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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1280929
審判番号 不服2012-16999  
総通号数 168 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-12-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-09-03 
確定日 2013-10-31 
事件の表示 特願2009- 5268「コミュニケーションサーバの保守端末装置および通信システムならびにその設定支援方法」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 7月29日出願公開、特開2010-165080〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成21年1月14日の出願であって、平成24年3月29日付けで拒絶理由通知がなされ、同年6月4日付けで手続補正がなされ、同年6月15日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月3日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。


第2 平成24年9月3日付けの手続補正についての補正却下の決定
〔結論〕
平成24年9月3日付けの手続補正を却下する。

〔理由〕
1.補正内容
平成24年9月3日付けの手続補正(以下、「本件補正」と呼ぶ。)は、補正前の特許請求の範囲の請求項1を、補正後の請求項1に変更する補正事項を含むものである。
そして、補正前の請求項1及び補正後の請求項1の各記載は、それぞれ、以下のとおりである。
なお、<補正後の請求項1>中の下線は、補正箇所を表している。
<補正前の請求項1>
「 【請求項1】
階層メニューで作成されるコミュニケーションサーバの機能設定手順のうち一部の階層の機能設定項目が一覧表示される表示部と、その一覧表示される機能設定項目から所定の機能設定項目が選択された場合に、選択された機能設定項目よりも一つ下位の機能設定項目を前記表示部に表示させる制御部とを含むことを特徴とするコミュニケーションサーバの保守端末装置。」
<補正後の請求項1>
「 【請求項1】
通信網を介してコミュニケーションサーバに接続され、
階層メニューで作成される前記コミュニケーションサーバの機能設定手順のうち一部の階層の機能設定項目が一覧表示される表示部と、その一覧表示される機能設定項目から所定の機能設定項目が選択された場合に、選択された機能設定項目よりも一つ下位の機能設定項目を前記表示部に表示させる制御部とを含むことを特徴とするコミュニケーションサーバの保守端末装置。」

2.本件補正に対する判断
本件補正の内の上記補正事項は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の上記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」と呼ぶ。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下検討する。

2-1.本願補正発明
本願補正発明は、上記「1.」の<補正後の請求項1>の欄に転記したとおりのものである。

2-2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された、特許第3498871号公報(以下、「引用例」と呼ぶ。)には、以下の記載がある。

「【0002】
【従来の技術】従来、テレビジョン受像機の機能を選択する場合においては、最初、ユーザは、テレビジョン受像機の操作パネル、またはテレビジョン受像機用のリモートコマンダを操作することにより、画面に最上位階層に対応するメニューを表示させる。このメニューは、テレビジョン受像機の機能に対応した複数の選択項目より構成されている。
【0003】次に、ユーザは、操作パネルまたはリモートコマンダを操作して、この選択項目の中から所定のものを選択する。選択された選択項目に関連する下位階層の選択項目がある場合、最上位階層のメニューが消去され、その下位階層のメニューが画面に表示される。そして、ユーザは、この下位階層のメニューを構成する選択項目の中から所定の機能に対応するものを選択する。これにより、所望の機能を選択することができる。その後、テレビジョン受像機は、選択された機能に基づいて所定の動作をすることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このようにしてテレビジョン受像機の機能を選択する場合、次の下位階層のメニューが表示されると、その上位に位置する上位階層のメニューが消去されるので、上位階層と下位階層の関係を把握するのが困難であり、最終的に選択したい選択項目を画面に表示させ、選択するまでに、階層間の移動を何度も繰り返す場合があり、操作が煩雑になる課題があった。
【0005】また、上位階層のメニューを構成する選択項目の中から所定の選択項目を選択する場合、選択する前に、その選択項目に関連する下位階層のメニューの選択項目を表示させることができないので、階層化されたメニューの構造を認識することが困難であり、ある程度メニュー構造を理解しているユーザであっても、毎回、メニュー構造を頭の中で思い浮かべる必要があり、一般のユーザにとって操作が難しい課題があった。
【0006】本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、テレビジョン受像機の機能を、簡単かつ迅速に選択することができるようにするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の第1のテレビジョン機能選択方法は、テレビジョン受像機の機能に対応した選択項目からなる階層化されたメニューの所定の階層のものを、テレビジョン受像機の画面の所定の領域に表示し、表示されたメニューの所定の階層のものを構成する選択項目の所定のものを、メニューの所定の階層のものの最初の項目に位置しているカーソルを移動させることにより指示し、指示された選択項目を強調表示し、メニューの所定の階層のものを画面の所定の領域に表示させた状態で、カーソルにより指示され強調表示された選択項目の所定のものに関連する関連選択項目からなるメニューの所定の階層のものの下位に位置する下位メニューを、メニューの所定の階層のものが表示されている画面の領域の外、または領域の少なくとも一部分を除く領域に表示させ、カーソルにより指示され強調表示された選択項目の所定のものを選択し、選択された選択項目の所定のものに関連する関連選択項目の所定のものを、関連選択項目の最初の項目に位置しているカーソルを移動させて選択するとともに、選択された選択項目の下位に位置する下位メニューが存在しない場合は、選択された項目に対応した機能の制御を行うことを特徴とする。」

そして、上記記載事項を、引用例の関連図面と技術常識に照らせば、次のことがいえる。
(1)引用例の段落【0007】でいう「テレビジョン受像機の機能に対応した選択項目からなる階層化されたメニュー」は、それをたどることによってテレビジョン受像機の機能の設定が行われるものであるから、「階層メニューで作成されるテレビジョン受像機の機能設定手順」を表すものといえる。
(2)引用例の段落【0007】でいう「表示されたメニューの所定の階層のもの」は、例えば、引用例の図3、4に「メインメニュー」として示されているものであり、上記(1)で言及した「階層メニューで作成されるテレビジョン受像機の機能設定手順」のうちの一部の階層の機能設定項目を表している。そしてそれは、表示部と呼び得る部分に一覧表示されるものである。
(3)引用例の段落【0007】の「メニューの所定の階層のものを画面の所定の領域に表示させた状態で、カーソルにより指示され強調表示された選択項目の所定のものに関連する関連選択項目からなるメニューの所定の階層のものの下位に位置する下位メニューを、メニューの所定の階層のものが表示されている画面の領域の外、または領域の少なくとも一部分を除く領域に表示させ」という記載は、引用例のテレビジョン受像機が、「上記(2)で言及した『一覧表示される機能設定項目』から所定の機能設定項目が選択された場合に、選択された機能設定項目よりも一つ下位の機能設定項目を上記表示部と呼び得る部分に表示させる」ように動作することを表している。そして、引用例のテレビジョン受像機をそのように動作させる部分は「制御部」とも呼び得る。
以上を総合すると、引用例には、次の発明(以下、「引用例記載発明」と呼ぶ。)が記載されているといえる。
「階層メニューで作成されるテレビジョン受信機の機能設定手順のうち一部の階層の機能設定項目が一覧表示される表示部と、その一覧表示される機能設定項目から所定の機能設定項目が選択された場合に、選択された機能設定項目よりも一つ下位の機能設定項目を前記表示部に表示させる制御部を含むテレビジョン受像機。」

2-3.対比
本願補正発明と引用例記載発明とを対比すると、次のことがいえる。
(1)引用例記載発明の「階層メニューで作成されるテレビジョン受信機の機能設定手順のうち一部の階層の機能設定項目が一覧表示される表示部」と本願補正発明の「階層メニューで作成される前記コミュニケーションサーバの機能設定手順のうち一部の階層の機能設定項目が一覧表示される表示部」とは、「階層メニューで作成される機能設定手順のうち一部の階層の機能設定項目が一覧表示される表示部」である点で共通する。
(2)引用例記載発明の「テレビジョン受信機」と本願補正発明の「コミュニケーションサーバの保守端末装置」は、「装置」である点で共通する。
したがって、本願補正発明と引用例記載発明の間には、以下の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「階層メニューで作成される機能設定手順のうち一部の階層の機能設定項目が一覧表示される表示部と、その一覧表示される機能設定項目から所定の機能設定項目が選択された場合に、選択された機能設定項目よりも一つ下位の機能設定項目を前記表示部に表示させる制御部とを含むことを特徴とする装置」である点。

(相違点)
本願補正発明の「装置」は、「通信網を介してコミュニケーションサーバに接続される、コミュニケーションサーバの保守端末装置」であり、本願補正発明の表示部に表示される「機能設定項目」は、「コミュニケーションサーバの機能設定手順の機能設定項目」であるのに対し、引用例記載発明の「装置」は、「通信網を介してコミュニケーションサーバに接続される、コミュニケーションサーバの保守端末装置」ではなく「テレビジョン受像機」であり、引用例記載発明の表示部に表示される「機能設定項目」は、「コミュニケーションサーバの機能設定手順の機能設定項目」ではなく「テレビジョン受像機の機能設定手順の機能設定項目」である点。

2-4.判断

(1)(相違点)について
以下の事情を勘案すると、引用例記載発明の「装置」(テレビジョン受像機)を「通信網を介してコミュニケーションサーバに接続される、コミュニケーションサーバの保守端末装置」とし、引用例記載発明の表示部に表示される「機能設定項目」を、「コミュニケーションサーバの機能設定手順の機能設定項目」とすることは、当業者が容易に推考し得たことというべきである。
ア.電気電子と呼ばれる技術分野においては、特定の応用分野において知られた技術を、他の応用分野に属するが共通の課題を有するものに転用することは、ごく普通に行われていることである。このことは、コミュニケーションサーバの保守端末という応用分野に属する発明を開示する本願の明細書に、コミュニケーションサーバの保守端末とは異なる応用分野に属する発明を開示した特許公報が先行技術文献として引用されている(本願の明細書の段落【0006】に記載された【特許文献1】特開2007-193494号公報は、メニュー項目が階層状で管理される機器(例えばプロジェクタ)に適用される、メニューに関する画面の表示制御についての発明を開示するものであり、【特許文献2】特開2007-310650号公報は、情報処理装置(例えば、携帯電話やPDA)に搭載された複数の機能を利用するための発明を開示するものであり、【特許文献3】特開昭63-254513号公報は、病棟における情報管理計算機システムなどにおいて、患者の情報、ドクターの指示内容、ナースの確認内容等のデータ入力を行ったり、表示したりするCRT表示装置に関する発明を開示するものである。)という事実によっても裏付けられる。
イ.引用例記載発明は、テレビジョン受像機を応用分野とするものではあるが、引用例の段落【0002】?【0006】の記載等から把握される引用例記載発明の技術上の課題(機能設定操作を容易化したいという課題。)が、テレビジョン受像機特有のものではなく、機能設定を行う装置一般にあてはまることは、当業者に明らかである。
ウ.してみれば、引用例記載発明を、テレビジョン受像機以外の応用分野に属し、共通の課題を解決しようとするものに転用することは、当業者が容易になし得たことである。
エ.ところで、「通信網を介してコミュニケーションサーバに接続される、コミュニケーションサーバの保守端末装置」と言われるもの自体は、平成25年4月2日付け審尋の備考欄に例示された特開2008-219385号公報の段落【0011】、【0031】、図1にも示され、請求人もそのことを争っていないように、周知である。
そして、該周知のものにおいても種々の機能設定が行われ、そこに引用例記載発明が解決しようとした課題と共通の課題があり得ることは、当業者に明らかである。
オ.以上によれば、引用例記載発明の課題解決手段を「通信網を介してコミュニケーションサーバに接続される、コミュニケーションサーバの保守端末装置」に転用すること、換言すれば、引用例記載発明の「装置」(テレビジョン受像機)を「通信網を介してコミュニケーションサーバに接続される、コミュニケーションサーバの保守端末装置」とすることは、当業者が容易になし得たことである。
カ.引用例記載発明の「装置」(テレビジョン受像機)を「通信網を介してコミュニケーションサーバに接続される、コミュニケーションサーバの保守端末装置」とする場合に、引用例記載発明の表示部に表示される「機能設定項目」を、「コミュニケーションサーバの機能設定手順の機能設定項目」とすべきことは当然のことである。
キ.以上のことは、引用例記載発明の「装置」(テレビジョン受像機)を「通信網を介してコミュニケーションサーバに接続される、コミュニケーションサーバの保守端末装置」とし、引用例記載発明の表示部に表示される「機能設定項目」を、「コミュニケーションサーバの機能設定手順の機能設定項目」とすることが当業者とって容易であったことを意味している。

(2)本願補正発明の効果について
本願補正発明の構成によってもたらされる効果は、引用例に記載された事項及び周知の事項から当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。

(3)まとめ
以上によれば、本願補正発明は、引用例記載発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」と呼ぶ。)は、平成24年6月4日付けの手続補正書の請求項1に記載されたとおりのものであり、上記「第2」の「1.」の<補正前の請求項1>の欄に転記したとおりのものである。

2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及びその記載事項は、上記「第2」の「2.」の「2-2.」の欄に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記「第2」で検討した本願補正発明から、限定事項の一部を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに特定の限定を施したものに相当する本願補正発明が、上記「第2」の「2.」の欄に記載したとおり、引用例記載発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用例記載発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例記載発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-08-28 
結審通知日 2013-09-03 
審決日 2013-09-17 
出願番号 特願2009-5268(P2009-5268)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 星野 昌幸  
特許庁審判長 小曳 満昭
特許庁審判官 清水 稔
衣川 裕史
発明の名称 コミュニケーションサーバの保守端末装置および通信システムならびにその設定支援方法  
代理人 ▲柳▼川 信  

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