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審決分類 |
審判 査定不服 特37 条出願の単一性( 平成16 年1 月1 日から) 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61B |
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管理番号 | 1280538 |
審判番号 | 不服2012-12840 |
総通号数 | 168 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-12-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-07-05 |
確定日 | 2013-10-15 |
事件の表示 | 特願2007-504965「中空体器官内の組織および/または構造を支持するためのデバイス、システムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成17年11月3日国際公開、WO2005/102181、平成19年11月1日国内公表、特表2007-530136〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本件出願は、平成17年2月22日(パリ条約による優先権主張 平成16年3月24日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成23年3月11日付けで手続補正がなされた後、同年6月7日付けで拒絶理由が通知され、平成24年2月28日付けで拒絶査定がなされた。 本件は、同査定を不服として平成24年7月5日に請求された拒絶査定不服審判事件であって、請求と同時に手続補正及び誤訳訂正がなされた。 その後、前置審査において平成24年10月5日付けで拒絶理由を通知したところ、請求人からは何らの応答もなかった。 2 本願発明 平成24年7月5日付け手続補正による補正は、いわゆる新規事項を追加するものではなく、平成23年3月11日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1及び7の発明特定事項である「引張りエレメント」について、「少なくとも一つの引張りエレメントは第1および第2のインプラントを相互に繋ぐための繋ぎエレメントを備える」と限定することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。そして、その限定事項は、平成23年6月7日付け拒絶理由で提示された引用文献には記載ないし示唆がなく、また、当該限定事項を付加することが当業者に容易想到であるとするその他の証拠、及び、その限定された発明について、独立して特許を受けることができないとするその他の理由を発見できない。 したがって、平成24年7月5日付け手続補正による補正は適法なものといえるから、本願の請求項1ないし27に係る発明(以下、それぞれを「本願発明1」ないし「本願発明27」という。)は、平成24年7月5日付け手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし27に記載された以下のとおりのものである。 「【請求項1】 中空体器官内の組織の第1の区域に貫入する寸法および形状とされた第1のインプラントと、 第1の区域から空間的に区別される、中空体器官内の組織の第2の区域に貫入する寸法および形状とされる第2のインプラントと、そして 第1および第2のインプラントへ張力を適用しそれにより組織を内方へ引張り、中空体器官の減少した内部を規定する少なくとも一つの引張りエレメントを備え、 第1および第2のインプラントの少なくとも一方は組織中へ回転駆動することによって組織内に固定することができるらせん形固定具を備え、そして 少なくとも一つの引張りエレメントは第1および第2のインプラントを相互に繋ぐための繋ぎエレメントを備える、 中空体器官内の組織を支持するためのシステム。 【請求項2】 引張りエレメントは第1および第2のインプラントの間の組織を折る請求項1のシステム。 【請求項3】 組織へ固定され、そして第1および第2のインプラントの間の折り目の上に横たわるパッチエレメントをさらに含んでいる請求項2のシステム。 【請求項4】 第1および第2のインプラントは、中空体器官内の組織の空間的に区別される区域へ貫入するインプラントの列の一部であり、そして引張りエレメントはインプラントの列へ張力を適用し、それにより組織を内方へ引張る請求項1のシステム。 【請求項5】 第1および第2のインプラントは、各自組織中へ回転駆動することによって組織内に固定することができるらせん形固定具を含んでいる請求項1のシステム。 【請求項6】 引張りエレメントは、それぞれ第1および第2のインプラントへ接続された第1および第2の繋ぎエレメントを含み、そして第1および第2の繋ぎエレメントを一緒にぴんと張った状態に集合する少なくとも1個のクリップエレメントを含んでいる請求項1のシステム。 【請求項7】 中空体器官内の組織の第1の区域に貫入する寸法および形状とされた第1のインプラントと、 第1の区域から空間的に区別される、中空体器官内の組織の第2の区域に貫入する寸法および形状とされた第2のインプラントと、そして 第1および第2のインプラントに張力を適用し、それによって第1および第2のインプラント間に組織折り目を創出する、第1および第2のインプラント間に延びる少なくとも一つの引張りエレメントを備え、 第1および第2のインプラントの少なくとも一方は組織中へ回転駆動することによって組織内に固定することができるらせん形固定具を備え、そして 少なくとも一つの引張りエレメントは第1および第2のインプラントを相互に繋ぐための繋ぎエレメントを備える、 中空体器官内に組織折り目を形成するためのシステム。 【請求項8】 組織へ固定され、そして組織折り目の上に横たわるパッチエレメントをさらに含んでいる請求項7のシステム。 【請求項9】 第1および第2のインプラントは、中空体器官内の空間的に区別される区域へ貫入するインプラントの列の一部であり、そして引張りエレメントは隣接するインプラントの間に張力を適用しそしてそれにより組織折り目のパターンを創出する、インプラント列の間を延びている請求項7のシステム。 【請求項10】 組織へ固定され、そして組織折り目パターンの上に横たわるパッチエレメントをさらに含んでいる請求項9のシステム。 【請求項11】 第1および第2のインプラントは、各自組織中へ回転駆動することによって組織内に固定することができるらせん形固定具を含んでいる請求項7のシステム。 【請求項12】 引張りエレメントは第1および第2のインプラント間を延びるぴんと張った繋ぎエレメントを含んでいる請求項7のシステム。 【請求項13】 中空体器官のサイズおよび/または形状を規制するため中空器官内側に配置のための寸法および形状とされた補てつ物、および 中空体器官内の組織へ補てつ物を固定するための少なくとも1個のらせん形固定具を含み、少なくとも1個のらせん形固定具は組織中へ回転駆動することによって組織内に固定される、中空体器官内の組織を支持するためのシステム。 【請求項14】 各自組織中へ回転駆動することによって組織内に固定される第1のらせん形固定具および第2のらせん形固定具を含んでいる請求項13のシステム。 【請求項15】 補てつ物は補てつパッチの列を含んでいる請求項13のシステム。 【請求項16】 補てつ物は成形した本体を含んでいる請求項13のシステム。 【請求項17】 補てつ物は補てつ物セクションのアセンブリを含んでいる請求項13のシステム。 【請求項18】 中空体器官のサイズおよび/または形状を規制するため中空体器官の外側に配置のための寸法および形状とされた補てつ物、および 中空体器官上の組織へ補てつ物を固定する少なくとも1個の固定具を含んでいる、中空体器官のまわりに組織を支持するためのシステム。 【請求項19】 少なくとも1個の固定具はらせん形固定具を含んでいる請求項18のシステム。 【請求項20】 補てつ物は補てつパッチの列を含んでいる請求項18のシステム。 【請求項21】 補てつ物は成形した本体を含んでいる請求項18のシステム。 【請求項22】 補てつ物は補てつセクションのアセンブリを含んでいる請求項18のシステム。 【請求項23】 中空体器官のサイズおよび/または形状を規制するため全部または一部が組織壁内で曲線路に沿って組織へ貫入しそして延びる寸法および形状とされた細長いインプラントを含む、中空体器官内の組織を支持するためのシステム。 【請求項24】 細長いインプラントはらせん形である請求項23のシステム。 【請求項25】 中空体器官のサイズおよび/または形状を規制するための膨張し得るセグメントを含んでいる、中空体器官内に配置のための寸法および形状とされた補てつ物と、そして 中空体器官内の組織へ補てつ物を固定する少なくとも1個の固定具を含んでいる、中空体器官内の体積を減少させるためのシステム。 【請求項26】 膨張し得るセグメントは、流体の受入れに応答して膨張する寸法および形状にされている請求項25のシステム。 【請求項27】 補てつ物は、中空体器官内に配置のための寸法および形状とされた補てつ物本体を含み、補てつ物本体は中空体器官の寸法および/または形状を規制するための膨張し得るセグメントを含み、膨張し得るセグメントは流体の受入れに応答して膨張する寸法および形状とされている、中空体器官内の体積を減少させる補てつ物である、請求項25のシステム。」 3 拒絶理由 前置審査において平成24年10月5日付けで通知した拒絶理由は、「この出願は、下記の点で特許法第37条に規定する要件を満たしていない。」というものであって、以下の点を指摘している。 「請求項1記載の発明のさきに示した先行技術(国際公開第03/045467号)に対する特別な技術的特徴は「少なくとも一つの引張りエレメントは第1および第2のインプラントを相互に繋ぐための繋ぎエレメントを備える」点にあると認められるところ、請求項13?27記載の発明は当該点を有しない。 よって、請求項13?27記載の発明は請求項1記載の発明と同一又は対応する特別な技術的特徴を有するものではなく、単一性の要件を満たさない。」というものである。 4 検討・判断 上記3の拒絶理由について検討する。 特許法第37条が委任する経済産業省令で定める技術的関係とは、特許法施行規則第25条の8第1項及び第2項に、「二以上の発明が同一の又は対応する特別な技術的特徴を有していることにより、これらの発明が単一の一般的発明概念を形成するように連関している技術的関係」であって、当該特別な技術的特徴とは、「発明の先行技術に対する貢献を明示する技術的特徴」であると規定されている。 これを本願発明1ないし12(以下「前者」という。)と、本願発明13ないし27(以下「後者」という。)についてみると、前者は、「中空体器官の減少した内部を規定」するという課題達成のため、先行技術である国際公開第03/045467号に開示された技術に対して、「第1および第2のインプラントを相互に繋ぐための繋ぎエレメント」を引張りエレメントとして用いるという貢献を明示する技術的特徴を有することにより、「中空体器官内の組織を支持」あるいは「中空体器官内に組織折り目を形成」して、前記課題を達成することができるという単一の一般的発明概念を形成するように連関するといえる。 一方、後者は、「中空体器官のサイズおよび/または形状を規制する」という点で、解決すべき課題の面からは、「中空体器官の減少した内部を規定」するという前者の発明概念と軌を一にするといえるものの、前者が有する「第1および第2のインプラントを相互に繋ぐための繋ぎエレメント」を引張りエレメントとして用いるという、先行技術に対する貢献を明示する技術的特徴を有していない。 してみると、前者と後者は、特許法第37条に規定する発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するとはいえないから、本件出願は、特許法第37条に規定する要件を満たしていない。 したがって、平成24年10月5日付けで通知した拒絶理由は妥当なものである。 5 まとめ 以上のとおり、本件出願が特許法第37条に規定する要件を満たしていないとして、平成24年10月5日付けで通知した拒絶理由は妥当なものであるから、本件出願は、その拒絶理由によって拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-05-07 |
結審通知日 | 2013-05-14 |
審決日 | 2013-05-27 |
出願番号 | 特願2007-504965(P2007-504965) |
審決分類 |
P
1
8・
65-
WZ
(A61B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 井上 哲男 |
特許庁審判長 |
村田 尚英 |
特許庁審判官 |
高木 彰 横林 秀治郎 |
発明の名称 | 中空体器官内の組織および/または構造を支持するためのデバイス、システムおよび方法 |
代理人 | 赤岡 迪夫 |