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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) E04B
管理番号 1280566
審判番号 不服2012-15195  
総通号数 168 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-12-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-08-06 
確定日 2013-10-18 
事件の表示 特願2006- 47030「調湿建材」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 9月 6日出願公開、特開2007-224600〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成18年2月23日の出願であって、平成24年4月26日付けで拒絶査定がされ、この査定に対し、平成24年8月6日に本件審判が請求されたものである。

第2 本願発明について
1.本願発明
本願の請求項1?10に係る発明は、本願の特許請求の範囲の請求項1?10に記載された事項によって特定されるものと認められるところ、そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである。
「【請求項1】
調湿建材本体の表面に、光触媒粒子が担持された調湿建材であって、
前記光触媒粒子の50%以上が、1.0μmを超えて10.0μm以下の粒径を有していることを特徴とする調湿建材。」

2.引用刊行物とその記載事項
(1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開2002-348183号公報(以下、「刊行物1」という)には、浄化機能を有する調湿建材及びその製造方法に関し、図面とともに、次の技術的事項が記載されている。
(ア)「【請求項1】 多孔質の調湿建材本体と、該調湿建材本体の表面付近に担持された光触媒とを有する浄化機能を有する調湿建材において、
該光触媒は、該光触媒含有液を該調湿建材本体に付着させることにより担持されたものであることを特徴とする浄化機能を有する調湿建材。」
(イ)「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、浄化機能を有する調湿建材と、その製造方法に関するものであり、特に光触媒を表面付近に担持させて浄化機能を持たせるようにした調湿建材と、その製造方法とに関する。」
(ウ)「【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の浄化機能を有する調湿建材は、多孔質の調湿建材本体と、該調湿建材本体の表面付近に担持された光触媒とを有する浄化機能を有する調湿建材において、該光触媒は、該光触媒含有液を該調湿建材本体に付着させることにより担持されたものであることを特徴とするものである。
【0012】本発明の浄化機能を有する調湿建材の製造方法は、多孔質の調湿建材本体の表面に光触媒含有液を付着させた後、乾燥させることにより、該調湿建材本体の表面付近に光触媒を担持させることを特徴とするものである。
【0013】かかる本発明によって提供される浄化機能を有する調湿建材は、光触媒が調湿建材本体の表面の微細な凹部に多量に担持されるようになる。即ち、調湿建材本体の表面にスプレー等によって光触媒含有液が付着されたときに、該光触媒含有液が調湿建材本体の表面の凹部に集まるようになる。手垢やタバコのヤニなどのひどい汚れは、この調湿建材本体表面の凹部に付着し易いので、この凹部に光触媒が多量に存在すると、手垢やタバコのヤニなどが効率良く分解される。また、この凹部に担持された光触媒は、擦れ等によって剥れにくい。
【0014】さらに、光触媒の含有液を調湿建材本体の表面の全体に多量に付着させることができるので、光触媒の担持量を多くし、有害ガス等の分解を促進させることができる。」
(エ)「【0022】光触媒としては、酸化チタン(TiO2)や酸化亜鉛(ZnO)等を用いることができ、このような光触媒の含有液としては、好ましくは光触媒微粒子をバインダーと共に水及び/又はアルコールに分散させた光触媒分散液が挙げられる。この光触媒分散液の光触媒含有量は1?10重量%程度が好ましい。光触媒含有量がこの範囲よりも少ないと光触媒の付着効率が悪く、多いと分散液の取り扱い性等が悪くなる。なお、光触媒微粒子の平均粒径は5?1000nm程度であることが好ましい。」
(オ)「【0024】本発明では、このような光触媒分散液を、調湿建材本体にスプレー等により付着させることにより、調湿建材本体の表面付近に光触媒を担持させる。」

すると、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が開示されているものということができる。
「調湿建材本体の表面付近に担持された光触媒を有する調湿建材において、
該光触媒は、光触媒微粒子をバインダーと共に水及び/又はアルコールに分散させた光触媒分散液を該調湿建材本体に付着させることにより担持されたものである調湿建材。」

(2)原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開平11-264224号公報(以下「刊行物2」という。)には、消臭・防汚内外装仕上げ材に関し、次の技術的事項が記載されている。
(ア)「【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来壁仕上げ材として用いられている無機質結合材に無機系消臭剤、必要によりさらに光触媒を混合しておき、従来と同じ施工方法により塗布すると、本来の呼吸性、耐水性、耐候性、湿度調整機能を損なうこと無く、長期に亙り消臭、防汚機能を付加することができることを知見し、さらに研究を重ねて本発明を完成するに至った。」
(イ)「【0011】光触媒としては、たとえば、Cds,ZnSなどの硫化物半導体、TiO_(2),ZnO,SnO_(2),WO_(3)などの酸化物半導体が好ましく、特に酸化物半導体、例えばTiO_(2)などが好ましい。前記光触媒を構成する光半導体の結晶構造は特に制限されない。例えば、TiO_(2)は、アナターゼ型、ブルカイト型、ルチル型、アモルファス型などのいずれであってもよい。好ましいTiO_(2)には、アナターゼ型酸化チタンが含まれる。光触媒はゾルやゲル状で使用できると共に粉粒状で使用してもよい。光触媒を粉粒状で使用する場合、光触媒の平均粒子径は、光活性及び脱臭効率を損なわない範囲で選択でき、例えば、0.01?25μm、好ましくは0.05?10μm、さらに好ましくは0.05?5μm程度である。光触媒の使用量は、触媒活性を損なわない広い範囲から選択でき、例えば、無機消臭剤100重量部に対して1?1,000重量部、好ましくは10?750重量部、さらに好ましくは20?500重量部程度である。無機消臭剤、必要によりさらに光触媒で構成された消臭・防汚成分は、前記と同様に、混合ゲルなどのように共沈などにより複合化していてもよい。」
(ウ)「【0013】銀成分の含有量は、消臭・防汚成分全体に対して金属銀換算で0.1?10重量%、好ましくは0.5?8重量%、さらに好ましくは0.5?7重量%程度である。本発明の内外装仕上げ材における無機質結合材の使用割合は乾燥重量で全体の10?99%、好ましくは15?95%、さらに好ましくは20?93%程度であり、無機系消臭剤必要によりさらに光触媒からなる消臭・防汚成分の使用割合は1?80%、好ましくは2?60%、さらに好ましくは3?30%程度である。本発明の内外装仕上げ材は、粉体の場合水を加え混練することにより施工に適したスラリーとすることができる。」
(エ)「【0015】仕上げ材スラリーは、通常の漆喰壁や聚楽壁施工と同様の手順で、壁や天井に塗工される。塗工されたスラリーは、自然乾燥あるいは通風乾燥により乾燥固化して漆喰仕上げ層を形成する。仕上げ層の表面にさらに仕上げ加工を施すことができる。例えば、仕上げ層の表面を平らにしてから磨きをかけて、艶のある仕上げを施すことができる。表面を乾燥させる前に型で任意の模様を付けたり、掻き落したりすることもできる。また、塗り付けの手段としては鏝だけでなく、ローラーや刷毛を用いることができ、吹き付け機で吹き付けることもできる。さらに、意匠をつけた表面に、珪酸塩類を用いて消臭剤及び光触媒を担持させることもできる。仕上げ層を2層以上にし、表層のみに消臭剤を添加してもよい。この場合は全体に対する消臭剤の添加量が少なくてもよい。」

3.本願発明と引用発明との対比
(1)両発明の対応関係
引用発明において、「光触媒微粒子をバインダーと共に水及び/又はアルコールに分散させた光触媒含有液を該調湿建材本体に付着させる」ことは、これにより「調湿建材本体」に「光触媒粒子」が「担持され」ているので、本願発明において「調湿建材本体」に「光触媒粒子」が「担持」されていることに相当する。

(2)両発明の一致点
「調湿建材本体に光触媒粒子が担持された調湿建材」

(3)両発明の相違点
ア.光触媒粒子が、本願発明は、調湿建材の「表面」に担持されているのに対して、引用発明は「表面付近」に担持されている点。
イ.「光触媒粒子」が、本願発明は「光触媒粒子の50%以上が、1.0μmを超えて10.0μm以下の粒径を有している」のに対して、引用発明は、そうではない点。

4.本願発明の容易推考性の検討
(1)相違点ア.について
(a)刊行物2の記載事項(エ)には、建材に光触媒を担持させる方法として、光触媒が混合された「仕上げ材スラリー」を「壁や天井に塗工」するにあたり、「塗り付けの手段としては鏝だけでなく、ローラーや刷毛を用いることができ、吹き付け機で吹き付けることもできる。さらに、意匠をつけた表面に、珪酸塩類を用いて消臭剤及び光触媒を担持させることもできる。」ことが記載されている。
(b)この場合には、「仕上げ材スラリー」を「壁や天井に塗工」する「手段」としては鏝だけでなく、「ローラーや刷毛」あるいは「吹き付け機」を用いて塗工していることから、光触媒は建材である「壁や天井」の表面に担持されると解される。
(c)そして、引用発明の光触媒を担持させる手段として「ローラーや刷毛」あるいは「吹き付け機」を用いて塗工することにより、相違点ア.に係る発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たことである。

(2)相違点イ.について
(a)刊行物2の記載事項(イ)には、光触媒として用いる粒子の径に関して、「光触媒を粉粒状で使用する場合、光触媒の平均粒子径は、光活性及び脱臭効率を損なわない範囲で選択でき、例えば、0.01?25μm、好ましくは0.05?10μm、さらに好ましくは0.05?5μm程度である」と記載されていることから、光触媒として用いる粒子の径は、刊行物1の記載事項(エ)の「5?1000nm程度であることが好ましい」とされた径に限られることなく、光活性の効果等を考慮して、適宜選択し得るものである。
(b)そして、刊行物2において「好ましくは0.05?10μm」、「さらに好ましくは0.05?5μm程度」の形態と記載されているように、「5μm」がさらに好ましい値の例示として記載されているので、当該粒子の径を採用することは容易である。
また、光触媒その他の建築資材において、粒径にはある程度のばらつきがあることは技術常識であって、その様なばらつきのある資材の粒径を特定するあたり「50%以上が、1.0μmを超えて10.0μm以下の粒径を有している」の様な表現を使用することも周知慣用手段である。
(c)そうすると、引用発明の光触媒の粒子径として刊行物2にさらに好ましいものとして記載されている「5μm」程度の粒子径を採用すると共にそれを慣用的表現手法で表して、相違点ア.に係る発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たことである。

(3)総合判断
そして、本願発明の作用効果は、引用発明、刊行物2記載の事項、及び当業者に周知の事項から当業者であれば予測できた範囲のものである。
したがって、本願発明は、引用発明、刊行物2記載の事項、及び当業者に周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
したがって、本願発明については、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そうすると、このような特許を受けることができない発明を包含する本願は、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-08-20 
結審通知日 2013-08-22 
審決日 2013-09-04 
出願番号 特願2006-47030(P2006-47030)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (E04B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 湊 和也  
特許庁審判長 杉浦 淳
特許庁審判官 中川 真一
高橋 三成
発明の名称 調湿建材  
代理人 廣田 雅紀  
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