡散し、ギラついた油膜をよりキレイに取り除き、前方の視界を良好にして、安全走行を確保するウインドクリーンウオッシャー装置。」(【実用新案登録の範囲】【請求項1】)
(オ)「ウインドウオッシャー液噴射口に、油膜取り液噴射口を樹脂材で一体化形成した。」(段落【0004】)
(カ)「図は本考案実施の一例を示すもので(1)は噴射装置を示し、ウインドウオッシャー液噴射口と、油膜取り液噴射口を樹脂材で一体化形成したもの(2)は油膜取り液噴射口を示し、油膜とり液流路を確保した噴射口、ウオッシャー液で取れない油膜をよりキレイに取り除く装置(3)はウインドウオッシャー液噴射口示し、ウインドガラスに付着した汚れを洗いながす装置(4)は自動車のボディを示す(5)は油膜取り液流路を示す(6)はウインドウオッシャー液流路を示す(7)はウインドガラスを示す(8)はウインドウオッシャー液を示す、ウインドガラスに付着した汚れを洗い流す液。(9)は油膜取り液を示す、ウインドガラスに付着した油膜をよりキレイに洗い流す液(10)は、バス、トラック用の噴射装置を示す、装置の形は円筒形と異なるが、油膜取り噴射口を設けた噴射装置(11)はウインドウオッシャー液噴射口を示す(12)は油膜取り液噴射口を示す(13)はウインドウオッシャー液の流路を示す(14)は油膜取り液の流路を示す、雪や雨降りの運転で、ウインドガラスに付着して、ギラついた油膜で視界が悪く、対向車のライトの光で目がくらみ危険を感じていたが、油膜取り液を噴射することにより、ウインドガラスの油膜を取り除き視界を広げて快適に安全運転が可能になるウインドクリーンウオッシャー装置。」(段落【0006】)
(キ)刊行物2の図4及び図5から「ウインドクリーンウオッシャー装置10であって,前記装置は円筒形であり,内部にウインドウオッシャー液流路(13)と,これよりも短い長さの油膜取り液流路(14)とが並列して形成されて,それぞれの流路の上端に,それぞれの液の噴射口(11)と(12)が高さの異なる位置に設けられている,自動車用ウインドクリーンウオッシャー装置」が看取できる。

(刊行物3)
遡及出願日よりも前に頒布された刊行物である刊行物3には,以下の事項が記載されている。
(ク)「この考案の趣旨とするところは、それぞれ径を異にする多数の管体を同心的に配して隣合う2管体間の間隙と中心部に位置する最小径管体内とを流体通路に形成すると共に、この管体集合体の両端部に、それぞれ前記各流体通路に連数する通路孔を形成せる管体集合体のホルダーを設けたことを特徴としてなる流体用の複合回路装置にある。」(第2頁第14行?20行)
(ケ)「そしてこの実施例の複合回路装置端部は特にロータリージョイントに構成されていて、厚肉鋼管3と鋼管4a,4b・・・とは、図示されていない他端部のホルダーによって一体的に連結されていて、第3図に図示の矢印のように所要時に所要量、一方向または他方向に回転せしめ得る」(第4頁第11行?16行)

(刊行物4)
遡及出願日よりも前に頒布された刊行物である刊行物4には,以下の事項が記載されている。
(コ)「・・・同軸をなしかつ同空間を占める1つ以上の上記管状体の内部の中央管状体は,その中に長手方向に伸びるガスまたは液体通路を形成していてもよい・・・」(段落【0008】)
(サ)「・・・上記構造要素の対を回転可能に互いに連結するためのベアリング連結部材を備えていてもよく,旋回およびベアリング連結部材の少なくともいくつかは,電気モータなどの電動式のアクチュエータを含んでいてもよい。・・・」(段落【0014】)

5.対比・判断
本願発明と引用発明とを対比すると,それぞれの有する機能からみて,引用発明の「ワイパーブレードを支持し回動するワイパー軸」は本願発明の「ピボット・シャフト」に相当する。また引用発明の「ワイパー装置」は本願発明の「窓拭装置」に相当する。
したがって,本願発明と引用発明は本願発明の用語を使用して記載すると下記の一致点及び相違点を有する。

(一致点)

「ピボット・シャフトを持つ窓拭装置」

(相違点)
本願発明では,ピボット・シャフトが同心円で積層したものであるのに対して,引用発明では,そのようなものでない点。

相違点について検討する。

刊行物2には,前記(エ)から(キ)の記載から、自動車のウインドウに向けて液体を噴射する装置において,流路を並行して円柱状の軸内に設け,ウインドウオッシャー液と油膜取り液の2種類の液体がそれぞれ通過する2つの流路を一体形成することが示されている。
また、刊行物3ないし4に示されているように、回転可能であって,円筒状のものを同心円で積層し,複数の液体等が通過する複数の流路を形成したものは周知の事項である。
してみると、当業者が、刊行物1,2記載の発明に基づき、車両のウインドウを洗浄する複数液体の流路を設るために引用発明のノズルパイプにより一つの流路を設けたワイパー軸(ピボット・シャフト)に代えて,前記周知の事項を採用して,同心円に積層したピボット・シャフトとすることは容易に想到しうることである。さらに、本願発明の奏する効果を検討しても、引用発明、刊行物2に記載された発明および前記周知の事項から、当業者が予測しうる範囲内のものであって、格別のものとはいえない。


6.むすび

したがって,本願発明は,引用発明,刊行物2に記載された発明および周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-07-25 
結審通知日 2013-07-30 
審決日 2013-08-22 
出願番号 特願2008-259400(P2008-259400)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B60S)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 米山 毅  
特許庁審判長 大熊 雄治
特許庁審判官 原 泰造
山口 直
発明の名称 積層ピボットを持つ窓拭装置  

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